生体認証システムおよび生体認証装置、情報記録装置
【課題】使い勝手を良好に保ちつつ、適切に生体認証を実行可能な生体認証システムおよび生体認証装置、情報記録装置を提供する。
【解決手段】生体認証システムは、生体認証装置および情報記録装置を備える。前記情報記録装置は、生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを第2の通信手段により前記生体認証装置に送信する。そして、前記生体認証装置は、前記情報記録装置から送信された前記パラメータを第1の通信手段により受信し、受信した前記パラメータを用いて生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から抽出された特徴パターンを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信する。
【解決手段】生体認証システムは、生体認証装置および情報記録装置を備える。前記情報記録装置は、生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを第2の通信手段により前記生体認証装置に送信する。そして、前記生体認証装置は、前記情報記録装置から送信された前記パラメータを第1の通信手段により受信し、受信した前記パラメータを用いて生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から抽出された特徴パターンを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証による本人確認を行う生体認証システムおよび生体認証装置、情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ等の情報機器を利用し、金融取引や入退室管理を行う場合の本人確認の手段としては、暗証番号やパスワードといった本人のみ知り得る情報を確認することや、カードなどといった本人のみが所持し得る物を用いて確認することなどが一般的であった。しかし、暗証番号やパスワード、カード等は、他人に盗まれてしまった場合になりすましが容易であるという欠点がある。そこで近年においては、指紋や虹彩あるいは指静脈といった、他人が盗むのが困難であると共に各個人で異なっている生体情報を利用した、生体認証が注目されている。例えば、指紋に基づく個人認証は、指紋を指紋センサ上に接触させることで指紋を読み取り、指紋の端点や分岐点といった特徴パターンを抽出し、既に登録されている本人の指紋の特徴パターンと照合することによって、本人か否かを確認する。
【0003】
生体情報を取得する装置は、指紋や指静脈、虹彩、音声などの生体的特徴を得るための生体センサを有している。特許文献1には、生体センサから生体情報を生体認証に適した形で取得するために、生体センサに指を置くためのガイドを設置して位置決めすることにより、指や手のひらから取得する生体情報のばらつきを軽減することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−140247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体情報を生体認証に適した形で取得するためには、指などの生体の位置決めをするだけでなく、生体センサの動作条件を適切に設定することが必要である。ここで、動作条件とは、生体情報を撮像するタイプのセンサであればシャッタースピードやしぼり、光の当て方などであり、音を取得するタイプのセンサであればマイクゲインなどである。例えばシャッタースピードを例に取ると、シャッタースピードが遅すぎると取得された画像の輝度が過度に明るくなると考えられるし、速すぎると画像の輝度は過度に暗くなると考えられる。このような動作条件のパラメータとして、生体認証装置の出荷時に実験結果などに基づいて所定の値が設定される。
【0006】
しかしながら、利用者が生体認証を利用するときの周辺環境は、常に同じであるとは限らない。例えば場所によって照明や外光の明るさが異なったり、利用する時間帯や季節によって温度や湿度などが異なったりする。そのため、周辺環境に応じて、生体情報取得に適したパラメータが異なる可能性がある。特に、生体認証装置が携帯可能である場合には、いろいろな場所で用いられるため、その傾向が顕著になる可能性が高いと考えられる。
【0007】
また、利用者毎に生体的な特徴が異なることにより、生体情報取得に適したパラメータが異なる可能性がある。さらに、この生体的な特徴は温度や体調の影響を受けて変化する。例えば、相対的に気温が高い場合はより発汗し、声などは朝と夕とで平均的な大きさが異なるなどといったことが考えられる。
【0008】
このように周辺環境や利用者などの違いにより、適切に生体情報を取得するためのパラメータが変化するため、パラメータとして所定の値を設定した場合であっても、パラメータを調節することが必要である。しかしながら、パラメータ調節を生体認証のたびに何度も繰り返すと、生体認証にかかる時間が大きくなってしまい、使い勝手が悪いものとなるという問題がある。
【0009】
