説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】現像ローラと現像剤供給搬送路とのギャップを通過するトナー濃度が低下した現像剤の量を規制し、目視で画像濃度ムラが認められない実使用可能な画像品質が得られる現像装置、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】供給搬送路9の側壁が現像ローラ5と上記側壁との対向部の所定のギャップを通過する現像ローラ5に担持された回収現像剤の量を、所定の方法によって画像濃度ムラが目視で認められる程度より小さくなるように規制するので、ギャップGcを通り抜けるトナー濃度の低下した回収現像剤の量を抑えることができる。これにより、連れ回り現象に伴って供給搬送路9から供給されるトナー濃度が適切に調整された現像剤に混入するトナー濃度の低い回収現像剤の量を極力抑えることができる。よって、連れ周り現象によって生じる画像濃度ムラを目視で認められない程度にすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置及びこれを用いたプロセスカートリッジ並びに画像形成装置に係り、詳しくは、一方向循環方式の現像装置及びこれを用いたプロセスカートリッジ並びに画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤を用いる現像装置として、図14に示す構造のものが知られている。図14に示す現像装置104は、現像剤担持体である現像ローラ115に現像剤を供給する現像剤供給搬送路402と現像剤を攪拌する現像剤攪拌搬送路112とを分けて設けており、2つの搬送路で現像剤を逆方向に搬送することにより現像剤を循環させている。また、図14に示す現像装置104では、現像剤供給搬送路402を、現像ローラ115に供給され現像領域を通過しトナーを消費した現像剤を回収する現像剤回収搬送路として兼用している。
ところが、このように現像剤供給搬送路と現像剤回収搬送路とを1つの搬送路で兼用すると、現像ローラに供給する適切なトナー濃度に調整された現像剤にトナーが消費された現像剤が混入することになるので、現像ローラに供給される現像剤のトナー濃度が低下し、現像時の画像濃度が低下してしまうといった不具合が生じる。
【0003】
このような不具合は、特許文献1に記載された現像装置のように現像剤供給搬送路と現像剤回収搬送路とを異なる現像剤搬送路として設けることで解消することができる。特許文献1に記載の現像装置の概略構成図を図15に示す。図15に示す現像装置204は、現像剤供給搬送路209と現像剤回収搬送路207とを分けて設けている。さらに、現像剤供給搬送路209の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された現像剤と現像剤回収搬送路207の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤とを攪拌しながら現像剤供給搬送路209とは逆方向に現像剤を搬送する現像剤攪拌搬送路210を備えている。このような現像装置204では、図16に示すように感光体201上の潜像の現像に用いた後の現像剤は現像剤回収搬送路7に送られるため、現像剤供給搬送路209に現像済みの現像剤が混入することがない。これにより、現像剤供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が変化することなく、現像ローラ5に供給される現像剤のトナー濃度も一定となる。さらに、回収現像剤をすぐに現像剤供給搬送路209に供給するのではなく、現像剤攪拌搬送路210で攪拌した後で現像剤供給搬送路209に現像剤を供給するため、十分に攪拌された状態の現像剤を現像剤供給搬送路209に供給することができる。したがって、図14に示した現像装置104で生じる不具合であった現像時の画像濃度の不均一や画像濃度の低下を防止することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−167260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の現像装置のような構成では、画像面積率の小さい潜像を現像すると現像剤回収搬送路で回収される現像剤の量が多くなり、現像剤回収搬送路下流側から現像剤攪拌搬送路上流側に移送される回収現像剤の量が多くなる。そのため、連続して画像面積率の小さい潜像の現像を行うと現像剤攪拌搬送路上流側に存在する現像剤の量が次第に多くなる。このように現像剤攪拌搬送路上流側に存在する現像剤の量が多くなると、現像剤回収搬送路下流側から現像剤攪拌搬送路上流側に移送される回収現像剤の流れが悪くなり、現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側で回収現像剤が滞留してしまう。そして、この滞留によって現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側で回収現像剤の嵩が高くなり過ぎると、図17に示すように回収現像剤が現像ローラに再付着する、いわゆる連れ回り現象が生じてしまう。このような連れ回り現象が生じると、現像ローラと現像剤供給搬送路とのギャップを通過した現像済みのトナー濃度の低下した現像剤と現像剤供給搬送路から現像ローラに供給される適切なトナー濃度の現像剤とが混合した現像剤が現像ローラに付着することになる。そのため、トナー濃度の低下した現像剤が多量に混合すると上記混合した現像剤によって現像された画像に目視で認められる画像濃度ムラが発生するといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像ローラと現像剤供給搬送路とのギャップを通過するトナー濃度が低下した現像剤の量を規制し、目視で画像濃度ムラが認められない実使用可能な画像品質が得られる現像装置、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材を備えた現像剤回収搬送路とを有し、該現像剤供給搬送路が該現像剤回収搬送路の上方に位置するように設けられた現像装置において、該現像剤供給搬送路を構成する側壁と該現像剤担持体とが所定間隔のギャップを介して対向しており、該側壁は、該現像剤担持体に担持されながら該ギャップを通過する現像剤の量を、画像濃度ムラが目視で認められる程度より小さくなるように規制する現像剤量規制手段として構成されることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、目視で画像濃度ムラが認められる程度は、所定の方法で求めた画像濃度の最も高い部分と最も低い部分との画像濃度差が0.2を超えるものであることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記ギャップは、0[mm]より大きく1.0[mm]以下の間隔であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記側壁には磁性体が設けられており、上記ギャップは、0[mm]より大きく1.5[mm]以下の間隔であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3、または4の現像装置において、現像に用いられずに上記現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、上記現像剤担持体から回収され上記現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路を有しており、上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2の現像装置において、現像に用いられずに