説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】 回転ラック及びそれに対応する構成を必要としない新たな構成の回転式現像装置及び該回転式現像装置を含む画像形成装置を提供する。
【解決手段】 現像装置12及び画像形成装置は、軸16を中心として回転自在に支持された回転体に複数の現像器14を設けたもので、回転体は複数の現像器14を備えており、複数の現像器はそれぞれ、他の現像装置に連結されている。また、現像器は、被現像剤供給部材(例えば、静電潜像担持体)に対して現像剤を供給する現像処理部52と、現像処理部に対して現像剤を供給する現像剤供給部54を備えており、現像処理部と現像剤供給部は分離可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラーの画像を作成する複写機やプリンタなどの画像形成装置は、静電潜像担持体に形成された静電潜像を複数の色で現像するために、異なる色の現像剤を収容した複数の現像器を備えている。これら複数の現像器は、静電潜像担持体の移動方向に沿って一列に配置されている。しかし、一部の画像形成装置では、水平回転軸の周囲に複数の現像器を配置し、回転軸の回転に基づいて選択された一つの現像器を静電潜像坦持体に対向させる所謂ロータリ式現像装置を採用している。例えば、特許文献1に記載されている画像形成装置では、回転軸の周りに4つの現像器を配置したロータリ式現像装置を採用しており、これら4つの現像器に異なる色の現像剤又はトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を収容している。
【特許文献1】特開2001−235995号公報
【0003】
しかし、この現像装置は、回転軸を含む略十字型の回転ラックを備えており、この回転ラックに4つの現像器を着脱自在に設けている。また、回転ラックは、各現像器を安定且つ確実に保持して回転させるために、相当頑丈に作られている。そのため、回転軸及び回転ラック並びに現像器取り付け部が相当大型になり、そのために画像形成装置が大型化するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上述の回転ラック及びそれに対応する構成を必要としない新たな構成の回転式現像装置及び該回転式現像装置を含む画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明に係る現像装置及び画像形成装置は、軸を中心として回転自在に支持された回転体に複数の現像器を設けた現像装置において、上記回転体は複数の現像器を備えており、上記複数の現像器はそれぞれ、他の現像装置と相互に連結されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の他の形態の現像装置及び画像形成装置は、上記現像器が、被現像剤供給部材に対して現像剤を供給する現像処理部と、上記現像処理部に対して現像剤を供給する現像剤供給部を備えており、上記現像処理部と現像剤供給部は分離可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように構成された現像装置及び画像形成装置によれば、複数の現像器は、それぞれを他の現像器と連結して構成されている。したがって、複数の現像器を連結して構成された現像装置全体は非常に高い剛性を有する。そのため、回転ラック等の支持部材が不要になり、その分現像装置及び画像形成装置が小型になる。また、現像処理部と現像剤供給部は分離可能であるため、それぞれの保守及び交換が容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態に係る現像装置及び画像形成装置を説明する。
【0009】
図1は本発明に係る画像形成装置10の一部を示し、図2は図1に示す画像形成装置10に搭載された現像装置12を示す。図面上、画像形成装置10は、その全体を示していないが、電子写真式画像形成装置、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びそれらの機能を複合的に備えた複合機である。画像形成装置10はまた、電子写真式画像形成法に必要な種々の構成、例えば静電潜像担持体(例えば、感光体)、該静電潜像担持体を帯電する帯電装置、帯電された静電潜像担持体に画像光を露光して静電潜像を形成する露光装置、静電潜像を後述する現像装置によって可視像化した現像剤像(トナー像)を静電潜像担持体から転写体(例えば、シート又は転写ベルト)に転写する転写装置、シートを供給するシート供給部、シートに転写された現像剤をシートに定着する定着装置、現像剤が定着されたシートを排出する排出装置などを備えている。
