説明

環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量から取り出した部分量の束管反応器の反応管への装入法

環状シェル触媒Kの製造の際に生じる、環状シェル触媒Kの対を、反応管へのその装入前に少なくとも部分的に環状シェル触媒Kから分離させる、束管反応器の反応管中への環状シェル触媒Kの装入法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化の実施に好適な触媒固床を束管反応器の反応管に充填させる目的のための、この反応管中に、管状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量から取り出した部分量を装入させるための方法に関する。
【0002】
束管反応器の反応管中に存在する触媒固床における、有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化法は、多数の工業的化学薬品の製造に公知である。
【0003】
有機化合物のそのような不均一触媒化部分気相酸化としては、例えば、メタノールからホルムアルデヒドへの反応(例えば、CH‐A449600及びCH‐A38828参照)、プロペンからアクロレイン及び/又はアクリル酸への反応(例えば、DE‐A2351151参照)、三級‐ブタノール、イソ‐ブテン、イソ‐ブタン、イソ‐ブチルアルデヒド又は三級‐ブタノールのメチルエーテルからメタクロレイン及び/又はメタクリル酸への反応(例えば、DE‐A2526238、EP‐A092097、EP‐A058927、DE‐A4132263、DE‐A4132684及びDE‐A4022212参照)、アクロレインからアクリル酸及びメタクロレインからメタクリル酸への反応(例えば、DE‐A2526238参照)、o‐キシロール及び/又はナフタリンから無水フタル酸への反応(例えば、EP‐A522871参照)、及びブタジエンから無類マレイン酸への反応(例えば、DE‐A2106796及びDE‐A1624921参照)、C‐炭化水素、例えば、1‐ブテン、2‐ブテン、ブタジエン及び/又はn‐ブタンから無水マレイン酸への反応(例えば、GB‐A1464198及びGB‐A1291354参照)、インダンからアントラキノンへの反応(例えば、DE‐A2025430参照)、エチレンからエチレンオキシドへの反応(例えば、EP−A352849、EP‐A352850、EP‐A532325、US‐A5155242及びUS‐A5262551参照)又はプロピレンからプロピレンオキシドへの反応(例えば、DE‐AS1254137、DE‐A2159346、EP‐A372972、WO89/07101、DE‐A4311608参照)、プロピレン及び/又はアクロレインからアクリルニトリルへの反応(例えば、DE‐A2351151参照)、イソ‐ブテン及び/又はメタクロレインからメタクリルニトリルへの反応(即ち、部分酸化の概念は、本明細書において、部分的アンモ酸化、即ち、アンモニアが存在する部分酸化も包含すべきである)、炭化水素又は炭化水素誘導体の酸化的脱水素化(例えば、DE‐A2351151参照)、プロパンからアクリルニトリル又はアクロレイン及び/又はアクリル酸への反応(例えば、DE‐A10131297、EP‐A1090684、EP‐A608838、DE‐A10046672、EP‐A529853、WO01/96270及びDE‐A10028582参照)などが挙げられる。
【0004】
この明細書では、有機化合物と分子酸素との完全な酸化とは、有機化合物が分子酸素の反応的影響下に、有機化合物中に全体に含まれる炭素が炭素の酸化物に、及び有機化合物中に全体に含まれる水素が水素の酸化物に変換されるように反応されることが解されるが、この明細書では、分子酸素の反応的影響下での有機化合物のその異なった全ての発熱反応が有機化合物の部分酸化として包括される。
【0005】
特に、この明細書では、部分酸化とは、部分的に酸化すべき有機化合物が、反応の終了後に少なくとも1個の酸素原子を、部分酸化の実施前よりも多く化学的に結合して含有するような、分子酸素の反応的影響下での有機化合物の発熱反応が解されるべきである。
【0006】
この際、束管反応器とは、通例、反応器ジャケットによって包囲される、垂直に配列された反応管の束を包含する装置のことであり、この際、個々の反応管の2つの末端は開口していて、各反応管はその上部末端で、反応器ジャケットへの上で密封された上部管床の流通口中へ、かつその下部末端で、反応器ジャケットへの下で密封された下部管床の流通口中へ密封されて突出し、この際、反応管の外部、上部及び下部管床、及び反応器ジャケットは、共通して反応管周囲空間の範囲を制限し、かつ2つの管床の各々は少なくとも1個の開口を有する反応器フードによって張り覆われる。そのような束管反応器中での不均一触媒化部分気相酸化の実施では、その反応管は触媒固床で充填されている(その反応管中に触媒固床が装填されている(装入されている);その反応管中に触媒固床が存在している)及び2つの反応器フードの1方で少なくとも1個の開口を経て、部分的に酸化すべき有機化合物(有機出発化合物)及び分子酸素を含有する反応ガス出発混合物が供給され、かつもう1方の反応器フードの少なくとも1個の開口を経て、部分的に酸化すべき有機出発化合物の所望の目的生成物への部分的気相酸化によって、反応管中に存在する触媒固床の流通の際に得られる目的生成物を含有する生成物ガス混合物が排出され、他方で、反応管の周りの束管反応器のジャケット側に、少なくとも1種の(通例、液状の)熱交換剤が導入される。通例、少なくとも1種の液状熱交換剤を使用する場合には、2つの管床の互いに向かい合う2つの面の各々が液状熱交換剤によって湿潤されるように、熱交換剤が反応管の周りに導入される。少なくとも1種の(例えば、液状の)熱交換剤は、通例、温度Tで反応管周囲空間に進入し、かつ温度Tで再び反応管周囲空間から排出する。
【0007】
反応管が流通口への上部又は下部管床で密封されているという説明は、反応管外壁と穿孔壁(又は流通口の壁又は同様に流通口の外被)との間に、熱交換剤の通過可能性はないということを表わしている。そのような密封は、例えば、DE‐202006014116U1に記載されているように行なうことができる。
【0008】
原則的に、少なくとも1種の熱交換剤は、ガス状でも、又は沸騰状態で存在しても、反応管周囲空間の周りを流通させることができる。この種類の束管反応器及びその中で実施される不均一触媒化部分気相酸化の例は、例えば、EP‐A700893、DE‐A4431949、WO03/057653、EP‐A1695954、WO03/055835、WO03/059857、WO03/076373、DE69915952T2、DE‐A102004018267、DE202006014116U1及びドイツ国文書番号(das Deutsche Aktenzeichen)102007019597.6及び前記の明細書中で引用された公知技術水準が明らかにする。
【0009】
通例、束管反応器の構成部は鋼製である。この際、製作鋼として、精鋼(例えば、DIN材料番号1.4541又は1.4571)も、黒鋼又は鉄鋼(例えば、DIN‐材料1.0481、1.0315又は材料1.0425)もこれに該当する。しばしば、束管反応器の全鋼製部は同一種の鋼から製作されている。しばしば、反応器フードは鉄鋼から製作され、その内側に精鋼を被覆させる。部分的に、反応器ジャケットは、その製造には圧延鋼が使用され得るので、束管反応器の残りの部分とは別の種類の鋼からも製作されている。
【0010】
反応管周囲空間として、この明細書では、少なくとも1種の(通例、液状の)熱交換剤が導入される、反応管の外側、2つの管床及び反応器ジャケットによって一緒に制限される空間が定義される。最も簡単な方法では、反応管周囲空間中に1種だけの(有利に液状の)熱交換剤を導入させる(そのような方法は、単域束管反応器で単域法としても表示される)。反応管周囲空間に、通例、その上部末端又はその下部末端で、その進入温度Tで、反応器ジャケット中の開口を通って進入させ、かつ反対の末端で、排出温度Tで、反応ジャケット中の開口を通って反応管周囲空間から再び排出される。
【0011】
不均一触媒化部分気相酸化の実施の間で、気相部分酸化の発熱により、T≧Tが条件付きで当てはまる(等式は、沸騰冷却の場合に関連する)。通例、熱交換剤により、反応管周囲空間から排出される(有利に、液状の)熱交換剤の部分量又は全量から熱が除去され、その後に、それは温度Tで反応管周囲空間に再び供給される。
【0012】
反応管周囲空間中で、(有利に、液状の)熱交換剤は、原則的に、反応管中で流れる反応ガス混合物に対して単一の並流又は向流で、反応管の周りを流通され得る。しかし、相応する偏向板を用いて、曲折的に反応管の周りを流通させることもでき、従って、全反応管周囲空間だけに全体に、反応管中の反応ガス混合物の流通方向に対して並流又は向流が存続する。使用される熱交換剤が使用条件下で液状である場合には、使用技術的に有利に0(又は50)〜250℃、有利に120〜200℃の範囲の融点を有する。
【0013】
そのような液状熱交換剤として、塩、例えば、硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム及び/又は硝酸ナトリウムの溶融物及び金属、例えば、カリウム、ナトリウム、水銀及び異なった金属の合金の溶融物が考慮され得る。しかし、イオン性の液体(この中で、少なくとも1種の異帯電イオンは少なくとも1個の炭素原子を含有する)又は熱伝油(例えば、高沸騰性の有機溶剤、例えば、ジフィル(Diphyl)(登録商標)及びジメチルフタレートを含む混合物)が使用可能である。ガス状の熱交換剤として、例えば、高められた圧力下にある水蒸気又は煙道ガスも考慮される。沸騰冷却は、例えば、圧力下にある沸騰水で行なうこともできる。
【0014】
しかし、目的生成物の生成選択率を改善するために、有機化合物の不均一触媒化部分気相酸化を多域法(例えば、二域法)として、多域束管反応器中で(例えば、二域束管反応器中で)行なうこともできる。この場合には、反応管周囲空間中で(例えば、二つの)互いに実際に空間的に別々の(有利に液状の)熱交換剤(通例、同じ種類である)を流通させる(これは、例えば、反応管周囲空間中に取り入れられ、かつ反応管に相応する通過口を有する分離管床によって分離されていてよい)。
【0015】
各々の(有利に液状の)熱交換剤がその上に拡がる反応管縦区分は、温度域又は反応域を表わす(単域束管反応器は、相応する方法で1つだけの反応域を有する)。各温度域内で、(有利に、液状の)熱交換剤を、例えば、単域法で流通させることができる(同様に、反応ガス混合物の流通方向に相対的に)。T及びTの間の差違について、個々の温度域に該当する単域法に関する前記のことが実際に同じ方法で当てはまる。
【0016】
単域法及び二域法の間(単域束管反応器及び二域束管反応器の間)の図解的な差は、図式的に、例えば、ドイツ国文書番号102007019597.6の図形及びEP‐A1695954の図形を示す。多域法は、その他で、例えば、明細書EP‐A1734030、DE‐A10313214、DE‐A10313219、DE‐A10313211、DE‐A10313208に、及びこれらの明細書で引用された公知技術水準に記載されている。これらは、特に、部分的に酸化すべき有機化合物による高負荷の触媒固床が選択される場合に有利である。反応ガス混合物又は反応ガス混合物成分の触媒固床の負荷とは、1時間当たり、触媒固床1リットルを通過される、標準リットル(Nl;相応する量を計算上0℃及び1atmでガス状で取り込んだ容量)での反応ガス混合物又は反応ガス混合物成分の量が解される。
【0017】
少なくとも1種の(有利に液状の)熱交換剤の温度Tは、有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化では、典型的に200〜500℃の範囲、しばしば250〜400℃の範囲、及びたびたび250〜310℃の範囲である。
【0018】
操作圧は、不均一触媒化部分気相酸化では、標準圧以下でも(例えば、0.5バールまで、反応ガス混合物は吸引通過される)、標準圧以上であってもよい。前記の操作圧は、典型的には1〜5バール、しばしば1.5〜3.5バール(各々絶対)の値である。有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化における操作圧は、標準的には、100バールを越えない。
【0019】
反応ガス出発混合物(又は反応ガス進入混合物)自体は、束管反応器中の反応管に様々な方法で、上から下へでも、下から上へでも供給され得る(即ち、少なくとも1個の供給口は上部か、又は下部の反応器フード中にあってよい)。同じことが、(有利に、液状の)熱交換剤の供給に当てはまる。
【0020】
反応ガス進入混合物は、反応管へのその進入の際に、原則的に、相応する管床下側へ流通する熱交換剤の温度へ予備加熱されていてよい。
【0021】
しかし、反応ガス進入混合物の温度は、反応管へのその進入の際に、この熱交換剤温度以下であってもよい。このことは、反応管が、反応ガス混合物の流れ方向で、先ず部分酸化に対して不活性化の成形体を含む縦区分で充填されていて、その後に、触媒的に有効な活性物質を有する成形体での触媒固床の触媒活性(有効な)区分が開始する場合に重要である。その後、この不活性区分の流通の際に、反応ガス進入混合物は、相応する触媒活性反応管区分の周りを流通する熱交換剤の温度まで熱くなる。原則的に、反応ガス出発混合物(生成物ガス混合物)は、相応する反応器フード中にある1よりも多い供給口(排出口)を経て供給(排出)され得る。しかし、通例、反応ガス進入混合物の供給も、生成物ガス混合物の排出も、各々、相応する反応器フード中の1個だけの開口を経て行なわれる。
