説明

現像装置および画像形成装置

【課題】劣化トナーを吐き出すことによるトナー消費量の増大という問題点を解決するとともに、劣化トナーの蓄積によって形成される画像品質の低下を防止する。
【解決手段】トナーを収納する容器と前記容器内に、前記トナーで像担持体の潜像を現像する現像ローラーを設けた現像室503と、前記容器内に、前記トナーを撹拌する撹拌部材を有し、前記現像室へトナーを補給する前記現像ローラーの軸方向の中心部よりも両端部側が低い、トナー補給口505を有する撹拌室とを備えた現像装置およびそれを用いた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体上の静電潜像を一成分現像剤で現像する現像装置と、それを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体の表面に形成された静電潜像を露光形成する電子写真記録方式の画像形成装置が知られており、この画像形成装置では静電潜像を現像装置によりトナーにて現像して潜像担持体表面のトナー像を、記録用紙など記録媒体に転写して画像を形成している。
【0003】
キャリアーを含まない、いわゆる一成分現像剤はキャリアーを混合する必要がないので装置が小型である等の利点を有している。
非磁性体の一成分現像剤を用いる非磁性一成分現像方式は、トナーが磁性を有さないので、現像剤担持体に補給ローラー等を圧接して現像剤担持体上にトナーを供給して静電気的に保持させ、規制部材により薄層化して現像するものであり、また、有色の磁性体を含有しないためカラー画像の形成装置に好適であるという利点がある。
【0004】
一方、一成分現像方式では、キャリアーのような安定した帯電、搬送手段がないため、長時間の使用や高速化による帯電、搬送の不良を起こす劣化トナーが生じやすい。
この原因としては、ローラー、撹拌翼等によってトナーに加えられた圧力によって、流動性の改善等の目的で添加されている疎水性シリカ等の外添剤が次第にトナー母粒子に埋め込まれたり、外添剤がトナーの表面から遊離によるトナーの流動性の低下、あるいはトナーの破砕による小粒径トナーの増大による流動性の低下、流動性の低下したトナーが相互に凝集することによる凝集塊の発生などが考えられる。
【0005】
劣化トナーによって流動性が低下すると、現像装置内でのトナーの摩擦帯電が不充分となり、所望の帯電極性とは逆極性のトナーが生じる。この逆極性のトナーは、やはり、画像のカブリとして観察される。また、流動性の低下したトナーやそれらの凝集塊は、現像ローラと規制部材の接触部を円滑に通過することができないため、その帯電が不足して、画像のカブリを生じさせたりする。さらに、凝集塊は、現像ローラと規制部材の接触部における機械的力及び摩擦熱により、現像ローラーあるいは規制部材の表面にトナーが融着する、いわゆる、フィルミング現象を生じたり、凝集塊が極端に大きな場合には、そのまま接触部に詰まってしまう。その結果、フィルミング等が発生した接触部では、現像剤ローラー上にトナーの層が形成されず、そこに対応する画像には、トナーが付着しない画像抜けとして観察される。
【0006】
そこで、劣化したトナーによって画像が形成されないようにするために、現像装置内の劣化トナーを劣化していないトナーとともに吐き出して、廃トナーとして廃棄して劣化トナーを減少させる方法が種々提案されているが、トナーの消費量の増加につながるという問題点があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−017769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記したような従来の劣化トナー対策として行われている方法では、劣化したトナーを劣化していないトナーと共に吐き出したり、あるいは劣化したトナーのみを吐き出すものであって、トナー消費量が増大するという問題点を有している。
本発明は、劣化トナーを吐き出すことによるトナー消費量の増大という問題点を解決するとともに、劣化トナーの蓄積によって形成される画像品質の低下を防止することを解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、トナーを収納する容器と、前記容器内に、前記トナーで像担持体の潜像を現像する現像ローラーを設けた現像室と、前記容器内に、前記トナーを撹拌する撹拌部材を有し、前記現像室へトナーを補給する前記現像ローラーの軸方向の両端部よりも中央部が高い、トナー補給口を有する撹拌室と、を備えた現像装置である。
