現像装置及びこれを用いた画像形成装置
【課題】トナー担持体の電極上のフレアトナーの均一性を高め、トナー飛散やムラ画像を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【解決手段】複数の電極が所定のピッチで並設される電極群3A・3Bを有するトナー担持ローラ1と、電極間の電界が時間的に変化するように隣り合う電極に異なる相の電圧を印加する交流電源5とを備え、電極間に生じる電界によってトナー担持ローラ1の表面に担持するトナーを表面上から飛翔させて感光体に担持される潜像に付着させて潜像を現像する現像装置において、一種の相の電圧が印加される電極群3Bからみて両隣に並設される他種の相の電圧が印加される電極群3Aの電極幅が互いに異なる。
【解決手段】複数の電極が所定のピッチで並設される電極群3A・3Bを有するトナー担持ローラ1と、電極間の電界が時間的に変化するように隣り合う電極に異なる相の電圧を印加する交流電源5とを備え、電極間に生じる電界によってトナー担持ローラ1の表面に担持するトナーを表面上から飛翔させて感光体に担持される潜像に付着させて潜像を現像する現像装置において、一種の相の電圧が印加される電極群3Bからみて両隣に並設される他種の相の電圧が印加される電極群3Aの電極幅が互いに異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、及びこれを用いて画像を形成するプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、現像ローラや磁性キャリアに吸着させたトナーを現像に用いる一成分現像方式や二成分現像方式ではなく、トナー担持体表面でフレアを形成しているトナーを現像に用いるフレア現像方式が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2に記載の現像装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数の電極を具備するローラ形状のトナー担持体を有している。そして、これら電極の間には、電極間の電界が時間的に変化するように交番電界が形成される。この交番電界によって、一方の電極の上に位置していたトナーが飛翔して他方の電極の上に移動したり、他方の電極の上から飛翔して一方の電極の上に移動したりする。このようにしてトナー担持体上からホッピングを繰り返してフレアを形成しているトナーは、トナー担持体の回転駆動に伴う表面移動によって現像領域まで搬送される。現像領域では、潜像担持体上の潜像の近傍まで飛翔したトナーが、トナー担持体の電極に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。かかる構成では、現像ローラや磁性キャリアなどに吸着しているトナーではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないフレアトナーを現像に用いる。これにより、従来の1成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの高解像度のドット再現性や低電位現像を実現することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平3−21967号公報
【特許文献2】特開2007−133387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、上述した現像装置においては、電極形状や電極間距離の僅かな製造バラツキ、重力・気流等の僅かな外力等によって、トナー担持体上のフレアトナーが徐々にある特定の電極へ寄っていくフレアトナー寄りが発生する場合がある。このようなフレアトナー寄りが発生すると、トナーが寄り集まった部分でトナーが飛散してしまう。また、このようなフレアトナー寄りにより、トナー担持体上でのトナー量のバラツキやトナー担持体表面の平均電位にバラツキが生じるために、潜像担持体上の潜像へのトナー付着量がバラツキ、均一性に欠けたムラ画像が形成されてしまう。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされてものであり、その目的とするところは、トナー担持体の電極上のフレアトナーの均一性を高め、トナー飛散やムラ画像を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の電極が所定のピッチで並設される電極群を有し無端移動するトナー担持体と、該電極間の電界が時間的に変化するように隣り合う電極に異なる相の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、電極間に生じる電界によって該トナー担持体の表面に担持するトナーを該表面上から飛翔させて潜像担持体に担持される潜像に付着させて該潜像を現像する現像装置において、上記電極群のうち少なくとも、一種の相の電圧が印加される電極からみて両隣に並設される他種の相の電圧が印加される電極の電極幅が互いに異なることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記電圧印加手段は上記電極群に2相の電圧を印加することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2の現像装置において、上記トナー担持体はローラ形状であることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項3の現像装置において、上記電圧印加手段は、上記トナー担持体のローラ端面を介して給電することを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項3の現像装置において、上記電圧印加手段は、上記トナー担持体のローラ中心部を介して給電することを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5の現像装置において、上記トナー担持体の電極群は、トナーとは逆極性の材料よりなる表面保護層により被覆されていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、又は5の現像装置において、上記トナー担持体の電極群は、体積抵抗が107[Ω・cm]以上1013[Ω・cm]以下である材料により被覆されていることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6又は7の現像装置において、上記電極群に印加される単位時間当たりの電位平均値が、静電潜像担持体に形成されている画像部電位と非画像部電位との間の値であることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段とを備える画像形成装置において、上記現像装置として、請求項1乃至8の何れかの現像装置を用いることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項9の画像形成装置において、上記潜像担持体上に2種以上のトナー画像を重ね合わせることを特徴とするものである。
本発明に係るトナー担持体は、例えば、A相電極とB相電極とが交互に所定のピッチで並設され、A相電極からみて両隣に並設される2つのB相電極は電極幅が互いに異なるように構成される。そして、A相電極とB相電極間の時間周期的な電位の変化により、A相電極群上にあったトナーが飛翔して両隣のB相電極群上に移動したり、B相電極群上にあったトナーが飛翔して両隣のA相電極群上に再び移動したりする。このような動作を繰り返すことで、トナー担持体上にフレアトナーが形成される。このとき、電極幅が大きい電極よりも電極幅が小さい電極で作られる電界の方が、電気力線が密となる。そのため、A相電極上のトナーは、電極間の電位の変化により両隣のB相電極から電界の力を受けるが、電極幅が大きいB相電極よりも電極幅が小さいB相電極上に移動する確率が高くなる。このように、電極幅の小さい電極に向かってトナーを移動させる方向性をもっているため、製造バラツキ等によるピッチ方向におけるフレアトナー寄りの発生要因があっても、これにかかわらず、トナーを意図した電極に移動させることができ、フレアトナー寄りを抑制することができる。これに対し、電極幅を全て同一に設計した場合でも、例えば製造バラツキによりある1つの電極のみの電極幅が小さくなると、電極幅が同一となる他の電極間に位置するトナーには上記方向性がないため、電極幅の小さい電極に向かってトナーが徐々に集まっていき、ピッチ方向におけるトナー寄りが生じてしまうことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した現像装置の実施形態について説明する。まず、トナー担持体たるトナー担持ローラの構成について説明する。図1は、トナー担持ローラの構成を示す断面模式図である。図1に示すように、トナー担持体たるトナー担持ローラ1は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ガラス等の絶縁材料からなる基体2の上に、アルミニウムやニッケル等の非導電性材料からなる電極3が所定のピッチで移動方向に沿って並設され、これら電極3の上に表面保護層4が形成されてなる。これら電極3のうち、奇数番の電極の集合体をA相電極群3Aとし、偶数番目の電極の集合体をB相電極群3Bとする。そして、これらA相電極群3AとB相電極群3Bには、後述するように、電圧印加手段である交流電源5により交流電圧が印加される。
【0009】
図2は、トナー担持ローラの構成を示す斜視図である。図2に示すように、A相極群3Aは電極軸6Aに束ねられ、B相電極群3Bは電極軸6Bに束ねられた状態で回転することができる。この電極軸6A・6Bの軸端面又は軸周面が給電面となり、この給電面に対して交流電源5から装置本体側に設置された電極板や導電ブラシ等の導電性部材を介して時間周期的に変化する交流電圧が印加される。
【0010】