【0022】
しばしば、有機化合物の不均一触媒化部分気相酸化は、空間的に直接、他の有機化合物の不均一触媒化部分気相酸化に後続させて(この場合には、先行する部分酸化の目的生成物は、通常、後続する部分酸化で、部分的に酸化すべき有機化合物である)又は前以て接続して行なうことができる。殊に、この場合には、供給又は排出反応器フードは、1個の円筒状管口に減少されていてよく、これは、例えば、後冷却器への円筒状転移部分を形成することができる(例えば、DE‐A102004018267及びドイツ国文書番号102007019597.6参照)。
【0023】
当然、2つの連続する気相部分酸化段階を表わす2つの不均一触媒化部分気相酸化は、多域束管反応器(例えば、2域束管反応器)の反応域で互いに直続させて実施することもでき、この際、多域束管反応器の反応管での触媒固床の充填は、1つの反応段階から次の反応段階への移行の際に、通例、相応する方法で変化する(例えば、EP−A1388533、US‐A6069271、EP‐A990636、US‐A2006/0161019及びEP‐A1106598による、いわゆる"単一反応器(single reactor)"での多段階不均一触媒化部分気相酸化の実施参照)。そのような、多域束管反応器(例えば、二域束管反応器)での多段階不均一触媒化部分気相酸化の実施の例は、プロピレンからアクリル酸及びイソ‐ブテンからメタクリル酸への不均一触媒化部分気相酸化である。
【0024】
不均一触媒化部分気相酸化の反応ガス出発混合物は、成分として、分子酸素及び部分的に酸化すべき出発化合物の他に、通例、不均一触媒化部分気相酸化の条件下に実際に不活性であるもう1種の希釈ガスを含有する。それには、本明細書において、反応ガス混合物中にあるその成分が、不均一触媒化部分気相酸化の条件下に(各成分自体に考慮される)95モル%以上、有利に99モル%以上まで変化しないまま保持される希釈ガスが解される。それには、一方で、反応熱の一部分を受け入れ、かつ生成物ガス混合物の成分として束管反応器から排出させ、かつ他方で反応ガス混合物が通例、爆発性範囲の外にあることを保証するという課題がある。有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化に典型的に好適な不活性希釈ガスは、例えば、N、CO、水蒸気、希ガス及びむしろ飽和炭化水素も(例えば、不飽和有機化合物の部分酸化で)又は前記の可能な不活性希釈ガスの全部又は部分量を含む混合物である。
【0025】
不均一触媒化部分気相酸化の反応ガス混合物中に含まれる成分(O及び有機出発化合物)の反応は、反応管中に存在する触媒固床を反応ガス混合物が通過する際に、触媒表面で成分が滞在する時間中に行われる。
【0026】
束管反応器中の反応管は、既に前記したように、通例、鉄鋼又は精鋼製であり、しばしば、数mm、例えば、1〜3mmの壁厚を有する。その内径は、大抵、数cm、例えば、10〜50mm、しばしば15〜30mm、又は20〜30mmである。管長は、通常の場合には、数メートルに達する(1〜10m、しばしば2〜8m又は2〜6m、たびたび2〜4mの範囲にある反応管長が典型である)。使用技術的に有利に、束管反応器中に備えられる反応管の数は、少なくとも1000、しばしば少なくとも3000又は5000及びたびたび少なくとも10000個に達する。束管反応器中に備えられる反応管の数は、しばしば15000〜30000、又は40000まで、又は50000までである。50000個以上の数の反応管を有する束管反応器は、むしろ例外である。反応管周囲空間内で、反応管は、通例、実際に均一に分配されて配列されていて、この際、相互に隣接した反応管の中心内軸の距離(いわゆる、反応管ピッチ)が25〜55mm、しばしば35〜55mmであるように分配を選択することが有利である。
【0027】
殊に、その管床のより大きな横断面を有する束管反応器では、束管反応器の中心で配管していない範囲を残しておくこと、及びその代わりにこの範囲で上部管床を支えることが使用技術的に有利である。
【0028】
原則的に、反応管の全数を、操作管(反応管の主要な多数)及び熱管で区別する。操作管は、不均一触媒化部分気相酸化が本来の意で実施されるその反応管であるが、熱管は、第一に、他の反応管(操作管)のために代表的に反応温度を追跡しかつ調整する目的に用いられる。この目的のために、熱管は、触媒固床に付加的に、通例、温度測定器(例えば、マルチ熱電対又は軸可動性のシングル熱電対)を充填されただけの、熱管中でそれに沿って中心に導かれる熱スリーブ(しかしこれは、しばしば、操作管に比較して熱管の高められた内径によって必ずしも平衡させる必要はない)を保有する。通例では、束管反応器中の熱管の数は、操作管の数よりも極めて少ない。通例、熱管の数は≦20個である。この際、熱管の内部に沿った反応温度の経過が、操作管の内部に沿った反応温度の経過にできるだけ正確に相応するように、熱管に触媒固床を充填させることが特に重要である(EP‐A873783及びEP‐A1270065参照)。
【0029】
反応管中の反応温度の経過は、一方で、不均一触媒化部分気相酸化の発熱によって引き起こされる熱発生によって、かつ他方で、特に、反応管周囲空間に供給される少なくとも1種の熱交換剤へのこの反応熱の移行によって決定される。
【0030】
不均一触媒化部分気相酸化は、通例、著しく発熱性の反応であり、かつ少なくとも1種の熱交換剤への反応熱の移行は究極的速度で行なわれるので、触媒固床を反応的に通過する際の反応ガス混合物の温度は、触媒固床の周りを官能管の外部で流通する液状の熱交換剤の温度と通例では異なっている。これは、通例、相応する反応域(温度域)への熱交換剤の進入温度T以上であり、かつ通例、反応域に沿って絶対最大値(ホットスポット最大値)を通過し、又は絶対最大値(場合により他の相対的最大値を経て)から低下する。反応温度の(反応ガス混合物の温度の)この最大値は、通例、いわゆる"ホットスポット温度"として表示される。
【0031】
従って、反応管中で反応温度が上昇している(触媒固床の温度は、実際に、各々の場所で優勢な反応ガス混合物の温度に相応する)場所で、触媒固床中での不可逆性の老化過程が高められた速度で進行し、かつ触媒固床の促進された失活を引き起こすので、ホットスポット温度は特に重要である。
【0032】
これに関して、公知技術水準から、反応管中で触媒固床を新しくする(新規に充填する)必要なく、不均一触媒化部分気相酸化は、触媒固床で充填された、束管反応器の反応管中で慎重な方法で比較的長時間に渡り(数年間まで)実施され得ることが公知である(例えば、DE‐A10350822、DE‐A102004025445、EP‐A1734030及びこれらの明細書で認められた公知技術水準参照)。この際、触媒固床の不可逆性の失活は、それ以外には実際に無変化の操作条件下に、通例、Tの上昇及び/又は反応管中の操作圧の上昇によって反作用される(例えば、EP‐A1106598、DE‐A10351269、EP‐A1734030、EP‐A990636、DE‐A102004025445参照)。この手段によって、目的生成物空時収率をより長い操作時間に渡り保持することができる。当然、これは、触媒固床の老化過程がますますなお一層促進することを引き起こす(老化に寄与する触媒内での一定の運動過程は、例えば、ますますより早く経過する)。Tの最高値の達成で、触媒固床は最終的に完全に交換されるべきである(同様に、DE‐A10232748、EP‐A1106598及びDE‐A102007010422参照)。
【0033】
しかし、そのような完全交換は、比較的経費がかかることが欠点である。目的生成物製造の方法は、より長い時間、中断されなければならず、かつ触媒製造の経費は同様に著しい。
【0034】
従って、束管反応器中の触媒固床の寿命を極めて広範に長引かせることに有用である方法が所望される。
【0035】
既に説明したように、前記のことは、慎重な方法で一定の範囲で可能である。この際、慎重な方法とは、公知技術水準では、各個の反応管に沿って、個々の反応管内でできるだけ広範に単一な反応特性及びそれに伴って同様にできるだけ単一な反応温度の経過(反応混合物の温度又は触媒固床の温度)が存在するように、束管反応器を実現可能な範囲内で全体に可能な限り操作することが考慮される。
【0036】
これに関して、EP‐A1471046、DE‐A202006014116U1及びWO03/059857は、有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化を、その反応管ができるだけ単一に完成されている束管反応器中で実施することを推奨している。
【0037】
更に、JP‐A2006‐142288の論説によれば、反応管の触媒固床でのできるだけ単一な充填を保証するために、反応管内面はできるだけ低い粗面性を有する。
【0038】
同じ触媒固床での反応管のそのようなできるだけ単一な充填を、明細書US‐A4701101、EP‐A1466883、WO03/057653、US‐A2006/245992、US‐A2002/136678、WO2005/051532、WO03/076373及びJP‐A2004/195279も推奨している。
【0039】
不均一触媒化気相反応では、同時に、反応ガスの運搬に必要なエネルギー消費をできるだけ低く保つことが、極めて一般に求められる。この目的の達成のための手段として、環状の触媒成形体を触媒固床の構成に併用することが有利であり、それというのも、これは触媒固床を反応ガスが通過する際に特に少ない圧力損失を引き起こすからである(例えば、WO2005/03039参照)。環状触媒成形体のもう1つの利点は、通例、減少された拡散通路及びその結果として、多くの例において、改善された目的生成物の収率にある。
【0040】
最も簡単な例で、そのような環状触媒成形体は、場合により、不活性物質(これは、例えば、しばしば強化の理由から加えられる)で希釈されていてよい触媒活性物質だけを含む(場合により、更になお成形助剤も含有されている;例えば、グラファイト)。そのような環状の幾何学的触媒成形体は、通例、環状の完全触媒として表示される。
【0041】
しかし、環状完全触媒の欠点は、反応管へのその装填における、通例、完全には満足しない機械的な安定性である。これはその壁厚を高めることによって改善されるが、より大きな壁厚の欠点は、反応域からの拡散通路の延長がそれと同時に起こり、そのことは不所望な継続反応を促進させ、かつ同時に目的生成物の選択率を減少させる。
【0042】
一方で、必要な機械的安定性(増大する壁厚)と、他方で、反応域からの拡散通路の制限(減少する壁厚)との間の、その他は特に有利な環幾何学の維持下での、完全触媒環において生じる矛盾の解明は、環状のシェル触媒が解明する。この際、通例、気相部分酸化に関して、不活性(触媒的非活性)な環状の(機械的に特に安定した)担体成形体及びその表面に担持された触媒活性物質(活性物質)から成る環状の触媒成形体が重要である。
【0043】
その製造は、例えば、環状の(通例、触媒的に非活性の(しばしば、酸化物系の(例えば、高燃焼化の))物質を含む;不活性物質を含む)担体成形体に、通例、液状の結合剤の併用下に、微粉砕の活性物質を被覆させるように行なうことができる。選択的に(又は微粉砕の前駆物質と混合して)、担体成形体に活性物質の微粉砕前駆物質を、通例、液状の結合剤との併用下に被覆させ、かつ追加的な(例えば、酸化的及び/又は還元的)熱処理によって、活性環状触媒成形体への転換を行なうことができる(場合により、分子酸素を含む雰囲気中で)。被覆は、最も簡単な方法で、例えば、不活性環状担体成形体(又は簡単に"担体"だけでも)の表面を、液状の結合剤によって湿潤させ、次いで微粉砕の(粉末状の)活性物質又は微粉砕の(粉末状の)前駆物質を湿潤した表面に付着させることによって行なうことができる。次に、通例、更に少なくとも一部分量の液状結合剤(通例、熱の作用下に)を揮発させ、そうして、環状シェル触媒は反応管充填ための装入準備完了となる(もう1つの熱処理は、例えば、反応管内で行なわれる(例えば、残留結合剤の除去のために[例えば、DE‐A102005010645参照]))。選択的に、環状担体成形体に、微粉砕活性物質及び/又は微粉砕前駆物質の懸濁液を噴霧することもできる。
【0044】
通例、不活性の環状担体成形体に微粉砕の活性物質又は微粉砕の前駆物質を被覆する代わりに、多くの例で、環状担体成形体を、触媒活性物質の溶液(分子状及び/又はコロイド状の)又は前駆体物質の溶液に浸し、次いで溶剤を揮発させ、かつ場合により化学的還元及び/又は熱処理(場合により、分子酸素を含む雰囲気中で)を続けることができる。この方法で得られる環状触媒成形体は、文献で、しばしば担体触媒又は含浸触媒とも表示される。しかし、これは、本明細書では同様に"シェル触媒"の上位概念下に包含すべきである。
【0045】
不均一触媒化部分気相酸化の触媒として好適である環状シェル触媒の製法は、例えば、明細書DE‐A2909671、EP‐A714700、文書番号102007017080.9のドイツ国出願、WO2004/108267、DE102005010645A1、DE‐A10313209、DE‐A10325488、DE‐A10360058、De‐A10351269、DE‐A10350822、WO2007/009922、DE‐A10049873、文書番号102007010422.9のドイツ国出願、DE‐A4006935、DE‐A19823275、DE‐A19839001、DE‐A19823262、DE‐A10344844、US2006/0205978及びEP‐A758562及びこれらの明細書で認められた公知技術水準に記載されてある。
