説明

生体組織接着剤塗布具

【課題】詰まりが発生しにくい生体組織接着剤塗布具を提供する。
【解決手段】先端部に突出形成された口部211を有するシリンジ外筒21,31と、シリンジ外筒内に挿入されたガスケットをシリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子23、33を有する2本のシリンジを備え、各シリンジ外筒と各ガスケットとで形成された空間に液組成がそれぞれ異なる生体組織接着剤用の液体が充填された生体組織接着剤塗布具1であって、第1シリンジ2及び第2シリンジ3の各シリンジ外筒21,31が有する各口部211,311に接続可能なノズル本体5を備え、ノズル本体は、人体に刺入可能な筒状の挿入管52と、挿入管内に一方の端部がそれぞれ配置され、第1シリンジ及び第2シリンジの各シリンジ外筒が有する口部に他方の端部がそれぞれ接続される第1管路53及び第2管路54と、挿入管52内に配置される加熱手段55を備える生体組織接着剤塗布具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織接着剤塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
人間又は動物に対して、生体組織接着剤は、生体組織の表面に強く接着して液漏れ(血液、髄液、膵液など)と気漏れ(気胸)の阻止、開裂部のシール、縫合部の補強、欠陥組織の被覆、などに広く用いられている。動物性タンパク質を主成分とする生体組織接着剤は、タンパク質の溶液とこのタンパク質の凝塊形成を促進する凝固因子或いはタンパク質架橋剤の溶液とを混ぜ合わせることにより現場で形成される。この種の生体組織接着剤を使用する場合、たとえばフィブリノゲンを含有する溶液をトロンビン含有溶液と混合し、これを生体組織接着に用いる場合には、従来、一方の溶液を適用部位に塗布し、これに他方の溶液を被覆する方法、または2つの溶液を混合溶液内などであらかじめ混合し、それをシリンジに吸い込んで、次いで接着すべき部位に塗布する方法が採用されていた。
【0003】
しかし、1番目の方法は、2つの溶液が完全に混合しないうちに表面の固化が生じるために混合が不完全となり、従って接着力の低下が生じるという問題がある。また2番目の方法は、2つの溶液を混合すると直ちに接着剤の固化が起こってしまうので、2溶液の混合後素早く接着剤を適用部位に塗布しなければならず、相当の熟練を必要とし、たとえ適用できたとしても適用部位が限られるという問題があった。
【0004】
そこで、フィブリノゲンを含有する溶液をトロンビン含有溶液と混合する場合、上記の問題から、それぞれ2本のシリンジに各溶液をあらかじめ収納しておき、これらシリンジに収納された2つの溶液を同時に注出させ、さらに混合部分に無菌ガスを噴射させることで、2つの溶液が霧化されて混合され、目的の患部に塗布される方法が用いられている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−238887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら本器具を用いた不具合として先端部での詰まりという現象がしばしば発生していた。これは特に断続して使用する際に多く発生しており、その原因は噴霧中にフィブリノゲン溶液とトロンビン溶液の霧状の微粒子が術野より反射し、ノズルチップ先端の異なる溶液と接触することにより凝固が進むことにより詰まりが発生していた。また、中断時間が長い場合においては大気との接触による乾燥等によっても詰まりが発生する場合があった。この場合本器具の交換を余儀なくされることはいうまでも無く、特に高価な製剤が無駄にされていた。また本発明で生体組織接着剤として用いられるゼラチンにおいては、適切な塗布具は無かった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、詰まりが発生しにくい生体組織接着剤塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、先端部に突出形成された口部を有するシリンジ外筒と、該シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、該ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とをそれぞれ有する第1シリンジ及び第2シリンジを備え、前記各シリンジ外筒と前記各ガスケットとで形成された空間に液組成がそれぞれ異なる生体組織接着剤用の液体が充填された生体組織接着剤塗布具であって、前記第1シリンジ及び前記第2シリンジの各シリンジ外筒が有する各口部に接続可能なノズル本体を備えており、前記ノズル本体は、人体に刺入可能な筒状の挿入管と、前記挿入管内に一方の端部がそれぞれ配置され、第1シリンジ及び第2シリンジの各シリンジ外筒が有する口部に他方の端部がそれぞれ接続される第1管路及び第2管路と、前記挿入管に配置される加熱手段を備える生体組織接着剤塗布具により達成される。
【0009】
