現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】現像スリーブ表面に多数の窪みを形成する方式において、窪みによる利点を活かしつつ、端部現像剤連れ回りの問題を解消でき、画像品質の向上に寄与できる現像装置を提供する。
【解決手段】現像スリーブ132上の現像剤搬送方向下流の窪み形成部端部のみにおける窪み139(ハッチングで表示)の角度を、端部から内方(スリーブ軸方向中央側)の窪み139群に対して逆方向に変えている。このようにすることで、端部における現像スリーブ上の現像剤搬送方向を逆方向に変えることができるため、端部への現像剤供給量も減らすことができ、端部における現像剤連れ回りが発生し難くできる。
【解決手段】現像スリーブ132上の現像剤搬送方向下流の窪み形成部端部のみにおける窪み139(ハッチングで表示)の角度を、端部から内方(スリーブ軸方向中央側)の窪み139群に対して逆方向に変えている。このようにすることで、端部における現像スリーブ上の現像剤搬送方向を逆方向に変えることができるため、端部への現像剤供給量も減らすことができ、端部における現像剤連れ回りが発生し難くできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像をトナー像として可視化する現像装置で特に二成分磁気ブラシ現像方式を用いた現像装置、該現像装置を有するプロセスカートリッジ、該現像装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、像担持体上の潜像をトナー像として可視化する画像形成装置では2成分磁気ブラシ現像方式の現像装置が用いられている。この現像装置では、現像剤(トナーが磁性粉に静電気力で吸着)を像担持体と対向する現像領域に搬送し、像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像として可視化するための現像剤担持体(現像ローラ)を備えている。
現像ローラは、例えば、円筒状に形成された現像スリーブと、この現像スリーブ内に設けられ、現像スリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁界発生手段(例えば、マグネットローラ)とを有している。
現像剤が穂立ちの際には、現像剤を構成するキャリアがマグネットローラで生じる磁力線に沿うように現像スリーブ上に穂立ちしており、このキャリアに対しては、帯電トナーが付着されている。マグネットローラは、複数の磁極を有しているが、それぞれの磁極を形成する磁石は、棒状など成形体に形成されていて、特に、現像スリーブ表面の現像領域部分に対応する部分には、現像剤を穂立ちさせる現像主磁極を有している。穂立ちを起こした現像剤は、現像スリーブ及びマグネットローラの少なくとも一方を回転させることにより、周方向に移動させることができる。
【0003】
一般的には、現像剤を搬送しやすくするために、現像スリーブの表面に、溝や、サンドブラストやビーズブラストなどの手段で形成される不規則な凹凸を設けている。特に、カラー複写機、プリンタでは、画像品質面の優位性からブラストスリーブが主流となっている。
このような溝加工、サンドブラスト加工等の荒らし加工(粗面化処理)は、高速で回転する現像スリーブの表面で現像剤がスリップして停滞することにより生じる画像濃度の低下の発生を防止するために行われる。
【0004】
従来の現像装置を図19に示す。本現像装置は、2成分現像剤を現像剤担持体としての現像ローラ200により該現像ローラ200と対向する像担持体201の現像領域に搬送し、像担持体201の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
現像ローラ200は、円筒状に形成された現像スリーブ202と、この現像スリーブ202内に収容され、現像スリーブ202の表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成するマグネットローラ203とを備えている。
現像ローラ200においては、現像剤の穂立ちの際に、現像剤を構成する磁性キャリアがマグネットローラで生じる磁力線に沿うように現像スリーブ上に穂立ちすると共に、この穂立ちした磁性キャリアに現像剤を構成するトナーが付着する。
【0005】
この種の現像装置は、前述した現像剤を収容する現像剤収容槽と、この現像剤収容槽内の現像剤を攪拌するスクリュ形状の攪拌搬送部材(以下「撹拌部材」ともいう)と、現像剤担持体に汲み上げられた現像剤の量を均一にする現像剤規制部材とを備えている。
図19に示される現像装置においては、現像剤収容槽(現像剤収容室a+現像剤収容室b)と攪拌部材をそれぞれ一対備えている。この現像装置における現像剤は、現像剤収容槽内を攪拌部材の軸方向に移動する。現像ローラ200から離れた側の現像剤収容槽204bの一端部から補給されたトナーは、攪拌部材205bにより、現像剤収容槽204bの他端部まで攪拌部材205bの軸方向に沿って搬送されながら現像剤と攪拌される。
【0006】
現像剤は、現像剤収容槽204bの他端部から現像ローラ寄りの他方の現像剤収容槽内204aに移動する。現像剤収容槽204aに移った現像剤は、マグネットローラ203の磁力により現像スリーブの表面に汲み上げられ、現像スリーブ表面に付着する。
その後、現像剤は、現像剤規制部材としてのドクタブレード206にてその層厚みを均一にされ、続いて、像担持体201と現像ローラ202とが間隔をあけて対向する現像領域へと搬送される。現像剤は、像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0007】
マグネットローラ203には、複数の固定磁極、例えば、S1(現像極)、N1(現像剤搬送極)、S2(剤離れ上流側磁極)、S3(汲み上げ極=剤離れ下流側磁極)、N2(現像剤搬送極)がそれぞれ設けられている。現像スリーブは、矢印方向に回転するので、現像剤は、現像スリーブの表面を固定磁極S3、N2、S1、N1、S2、剤切れの順に移行する。
マグネットローラ203においては、固定磁極N1(現像剤搬送極)及び固定磁極N2(現像剤搬送極)を同極のN極性とし、固定磁極S2と固定磁極S3との間にS極性の磁極pを設けると、トナー濃度の薄くなった現像済みの現像剤は、固定磁極S1と固定磁極S2との反発力に加えて磁極pの反発力によって、現像剤収容槽204aの中に落とされる。本明細書では、このような磁極pを「剤離れ磁極又は極剤切れ磁極」とよび、磁極pの反発力によって現像済みの現像剤が現像剤収容槽204aの中に落とされる。
【0008】
このように現像剤収容槽204aの中に落とされた、(すなわち剤切れされた)トナー濃度の薄くなった現像済みの現像剤は、現像剤攪拌槽204aにおいて、現像剤攪拌槽204bから送られてきたトナー濃度の濃い新しい現像剤と共に攪拌された後、固定磁極S3(現像剤汲み上げ極)にトナー濃度の濃くなった現像剤として引き付けられ(すなわち、汲み上げられ)、次に、固定磁極N1(現像剤搬送極)に移行される。
固定磁極N1に移行されたトナー濃度の濃くなった現像剤はドクタブレード206で層厚みを一定にされて固定磁極S1(現像極)に移行される。
【0009】
最近では図20に示すように、汲み上げ・現像ドクタ極を1極構成とし、現像剤の低ストレス化および現像ローラそのものの確実な剤切れ性確保を目的とした提案がされている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述のような現像剤の挙動は作像領域内においてのものであり、現像ローラ長手方向端部においては下記のような課題がある。
図21は剤離れ部の剤挙動を図20の断面レイアウトにて示したものである。作像領域内では、剤離れ上流側磁極(N2)にて離した現像剤は、(a)及び(b)に示すように、下方の現像剤収容部(現像剤収容槽)へ落下し現像剤収容部内の現像剤と攪拌混合され、再度汲み上げ極によって現像ローラに汲み上げられる。
しかしながら、端部(作像領域外)においては、(a)、(c)に示すように、剤離れ上流側磁極(N2)にて離した現像剤が、マグネットローラの外側(磁力の無い部分)を通り、剤離れ下流側磁極(N3)へ向かう。
(c)に示すように、離れた現像剤は現像ローラ(現像スリーブ)表面から殆ど離れず、剤離れ下流側磁極(N3)に汲み上げられる。これは、現像技術で連れ回りと呼ばれる現象である。
【0011】
剤離れ部と他の極との差としては、剤離れ部では同極が隣接しているのに対し、他極では異極により現像剤搬送を行っているために、SからNへ、またNからSへ現像剤は引き付けられ端部に膨れることなく流れていく。剤離れ部ではこの部分が同極であるため反発し合い、長手方向の外側へ向かう磁気成分が強くなり、(c)に示すように現像剤挙動をとる。
現像剤連れ回りが発生している部分に画像を載せると、現像槽からのトナーが補充されないため画像が通紙方向に対し薄くなるという異常画像となる。
そのため従来では、連れ回り現象を回避できないものとして受け入れ、現像ローラの長手方向を長くし、画像保証領域の外側で連れ回りを発生させる構成としてその分装置を大きくさせる方法が主流であった。
他の対応策としては、マグネットローラ軸を非磁性部材にすることも有効であるが、ステンレスではコスト高、アルミでは強度不足という課題があった。
【0012】
最近では、ブラストスリーブと同じようなスリーブ上の剤密度を保ち、スリーブ軸方向に延びる溝を周方向に等間隔で複数形成した溝スリーブと同じような現像剤搬送力を保つスリーブが紹介されている(特許文献2参照)。溝スリーブでは溝部での現像剤搬送量が多く、溝部の画像濃度が高くなってしまうため、出力画像に溝ピッチムラが発生してしまい、画像品質の低下を来たす懸念があるが、特許文献2に記載のスリーブではこの問題を解消できる。
特許文献2に記載のスリーブは切削機によりバイト回転数、バイト送り速度、スリーブ回転速度により細かい楕円状の窪みを密に形成するものであるが、窪み形状が斜めになるため現像ローラ長手方向に対して現像剤の搬送力が生じる(詳細は本発明の説明にて説明する)。
現像ローラ長手方向に搬送力を生じることで、攪拌スクリュの回転数抑制によるエネルギー低減することができ、また、回転数維持であれば濃度ムラの低減効果をもたらす。
本スリーブにおける前記の端部連れ回りの観点からの説明を図22に基づいて説明する。図22は現像スリーブ表面を側面より見て拡大したもので、概ね2〜3cm2の拡大図である。図中のように窪み139の現像ローラ長手方向に対する傾斜角が左上がりで、現像スリーブ回転が下方向とすると、現像剤剤離れ部では図中矢印の方向に現像剤は飛ばされる。この場合、左側の現像ローラ端部、いわゆる現像スリーブ上の長手方向に対する現像剤搬送方向下流側においては、現像剤が多く溜まる方向となり、端部の連れ回りに関しては下流側では不利になる。
