説明

現像装置及びこれを備える画像形成装置

【課題】現像ローラの両端部、特に現像ローラ軸受部分でのシール性能を簡単な構成で且つ安定して発揮し得る現像装置及びこれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置Aに備えられる現像装置2であって、現像剤を現像スリーブ101sに保持しつつ画像形成装置Aにおける像担持体3との間の現像領域へ該現像剤を供給するための現像ローラ101と、現像ローラ101の両端回転軸101a’,101a’を軸支するための一対の軸受106,106と、一対の軸受106,106を保持するための現像ケース104とを備えた現像装置2において、現像ローラ101と現像ケース104との間に、現像ローラ101の両端部からの現像剤漏れを防止するための薄肉スリーブ103,103を配設すると共に、現像ケース104と薄肉スリーブ103,103との間にシール部材105,105を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びこれを備える画像形成装置に関し、特に、電子写真方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ機等の画像形成装置に搭載され、2成分現像剤を用いて像担持体にトナーを供給する現像装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置や、複写機能とプリンタ機能とファクシミリ機能とのうち少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置においては、感光体等の像担持体上に静電潜像を形成し、現像装置から現像剤を像担持体へと供給し、像担持体上の静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成し、該形成したトナー像を像担持体から記録用紙等の記録媒体に転写し、該記録媒体を加熱及び加圧して、該トナー像を該記録媒体上に定着させるようになっている。
【0003】
図7は、画像形成装置に備えられる従来の現像装置2’を現像スリーブ101s側から視た概観斜視図である。また、図8は、図7に示す従来の現像装置2’における現像ローラ101の両端部101’,101’のうち、一方の端部を示す断面図である。なお、図8において、他方の端部は一方の端部と実質的に同構成であり、図示を省略している。後述する図4及び図6についても同様である。
【0004】
図7に示す従来の現像装置2’では、現像ローラ101を回転させつつ、現像剤を現像スリーブ101s表面に付着させて、該現像剤を該現像スリーブ101sと像担持体(図示せず)との間の現像領域へと搬送供給し、該現像剤により該像担持体上の静電潜像を現像する。
【0005】
このような従来の現像装置2’では、現像剤が該現像装置2’から漏れ出すといった問題がある。特に、現像スリーブ101s内に複数の磁極を有する固定マグネットローラ(図示せず)を内包しており、トナーと磁性キャリアとを主成分とする2成分現像剤を攪拌して、トナーを帯電させ、現像スリーブ101sに磁気ブラシを形成しつつ該現像スリーブ101sを回転することにより、像担持体上の静電潜像を現像する現像装置2’では、図8に示すように、現像装置2’の現像ローラ101の両端部101’,101’より、現像剤が漏れ出し(噴出し)やすい。
【0006】
現像装置2’からの現像剤漏れは画像形成装置内を汚すだけではなく、現像剤が記録媒体上に付着するなどといった現像剤落ちが発生し、形成される画像の画質低下を招くことがある。特に、現像ケース104に支持された現像ローラ軸101aの軸受106,106部分から現像剤が漏れ出した場合には、現像装置2’の使用につれて現像ローラ101の回転トルクが上昇して現像ローラ101が回転しなくなるといった不都合(いわゆる回転ロック)を起こす場合がある。
【0007】
これらの問題を解決する対策として、現像ローラの回転面の中央方向に対し、10°〜20°の傾斜をもたせた襞を設けて、端部からのトナー漏れを改良する現像装置が提案されている(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−134494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術は、現像ローラ軸受部分からのトナー漏れは改善されていないため、現像ローラの回転ロックを起こす恐れがあり、現像装置端部のシール性が十分であるとはいいがたい。
【0009】
ことに近年の高速長寿命化が求められる画像形成装置においては、現像剤(トナーやキャリア)が小粒径化すると共に、現像速度が高速となる傾向にあるため、現像剤に付与される力も大きくなり、現像ローラ端部の軸受部分から現像剤(例えばトナー)が漏れ出しやすい状況にある。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、現像ローラの両端部、特に現像ローラ軸受部分でのシール性能を簡単な構成で且つ安定して発揮し得る現像装置及びこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明に係る現像装置の構成は、次の通りである。
【0012】
即ち、本発明に係る現像装置は、画像形成装置に備えられる現像装置であって、現像剤を現像スリーブに保持しつつ前記画像形成装置における像担持体との間の現像領域へ該現像剤を供給するための現像ローラと、前記現像ローラの両端回転軸を軸支するための軸受と、前記軸受を保持するための現像ケースとを備えた現像装置を前提としている。そして、この現像装置は、前記現像ローラと前記現像ケースとの間に、前記現像ローラの両端部からの現像剤漏れを防止するための薄肉スリーブを配設すると共に、前記現像ケースと前記薄肉スリーブとの間にシール部材を配設することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る現像装置において、前記現像剤としては、トナー及び磁性キャリアを主成分とする2成分現像剤を例示できる。前記現像ローラとしては、前記現像スリーブ内に複数の磁極を有する固定マグネットローラを内包するものを例示できる。また、前記現像スリーブとしては、外周表面が溝加工されたものを例示できる。