このような構成の生体組織接着剤塗布具は、挿入管内に配置される第1管路及び第2管路を加熱手段により加熱することができるため、第1管路内及び/又は第2管路内を流通する液体が固化することを効果的に防止することができる。特に第1シリンジ(或いは第2シリンジ)に貯留される液体が、ゼラチンを含有する液体である場合には、当該液体は、常温でゲル化してしまうが、加熱手段により加熱することによりゲル化した当該液体を粘度の低い溶液に状態変化させることができ、詰まりが発生することを防止して、患者の患部に塗布することが可能になる。
【0010】
また、上記生体組織接着剤塗布具において、前記液組成がそれぞれ異なる生体組織接着剤用の液体は、一方が、ゼラチンを含有する液体であり、他方が、ゼラチンを固化させる液体であることが好ましい。
【0011】
また、前記加熱手段は、前記第1管路及び前記第2管路に沿って配置される抵抗発熱線を備えることが好ましい。このような構成を採用することにより、挿入管内に配置される第1管路及び第2管路を効果的に加熱しつつ、挿入管の直径を小さくすることが可能となる。
【0012】
また、前記抵抗発熱線は、絶縁体により被覆されていることが好ましい。このように絶縁体により抵抗発熱線を被覆することにより、挿入管に配置される抵抗発熱線同士や、抵抗発熱線と挿入管とが短絡することを防止することができる。
【0013】
また、熱伝導性材料から形成され、前記第1シリンジ及び前記第2シリンジの各シリンジ外筒の少なくとも一部を保持する保持部を備えており、前記保持部は、前記第1シリンジ及び前記第2シリンジの各シリンジ外筒の少なくとも一部が載置される載置凹部が形成される保持部本体と、前記保持部本体に対して開閉自在に取り付けられ、載置された前記各シリンジ外筒の露出面を被覆する被覆凹部が形成される保持部蓋体とを備えており、前記保持部本体及び保持部蓋体の少なくともいずれか一方に第2の加熱手段が設置されていることが好ましい。
【0014】
このように、第1シリンジ及び第2シリンジの各シリンジ外筒が載置される保持部本体と、前記保持部本体に対して開閉自在に取り付けられる保持部蓋体とを有する保持部を備えるように構成した場合、第1シリンジ及び第2シリンジの設置や取り外しを容易に行なうことが可能となる。また、保持部本体及び保持部蓋体少なくともいずれか一方に第2の加熱手段を設置するように構成しているため、確実かつ効率よく保持部本体及び保持部蓋体を加熱することが可能になり、その結果、第1シリンジ及び第2シリンジに貯留される液体が固化することを効果的に防止することができる。また、固化した液体を加熱することにより、粘度の低い溶液に状態変化させることができ、詰まりが発生することを防止することが可能になる。
【0015】
また、前記挿入管内に配置される温度検出手段を更に備えることが好ましい。このように温度検出手段を挿入管内に備えることにより、検出された温度に基づいて加熱手段の発熱温度を制御して、第1管路内及び第2管路内の液体の温度を所望の温度となるようにコントロールすることが可能となり、また、加熱手段の発熱温度を変更することにより、両液体を混合した混合液のゲル化速度を調節することも可能となる。
【0016】
また、前記挿入管は、可撓管であることが好ましい。このような構成によれば、例えば、内視鏡手術時のように切開領域が狭いような場合であっても、挿入管を曲げて体内に挿入することにより、体内における患部に生体組織接着剤を確実に塗布することが可能となり、手術を行う者の操作性(ハンドリング)を良好なものとすることが可能となる。
【0017】
前記挿入管の外表面を被覆可能な熱伝導性の低い部材からなる被覆体を更に備えることが好ましい。このような被覆体を備えることにより、挿入管の内部に備えられる加熱手段が発する熱が挿入管外部に放熱することを効果的に防止し、挿入管内部を効率よく加熱することができる。また、被覆体を備えることにより、挿入管を患者の体内に挿入する際に、挿入管内の加熱手段が発生する熱が生体組織に伝わることを防止することができ、熱による組織障害が健全な生体組織に発生することを防止することができる。更に、挿入管の外表面に被覆体を備えることにより、患者の血液等の体液が、直接挿入管の外表面に付着することを防止することができるため、体液付着による挿入管の冷却を防止することができる。この結果、挿入管内部の温度が低下することを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、詰まりが発生しにくい生体組織接着剤塗布具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体組織接着剤塗布具の概略構成平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る生体組織接着剤塗布具の概略構成側面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】生体組織接着剤塗布具1が有する保持部本体の概略構成平面図である。
【図5】生体組織接着剤塗布具1が有するノズル本体の概略構成斜視図及び当該ノズル本体内に設置される各部材の概略構成斜視図である。
【図6】図1に示す生体組織接着剤塗布具に装填される第1シリンジ(第2シリンジ)の部分縦断面図である。
