説明

現像装置および画像形成装置

【課題】1成分現像剤を現像剤として用いる現像装置において、トナーに安定した正帯電を与え、トナーの荷電性を維持し、かつトナーの搬送性を向上させることのできる現像装置および画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】現像剤を担持する現像剤担持体を備えた現像装置であって、前記現像剤担持体が、6価クロムフリーの3価クロム化合物(Cr)およびコバルト(Co)を含む皮膜層を最外層に備えていること、並びに前記現像剤が1成分現像剤であることを特徴とする、現像装置の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、及び前記現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の電子写真方式を利用した画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体の表面を均一に帯電させる帯電装置と、帯電された像担持体の表面を露光することによって、前記像担持体の表面に静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像が形成された像担持体の表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記トナー像を構成するトナーを、前記像担持体から記録媒体へ転写する転写装置と、転写されたトナー像を加熱及び加圧することによって紙等の記録媒体に定着させる定着装置等を備える。このような画像形成装置は、上記各装置によって、前記像担持体上に形成したトナー像を記録媒体に転写し、その後、そのトナー像を記録媒体に定着させることによって、画像を記録媒体上に形成する。
【0003】
電子写真方式を利用した画像形成装置に備えられる現像装置は、種々の現像方式の現像装置がある。具体的には、1成分現像剤を用いた現像装置としては、例えば、1成分現像剤であるトナーを現像ローラの表面上に担持させた状態で、現像ローラを回転させることによって、現像剤槽等に貯留されたトナーを、像担持体である感光体ドラムまで搬送することによって、前記像担持体の表面に予め形成された静電潜像を前記1成分現像剤で現像させるものが挙げられる。そして、このような現像装置は、その先端が現像ローラの表面に近接した状態で配置される板状のトナー層規制部材が備えられる。このトナー層規制部材によって、トナーが現像ローラによって搬送される際、現像ローラの表面上に担持されたトナー層が所定の厚みになるように、トナーが掻き取られる。その際、現像ローラによるトナーの搬送量を調整するとともに、トナーを帯電させる。
【0004】
こういった現像ローラには、通常、ステンレスやアルミが使用されている。これらの金属は、その表面に不動態層を形成するため、正帯電の1成分トナーを用いる場合、不動態の酸化膜によってトナーに安定した正荷電を与える事が出来るからである。
【0005】
しかし、このステンレスやアルミニウムは、長期間使用すれば、その表面がトナーの外添剤などによって削られ、表面円周方向に筋状のノイズが発生するため、耐久性に問題がある。
【0006】
そこで、アルミニウムやステンレスよりも耐摩耗性能に優れ、なお且つ、ステンレスやアルミニウムの様に表面に不動態層を形成するクロム皮膜を、現像ローラ表面に行なう方法が提案されている。具体的にはクロムめっきを現像ローラ表面に行なう(特許文献1)ものであり、これによって、トナーの荷電性を維持しようというものである。
【0007】
また、アルマイトや酸化クロムなどの酸化皮膜を現像ローラ表面に形成する方法も提案されている。具体的には、6価クロムを含むクロム酸処理液を用いて現像ローラ表面にクロム系皮膜を形成する方法が報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−284586号公報
【特許文献2】特開平7−44020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1記載の方法は不導態に頼った荷電付与であり、ある程度は効果があるが、高温高湿環境(HH)にさらされた場合や、トナーが劣化して荷電性能が落ちた場合、この不導態層だけでは十分な荷電性能を維持することが出来ない。そして、十分なトナー荷電が出来なければ、画像濃度低下やゴーストなどの不具合が発生してしまう。
【0010】
そして、特許文献2に記載されているような酸化皮膜を表面に形成する方法は、不動態よりは荷電性を確保するが、通常、6価クロメートはCrO+Cr+HOで形成されており、CrOを含んだ皮膜(6価クロメート)は、その表面に微細なクラックが発生する。そのため、このCrOを含んだ皮膜を持った現像ローラを使用すると、トナーの外添剤がこのクラックに埋まり、耐久と共にトナーの搬送性や荷電性を変えてしまうといった不具合が生じる。
【0011】
