生体活動監視方法と、これに用いる光ファイバ式平板状体センサ及び衣服型の光ファイバ式平板状体センサ並びに人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサ。
【課題】 人間の寝起き等の大きな活動や呼吸、拍動等の微弱な生体活動を一つの装置でもって高精度で検出できるようにすることにより、生体活動監視システムの低コスト化と検出の高精度化を可能にする。
【解決手段】 ベッドや布団、パッド、畳などを用いた就寝を伴う居住環境における人間の動作の有無や生体活動を監視する方法において、布から成るシーツ等の平板状体に光ファイバを固定若しくは混入して成る光ファイバ式平板状体センサを敷設するか又は被せると共に、光源から前記光ファイバ内へ光を入射し、人間の動作や生体活動に伴って前記光ファイバ式平板状体センサの形状の変化により生じた光ファイバ内を伝搬する光の偏波状態の変化を偏波変動測定装置により検出し、当該偏波変動の検出値から人間の活動や動静を判別する。
【解決手段】 ベッドや布団、パッド、畳などを用いた就寝を伴う居住環境における人間の動作の有無や生体活動を監視する方法において、布から成るシーツ等の平板状体に光ファイバを固定若しくは混入して成る光ファイバ式平板状体センサを敷設するか又は被せると共に、光源から前記光ファイバ内へ光を入射し、人間の動作や生体活動に伴って前記光ファイバ式平板状体センサの形状の変化により生じた光ファイバ内を伝搬する光の偏波状態の変化を偏波変動測定装置により検出し、当該偏波変動の検出値から人間の活動や動静を判別する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として医療や介護の分野に於いて利用されるものであり、床上やベッド上、畳上等での人間の活動や動静を遠隔から自動的に高精度で検知若しくは監視できるようにした生体活動監視方法と、これに用いる光ファイバ式平板状体センサに関するものである。より具体的には、光ファイバを組み込みした敷布や掛布、毛布、マット、パッド、畳、上敷カーペット等(以下光ファイバ式平板状体センサと呼ぶ)を用い、敷布やマット、パッド、畳、上敷、カーペット等の上部及び掛布や毛布の下方での人間の活動により生じる光ファイバ内の光の偏波変動を、より高感度な偏波変動測定装置を用いて検出することにより、特別な構造のベッドや特別な構造の布団等を必要とすることなしに、日常の生活環境と全く変らない状態の下で、呼吸や拍動等を含めた人間のあらゆる生体活動を高精度で検出できるようにした生体活動監視方法と、これに用いる光ファイバ式平板状体センサ及び衣服型の光ファイバ式平板状体センサ並びに人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従前から医療や介護等の分野に於いては、病室等における患者や被介護者の動静を無線或いは有線方式により看護師室や看護人室へ伝達し、少ない人員でもってより効率的な看護や介護を行えるようにした所謂看護等の遠隔監視用設備が設けられており、また、この種の監視用機器設備の開発が多方面で進められている。
【0003】
中でも、光ファイバを生体活動の監視用センサとして利用した監視システムは、検出感度や安定性の点で優れた特徴を備えており、近年特に注目されている。何故なら、従前のこの種生体活動の監視に用いられている圧電式センサや振動式センサでは、人の就寝や起床、寝返り等の動静はある程度正確に検知することができるが、呼吸や拍動までをも同時に高精度で検出することが困難だからである。
【0004】
而して、光ファイバを用いた生体活動監視用システムとしては、例えば、特開平5−312966号や特開平8−584号等が先に開示されている。
上記各技術は、何れも「光ファイバを急激に曲げると、光ファイバコアの光の閉じ込め効果よりも光の直進性の方が勝ることにより、光が漏洩して光量の損失が発生する。」と云う事象を利用してセンサを構成するものであるが、以下のイ、ロ及びハの如き多くの問題が残されている。
イ 損失を発生させるには、光ファイバを急峻に曲げなければならないこと。
ロ 曲げ半径に対して損失が指数関数的に増加するため、曲げ量の調整が難しい。そのため、適切な曲げ量を得るための専用の治具が必要であること。
ハ 急峻に曲げるため、断線の恐れや疲労による劣化が懸念されること。
【0005】
一方、光ファイバに於いては、その曲がり形状が変化すると、伝搬光の偏波状態が変化することが古くから知られており、これ等の事象を用いた防犯用の検知システムが既に開発されている。例えば、特開2000−40187号や特開2001−6055号等では、侵入者検知のためにフェンスなどに光ファイバを敷設し、光ファイバへ加わる外力により発生する偏波変動を検出することにより警報を発するようにしている。
しかし、特開2000−40187号等は、外部からの侵入検知を目的とするものであるため、単にフェンスに光ファイバを取り付けしただけの構成としており、これを人間の生体活動の監視に直接活用することは困難である。また、侵入者の外力を直接に光ファイバへ加える構成としているため、微弱な加圧力の変化による偏波状態の変動の検出感度の向上については一切考慮が払われておらず、前記と同様にこれを人間の活動の監視システムに直接適用することは困難である。
【0006】
加えて、一般に光ファイバ中の光の偏波状態はランダムなものであり、偏波をセンサとして利用するためには所謂偏波調整を必要とする。しかし、偏波調整には時間がかかるうえ、偏波変動の測定装置が複雑となって製造コストが上昇するという問題がある。
【0007】
ところで本願発明の出願人は、先にこの偏波調整に係る問題を解決するものとして、偏波調整を行うことなしに偏波変動量を簡単に、しかも高感度で検出できるシステムを開発し、これを公開している(特開2004−108918、特開2004−184223号)。本願発明は、当該偏波変動量の検出システムを生体活動の監視システムへ適用することにより、呼吸や拍動を含めて人間のあらゆる活動や動静を高精度で検出(検知)できるようにしたものである。
【0008】
【特許文献1】特開平5−312966
【特許文献2】特開平8−584
【特許文献3】特開2000−40187
【特許文献4】特開2001−6055
【特許文献5】特開2004−108918
【特許文献6】特開2004−184223
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、従前のこの種生体活動の監視システムにおける上述の如き問題、即ちイ.圧電式センサや振動式センサを用いるシステムでは、呼吸や拍動等を安価に且つ正確に監視することができないこと、ロ.光ファイバをセンサとするシステムにあっては、光ファイバの急峻な曲がりによる光量の損失を検出要素とするものであるため、微弱な生体活動の変化(例えば、呼吸や拍動)を検出することが困難なうえ、断線や劣化の危険があること、ハ.光ファイバ中の偏波変動を検出要素とするものにあっては、外部からの侵入防止用のものであるため検出感度の点に問題があり、生体活動の監視用システムには適用できないこと等の問題を解決し、従前の布製シーツと同じ感覚で使用できると共に、人間の活動や呼吸、拍動等による光ファイバ中の伝搬光の偏波変動量を高感度で検出することにより、人の生態活動を高精度で監視することができ、しかも安価に製造できるようにした生体活動監視方法と、これに用いる光ファイバ式平板状体センサ及び衣服型の平板状体センサ並びに人体取付け型の平板状体センサを提供することを発明の主目的とするものである。
【0010】
より具体的には、a.糸のように軽量、細径である光ファイバの特徴を活用して布製シーツ等の平板状体と前記光ファイバとを一体化し、これにより従来の布製シーツと同様の使用感が得られ、就寝に悪影響を与えることなしに患者等の監視が出来る光ファイバ式平板状体センサを提供すること、b.人間の活動に伴ってシーツ等の平板状体が利用される可能性のあるあらゆる環境または形態(例えば、ベッド、畳、布団の敷布、掛布、座席のカバー、担架、吊床、絨毯、マット、衣服など)に汎用的に使用できる光ファイバ式平板状体センサを提供すること、c.人間の活動では、動作によりシーツ等の平板状体が大きく変化する場合もあれば、逆に呼吸や心拍のように平板状体の形状が僅かしか変化しない場合もある。また、振動がファイバに直接当たる場合や平板状体の変化からファイバの変化へつながる場合、或いは、パッドなどを挟んで平板状体やファイバの変化につながる場合のように振動が微弱になる場合がある。これらの幅広い異なった振動特性を持つ各種の振動を、偏波変動測定装置とその信号の特別な処理方法により高精度で検出することを可能とした生体活動監視方法を提供すること、等を発明の主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、ベッドや布団、パッド、畳などを用いた就寝を伴う居住環境における人間の動作の有無や生体活動を監視する方法において、平板状体に光ファイバを固定若しくは混入して成る光ファイバ式平板状体センサを敷設するか又は被せると共に、光源から前記光ファイバ内へ光を入射し、人間の動作や生体活動に伴って前記光ファイバ式平板状体センサの形状の変化により生じた光ファイバ内を伝搬する光の偏波状態の変化を偏波変動測定装置により検出し、当該偏波変動の検出値から人間の活動や動静を判別することを発明の基本構成とするものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、平板状体をシーツ、敷布、毛布、マット、パッド、畳、上敷、じゅうたん又はカーペットの何れかとするようにしたものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、光ファイバ内を伝搬するの光の偏波変動測定装置を用いて、光の偏波状態を表す3つのストークスパラメータの時間波形をそれぞれフーリエ変換し、そのパワースペクトルの合計から呼吸や心拍などの固有の周期振動を検出するようにしたものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項3の発明において、光ファイバ内を伝搬する光の偏波変動測定装置を用いて、3つのストークスパラメータ、偏波楕円あるいは直交偏波間位相差などで表される偏波状態パラメータの現在値に対し、前記請求項3などで得られた固有の振動周期の1/4〜1/2の時間前の偏波状態パラメータとの差を偏波変動量として算出することにより、高速かつ高感度な人間の生体活動や動静の検出を可能とするようにしたものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4の発明において、偏波変動量の算出にあたり、サンプリングされた偏波状態パラメータを移動平均し、その移動平均の幅を、前記請求項3などで得られた振動周期の1/4〜1/2にすることで信号中のランダム雑音を効果的に除去することにより、高感度な人間の生体活動や動静の検出を可能にするようにしたものである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1又は請求項3乃至請求項5の発明において、寝返りなどの動作に対しては偏波変動信号が非周期性であるが変動幅が大きいこと、及び静止時の呼吸や無呼吸時の心拍に対しては偏波変動幅は微弱であるが周期性があることなどを利用して、人間の活動の有無だけでなく活動の種類を判別するようにしたものである。
【0017】
請求項7の発明は、請求項3の発明において、人間がシーツの任意の面を意図的に叩いたり、あるいは蹴ったりしたときのパターンによって、人間から偏波変動測定装置へ信号を伝えることを可能にするようにしたものである。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1の発明において、光源装置及び偏波変動測定装置を、複数の光ファイバ式平板状体センサの光ファイバ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画の光ファイバへ光ファイバ切替えスイッチにより切り替え接続することにより、1つの偏波変動測定装置で前記複数の光ファイバ式平板状体センサ又は複数の区画の光ファイバを順次監視するようにしたものである。
【0019】
請求項9の発明は、請求項1の発明において、複数の光ファイバ式平板状体センサの光ファイバ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画の光ファイバへ、波長分離フィルタを用いて波長可変光源から順次光ファイバを切り替えて光を入射することにより、1つの偏波変動測定装置で複数の光ファイバ式平板状体センサ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画を順次監視するようにしたものである。
【0020】