【0046】
環状シェル触媒の製造の際に、不所望な、しかし通例、完全には回避できない副生成物は、環状シェル触媒の"対"の形成である。この際、互いに固く結合する2個のシェル触媒環状物が問題である。その成立は、通例、シェル触媒の製造で、環状担体上への活性物質シェルの塗布のために併用される、通例、液状の結合剤が、活性物質及び担体成形体の結合を実現させ得るだけでなく、限定された範囲で2個の環状シェル触媒の不所望な結合も引き起こすことに結果的に帰せられる。この際、実際に、そのような対の形成は、2種の型:a)融合(annellierte)対及びb)タンデム対に限る。
【0047】
融合対の場合には、2個の環状シェル触媒(環状シェル触媒は、形状寸法AxIxH(外径x内径x高さ)を有する)が、それらの円筒状の外装(外壁)で実際に全ての高さHにわたって互いに接着する。これらは、外見上は、同じ高さで相並んで互いに接着する(それらのジャケット面は互いに接着する)。タンデム対の場合には、2個の環状シェル触媒が、各シェル触媒環を上下に制限する、それらの環状横断面で互いに接着する。1個のシェル触媒環の上部環面は、他のシェル触媒環の下部環面に付着する(接着する)1個のシェル触媒環の下部環面に付着する(接着する)。この方法で、外見上は、超シェル触媒環が生じ、これは、それを構成する2個のシェル触媒環と同じ外径A及び同じ内径Iを有するが、その高さは2Hである。
【0048】
環状シェル触媒の製造でのタンデム対の形成は、実際には回避不可能であるが、環状シェル触媒の製造での融合対は、実際には(特に)、Hが少なくとも>0.5Aである場合に生成する。
【0049】
環状シェル触媒の1生産装入量の製造におけるシェル触媒環対の全生成量Mは、生産装入量の全量に対して、合計して≦5質量%である。Mは、大抵は、同様に対応して、むしろ≦4、又は≦3、又は≦2、又は≦1質量%である。環状シェル触媒の慎重な製法では、Mは、同様に対応して、むしろ≦0.8質量%、又は≦0.5質量%、又は≦0.3質量%、≦0.2質量%、又は≦0.1質量%であってよい。しかしMは、同様に対応して、通例>0、大抵≧0.005及びしばしばむしろ≧0.01質量%である。
【0050】
前記の比較的少ないシェル触媒環対の生成量に基づき、束管反応器の反応管中の触媒固床の形成のための、環状シェル触媒の生産装入量の使用におけるその存在には、高められた重要性は与えられなかった。
【0051】
しかし、環状シェル触媒の併用下での、束管反応器の反応管中の触媒固床の形成に関する出願者の慎重な検査は、束管反応器の反応管中に存在する触媒固床中のシェル触媒環対の不利な状態で、この反応管中のホットスポット温度が、触媒固床中の単一シェル触媒環対の存在によって既に検出可能に高められ得るという結果になった。
【0052】
しかし、高められたホットスポット温度は、反応管の相応する触媒固床充填の促進される老化と同義である。そのような促進された老化過程を、束管反応器中で実施される不均一触媒化部分気相酸化における目的生成物の所望の空時収率に関して、少なくとも一時的に補整するために、少なくとも1種の熱交換剤のTの促進された上昇が必要とされ、このことから、前記の老化過程の付加的な促進が引き起こされる。結局、束管反応器の触媒固床充填の減少された寿命が全体的な結果となり、これは既に前記した理由から不所望である。
【0053】
熱管の触媒固床中の1個の(又は数個も)シェル触媒環対の存在は、特に不利に作用する。束管反応器中で全操作管の代表で配列される熱管内での反応温度の経過は、既に前記したように、束管反応器の全操作の制御(例えば、触媒固床の反応ガスでの負荷の制御、反応ガス混合物の組成の調整、各Tの調節など)のための基礎である。
【0054】
この際、通例、全操作の制御は、安全理由から、その操作データが最大の極限値を有する熱管に指向する。しかし、この操作データが、相応する熱管の触媒固床中のシェル触媒環対の存在によって、条件付でしか、相応する操作管の操作データの代表とならない場合には、これは、通例、全ての束管反応器がその最適操作状態では操作されないということになる。
【0055】
この背景から、本発明の課題は、有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化の実施に好適で、その形成が環状シェル触媒の併用下に行なわれる触媒固床を束管反応器の反応管に充填するための改善方法を得ることにあり、この方法は、前記した公知技術水準の方法の欠点を、場合により有るとしても減少した形で有する。
【0056】
従って、有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化の実施に好適な触媒固床を、束管反応器の反応管に充填するために、この反応管中に、環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量から取り出した部分量を装入するための方法が見出され、この方法は、少なくとも1生産装入量からの部分量の取り出し前及び/又は取り出し後又は取り出した部分量の反応管への装入前に、環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量の製造の際に生成する環状シェル触媒Kの対を、少なくとも部分的に、少なくとも1生産装入量から及び/又は取り出した部分量から除去することを特徴とする。
【0057】
本発明により、環状のシェル触媒Kの少なくとも1生産装入量からの部分量の取り出し前に、その製造の際に生じるシェル触媒Kの対を、少なくとも1生産装入量中に製造条件付きで含まれるシェル触媒環対の全含量に(全量に)対して、少なくとも20質量%、有利に少なくとも30質量%、特に有利に少なくとも40質量%及び極めて特に有利に少なくとも50質量%まで、少なくとも1生産装入量から除去することが有利である。本発明による方法で、環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量からの部分量の取り出しの前に、この製造で生じるシェル触媒Kの対を、少なくとも1生産装入量中に製造条件付きで含まれるシェル触媒環対の全含量に(全量に)対して、少なくとも60質量%、又は少なくとも70質量%、有利に少なくとも80質量%又は少なくとも90質量%、特に有利に少なくとも95質量%又は少なくとも98質量%及び極めて特に有利に少なくとも100質量%まで除去する場合が、なおより良好である。
【0058】
当然、本発明により、環状のシェル触媒Kの少なくとも1生産装入量からの部分量の取り出し後に初めて(又はその後に付加的に)、この部分量を反応管中に装填する前に、この取り出した部分量中に製造条件付で含まれるシェル触媒環対を、取り出した部分量中に含まれるその全量に対して、少なくとも20質量%、又は少なくとも30質量%、又は少なくとも40質量%、又は少なくとも50質量%、又は少なくとも60質量%、又は少なくとも70質量%、又は少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%、又は少なくとも95」質量%及び極めて特に有利に100質量%まで除去する(分離する)ことができる。
【0059】
原則的に、不均一触媒化部分気相酸化の際に、各々単一の反応管中の触媒固床は、環状シェル触媒kの少なくとも1生産装入量から各々取り出される、実際に同じ大きさの部分量だけを含み得る。
【0060】
しかし当然、触媒固床は反応管の全長に渡り、幾何学的触媒成形体又は幾何学的触媒成形体及び幾何学的不活性成形体の数種の(即ち、少なくとも2種の)相互に区別可能な種類Sの均一化された混合物を含有することもできる(即ち、そのような混合物は、幾何学的触媒成形体の少なくとも2種の相互に区別可能な種類、又は幾何学的触媒成形体の単一の1種類及び幾何学的不活性成形体の単一の1種類、又は相互に区別可能な幾何学的触媒成形体の少なくとも2種類及び幾何学的不活性成形体の単一の1種類、又は相互に区別可能な幾何学的成形体の少なくとも2種類及び相互に区別可能な幾何学的不活性成形体の少なくとも2種類を含むことができる)。
【0061】
この相互に異なる種類Sとは、場合により、本発明により重要な環状シェル触媒Kの1種類だけであってよい。相互に異なる種類Sの可能な識別特徴は、幾何学の種類、活性物質の種類、担体物質の種類などである。
【0062】
幾何学的不活性成形体(これは、触媒固床中の幾何学的触媒成形体を希釈し、かつこの方法で、反応ガス混合物の通過の際に、反応管中に存在する触媒固床中の局所的発熱を制限するために用いられる)の材料として、原則的に、シェル触媒の製造のための不活性(例えば、環状の)担体成形体にも使用され得て、かつ気相部分酸化の経過中に実際に関与しない同一材料が考慮される。
【0063】
この際、後者は、反応ガス混合物をその反応条件下に不活性担体成形体(不活性希釈成形体)だけが充填された反応管を通過させる場合に、部分的に酸化すべき有機出発化合物の変換率は、通例≦5モル%、大抵≦2モル%であることを意味する。
【0064】
多数の不均一触媒化部分気相酸化のための、幾何学的担体成形体又は不活性希釈成形体のそのような不活性材料として、例えば、多孔性又は無孔性酸化アルミニウム、二酸化珪素(又は、一般に酸化珪素)、二酸化トリウム、酸化ジルコン、炭化珪素又はシリケート、例えば、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウム(例えば、セラムテック社(Fa. Ceram Tec)のTyps C 220のステアタイト)、しかし金属、例えば、精鋼又はアルミニウム(例えば、US2006/0205978参照)も考慮される。
【0065】
原則的に、全ての不活性担体成形体は、触媒固床中の幾何学的触媒成形体の希釈のための幾何学的不活性成形体としても考慮される。
【0066】
そのような希釈によって、触媒固床の容量特異的活性は、既に前記したように、各不均一触媒化部分気相酸化の要求に特異的に調整され得る。前記に相応する均一混合物中の幾何学的不活性成形体及び幾何学的触媒成形体は、有利に、同一又は少なくとも相互に類似した形状寸法を有する。
【0067】
この際、"均一化混合物"という表現は、幾何学的成形体の相互に異なる種類(又は1種類以内で異なる縦伸張体)を相互に均一に混合するために処置が講じられたことを意味する。理想的には、均一混合は、全縦断面に沿って統計的な平均を達成し、かつこれは各個の種類に関しても達成する。
【0068】
しかし多くの場合に、触媒固床での反応管充填((反応管装填)は、数種の相互に区別可能な上下に(前後に)設置された縦区分も含む(触媒固床(縦)区分、触媒床区分)。この際、各個の縦区分は、既にその反応管全長に渡って単一に充填された反応管について説明したように、その長さに渡って単一に形成され得る。それ自体単一な床区分から次のそれ自体単一の床区分への移行では、通例、床の構成(組成)は急激に変化する。そうして個々の反応管に沿って、不均一構造を有する触媒固床充填が生じる。反応管の構造化された装填(又は充填)とも言う。
【0069】
反応管の発端(反応管を流通する反応ガスの流れ方向で見て)及び/又は末端で、触媒固床は、しばしば幾何学的不活性成形体を含む単独の充填によって終結される。このような単独の不活性床は、通例、触媒固床には含まれない。
【0070】
反応管の構造化された装填の場合には、DE‐A102004023249の論説により、それ自体単一の床区分の内容物を、均一形で前以て製造し、かつそのような床区分の割当分として包装することが、使用技術的に有利である。環状のシェル触媒Kがそのような前以て包装された床区分の割当分の成分である場合には、反応管中への本発明によるその装入は、相応する床区分の割当分の成分として行なわれる。即ち、床区分の割当分の予備調製のために、環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量から(本発明により有利に)、その製造の範囲で生じかつそれによってその中に含まれるシェル触媒管対を本発明による方法で少なくとも部分的にそれから除去した後に、必要な部分量を取り出し、床区分の割当分の他の幾何学的成形体と均一化させ、その際得られる幾何学的成形体の均一化混合物を包装材に入れかつそうして製造した包装物を、所望の触媒固床での反応管の充填範囲で反応管中に空ける。即ち、環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量から取り出した部分量の、束管反応器の反応管への本発明による装入は、必ずしも別々に行なう必要はなく、他の幾何学的成形体との均一化混合物で行なうこともできる(当然、対分離は、少なくとも1生産装入量からの部分量取り出し後に初めて行なうこともできる)。
【0071】
構造化触媒固床の反応管の装填は、通例、触媒固床の流れ方向で触媒固床の容量特異的活性が増加するように行なわれる。
【0072】
これは、例えば、1種類の環状シェル触媒Kが1種類だけの不活性成形体の様々な割合の量で希釈されていることだけによって互いに異なっている、相互に異なる縦区分を触媒固床が含むことによって、簡単な方法で実現可能である。反応ガスの流れ方向で、不活性成形体での希釈度は減少し、しばしば、流れ方向で触媒固床の最後の縦区分は環状シェル触媒だけを含む。