よって、本発明は、1成分現像剤を現像剤として用いる現像装置において、トナーに安定した正帯電を与え、トナーの荷電性を維持し、かつトナーの搬送性を向上させることのできる現像装置および画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、前記課題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、6価クロムフリーの3価クロム化合物(Cr)およびコバルト(Co)を含む皮膜層を最外層に備えた現像装置を用いることによって、1成分現像剤の荷電性および搬送性を向上させることができることを見出し、さらに研究を重ねて本発明を完成した。
【0013】
すなわち、前記課題を解決するための本発明の一局面は、現像剤を担持する現像剤担持体を備えた現像装置であって、前記現像剤担持体が、6価クロムフリーの3価クロム化合物(Cr)およびコバルト(Co)を含む皮膜層を最外層に備えていること、並びに前記現像剤が1成分現像剤であることを特徴とする、現像装置である。
【0014】
このような構成により、現像剤担持体の表面が非常に緻密になり、クラックの発生も起こらなくなる。そのため、トナーの荷電性を安定させ、トナーの搬送性を向上させることができ、さらに耐久性にも優れる現像装置を提供することができる。
【0015】
このクラックが入る理由は、現像担持体の皮膜層における含水量に影響しているとも考えられている。6価クロメートは水分量が1.8μg/cmであるのに対して、本発明に係る皮膜層の含水量は0.3μg/cm程度と、約6分の1程度でなっている。このため、本発明の皮膜はクラックが発生を抑制することができると考えられる。
【0016】
更には、本発明の皮膜層においてはコバルトを含んでいるので、その表面に、〔Co(HO)3+の膜が形成され水分の浸透を防いでいる。
【0017】
また、前記現像装置において、前記皮膜層がケイ素(Si)又はリン(P)の少なくともいずれかをさらに含むことが好ましい。これにより、Siが存在する場合は皮膜の表層にSiOの膜を作り、水分の浸透を防ぐことができ、また、Pが存在する場合はCrPO・4HOの析出が加わって、造膜性が強化される。このような、構造によって、本発明の担持体表面はさらに緻密となり、クラックの発生もより一層抑えることができる。
【0018】
また、前記現像剤担持体によって担持される現像剤は、正帯電の1成分現像剤である場合に、本発明係る現像装置はより有効に働く。本発明に係る現像剤担持体はトナーに安定した正帯電を供給することができるからである。
【0019】
前記課題を解決するための本発明のさらなる他の局面は、前記現像装置を備えた画像形成装置である。本発明の画像形成装置によれば、トナーの荷電性および搬送性に優れているので、優れた画像を長期にわたって提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る現像装置及び画像形成装置によれば、トナーの荷電性および搬送性に優れているので、高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の画像形成部を拡大して示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る現像ローラの表面部の層構造を説明するための概略断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る現像ローラの3価クロム化合物皮膜のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、現像剤を担持する現像剤担持体を備えた現像装置であって、前記現像剤担持体が、6価クロムフリーの3価クロム化合物(Cr)およびコバルト(Co)を含む皮膜層を最外層に備えていること、並びに前記現像剤が1成分現像剤であることを特徴とする現像装置、並びにその現像装置を備えた画像形成装置を提供する。
【0023】
まず、以下に本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置について、図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
本発明の実施形態に係る画像形成装置は、後述する現像装置を備えているものである限り特に限定はされない。ここでは、画像形成装置として、図面に示す構成の画像形成装置、具体的には、モノクロタイプのプリンタ装置を例に挙げて説明するが、電子写真方式を利用した画像形成装置であればよく、モノクロタイプのプリンタ装置に限定されるものではない。また、具体的には、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機等の他の画像形成装置であってもよい。また、像担持体として、ドラム状の感光体である感光体ドラムを例に挙げて説明するが、これに限定するものではなく、ベルト状の感光体であっても、シート状の感光体であってもよい。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置(プリンタ)1の概略構成を示す模式図である。この画像形成装置1は、記録媒体である用紙Pを収容する給紙部10と、この給紙部10から給紙された用紙P上にトナー像を形成する画像形成部20と、この画像形成部20で用紙P上に形成された未定着トナー像を用紙P上に定着させる定着部30と、この定着部30によってトナー像が定着された用紙Pを画像形成装置外に排出する排紙部40とを含む。
【0026】