【0010】
現像装置12は円筒回転体として構成されており、複数の現像器14(14y、14m、14c、14k)で構成されている。図示するように、本実施形態では、現像装置12は4つの現像器14(14y、14m、14c、14k)を備えているが、その数は限定的なものではない。現像装置12を構成している各現像器14は、概略、現像装置12の中心線(長軸)16を含む2つの直交面に沿って現像装置12を4分割した各分割要素に似た外観を有する。
【0011】
例えば、各現像器14の外観は、概略、中心線16を中心とする所定半径の円筒面に沿って延在し、現像装置12の円筒外周面の四分の一を構成する外側円筒壁18と、外側円筒壁18の周方向両端から径方向内側に向かって伸びる2つの径方向壁20,20と、これら外側円筒壁18と径方向壁20,22に長手方向両端部を連結する端壁24(一方の端壁は図示せず)で構成されている。また、2つの径方向壁20,22の一方の端部(外側円筒壁18に連結された他方の端部の反対側に位置する端部)は、中心線16を中心とする所定半径の円筒面に沿って延在する内側円筒壁26によって連結されており、4つの現像器14を連結して組み合わせた状態で、それらの内側円筒壁26が現像装置12の中心に軸受け孔28を形成するようにしてある。
【0012】
各現像器14は、隣接する現像器14と相互に連結するための連結手段30を備えている。実施の形態において、連結手段30は、各現像器14の一周方向(図2の時計回り方向)に関して下流側に位置する径方向壁20に形成された係合凸部32と上流側に位置する径方向壁22に形成された係合凹部34を有する。例えば、係合凸部32は、略T字状横断面を有し、中心線16と平行に伸びる突起部で形成されている。係合凹部34は、係合凸部32の横断面に対応する横断面を有し、中心線16と平行に伸びる溝で形成されている。したがって、隣接する現像器14は、一方の現像器14の係合凸部32を他方の現像器14の対応する係合凹部34にスライド係合することによって相互に連結されて連結される。そして、4つの現像器14を連結して構成された現像装置12は、極めて剛性の高い円筒体を形成する。
【0013】
このようにして4つの現像器14を連結して構成された現像装置12は、図1に示すように、画像形成装置内に設けた一対の対向支持壁40,42の間に配置され、一方の支持壁40に固定された支軸44を軸受け孔28の一端に挿入し、他方の支持壁42に固定された支軸46を軸受け孔28の他端に挿入して回転自在に支持される。図示するように、他方の支軸46は、連結部材48を介して他方の支持壁42に着脱自在に固定され、現像装置12を画像形成装置10から取り外す際に取り外すことができるようにすることが好ましい。
【0014】
画像形成装置10に装着された現像装置12は、画像形成装置10の内部に配置されている静電潜像担持体に必要な現像器14を対向させるために、回転機構(図示せず)に連結される。回転機構は、例えば、図1に示すように、現像装置12の円筒外周面に周方向に連続して形成された環状歯部(歯車)50と、画像形成装置内に固定された駆動歯車(図示せず)で構成し、現像装置12を画像形成装置内に装着した状態で環状歯部50が駆動歯車とかみ合うように構成できる。または、一方の支軸44の外周に外歯車52を形成し、この支軸44を支持壁40に回転自在に取り付けると共に駆動系に駆動連結する一方、現像装置12の軸受け孔28には内歯車(図示せず)を形成し、現像装置12の軸受け孔28に支軸44を挿入した状態で、これら外歯車51と内歯車がかみ合い、駆動系の回転が支軸44を介して現像装置12に伝わるようにしてもよい。
【0015】
図3と図4に示すように、現像器14は、静電潜像担持体に現像剤(トナー)を供給して静電潜像を現像する現像処理部52と、現像処理部52に現像剤(トナー)を供給する現像剤供給部54に分割することもできる。この場合、図3に示すように、現像処理部ハウジング56と現像剤供給部ハウジング58との対向壁60,62にそれぞれ上述した連結手段と同様の係合凹部64と係合凸部66を設けることで、両者を分離可能に連結できる。
【0016】
本実施形態の場合、例えば、図4に示すように、現像処理部ハウジング56には、静電潜像担持体にトナーを供給する現像ローラ70と、現像ローラ70の外周面にトナーを供給する供給ローラ72が収容される。一方、現像剤供給部ハウジング58には、該現像剤供給部ハウジング58内に収容されているトナーを攪拌する攪拌部材74が収容される。そして、現像処理部ハウジング56と現像剤供給部ハウジング58の対向壁60,62には連通孔76,78が形成される。また、現像処理部ハウジング56の外側円筒壁18には、現像ローラ70を静電潜像担持体に対向させるために開口部80(図3では省略されている。)が形成されている。開口部80と現像ローラ70との隙間は、図示しないシール部材によってシールされている。