【0014】
また、前記薄肉スリーブは、キャップ形状を呈し、内周面が前記現像スリーブの両端部における外周表面に接触するように嵌合されていてもよい。かかる態様において、前記現像スリーブの外周表面が溝加工されたものである場合、少なくとも前記薄肉スリーブの内周面と接触する前記現像スリーブ両端部の外周表面には、溝加工が施されていないことが好ましい。
【0015】
本発明に係る現像装置において、前記薄肉スリーブと前記軸受との間の前記現像ローラの前記両回転軸にパッキング部材が挿入されている態様を例示できる。
【0016】
本発明に係る現像装置において、前記薄肉スリーブは、樹脂成型品である態様を例示できる。また、前記薄肉スリーブは、ポリカーボネート樹脂、特に収縮率が小さいポリカーボネート樹脂から選択されることが好ましい。
【0017】
本発明に係る現像装置において、前記シール部材は、発泡フォームからなる態様を例示できる。
【0018】
また、上述した課題を解決するための本発明に係る画像形成装置は、前記本発明に係る現像装置を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る画像形成装置において、前記現像装置を複数備え、カラー用画像形成装置を構成してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る現像装置によれば、前記現像ローラと前記現像ケースとの間に、前記現像ローラの両端部からの現像剤漏れを防止するための薄肉スリーブを配設すると共に、前記現像ケースと前記薄肉スリーブとの間にシール部材を配設するので、前記現像ローラの両端部、特に前記現像ローラの両端軸受部分からの現像剤漏れを効果的に防止できる。これにより、前記現像装置からの現像剤の漏出を抑えることができ、それだけ前記画像形成装置内の汚れを抑制できる。
【0021】
また、本発明に係る現像装置で得られる上記共通の効果に加え、以下の各構成では、次の効果を得ることができる。
【0022】
即ち、前記現像剤がトナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤であり、前記現像ローラが前記現像スリーブ内に複数の磁極を有する固定マグネットローラを内包するものであり、さらに、前記現像スリーブの外周表面が溝加工されたものである場合においては、特に、前記薄肉スリーブは、キャップ形状を呈し、内周面が前記現像スリーブの両端部における外周表面に接触するように嵌合されており、少なくとも前記薄肉スリーブの内周面と接触する前記現像スリーブ両端部の外周表面には、溝加工が施されていない態様とすることで、前記現像スリーブと前記薄肉スリーブとの間への現像剤入り込みを極力抑えることができる。これにより、現像剤漏れをより一層抑えることが可能となる。
【0023】
また、前記薄肉スリーブと前記軸受との間の前記現像ローラの前記両回転軸にパッキング部材が挿入されている態様とすることで、たとえ前記薄肉スリーブ及び前記シール部材の間から現像剤が漏れた場合でも、前記パッキング部材により、それ以上外側に漏れることを効果的に防止することが可能となる。
【0024】
また、本発明に係る現像装置において、前記薄肉スリーブが樹脂成型品である態様とすることで、安価で且つ汎用性に優れる薄肉スリーブを得ることができる上、該薄肉スリーブの高い寸法精度を確保することが可能となる。
【0025】
また、前記薄肉スリーブがポリカーボネート樹脂から選択される態様とすることで、該薄肉スリーブの成型加工性に優れ、これにより該薄肉スリーブの製品精度を高めることができ、それだけ現像剤漏れを抑えることが可能となる。
【0026】
また、前記シール部材が発泡フォームからなる態様とすることで、該シール部材の変形性を向上させることができる上、機械的強度を高めることができ、それだけ該シール部材の長寿命化を図ることが可能となる。
【0027】
本発明に係る画像形成装置によれば、前記本発明に係る現像装置を備えるので、当該画像形成装置内への現像剤漏れや記録用紙等の記録媒体への現像剤落ちを可及的になくすことができ、これにより、形成される画像の画質を良好に維持することが可能となる。
【0028】
本発明に係る画像形成装置において、前記現像装置を複数備える態様とすることで、カラー用画像形成装置において、現像剤漏れによる影響をより効果的に抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[画像形成装置の全体構成について]
図1は、本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の一例の全体構成を概略的に示す説明図である。
【0030】
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
図1に示す画像形成装置Aは、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成プロセスによって、外部から伝達された画像データに基づいて、記録用紙等の所定の記録媒体に対して多色又は単色の画像を形成するものである。
【0032】
この画像形成装置Aは、像担持体3(3a,3b,3c,3d)と、帯電装置5(5a,5b,5c,5d)と、露光装置1と、現像装置2(2a,2b,2c,2d)と、中間転写ベルトユニット8と、定着装置12と、クリーニング装置4(4a,4b,4c,4d)と、除電装置(図示省略)とを備えている。中間転写ベルトユニット8は、中間転写体7、1次転写装置6(6a,6b,6c,6d)及び2次転写装置11を含んでいる。
【0033】