本発明は、使い勝手を良好に保ちつつ、適切に生体認証を実行可能な生体認証システムおよび生体認証装置、情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる生体認証システムは、生体認証装置および情報記録装置を備える。前記生体認証装置は、前記情報記録装置との間で通信を行う第1の通信手段と、生体情報を取得する生体情報センサと、を備える。前記情報記録装置は、前記生体認証装置との間で通信を行う第2の通信手段と、生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段と、を備える。前記情報記録装置は、前記記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを前記第2の通信手段により前記生体認証装置に送信する。そして、前記生体認証装置は、前記情報記録装置から送信された前記パラメータを前記第1の通信手段により受信し、受信した前記パラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から抽出された特徴パターンを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使い勝手を良好に保ちつつ、適切に生体認証を実行可能な生体認証システムおよび生体認証装置、情報記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、生体認証システムの構成例を示す図である。図1において、1は生体認証装置、2は個人情報記録装置、9は利用者の生体である。本例では、生体認証装置1により生体情報を取得するときに調整した生体センサの動作条件を示す生体センサパラメータを、個人情報記録装置2に記録し、次回の認証処理の際に記録した生体センサパラメータを用いる。これにより、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。
【0013】
生体認証装置1は、利用者の生体9から生体情報を取得する。この装置は、生体情報を取得する専用の装置であってもよいし、入退室管理や金融取引処理、電話など他の機能を有していてもよい。また、利用者の生体9を撮像した画像の輝度を調べるなどして、生体情報を個人認証に適した形で取得したかどうかを一定の条件で判断する機能を有する。
【0014】
個人情報記録装置2は、生体認証装置1によって取得された生体情報の特徴パターンを保存しておく機能と、生体認証装置1が利用者の生体9から生体情報を取得するために用いる生体センサの各種パラメータを保存しておく機能を有し、生体認証装置1から取得した情報で個人認証処理を行う。個人情報記録装置2は個人識別番号など他の情報を保存する機能を有してもよいし、暗号処理機能、金融取引機能など他の機能を有していてもよい。個人情報記録装置2としては、例えばICカードあるいはSIMカード、あるいは携帯電話などを用いる。なお、個人情報記録装置2は生体認証装置1に着脱可能になっていてもよい。例えば、生体認証装置1として携帯電話を用い、個人情報記録装置2としてSIMカードを用いる場合が考えられる。
【0015】
生体認証装置1は、生体情報センサ10と、プログラム格納メモリ11と、演算処理部12と、データ格納メモリ13と、通信部19とを有しており、これらが通信用バスなどで相互に接続されている。
【0016】
生体情報センサ10は生体情報を読み取る機能を有する。生体情報とは、例えば指静脈パターンや、指紋パターン、虹彩パターンなどである。生体情報センサ10は撮像部101と光源部102を有する。撮像部101は利用者の生体9から生体情報の画像を取得する。撮像部101としてはカメラなどを用いる。なお、撮像部101のシャッタースピードや絞りの度合い、ピントなど、撮像に用いられるパラメータの一部または全部を調節する機能を有する。また、光源部102はLEDなどにより構成され、例えば生体情報センサ10が利用者の生体9に光を当てながら撮像部101で撮像する場合などに用いられる。光源部102は光の強さ、周波数、あるいは光を発する角度、光らせる発光素子の数や種類など、発光に用いられるパラメータの一部または全部を調節する機能を有する。
【0017】
プログラム格納メモリ11は、生体認証装置1が処理を行うための制御プログラムを格納し、半導体メモリやハードディスク等から構成される。
【0018】
演算処理部12は、生体認証装置1全体の制御を司り、プログラム格納メモリ11に格納しているプログラムを実行して処理を行う。演算処理部12としては、例えばマイクロプロセッサを用いる。
【0019】
データ格納メモリ13は、生体認証装置1が処理を行うために必要なデータを格納するためのメモリであり、半導体メモリやハードディスク等から構成される。なお、データ格納メモリ13は、個別の構成に限らず、構成の一部または全部が、生体情報センサ10や、プログラム格納メモリ11、あるいは演算処理部12などの、他のモジュールの中に含まれていてもよい。
【0020】
