説明

現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】電子写真装置において、弾性現像ローラを用いた非磁性一成分現像方式において、現像剤担持体のトナー付着量変動を小さくし、画像不良を抑制する現像装置、該現像装置を備えたプロセスカートリッジや画像形成装置を提供すること。
【解決手段】芯金103aの外周部に基層103b、中間層103c、表面層103dで構成した現像ローラについて、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、現像装置を含むプロセスカートリッジ及び潜像担持体を備えた電子写真式複写装置、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、複合機、印刷装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ等のOA機器はカラー化、高画質化が進んでおり、それに伴い感光体上の静電潜像をトナーにより可視化する現像プロセスにおいては、現像ローラとして弾性体を用い、感光体に均一に圧接して現像を行う接触現像方式が提案されている。この接触現像において現像ローラは感光体への均一な圧接幅を確保するために、弾性材料により構成されると共に電圧を印加してトナー像を感光体上に形成するために、均一な導電性や耐リーク性が求められる。
【0003】
そこで、例えは良導電性の芯金上に電子導電剤やイオン導電剤分散し、所望の抵抗値に調整した弾性層を形成し、その外周に耐フィルミング性やトナー帯電性、トナー搬送性を得るために、ナイロン、ウレタン、アクリルなどの樹脂またはゴムに、適宜表面粗さを確保するための粗し粒子や、導電性を確保するための導電剤を添加した表面層を設ける場合が多い。
【0004】
弾性層、表面層共に環境変動による依存性が少なく、均一な導電性を得るために、前述の電子導電剤とイオン導電剤を併用するなどの手法が用いられる。弾性層にイオン導電剤を添加する例として、(1)耐リーク性を改善し(例えば、特許文献1参照)、(2)圧接内面を流れる電流を安定化し(例えば、特許文献2参照)、(3)画像の階調性を向上させている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、一成分トナーを用いた接触現像方式では、現像ローラの環境変動による特性値の変化によりトナーの付着量が大きく変動し、画像不良が生じる。原因としては抵抗変化の影響が大きい。上記公知手段を用いても、非磁性一成分トナーを薄層でコートする接触現像方式においては、トナー付着量の変動を抑制することは難しい。
【0006】
検討の結果、トナー搬送量変化は、現像ローラの抵抗値の変化に影響していることが明らかになった。つまり従来技術に示されるような導電性の均一化を実現したとしても、抵抗の環境変化を抑えることが出来ない場合には、高品質な画像は得られない。更には、弾性層と中間層と表面層の抵抗値の構成により、トナー付着量の変動を緩和し、画質が改善されることも明らかになった。つまり、現像ローラの基層の抵抗値が抵抗ムラに、中間層の抵抗値が耐リーク性、画像階調性等を満足する範囲において、表面層の抵抗値を中間層の抵抗値よりも低くすることによって、トナー付着量の変動を抑制する効果があるのである。
【0007】
一方、感光体に圧接し現像剤を可視化する現像ローラにおいて、長期圧接による圧接跡である画像横スジの発生を抑える手段として、表面層の体積抵抗率が弾性層よりも低く、弾性層における圧接部の抵抗値の変化が、−30〜+30%とする例がある(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
しかし、上記の従来技術では、本発明のように、a.基層の抵抗を低くし、基層の抵抗ムラを小さくする。b.中間層の抵抗を高くし、バイアスリークを抑制する。c.表面層の抵抗を低くし、現像剤の鏡像力を抑制する等、基層、中間層、表面層等3者の関係について規定していない。また、圧接跡である画像横スジの発生を抑制するのが課題であり、均一で環境変動の少ない高品質な画像を得る本願とは相違する。
【0009】
【特許文献1】特開平9−101652号公報
【特許文献2】特開平10−282813号公報
【特許文献3】特開平11−95544号公報
【特許文献4】特開2005−164784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の事情の下になされたもので、電子写真装置において、弾性現像ローラを用いた非磁性一成分現像方式において、現像剤担持体のトナー付着量変動を小さくし、画像不良を抑制する現像装置、該現像装置を備えたプロセスカートリッジや画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するため請求項1に係る発明は、潜像担持体に近接または接触して回転可能に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体上に粉体である現像剤を供給するために回転可能に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤担持体に接触して該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する現像剤層規制部材とを有し、該現像剤担持体に所定の電圧を印加して該潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、
該現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と該表面層を接着しかつ該基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制されていることとした。