請求項10の発明は、請求項1の発明において、光ファイバ式平板状体センサの光ファイバの途中に、光ファイバ回折格子などの特定の波長を反射するフィルタを複数組み込み、光源装置の波長を変えることによって、1本の光ファイバの特定の区画を区別して監視するようにしたものである。
【0021】
請求項11の発明は、請求項1の発明において、光ファイバ式平板状体センサの光ファイバの片端から光パルスを送り、その光ファイバ中の散乱光の遅延時間から1本の光ファイバの特定の区画を区別して監視するようにしたものである。
【0022】
請求項12の発明は、請求項1の発明において、光ファイバ式平板状体センサの光ファイバを通信用光ファイバとして、当該光ファイバを通信用光ファイバに接続することにより、遠方から人間の動静を監視するようにしたものである。
【0023】
請求項13の発明は、平板状体の全体に光ファイバを固定して張り巡らすことにより、平板状体外表面のいかなる部分の形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0024】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、平板状体の全体に極く細い被覆を施した光ファイバを縫い込むことにより、光ファイバを組み込んだ平板状体の重さ、厚さ、柔軟性を通常の布製シーツと殆ど変らないようにし、就寝活動などにおける布製シーツの使用と同様の使用感を与えるようにしたものである。
【0025】
請求項15の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、平板状体をシーツ、敷布、掛布、毛布、マット、パッド、畳、上敷、じゅうたん又はカーペットの何れかとしたものである。
【0026】
請求項16の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、光ファイバの貼付け又は縫込み形態を直線状、波状、ループ状などの複雑な形態とすることにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。
【0027】
請求項17の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、光ファイバの心線数を多心化することにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。
【0028】
請求項18の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、光ファイバの一方に反射ミラーを設け、光信号が光ファイバ中を往復して伝送することにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。
【0029】
請求項19の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、光ファイバ式平板状体センサを敷き布団・掛け布団・マット・ソファなどのカバーに加工するようにしたものである。
【0030】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、ビニルカバーなどにより防水加工を施すようにしたものである。
【0031】
請求項21の発明は、就寝時や検査時、活動状態の被監視時等に人体に纏うパジャマや寝間着、患者衣、看護服等の衣服に光ファイバを縫い込みまたは接着することにより、人体のいかなる部分の形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした衣服型の光ファイバ式平板状体センサである。
【0032】
請求項22の発明は、腹巻き状、包帯状又は貼り付けシート状の人体取付けパッドに光ファイバを縫い込みまたは接着させることにより、取付け部分のいかなる形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサである。
【発明の効果】
【0033】
本願発明では、軽量、細径の光ファイバを布製シーツ等の平板状体へ固定して一体化することにより光ファイバ式平板状体センサを形成しているため、当該光ファイバ式平板状体センサの使用者に異常感や違和感を与える虞れが全く無く、日常の定常状態の下で患者等の動静を監視することができる。
また、本願発明では、人体の生体活動や呼吸、拍動等によって生ずる光ファイバ内の伝搬光の偏波状態の変動量をリアルタイムで検出すると共に、検出値と雑音の比を高めて感度向上を図るようにしているため、人間の寝起きから呼吸や心拍までの広範囲の強弱振動を一つの偏波変動測定装置でもって高精度で検出することができるうえ、ベッドやマット、毛布、敷布、掛布等のあらゆる平板状体に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る生体活動監視方法の実施の一例を示す説明図であり、図2は光ファイバ式平板状体センサの使用の一例を示す説明図である。
図1に於いて、1は光ファイバ式平板状体センサ、2は光ファイバ、3は平板状体である布製シーツ、4は光源装置、5は偏波変動測定装置である。
また、図2に於いて6は床、7はベッド、8はマット、9はパッド、10は布製シーツ、11は掛け毛布、Hは人間である。
【0035】
前記光ファイバ式平板状体センサ1は、平板状体である布製シーツ3の全体(全面)に光ファイバ2を固定したものであり、後述するように、使用する光ファイバ2の構造、形態及び固着方法には各種のものが存在する。
また、当該光ファイバ式平板状体センサ1は、図2に示すようにベッド7や床面6に敷設したり、或いは人間Hに被せる形態で使用される。また、後述するように、当該光ファイバ式平板状体センサ1は単にシーツや掛け布の態様で使用されるだけでなく、枕カバーや布団カバー等の形態、パジャマや寝間着、下着のような形態等に加工して使用することも可能である。
【0036】
本発明の生体活動監視方法は、図1に示すように、人間Hの生体活動(寝起き、呼吸、心拍等)により生じた振動や圧力等の応力が、光ファイバ式平板状体センサ1の光ファイバ2へ加わることにより、光ファイバ2内を伝搬する光に生じた偏波変動を偏波変動測定装置5により検出することを基本とするものであり、図3は前記偏波変動の概要を、また、図4は前記偏波変動装置5の主要構成を夫々示す説明図である。
【0037】
即ち、光ファイバ2内を伝搬する光に磁界、圧力、振動、温度変化等が加わった場合、例えば図3(a)に示すように応力Fが光ファイバ2に加わると、入射偏波面Aが出射偏波面A′のように楕円化する。尚、ここで云う偏波面とは、光を電磁波として見たときの電界の振動面のことである。
一般に、偏波変動の検出は、通常偏光子を用いて出射偏波面A′に対して水平な方向の成分だけを取り出すと共に、偏波の変化を光強度の変化として検出する。しかし、通常光ファイバ2内では、伝搬途中で偏波状態がランダムに変化するため、出射端で最大の変調(強度変化)が得られるように、偏光子や偏波調整器を回転・調整して検出する必要がある。ここでは、そのような調整を不要とするため、後述するようなストークスパラメータを測定するようにしている。
【0038】
光信号の偏波状態の表示は、通常ストークスパラメータS1、S2、S3を用いて行われ、後述するようにポアンカレ球面に三種類の偏光フィルタで直接測定した各光強度成分に対応する値S1、S2、S3(ストークスパラメータS1は水平⇔垂直方向の直線偏波、S2は+45°⇔−45°方向の直線偏波、S3は右回り⇔左回りの円偏波)でもって表示される。
【0039】
尚、図3(b)及び(c)は、光ファイバ2に加わる応力Fの方向と、偏波変動の大きさの関係を示すものであり、光ファイバ2に加わる振動や曲げ力Fによる偏波変動は、経験上、光ファイバ2の元の曲がり面に対して垂直方向に振動が加わった時に比較的大きいなど、光ファイバの形状に大きく依存することが判っている。
【0040】
図4は本発明で使用する偏波変動測定装置5の基本構成を示す説明図である。図4(a)において、12は偏波状態検出部、13は偏波変動量検出部、βは検出した偏波変動量である。
また、図4(b)は偏波状態検出部12内に組み込まれる素子の基本構成例であり、14は偏光分岐素子、15は旋光子、16はλ/4板、17は受光器である。前記偏光分岐素子14は分岐比1〜5%程度で水平偏光成分を取り出す素子である。また、旋光子15は偏光面を45度回転させるようにしている。更に、λ/4板16はその複屈折主軸を水平面から45度に設定している。
【0041】
一般に、偏波変動を高感度で検出するには、前述の如く振動中心の球面上の位置と振動の向きの二つを調整する必要があるが、このような調整を短時間内で行うことは困難である。
そのため、本願発明においては偏波の3成分S1,S2,S3から偏波変動量βを演算するようにしている。
即ち、各受光器17の出力信号V1、V2、V3、V0を、光分岐素子などによる感度差をそれぞれ補正(偏波状態によりV1、V2、V3が0〜V0の値になるように補正)して、Sj=2Vj/V0-1(但しj=1,2,3)として得られたストークスパラメータS1,S2,S3を用いて、偏波変動量βを演算する。
【0042】
具体的には、図5に示すように偏波変動の基準状態をS10,S20,S30として設定し、測定された偏波状態を示すストークスパラメータをS1,S2,S3とすると、図5上の[S1,S2,S3],[S10,S20,S30]の2点と原点[0,0,0]からなる三角形は二等辺三角形となり、その頂角βは次式で表される。
β=2sin-1(dL/2) (1)
dL=√(dS12+dS22+dS32) (2)
dSj=Sj-Sj0 (3)
ここで、j=1,2,3である。
本発明では、この角度βを偏波変動量と定義している。なお、dSjは各座標の変化量であり、dLは座標点の移動距離に相当する。また、座標原点から座標点までの距離は偏光度(DOP=S12+S22+S32)を表すが、レーザー光のような単色光を用いる場合には、DOP=1である。
尚、図5において、θは所謂偏波主軸方位であり、εは楕円率角である。
【0043】
前記(1)式で示した偏波変動量βは、図4(a)の偏波変動量検出部13において、所謂偏波調整なしにリアルタイムで算出される。また当該偏波変動量検出部13はデジタル型(またはアナログ型)演算装置として構成されている。
具体的には、図4(c)に示す如く、各受光器17において、光を電気信号に変換し、ログアンプで増幅したあと、AD変換し、USBインターフェースを介してPCに伝送する。PC側では、ストークスパラメータS1,S2,S3、偏光度DOPおよび偏波変動量βを計算し、光強度、時間データ、キーイベント(状態変化などメモ用のキー入力)と共にハードディスクに記録する。
ログアンプのレンジは30dB、AD変換器の分解能は12bit(1桁当たり1500値)、速度は10kHzである。USBの転送周期は0.01秒であり、10データ毎に平均化して、0.1秒周期で計算、記録するよう構成されている。
【0044】
前記図4の偏波変動量検出部13では偏波変動量βをストークスパラメータS1,S2,S3を用いて(1)、(2)、(3)式により演算する構成としているが、後述するように微弱振動の有意性を調査する場合(例えば人間の呼吸や拍動のように微弱で周期的な振動波形の場合)には、偏波変動量βよりもストークスパラメータS1,S2,S3の波形の方が見分け易いと考えられる。このため、まずストークスパラメータのFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)解析を行い、振動検出限界を求めると共に、これ等を元にして偏波変動量βの基準や移動平均処理による検出感度の向上を図った。
【0045】
前記偏波変動は、図5等で示したようにストークスパラメータS1,S2,S3をx,y,zの3次元直交座標で表した時に、半径1の球面上での振動で表され、また偏波変動量βは前記式(1)〜(3)で表される。
周期振動の変動幅(peak to peak)を求める場合には、振動の両端を図5に示すS1,S2,S3とS10,S20,S30に置き換えればよい。即ち、微弱振動の場合には、前記式(1)は、
βp・p=dL [rad] (4)
となる([degree]単位の場合はdL*180/π)。
今、単一周波数fの振動で、各ストークスパラメータの振動に位相差がない場合の各ストークスパラメータの振動幅をdS1f, dS2f, dS3fとすると、式(2)は
dLf2=dS1f2+dS2f2+dS3f2 (5)
のように書ける。ここで、dSjf2(j=1,2,3)の1/2はSjの周波数fでの振動パワーに相当する。
このため、測定された各ストークスパラメータS1,S2,S3の3つの波形それぞれについて前記FFTによりパワースペクトルを求め、その合計値で評価することができる。
【0046】