なお、画像形成装置Aにおいて扱うことができる画像データは、単色の画像に応じたものに加えて、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色の各色相に応じたものを含む。従って、現像装置2(2a,2b,2c,2d)、像担持体3(3a,3b,3c,3d)、クリーニング装置4(4a,4b,4c,4d)、帯電装置5(5a,5b,5c,5d)、1次転写装置6(6a,6b,6c,6d)は、各色に応じた4種類の画像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられている。
【0034】
ここで、末尾符号a,b,c,dは、それぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応している。
【0035】
即ち、画像形成装置Aには、現像装置2a、像担持体3a、帯電装置5a、クリーニング装置4a及び1次転写装置6aを備えたブラック用画像ステーションと、現像装置2b、像担持体3b、帯電装置5b、クリーニング装置4b及び1次転写装置6bを備えたシアン用画像ステーションと、現像装置2c、像担持体3c、帯電装置5c、クリーニング装置4c及び1次転写装置6cを備えたマゼンタ用画像ステーションと、現像装置2d、像担持体3d、帯電装置5d、クリーニング装置4d及び1次転写装置6dを備えたイエロー用画像ステーションとが設けられている。
【0036】
そして、画像形成装置Aは、タンデム型のものとされており、各画像ステーションは、ここでは、中間転写体7の表面移動方向(図中B方向)に一列に配列されている。以下、これらの各部材の末尾符号については省略して説明する。
【0037】
図2は、図1に示す画像形成装置Aにおけるブラック用画像ステーションの概略構成を示す断面図である。なお、各画像ステーションは、何れも実質的に同一の構成をしている。従って、図2に示す構成において、ブラック用画像ステーションに代表させて示し、他の画像ステーションについては図示を省略している。後述する図3から図6についても同様である。
【0038】
像担持体3は、ここではドラム状の感光体(感光体ドラム)とされている。帯電装置5は、像担持体(以下、感光体という。)3の表面を所定電位に均一に帯電させるためのものであり、ここでは接触型の帯電ローラを含む帯電器とされている。露光装置1は、感光体3上に静電潜像を形成するためのものであり、ここでは露光ユニットとされている。現像装置2は、感光体3上に形成された静電潜像をトナーによって可視化するためのものであり、ここでは現像ユニットとされている。
【0039】
中間転写体7は、現像装置2によって可視化された感光体3上の可視像(トナー像)が一旦転写される記録媒体であり、ここではベルト状の中間転写体(具体的には中間転写ベルト)とされている。1次転写装置6は、感光体3上に形成されたトナー像を一旦中間転写体7に転写するためのものであり、ここでは1次転写ローラとされている。
【0040】
2次転写装置11は、中間転写体7上に形成されたトナー像を記録媒体に転写するためのものであり、ここでは2次転写ローラとされている。定着装置12は、記録媒体上の転写画像を該記録媒体に定着するためのものであり、ここでは定着ユニットとされている。
【0041】
クリーニング装置4は、1次転写装置6によって転写されずに感光体3の表面に残った残存トナーを除去するためのものであり、ここではクリーナーユニットとされている。前記除電装置は、感光体3の表面に残った残留電荷を除電するためのものである。
【0042】
また、画像形成装置Aは、中間転写体用クリーニング装置9を備えている。中間転写体用クリーニング装置9は、2次転写装置11によって転写されずに中間転写体7表面に残った残存トナーを除去するためのものであり、ここでは転写ベルトクリーニングユニットとされている。
【0043】
なお、画像形成装置Aは、中間転写体7及び2次転写装置11を取り除いたものとしてもよい。この場合、1次転写装置6は、感光体3上のトナーを記録媒体に転写する転写装置とされ得る。
【0044】
また、感光体はベルト状のものとされてもよい。中間転写体7はドラム状のものとされていてもよい。帯電装置5としては、例えば、接触帯電方式のものの他、スコロトロン型等の非接触帯電方式のものを用いることができる。
【0045】
本実施の形態においては、各感光体3は、中間転写体7を介してそれぞれの1次転写装置6に押圧されている。各感光体3は、表面が所定方向(図中矢印X方向)に移動するようになっている。また、中間転写体7は、表面が感光体3の表面移動方向Xと同じ方向(図中矢印B方向)に移動するようになっている。これにより、中間転写体7と同一の周速度で、各感光体3が該中間転写体7と共に回転駆動されると共に、各1次転写装置6が該中間転写体7に対して追従回転するようになっている。
【0046】
各帯電装置5は、各感光体3の表面を所定の電位に均等に帯電させるための帯電器である。各帯電装置5としては、帯電ブラシを用いた接触方式の帯電器を用いることができ、又は帯電ワイヤを用いた非接触方式の帯電器を用いることもできる。
【0047】
露光装置1は、レーザスキャニングユニット(LSU)とされており、各感光体3へのそれぞれのレーザー光を出射するレーザー照射部1a、及び各レーザー光をそれぞれの感光体3に導く複数の反射ミラー1bを備えている。この露光装置1は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データによってレーザー光を変調しつつ、帯電されたそれぞれの感光体3表面に照射して露光することにより、それぞれの画像データに応じた静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置1としては、ELやLED等の発光素子をアレイ状に並べた書き込みヘッドを用いてもよい。
【0048】
各現像装置2は、それぞれの感光体3上に形成された静電潜像をトナー(黒トナー、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー)により顕像化するものである。具体的には、各現像装置2は、現像剤を担持する現像ローラ101を有している。現像ローラ101は、トナーが感光体3へ移行し得る現像領域Pへ現像剤を搬送するように構成されている。各現像装置2は、本実施の形態では、トナーと磁性体キャリアとを含む2成分現像剤を用いて、露光装置1にて感光体3表面に形成された静電潜像を該トナーにて反転現像してトナー像(可視像)を形成するものとされている。