請求項2に係る発明は、潜像担持体に近接または接触して回転可能に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体上に粉体である現像剤を供給するために回転可能に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤担持体に接触して該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する現像剤層規制部材とを有し、該現像剤担持体に所定の電圧を印加して該潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、該現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と該表面層を接着しかつ該基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制されており、該現像剤担持体全体として体積抵抗値より表面抵抗値が大きいこととした。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載した現像装置において、該現像剤供給部材は導電性部材からなり、該現像剤供給部材に電圧を印加する電圧印加手段を有し、該現像装置は温湿度を検知する温湿度検知手段を有し、該温湿度検知手段によって検知された温湿度の値によって該現像剤供給部材に印加する電圧の極性を切り替えることができることとした。
請求項4に係る発明は、潜像担持体に近接または接触して回転可能に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体上に粉体である現像剤を供給するために回転可能に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤担持体に接触して該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する現像剤層規制部材と、該現像剤担持体の現像剤を除電する現像剤除電部材とを有し、該現像剤担持体に所定の電圧を印加して該潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、
該現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と該表面層を接着しかつ該基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制されていることとした。
請求項5に係る発明は、潜像担持体に近接または接触して回転可能に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体上に粉体である現像剤を供給するために回転可能に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤担持体に接触して該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する現像剤層規制部材と、該現像剤担持体の現像剤を除電する現像剤除電部材とを有し、該現像剤担持体に所定の電圧を印加して該潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、
該現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と該表面層を接着しかつ該基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制されており、該現像剤担持体全体として体積抵抗値より表面抵抗値が大きいこととした。
請求項6に係る発明は、請求項4又は請求項5に記載した現像装置において、
該現像剤を除電する現像剤除電部材は導電性部材からなり、該現像剤除電部材に電圧を印加する手段を有し、該現像装置は温湿度を検知する温湿度検知手段を有し、該温湿度検知手段によって検知された温湿度の値によって該現像剤除電部材に印加する電圧の極性を切り替えることとした。
請求項7に係る発明は、請求項4乃至請求項6の何れかに記載した現像装置において、
該現像剤供給部材と概現像剤除電部材のそれぞれに電圧を印加する手段を有し、概現像装置は温湿度を検知する手段を有し、概検知手段によって検知された温湿度の値によって該現像剤供給部材と現像剤除電部材に印加する両方の電圧の極性を切り替えることとした。
請求項8に係る発明は、帯電装置、現像装置、クリ−ニング装置より選ばれる少なくとも一つの手段と潜像担持体を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカ−トリッジにおいて、当該プロセスカートリッジが前記現像装置を含むものであるとき、当該プロセスカートリッジに含まれる現像装置は、請求項1乃至7の何れかに記載の現像装置とした。
請求項9に係る発明は、少なくとも潜像担持体と、請求項1乃至7の何れかに記載の現像装置、又は請求項8に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置とした。
【0012】
以上のとおり、本発明において現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と概表面層を接着しかつ概基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、概中間層の電気抵抗値は概基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は概中間層の電気抵抗値より小さくされている。
【0013】
また、基層に所定の体積抵抗値になるようにカーボンブラックを分散したゴム材を用い、その外周に中間層として次に記す塗料をスプレーまたはディッピングなど公知の方法で塗布する。中間層の塗料としては、ウレタン樹脂塗料などをメチルエチルケトン、トルエンなどの溶媒で適宜希釈し、導電剤としてカーボンブラックを分散し、硬化剤もしくは硬化触媒を添加し、攪拌することにより得られる。中間層まで塗布されたローラは基層までのローラより体積抵抗値が高くなるよう中間層塗料のカーボンブラックの量を調整する。更にその外周に表面層として次に記す塗料をスプレーまたはディッピングなど公知の方法で塗布する。表面層の塗料としては、ウレタン樹脂塗料、ナイロン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料などをメチルエチルケトン、トルエンなどの溶媒で適宜希釈し、導電剤としてカーボンブラックを分散し、必要に応じて表面粗し剤を分散した後、硬化剤もしくは硬化触媒を添加し、攪拌することにより得られる。表面層まで塗布された現像ローラは中間層までのローラより体積抵抗値が低くなるよう表面層塗料のカーボンブラックの量を調整する。
【0014】
