説明

環状化合物、フォトレジスト基材及びフォトレジスト組成物

【課題】フォトレジスト基材として有用であり、高い塗布溶媒溶解性を有する環状化合物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される構造を有する環状化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等の電気・電子分野や光学分野等で用いられるフォトレジスト基材、特に超微細加工用フォトレジスト基材に関する。
【0002】
極端紫外光(Extream Ultra Violet Light:以下、EUVLと表記する場合がある)又は電子線によるリソグラフィーは、半導体等の製造において、高生産性、高解像度の微細加工方法として有用であり、それに用いる高感度、高解像度のフォトレジストが求められている。フォトレジストは、所望する微細パターンの生産性、解像度等の観点から、その感度を向上させることが欠かせない。
【0003】
EUVLによる超微細加工の際に用いられるフォトレジストとしては、例えば、公知のKrFレーザーによる超微細加工の際に用いられていた化学増幅型ポリヒドロキシスチレン系フォトレジストがある。このレジストでは、50nm程度までの微細加工が可能であることが知られている。しかしながら、このレジストで極端紫外光による超微細加工をし、極端紫外光による加工の最大の利点である50nm以細のパターンを作製すると、感度及びレジストアウトガスについては実用性を有するものの、最も重要であるラインエッジラフネスを低減させることができなかった。従って、極端紫外光本来の性能を十分に引き出しているとは言えず、より高性能のフォトレジストを開発することが求められていた。
また、フォトレジスト基材は、通常の半導体製造工程において溶媒に溶解させて使用するため、塗布溶媒に対する高い溶解性が求められている。
【0004】
上記課題に対し、本発明者らは高解像度のフォトレジスト材料としてカリックスレゾルシナレン化合物を提案している。また、塗布溶媒溶解性を改良したカリックスレゾルシナレン化合物も提案している(特許文献1参照)。この化合物は、カリックスアレーン構造を形成する4つのフェニレン基が3又は4つの−OR基(Rは水素原子又は酸解離性溶解抑止基)を有することを特徴としている。これにより、化合物の塗布溶媒溶解性を向上している。
【特許文献1】特開2007−197389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、フォトレジスト材料についてカリックスレゾルシナレン化合物をさらに詳細に検討した。その結果、上記のフェニレン基のOR基数の他に、化合物の塗布溶媒溶解性を向上できる要因があることを見出した。
従って、本発明では、フォトレジスト基材として有用であり、高い塗布溶媒溶解性を有する環状化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、カリックスアレーン構造を形成する4つの各メチン基に芳香族基を直接結合させた場合に比べて、メチン基と芳香族基の間にアルキレン鎖を介すると、環状化合物の塗布溶媒溶解性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の環状化合物等が提供される。
1.下記式(1)で表される構造を有する環状化合物。
【化5】

[(式中、Arはそれぞれ置換又は無置換の炭素数6〜10の芳香族基、下記式(2)で表される基、又は下記式(3)で表される基である。
【化6】

(式中、Rは水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基であり、xは1〜5の整数を表す。
Ar’は炭素数の6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基;炭素数6〜10のアリーレン基と、アルキレン基及びエーテル基の少なくとも一方を1つ以上組み合わせた基であり、Aは単結合、アルキレン基、エーテル基、又はアルキレン基とエーテル基を2つ以上組み合わせた基であり、yは1〜3の整数、zは1〜5の整数を表す。
複数のR、Ar’、A、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていても良い。)
、Rはそれぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、前記式(2)で表される基、前記式(3)で表される基、又はこれら基のうち2種以上を組み合わせて構成される基である。
はそれぞれ水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基である。
nは1〜4の整数を表す。
式(1)内に複数ある、Ar、R、R、R及びnは、それぞれ同じであっても異なっていても良い。)]
2.Rの少なくとも1つ、又はRの少なくとも1つが酸解離性溶解抑止基である1に記載の環状化合物。
3.前記酸解離性溶解抑止基が、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシカルボニルメチロキシ基、アルコキシメチル基、アルコキシメチロキシ基、アルコキシアルキルメチル基、アルコキシアルキルメチロキシ基、アルコキシアリールメチル基、アルコキシアリールメチロキシ基、アルコキシカルボニルフェニル基、アルコキシカルボニルフェニロキシ基、ビス(アルコキシカルボニル)フェニル基、ビス(アルコキシカルボニル)フェニロキシ基、トリス(アルコキシカルボニル)フェニル基、トリス(アルコキシカルボニル)フェニロキシ基、シリル基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基から選ばれる基である、2に記載の環状化合物。
4.前記酸解離性溶解抑止基が、下記式(4)〜(19)から選択される基である3に記載の環状化合物。
【化7】