このように、トナーはトナー補給口の中心部を中心にして撹拌室において撹拌されながらトナー補給口から現像室へと供給されるので、流動性が低下した劣化トナーも速やかに現像室へ送られて現像に使用されるので、劣化トナーの滞留によっ形成される画像の劣化を防止することができる。
【0010】
また、前記撹拌部材は、中央部の現像ローラーに平行な部分と、両端部の傾斜した部分からなり、それぞれの回転軸の中心線が前記トナー補給口に沿って配置される前記の現像装置である。
このように、中央部の現像ローラーに平行な部分と、両端部の傾斜した部分からなり、それぞれの回転軸の中心線が前記トナー補給口に沿って配置されているので、撹拌部材によって撹拌されながら、トナー補給口から現像室へと送られるので、流動性が低下した劣化したトナーも速やかに現像に供される、
【0011】
前記トナー補給口の両端部は、現像室内に設けた供給ローラーの上部よりも高い位置に配置された現像装置であるので、供給ローラー上に円滑に供給される。
また、前記撹拌部材の両端部に設けた傾斜部はそれぞれ軸の回転に伴ってトナーを中央部へと押し上げる力を作用するスパイラル部材を設けた前記の現像装置であるので、トナーには、下方への重力の加速度と共に、傾斜した回転軸に沿って上方へ押し上げられる力が作用するので、流動性が低下した劣化トナーは、流動性が大きなトナーに比べて中央部へ押し上げられる結果、トナー補給口の中央部から現像室へ優先して補給されるので、劣化トナーが撹拌室内での滞留を防止することができる。
また、前記撹拌部材の中央部と両端部は、自在継手によって結合して駆動される前記の現像装置であるので駆動機構が簡単になり、小型で保守が簡単な現像装置を提供することができる。
【0012】
また、前記現像室内のトナーを前記撹拌室へ搬送する搬送手段を有する前記の現像装置であるので、現像室内に滞留したトナーを撹拌室へ搬送し、劣化トナーを現像ローラーの軸方向の中心部から現像室内に補給することができるので、現像室内の両端部等に劣化トナーが滞留することが防止されるので、品質が優れた画像を得ることが可能な現像装置を提供することができる。
【0013】
また、静電潜像が形成される潜像担持体と、前記静電潜像をトナーにより現像して前記潜像担持体にトナー像を現像する現像装置と、前記潜像担持体のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、を備え、現像装置として前記の現像装置を備えた画像形成装置であるので、劣化トナーを速やかに使用することによって画質の低下を防止することが可能となる。更に、劣化トナーを廃トナーとして廃棄する等の必要がなく、トナーの利用効率が大きく、経済性にも優れた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の現像装置とそれを用いた画像形成装置を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の一実施態様の現像装置を説明する図であり、図2(A)は斜視図を示し、図2(B)は、平面図を示す。また、図2(C)は、正面図である。
【図3】図3は、本発明の他の実施態様の現像装置の断面を説明する図であり、図3(A)は、図2(C)においてA−A線で切断した図であり、図3(B)は、図2(C)においてB−B線で切断した図を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施態様の現像装置を説明する図であり、図4(A)は斜視図、図4(B)は、平面図、図4(C)は、正面図である。
【図5】図5は、現像装置の断面を説明する図であり、図5(A)は、図4(C)においてA−A線で切断した図であり、図5(B)は、図4(C)においてB−B線で切断面を説明する。
【図6】図6は、本発明の他の実施態様の現像装置を説明する図であり、図6(A)は斜視図、図6(B)は、平面図、図6(C)は、正面図である。
【図7】図7は、現像装置の断面を説明する図であり、図7(A)は、図6(C)においてA−A線で切断した図であり、図7(B)は、図6(C)においてB−B線で切断した図を説明する図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施態様の現像装置を説明する図であり、図8(A)は斜視図、図8(B)は、平面図、図8(C)は、正面図である。
【図9】図9は、現像装置の断面を説明する図であり、図9(A)は、図8(C)においてA−A線で切断した図であり、図9(B)は、図8(C)においてB−B線での切断面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の現像装置とそれを用いた画像形成装置を説明する図である。
