現像装置および画像形成装置
【課題】 画像品質の低下を低コストで抑制することのできる現像装置を提供する。
【解決手段】 磁性トナーが表面に供給される供給領域と、表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、像担持体に形成された静電潜像を該トナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、現像剤担持体の移動方向であって現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、供給領域に近接配置され、供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および、記複数の磁極のうち、現像剤担持体の移動方向にみて現像領域とトナー層形成領域との間の領域に配置された所定磁極に現像剤担持体表面側から対向し、所定磁極との間に、収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えた。
【解決手段】 磁性トナーが表面に供給される供給領域と、表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、像担持体に形成された静電潜像を該トナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、現像剤担持体の移動方向であって現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、供給領域に近接配置され、供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および、記複数の磁極のうち、現像剤担持体の移動方向にみて現像領域とトナー層形成領域との間の領域に配置された所定磁極に現像剤担持体表面側から対向し、所定磁極との間に、収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、該像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置、および、この現像装置が備えられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、プリンタや複写機などの画像形成装置に用いられる現像装置として、静電潜像が形成される感光体ロールに対向して配備され、アルミ製やステンレス製の、必要に応じて表面にサンドブラスト等の手段により表面に凸凹を形成した円筒形状のスリーブの表面に担持した磁性トナーを感光体ロールとの間に形成された現像領域にこのスリーブを回転させることで搬送し、トナーを静電的に感光体ロール側に転移させることにより感光体ロールの表面に形成された静電潜像の現像を行なうものが知られている。
【０００３】
ところが、このようなスリーブを備えた現像装置では、スリーブ表面の最下層部へのトナーの付着により、その上層のトナーを適切に、例えば層厚規制部材により帯電させることができず、濃度低下やいわゆる現像ゴースト等の画像欠陥が発生しやすくなるという問題がある。
【０００４】
スリーブ表面へのトナーの付着は、スリーブの回転により何度も帯電部材と接触することで過帯電となり、静電気力によってスリーブ表面に強固に付着することに起因しており、スリーブ表面に付着するトナー粒子には、小粒径のものが多いことが報告されている。
【０００５】
そこで、導電性微粉末を含ませた樹脂被膜によってスリーブ表面を形成することで小粒径トナーの残留を抑制する提案がなされている（特許文献１参照）。
【０００６】
この提案によれば、被膜を樹脂にすることでトナー粒子の担持性を確保すると共に、樹脂に含ませた導電性微粉末によってスリーブ側に電荷を漏出させることでスリーブに付着したトナー粒子の過帯電が抑制されている。
【０００７】
ところが、このようにすると、高温高湿下においては電荷の漏出が激しくなり、却ってトナーへの帯電付与性が低下してトナーが低帯電過ぎることによる濃度低下等の画像欠陥が発生しやすくなるという問題がある。
【特許文献１】特開平１−２７６１７４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
そこで、トナーの粒度分布中の小粒径のトナー粒子の割合が少ないトナーを使用することが考えられる。
【０００９】
しかし、これだと、トナーの製造コストが膨大になるという問題がある。
【００１０】
本発明は、上記事情に鑑み、画像品質の低下を低コストで抑制することのできる現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記目的を達成するための本発明の現像装置は、
静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、この像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置において、
磁性トナーが表面に供給される供給領域と、この表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、上記像担持体に形成された静電潜像をこのトナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、
上記現像剤担持体の移動方向であってこの現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、