通信部19は、個人情報記録装置2などの外部装置との間で情報を送受信する。通信部19としては、例えば、接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC 7816に則った通信を行うモジュールや、非接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC 14443に則った通信を行うモジュール、有線LANモジュール、無線LANモジュール、USBモジュールなどを用いる。 次に、データ格納メモリ13に格納しているデータについて説明していく。データ格納メモリ13には、生体センサパラメータ格納テーブル130と、輝度範囲131が格納されている。なお、これらのデータに加えて他のデータを格納するようにしても良い。
【0021】
生体センサパラメータ格納テーブル130には、例えば撮像部101のシャッタースピードや、光源部102のLEDの明るさなど、生体情報センサ10が生体情報を取得する際の動作条件に関する生体センサパラメータが格納される。生体認証装置1はこれらの生体センサパラメータに基づいて撮像部101や光源部102の動作条件を設定し、生体情報を取得する。なお、生体センサパラメータ格納テーブル130には、プリセット値として予め所定の生体センサパラメータが格納されているが、個人情報記録装置2から生体センサパラメータを受信すると、その値に書き換えられる。なお、個人情報記録装置2から受信したパラメータを用いて生体情報を取得してから所定時間経過すると、このパラメータを削除し、プリセット値に戻すようにしても良い。また、図1の例では、生体センサパラメータとして135、136、137が格納されているが、格納する生体センサパラメータは3つに限られない。
【0022】
輝度範囲131には、生体情報センサ10によって撮像された生体情報の画像の一部または全部が満たすべき輝度の範囲が格納される。この範囲は、画像の一部または全部の輝度の平均値が満たすべき範囲でもよいし、輝度の最大値や最小値が満たすべき範囲であってもよい。生体認証装置1は、利用者の生体9を撮像した画像の輝度を調べ、輝度範囲131と比較することで、生体情報を個人認証に適した形で取得したかどうかを判断する。
【0023】
本例では、生体認証装置1が生体情報を個人認証に適した形で取得したかどうかを判断するために、撮像された生体情報の画像の輝度範囲を用いたが、これに限定するものではなく、画像のフォーカスなど他の条件に基づいて判断を行っても良い。また、複数の条件を組み合わせ判断するようにしても良い。その場合、輝度範囲131に代えて、あるいは輝度範囲131に追加して、必要な情報がデータ格納メモリ13に格納される。
【0024】
次に個人情報記録装置2の内部構成を述べる。個人情報記録装置2は、プログラム格納メモリ21と、演算処理部22と、データ格納メモリ23と、通信部29とを有しており、これらが通信用バスなどで相互に接続されている。
【0025】
プログラム格納メモリ21は、生体認証装置1が処理を行うための制御プログラムを格納し、半導体メモリやハードディスク等から構成される。
【0026】
演算処理部22は、個人情報記録装置2全体の制御を司り、プログラム格納メモリ21に格納されているプログラムを実行して処理を行う。演算処理部22としては、例えばマイクロプロセッサを用いる。
【0027】
データ格納メモリ23は、個人情報記録装置2が処理を行うために必要なデータを格納し、半導体メモリやハードディスク等から構成される。なお、データ格納メモリ23は、個別の構成に限らず、構成の一部または全部が、プログラム格納メモリ21や演算処理部22などの他のモジュールの中に含まれていてもよい。
【0028】
通信部29は、生体認証装置1などの外部装置との間で情報を送受信する。通信部29としては、例えば、接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC 7816に則った通信を行うモジュールや、非接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC 14443に則った通信を行うモジュール、有線LANモジュール、無線LANモジュール、USBモジュールなどを用いる。
【0029】
次に、データ格納メモリ23に格納しているデータについて説明する。データ格納メモリ23は、生体センサパラメータ格納テーブル230と、生体テンプレート格納部239を有する。なお、これらデータに加えて他のデータを格納しても良い。
【0030】
生体センサパラメータ格納テーブル230には、生体認証装置1から送信された生体センサパラメータが格納される。図1の例では、生体センサパラメータ235、236、237が格納されているが、格納する生体センサパラメータは3つに限られない。なお、生体認証装置1から生体センサパラメータを受信するまでは、生体センサパラメータ格納テーブル230にパラメータが格納されていない状態にしても良いし、生体センサパラメータ格納テーブル230に平均的なパラメータを格納しておき、生体認証装置1から送信された生体センサパラメータによりデータを更新するようにしても良い。
【0031】