即ち、3つのストークスパラメータS1,S2,S3をFFTすることにより、パワースペクトルを求め、その合計QをQ=δS12+δS22+δS32として求め、ここから振動ピークの周波数成分の振幅Lppを、Lpp=√(2Q)として求める。尚、当該FFTによる解析は、実質的に前記(1)〜(3)式で示した偏波変動量βの解析の場合と同じ思考に基づくものである。
【0047】
また、偏波変動量βは、現在のストークスパラメータと一定時間前のストークスパラメータ(基準値)との差から算出するため、変動の検出が簡単で瞬時応答性(リアルタイム性)が高い。しかし、比較的ゆっくりとした振動に対して、算出の時間幅をあまり小さくすると、ストークスパラメータの振動による変化幅が雑音による変化幅より小さくなり、偏波変動量βが雑音に隠れて見えなくなる。
例えば、後述する拍動の振動波形のような場合には、波形全体を見れば振動の存在がわかるが、前後のサンプリングの差からは、瞬間の変化が見づらいことになる。
【0048】
更に、偏波変動量βの信号と雑音の比SNRを高めるために、イ.ストークスパラメータの移動平均処理の最適化(n)及びロ.βを算出する時間幅の最適化(m)を図る必要がある。
そのため、本発明においては、以下の二つの処理を行うようにしている。先ず、イ.のストークスパラメータの移動平均処理の最適化においては、移動平均数=nの場合、ストークスパラメータのk番目のサンプリングデータSj(k)(j=1,2,3)を以下により平均化されたSj(k)aに変換する。
【数1】
ここで、n=1は平均化なしで(Sj(k)a=Sj(k))の場合である。
次に、ロ.の偏波変動量βの時間幅の最適化では、β算出幅=mの場合、式(1)〜(3)において、k番目のデータSj(k)により求められるβ(k)を、現在のストークスパラメータからmサンプル前のストークスパラメータを基準として、式(3)を以下に置き換える。
dSj(k)=Sj(k)−Sj(k-m)
ここで、Sj(k)はイ.によって平均化したSj(k)aでも可能である。
【0049】
図6及び図7は、前記移動平均処理と変動量算出幅の説明図である。図6及び図7からも明らかなように移動平均処理では、立ち上がりが移動平均数nによって遅れ、移動平均数nが過大であると信号ピークが平滑化され、小さくなる。これに対して、変動算出幅mの方は、これによって立ち上がりが遅れることはなく、変動算出幅mが過大でもピークが小さくなることはない。しかし、原波形を周期振動としてみると、変動算出幅mによる遅れがあり、変動算出幅mが過大な場合は波形が乱れる。また、変動算出幅mが小さいと原波形より振幅が小さくなり、雑音に埋もれる可能性がある。
従って、移動平均数nおよび平均算出幅mは、想定される振動周期の1/2より短く設定することが良い。尚、実施例では、サンプリング周期が0.1 sec/sampleであり、呼吸による振動周期が5秒程度ならば、25sample以下が有効となる。
【実施例1】
【0050】
図8(a)〜図8(d)は、光ファイバ式平板状体センサ1の各実施例を示すものである。前述の通り(図3(b)、図3(c))、光ファイバ2に加わる振動や曲げ応力Fによる偏波変動は、光ファイバ2の元の曲がり面に対して垂直方向の振動等が加わったときに比較的大きくなる。そのため、図8(a)〜図8(d)の四種を製作した。
光ファイバ2は布製シーツ3に貼り付けされており、ここでは、被覆外径0.5mm程度、心線クラッド径0.125mmφの単一モードの光ファイバ2を、合成樹脂製接着剤により合成樹脂と天然繊維の混紡布から成る平板状体へ固着する構成としている。
【0051】
尚、光ファイバ2の平板状体(布製シーツ3)への固着は、如何なる方法であってもよく、例えば布製シーツへ縫い込んだり、或いは薄い2枚の布製シーツの間へ挟み込んだりしてもよい。
また、光ファイバ2は裸線のままでもよいが、外表面に薄い被覆を施した光ファイバ2としてもよいことは勿論である。
更に、光ファイバ2の固着形態(固着した状態の平面形状)は如何なるものであってもよく、ループ型(図8(c))やウエーブ型(図8(d))以外の形状であってもよい。
【実施例2】
【0052】
図9は、図8における光ファイバ2の構造を多心型(心線数n)とした場合の実施例を示すものであり、平板状体センサ1の形状の変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。尚、光源装置4及び偏波変動測定装置5の接続は多芯型光ファイバ2の一方の端部となる。
【実施例3】
【0053】
図10は、光ファイバ2の一方の端部に反射ミラー18を設け、光信号が光ファイバ2内を往復搬送されることにより、平板状体センサ1の形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。尚、図10において19は光サーキュレータである。尚、光サーキュレータ19の代りに光カプラを用いてもよい。
【実施例4】
【0054】
前記実施例1乃至実施例3においては、平板状体センサ1を1枚の平らな四角状のシーツ(平板状体)に形成しているが、これを敷き布団や掛け布団、マット、ソファー等のカバー体に加工して、平板状体センサ1として利用してもよいことは勿論である。
また、実施例1〜実施例3の平板状体センサ1をビニルカバーなどにより防水するようにしてもよいことは勿論である。
更に、実施例1〜実施例3の平板状体センサ1を用いて、パジャマや寝間着のような衣服を形成したり、或いは別途に形成した衣服に光ファイバ2を固着することにより、人体のいかなる部分の形状変化をも光ファイバ2の形状変化として検知し得るようにした衣服型の光ファイバ式センサとしてもよい。
加えて、人体の外表面へ直接に貼り付けるようにしたパッド状体に光ファイバを縫込み等することにより、身体への取付け部分の如何なる形状変化をも光ファイバの形状変化に反映できるようにした人体取付け型の光ファイバ式センサとすることも可能である。
【実施例5】
【0055】
図11は一つの偏波変動測定装置5を用いて、複数の光ファイバ式平板状体センサ或いは一つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画を、光ファイバ切換スイッチ20により順次切換え監視する場合を示すものであり、(a)は透過型に、また(b)は反射型に夫々形成されている。尚、図11(a)の19は光サーキュレータである。
【実施例6】
【0056】
図12(a)及び図12(b)は、生体活動監視方法の他の実施例を示すものであり、光源装置4を波長可変型光源21にすると共に、波長分離フィルタ22を光ファイバ切換スイッチ20の代用として用いることにより、一台の偏波変動測定装置5を用いて複数の光ファイバ式平板状体センサ1の偏波変動を順次切換え検出したり、或いは一つの平板状体センサ1の複数の区画を個別的に順次切換え検出するようにしたものである。尚、図12(a)は透過型に、また図12(b)は反射型に夫々構成されている。
【実施例7】
【0057】
図13は、他の生体活動監視方法の実施例を示すものであり、光ファイバ2の途中に光ファイバ回折格子などの特定の波長のみを反射するフィルタ23を複数個組み込み、波長可変光源装置21の波長を変化することにより、一本の光センサ2の特定の区画を個々に区別して監視するようにしたものである。
【実施例8】
【0058】
図14は、一本の光ファイバ2の途中にコネクタ又は部分反射素子24を複数個設け、パルス光源装置25から光パルス信号を送り、光ファイバ2内の散乱光の遅延時間から、一本の光ファイバ2の複数の区画を区別して監視する構成としたものである。
【0059】
尚、前記各実施例1〜実施例8では、光源装置や偏波変動測定装置5を光ファイバ式平板状体センサ1へ直接接続する構成としているが、平板状体センサ1と測定装置5等を長距離に亘って隔離する場合には、一般通信用の光ファイバを用いて平板状体センサ1を構成し、通信用光ファイバを介して直接に平板状体センサ1と偏波変動測定装置5等を連結する構成とすることも可能である。
【実施例9】
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示すように、図8(a)、(b)、(c)、(d)に示す光ファイバ式平板状体センサ1を図2(a)、(b)、(c)の如き状態で使用し、被験者の活動状態を偏波変動測定装置5により測定した。後述する図15は、表1のNo1の測定テスト条件の場合の測定データを示すものである。尚、図15において、縦軸のPowerは光の強度、S1,S2,S3はストークスパラメータ(偏波の3成分)、DOPは偏光度、βは偏波変動量、keyは人の活動の状態を夫々表すものである。
【0062】
【表2】
【0063】
そして、前記各測定データの結果から、被験者の動静をデータ上から目視で判断出来るか否かを判定した。その結果は、表2に示す通りであった。
【0064】
特に、No19のテストの場合(光ファイバ式平板状体センサ1を掛け毛布替わりに使用した場合)には、所謂生データから直接に被験者の呼吸や呼吸の停止等を、明確に判定することができた。
【実施例10】
【0065】
図1に示すウエーブ型の光ファイバ式平板状体センサ1を図2(a)に示す形態で用い、人間(被験者)Hの各種の生体活動により得られた偏波変動量βについて解析をした。
図15は、被験者Hの活動状態(key)と偏波変動測定装置5により検出・演算した各ストークスパラメータS1〜S3、偏光度(DOP)、偏波変動量β、光強度(Power)を示すものである。光強度(Power)は変っていないが、各スロークスパラメータS1,S2,S3や偏波変動量βは大きく変化しているのが分かる。また、静止時には、各ストークスパラメータの幾つかの部分で周期的な変化が見られる。
尚、平板状体センサ1の光ファイバ2は、4心芯型であり、図9に示す如き2往復の構成とされている。
【0066】
図16は、図15に示すストークスパラメータを、前記(5)式による方法でFFT解析した結果であり、図16(a)は上向き静止時の51.2秒間、(b)は横向き静止時の25.6秒間の解析である。横軸は周波数、縦軸はパワースペクトルで数値は104倍している。いずれも0.2Hz付近に強いスペクトルが現れており、呼吸によるものであることが判断できる。
【0067】
図17は、表1に示す試験ケース19について、前記(5)式による方法でFFT解析した結果であり、図17(a)は上向きに静止して普通の呼吸をしている状態の25.6秒間、(b)は上向きに静止して呼吸を停止した状態(無呼吸時)の6.4秒間の解析である。(a)では0.2Hz付近に極めて強いスペクトルが現れており、呼吸によるものであることが容易に判断できる。また(b)では1.1Hz付近にスペクトルのピークが確認され、心拍によるものであることが分かった。
表2に示す目視による評価では、呼吸停止時の偏波変動が微弱なため判断できなかったが、本発明による解析方法により信号の存在を確認できた。
【0068】
前記のようなFFT解析により、微弱振動の有無とその周波数を検出するため、解析時間は対象の振動周期の5倍程度(心拍で6秒、呼吸で数25.6秒)を要する。一方、偏波変動量βは、振動周波数などの解析はできないが、算出にかかる時間遅れはストークスパラメータの移動平均数nおよびβ算出幅m程度になるので、偏波変動の有無を瞬時に判別できる。
図15の偏波変動は、前記(6)式における移動平均数nおよびβ算出幅mが共に1の場合に相当する。寝返り動作や入床離床などの大きな動作の有無はこの結果から直ちに判断できる。
更に、図18は、図15の偏波変動βの波形について、静止時間帯における変動が分かるように縦軸を拡大したものである。
まず、m=1、n=1の場合は、人が入床する前の無信号時の雑音と、人が入床した後の上向静止時および横向静止時の信号との違いが分かり難い。
次に、m=20、n=1の場合は、人が入床する前の無信号時の雑音はそのままで、上向静止時および横向静止時の変動信号が大きく現れてくる。
更に、m=20、n=10にすると、無信号時の雑音が著しく減少し、上向静止時および横向静止時の信号が顕著に判別できることが分かる。
【実施例11】
【0069】
図19は、本発明に係る衣服型の光ファイバ式平板状体センサ26の平面図を示すものであり、所謂天然繊維や合成繊維製のティシャツTに、図1に示した光ファイバ式平板状体センサ1で用いたのと同じ光ファイバ2を固定することにより、当該衣服型光ファイバ式平板状体センサ26が形成されている。
【0070】
より具体的には、木綿製のティシャツの外表面に1心又は4心の光ファイバ2が貼着剤により貼り付け固定されており、且つ光ファイバ2の貼り付け形状は、図19に示す如くウェーブ型(3往復・2段)とホリゾンタル型(3往復)とを複合させた形状になっている。
【0071】
当該衣服型光ファイバ式平板状体センサ26を被験者に着せ、静止した状態で被験者の呼吸の状態を変化させた。被験者は成人男性である。体位を、座位および臥位の2種類とし、また、衣服型光ファイバ式平板状体センサ26を1心及び4心の光ファイバとした2種類として、計4通りのケースについて試験を行った。