【図7】図1に示す生体組織接着剤塗布具の変形例を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る生体組織接着剤塗布具について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る生体組織接着剤塗布具1の概略構成平面図であり、図2は、概略構成側面図である。図3は、図1のA−A断面図であり、図4は、生体組織接着剤塗布具1が有する保持部本体421の概略構成平面図である。図5は、生体組織接着剤塗布具1が有するノズル本体5の概略構成斜視図及び当該ノズル本体5内に設置される各部材の概略構成斜視図である。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0021】
本発明に係る生体組織接着剤塗布具1は、液組成が異なる2種の液体(第1の液体L1、第2の液体L2)を混合しながら塗布するものである。図1〜図4に示すように、この生体組織接着剤塗布具1は、第1の液体L1を収納する第1シリンジ2と、第2の液体L2を収納する第2シリンジ3と、第1シリンジ2および第2シリンジ3が装填される塗布具本体4と、ノズル本体5と、操作手段6とを備えている。
【0022】
まず、第1シリンジ2および第2シリンジ3の構成について説明する。第1シリンジ2と第2シリンジ3とは、ほぼ同様の構成であるため、代表的に第1シリンジ2について説明する。
【0023】
図6に示すように、本実施形態における第1シリンジ2は、シリンジ外筒21と、シリンジ外筒21内に挿入され当該シリンジ外筒21内で摺動し得るガスケット22と、ガスケット22をシリンジ外筒21の長手方向(軸方向)に沿って移動操作する押し子23(プランジャロッド)とを備えている。ガスケット22は、押し子23の先端に連結されている。
【0024】
シリンジ外筒21は、有底筒状の部材で構成されており、先端側底部の中央部には、シリンジ外筒21の胴部に対し縮径した口部211が一体的に突出形成されている。
【0025】
シリンジ外筒21の後端外周には、フランジ212が一体的に形成されており、シリンジ外筒21の外周面には、液量を示す目盛りが付されている。
【0026】
シリンジ外筒21の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂及びガラスが挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。なお、シリンジ外筒21の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
【0027】
シリンジ外筒21内に挿入(収容)されているガスケット22は、弾性材料で構成されている。ガスケット22の外周部には、複数(2つ)のリング状の突部221が全周にわたって形成されており、これらの突部221がシリンジ外筒21の内周面に密着しつつ摺動することで、液密性をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0028】
また、ガスケット22には、その後端面に開放する中空部222が形成されており、当該中空部222内に、後述する押し子23のヘッド部232が設置されている。
【0029】
ガスケット22の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0030】
押し子23は、横断面が十文字状をなす棒状の本体部231を有している。本体部231の先端側には、ガスケット22の中空部222内に挿入され、ガスケット22と連結されるヘッド部232が形成されている。ガスケット22とヘッド部232との連結は、種々の方法により行なうことが可能である。例えば、ガスケット22の中空部222の内周面に雌ネジを形成すると共に、ヘッド部232の外周面に雄ネジを形成し、雄ネジを雌ネジと螺合することにより両者を連結してもよい。なお、螺合による連結に限らず、例えば凹凸嵌合等により連結された構成、接着、融着等により固着された構成、一体成形された構成であってもよい。
【0031】
また、本体部231の後端側には、円盤状のフランジ233が形成されている。押し子23の構成材料としては、前述したシリンジ外筒21の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0032】
第1シリンジ2は、塗布具本体4に装填される以前に、シリンジ外筒21とガスケット22とで囲まれた空間(貯液空間)に、第1の液体L1が充填される。
【0033】
第2シリンジ3は、第1シリンジ2と同様に、シリンジ外筒31と、シリンジ外筒31内で摺動し得るガスケット32と、ガスケット32を移動操作する押し子33とで構成され、シリンジ外筒31とガスケット32とで囲まれた空間に第2の液体L2が充填される。各部の構成は同様であるため、その説明は省略する。なお、第1シリンジ2に充填される第1の液体L1と、第2シリンジ3に充填される第2の液体L2とは、それらの組成(成分)が異なる液体である。
【0034】