得られた現像ローラが基層のみのローラの体積抵抗値、中間層まで塗布されたローラの体積抵抗値、表面層まで塗布された現像ローラの体積抵抗値がすべて低く1×10E4Ω未満の場合、特に高温、高湿環境(例えば、32度C、80%RH)において、潜像担持体である感光体に微小孔(ピンホール)などが存在する際に荷電のリークが起こり、画像横スジが発生する問題、トナー荷電低下によるカブリやベタ画像の追従不良は発生する問題がある。また、現像ローラが基層のみのローラの体積抵抗値、中間層まで塗布されたローラの体積抵抗値、表面層まで塗布された現像ローラの体積抵抗値がすべて高く1×10E7Ωを超える場合は、特に低温、低湿環境(例えば10度C、15%RH)において、トナーのチャージアップによりハーフトーン画像のムラが発生するといった問題がある。現像ローラとして上記の問題を回避するには、中間層の電気抵抗を高く、表面層の電気抵抗を低くすることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像剤担持体のトナー付着量変動を小さくし、画像不良を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
[1]画像形成装置の概要
図1により、均一に帯電された潜像担持体に光書き込み手段から光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像を本発明にかかる現像装置で可視像化しさらに記録媒体に転写して記録画像を得る画像形成装置の一例としてカラー画像形成装置の例を説明する。
【0017】
このカラー画像形成装置は、中間転写ベルト7に沿って該中間転写ベルト7の移動方向(搬送方向)上、上流側から順に、複数の画像形成プロセス部17K、17M、17Y、17Cが配列された、所謂タンデムタイプといわれるものである。
【0018】
上記各画像形成プロセス部は、本例では、帯電装置3、現像装置4、クリ−ニング装置14と潜像担持体としてのドラム状をした感光体2を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカ−トリッジ1で構成されている。なお、プロセスカ−トリッジ1は本例のように必ず帯電装置3、現像装置4、クリ−ニング装置14と感光体2を一体に支持したプロセスカートリッジとして構成される必要はなく、少なくとも現像装置4と感光体2を含む構成であればよい。
【0019】
画像形成プロセス部17Kは黒、画像形成プロセス部17Mはマゼンタ、画像形成プロセス部17Yはイエロー、画像形成プロセス部17Cはシアン、の各画像を形成するもので、これら各画像形成プロセス部は形成する画像の色が異なるだけで、内部構成は各画像形成部とも共通である。
【0020】
画像形成プロセス部17Cでは、ドラム状をした感光体2の周囲に、感光体2の表面に帯電処理を行う帯電装置3、感光体2の表面に露光装置6からのレーザ光の照射を受けて露光されて形成された静電潜像を可視化する現像装置4、各画像形成プロセス部における感光体2上でそれぞれ現像されたトナー像を中間転写ベルト7上に重ね合わせ転写する1次転写装置8、転写後の残トナーをクリーニングする感光体のクリーニング装置14等が配置されている。クリーニング装置14はクリーニングブレード13、回収トナー搬送スクリュー5等を有する。
【0021】
図1中、中間転写ベルト7の右端部には該中間転写ベルト7上の色重ねトナー像を、用紙10上に一括転写する2次転写装置11が配置されている。用紙10は給紙部にストックされており、ここから1枚分離されて給紙経路を上方に向けて送り出され、上記2次転写装置11部でトナー像を転写されてから、定着装置12部を通過する際に定着されて、排紙台15へ送り出される。なお、定着装置12の直後の用紙経路は反転搬送経路に分岐していて、両面画像形成モード時には、この反転搬送経路をたどり、再度2次転写装置11を経由して裏面を転写されてから排紙される。なお、転写中間転写ベルト7の回転下流方向には、2次転写後の感光体表面に残留するトナーを除去回収するベルトクリーニング装置9が配置されている。
【0022】
図2は本発明の実施形態に係る現像装置4を含むプロセスカートリッジ1を現像剤担持体(以下、現像ローラという。)103の軸直角方向から見た断面図である。また、図3は同じプロセスカートリッジ1を現像ローラ103の軸長手方向から見た部分断面図である。
【0023】
図2、図3において、現像装置4は、現像剤を収容する現像剤収容室101と、該現像剤収容室101の下方に設けられた現像剤供給室102から構成され、該現像剤収容室101と該現像剤供給室102を仕切るように仕切り部材110が設けられている。
【0024】
仕切り部材110には複数の開口107、111が設けられている。該開口107、111は、現像剤が該現像剤収容室101から該現像剤供給室102へ現像剤を供給する供給口としての開口111と、現像剤を該現像供給室102から現像剤収容室101へ戻す返送口としての開口107とに分かれている。
【0025】
現像剤供給室102の下部には、現像ローラ103と、該現像ローラ103に当接して設けられた現像剤層規制部材104および現像剤供給部材(以下、供給ローラという。)105が設けられている。供給ローラ105は、現像ローラ103上に粉体である現像剤(トナー)を供給するために回転可能に設けられローラである。現像ローラ103は感光体2に接触(或いは近接)して回転可能に配置され、図示しない高圧電源から所定の現像バイアスが印加されるようになっている。
【0026】
トナー収容室101内には現像剤搬送部材106が設けられている。現像剤搬送部材106は、スクリュー形状をした部材であり回転動作により現像剤搬送部材106と平行かつ略水平方向に現像剤を搬送できる構成をしている。
【0027】
本実施例においては、現像剤搬送部材106と平行方向に現像剤を搬送する構成が図示されているが、これに限ったものでなく、スクリュー、搬送ベルト、コイル状の回転体等の搬送機能を有するものや、それらと羽根のような板部材や針金を曲げて構成したパドルのようなもの等の攪拌機能を有するものを組み合わせたものでもよい。また、現像剤の搬送方向がスクリュー形状をした該現像剤搬送部材106の回転弧に対して法線方向に現像剤を搬送する構成としてもよい。
【0028】
前記したとおり、仕切り部材110に設けた開口は、現像剤収容室101にある現像剤を現像剤供給室102へ送る供給口としての開口111と、現像剤供給室102へ過剰に供給された現像剤を現像剤収容室101へ戻す返送口としての開口107とに役割を分けて現像ローラ103沿って平行に設けられている。