尚、呼吸の動作パターンは、何れのケースにおいても普通の呼吸(30秒)→呼吸停止(10秒)→大きい呼吸(20秒)→呼吸停止(10秒)→激しい呼吸(20秒)という一定パターンとした。
【0072】
図20は、体位が臥位で、光ファイバを4心とした衣服型光ファイバ式平板状体センサ26を使用した場合の、光強度、ストークスパラメータS1,S2,S3、および偏波変動量の時間波形の測定結果である。
ストークスパラメータS1,S2,S3または偏波変動量の波形から、呼吸の有無による変化が明確に検出できた。
また、呼吸時には周期的な変化が観測され、普通の呼吸、大きい呼吸および激しい呼吸を比較すると、異なる速度の変化が観測された。
なお、この偏波変動の大きさは、光ファイバが4心のウェーブ型であって、敷布および掛布として使用した場合の試験結果と比べると、敷布の場合(図18)より大きく、掛布の場合よりは若干小さい量であった。また、前記その他の3つのケースについても同様に解析をしたが、何れの場合でも呼吸による偏波変動が観測できた。
【0073】
また、上記図20の結果から、人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサにおいても、呼吸等の動作を偏波変動から検出可能なことが推察できる。例えば、胸の部分に取付ける人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサの場合、図19のような衣服型と比べて、個人の体型に合わせて人体に密着させることができるので、図20と同等かそれ以上の偏波変動を検出できると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、主として病院や介護施設等の患者や被介護者等の遠隔監視に利用されるものであるが、人間以外の動・植物等の生態活動の遠隔監視にも広く適用可能なものである。また、所謂通信ネットワークを活用して、複数の地域に亘る病院や介護施設の患者等の監視を集中的に行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】生体活動の監視方法の実施の一例を示す説明図である。
【図2】光ファイバ式平板状体センサの使用の一例を示す説明図であり、(a)は床面上に、(b)はベッドに、(c)は掛け用として、光ファイバ式平板状体センサを用いた例を示す。
【図3】光ファイバ内を通過する光の偏波変動の説明図であり、(a)は応力Fが加わることによる出射面の偏波状態(楕円化)を示すものである。また、(b)は人間の生体活動による光ファイバ2の変形状態を、(c)は最大の偏波変動を生じる振動や力Fの方向と、光ファイバ2の形状との相対関係を、夫々示す説明図である。
【図4】編変動測定装置5の説明図であり、(a)は全体の基本構成を、また(b)は、偏波状態検出部の基本構成を、(c)は偏波状態検出部と偏波変動量検出部との連絡状態を示す説明図である。
【図5】偏波変動測定装置の偏波状態検出部により検出したストークスパラメータによる偏波変動の表示及び偏波変動量の定義を夫々示すものである。
【図6】偏波変動量βの移動平均処理の概念を示す説明図である。
【図7】偏波変動量βの変動算出幅処理の概念を示す説明図である。
【図8】光ファイバ式平板状体センサの第1実施例を示す平面図である。
【図9】光ファイバ式平板状体センサの第2実施例を示す説明図である。
【図10】光ファイバ式平板状体センサの第3実施例を示す説明図である。
【図11】生体活動監視方法の他の実施例を示す説明図である。
【図12】生体活動監視方法の更に他の実施例を示す説明図である。
【図13】生体活動監視方法の他の実施例を示す説明図である。
【図14】生体活動監視方法の更に他の実施例を示す説明図である。
【図15】被験者の生体活動と偏波変動量βや偏光度DOP等の関係を示す実施例である。
【図16】図15に示したストークスパラメータを前記(5)式による方法でFFT解析した結果を示すものであり、図16(a)は上向き静止時の51.2秒間、(b)は横向き静止時の25.6秒間の解析結果を夫々示すものである。
【図17】前記表1に示した試験ケース19(KW401)について、前記(5)式による方法でFFT解析した結果をしめすものであり、図17(a)は上向き静止時の普通呼吸状態下の25.6秒間、(b)は上向き静止時の呼吸停止状態下(無呼吸時)の6.4秒間の解析結果を夫々示すものである。
【図18】図15の偏波変動量βの波形について、静止時間帯における変動がわかるように縦軸を拡大し、mやnの値を変更した時の信号の違いを表したものである。
【図19】衣服型の光ファイバ式平板状体センサの一例を示す平面図である。
【図20】衣服型の光ファイバ式平板状体による人の呼吸の状態と偏波変動量やストークスパラメータの関係を示す実施例の波形である。
【符号の説明】
【0076】
Hは人間
1は光ファイバ式平板状体センサ
2は光ファイバ
3は布製シーツ(平板状体)
4は光源装置
5は偏波変動測定装置
6は床
7はベッド
8はマット
9はパッド
10は布製シーツ
11は掛毛布
12は偏波状態検出部
13は偏波変動量検出部
S1,S2,S3はストークスパラメータ
βは偏波変動量
14は偏波分岐素子
15は施光子
16はλ/4板
17は受光器
18は反射ミラー
19は光サーキュレータ
20は光ファイバ切替スイッチ
21は波長可変型光源
22は波長分離フィルタ
23はフィルタ
24はコネクタ部又は部分反射素子
25はパルス光源装置
26は衣服型の光ファイバ式平板状体センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として医療や介護の分野に於いて利用されるものであり、床上やベッド上、畳上等での人間の活動や動静を遠隔から自動的に高精度で検知若しくは監視できるようにした生体活動監視方法と、これに用いる光ファイバ式平板状体センサに関するものである。より具体的には、光ファイバを組み込みした敷布や掛布、毛布、マット、パッド、畳、上敷カーペット等(以下光ファイバ式平板状体センサと呼ぶ)を用い、敷布やマット、パッド、畳、上敷、カーペット等の上部及び掛布や毛布の下方での人間の活動により生じる光ファイバ内の光の偏波変動を、より高感度な偏波変動測定装置を用いて検出することにより、特別な構造のベッドや特別な構造の布団等を必要とすることなしに、日常の生活環境と全く変らない状態の下で、呼吸や拍動等を含めた人間のあらゆる生体活動を高精度で検出できるようにした生体活動監視方法と、これに用いる光ファイバ式平板状体センサ及び衣服型の光ファイバ式平板状体センサ並びに人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従前から医療や介護等の分野に於いては、病室等における患者や被介護者の動静を無線或いは有線方式により看護師室や看護人室へ伝達し、少ない人員でもってより効率的な看護や介護を行えるようにした所謂看護等の遠隔監視用設備が設けられており、また、この種の監視用機器設備の開発が多方面で進められている。
【0003】
中でも、光ファイバを生体活動の監視用センサとして利用した監視システムは、検出感度や安定性の点で優れた特徴を備えており、近年特に注目されている。何故なら、従前のこの種生体活動の監視に用いられている圧電式センサや振動式センサでは、人の就寝や起床、寝返り等の動静はある程度正確に検知することができるが、呼吸や拍動までをも同時に高精度で検出することが困難だからである。
【0004】
而して、光ファイバを用いた生体活動監視用システムとしては、例えば、特開平5−312966号や特開平8−584号等が先に開示されている。
上記各技術は、何れも「光ファイバを急激に曲げると、光ファイバコアの光の閉じ込め効果よりも光の直進性の方が勝ることにより、光が漏洩して光量の損失が発生する。」と云う事象を利用してセンサを構成するものであるが、以下のイ、ロ及びハの如き多くの問題が残されている。
イ 損失を発生させるには、光ファイバを急峻に曲げなければならないこと。
ロ 曲げ半径に対して損失が指数関数的に増加するため、曲げ量の調整が難しい。そのため、適切な曲げ量を得るための専用の治具が必要であること。
ハ 急峻に曲げるため、断線の恐れや疲労による劣化が懸念されること。
【0005】
一方、光ファイバに於いては、その曲がり形状が変化すると、伝搬光の偏波状態が変化することが古くから知られており、これ等の事象を用いた防犯用の検知システムが既に開発されている。例えば、特開2000−40187号や特開2001−6055号等では、侵入者検知のためにフェンスなどに光ファイバを敷設し、光ファイバへ加わる外力により発生する偏波変動を検出することにより警報を発するようにしている。
しかし、特開2000−40187号等は、外部からの侵入検知を目的とするものであるため、単にフェンスに光ファイバを取り付けしただけの構成としており、これを人間の生体活動の監視に直接活用することは困難である。また、侵入者の外力を直接に光ファイバへ加える構成としているため、微弱な加圧力の変化による偏波状態の変動の検出感度の向上については一切考慮が払われておらず、前記と同様にこれを人間の活動の監視システムに直接適用することは困難である。
【0006】
加えて、一般に光ファイバ中の光の偏波状態はランダムなものであり、偏波をセンサとして利用するためには所謂偏波調整を必要とする。しかし、偏波調整には時間がかかるうえ、偏波変動の測定装置が複雑となって製造コストが上昇するという問題がある。
【0007】
ところで本願発明の出願人は、先にこの偏波調整に係る問題を解決するものとして、偏波調整を行うことなしに偏波変動量を簡単に、しかも高感度で検出できるシステムを開発し、これを公開している(特開2004−108918、特開2004−184223号)。本願発明は、当該偏波変動量の検出システムを生体活動の監視システムへ適用することにより、呼吸や拍動を含めて人間のあらゆる活動や動静を高精度で検出(検知)できるようにしたものである。
【0008】
【特許文献1】特開平5−312966
【特許文献2】特開平8−584
【特許文献3】特開2000−40187
【特許文献4】特開2001−6055
【特許文献5】特開2004−108918
【特許文献6】特開2004−184223
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、従前のこの種生体活動の監視システムにおける上述の如き問題、即ちイ.圧電式センサや振動式センサを用いるシステムでは、呼吸や拍動等を安価に且つ正確に監視することができないこと、ロ.光ファイバをセンサとするシステムにあっては、光ファイバの急峻な曲がりによる光量の損失を検出要素とするものであるため、微弱な生体活動の変化(例えば、呼吸や拍動)を検出することが困難なうえ、断線や劣化の危険があること、ハ.光ファイバ中の偏波変動を検出要素とするものにあっては、外部からの侵入防止用のものであるため検出感度の点に問題があり、生体活動の監視用システムには適用できないこと等の問題を解決し、従前の布製シーツと同じ感覚で使用できると共に、人間の活動や呼吸、拍動等による光ファイバ中の伝搬光の偏波変動量を高感度で検出することにより、人の生態活動を高精度で監視することができ、しかも安価に製造できるようにした生体活動監視方法と、これに用いる光ファイバ式平板状体センサ及び衣服型の平板状体センサ並びに人体取付け型の平板状体センサを提供することを発明の主目的とするものである。
【0010】