本発明においては、第1の液体L1と第2の液体L2とは、生体組織接着剤塗布具1の用途、使用目的、症例等に応じて適宜選定されるが、例えば、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、ゼラチンを含有する液体(溶液等)であり、他方は、ゼラチンを固化させる液体(溶液等)であることが好ましい。ゼラチンを固化させる液体としては、例えば、グルタルアルデヒドを含有する液体を例示することができる。
【0035】
このような組み合わせの第1の液体L1および第2の液体L2は、それらを混合すると、変質、すなわち、ゲル化(非流動化)する。ゲル化することにより、例えば、第1の液体L1と第2の液体L2とが混合したもの(以下、「混合液」という)が、塗布された生体組織(目的部位)に確実に留まることができる。また、混合液が目的部位に確実に留まるため、当該目的部位において、生体組織接着材としての機能を確実に発揮することができる。
【0036】
なお、第1の液体L1および第2の液体L2の種類および組み合わせは、上述したものに限定されず、タンパク質の溶液とタンパク質の架橋剤となる物質の溶液という組み合わせであればよい。例えば、用いられるタンパク質としては、ゼラチン、コラーゲン、アルブミンなどが例示できる。また、架橋剤としてはホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、エポキシ化合物などが例示できる。
【0037】
第1の液体L1が充填された第1シリンジ2と、第2の液体L2が充填された第2シリンジ3とが装填される塗布具本体4は、図1及び図2に示すように、第1シリンジ2および第2シリンジ3を並列に並べて固定するものである。この塗布具本体4は、プレート状の基台部41と、基台部41上に設置されるブロック状の保持部42とを備えている。
【0038】
保持部42は、図1〜図4に示すように、保持部本体421と保持部蓋体422とを備えている。保持部本体421は、基台部41上に固定されている。保持部本体421と保持部蓋体422とは、ヒンジ機構423により連結されており、保持部蓋体422が保持部本体421に対して開閉自在に取り付けられている。保持部本体421の上面には、第1シリンジ2及び第2シリンジ3の各シリンジ外筒21,31の全域或いは一部がそれぞれ載置(収納)される載置凹部424が形成されている。また、保持部蓋体422を保持部本体421上に配置した場合の保持部蓋体422における保持部本体421との対向面には、保持部本体421に載置された各シリンジ外筒21,31の露出面を被覆する被覆凹部425が形成されている。なお、図1および図2に示すように蝶ボルト等の固定手段426により、保持部蓋体422を保持部本体421上に配置した状態でロック可能となるように構成されている。このように、保持部42を、第1シリンジ2及び第2シリンジ3の各シリンジ外筒21,31が載置される保持部本体421と、前記保持部本体421に対して開閉自在に取り付けられる保持部蓋体422とを備えるように構成することにより、第1シリンジ2及び第2シリンジ3の設置や取り外しを容易に行なうことが可能となる。
【0039】
また、保持部本体421の上面であって、両載置凹部424,424の間には、後述する加熱手段55が有するコネクタ部552が嵌合する嵌合部45を設置するための嵌合部用凹部451が形成されている。また、保持部蓋体422を保持部本体421上に配置した場合の保持部蓋体422における保持部本体421との対向面には、保持部本体421に載置される嵌合部45の露出面を被覆する嵌合部用被覆凹部452が形成されている。
【0040】
また、保持部本体421に形成される載置凹部424の先端には、ストッパ壁427,428がそれぞれ設けられており、当該ストッパ壁427,428に溝427a,428aが形成されている。第1シリンジ2および第2シリンジ3を装填するとき、溝427aには、第1シリンジ2の口部211が挿入され、溝428aには、第2シリンジ3の口部311が挿入される。また、保持部蓋体422に形成される被覆凹部425の先端にもストッパ壁429,430がそれぞれ設けられており、当該ストッパ壁429,430に溝429a,430aが形成されている。保持部蓋体422を保持部本体421上に載置した場合、溝429aは、第1シリンジ2の口部211に被さるように配置され、溝430aは、第2シリンジ3の口部311に被さるように配置される。
【0041】
ノズル本体5は、第1シリンジ2及び第2シリンジ3の各シリンジ外筒21,31が有する各口部211,311に接続可能に構成される部材であり、ノズル基部51と、挿入管52と、第1管路53と、第2管路54と、加熱手段55と、温度検出手段56とを備えている。
【0042】
ノズル基部51は、内部空間511を有しており、この内部空間511に挿入管52の一方の端部が収容されるように構成されている。また、ノズル基部51の内部には、後述する第1管路53及び第2管路54が備えるスリーブSや、加熱手段55における加熱体551及び温度検出手段56に接続するコネクタ部552を設置するための設置部512が形成されている。ノズル基部51は、例えば、ステンレスやアルミニウム等の熱伝導性に優れる金属材料から形成することが好ましい。また、熱伝導性に優れる材料であれば、金属材料に限定されず、各種プラスチック材料からノズル基部51を形成することもできる。
【0043】