上記現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、上記現像剤担持体から回収され上記現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路を有しており、上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材を設け、上記ギャップが、0[mm]より大きく0.5[mm]以下の間隔であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2の現像装置において、現像に用いられずに上記現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、上記現像剤担持体から回収され上記現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路を有しており、上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材を設け、上記側壁には磁性体が設けられており、上記ギャップが、0[mm]より大きく0.7[mm]以下の間隔であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、現像手段と、潜像像担持体、帯電手段またはクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つとを一体的に構成した、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、該現像手段として請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置を備えることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像剤で現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、該現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、現像手段と、潜像像担持体、帯電手段またはクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つとを一体的に構成した、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、該プロセスカートリッジとして請求項8のプロセスカートリッジを備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、現像剤供給搬送路を構成する側壁と現像剤担持体との間にある所定間隔のギャップを現像剤担持体に担持されて通過するトナー濃度の低下した現像剤の量を、後述する所定の方法によって画像濃度ムラが目視で認められる程度より小さくなるように現像剤量規制手段である上記側壁よって規制する。これにより、現像剤供給搬送路から現像剤担持体へ供給されるトナー濃度が適切に調整された現像剤に上記トナー濃度の低下した現像剤が混入するのを抑制するため、上記ギャップを通過する上記トナー濃度の低下した現像剤の量を極力少なくすることが可能となる。よって、上記トナー濃度が適切に調整された現像剤に混入する上記トナー濃度の低下した現像剤の量が極めて少なくなるので、連れ周り現象に伴う画像濃度ムラを目視で認められない程度にすることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、現像剤担持体と現像剤供給搬送路とのギャップを通過するトナー濃度が低下した現像剤の量を規制し、目視で画像濃度ムラが認められない実使用可能な画像品質を得ることができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[実施形態1]
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の感光体が並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という)の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。この複写機はプリンタ部100、これを載せる給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ300などを備えている。また、このスキャナ300の上に固定された原稿自動搬送装置400なども備えている。
【0011】
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0012】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。
プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、ドラム状の感光体1、帯電装置、現像装置4、クリーニング装置、除電器などを有している。
【0013】
以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18について説明する。
帯電手段たる帯電装置によって、感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。
Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、クリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、クリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Yは、除電器によって除電される。そして、帯電装置によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M,C,Kについても同様である。
【0014】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置90などを有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kなども有している。
中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1と一次転写バイアスローラ62との間に一次転写電界が形成される。
Y用の感光体1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録体たる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0015】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方の張架ローラ23は、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、この一方の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように一方の張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0016】
複写機本体の下部に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出される。
【0017】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0018】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおいける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着せしめられる。