図3は、トナー担持ローラの電極群に印加される印加バイアスの特性を示す波形図である。図3に示すように、このトナー担持ローラ1の電極群3A・3Bに印加される交流電圧は、A相電極群3Aに印加される周波数f(=1/T)、印加バイアスVppの矩形波状のA相パルス電圧と、B相電極群3Bに印加される周波数f、印加バイアスVppの矩形波状のB相パルス電圧である。A相パルス電圧とB相パルス電圧とは、同周波数f、同印加バイアスVppとなり、且つ互いに逆位相となっており、単位時間当たりにおける平均電位は互いに同じである。例えば、本実施形態では、2相の電極群3A・3Bには、周波数f0.5〜2.0kHz、印加バイアスVpp200〜400Vの矩形波の交流電圧が印加される。このような交流電圧を印加することより、トナー担持ローラ1の表面保護層4上の電荷をもったトナーTは、A相電極群3AとB相電極群3Bを往復するようなホッピング運動を行う。このような現象をフレアという。なお、A相電極群3Aに周波数fの矩形波状のパルス電圧を印加する一方で、B相電極群3Bにパルス電圧の平均電位となる直流電圧を印加しても、逆位相のパルス電圧を採用する場合と同様にフレア現象を起こすことが可能である。
【0011】
また、上記トナー担持ローラ1においては、ローラの端面に隣合わせて電極軸にツバを設けてもよい。図4(a)は、トナー担持ローラの基体の構成を示す断面図、(b)はトナー担持ローラの電極軸の構成を示す斜視図、(c)は基体に電極軸が圧入された様子を説明する断面図である。図5は、トナー担持ローラを平面状に展開した状態を示す平面図である。図4(a)に示すように、例えばアクリル樹脂からなる円筒状の基体2に軸穴を設け、図4(b)で示されるようなツバ8Aが形成されるステンレス製の電極軸7Aを圧入する。同様に、基体2の軸穴にツバ8Bが形成される電極軸7Bを圧入し、図4(c)で示されるようなトナー担持ローラ1を構成する。図4及び図5に示すように、この電極軸7A・7Bの軸端面71A・71B又は軸周面72A・72Bを給電面としてもよいし、若しくはトナー担持ローラ1の端面に隣合うツバ8A・8Bを給電面としてもよい。これらの給電面に対して交流電源5から装置本体側に設置された電極板や導電ブラシ等の導電性部材を介して時間周期的に変化する交流電圧が印加される。
【0012】
上記構成のトナー担持ローラ1は、例えば次のようにして作成することができる。図6(a)〜(e)は、トナー担持ローラの製造工程を説明する断面模式図である。図6(a)に示す工程では、ローラ状の基体2表面を外周旋削によって平滑に仕上げる。図6(b)に示す工程では、溝のピッチがa(例えば100[μm])、溝幅がb、d、c、e[μm]となるように溝切削を行う。溝幅に関しては後述する。図6(c)に示す工程は、無電解ニッケルメッキを施し導体膜を形成する。図6(d)に示す工程では、外周を旋削して不要な導体膜を取り除く。この時点で溝部分に電極群3A・3Bが形成され電極同士が互いに絶縁された状態となっている。その後、図6(e)に示す工程では、基体2表面がシリコーン系樹脂でコーティングされ、基体2と電極群3A・3B上に表面保護層4を形成して平滑に仕上げる。これにより、図1に示すように、A相電極群3AとB相電極群3Bが移動方向に沿って絶縁材料である基体2を介して交互に形成されたトナー担持ローラ1が作成される。本実施形態では、表面保護層4は、厚み約5[μm]、体積抵抗1010[Ω・cm]である。また、電極となる導体膜の形成方法は、無電解ニッケルメッキに限られず、例えばアルミ蒸着によってもよい。
【0013】
ここで、上記トナー担持ローラ1の表面に形成される表面保護層4としては、トナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)上でホッピングするトナーTとの摺擦に伴ってトナーTに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましい。すなわち、表面保護層4には、トナーTに対し帯電系列で逆極性となる材料を用いることが好ましい。表面保護層4の帯電系列をトナーTと同極性にしてしまうと、フレアトナーの帯電量が除々に低下してフレアの活性が悪化する。表面保護層4には、トナーTと帯電系列で逆極性となる材料を用いることで、フレアトナーの帯電量を保つことができる。本実施形態では、トナーTの正規帯電極性がマイナス極性であり、表面保護層4としては、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、PVA、ウレタン樹脂等の有機材料を例示することができる。また、第4級アンモニウム塩やニグシロン系染料等でもよい。
【0014】
トナーの帯電系列とは、トナー母材樹脂(粒子)にシリカ、酸化チタン等の外添剤を添加したトナー全体としての帯電系列を意味する。帯電系列における序列については、次のようにして調べることが可能である。即ち、トナーを表面保護層上で所定時間だけ表面保護層に摺擦せしめた後、そのトナーを吸引して採取する。そして、採取したトナーの帯電量をエレクトロメータで測定する。この測定結果がトナーの負極性への帯電量増加を示すものであれば、トナーの方が表面保護層よりもマイナス側の帯電系列となる。また、測定結果がトナーの正極性への帯電量増加を示すものであれば、トナーの方が表面保護層よりもプラス側の帯電系列となる。
【0015】
また、上記表面保護層4の体積抵抗は、107[Ω・cm]〜1013[Ω・cm]であることが好ましい。表面保護層4の体積抵抗が107[Ω・cm]未満である場合には、電極群間で電荷のリーク(ショート)が発生してしまうために、効率的なバイアス効果が得られなり、フレアの活性が悪化する。表面保護層4の体積抵抗が1013[Ω・cm]より大きいと飛翔を繰り返すトナーとの摩擦によってトナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)が帯電したままになってしまいトナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)の平均電位が変化してしまう。
【0016】
次に、トナー担持体上のフレアトナーの動き方について説明する。図7は、本実施形態に係るトナー担持体の電極構成を示す模式図である。図14は、従来のトナー担持体の電極構成を示す模式図である。なお、ここでは簡略化のためバイアスの切替えはA相電極3Aのみで行い、B相電極3BはGND接地している。図14に示すトナー担持体では、A相電極群100A及びB相電極群100Bがピッチ間距離aでそれぞれ櫛歯状に設けられ、A相電極群100A及びB相電極群100B共に電極幅bに形成されている。電極へ印加するバイアスが切り替わる度に、ある電極上のトナーはその電極と両隣りの電極との間で形成される電界から等しい力を受ける。例えば、図14(a)では、B相電極群100B上に存在していたマイナス帯電トナーは、A相電極群100Aが+バイアスに切り替わると、ピッチ間距離aの両隣りのA相電極群100A(左右共に電極幅がbで等しい)との間で左右等しい電界からの力を受けて、左右に等しい確率でA相電極群100A上に移動する。その後、図14(b)では、A相電極群100A上に存在していたマイナス帯電トナーは、A相電極群100Aが−バイアスに切り替わることで、両隣りのB相電極群100Bとの間で左右等しい電界からの力を受けて、左右に等しい確率でトナーがB相電極群100B上に移動する。この動作をバイアス切替え時に繰り返すことで、トナー担持体上にフレアが発生する。このとき、トナー担持体上で、例えば製造バラツキにより、ある1つの電極のみの電極幅が小さくなってしまった場合には、電極幅が同一である他の電極間に位置するトナーには方向性がないためこの電極幅の小さい電極に向かってトナーが徐々に集まっていき、ピッチ方向でのトナー寄りが生じてしまうことになる。
【0017】
これに対し、図7に示すトナー担持体では、A相電極群3A及びB相電極群3Bがピッチ間距離aでそれぞれ櫛歯状に設けられ、A相電極群3Aは電極幅b、c(b>c)と交互に形成され、B相電極群3Bは電極幅dに形成されている。なお、ここでも簡略化のためバイアスの切替えはA相電極群3Aのみで行い、B相電極群3BはGND接地している。電極へ印加するバイアスが切り替わる度に、ある電極上のトナーはその電極と両隣りの電極との間で形成される電界から力を受ける。例えば図7(a)に示すように、B相電極群3B上に存在していたマイナス帯電トナーは、A相電極群3Aが+バイアスに切り替わると、電極幅が異なる左右のA相電極群3Aからピッチ間距離aを隔てて電界から力を受ける。このとき、大きい電極幅bとなるA相電極群3Aよりも小さい電極幅cとなるA相電極3Aで作られる電界の方が電気力線が密となる。そのため、B相電極群3B上のトナーは、小さい電極幅cのA相電極群3A上に移動する確率が高くなる。その後、図7(b)に示すように、電極幅cのA相電極3A上のマイナス帯電トナーは、A相電極群3Aが−バイアスに切り替わることで、ピッチ間距離aを隔てて電界から力を受ける。このとき、左右どちらのB相電極群3Bとも電極幅dで等しいために、トナーは左右から等しい力を受けて左右のB相電極群3Bへほぼ均等分配されて移動する。このときもし仮に、何らかのバラツキで左または右へのトナー移動が他方より多くなったとしても、次回の電極のバイアス切替え時に再び狭い電極幅cとなるA相電極群3A上にトナーは移動する。このような動作をバイアス切替えに従って繰り返すことで、トナー担持体上に均一なフレアが発生する。このとき、バイアス切り替えによって小さい電極幅cのA相電極に向かってトナーを移動させる方向性をもっているため、トナー担持体上でピッチ方向におけるフレアトナー寄りの発生要因があっても、これにかかわらず、トナーを意図した電極に移動させることができ、フレアトナー寄りを抑制することができる。
【0018】