挿入管52は、人体に刺入可能な長尺な筒状の部材であり、一方の端部がノズル基部51の内部空間511内に配置されるようにノズル基部51に接続している。この挿入管52は、ステンレスやアルミニウム等の熱伝導性に優れる金属材料から形成することが好ましい。また、熱伝導性に優れる材料であれば、金属材料に限定されず、各種プラスチック材料からノズル基部51を形成することもできる。
【0044】
第1管路53及び第2管路54は、第1シリンジ2及び第2シリンジ3の口部211,311から吐出される第1の液体L1及び第2の液体L2を患者の患部に導くための管路である。これら第1管路53及び第2管路54は、ノズル基部51及び挿入管52の内部に配置されている。第1管路53及び第2管路54のそれぞれの一方端は、挿入管52内に配置される。また、第1管路53及び第2管路54のそれぞれの他方の端部は、第1シリンジ2及び第2シリンジ3の各口部211,311に接続可能に構成されている。具体的に第1管路53及び第2管路54を説明すると、これら第1管路53及び第2管路54は、可撓性のある合成樹脂材料等により形成されるチューブ本体Tと、チューブ本体Tの一方の端部に設けられる筒状のスリーブSとを備えている。各チューブ本体Tの他方の端部は、挿入管52の他方の端部(先端部)近傍であって、挿入管52内部に配置されている。各スリーブSは、第1シリンジ2及び第2シリンジ3の各口部211,311がそれぞれ嵌入可能に構成されており、ノズル基部51に形成される設置部512に固定可能に構成されている。
【0045】
加熱手段55は、当該挿入管52の内部に配置される第1管路53及び第2管路54を加熱するための部材であり、例えば35℃〜50℃の温度範囲で加熱できるものを好適に用いることができる。この加熱手段55は、挿入管52内に挿入される抵抗発熱線(加熱体551)と、この加熱体551が接続するコネクタ部552とを備えている。コネクタ部552を介して電力を加熱体551に供給することにより加熱体551は発熱し、第1管路53及び第2管路54を加熱することができる。加熱体551である抵抗発熱線は、絶縁体により被覆されており、挿入管52内に配置される第1管路53及び第2管路54に沿って配置されている。なお、抵抗発熱線は、挿入管52内に配置される第1管路53及び第2管路54の長手方向に沿って直線状に配置してもよく、或いは、挿入管52内に配置される第1管路53及び第2管路54の周囲を螺旋状に巻回するように沿わせて抵抗発熱線を配置してもよい。また、コネクタ部552は、その先端部がノズル基部51の基端部から外方に向けて突出するようにしてノズル基部51に形成される設置部512に固定される。このコネクタ部552は、保持部42が備える嵌合部45に嵌合可能に構成されている。なお、嵌合部45には、配線ケーブル441が接続されており、配線ケーブル441、嵌合部45及びコネクタ部552を介して、加熱体551に電力が供給される。
【0046】
温度検出手段56は、挿入管52内に設置され、加熱手段55により加熱された挿入管52内の温度を計測するための部材である。温度検出手段56としては、例えば、熱電対を例示することができる。この温度検出手段56は、上述の加熱手段55が備えるコネクタ部552に接続しており、当該コネクタ部552、嵌合部45及び配線ケーブル441を介して熱起電力等の温度検出信号が検出されるように構成されている。なお、温度検出手段56は、挿入管52内に配置される第1管路53及び第2管路54内を流通する液体L1,L2の温度調節に資するために設けられるものであるため、この目的が達成される限りその設置場所については特に限定されない。
【0047】
また、加熱手段55及び温度検出手段56は、外部に配置される制御装置(図示せず)に接続している。制御装置は、調温手段を備えており、温度検出手段56からの温度検出信号により温度を検知して、挿入管52内に配置される第1管路53及び第2管路54内の液体L1,L2の温度が所定温度となるように、加熱手段55の発熱温度を自動的にコントロールできるように構成されている。
【0048】
このように構成されるノズル本体5は、保持部42に装填される第1シリンジ2及び第2シリンジ3の各口部211,311を設置部512に配置されるスリーブS,Sに嵌入することにより、また、保持部42が備える嵌合部45にコネクタ部552を嵌合させることにより、保持部42に着脱自在に取り付けられる。
【0049】
操作手段6は、保持部42に装填された第1シリンジ2および第2シリンジ3の押し子23,33を先端方向(図1および図2の矢印C方向)に押圧するための手段であり、保持部42が有する基台部41に接続している。この操作手段6は、押圧具61と把持具62とを備えている。
【0050】
押圧具61は、後述する移動コマ624との係合部となるノコ歯状に複数形成された移動ツメ611を一方面に備える板状体612と、当該板状体612の端部に立設される押圧部613とを備えている。この押圧具61は、塗布具本体4に対してその長手方向(図2における左右方向)に移動可能に設置されている。押圧具61における板状体612は、塗布具本体4と把持具62との間に配置されている。なお、保持部42に保持される第1シリンジ2および第2シリンジ3の種類によっては、押圧具61における押圧部613と、第1シリンジ2および/又は第2シリンジ3が備える押し子23(33)のフランジ233(333)との間に隙間が生じる場合もあるが、このような場合には、図1および図2に示すようにスペーサー514を当該隙間に設置することにより対処すればよい。