【0019】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかする。
【0020】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0021】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0022】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体1Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0023】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて反転給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0024】
本複写機は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体1Y,M,C,Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,M,C,Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1だけでなく、現像器も駆動を停止させて、感光体や現像剤の不要な消耗を防止する。
【0025】
本複写機は、複写機内の下記機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0026】
図3は、4つプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kのうちの1つが備える現像装置4及び感光体1を示す拡大構成図である。また、図中の矢印はOD(One Direction)循環現像方式(一方向循環方式)である現像装置4の現像剤移動方向を示している。4つのプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図では「4」に付すY,M,C,Kという添字を省略している。
図3に示すように感光体1は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体1の表面は不図示の露光装置より照射されたレーザ光により静電潜像を形成された潜像に現像装置4からトナーを供給され、トナー像を形成する。
【0027】
現像装置4は、図中矢印I方向に表面移動しながら感光体1の表面の潜像にトナーを供給し、現像する現像剤担持体としての現像ローラ5を有している。なお、現像ローラ5の表面はV溝あるいはブラスト処理されておりφ25[mm]のAl(アルミニウム)素管からなり、現像ドクタ12及び感光体1とのギャップは0.4[mm]程度となっている。
また、現像ローラ5に現像剤を供給しながら図3の奥方向に現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュ8を有している。供給スクリュ8は、回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、回転することにより軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送スクリュである。
現像ローラ5の供給スクリュ8との対向部から表面移動方向下流側には、現像ローラ5に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としてのステンレスからなる現像ドクタ12を備えている。そして、現像ドクタ12によって薄層化された現像剤を感光体1との対抗部である現像領域まで搬送し現像を行う。
【0028】
現像領域から表面移動方向下流側には、現像領域を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給スクリュ8と同方向に搬送する回収搬送部材としての回収スクリュ6を備えている。供給スクリュ8を備えた供給搬送路9は現像ローラ5の横方向に、回収スクリュ6を備えた回収搬送路7は現像ローラ5の下方に並設されている。
【0029】
現像装置4は、供給搬送路9の下方で回収搬送路7に並列して、攪拌搬送路10を設けている。攪拌搬送路10は、現像剤を攪拌しながら供給スクリュ8とは逆方向である図中手前側に搬送する攪拌搬送部材としての攪拌スクリュ11を備えている。
供給搬送路9と攪拌搬送路10とは仕切り部材としての第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133の供給搬送路9と攪拌搬送路10とを仕切る箇所は図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給搬送路9と攪拌搬送路10とが連通している。
なお、供給搬送路9と回収搬送路7とも第一仕切り壁133によって仕切られているが、第一仕切り壁133の供給搬送路9と回収搬送路7とを仕切る箇所には開口部を設けていない。
また、攪拌搬送路10と回収搬送路7との2つの搬送路は仕切り部材としての第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134は、図中手前側が開口部となっており、攪拌搬送路10と回収搬送路7とが連通している。
また、現像装置4では、現像剤を収容する現像剤収容部を供給搬送路9、回収搬送路7及び攪拌搬送路10によって構成する。
【0030】
現像後の現像剤は回収搬送路7にて回収を行い、図3中の断面手前側に搬送され、非画像領域部に設けられた第一仕切り壁133の開口部で、攪拌搬送路10へ現像剤が移送される。なお、攪拌搬送路10における現像剤搬送方向上流側の第一仕切り壁133の開口部の付近で攪拌搬送路10の上側に設けられたトナー補給口から攪拌搬送路10にトナーが補給される。
【0031】
次に、3つの現像剤搬送路内での現像剤の循環について説明する。図4は、現像装置4内の現像剤の流れの模式図であり、図中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
【0032】
攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、現像ローラ5に現像剤を供給しながら、供給スクリュ8の現像剤搬送方向下流側に現像剤を搬送する。そして、現像ローラ5に供給され現像に用いられず供給搬送路9の現像剤搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤は第一仕切り壁133の余剰開口部92より攪拌搬送路10に供給される(図4中矢印E)。
現像ローラ5から回収搬送路7に送られ、回収スクリュ6によって回収搬送路7の現像剤搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は第二仕切り壁134の回収開口部93より攪拌搬送路10に供給される(図4中矢印F)。
そして、攪拌搬送路10は、供給された余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌し、攪拌スクリュ11の現像剤搬送方向下流側であり、供給スクリュ8の現像剤搬送方向上流側に搬送し、第一仕切り壁133の供給開口部91より供給搬送路9に供給される(図4中矢印D)。
攪拌搬送路10では攪拌スクリュ11によって、回収現像剤、余剰現像剤及びトナー補給口から必要に応じて補給されるプレミックストナーを、回収搬送路7及び供給搬送路9の現像剤と逆方向に攪拌搬送する。そして、現像剤搬送方向下流側で連通している供給搬送路9の現像剤搬送方向上流側に攪拌された現像剤を移送する。なお、攪拌搬送路10の下方には、不図示のトナー濃度センサが設けられ、センサ出力により詳細は後述するトナー補給装置を作動し、トナー収納部からトナー補給を行う。
