説明

生体信号測定装置

【課題】構成や処理の複雑化を伴うことなく、観血血圧や脳圧などの生体信号に含まれる呼吸性変動を抑制する。
【解決手段】生体内の圧力を測定する圧力センサである圧トランスデューサ11と、呼吸関連情報を測定する呼吸センサであるメインストリームCO2センサ13と、前記メインストリームCO2センサ13により得られた呼吸関連情報に基づいて呼気終末期を認識した際の前記圧トランスデューサ11により得られた圧力値を出力する出力手段を含むCPU30とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、観血血圧や脳圧などの生体信号に含まれる呼吸性変動を抑制して、安定的に正確な生体信号の測定を行うことが可能な生体信号測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者管理を行う上で、血圧は重要な指標とされている。特に重症患者では、観血的に動脈圧や静脈圧をモニタリングするのが一般的である。ここで、観血式血圧測定とは、血管や心臓内にカテーテル等を留置し、連続的に血圧波形や血圧値を測定するものである。
【0003】
ところで、心臓は胸腔内にあるため、患者の呼吸による胸腔内圧の変動の影響を観血血圧波形が受けてしまい、正確な血圧値が得られない問題があった。特に、右心房近傍の中心静脈圧(CVP:Central Venous Pressure)は低圧であり、胸腔内圧変動が顕著に影響するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで従来にあっては、上記のような観血血圧波形の変動を抑えるために、得られる観血血圧値に対して平均化処理を行っていた。
【0005】
しかしながら、上記平均化処理による観血血圧波形の変動抑制手法では、呼吸変動が大きい場合に十分な効果が得られず、特に、胸腔内圧変動による影響が大きい低圧系(中心静脈圧、肺動脈圧など)では、血圧値に対する呼吸変動成分が相対的に大きく、安定した血圧測定が困難であった。このように、低圧系血圧は、臨床上極めて有用な心機能や循環血液量の状態などを反映するにも拘らず、呼吸変動による影響が大きく、これを除去ないしは抑制する好適な手法が確立されていない。
【0006】
例えば、測定した血圧波形からアーチファクトとなる呼吸成分による影響を削除する演算処理を施すことによって、観血血圧波形の変動抑制を行うものも知られている(特許文献1参照)。
【0007】
この従来手法によれば、連続的にデータを測定できるものの、演算処理の仕方によっては、測定データに影響を及ぼし、正確な測定が妨げられる可能性がある。また、演算処理が複雑であるという問題もあった。更に、呼吸信号にのみノイズが重畳した場合に、血圧波形にも影響を及ぼす虞もある。
【0008】
本発明は上記のような従来の生体信号測定装置における問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、構成や処理の複雑化を伴うことなく、観血血圧や脳圧などの生体信号に含まれる呼吸性変動を抑制して、安定的に正確な生体信号の測定を行うことが可能な生体信号測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る生体信号測定装置は、生体内の圧力を測定する圧力センサと、呼吸関連情報を測定する呼吸センサと、前記呼吸センサにより得られた呼吸関連情報に基づいて呼気終末期を認識した際の前記圧力センサにより得られた圧力値を出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記圧力センサは、観血血圧を測定するものであり、前記出力手段は観血血圧値を出力することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記圧力センサは、脳圧を測定するものであり、前記出力手段は脳圧値を出力することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記観血血圧は、中心静脈圧(CVP)、肺動脈圧(PAP)、肺動脈楔入圧(PCWP)、動脈圧(ART)、心内圧(RAP,RVP,LAP,LVP)の少なくとも一つであることを特徴とする。ここで、RAPは右心房圧、RVPは右心室圧、LAPは左心房圧、LVPは左心室圧である。