【0049】
各現像装置2の現像ケース104内には、各画像ステーションの画像形成に応じて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの2成分現像剤が収容される。この現像剤は、感光体3に帯電される表面電位と同極性に帯電されるトナーを含んでいる。なお、感光体3に帯電される表面電位の極性及び使用するトナーの帯電極性は、ここでは、何れもマイナスとされている。各現像装置2は、現像ケース104内で2成分現像剤を混合攪拌して、トナー及び磁性体キャリアを摩擦帯電させることで、各感光体3表面の静電潜像にそれぞれの色の帯電トナーを付着吸着させ、各感光体3表面にそれぞれの色のトナー像を形成するようになっている。各現像装置2には、トナー補給装置22が設けられている。各トナー補給装置22は、黒、シアン、マゼンタ、イエローのトナーを収容したトナー容器23が装着され、これらのトナー容器23から各現像装置2の現像ケース104へとそれぞれの色のトナーを補給するようになっている。なお、現像装置2の現像ローラ101部分については、のちほど詳述する。
【0050】
画像形成装置Aにおいて、中間転写ベルトユニット8は、前記した中間転写体7、各1次転写装置6及び2次転写装置11に加えて、転写ベルト駆動ローラ71と、転写ベルト従動ローラ72と、転写ベルトテンションローラ73とを含んでいる。中間転写ベルトユニット8は、各感光体3の上方に配置されており、中間転写体7を、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルト従動ローラ72及び各1次転写装置6に掛け渡して矢印B方向に回転移動可能に支持している。そして、中間転写ベルトユニット8は、中間転写体7を転写ベルトテンションローラ73にて張設した状態で、該中間転写体7を介して、各1次転写装置6を各感光体3に押し付けると共に、2次転写装置11を転写ベルト駆動ローラ71に押し付けるようになっている。
【0051】
感光体3から中間転写体7へのトナー像の転写は、中間転写体7の感光体3とは反対側に接触している各1次転写装置6によって行われる。各1次転写装置6は、感光体3のトナー像を、中間転写体7上に転写するための転写バイアスを与えるものである。即ち、各1次転写装置6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(ここでは−極性)とは逆極性(ここでは+極性)の高電圧)が印加される。
【0052】
各1次転写装置6は、それぞれの電界を、中間転写体7を介して各感光体3表面のトナーに作用させ、各感光体3表面のトナーを中間転写体7へと引き付けて転写するようになっている。これにより、画像形成装置Aは、各感光体3上で各色に応じて顕像化されたトナー像を中間転写体7に順次転写して重ね合わせることができるようになっている。
【0053】
各1次転写装置の一例である1次転写ローラ6と各感光体3との間のそれぞれのニップ域をより安定的に形成するために、各1次転写ローラ6及び各感光体3のうちの一方を硬質材料で形成し、他方を弾性材料で形成することが好ましい。例えば、転写ローラは、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス鋼)の軸をベースとすることができ、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等の材料)により覆われているローラとすることができる。この導電性の弾性材により、中間転写体7に対して均一に高電圧を印加することができる。なお、本実施の形態では、転写電極として転写ローラを使用しているが、それ以外にブラシなども用いることができる。
【0054】
中間転写体7は、それぞれの感光体3に形成された各色のトナー像を中間転写体7上に順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写体7は、ここでは、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成された中間転写ベルトとされている。中間転写ベルトは、例えば合成樹脂フィルムにより形成することができる。
【0055】
こうして中間転写体7に転写され重ね合わされた各色のトナー像は、該中間転写体7の回転移動に伴い、転写ベルト駆動ローラ71と2次転写装置11との間のニップ域へと搬送される。そして、レジストローラ14により中間転写体7上の各色のトナー像と同期をとって搬送されてきた記録媒体と、各色のトナー像とが重ね合わせられ、2次転写装置11にて記録媒体に各色のトナー像が転写される。2次転写装置11には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(ここでは−極性)とは逆極性(ここでは+極性)の高電圧)が印加される。
【0056】
2次転写装置の一例である2次転写ローラ11は、中間転写体7を介して、転写ベルト駆動ローラ71に対して接離する方向に移動可能に支持されており、転写ベルト駆動ローラ71に向けて付勢されている。これにより、2次転写ローラ11は、転写ベルト駆動ローラ71との間に中間転写体7を挟み込んで、ニップ域を形成するようになっている。このニップ域を定常的に得るために、転写ローラ11若しくは転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方を硬質材料(金属等の材料)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラや発泡性樹脂ローラ等の材料)とすることができる。
【0057】
転写ベルト駆動ローラ71は、2次転写ローラ11のバックアップローラとしての役目を果たしつつ、各1次転写ローラ6と各感光体3との間のそれぞれのニップ域を下流側にして回転駆動され、中間転写体7を引っ張って矢印方向Bに回転移動させ、これにより、各ニップ域を安定的に維持できるようになっている。