【0033】
図3に示す現像装置4では、供給搬送路9と回収搬送路7とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。よって、供給搬送路9の現像剤搬送方向下流側ほど現像ローラ5に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを防止することができる。また、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。よって、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路9に供給されるため、供給搬送路9に供給されるの現像剤が攪拌不足となることを防止することができる。このように、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が低下することを防止し、供給搬送路9内の現像剤が攪拌不足となることを防止することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
【0034】
しかしながら、「発明が解決しようとする課題」で説明したように、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側で回収現像剤が滞留し、この滞留によって回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側で回収現像剤の嵩が高くなり過ぎたり、その他、トナー濃度が高くなり現像剤の嵩が増加したり、現像剤の流動性の変化などで現像ドクタ12を通過する現像剤量が増加したり等の現象が発生すると、回収搬送路7の現像剤の量が増加し、現像後のトナー濃度の低下した回収現像剤が現像ローラ5に再付着して、現像ローラ5と第一仕切り壁133の供給搬送路側壁部140とのギャップを通過する、いわゆる、連れ回り現象が起こってしまう。
【0035】
そこで本実施形態では、このような連れ回り現象を改善するために、図1に示すように現像ローラ5と第一仕切り壁133の供給搬送路側壁部140とのギャップGcの間隔を狭くして、現像ローラ5に連れ回ってギャップGcを通過する回収現像剤を供給搬送路側壁部140で規制し、トナー濃度が適切に調整された供給搬送路9の現像剤にトナー濃度の低下した回収現像剤が混入するを極力抑えるように構成している。
【0036】
また、本実施形態では、ギャップGcと画像濃度ムラとの関係を実験により調べ、その結果に基づいてギャップGcを設定している。実験方法としては、図5に示すように現像ローラ5と供給搬送路側壁部140とを斜めに対向させて設け、ギャップGcが現像ローラ長手方向で傾斜的に0.2[mm]から2.0[mm]に変化するようにした現像装置4を複写機に設け、A4サイズ黒ベタの画像を連続で形成し、回収搬送路7内のトナー濃度の低下した回収現像剤が現像ローラ5の長手方向全域に渡って、ギャップGcを通過する箇所での現像剤の通過量が変化しない程度に連れ回る状態になった以降の画像について、印刷された画像を画像ID測定装置などにより、A4サイズの現像ローラ長手方向に所定の間隔で設けられた各ポイントごとに画像幅10[mm]内の範囲でID(画像濃度)偏差を測定した。なお、ID偏差は画像濃度の最も高い部分と最も低い部分との画像濃度差である。その結果を図6に示しており、本実施形態においてはID偏差0.2以下が目視による画像濃度ムラ(画像濃淡)が認められないものとしている。
【0037】
なお、ギャップGcの大きさによる画像濃度ムラを把握する方法としては上記したものに限るものではなく、ギャップGcの大きさに伴う画像濃度ムラの有無を把握することが可能な方法であれば良い。
例えば、A4サイズ全ベタの画像を連続プリントし、回収搬送路7内のトナー濃度の低下した回収現像剤が現像ローラ5にギャップGcを通過する箇所での現像剤の通過量が変化しない程度に連れ回る状態になった以降(予備実験で何枚以上連続プリントすれば連れ回り現象が生じるのかを調べている場合はそのプリント枚数以降)の転写紙に転写された画像について目視で画像濃度ムラを確認しても良い。このとき、ギャップGcは現像ローラ長手方向で同一にし、0.2[mm]から2.0[mm]まで0.1[mm]ずつ変化させて各ギャップGcごとに画像形成を行い目視で画像濃度ムラを確認すれば良い。そして、目視で画像濃度ムラが認められないものを○、目視で画像濃度ムラが認められるものを×、のような評価を行う。このとき、評価基準となるサンプルを数種類用意し、そのサンプルと比較することで評価を行う者によって評価のばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、装置本体内の反射型光学濃度測定装置などを用いてID測定するなどのその他の公知の画像濃度ムラの有無を把握することが可能な方法を用いることができる。つまり、ギャップGcを通過する現像剤の通過量が変化しない程度に連れ回る状態になった以降の画像についての画像濃度(ID)の測定結果は測定方法によらず同じになるので、その画像濃度(ID)から求めたID偏差も測定方法によらず同じになるからである。
【0038】
図6から、ギャップGcを1[mm]以下にすることで目視にて画像濃度ムラが認められない程度に連れ回り現象に伴って回収現像剤が供給現像剤に混入するのを抑制することが可能であるとわかる。
【0039】
よって、本実施形態のようにギャップGcを狭く、つまりギャップGcを0[mm」より大きく1[mm]以下にしてギャップGcを通過する現像剤を供給搬送路側壁部140で規制することで連れ回り現象に伴って回収現像剤が供給現像剤に混入するのを抑制することができ、実使用可能な安定した画像濃度の画像を得ることができる。
【0040】
また、本実施形態の現像装置4では、装置本体に未使用の初期現像剤をプリセットする専用のプリセットケースを設置することなく、現像装置4内の搬送路、例えば供給搬送路9及び攪拌搬送路10に初期現像剤をプリセットすることが可能なように構成することもできる。
【0041】
例えば、現像装置4においては、図7に示した回収搬送路7と攪拌搬送路10とを連通する第二仕切り壁134の回収開口部93を囲む接着部137に、シャッタ部材としてヒートシール136の一部を図のように貼り付け、回収搬送路7と攪拌搬送路10との間をシャッタしている。これにより、攪拌搬送路10内にプリセットした現像剤が回収搬送路7内へ入らないようにすることができる。また、ヒートシール136の第二仕切り壁134に接着されていない側の端部は、図8及び図9に示すように回収搬送路7の上部に設けたスリット138から出ており、このスリット138からヒートシール136を引き抜くことで回収開口部93が開口し、回収搬送路と攪拌搬送路とを連通させることができる。
【0042】
なお、スリット138はヒートシール136を引き抜くことができる程度に非常に小さく開口させているので、スリット138から現像剤が漏れ出すことはほとんどないが、スリット138から確実に現像剤が漏れるのを防ぐために、ヒートシール136を引き抜き可能な状態でスリット138を図示しないスポンジなどの弾性部材によってシールする構成にしても良い。これにより、ヒートシール136を引き抜くときには、スポンジが弾性変形することでヒートシール136をスリット138から引き抜くことができ、ヒートシール136を引き抜いた後はスポンジがスリット136を塞ぐような元の形に戻ることでスリット138がシールされ、スリット138から確実に現像剤が漏れるのを防ぐことができる。
【0043】