また、画像形成装置1本体には、給紙部10から画像形成部20及び定着部30を経由して排紙部40に向けて用紙Pを搬送する用紙搬送部50が備えられている。用紙搬送部50には、給紙部10から画像形成部20及び定着部30を経由して排紙部40を繋ぐ搬送路52と、この搬送路52の適所に搬送ローラ対51とを備える。そして、前記用紙搬送部50は、用紙Pを、搬送ローラ対51によって、搬送路52内を搬送させることにより、用紙Pを給紙部10から画像形成部20及び定着部30を経由して排紙部40へ搬送する。
【0027】
給紙部10は、給紙トレイ11、ピックアップローラ12、及び給紙ローラ対13を備えている。給紙トレイ11は、画像形成装置本体内における画像形成部20より下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚の用紙Pが積層された用紙束を貯留する。ピックアップローラ12は、用紙Pの搬送方向上流側で上方位置に設けられ、給紙トレイ11に貯留された用紙束の最上面の用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラ対13は、ピックアップローラ12によって取り出された用紙Pを搬送路52に送り出す。そうすることによって、給紙部10は、画像形成部20に用紙Pを供給する。
【0028】
また、給紙部10は、画像形成装置1の一側面、例えば、図1に示す右側側面に取り付けられる手差しトレイ14、及びピックアップローラ15をさらに備えている。手差しトレイ14は、用紙Pを手差し操作で画像形成部20へ向けて供給するために用いられるものである。ピックアップローラ15は、手差しトレイ14に載置された用紙Pを取り出して、搬送路52に送り出す。そうすることによって、給紙部10は、画像形成部20に用紙Pを供給する。
【0029】
画像形成部20は、給紙部10の用紙搬送方向下流側に配置される。そして、画像形成部20は、外部(例えば、パーソナルコンピュータ等)から伝送された画像データ等に基づいて、給紙部10から給紙された用紙P上にトナー像を形成するためのものである。なお、画像形成部20の構成については、後述する。
【0030】
定着部30は、画像形成部20の用紙搬送方向下流側に配置される。そして、定着部30は、画像形成部20で用紙P上に形成された未定着トナー像を用紙P上に定着させるためのものである。定着部30は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラ31と、前記加熱ローラ31に対向配置された加圧ローラ32とを備えている。
【0031】
定着部30へ供給された用紙Pは、加熱ローラ31と加圧ローラ32との間に形成される定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、画像形成部20で用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pに定着される。定着処理の完了した用紙Pは、定着部30から延設された搬送路52を経由して、画像形成装置1本体の頂部に設けられた排紙部40の排紙トレイ41へ向けて排紙される。
【0032】
排紙部40は、画像形成装置1の頂部が凹没されることによって、形成され、この凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ42を備える。
【0033】
画像形成装置1は、給紙部10から給紙された用紙P上に、画像形成部20でトナー像を形成し、そのトナー像を定着部30で定着させることにより画像を形成する。そして、画像が形成された用紙Pを排紙部40によって排紙する。
【0034】
次に、画像形成部20について、図1に加え、図2を参照しながら説明する。なお、図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の画像形成部20を拡大して示す概略断面図である。
【0035】
画像形成部20には、像担持体である感光体ドラム21が所定の方向(図2では、時計回り)に回転可能に配置されている。そして、画像形成部20は、この感光体ドラム21上にトナー像を形成し、そのトナー像を給紙部10から給紙された用紙P上に転写するものである。そうすることによって、画像形成部20は、外部(例えば、パーソナルコンピュータ等)から伝送された画像データ等に基づいて、給紙部10から給紙された用紙P上にトナー像を形成する。
【0036】
そして、画像形成部20は、トナー像が感光体ドラム21から用紙Pへ転写する位置を感光体ドラム21の回転方向の最も上流側とした場合に、そこから下流側に向かって順に、クリーニングされる位置、除電される位置、帯電される位置、露光される位置、及び現像される位置となるように、クリーニング装置22、除電装置23、帯電装置24、露光装置25、及び現像装置70が、それぞれ感光体ドラム21の周囲に備えられている。そして、画像形成部20は、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を、給紙部10から給紙された用紙Pに転写する際に、用紙Pを搬送する搬送ベルト27を備えている。また、画像形成部20は、トナー像が感光体ドラム21から用紙Pへ転写する位置に、搬送ベルト27を介して、転写ローラ26が備えられている。