図8は、図7で示す電極構成とは別の実施形態に係るトナー担持体の電極構成を示す模式図である。図8では、A相電極群3A及びB相電極群3Bがピッチ間距離aでそれぞれ櫛歯状に形成され、A相電極群3Aは電極幅b、c(b>c)と交互に形成され、B相電極群3Bは電極幅d、e(d>e)と交互に形成されている。なお、ここでも図7のとき同様に簡略化のためバイアスの切替えはA相電極群3Aのみで行い、B相電極群はGND接地している。電極へ印加するバイアスが切り替わる度に、ある電極上のトナーはその電極と両隣りの電極との間で形成される電界から力を受ける。例えば、図8(a)に示すように、B相電極群3B上に存在していたマイナス帯電トナーは、A相電極群3Aが+バイアスに切り替わると、電極幅b、c(b>c)が異なる左右のA相電極群3Aからピッチ間距離aを隔てて電界から力を受ける。このとき、広い電極幅bとなるA相電極群3Aよりも狭い電極幅cとなるA相電極群3Aで作られる電界の方が電気力線が密となる。そのため、B相電極群3B上のトナーは電極幅cのA相電極群3A上に移動する確率が高くなる。その後、図8(b)に示すように、電極幅cのA相電極群3A上のマイナス帯電トナーは、A相電極群3Aが−バイアスに切り替わることで、ピッチ間距離aを隔てて電界から力を受ける。このとき、広い電極幅dとなるB相電極群3Bよりも狭い電極幅eとなるB相電極群3Bで作られる電界の方が電気力線が密となる。そのため、A相電極群3A上のトナーは、電極幅eのB相電極群3B上に移動する確率が高くなる。そして、狭い電極幅eのB相電極群3B上のマイナス帯電トナーは、次回のA相電極群3Aのバイアス切替え時に再び狭い電極幅cのA相電極群3A上に移動する。この動作をバイアス切替えに従って繰り返すことでトナー担持体上にフレアが発生する。この電極構成の場合も図7の場合と同様に、このとき、バイアス切り替えの度に小さい電極幅cのA相電極又は小さい電極幅eのB相電極に向かってトナーを移動させる方向性をもっているため、トナー担持体上でピッチ方向におけるフレアトナー寄りの発生要因があっても、これにかかわらず、トナーを意図した電極に移動させることができ、フレアトナー寄りを抑制することができる。
【0019】
次に、トナー担持体上でのフレアトナー寄りを評価した実験結果について説明する。まず、以下に示す実施例1、実施例2、及び比較例に基づくトナー担持体を作成した。
<実施例1>
ピッチa=100μm
A相電極幅:b=120μm、c=60μm
B相電極幅:d=60μm
<実施例2>
ピッチa=100μm
A相電極幅:b=120μm、c=60μm
B相電極幅:d=120μm、e=60μm
<比較例>
ピッチa=100μm
A相電極幅、B相電極幅:b=60μm
【0020】
上記実施例及び比較例のトナー担持体(平板25cm2)にトナーを均一に載せ、B相電極群をGND接地、A相電極群に0±400V、周波数1kHzのバイアスを印加する。トナー担持体上に載せるトナー量M/Aは、0.3、0.4、0.5、0.6[mg/cm2]とし、トナー帯電量は全て−20μC/gとした。そして、前記バイアス3秒印加後のフレアトナーの様子を観察し、フレア寄りランクを評価した。その結果を図9に示す。図9中の評価は、ランク5:寄り無し、ランク4:許容レベル、ランク3以下:NGとする。図9の結果から、実施例1及び実施例2では、比較例に比べフレアトナー寄りが抑制されていることが明らかとなった。フレアトナー寄りの抑制効果は、原理的には電極幅の比で1:1.2以上で得られることができると考えられるが、本実施例のように電極幅の比を1:2以上とすることがより効果的である。なお、トナー担持体上のトナー供給部から現像部までの移動時間は長くてもせいぜい0.5秒であり、3秒はトナー寄りを確認するには十分な時間である。仮に静電潜像坦持体である感光体(OPC)の線速を150mm/sec、感光体に対するトナー担持ローラの線速比を1/2、トナー担持ローラ径をφ18mm、供給〜現像を180°と仮定しても、移動時間は0.38秒である。
【0021】
次に、上述したトナー担持ローラ1を利用した現像装置の構成について説明する。図10は本実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図である。図10に示す現像装置では、潜像担持体である感光体10に対向して配置されるトナー担持ローラ1に対して、通常の2成分現像器11により2成分現像剤の穂が当接されている。2成分現像器11は、容器12内の2成分現像剤13を攪拌ローラ14、15によって攪拌しながら循環させ、永久磁石を内包するマグネットスリーブ16がその2成分現像剤13の一部をトナー担持ローラ1まで搬送すると共に現像部から現像に寄与しなかった不要なトナーを戻す。本実施形態では、2成分現像器11は、粒径35[μm]の磁性キャリア粉と粒径約6[μm]のポリエステルトナーを重量比で7〜8[wt%]混合させた2成分現像剤13を収容する。マグネットスリーブ16に担持されるトナーの一部は、マグネットスリーブ16とトナー担持ローラ1との間に印加される直流バイアス電位によってトナー担持ローラ1に転移する。
【0022】
トナー担持ローラ1に転移したトナーは、トナー担持ローラ1上でフレアを形成しながら、トナー担持ローラ1が図示しない駆動部により回転駆動されることで感光体10との対向部である現像領域に搬送される。現像領域では、トナー担持ローラ1上のトナーがトナー担持ローラ1表面の平均電位と感光体10の電位との差によって感光体10上の静電潜像に付着してトナー像を形成する。電極軸3A・3B間には交流電源5から電極ブラシ等によってバイアス電位として交流電圧が印加され、A相電極群3AとB相電極群3Bとの間に時間周期的な電位差が形成される。電極に印加される単位時間当たりの電位平均値は、感光体10に形成されている画像部電位と非画像部電位との間の値となる。トナー担持ローラ1の現像に寄与しなかった不要なトナーは現像部から再びマグネットスリーブ16に戻ってくる。フレアが形成されているので、トナー担持ローラ1に対するトナーの付着力は非常に低く、トナー担持ローラ1によって現像部から戻ってきたトナーは、マグネットスリーブ16の回転に追随した2成分現像剤の穂によって容易に掻き取られたり馴らされたりする。これを繰り返すことによって、トナー担持ローラ1上には常にほぼ一定量のトナーフレアが形成されることになる。
【0023】
図11は別の実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図である。図11に示す現像器17は、マグネットスリーブ16を省略して簡略化した構成とし、トナー担持ローラ1に対するトナー供給を2成分現像剤のカスケード現像現象によって行う。現像器21は単純なカスケードを利用してトナー担持ローラ1に薄いトナー層を形成するため、トナー担持ローラ1へのトナー転移率が図10に示す実施形態に比べて低下するが、その分トナー担持ローラ1の回転速度を高くすることにより、感光体10への現像速度に対応することができる。また、図12に示す現像器17は、トナー担持ローラ1、容器12、攪拌ローラ14、15とから構成され、成分現像器11からマグネットスリーブ16を省略した構成であるため、実質的に従来の2成分現像器と同サイズとなり、小型で高画質の作像エンジンを構成することが可能である。
【0024】
図12は、別の実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図である。図12に示す現像装置は、2成分現像器11の代りにトナーのみを有する1成分現像器21を用いる。この1成分現像器21は、容器22内のトナーTを循環パドル23で攪拌して循環させながらトナー担持ローラ1に供給し、トナー担持ローラ1上のトナーをトナー規制部材としてのドクタブレード24により一定厚に規制して薄いトナー層とする。本実施形態では、トナー担持ローラ1上のトナー量が0.45[mg・cm2]となるように規制される。ドクタブレード24に交流電圧を印加することで、フレアトナーのフレア活性度を上げて現像領域に送ることも可能である。現像領域に搬送されたトナー担持ローラ1上のトナーは、トナー担持ローラ1表面の平均電位−150Vと感光体10の画像部電位−40V(非画像部電位−260V)との差によって感光体10上の静電潜像に付着してトナー像を形成する。現像に寄与しなかった不要なトナーは再びトナー溜まり部に戻ってくる。トナー担持ローラ1によって現像部から戻ってきたトナーは、フレアを形成しているためトナー担持ローラ1に対する付着力が非常に低く、トナー溜り部でのトナー間の摺擦によって容易に掻き取られたり馴らされたりする。これを繰り返す事によって、トナー担持ローラ1上には常にほぼ一定量のトナーフレアが形成されることになる。トナー担持ローラ1へのトナー供給安定性という意味では、図10に示した現像器11や図11に示した現像器17にやや劣る部分もあるが、それは条件を詰めれば解決できる問題であり、何よりも非常に小型軽量且つ高画質な作像エンジンを構成することが可能である。
【0025】
図13は、実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す概略構成図である。図13に示す画像形成装置は、図12に示した1成分現像器21を利用して構成され、ベルト状感光体20上に各色のトナー像を重ねて形成する画像形成装置の例である。この実施形態では、図示しないローラに掛け渡され回転駆動されるベルト状感光体20の移動方向に沿って、複数色、例えばブラック、イエロー、シアン、マゼンタの画像をそれぞれ形成する複数の現像装置21K、21Y、21C、21Mが並設されている。感光体20は、まず、作像装置25Kにて帯電装置26Kにより一様に帯電され、図示しない露光手段としての書込装置によりブラックの画像データで変調された光ビーム27Kを露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が図12に示した現像装置21Kにより現像されてブラックのトナー像となる。その後、感光体20は除電器28Kにより除電されて次の画像形成に備える。次いで、感光体20は、帯電装置26Yにより一様に帯電され、図示しない露光手段としての書込装置により、イエローの画像データで変調された光ビーム27Yを露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が図12に示した現像装置21Yにより現像されて上記ブラックのトナー像と重なるイエローのトナー像となる。その後、感光体20は除電器28Yにより除電されて次の画像形成に備える。
【0026】