【0013】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、現像スリーブ表面に多数の窪みを形成する方式において、窪みによる利点を活かしつつ、端部現像剤連れ回りの問題を解消でき、画像品質の向上に寄与できる現像装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を収容する現像ケーシングと、像担持体に対向して配置され、表面に磁力で形成された現像剤ブラシで前記像担持体を摺擦し、前記像担持体上の潜像をトナー像として可視化する現像ローラと、前記現像ローラの表面との間に所定の空隙をもって対向し、前記現像ローラが前記像担持体に対向する現像領域のローラ回転方向上流側で前記現像ローラ上の現像剤の層厚みを規制する現像剤規制部材とを有し、前記現像ローラは、回転可能で現像剤を表面に担持する現像スリーブと、前記現像スリーブ内に固定して配置された磁界発生手段とを有し、前記磁界発生手段は、前記像担持体上の潜像を現像した後の現像剤を前記現像スリーブから離脱させるための磁気力を発生させる剤離れ上流側磁極と、該剤離れ上流側磁極と同極性で前記現像スリーブの回転方向下流に隣接した剤離れ下流側磁極とを備え、前記現像スリーブの表面には長円状ないし楕円状の複数の凹みがスリーブ周方向及びスリーブ長手方向に配列されている現像装置において、前記現像スリーブの長手方向端部における前記窪みは、前記現像スリーブ上の現像剤に、前記長手方向内方への搬送力を付与するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記窪みが規則的に配列されて形成されているとともに、前記現像スリーブの長手方向に対してその長軸が角度を有するように形成され、前記端部における前記窪みは内方の窪みに対して前記現像スリーブ上の現像剤の搬送方向が逆向きとなるように形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の現像装置において、前記端部における前記窪みの前記現像スリーブの長手方向に対する角度は、前記内方の窪みの角度よりも大きいことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、プロセスカートリッジにおいて、請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置と、前記像担持体とを一体に有していること特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置を有していることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記現像装置で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記現像装置で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、現像ローラの軸方向の長さを大きくすることなく、すなわち構成の大型化を来たすことなく現像スリーブの端部における現像剤連れ回り現象を抑制でき、スリーブ表面に窪みを多数形成する方式の利点を活かしつつ異常画像の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの概要断面図である。
【図3】図2のA−A線での現像ローラの断面図である。
【図4】現像スリーブの斜視図である。
【図5】現像スリーブの表面に形成された窪みの配置パターンを示す平面図である。
【図6】窪みの形状を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のVIBでの周方向断面図、(c)は(a)のVICでの長手方向断面図である。
【図7】切削加工によって窪みが湾曲した形状になることを示す平面図である。
【図8】現像スリーブを側面から見た際のスリーブ窪み形成部端部の表面形状拡大図である。
【図9】第2の実施形態に係る現像スリーブを側面から見た際のスリーブ窪み形成部端部の表面形状拡大図である。
【図10】現像装置の変形例を示す図である。
【図11】窪みの形状の変形例を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のIXBでの周方向断面図、(c)は(a)のIXCでの長手方向断面図である。
【図12】窪みとスリーブ表面とのなす角度を説明するための図である。
【図13】窪みの断面形状の変形例を示す図である。
【図14】窪みの断面形状の他の変形例を示す図である。
【図15】窪みの配置パターンの変形例を示す平面図である。
【図16】窪みの配置パターンの他の変形例を示す平面図である。
【図17】トナーの形状係数SF−1を説明するための模式図である。
【図18】トナーの形状係数SF−2を説明するため模式図である。
【図19】従来の現像装置の磁極構成を示す図である。
【図20】従来の現像装置の他の磁極構成を示す図である。
【図21】現像スリーブの端部で生じる現像連れ回り現象を説明するための図である。
【図22】現像スリーブの表面に長軸が傾斜するように窪みの列を形成する従来のスリーブ上における現像剤の搬送方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1乃至図8に基づいて第1の実施形態を説明する。まず、図1に基づいて本実施形態に係る画像形成装置としてのカラー複写機の概要構成を説明する。
カラー複写機(以下、「画像形成装置」ともいう)100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、転写材としての記録紙50に形成する、中間転写ベルト129を用いたタンデム型の構成を有している。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y、M、C、Kを付けて示す。
【0020】
画像形成装置100は、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、中間転写ユニット104と、二次転写手段としての二次転写ローラ126と、定着ユニット105と、レーザ書き込みユニット122と、装置本体102に対して着脱自在なプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kとを少なくとも備えている。
給紙ユニット103は、記録紙50を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙50に押し当てられており、図示しない分離部材との協働作用で最上紙を1枚ずつ分離し、レジストローラ対110へ送り出す。
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から二次転写部位へ搬送される記録紙50の搬送経路に設けられており、ローラ間に記録紙50を挟み込み、中間転写ベルト129上の画像を転写させ得るタイミングで送り出す。
【0021】
中間転写ユニット104は、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの上方に設けられている。中間転写ユニット104は、駆動ローラ128と、従動ローラ127と、中間転写ベルト129と、一次転写手段としての一次転写ローラ130Y、130M、130C、130Kとを備えている。駆動ローラ128は、二次転写ローラ126の対向位置に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ127は、装置本体102に回転自在に支持されている。中間転写ベルト129は、無端ベルト状に形成されており、駆動ローラ128と従動ローラ127との双方に掛け渡されている。中間転写ベルト129は、駆動ローラ127が回転駆動されることで、図中反時計回り方向に循環移動する。
【0022】
一次転写ローラ130Y、130M、130C、130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの感光体ドラム108の対向位置に中間転写ベルトを挟むように配置されている。
中間転写ユニット104では、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kにて形成された各色トナー像が一次転写ローラ130Y、130M、130C、130Kにて中間転写ベルト129上でカラーのトナー像として重ね合わせられる。カラートナー像は中間転写ベルト129の移動によって二次転写部位へ搬送され、該二次転写部位で二次転写ローラ126により記録紙50へ転写される。
二次転写ローラ126はトナー像が転写された記録紙50を定着ユニット105に向けて送り出す。
定着ユニット105は、搬送されてきた記録紙50を押圧加熱することで、記録紙50上に転写されたトナー像を、該記録紙50に定着させる。
定着を終えた記録紙50は排紙ローラ対152により排紙トレイ部153へ排出される。符号154は画像読み取り部を示している。
【0023】
レーザ書き込みユニット122は、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの下部に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122は、各プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kに対応していおり、後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、中間転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122との間に設けられており、中間転写ベルト129の搬送方向に沿って互いに並設されている。
【0024】
プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、図2に示すように、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、像担持体としての感光体ドラム108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113とを備えている。
帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する現像ローラ115と間隔をおいて配置されている。
クリーニングブレード112は、中間転写ベルト129にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
現像装置113は、現像剤供給部114と、現像ケーシングとしてのケース125と、現像剤担持体としての現像ローラ115と、現像剤規制部材としてのドクタブレード116等を備えている。
【0025】
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュ118とを備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切り壁119が設けられている。仕切り壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通しており、現像剤は収容槽117内を循環移動する。