【0037】
感光体ドラム21は、帯電処理、露光処理、現像処理、クリーニング処理、及び除電処理等によって、その周面上に、画像情報に基づくトナー像を形成させるためのものである。感光体ドラム21としては、画像形成装置に備えられる感光体ドラムであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)感光体ドラムや有機感光体(OPC)ドラム等が挙げられる。
【0038】
帯電装置24は、矢符方向に回転されている感光体ドラム21の周面を帯電させるためのものである。帯電装置24としては、画像形成装置に備えられる帯電装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、帯電ローラを備え、その帯電ローラに所定の帯電バイアス電圧を印加することによって、感光体ドラムの周面を帯電させる接触帯電方式の帯電装置や、コロトロン型やスコロトロン型の非接触型放電方式の帯電装置等が挙げられる。
【0039】
露光装置25は、帯電装置24によって周面が帯電された感光体ドラム21の周面に、画像情報に基づくレーザ光やLED光等の露光光Lを照射し、感光体ドラム21の周面上に画像情報に基づく静電潜像を形成させるためのものである。露光装置25としては、画像形成装置に備えられる露光装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、LEDヘッドユニットやレーザ走査ユニット(LSU)等が挙げられる。
【0040】
現像装置70は、感光体ドラム21の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。現像装置70は、現像容器71内に内装された、現像剤担持体としての現像ローラ72、攪拌ローラ73,74、ブレード75を備えている。
【0041】
現像容器71は、現像装置70の外郭を構成し、1成分現像剤であるトナーを収容する現像槽である。現像容器71には、感光体ドラム21に対向する位置に開口部が設けられている。現像ローラ72が、その開口部から、感光体ドラム21に向けて露出するように設けられている。そして、現像容器71には、その下部に、現像剤貯留部81が形成されている。
【0042】
現像剤貯留部81は、現像装置70の長手方向(図2の紙面に対して垂直方向)に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室82,83から構成されている。現像剤貯留室82,83は、仕切り板84によって長手方向において互いに仕切られているが、長手方向における両端部付近において互いに連通している。
【0043】
また、各現像剤貯留室82,83には、攪拌ローラ73,74が装着されている。攪拌ローラ73,74は、回転により現像剤を攪拌しつつ搬送するためのものである。そして、攪拌ローラ73,74は、搬送方向が互いに逆方向になるように配置されているので、現像剤は、現像剤貯留室82及び現像剤貯留室83内を攪拌されつつ搬送される。現像剤貯留部81は、トナーカートリッジ85から1成分現像剤であるトナーが供給される。
【0044】
現像ローラ72は、その周面にトナーを担持させた状態で回転することによって、現像剤貯留部81に貯留されているトナーを、感光体ドラム21の近傍まで搬送するためのものである。なお、現像ローラ72の構成については、後述する。
【0045】
ブレード75は、現像ローラ72上に担持されたトナーの厚みを規制するトナー層規制部材である。ブレード75は、板状の部材であって、一方の端部が現像ローラ72の周面に対向して配置される。ブレード75としては、1成分現像方式の現像装置に備えられるブレードであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ステンレス鋼(SUS)製のブレードが挙げられる。
【0046】
また、現像ローラ72の表面に担持されたトナーは、トナー層規制部材による規制位置を通過する際に帯電される。このことは、ブレード75による規制位置を通過する際に、現像剤担持体の表面にトナーが擦りつけられることによって、帯電されると考えられる。
【0047】
次に、現像剤担持体として現像ローラ72について、図1及び図2に加え、図3を参照しながら説明する。なお、図3は、本発明の実施形態に係る現像剤担持体72の表面部の層構造を説明するための概略断面図であり、感光体ドラム21もあわせて示す。
【0048】
本実施形態において、現像ローラ72は、少なくとも基材102と皮膜層101とを備え、前記皮膜層101は6価クロムフリーの3価クロム化合物(Cr)およびコバルト(Co)を含んでいる。また、この皮膜層101は、現像ローラ72の最外表となるように備えられている。
【0049】
このような現像ローラを用いれば、長期間にわたる画像形成に用いても、トナーの荷電性および搬送性を維持したまま、充分に高い画像濃度を有する画像を形成することができる。このような効果を達成できる主な要因の一つとしては、6価クロムフリーの3価クロム化合物(Cr)およびコバルト(Co)を含んだ皮膜層の表面が非常に緻密で、クラックの発生が起こりにくいためである。
【0050】