【0013】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記呼吸センサは、気道内圧センサ、呼吸流量センサ、CO2 濃度センサ、換気量センサ、呼吸温センサ、インピーダンス呼吸センサのいずれか一つであることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記呼吸センサは、メインストリーム方式であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記呼気終末期は、CO2 濃度波形の微分波形の立ち下がりから求めることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記呼気終末期は、気道内圧、呼吸流量、換気量波形の呼気から吸気に切り替わる時点を求めることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る生体信号測定装置では、出力される圧力は、移動平均法による平均圧、又は一心拍周期の平均圧のいずれかであることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記圧力センサで測定されている圧力と前記出力手段から出力される圧力との両方を同時に、若しくはいずれか一方を選択的に、表示できることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る生体信号測定装置では、前記呼吸センサは、気道内圧センサ、呼吸流量センサ、CO2 濃度センサ、換気量センサ、呼吸温センサ、インピーダンス呼吸センサであり、これら複数の前記呼吸センサで測定される呼吸関連情報のうち少なくとも一つを選択する選択手段が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る生体信号測定装置によれば、生体内の圧力を測定する圧力センサと、呼吸関連情報を測定する呼吸センサとを備えており、前記呼吸センサにより得られた呼吸関連情報に基づいて呼気終末期を認識した際の前記圧力センサにより得られた圧力値を出力する。ここにおいて、呼気終末期とは、呼気が終了し、吸気が開始される直前であり、観血血圧や脳圧などの生体信号に含まれる呼吸性変動を抑制して、安定的に正確な生体信号の測定を行うことが可能となる。
【0021】
また、本発明に係る生体信号測定装置によれば、生体内の圧力を測定する圧力センサにより得られる波形に対して加工を行うことはせず、実際に測定した値を出力するため、出力結果の精度を高精度に保つことができる。
【0022】
更に、本発明に係る生体信号測定装置によれば、呼吸センサは、メインストリーム方式であるので、時間遅延なく正確な呼気終末期を認識して適切に生体信号に含まれる呼吸性変動を抑制して、安定的に正確な生体信号の測定を行うことが可能となる。
【0023】
更に、本発明に係る生体信号測定装置によれば、出力手段により出力される圧力と、圧力センサで測定している圧力との両方を同時に、若しくはいずれか一方を選択的に、表示する。これによって、圧力に大きな差があった場合、圧力センサで測定されている圧力が呼吸による影響を受けていることを容易に把握できる。
【0024】
更に、本発明に係る生体信号測定装置によれば、選択手段により複数の呼吸センサで測定される呼吸関連情報のうち少なくとも一つを選択する。よって、いずれか一つの呼吸センサが外れたり、故障したり、大きなノイズを検出したような場合でも、選択手段が最適な呼吸センサを選択することで、良好な圧力測定を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る生体信号測定装置の実施例の構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る生体信号測定装置の実施例の要部構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る生体信号測定装置の実施例による呼吸成分による変動除去処理を示すフローチャート。
【図4】本発明に係る生体信号測定装置の実施例による呼吸成分による変動除去処理の一例を説明するための波形図。
【図5】本発明に係る生体信号測定装置の実施例による呼吸成分による変動除去処理の一例を説明するための波形図。
【図6】本発明に係る生体信号測定装置の実施例による呼吸成分による変動除去処理を行った生体信号の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下添付図面を参照して、本発明に係る生体信号測定装置の実施例を説明する。図1に実施例に係る生体信号測定装置の構成を示す。生体信号測定装置は、圧トランスデューサ11、心電図電極12、メインストリームCO2センサ13、呼吸流量/気道内圧センサ14を備えている。
【0027】
圧トランスデューサ11は、観血血圧を測定する一つ以上の血圧センサ及びまたは脳圧を測定する脳圧センサであり、生体の所定部位に配置されている。圧トランスデューサ11が、観血血圧を測定する血圧センサである場合には、観血血圧は、中心静脈圧(CVP)、肺動脈圧(PAP)、肺動脈楔入圧(PCWP)、動脈圧(ART)、心内圧(RAP,RVP,LAP,LVP)の少なくとも一つを得るセンサが設けられる。
【0028】