【0058】
クリーニング装置4は、クリーニングブレードを用いて、現像、画像転写後における感光体3の表面に残留したトナーを掻き取り、除去、回収するものである。
【0059】
また、中間転写体用クリーニング装置9は、中間転写体7表面に摺接するクリーニングブレードを備え、中間転写体7表面に残留したトナーを除去、回収して、次回に形成される画像のカブリや混色等を防止するようになっている。このクリーニングブレードが接触する中間転写体7は、ブレード接触側とは反対側から転写ベルト従動ローラ72で支持されている。
【0060】
定着装置12は、ヒートローラ31及び加圧ローラ32を具備している。ヒートローラ31及び加圧ローラ32は、記録媒体を挟んで回転し、これにより、記録媒体上の各色のトナーを加熱溶融して混合し、各色のトナー像を記録媒体上にカラー画像として定着するものである。ヒートローラ31は、制御部(図示せず)によって温度検出器(図示せず)からの信号に基づいて所定の定着温度に制御されるようになっている。ヒートローラ31は、加圧ローラ32と共に記録媒体を熱圧着するようになっている。
【0061】
画像形成装置Aは、給紙トレイ10、手差し給紙トレイ20、記録媒体搬送路S及び排紙トレイ15をさらに備えている。
【0062】
給紙トレイ10及び手差し給紙トレイ20は、画像形成に使用する記録媒体を蓄積しておくためのトレイであり、ここでは、露光装置1の下方に設けられている。また、排紙トレイ15は、ここでは、中間転写ベルトユニット8の上方に設けられており、排出された記録媒体を載置するためのトレイとされている。
【0063】
記録媒体搬送路Sは、給紙トレイ10又は手差し給紙トレイ20からの記録媒体を中間転写ベルトユニット8や定着装置12を経由させて排紙トレイ15に送るためのものである。給紙トレイ10及び手差し給紙トレイ20から排紙トレイ15までの記録媒体搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16(16−1,16−2)、レジストローラ14、定着装置12、記録媒体を搬送する搬送ローラ25(25−1〜25−8)が配設されている。
【0064】
搬送ローラ25は、記録媒体の搬送を促進、補助するものであり、記録媒体搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16−1,16−2は、トレイ10,20からの記録媒体を1枚ずつ記録媒体搬送路Sに供給する呼び込みローラであり、トレイ10,20の端部に配設されている。
【0065】
レジストローラ14は、搬送される記録媒体を一旦保持するものである。レジストローラ14は、中間転写体7上のトナー像を記録媒体に良好に多重転写できるように、中間転写体7の回転にあわせて、記録媒体をタイミングよく搬送する機能を有する。即ち、レジストローラ14は、図示しないレジスト前検知スイッチの出力した検知信号に基づいて、中間転写体7上の画像形成範囲の先端を記録媒体における画像形成範囲の先端に合わせるように、記録媒体を搬送するようになっている。
【0066】
トナー像の定着後の記録媒体は、搬送ローラ25−2,25−3によって搬送され、トナー像を下側に向けた状態で、排紙トレイ15上に排出される。なお、ブラック用画像ステーションだけを用いて、モノクロ画像を形成し、モノクロ画像を中間転写体7に転写することも可能である。このモノクロ画像も、カラー画像と同様に、中間転写体7から記録媒体に転写し、該記録媒体上に定着し、該モノクロ画像が形成された記録媒体を排紙トレイ15に排出することができる。
【0067】
また、記録媒体の表(オモテ)面だけではなく、両面の画像形成を行う場合は、記録媒体のオモテ面に形成された画像を定着装置12により定着した後に、記録媒体を搬送ローラ25−3により搬送する途中で、搬送ローラ25−3を停止させてから逆回転させ、記録媒体を反転経路S1に通して、記録媒体の表裏を反転させてから、記録媒体をレジストローラ14へと導き、記録媒体のオモテ面と同様に、記録媒体の裏面に画像を記録して定着し、記録媒体を排紙トレイ15に排出することができる。
【0068】
一方、トナー像を記録媒体に転写した後の感光体3は、クリーニング装置4によって感光体3表面に残留するトナーが除去されるとともに、図示しない除電装置により感光体3表面上に残留する電荷が除去されるとともに、再び帯電装置5により帯電されることとなる。
[本発明の特徴部分の説明]
次に、本発明の実施形態に係る現像装置2の構成について、以下に説明する。
【0069】
図3は、本発明の実施形態に係る現像装置2を現像スリーブ101s側から視た概観斜視図であり、図4は、図3に示す現像装置2における現像ローラ101の両端部101’,101’のうち、一方の端部を示す断面図である。
【0070】
現像装置2は、現像ローラ101と、一対の軸受106,106(図3では図示せず、図4参照)と、現像ケース104と、一対の薄肉スリーブ103,103と、一対のシール部材105,105(図3では図示せず、図4参照)とを備えている。
【0071】
現像ローラ101は、現像剤を現像スリーブ101sに保持しつつ感光体3表面に該現像剤におけるトナーを供給するようになっている。一対の軸受106,106は、現像ローラ101の回転軸101aの両端部101a’,101a’を軸支するようになっている。現像ケース104は、軸受106,106を支持するようになっている。
【0072】
そして、一対の薄肉スリーブ103,103は、現像ローラ101と現像ケース104との間に該現像ローラ101と同軸上に配置されており、現像ローラ101の両端部101’,101’(特に軸受106,106)からの現像剤漏れを防止するようになっている。また、一対のシール部材105,105は、現像ケース104と薄肉スリーブ103,103との間に配置されている。
【0073】