なお、本発明に係る現像剤担持体としての現像ローラの皮膜層は、本来、6価クロムフリーであり6価クロムを含んでいないが、皮膜層に含まれるCoの反応作用により、Cr(III)がCr(VI)に一部酸化されることがある。しかし、これはCr(III)に対して、1/3000程度で、非常に微量であり、皮膜層の性能には殆ど関与しない。
【0051】
前記皮膜層における3価クロム化合物の含有量は、皮膜層全体に対し、通常、90〜97質量%である。3価クロム化合物の含有量が90質量%未満であったり、97質量%を超えたりすると、耐食性が悪くなり、錆が発生しやすくなる。
【0052】
また、前記皮膜層におけるCoの含有量は、皮膜層全体に対し、通常、3〜10質量%である。Coの含有量が3質量%未満であったり、10質量%を超えたりすると耐食性が悪くなり、錆が発生しやすくなる。
【0053】
さらに、前記皮膜層には、ケイ素(Si)またはリン(P)の少なくともいずれかが含まれていることが好ましい。Siが存在すると皮膜の表層にSiOの膜を作り、水分の浸透を防ぐことができ、Pが存在するとCrPO・4HOの析出が加わって、造膜性が強化される。ケイ素(Si)を含む場合、その含有量は、皮膜層全体に対して、通常、30〜50質量%である。又、リン(P)を含む場合、その含有量は、皮膜層全体に対して、通常、3〜40質量%である。
【0054】
また、皮膜層の厚みは、通常、0.03〜1μm程度、好ましくは、0.06〜0.4μmである。
【0055】
そして、現像ローラ72は、上記の構成を備えるものであれば、特に限定されない。具体的には、現像剤として磁性1成分現像剤を用いる場合、回転スリーブと、回転スリーブに内包され、固定して配置される磁石部材とからなるものが挙げられる。この場合、磁性1成分現像剤を、回転スリーブに内包された磁石部材により、回転スリーブ上に引き付けて担持させる。そして、この状態で、回転スリーブを回転させることによって、現像剤を搬送する。
【0056】
本実施形態において用いられる現像剤は、一成分現像剤であれば、特に限定されないが、磁性1成分現像剤を用いる場合、例えば、正帯電性のトナーを用いることが好ましい。そして、現像剤としては、現像剤の成分等によっても異なるが、例えば、体積平均粒子径で6〜8μmであるものが挙げられる。
【0057】
より具体的には、現像ローラ72は、その回転スリーブが、基材102と皮膜層101とを備える。図4に本実施形態に係る現像ローラ表面のCr皮膜のイメージ図を示す。ここで、基材101がブラスト処理などにより、凹凸を有している場合は、使用により、凸部分の皮膜層は削れてしまう。しかし、凹部分の皮膜は削れにくいので、基材101が凹凸を有している場合であっても、円周方向に筋状の傷が発生することは無い。
【0058】
なお、この図4のように皮膜層102は基材101の上に直接設けられてもよいが、最外表に皮膜層101がある限り、基材102と皮膜層101の間にさらに1〜3つ程度の層を設けてもよい。
【0059】
基材102と皮膜層101の間にさらに設けてもよい層としては、例えば、アルマイト層、電解クロム(Cr)メッキ層、Tiコートなど不動態を形成できる層であることが好ましい。皮膜層101が摩耗して削れた場合でも、通常環境であればトナーの荷電性を確保できるためである。
【0060】
また、無電解ニッケル(Ni)メッキ層、Cuメッキ層などの層を設けることも好ましい。Niなどの摩擦係数が大きいものを使用すると、削れた部分の摩擦係数が上昇するため、凸部の削れによるトナー搬送力の軽減と摩擦係数上昇による増加で相殺しあうため、搬送力は結果として安定する。
【0061】
さらに、皮膜層101と同じ組成に鉄(Fe)、ニッケル(Ni)等を含有させた層等を設けてもよい。このような層を有することにより、さらに現像剤担持体の耐久性が向上されるからである。
【0062】
また、ぞれぞれの層の厚みについては、アルマイト層の場合、層の厚みは、2〜10μm、電解Crメッキ層やTiコートの場合、層の厚みは、0.05〜1.0μm程度である。さらに、無電解ニッケル(Ni)メッキ層、Cuメッキ層などの場合、2〜6μm程度である。そして、皮膜層と同じ組成に鉄(Fe)、ニッケル(Ni)等を含有させた層等を設ける場合、その層の厚みは、通常、0.5〜1.5μm程度である。
【0063】
これらの層の組み合わせは、皮膜層が最外層になっている限り特に限定はされないが、例えば、基材/無電解Niメッキ又はアルマイト/皮膜層、基材/無電解Niメッキ/電解Crメッキ/皮膜層、基材/無電解Niメッキ又はアルマイト/電解Crメッキ/Fe・Ni等を含む層/皮膜層などの組み合わせが挙げられる。
【0064】
なお、皮膜層101や基材102との間にある中間層などの膜厚は、例えば、蛍光X線膜厚計等を用いて測定することができる。また、蛍光X線膜厚計としては、具体的には、例えば、セイコーインスツル株式会社製のSFT320等が挙げられる。
【0065】
また、基材102としては、現像ローラ、この場合、回転スリーブとして用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、表面にトナーの搬送に寄与できる凹凸を有するものが挙げられる。例えば、アルミニウム素管等のアルミニウム系基材が好ましい。アルミニウム系基材は、表面にトナー搬送性を高めることができる凹凸が好適に形成されている。さらには、アルムニウムも不動態を形成できるため、皮膜層が削れた場合でも荷電性を確保できる。