【0073】
しかし、反応ガスの流れ方向で増加する触媒固床の容量特異的活性は、触媒固床の単一の縦区分が各々1種類だけの環状シェル触媒を含むことによって実現させることもでき、この際、互いに異なるシェル触媒の環寸法は、通例、実際に同一であるが、各々使用される活性物質の触媒活性は、反応ガス混合物の流れ方向で増加すると言う条件を伴って、活性物質は様々な元素組成に基づき互いに異なっている。反応管の触媒固床充填のそれ自体単一の縦区分の容量特異性活性は、通例、反応管の連続充填で、反応管の相応する縦区分の場合と同様に、その他は同一反応条件下に(即ち、反応ガス混合物の同一組成、反応ガス混合物による触媒固床充填の同一負荷、及び熱媒体の同一進入温度及び熱媒体の同一流通条件)、部分的に酸化すべき有機出発化合物の高められた変換率が得られる場合に高められている。
【0074】
環状シェル触媒の併用下に、反応ガス混合物の流れ方向で増加する容量特異的活性を有する不均一触媒化部分気相酸化の実施のための、反応管の構造化装填の例は、例えば、明細書EP‐A1734030、DE‐A19823262、DE‐A19823275、文書番号102007010422.9のドイツ国出願、EP‐A1734030及び文書番号102007019597.6のドイツ国出願が明らかにする。
【0075】
本発明による方法は、反応管に入れられた触媒固床が、環状シェル触媒を、その質量の少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は100%まで含む場合に特に重要である。
【0076】
本発明により有利に、反応管中に存在する環状シェル触媒の少なくとも20質量%、有利に少なくとも40質量%、特に有利に少なくとも60質量%、極めて特に有利に少なくとも80質量%及び最高で全質量を、本発明による方法により反応管中に装入させる。
【0077】
本発明により有利に、殊に、反応ガス混合物の流れ方向で見て、触媒固床(充填床)全長の最初の80%、又は最初の60%、又は最初の40%、又は最初の20%に存在する、反応管中にある触媒固床の環状シェル触媒を、本発明による方法で反応管中に装入させる。
【0078】
原則的に、本明細書で示された全ての表現は、特に、反応管が本発明による方法で触媒固床により充填されている場合に、有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化及び束管反応器の反応管中に存在する触媒固床を用いるその実施について当てはまる。
【0079】
反応ガス出発混合物の水蒸気含量は、この不均一触媒化部分気相酸化では、原則的に0(消失)であってよい。
【0080】
しかし、反応ガス出発混合物の水蒸気含量は、この不均一触媒化部分気相酸化では、通例、>0容量%である。反応ガス出発混合物の水蒸気含量は、しばしば≧0.1〜60容量%、又は≧0.2〜50容量%、又は≧0.3〜40容量%、又は≧0.4〜30容量%、又は≧0.5〜25容量%、又は≧0.75〜20容量%、又は≧1〜15容量%、又は≧2〜10容量%である。その比較的高められた特異的熱容量に基づき、水蒸気は、通例、有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化のための卓越した不活性希釈ガスであり、触媒活性へ様々に有効に作用する。
【0081】
不均一触媒化部分気相酸化に必要な、反応ガス出発混合物中の分子酸素の給源として、空気、純粋な分子酸素、分子酸素を減損させた空気又は不活性ガス及び分子酸素を含む他の混合物が考慮される。
【0082】
不均一触媒化部分酸化すべき有機出発化合物の反応ガス出発混合物の含量は、本発明による方法が重要である不均一触媒化部分気相酸化(これは、殊に本明細書中で説明された全ての不均一触媒化部分気相酸化である)では、50容量%まで又はそれ以上であってよい。この含量は、しばしば≧2〜20容量%、又は≧4〜12容量%である。反応ガス出発混合物が、分子酸素を、求める部分酸化に対して、化学量論以下の量で含有する場合には、反応ガス進入混合物中に含まれる部分的に酸化すべき有機出発化合物の過剰量が原則的に不活性希釈ガスとして作用し得る。反応ガス出発混合物が分子酸素を部分酸化に対して化学量論以上の量で含有する場合には、これは、使用技術的に有利にしばしば、反応ガス出発混合物の組成が爆発可能な組成範囲の外にあるように選択される。
【0083】
しかし当然、反応ガス出発混合物の組成は、例えば、通例、o‐キシロール及び/又はナフタリンからの無水フタル酸の製造の場合に与えられているように、爆発可能な組成範囲であってもよい。
【0084】
できるだけ長い触媒寿命の理由から、本発明による方法が重要である不均一触媒化部分気相酸化の反応ガス出発混合物中の分子酸素の割合を、通例、気相部分酸化の生成物ガス混合物がなお過剰量の分子酸素(例えば、3容量%まで)を含有するように有利に選択する。
【0085】
反応管周囲空間中の適温化媒体(少なくとも1種の熱交換剤(有利に液状の))の容積流率は、本発明により重要な気相部分酸化では、通例、束管反応器へのその進入部位から束管反応器からのその排出部位までの(有利に液状の)少なくとも1種の熱交換剤の温度上昇(部分酸化の発熱によって引き起こされる)が、≧0〜15℃、又は≧0〜10℃、しばしば≧2〜8℃、有利に≧3〜6℃であるように測定される。
【0086】
部分酸化すべき有機出発化合物による触媒固床の負荷は、本発明により重要な気相部分酸化では、通例≧50Nl/l・h、大抵≧75Nl/l・h、しばしば≧100Nl/l・hである。しかしこの負荷は、大抵≦600Nl/l・hである。
【0087】
反応ガス進入混合物による触媒固床の負荷は、本発明により重要な気相部分酸化では、しばしば≧1500Nl/l・h、又は≧2000Nl/l・h、又は≧2500Nl/l・h、又は≧3000Nl/l・h、又は≧4000Nl/l・hである。しかしそのような不均一触媒化部分気相酸化による前記の負荷は、通例≦6000Nl/l・h、又は≦5000Nl/l・hの値である。部分的に酸化すべき有機出発物質の変換率は、本発明により重要な気相部分酸化では、典型的な方法で≧50モル%、しばしば≧70モル%、たびたび≧80モル%及び頻繁に≧90モル%である(反応ガス混合物の、触媒固床1回通過に対して)。この際、目的生成物生成の選択率は、典型的な方法で≧70モル%、しばしば≧80モル%及びたびたび≧90モル%である。
【0088】
その他の点では、本発明により重要な不均一触媒化部分気相酸化の範囲条件は、使用技術的に有利に、全体的に通例、束管反応器の個々の反応域(温度域)中の反応ガス混合物のホットスポット温度及び温度域の各々付属するTの間の温度差が、長時間操作でも、通例100℃を超えないように選択される。それほど著しくない熱変化による部分酸化では、この温度差は、長時間操作でも、しばしば≦80℃、又は≦70℃であり、たびたび20〜70℃又は〜50℃であり、この温度差は、長時間操作でも少ないことが有利である。
【0089】
更に、前記の範囲条件は、通例、"ピーク時の塩温度感受性(peak-to-salt temperatur sensitivity)"(EP‐A1106598における定義、参照)は、殊に、長時間操作でも、≦9℃、しかし≦7℃、又は≦5℃、又は≦3℃である。従って、特に、束管反応器の横断面について考察して、少なくとも1種の熱交換剤の温度が、通例、完全には均一(単一)ではなく、通例、僅かな勾配を有するという事実が考慮される。
【0090】
本発明により反応管中に装入すべきシェル触媒Kの環状担体成形体の外径Aは、典型的な方法で4〜10mmであり、付属する高さ(長さ)Hは2〜10mmであり、かつその壁厚は通例1〜4mmである。
【0091】
有利に、そのような環状担体成形体の外径Aは4〜8mmであり、壁厚は1〜2mmであり、かつ高さHは3〜7mmである。
【0092】
本発明により装入すべきシェル触媒Kの環状担体成形体の、特にしばしば使用される形状寸法は、環寸法(A(外径)xI(内径)xH(高さ))8mmx5mmx6mm、7mmx4mmx7mm、7mmx4mmx4mm及び7mmx4mmx3mmである。
【0093】
環状担体成形体上に施される活性物質シェルの厚さは、通例10〜3000又は〜1000μm、有利に10〜500μm、しばしば100〜500μm及びたびたび200〜300μmである。環状担体成形体上に施される触媒活性物質とは、シェル触媒Kでは、通例、少なくとも1種の多元素酸化物((しばしば少なくとも1種の多金属酸化物)又は少なくとも多元素酸化物(例えば、多金属酸化物)を含有する物質である。
【0094】
原則的に、本明細書における多元素酸化物という概念は、触媒活性の酸化物物質が酸素の他に、なお少なくとも2種の更なる互いに異なる元素を含有することを意味する。触媒活性多元素酸化物物質として、特にしばしば、少なくとも2種の金属、殊に少なくとも2種の遷移金属の元素を有するものが使用される。この場合には、多金属酸化物物質と言う。通例では、触媒活性多元素酸化物物質は、それらの元素成分酸化物の簡単な物理的混合物ではなく、これら元素の錯体重合化合物の不均一混合物である。しかし原則的には、触媒活性多元素酸化物物質として、それらの元素成分の簡単な物理的混合物(例えば、微粉砕の元素酸化物の凝集体)も考慮され(例えば、o‐キシロール及び/又はナフタリンからの無水フタル酸の製造のための環状シェル触媒の場合)、従って、本明細書では、上位概念"多元素酸化物物質"は、そのような混合物(凝集体)を包含すべきである。
【0095】
多くの例では、少なくとも1種の触媒活性多元素酸化物は、
a)元素Mo、Fe及びBi、又は
b)元素Mo及びV、又は
c)元素V及び付加的にP及び/又はTi
を含有するものである。付加的に、本発明により反応管中に装入すべきシェル触媒として、触媒物質として元素の銀を酸化物系の環状担体成形体上に含有するものが考慮される。
【0096】
環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量の製造で生じる環状シェル触媒Kの対の、少なくとも1生産装入量からの分離は、最も簡単な方法で、手動で、即ち、手法的選別によって行なわれる。選択的に、シェル触媒K及びそれらの対の異なった質量が利用される、風篩によって行なうこともできる。
【0097】
例えば、少なくとも1生産装入量の全量又は部分量を、単一のシェル触媒Kの進入だけに開く門を通過させることができる(検出は、例えば、光学的方法によって行なうことができる)。門が結果的に1対によって遮断される場合には、これは相応に向けられるガス流(例えば、空気流)によって吹き払われる(即ち、門の入口は吹込解除される)。その後、門の背後で、製造管への装入のために環状シェル触媒Kが取り出され得る。
【0098】
しかし、環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量の製造で生じる環状シェル触媒Kの対の分離を、使用技術的に特に有利に、篩分法によって行なう。この際、篩残渣("過大粒"とも表示される)として、通例、実際に対(及び場合により環状シェル触媒Kの製造範囲で生じる環状シェル触媒Kのその他の多産物)が残留するが、篩通過物("過小粒"とも表示される)は、通例、実際に環状シェル触媒Kを包含する。
【0099】
シェル触媒Kの環寸法AxIxH(A=外径、I=内径、H=高さ)に、関係H≦0.5・Aが当てはまる場合には、環状シェル触媒Kの製造における融合シェル触媒環対の生成は、タンデムシェル触媒環対の生成と比較して、殆ど慣用的な結合剤を用いる出願者の調査によって、通例、量的に無視することができる。
【0100】
この背景に対して、前記の環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量から(又はこの取り出した部分量から)の対の本発明による分離のために、篩孔Oを有する篩を用いる篩分法が推奨され、その完結輪郭線で、側長L及びCを有する長方形Rは、条件M
L>A≧2H>C>H
下で記載され得るが、条件M
L>C≧2H
下ではもはや記載され得ない。
【0101】
前記の環状シェル触媒Kの場合には、篩孔Oを有する篩を用いる篩分法が有利に推奨され、その完結輪郭線で、側長L及びCを有する長方形Rは、条件M
L>A≧2H>1.75H≧C≧1.25H
で記載され得るが、条件M
L>C>1.75H
ではもはや記載され得ない。
【0102】
Lが≧1.05・A、より良好に≧1.1・A、有利に≧1.25・A、特に有利に≧1.5・A、及び極めて特に有利に≧1.75・Aである場合には、篩孔Oの場合でも、篩孔Oの場合でも、本発明により有利である。
【0103】
原則的に、篩孔Oの場合でも、篩孔Oの場合でも、Lは≧2A、又は≧2.5・Aであってよい。しかし通例、Lは、篩孔Oの場合でも、篩孔Oの場合でも、≦20・A、たびたび≦15・A、しばしば≦10・A及び頻繁に≦5・Aである。しかしこの長さ制限は、求める篩効果によってよりも、むしろ篩の二次的特徴、例えば、卓越的な機械的安定性によってしばしば条件付けられる。
【0104】
前記の場合に付加的に、融合対の篩技術的分離が求められる場合には、条件Mについては
2A>L>A≧2H>C>H、
むしろ有利に
1.9A>L>A≧2H>C>H、
が満たされ、かつ条件Mについては、相応する方法で、
2A>L>A≧2H>1.75H≧C≧1.25H、
及びむしろ有利に