画像形成装置1は、4色の画像形成ユニット15Y、15M、15C、15K、像担持体上に形成されたトナー像を転写する転写ベルト70、転写ベルト上に転写されたトナー像を、紙等の転写材に転写する転写材への転写装置80、更に記録媒体上のトナー像を定着する、定着装置90、各種の情報の表示を行う表示装置95、及び、これらの各装置を制御し画像形成装置としての動作を司る制御装置100を有している。
画像形成ユニット15Y、15M、15C、15Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーで画像を形成する機能を有している。
【0016】
以下、各画像形成ユニット15Y、15M、15C、15Kの構成は同様であるため、画像形成ユニット15Yを代表し、各色を示す末尾のアルファベットを省略して説明する。
画像形成ユニット15は、像担持体の一例としての感光体20の回転方向に沿って、帯電装置30、露光装置40、現像装置50、転写部B1、感光体クリーニング装置75を有している。
感光体20は、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては矢印で示すように時計回りに回転する。帯電装置30は、感光体20を帯電するための装置である。露光装置40からは、光を照射することによって帯電された感光体20上に静電潜像を形成する。
【0017】
露光装置40は、発光ダイオード、有機エレクトロルミネッセンス素子等を印字幅に列状に配置したいわゆるラインヘッド状の発光素子と光学系からなるもの、あるいは半導体レーザとポリゴンミラー、F−θレンズ等の光学系からなるものであって、パーソナルコンピューター等から送られた画像信号に基づいて変調されたレーザーを帯電された感光体20上に照射する。
【0018】
現像装置50は、感光体20上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し、感光体20上にトナー像を形成する装置であり、後に詳述するように、撹拌室520と現像室503から構成されている。撹拌室520には、現像ローラーの軸方向の中心部に向けて上方へ向けて傾斜する撹拌軸を有したトナーを撹拌する撹拌部材521を有し、撹拌部材521には回転によって上方へとトナーを押し上げる作用をするスパイラル状の撹拌翼を有している。また、撹拌部材によって撹拌されると共に押し上げられたトナーを現像室へ補給するトナー補給口505を有している。
【0019】
転写部B1、B2、B3、B4は、各感光体20に形成されたトナー像を転写ベルト70に転写する部位である。4個の転写部B1、B2、B3、B4で4色のトナー像が順次重ねて転写された場合には、転写ベルト70にフルカラートナー像が形成される。転写ベルト70は、ベルト駆動ローラー71a、従動ローラー71bに張架されたエンドレスのベルトであり、各感光体20と当接しながら回転駆動される。
転写材への転写装置80は、転写ベルト70上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を紙、フィルム、布等の転写材に転写するための装置である。
【0020】
定着装置90は、加熱された定着ローラー90aと加圧ローラー90bにより構成され、転写材上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を転写材に熱融着させてトナー像を固定する装置である。感光体クリーニング装置75は、感光体20の表面に当接されたローラーやブレード等からなる感光体クリーニング部材を有し、転写部B1で転写ベルト70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーを感光体クリーニング部材により掻き落として除去するための装置である。
【0021】
次に、このように構成された画像形成装置の動作について説明する。まず、パーソナルコンピューター等(図示しない)からの画像信号及び制御信号がインターフェイスを介して画像形成装置の制御ユニット100に入力されると、この制御装置100の制御により感光体20、現像ユニット50に備えられた現像ローラー、及び転写ベルト70などが回転する。感光体20は、回転しながら、帯電位置において帯電装置30により順次帯電される。
【0022】