上記供給領域に近接配置され、この供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および
上記複数の磁極のうち、上記現像剤担持体の移動方向にみて上記現像領域と上記トナー層形成領域との間の領域に配置された所定磁極にこの現像剤担持体表面側から対向し、この所定磁極との間に、上記収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、この供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたことを特徴とする。
【００１２】
本発明の現像装置では、現像剤担持体の移動方向にみた、現像領域とトナー層形成領域の間の領域に配置された所定磁極と、この所定磁極に現像剤担持体表面側から対向した上記所定磁極と同極性の磁石部材との間に発生する反発磁界によって、収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、供給領域への進入を規制する。これにより、収容室内のトナーが供給領域へ過大に送り込まれることが抑制される。トナーが供給領域へ過大に送り込まれた場合、上記現像剤担持体の移動方向にみて上記現像領域と上記供給領域との間の領域（図２における領域Ｄ）に常に新たなトナーが送り込まれることとなる。一方、現像剤担持体上としては、回転することにより、トナーの粒度分布の中で相対的に小粒径の現像剤が現像剤担持体の表面（現像剤層中の下層）に強固に付着する状態となってしまうわけであるが、前記のように新たなトナーが常に現像剤担持体に供給され続けた場合、現像剤担持体の表面に付着しやすい小粒径トナーも常に現像剤担持体へ供給されることとなり、現像剤担持体の表面の小粒径化がさらに加速されることとなってしまう。結果、画像濃度低下や現像ゴースト等の問題を引き起こすこととなってしまう。したがって、本発明の現像装置によれば、現像剤担持体の表面への小粒径の磁性トナーの強固な付着を、磁石部材を備えることで抑えることができることから、濃度低下や現像ゴースト等の画像品質の低下を低コストで抑制することができる。
【００１３】
ここで、上記収容室が、収容している磁性トナーを、回転することで上記供給領域に向けて送り出すアジテータと、この供給領域につながりこのアジテータが回転することで送り出された磁性トナーが通過する開口とを有するものであり、
上記磁石部材が、上記収容室から上記開口を通って上記供給領域に送り出されてくる磁性トナーの、上記供給領域への進入を規制する反発磁界をこの開口近傍に生じさせるものであることが好ましく、あるいは、上記磁石部材が、上記トナー層形成領域に上記移動方向上流側で隣接した領域に配置された磁極に対してこの現像剤担持体表面側から対向するものであることも好ましい態様である。
【００１４】
このようにすると、収容室内のトナーの過大な供給領域への進入を予防することができ、これにより、現像剤担持体表面への小粒径トナーの強固な付着を効果的に抑制することができる。
【００１５】
上記目的を達成するための本発明の画像形成装置は、
静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、この像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置を備え、この像担持体に形成された静電潜像をこの現像装置を用いて現像することでこの像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像を最終的に所定の記録媒体上に転写および定着することによりこの記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
上記現像装置が、
磁性トナーが表面に供給される供給領域と、この表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、上記像担持体に形成された静電潜像をこのトナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、
上記現像剤担持体の移動方向であってこの現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、
上記供給領域に近接配置され、この供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および
上記複数の磁極のうち、上記現像剤担持体の移動方向にみて上記現像領域と上記トナー層形成領域との間に配置された所定磁極にこの現像剤担持体表面側から対向し、この所定磁極との間に、上記収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、この供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１６】
本発明の、現像装置および画像形成装置によれば、画像濃度低下や現像ゴースト等の画像品質の低下を低コストで抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【００１８】
図１は、本発明の現像装置の一実施形態を備えた、本発明の画像形成装置の一実施形態についての概略構成図である。
【００１９】
図１に示すプリンタ１は、筐体１０に覆われた、白黒画像用の電子写真方式の画像形成装置である。
【００２０】