生体テンプレート格納部239は、利用者の生体情報の特徴パターンを生体テンプレートとして格納する。演算処理部22は、生体テンプレート格納部239に格納された生体テンプレートと、生体認証装置1から送信された生体情報の特徴パターンとを比較し、それらの一致率あるいは不一致率を計算するなど、所定のアルゴリズムによって認証処理を行う。
【0032】
次に、生体認証装置1および個人情報記録装置2が実行する生体認証処理の処理フローの一例を図2に示す。この処理フローは、例えば生体認証装置1の所定の場所に個人情報記録装置2が置かれたり、生体認証装置1と個人情報記録装置2とが所定範囲内に近づいたり、生体認証装置1に個人情報記録装置2が挿入されたりすることにより、スタートする。
【0033】
生体認証装置1と個人情報記録装置2は相互認証処理を行う(S1000、S1010)。認証が成功した場合、個人情報記録装置2は、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータを生体認証装置1に送信する(S1020)。なお、この際に、生体センサパラメータ格納テーブル230に生体センサパラメータが格納されていない場合は、その旨を示すデータを生体認証装置1に送信する。
【0034】
生体認証装置1は、生体センサパラメータを個人情報記録装置2から受信すると、取得した生体センサパラメータを生体センサパラメータ格納テーブル130に格納し、生体情報センサ10を設定する(S1030)。例えば撮像部101のシャッタースピードや、光源部102のLEDの明るさなどを設定する。
【0035】
生体認証装置1は、生体情報センサ10から生体情報を取得すると(S1040)、撮像された生体情報の一部または全部の画素の平均輝度あるいは輝度の最大値や最小値が、輝度範囲131に入っているかどうかを判定する(S1050)。これにより、取得した生体情報が生体認証に適したものとなっているかどうかを判定する。なお、前述のように、輝度以外の他の条件や複数の条件の組み合わせで判定を行っても良い。
【0036】
S1050において撮像された生体情報の画素の輝度が輝度範囲131に入っていない場合は、生体認証装置1は、生体センサパラメータ格納テーブル130の生体センサパラメータを調節し、生体情報センサ10の動作条件を変更する(S1060)。例えば、撮像された画像の輝度が明るすぎる場合は、シャッタースピードをより短くする、あるいは、LEDの明るさをより暗くする、などの調節を行う。その後、ステップS1040に進み、生体情報センサ10は、変更後の動作条件により生体情報を取得する。
【0037】
一方、S1050において撮像された生体情報の画素の輝度が輝度範囲131に入っている場合は、演算処理部12は生体情報から特徴パターンを抽出し、特徴パターンおよび生体センサパラメータを個人情報記録装置2に送信する。
【0038】
個人情報記録装置2は、生体認証装置1から特徴パターンおよび生体センサパラメータを受信すると、生体認証装置1から取得した生体情報の特徴パターンと、生体テンプレート格納部239に格納された特徴パターンとを用いて照合処理を行う(S1080)。
認証処理が成功したかどうかを判定し(S1090)、成功した場合、個人情報記録装置2は、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータを、生体認証装置1から送信された生体センサパラメータの値に更新する(S1100)。一方、認証処理に失敗した場合は、生体センサパラメータの値を更新しない。
【0039】
S1110において、個人情報記録装置2は、認証処理の結果を生体認証装置1に送信し、認証処理を終了する。
【0040】
以上説明したように、生体認証装置1が生体情報を取得するときに調整した生体センサのパラメータを、個人情報記録装置2に保存しておき、次回の認証処理の際にそのパラメータを読み出して用いることができる。一般的には、利用者が個人情報記録装置を用いて認証処理を行う場合、例えば自宅の近くの銀行や、会社など、ある決まった場所に設置された生体認証装置で繰り返し行うことが多いと考えられる。また、場所が異なる場合でも、生体認証装置が設置されている場所は、同じような周辺環境である可能性がある。そのため、本例のように、認証に成功したときに用いられた生体センサパラメータを個人情報記録装置に記憶しておき、次回の認証処理の際に記憶されたパラメータを生体認証装置に送信し、そのパラメータを用いて生体センサの動作条件を設定することにより、生体認証に適した形で生体情報を取得できる可能性が高くなる。これにより、パラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができ、認証精度を損なうことなく、ユーザの利便性を向上することができる。
【0041】
なお、本例では、S1060における生体センサパラメータの再調整を行ったか否かにかかわらず、生体センサパラメータを個人情報記録装置2に送信しているが、再調整を行った場合にのみ生体センサパラメータを送信するようにしても良い。この場合、個人情報記録装置2は、S1100を省略して処理を実行する。
【0042】