感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、各色の画像情報に応じた静電潜像が該領域に形成される。感光体20上に形成された静電潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、現像ユニット50によって現像される。これにより、感光体20上にトナー像が形成される。感光体20上に形成されたトナー像は、感光体20の回転にともなって転写部B1位置に至り、トナーの帯電極性とは逆の極性の転写電圧が印加され転写ベルト70に転写される。この結果、各感光体20(Y、M、C、K)上に形成された4色のトナー像は、転写ベルト70に重なり合って転写され、転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。
【0023】
転写ベルト70は、モータ等のベルト駆動手段からの駆動力がベルト駆動ローラー71aを介して伝達されることによって駆動される。転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、転写材への転写装置80によって紙等の転写材に転写される。この転写材は、給紙トレイ92から、給紙ローラ94a、レジストローラ94bを介して転写材への転写装置80へ搬送される。転写材に転写されたフルカラートナー像は、定着装置90によって加熱・加圧されて転写材に融着される。定着装置90の通過後、排紙ローラー90cにより排紙される。
【0024】
一方、感光体20は、転写部B1位置を経過した後に、除電手段(図示しない)によって除電され、さらに、感光体クリーニング装置75において、感光体20の表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の静電潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、感光体クリーニングユニット75が備える残存トナー回収部に回収される。転写材への転写後の中間転写ベルト70は、従動ローラー71b側に配置された転写ベルトクリーニング装置72によってクリーニングされる。
【0025】
図2は、本発明の一実施態様の現像装置を説明する図であり、図2(A)は斜視図を示し、図2(B)は、平面図を示す。また、図2(C)は、正面図である。
なお、図1の説明と同様、各色の現像装置50Y、50M、50C、50Kの構成は同様であるため、各色を示すアルファベットの添え字は省略して説明を行う。
現像装置50は、外装体501内に現像室503と現像室内にトナーを補給するトナー補給口505によって連通したトナーの撹拌室520を有している。図は、撹拌室520の外装体を取り除いたものである。
トナーは、撹拌室520に設けた撹拌部材521によって撹拌されて、トナ補給口505を通じて現像室503へ送られる。
【0026】
トナー補給口505は、現像ローラー507の軸方向を基準線にして、トナー補給口505の中央部の高さがトナー補給口505の両端部に比べて高くなるように傾斜している。
一方、撹拌室520に設けた撹拌部材521は、現像ローラーの軸方向に平行な回転軸を有した撹拌部材の中央部に位置する中央撹拌部材523と共に、両端部から中央撹拌部材523に向けて撹拌軸525A、525Bが上方へ向かって傾斜して配置されたスパイラル状撹拌部材527Aおよび527Bを有している。
【0027】
中央撹拌部材523、スパイラル状撹拌部材527Aおよび527Bは、撹拌によってトナーをトナー補給口505方向へ移動させる方向に向けて回転し、トナー補給口505から現像室503へとトナーを補給する。
また、スパイラル状撹拌部材527Aおよび527Bには、撹拌軸の回転の伴って撹拌軸の傾斜に沿ってトナーを上方へ押し上げるスパイラル翼529Aおよび529Bが形成されている。
これらの中央撹拌部材523、スパイラル状撹拌部材527Aおよび527Bは、個別の駆動源によって駆動されるものであっても、相互の撹拌軸を自在継手によって結合した一体に駆動されるものであっても良い。
【0028】
傾斜したスパイラル状撹拌部材527Aおよび527Bの回転によってトナーには回転軸の傾斜に沿って押し上げる力を作用するので、トナーには下方へ向かう重力の加速度と共にスパイラル撹拌部材による傾斜に沿って押し上げる力が働くこととなる。
ところが、流動性が低下した劣化トナーは、スパイラル状撹拌部材による押し上げる方向の力をより大きく受けるために、流動性が大きなトナーの中から浮かび上がるようになる。
その結果、劣化トナーは中央撹拌部材523側へと送られる割合が多くなり、劣化トナーがトナー補給口505の現像ローラーの軸方向の中央部に位置する部分から現像室503へと補給される。その結果、撹拌室520内、特にその両端部の壁面の近傍には劣化したトナーの滞留を防止することができる。