次に、感光体20は、帯電装置26Cにより一様に帯電され、図示しない露光手段としての書込装置によりシアンの画像データで変調された光ビーム27Cを露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が図12に示した現像装置21Cにより現像されて上記ブラックのトナー像及び上記イエローのトナー像と重なるシアンのトナー像となる。その後、感光体20は除電器28Cにより除電されて次の画像形成に備える。次に、感光体20は、帯電装置26Mにより一様に帯電され、図示しない露光手段としての書込装置によりマゼンタの画像データで変調された光ビーム27Mを露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が図12に示した現像装置21Mにより現像されて上記ブラックのトナー像、上記イエローのトナー像及び上記シアンのトナー像と重なるマゼンタのトナー像となることでフルカラー画像が形成される。
【0027】
一方、図示しない給紙装置から記録紙等の記録媒体が給送され、この記録媒体は電源から転写バイアスが印加される転写手段としての転写ローラ29により感光体20上のフルカラー画像が転写される。フルカラー画像が転写された記録媒体は、定着装置30によりフルカラー画像が定着され、外部へ排出される。感光体20は、フルカラー画像転写後にクリーニング手段としてのクリーナ31により残留トナー等が除去される。
【0028】
図13に示す画像形成装置では、同一のベルト状感光体20上に4色分の書き込みを行うので、通常の4連タンデム方式と比較すると、原理的に位置ズレがほとんど発生せず、同一感光体20上で色重ねができて位置ズレのない高画質のフルカラー画像を得ることができる。また、上記現像装置21K、21Y、21C、21Mは、感光体20上に一度形成されたトナー像に対しては影響を与えることが無いので、スキャベンジや混色などの問題が無く、高画質な作像プロセスを長期的に渡り安定して行う事ができる。なお、図13に示す画像形成装置では、図12で示した現像装置21K、21Y、21C、21Mを用いたが、図10及び図11で示した現像装置11、17を用いてもよいことは言うまでもない。
【0029】
以上、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持体であるトナー担持ローラ1に電極幅や電極間距離のバラツキがあったり、重力や気流等の僅かな外力の影響があったりしても、フレアトナー寄りが発生しにくく、フレアトナーの均一性を高めることができる。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持ローラ1は、電圧印加手段である交流電源5によりA相パルス電圧が印加されるA相電極群3A群と、B相パルス電圧が印加されるB相電極群とを備える。このトナー担持ローラ1に担持されたトナーは、A相電極群3AとB相電極群3Bとの間を往復するようなホッピング運動を行いながら、トナー担持ローラ1の移動により潜像担持体である感光体10との対向部である現像領域に搬送され現像に供される。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、ローラ形状のトナー担持ローラ1を用いている。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持ローラ1はA相電極群3Aに対して共通した電圧を導くための電極軸(ツバ8A)とB相電極群3Bに対して共通した電圧を導くための電極軸(ツバ8B)とをローラ端面に隣り合わせて設けている。これらツバ8A・8Bを給電面としているため、新たな共通電極を設ける必要がなく、A相電極群3A及びB相電極群3Bに対して独立してパルス電圧を印加することができる。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持ローラ1はA相電極群3Aに対して共通した電圧を導くための電極軸6A・7Aと、B相電極群3Bに対して共通した電圧を導くための電極軸6B・7Bとを設けている。そして、これら電極軸6A・6B・7A・7Bの軸端面や軸周面を給電面としている。よって、新たな共通電極を設ける必要がなく、A相電極群3A及びB相電極群3Bに対して独立してパルス電圧を印加することができる。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持ローラ1の電極群3A・3Bは、トナーTとは逆極性の材料よりなる表面保護層4により被覆されている。これにより、トナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)上でホッピングするトナーTとの摺擦に伴ってトナーTに正規の電荷を与えられることができる。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持体1の電極群3A・3Bは、体積抵抗が107[Ω・cm]以上1013[Ω・cm]以下である材料よりなる表面保護層4により被覆されている。表面保護層4の体積抵抗を107[Ω・cm]以上とすることにより、電極群3A・3B間で電荷のリーク(ショート)を防止する。また、表面保護層4の体積抵抗を1013[Ω・cm]以下とすることにより、トナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)に電荷が蓄積するのを防止し、所望の平均電位が得られるようにする。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、電極群3A・3Bに印加される単位時間当たりの電位平均値は、静電潜像担持体である感光体10・20に形成されている画像部電位と非画像部電位との間の値である。これにより、トナー担持ローラ1上のトナーが感光体10・20上の静電潜像に付着してトナー像を形成する。
また、本実施形態に係る画像形成装置によれば、上述した現像装置11、17、21を備えていることから、トナー飛散やムラ画像を抑制して、高品質な画像を得ることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置によれば、上述した現像装置21K、21Y、21C、21Mを備えていることから、同一感光体20上で色重ねができ、色ズレ、スキャベンジや混色等のない高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】トナー担持ローラの構成を示す断面模式図。
【図2】トナー担持ローラの構成を示す斜視図。
【図3】トナー担持ローラの電極群に印加される印加バイアスの特性を示す波形図。
【図4】(a)は、トナー担持ローラの基体の構成を示す断面図、(b)はトナー担持ローラの電極軸の構成を示す斜視図、(c)は基体に電極軸が圧入された様子を説明する断面図。
【図5】トナー担持ローラを平面状に展開した状態を示す平面図。
【図6】a)〜(e)は、トナー担持ローラの製造工程を説明する断面模式図。
【図7】本実施形態に係るトナー担持体の電極構成を示す模式図。
【図8】別の実施形態に係るトナー担持体の電極構成を示す模式図。
【図9】フレアトナー寄りの評価実験結果を示す特性図。
【図10】本実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図。
【図11】別の実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図。
【図12】別の実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図。
【図13】同現像装置を用いた画像形成装置の概略構成を示す構成図。
【図14】従来のトナー担持体の電極構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0031】
1 トナー担持ローラ
2 基体
3A A相電極群
3B B相電極群
4 表面保護層
5 交流電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、及びこれを用いて画像を形成するプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、現像ローラや磁性キャリアに吸着させたトナーを現像に用いる一成分現像方式や二成分現像方式ではなく、トナー担持体表面でフレアを形成しているトナーを現像に用いるフレア現像方式が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2に記載の現像装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数の電極を具備するローラ形状のトナー担持体を有している。そして、これら電極の間には、電極間の電界が時間的に変化するように交番電界が形成される。この交番電界によって、一方の電極の上に位置していたトナーが飛翔して他方の電極の上に移動したり、他方の電極の上から飛翔して一方の電極の上に移動したりする。このようにしてトナー担持体上からホッピングを繰り返してフレアを形成しているトナーは、トナー担持体の回転駆動に伴う表面移動によって現像領域まで搬送される。現像領域では、潜像担持体上の潜像の近傍まで飛翔したトナーが、トナー担持体の電極に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。かかる構成では、現像ローラや磁性キャリアなどに吸着しているトナーではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないフレアトナーを現像に用いる。これにより、従来の1成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの高解像度のドット再現性や低電位現像を実現することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平3−21967号公報
