説明

球形根菜類の整形装置

【課題】面倒な手数をなんら要しなく、一挙に太柱状の一次整形品が得られる球形根菜類の整形装置を提供する。
【解決手段】作業台に搭載したエアシリンダーのロッドの推進延長線に中心が合うよう短筒形の受刃型とそれに嵌まり込み得る押型とを配置し,作業台に受刃型を固定して装備し,エアシリンダーのロッドによる推進軸の先端に押型を取り付け、推進軸がスライド軸受により軸承されており、受刃型には押型を受ける側の端の周囲に切刃が形成され、切刃の上に載るように添えた球形根菜類を押型が受刃型に押込み通すことにより太柱状に成形し得るように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蕪やカブラ状大根(桜島大根等)や南瓜(カボチャ)のような球形根菜類を漬物等に加工する際に,最終加工の小片に切り分けやすく,一次的にまずは太柱状に形を整えるための球形根菜類の整形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
漬物の加工業者では、蕪や大根や南瓜(以下「蕪」を代表として説明する)等を漬物に加工するときには、皮を剥いでから、食べやすい手頃な大きさに切断し、皮の無い中身だけの小片として使用されることが多い。また、蕪や大根等では、皮の近くの深層に繊維の多い固い筋部分が層状に張っており、それが食味を妨げるので取り除く必要から、皮は厚く切り取られる。また、商品としての体裁を確保する必要から、形や大きさに均一性が求められる、一次加工の段階では太柱状の均一な整形品が整形される。これを当分に切ってほゞ同じ大きさの小片にして漬物等に使用される。
【0003】
従来、太柱状の成形品を得るには、蕪を立てに置きそれに包丁を垂直に下ろしながら周囲が垂直に厚く切除される。これで太柱状の一次成形品を成形できるが、これはさらに上下両端部を切り取り、それから、例えば2ないし8個に縦割りしたものを、さらに輪切りするような包丁使いで商品となる小片に切り分けていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の成形品の一次加工では、蕪の端の傾斜した周囲の皮に包丁の刃を垂直に入れる関係で、傾斜面のため包丁が使いがたく力が無用に必要であるばかりか、蕪の周囲に沿って順次幾度となく包丁を入れる手数を要するために、作業性が良くなく時間が掛かるという問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、面倒な手数をなんら要しなく、一挙に太柱状の一次整形品が得られる球形根菜類の整形装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明は、作業台に搭載したエアシリンダーのロッドの推進延長線に中心が合うよう短筒形の受刃型とそれに嵌まり込み得る押型とを配置し,作業台に受刃型を固定して装備し,エアシリンダーのロッドによる推進軸の先端に押型を取り付け、推進軸がスライド軸受により軸承されており、受刃型には押型を受ける側の端の周囲に切刃が形成され、切刃の上に載るように添えた球形根菜類を押型が受刃型に押込み通すことにより太柱状に成形し得るように構成したことを特徴とする球形根菜類の整形装置を提供する。
【0007】
球形根菜類の整形装置を上記のように構成したから、これを使用するときには、球形根菜類を受刃型の切刃に添え、エアシリンダーを作動させてその切刃の中に押型を通すように押し出してその蕪等を太柱状に整形することができる。なお、加圧シリンダーとしては電動シリンダー若しくは油圧シリンダー等が使用される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、厄介な包丁使いから開放され、面倒な手数が何ら要しなく、一挙に太柱状の一次成形加工をなすことができるため、作業性が良く省力化に適し、また、球形根菜類を所定の箇所にセットするだけで、きれいな肌で均一性のある球形根菜類の成形品が得られ、これを必要に応じて小片に切り分けて消費者の需要に応じ、また、漬物業者などに規格に適した良品の整形品として確実に納品できるという優れた効果がある.
【0009】
請求項2および3によれば、さらに切断加工が容易で作業性が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の球形根菜類の整形装置を示す正面図である。
【図2】同球形根菜類の整形装置における受刃型と押型とを対で示す斜視図である。
【図3】この発明に係る受刃型の正面図である。
【図4】同図A−A線矢視の断面図である。
【図5】第2実施例による球形根菜類の整形装置の一部正面図である。
【図6】球形根菜類の整形装置としての蕪を示す斜視参考図である。
【図7】同蕪を受刃型と押型とで切り分けた状態を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の球形根菜類の整形装置は、受刃型8と押型9とを対で使用するものであるが、その受刃型8と押型9とが上下となる縦型(実施例1)ばかりでなく、左右配置となる横型(実施例2)とがある。また受刃型8および押型9は、円形に限られることはなく、多角形であることもあり得る。
【0012】
また、押型9を駆動するためには、以下の実施例ではエアシリンダー5を使用したが、油圧シリンダーや電動シリンダー等も有効に使用できるので、これらを使用してもこの発明の趣旨に反しないものとする。
【実施例1】
【0013】
図1ないし図4は、球形根菜類の整形装置を縦型として実施した一例を示したもので、その球形根菜類の整形装置は、蕪1などの球形根菜類(以下、蕪1とする)を処理する作業台3に前端において枠体7が立設され、その上に突片12を介してエアシリンダー5が吊り下げられる。さらに作業台3の上には手前に蕪1を載置する受刃型8を設け、枠体7の上端から垂下するエアシリンダー5の下方には押型9が設けられ、受刃型8と押型9とはエアシリンダー5のロッド33ないし推進軸35の推進延長線Pを中心とする配置となっている。なお、受刃型8と押型9とは取替え可能なアタッチメントとして使用される。