圧力を検出するための圧センサである圧トランスデューサ11には、圧処理回路21が接続されており、更に圧処理回路21の出力信号はCPU30へ送られるように構成されている。心拍動の周期を測定するセンサである心電図電極12には、心電図処理回路22及びインピーダンス呼吸処理回路23が接続されており、心電図処理回路22及びインピーダンス呼吸処理回路23の出力信号はCPU30へ送られるように構成されている。心拍動の周期を測定するセンサとしては、上記心電図のセンサ以外に、光電容積脈波のセンサ、動脈圧のセンサなどを用いることができる。なお、心電図処理回路22の出力は、一心拍周期の平均圧を求める場合に用いることができ、移動平均法による平均圧を求める場合には、平均圧を求めるために必須な構成とはならない。本実施例の生体信号測定装置にあっては、これ以外に例えば血中酸素飽和度(SpO2)などの所望のセンサを設けて、得られた信号を処理し、CPU30へ送るように構成する。
【0029】
呼吸関連情報を測定するセンサであるメインストリームCO2 センサ13には、CO2 濃度処理回路24が接続されており、CO2 濃度処理回路24の出力信号はCPU30へ送られるように構成されている。ここに、呼吸関連情報とは、呼気と吸気の切り替わり時点(呼気終末期)を特定できる情報が含まれている情報である。具体例として、気道内圧や呼吸流量やCO2 濃度や換気量や呼吸温やインピーダンス呼吸などがあげられる。呼吸関連情報を測定するセンサである呼吸流量/気道内圧センサ14には、呼吸流量/気道内圧処理回路25が接続されており、呼吸流量/気道内圧処理回路25の出力信号はCPU30へ送られるように構成されている。呼吸関連情報を測定するセンサとしては、呼吸温センサや換気量センサを採用することができる。
【0030】
CPU30には、解析部31が備えられており、上記の圧処理回路21により作成される圧波形信号、心電図処理回路22により作成される心電図波形信号、インピーダンス呼吸処理回路23により作成されるインピーダンス呼吸波形信号、CO2 濃度処理回路24により作成されるCO2 濃度波形信号及び呼吸流量/気道内圧処理回路25により作成される呼吸流量信号(図2でのフロー)と気道内圧Paw信号はいずれも解析部31に取り込まれる。
【0031】
解析部31は、上記の各信号を用いて生体情報を求め、生体情報波形と生体情報数値として、LCDなどのディスプレイと表示コントローラにより構成される波形/数値表示部40へ送り生体情報に係る波形と数値を表示させる。
【0032】
解析部31は図2に示されるように、信号分岐部35、呼吸波形信号選択部36及び呼気終末圧値検出部37を備えている。呼吸波形信号選択部36には、インピーダンス呼吸処理回路23により作成されるインピーダンス呼吸波形信号、CO2 濃度処理回路24により作成されるCO2 濃度波形信号及び呼吸流量/気道内圧処理回路25により作成される呼吸流量信号と気道内圧Paw信号が与えられている。呼吸波形信号選択部36は、上記各信号を信号分岐部35に与え、さらに上記各信号から所要の信号を選択して呼気終末圧値検出部37に与える。信号選択については、例えば、CPU30に対する外部入力を行う入力装置を設け、必要に応じて一つ或いは所望の複数を選択して、設定する。
【0033】
また、呼吸波形信号選択部36は、使用者の操作により呼吸波形信号を選択してもよい。更に、各呼吸波形信号に予め優先順位を付け、優先順位の高い呼吸波形信号に問題が発生した場合(例えばセンサが外れた場合)に次に優先順位の高い呼吸波形信号を選択するようにしてもよい。
【0034】
信号分岐部35には、圧処理回路21により作成される圧波形信号と心電図処理回路22により作成される心電図波形信号が与えられ、更には、呼吸波形信号選択部36に入力した各呼吸波形信号が与えられる。信号分岐部35は、圧処理回路21により作成される圧波形信号を呼気終末圧値検出部37と波形/数値表示部40へ出力する。
【0035】
呼気終末圧値検出部37は、上記呼吸波形信号選択部36により選択された信号と、信号分岐部35から出力される呼吸機能波形情報を得ている。呼気終末圧値検出部37は、呼吸センサである心電図電極12、メインストリームCO2センサ13、呼吸流量/気道内圧センサ14により得られた呼吸関連情報に基づいて呼気終末期を認識した際の、圧力センサである圧トランスデューサ11により得られた圧力値を出力する出力手段として機能する。ここにおいて、呼気終末期とは、呼気が終了し、吸気が開始される直前である。呼気終末圧値検出部37による出力値は、波形/数値表示部40において表示される。
【0036】
上記のように構成された生体機能測定装置は、例えば、中心静脈圧(CVP)を用いて呼吸機能信号の測定を行う。この場合には、被検者の中心静脈圧が取り出せるように圧トランスデューサ11をセットし、心電図電極12、メインストリームCO2 センサ13及び呼吸流量/気道内圧センサ14をそれぞれ被検者の所要部位に装着して測定を開始する。
【0037】
圧処理回路21には、圧トランスデューサ11により検出された血圧信号が到来し、圧処理回路21は、この血圧信号に基づき血圧値(中心静脈圧)を算出してディジタル化した血圧波形信号として出力する。
【0038】