現像剤は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とを含んでいる。トナーは第1空間120と第2空間121のうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、トナー補給装置155(図1参照)によって適宜供給される。
トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。トナーの具体的構成については後述する。
【0026】
磁性キャリアは、第1空間120と第2空間121の双方に収容されている。磁性キャリアの平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。
攪拌スクリュ118は、第1空間120と第2空間121のそれぞれに収容されている。攪拌スクリュ118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュ118は、回転することでトナーと磁性キャリアとを攪拌するとともに、軸芯に沿って現像剤を搬送する。
第1空間120内の攪拌スクリュ118は、現像剤を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュ118は、現像剤156を他端部から一端部に向けて搬送する。
現像剤供給部114は、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリアと攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリアとを攪拌し、スクリュの軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115に供給する。
ケース125は箱状に形成され、収容槽117に取り付けられており、収容槽117とともに現像ローラ115などを覆う。ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
【0027】
現像ローラ115は、円柱状に形成され、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に設けられている。現像ローラ115は、感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行である。現像ローラ115は、感光体ドラム108と間隔をおいて配置されている。
現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。
現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが対向する。
【0028】
現像ローラ115は、図2及び図3に示すように、芯金134と、磁界発生手段としての円筒状のマグネットローラ(磁石体ともいう)133と、円筒状の現像スリーブ132とを備えている。芯金134は、長手方向が感光体ドラム108の長手方向と平行に配され、前述したケース125に回転することなく固定されている。
マグネットローラ133は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が取り付けられている。マグネットローラ133は、芯金134の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。
固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ133に取り付けられている。固定磁極は、マグネットローラ133則ち現像ローラ115の長手方向に沿って延びており、マグネットローラ133の全長に亘って設けられている。
マグネットローラ133は、現像スリーブ132内に収容(内包)されている。
【0029】
一つの固定磁極は、第2空間121の攪拌スクリュ118と相対している。該一つの固定磁極は汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせて、収容槽117の第2空間121内の現像剤156を現像スリーブ132の外表面に吸着する。
他の一つの固定磁極は、感光体ドラム108と相対している。この固定磁極は現像磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この固定磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤のトナーを感光体ドラム108に受け渡すようになっている。
前述した汲み上げ磁極と現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この固定磁極は、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせて、現像前の現像剤を感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤を感光体ドラム108から収容槽117内まで搬送する。
マグネットローラ133の磁極構成は、既述の従来構成と同様である。
【0030】
前述した固定磁極は、現像スリーブ132の外表面に現像剤を吸着すると、現像剤の磁性キャリアを該固定磁極で生じる磁力線に沿って複数重ねさせ、現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。
このように、磁性キャリアが磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリアが現像スリーブ132の外表面上に穂立ちするという。
穂立ちした磁性キャリアにトナーが吸着する。則ち、現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤156を吸着する。
現像スリーブ132は、図4に示すように、円筒状に形成されている。現像スリーブ132は、マグネットローラ133を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ132は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。現像スリーブ132は、アルミニウム合金、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、導電性の樹脂などの非磁性材料で構成されている。現像スリーブ132は、現像スリーブを回転させながらエンドミルで切削加工する表面処理装置(特許文献4の図8参照)によって外表面に粗面化処理(窪み形成)が施されている。
【0031】
現像スリーブ132の材料として、アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが好ましい。SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが好ましい。なお、図示例では、現像スリーブ132は、アルミニウム合金で構成されている。
現像スリーブ132の外径は、本実施例では18mm程度である。現像スリーブ132の軸芯方向の長さは、画像形成装置の最大用紙サイズがA3の場合、300mm〜350mm程度であるのが望ましい。
現像スリーブ132の外表面には、図4、図5、図6(a)及び図7に示すように、平面視が楕円形状の窪み139が多数形成されている。
窪み139は、現像スリーブ132の外表面に凹状に形成され、互いに重ならないようにスリーブ周方向及びスリーブ長手方向に規則的に多数(複数)配列されている。なお、本発明では、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う窪み139間の間隔が一定となるように配置されていることを、窪み139が規則的に配置されているという。即ち、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う窪み139間の間隔は、一定となっている。
窪み139は、開口形状が楕円状(長円状の概念を含む)をなすように形成されており、その長軸方向が現像スリーブ132の長手方向に沿って傾斜した状態に配置されている。
【0032】
窪み139は、図5、図6(a)及び図7に示すように、現像スリーブ132の長手方向に沿って複数並べられて配置されているとともに、現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合うもの同士は、窪み139の長さの約半分程度長手方向に位置ずれして配置されている。さらに、窪み139は、上記表面処理装置により現像スリーブ132の外表面に形成されるため、現像スリーブ132の外表面上に図5中の一点鎖線で示す螺旋状に並べられて配置されている。
窪み139は、図6(b)に示すように、その幅方向(即ち、現像スリーブ132の周方向)の断面形状がV字状に形成され、図6(c)に示すように、その長手方向(即ち、現像スリーブ132の長手方向)の断面形状が円弧状の曲面に形成されている。さらに、窪み139は、上記表面処理装置により現像スリーブ132の外表面にスリーブを回転させながら形成されるため、図7に示すように、その長手方向が若干湾曲している。
なお、本発明では、窪み139の形状は、その長さが幅よりも長く、外縁が曲線で形成されていれば、その長手方向や直線であっても若干湾曲していても、総称して楕円形状とする。
【0033】
窪み139の長手方向の長さ(長径)は、1.0mm以上でかつ2.3mm以下となっており、幅方向の幅(短径)は、0.3mm以上でかつ0.7mm以下となっている。深さは、0.05mm以上でかつ0.15mm以下となっている。
窪み139は、現像スリーブ132の外表面100mm2当たり50〜250個程度設けられている。即ち、複数(多数)の窪み139の総容量が、現像スリーブ132の外表面100mm2当たり0.5mm3以上でかつ7.0mm3以下となっている。
さらに、窪み139は、現像スリーブ132とともに回転する感光体ドラム108の周方向に1mm当たり1.0個以上でかつ3.0個以下設けられている。なお、図5、図6(a)及び図7では、図中の左右方向が現像スリーブ132の長手方向となっている。
【0034】
一般に窪み139の深さが深いほど現像剤の搬送性能は向上するが、溝を外表面に設けた従来の現像スリーブと同様に周期的なピッチムラが発生しやすくなる。
一方、窪み139が浅いほどピッチムラは発生しにくくなるが、現像剤の搬送性能が低下する。特に近年では、小粒径のトナーや磁性キャリアの画像形成技術の進歩及び近接現像の画像形成技術の進歩等により画像再現性が向上しているため、ピッチムラが発生しやすくなっている。
そこで、本実施形態に係る現像スリーブ132では、窪み139の深さを浅めに設定し、窪み139の分布密度を増やすことで現像剤搬送性能とピッチムラ防止の両立を図っている。詳細については後述する。
【0035】
ドクタブレード116は、図2に示すように、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。ドクタブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。