より具体的には、a.糸のように軽量、細径である光ファイバの特徴を活用して布製シーツ等の平板状体と前記光ファイバとを一体化し、これにより従来の布製シーツと同様の使用感が得られ、就寝に悪影響を与えることなしに患者等の監視が出来る光ファイバ式平板状体センサを提供すること、b.人間の活動に伴ってシーツ等の平板状体が利用される可能性のあるあらゆる環境または形態(例えば、ベッド、畳、布団の敷布、掛布、座席のカバー、担架、吊床、絨毯、マット、衣服など)に汎用的に使用できる光ファイバ式平板状体センサを提供すること、c.人間の活動では、動作によりシーツ等の平板状体が大きく変化する場合もあれば、逆に呼吸や心拍のように平板状体の形状が僅かしか変化しない場合もある。また、振動がファイバに直接当たる場合や平板状体の変化からファイバの変化へつながる場合、或いは、パッドなどを挟んで平板状体やファイバの変化につながる場合のように振動が微弱になる場合がある。これらの幅広い異なった振動特性を持つ各種の振動を、偏波変動測定装置とその信号の特別な処理方法により高精度で検出することを可能とした生体活動監視方法を提供すること、等を発明の主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、ベッドや布団、パッド、畳などを用いた就寝を伴う居住環境における人間の動作の有無や生体活動を監視する方法において、平板状体に光ファイバを固定若しくは混入して成る光ファイバ式平板状体センサを敷設するか又は被せると共に、光源から前記光ファイバ内へ光を入射し、人間の動作や生体活動に伴って前記光ファイバ式平板状体センサの形状の変化により生じた光ファイバ内を伝搬する光の偏波状態の変化を偏波変動測定装置により検出し、当該偏波変動の検出値から人間の活動や動静を判別することを発明の基本構成とするものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、平板状体をシーツ、敷布、毛布、マット、パッド、畳、上敷、じゅうたん又はカーペットの何れかとするようにしたものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、光ファイバ内を伝搬するの光の偏波変動測定装置を用いて、光の偏波状態を表す3つのストークスパラメータの時間波形をそれぞれフーリエ変換し、そのパワースペクトルの合計から呼吸や心拍などの固有の周期振動を検出するようにしたものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項3の発明において、光ファイバ内を伝搬する光の偏波変動測定装置を用いて、3つのストークスパラメータ、偏波楕円あるいは直交偏波間位相差などで表される偏波状態パラメータの現在値に対し、前記請求項3などで得られた固有の振動周期の1/4〜1/2の時間前の偏波状態パラメータとの差を偏波変動量として算出することにより、高速かつ高感度な人間の生体活動や動静の検出を可能とするようにしたものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4の発明において、偏波変動量の算出にあたり、サンプリングされた偏波状態パラメータを移動平均し、その移動平均の幅を、前記請求項3などで得られた振動周期の1/4〜1/2にすることで信号中のランダム雑音を効果的に除去することにより、高感度な人間の生体活動や動静の検出を可能にするようにしたものである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1又は請求項3乃至請求項5の発明において、寝返りなどの動作に対しては偏波変動信号が非周期性であるが変動幅が大きいこと、及び静止時の呼吸や無呼吸時の心拍に対しては偏波変動幅は微弱であるが周期性があることなどを利用して、人間の活動の有無だけでなく活動の種類を判別するようにしたものである。
【0017】
請求項7の発明は、請求項3の発明において、人間がシーツの任意の面を意図的に叩いたり、あるいは蹴ったりしたときのパターンによって、人間から偏波変動測定装置へ信号を伝えることを可能にするようにしたものである。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1の発明において、光源装置及び偏波変動測定装置を、複数の光ファイバ式平板状体センサの光ファイバ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画の光ファイバへ光ファイバ切替えスイッチにより切り替え接続することにより、1つの偏波変動測定装置で前記複数の光ファイバ式平板状体センサ又は複数の区画の光ファイバを順次監視するようにしたものである。
【0019】
請求項9の発明は、請求項1の発明において、複数の光ファイバ式平板状体センサの光ファイバ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画の光ファイバへ、波長分離フィルタを用いて波長可変光源から順次光ファイバを切り替えて光を入射することにより、1つの偏波変動測定装置で複数の光ファイバ式平板状体センサ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画を順次監視するようにしたものである。
【0020】
請求項10の発明は、請求項1の発明において、光ファイバ式平板状体センサの光ファイバの途中に、光ファイバ回折格子などの特定の波長を反射するフィルタを複数組み込み、光源装置の波長を変えることによって、1本の光ファイバの特定の区画を区別して監視するようにしたものである。
【0021】
請求項11の発明は、請求項1の発明において、光ファイバ式平板状体センサの光ファイバの片端から光パルスを送り、その光ファイバ中の散乱光の遅延時間から1本の光ファイバの特定の区画を区別して監視するようにしたものである。
【0022】
請求項12の発明は、請求項1の発明において、光ファイバ式平板状体センサの光ファイバを通信用光ファイバとして、当該光ファイバを通信用光ファイバに接続することにより、遠方から人間の動静を監視するようにしたものである。
【0023】
請求項13の発明は、平板状体の全体に光ファイバを固定して張り巡らすことにより、平板状体外表面のいかなる部分の形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0024】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、平板状体の全体に極く細い被覆を施した光ファイバを縫い込むことにより、光ファイバを組み込んだ平板状体の重さ、厚さ、柔軟性を通常の布製シーツと殆ど変らないようにし、就寝活動などにおける布製シーツの使用と同様の使用感を与えるようにしたものである。
【0025】
請求項15の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、平板状体をシーツ、敷布、掛布、毛布、マット、パッド、畳、上敷、じゅうたん又はカーペットの何れかとしたものである。
【0026】
請求項16の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、光ファイバの貼付け又は縫込み形態を直線状、波状、ループ状などの複雑な形態とすることにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。
【0027】
請求項17の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、光ファイバの心線数を多心化することにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。
【0028】
請求項18の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、光ファイバの一方に反射ミラーを設け、光信号が光ファイバ中を往復して伝送することにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。
【0029】
請求項19の発明は、請求項13又は請求項14の発明において、光ファイバ式平板状体センサを敷き布団・掛け布団・マット・ソファなどのカバーに加工するようにしたものである。
【0030】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、ビニルカバーなどにより防水加工を施すようにしたものである。
【0031】
請求項21の発明は、就寝時や検査時、活動状態の被監視時等に人体に纏うパジャマや寝間着、患者衣、看護服等の衣服に光ファイバを縫い込みまたは接着することにより、人体のいかなる部分の形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした衣服型の光ファイバ式平板状体センサである。
【0032】
請求項22の発明は、腹巻き状、包帯状又は貼り付けシート状の人体取付けパッドに光ファイバを縫い込みまたは接着させることにより、取付け部分のいかなる形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサである。
【発明の効果】
【0033】
本願発明では、軽量、細径の光ファイバを布製シーツ等の平板状体へ固定して一体化することにより光ファイバ式平板状体センサを形成しているため、当該光ファイバ式平板状体センサの使用者に異常感や違和感を与える虞れが全く無く、日常の定常状態の下で患者等の動静を監視することができる。
また、本願発明では、人体の生体活動や呼吸、拍動等によって生ずる光ファイバ内の伝搬光の偏波状態の変動量をリアルタイムで検出すると共に、検出値と雑音の比を高めて感度向上を図るようにしているため、人間の寝起きから呼吸や心拍までの広範囲の強弱振動を一つの偏波変動測定装置でもって高精度で検出することができるうえ、ベッドやマット、毛布、敷布、掛布等のあらゆる平板状体に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る生体活動監視方法の実施の一例を示す説明図であり、図2は光ファイバ式平板状体センサの使用の一例を示す説明図である。
図1に於いて、1は光ファイバ式平板状体センサ、2は光ファイバ、3は平板状体である布製シーツ、4は光源装置、5は偏波変動測定装置である。
また、図2に於いて6は床、7はベッド、8はマット、9はパッド、10は布製シーツ、11は掛け毛布、Hは人間である。
【0035】
前記光ファイバ式平板状体センサ1は、平板状体である布製シーツ3の全体(全面)に光ファイバ2を固定したものであり、後述するように、使用する光ファイバ2の構造、形態及び固着方法には各種のものが存在する。
また、当該光ファイバ式平板状体センサ1は、図2に示すようにベッド7や床面6に敷設したり、或いは人間Hに被せる形態で使用される。また、後述するように、当該光ファイバ式平板状体センサ1は単にシーツや掛け布の態様で使用されるだけでなく、枕カバーや布団カバー等の形態、パジャマや寝間着、下着のような形態等に加工して使用することも可能である。
【0036】
本発明の生体活動監視方法は、図1に示すように、人間Hの生体活動(寝起き、呼吸、心拍等)により生じた振動や圧力等の応力が、光ファイバ式平板状体センサ1の光ファイバ2へ加わることにより、光ファイバ2内を伝搬する光に生じた偏波変動を偏波変動測定装置5により検出することを基本とするものであり、図3は前記偏波変動の概要を、また、図4は前記偏波変動装置5の主要構成を夫々示す説明図である。
【0037】
即ち、光ファイバ2内を伝搬する光に磁界、圧力、振動、温度変化等が加わった場合、例えば図3(a)に示すように応力Fが光ファイバ2に加わると、入射偏波面Aが出射偏波面A′のように楕円化する。尚、ここで云う偏波面とは、光を電磁波として見たときの電界の振動面のことである。
一般に、偏波変動の検出は、通常偏光子を用いて出射偏波面A′に対して水平な方向の成分だけを取り出すと共に、偏波の変化を光強度の変化として検出する。しかし、通常光ファイバ2内では、伝搬途中で偏波状態がランダムに変化するため、出射端で最大の変調(強度変化)が得られるように、偏光子や偏波調整器を回転・調整して検出する必要がある。ここでは、そのような調整を不要とするため、後述するようなストークスパラメータを測定するようにしている。
【0038】
光信号の偏波状態の表示は、通常ストークスパラメータS1、S2、S3を用いて行われ、後述するようにポアンカレ球面に三種類の偏光フィルタで直接測定した各光強度成分に対応する値S1、S2、S3(ストークスパラメータS1は水平⇔垂直方向の直線偏波、S2は+45°⇔−45°方向の直線偏波、S3は右回り⇔左回りの円偏波)でもって表示される。
【0039】
尚、図3(b)及び(c)は、光ファイバ2に加わる応力Fの方向と、偏波変動の大きさの関係を示すものであり、光ファイバ2に加わる振動や曲げ力Fによる偏波変動は、経験上、光ファイバ2の元の曲がり面に対して垂直方向に振動が加わった時に比較的大きいなど、光ファイバの形状に大きく依存することが判っている。
【0040】
図4は本発明で使用する偏波変動測定装置5の基本構成を示す説明図である。図4(a)において、12は偏波状態検出部、13は偏波変動量検出部、βは検出した偏波変動量である。
また、図4(b)は偏波状態検出部12内に組み込まれる素子の基本構成例であり、14は偏光分岐素子、15は旋光子、16はλ/4板、17は受光器である。前記偏光分岐素子14は分岐比1〜5%程度で水平偏光成分を取り出す素子である。また、旋光子15は偏光面を45度回転させるようにしている。更に、λ/4板16はその複屈折主軸を水平面から45度に設定している。
【0041】
一般に、偏波変動を高感度で検出するには、前述の如く振動中心の球面上の位置と振動の向きの二つを調整する必要があるが、このような調整を短時間内で行うことは困難である。
そのため、本願発明においては偏波の3成分S1,S2,S3から偏波変動量βを演算するようにしている。
即ち、各受光器17の出力信号V1、V2、V3、V0を、光分岐素子などによる感度差をそれぞれ補正(偏波状態によりV1、V2、V3が0〜V0の値になるように補正)して、Sj=2Vj/V0-1(但しj=1,2,3)として得られたストークスパラメータS1,S2,S3を用いて、偏波変動量βを演算する。