1.9A>L>A≧2H>1.75H≧C≧1.25H
が満たされるべきである。
【0105】
図1が示すように、使用技術的に有利に、篩孔Oの完結輪郭線も、篩孔Oの完結輪郭線も、側長L及びCを有する長方形である(本明細書では、簡素化された慣用言語で、篩孔の完結輪郭線幾何学的形は、しばしば"篩孔の幾何学的形"とも表示される)。
【0106】
しかし当然、例えば、図2が示すように、篩孔Oも、篩孔Oも細長い孔であってもよい。
【0107】
そのような細長い孔の形状寸法は、側長L及びCを有する関連の長方形のそれから、簡単な方法で、長さCを有する長方形側面を、各々直径C(孔幅)を有する半円によって代用することによって導かれ、この際、半円弓形は長方形面から引き出される。前記の意で可能な本発明により好適な篩孔の比較的一般的な形(又はその輪郭線)は、例えば、図3が示す。当然、前記の意における本発明により好適な篩孔(又はその輪郭線(2つの表現法は、本明細書中で既に前記したように等しく使用される))として、例えば、図4が示すように、平行四辺形も可能である。更に、前記の意における本発明により好適な篩孔の輪郭線として、長方形の輪郭線から、長方形の角の全部又は少なくとも1部分を丸くすることによって導かれるそれが考慮される。
【0108】
環状シェル触媒Kの環寸法AxIxHに、関係A≧H>0.5・Aが当てはまる場合には、環状シェル触媒Kの製造における融合シェル触媒環対の生成は、出願者の調査により、比率H/A(使用される結合剤に依存して)が増加すればするほど、ますます重要になる。
【0109】
この背景に対して、そのような(前記の)環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量から(又はこれから取り出された部分量から)の対の本発明による除去のために、篩孔Oを有する篩を用いる篩分法が推奨され、その完結輪郭線では、側長L及びCを有する長方形Rは、条件M
L>A<2H>C>H
下に記載され得るが、しかし条件M*:
L≧C≧2H
下ではもはや記載され得ない。
【0110】
前記の環状シェル触媒Kの場合には、篩孔Oを有する篩を用いる篩分法が有利に推奨され、その完結輪郭線で、側長L及びCを有する長方形Rは、条件M
2A>L>A<2H>C>H
下で記載され得るが、条件M
L≧C≧2H
下ではもはや記載され得ない。
【0111】
前記の環状シェル触媒Kの場合には、篩孔Oを有する篩を用いる篩分法が特に有利に推奨され、その完結輪郭線で、側長L及びCを有する長方形Rは、条件M
2H>L>A<2H>C>H
下で記載され得るが、条件M
L≧C≧2H
下ではもはや記載され得ない。
【0112】
本発明により有利に、篩孔O、O又はOに記載されるべき長方形Rとは、L=Cの正方形の特殊形である。後者は殊に篩流量に有効であると実証される。
【0113】
使用技術的に有利に、篩孔O、O又はOの完結輪郭線とは、各々側長L及びCを有する長方形でもある(有利に、L=Cの正方形の特殊形)。
【0114】
しかし当然、O、O又はOとは、細長い孔であってもよい(この際、これは正方形から誘導されてもよい)。当然、そのような輪郭線として、その角が全部又はその少なくとも一部分が丸くされている平行四辺形又は長方形も可能である。
【0115】
原則的に、本発明により使用すべき篩は、例えば、数種の互いに異なる種類の本発明により可能な篩孔を有することができる。しかし本発明による方法で使用される篩は、3個よりも多くない、かつ通例、2個よりも多くない互いに異なる、本発明による要求プロフィールを満たす種類の篩孔を有することが本発明により有利である。しかし本発明により使用すべき篩は、1種だけの種類の本発明による篩孔を有することが極めて特に有利である。
【0116】
"篩"と言う概念は、本明細書では、"篩床"と言う概念と同じ意味で使用される。そのほかに、"篩"又は"篩床"と言う概念は、本明細書では、EP‐A1726358、欄5、48〜57行に挙げられた概念の定義の意で使用される。
【0117】
即ち、篩床は、例えば、格子として、穿孔板又は細隙板(即ち、穿孔され、レーザー処理され、水削り又はフライス削りされた篩孔)として、又は篩組織(互いに編まれた針金からなり、この際、針金は丸い又は整形されていてよい)として形成され得る。しかし原則的に、本発明による篩分法については、各々他の、Aufbereitungs-Technik-Nr. 11/1960、457-473頁に、又はChem.-Ing. Techn. 56 (1984) Nr. 12, 897-907頁に挙げられた篩床変体も考慮される。しかし当然、本発明による篩分法については、"Sieben und Siebmaschinen, Wiley-VCH GmbH & Co. KgaA, Paul Schmidt et al (2003)"に挙げられた全ての篩床も使用され得る。
【0118】
格子及び篩組織(2つとも、特に高い篩効率(kg/m3・h)を高い有効度で保証する)は、本発明による1種類だけの長方形の篩孔を有する篩床の場合に特に好適である。そのような篩組織の1つの例証図は、この明細書の図5が示す。
【0119】
そのような格子の1つの例証図は、この明細書の図6が示す。
【0120】
任意の本発明により好適な篩孔(又は篩孔の輪郭線)は、簡単な方法で、穿孔板又は細隙板で実現され得る。しかし本発明により有利な穿孔板又は細隙板は、殊に、1種類だけの長方形(又は正方形)の又は細長い孔形を有する篩孔(又はその輪郭線)を有するものである。
【0121】
本発明により好適な篩孔の相対配列が殆ど任意の方法で可能であることが、穿孔板又は細隙板では特に有利である。細隙板が1種類だけの長方形(又は正方形)の又は細長い孔形を有する篩孔を有する場合には、本発明による方法の細隙板におけるその相対配列として、殊に、図7による相対して置き換えられた篩孔配列、図8による相互に入れ混じって置き換えられた篩孔配列(これは(特に安定性の理由から)本発明により極めて特に有利である)、図9及び10による直列での篩孔配列、又は図11による魚骨様の篩孔配列が考慮される。細隙板のもう1つの利点は、それが製品転換の際に容易に清浄され得て、かつ差込粒による篩孔の栓塞を起こし難いことに基づく。通例、これは、より高い機械的安定性も有する。
【0122】
そのほかに、本発明により好適な穿孔板篩(又は細隙板篩)は、DIN24041に記載されたように形成され得る。
【0123】
本発明により使用可能な穿孔板篩(又は細隙板篩)の典型的な板厚dは、1〜5mm、有利に1〜3mm、特に有利に2〜3mmである。
【0124】
本発明により有利な細隙板篩床の開放篩面積F(細隙板篩床中に存在する全篩孔の全(横断)面積)は、細隙板篩床の全面積に対して、典型的に10〜60%、有利に20〜50%及び特に有利に30〜50%である。
【0125】
図7による相対して置き換えられた細長い孔を有する本発明により好適な長孔板(本発明により好適な長孔篩床)は、例えば、次の形成変体を有し得る:
【表1】

【0126】
製作材料として、殊に鋼(例えば、DIN‐製作材料1.4541又は1.4571及び鋼S185(DIN‐製作材料1.0035)DIN EN10025又はDIN EN10088‐1による)が考慮される。
【0127】
図8による互いに入り混じって置き換えられた細長い孔を有する本発明により好適な長孔篩は、例えば、次の形成変体を有し得る:
【表2】

【0128】
製作材料として、殊に鋼(例えば、DIN‐製作材料1.4541又は1.4571)が考慮される。
【0129】
形状寸法AxIxH=7mmx4mmx3mmの環状シェル触媒Kの場合には、シェル触媒環対の本発明による篩分には、例えば、C=5.50mm及びL=14.1mmを有する前記の種類の(殊に互いに入り混じって置き換えられた篩孔配列の)細長い孔の篩が好適である。板厚は、例えば、2.2mmであってよい。この際、細長い孔の間の橋幅は使用技術的に有利に4.0mmであり、この際、共通して1本の縦線上に連続する2つの細長い孔の間隔bは有利に5.0mmである。開放篩面積Fは、この場合には36.5%である。
【0130】
本発明による篩分の実施では、本発明により好適な篩床を経る篩分物質の運搬は、本発明による篩孔の優先方向Lに対して本発明により有利に平行して行われる。相応する方法で、篩への(篩床への)篩分物質の装入もこの装入方向で行なわれる。
【0131】
本発明により使用される篩床が、穿孔された篩孔を有する穿孔板である場合には、通例、穿孔突起を除去し、篩孔の輪郭線を使用技術的に有利に丸くする。篩床厚に全般に渡って、篩孔の横断面は通例、実際に一定である(即ち、孔は通例、一定の通路横断面を有する)。穿孔突起が除去されない場合には、それは通例、篩通路の方向で示す。
【0132】
原則的に、本発明による篩分法における篩を経る篩分物質の運搬は、篩床の円形の、楕円形の及び/又は直線的な振動によって行なわれ得る。この目的のために、本発明による篩分法には、原則的に全ての、例えば、Chem.-Ing.-Tech. 56(1984)Nr.12,897〜907頁及び篩及び篩分機、基礎及び使用(Sieben und Siebmaschinen, Grundlagen und Anwendung)、Wiley VCH, Paul Schmidt(2003)で推奨された篩分機を使用することができる。本発明による篩分法には、明細書DE‐A3520614、EP‐A205089及びDE‐A3431337及び調製技術(Aufbereitungstechnik)42(2001)Nr.7,345〜348頁及び調製技術(Aufbereitungstechnik)41(2000)Nr.7,325〜329頁に記載された多床構造様式の篩分機が考慮される。
【0133】
本発明による方法の実施に好適な篩分機の群は、篩分物質が篩分物質マット状物として篩(篩床)上で直線的に又は回転して滑動する平面篩である。篩に対して自重及び摩擦によって篩分物質マット状物は剪断される。大抵は否定的に作用する逆混合が、極めて少ないことが有利である。
【0134】
篩面の振動は、平面篩ではその篩平面で行なわれる。振動は、直線的に(行ったり来たり)又は円形で行われる(最初の例では、直線的平面振動篩と言う)。最初の例では、それは運搬方向で又はそれに対して横に行われ得る。運搬方向への直線的振動で、非対称の加速によって、水平篩でも、篩分物質の縦運搬は行われ得る。
【0135】
円形振動は、最適加速を定常で保持する利点に貢献する。当然、本発明による方法では、直線振動機及び円形振動機の組み合わせも使用可能である。
【0136】
円形振動では、水平円形振動は、しばしば駆動モーターによって発生される。直線振動では、篩の全範囲(これに、篩床が通例全て一般に収容されている)は、反転する不均衡塊によって直線振動にされる。直線親動機は水平篩床でも、勾配篩床でも使用され得る。勾配篩床では、篩分物質は、篩床に対する振動平面の相応する勾配によって、放物線に相応して上に及び同時に前に投げられる。勾配角は、例えば、−3°〜25°である。3°〜4°が本発明により有利である。本発明により、例えば、DE-RemscheidにあるFirma RHEWURM GmbH社の直線振動篩が好適である。通例、円形篩に比べて、長方形篩分機は、本発明による平面篩分操作に有利である。その際、通例、長方形篩床が同様に長方形の篩範囲に収容されている。
【0137】
本発明による篩分には、例えば、既に前記した多床構造様式の篩分機の場合に慣用であるように、篩床の重なり合った配列が使用される。
【0138】
この場合には、本発明により有利に、シェル触媒環対(及び場合によりその他のシェル触媒環多産体)を、本発明による方法で、最上位の篩で、篩分残渣として少なくとも部分的に分離する。これに対して、所望のシェル触媒環K及び場合によりシェル触媒環Kに比べてより微粉砕の篩分物質成分を、最上位の篩床からその下にある篩床に通過させる。その篩孔は、例えば、US‐A7147011及びEP‐A1726358の論説に従って、シェル触媒環Kが篩分残渣(過大粒)を、かつ篩分物質の微粉砕成分が篩通過分(過小粒)となるように形成され得る。しかし、US‐A7147011及びEP‐A1726358の論説に対して選択的に、A≧Hの条件下に形状寸法AxIxHを有する環状シェル触媒K及び過大粒としての環状シェル触媒Kの取得の目標に関して、篩床の篩孔は、その完結輪郭線が、側長L*及びCを有する長方形の2つの平行側と同様に、少なくとも1つの長さLを越えて距離Cで対立する、各々少なくとも2つの直線区分を有するように形成されてもよいが、この際、篩孔の輪郭線上にある輪郭ポイントPを通過する、側長Cを有する理論上の長方形側に対する各平行線が、輪郭線上にある更なるポイントを持たず、輪郭線ポイントPへのその距離が>Cであり、かつ同時に、関係L>A≧H>C≧(A−I)/2が満たされているという条件が伴う。
【0139】
篩床の重なり合った配列では、円形篩も長方形篩も使用することができる。この際、振動は、篩分残渣が各々円形篩又は長方形篩の範囲に運ばれ、かつそこで外へ運ばれるように行なわれる。
【0140】
既に前記した多床構造様式の篩分機を本発明により使用する場合には、モーエンセンサイザー(Mogensen-Sizer)(登録商標)が有利である。
【0141】