【0051】
把持具62は、押圧部613が第1シリンジ2および第2シリンジ3の押し子23,33を押圧するように当該押圧具61を移動させるためのものであり、図2に示すように、ハンドル部621と、トリガー部622と、ハンドル部621およびトリガー部622の相対位置を規制し、引き金操作を可能とするトリガースプリング623とを備えている。トリガー部622の先端部近傍には、移動ツメ611とラチェット係合する移動コマ624が配設されている。トリガー部622をトリガースプリング623の弾性に抗して引く操作(引き金操作)を行なうことにより、トリガー部622の先端部近傍に配設されている移動コマ624が支点625を中心に回動運動し、該移動コマ624が係合する移動ツメ611に引っかかり、係合状態が無くなるまで押圧具61の板状体612を移動させることができる。
【0052】
なお、トリガー部622への把持を緩めるとトリガースプリング623の弾性復元力により、トリガー部622は元の位置に戻され、これに伴い移動コマ624も元の位置に戻るが、移動ツメ611と移動コマ624とはラチェット係合しているため、トリガー部622が元の位置に戻る際に、移動コマ624が移動ツメ611を押圧して板状体612を元の位置に戻すことはない。
【0053】
以上のようなトリガー操作を繰り返すことにより、板状体612の端部に設けられる押圧部613が、第1シリンジ2および第2シリンジ3の押し子23,33を押圧することが可能となり、第1シリンジ2および第2シリンジ3内に収容される第1の液体L1および第2の液体L2を吐出することが可能となる。なお、第1シリンジ2および第2シリンジ3を塗布具本体に装填して、第1の液体L1および第2の液体L2の吐出を開始する場合、シリンジサイズによっては、各液体L1,l2が、第1管路53及び第2管路54の各先端部に到達するタイミングにズレが生じる場合がある。このような事態が生じると、混合されて生成される生体組織接着剤の品質が低下するおそれがあるが、かかる事態は、第1シリンジ2や第2シリンジ3の口部211,311に接続される第1管路53及び第2管路54の各長さや各管路径等を調整することにより、回避することができる。
【0054】
本発明に係る生体組織接着剤塗布具1は、上述のように、挿入管52内に配置される第1管路53及び第2管路54を加熱手段55により加熱することができるため、挿入管52内における第1管路53及び第2管路54を流通する液体が固化して詰まることを効果的に防止することができる。特に第1シリンジ2(或いは第2シリンジ3)に貯留される液体が、ゼラチンを含有する液体である場合には、当該液体は、常温でゲル化してしまうが、加熱手段55により加熱することによりゲル化した当該液体を粘度の低い溶液に状態変化させることができ、詰まりが発生することを防止して、患者の患部に塗布することが可能になる。
【0055】
また、加熱手段55は、第1管路53及び前記第2管路54に沿って配置される抵抗発熱線を備えるように構成されているため、挿入管52内に配置される第1管路53及び第2管路54を効果的に加熱しつつ、挿入管52の直径を小さくすることが可能となる。これにより、体内に刺入される挿入管52が患者に与える負担を軽減することが可能となる。
【0056】
また、抵抗発熱線は、絶縁体により被覆されているため、挿入管52内に配置される抵抗発熱線同士が短絡することや、抵抗発熱線(加熱体551)と挿入管52とが短絡することを防止して、抵抗発熱線が異常発熱することを防止することが可能となる。
【0057】
また、挿入管52内に温度検出手段56を配置しているため、検出された温度に基づいて加熱手段55の発熱温度を制御して、第1管路53内及び第2管路54内の液体L1,L2の温度を所望の温度となるようにコントロールすることが可能となる。また、加熱手段55の発熱温度を変更することにより、液体L1,L2を混合した混合液のゲル化速度を調節することも可能となる。
【0058】
以上、本発明に係る生体組織接着剤塗布具1の実施形態について説明したが、生体組織接着剤塗布具1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態において、保持部本体421及び保持部蓋体422の少なくともいずれか一方に、第2の加熱手段を設置し、保持部本体421及び/又は保持部蓋体422を加熱するように構成してもよい。更に、保持部本体421及び保持部蓋体422の少なくともいずれか一方の所定個所に、熱電対等の温度検出手段(第2の温度検出手段)を埋設し、温度を測定できるように構成してもよい。なお、第2の温度検出手段は、第1シリンジ2および第2シリンジ3内に貯留される液体L1,L2の温度調節に資するために設けられるものであるため、この目的が達成される限りその設置場所については特に限定されない。ここで、保持部42を構成する保持部本体421および保持部蓋体422は、例えば、ステンレスやアルミニウム等の熱伝導性に優れる金属材料から形成することが好ましい。また、熱伝導性に優れる材料であれば、金属材料に限定されず、各種プラスチック材料から保持部42を形成することもできる。