また、本実施形態の現像装置4では上記したようにギャップGcを狭くし現像剤の通過を供給搬送路側壁部140で規制しているので、現像装置4が多少揺れても供給搬送路9にプリセットた現像剤が回収搬送路7に落下しにくく、回収搬送路7に落下する現像剤の量を抑えることができる。これにより、多少の揺れぐらいでは現像ローラ5と回収搬送路7との隙間から現像装置4の外部にプリセットした初期現像剤が漏れ出さない。よって、装置本体に初期現像剤をプリセットする専用のプリセットケースを設置する必要がないので、その分省スペース化が可能となる。なお、シャッタ部材としてはヒートシール136に限るものではなく、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを連通する開口部をシャッタできるものであればよく、ワンタッチでシャッタ部材を取り外すことが可能な構成が望ましい。
【0044】
また、供給搬送路9や攪拌搬送路10に初期現像剤がプリセットされた現像装置4の運搬中に激しい振動が加えられると、供給搬送路9にプリセットした初期現像剤がギャップGcを通って回収搬送路7に落下する量が増え、回収搬送路7に落下した現像剤が激しい振動により現像ローラ5と回収搬送路7との隙間から現像装置4の外部に漏れ出してしまう恐れがある。よって、本実施形態では、現像装置4の運搬中に激しい振動が加えられても供給搬送路9にプリセットされた初期現像剤がギャップGcを通って回収搬送路7に落下しないようにギャップGcをさらに狭くしている。なお、このときのギャップGcは、供給搬送路9と回収搬送路7とに現像剤を詰め運搬試験を行い、ギャップGcと供給搬送路9の現像剤がギャップGcを通過して回収搬送路7に落下した現像剤の量(現像剤落下量)との関係を求めて設定した。
【0045】
運搬試験は、現像装置4を車両などで運搬を行ったときの車内の振動を想定して現像装置4を30分×2回で振動させる振動試験と、専用個装箱に現像装置4を入れて、60[cm]の高さからその専用個装箱の落下させ各面及び各角を地面に衝突させる落下試験とを行っている。そして、これら2つの実験後に現像剤が供給搬送路9からギャップGcを通過して回収搬送路7に移った現像剤の量(現像剤落下量)を測定した。また、運搬試験では現像ローラ長手方向でギャップGcが同一となるように現像ローラ5と供給搬送路側壁部140とを対向させて設け、ギャップGcを0.2[mm]から2.0[mm]まで0.1[mm」ずつ変化させて各ギャップGcについて行った。その結果を図10に示す。
【0046】
この結果から、ギャップGcを0.5[mm]以下にすることで供給搬送路9の現像剤がギャップGcを通り回収搬送路7へ落下するのを無くすことが可能であることがわかる。
【0047】
よって、本実施形態の現像装置4のようなギャップGcを狭くした構成、つまり、ギャップGcを0[mm]より大きく0.5[mm]以下となるようにすることで、供給搬送路9からギャップGcを通って回収搬送路7へ現像剤が落下するのを防ぐことができるので、供給搬送路9と攪拌搬送路10とに新しい現像剤である初期現像剤をプリセットして輸送しても現像装置4の外部に現像剤が漏れ出すのを抑制することが可能となる。
【0048】
[実施形態2]
本実施形態においては、説明した基本的な構成は実施形態1で説明した構成と同様であるので説明を省略し、本実施形態における特徴部について説明する。
【0049】
図11に現像装置4における現像ローラ5と供給搬送路側壁部140とのギャップGcの位置と磁性板貼り付け位置とを示す。なお、磁性板150は供給搬送路側壁部140の表面と面一となるように設けているが、磁性板150が供給搬送路側壁部140の表面よりも現像ローラ5側に突出するように設けても良い。
【0050】
本実施形態では、連れ回り現象を改善するために、図11に示すように供給搬送路側壁部140に磁性板150を貼り付けた構成の現像装置4において、ギャップGcの間隔を狭くして、回収現像剤が現像ローラ5に連れ回ってギャップGcを通過するのを供給搬送路側壁部140で規制し、供給搬送路9のトナー濃度が適切に調整された現像剤に回収現像剤が混入するを極力抑えるように構成している。
【0051】
また、本実施形態においても実施形態1と同様に、ギャップGcと画像濃度ムラとの関係を実験により調べ、その結果に基づいてギャップGcを設定している。実験方法としては、実施形態1で示した図5と同様に、現像ローラ5と供給搬送路側壁部140とを斜めに対向させて設け、ギャップGcが現像ローラ長手方向で傾斜的に0.2[mm]から2.0[mm]に変化するようにした現像装置4を複写機に設け、A4サイズ黒ベタの画像を連続で形成し、回収搬送路7内のトナー濃度の低下した回収現像剤が現像ローラ5の長手方向全域に渡ってギャップGcを通過する箇所での現像剤の通過量が変化しない程度に連れ回る状態になった以降の画像について、印刷された画像を画像ID測定装置などにより、A4サイズの現像ローラ長手方向に所定の間隔で設けられた各ポイントごとに画像幅10[mm]内の範囲でID(画像濃度)偏差を測定した。その結果を図12に示しており、本実施形態においてもID偏差0.2以下が目視による画像濃度ムラ(画像濃淡)が認められないものとしている。
【0052】
なお、ギャップGcの大きさによる画像濃度ムラを把握する方法としては上記したものに限るものではなく、画像濃度ムラの有無を把握することが可能な方法であれば良い。
例えば、A4サイズ全ベタの画像を連続プリントし、回収搬送路7内のトナー濃度の低下した回収現像剤が現像ローラ5にギャップGcを通過する箇所での現像剤の通過量が変化しない程度に連れ回る状態になった以降(予備実験で何枚以上連続プリントすれば連れ回り現象が生じるのかを調べている場合はそのプリント枚数以降)の転写紙に転写された画像について目視で画像濃度ムラを確認してもよい。このとき、ギャップGcは現像ローラ長手方向で同一にし、0.2[mm]から2.0[mm]まで0.1[mm]ずつ変化させて各ギャップGcごとに画像形成を行って目視で画像濃度ムラを確認すれば良い。そして、目視で画像濃度ムラが認められないものを○、目視で画像濃度ムラが認められるものを×、のような評価を行う。このとき、評価基準となるサンプルを数種類用意し、そのサンプルと比較することで評価を行う者によって評価のばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、装置本体内の反射型光学濃度測定装置などを用いてID測定するなどのその他の公知の画像濃度ムラの有無を把握することが可能な方法を用いても良い。つまり、ギャップGcを通過する現像剤の通過量が変化しない程度に連れ回る状態になった以降の画像についての画像濃度(ID)の測定結果は測定方法によらず同じになるので、その画像濃度(ID)から求めたID偏差も測定方法によらず同じになるからである。
【0053】
図12から、本実施形態のように供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けた現像装置4では、ギャップGcを1.5[mm]以下にすることで目視にて濃度ムラが認められない程度に連れ回り現象を改善することが可能であるとわかる。これは、供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けることで、ギャップGcを通過するトナーは現像ローラ5と磁性板150との間にかかっている磁性板方向への磁力より現像ローラ5と磁性板150との間で穂を形成する。そして、現像ローラ5の回転によりトナーにかかる搬送力が上記磁力に打ち勝つとトナーの穂は途中からちぎれ、穂の高さがギャップGcよりも小さくなり、ギャップGcを通過する現像剤の量を抑制することができる。よって、実施形態1の現像装置4のように供給搬送路側壁部140に磁性板150を設け無い場合よりギャップGcが大きくても、画像濃度ムラが認められない程度に連れ回り現象に伴って回収現像剤が供給現像剤に混入するのを抑制することができる。