このプリンタ１は、給紙部２０、用紙搬送部３０、画像形成部４０、および定着部５０で構成されており、画像形成部４０は、露光器４１、転写ロール４２、感光体ロール４３、帯電ロール４４、現像ロール４５、およびトナーカートリッジ４６で構成されている。
【００２１】
給紙部２０は、給紙トレイ２１とピックアップロール２２とで構成され、用紙搬送部３０は、搬送路３１とフィードロール３２と搬送ロール３３と排出ロール３４とで構成されている。また、定着部５０は、加熱ロール５１と加圧ロール５２とで構成されているが、これらは本発明とは無関係であるので詳細な説明は省略する。
【００２２】
図２は、トナーカートリッジの拡大図である。
【００２３】
図２に示すトナーカートリッジ４６には、内部に、矢印Ｚ方向に回転するアジテータ４９で撹拌した磁性トナー５０を、開口４６２を通じて現像ロール４５に向けて送り込むトナー収容室４６１、このトナー収容室４６１に供給される磁性トナー５０を収容するトナー供給室４６３、および、現像ロール４５の表面に担持した磁性トナーに摩擦帯電による電荷を付与すると共に層厚を規制する層厚規制部材４７が備えられている。
【００２４】
また、図２に示すトナーカートリッジ４６には、磁性トナー５０を表面に担持する現像ロール４５が取りつけられており、この現像ロール４５１は、磁性トナー５０を表面に担持しながら回転自在のスリーブ４５１と、この回転自在のスリーブ４５１の内側に、トナーカートリッジ４６に対し固定的に配設されたマグネットロール４５２とで構成されている。
【００２５】
スリーブ４５１は、磁性トナー５０がその表面に供給される供給領域Ａと、その表面に供給された磁性トナー５０を所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域Ｂと、矢印Ｙ方向に回転する感光体ロール４３の表面に形成された静電潜像をトナー層の磁性トナー５０によって現像する現像領域Ｃとを経由する矢印Ｘ方向に回転している。
【００２６】
マグネットロール４５２は、４つの磁極４５３ａ、４５３ｂ、４５３ｃ、４５３ｄが固定配置された、磁性トナー５０を磁気的に吸引するものである。
【００２７】
さらに、図２に示すトナーカートリッジ４６には、トナー収容室４６１から開口４６２を通って供給領域Ａに送り込まれてくる磁性トナー５０の、供給領域Ａへの進入を規制する反発磁界をこの開口４６２の近傍に生じさせる、トナー層形成領域Ｂに回転方向上流側で隣接した領域であるトナー供給領域Ａに配置された磁極４５３ｄに対しスリーブ４５１の表面側から磁極４５３ｄの極性（Ｓ極）と同極性である磁極（Ｓ極）を対向して配備された磁石部材４８が備えられている。
【００２８】
本実施形態のプリンタ１では、上述のように、マグネットロール４５２に配備された４つの磁極のうちの、トナー層形成領域Ｂに回転方向上流側で隣接した供給領域Ａに配置された磁極４５３ｄと、磁石部材４８とによって開口４６２の近傍に形成された反発磁界により、アジテータ４９の回転によってトナー収容室４６１から現像剤担持体４５に供給されるトナー量が制限される。これにより、現像剤担持体４５に強固に付着しやすい小粒径トナーが際限なく供給されることが抑制される。したがって、本実施形態のプリンタ１によれば、小粒径トナーがスリーブ４５１の表面に強固に付着することにより発生する画像品質の低下を、小粒径のものが取り除かれたトナーなどを用いることなく、即ち低コストで抑制することができる。
【００２９】
尚、以上に説明した実施形態では、トナー収容室４６１から開口４６２を通って供給領域Ａに送り込まれてくる磁性トナー５０の、供給領域Ａへの進入を規制する反発磁界を、トナー供給領域Ａに配置された磁極４５３ｄに対向して配備された磁石部材４８を備えることで、この開口４６２の近傍に生じさせる例を挙げて説明したが、本発明は、スリーブ４５１の回転方向にみて現像領域Ｃとトナー層形成領域Ｂの間の領域に配置された所定磁極にスリーブの表面側から対向し、この所定磁極との間に、トナー収容室４６１から送り込まれてくる磁性トナー５０の、供給領域Ａへの進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたものであればよく、トナー供給領域Ａに配備された磁極４５３ｄ寄りもスリーブ４５１の回転方向上流側に位置する磁極４５３ｃに対向する磁石部材を備えたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明の現像装置の一実施形態を備えた、本発明の画像形成装置の一実施形態についての概略構成図である。
【図２】トナーカートリッジの拡大図である。
【符号の説明】
【００３１】
１ プリンタ
２０ 給紙部
３０ 用紙搬送部
４０ 画像形成部
４１ 露光器
４２ 転写ロール
４３ 感光体ロール
４４ 帯電ロール
４５ 現像ロール
４５１ スリーブ
４５２ マグネットロール
４５３ａ、４５３ｂ、４５３ｃ、４５３ｄ 磁極
４６ トナーカートリッジ
４６１ トナー収容室
４６２ 開口
４６３ トナー供給室
４７ 層厚規制部材
４８ 磁石部材