CPU30の解析部31は、上記血圧波形信号を取り込み、信号分岐部35において呼気終末圧値検出部37へ分岐する。ここで、血圧波形信号は一例としてCVPとする。呼気終末圧値検出部37は、上記呼吸波形信号選択部36により選択された信号と、信号分岐部35から出力される圧波形信号としてのCVPを得ている。呼気終末圧値検出部37は、呼吸関連情報に基づいて呼気終末期を認識した際の、圧トランスデューサ11により得られた圧力値を出力する。呼気終末圧値検出部37は、図3に示されるフローチャートによる以下の如き動作を行うことにより、呼気終末期を認識した際の上記圧力センサにより得られた圧力値を出力する。
【0039】
電源投入及び開始ボタンの操作によってスタートとなり、血圧波形信号であるCVP波形を取り込み(S11)、移動平均を求める処理を行う(S12)。例えば、血圧波形信号であるCVP波形をpWave(i)として、T秒間の移動平均Mean(n)を次の式1により算出する。
【0040】
【数1】

【0041】
上記においてk=T/sであり、sは観血血圧波形に対するサンプリング周期(例えば、8ms)を表している。なお、Tについては、予め設定された所定時間(例えば、1秒間)を用いることができるが、心電図処理回路22から得られる心電図信号により一心拍周期を得て、この一心拍周期をTとすることもできる。このように一心拍周期をTとする場合には、更に、Tの値を一または二以上の所定心拍周期毎に更新するようにしても良い。また、一心拍周期は、心電図信号により得るのではなく、動脈の観血血圧波形やその他のセンサによる生体信号(脈波など)から得るようにしても良い。
【0042】
ステップS12に次いで、CPU30は呼吸波形信号選択部36により選択された所定サンプリング周期(例えば、8ms)の信号呼吸関連情報を得て(S13)、呼気終末期の検出を行う(S14)。ここで、呼気終末期は、呼気が吸気に切り替わる時点である。呼気は体内からのCO2を含んでいるため、CO2濃度が高く、吸気では大気中のCO2濃度と同じになるため、殆どゼロに近い値を示す。このため、呼気終末期の検出として、具体的には、メインストリームCO2センサ13により得られ、CO2濃度処理回路24から送られる図3に示すようなCO2濃度波形について、微分を行って微分波形を求め、この微分波形が正(ゼロ以上)から負に変位する(立ち下がり)時点を呼気終末期とする。
【0043】
ここでは、メインストリームCO2センサ13により得られ、CO2濃度処理回路24から送られるCO2濃度波形を用いているが、インピーダンス呼吸処理回路23により作成されるインピーダンス呼吸波形信号、呼吸流量/気道内圧処理回路25により作成される呼吸流量信号や気道内圧Paw信号により呼気が吸気に切り替わる時点を捕らえて呼気終末期の検出を行うことができる。
【0044】
具体的には、インピーダンス呼吸波形信号は、吸気の場合に肺胞内に空気が入り込みインピーダンスが高く、呼気の場合に肺胞内から排出されインピーダンスが低いので、インピーダンスの変化点を求めて呼気終末期とすることができる。また、呼吸流量信号を用いる場合には、呼吸流の方向が呼気の場合と吸気の場合において逆転するので、その時点を捕らえて呼気終末期とすることができる。更に、気道内圧信号の場合には、気道内圧信号波形(気道内圧曲線)のピークを検出することにより呼気終末期とすることができる。
【0045】
ステップS14における呼気終末期の検出処理に続いて、当該時点が呼気終末期であるかを検出し(S15)、当該時点が呼気終末期でなければ、CPU30において保持してある呼気終末期血圧値を出力する(S17)。また、ステップS15において、当該時点が呼気終末期であると検出がなされた場合には、当該時点のCVPを呼気終末期血圧値に置き換える更新を行い(S16)、更に、この呼気終末期血圧値を出力する(S17)。このようにして、生体信号に含まれる呼吸性変動を抑制して、安定的に正確な生体信号の出力がなされる。
【0046】
上記の処理によって図5のようなCO2濃度波形について、時系列的に並ぶ矢印により示されている呼気終末期Et1、Et2、Et3、・・・が得られると、これに対応する時刻におけるCVPの値が呼気終末期血圧値EtCVPとされて出力される。ステップS18に示すように、本実施例に係る生体情報測定装置では、電源のオフ或いは停止ボタン操作があると処理を終了し、これ以外はステップS11に戻って処理を継続する。
【0047】
上記出力により波形/数値表示部40へ表示された生体情報に関する波形/数値の表示例を図6に示す。ここでは、R1により示す行において、最も左枠にステップS12において求めたCVPの移動平均値が表示されており、このCVPの移動平均値が表示されている枠の右隣の枠に呼気終末期血圧値(EtCVP)が図示したようにCVPとは個別に同時に表示されても良いし、選択された一方のみが表示されても良い。その他の数値や波形としては、心電図処理回路22により作成される心電図波形信号に基づく心拍数(HR)と心電図があり、また、対応のセンサによって、非観血血圧(NIBP)、動脈圧(ART)、肺動脈圧(PAP)、血中酸素飽和度(SpO2)などが得られ、CPU30により波形/数値表示部40に表示されている。
【0048】