【0029】
現像剤攪拌部材108は、返送口としての開口107および供給口としての開口107の下部に設けている。現像剤攪拌部材108は、スクリュー形状をした部材であり回転動作により該現像剤搬送部材108の軸の長手方向に現像剤を搬送可能な構成をしている。また、該現像剤攪拌部材108は、現像剤供給室102にある現像剤を攪拌し、さらに下方にある現像ローラ103、供給ローラ105へ現像剤を供給する役割を持つ。
【0030】
供給ローラ105の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、現像剤供給室102内に運ばれてきた現像剤を効率よく付着させて取り込むと共に、現像ローラ103との当接部での圧力集中によるトナー劣化を防止している。発泡材料は1×10E3〜10E14Ωの電気抵抗値に設定される。
【0031】
供給ローラ105には、現像ローラ103の電位に対して現像剤の帯電極性と同極性にオフセット電圧を供給バイアスとして印加される。例えば、現像剤が負極性に帯電している場合、供給ローラ105に-400V、現像ローラ103に-300Vを印加する。この供給バイアスは、現像ローラ103との当接部で予備帯電された現像剤を現像ローラ103に押し付ける方向に作用する。ただし、供給ローラ105に印加する電圧の極性はこれに限ったものではなく、使用条件によっては現像ローラと同電位もしくは極性を反転させてもよい。
【0032】
図2において、供給ローラ105は反時計回りの方向に回転し、表面に付着させた現像剤を現像ローラ103の表面に塗布供給する。現像ローラ103には、弾性ゴム層を被覆したローラが用いられ、基層としての弾性ゴム層の上に抵抗を調整するための中間層、さらに表面には現像剤と逆の極性に帯電し易い材料からなる表面層(或いは、表面コート層とも称せられる。)が設けられている。
【0033】
弾性ゴム層は、感光体2との接触状態を均一に保つ為に、JIS−Aで50度以下の硬度に設定され、さらに現像バイアスを作用させるために1×10E3〜10E10Ωの電気抵抗値に設定される。表面粗さはRaで0.2〜2.0μmに設定され、必要量の現像剤が表面に保持される。
【0034】
現像ローラ103は反時計回りの方向に回転し、表面に保持した現像剤を現像剤層規制部材104および感光体2との対向位置へと搬送する。
【0035】
現像剤層規制部材104は、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ103表面に10〜100N/mの押圧力で当接させたもので、その押圧力下を通過した現像剤を薄層化すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。
【0036】
さらに、現像剤層規制部材104には、摩擦帯電を補助する為に、現像ローラ103に印加した電位に対して現像剤の帯電極性と同極性にオフセットさせた電圧を規制バイアスとして印加される。
【0037】
現像ローラ103は感光体2に近接又は接触して回転可能に設けられている。感光体2は時計回りの方向に回転しており、従って現像ローラ103表面は感光体2との対向位置において感光体2の進行方向と同方向に移動する。
【0038】
現像剤層規制部材104による、現像ローラ103上の薄層化された現像剤は、現像ローラ103の回転によって感光体2との対向位置へ搬送され、現像ローラ103に印加された現像バイアスと感光体2上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、感光体2の表面に移動し潜像可視像化(現像)する。
【0039】
感光体2上に現像されずに現像ローラ103上に残された現像剤が再び現像剤供給室102内へと戻る部分には、その一端側をフレーム側に固定された封止シール109の他端側(自由端側)が現像ローラ103に当接して設けられ、現像剤が現像装置外部に漏れ出ないように封止している。封止シール109は導電性のフッ素樹脂シートなどを用いて摩擦荷電によってトナーの荷電を除電させる。よって、封止シール109は本例において、現像剤除電部材としても機能する。
【0040】
さらに封止シール109には、トナーの除電を補助する為に、現像ローラ103に印加した電位に対して現像剤の帯電極性と逆極性にオフセットさせた電圧を除電バイアスとして印加することができる。ただし、封止シール109に印加する電圧の極性はこれに限ったものではなく、使用条件によっては現像ローラと同電位もしくは極性を反転させてもよい。
【0041】
なお、後述する実施例の中には、封止シール109として絶縁性の材料を用いた例もある。
【0042】
図2、図3において、現像剤供給室102内に供給ローラ105、現像剤攪拌部材108が底部から順に配置されており、その上部に、返送口としての開口107、供給口としての開口111などを有する仕切り部材110をはさんで現像剤収容室101がある。
【0043】
さらにその上に、現像剤搬送部材106がある。仕切り部材110の下では、現像剤供給室102内の現像剤が現像剤攪拌部材108により集められる。現像剤攪拌部材108は軸長手方向の中央部(開口111の直下の部位)が図4に示すような板状のパドル112で構成されていて、このパドルの正転により、また、中央から左右に送る向きにねじれたスクリュー回転により現像剤が滞ることなくより抵抗の少ない左右に分けられて搬送される。図3において、このパドル112の右方、開口107の直下までの区間は現像剤攪拌部材108の正転により現像剤を右方に送る向きにスクリューの螺旋が形成されており、開口107の直下から右端の壁部までの区間は現像剤攪拌部材108の正転により現像剤を左方に送る向きに螺旋が形成されている。これにより、現像剤は開口107の直下に集められる。
【0044】
図3において、パドル112の左方については、現像剤攪拌部材108の正転により上記パドルの左方に向けて現像剤が送られ、開口107を境に螺旋の向きが逆となっているため、現像剤攪拌部材108の正転により現像剤は開口107の直下に集められるようになっている。
【0045】
こうして左右それぞれの開口107に向けて集められた現像剤は現像剤返送用の該開口107の直下で山を形成し、現像剤の一部は開口107を通過して現像剤収容室101へ返送される。