【特許文献2】特開2007−133387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、上述した現像装置においては、電極形状や電極間距離の僅かな製造バラツキ、重力・気流等の僅かな外力等によって、トナー担持体上のフレアトナーが徐々にある特定の電極へ寄っていくフレアトナー寄りが発生する場合がある。このようなフレアトナー寄りが発生すると、トナーが寄り集まった部分でトナーが飛散してしまう。また、このようなフレアトナー寄りにより、トナー担持体上でのトナー量のバラツキやトナー担持体表面の平均電位にバラツキが生じるために、潜像担持体上の潜像へのトナー付着量がバラツキ、均一性に欠けたムラ画像が形成されてしまう。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされてものであり、その目的とするところは、トナー担持体の電極上のフレアトナーの均一性を高め、トナー飛散やムラ画像を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の電極が所定のピッチで並設される電極群を有し無端移動するトナー担持体と、該電極間の電界が時間的に変化するように隣り合う電極に異なる相の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、電極間に生じる電界によって該トナー担持体の表面に担持するトナーを該表面上から飛翔させて潜像担持体に担持される潜像に付着させて該潜像を現像する現像装置において、上記電極群のうち少なくとも、一種の相の電圧が印加される電極からみて両隣に並設される他種の相の電圧が印加される電極の電極幅が互いに異なることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記電圧印加手段は上記電極群に2相の電圧を印加することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2の現像装置において、上記トナー担持体はローラ形状であることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項3の現像装置において、上記電圧印加手段は、上記トナー担持体のローラ端面を介して給電することを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項3の現像装置において、上記電圧印加手段は、上記トナー担持体のローラ中心部を介して給電することを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5の現像装置において、上記トナー担持体の電極群は、トナーとは逆極性の材料よりなる表面保護層により被覆されていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、又は5の現像装置において、上記トナー担持体の電極群は、体積抵抗が107[Ω・cm]以上1013[Ω・cm]以下である材料により被覆されていることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6又は7の現像装置において、上記電極群に印加される単位時間当たりの電位平均値が、静電潜像担持体に形成されている画像部電位と非画像部電位との間の値であることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段とを備える画像形成装置において、上記現像装置として、請求項1乃至8の何れかの現像装置を用いることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項9の画像形成装置において、上記潜像担持体上に2種以上のトナー画像を重ね合わせることを特徴とするものである。
本発明に係るトナー担持体は、例えば、A相電極とB相電極とが交互に所定のピッチで並設され、A相電極からみて両隣に並設される2つのB相電極は電極幅が互いに異なるように構成される。そして、A相電極とB相電極間の時間周期的な電位の変化により、A相電極群上にあったトナーが飛翔して両隣のB相電極群上に移動したり、B相電極群上にあったトナーが飛翔して両隣のA相電極群上に再び移動したりする。このような動作を繰り返すことで、トナー担持体上にフレアトナーが形成される。このとき、電極幅が大きい電極よりも電極幅が小さい電極で作られる電界の方が、電気力線が密となる。そのため、A相電極上のトナーは、電極間の電位の変化により両隣のB相電極から電界の力を受けるが、電極幅が大きいB相電極よりも電極幅が小さいB相電極上に移動する確率が高くなる。このように、電極幅の小さい電極に向かってトナーを移動させる方向性をもっているため、製造バラツキ等によるピッチ方向におけるフレアトナー寄りの発生要因があっても、これにかかわらず、トナーを意図した電極に移動させることができ、フレアトナー寄りを抑制することができる。これに対し、電極幅を全て同一に設計した場合でも、例えば製造バラツキによりある1つの電極のみの電極幅が小さくなると、電極幅が同一となる他の電極間に位置するトナーには上記方向性がないため、電極幅の小さい電極に向かってトナーが徐々に集まっていき、ピッチ方向におけるトナー寄りが生じてしまうことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した現像装置の実施形態について説明する。まず、トナー担持体たるトナー担持ローラの構成について説明する。図1は、トナー担持ローラの構成を示す断面模式図である。図1に示すように、トナー担持体たるトナー担持ローラ1は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ガラス等の絶縁材料からなる基体2の上に、アルミニウムやニッケル等の非導電性材料からなる電極3が所定のピッチで移動方向に沿って並設され、これら電極3の上に表面保護層4が形成されてなる。これら電極3のうち、奇数番の電極の集合体をA相電極群3Aとし、偶数番目の電極の集合体をB相電極群3Bとする。そして、これらA相電極群3AとB相電極群3Bには、後述するように、電圧印加手段である交流電源5により交流電圧が印加される。
【0009】
図2は、トナー担持ローラの構成を示す斜視図である。図2に示すように、A相極群3Aは電極軸6Aに束ねられ、B相電極群3Bは電極軸6Bに束ねられた状態で回転することができる。この電極軸6A・6Bの軸端面又は軸周面が給電面となり、この給電面に対して交流電源5から装置本体側に設置された電極板や導電ブラシ等の導電性部材を介して時間周期的に変化する交流電圧が印加される。
【0010】
図3は、トナー担持ローラの電極群に印加される印加バイアスの特性を示す波形図である。図3に示すように、このトナー担持ローラ1の電極群3A・3Bに印加される交流電圧は、A相電極群3Aに印加される周波数f(=1/T)、印加バイアスVppの矩形波状のA相パルス電圧と、B相電極群3Bに印加される周波数f、印加バイアスVppの矩形波状のB相パルス電圧である。A相パルス電圧とB相パルス電圧とは、同周波数f、同印加バイアスVppとなり、且つ互いに逆位相となっており、単位時間当たりにおける平均電位は互いに同じである。例えば、本実施形態では、2相の電極群3A・3Bには、周波数f0.5〜2.0kHz、印加バイアスVpp200〜400Vの矩形波の交流電圧が印加される。このような交流電圧を印加することより、トナー担持ローラ1の表面保護層4上の電荷をもったトナーTは、A相電極群3AとB相電極群3Bを往復するようなホッピング運動を行う。このような現象をフレアという。なお、A相電極群3Aに周波数fの矩形波状のパルス電圧を印加する一方で、B相電極群3Bにパルス電圧の平均電位となる直流電圧を印加しても、逆位相のパルス電圧を採用する場合と同様にフレア現象を起こすことが可能である。
【0011】
また、上記トナー担持ローラ1においては、ローラの端面に隣合わせて電極軸にツバを設けてもよい。図4(a)は、トナー担持ローラの基体の構成を示す断面図、(b)はトナー担持ローラの電極軸の構成を示す斜視図、(c)は基体に電極軸が圧入された様子を説明する断面図である。図5は、トナー担持ローラを平面状に展開した状態を示す平面図である。図4(a)に示すように、例えばアクリル樹脂からなる円筒状の基体2に軸穴を設け、図4(b)で示されるようなツバ8Aが形成されるステンレス製の電極軸7Aを圧入する。同様に、基体2の軸穴にツバ8Bが形成される電極軸7Bを圧入し、図4(c)で示されるようなトナー担持ローラ1を構成する。図4及び図5に示すように、この電極軸7A・7Bの軸端面71A・71B又は軸周面72A・72Bを給電面としてもよいし、若しくはトナー担持ローラ1の端面に隣合うツバ8A・8Bを給電面としてもよい。これらの給電面に対して交流電源5から装置本体側に設置された電極板や導電ブラシ等の導電性部材を介して時間周期的に変化する交流電圧が印加される。
【0012】
上記構成のトナー担持ローラ1は、例えば次のようにして作成することができる。図6(a)〜(e)は、トナー担持ローラの製造工程を説明する断面模式図である。図6(a)に示す工程では、ローラ状の基体2表面を外周旋削によって平滑に仕上げる。図6(b)に示す工程では、溝のピッチがa(例えば100[μm])、溝幅がb、d、c、e[μm]となるように溝切削を行う。溝幅に関しては後述する。図6(c)に示す工程は、無電解ニッケルメッキを施し導体膜を形成する。図6(d)に示す工程では、外周を旋削して不要な導体膜を取り除く。この時点で溝部分に電極群3A・3Bが形成され電極同士が互いに絶縁された状態となっている。その後、図6(e)に示す工程では、基体2表面がシリコーン系樹脂でコーティングされ、基体2と電極群3A・3B上に表面保護層4を形成して平滑に仕上げる。これにより、図1に示すように、A相電極群3AとB相電極群3Bが移動方向に沿って絶縁材料である基体2を介して交互に形成されたトナー担持ローラ1が作成される。本実施形態では、表面保護層4は、厚み約5[μm]、体積抵抗1010[Ω・cm]である。また、電極となる導体膜の形成方法は、無電解ニッケルメッキに限られず、例えばアルミ蒸着によってもよい。
【0013】