【0014】
受刃型8は、上下に抜ける短筒状輪形であって、上端に全周にわたって切刃10が形成されたもので、外周面に溶接により多数の副刃11,11,・・が放射状に突設される。また、外周面に溶接で左右一対の取付片13,13が垂設される。
【0015】
切刃10の刃形加工については、蕪1の成形品15を通しやすくストレートにするために外面に切削による傾斜加工面16が形成される。また、左右両端部が隆起する山形であり、前後両端部が丁度逆に谷形であって、蕪1等を切り込みやすくその切刃10は、山形部10aと谷形部10bとがスロープで連続している「うねうね」した形状である。したがって、全周において切刃10の切れ味が良い。
【0016】
また、蕪1の成形品15が詰まることなく通すために、内周面に上端部では前記の如くストレートであるが、下端部では内周面が大径に形成され、段差凹欠部17が形成される。つまり、下端部は引っ掛かりがないように拡張されている。
【0017】
副刃11,11,・・は、それぞれ同じ形状の矩形であって、上端縁に刃先19を有する。また、各副刃11,11,・・において刃先19がそれぞれ前記山形部10aの頂点とほゞ同じ高さである。したがって、刃先19,19,・・の並びの上に蕪1を都合良く安定して載置できる。これで蕪1を置くだけでセットでき、この状態で押型9が下降して切断、成形が開始される。
【0018】
押型9は、取付軸18を中心とする円盤形であるが、受刃型8の切刃10の凹凸にできるだけ合う形状に下面が一直径に対して「ヘ」の字型に窪む対称形の凹面22に形成される。また、このような形状であると、平らである場合に比較して蕪1が転倒しないようにそれを押しやすい。しかし,押型9の下面が凸面であっても良いというように特に下面の形状は限定されない。
【0019】
運転については、受刃型8の上に蕪1を載せ、エアシリンダー5を駆動させると、ロッド33の伸長により推進軸35とともに押型9が進出し、押型9の下降で蕪1を受刃型8に押し込みながら受刃型8から押し出す。これで、蕪1は切刃10で切断され受刃型8の中を通って大部分が太柱状に成形され、周囲は副刃11,11,・・で分断されて切り分けられ、その切屑16a,16a.・・とともに整形品16がボックス21に落下する。
【実施例2】
【0020】
図5は横型の球形根菜類の整形装置を示したものであるが、基本的構造は前記縦型の場合と変わらない。
【0021】
作業台3は横長であってその上に枠体7が倒伏して載置される。これには、端に作業台3が起立して設けられ、その側面に受刃型8が装着される。また、枠体7の端には、突片を設けてそれにエアシリンダー5がピン連結され、枠体7には、エアシリンダー5等を横に支持するよう、ロッド33の先端の推進軸35がスライド軸受37により支承される。そして推進軸35の先端に押型9が取り付けられ、ロッド33の推進延長線Pが横方向であって、これの中心を通って受刃型8と押型9とが配置される。
【0022】
運転については、受刃型8に有する切刃10の上に置くように蕪1を添えた状態で押型9を押し込むと、最初は副刃11,11,・・により蕪1の周囲が分断され、その切屑16a,16a.・・が第1ボックス21aに落下し、次に、受刃型8から押し出された整形品16が作業台3を抜けて外にあるもう一つの第2ボックス21bに落下するので、ボックスで選別して回収される。
【0023】
図8は、蕪1を処理した整形品16と周囲から出た切屑16a,16a.・・とを示したものである。このうち、整形品16については、これから商品段階の小片を得るために、例えば十文字に縦割りされ、割った各長物を等間隔に切って小片とされる。なお、頭側の上端と尻側の下端とはいずれかの段階で切り取られる。
【0024】
なお、受刃型8の中に十文字の切り刃を組み込んでおくことにより、縦割りした長物の状態で整形することもできる。
【符号の説明】
【0025】
P 推進延長線
1 球形根菜類としての蕪
3 作業台
5 エアシリンダー
8 受刃型
9 押型
10 切刃
10a 山形部
10b 谷形部
11 副刃
19 刃先
33 ロッド
35 推進軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台に搭載した加圧シリンダーのロッドの推進延長線に中心が合うよう短筒形の受刃型とそれに嵌まり込み得る押型とを配置し,作業台に受刃型を固定して装備し,加圧シリンダーのロッドによる推進軸の先端に押型を取り付け、推進軸がスライド軸受により軸承されており、受刃型には押型を受ける側の端の周囲に切刃が形成され、切刃の上に載るように添えた球形根菜類を押型が受刃型に押込み通すことにより太柱状に成形し得るように構成したことを特徴とする球形根菜類の整形装置。
【請求項2】
受刃型は、その端縁に形成した切刃が押型の方向へ向けてうねうねと起伏する形状に形成され、突出する山形部と凹む谷形部がスロープの切刃で連続して形成されていることを特徴とする請求項1記載の球形根菜類の整形装置。
【請求項3】
受刃型は、薄板状に形成された複数の副刃が外周面に放射状に突設され、副刃が球形根菜類を載せて受け得るように切刃とほゞ同じ高さにおいて配列してあることを特徴とする請求項1又は2記載の球形根菜類の整形装置。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−34463(P2013−34463A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175697(P2011−175697)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(511196571)
【Fターム(参考)】