ドクタブレード116は、所望の厚さを超える現像スリーブ132の外表面上の現像剤を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤層を所望の厚さにする。
【0036】
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤156を固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、ドクタブレード116で所望の厚さになった現像剤を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、感光体ドラム108上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。
現像装置113は、現像済みの現像剤を、収容槽117に向かって離脱させる。収容槽117内に収容された現像済みの現像剤は、再度、第2空間121内で他の現像剤と十分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
なお、現像剤供給部114が感光体ドラム108に供給されるトナーの濃度が低下したことを図示しないトナー濃度センサが検知すると、トナー補給装置155の動作により現像装置113へトナーを補給するようになっている。
【0037】
現像スリーブ132の外表面に窪み139を形成する構成では、スリーブ表面に従来のサンドブラスト加工により形成されるような凸部が無いため、経年変化によっても、窪み139が摩耗しにくくなり、よって、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できる。
また、現像スリーブ132は、外表面に形成された窪み139が重ならないように規則的に配置されているので、現像剤が窪み139内に溜まる。現像剤の溜まる箇所が外表面に規則的に配置されることとなり、よって、画像のムラが生じることを防止できる。更に、今後の高速機での高画質維持の為に更に汲み上げ量を増加させることについても、窪み139の容量や数を調整することによって対応できる。
【0038】
窪み139を規則的に配置するので、最適な現像剤のくみ上げ量を確保しながら長寿命化を図ることができる加工条件を設定することが容易で、かつ、設定された条件で確実に窪み139を形成でき、加工性に優れるという効果を有する。
現像スリーブ132の周方向において互いに隣り合う窪み139同士が現像スリーブ132の長手方向に位置ずれしているので、現像スリーブ132の外表面に窪み139が形成されていない箇所や窪み139が多く形成されている箇所などが生じることを防止できる。
したがって、現像スリーブ132の外表面に吸着する現像剤にムラが生じることなく現像剤を吸着することができ、画像のムラが生じることを防止できる。
【0039】
図21で説明した通り、本発明の現像装置のマグネットローラ構成では、従来と同様に、現像スリーブ端部に現像剤連れ回りが発生しやすい。さらに、図22に示すような窪み139の配列がスリーブ長手方向で均一なスリーブ形状では、現像スリーブ上で現像スリーブ長手方向への現像剤搬送力が生じるため、より端部へ現像剤が行きやすく現像剤連れ回りが発生しやすい。
本実施形態ではこれを防止すべく、図8に示すように、現像スリーブ132上の現像剤搬送方向下流の窪み形成部端部のみにおける窪み139(ハッチングで表示)の角度を、端部から中央側(内方)の窪み139に対して逆方向に変えている。換言すれば、内方の窪み139群による搬送力に逆らう搬送力が生じるように角度を変えている。
このようにすることで、端部における現像スリーブ上の現像剤搬送方向を逆方向に変えることができるため、端部への現像剤供給量も減らすことができ、端部における現像剤連れ回りが発生し難くできる。また、端部シール部への現像剤の侵入も防止できる。
【0040】
図9に第2の実施形態を示す。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する。
図9に示すように、本実施形態では、現像スリーブ上の現像剤搬送方向下流のスリーブ窪み形成部端部のみにおける窪み139の角度を上記実施形態と同様に、内方の窪み139群に対して逆方向に変え、さらに、端部の窪み139の角度を、内方の窪み139群による搬送力を打ち消す度合いが大きくなるように大きくしている。
すなわち、第1の実施形態における端部の窪み139の角度をθ1としたとき、本実施形態における端部の窪み139の角度θ2は、θ1<θ2の関係にある。換言すれば、現像スリーブ132の軸方向に対する端部の窪み139の立ち上がり角度を大きくしている。
このようにすることで、端部の方がスリーブ上の長手方向への剤搬送力を大きくすることができ、端部現像剤連れ回り、端部シール部への現像剤侵入をより確実に防止することができる。
【0041】
上記各実施形態では、現像スリーブ132の表面に窪み139をその長軸が傾斜するように形成し、スリーブ長手方向に搬送力を生じる構成において、スリーブ端部の窪み139の角度を内方の窪みに対して変える構成としたが、現像スリーブ132の表面に窪み139をその長軸がスリーブ長手方向に平行となるように形成する構成においても同様に実施することができる。
すなわち、この場合でもスリーブ端部の窪み139の角度を内方の窪みに対して変える構成とすることにより、端部現像剤連れ回りを抑制することができる。
【0042】
図10に現像装置の変形例を示す。
本実施形態に係る現像装置160は、図2で示した現像装置に比べてケース125が現像ローラ115から離れた攪拌スクリュ118bを現像ローラ115側に近づけるように形成されている。
攪拌スクリュ118aは、現像剤を長手方向(軸方向)に搬送しながら現像ローラ115に現像剤を供給する。
現像装置115から離脱した現像剤は攪拌スクリュ118bに回収され、ここで補給トナーと混合攪拌される。混合攪拌された現像剤は攪拌スクリュ118aに受け渡される。
このように構成することで、現像剤は矢印で示すように一方向に循環することになる。これにより、前述した一方向循環方式の問題点であった搬送速度の増加を抑制できる。
この現像装置160において、現像スリーブ132の表面に上記のような窪み139を形成することで、現像剤回収側の現像剤搬送を補助でき、攪拌スクリュ118の回転数を抑えることができる。
【0043】
上記各実施形態では、窪み139の現像スリーブ周方向の断面をV字状に形成しているが、図11に示すように、円弧状に形成しても良い。図示例では、窪み139のスリーブ周方向と長手方向の双方の断面を円弧状に形成している。
【0044】
この場合、図12に示すように、現像スリーブ132の周方向の断面における窪み139の内面と現像スリーブ132の外表面とのなす角度θは、前述した現像磁極の影響で発生する現像濃度差を避けるために60度以下であるのが好ましい。
窪み139の現像スリーブ132の長手方向と周方向の双方の断面を円弧状に形成した場合、窪み139内に収容できる現像剤の量を多くすることができ、十分な量の現像剤を搬送することができる。
また、窪み139のスリーブ周方向の断面形状は、図13及び図14に示すような形状としてもよい。図13は、V字状の窪み139の底が平坦に形成された場合を示し、図14は、V字状の窪み139の底が円弧状に形成された場合を示している。
【0045】
また、上記各実施形態では、図5に示すように、窪み139を現像スリーブ132の外表面に螺旋状に配置し、かつ各々の窪み139を若干弓状に湾曲して形成しているが、図15及び図16に示すように、窪み139を現像スリーブ132の長手方向に沿って直線状に形成しても良いとともに、複数の窪み139を現像スリーブ132の周方向に沿って直線状に配置しても良い。
図15及び図16では窪み139の傾きは省略している。
【0046】
図17及び図18に基づいて、上記トナーの構成を詳細に説明する。
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。
このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図17、図18は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【0047】
形状係数SF−1は、図17に示すように、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0048】
また、形状係数SF−2は、図18に示すように、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【符号の説明】
【0049】
106 プロセスカートリッジ
108 像担持体としての感光体ドラム
115 現像ローラ
118 現像剤搬送部材としての攪拌スクリュ
125 現像ケーシングとしてのケース
132 現像スリーブ
133 磁界発生手段としてのマグネットローラ
139 窪み
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2007−183533号公報
【特許文献2】特開2009−80447号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像をトナー像として可視化する現像装置で特に二成分磁気ブラシ現像方式を用いた現像装置、該現像装置を有するプロセスカートリッジ、該現像装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、像担持体上の潜像をトナー像として可視化する画像形成装置では2成分磁気ブラシ現像方式の現像装置が用いられている。この現像装置では、現像剤(トナーが磁性粉に静電気力で吸着)を像担持体と対向する現像領域に搬送し、像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像として可視化するための現像剤担持体(現像ローラ)を備えている。
現像ローラは、例えば、円筒状に形成された現像スリーブと、この現像スリーブ内に設けられ、現像スリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁界発生手段(例えば、マグネットローラ)とを有している。
現像剤が穂立ちの際には、現像剤を構成するキャリアがマグネットローラで生じる磁力線に沿うように現像スリーブ上に穂立ちしており、このキャリアに対しては、帯電トナーが付着されている。マグネットローラは、複数の磁極を有しているが、それぞれの磁極を形成する磁石は、棒状など成形体に形成されていて、特に、現像スリーブ表面の現像領域部分に対応する部分には、現像剤を穂立ちさせる現像主磁極を有している。穂立ちを起こした現像剤は、現像スリーブ及びマグネットローラの少なくとも一方を回転させることにより、周方向に移動させることができる。
【0003】
一般的には、現像剤を搬送しやすくするために、現像スリーブの表面に、溝や、サンドブラストやビーズブラストなどの手段で形成される不規則な凹凸を設けている。特に、カラー複写機、プリンタでは、画像品質面の優位性からブラストスリーブが主流となっている。