モーエンセンサイザー(例えば、本発明による分離に好適な、製造年1997、機械04711上の、型"SZ 0534")の構成は、少なくとも2つの重なり合った、通例、様々に傾斜し、下に向かって小さくなる篩孔及び増加する勾配角(水平線に対して)を有する篩床を含む。通例、勾配角は5〜30°の範囲にある。本発明による要求のために、通例、2つの篩床を有するモーエンセンサイザーの使用が十分である。2つの篩床の上篩床は、本発明による対分離を実施し、下に続く篩床でシェル触媒Kが篩分物質の微粉砕成分から篩分過大粒として分離され得る。篩床(篩内床)の様々な勾配により制約されて、その篩孔は、より小さい大きさの篩孔と同様に作用する。従って、平面篩に比べて、実際に同様に良好な分離精度で比較的より大きく篩孔を選択することができ、このことは、高められた特異的篩効率を可能にする。篩分物質が先ずほぐされ、次に、個々の篩床を殆ど垂直に自由落下で流通することが、モーエンセンサイザーの特徴である。生成した粗大画分は、各々サイザーの出口で集められ、出口に付属した出口短管を経てサイザーから排出される。モーエンセンサイザーの詳細な説明は、例えば、Aufbereitungstechnik 42(2001)Nr.7,345〜348頁及びAufbereitungstechnik 41(2000)Nr.7,325〜329頁及びこの2つの明細書に引用された文献に、しかしDE‐A3520614、EP‐A205089及びDE‐A3431337にもある。
【0142】
環寸法AxIxH=8mmx5mmx6mmを有する環状シェル触媒Kの製造では、例えば、本発明による対分離のために、2つの長方形篩床(例えば、長さ1340mm及び幅490mm)を有するTyp SZ 0534(機械04711)の2床モーエンセンサイザーを使用することができる。2つの篩床の距離は、垂直線で、例えば、最高値130mmである。使用される篩は、本発明により有利な方法で、図5による篩組織であるが、上部篩床の場合には、正方形の篩孔を有する(上部篩床の篩孔の輪郭線寸法は、有利に10mmx10mmであり、下部篩床の篩孔の輪郭線寸法は、有利に6mmx130mmである;織られた鋼線の太さは、典型的には1.5〜1.7mmである;水平線に対する上部篩床の勾配は、有利に10°であり、下部篩床のそれは、有利に20°である;典型的な篩分物質流出量は、300〜350kg/時(h)である;本明細書の更なる経過で、そのようなモーエンセンサイザーは、"モーエンセンサイザーI"として表示される)。
【0143】
製造された環状シェル触媒Kが環寸法AxIxH=7mmx4mmx7mmを有する場合には、本発明による対分離のために、相応に構成されたモーエンセンサイザーを使用することができる。しかしこの際、上部篩床の篩孔の輪郭線寸法は、有利に8mmx8mmであり、下部篩床の篩孔の輪郭線寸法は、有利に5mmx130mmである。このモーエンセンサイザーは、本明細書で、"モーエンセンサイザーII"として表示されるべきである。
【0144】
モーエンセンサイザーを用いた本発明による分離では、上部及び下部篩床から挟まった粒子を連続的に取り出すために、2つの篩床の間に装入される篩分助剤は併用しないが、主に水平篩面では、通例、この目的のためにいわゆるゴムボールノック剤を使用することが有利である(Chem.-Ing. Tech. 56(1984) Nr. 12, 902頁の図12参照)。この際、ゴムボールは、本来の篩(篩床)の下でゴムボール直径の1.2倍〜1.5倍の距離にある下地床上に加えられる。ゴムボールは平面篩分機で篩分過程の間(篩分の間)に篩に対して下から跳びはねて、篩を局所的に清浄する。その弾性は、それが実際に篩分物質の破損を引き起こさないように有利に決められる。下地床は、大抵、有利に正方形の穿孔を有する穿孔板である。各々の場合に、下地床の穿孔は、篩通過物質が通過できるように形成されている。
【0145】
使用技術的に有利に、篩床("上部平面"として)及び下地床("下部平面"として)は同一の全横断面で形成され、かつ高さZの4つの側壁によって補足されて、四角形の側部差込装置を形成し、これは、簡単な方法で篩分機の篩枠中に差し込まれ得る(枠高は、差し込まれた篩差込装置より、通例、約10cm高い)。ゴムボールノックに対して選択的に、篩分過程の間の篩洗浄は、篩床の上及び/又は下に配置された平面ブラシ又は回転ブラシによっても作用され得る。
【0146】
環状シェル触媒Kの製造及び本発明による篩分は、空間的に互いに別々でも、空間的に直接相互に入り混じって実施され得る。後者は、例えば、環状シェル触媒Kの製造が、DE‐A2909671、DE‐A102005010645、EP‐A714700、DE‐A10325488、DE‐A10360058、WO2004/108267及び文書番号102007010422.9のドイツ国出願に記載されているように行なわれる場合に有利である。
【0147】
この製法では、環状シェル触媒Kを先ず液状結合剤で湿潤させ、引き続き、湿潤させた環状シェル触媒Kの表面で微粉砕の乾燥触媒活性物質(例えば、多元素酸化物物質)及び/又は触媒活性物質の微粉砕の乾燥前駆物質と接触させることによって、前記の微粉砕物質の層(シェル)を接着させ、引き続いて、微粉砕物質で被覆された環状の担体成形体から、熱の作用下に、液状結合剤を少なくとも部分的に希釈させ、かつシェル中に場合により含有される前駆物質を熱処理によって活性物質に変換させる。本明細書では、この製法を"コーティング法"として表示する。
【0148】
この際、液状結合剤として、殊に、DE‐A102005010645及びEP‐A714700に挙げられている全てのものが考慮される。それには、殊に、無機及び有機の液体、及び無機及び有機の液体を含む混合物が挙げられる。
【0149】
例えば、水、一価のアルコール、例えば、メタノール及びエタノール、多価アルコール、例えば、エチレングリコール(又は単にグリコール)及びグリセリン、前記の一価及び多価アルコールからのエーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル及びグリコールジエチルエーテル)、有機カルボン酸及び前記の一価及び多価アルコールからのエステル、例えば、酢酸エチルエステル、有機カルボン酸自体、例えば、酢酸、有機アミン、有機アミド、アミノアルコール(例えば、エタノールアミン)、炭化水素、例えば、ベンジン、無機塩の水及び/又は有機アルコール中の溶液、有機脂肪酸の水溶液、単糖類及び少糖類の水溶液、前記の液体の様々な部分量を含む混合物、しかし重合体の溶液及び重合体の分散液も挙げられる。
【0150】
有利な液状結合剤は、水20〜90質量%まで及び水中に溶解した有機化合物10〜80質量%までを含む溶液である。結合剤として使用すべき水溶液の有機割合は、有利に10〜50質量%、特に有利に20〜30%である。この際、液状結合剤の有機成分として、殊に、一価及び多価の有機アルコール、例えば、グリコール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール及びグリセリン、一価又は多価の有機カルボン酸、例えば、ピロピオン酸、蓚酸、マロン酸、グルタル酸及びマレイン酸、アミノアルコール、例えば、エタノールアミン又はジエタノールアミン、一価又は多価の有機アミド、例えば、ホルムアミド、又は単糖類及び少糖類、例えば、グルコース、フルクトース、サッカロース又はラクトースが好適である。液状結合剤としてのこのような溶液の利点は、特に、それらが環状担体成形体も、この上に塗布すべき微粉砕物質も湿潤させることができることに根拠がある。この際、環状担体成形体の物質として、本明細書中の全ての、及び文書番号102007010422.9のドイツ国出願、DE‐A102005010645及びEP‐A714700に挙げられた全ての物質が考慮される。これには、殊に、酸化アルミニウム、二酸化珪素、シリケート、例えば、粘土、カオリン、ステアタイト、軽石、珪酸アルミニウム及び珪酸マグネシウム、炭化珪素、二酸化ジルコン及び二酸化トリウムが挙げられる。環状担体成形体の表面は、粗性であることが有利であり(前記の3つの明細書で推奨されるように)、それというのも、高められた表面粗性は、通例、環状担体成形体の表面上に塗布される活性物質及び/又は前駆物質のシェルの高められた接着性を引き起こすからである。
【0151】
更に、担体物質は無孔性であることが有利である(担体の容量に対する孔の全容量≦1容量%)。
【0152】
環状シェル触媒Kの前記の製法の実施のために、特に、DE‐A2909671で明らかな方法原理(EP‐A714700及びDE‐A102005010645も参照)が、各々所望の液状結合剤の使用下に好適である。
【0153】
即ち、被覆すべき環状担体成形体を、有利に傾斜した(勾配角は、通例、30〜90°である)回転性の回転容器(例えば、回転皿又は糖衣釜又は糖衣ドラム)中に装填させる。この使用目的に好適な回転容器は、殊に、Fa. Freund Industrial Co., Ltd, Tokyo(JP)のTyp HCF-100のHi-Coater及びFa. Gebrueder Loedige Maschinenbau GmbH, DE-PaderbornのTyp LH 100のHi-Coaterである。
【0154】
回転性の回転容器は、環状担体成形体を、有利な距離で連続して配置される2個の配量装置下に通過させる。2つの配量装置の第一配量装置は、有利に1つのノズルに相応し、それによって回転性の回転皿(Hi-Coater)中で回転する環状担体成形体は、液状結合剤で調節湿潤される。第二配量装置は、使用技術的に有利に、散入される液状結合剤の噴霧円錐形の外にあり、微粉砕活性物質(例えば、微粉砕多元素酸化物活性物質)及び/又は微粉砕前駆物質を導入させる(例えば、振動溝を経て)ために用いられる。調節して湿潤された環状担体成形体は、供給された微粉砕物質(微粉砕粉末)を取り込み、これは回転運動によって環状担体成形体の外面上で緊密して密着性のシェルになる(環状担体成形体の内円では、そのような緊密運動は行なわれず、従って、これは実際に被覆されないままである)。
【0155】
必要であれば、そうして下塗被覆された環状担体成形体が、それに続く回転の経過中に再び噴霧ノズルを通過し、この際、継続運動の経過中に(場合により他の)微粉砕の活性物質及び/又は前駆物質のもう1つの層を取り込むことができるように等のために、調節湿潤される(場合により、他の液状結合剤で)(中間乾燥は通例、必要ない)。使用された液状結合剤の少なくとも部分的な除去は、例えば、EP‐A714700又はDE‐A102005010645の論説により、最終熱供給によって、例えば、熱ガス、例えば、N又は空気の作用によって行われ得る(これは、回転皿、又は糖衣釜、又は糖衣ドラム(一般に回転容器)の空間的に互いに別々に設置され網状に形成された壁要素によって供給及び排除される)。
【0156】
被覆法の前記の実施態様について重要なことは、環状担体成形体の被覆すべき表面の湿潤を調節法で行なうことである。これは要するに、担体表面は液状結合剤を吸着して有するが、担体表面上にはそれが可視的に現われないように、担体表面を有利に湿潤させることである。担体成形体表面が湿潤しすぎる場合には、微粉砕活性物質及び/又は前駆物質は、表面上に接着する代わりに凝集して別々の凝集体となる。これについての詳細は、DE‐A2909671、EP‐A714700及びDE‐A102005010645にある。後者は、殊に、使用される液状結合剤の最終的な少なくとも部分的な除去にも当てはまる。つまり、前記方法のもう1つの利点は、この除去は比較的調節された方法で、例えば、蒸発及び/又は昇華によって行うことができることにある。これは最も簡単に、既に前記したように、相応する温度(しばしば50〜150℃)の熱ガスの作用によって行うことができる。そのような熱ガスの作用は、完全な乾燥でも又は予備乾燥だけでも作用することができる。その後、最終乾燥は、例えば、DE‐A102005010645が推奨するように、例えば、任意の型の乾燥装置中で(例えば、バンド乾燥機中で)及び/又は束管反応器の触媒固床中に存在して初めて行われ得る。
【0157】
ここで、篩による本発明による対分離への移行は、簡単な方法で、次のように行われてよい。回転容器中に存在する環状シェル触媒の生産装入量は、漏斗上にある排出フラップ口を通って漏斗を経て空けられる。ここで、漏斗出口は、水平線に対してやや傾斜する(搬出)管(勾配角は、例えば、−3°〜25°である;3°〜5°が有利である)中に直接続いている。
【0158】
搬出管は、典型的には長さ1200mm、内径、例えば、100mmを有する。その他は直線振動篩として形成されている。このために、管内部を上部の(篩床の上にある)及び下部の(篩床の下にある)半管に分割する、管の全長に達する篩床を組み込んで包含する。回転容器の反転運動によって、回転容器中に存在する生産装入量は、篩床を含む搬出管の上部半管中に空けられる。
【0159】
搬出管中で、その末端に運搬される(典型的に:30分間当たりシェル触媒環80kg)。搬出管を通る生産装入量の途中で、搬出管の篩床を経て本発明による対分離が行なわれる。所望の環状シェル触媒Kは、下部半管の末端で搬出される篩通過物を形成するが、分離された対の搬出は上部半管のその末端で行なわれる。
【0160】
環状シェル触媒Kが、形状寸法AxIxH=7mmx4mmx3mmのものである場合には、篩床として、前記の搬出管中で有利な方法で、図8による互いに交じり合った細長い孔を有する長孔篩を使用する。本発明により有利に、C=5.50mm及びL=14.1mmである。この際、板厚2.2mmが、橋幅4.0mm及び距離5.0mmと同様に有利である。開放篩面Fは、この場合には36.5%である。
【0161】