【0066】
また、現像ローラ72の表面粗さ、ここでは、皮膜層101の表面粗さは、用いる1成分現像剤であるトナーの平均粒子径等によっても異なるが、十点平均粗さRzで、6〜9μm程度であることが好ましい。表面粗さが小さすぎると、トナー搬送性が低下する傾向がある。また、表面粗さが大きすぎると、トナーが、現像ローラ72による搬送時に、現像ローラ72に好適にこすり付けられず、トナーが好適に帯電しない傾向がある。
【0067】
なお、ここでの表面粗さである十点平均粗さRzは、JISに準拠したものであり、一般的な表面粗さ測定器等で測定することができる。具体的には、例えば、株式会社東京精密製の表面粗さ形状測定機(SURFCOM500DX)を用いて測定することができる。
【0068】
次に、以下に現像ローラ72の製造方法の一例を具体的に示すが、以下の方法に限定されるわけではない。
【0069】
まず、基材に対して、6価クロムフリーの3価クロム化合物(Cr2O3)およびコバルト(Co)を含む皮膜層用組成物をコーティングすることにより、基材上に皮膜層を形成する。
【0070】
このような皮膜層用組成物としては、上述したような皮膜層を形成できるものであれば特に限定はされない。
【0071】
具体的には、例えば、硝酸クロムを4g/L、硝酸コバルトを3g/L、カルボン酸を20g/L含む液体組成物を、NaOHでpH4に調整して、皮膜用組成物を得ることができる。
【0072】
尚、基材に皮膜を塗布する前処理としては、脱脂処理(アルミニウム用脱脂剤K−350(日本カニゼン社)、50℃で5分)をし、その後エッチング処理(NaOH、50℃で40秒)をし、さらに活性化処理(60%硝酸を用いて、室温で20秒)を行い、その後、乾燥(60℃で10分)を行うこと等が挙げられる。
【0073】
そして、その後、上述した処理液に30℃で60秒間浸漬させた後、水洗・乾燥を行うことにより、基材上の皮膜層を形成することができる。
【0074】
さらに、皮膜層と基材との間に中間層などを含む場合は、前記皮膜層を形成する前に、基材に各種のメッキ処理またはコーティング処理を行って、上記したようなそれぞれの中間層を形成することができる。これらの処理方法や処理条件などは特に限定はなく、従来公知の方法を用いて行うことができる。
【0075】
また、回転スリーブに内包された磁石部材は、例えば、図2に示すような、以下のような磁極配置の4極構造のものが挙げられる。具体的には、感光体ドラム21と対向する位置に現像極としてN極と、ブレード75に対向する位置にS極と、このS極の、回転スリーブの回転方向上流側にN極と、さらに上流側にS極とが配置されている。
【0076】
そして、前記ブレード75には、現像ローラ72の回転方向上流側の側面上に磁石76を備えている。また、磁石76は、現像ローラ72に近い側がS極となるように配置されている。このような磁石76によって、現像ローラ72の表面に担持されたトナーが、ブレード75による規制位置を通過する際に、好適に配列されると考えられる。よって、このようなトナーが現像ローラの表面に擦りつけられるので、トナーが好適に帯電されると考えられる。
【0077】
また、現像ローラ72は、感光体ドラム21と対向し、対向した周面同士が近接した状態で離間して配置される。そして、現像ローラ72と感光体ドラム21との間の距離(DS間距離)105は、使用するトナー等によっても異なるが、例えば、0.2〜0.4mmであることが好ましい。
【0078】
また、現像装置70は、上述したように、静電潜像が形成される像担持体である感光体ドラム21に対向して配置され、表面に担持した1成分現像剤を、感光体ドラム21まで搬送する現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体が、前記現像ローラ72であるものである。
【0079】
このような現像装置70は、現像剤貯留部81に貯留されたトナーを、現像ローラ72の表面に担持しながら搬送し、その際、ブレード75による規制位置を通過する際、トナーを好適に帯電させる。そして、そのトナーを感光体ドラム21に供給する。よって、長期間にわたって、充分に高い画像濃度を有する画像を形成することができる。このことは、現像装置に備えられる現像剤担持体として、上述したような、長期間にわたって、充分に高いトナー搬送性を維持することができる現像ローラを用いていることによると考えられる。
【0080】
また、画像形成装置1は、上述したように、現像装置70と、感光体ドラム21とを備えた画像形成装置である。このような画像形成装置は、現像装置70を備えているので、長期間にわたって、トナーの荷電性および搬送性を維持し、充分に高い画像濃度を有する画像を形成することができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を通して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0082】
1.現像ローラの製造
なお、下記の実施例において、用いた電解クロムめっき液(3価クロムめっき液)の組成は以下の通りである:
・3価クロム化合物(硫酸クロム、並びに塩基性硫酸クロム:10g/L)
・伝導性塩(硫酸カリウム 100g/L)