【0059】
第2の加熱手段としては、例えば35℃〜50℃の温度範囲で保持部42を加熱できるものを好適に用いることができる。また、第2の加熱手段は、保持部本体421及び/又は保持部蓋体422の内部に設置してもよく、或いは、保持部本体421の下面および保持部蓋体422の上面の双方又はいずれか一方に設置してもよい。保持部本体421等の内部に第2の加熱手段を埋設する場合には、第2の加熱手段として、カートリッジヒータ等の棒状の加熱体を採用することが好ましい。また、保持部本体421の下面等に第2の加熱手段を設置する場合には、第2の加熱手段として、シートヒータ(面状発熱体)等のシート状の加熱体を採用することが好ましい。なお、シート状の加熱体を保持部本体421の下面等に設置する場合には、安全性の観点から、シート状の加熱体の露出面を断熱性のカバーにより覆うことが好ましい。
【0060】
また、第2の加熱手段及び第2の温度検出手段を備える構成を採用する場合には、第2の加熱手段及び第2の温度検出手段を、配線ケーブルを介して外部に配置される制御装置に接続してもよい。制御装置は、調温手段を備えており、第2の温度検出手段からの出力信号により温度を検知して、保持部本体421に装填される第1シリンジ2および第2シリンジ3内に貯留される液体L1,L2の温度が所定温度となるように、加熱体の発熱温度を自動的にコントロールできるように構成されている。
【0061】
このように保持部本体421及び/又は保持部蓋体422に第2の加熱手段を設置するように構成することにより、確実かつ効率よく保持部本体421及び保持部蓋体422を加熱することが可能となり、その結果、第1シリンジ2及び第2シリンジ3に貯留される液体L1,L2が固化することを効果的に防止することができる。また、仮に、液体L1,L2が固化或いは高粘度状態になったような場合であっても、第2の加熱手段を作動させて加熱することにより、固化或いは高粘度状態になった液体L1,L2を粘度の低い溶液に状態変化させることができ、詰まりが発生することを防止して、患者の患部に塗布することが可能になる。
【0062】
また、第2の加熱手段により発生された熱は、保持部本体421及び/又は保持部蓋体422を介して、ノズル本体5のノズル基部51に伝わることになる。ノズル基部51に伝わった熱は、ノズル基部51の内部に配置される第1管路53及び第2管路54に向けて放熱されるため、当該第1管路53及び第2管路54の内部における液体L1,L2を効果的に加熱することができ、当該液体の固化による詰まりを防止することが可能になる。
【0063】
また、図7に示すように、ステンレスやアルミニウム等の熱伝導性に優れる金属材料や熱伝導性に優れるプラスチック材料から形成される伝熱板7を、ノズル基部51の内部空間511内であって第1管路53及び第2管路54の間に設置してもよい。なお、伝熱板7は、ノズル基部51内における第1管路53及び第2管路54に近接して配置することが好ましい。ノズル基部51の内部には、加熱体551である抵抗加熱線の一部分が配置されていることから、この抵抗加熱線により生成された熱により伝熱板7が加熱される。加熱された伝熱板7は、熱を放熱するため、伝熱板7近傍に配置される第1管路53及び第2管路54を効率よく加熱することができ、第1管路53及び第2管路54内部の液体L1,L2が固化して詰まることをより一層効果的に防止することができる。このように伝熱板7をノズル基部51内に設置する場合、この伝熱板7を効率よく加熱するという観点から、抵抗加熱線と伝熱板7とが互いに接触するように、抵抗加熱線及び伝熱板7を配置することが好ましい。
【0064】
また、上記実施形態においては、操作手段6が、ガンタイプの把持具62と、当該把持具62の引き金操作により第1シリンジ2および第2シリンジ3が有する各押し子23,33を押圧する押圧具61とを備えるように構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、ガンタイプの把持具62を省略し、第1シリンジ2および第2シリンジ3における各押し子23,33が有するフランジ233,333を連結して固定する連結具により操作手段6を構成してもよい。このような構成を採用する場合、連結具を押圧することにより、第1シリンジ2および第2シリンジ3内に収容される第1の液体L1及び第2の液体L2を、挿入管52を介して吐出することが可能となる。
【0065】
また、上記実施形態においては、挿入管52が、可撓性を有する可撓管であることが好ましい。このような構成によれば、例えば、内視鏡手術時のように切開領域が狭いような場合であっても、挿入管52を曲げて体内に挿入することが可能となり、体内における患部に生体組織接着剤を確実に塗布することができ、手術を行う者の操作性(ハンドリング)を良好なものとすることが可能となる。
【0066】