【0046】
現像剤収容室101に配置された現像剤攪拌部材108についても、その軸長手方向の中央部(開口111の直上の部位)には図4で示すようなパドル112が設けられており、現像剤攪拌部材108はその正転により、該パドル112の左右からそれぞれ中央に向けて現像剤を送るようにスクリューの螺旋が形成されている。
【0047】
開口107を通過してきた現像剤は、現像剤攪拌部材108により攪拌されつつ、供給口としての開口111へと順次搬送され開口111を経て現像剤供給室102へ供給される。
【0048】
開口107の直下では、現像剤攪拌部材108によって常に現像剤の山が形成されるため現像剤収容室101の現像剤が開口107を介して現像剤供給室102へ流れ込むのが防止され、現像剤供給室102内の現像剤量を常に適正に保持することができる。
【0049】
現像ローラ103を軸長手方向から見た状態を図5に示す。図5において、現像ローラ103は芯金103aのまわりに基層103bがあり、基層103bのまわりを中間層103cが覆い、中間層103cのまわりを表面層が覆っている。
【0050】
(実施例1):
現像ローラ103の構成に関し、外径6mmの芯金103aを内径12mmの円筒状金型内に同心となるように配置し、弾性を有する基層103bとして液状導電性シリコーンゴム(基層素材の体積抵抗率2.0×10E7Ω・cm品)を注入後、130度Cのオーブンに入れ20分加熱成型し、脱型後、200度Cのオーブンで4時間2次加硫を行い、弾性基層103bによる厚み3mmのローラを得た。
【0051】
出来上がった基層コート後のローラの電気抵抗は、芯金の両端に500gの荷重をかけて電極ローラに押し当て、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、2×10E3Ωであった。
【0052】
次いで、ウレタン塗料を固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、導電材料としてカーボンブラック(CB)を固形分に対して30重量部添加した後、十分に分散したものに、硬化剤をウレタン塗料に対し10重量部添加、攪拌した塗料を、先に成型したローラ上にディッピングにより膜厚10μmとなるように中間層103cとして塗布し、80度Cのオーブンで15分乾燥後、140度Cのオーブンで4時間硬化し、現像ローラを得た。
【0053】
出来上がった中間層コート後のローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、1.0×E5Ωであった。
【0054】
さらに、ウレタン塗料とアクリル塗料をブレンドし、固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、導電材料としてカーボンブラック(CB)を固形分に対して40重量部、表面粗し材としてのアクリルビーズを固形分に対し20重量部添加した後、十分に分散したものに、硬化剤をウレタン塗料に対し10重量部添加、攪拌した塗料を表面層103dとして、先に成型したローラ上にディッピングにより膜厚10μmとなるように塗布し、80度Cのオーブンで15分乾燥後、140度Cのオーブンにより4時間の硬化後、現像ローラを得た。
【0055】
出来上がった表面層コート後の現像ローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて、3.4×10E4Ωであった。
【0056】
(実施例2):
弾性を有する基層103aは実施例1と同様に作成し、次いで、ウレタン塗料を固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、導電材料としてカーボンブラック(CB)を固形分に対して5重量部添加した後、十分に分散したものに、硬化剤をウレタン塗料に対し10重量部添加、攪拌した塗料を中間層103cとして、先に成型したローラ上にディッピングにより膜厚10μmとなるように塗布し、80度Cのオーブンで15分乾燥後、140度Cのオーブンで4時間硬化し、現像ローラを得た。
【0057】
出来上がったローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、3.7×E7Ωであった。表面層103dは実施例1と同様に作成した。出来上がった表面層コート後のローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、7.2×10E5Ωであった。
【0058】
(実施例3):
弾性を有する基層103b及び中間層103cは実施例2と同様に作成し、表面層103dは、ウレタン塗料とアクリル塗料をブレンドし、固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、導電材料としてカーボンブラック(CB)を固形分に対して30重量部、表面粗し材としてのアクリルビーズを固形分に対し20重量部添加した後、十分に分散したものに、硬化剤をウレタン塗料に対し10重量部添加、攪拌した塗料を表面層103dとして、先に成型したローラ上にディッピングにより膜厚10μmとなるように塗布し、80度Cのオーブンで15分乾燥後、140度Cのオーブンで4時間硬化し、現像ローラを得た。出来上がった表面層コート後の現像ローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて、4.3×10E6Ωであった。
【0059】
(実施例4):
弾性を有する基層103bとして基層素材としての液状導電性シリコーンゴム(体積抵抗率10E8Ω・cm品)を用いた以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。出来上がった現像ローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、4.0×10E4Ωであった。
【0060】
(実施例5):
弾性を有する基層103bとして基層素材としての液状導電性シリコーンゴム(体積抵抗率10E8Ω・cm品)を用いた以外は、実施例3と同様にして現像ローラを得た。出来上がった現像ローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、1.2×10E7Ωであった。
【0061】
(比較例1):