また、本例では、生体情報照合処理が成功した場合に、個人情報記録装置2の生体情報センサパラメータを生体認証装置1から取得した値に更新しているが、これに限定するものではない。例えば、生体情報照合処理が成功した場合に、生体情報の一致率あるいは不一致率に応じて生体センサパラメータを更新するか否かを判定するようにしても良い。これにより、認証精度の高い生体情報を取得できる可能性の高いパラメータを用いて生体情報センサの動作条件を設定することが可能になる。以下、図3および図4を用いて説明を行う。
【0043】
図3は、生体認証システムの構成例を示す図である。図3において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図3の例では、生体センサパラメータ格納部230に、生体センサパラメータ235、236、237と対応付けて生体情報の一致率を格納していることが、図1の例と異なる点である。
ここで、生体情報一致率231には、対応して格納された生体センサパラメータを用いて取得された生体情報の特徴パターンを用いて生体情報照合処理が行われた場合の、特徴パターンと生体テンプレートとの一致率を示す情報が保存される。なお、この生体情報一致率231は個人情報記録装置2の内部でのみ取り扱われ、外部には公開されないことが望ましい。また、生体情報一致率231には、一致率を示す情報の代わりに、不一致率を示す情報であってもよい。
【0045】
図4に、図3の生体認証システムにおいて実行される認証処理の処理フロー例を示す。図4において、図2と同じ処理ステップについては同じ符号を付し、説明を省略する。
【0046】
本例では、S1080の処理の後に、個人情報記録装置2は、認証処理が成功したかどうかの判定に追加して、S1080の照合処理での生体情報一致率が、生体センサパラメータ格納テーブル230に記憶された生体情報一致率231よりも大きいかどうかを判定する。認証成功し、かつ、記憶されている生体情報一致率231よりもS1080における生体情報一致率が大きい場合、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータ235,236,237および生体情報一致率231を更新する(S2100)。一方、認証に失敗した場合、あるいはS1080における生体情報一致率が生体情報一致率231よりも小さい場合には、生体センサパラメータ235,236,237および生体情報一致率231を更新しない。
【0047】
以上説明したように、生体情報の一致率が高かったときの生体センサパラメータを個人情報記録装置2に格納し、それを次回以降の認証処理において生体情報センサの動作条件を設定するパラメータとして用いることにより、認証精度を高めることができるとともに、パラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0048】
また、図1の例では、生体センサパラメータは、そのパラメータが用いられたときの環境にかかわらず記憶されていたが、外光や騒音、気温などを示す環境情報を取得し、その情報と生体センサパラメータを対応付けて記憶するようにしても良い。周辺環境に応じて、生体情報取得に適したパラメータが異なる可能性が高いため、このように生体センサパラメータと環境情報とを対応付けて記憶することにより、生体認証が行われる環境に適するように生体情報センサの動作条件を設定できるため、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。以下、図5および図6を用いて説明を行う。
【0049】
図5は、生体認証システムの構成例を示す図である。図5において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、説明を省略する。図5の例では、生体認証装置1に環境情報取得部18を追加するとともに、個人情報記録装置2の生体センサパラメータ格納部230に、環境情報と対応付けて生体センサパラメータを格納していることが、図1の例と異なる点である。
【0050】
ここで、環境情報取得部18は、光学センサや温度センサ、湿度センサ、加速度センサ、圧力センサ、マイク、GPS、時計などといった各種センサや計測装置により構成され、生体認証装置1が使用される環境に関する情報を取得する。取得する情報は、例えば、外光の様子や、気温、体温、湿度、日付、時間、場所、騒音、移動速度などである。また、なお、環境情報取得部18は、個別の構成であることに限定するものではなく、演算処理部12などの他の構成に含めるようにしても良い。また、生体認証装置1が設置されている場所の周辺環境がほとんど変化しない場合には、環境情報取得部18の代わりに、所定の環境情報を予め記憶する環境情報記憶部を設けるようにしても良い。
【0051】
環境情報232、242には、生体センサパラメータを用いて生体情報を取得した場合の環境を示す情報が格納される。例えば、環境情報232には「気温が0〜10℃」との情報が、環境情報242には「気温が10〜20℃」との情報が記憶される。なお、前述のように、環境情報は気温情報に限られず、外光などの他の情報を用いても良いし、例えば外光と気温など、複数の情報が組み合わさっていてもよい。