【0042】
具体的には、図5に示すように偏波変動の基準状態をS10,S20,S30として設定し、測定された偏波状態を示すストークスパラメータをS1,S2,S3とすると、図5上の[S1,S2,S3],[S10,S20,S30]の2点と原点[0,0,0]からなる三角形は二等辺三角形となり、その頂角βは次式で表される。
β=2sin-1(dL/2) (1)
dL=√(dS12+dS22+dS32) (2)
dSj=Sj-Sj0 (3)
ここで、j=1,2,3である。
本発明では、この角度βを偏波変動量と定義している。なお、dSjは各座標の変化量であり、dLは座標点の移動距離に相当する。また、座標原点から座標点までの距離は偏光度(DOP=S12+S22+S32)を表すが、レーザー光のような単色光を用いる場合には、DOP=1である。
尚、図5において、θは所謂偏波主軸方位であり、εは楕円率角である。
【0043】
前記(1)式で示した偏波変動量βは、図4(a)の偏波変動量検出部13において、所謂偏波調整なしにリアルタイムで算出される。また当該偏波変動量検出部13はデジタル型(またはアナログ型)演算装置として構成されている。
具体的には、図4(c)に示す如く、各受光器17において、光を電気信号に変換し、ログアンプで増幅したあと、AD変換し、USBインターフェースを介してPCに伝送する。PC側では、ストークスパラメータS1,S2,S3、偏光度DOPおよび偏波変動量βを計算し、光強度、時間データ、キーイベント(状態変化などメモ用のキー入力)と共にハードディスクに記録する。
ログアンプのレンジは30dB、AD変換器の分解能は12bit(1桁当たり1500値)、速度は10kHzである。USBの転送周期は0.01秒であり、10データ毎に平均化して、0.1秒周期で計算、記録するよう構成されている。
【0044】
前記図4の偏波変動量検出部13では偏波変動量βをストークスパラメータS1,S2,S3を用いて(1)、(2)、(3)式により演算する構成としているが、後述するように微弱振動の有意性を調査する場合(例えば人間の呼吸や拍動のように微弱で周期的な振動波形の場合)には、偏波変動量βよりもストークスパラメータS1,S2,S3の波形の方が見分け易いと考えられる。このため、まずストークスパラメータのFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)解析を行い、振動検出限界を求めると共に、これ等を元にして偏波変動量βの基準や移動平均処理による検出感度の向上を図った。
【0045】
前記偏波変動は、図5等で示したようにストークスパラメータS1,S2,S3をx,y,zの3次元直交座標で表した時に、半径1の球面上での振動で表され、また偏波変動量βは前記式(1)〜(3)で表される。
周期振動の変動幅(peak to peak)を求める場合には、振動の両端を図5に示すS1,S2,S3とS10,S20,S30に置き換えればよい。即ち、微弱振動の場合には、前記式(1)は、
βp・p=dL [rad] (4)
となる([degree]単位の場合はdL*180/π)。
今、単一周波数fの振動で、各ストークスパラメータの振動に位相差がない場合の各ストークスパラメータの振動幅をdS1f, dS2f, dS3fとすると、式(2)は
dLf2=dS1f2+dS2f2+dS3f2 (5)
のように書ける。ここで、dSjf2(j=1,2,3)の1/2はSjの周波数fでの振動パワーに相当する。
このため、測定された各ストークスパラメータS1,S2,S3の3つの波形それぞれについて前記FFTによりパワースペクトルを求め、その合計値で評価することができる。
【0046】
即ち、3つのストークスパラメータS1,S2,S3をFFTすることにより、パワースペクトルを求め、その合計QをQ=δS12+δS22+δS32として求め、ここから振動ピークの周波数成分の振幅Lppを、Lpp=√(2Q)として求める。尚、当該FFTによる解析は、実質的に前記(1)〜(3)式で示した偏波変動量βの解析の場合と同じ思考に基づくものである。
【0047】
また、偏波変動量βは、現在のストークスパラメータと一定時間前のストークスパラメータ(基準値)との差から算出するため、変動の検出が簡単で瞬時応答性(リアルタイム性)が高い。しかし、比較的ゆっくりとした振動に対して、算出の時間幅をあまり小さくすると、ストークスパラメータの振動による変化幅が雑音による変化幅より小さくなり、偏波変動量βが雑音に隠れて見えなくなる。
例えば、後述する拍動の振動波形のような場合には、波形全体を見れば振動の存在がわかるが、前後のサンプリングの差からは、瞬間の変化が見づらいことになる。
【0048】
更に、偏波変動量βの信号と雑音の比SNRを高めるために、イ.ストークスパラメータの移動平均処理の最適化(n)及びロ.βを算出する時間幅の最適化(m)を図る必要がある。
そのため、本発明においては、以下の二つの処理を行うようにしている。先ず、イ.のストークスパラメータの移動平均処理の最適化においては、移動平均数=nの場合、ストークスパラメータのk番目のサンプリングデータSj(k)(j=1,2,3)を以下により平均化されたSj(k)aに変換する。
【数1】
ここで、n=1は平均化なしで(Sj(k)a=Sj(k))の場合である。
次に、ロ.の偏波変動量βの時間幅の最適化では、β算出幅=mの場合、式(1)〜(3)において、k番目のデータSj(k)により求められるβ(k)を、現在のストークスパラメータからmサンプル前のストークスパラメータを基準として、式(3)を以下に置き換える。
dSj(k)=Sj(k)−Sj(k-m)
ここで、Sj(k)はイ.によって平均化したSj(k)aでも可能である。
【0049】
図6及び図7は、前記移動平均処理と変動量算出幅の説明図である。図6及び図7からも明らかなように移動平均処理では、立ち上がりが移動平均数nによって遅れ、移動平均数nが過大であると信号ピークが平滑化され、小さくなる。これに対して、変動算出幅mの方は、これによって立ち上がりが遅れることはなく、変動算出幅mが過大でもピークが小さくなることはない。しかし、原波形を周期振動としてみると、変動算出幅mによる遅れがあり、変動算出幅mが過大な場合は波形が乱れる。また、変動算出幅mが小さいと原波形より振幅が小さくなり、雑音に埋もれる可能性がある。
従って、移動平均数nおよび平均算出幅mは、想定される振動周期の1/2より短く設定することが良い。尚、実施例では、サンプリング周期が0.1 sec/sampleであり、呼吸による振動周期が5秒程度ならば、25sample以下が有効となる。
【実施例1】
【0050】
図8(a)〜図8(d)は、光ファイバ式平板状体センサ1の各実施例を示すものである。前述の通り(図3(b)、図3(c))、光ファイバ2に加わる振動や曲げ応力Fによる偏波変動は、光ファイバ2の元の曲がり面に対して垂直方向の振動等が加わったときに比較的大きくなる。そのため、図8(a)〜図8(d)の四種を製作した。
光ファイバ2は布製シーツ3に貼り付けされており、ここでは、被覆外径0.5mm程度、心線クラッド径0.125mmφの単一モードの光ファイバ2を、合成樹脂製接着剤により合成樹脂と天然繊維の混紡布から成る平板状体へ固着する構成としている。
【0051】
尚、光ファイバ2の平板状体(布製シーツ3)への固着は、如何なる方法であってもよく、例えば布製シーツへ縫い込んだり、或いは薄い2枚の布製シーツの間へ挟み込んだりしてもよい。
また、光ファイバ2は裸線のままでもよいが、外表面に薄い被覆を施した光ファイバ2としてもよいことは勿論である。
更に、光ファイバ2の固着形態(固着した状態の平面形状)は如何なるものであってもよく、ループ型(図8(c))やウエーブ型(図8(d))以外の形状であってもよい。
【実施例2】
【0052】
図9は、図8における光ファイバ2の構造を多心型(心線数n)とした場合の実施例を示すものであり、平板状体センサ1の形状の変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。尚、光源装置4及び偏波変動測定装置5の接続は多芯型光ファイバ2の一方の端部となる。
【実施例3】
【0053】
図10は、光ファイバ2の一方の端部に反射ミラー18を設け、光信号が光ファイバ2内を往復搬送されることにより、平板状体センサ1の形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにしたものである。尚、図10において19は光サーキュレータである。尚、光サーキュレータ19の代りに光カプラを用いてもよい。
【実施例4】
【0054】
前記実施例1乃至実施例3においては、平板状体センサ1を1枚の平らな四角状のシーツ(平板状体)に形成しているが、これを敷き布団や掛け布団、マット、ソファー等のカバー体に加工して、平板状体センサ1として利用してもよいことは勿論である。
また、実施例1〜実施例3の平板状体センサ1をビニルカバーなどにより防水するようにしてもよいことは勿論である。
更に、実施例1〜実施例3の平板状体センサ1を用いて、パジャマや寝間着のような衣服を形成したり、或いは別途に形成した衣服に光ファイバ2を固着することにより、人体のいかなる部分の形状変化をも光ファイバ2の形状変化として検知し得るようにした衣服型の光ファイバ式センサとしてもよい。
加えて、人体の外表面へ直接に貼り付けるようにしたパッド状体に光ファイバを縫込み等することにより、身体への取付け部分の如何なる形状変化をも光ファイバの形状変化に反映できるようにした人体取付け型の光ファイバ式センサとすることも可能である。
【実施例5】
【0055】
図11は一つの偏波変動測定装置5を用いて、複数の光ファイバ式平板状体センサ或いは一つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画を、光ファイバ切換スイッチ20により順次切換え監視する場合を示すものであり、(a)は透過型に、また(b)は反射型に夫々形成されている。尚、図11(a)の19は光サーキュレータである。
【実施例6】
【0056】
図12(a)及び図12(b)は、生体活動監視方法の他の実施例を示すものであり、光源装置4を波長可変型光源21にすると共に、波長分離フィルタ22を光ファイバ切換スイッチ20の代用として用いることにより、一台の偏波変動測定装置5を用いて複数の光ファイバ式平板状体センサ1の偏波変動を順次切換え検出したり、或いは一つの平板状体センサ1の複数の区画を個別的に順次切換え検出するようにしたものである。尚、図12(a)は透過型に、また図12(b)は反射型に夫々構成されている。
【実施例7】
【0057】
図13は、他の生体活動監視方法の実施例を示すものであり、光ファイバ2の途中に光ファイバ回折格子などの特定の波長のみを反射するフィルタ23を複数個組み込み、波長可変光源装置21の波長を変化することにより、一本の光センサ2の特定の区画を個々に区別して監視するようにしたものである。
【実施例8】
【0058】
図14は、一本の光ファイバ2の途中にコネクタ又は部分反射素子24を複数個設け、パルス光源装置25から光パルス信号を送り、光ファイバ2内の散乱光の遅延時間から、一本の光ファイバ2の複数の区画を区別して監視する構成としたものである。
【0059】
尚、前記各実施例1〜実施例8では、光源装置や偏波変動測定装置5を光ファイバ式平板状体センサ1へ直接接続する構成としているが、平板状体センサ1と測定装置5等を長距離に亘って隔離する場合には、一般通信用の光ファイバを用いて平板状体センサ1を構成し、通信用光ファイバを介して直接に平板状体センサ1と偏波変動測定装置5等を連結する構成とすることも可能である。
【実施例9】
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示すように、図8(a)、(b)、(c)、(d)に示す光ファイバ式平板状体センサ1を図2(a)、(b)、(c)の如き状態で使用し、被験者の活動状態を偏波変動測定装置5により測定した。後述する図15は、表1のNo1の測定テスト条件の場合の測定データを示すものである。尚、図15において、縦軸のPowerは光の強度、S1,S2,S3はストークスパラメータ(偏波の3成分)、DOPは偏光度、βは偏波変動量、keyは人の活動の状態を夫々表すものである。
【0062】
【表2】
【0063】
そして、前記各測定データの結果から、被験者の動静をデータ上から目視で判断出来るか否かを判定した。その結果は、表2に示す通りであった。
【0064】
特に、No19のテストの場合(光ファイバ式平板状体センサ1を掛け毛布替わりに使用した場合)には、所謂生データから直接に被験者の呼吸や呼吸の停止等を、明確に判定することができた。
【実施例10】
【0065】