また、現像室503では、現像ローラー507の軸方向の中央部のトナー補給口から補給されたトナーは、両側に広がるものの、供給ローラーに供給される割合は、補給口の現像ローラーの軸方向の両端部から補給されたトナーに比べてより多く現像に使用されるので、現像室内に劣化トナーが長く残留することを防止することができる。
【0029】
図3は、現像装置の断面を説明する図であり、図3(A)は、図2(C)においてA−A線で切断した図であり、図3(B)は、図2(C)においてB−B線で切断した図を説明する図である。
図3に示す現像装置50は、外装体501内に現像室503と現像室内にトナーを補給するトナー補給口505によって連通した撹拌室520を有しており、現像室503には、現像ローラー507と、トナー補給口505から供給されたトナーを現像ローラー507へ供給する供給ローラー509を有している。
トナーは、撹拌室520内で撹拌部材521を構成する、スパイラル状撹拌部材527A、527Bによって撹拌されてトナー補給口505方向へ押し出されると共に、中央撹拌部523方向へ押し上げられる。
特に劣化トナーは,流動性が低下しているため、より多くが中央撹拌部材523へと押し上げられてトナー補給口505を通じて現像室503へ送られる。
現像室内には、トナー補給口505の両端部よりも下部に供給ローラー509の上部が位置するようにトナー補給口505が配置されており、供給ローラー509上に付着したトナーは、供給ローラー509と互いに反対方向へ回転する現像ローラー507へ供給され、現像ローラー507のトナーによって感光体に担持された潜像をトナー像として現像して可視化する。
供給ローラー509は、ポリウレタン等の発泡体等からなり、現像ローラに押圧されて変形した状態で現像ローラ507に当接している。供給ローラ509は現像装置の外装体501に支持されており、回転軸を中心に現像ローラ507の回転方向と逆の方向に回転する。なお、供給ローラー509の回転方向は、現像ローラ507の回転方向と同方向に回転するものとしても良い。
【0030】
また、現像ローラ507に当接して規制ブレード511が配置されており、現像ローラ507に担持されたトナーに電荷を付与するとともに、担持されたトナーの層厚を規制する。規制ブレード511のブレード部分には、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどの弾性体が用いられる。
また、現像ローラ507は、金属製であり、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、軟鋼などにより製造することができる。また、現像ローラ507は現像装置の外装体501に支持されており、回転軸を中心に感光体20の回転と順回転(現像位置において、感光体20の回転の接線方向の速度の向きと現像ローラ507の回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)に回転する。なお、規制ブレード511を金属性の薄板部材とし、現像ローラ507を弾性体部材としてもよい。
【0031】
以上に説明した画像形成装置においては、トナーから外添剤の剥がれ、あるいはトナー母粒子中への埋め込み等によって流動性が低下した劣化トナーは、撹拌部材による撹拌力が及びにくい撹拌室520内、特にその両端部の壁面の近傍に滞留することはなく優先して現像に使用することができるので、トナーの有効利用を図ることができる。
【0032】
次に本発明の他の実施態様を説明する。
図4は、本発明の他の実施態様の現像装置を説明する図であり、図4(A)は斜視図、図4(B)は、平面図、図4(C)は、正面図である。
図2および図3で示した現像装置は、撹拌室から現像室内へトナー補給口からトナーを補給するトナー供給搬送路を有しているのみであるのに対して、図4に示した現像装置50は、現像に使用されずに現像室内で滞留したトナーを循環使用するために撹拌室へ回収するトナー回収搬送路601を設けたものである。トナー回収搬送路601には各種の搬送手段を用いることができるが、スクリューの回転によってトナーを搬送するスクリューコンベア、スパイラルコンベア等を用いることができる。
【0033】
トナー回収搬送路601は、現像室503の下部に連通しており、現像室内のトナーは、現像室の両端部に設けた搬送手段603,605によって撹拌室の両端部から撹拌室520へと回収される。
【0034】