かかる構成を備えた現像装置2によれば、現像ローラ101と現像ケース104との間に薄肉スリーブ103,103を配置し、現像ケース104と薄肉スリーブ103,103との間にシール部材105,105を配置するので、現像ローラ101の両端部101’,101’(特に両端軸受106,106部)からの現像剤漏れを効果的に防止できるため、画像形成装置3の汚れを抑制でき、当該現像装置2に収容される現像剤の全体量の減少(即ち現像剤の漏出)や記録媒体への現像剤落ちを抑えることができる。
【0074】
また、この現像装置2を備えた画像形成装置Aによれば、当該装置A内への現像剤漏れや記録媒体への現像剤落ちを抑制できるため、印字画質を良好に維持することができる。
【0075】
さらに、複数の現像装置3(3a〜3d)を有するカラー機Aにおいて、現像剤漏れによる影響をより効果的に抑えることができる。
【0076】
さらに、本実施の形態では、タンデム型のカラー用画像形成装置に採用し、各色用の現像装置として本発明の実施形態に係る現像装置3(3a〜3d)を用いるので、現像装置全体での現像剤の漏れ出しを抑えることができるため、きれいな画質を得ることができる。
【0077】
本実施の形態においては、現像ローラ101における現像スリーブ101sは、アルミニュウムなどの金属材料からなっている。現像スリーブ101sの外周表面101s’には、溝加工が施されている。この溝加工とは、現像剤のスリーブ周方向への搬送性を向上させるために、現像スリーブ101sの外周表面101s’に多数の規則的な凹凸を形成する加工である。ここでは、現像スリーブ101sの外周表面101s’には、現像ローラ軸方向に沿って延びる溝Gが周方向全周に亘って多数形成されている。
【0078】
図5は、図1及び図2に示す感光体3及び現像ローラ101部分を拡大して示す概略断面図である。
【0079】
現像ローラ101は、図5に示すように、現像スリーブ101s内に複数(ここでは5個)の磁極を有する固定マグネットローラ101Mを内包するようになっている。固定マグネットローラ101Mは、ローラ軸方向に沿って延びる棒状のマグネット101M1〜101M5を備えている。固定マグネットローラ101Mの内周面には、主極として感光体3に対向する位置にマグネット101M1(ここでは、N極側)が配置されると共に、該主極マグネット101M1を基準にして現像剤搬送方向(図中現像スリーブ回転方向X’)にマグネット101M2(ここではS極側)、マグネット101M3(ここではN極側)、マグネット101M4(ここではN極側)、マグネット101M5(ここではS極側)がそれぞれこの順で配置されている。
【0080】
この現像装置2は、現像剤に穂立ちを規制する穂立ち規制部材102(図3参照)をさらに備えている。かかる構成を備えた現像装置2では、固定マグネットローラ101Mの周囲を相対回転する現像スリーブ101s上に現像剤(即ちトナーを帯電付着したキャリア)をマグネットM101〜M105の磁力によって担持し、該現像スリーブ101sの回転により、該現像スリーブ101s上に担持した現像剤を穂立ち規制部材102にて搬送量が規制された状態で感光体3との現像領域Pへ搬送するようになっている。
【0081】
なお、現像ローラ101の回転方向X’は、感光体3の回転方向Xとは逆方向である。従って、現像装置2は、現像領域Pにおいてはフォロー方式(感光体3の回転方向と同方向)で現像されるようになっている。
【0082】
図6は、薄肉スリーブ103,103の斜視図である。本発明の実施形態に係る現像装置2は、図6に示すような形状の薄肉スリーブ103,103を具備している。
【0083】
薄肉スリーブ103,103は、図4及び図6に示すように、キャップ形状とされている。詳しくは、薄肉スリーブ103,103は、中心部に貫通孔である薄肉スリーブ孔103hを有する円盤状の側板部103rと、該側板部103rの外周端部から該側板部103rに対して垂直方向一方側に延びる筒状のスリーブ部103sとからなっている。こうすることで、薄肉スリーブ103の側板部103rを現像ローラ101の側部101bと軸受106,106との間に設けると共に、薄肉スリーブ103のスリーブ部103sを現像スリーブ101sと現像ケース104との間に設けることができる。
【0084】
薄肉スリーブ103,103は、ここでは、側板部103r及びスリーブ部103sを一体的に形成した樹脂成型品とされている。薄肉スリーブ103,103は、具体的には ポリカーボネート樹脂から選択されたものである。なお、スリーブ部103sは、現像スリーブ101sの外径と略同一の内径を有している。また、薄肉スリーブ孔103hは、回転軸101aの両端部101a’,101a’の径と略同一の径を有している。
【0085】
そして、薄肉スリーブ103,103は、スリーブ部103sの内周面103s’が現像スリーブ101sの両端部における外周表面101s’に接触するように該現像スリーブ101sに対し相対回転不能に嵌着されており、少なくともスリーブ部103sの内周面103s’と接触する現像スリーブ101s両端部の外周表面Y,Y(図4参照)には、前記溝加工が施されていない。
【0086】
かかる構成を備えた現像装置2では、現像ローラ101の回転軸101aの両端部101a’,101a’にスリーブ部103sを内側にして薄肉スリーブ孔103hを挿通し、内周面103s’を外周表面Y,Yに嵌着することで、薄肉スリーブ103,103の内周面103s’を現像スリーブ101s両端部の外周表面Y,Yに密着させることができる。
【0087】
また、回転軸101aの両端部101a’,101a’は、軸受106,106により軸支される構造になっている。そして、現像ケース104と薄肉スリーブ103,103との間にはシール部材105,105が接触配置されている。詳しくは、現像ケース104のローラ軸方向両端部には、凹部(ここでは円形状の凹部)104a,104aが設けられている。シール部材105,105は、現像ケース104の凹部104a,104aに貼付されている。
【0088】
具体的には、シール部材105,105は、スリーブ103,103のスリーブ部103sの外径と略同一の内径を有している。さらに具体的には、シール部材105,105は、現像ケース104における凹部104a,104aの径と略同一の外径を有する筒状のものとされている。