図1に示すウエーブ型の光ファイバ式平板状体センサ1を図2(a)に示す形態で用い、人間(被験者)Hの各種の生体活動により得られた偏波変動量βについて解析をした。
図15は、被験者Hの活動状態(key)と偏波変動測定装置5により検出・演算した各ストークスパラメータS1〜S3、偏光度(DOP)、偏波変動量β、光強度(Power)を示すものである。光強度(Power)は変っていないが、各スロークスパラメータS1,S2,S3や偏波変動量βは大きく変化しているのが分かる。また、静止時には、各ストークスパラメータの幾つかの部分で周期的な変化が見られる。
尚、平板状体センサ1の光ファイバ2は、4心芯型であり、図9に示す如き2往復の構成とされている。
【0066】
図16は、図15に示すストークスパラメータを、前記(5)式による方法でFFT解析した結果であり、図16(a)は上向き静止時の51.2秒間、(b)は横向き静止時の25.6秒間の解析である。横軸は周波数、縦軸はパワースペクトルで数値は104倍している。いずれも0.2Hz付近に強いスペクトルが現れており、呼吸によるものであることが判断できる。
【0067】
図17は、表1に示す試験ケース19について、前記(5)式による方法でFFT解析した結果であり、図17(a)は上向きに静止して普通の呼吸をしている状態の25.6秒間、(b)は上向きに静止して呼吸を停止した状態(無呼吸時)の6.4秒間の解析である。(a)では0.2Hz付近に極めて強いスペクトルが現れており、呼吸によるものであることが容易に判断できる。また(b)では1.1Hz付近にスペクトルのピークが確認され、心拍によるものであることが分かった。
表2に示す目視による評価では、呼吸停止時の偏波変動が微弱なため判断できなかったが、本発明による解析方法により信号の存在を確認できた。
【0068】
前記のようなFFT解析により、微弱振動の有無とその周波数を検出するため、解析時間は対象の振動周期の5倍程度(心拍で6秒、呼吸で数25.6秒)を要する。一方、偏波変動量βは、振動周波数などの解析はできないが、算出にかかる時間遅れはストークスパラメータの移動平均数nおよびβ算出幅m程度になるので、偏波変動の有無を瞬時に判別できる。
図15の偏波変動は、前記(6)式における移動平均数nおよびβ算出幅mが共に1の場合に相当する。寝返り動作や入床離床などの大きな動作の有無はこの結果から直ちに判断できる。
更に、図18は、図15の偏波変動βの波形について、静止時間帯における変動が分かるように縦軸を拡大したものである。
まず、m=1、n=1の場合は、人が入床する前の無信号時の雑音と、人が入床した後の上向静止時および横向静止時の信号との違いが分かり難い。
次に、m=20、n=1の場合は、人が入床する前の無信号時の雑音はそのままで、上向静止時および横向静止時の変動信号が大きく現れてくる。
更に、m=20、n=10にすると、無信号時の雑音が著しく減少し、上向静止時および横向静止時の信号が顕著に判別できることが分かる。
【実施例11】
【0069】
図19は、本発明に係る衣服型の光ファイバ式平板状体センサ26の平面図を示すものであり、所謂天然繊維や合成繊維製のティシャツTに、図1に示した光ファイバ式平板状体センサ1で用いたのと同じ光ファイバ2を固定することにより、当該衣服型光ファイバ式平板状体センサ26が形成されている。
【0070】
より具体的には、木綿製のティシャツの外表面に1心又は4心の光ファイバ2が貼着剤により貼り付け固定されており、且つ光ファイバ2の貼り付け形状は、図19に示す如くウェーブ型(3往復・2段)とホリゾンタル型(3往復)とを複合させた形状になっている。
【0071】
当該衣服型光ファイバ式平板状体センサ26を被験者に着せ、静止した状態で被験者の呼吸の状態を変化させた。被験者は成人男性である。体位を、座位および臥位の2種類とし、また、衣服型光ファイバ式平板状体センサ26を1心及び4心の光ファイバとした2種類として、計4通りのケースについて試験を行った。
尚、呼吸の動作パターンは、何れのケースにおいても普通の呼吸(30秒)→呼吸停止(10秒)→大きい呼吸(20秒)→呼吸停止(10秒)→激しい呼吸(20秒)という一定パターンとした。
【0072】
図20は、体位が臥位で、光ファイバを4心とした衣服型光ファイバ式平板状体センサ26を使用した場合の、光強度、ストークスパラメータS1,S2,S3、および偏波変動量の時間波形の測定結果である。
ストークスパラメータS1,S2,S3または偏波変動量の波形から、呼吸の有無による変化が明確に検出できた。
また、呼吸時には周期的な変化が観測され、普通の呼吸、大きい呼吸および激しい呼吸を比較すると、異なる速度の変化が観測された。
なお、この偏波変動の大きさは、光ファイバが4心のウェーブ型であって、敷布および掛布として使用した場合の試験結果と比べると、敷布の場合(図18)より大きく、掛布の場合よりは若干小さい量であった。また、前記その他の3つのケースについても同様に解析をしたが、何れの場合でも呼吸による偏波変動が観測できた。
【0073】
また、上記図20の結果から、人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサにおいても、呼吸等の動作を偏波変動から検出可能なことが推察できる。例えば、胸の部分に取付ける人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサの場合、図19のような衣服型と比べて、個人の体型に合わせて人体に密着させることができるので、図20と同等かそれ以上の偏波変動を検出できると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、主として病院や介護施設等の患者や被介護者等の遠隔監視に利用されるものであるが、人間以外の動・植物等の生態活動の遠隔監視にも広く適用可能なものである。また、所謂通信ネットワークを活用して、複数の地域に亘る病院や介護施設の患者等の監視を集中的に行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】生体活動の監視方法の実施の一例を示す説明図である。
【図2】光ファイバ式平板状体センサの使用の一例を示す説明図であり、(a)は床面上に、(b)はベッドに、(c)は掛け用として、光ファイバ式平板状体センサを用いた例を示す。
【図3】光ファイバ内を通過する光の偏波変動の説明図であり、(a)は応力Fが加わることによる出射面の偏波状態(楕円化)を示すものである。また、(b)は人間の生体活動による光ファイバ2の変形状態を、(c)は最大の偏波変動を生じる振動や力Fの方向と、光ファイバ2の形状との相対関係を、夫々示す説明図である。
【図4】編変動測定装置5の説明図であり、(a)は全体の基本構成を、また(b)は、偏波状態検出部の基本構成を、(c)は偏波状態検出部と偏波変動量検出部との連絡状態を示す説明図である。
【図5】偏波変動測定装置の偏波状態検出部により検出したストークスパラメータによる偏波変動の表示及び偏波変動量の定義を夫々示すものである。
【図6】偏波変動量βの移動平均処理の概念を示す説明図である。
【図7】偏波変動量βの変動算出幅処理の概念を示す説明図である。
【図8】光ファイバ式平板状体センサの第1実施例を示す平面図である。
【図9】光ファイバ式平板状体センサの第2実施例を示す説明図である。
【図10】光ファイバ式平板状体センサの第3実施例を示す説明図である。
【図11】生体活動監視方法の他の実施例を示す説明図である。
【図12】生体活動監視方法の更に他の実施例を示す説明図である。
【図13】生体活動監視方法の他の実施例を示す説明図である。
【図14】生体活動監視方法の更に他の実施例を示す説明図である。
【図15】被験者の生体活動と偏波変動量βや偏光度DOP等の関係を示す実施例である。
【図16】図15に示したストークスパラメータを前記(5)式による方法でFFT解析した結果を示すものであり、図16(a)は上向き静止時の51.2秒間、(b)は横向き静止時の25.6秒間の解析結果を夫々示すものである。
【図17】前記表1に示した試験ケース19(KW401)について、前記(5)式による方法でFFT解析した結果をしめすものであり、図17(a)は上向き静止時の普通呼吸状態下の25.6秒間、(b)は上向き静止時の呼吸停止状態下(無呼吸時)の6.4秒間の解析結果を夫々示すものである。
【図18】図15の偏波変動量βの波形について、静止時間帯における変動がわかるように縦軸を拡大し、mやnの値を変更した時の信号の違いを表したものである。
【図19】衣服型の光ファイバ式平板状体センサの一例を示す平面図である。
【図20】衣服型の光ファイバ式平板状体による人の呼吸の状態と偏波変動量やストークスパラメータの関係を示す実施例の波形である。
【符号の説明】
【0076】
Hは人間
1は光ファイバ式平板状体センサ
2は光ファイバ
3は布製シーツ(平板状体)
4は光源装置
5は偏波変動測定装置
6は床
7はベッド
8はマット
9はパッド
10は布製シーツ
11は掛毛布
12は偏波状態検出部
13は偏波変動量検出部
S1,S2,S3はストークスパラメータ
βは偏波変動量
14は偏波分岐素子
15は施光子
16はλ/4板
17は受光器
18は反射ミラー
19は光サーキュレータ
20は光ファイバ切替スイッチ
21は波長可変型光源
22は波長分離フィルタ
23はフィルタ
24はコネクタ部又は部分反射素子
25はパルス光源装置
26は衣服型の光ファイバ式平板状体センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドや布団、パッド、畳などを用いた就寝を伴う居住環境における人間の動作の有無や生体活動を監視する方法において、平板状体に光ファイバを固定若しくは混入して成る光ファイバ式平板状体センサを敷設するか又は被せると共に、光源から前記光ファイバ内へ光を入射し、人間の動作や生体活動に伴って前記光ファイバ式平板状体センサの形状の変化により生じた光ファイバ内を伝搬する光の偏波状態の変化を偏波変動測定装置により検出し、当該偏波変動の検出値から人間の活動や動静を判別することを特徴とする生体活動監視方法。
【請求項2】
平板状体をシーツ、敷布、掛布、毛布、マット、パッド、畳、上敷又はカーペットの何れかとするようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項3】
光ファイバ内を伝搬する光の偏波変動測定装置を用いて、光の偏波状態を表す3つのストークスパラメータの時間波形をそれぞれフーリエ変換し、そのパワースペクトルの合計から呼吸や心拍などの固有の周期振動を検出するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項4】
光ファイバ内を伝搬する光の偏波変動測定装置を用いて、3つのストークスパラメータ、偏波楕円あるいは直交偏波間位相差などで表される偏波状態パラメータの現在値に対し、前記請求項3などで得られた固有の振動周期の1/4〜1/2の時間前の偏波状態パラメータとの差を偏波変動量として算出することにより、高速かつ高感度な人間の生体活動や動静の検出を可能とするようにした請求項1又は請求項3に記載の生体活動監視方法。
【請求項5】
偏波変動量の算出にあたり、サンプリングされた偏波状態パラメータを移動平均し、その移動平均の幅を、前記請求項3などで得られた振動周期の1/4〜1/2にすることで信号中のランダム雑音を効果的に除去することにより、高感度な人間の生体活動や動静の検出を可能にするようにした請求項3又は請求項4に記載の生体活動監視方法。
【請求項6】
寝返りなどの動作に対しては偏波変動信号が非周期性であるが変動幅が大きいこと、及び静止時の呼吸や無呼吸時の心拍に対しては偏波変動幅は微弱であるが周期性があることなどを利用して、人間の活動の有無だけでなく活動の種類を判別するようにした請求項1、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の生体活動監視方法。
【請求項7】
人間が平板状体の任意の面を意図的に叩いたり、あるいは蹴ったりしたときのパターンによって、人間から偏波変動測定装置へ信号を伝えることを可能にするようにした請求項3に記載の生体活動監視方法。
【請求項8】
光源装置及び偏波変動測定装置を、複数の光ファイバ式平板状体センサの光ファイバ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画の光ファイバへ光ファイバ切替えスイッチにより切り替え接続することにより、1つの偏波変動測定装置で前記複数の光ファイバ式平板状体センサ又は複数の区画の光ファイバを順次監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項9】