(式(18)及び(19)中のrは、前記式(4)〜(17)、及び下記式(20)〜(22)で表される基から選択される一価の基である。)]
【化8】

5.上記2〜4のいずれかに記載の環状化合物を含有するフォトレジスト基材。
6.上記5に記載のフォトレジスト基材と溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
7.さらに、塩基性有機化合物をクエンチャーとして含有する6に記載のフォトレジスト組成物。
8.さらに、光酸発生剤を含有する6又は7に記載のフォトレジスト組成物。
9.上記6〜8のいずれかに記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
10.上記9に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の環状化合物は、フォトレジスト基材としての性能を保持しつつ、高い塗布溶媒溶解性を有する。
本発明のフォトレジスト基材及びその組成物を用いて極端紫外光や電子線等のリソグラフィーによる超微細加工を行えば、高感度、高コントラスト、低ラインエッジラフネスで形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の環状化合物は下記式(1)で表される構造を有する。
【化9】

【0009】
式(1)において、Arはそれぞれ置換又は無置換の炭素数6〜10の芳香族基、下記式(2)で表される基、又は下記式(3)で表される基である。
【0010】
【化10】

【0011】
置換又は無置換の炭素数6〜10の芳香族基の具体例としては、フェニル基又はナフチル基が好ましい。Arの置換基としては、メチル基やアダマンチル基等の脂肪族基や、ハロゲン基等の放射線の照射により酸を発生する基(酸発生基)が好ましい。
【0012】
上記式(2)及び(3)においてRは、水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基である。
【0013】
炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好ましい。
炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基としては、t−ブチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が好ましい。
炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基等が好ましい。
炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましい。
アルコキシル基の例としては、フェノキシ基、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシルキシ基が好ましい。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、アダマンチルオキシメチル基等が好ましい。
シリル基としては、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が好ましい。
尚、上記の各基は置換基を有していてもよく、具体的には、メチル基、エチル基等のアルキル基、ケトン基、エステル基、アルコキシル基、ニトリル基、ニトロ基、水酸基等が挙げられる。
【0014】
は、上記記載の基と二価の基が結合した構造を有する基でもよい。二価の基としては、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基が2以上結合してなる基が挙げられる。アルキレン基としてはメチレン基、メチルメチレン基等が好ましく、アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
【0015】
二価の基が2以上結合してなる基としては、下記の構造が好ましい。
【化11】