直前に記載したような対分離のための搬出管を有する、Fa. Gebrueder Loedige Maschinenbau GmbH, DE-PaderbornのTyp LH 100のHi-Coaterは、本明細書では、"分離‐Hi‐コーター(Coater)I"として表示すべきである。
【0162】
本発明により分離されたシェル触媒環対は、通例、廃棄されずに、更に処理される。即ち、通例、この活性物質中に含まれる元素を回収することが試みられる。
【0163】
本発明による篩分は、通例、空気中で実施される(殊に、本明細書中に例として挙げられる全ての多元素酸化物触媒の場合)。
【0164】
強吸湿性又は酸素感受性のシェル触媒K又はその活性物質では、対篩分は、水分及び/又は酸素の遮断下に(例えば、N下に)行なうこともできる。篩分の前に、環状シェル触媒成形体Kは、通例、直接、密閉可能な容器に供給され、その中で貯蔵され得る。その後に、この容器(例えば、ポリプロピレン被覆で内張りされた容器)から、例えば、反応管の構造化装填のために、DE‐A102004023249の論説により取り出され、かつ意図した反応管中に装入され得る。
【0165】
シェル触媒Kの製造のためのコーティング法に対して選択的に、シェル触媒Kの製造のために、環状担体成形体に、しばしば、微粉砕活性物質及び/又は微粉砕前駆物質の懸濁液を噴霧する。この際、本発明により有利に、DE‐A4006935及びDE‐A10344844に記載されているように処理する。環状担体成形体の被覆の品質を改善するために、通例、有機結合剤(通例、共重合体、例えば、ビニルアセテート/ビニルラウレート、又はビニルアセテート/アクリレート、又はスチロール/アクリレート、又はビニルアセテート/エチレンをベースとするもの)を添加含有する(例えば、水性の重合体分散液の形で)微粉砕活性物質及び/又は微粉砕前駆物質の、例えば、水性の懸濁液を、高められた温度で、環状担体成形体上に、触媒全量の所望の活性物質割合が達成されるまでの間噴霧する。このために、殊に渦動床装置又は流動床装置が好適である。この中で、環状担体成形体は上昇するガス流(例えば、熱空気)中で流動される。装置は、殆ど、円錐形又は球形の容器から構成され、そこで流動ガスは下から又は上から中心管を経て供給される。懸濁液はノズルを経て上から、側面で又は下から、環状担体成形体の渦動床中へ噴霧される。中心的に又は同心的に中心管の周りに配列された導管の使用が有利である。導管内では、環状担体成形体を上に運搬するより高いガス速度が優勢である。管外では、ガス速度は、流動体化速度のほんの少し上である。そうして、環状触媒単体は円形で垂直に運動する。環状シェル触媒Kの製造のためのこの"噴霧法"についての詳細は、例えば、DE‐A10344844及びDE‐A4006935にある。後者は、これに関して特に好適な流動床装置も明らかにする。その他では、シェル触媒Kの1生産装入量は、本発明の意において、束管反応器中の少なくとも2個(より良好に少なくとも10、しばしば少なくとも50、大抵は少なくとも100、たびたび少なくとも200又は少なくとも500個)の反応管の要求を満たすことができるシェル触媒Kの生産量である。
【0166】
環状シェル触媒Kは、特に、その活性物質が、一般式I:
Mo12BiFe (I)
[式中、
=Co及び/又はNi、
=Si及び/又はAl、
=Li、Na、K、Cs及び/又はRb、
0.2≦a≦1、
2≦b≦10、
0.5≦c≦10、
0≦d≦10、
0≦e≦0.5、及び
y=(電荷中性の前提下に)I中の酸素と異なる元素の原子価及び頻度数によって決定される数である]の多元素酸化物であるシェル触媒を包含する。
【0167】
そのような環状シェル触媒Kの製造は、DE‐A10049873の論説により有利に行われ得る。そのために、触媒活性酸化物物質の元素成分の出発化合物から、完全乾燥混合物を製造し、これを前駆物質の取得下に150〜350℃で熱処理する。コーティング法では、結合剤として水の使用下に、前駆物質の層を環状担体成形体上に接着させ、乾燥し始めた被覆環状担体成形体を引き続き400〜600℃で焼成させる。
【0168】
このシェル触媒は、プロピレンからアクロレインへの及びイソ‐ブテンからメタクロレインへの気相触媒部分酸化に特に好適である。有利な部分酸化条件は、同様にDE‐A10049873にある。
【0169】
更に、本発明による方法は、活性シェルとして、元素V、Sb及びMo及びWからの少なくとも1個の元素を含有する多元素酸化物を有する環状シェル触媒Kの製造で重要である。そのようなシェル触媒の製造は、例えば、WO2007/00922が明らかにする。この際も、有利な製法は前駆物質コーティング法である。しかし活性物質コーティング法を同様に使用することができる。このようなシェル触媒Kは、殊に、有機出発化合物の不均一触媒化部分アンモ酸化に好適である。その例は、キシロールからのメチルベンゾニトリル及びベンゾジニトリルの製造である。これに関する好適な部分アンモ酸化条件は、同様にWO2007/009922が明らかにする。
【0170】
本発明による方法は、同様に、その触媒活性シェルが一般式II:
Mo12 (II)
[式中、
=W、Nb、Ta、Cr及び/又はCe、
=Cu、Ni、Co、Fe、Mn及び/又はZn、
=Sb及び/又はBi、
=1種以上のアルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)及び/又はH、
=1種以上のアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)、
=Si、Al、Ti及び/又はZr、
a=1〜6、
b=0.2〜4、
c=0〜18、有利に0.5〜18、
d=0〜40、
e=0〜2、
f=0〜4、
g=0〜40、及び
n=II中の酸素と異なる元素の原子価及び頻度数によって決定される数である]の多元素酸化物活性物質である環状シェル触媒Kが問題となる場合に特に重要である。
【0171】
これは、特に、アクロレインからアクリル酸への不均一触媒化部分気相酸化に好適である。この際、環状シェル触媒は、有利に、DE‐A102005010645、DE‐A10325488、DE‐A10360058、DE‐A10350822、DE‐A102004025445、DE‐A102007010422、US2006/0205978及びEP‐A714700の方法及びこれらの明細書中に引用された公知技術水準の方法により得られる。特に有利な製法は、EP‐A714700による活性物質コーティング法である。この際、文書番号102007010422.9のドイツ国出願の論説により、寿命を長引かせるために、塗布された活性物質に付加的に、微粉砕の酸化モリブデンを添加混合させることができる。前記の明細書は、付加的に、アクロレインからアクリル酸への不均一触媒化部分気相酸化のための特に好適な条件を明らかにする。
【0172】
この際、活性物質シェル厚は、特に10〜1000μm、有利に50〜500μm及び特に有利に150〜250μmである。EP‐A714700の例証の実施態様が特に有利である。有利な環寸法は、AxIxH=7mmx4mmx3mmを有するそれである。
【0173】
更に、本発明による方法は、その活性物質が、酸素と異なる元素として、元素Mo及びVの他に、2つの元素Te及びSbの少なくとも1種、及びNb、Pb、Ta、W、Ti、Al、Zr、Cr、Mn、Ga、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、La、Bi、B、Ce、Sn、Zn、Si、Na、Li、K、Mg、Ag、Au及びInを含む群からの少なくとも1種の元素を組み合わせて含有する多元素酸化物である、環状シェル触媒Kの場合に特に重要である。
【0174】
その製造は、例えば、WO2004/108267が明らかにする。これは、特にアクロレインからアクリル酸へ、プロパンからアクロレイン及び/又はアクリル酸へ、イソ‐ブタンからメタクロレイン及び/又はメタクリル酸への不均一触媒化部分気相酸化、及びプロパンからアクリルニトリルへ及びイソ‐ブタンからメタクリルニトリルへのアンモ酸化のための触媒として好適である(DE‐A102007025869も参照)。
【0175】
しかし、本発明による方法は、その活性物質が酸化物系環状担体上に元素銀を有する、環状シェル触媒Kの場合にも使用すべきである。そのような環状シェル触媒Kは、殊に、エチレンからエチレンオキシドへの不均一触媒化部分気相酸化に好適である(例えば、EP‐A496470参照)。担体成形体として、特に、酸化アルミニウム(例えば、Al)少なくとも80質量%までを含むものが考慮される。エチレンからエチレンオキシドへの不均一触媒化部分気相酸化のための、酸化物系環状担体成形体上に塗布されたその活性物質中に元素銀を含む担体触媒として、EP‐A619142、EP‐A624398、EP‐A804289及びEP‐A937498の環状担体触媒も強調される。本発明による方法は、全てのこれらの環状シェル触媒Kに好適であると考慮される。
【0176】
この際、好適な環寸法AxIxHは、特に、環寸法8.5mmx3.2mmx8.5mm、及び8.5mmx3.4mmx8.5mm、及び8mmx3mmx8mm又は7.7mmx3mmx5mmである。
【0177】
更に、本発明による方法は、その活性物質が、酸化物系単位TiO少なくとも60質量%まで、しかし99質量%よりも多くなく、及び酸化物系単位V少なくとも1質量%まで、しかし40質量%よりも多くなく含有する、少なくとも1種の多元素酸化物である、環状シェル触媒Kの場合に高められた重要性を有する。前記の多元素酸化物活性物質は、しばしば更に、Cs1質量%まで、P1質量%まで及び酸化物系単位Sb10質量%までを含有する。これは更に、シェル触媒Kの活性及び選択性を促進させる促進剤を付加的に含有することができる。この環状シェル触媒Kは、殊に、芳香族炭化水素、例えば、ベンゾール、ナフタリン、キシロール、トルオール及び/又はズレンの不均一触媒化部分気相酸化に好適である。この方法で、例えば、安息香酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及び/又は無水ピロメリット酸を得ることができる。そのような環状シェル触媒Kの有利な製法は、懸濁液噴霧法である。そのようなシェル触媒Kの製造及び特に有利な部分酸化条件は、例えば、DE‐A19839001、DE‐A10344844、DE‐A4006935、DE‐A19823262及びDE‐A19823275が明らかにする。そのようなシェル触媒に好適なV及びTiを含有する有利な多元素酸化物活性物質は、o‐キシロール及び/又はナフタリンから無水フタル酸への不均一触媒化部分気相酸化に有利な条件を含めて、明細書US‐A6528683、US‐A6586361及びUS‐A6362345も明らかにする(本明細書では常として、部分酸化条件の概念は、反応管中の触媒固床の構造化(充填化)も包含する)。前記の部分酸化に好適なシェル触媒Kの環寸法は、例えば、環寸法(AxIxH)7mmx4mmx7mm、8mmx5mmx6mm、7mmx4mmx4mm、8mmx4mmx6mm、及び8mmx3mmx6mmである。
【0178】
しかし本発明による方法は、DE‐A102005055827で明らかにされた、殊にメタノールからホルムアルデヒドへの酸化に好適である、Mo及びFeを含む環状の多元素酸化物シェル触媒も卓越して好適である。
【0179】
その他は、束管反応器の反応管の触媒固床充填は、文書番号102007017080.9のドイツ国出願に記載されているように行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、篩孔の完結輪郭線を示す。
【図2】図2は、篩孔の完結輪郭線を示す。
【図3】図3は、篩孔の完結輪郭線を示す。
【図4】図4は、篩孔の完結輪郭線を示す。
【図5】図5は、篩組織の1つの例証図を示す。
【図6】図6は、格子の1つの例証図を示す。
【図7】図7は、篩孔配列の1つの例証図を示す。
【図8】図8は、篩孔配列の1つの例証図を示す。
【図9】図9は、篩孔配列の1つの例証図を示す。
【図10】図10は、篩孔配列の1つの例証図を示す。
【図11】図11は、篩孔配列の1つの例証図を示す。
【0181】

A)熱管中におけるアクロレインからアクリル酸への不均一触媒化部分気相酸化
I.環状シェル触媒を包含する触媒固床による熱管の充填、この際、環状シェル触媒の装入の前に対分離を実施しておく。
【0182】
熱管(V2A鋼;外径33.7mm、壁厚2mm、内径29.7mm、長さ:350cm、及び熱管中の温度をその全長上で調べることができる定置の多熱電対の収容用の、熱管中央に置かれたサーモウエル(外径10mm))に上から下へ次のように充填した:
区分1;長さ20cm、予備充填床として形状寸法7mmx4mmx3mm(AxIxH)のステアタイト環ST(Fa. Ceram Tec製のステアタイトC 220)
区分2:長さ90cm、ステアタイト環ST30質量%、WO2004/108267の実施例2によるが、前以て対分離を伴う環状シェル触媒K1(7.1mmx4.0mmx3.2mm;Mo121.2Cu2.4;環状担体成形体の充填及び対分離は、Hi‐コーターIを用いて行なわれた)30質量%及び球状シェル触媒KU1(環状シェル触媒K1と同様に製造するが、直径4〜5mmのステアタイトを含む球状担体成形体を用い、かつ結合剤としての水の使用下に及び活性物質シェル20質量%の質量割合)40質量%を含む均一混合物による触媒固床充填;