このような溝加工、サンドブラスト加工等の荒らし加工(粗面化処理)は、高速で回転する現像スリーブの表面で現像剤がスリップして停滞することにより生じる画像濃度の低下の発生を防止するために行われる。
【0004】
従来の現像装置を図19に示す。本現像装置は、2成分現像剤を現像剤担持体としての現像ローラ200により該現像ローラ200と対向する像担持体201の現像領域に搬送し、像担持体201の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
現像ローラ200は、円筒状に形成された現像スリーブ202と、この現像スリーブ202内に収容され、現像スリーブ202の表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成するマグネットローラ203とを備えている。
現像ローラ200においては、現像剤の穂立ちの際に、現像剤を構成する磁性キャリアがマグネットローラで生じる磁力線に沿うように現像スリーブ上に穂立ちすると共に、この穂立ちした磁性キャリアに現像剤を構成するトナーが付着する。
【0005】
この種の現像装置は、前述した現像剤を収容する現像剤収容槽と、この現像剤収容槽内の現像剤を攪拌するスクリュ形状の攪拌搬送部材(以下「撹拌部材」ともいう)と、現像剤担持体に汲み上げられた現像剤の量を均一にする現像剤規制部材とを備えている。
図19に示される現像装置においては、現像剤収容槽(現像剤収容室a+現像剤収容室b)と攪拌部材をそれぞれ一対備えている。この現像装置における現像剤は、現像剤収容槽内を攪拌部材の軸方向に移動する。現像ローラ200から離れた側の現像剤収容槽204bの一端部から補給されたトナーは、攪拌部材205bにより、現像剤収容槽204bの他端部まで攪拌部材205bの軸方向に沿って搬送されながら現像剤と攪拌される。
【0006】
現像剤は、現像剤収容槽204bの他端部から現像ローラ寄りの他方の現像剤収容槽内204aに移動する。現像剤収容槽204aに移った現像剤は、マグネットローラ203の磁力により現像スリーブの表面に汲み上げられ、現像スリーブ表面に付着する。
その後、現像剤は、現像剤規制部材としてのドクタブレード206にてその層厚みを均一にされ、続いて、像担持体201と現像ローラ202とが間隔をあけて対向する現像領域へと搬送される。現像剤は、像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0007】
マグネットローラ203には、複数の固定磁極、例えば、S1(現像極)、N1(現像剤搬送極)、S2(剤離れ上流側磁極)、S3(汲み上げ極=剤離れ下流側磁極)、N2(現像剤搬送極)がそれぞれ設けられている。現像スリーブは、矢印方向に回転するので、現像剤は、現像スリーブの表面を固定磁極S3、N2、S1、N1、S2、剤切れの順に移行する。
マグネットローラ203においては、固定磁極N1(現像剤搬送極)及び固定磁極N2(現像剤搬送極)を同極のN極性とし、固定磁極S2と固定磁極S3との間にS極性の磁極pを設けると、トナー濃度の薄くなった現像済みの現像剤は、固定磁極S1と固定磁極S2との反発力に加えて磁極pの反発力によって、現像剤収容槽204aの中に落とされる。本明細書では、このような磁極pを「剤離れ磁極又は極剤切れ磁極」とよび、磁極pの反発力によって現像済みの現像剤が現像剤収容槽204aの中に落とされる。
【0008】
このように現像剤収容槽204aの中に落とされた、(すなわち剤切れされた)トナー濃度の薄くなった現像済みの現像剤は、現像剤攪拌槽204aにおいて、現像剤攪拌槽204bから送られてきたトナー濃度の濃い新しい現像剤と共に攪拌された後、固定磁極S3(現像剤汲み上げ極)にトナー濃度の濃くなった現像剤として引き付けられ(すなわち、汲み上げられ)、次に、固定磁極N1(現像剤搬送極)に移行される。
固定磁極N1に移行されたトナー濃度の濃くなった現像剤はドクタブレード206で層厚みを一定にされて固定磁極S1(現像極)に移行される。
【0009】
最近では図20に示すように、汲み上げ・現像ドクタ極を1極構成とし、現像剤の低ストレス化および現像ローラそのものの確実な剤切れ性確保を目的とした提案がされている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述のような現像剤の挙動は作像領域内においてのものであり、現像ローラ長手方向端部においては下記のような課題がある。
図21は剤離れ部の剤挙動を図20の断面レイアウトにて示したものである。作像領域内では、剤離れ上流側磁極(N2)にて離した現像剤は、(a)及び(b)に示すように、下方の現像剤収容部(現像剤収容槽)へ落下し現像剤収容部内の現像剤と攪拌混合され、再度汲み上げ極によって現像ローラに汲み上げられる。
しかしながら、端部(作像領域外)においては、(a)、(c)に示すように、剤離れ上流側磁極(N2)にて離した現像剤が、マグネットローラの外側(磁力の無い部分)を通り、剤離れ下流側磁極(N3)へ向かう。
(c)に示すように、離れた現像剤は現像ローラ(現像スリーブ)表面から殆ど離れず、剤離れ下流側磁極(N3)に汲み上げられる。これは、現像技術で連れ回りと呼ばれる現象である。
【0011】
剤離れ部と他の極との差としては、剤離れ部では同極が隣接しているのに対し、他極では異極により現像剤搬送を行っているために、SからNへ、またNからSへ現像剤は引き付けられ端部に膨れることなく流れていく。剤離れ部ではこの部分が同極であるため反発し合い、長手方向の外側へ向かう磁気成分が強くなり、(c)に示すように現像剤挙動をとる。
現像剤連れ回りが発生している部分に画像を載せると、現像槽からのトナーが補充されないため画像が通紙方向に対し薄くなるという異常画像となる。
そのため従来では、連れ回り現象を回避できないものとして受け入れ、現像ローラの長手方向を長くし、画像保証領域の外側で連れ回りを発生させる構成としてその分装置を大きくさせる方法が主流であった。
他の対応策としては、マグネットローラ軸を非磁性部材にすることも有効であるが、ステンレスではコスト高、アルミでは強度不足という課題があった。
【0012】
最近では、ブラストスリーブと同じようなスリーブ上の剤密度を保ち、スリーブ軸方向に延びる溝を周方向に等間隔で複数形成した溝スリーブと同じような現像剤搬送力を保つスリーブが紹介されている(特許文献2参照)。溝スリーブでは溝部での現像剤搬送量が多く、溝部の画像濃度が高くなってしまうため、出力画像に溝ピッチムラが発生してしまい、画像品質の低下を来たす懸念があるが、特許文献2に記載のスリーブではこの問題を解消できる。
特許文献2に記載のスリーブは切削機によりバイト回転数、バイト送り速度、スリーブ回転速度により細かい楕円状の窪みを密に形成するものであるが、窪み形状が斜めになるため現像ローラ長手方向に対して現像剤の搬送力が生じる(詳細は本発明の説明にて説明する)。
現像ローラ長手方向に搬送力を生じることで、攪拌スクリュの回転数抑制によるエネルギー低減することができ、また、回転数維持であれば濃度ムラの低減効果をもたらす。
本スリーブにおける前記の端部連れ回りの観点からの説明を図22に基づいて説明する。図22は現像スリーブ表面を側面より見て拡大したもので、概ね2〜3cm2の拡大図である。図中のように窪み139の現像ローラ長手方向に対する傾斜角が左上がりで、現像スリーブ回転が下方向とすると、現像剤剤離れ部では図中矢印の方向に現像剤は飛ばされる。この場合、左側の現像ローラ端部、いわゆる現像スリーブ上の長手方向に対する現像剤搬送方向下流側においては、現像剤が多く溜まる方向となり、端部の連れ回りに関しては下流側では不利になる。
【0013】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、現像スリーブ表面に多数の窪みを形成する方式において、窪みによる利点を活かしつつ、端部現像剤連れ回りの問題を解消でき、画像品質の向上に寄与できる現像装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を収容する現像ケーシングと、像担持体に対向して配置され、表面に磁力で形成された現像剤ブラシで前記像担持体を摺擦し、前記像担持体上の潜像をトナー像として可視化する現像ローラと、前記現像ローラの表面との間に所定の空隙をもって対向し、前記現像ローラが前記像担持体に対向する現像領域のローラ回転方向上流側で前記現像ローラ上の現像剤の層厚みを規制する現像剤規制部材とを有し、前記現像ローラは、回転可能で現像剤を表面に担持する現像スリーブと、前記現像スリーブ内に固定して配置された磁界発生手段とを有し、前記磁界発生手段は、前記像担持体上の潜像を現像した後の現像剤を前記現像スリーブから離脱させるための磁気力を発生させる剤離れ上流側磁極と、該剤離れ上流側磁極と同極性で前記現像スリーブの回転方向下流に隣接した剤離れ下流側磁極とを備え、前記現像スリーブの表面には長円状ないし楕円状の複数の凹みがスリーブ周方向及びスリーブ長手方向に配列されている現像装置において、前記現像スリーブの長手方向端部における前記窪みは、前記現像スリーブ上の現像剤に、前記長手方向内方への搬送力を付与するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記窪みが規則的に配列されて形成されているとともに、前記現像スリーブの長手方向に対してその長軸が角度を有するように形成され、前記端部における前記窪みは内方の窪みに対して前記現像スリーブ上の現像剤の搬送方向が逆向きとなるように形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の現像装置において、前記端部における前記窪みの前記現像スリーブの長手方向に対する角度は、前記内方の窪みの角度よりも大きいことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、プロセスカートリッジにおいて、請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置と、前記像担持体とを一体に有していること特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置を有していることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記現像装置で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記現像装置で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、現像ローラの軸方向の長さを大きくすることなく、すなわち構成の大型化を来たすことなく現像スリーブの端部における現像剤連れ回り現象を抑制でき、スリーブ表面に窪みを多数形成する方式の利点を活かしつつ異常画像の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの概要断面図である。
【図3】図2のA−A線での現像ローラの断面図である。
【図4】現像スリーブの斜視図である。
【図5】現像スリーブの表面に形成された窪みの配置パターンを示す平面図である。