(式中、R’はそれぞれ水素原子又はアルキル基を示す。)
【0016】
式(2)中、xは1〜5の整数を表す。
【0017】
式(3)中、Ar’は炭素数の6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基;炭素数6〜10のアリーレン基と、アルキレン基及びエーテル基の少なくとも一方を1つ以上組み合わせた基である。
【0018】
Ar’は、フェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、オキシジフェニレン基が好ましい。なかでもフェニレン基、ビフェニレン基、オキシジフェニレン基が好ましい。
【0019】
は単結合、アルキレン基、エーテル基、又はアルキレン基とエーテル基を2つ以上組み合わせた基である。
アルキレン基としては、メチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等、炭素数1〜4のものが好ましい。
アルキレン基とエーテル基を2つ以上組み合わせた基としては、オキシメチレン基、オキシジメチルメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
特に好ましい例としては、単結合又はオキシメチレン基(−O−CH−)が挙げられる。
【0020】
yは1〜3の整数、zは1〜5の整数を表す。
【0021】
式(1)において、R、Rはそれぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、上記式(2)で表される基、上記式(3)で表される基、又はこれら基のうち2種以上を組み合わせて構成される基である。
尚、上述した基を2種以上組み合わせて構成される基とは、1つの基に置換基として他の基が結合している基を意味する。
【0022】
及びRはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の分岐を有する脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の環状脂肪族炭化水素基、フェニル基が好ましい。特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
【0023】
式(1)においてRは、それぞれ水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基である。
の具体例は、上述した式(2)及び(3)のRと同様である。
【0024】
nは1〜4の整数を表す。nをこの範囲にすることで、フォトレジスト基材として有用であり、高い塗布溶媒溶解性を有する環状化合物となる。nが4を越えると、耐熱性やエッチング耐性が大幅に低下する。
【0025】
尚、式(1)内にArは複数あるが、各Arは同じであっても異なっていても良い。R、R、R及びnについても同様であり、式(2)及び(3)内のR、Ar’、A、x、y及びzについても同様である。
【0026】
上記式(1)で表される環状化合物は、フォトレジスト基材、特に、極端紫外光(波長15nm以下)や電子線等のリソグラフィーによる超微細加工の際に用いるフォトレジスト基材として有用である。
本発明の環状化合物は、フォトレジスト基材として使用する条件(通常は室温下)において、アモルファス状態となる。このため、基材として用いると、フォトレジスト組成物としての塗布性やフォトレジスト膜としての強度の点で好ましい。
【0027】
また、塗布溶媒に対する溶解度が高いため、広い濃度範囲で高分散状態のフォトレジスト組成物を作製することができる。その結果、広範囲の膜厚で膜厚及び膜質の均一性が高いフォトレジスト薄膜を形成することができる。従って、本発明の化合物はフォトレジストの解像度の向上、感度向上、及びラインエッジラフネスの低減等、フォトレジストの性能の向上に寄与できる。さらに、薄膜の基板への密着性や薄膜強度等が改善できるフォトレジスト組成物が得られる。
【0028】
本発明の化合物では、Rの少なくとも1つ、又はRの少なくとも1つが酸解離性溶解抑止基であることが好ましい。酸解離性溶解抑止基は、EUVL及び電子線に対し、高い反応性を有するため、感度の面で優れており、かつエッチング耐性の面でも優れる。そのため、超微細加工用のフォトレジスト基材として好適に使用できる。
【0029】
酸解離性溶解抑止基としては、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシカルボニルメチロキシ基、アルコキシメチル基、アルコキシメチロキシ基、アルコキシアルキルメチル基、アルコキシアルキルメチロキシ基、アルコキシアリールメチル基、アルコキシアリールメチロキシ基、アルコキシカルボニルフェニル基、アルコキシカルボニルフェニロキシ基、ビス(アルコキシカルボニル)フェニル基、ビス(アルコキシカルボニル)フェニロキシ基、トリス(アルコキシカルボニル)フェニル基、トリス(アルコキシカルボニル)フェニロキシ基、シリル基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基が好ましい。
【0030】
特に、下記式(4)〜(19)から選択される基であることが好ましい。これらの酸解離性溶解抑止基は、極端紫外光及び電子線に対する直接的あるいは間接的に高い反応性を有するため感度の面で優れており、かつエッチング耐性の面でも優れる。
【化12】