また、上記実施形態において、挿入管52の外表面を被覆可能な被覆体を更に備えるように構成してもよい。被覆体は、例えば、シリコン樹脂やフッ素樹脂、ポリエチレンなどの熱伝導性の低い部材により形成されている。この被覆体は、挿入管52の外表面全域を被覆するように構成されるのが好ましいが、実際に体内に挿入される一部の領域の外表面を被覆するように構成してもよい。このように、熱伝導性が低く、断熱性に優れる被覆体を備えることにより、挿入管52の内部に備えられる加熱手段55が発する熱が挿入管52の外部に放熱することを効果的に防止し、挿入管52の内部を効率よく加熱することができる。また、被覆体を備えることにより、挿入管52を患者の体内に挿入する際に、挿入管52内の加熱手段55が発生する熱が生体組織に伝わることを防止することができ、熱による組織障害が健全な生体組織に発生することを防止することができる。更に、挿入管52の外表面に被覆体を備えることにより、患者の血液等の体液が、直接挿入管52の外表面に付着することを防止することができるため、体液付着による挿入管52の冷却を防止することができる。この結果、挿入管52内部の温度が低下することを抑制することが可能となり、挿入管52内部に配置される第1管路53内及び第2管路54内の液体L1,L2が、固化或いは高粘度状態になることを確実に防止することができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、加熱手段55における抵抗発熱線(加熱体551)は、挿入管52内に挿入されて配置される構成を有しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、挿入管52の外表面を螺旋状に巻回するようにして抵抗発熱線(加熱体551)を配置してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 生体組織接着剤塗布具
2 第1シリンジ
21 シリンジ外筒
211 口部
22 ガスケット
23 押し子
3 第2シリンジ
31 シリンジ外筒
311 口部
32 ガスケット
33 押し子
4 塗布具本体
5 ノズル本体
51 ノズル基部
52 挿入管
53 第1管路
54 第2管路
55 加熱手段
56 温度検出手段
6 操作手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に突出形成された口部を有するシリンジ外筒と、該シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、該ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とをそれぞれ有する第1シリンジ及び第2シリンジを備え、前記各シリンジ外筒と前記各ガスケットとで形成された空間に液組成がそれぞれ異なる生体組織接着剤用の液体が充填された生体組織接着剤塗布具であって、
前記第1シリンジ及び前記第2シリンジの各シリンジ外筒が有する各口部に接続可能なノズル本体を備えており、
前記ノズル本体は、人体に刺入可能な筒状の挿入管と、
前記挿入管内に一方の端部がそれぞれ配置され、第1シリンジ及び第2シリンジの各シリンジ外筒が有する口部に他方の端部がそれぞれ接続される第1管路及び第2管路と、
前記挿入管に配置される加熱手段を備える生体組織接着剤塗布具。
【請求項2】
前記液組成がそれぞれ異なる生体組織接着剤用の液体は、一方が、ゼラチンを含有する液体であり、他方が、ゼラチンを固化させる液体である請求項1に記載の生体組織接着剤塗布具。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記第1管路及び前記第2管路に沿って配置される抵抗発熱線を備える請求項1又は2に記載の生体組織接着剤塗布具。
【請求項4】
前記抵抗発熱線は、絶縁体により被覆されている請求項3に記載の生体組織接着剤塗布具。
【請求項5】
熱伝導性材料から形成され、前記第1シリンジ及び前記第2シリンジの各シリンジ外筒の少なくとも一部を保持する保持部を備えており、
前記保持部は、前記第1シリンジ及び前記第2シリンジの各シリンジ外筒の少なくとも一部が載置される載置凹部が形成される保持部本体と、前記保持部本体に対して開閉自在に取り付けられ、載置された前記各シリンジ外筒の露出面を被覆する被覆凹部が形成される保持部蓋体とを備えており、
前記保持部本体及び保持部蓋体の少なくともいずれか一方に第2の加熱手段が設置されている請求項1から4のいずれかに記載の生体組織接着剤塗布具。
【請求項6】
前記挿入管内に配置される温度検出手段を更に備える請求項1から5のいずれかに記載の生体組織接着剤塗布具。
【請求項7】
前記挿入管は、可撓管である請求項1から6のいずれかに記載の生体組織接着剤塗布具。
【請求項8】
前記挿入管の外表面を被覆可能な熱伝導性の低い部材からなる被覆体を更に備える請求項1から7のいずれかに記載の生体組織接着剤塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161473(P2012−161473A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24156(P2011−24156)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】