４９ アジテータ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、該像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置、および、この現像装置が備えられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、プリンタや複写機などの画像形成装置に用いられる現像装置として、静電潜像が形成される感光体ロールに対向して配備され、アルミ製やステンレス製の、必要に応じて表面にサンドブラスト等の手段により表面に凸凹を形成した円筒形状のスリーブの表面に担持した磁性トナーを感光体ロールとの間に形成された現像領域にこのスリーブを回転させることで搬送し、トナーを静電的に感光体ロール側に転移させることにより感光体ロールの表面に形成された静電潜像の現像を行なうものが知られている。
【０００３】
ところが、このようなスリーブを備えた現像装置では、スリーブ表面の最下層部へのトナーの付着により、その上層のトナーを適切に、例えば層厚規制部材により帯電させることができず、濃度低下やいわゆる現像ゴースト等の画像欠陥が発生しやすくなるという問題がある。
【０００４】
スリーブ表面へのトナーの付着は、スリーブの回転により何度も帯電部材と接触することで過帯電となり、静電気力によってスリーブ表面に強固に付着することに起因しており、スリーブ表面に付着するトナー粒子には、小粒径のものが多いことが報告されている。
【０００５】
そこで、導電性微粉末を含ませた樹脂被膜によってスリーブ表面を形成することで小粒径トナーの残留を抑制する提案がなされている（特許文献１参照）。
【０００６】
この提案によれば、被膜を樹脂にすることでトナー粒子の担持性を確保すると共に、樹脂に含ませた導電性微粉末によってスリーブ側に電荷を漏出させることでスリーブに付着したトナー粒子の過帯電が抑制されている。
【０００７】
ところが、このようにすると、高温高湿下においては電荷の漏出が激しくなり、却ってトナーへの帯電付与性が低下してトナーが低帯電過ぎることによる濃度低下等の画像欠陥が発生しやすくなるという問題がある。
【特許文献１】特開平１−２７６１７４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
そこで、トナーの粒度分布中の小粒径のトナー粒子の割合が少ないトナーを使用することが考えられる。
【０００９】
しかし、これだと、トナーの製造コストが膨大になるという問題がある。
【００１０】
本発明は、上記事情に鑑み、画像品質の低下を低コストで抑制することのできる現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記目的を達成するための本発明の現像装置は、
静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、この像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置において、
磁性トナーが表面に供給される供給領域と、この表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、上記像担持体に形成された静電潜像をこのトナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、
上記現像剤担持体の移動方向であってこの現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、
上記供給領域に近接配置され、この供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および
上記複数の磁極のうち、上記現像剤担持体の移動方向にみて上記現像領域と上記トナー層形成領域との間の領域に配置された所定磁極にこの現像剤担持体表面側から対向し、この所定磁極との間に、上記収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、この供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたことを特徴とする。
【００１２】
本発明の現像装置では、現像剤担持体の移動方向にみた、現像領域とトナー層形成領域の間の領域に配置された所定磁極と、この所定磁極に現像剤担持体表面側から対向した上記所定磁極と同極性の磁石部材との間に発生する反発磁界によって、収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、供給領域への進入を規制する。これにより、収容室内のトナーが供給領域へ過大に送り込まれることが抑制される。トナーが供給領域へ過大に送り込まれた場合、上記現像剤担持体の移動方向にみて上記現像領域と上記供給領域との間の領域（図２における領域Ｄ）に常に新たなトナーが送り込まれることとなる。一方、現像剤担持体上としては、回転することにより、トナーの粒度分布の中で相対的に小粒径の現像剤が現像剤担持体の表面（現像剤層中の下層）に強固に付着する状態となってしまうわけであるが、前記のように新たなトナーが常に現像剤担持体に供給され続けた場合、現像剤担持体の表面に付着しやすい小粒径トナーも常に現像剤担持体へ供給されることとなり、現像剤担持体の表面の小粒径化がさらに加速されることとなってしまう。結果、画像濃度低下や現像ゴースト等の問題を引き起こすこととなってしまう。したがって、本発明の現像装置によれば、現像剤担持体の表面への小粒径の磁性トナーの強固な付着を、磁石部材を備えることで抑えることができることから、濃度低下や現像ゴースト等の画像品質の低下を低コストで抑制することができる。
【００１３】
ここで、上記収容室が、収容している磁性トナーを、回転することで上記供給領域に向けて送り出すアジテータと、この供給領域につながりこのアジテータが回転することで送り出された磁性トナーが通過する開口とを有するものであり、