【0031】
(式(18)及び(19)中のrは、前記式(4)〜(17)、及び下記式(20)〜(22)で表される基から選択される一価の基である。)
【化13】

【0032】
本発明の化合物では、カリックスアレーン構造を形成するメチン基と芳香族基(Ar)の間にアルキレン鎖を介することで、環状化合物の塗布溶媒溶解性を向上させている。上述した特許文献1では、カリックスアレーン構造を形成する4つの各メチン基に芳香族基を直接結合させた化合物が例示されている。しかしながら、酸解離性溶解抑止基としてアダマンチル基を含む基を結合すると、溶媒の種類によっては、化合物の溶解性が幾分低下する場合があった。本発明の化合物は、酸解離性溶解抑止基がアダマンチル基を有する場合でも優れた溶解性を示す。
【0033】
また、上記式(1)では、カリックスアレーン構造を形成する4つの各フェニレン基にRが4つ結合している。例えば、この4つのRのうち、2つが水素原子であり、他の2つが酸解離性溶解抑止基であってもよい。即ち、特許文献1の化合物ではフェニレン基が3又は4つの−OR基(Rは水素原子又は酸解離性溶解抑止基)を有するが本発明の化合物では2つでもよい。
【0034】
本発明の環状化合物は、例えば、公知の方法により、酸触媒存在下、対応する構造のアルデヒド化合物と水酸基を有する芳香族化合物との縮合環化反応により、カリックスレゾルシナレン誘導体(前駆体)を合成し、R、R等の基に対応する化合物を、エステル化反応、エーテル化反応、アセタール化反応等により前駆体に導入することで合成できる。具体例は、後述する実施例で説明する。
【0035】
本発明のフォトレジスト組成物は、上述した本発明のフォトレジスト基材とこれを溶解させ液体状組成物とするための溶媒を含む。フォトレジスト組成物は、超微細加工を施すべき基板等にスピンコーティング、ディップコーティング、ペインティング等の手法で均一に塗布するために液体状組成物にすることが必要である。
【0036】
溶媒としては、フォトレジストの分野において一般に用いられているものが使用できる。好ましくは、2−メトキシエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール類、乳酸エチル、乳酸メチル等の乳酸エステル類、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート等のプロピオネート類、メチルセルソルブアセテート等のセルソルブエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルアミルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類、酢酸ブチル等の単独溶媒、もしくは2種以上の混合溶媒が例示される。
使用する溶媒は、フォトレジスト基材の溶解度や製膜特性等に合わせて適宜選択すればよい。
【0037】
本発明のフォトレジスト組成物は、基材の分子が、EUVL及び/又は電子線に対して活性なクロモフォアを含み単独でフォトレジストとしての能力を示す場合には特に添加剤は必要としない。しかし、フォトレジストとしての性能(感度)を増強する必要がある場合は、必要に応じて、クロモフォアとして光酸発生剤(PAG)等を添加してもよい。
【0038】
光酸発生剤としては、以下の構造で例示される公知のものの他、同様の作用を持つ他の化合物であっても一般に使用できる。好ましいPAGの種類及び量は、本発明の基材、所望する微細パターンの形状やサイズ等に合わせて規定できる。
【0039】
【化14】