ここで、上記トナー担持ローラ1の表面に形成される表面保護層4としては、トナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)上でホッピングするトナーTとの摺擦に伴ってトナーTに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましい。すなわち、表面保護層4には、トナーTに対し帯電系列で逆極性となる材料を用いることが好ましい。表面保護層4の帯電系列をトナーTと同極性にしてしまうと、フレアトナーの帯電量が除々に低下してフレアの活性が悪化する。表面保護層4には、トナーTと帯電系列で逆極性となる材料を用いることで、フレアトナーの帯電量を保つことができる。本実施形態では、トナーTの正規帯電極性がマイナス極性であり、表面保護層4としては、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、PVA、ウレタン樹脂等の有機材料を例示することができる。また、第4級アンモニウム塩やニグシロン系染料等でもよい。
【0014】
トナーの帯電系列とは、トナー母材樹脂(粒子)にシリカ、酸化チタン等の外添剤を添加したトナー全体としての帯電系列を意味する。帯電系列における序列については、次のようにして調べることが可能である。即ち、トナーを表面保護層上で所定時間だけ表面保護層に摺擦せしめた後、そのトナーを吸引して採取する。そして、採取したトナーの帯電量をエレクトロメータで測定する。この測定結果がトナーの負極性への帯電量増加を示すものであれば、トナーの方が表面保護層よりもマイナス側の帯電系列となる。また、測定結果がトナーの正極性への帯電量増加を示すものであれば、トナーの方が表面保護層よりもプラス側の帯電系列となる。
【0015】
また、上記表面保護層4の体積抵抗は、107[Ω・cm]〜1013[Ω・cm]であることが好ましい。表面保護層4の体積抵抗が107[Ω・cm]未満である場合には、電極群間で電荷のリーク(ショート)が発生してしまうために、効率的なバイアス効果が得られなり、フレアの活性が悪化する。表面保護層4の体積抵抗が1013[Ω・cm]より大きいと飛翔を繰り返すトナーとの摩擦によってトナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)が帯電したままになってしまいトナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)の平均電位が変化してしまう。
【0016】
次に、トナー担持体上のフレアトナーの動き方について説明する。図7は、本実施形態に係るトナー担持体の電極構成を示す模式図である。図14は、従来のトナー担持体の電極構成を示す模式図である。なお、ここでは簡略化のためバイアスの切替えはA相電極3Aのみで行い、B相電極3BはGND接地している。図14に示すトナー担持体では、A相電極群100A及びB相電極群100Bがピッチ間距離aでそれぞれ櫛歯状に設けられ、A相電極群100A及びB相電極群100B共に電極幅bに形成されている。電極へ印加するバイアスが切り替わる度に、ある電極上のトナーはその電極と両隣りの電極との間で形成される電界から等しい力を受ける。例えば、図14(a)では、B相電極群100B上に存在していたマイナス帯電トナーは、A相電極群100Aが+バイアスに切り替わると、ピッチ間距離aの両隣りのA相電極群100A(左右共に電極幅がbで等しい)との間で左右等しい電界からの力を受けて、左右に等しい確率でA相電極群100A上に移動する。その後、図14(b)では、A相電極群100A上に存在していたマイナス帯電トナーは、A相電極群100Aが−バイアスに切り替わることで、両隣りのB相電極群100Bとの間で左右等しい電界からの力を受けて、左右に等しい確率でトナーがB相電極群100B上に移動する。この動作をバイアス切替え時に繰り返すことで、トナー担持体上にフレアが発生する。このとき、トナー担持体上で、例えば製造バラツキにより、ある1つの電極のみの電極幅が小さくなってしまった場合には、電極幅が同一である他の電極間に位置するトナーには方向性がないためこの電極幅の小さい電極に向かってトナーが徐々に集まっていき、ピッチ方向でのトナー寄りが生じてしまうことになる。
【0017】
これに対し、図7に示すトナー担持体では、A相電極群3A及びB相電極群3Bがピッチ間距離aでそれぞれ櫛歯状に設けられ、A相電極群3Aは電極幅b、c(b>c)と交互に形成され、B相電極群3Bは電極幅dに形成されている。なお、ここでも簡略化のためバイアスの切替えはA相電極群3Aのみで行い、B相電極群3BはGND接地している。電極へ印加するバイアスが切り替わる度に、ある電極上のトナーはその電極と両隣りの電極との間で形成される電界から力を受ける。例えば図7(a)に示すように、B相電極群3B上に存在していたマイナス帯電トナーは、A相電極群3Aが+バイアスに切り替わると、電極幅が異なる左右のA相電極群3Aからピッチ間距離aを隔てて電界から力を受ける。このとき、大きい電極幅bとなるA相電極群3Aよりも小さい電極幅cとなるA相電極3Aで作られる電界の方が電気力線が密となる。そのため、B相電極群3B上のトナーは、小さい電極幅cのA相電極群3A上に移動する確率が高くなる。その後、図7(b)に示すように、電極幅cのA相電極3A上のマイナス帯電トナーは、A相電極群3Aが−バイアスに切り替わることで、ピッチ間距離aを隔てて電界から力を受ける。このとき、左右どちらのB相電極群3Bとも電極幅dで等しいために、トナーは左右から等しい力を受けて左右のB相電極群3Bへほぼ均等分配されて移動する。このときもし仮に、何らかのバラツキで左または右へのトナー移動が他方より多くなったとしても、次回の電極のバイアス切替え時に再び狭い電極幅cとなるA相電極群3A上にトナーは移動する。このような動作をバイアス切替えに従って繰り返すことで、トナー担持体上に均一なフレアが発生する。このとき、バイアス切り替えによって小さい電極幅cのA相電極に向かってトナーを移動させる方向性をもっているため、トナー担持体上でピッチ方向におけるフレアトナー寄りの発生要因があっても、これにかかわらず、トナーを意図した電極に移動させることができ、フレアトナー寄りを抑制することができる。
【0018】
図8は、図7で示す電極構成とは別の実施形態に係るトナー担持体の電極構成を示す模式図である。図8では、A相電極群3A及びB相電極群3Bがピッチ間距離aでそれぞれ櫛歯状に形成され、A相電極群3Aは電極幅b、c(b>c)と交互に形成され、B相電極群3Bは電極幅d、e(d>e)と交互に形成されている。なお、ここでも図7のとき同様に簡略化のためバイアスの切替えはA相電極群3Aのみで行い、B相電極群はGND接地している。電極へ印加するバイアスが切り替わる度に、ある電極上のトナーはその電極と両隣りの電極との間で形成される電界から力を受ける。例えば、図8(a)に示すように、B相電極群3B上に存在していたマイナス帯電トナーは、A相電極群3Aが+バイアスに切り替わると、電極幅b、c(b>c)が異なる左右のA相電極群3Aからピッチ間距離aを隔てて電界から力を受ける。このとき、広い電極幅bとなるA相電極群3Aよりも狭い電極幅cとなるA相電極群3Aで作られる電界の方が電気力線が密となる。そのため、B相電極群3B上のトナーは電極幅cのA相電極群3A上に移動する確率が高くなる。その後、図8(b)に示すように、電極幅cのA相電極群3A上のマイナス帯電トナーは、A相電極群3Aが−バイアスに切り替わることで、ピッチ間距離aを隔てて電界から力を受ける。このとき、広い電極幅dとなるB相電極群3Bよりも狭い電極幅eとなるB相電極群3Bで作られる電界の方が電気力線が密となる。そのため、A相電極群3A上のトナーは、電極幅eのB相電極群3B上に移動する確率が高くなる。そして、狭い電極幅eのB相電極群3B上のマイナス帯電トナーは、次回のA相電極群3Aのバイアス切替え時に再び狭い電極幅cのA相電極群3A上に移動する。この動作をバイアス切替えに従って繰り返すことでトナー担持体上にフレアが発生する。この電極構成の場合も図7の場合と同様に、このとき、バイアス切り替えの度に小さい電極幅cのA相電極又は小さい電極幅eのB相電極に向かってトナーを移動させる方向性をもっているため、トナー担持体上でピッチ方向におけるフレアトナー寄りの発生要因があっても、これにかかわらず、トナーを意図した電極に移動させることができ、フレアトナー寄りを抑制することができる。
【0019】
次に、トナー担持体上でのフレアトナー寄りを評価した実験結果について説明する。まず、以下に示す実施例1、実施例2、及び比較例に基づくトナー担持体を作成した。
<実施例1>
ピッチa=100μm
A相電極幅:b=120μm、c=60μm
B相電極幅:d=60μm
<実施例2>
ピッチa=100μm
A相電極幅:b=120μm、c=60μm
B相電極幅:d=120μm、e=60μm
<比較例>
ピッチa=100μm
A相電極幅、B相電極幅:b=60μm
【0020】
上記実施例及び比較例のトナー担持体(平板25cm2)にトナーを均一に載せ、B相電極群をGND接地、A相電極群に0±400V、周波数1kHzのバイアスを印加する。トナー担持体上に載せるトナー量M/Aは、0.3、0.4、0.5、0.6[mg/cm2]とし、トナー帯電量は全て−20μC/gとした。そして、前記バイアス3秒印加後のフレアトナーの様子を観察し、フレア寄りランクを評価した。その結果を図9に示す。図9中の評価は、ランク5:寄り無し、ランク4:許容レベル、ランク3以下:NGとする。図9の結果から、実施例1及び実施例2では、比較例に比べフレアトナー寄りが抑制されていることが明らかとなった。フレアトナー寄りの抑制効果は、原理的には電極幅の比で1:1.2以上で得られることができると考えられるが、本実施例のように電極幅の比を1:2以上とすることがより効果的である。なお、トナー担持体上のトナー供給部から現像部までの移動時間は長くてもせいぜい0.5秒であり、3秒はトナー寄りを確認するには十分な時間である。仮に静電潜像坦持体である感光体(OPC)の線速を150mm/sec、感光体に対するトナー担持ローラの線速比を1/2、トナー担持ローラ径をφ18mm、供給〜現像を180°と仮定しても、移動時間は0.38秒である。
【0021】