【0054】
よって、本実施形態のようにギャップGcを狭くして、つまり、供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けてギャップGcを0[mm」より大きく1.5[mm]以下にして、ギャップGcを通過する現像剤を規制することで連れ回り現象に伴って回収現像剤が供給現像剤に混入するのを抑制することができ、実使用可能な安定した画像濃度の画像を得ることができる。
【0055】
また、本実施形態においても実施形態1と同様に現像装置4は、装置本体に未使用の初期現像剤をプリセットする専用のプリセットケースを設置することなく、現像装置4内の搬送路、例えば供給搬送路9及び攪拌搬送路10に初期現像剤をプリセットすることが可能なように構成することもできる。
【0056】
例えば、現像装置4においては、図7に示すように回収搬送路7と攪拌搬送路10とを連通する第二仕切り壁134の回収開口部93を囲む接着部137に、シャッタ部材としてヒートシール136の一部を図のように貼り付け、回収搬送路7と攪拌搬送路10との間をシャッタしている。これにより、攪拌搬送路10内にプリセットした現像剤が回収搬送路7内へ入らないようにすることができる。また、ヒートシール136の第二仕切り壁134に接着されていない側の端部は、図8及び図9に示すように回収搬送路7の上部に設けたスリット138から出ており、このスリット138からヒートシール136を引き抜くことで回収開口部93が開口し、回収搬送路と攪拌搬送路とを連通させることができる。
【0057】
なお、スリット138はヒートシール136を引き抜くことができる程度に非常に小さく開口させているので、スリット138から現像剤が漏れ出すことはほとんどないが、スリット138から確実に現像剤が漏れるのを防ぐために、ヒートシール136を引き抜き可能な状態でスリット138を図示しないスポンジなどの弾性部材によってシールする構成にしても良い。これにより、ヒートシール136を引き抜くときには、スポンジが弾性変形することでヒートシール136をスリット138から引き抜くことができ、ヒートシール136を引き抜いた後はスポンジがスリット136を塞ぐような元の形に戻ることでスリット138がシールされ、スリット138から確実に現像剤が漏れるのを防ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態の現像装置4では上記したように、磁性板150を供給搬送路側壁部140に設け且つギャップGcを狭くし現像剤の通過を供給搬送路側壁部140で規制しているので、現像装置4が多少揺れても供給搬送路9にプリセットた現像剤が回収搬送路7に落下しにくく、回収搬送路7に落下する現像剤の量を抑えることができる。これにより、多少の揺れぐらいでは現像ローラ5と回収搬送路7との隙間から現像装置4の外部にプリセットした初期現像剤が漏れ出さない。よって、装置本体に初期現像剤をプリセットする専用のプリセットケースを設置する必要がないので、その分、省スペース化が可能となる。なお、シャッタ部材としてはヒートシール136に限るものではなく、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを連通する開口部をシャッタできるものであればよく、ワンタッチでシャッタ部材を取り外すことが可能な構成が望ましい。
【0059】
また、供給搬送路9や攪拌搬送路10に初期現像剤がプリセットされた現像装置4の運搬中に激しい振動が加えられると、供給搬送路9にプリセットした初期現像剤がギャップGcを通って回収搬送路7に落下する量が増え、回収搬送路7に落下した現像剤が激しい振動により現像ローラ5と回収搬送路7との隙間から現像装置4の外部に漏れ出してしまう恐れがある。よって、本実施形態では、現像装置4の運搬中に激しい振動が加えられても供給搬送路9にプリセットされた初期現像剤がギャップGcを通って回収搬送路7に落下しないようにギャップGcをさらに狭くしている。なお、このときのギャップGcは、供給搬送路9と回収搬送路7とに現像剤をプリセットして運搬試験を行い、ギャップGcと供給搬送路9の現像剤がギャップGcを通過して回収搬送路7に落下した現像剤の量(現像剤落下量)との関係を求めて設定した。
【0060】
運搬試験は実施形態1と同様に、現像装置4を車両などで運搬を行ったときの車内の振動を想定して現像装置4を30分×2回で振動させる振動試験と、専用個装箱に現像装置4を入れて、60[cm]の高さからその専用個装箱の落下させ各面及び各角を地面に衝突させる落下試験とを行っている。そして、これら2つの実験後に現像剤が供給搬送路9からギャップGcを通過して回収搬送路7に移った現像剤の量(現像剤落下量)を測定した。また、運搬試験では現像ローラ長手方向でギャップGcが同一となるように現像ローラ5と供給搬送路側壁部140とを対向させて設け、ギャップGcを0.2[mm]から2.0[mm]まで0.1[mm」ずつ変化させて各ギャップGcについて行った。その結果を図13に示す。
【0061】
この結果から、供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けた本実施形態の現像装置4のおいては、ギャップGcを0.7[mm]以下にすることで供給搬送路9の現像剤がギャップGcを通り回収搬送路7へ落下するのを無くすことが可能であることがわかる。これは、供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けることで、ギャップGcを通過するトナーは現像ローラ5と磁性板150との間にかかっている磁性板方向への磁力より現像ローラ5と磁性板150との間で穂が形成される。そして、この穂によりギャップGcが塞がれて現像剤の落下を抑制することができるので、実施形態1の現像装置4のように磁性板150を設け無い場合よりもギャップGcを大きくすることが可能となる。
【0062】
よって、本実施形態の現像装置4のようなギャップGcを狭くした構成、つまり、供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けた場合にはギャップGcを0[mm]より大きく0.7mm以下となるようにすることで、供給搬送路9からギャップGcを通って回収搬送路7へ現像剤が落下するのを防ぐことができるので、供給搬送路9と攪拌搬送路10とに初期現像剤をプリセットして輸送することが可能となる。また、供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けない場合よりもギャップGcを大きくとることが可能となるので、供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けない場合よりも振動などによって現像ローラ5が供給搬送路側壁部140に当たるような恐れが生じるのを抑制することができる。
【0063】