[式中、Ar、Ar、Arは、置換又は非置換の炭素数6〜20の芳香族基であり、R、R、R、R、Rは、置換又は非置換の炭素数6〜20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数1〜20の脂肪族基であり、X、X、Y、Zは、脂肪族スルホニウム基、フッ素を有する脂肪族スルホニウム基、テトラフルオロボレート基、ヘキサフルオロホスホニウム基である。]
【0040】
PAGの配合量は、フォトレジスト基材に対して0.1〜20重量%の範囲で用いるのが一般的である。
【0041】
さらに必要に応じて、PAGの過剰な反応を抑制するクエンチャーを添加してもよい。これにより、対極端紫外光感度や対電子線解像度を向上できる。クエンチャーとしては、従来公知のものの他、同様の作用を持つ他の化合物であっても一般に使用できる。
クエンチャーには、フォトレジスト組成物への溶解度やフォトレジスト層における分散性や安定性の観点から、塩基性有機化合物を用いることが好ましい。具体的には、キノリン、インドール、ピリジン、ビピリジン等のピリジン類の他、ピリミジン類、ピラジン類、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族アミン類の他、水酸化テトラブチルアンモニウム等が上げられる。
尚、好ましいクエンチャーの種類及び量は、本発明の基材、PAG、所望する微細パターンの形状やサイズ等に合わせて規定できる。
【0042】
クエンチャーの配合量は、フォトレジスト基材に対して10〜1×10−3重量%、又は、PAGに対して50〜0.01重量%の範囲で用いるのが一般的である。
【0043】
本発明のフォトレジスト組成物には、その他、感光助剤、可塑剤、スピード促進剤、感光剤、増感剤、酸増殖機能材料、エッチング耐性増強剤等を添加してもよい。これらは同一の機能を持つ成分の複数の混合物であっても、異なった機能を持つ成分の複数の混合物であっても、これらの前駆体の混合物であってもよい。これらの配合比については、用いる成分の種類により異なるため一概に規定できないが、従来公知のフォトレジストと類似の配合比で用いることが一般的である。
【0044】
組成物中の溶媒以外の成分、即ちフォトレジスト固形分の量は所望のフォトレジスト層の膜厚を形成するために適する量とするのが好ましい。具体的にはフォトレジスト組成物の全重量の0.1〜50重量パーセントが一般的であるが、用いる基材や溶媒の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。
【0045】
本発明のフォトレジスト組成物を用いて微細加工する方法の例を以下に説明する。
本発明のフォトレジスト組成物は、スピンコーティング、ディップコーティング、ペインティング等の方法により液体コーティング組成物として基板に塗布し、溶媒を除くため、フォトレジストコーティング層が不粘着性になるまで、例えば80℃〜160℃に加熱して乾燥するのが一般的である。また、基板との密着性向上等の目的で、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)等を中間層として用いることができる。これらの条件は、用いる基材や溶媒の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。
【0046】
加熱乾燥後、上記フォトレジストコーティング層が不粘着性になった基板をEUVLによりフォトマスクを用いて露光、あるいは電子線を任意の方法で照射することにより、基材に含まれる保護基を脱離させ、フォトレジストコーティング層の露光及び非露光領域間における溶解度の相違を生じさせる。さらに溶解度の相違を大きくするために露光後ベークする。この後レリーフイメージを形成するため、アルカリ現像液等で現像する。このような操作により、基板上に超微細加工されたパターンが形成される。上記の条件は用いる基材や溶媒の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。
【0047】
本発明のフォトレジスト組成物を用いて極端紫外光や電子線のリソグラフィーによる超微細加工を行えば、100nm以細、特に50nm以細の孤立ライン、ライン/スペース(L/S)=1/1、ホール等のパターンを、高感度、高コントラスト、低ラインエッジラフネスで形成することが可能となる。
【0048】
本発明の微細加工方法により、例えば、ULSI、大容量メモリデバイス、超高速ロジックデバイス等の半導体装置を製造することができる。
【実施例】
【0049】
実施例1〜6[環状化合物の製造]
表1に示すフェノール化合物及びアルデヒド化合物から、下記式(23)〜(28)に示す環状化合物を合成した。
【化15】