次に、上述したトナー担持ローラ1を利用した現像装置の構成について説明する。図10は本実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図である。図10に示す現像装置では、潜像担持体である感光体10に対向して配置されるトナー担持ローラ1に対して、通常の2成分現像器11により2成分現像剤の穂が当接されている。2成分現像器11は、容器12内の2成分現像剤13を攪拌ローラ14、15によって攪拌しながら循環させ、永久磁石を内包するマグネットスリーブ16がその2成分現像剤13の一部をトナー担持ローラ1まで搬送すると共に現像部から現像に寄与しなかった不要なトナーを戻す。本実施形態では、2成分現像器11は、粒径35[μm]の磁性キャリア粉と粒径約6[μm]のポリエステルトナーを重量比で7〜8[wt%]混合させた2成分現像剤13を収容する。マグネットスリーブ16に担持されるトナーの一部は、マグネットスリーブ16とトナー担持ローラ1との間に印加される直流バイアス電位によってトナー担持ローラ1に転移する。
【0022】
トナー担持ローラ1に転移したトナーは、トナー担持ローラ1上でフレアを形成しながら、トナー担持ローラ1が図示しない駆動部により回転駆動されることで感光体10との対向部である現像領域に搬送される。現像領域では、トナー担持ローラ1上のトナーがトナー担持ローラ1表面の平均電位と感光体10の電位との差によって感光体10上の静電潜像に付着してトナー像を形成する。電極軸3A・3B間には交流電源5から電極ブラシ等によってバイアス電位として交流電圧が印加され、A相電極群3AとB相電極群3Bとの間に時間周期的な電位差が形成される。電極に印加される単位時間当たりの電位平均値は、感光体10に形成されている画像部電位と非画像部電位との間の値となる。トナー担持ローラ1の現像に寄与しなかった不要なトナーは現像部から再びマグネットスリーブ16に戻ってくる。フレアが形成されているので、トナー担持ローラ1に対するトナーの付着力は非常に低く、トナー担持ローラ1によって現像部から戻ってきたトナーは、マグネットスリーブ16の回転に追随した2成分現像剤の穂によって容易に掻き取られたり馴らされたりする。これを繰り返すことによって、トナー担持ローラ1上には常にほぼ一定量のトナーフレアが形成されることになる。
【0023】
図11は別の実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図である。図11に示す現像器17は、マグネットスリーブ16を省略して簡略化した構成とし、トナー担持ローラ1に対するトナー供給を2成分現像剤のカスケード現像現象によって行う。現像器21は単純なカスケードを利用してトナー担持ローラ1に薄いトナー層を形成するため、トナー担持ローラ1へのトナー転移率が図10に示す実施形態に比べて低下するが、その分トナー担持ローラ1の回転速度を高くすることにより、感光体10への現像速度に対応することができる。また、図12に示す現像器17は、トナー担持ローラ1、容器12、攪拌ローラ14、15とから構成され、成分現像器11からマグネットスリーブ16を省略した構成であるため、実質的に従来の2成分現像器と同サイズとなり、小型で高画質の作像エンジンを構成することが可能である。
【0024】
図12は、別の実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図である。図12に示す現像装置は、2成分現像器11の代りにトナーのみを有する1成分現像器21を用いる。この1成分現像器21は、容器22内のトナーTを循環パドル23で攪拌して循環させながらトナー担持ローラ1に供給し、トナー担持ローラ1上のトナーをトナー規制部材としてのドクタブレード24により一定厚に規制して薄いトナー層とする。本実施形態では、トナー担持ローラ1上のトナー量が0.45[mg・cm2]となるように規制される。ドクタブレード24に交流電圧を印加することで、フレアトナーのフレア活性度を上げて現像領域に送ることも可能である。現像領域に搬送されたトナー担持ローラ1上のトナーは、トナー担持ローラ1表面の平均電位−150Vと感光体10の画像部電位−40V(非画像部電位−260V)との差によって感光体10上の静電潜像に付着してトナー像を形成する。現像に寄与しなかった不要なトナーは再びトナー溜まり部に戻ってくる。トナー担持ローラ1によって現像部から戻ってきたトナーは、フレアを形成しているためトナー担持ローラ1に対する付着力が非常に低く、トナー溜り部でのトナー間の摺擦によって容易に掻き取られたり馴らされたりする。これを繰り返す事によって、トナー担持ローラ1上には常にほぼ一定量のトナーフレアが形成されることになる。トナー担持ローラ1へのトナー供給安定性という意味では、図10に示した現像器11や図11に示した現像器17にやや劣る部分もあるが、それは条件を詰めれば解決できる問題であり、何よりも非常に小型軽量且つ高画質な作像エンジンを構成することが可能である。
【0025】
図13は、実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す概略構成図である。図13に示す画像形成装置は、図12に示した1成分現像器21を利用して構成され、ベルト状感光体20上に各色のトナー像を重ねて形成する画像形成装置の例である。この実施形態では、図示しないローラに掛け渡され回転駆動されるベルト状感光体20の移動方向に沿って、複数色、例えばブラック、イエロー、シアン、マゼンタの画像をそれぞれ形成する複数の現像装置21K、21Y、21C、21Mが並設されている。感光体20は、まず、作像装置25Kにて帯電装置26Kにより一様に帯電され、図示しない露光手段としての書込装置によりブラックの画像データで変調された光ビーム27Kを露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が図12に示した現像装置21Kにより現像されてブラックのトナー像となる。その後、感光体20は除電器28Kにより除電されて次の画像形成に備える。次いで、感光体20は、帯電装置26Yにより一様に帯電され、図示しない露光手段としての書込装置により、イエローの画像データで変調された光ビーム27Yを露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が図12に示した現像装置21Yにより現像されて上記ブラックのトナー像と重なるイエローのトナー像となる。その後、感光体20は除電器28Yにより除電されて次の画像形成に備える。
【0026】
次に、感光体20は、帯電装置26Cにより一様に帯電され、図示しない露光手段としての書込装置によりシアンの画像データで変調された光ビーム27Cを露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が図12に示した現像装置21Cにより現像されて上記ブラックのトナー像及び上記イエローのトナー像と重なるシアンのトナー像となる。その後、感光体20は除電器28Cにより除電されて次の画像形成に備える。次に、感光体20は、帯電装置26Mにより一様に帯電され、図示しない露光手段としての書込装置によりマゼンタの画像データで変調された光ビーム27Mを露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が図12に示した現像装置21Mにより現像されて上記ブラックのトナー像、上記イエローのトナー像及び上記シアンのトナー像と重なるマゼンタのトナー像となることでフルカラー画像が形成される。
【0027】
一方、図示しない給紙装置から記録紙等の記録媒体が給送され、この記録媒体は電源から転写バイアスが印加される転写手段としての転写ローラ29により感光体20上のフルカラー画像が転写される。フルカラー画像が転写された記録媒体は、定着装置30によりフルカラー画像が定着され、外部へ排出される。感光体20は、フルカラー画像転写後にクリーニング手段としてのクリーナ31により残留トナー等が除去される。
【0028】
図13に示す画像形成装置では、同一のベルト状感光体20上に4色分の書き込みを行うので、通常の4連タンデム方式と比較すると、原理的に位置ズレがほとんど発生せず、同一感光体20上で色重ねができて位置ズレのない高画質のフルカラー画像を得ることができる。また、上記現像装置21K、21Y、21C、21Mは、感光体20上に一度形成されたトナー像に対しては影響を与えることが無いので、スキャベンジや混色などの問題が無く、高画質な作像プロセスを長期的に渡り安定して行う事ができる。なお、図13に示す画像形成装置では、図12で示した現像装置21K、21Y、21C、21Mを用いたが、図10及び図11で示した現像装置11、17を用いてもよいことは言うまでもない。
【0029】
以上、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持体であるトナー担持ローラ1に電極幅や電極間距離のバラツキがあったり、重力や気流等の僅かな外力の影響があったりしても、フレアトナー寄りが発生しにくく、フレアトナーの均一性を高めることができる。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持ローラ1は、電圧印加手段である交流電源5によりA相パルス電圧が印加されるA相電極群3A群と、B相パルス電圧が印加されるB相電極群とを備える。このトナー担持ローラ1に担持されたトナーは、A相電極群3AとB相電極群3Bとの間を往復するようなホッピング運動を行いながら、トナー担持ローラ1の移動により潜像担持体である感光体10との対向部である現像領域に搬送され現像に供される。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、ローラ形状のトナー担持ローラ1を用いている。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持ローラ1はA相電極群3Aに対して共通した電圧を導くための電極軸(ツバ8A)とB相電極群3Bに対して共通した電圧を導くための電極軸(ツバ8B)とをローラ端面に隣り合わせて設けている。これらツバ8A・8Bを給電面としているため、新たな共通電極を設ける必要がなく、A相電極群3A及びB相電極群3Bに対して独立してパルス電圧を印加することができる。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持ローラ1はA相電極群3Aに対して共通した電圧を導くための電極軸6A・7Aと、B相電極群3Bに対して共通した電圧を導くための電極軸6B・7Bとを設けている。そして、これら電極軸6A・6B・7A・7Bの軸端面や軸周面を給電面としている。よって、新たな共通電極を設ける必要がなく、A相電極群3A及びB相電極群3Bに対して独立してパルス電圧を印加することができる。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持ローラ1の電極群3A・3Bは、トナーTとは逆極性の材料よりなる表面保護層4により被覆されている。これにより、トナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)上でホッピングするトナーTとの摺擦に伴ってトナーTに正規の電荷を与えられることができる。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、トナー担持体1の電極群3A・3Bは、体積抵抗が107[Ω・cm]以上1013[Ω・cm]以下である材料よりなる表面保護層4により被覆されている。表面保護層4の体積抵抗を107[Ω・cm]以上とすることにより、電極群3A・3B間で電荷のリーク(ショート)を防止する。また、表面保護層4の体積抵抗を1013[Ω・cm]以下とすることにより、トナー担持ローラ1の表面(表面保護層4)に電荷が蓄積するのを防止し、所望の平均電位が得られるようにする。