【図6】窪みの形状を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のVIBでの周方向断面図、(c)は(a)のVICでの長手方向断面図である。
【図7】切削加工によって窪みが湾曲した形状になることを示す平面図である。
【図8】現像スリーブを側面から見た際のスリーブ窪み形成部端部の表面形状拡大図である。
【図9】第2の実施形態に係る現像スリーブを側面から見た際のスリーブ窪み形成部端部の表面形状拡大図である。
【図10】現像装置の変形例を示す図である。
【図11】窪みの形状の変形例を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のIXBでの周方向断面図、(c)は(a)のIXCでの長手方向断面図である。
【図12】窪みとスリーブ表面とのなす角度を説明するための図である。
【図13】窪みの断面形状の変形例を示す図である。
【図14】窪みの断面形状の他の変形例を示す図である。
【図15】窪みの配置パターンの変形例を示す平面図である。
【図16】窪みの配置パターンの他の変形例を示す平面図である。
【図17】トナーの形状係数SF−1を説明するための模式図である。
【図18】トナーの形状係数SF−2を説明するため模式図である。
【図19】従来の現像装置の磁極構成を示す図である。
【図20】従来の現像装置の他の磁極構成を示す図である。
【図21】現像スリーブの端部で生じる現像連れ回り現象を説明するための図である。
【図22】現像スリーブの表面に長軸が傾斜するように窪みの列を形成する従来のスリーブ上における現像剤の搬送方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1乃至図8に基づいて第1の実施形態を説明する。まず、図1に基づいて本実施形態に係る画像形成装置としてのカラー複写機の概要構成を説明する。
カラー複写機(以下、「画像形成装置」ともいう)100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、転写材としての記録紙50に形成する、中間転写ベルト129を用いたタンデム型の構成を有している。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y、M、C、Kを付けて示す。
【0020】
画像形成装置100は、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、中間転写ユニット104と、二次転写手段としての二次転写ローラ126と、定着ユニット105と、レーザ書き込みユニット122と、装置本体102に対して着脱自在なプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kとを少なくとも備えている。
給紙ユニット103は、記録紙50を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙50に押し当てられており、図示しない分離部材との協働作用で最上紙を1枚ずつ分離し、レジストローラ対110へ送り出す。
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から二次転写部位へ搬送される記録紙50の搬送経路に設けられており、ローラ間に記録紙50を挟み込み、中間転写ベルト129上の画像を転写させ得るタイミングで送り出す。
【0021】
中間転写ユニット104は、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの上方に設けられている。中間転写ユニット104は、駆動ローラ128と、従動ローラ127と、中間転写ベルト129と、一次転写手段としての一次転写ローラ130Y、130M、130C、130Kとを備えている。駆動ローラ128は、二次転写ローラ126の対向位置に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ127は、装置本体102に回転自在に支持されている。中間転写ベルト129は、無端ベルト状に形成されており、駆動ローラ128と従動ローラ127との双方に掛け渡されている。中間転写ベルト129は、駆動ローラ127が回転駆動されることで、図中反時計回り方向に循環移動する。
【0022】
一次転写ローラ130Y、130M、130C、130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの感光体ドラム108の対向位置に中間転写ベルトを挟むように配置されている。
中間転写ユニット104では、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kにて形成された各色トナー像が一次転写ローラ130Y、130M、130C、130Kにて中間転写ベルト129上でカラーのトナー像として重ね合わせられる。カラートナー像は中間転写ベルト129の移動によって二次転写部位へ搬送され、該二次転写部位で二次転写ローラ126により記録紙50へ転写される。
二次転写ローラ126はトナー像が転写された記録紙50を定着ユニット105に向けて送り出す。
定着ユニット105は、搬送されてきた記録紙50を押圧加熱することで、記録紙50上に転写されたトナー像を、該記録紙50に定着させる。
定着を終えた記録紙50は排紙ローラ対152により排紙トレイ部153へ排出される。符号154は画像読み取り部を示している。
【0023】
レーザ書き込みユニット122は、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの下部に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122は、各プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kに対応していおり、後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、中間転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122との間に設けられており、中間転写ベルト129の搬送方向に沿って互いに並設されている。
【0024】
プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、図2に示すように、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、像担持体としての感光体ドラム108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113とを備えている。
帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する現像ローラ115と間隔をおいて配置されている。
クリーニングブレード112は、中間転写ベルト129にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
現像装置113は、現像剤供給部114と、現像ケーシングとしてのケース125と、現像剤担持体としての現像ローラ115と、現像剤規制部材としてのドクタブレード116等を備えている。
【0025】
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュ118とを備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切り壁119が設けられている。仕切り壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通しており、現像剤は収容槽117内を循環移動する。
現像剤は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とを含んでいる。トナーは第1空間120と第2空間121のうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、トナー補給装置155(図1参照)によって適宜供給される。
トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。トナーの具体的構成については後述する。
【0026】
磁性キャリアは、第1空間120と第2空間121の双方に収容されている。磁性キャリアの平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。
攪拌スクリュ118は、第1空間120と第2空間121のそれぞれに収容されている。攪拌スクリュ118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュ118は、回転することでトナーと磁性キャリアとを攪拌するとともに、軸芯に沿って現像剤を搬送する。
第1空間120内の攪拌スクリュ118は、現像剤を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュ118は、現像剤156を他端部から一端部に向けて搬送する。
現像剤供給部114は、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリアと攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリアとを攪拌し、スクリュの軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115に供給する。
ケース125は箱状に形成され、収容槽117に取り付けられており、収容槽117とともに現像ローラ115などを覆う。ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
【0027】
現像ローラ115は、円柱状に形成され、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に設けられている。現像ローラ115は、感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行である。現像ローラ115は、感光体ドラム108と間隔をおいて配置されている。
現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。
現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが対向する。
【0028】
現像ローラ115は、図2及び図3に示すように、芯金134と、磁界発生手段としての円筒状のマグネットローラ(磁石体ともいう)133と、円筒状の現像スリーブ132とを備えている。芯金134は、長手方向が感光体ドラム108の長手方向と平行に配され、前述したケース125に回転することなく固定されている。
マグネットローラ133は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が取り付けられている。マグネットローラ133は、芯金134の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。