呼気終末期血圧値(EtCVP)の表示に関しては、CPU30に対する外部入力を行う入力装置を設け、これにより上記表示をするか否かの設定を行うようにしても良い。圧トランスデューサ11として、観血血圧を測定する血圧センサである中心静脈圧(CVP)に代えて或いは中心静脈圧(CVP)と共に、肺動脈圧(PAP)、肺動脈楔入圧(PCWP)、動脈圧(ART)、心内圧(RAP,RVP,LAP,LVP)の少なくとも一つを得るようにして、この圧に関し、呼気終末圧値検出部37による図3のフローチャートに示した如くの処理を行って、それぞれの生体信号に含まれる呼吸性変動を抑制して、安定的に正確な生体信号の測定を行うことができる。
【0049】
本実施例では、圧力センサである圧トランスデューサ11を、脳圧を測定するものとし、出力手段であるは脳圧値を出力する呼気終末圧値検出部37により、図3のフローチャートに示した如くの処理を行って、この生体信号としての脳圧に含まれる呼吸性変動を抑制して、安定的に正確な生体信号としての脳圧測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
11 圧トランスデューサ
12 心電図電極
13 センサ
14 気道内圧センサ
21 圧処理回路
22 心電図処理回路
23 インピーダンス呼吸処理回路
24 濃度処理回路
25 呼吸流量/気道内圧処理回路
31 解析部
35 信号分岐部
36 呼吸波形信号選択部
37 呼気終末圧値検出部
40 数値表示部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1769767号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の圧力を測定する圧力センサと、
呼吸関連情報を測定する呼吸センサと、
前記呼吸センサにより得られた呼吸関連情報に基づいて呼気終末期を認識した際の前記圧力センサにより得られた圧力値を出力する出力手段と
を具備することを特徴とする生体信号測定装置。
【請求項2】
前記圧力センサは、観血血圧を測定するものであり、
前記出力手段は観血血圧値を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項3】
前記圧力センサは、脳圧を測定するものであり、
前記出力手段は脳圧値を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項4】
前記観血血圧は、中心静脈圧(CVP)、肺動脈圧(PAP)、肺動脈楔入圧(PCWP)、動脈圧(ART)、心内圧(RAP,RVP,LAP,LVP)の少なくとも一つであること
を特徴とする請求項2に記載の生体信号測定装置。
【請求項5】
前記呼吸センサは、気道内圧センサ、呼吸流量センサ、CO2 濃度センサ、換気量センサ、呼吸温センサ、インピーダンス呼吸センサのいずれか一つであること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体信号測定装置。
【請求項6】
前記呼吸センサは、メインストリーム方式であること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生体信号測定装置。
【請求項7】
前記呼気終末期は、CO2 濃度波形の微分波形の立ち下がりから求めること
を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の生体信号測定装置。
【請求項8】
前記呼気終末期は、気道内圧、呼吸流量、換気量波形の呼気から吸気に切り替わる時点を求めること
を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の生体信号測定装置。
【請求項9】
出力される圧力は、移動平均法による平均圧、又は一心拍周期の平均圧のいずれかであること
を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の生体信号測定装置。
【請求項10】
前記圧力センサで測定されている圧力と前記出力手段から出力される圧力との両方を同時に、若しくはいずれか一方を選択的に、表示できること
を特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の生体信号測定装置。
【請求項11】
前記呼吸センサは、気道内圧センサ、呼吸流量センサ、CO2 濃度センサ、換気量センサ、呼吸温センサ、インピーダンス呼吸センサであり、これら複数の前記呼吸センサで測定される呼吸関連情報のうち少なくとも一つを選択する選択手段が備えられていること
を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の生体信号測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−200901(P2010−200901A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48321(P2009−48321)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】