以上、各実施形態によれば、磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体である感光体と対向する箇所で感光体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体である現像ローラ5と、現像ローラ5の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、現像ローラ5に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材である供給スクリュ8を備えた現像剤供給搬送路である供給搬送路9と、感光体対向する箇所を通過後の現像ローラ5上から回収された現像剤である回収現像剤を現像ローラ5の軸線方向に沿って、且つ、供給スクリュ8と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材である回収スクリュ6を備えた現像剤回収搬送路である回収搬送路7とを有した現像装置4において、供給搬送路9を構成する側壁である供給搬送路側壁部140と現像ローラ5とが所定間隔のギャップGcを介して対向しており、供給搬送路側壁部140は、現像ローラ5に担持されながらギャップGcを通過する現像剤の量を、画像濃度ムラが目視で認められる程度より小さくなるように規制する現像剤量規制手段として構成されている。このように、供給搬送路9の側壁が現像ローラ5と上記側壁との対向部の所定のギャップを通過する現像ローラ5に担持された回収現像剤の量を、上述した所定の方法によって画像濃度ムラが目視で認められる程度より小さくなるように規制するので、ギャップGcを通り抜けるトナー濃度の低下した回収現像剤の量を抑えることができる。これにより、連れ回り現象に伴って供給搬送路9から供給されるトナー濃度が適切に調整された現像剤に混入するトナー濃度の低い回収現像剤の量を極力抑えることができる。よって、連れ周り現象によって生じる画像濃度ムラを目視で認められない程度にすることが可能となる。したがって、ギャップGcを通過するトナー濃度が低下した回収現像剤の量を規制し、目視で画像濃度ムラが認められない実使用可能な画像品質を得ることができる。
また、本実施形態によれば、目視で画像濃度ムラが認められる程度は、上述した所定の方法で求めた画像濃度の最も高い部分と最も低い部分との画像濃度差が0.2を超えるものである。このように評価基準を設けることで評価を行う者によって評価のばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、実施形態1によれば、ギャップGcを0[mm]より大きく1[mm]以下の間隔にすることで、連れ回り現象に伴って回収現像剤が供給現像剤に混入するのを抑制することができ、実使用可能な安定した画像濃度の画像を得ることができる。
また、実施形態2によれば、現像ローラ5と対向する供給搬送路側壁部140に板状磁性体である磁性板150を設けた場合には、ギャップGcを0[mm]より大きく1.5[mm]以下の間隔にすることで、連れ回り現象に伴って回収現像剤が供給現像剤に混入するのを抑制することができ、実使用可能な安定した画像濃度の画像を得ることができる。
また、各実施形態によれば、現像に用いられずに供給搬送路9の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、現像ローラ5から回収され回収搬送路7の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、現像ローラ5の軸線方向に沿って、且つ、余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌しながら供給スクリュ8とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材である攪拌スクリュ11を備え、現像剤を供給搬送路9に供給する現像剤攪拌搬送路である攪拌搬送路10を有し、回収搬送路7と攪拌搬送路10との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材であるヒートシール136を設けている。これにより、新たにプリセットケースを設けることなく現像装置4内に初期現像剤をプリセットすることができるので、専用のプリセットケースを設けない分、装置本体内の省スペース化が可能となる。
また、実施形態1によれば、現像に用いられずに供給搬送路9の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、現像ローラ5から回収され回収搬送路7の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、現像ローラ5の軸線方向に沿って、且つ、余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌しながら供給スクリュ8とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材である攪拌スクリュ11を備え、現像剤を供給搬送路9に供給する現像剤攪拌搬送路である攪拌搬送路10を有し、回収搬送路7と攪拌搬送路10との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材であるヒートシール136を設け、現像ギャップGcを0[mm]より大きく0.5[mm]以下の間隔となるように構成している。これにより、現像装置4の運搬時の振動などによって供給搬送路9からギャップGcを通って回収搬送路7へ現像剤が落下するのを抑制することができる。
また、実施形態2によれば、現像に用いられずに供給搬送路9の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、現像ローラ5から回収され回収搬送路7の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、現像ローラ5の軸線方向に沿って、且つ、余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌しながら供給スクリュ8とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材である攪拌スクリュ11を備え、現像剤を供給搬送路9に供給する現像剤攪拌搬送路である攪拌搬送路10を有し、回収搬送路7と攪拌搬送路10との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材であるヒートシール136を設け、現像ローラ5と対向する供給搬送路側壁部140に磁性板150を設けた場合には、現像ギャップGcを0[mm]より大きく0.7[mm]以下の間隔となるように構成することで、現像装置4の運搬時の振動などによって供給搬送路9からギャップGcを通って回収搬送路7へ現像剤が落下するのを抑制することができる。
また、各実施形態によれば、現像手段である現像装置4と、感光体1、帯電手段である帯電装置またはクリーニング手段であるクリーニング装置から選ばれる少なくとも1つとを一体的に構成した、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、現像手段として本発明の現像装置4を用いることにより、上記した効果に加えて現像装置4の交換作業などを容易に行うことができる。
また、各実施形態によれば、潜像を担持する潜像担持体である感光体1と、感光体1上の潜像を現像剤で現像する現像手段である現像装置4とを備えた画像形成装置である複写機において、現像装置4として本発明の現像装置4を用いることにより上記のような効果を得ることができる。
また、各実施形態によれば、現像装置4と、感光体1、帯電手段である帯電装置またはクリーニング手段であるクリーンング装置から選ばれる少なくとも1つとを一体的に構成した、画像形成装置本体である複写機に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた複写機において上記のような効果を得ることができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、攪拌搬送路と回収搬送路とが並列に略同じ高さに設けられ、供給搬送路が他の2つの現像剤搬送路の上方に位置するように構成された現像装置を用いているがこれに限るものではない。つまり、供給搬送路が、現像ローラとギャップを介して対向し、且つ、回収搬送路の上方に設けられている構成の現像装置であれば、本発明が解決しようとする課題が生じるので、攪拌搬送路の設けられる位置は特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の特徴部である現像装置のギャップGcを示した概略構成図。