また、本実施形態に係る現像装置11、17、21によれば、電極群3A・3Bに印加される単位時間当たりの電位平均値は、静電潜像担持体である感光体10・20に形成されている画像部電位と非画像部電位との間の値である。これにより、トナー担持ローラ1上のトナーが感光体10・20上の静電潜像に付着してトナー像を形成する。
また、本実施形態に係る画像形成装置によれば、上述した現像装置11、17、21を備えていることから、トナー飛散やムラ画像を抑制して、高品質な画像を得ることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置によれば、上述した現像装置21K、21Y、21C、21Mを備えていることから、同一感光体20上で色重ねができ、色ズレ、スキャベンジや混色等のない高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】トナー担持ローラの構成を示す断面模式図。
【図2】トナー担持ローラの構成を示す斜視図。
【図3】トナー担持ローラの電極群に印加される印加バイアスの特性を示す波形図。
【図4】(a)は、トナー担持ローラの基体の構成を示す断面図、(b)はトナー担持ローラの電極軸の構成を示す斜視図、(c)は基体に電極軸が圧入された様子を説明する断面図。
【図5】トナー担持ローラを平面状に展開した状態を示す平面図。
【図6】a)〜(e)は、トナー担持ローラの製造工程を説明する断面模式図。
【図7】本実施形態に係るトナー担持体の電極構成を示す模式図。
【図8】別の実施形態に係るトナー担持体の電極構成を示す模式図。
【図9】フレアトナー寄りの評価実験結果を示す特性図。
【図10】本実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図。
【図11】別の実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図。
【図12】別の実施形態に係る現像装置の概略構成を示す構成図。
【図13】同現像装置を用いた画像形成装置の概略構成を示す構成図。
【図14】従来のトナー担持体の電極構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0031】
1 トナー担持ローラ
2 基体
3A A相電極群
3B B相電極群
4 表面保護層
5 交流電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が所定のピッチで並設される電極群を有し無端移動するトナー担持体と、該電極間の電界が時間的に変化するように隣り合う電極に異なる相の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、電極間に生じる電界によって該トナー担持体の表面に担持するトナーを該表面上から飛翔させて潜像担持体に担持される潜像に付着させて該潜像を現像する現像装置において、
上記電極群のうち少なくとも、一種の相の電圧が印加される電極からみて両隣に並設される他種の相の電圧が印加される電極の電極幅が互いに異なることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記電圧印加手段は上記電極群に2相の電圧を印加することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2の現像装置において、
上記トナー担持体はローラ形状であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項3の現像装置において、
上記電圧印加手段は、上記トナー担持体のローラ端面を介して給電することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項3の現像装置において、
上記電圧印加手段は、上記トナー担持体のローラ中心部を介して給電することを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5の現像装置において、
上記トナー担持体の電極群は、トナーとは逆極性の材料よりなる表面保護層により被覆されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、又は5の現像装置において、
上記トナー担持体の電極群は、体積抵抗が107[Ω・cm]以上1013[Ω・cm]以下である材料により被覆されていることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7の現像装置において、
上記電極群に印加される単位時間当たりの電位平均値が、静電潜像担持体に形成されている画像部電位と非画像部電位との間の値であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段とを備える画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1乃至8の何れかの現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9の画像形成装置において、
上記潜像担持体上に2種以上のトナー画像を重ね合わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
複数の電極が所定のピッチで並設される電極群を有し無端移動するトナー担持体と、該電極間の電界が時間的に変化するように隣り合う電極に異なる相の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、電極間に生じる電界によって該トナー担持体の表面に担持するトナーを該表面上から飛翔させて潜像担持体に担持される潜像に付着させて該潜像を現像する現像装置において、
上記電極群のうち少なくとも、一種の相の電圧が印加される電極からみて両隣に並設される他種の相の電圧が印加される電極の電極幅が互いに異なることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記電圧印加手段は上記電極群に2相の電圧を印加することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2の現像装置において、
上記トナー担持体はローラ形状であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項3の現像装置において、
上記電圧印加手段は、上記トナー担持体のローラ端面を介して給電することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項3の現像装置において、
上記電圧印加手段は、上記トナー担持体のローラ中心部を介して給電することを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5の現像装置において、
上記トナー担持体の電極群は、トナーとは逆極性の材料よりなる表面保護層により被覆されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、又は5の現像装置において、
上記トナー担持体の電極群は、体積抵抗が107[Ω・cm]以上1013[Ω・cm]以下である材料により被覆されていることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7の現像装置において、
上記電極群に印加される単位時間当たりの電位平均値が、静電潜像担持体に形成されている画像部電位と非画像部電位との間の値であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段とを備える画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1乃至8の何れかの現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9の画像形成装置において、
上記潜像担持体上に2種以上のトナー画像を重ね合わせることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−44322(P2010−44322A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209806(P2008−209806)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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