弾性を有する基層103bは、実施例1と同様に作成し、中間層103cとして、ウレタン塗料を固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、導電材料としてカーボンブラック(CB)を固形分に対して40重量部添加した後、十分に分散したものに、硬化剤をウレタン塗料に対し10重量部添加、攪拌した塗料を、先に成型したローラ上にディッピングにより膜厚10μmとなるように塗布し、80度Cのオーブンで15分乾燥後、140度Cのオーブンで4時間硬化し、現像ローラを得た。
【0062】
出来上がったローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて、1.3×E4Ωであった。表面層103dは実施例1と同様に作成した。
【0063】
出来上がったローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、2.0×E4Ωであった。
【0064】
(比較例2):
弾性を有する基層103bと中間層103cは、比較例1と同様に作成し、表面層103dは、ウレタン塗料とアクリル塗料をブレンドし、固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、導電材料としてカーボンブラック(CB)を固形分に対して10重量部、表面粗し材としてのアクリルビーズを固形分に対し20重量部添加した後、十分に分散したものに、硬化剤をウレタン塗料に対し10重量部添加、攪拌した塗料を、表面層103dとして先に成型したローラ上にディッピングにより膜厚10μmとなるように塗布し、80度Cのオーブンで15分乾燥後、140度Cのオーブンで4時間硬化し、現像ローラを得た。
【0065】
出来上がった現像ローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、6.2×10E6Ωであった。
【0066】
(比較例3):
弾性を有する基層103bと中間層103cは、実施例4と同様に作成し、表面層103dは、比較例2と同様に作成した。出来上がった現像ローラの電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、7.7×10E6Ωであった。
【0067】
[請求項1に対応する例]:
上記にて作成した現像ローラを用いた図2のプロセスカートリッジ、図1の画像形成装置(カラーレーザープリンタ)で封止シール109として絶縁性の材料を用い、画像を出力し、低温、低湿環境(10度C、15%RH)におけるハーフトーン画像のトナーのチャージアップによるムラの発生と、高温、高湿環境(32度C、80%RH)における感光体ピンホールによる横スジの発生を判定した。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
表1から明らかな様に。実施例1〜5では中間層103cコート後のローラ電気抵抗が高く、表面層コート後のローラ電気抵抗が低いために感光体2へのリークによる横スジ、トナーチャージアップによるハーフトーン画像ムラの発生が無く、良好な画像が得られた。これに対し、比較例1では中間層103cコート後のローラ電気抵抗が表面層コート後のローラ電気抵抗よりも低いために感光体2へのリークによる横スジが発生し、比較例2、3では表面層コート後のローラ電気抵抗が中間層コート後のローラ電気抵抗よりも高いためにトナーのチャージアップによるハーフトーン画像ムラが発生した。
【0070】
[請求項2に対応する例]:
請求項2の実施形態に係る現像装置の断面図を図6に示す。図6において、角度θ1は現像ローラ103の当接する供給ローラ105と現像剤層規制部材104との角度、角度θ2は現像ローラ103に当接する現像剤層規制部材104と感光体2との角度、角度θ3は現像ローラ103に当接する感光体2と封止シール109との角度、角度θ4は現像ローラ103に当接する封止シール109と供給ローラ105との角度で、これらの角度のうち最も小さい角度θSでローラ表面電気抵抗を測定する。
【0071】
ローラ表面電気抵抗の測定方法を図7に示す。図7において、2点の電極A、Bを現像ローラ103に対して角度θSで配置し、現像ローラ103の長手方向両端部に500gの荷重をかけ、電極A、B間に100vの電圧を印加して表面抵抗を測定した。実施例1の現像ローラの表面電気抵抗を測定したところ、4.3×10E4Ωであった。
【0072】
(比較例4):
弾性を有する基層103bと中間層103cは、実施例2と同様に作成し、表面層103dは、ウレタン塗料とアクリル塗料をブレンドし、固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、導電材料としてカーボンブラック(CB)を固形分に対して50重量部、表面粗し材としてのアクリルビーズを固形分に対し20重量部添加した後、十分に分散したものに、硬化剤をウレタン塗料に対し10重量部添加、攪拌した塗料を、先に成型したローラ上にディッピングにより膜厚10μmとなるように塗布し、80度Cのオーブンで15分乾燥後、140度Cのオーブンで4時間硬化し、現像ローラを得た。
【0073】
出来上がった現像ローラ103の電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金と電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、6.4×10E4Ωであった。さらにローラの表面抵抗を測定すると、3.3×10E4Ωであった。
【0074】
実施例1と比較例4のローラを用いて、図2のプロセスカートリッジ、図1の画像形成装置(カラーレーザープリンタ)で封止シール109として絶縁性の材料を用い、画像を出力し、高温、高湿環境(32度C、80%RH)におけるオフセットバイアス漏れによるベタ画像ムラの発生を判定した。結果を表2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
表2から明らかな様に、実施例1の表面層コート後の現像ローラ103はローラ電気抵抗(3.4×10E4Ω)に対し、表面抵抗(4.3×10E4Ω)と、表面電気抵抗が高く、高温、高湿環境(32度C、80%RH)におけるオフセットバイアス漏れによるベタ画像ムラの発生が無く、良好な画像が得られた。
【0077】
[請求項3に対応する例]:
(実施例6):