【図2】複写機の概略構成図。
【図3】現像装置及び感光体を示す拡大構成図。
【図4】現像装置内の現像剤の流れの模式図。
【図5】現像ローラと供給搬送路側壁部とを斜めに対向させて設けたときの概略構成図。
【図6】ギャップGcと画像濃度ムラとの関係を示したグラフ。
【図7】回収搬送路側から攪拌搬送路側を見た場合の回収開口部近傍の概略構成図。
【図8】ヒートシールで回収開口部をシャッタしているときの概略構成図。
【図9】ヒートシールで回収開口部をシャッタしているときの現像装置の斜視図。
【図10】ギャップGcと現像剤落下量との関係を示したグラフ。
【図11】供給搬送路側壁部に磁性板を貼り付けた現像装置の概略構成図。
【図12】ギャップGcと画像濃度ムラとの関係を示したグラフ。
【図13】ギャップGcと現像剤落下量との関係を示したグラフ。
【図14】従来の2つの搬送路で現像剤を搬送する現像装置の概略構成図。
【図15】従来の3つの搬送路で現像剤を搬送する現像装置の概略構成図。
【図16】3つの搬送路で現像剤を搬送する現像装置における正常な現像剤循環の状態を示した概略構成図。
【図17】3つの搬送路で現像剤を搬送する現像装置における連れ回り現象が生じた状態を示した概略構成図。
【符号の説明】
【0066】
4 現像装置
5 現像ローラ
6 回収スクリュ
7 回収搬送路
8 供給スクリュ
9 供給搬送路
10 攪拌搬送路
11 攪拌スクリュ
12 現像ドクタ
14 張架ローラ
15 駆動ローラ
16 二次転写バックアップローラ
17 中間転写ユニット
18 プロセスカートリッジ
20 画像形成ユニット
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
23 張架ローラ
24 紙搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
44 給紙カセット
46 給紙路
47 搬送ローラ対
49 レジストローラ対
57 スタック部
62 一次転写バイアスローラ
90 ベルトクリーニング装置
100 プリンタ部
104 現像装置
110 中間転写ベルト
111 攪拌スクリュ
112 現像剤攪拌搬送路
115 現像ローラ
133 第一仕切り壁
134 第二仕切り壁
140 供給搬送路側壁部
150 磁性板
200 給紙装置
201 感光体
204 現像装置
205 現像ローラ
206 回収スクリュ
207 現像剤回収搬送路
208 供給スクリュ
209 現像剤供給搬送路
210 現像剤攪拌搬送路
211 攪拌スクリュ
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
401 供給スクリュ
402 現像剤供給搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材を備えた現像剤回収搬送路とを有し、
該現像剤供給搬送路が該現像剤回収搬送路の上方に位置するように設けられた現像装置において、
該現像剤供給搬送路を構成する側壁と該現像剤担持体とが所定間隔のギャップを介して対向しており、
該側壁は、該現像剤担持体に担持されながら該ギャップを通過する現像剤の量を、画像濃度ムラが目視で認められる程度より小さくなるように規制する現像剤量規制手段として構成されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
目視で画像濃度ムラが認められる程度は、所定の方法で求めた画像濃度の最も高い部分と最も低い部分との画像濃度差が0.2を超えるものであることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、
上記ギャップは、0[mm]より大きく1.0[mm]以下の間隔であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1または2の現像装置において、
上記側壁には磁性体が設けられており、上記ギャップは、0[mm]より大きく1.5[mm]以下の間隔であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1、2、3、または4の現像装置において、
現像に用いられずに上記現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、上記現像剤担持体から回収され上記現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路を有しており、
上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1、2の現像装置において、
現像に用いられずに上記現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、上記現像剤担持体から回収され上記現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路を有しており、
上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材を設け、上記ギャップが、0[mm]より大きく0.5[mm]以下の間隔であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1、2の現像装置において、
現像に用いられずに上記現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された余剰現像剤と、上記現像剤担持体から回収され上記現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路を有しており、
上記現像剤回収搬送路と上記現像剤攪拌搬送路との間に現像剤の受け渡しを遮断する取外し可能な仕切り部材を設け、上記側壁には磁性体が設けられており、上記ギャップが、0[mm]より大きく0.7[mm]以下の間隔であることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
現像手段と、潜像像担持体、帯電手段またはクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つとを一体的に構成した、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
該現像手段として請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
潜像を担持する潜像担持体と、
該潜像担持体上の潜像を現像剤で現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、
該現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
現像手段と、潜像像担持体、帯電手段またはクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つとを一体的に構成した、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、
該プロセスカートリッジとして請求項8のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−268238(P2008−268238A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106695(P2007−106695)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】