上記磁石部材が、上記収容室から上記開口を通って上記供給領域に送り出されてくる磁性トナーの、上記供給領域への進入を規制する反発磁界をこの開口近傍に生じさせるものであることが好ましく、あるいは、上記磁石部材が、上記トナー層形成領域に上記移動方向上流側で隣接した領域に配置された磁極に対してこの現像剤担持体表面側から対向するものであることも好ましい態様である。
【００１４】
このようにすると、収容室内のトナーの過大な供給領域への進入を予防することができ、これにより、現像剤担持体表面への小粒径トナーの強固な付着を効果的に抑制することができる。
【００１５】
上記目的を達成するための本発明の画像形成装置は、
静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、この像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置を備え、この像担持体に形成された静電潜像をこの現像装置を用いて現像することでこの像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像を最終的に所定の記録媒体上に転写および定着することによりこの記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
上記現像装置が、
磁性トナーが表面に供給される供給領域と、この表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、上記像担持体に形成された静電潜像をこのトナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、
上記現像剤担持体の移動方向であってこの現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、
上記供給領域に近接配置され、この供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および
上記複数の磁極のうち、上記現像剤担持体の移動方向にみて上記現像領域と上記トナー層形成領域との間に配置された所定磁極にこの現像剤担持体表面側から対向し、この所定磁極との間に、上記収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、この供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１６】
本発明の、現像装置および画像形成装置によれば、画像濃度低下や現像ゴースト等の画像品質の低下を低コストで抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【００１８】
図１は、本発明の現像装置の一実施形態を備えた、本発明の画像形成装置の一実施形態についての概略構成図である。
【００１９】
図１に示すプリンタ１は、筐体１０に覆われた、白黒画像用の電子写真方式の画像形成装置である。
【００２０】
このプリンタ１は、給紙部２０、用紙搬送部３０、画像形成部４０、および定着部５０で構成されており、画像形成部４０は、露光器４１、転写ロール４２、感光体ロール４３、帯電ロール４４、現像ロール４５、およびトナーカートリッジ４６で構成されている。
【００２１】
給紙部２０は、給紙トレイ２１とピックアップロール２２とで構成され、用紙搬送部３０は、搬送路３１とフィードロール３２と搬送ロール３３と排出ロール３４とで構成されている。また、定着部５０は、加熱ロール５１と加圧ロール５２とで構成されているが、これらは本発明とは無関係であるので詳細な説明は省略する。
【００２２】
図２は、トナーカートリッジの拡大図である。
【００２３】
図２に示すトナーカートリッジ４６には、内部に、矢印Ｚ方向に回転するアジテータ４９で撹拌した磁性トナー５０を、開口４６２を通じて現像ロール４５に向けて送り込むトナー収容室４６１、このトナー収容室４６１に供給される磁性トナー５０を収容するトナー供給室４６３、および、現像ロール４５の表面に担持した磁性トナーに摩擦帯電による電荷を付与すると共に層厚を規制する層厚規制部材４７が備えられている。
【００２４】
また、図２に示すトナーカートリッジ４６には、磁性トナー５０を表面に担持する現像ロール４５が取りつけられており、この現像ロール４５１は、磁性トナー５０を表面に担持しながら回転自在のスリーブ４５１と、この回転自在のスリーブ４５１の内側に、トナーカートリッジ４６に対し固定的に配設されたマグネットロール４５２とで構成されている。
【００２５】
スリーブ４５１は、磁性トナー５０がその表面に供給される供給領域Ａと、その表面に供給された磁性トナー５０を所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域Ｂと、矢印Ｙ方向に回転する感光体ロール４３の表面に形成された静電潜像をトナー層の磁性トナー５０によって現像する現像領域Ｃとを経由する矢印Ｘ方向に回転している。
【００２６】
マグネットロール４５２は、４つの磁極４５３ａ、４５３ｂ、４５３ｃ、４５３ｄが固定配置された、磁性トナー５０を磁気的に吸引するものである。
【００２７】