【0050】
窒素導入菅、温度計、メカニカルスターラー及びジムロート氏冷却菅を備えた4口フラスコに、表1記載のフェノール化合物及びアルデヒド化合物を仕込み、表1記載の溶媒(10ミリリットル)を加えて撹拌し、窒素を導入して窒素雰囲気とした。続いて滴下ロートから、濃塩酸(0.8ミリリットル)を、フラスコ内部の温度が35℃を超えない程度にゆっくりと加えた。濃塩酸滴下終了後、事前に60℃に設定したオイルバスでフラスコを加熱し4時間反応させた。加熱を停止して、反応フラスコ内部を室温程度に冷却した後に、反応溶液を反応溶媒の4倍量のイオン交換水に投入し、生成した固体を濾別した。
得られた固体をイオン交換水中に懸濁させ、マグネチックスターラーで10分間撹拌した。撹拌の後、再び濾別し、イオン交換水で洗浄し、次いで、真空下50℃で16時間乾燥させた。得られた乾燥固体は、H−NMRでそれぞれ所望の構造の環状化合物であることを確認した。図1〜図6に実施例1〜6で回収した固体のH−NMRスペクトルを示す。また、実施例1〜6の環状化合物の収率を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
[酸解離性溶解抑止基を導入した環状化合物の製造]
実施例7
窒素導入菅、温度計、メカニカルスターラー及びジムロート氏冷却菅を備えた4口フラスコに水素化ナトリウム(鉱油中60%、和光純薬工業(株)製)3.77gを仕込み、窒素を導入して窒素雰囲気とした。N,N−ジメチルホルムアミド150ミリリットルを添加し懸濁液とした。
この懸濁液に、実施例1で得た環状化合物(23)10.0gを100ミリリットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を、氷浴中にて滴下した。その後、室温下で30分撹拌した。
次いで、2−クロロメトキシアダマンタン18.9g(環状化合物(23)が有する水酸基のモル数に対して1当量)を溶解したN,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットルを滴下後、室温下で3時間撹拌した。撹拌を終了させ、反応溶液を反応溶媒の6倍量のイオン交換水に投入し、生成した固体を濾別した。得られた固体をイオン交換水中に懸濁させ、マグネチックスターラーで10分間程度撹拌した。撹拌の後、再び濾別し、イオン交換水で洗浄し、真空下50℃で16時間乾燥させた。得られた固体をテトラヒドロフラン溶液としてイオン交換樹脂を充填したカラムに通過させることにより得られた処理済溶液を、ロータリーエバポレーターにより減圧下で濃縮し、濃縮液をヘキサンに投入して固体を得た。固体を濾別し、濾集物を真空下50℃で16時間乾燥させた。得られた乾燥固体は、H−NMRにより、水酸基のプロトンを表す8.5〜9.1ppmのピークの積分比の変化と、対応する1.0〜2.1ppmのアダマンチル基と3.5〜4.0ppmのメチレン基の出現から、それぞれ、フェノール性水酸基に対して部分的に2−アダマンチロキシメチル基が導入された構造の環状化合物(29)であることを確認した。実施例7の酸解離性溶解抑止基を導入した環状化合物の収率と酸解離性溶解抑止基導入率を表2に示す。
【化16】

【0053】
実施例8
環状化合物(23)代わりに、実施例2で製造した環状化合物(24)を使用した他は、実施例7と同様にして、下記式(30)で示される化合物を得た。得られた化合物は、H−NMRにより、水酸基のプロトンを表す7.5〜8.9ppmのピークの積分比の変化と、対応する1.0〜2.1ppmのアダマンチル基と3.5〜4.0ppmのメチレン基の出現から、それぞれ、フェノール性水酸基に対して部分的に2−アダマンチロキシメチル基が導入された構造の環状化合物(30)であることを確認した。実施例7の酸解離性溶解抑止基を導入した環状化合物の収率と酸解離性溶解抑止基導入率を表2に示す。
【化17】