弾性有する基層103bと中間層103cは、実施例2と同様に作成し、表面層103dは、比較例2と同様に作成した。出来上がった現像ローラの表面層コート後の電気抵抗は、芯金103aの両端に500gの荷重をかけ電極ローラに押し当てて、芯金103aと電極ローラ間に100vの電圧を印加して測定する方法にて測定した結果、1.3×10E7Ωであった。
【0078】
現像装置4を含む図1の画像形成装置内に温湿度を検知する手段を設け、所定の温湿度に達した場合に供給ローラ105のバイアスを切り替える制御(低温低湿環境でトナー回収極性にバイアスを切り替える制御)を入れ、環境試験を行った。トナー回収極性とは、現像ローラ103へのトナー供給量を下げる目的で、現像ローラ103に対する供給ローラ105からのトナー供給を控え、供給ローラ側に回収されるような極性にすることである。実施例6(後述の実施例7でも同様)は10度C、15%RHの環境下でバイアス切替制御なしの結果であり、15度C、20%RHまでは切替制御なしで効果を確認できている。
(比較例5):
上記実施例6と同じ現像ローラを用いて、供給ローラの該バイアス環境切替制御無しで、環境試験を行った。
【0079】
実施例6と比較例5のローラを用いて、図2のプロセスカートリッジ、図1の画像形成装置(カラーレーザープリンタ)で封止シール109として絶縁性の材料を用い、実施例6では低温低湿環境での供給ローラのバイアス環境切替制御有り、比較例5では供給ローラのバイアス環境切替制御無しで画像を出力した。その結果を表3に示す。
【0080】
【表3】

【0081】
表3から明らかな様に、所定の低温低湿環境で供給ローラバイアス切替制御をおこなうと、トナーのチャージアップによるハーフトーン画像ムラが少なく、良好な画像が得られた。
【0082】
[請求項4に対応する例]:
本例は、図2のプロセスカートリッジ、図1の画像形成装置(カラーレーザープリンタ)で封止シール109として導電性の材料を用いて接地し、現像ローラ103上の現像剤を除電するようにし、現像ローラ103として、表1に示した実施例1〜5と同等のものを使用して画像を出力し、低温、低湿環境(10度C、15%RH)におけるハーフトーン画像のトナーのチャージアップによるムラの発生と、高温、高湿環境(32度C、80%RH)における感光体ピンホールによる横スジの発生を判定した。結果は表1に示したものと同等であった。
【0083】
[請求項5に対応する例]:
図2のプロセスカートリッジ、図1の画像形成装置(カラーレーザープリンタ)で封止シール109として導電性の材料を用いて接地し、現像ローラ103上の現像剤を除電するようにし、現像ローラ103として、表2に示した実施例1と同等のものを使用して画像を出力し、高温、高湿環境(32度C、80%RH)におけるオフセットバイアス漏れによるベタ画像ムラの発生を判定した。結果は表2に示したものと同等であった。
【0084】
[請求項6に対応する例]:
(実施例7):
実施例1と同じ現像ローラを用いて、現像装置4を含む図1の画像形成装置内に温湿度を検知する手段を設け、所定の温湿度(高温高湿)に達した場合、導電性で構成した封止シール109のバイアスをトナー荷電極性に切り替える制御を入れ、低印字画像パターンの間欠印刷の環境試験を行った。
【0085】
(比較例6):
実施例7と同じ現像ローラを用いて、供給ローラ105のバイアス環境切替制御無しで、低印字画像パターンの間欠印刷の環境試験を行った。実施例7と比較例6の結果を表4に示す。
【0086】
【表4】

【0087】
表4から明らかな様に、実施例7で高温高湿下で封止シール109のバイアスをトナー荷電極性に切り替える切替制御を行なうと、耐久試験末期で現像剤の劣化、現像ローラの劣化等の影響によるかぶりが少なく、良好な画像が得られた。高温高湿下で封止シール109のバイアスをトナー荷電極性に切り替える切替制御をしない比較例6ではかぶりが発生し、良好な画像とは評価されなかった。
【0088】
[請求項7に対応する例]:
現像ローラ103については、実施例7、比較例6と同等のものを用い、現像装置4を含む図1の画像形成装置内に温湿度を検知する手段を設け、所定の温湿度(高温高湿)に達した場合、導電性で構成した封止シール109のバイアスをトナー荷電極性に切り替える制御を入れると共に、所定の低温低湿環境で供給ローラバイアス切替制御を行なう場合と、これらのバイアス制御を行なわない場合とを比較した。
【0089】
これらバイアス制御を行なった場合には、高温高湿時、低温低湿時共に、耐久試験末期でかぶりのない良好な画像を得、これらバイアス制御を行なわなかった場合には、高温高湿時、低温低湿時共に、耐久試験末期でかぶりが発生し、良好な画像とは評価されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】カラー画像形成装置の概略構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの断面図である。
【図3】現像装置要部の断面図である。
【図4】パドルの斜視図である。
【図5】現像ローラの断面図である。
【図6】現像ローラまわりに配置された諸部材の配置角度を説明するためのプロセスカートリッジの断面図である。
【図7】現像ローラの電気抵抗を測定するための装置構成の概略を説明した図である。
【符号の説明】
【0091】
1 プロセスカ−トリッジ
2 感光体
3 帯電装置
4 現像装置
5 搬送スクリュー
7 中間転写ベルト
8 1次転写装置
9 ベルトクリーニング装置
11 2次転写装置
13 クリーニングブレード
14 感光体のクリーニング装置
101 現像剤収容室
102 現像剤供給室
103 現像剤担持体(現像ローラ)
103a 芯金
103b 基層
103c 中間層
103d 表面層
104 現像剤層規制部材
105 現像剤供給部材(供給ローラ)
106 現像剤搬送部材
107 返送口としての開口
111 供給口としての開口
108 現像剤攪拌部材
109 封止シール(現像剤除電部材)
110 仕切り部材
112 パドル
θ1、θ2、θ3、θ4、θS 角度