さらに、図２に示すトナーカートリッジ４６には、トナー収容室４６１から開口４６２を通って供給領域Ａに送り込まれてくる磁性トナー５０の、供給領域Ａへの進入を規制する反発磁界をこの開口４６２の近傍に生じさせる、トナー層形成領域Ｂに回転方向上流側で隣接した領域であるトナー供給領域Ａに配置された磁極４５３ｄに対しスリーブ４５１の表面側から磁極４５３ｄの極性（Ｓ極）と同極性である磁極（Ｓ極）を対向して配備された磁石部材４８が備えられている。
【００２８】
本実施形態のプリンタ１では、上述のように、マグネットロール４５２に配備された４つの磁極のうちの、トナー層形成領域Ｂに回転方向上流側で隣接した供給領域Ａに配置された磁極４５３ｄと、磁石部材４８とによって開口４６２の近傍に形成された反発磁界により、アジテータ４９の回転によってトナー収容室４６１から現像剤担持体４５に供給されるトナー量が制限される。これにより、現像剤担持体４５に強固に付着しやすい小粒径トナーが際限なく供給されることが抑制される。したがって、本実施形態のプリンタ１によれば、小粒径トナーがスリーブ４５１の表面に強固に付着することにより発生する画像品質の低下を、小粒径のものが取り除かれたトナーなどを用いることなく、即ち低コストで抑制することができる。
【００２９】
尚、以上に説明した実施形態では、トナー収容室４６１から開口４６２を通って供給領域Ａに送り込まれてくる磁性トナー５０の、供給領域Ａへの進入を規制する反発磁界を、トナー供給領域Ａに配置された磁極４５３ｄに対向して配備された磁石部材４８を備えることで、この開口４６２の近傍に生じさせる例を挙げて説明したが、本発明は、スリーブ４５１の回転方向にみて現像領域Ｃとトナー層形成領域Ｂの間の領域に配置された所定磁極にスリーブの表面側から対向し、この所定磁極との間に、トナー収容室４６１から送り込まれてくる磁性トナー５０の、供給領域Ａへの進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたものであればよく、トナー供給領域Ａに配備された磁極４５３ｄ寄りもスリーブ４５１の回転方向上流側に位置する磁極４５３ｃに対向する磁石部材を備えたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明の現像装置の一実施形態を備えた、本発明の画像形成装置の一実施形態についての概略構成図である。
【図２】トナーカートリッジの拡大図である。
【符号の説明】
【００３１】
１ プリンタ
２０ 給紙部
３０ 用紙搬送部
４０ 画像形成部
４１ 露光器
４２ 転写ロール
４３ 感光体ロール
４４ 帯電ロール
４５ 現像ロール
４５１ スリーブ
４５２ マグネットロール
４５３ａ、４５３ｂ、４５３ｃ、４５３ｄ 磁極
４６ トナーカートリッジ
４６１ トナー収容室
４６２ 開口
４６３ トナー供給室
４７ 層厚規制部材
４８ 磁石部材
４９ アジテータ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、該像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置において、
磁性トナーが表面に供給される供給領域と、該表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、前記像担持体に形成された静電潜像を該トナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、
前記現像剤担持体の移動方向であって該現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、
前記供給領域に近接配置され、該供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および
前記複数の磁極のうち、前記現像剤担持体の移動方向にみて前記現像領域と前記トナー層形成領域との間の領域に配置された所定磁極に該現像剤担持体表面側から対向し、該所定磁極との間に、前記収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、該供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項２】
前記収容室が、収容している磁性トナーを、回転することで前記供給領域に向けて送り出すアジテータと、該供給領域につながり該アジテータが回転することで送り出された磁性トナーが通過する開口とを有するものであり、
前記磁石部材が、前記収容室から前記開口を通って前記供給領域に送り出されてくる磁性トナーの、前記供給領域への進入を規制する反発磁界を該開口近傍に生じさせるものであることを特徴とする請求項１記載の現像装置。
【請求項３】
前記磁石部材が、前記トナー層形成領域に前記移動方向上流側で隣接した領域に配置された磁極に対して該現像剤担持体表面側から対向するものであることを特徴とする請求項１記載の現像装置。
【請求項４】
静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、該像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置を備え、該像担持体に形成された静電潜像を該現像装置を用いて現像することで該像担持体上にトナー像を形成し、該トナー像を最終的に所定の記録媒体上に転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
前記現像装置が、