【0054】
実施例9
窒素導入菅、温度計、メカニカルスターラー及びジムロート氏冷却菅を備えた4口フラスコに、実施例1で得た環状化合物(23)25.0gを仕込み、N−ジメチルホルムアミド250ミリリットル、炭酸ナトリウム35.0gを加えて撹拌した。
続いて、ブロモ酢酸t−ブチルエステル(東京化成工業(株)製)26.4g(環状化合物(23)が有する水酸基のモル数に対して1.4当量)を加え、事前に65℃に設定したオイルバスでフラスコを加熱して6時間反応させた。加熱を停止して、反応フラスコ内部を室温程度に冷却した後に、反応溶液を濾過し、得られた濾液にジエチルエーテルを加えて均一溶液とし、分液ロート中にて0.5M酢酸水溶液で洗浄した。さらにエーテル溶液をイオン交換水で5回洗浄し、洗浄されたエーテル溶液を無水硫酸マグネシウムで処理し水分を除去した。水分を除去したエーテル溶液をロータリーエバポレーターにて減圧下で濃縮し、濃縮液をヘキサンに投入して固体を得て、固体を濾別し、真空下50℃で16時間乾燥させた。得られた乾燥固体をテトラヒドロフラン溶液としてイオン交換樹脂を充填したカラムに通過させることにより得られた処理済溶液を、ロータリーエバポレーターにより減圧下で濃縮し、濃縮液をヘキサンに投入して固体を得た。固体を濾別し、濾集物を真空下50℃で16時間乾燥させた。得られた乾燥固体は、H−NMRにより、水酸基のプロトンを表す8.5〜9.1ppmのピークの積分比の変化と、対応する1.4ppmのtert−ブチル基と3.5〜4.0ppmのメチレン基の出現から、それぞれ、フェノール性水酸基に対して部分的に酢酸t−ブチルエステル基が導入された構造の環状化合物(31)であることを確認した。
実施例9〜10の酸解離性溶解抑止基を導入した環状化合物の収率と保護基導入率を表2に示す。
【化18】

【0055】
実施例10
環状化合物(23)代わりに、実施例2で製造した環状化合物(24)を使用した他は、実施例9と同様にして、下記式(32)で示される化合物を得た。得られた化合物は、H−NMRにより、水酸基のプロトンを表す7.5〜8.9ppmのピークの積分比の変化と、対応する1.4ppmのtert−ブチル基と3.5〜4.0ppmのメチレン基の出現から、それぞれ、フェノール性水酸基に対して部分的に酢酸t−ブチルエステル基が導入された構造の環状化合物(32)であることを確認した。実施例7の酸解離性溶解抑止基を導入した環状化合物の収率と酸解離性溶解抑止基導入率を表2に示す。
【化19】

【0056】
【表2】

【0057】
比較例1
(A)アルデヒド化合物としてベンズアルデヒドを使用した以外は、実施例1と同様にし、下記式(33)の環状化合物を合成した。尚、構造はH−NMRにより確認した。
【化20】

【0058】
(B)環状化合物として上記(A)で得た環状化合物(33)を使用した以外は、実施例7と同様にし、下記式(34)の環状化合物を合成した。尚、H−NMRにより酸解離性溶解抑止基の導入率は98%であることを確認した。
【化21】

【0059】
比較例2
環状化合物として比較例1の(A)で得た環状化合物(33)を使用した以外は、実施例9と同様にし、下記式(35)の環状化合物を合成した。H−NMRにより酸解離性溶解抑止基の導入率は85%であることを確認した。
【化22】

【0060】
比較例3
(A)アルデヒド化合物としてベンズアルデヒドを使用した以外は、実施例2と同様にし、下記式(36)の環状化合物を合成した。尚、構造はH−NMRにより確認した。
【化23】

【0061】
(B)環状化合物として上記(A)で得た環状化合物(36)を使用した以外は、実施例8と同様に行った。H−NMRにより酸解離性溶解抑止基の導入率は99%であることを確認した。
【化24】

【0062】
評価例1
実施例7〜10で製造した環状化合物(29)〜(32)、及び比較例1〜3で製造した環状化合物(34)、(35)、(37)について、フォトレジストで一般的に用いられている代表的な塗布溶媒を用いて、溶解性試験を実施した。結果を表3に示す。
【0063】
【表3】