・PH緩衝剤(ホウ酸ナトリウム 90g/L)
・イオウ化合物(サッカリン 2g/L)。
【0083】
(実施例1)
アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面に、硝酸Crを4g/L、硝酸Coを3g/L、カルボン酸を20g/L含む液体組成物を、NaOHでPH4に調整して、その液に、30℃60秒間浸漬させる事により、基材上に皮膜層を0.2μmの厚みで形成した。
【0084】
(実施例2)アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面を、脱脂、エッチング、中和、陽極酸化皮膜(アルマイト)、封孔処理の順で処理することでアルマイト層を得た。なお、アルマイト処理液・処理条件を:
硫酸(HSO)15W/V%
温度20℃
溶存アルミニウム20g/L
溶存塩化物量 0.2g/L
電流密度 100A/m
時間5分
とすることにより、アルマイト層を5μmの厚みで形成した。その後、硝酸クロムを4g/L、硝酸コバルトを3g/L、カルボン酸を20g/L含む液体組成物を、NaOHでpH4に調整して、その液に、上記アルマイト層を形成した基材を30℃60秒間浸漬させる事により、アルマイト層上に皮膜層を0.35μmの厚みで形成した。
【0085】
(実施例3)
アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面に、まず無電解Niメッキ液(「カニゼン(登録商標)」、日本カニゼン社製)を用いてメッキ処理を行い、無電解Niメッキ層を4.2μmの厚みで形成した。その後、硝酸クロムを4g/L、硝酸コバルトを3g/L、カルボン酸を20g/L含む液体組成物を、NaOHでpH4に調整して、その液に、上記無電解Niメッキ層を形成した基材を30℃60秒間浸漬させる事により、無電解Niメッキ層上に皮膜層を0.28μmの厚みで形成した。
【0086】
(実施例4)
アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面に、まず無電解Niメッキ液(「カニゼン(登録商標)」、日本カニゼン社製)を用いてメッキ処理を行い、無電解Niメッキ層を4.5μmの厚みで形成した。さらにその上に、電解Crメッキ液を用いてメッキ処理を行い、厚み0.15μmの電解メッキ層を形成した。その後、硝酸クロムを4g/L、硝酸コバルトを3g/L、カルボン酸を20g/L含む液体組成物を、NaOHでpH4に調整して、その液に、上記電解Crメッキ層を形成した基材を30℃60秒間浸漬させる事により、上記電解Crメッキ層上に皮膜層を0.22μmの厚みで形成した。
【0087】
(実施例5)
アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面に、まず無電解Niメッキ液(「カニゼン(登録商標)」、日本カニゼン社製)を用いてメッキ処理を行い、無電解Niメッキ層を4.7μmの厚みで形成した。さらにその上に、電解Crメッキ液を用いてメッキ処理を行い、厚み0.19μmの電解メッキ層を形成した。その後、硝酸クロムを4g/L、硝酸コバルトを3g/L、カルボン酸を20g/L含む液体組成物を、NaOHでpH4に調整して、その液に、上記電解Crメッキ層を形成した基材を30℃60秒間浸漬させる事により、上記電解Crメッキ層上に皮膜層を0.06μmの厚みで形成した。
【0088】
(実施例6)
アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面に、まず無電解Niメッキ液(「カニゼン(登録商標)」、日本カニゼン社製)を用いてメッキ処理を行い、無電解Niメッキ層を5.1μmの厚みで形成した。さらにその上に、電解Crメッキ液を用いてメッキ処理を行い、厚み0.18μmの電解メッキ層を形成した。さらに加えて、その上に、硝酸クロムを4g/L、硝酸コバルトを3g/L、カルボン酸を20g/L、及びFe、Ni、Co、P(それぞれ微量)を含む液体組成物をNaOHでpH4.2に調整して、その液に、上記電解Crメッキ層を形成した基材を30℃60秒間浸漬させる事により、上記電解Crメッキ層上にさらなる層を0.5μmの厚みで形成した。
【0089】
そして、その後、硝酸クロムを4g/L、硝酸コバルトを3g/L、カルボン酸を20g/L含む液体組成物を、NaOHでpH4に調整して、その液に上記で得られた基材を30℃60秒間浸漬させる事により、基材の最外層に皮膜層を0.06μmの厚みで形成した。
【0090】
(比較例1)
ステンレス鋼(SUS)(直径20mm、肉厚0.6mm、材質SUS305)基材をブラスト処理した。
【0091】
(比較例2)
アルミニウム(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)基材をブラスト処理した。
【0092】
(比較例3)
アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面に、処理時間を6分とした以外は実施例2と同様の方法によって、アルマイト層を6μmの厚みで形成した。
【0093】
(比較例4)
アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面に、まず無電解Niメッキ液(「カニゼン(登録商標)」、日本カニゼン社製)を用いてメッキ処理を行い、無電解Niメッキ層を4.7μmの厚みで形成した。さらにその上に、電解Crメッキ液を用いてメッキ処理を行い、厚み0.18μmの電解メッキ層を形成した。
【0094】
(比較例5)
アルミニウム基材(直径20mm、肉厚0.6mm、材質A6063)表面を、6価クロム20g/L、フッ化水素アンモニウム1g/L、を含む水溶液に25℃で120秒で浸漬させる事により、基材上に6価クロム(CrO)を含む皮膜層を0.3μmの厚みで形成した。(なお、表中に示すように皮膜層には3価クロムが含まれているが、これは6価の一部が処理時に還元されて3価になったものである)。
【0095】
2.評価
実施例1〜6および比較例1〜5で製造した現像ローラ(直径20mm)を、画像形成装置(「LS−4020DN」、京セラミタ(株)製)に装着して、以下の条件で、出力耐久試験を行った:
・感光体(アモルファスシリコン感光体、直径30mm)
・感光体表面電位: Vo 280v
・システム速度:125mm/s
・現像ギャップ:300μm
・規制ギャップ:300μm
・現像バイアス:Vpp 1700v
Vdc 175v
・トナー:正帯電トナー、平均粒径7.1μm
・現像ローラの表面粗さRzjis:7.5±1.0μm。
【0096】
なお、画像濃度はグレタグマクベス反射濃度計(RD−918)にて測定した。それぞれの皮膜の膜厚は、蛍光X線およびSEMを用いて、Niメッキ、Crメッキ、Crコートの検量線を作成した上で、測定した。
【0097】
評価基準は、以下の通りである:
(環境試験)
温度32.5℃、湿度85%の環境で10K枚耐久後の画像濃度が、10K耐久前(温度23℃、湿度50%)での濃度に対して、0.3以上低下した場合を×、0.3未満の場合を○と評価した。
【0098】
(耐久試験)
同一環境条件(温度20 ℃、湿度50 %)において、500K耐久を行って、画像濃度変化が、0.5以上の場合を×、画像濃度変化が、0.5未満で0.3以上の場合を○、0.3未満を◎と評価した。
【0099】
(円周方向縦筋)
500K耐久を行って、画像上に、現像ローラ円周方向縦筋方向の傷に応じた画像ノイズが発生した場合を×、画像ノイズが未発生の場合を○と評価した。
【0100】
以上の結果を表1に示す。
【0101】
【表1】

3.考察
本発明に係る実施例1〜6の現像ローラを用いた場合、全ての評価試験(環境・耐久・円周方向縦筋)において、結果が合格レベルであった。
【0102】
これに対して、比較例1および2の現像ローラは、硬度が不足していたため、円周方向に筋が入った。
【0103】
比較例3の現像ローラでは、硬度は上がったが、耐久試験において画像濃度が高くなった。恐らく、表面の微細孔にトナーの外添剤が埋まり、トナーの搬送量が増加したためと考えられる。
【0104】
比較例4では、HH環境において荷電が低下し、濃度低下が起こった。
【0105】
比較例5では、耐久試験において画像濃度が高くなった。これは、表面のクラックにトナーの外添剤が埋まり、トナーの搬送量が増加したためと考えられる。
【0106】
さらに、実施例1〜6の現像ローラにおける皮膜層は耐久と共に、凸部の皮膜層が削れて、その直下の層が露出していた。しかし、現像ローラ表面には凹凸があるため、凹部の皮膜層は削れにくい。よって、凸部の皮膜層が削れても、凹部の皮膜層が残ることで荷電性を維持することが出来ることもわかった。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
10 給紙部
20 画像形成部
21 感光体ドラム
22 クリーニング装置
23 除電装置
24 帯電装置
25 露光装置
26 転写ローラ
27 搬送ベルト
30 定着部
40 排紙部
50 用紙搬送部
70 現像装置
71 現像容器
72 現像ローラ
73 攪拌ローラ
75 ブレード
76 磁石
81 現像剤貯留部
82,83 現像剤貯留室
84 仕切り板
101 皮膜層
102 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体を備えた現像装置であって、
前記現像剤担持体が、6価クロムフリーの3価クロム化合物(Cr)およびコバルト(Co)を含む皮膜層を最外層に備えていること、並びに
前記現像剤が1成分現像剤であることを特徴とする、現像装置。
【請求項2】
前記皮膜層が、ケイ素(Si)またはリン(P)の少なくともいずれかをさらに含む、請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記1成分現像剤が正帯電トナーである、請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置を備える、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−154991(P2012−154991A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11808(P2011−11808)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】