磁性トナーが表面に供給される供給領域と、該表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、前記像担持体に形成された静電潜像を該トナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、
前記現像剤担持体の移動方向であって該現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、
前記供給領域に近接配置され、該供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および
前記複数の磁極のうち、前記現像剤担持体の移動方向にみて前記現像領域と前記トナー層形成領域との間に配置された所定磁極に該現像剤担持体表面側から対向し、該所定磁極との間に、前記収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、該供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項１】
静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、該像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置において、
磁性トナーが表面に供給される供給領域と、該表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、前記像担持体に形成された静電潜像を該トナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、
前記現像剤担持体の移動方向であって該現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、
前記供給領域に近接配置され、該供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および
前記複数の磁極のうち、前記現像剤担持体の移動方向にみて前記現像領域と前記トナー層形成領域との間の領域に配置された所定磁極に該現像剤担持体表面側から対向し、該所定磁極との間に、前記収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、該供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項２】
前記収容室が、収容している磁性トナーを、回転することで前記供給領域に向けて送り出すアジテータと、該供給領域につながり該アジテータが回転することで送り出された磁性トナーが通過する開口とを有するものであり、
前記磁石部材が、前記収容室から前記開口を通って前記供給領域に送り出されてくる磁性トナーの、前記供給領域への進入を規制する反発磁界を該開口近傍に生じさせるものであることを特徴とする請求項１記載の現像装置。
【請求項３】
前記磁石部材が、前記トナー層形成領域に前記移動方向上流側で隣接した領域に配置された磁極に対して該現像剤担持体表面側から対向するものであることを特徴とする請求項１記載の現像装置。
【請求項４】
静電潜像が形成される像担持体に対向して配備され、該像担持体に形成された静電潜像を磁性トナーによって現像する現像装置を備え、該像担持体に形成された静電潜像を該現像装置を用いて現像することで該像担持体上にトナー像を形成し、該トナー像を最終的に所定の記録媒体上に転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
前記現像装置が、
磁性トナーが表面に供給される供給領域と、該表面に供給された磁性トナーを所定厚さのトナー層に形成するトナー層形成領域と、前記像担持体に形成された静電潜像を該トナー層の磁性トナーによって現像する現像領域とを経由して循環移動する現像剤担持体、
前記現像剤担持体の移動方向であって該現像剤担持体の裏面側に複数の磁極が固定配置され磁性トナーを磁気的に吸引する固定マグネット、
前記供給領域に近接配置され、該供給領域に送り込む磁性トナーを収容した収容室、および
前記複数の磁極のうち、前記現像剤担持体の移動方向にみて前記現像領域と前記トナー層形成領域との間に配置された所定磁極に該現像剤担持体表面側から対向し、該所定磁極との間に、前記収容室から送り込まれてくる磁性トナーの、該供給領域への進入を規制する反発磁界を形成する磁石部材を備えたものであることを特徴とする画像形成装置。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００６−１６３２３８（Ｐ２００６−１６３２３８Ａ）
【公開日】平成１８年６月２２日（２００６．６．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−３５７９３３（Ｐ２００４−３５７９３３）
【出願日】平成１６年１２月１０日（２００４．１２．１０）
【出願人】（０００００５４９６）富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年６月２２日（２００６．６．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年１２月１０日（２００４．１２．１０）
【出願人】（０００００５４９６）富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Ｆターム（参考）】
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