【0017】
静電潜像担持体に対向している現像器14の現像ローラ70、供給ローラ72、攪拌部材74に回転力を伝達するために、図1に示すように、連結部材48には駆動軸(駆動歯車)82が回転自在に取り付けてあり、現像器14が現像位置にあるとき、駆動軸82が現像器端壁24(図2参照)に設けた駆動連結機構(図示しないが、例えば歯車機構)に駆動連結され、図示しない駆動源からの回転が駆動軸82、駆動連結機構を介して、現像ローラ70、供給ローラ72、攪拌部材74に伝達されるようにしてある。
【0018】
したがって、現像位置にある現像器14では、攪拌部材74の回転に基づいて現像剤供給部ハウジング58内のトナーが攪拌されながら、連通孔78,76から現像処理部ハウジング56内に供給される。現像処理部ハウジング56内のトナーは、供給ローラ72の外周面に保持され、現像ローラ70の外周面に供給される。そして、現像ローラ70の外周面に保持されたトナーが、静電潜像担持体との対向部で該静電潜像担持体に供給される。
【0019】
以上の説明では、複数の現像器14は、中心線16と平行に形成された係合凸部32と係合凹部34の係合によって連結するものとしたが、図5に示すように、中心線16と直交方向に伸びる係合凸部84と係合凹部86からなる連結手段88を利用して隣接する現像器を連結してもよい。ただし、本実施形態の場合、まず連結手段88を介して現像器14kに現像器14yを連結し、次に連結手段88を通じて現像器14yに現像器14mを連結し、最後に現像器14cは上述した連結手段30によって現像器14kと連結しなければならない。
【0020】
また、図6に示すように、4つの現像器14を組み合わせて構成された現像装置12は、中心に回転軸を取り付け、この回転軸90の両端を一対の固定壁40,42に形成した溝92,94に落とし込んで位置決めするようにしてもよい。この場合、図7に示すように、4つの現像器14のうちのいずれか一つに回転軸90を固定してもよい。また、上述のように、図5及び図8に示す4つの現像器14を組み合わせて構成された現像装置12の中心軸受け孔28に回転軸90を挿入することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一部と現像装置の構成を示す分解斜視図。
【図2】図1に示す現像装置の分解斜視図。
【図3】図1、図2に示す現像装置を構成する現像器の斜視図。
【図4】図3に示す現像器の断面図。
【図5】現像器の他の連結手段を示す現像装置の分解斜視図。
【図6】現像装置の他の支持構造を示す斜視図。
【図7】現像器の他の形態を示す斜視図。
【図8】現像器の他の形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0022】
10:画像形成装置、12:現像装置14(14y、14m、14c、14k):現像器、16:中心線、18:外側円筒壁、20、22:径方向壁、24:端壁、26:内側円筒壁、28:軸受け孔、30:連結手段、32:係合凸部、34:係合凹部、40,42:支持壁、44:支軸、46:支軸、48:連結部材、50:環状歯部(歯車)、51:外歯車、52:現像処理部、54:現像剤供給部、56:現像処理部ハウジング、58:現像剤供給部ハウジング、60、62:対向壁、64:係合凹部、66:係合凸部、70:現像ローラ、72:供給ローラ、74:攪拌部材、76,78:連通孔、80:開口部、82:駆動軸、84:係合凸部、86:係合凹部、88:連結手段、90:回転軸、92,94:溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を中心として回転自在に支持された回転体に複数の現像器を設けた現像装置において、
上記回転体は複数の現像器を備えており、
上記複数の現像器はそれぞれ、他の現像装置と相互に連結されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
上記現像器は、被現像剤供給部材に対して現像剤を供給する現像処理部と、上記現像処理部に対して現像剤を供給する現像剤供給部を備えており、上記現像処理部と現像剤供給部は分離可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−33604(P2007−33604A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213925(P2005−213925)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】