PGMEA:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
◎:室温下で粉体を溶媒に投入した直後に、撹拌操作なくして均一溶液となった。
○:室温下で粉体を溶媒に投入し、1分間激しく撹拌後に均一溶液となった。
△:室温下で粉体を溶媒に投入し、60分間激しく撹拌しても部分的に不溶分が残留した。
×:室温下で粉体を溶媒に投入し、60分間激しく撹拌しても粉体全量が溶解しなかった。
【0064】
評価例2
フォトレジスト基材として、実施例9において合成した環状化合物(31)87重量部、PAG(光酸発生剤)としてトリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォネート10重量部、及びクエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン3重量部からなる固体成分の含有率が、組成物溶液全体の10重量%となるように、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートに溶解してフォトレジスト組成物溶液とした。
このフォトレジスト溶液をシリコンウェハ上にスピンコートし、110℃で90秒加熱することにより薄膜を形成した。ついで、この薄膜を有する基板に電子線描画装置を用いて電子線を照射した。その後、100℃で90秒ベークした。
ベーク後、基板を2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(現像液)に30秒間浸漬し、イオン交換水で30秒間リンスすることにより現像した。得られたパターンを電子走査顕微鏡にて観察したところ、ハーフピッチ75nmのライン&スペースパターン(1/1)が、矩形性良く得られることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のフォトレジスト基材及びその組成物は、半導体装置等の電気・電子分野や光学分野等において好適に用いられる。これにより、ULSI等の半導体装置の性能を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図2】実施例2で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図3】実施例3で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図4】実施例4で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図5】実施例5で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図6】実施例6で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図7】製造例7で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図8】実施例8で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図9】実施例9で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図10】実施例10で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造を有する環状化合物。
【化1】

[(式中、Arはそれぞれ置換又は無置換の炭素数6〜10の芳香族基、下記式(2)で表される基、又は下記式(3)で表される基である。
【化2】

(式中、Rは水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基であり、xは1〜5の整数を表す。
Ar’は炭素数の6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基;炭素数6〜10のアリーレン基と、アルキレン基及びエーテル基の少なくとも一方を1つ以上組み合わせた基であり、Aは単結合、アルキレン基、エーテル基、又はアルキレン基とエーテル基を2つ以上組み合わせた基であり、yは1〜3の整数、zは1〜5の整数を表す。
複数のR、Ar’、A、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていても良い。)
、Rはそれぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、前記式(2)で表される基、前記式(3)で表される基、又はこれら基のうち2種以上を組み合わせて構成される基である。
はそれぞれ水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基である。
nは1〜4の整数を表す。
式(1)内に複数ある、Ar、R、R、R及びnは、それぞれ同じであっても異なっていても良い。)]
【請求項2】
の少なくとも1つ、又はRの少なくとも1つが酸解離性溶解抑止基である請求項1に記載の環状化合物。
【請求項3】
前記酸解離性溶解抑止基が、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシカルボニルメチロキシ基、アルコキシメチル基、アルコキシメチロキシ基、アルコキシアルキルメチル基、アルコキシアルキルメチロキシ基、アルコキシアリールメチル基、アルコキシアリールメチロキシ基、アルコキシカルボニルフェニル基、アルコキシカルボニルフェニロキシ基、ビス(アルコキシカルボニル)フェニル基、ビス(アルコキシカルボニル)フェニロキシ基、トリス(アルコキシカルボニル)フェニル基、トリス(アルコキシカルボニル)フェニロキシ基、シリル基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基から選ばれる基である、請求項2に記載の環状化合物。
【請求項4】
前記酸解離性溶解抑止基が、下記式(4)〜(19)から選択される基である請求項3に記載の環状化合物。
【化3】

(式(18)及び(19)中のrは、前記式(4)〜(17)、及び下記式(20)〜(22)で表される基から選択される一価の基である。)]
【化4】

【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の環状化合物を含有するフォトレジスト基材。
【請求項6】
請求項5に記載のフォトレジスト基材と溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
【請求項7】
さらに、塩基性有機化合物をクエンチャーとして含有する請求項6に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
さらに、光酸発生剤を含有する請求項6又は7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
【請求項10】
請求項9に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−67724(P2009−67724A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237804(P2007−237804)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】