【0089】
ところで、従来の現像装置では、薄肉スリーブ103,103が設けられていないため、シール部材として高額なアクリル繊維からなるフェルトシートなどの部材を用いる必要があった。しかしながら、本発明の実施形態に係る現像装置では、薄肉スリーブ103,103が設けられていることから、シール部材105,105として、例えば、発泡フォームからなるものを用いることで、材料面でコストダウンを図ることができる。なお、シール部材105,105は、ここでは、発泡ポリエチレンからなっている。発泡ポリエチレンとしては、トナーのしみだしの少ない単泡性のものを用いることが好ましい。
【0090】
本実施の形態においては、薄肉スリーブ103,103と軸受106,106との間の現像ローラ101の両回転軸101a’,101a’に該軸受106,106に接触するように一対のパッキング部材107,107が挿入されている。パッキング部材107,107は、回転軸101a’,101a’の径と略同一の内径を有するリング状の部材とされている。パッキング部材107,107は、ここでは、ゴム材料からなっている。
【0091】
次に、本発明の実施形態に係る現像装置2において、薄肉スリーブ103,103及びシール部材105,105により現像ローラ101端部101’,101’からの現像剤漏れを防止する動作について説明する。
【0092】
現像装置2は、既述のとおり、現像スリーブ101s内において回転軸101aの周りに設けられた複数の棒状マグネット101M1〜101M5からなるマグネットローラ101Mを備えている。
【0093】
現像装置2では、マグネットローラ101Mの外側にある現像スリーブ101sが該マグネットローラ101Mに対して相対回転することで、外周面に保持(担持)された状態で現像剤が感光体3との間の現像領域Pに供給される。このとき、原理的には現像剤は現像スリーブ101sの外周面のみに保持されるのであるが、現像スリーブ101sの回転に伴い現像剤が現像スリーブ101sの軸方向端部より外方へ移行することがある。特に、現像スリーブ部101s表面には、既述のとおり、現像剤のスリーブ周方向への搬送性をアップさせるために、溝加工(ここでは現像ローラ軸方向に沿った溝加工)が施されているので、その溝の中に現像剤が入り込みやすいため、現像ローラ101の回転時間や印刷枚数の増加につれて、現像剤が現像スリーブ101sの軸方向端部に向かって移動しやすい。例えば、高速回転により劣化したキャリアや小粒径のトナーが現像スリーブ101s表面の溝に入り込み、回転につれて現像スリーブ101s両端部に押されてくるため、現像剤が回転軸101aの両端部101a’,101a’付近に集積しやすい。
【0094】
ここで、図8に示す現像装置2’の如く、薄肉スリーブ103,103及びシール部材105,105が設けられていないと、ライフが進むにつれ、現像ケース104の現像ローラ軸方向端部に設けてある軸受106,106の回転軸101aとの隙間Qから現像剤が漏れ出すことがある。さらに進行すると、回転軸101aと軸受106,106との間に入った現像剤が固着し、現像ローラ101の回転トルクが上昇して最終的には回転ロックに至ってしまうことがある。
【0095】
しかし、本実施の形態では、図4に示すように、薄肉スリーブ103,103を現像ローラ101と現像ケース104との間に設け、またシール部材105,105を現像ケース104と薄肉スリーブ104との間に設けるので、現像スリーブ101sの軸方向端部に向かって移動してきた現像剤が薄肉スリーブ103,103によって堰き止められ、さらに、該堰き止められた現像剤がシール部材105,105によってシールされる。これにより、現像ローラ101の両端部101’,101’からの現像剤漏れを抑制することができる。ここでは、薄肉スリーブ103の側板部103rを現像ローラ101の側部101bと軸受106,106との間に設け、また薄肉スリーブ103のスリーブ部103sを現像スリーブ101sと現像ケース104の凹部104a,104aとの間に設け、さらに、シール部材105,105を薄肉スリーブ103のスリーブ部103sと現像ケース104の凹部104a,104aとの間に設けるので、回転軸101aと軸受106,106との間の隙間Qからの現像剤の漏れ出しをさらに抑えることができ、それだけ回転ロックを有効に防止できる。
【0096】
また、薄肉スリーブ103,103は、金属ではなく樹脂成型品であるので、安価な汎用材料で、寸法精度を良好に確保することができる。また、薄肉スリーブ103,103は、ポリカーボネート樹脂から選択されるので、成型加工性に優れ、製品精度も高いため、それだけ現像剤漏れを抑えることができる。また、シール部材105,105は、発泡フォームからなっているので、変形性に優れ、機械的強度も高いため、長寿命化を図ることができる。
【0097】
また、現像スリーブ101sの製造工程数が増えるものの、少なくとも薄肉スリーブ103,103と接触する現像スリーブ101s両端部の表面に溝加工が施されていない領域Y,Y(図4参照)を設けることにより、現像スリーブ101sと薄肉スリーブ103,103との密着性がアップし、現像スリーブ101sと薄肉スリーブ103,103との間の現像剤の入り込みを極力抑えることができるため、現像剤が軸受106,106部分より漏れ出すことを一層抑えることができる。
【0098】
また、薄肉スリーブ103,103と軸受106,106との間の現像ローラ回転軸101a’,101a’にパッキング部材107,107を挿入するので、薄肉スリーブ103,103から現像剤が仮に漏れた場合でも、パッキング部材107,107により、それ以上外側に漏れることを防止することができる。
【0099】
なお、本実施形態では、現像装置を複数用いたカラー用画像形成装置に適用したが、本発明は、単一の現像装置を用いた画像形成装置(例えばモノクロ用画像形成装置)に適用することもできる。
[実施例]
次に、本発明の実施形態に係る現像装置2において薄肉スリーブ103,103及びシール部材105,105を設けたことによる効果を確認したので、それについて以下に説明する。