固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ133に取り付けられている。固定磁極は、マグネットローラ133則ち現像ローラ115の長手方向に沿って延びており、マグネットローラ133の全長に亘って設けられている。
マグネットローラ133は、現像スリーブ132内に収容(内包)されている。
【0029】
一つの固定磁極は、第2空間121の攪拌スクリュ118と相対している。該一つの固定磁極は汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせて、収容槽117の第2空間121内の現像剤156を現像スリーブ132の外表面に吸着する。
他の一つの固定磁極は、感光体ドラム108と相対している。この固定磁極は現像磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この固定磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤のトナーを感光体ドラム108に受け渡すようになっている。
前述した汲み上げ磁極と現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この固定磁極は、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせて、現像前の現像剤を感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤を感光体ドラム108から収容槽117内まで搬送する。
マグネットローラ133の磁極構成は、既述の従来構成と同様である。
【0030】
前述した固定磁極は、現像スリーブ132の外表面に現像剤を吸着すると、現像剤の磁性キャリアを該固定磁極で生じる磁力線に沿って複数重ねさせ、現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。
このように、磁性キャリアが磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリアが現像スリーブ132の外表面上に穂立ちするという。
穂立ちした磁性キャリアにトナーが吸着する。則ち、現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤156を吸着する。
現像スリーブ132は、図4に示すように、円筒状に形成されている。現像スリーブ132は、マグネットローラ133を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ132は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。現像スリーブ132は、アルミニウム合金、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、導電性の樹脂などの非磁性材料で構成されている。現像スリーブ132は、現像スリーブを回転させながらエンドミルで切削加工する表面処理装置(特許文献4の図8参照)によって外表面に粗面化処理(窪み形成)が施されている。
【0031】
現像スリーブ132の材料として、アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが好ましい。SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが好ましい。なお、図示例では、現像スリーブ132は、アルミニウム合金で構成されている。
現像スリーブ132の外径は、本実施例では18mm程度である。現像スリーブ132の軸芯方向の長さは、画像形成装置の最大用紙サイズがA3の場合、300mm〜350mm程度であるのが望ましい。
現像スリーブ132の外表面には、図4、図5、図6(a)及び図7に示すように、平面視が楕円形状の窪み139が多数形成されている。
窪み139は、現像スリーブ132の外表面に凹状に形成され、互いに重ならないようにスリーブ周方向及びスリーブ長手方向に規則的に多数(複数)配列されている。なお、本発明では、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う窪み139間の間隔が一定となるように配置されていることを、窪み139が規則的に配置されているという。即ち、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う窪み139間の間隔は、一定となっている。
窪み139は、開口形状が楕円状(長円状の概念を含む)をなすように形成されており、その長軸方向が現像スリーブ132の長手方向に沿って傾斜した状態に配置されている。
【0032】
窪み139は、図5、図6(a)及び図7に示すように、現像スリーブ132の長手方向に沿って複数並べられて配置されているとともに、現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合うもの同士は、窪み139の長さの約半分程度長手方向に位置ずれして配置されている。さらに、窪み139は、上記表面処理装置により現像スリーブ132の外表面に形成されるため、現像スリーブ132の外表面上に図5中の一点鎖線で示す螺旋状に並べられて配置されている。
窪み139は、図6(b)に示すように、その幅方向(即ち、現像スリーブ132の周方向)の断面形状がV字状に形成され、図6(c)に示すように、その長手方向(即ち、現像スリーブ132の長手方向)の断面形状が円弧状の曲面に形成されている。さらに、窪み139は、上記表面処理装置により現像スリーブ132の外表面にスリーブを回転させながら形成されるため、図7に示すように、その長手方向が若干湾曲している。
なお、本発明では、窪み139の形状は、その長さが幅よりも長く、外縁が曲線で形成されていれば、その長手方向や直線であっても若干湾曲していても、総称して楕円形状とする。
【0033】
窪み139の長手方向の長さ(長径)は、1.0mm以上でかつ2.3mm以下となっており、幅方向の幅(短径)は、0.3mm以上でかつ0.7mm以下となっている。深さは、0.05mm以上でかつ0.15mm以下となっている。
窪み139は、現像スリーブ132の外表面100mm2当たり50〜250個程度設けられている。即ち、複数(多数)の窪み139の総容量が、現像スリーブ132の外表面100mm2当たり0.5mm3以上でかつ7.0mm3以下となっている。
さらに、窪み139は、現像スリーブ132とともに回転する感光体ドラム108の周方向に1mm当たり1.0個以上でかつ3.0個以下設けられている。なお、図5、図6(a)及び図7では、図中の左右方向が現像スリーブ132の長手方向となっている。
【0034】
一般に窪み139の深さが深いほど現像剤の搬送性能は向上するが、溝を外表面に設けた従来の現像スリーブと同様に周期的なピッチムラが発生しやすくなる。
一方、窪み139が浅いほどピッチムラは発生しにくくなるが、現像剤の搬送性能が低下する。特に近年では、小粒径のトナーや磁性キャリアの画像形成技術の進歩及び近接現像の画像形成技術の進歩等により画像再現性が向上しているため、ピッチムラが発生しやすくなっている。
そこで、本実施形態に係る現像スリーブ132では、窪み139の深さを浅めに設定し、窪み139の分布密度を増やすことで現像剤搬送性能とピッチムラ防止の両立を図っている。詳細については後述する。
【0035】
ドクタブレード116は、図2に示すように、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。ドクタブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。
ドクタブレード116は、所望の厚さを超える現像スリーブ132の外表面上の現像剤を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤層を所望の厚さにする。
【0036】
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤156を固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、ドクタブレード116で所望の厚さになった現像剤を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、感光体ドラム108上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。
現像装置113は、現像済みの現像剤を、収容槽117に向かって離脱させる。収容槽117内に収容された現像済みの現像剤は、再度、第2空間121内で他の現像剤と十分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
なお、現像剤供給部114が感光体ドラム108に供給されるトナーの濃度が低下したことを図示しないトナー濃度センサが検知すると、トナー補給装置155の動作により現像装置113へトナーを補給するようになっている。
【0037】
現像スリーブ132の外表面に窪み139を形成する構成では、スリーブ表面に従来のサンドブラスト加工により形成されるような凸部が無いため、経年変化によっても、窪み139が摩耗しにくくなり、よって、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できる。
また、現像スリーブ132は、外表面に形成された窪み139が重ならないように規則的に配置されているので、現像剤が窪み139内に溜まる。現像剤の溜まる箇所が外表面に規則的に配置されることとなり、よって、画像のムラが生じることを防止できる。更に、今後の高速機での高画質維持の為に更に汲み上げ量を増加させることについても、窪み139の容量や数を調整することによって対応できる。
【0038】
窪み139を規則的に配置するので、最適な現像剤のくみ上げ量を確保しながら長寿命化を図ることができる加工条件を設定することが容易で、かつ、設定された条件で確実に窪み139を形成でき、加工性に優れるという効果を有する。
現像スリーブ132の周方向において互いに隣り合う窪み139同士が現像スリーブ132の長手方向に位置ずれしているので、現像スリーブ132の外表面に窪み139が形成されていない箇所や窪み139が多く形成されている箇所などが生じることを防止できる。
したがって、現像スリーブ132の外表面に吸着する現像剤にムラが生じることなく現像剤を吸着することができ、画像のムラが生じることを防止できる。
【0039】
図21で説明した通り、本発明の現像装置のマグネットローラ構成では、従来と同様に、現像スリーブ端部に現像剤連れ回りが発生しやすい。さらに、図22に示すような窪み139の配列がスリーブ長手方向で均一なスリーブ形状では、現像スリーブ上で現像スリーブ長手方向への現像剤搬送力が生じるため、より端部へ現像剤が行きやすく現像剤連れ回りが発生しやすい。