A、B 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に近接または接触して回転可能に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体上に粉体である現像剤を供給するために回転可能に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤担持体に接触して該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する現像剤層規制部材とを有し、該現像剤担持体に所定の電圧を印加して該潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、
該現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と該表面層を接着しかつ該基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
潜像担持体に近接または接触して回転可能に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体上に粉体である現像剤を供給するために回転可能に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤担持体に接触して該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する現像剤層規制部材とを有し、該現像剤担持体に所定の電圧を印加して該潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、
該現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と該表面層を接着しかつ該基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制されており、該現像剤担持体全体として体積抵抗値より表面抵抗値が大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した現像装置において、
該現像剤供給部材は導電性部材からなり、該現像剤供給部材に電圧を印加する電圧印加手段を有し、該現像装置は温湿度を検知する温湿度検知手段を有し、該温湿度検知手段によって検知された温湿度の値によって該現像剤供給部材に印加する電圧の極性を切り替えることができること特徴とする現像装置。
【請求項4】
潜像担持体に近接または接触して回転可能に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体上に粉体である現像剤を供給するために回転可能に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤担持体に接触して該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する現像剤層規制部材と、該現像剤担持体の現像剤を除電する現像剤除電部材とを有し、該現像剤担持体に所定の電圧を印加して該潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、
該現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と該表面層を接着しかつ該基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
潜像担持体に近接または接触して回転可能に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体上に粉体である現像剤を供給するために回転可能に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤担持体に接触して該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する現像剤層規制部材と、該現像剤担持体の現像剤を除電する現像剤除電部材とを有し、該現像剤担持体に所定の電圧を印加して該潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置において、
該現像剤担持体は、芯金の外周部に導電性を有する弾性体からなる基層と現像剤に荷電を付与する導電性を有する表面層と、該基層と該表面層を接着しかつ該基層の抵抗ムラを均一化するための導電性を有する中間層とにより構成し、該中間層の電気抵抗値は該基層の電気抵抗値より大きく、該表面層の電気抵抗値は該中間層の電気抵抗値より小さく規制されており、該現像剤担持体全体として体積抵抗値より表面抵抗値が大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載した現像装置において、
該現像剤を除電する現像剤除電部材は導電性部材からなり、該現像剤除電部材に電圧を印加する手段を有し、該現像装置は温湿度を検知する温湿度検知手段を有し、該温湿度検知手段によって検知された温湿度の値によって該現像剤除電部材に印加する電圧の極性を切り替えることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6の何れかに記載した現像装置において、
該現像剤供給部材と概現像剤除電部材のそれぞれに電圧を印加する手段を有し、概現像装置は温湿度を検知する手段を有し、概検知手段によって検知された温湿度の値によって該現像剤供給部材と現像剤除電部材に印加する両方の電圧の極性を切り替えることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
帯電装置、現像装置、クリ−ニング装置より選ばれる少なくとも一つの手段と潜像担持体を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカ−トリッジにおいて、当該プロセスカートリッジが前記現像装置を含むものであるとき、当該プロセスカートリッジに含まれる現像装置は、請求項1乃至7の何れかに記載の現像装置であることを特徴とするプロセスカ−トリッジ。
【請求項9】
少なくとも潜像担持体と、請求項1乃至7の何れかに記載の現像装置、又は請求項8に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−39440(P2010−39440A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205783(P2008−205783)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】