【0100】
まず、カラー用画像形成装置であるMX−2700(シャープ株式会社製)において、薄肉スリーブ103,103及びシール部材105,105を設けていない従来の現像装置と、薄肉スリーブ103,103及びシール部材105,105を設けた本発明の実施形態に係る現像装置とを同じ条件で使用した後、現像ローラ101の回転トルクを測定した。
【0101】
その結果、従来の現像装置では、現像ローラ101の回転トルクが0.118N・m(1.2kgf・cm)であったが、本発明の実施形態に係る現像装置では、現像ローラ101の回転トルクが0.049N・m(0.5kgf・cm)と該回転トルクの大きな低減を図ることができた。即ち、薄肉スリーブ103,103及びシール部材105,105によって、回転軸101aと軸受106,106との間の隙間Qへの現像剤の進入を有効に防止でき、回転トルクの上昇を抑えることができることがわかった。
【0102】
また、現像剤の漏れ防止効果を確認するために、薄肉スリーブ103,103及びシール部材105,105を設けていない従来の現像装置と、薄肉スリーブ103,103及びシール部材105,105を設けた本発明の実施形態に係る現像装置とで空回転テストを行った。
【0103】
その結果、従来の現像装置では、130万回転〜350万回転で現像剤が漏れ出したが、本発明の実施形態に係る現像装置では、700万回以上でも漏れは発生しなかった。さらに、この本発明の実施形態に係る現像装置において、薄肉スリーブ103,103と軸受106,106との間の現像ローラ101の両回転軸101a’,101a’にネオプレンゴムからなるパッキング部材107,107を設けて、空回転テストを行った結果、1000万回以上でも現像剤の漏れは発生しなかった。
【0104】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施形態に係る現像装置が搭載された画像形成装置の一例の全体構成を概略的に示す説明図である。
【図2】図1に示す画像形成装置におけるブラック用画像ステーションの概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る現像装置を現像スリーブ側から視た概観斜視図である。
【図4】図3に示す現像装置における現像ローラの両端部のうち、一方の端部を示す断面図である。
【図5】図1及び図2に示す感光体及び現像ローラ部分を拡大して示す概略断面図である。
【図6】薄肉スリーブの斜視図である。
【図7】画像形成装置に備えられる従来の現像装置を現像スリーブ側から視た概観斜視図である。
【図8】図7に示す従来の現像装置における現像ローラの両端部のうち、一方の端部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0106】
A 画像形成装置
2 現像装置
3 感光体(像担持体の一例)
101 現像ローラ
101s 現像スリーブ
101a 回転軸
101M 固定マグネットローラ
102 穂立ち規制部材
103 薄肉スリーブ
103h スリーブ孔
104 現像ケース
105 シール部材
106 軸受
107 パッキング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に備えられる現像装置であって、
現像剤を現像スリーブに保持しつつ前記画像形成装置における像担持体との間の現像領域へ該現像剤を供給するための現像ローラと、
前記現像ローラの両端回転軸を軸支するための軸受と、
前記軸受を保持するための現像ケースとを備えた現像装置において、
前記現像ローラと前記現像ケースとの間に、前記現像ローラの両端部からの現像剤漏れを防止するための薄肉スリーブを配設すると共に、前記現像ケースと前記薄肉スリーブとの間にシール部材を配設することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤は、トナー及び磁性キャリアを主成分とする2成分現像剤であり、前記現像ローラは、前記現像スリーブ内に複数の磁極を有する固定マグネットローラを内包するものであり、該現像スリーブは、外周表面が溝加工されたものであることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記薄肉スリーブは、キャップ形状を呈し、内周面が前記現像スリーブの両端部における外周表面に接触するように嵌合されており、
少なくとも前記薄肉スリーブの内周面と接触する前記現像スリーブ両端部の外周表面には、溝加工が施されていないことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記薄肉スリーブと前記軸受との間の前記現像ローラの前記両回転軸にパッキング部材が挿入されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記薄肉スリーブは、樹脂成型品であることを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記薄肉スリーブは、ポリカーボネート樹脂から選択されることを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記シール部材は、発泡フォームからなることを特徴とする請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちの何れか一項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記現像装置を複数備えることを特徴とする請求項8に記載のカラー用画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−168944(P2009−168944A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4812(P2008−4812)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】