本実施形態ではこれを防止すべく、図8に示すように、現像スリーブ132上の現像剤搬送方向下流の窪み形成部端部のみにおける窪み139(ハッチングで表示)の角度を、端部から中央側(内方)の窪み139に対して逆方向に変えている。換言すれば、内方の窪み139群による搬送力に逆らう搬送力が生じるように角度を変えている。
このようにすることで、端部における現像スリーブ上の現像剤搬送方向を逆方向に変えることができるため、端部への現像剤供給量も減らすことができ、端部における現像剤連れ回りが発生し難くできる。また、端部シール部への現像剤の侵入も防止できる。
【0040】
図9に第2の実施形態を示す。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する。
図9に示すように、本実施形態では、現像スリーブ上の現像剤搬送方向下流のスリーブ窪み形成部端部のみにおける窪み139の角度を上記実施形態と同様に、内方の窪み139群に対して逆方向に変え、さらに、端部の窪み139の角度を、内方の窪み139群による搬送力を打ち消す度合いが大きくなるように大きくしている。
すなわち、第1の実施形態における端部の窪み139の角度をθ1としたとき、本実施形態における端部の窪み139の角度θ2は、θ1<θ2の関係にある。換言すれば、現像スリーブ132の軸方向に対する端部の窪み139の立ち上がり角度を大きくしている。
このようにすることで、端部の方がスリーブ上の長手方向への剤搬送力を大きくすることができ、端部現像剤連れ回り、端部シール部への現像剤侵入をより確実に防止することができる。
【0041】
上記各実施形態では、現像スリーブ132の表面に窪み139をその長軸が傾斜するように形成し、スリーブ長手方向に搬送力を生じる構成において、スリーブ端部の窪み139の角度を内方の窪みに対して変える構成としたが、現像スリーブ132の表面に窪み139をその長軸がスリーブ長手方向に平行となるように形成する構成においても同様に実施することができる。
すなわち、この場合でもスリーブ端部の窪み139の角度を内方の窪みに対して変える構成とすることにより、端部現像剤連れ回りを抑制することができる。
【0042】
図10に現像装置の変形例を示す。
本実施形態に係る現像装置160は、図2で示した現像装置に比べてケース125が現像ローラ115から離れた攪拌スクリュ118bを現像ローラ115側に近づけるように形成されている。
攪拌スクリュ118aは、現像剤を長手方向(軸方向)に搬送しながら現像ローラ115に現像剤を供給する。
現像装置115から離脱した現像剤は攪拌スクリュ118bに回収され、ここで補給トナーと混合攪拌される。混合攪拌された現像剤は攪拌スクリュ118aに受け渡される。
このように構成することで、現像剤は矢印で示すように一方向に循環することになる。これにより、前述した一方向循環方式の問題点であった搬送速度の増加を抑制できる。
この現像装置160において、現像スリーブ132の表面に上記のような窪み139を形成することで、現像剤回収側の現像剤搬送を補助でき、攪拌スクリュ118の回転数を抑えることができる。
【0043】
上記各実施形態では、窪み139の現像スリーブ周方向の断面をV字状に形成しているが、図11に示すように、円弧状に形成しても良い。図示例では、窪み139のスリーブ周方向と長手方向の双方の断面を円弧状に形成している。
【0044】
この場合、図12に示すように、現像スリーブ132の周方向の断面における窪み139の内面と現像スリーブ132の外表面とのなす角度θは、前述した現像磁極の影響で発生する現像濃度差を避けるために60度以下であるのが好ましい。
窪み139の現像スリーブ132の長手方向と周方向の双方の断面を円弧状に形成した場合、窪み139内に収容できる現像剤の量を多くすることができ、十分な量の現像剤を搬送することができる。
また、窪み139のスリーブ周方向の断面形状は、図13及び図14に示すような形状としてもよい。図13は、V字状の窪み139の底が平坦に形成された場合を示し、図14は、V字状の窪み139の底が円弧状に形成された場合を示している。
【0045】
また、上記各実施形態では、図5に示すように、窪み139を現像スリーブ132の外表面に螺旋状に配置し、かつ各々の窪み139を若干弓状に湾曲して形成しているが、図15及び図16に示すように、窪み139を現像スリーブ132の長手方向に沿って直線状に形成しても良いとともに、複数の窪み139を現像スリーブ132の周方向に沿って直線状に配置しても良い。
図15及び図16では窪み139の傾きは省略している。
【0046】
図17及び図18に基づいて、上記トナーの構成を詳細に説明する。
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。
このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図17、図18は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【0047】
形状係数SF−1は、図17に示すように、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0048】
また、形状係数SF−2は、図18に示すように、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【符号の説明】
【0049】
106 プロセスカートリッジ
108 像担持体としての感光体ドラム
115 現像ローラ
118 現像剤搬送部材としての攪拌スクリュ
125 現像ケーシングとしてのケース
132 現像スリーブ
133 磁界発生手段としてのマグネットローラ
139 窪み
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2007−183533号公報
【特許文献2】特開2009−80447号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアから成る二成分現像剤を収容する現像ケーシングと、
像担持体に対向して配置され、表面に磁力で形成された現像剤ブラシで前記像担持体を摺擦し、前記像担持体上の潜像をトナー像として可視化する現像ローラと、
前記現像ローラの表面との間に所定の空隙をもって対向し、前記現像ローラが前記像担持体に対向する現像領域のローラ回転方向上流側で前記現像ローラ上の現像剤の層厚みを規制する現像剤規制部材とを有し、
前記現像ローラは、回転可能で現像剤を表面に担持する現像スリーブと、前記現像スリーブ内に固定して配置された磁界発生手段とを有し、前記磁界発生手段は、前記像担持体上の潜像を現像した後の現像剤を前記現像スリーブから離脱させるための磁気力を発生させる剤離れ上流側磁極と、該剤離れ上流側磁極と同極性で前記現像スリーブの回転方向下流に隣接した剤離れ下流側磁極とを備え、
前記現像スリーブの表面には長円状ないし楕円状の複数の凹みがスリーブ周方向及びスリーブ長手方向に配列されている現像装置において、
前記現像スリーブの長手方向端部における前記窪みは、前記現像スリーブ上の現像剤に、前記長手方向内方への搬送力を付与するように形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記窪みが規則的に配列されて形成されているとともに、前記現像スリーブの長手方向に対してその長軸が角度を有するように形成され、前記端部における前記窪みは内方の窪みに対して前記現像スリーブ上の現像剤の搬送方向が逆向きとなるように形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、
前記端部における前記窪みの前記現像スリーブの長手方向に対する角度は、前記内方の窪みの角度よりも大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置と、前記像担持体とを一体に有していること特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記現像装置で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の画像形成装置において、
前記現像装置で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナーとキャリアから成る二成分現像剤を収容する現像ケーシングと、
像担持体に対向して配置され、表面に磁力で形成された現像剤ブラシで前記像担持体を摺擦し、前記像担持体上の潜像をトナー像として可視化する現像ローラと、
前記現像ローラの表面との間に所定の空隙をもって対向し、前記現像ローラが前記像担持体に対向する現像領域のローラ回転方向上流側で前記現像ローラ上の現像剤の層厚みを規制する現像剤規制部材とを有し、
前記現像ローラは、回転可能で現像剤を表面に担持する現像スリーブと、前記現像スリーブ内に固定して配置された磁界発生手段とを有し、前記磁界発生手段は、前記像担持体上の潜像を現像した後の現像剤を前記現像スリーブから離脱させるための磁気力を発生させる剤離れ上流側磁極と、該剤離れ上流側磁極と同極性で前記現像スリーブの回転方向下流に隣接した剤離れ下流側磁極とを備え、
前記現像スリーブの表面には長円状ないし楕円状の複数の凹みがスリーブ周方向及びスリーブ長手方向に配列されている現像装置において、
前記現像スリーブの長手方向端部における前記窪みは、前記現像スリーブ上の現像剤に、前記長手方向内方への搬送力を付与するように形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記窪みが規則的に配列されて形成されているとともに、前記現像スリーブの長手方向に対してその長軸が角度を有するように形成され、前記端部における前記窪みは内方の窪みに対して前記現像スリーブ上の現像剤の搬送方向が逆向きとなるように形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、
前記端部における前記窪みの前記現像スリーブの長手方向に対する角度は、前記内方の窪みの角度よりも大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置と、前記像担持体とを一体に有していること特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記現像装置で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の画像形成装置において、
前記現像装置で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−58286(P2012−58286A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198348(P2010−198348)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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