複数の光ファイバ式平板状体センサの光ファイバ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画の光ファイバへ、波長分離フィルタを用いて波長可変光源から順次光ファイバを切り替えて光を入射することにより、1つの偏波変動測定装置で複数の光ファイバ式平板状体センサ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画を順次監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項10】
光ファイバ式平板状体センサの光ファイバの途中に、光ファイバ回折格子などの特定の波長を反射するフィルタを複数組み込み、光源装置の波長を変えることによって、1本の光ファイバの特定の区画を区別して監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項11】
光ファイバ式平板状体センサの光ファイバの片端から光パルスを送り、その光ファイバ中の散乱光の遅延時間から1本の光ファイバの特定の区画を区別して監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項12】
光ファイバ式平板状体センサの光ファイバを通信用光ファイバとして、当該光ファイバを通信用光ファイバに接続することにより、遠方から人間の動静を監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項13】
平板状体の全体に光ファイバを固定して張り巡らすことにより、平板状体外表面のいかなる部分の形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項14】
平板状体の全体に極く細い被覆を施した光ファイバを縫い込むことにより、光ファイバを組み込んだ平板状体の重さ、厚さ、柔軟性を通常の布製シーツと殆ど変らないようにし、就寝などにおける布製シーツの使用と同様の使用感を与えるようにした請求項13に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項15】
平板状体をシーツ、敷布、掛布、毛布、マット、パッド、畳、上敷又はカーペットの何れかとするようにした請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項16】
光ファイバの貼付け又は縫込み形態を直線状、波状、ループ状などの複雑な形態とすることにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めたことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項17】
光ファイバの心線数を多心化することにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めたことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項18】
光ファイバの一方に反射ミラーを設け、光信号が光ファイバ中を往復して伝送することにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにした請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項19】
光ファイバ式平板状体センサを敷き布団・掛け布団・マット・ソファなどのカバーに加工するようにした請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項20】
ビニルカバーなどにより防水加工を施した請求項19に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項21】
就寝時や検査時、活動状態の被監視時等に人体に纏うパジャマや寝間着、患者衣、看護服等の衣服に光ファイバを縫い込みまたは接着することにより、人体のいかなる部分の形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした衣服型の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項22】
腹巻き状、包帯状又は貼り付けシート状の人体取付けパッドに光ファイバを縫い込みまたは接着させることにより、取付け部分のいかなる形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項1】
ベッドや布団、パッド、畳などを用いた就寝を伴う居住環境における人間の動作の有無や生体活動を監視する方法において、平板状体に光ファイバを固定若しくは混入して成る光ファイバ式平板状体センサを敷設するか又は被せると共に、光源から前記光ファイバ内へ光を入射し、人間の動作や生体活動に伴って前記光ファイバ式平板状体センサの形状の変化により生じた光ファイバ内を伝搬する光の偏波状態の変化を偏波変動測定装置により検出し、当該偏波変動の検出値から人間の活動や動静を判別することを特徴とする生体活動監視方法。
【請求項2】
平板状体をシーツ、敷布、掛布、毛布、マット、パッド、畳、上敷又はカーペットの何れかとするようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項3】
光ファイバ内を伝搬する光の偏波変動測定装置を用いて、光の偏波状態を表す3つのストークスパラメータの時間波形をそれぞれフーリエ変換し、そのパワースペクトルの合計から呼吸や心拍などの固有の周期振動を検出するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項4】
光ファイバ内を伝搬する光の偏波変動測定装置を用いて、3つのストークスパラメータ、偏波楕円あるいは直交偏波間位相差などで表される偏波状態パラメータの現在値に対し、前記請求項3などで得られた固有の振動周期の1/4〜1/2の時間前の偏波状態パラメータとの差を偏波変動量として算出することにより、高速かつ高感度な人間の生体活動や動静の検出を可能とするようにした請求項1又は請求項3に記載の生体活動監視方法。
【請求項5】
偏波変動量の算出にあたり、サンプリングされた偏波状態パラメータを移動平均し、その移動平均の幅を、前記請求項3などで得られた振動周期の1/4〜1/2にすることで信号中のランダム雑音を効果的に除去することにより、高感度な人間の生体活動や動静の検出を可能にするようにした請求項3又は請求項4に記載の生体活動監視方法。
【請求項6】
寝返りなどの動作に対しては偏波変動信号が非周期性であるが変動幅が大きいこと、及び静止時の呼吸や無呼吸時の心拍に対しては偏波変動幅は微弱であるが周期性があることなどを利用して、人間の活動の有無だけでなく活動の種類を判別するようにした請求項1、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の生体活動監視方法。
【請求項7】
人間が平板状体の任意の面を意図的に叩いたり、あるいは蹴ったりしたときのパターンによって、人間から偏波変動測定装置へ信号を伝えることを可能にするようにした請求項3に記載の生体活動監視方法。
【請求項8】
光源装置及び偏波変動測定装置を、複数の光ファイバ式平板状体センサの光ファイバ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画の光ファイバへ光ファイバ切替えスイッチにより切り替え接続することにより、1つの偏波変動測定装置で前記複数の光ファイバ式平板状体センサ又は複数の区画の光ファイバを順次監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項9】
複数の光ファイバ式平板状体センサの光ファイバ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画の光ファイバへ、波長分離フィルタを用いて波長可変光源から順次光ファイバを切り替えて光を入射することにより、1つの偏波変動測定装置で複数の光ファイバ式平板状体センサ又は1つの光ファイバ式平板状体センサの中の複数の区画を順次監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項10】
光ファイバ式平板状体センサの光ファイバの途中に、光ファイバ回折格子などの特定の波長を反射するフィルタを複数組み込み、光源装置の波長を変えることによって、1本の光ファイバの特定の区画を区別して監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項11】
光ファイバ式平板状体センサの光ファイバの片端から光パルスを送り、その光ファイバ中の散乱光の遅延時間から1本の光ファイバの特定の区画を区別して監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項12】
光ファイバ式平板状体センサの光ファイバを通信用光ファイバとして、当該光ファイバを通信用光ファイバに接続することにより、遠方から人間の動静を監視するようにした請求項1に記載の生体活動監視方法。
【請求項13】
平板状体の全体に光ファイバを固定して張り巡らすことにより、平板状体外表面のいかなる部分の形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項14】
平板状体の全体に極く細い被覆を施した光ファイバを縫い込むことにより、光ファイバを組み込んだ平板状体の重さ、厚さ、柔軟性を通常の布製シーツと殆ど変らないようにし、就寝などにおける布製シーツの使用と同様の使用感を与えるようにした請求項13に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項15】
平板状体をシーツ、敷布、掛布、毛布、マット、パッド、畳、上敷又はカーペットの何れかとするようにした請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項16】
光ファイバの貼付け又は縫込み形態を直線状、波状、ループ状などの複雑な形態とすることにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めたことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項17】
光ファイバの心線数を多心化することにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めたことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項18】
光ファイバの一方に反射ミラーを設け、光信号が光ファイバ中を往復して伝送することにより、光ファイバ式平板状体センサの形状変化に対する偏波変動の発生感度を高めるようにした請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項19】
光ファイバ式平板状体センサを敷き布団・掛け布団・マット・ソファなどのカバーに加工するようにした請求項13又は請求項14に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項20】
ビニルカバーなどにより防水加工を施した請求項19に記載の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項21】
就寝時や検査時、活動状態の被監視時等に人体に纏うパジャマや寝間着、患者衣、看護服等の衣服に光ファイバを縫い込みまたは接着することにより、人体のいかなる部分の形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした衣服型の光ファイバ式平板状体センサ。
【請求項22】
腹巻き状、包帯状又は貼り付けシート状の人体取付けパッドに光ファイバを縫い込みまたは接着させることにより、取付け部分のいかなる形状変化をも光ファイバの形状変化に反映させ得るようにした人体取付け型の光ファイバ式平板状体センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−61306(P2007−61306A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250154(P2005−250154)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(000163419)株式会社きんでん (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(000163419)株式会社きんでん (37)
【Fターム(参考)】
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