回収されたトナーは、撹拌室520の両端部から中央部に向けて上方へ傾斜した撹拌軸525A,525Bを有し、撹拌軸の回転によって斜め上方へ力を作用するスパイラル状撹拌部材527Aおよ527Bによって、撹拌軸に沿って斜め上方へと押し上げられる。このとき、現像室内において供給ローラーと現像ローラーによって押圧されて、外添剤が剥がれたり、外添剤がトナー母粒子に埋め込まれる等の現象によって流動性が低下した劣化トナーは、中央部へと押し上げられ、撹拌部材の撹拌軸方向の中央に位置する中央撹拌部材523によって、トナー補給口505の現像ローラーの回転軸の中央部から現像室503に供給されて速やかに現像に使用される。
【0035】
図5は、現像装置の断面を説明する図であり、図5(A)は、図4(C)においてA−A線で切断した図であり、図5(B)は、図4(C)においてB−B線で切断面を説明する。
図5に示すように、現像装置50は、現像室503の下部に残留したトナーを回収して循環使用するために現像室の下部にトナー回収搬送路601を設けられている。トナー回収搬送路601には各種の搬送手段を用いることができるが、スクリューの回転によってトナーを搬送するスクリューコンベア、スパイラルコンベア等を用いることができる。
【0036】
トナー回収搬送路601は、現像室503の下部に連通しており、現像室内のトナーは、現像室の両端部に設けた搬送手段(図示しない)によって撹拌室の両端部から撹拌室520へと回収され、撹拌軸の回転によって斜め上方へ力を作用するスパイラル状撹拌部材527Aおよ527Bによって、撹拌軸に沿って斜め上方へと押し上げられる。
【0037】
図6は、本発明の他の実施態様の現像装置を説明する図であり、図6(A)は斜視図、図6(B)は、平面図、図6(C)は、正面図である。
なお、図2の説明と同様、各色の現像装置50Y、50M、50C、50Kの構成は同様であるため、各色を示すアルファベットの添え字は省略して説明を行う。
現像装置50は、外装体501内に現像室503と、現像室503と現像室内にトナーを供給するトナー供給口504によって連通したトナー貯溜室502と、トナー貯溜室502内にトナーを補給するトナー補給口505によって連通したトナー撹拌室520を有している。図では、トナー撹拌室520等の外装体を取り除いて示している。
トナーは、トナー撹拌室520に設けた撹拌部材521によって撹拌されて、トナ補給口505を通じて現像室503との間に位置するトナー貯溜室502へ送られる。
【0038】
トナー補給口505は、現像ローラー507の軸方向を基準線にして、トナー補給口505の中央部の高さがトナー補給口505の両端部に比べて高くなるように傾斜している。
一方、撹拌室520に設けた撹拌部材521は、現像ローラーの軸方向に平行な回転軸を有した撹拌部材の中央部に位置する中央撹拌部材523と共に、両側から中央撹拌部材523に向けて撹拌軸525A、525Bが上方へ向かって傾斜して配置されたスパイラル状撹拌部材を527Aおよび527Bを有している。
【0039】
中央撹拌部材523、スパイラル状撹拌部材527Aおよび527Bは、撹拌によってトナーをトナー補給口505方向へ移動させる方向に向けて回転し、トナー補給口505からトナー貯溜室502へとトナーを補給する。
また、スパイラル状撹拌部材527Aおよび527Bの傾斜した撹拌軸525A、525Bには、撹拌軸の回転の伴って撹拌軸の傾斜に沿ってトナーを上方へ押し上げるスパイラル翼529A、529Bが形成されている。また、中央撹拌部材523、スパイラル状撹拌部材527Aおよび527Bは、個別の駆動源によって撹拌されるものであっても、相互の撹拌軸を自在継手によって結合して一体に駆動しても良い。
【0040】
トナーには傾斜したスパイラル状撹拌部材525Aおよび525Bの回転によって回転軸の傾斜に沿って押し上げる力が作用するが、流動性が低下した劣化トナーは、スパイラル状撹拌部材による押し上げる方向の力をより大きく受ける。
その結果、劣化したトナーは中央撹拌部材523側へと送られる割合が多くなり、現像ローラーの軸方向の中央部のトナー補給口からトナー貯溜室502へと供給されることとなるので、撹拌室520内に劣化したトナーが滞留することを防止することができる。
また、トナー貯溜室502に送られたトナーは、撹拌供給部材506によって撹拌されると共に、トナー供給口504を通じて現像室503へ送られる。
現像室503においても、現像ローラーの中央部のトナー供給口504から供給されたトナーは、両側に広がるものの現像に優先的に使用されるので、劣化トナーが長く残留することを防止することができる。
また、トナー貯溜室を設けることによって、現像室には現像で消費された量のみを供給することによって、現像室内において長期間滞留して、供給ローラーと現像ローラーによって押圧を受ける機会を減少させることができる。
【0041】