区分3:長さ50cm、ステアタイト環ST20質量%、環状シェル触媒K1(前以て対分離を伴う)40質量%及び球状シェル触媒KU1 40質量%を含む均一混合物による触媒固床充填;
区分4:長さ70cm、環状シェル触媒K1(前以て対分離を伴う)60質量%及び球状シェル触媒KU1 40質量%を含む均一混合物による触媒固床充填;及び
区分5:長さ120cm、球状シェル触媒KU1だけによる触媒固床充填。
【0183】
上から下へ、最初の175cmを、温度Tで供給した向流ポンプ送りの塩浴Aによって恒温保持した。第二の175cmを、温度Tで供給した向流ポンプ送りの塩浴Bによって恒温保持した。2つの塩浴は、硝酸カリウム53質量%、亜硝酸ナトリウム40質量%及び硝酸ナトリウム7質量%を含む混合物であった。
【0184】
前記の熱管を、次の内容物の反応ガス出発混合物で充填した:
アクロレイン 4.8容量%、
アクリル酸 0.5容量%、
プロピレン 0.2容量%、
分子酸素 5.5容量%、
CO 0.5容量%、
CO 1.1容量%
水 5.7容量%、及び
窒素 81.5容量%。
【0185】
反応ガス混合物は、熱管を上から下へ流通した。熱管の入口圧力は2.0バール(絶対)であった。アクロレインの触媒固床の負荷は、140Nl/l・hであった。Tを275℃に及びTを279℃に調節した。反応ガス出発混合物を220℃に予備加熱した。
【0186】
熱管を通る反応ガス混合物の1回の通過に対する約99.5モル%のアクロレイン変換率及び95.0モル%のアクリル酸生成の選択率で、熱管中のホットスポット温度は323℃であった。ホットスポット最高位置は、反応ガスの流れ方向で、区分2の開始後45cmであった。
【0187】
II.A)Iからの部分酸化の繰り返し、しかし、環状シェル触媒K1の製造の際に対分離の範囲で生じたタンデム対を有する、熱管中に装入された触媒固床の照準的配量下に(分離された対の全量は0.24質量%に達した)。
【0188】
触媒固床を、A)Iと同様に充填した。しかし、反応ガスの流れ方向で、区分2の開始後45cmで、熱管の内壁とサーモウエルの外壁との間に、照準的に、タンデム対(環状触媒固床K1の全装入質量に対して0.02質量%)を、その縦軸が反応ガスの流れ方向に向かうように置いた。その他は、A)Iと同様に行ない、それに従って、熱管装填を同様に完了した。
【0189】
ホットスポット温度の不変位置で、これは325℃に上昇した。
【0190】
III.A)Iからの部分酸化の繰り返し、しかし、環状シェル触媒K1の製造の際に対分離の範囲で生じた融合対を有する、熱管中に装入された触媒固床の照準的配量下に。
【0191】
触媒固床を、A)Iと同様に充填した。反応ガスの流れ方向で見て、反応管長の最初の70cmは未だ充填されず、かつ残りの反応管長は既に充填された時に、流れ方向で区分2の開始後40cmで、熱管の内壁とサーモウエルの外壁との間に、融合対を挟み込んだ(押し込んだ)。その他は、A)Iと同様に行ない、それに従って、押し込みを実施した後に熱管装填を同様に完了した。
【0192】
ホットスポット最高位置は、ここで既に(反応ガスの流れ方向で)区分2の開始後40cmであった。これは、ここで324℃であった。
【0193】
B)操作管(これは、A)Iにおける熱管によって形成されるべきである)中におけるアクロレインからアクリル酸への不均一触媒化部分気相酸化
操作管(V2A鋼;外径30mm;壁厚2mm、内径26mm、長さ350cm)を、次に記載したように、環状シェル触媒K1(前以て対分離を伴う)を包含する触媒固床で充填した。操作管中の反応温度の経過を調査するために、これは、中心に直接装入された多熱電対を包含した(外径=4mm;大工業的束管反応器では、この方法は不可能である);従って、大工業的操作管(熱電対を包含しない)は、全体にややより大きな全活性物質量を含有し、従って、同じアクロレイン変換率のために、より約1℃低いT、Tを必要とする)。
【0194】
I.触媒固床による操作管の理想的(対を含まない)充填(上から下へ)
区分1:長さ20cm、ステアタイト環ST;
区分2:長さ90cm、環状シェル触媒K1 70質量%及びステアタイト環ST30質量%を含む均一混合物;
区分3:長さ50cm、環状シェル触媒K1 80質量%及びステアタイトST環20質量%を含む均一混合物;
区分4:長さ190cm、環状シェル触媒K1だけ。
【0195】
この反応管中で、A)Iにおける熱管と同じ条件下に、アクロレインからアクリル酸への不均一触媒化部分気相酸化を操作した(既に前記した理由から、99.5モル%の同じアクロレイン変換率を達成するために、T=276℃及びT=280℃であった)。
【0196】
ホットスポット温度は、熱管と同様に323℃であった。ホットスポット最高位置は、A)Iと同様に、反応ガスの流れ方向で、区分2の開始後45cmであった。
【0197】
II.A)IIにおける熱管と同様の方法で、操作管の触媒固床充填にタンデム対を配量した。
【0198】
結果として、同じままのホットスポット最高位置で、約2℃高められた325℃のホットスポット温度が生じた。
【0199】
III.触媒固床充填を、B)Iと同様に行ったが、区分4を形成する環状シェル触媒1の割当分に、操作管中へそれを空ける前に、無作為の方法で、タンデム対を添加した(添加後に、割当分を振り混ぜた)。
【0200】
得られた部分酸化の結果は、その他は同一の操作条件下に、B)Iにおけるそれと区別不可能であった。
【0201】
C)熱管中におけるo‐キシロールから無水フタル酸への不均一触媒化部分気相酸化
I.環状シェル触媒を包含する触媒固床による熱管の充填、この際、環状シェル触媒の装入前に、対分離を実施しておいた。
【0202】
熱管(V2A鋼;内径:25mm、壁厚:2mm、長さ:385cm;反応管中央で、反応管に添って反応温度を調べるために、反応管に沿って動く簡単な熱電対の収容のためのサーモウエル(外径4mm)を中心に置いた)を上から下へ次のように充填した:
区分1;長さ10cm、形状寸法5mmx2mmx3mm(AxIxH)のステアタイト環S(Fa. Ceram Tec製のステアタイトC 220);
区分2:長さ170cm、DE‐A10344844の例7による環状シェル触媒、しかし対分離を伴う(懸濁液噴霧法;担体寸法=8mmx5mmx6mm(AxIxH);モーエンセンサイザーIによる対分離;多金属酸化物活性物質シェルは、P0.08質量%;単位V5.75質量%;単位Sb1.6質量%;Cs0.4質量%及び単位TiO92.17質量%を含有した);
区分3:長さ130cm、DE‐A10344844の例4による環状シェル触媒、しかし対分離を伴う(懸濁液噴霧法;担体寸法=8mmx5mmx6mm(AxIxH);モーエンセンサイザーIによる対分離;多金属酸化物活性物質シェルは、P0.15質量%;単位V7.5質量%;単位Sb3.2質量%;Cs0.1質量%及び単位TiO89.05質量%を含有した)。
【0203】
熱管の周りを、350℃の温度を有する塩浴(硝酸カリウム53質量%、亜硝酸ナトリウム40質量%及び硝酸ナトリウム7質量%を含む混合物)が流通した。
【0204】
前記の熱管は、o‐キシロール2容量%及び空気98容量%を含む反応ガス出発混合物で充填された。
【0205】
入口圧1.4バール(絶対)で、充填ガス流は4Nm/時(h)であった。反応ガス混合物は、熱管を上から下へ流通した。熱管を通る反応ガス混合物の1回の通過に対するo‐キシロールの変換率99.97モル%で、無水フタル酸の選択率は81.7モル%であった。反応管中のホットスポット温度は452℃であった。ホットスポット最高位置は、反応ガスの流れ方向で、区分2の開始を超えて90cmであった。
【0206】
II.C)Iからの部分酸化の繰り返し、しかし、区分2からの環状シェル触媒の製造の際に対分離の範囲で生じるタンデム対(分離された対の全量は0.3質量%になった)を有する熱管中に装入される触媒固床の照準的配量下に。
【0207】
触媒固床を、C)Iと同様に充填した。しかし、反応ガスの流れ方向で、区分2の開始を超えて90cmで、熱管の内壁とサーモウエルの外壁との間で、照準的に、区分2タンデム対(熱管中に全て装入されるシェル触媒の全質量に対して、0.092質量%)を、その長軸が反応ガスの流れ方向に向かうように置いた。その他は、C)Iと同様に行なわれ、それに従って熱管充填は同様に完了した。
【0208】
ホットスポット温度の不変位置で、これは463℃に上昇した。
【0209】
15.06.07に交付された、US暫定的特許出願No.60/944327は、本出願に文献引用によって加えられる。前記の論説に関して、本発明の多数の変化及び偏向が可能である。従って、本発明が、付随請求の範囲で、ここに特定的に記載された以外で実施され得ることが想定され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化の実施に好適な触媒固床を、束管反応器の反応管に充填させる目的のために、この反応管中に、環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量から取り出した部分量を装填する方法において、少なくとも1生産装入量からの部分量の取り出し前及び/又は取り出し後であるが取り出した部分量の反応管への装入前に、環状シェル触媒Kの少なくとも1生産装入量の製造の際に生成する環状シェル触媒Kの対を、少なくとも部分的に、少なくとも1生産装入量から及び/又は取り出した部分量から除去することを特徴とする方法。
【請求項2】
シェル触媒Kは、環状担体成形体及びこの上に塗布された活性物質を含むシェルを包含し、この際、環状担体成形体の外径は4〜10mmであり、その高さは2〜10mmであり、かつその壁厚は1〜4mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性物質は、少なくとも1種の多元素酸化物を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
多元素酸化物は、
a)元素Mo、Fe及びBi、又は
b)元素Mo及びV、又は
c)元素V及び付加的にP及び/又はTi
を含有するものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対の分離は、篩を用いる篩分法によって行なわれる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
環状シェル触媒Kの外径Aと高さHとの間で、関係 H≦0.5・A が満たされ、篩は、篩孔Oを有し、その完結輪郭線で、側長L及びCを有する長方形Rは、条件M
L>A≧2H>C>H
下に記載され得るが、条件M
L>C≧2H
下にはもはや記載され得ない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
環状シェル触媒Kの外径Aと高さHとの間で、条件A≧H>0.5・A が満たされ、篩は、篩孔Oを有し、その完結輪郭線で、側長L及びCを有する長方形Rは、条件M
L>A<2H>C>H
下に記載され得るが、条件M
L≧C≧2H
下にはもはや記載され得ない、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
篩孔Oは、側長L及びCを有する長方形である、請求項6に記載に方法。
【請求項9】
篩孔Oは、側長L及びCを有する長方形である、請求項7に記載に方法。
【請求項10】
篩孔Oは、側長L及びCを有する長方形から誘導される細長い孔である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
篩孔Oは、側長L及びCを有する長方形から誘導される細長い孔である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
有機出発化合物の不均一触媒化部分気相酸化の方法は、触媒固床で充填された反応管中で続けて行なわれる、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
不均一触媒化部分気相酸化は、アクロレインからアクリル酸への気相酸化又はo‐キシロール及び/又はナフタリンから無水フタル酸への気相酸化である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
液状結合剤を用いる環状担体成形体上への触媒活性物質の塗布による環状シェル触媒の製造のための方法において、該製法の終了後に、製造中に生じたシェル触媒環対を少なくとも部分的に分離させることを特徴とする方法。
【請求項15】
触媒固床による束管反応器中の反応管の充填のための、請求項14に記載の製法により製造した環状シェル触媒の使用。
【請求項16】
触媒成形体の割当量を包装材で包装することによって製造される包装物であって、触媒成形体が、請求項14に記載の方法により製造した環状シェル触媒を包含することを特徴とする包装物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−532248(P2010−532248A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511634(P2010−511634)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057342
【国際公開番号】WO2008/152080
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】