図7は、現像装置の断面を説明する図であり、図7(A)は、図6(C)においてA−A線で切断した図であり、図7(B)は、図6(C)においてB−B線で切断した図を説明する。
現像装置50の外装体501内の現像室503は、現像室内にトナーを供給するトナー供給口504によりトナー貯溜室502と連通している。トナー貯溜室502は、トナー貯溜室502にトナーを補給するトナー補給口505によりトナー貯溜室502と連通している。現像室503には、現像ローラー507と、トナー供給口504から供給されたトナーを現像ローラー507へ供給する供給ローラー509を有している。
スパイラル状の撹拌翼を有する撹拌部材525Aによって撹拌されて、回転軸方向を基準にした中央部からトナー補給口505に送られた流動性が低下した劣化トナーは、トナー貯溜室502へ送られた後に、撹拌供給部材506によって現像室503へ送られる。
【0042】
撹拌供給部材506は、撹拌軸の周囲に平板状の撹拌翼を有しており、撹拌軸を中心にした外周方向の先端部には、撹拌軸を中心とした円の接戦方向にパケットあるいはパドル状の部材を設けられている。このようにすることによって、撹拌部材506の一回転当たりのトナー供給口504から現像室503へ供給されるトナー量を定量化することができ、現像室内におけるトナーの滞留量を減少させることができる。
【0043】
更に、図7(B)に、撹拌軸方向の端部に位置するB−B線での断面図に示すように、トナー貯溜室502の撹拌軸方向の端部の底部には、撹拌室520と連通するトナー返送口508を有している。
トナー貯溜室502内において滞留してトナー貯溜室内の両端部に滞留したトナーは、トナー返送口508を通じて撹拌室内へ送られて、スパイラル状撹拌翼を有する撹拌部材527Bによって撹拌軸の中央部付近へと押し上げられた後に、再度トナー貯溜室502の中央部付近へと送られた後に、現像室503へと送られて速やかに現像に利用される。したがって、劣化トナーが残留して劣化トナーの割合が増加することを防止することができる。
【0044】
図8は、本発明の他の実施態様の現像装置を説明する図であり、図8(A)は斜視図、図8(B)は、平面図、図8(C)は、正面図である。
図6および

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収納する容器と、
前記容器内に、前記トナーで像担持体の潜像を現像する現像ローラーを設けた現像室と、前記容器内に、前記トナーを撹拌する撹拌部材を有し、前記現像室へトナーを補給する前記現像ローラーの軸方向の両端部よりも中央部が高い、トナー補給口を有する撹拌室と、を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記撹拌部材は、中央部の現像ローラーに平行な部分と、両端部の傾斜した部分からなり、それぞれの回転軸の中心線が前記トナー補給口に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記トナー補給口の両端部は、現像室内に設けた供給ローラーの上部の高さ以上の位置に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記撹拌部材の両端部に設けた傾斜部はそれぞれ軸の回転に伴ってトナーを中央部へと押し上げる力を作用するスパイラル部材を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項5】
前記撹拌部材の中央部と両端部は、自在継手によって結合して駆動されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像室内のトナーを前記撹拌室へ搬送する搬送手段を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
静電潜像が形成される潜像担持体と、
前記静電潜像をトナーにより現像して前記潜像担持体にトナー像を現像する現像装置と、
前記潜像担持体のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、
を備え、
前記現像装置は請求項1ないし6のいずれか1項に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−230921(P2010−230921A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77380(P2009−77380)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】