【0052】
図6に、図5の生体認証システムにおいて実行される認証処理の処理フロー例を示す。図6において、図2と同じ処理ステップについては同じ符号を付し、説明を省略する。
【0053】
本例では、相互認証処理が成功すると(S1000、S1010)、生体認証装置1は、環境情報取得部18で取得した環境情報を個人情報記録装置2に送信する(S3015)。そして、個人情報記録装置2は、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータのうち、生体認証装置1から受信した環境情報に対応する生体センサパラメータを生体認証装置1に送信する(S1020)。生体認証装置1は、受信した生体センサパラメータを用いて生体情報の取得を行う(S1030)。
このように、環境情報に基づいた生体センサパラメータを用いることにより、生体認証が行われる環境に適するように生体情報センサの動作条件を設定できるため、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。
【0054】
個人情報記録装置2は、認証に成功すると(S1090)、パラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータのうち、先に生体認証装置1から受信した環境情報に対応する生体センサパラメータを、生体認証装置1から送信された生体センサパラメータに更新する。
【0055】
図5の例において、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納される情報の一例を図7に示す。
【0056】
図7において生体センサパラメータ格納テーブルには環境情報232、242、252、262の4つの環境情報が格納されており、環境情報232には生体センサパラメータ235、236、237が、環境情報242には生体センサパラメータ245、246、247が、環境情報252には生体センサパラメータ255、256、257が、環境情報262には生体センサパラメータ265、266、267が、それぞれ対応付けられて格納されている。
【0057】
環境情報には、生体認証装置1の環境情報取得部18で取得された情報が格納されている。ここでは「気温」と「外光」を例にとっており、「外光」について0が暗室など極めて暗い場合とし、100が直射日光など極めて明るい場合とした。環境情報は気温や外光以外の情報であっても構わない。
【0058】
例えば環境情報232には、生体情報端末1から「気温0〜10℃」で「外光0〜50」という情報を受けた場合にステップS3020で送信すべき生体センサパラメータが格納されている。例では、生体センサパラメータ235には生体認証装置1の撮像部101の動作条件に関して「シャッタースピードは低速」というパラメータが格納されており、また生体センサパラメータ236には光源部101の動作条件に関して「LEDは明るく」というパラメータが格納されている。同様に生体センサパラメータ237には生体情報センサ10の動作条件に関するパラメータが格納されているとする。これらの生体センサパラメータを生体認証装置1が受け取り、生体情報センサ10を調節することで、「気温0〜10℃」で「外光0〜50」という環境に適した条件で生体情報を取得することができる。その結果として、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。
【0059】
生体認証装置1から送信される環境情報は、環境情報がある範囲内に入っているという情報であってもよいし、特定の値でもよい。例えば「気温は0〜10℃の範囲内である」というような情報であってもよいし「気温は5℃である」というような情報であってもよい。前者の場合は個人情報記録装置2の生体センサパラメータ格納テーブル230における環境情報の条件分けに即した形式を取り、後者の場合は個人情報記録装置2の側で範囲判定などを行う。
【0060】
以上、環境情報と生体センサパラメータを組み合わせて格納する場合について説明したが、生体情報一致率を生体センサパラメータおよび環境情報と組み合わせて記憶し、記憶されている生体情報一致率よりもS1080における生体情報一致率が大きい場合にのみ、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータを更新するようにしても良い。
【0061】
また、図7の例では、環境情報として「気温」と「外光」の二つの要素の組み合わせを格納しているが、「気温」と「外光」など、それぞれの要素に対応するテーブルを設けるようにしても良い。図8に、環境情報の「気温」と生体センサパラメータを対応付けたテーブルと、環境情報の「外光」と生体センサパラメータを組み合わせたテーブルを別に持ち、それぞれに生体情報一致率を組み合わせて格納している例を示す。
【0062】
なお、生体認証装置1から送信される環境情報に「気温」と「外光」などの複数の要素が含まれる場合がある。その結果、複数の生体センサパラメータが候補に挙がる場合に、生体情報一致率のより高いもの選択する、あるいはいずれかの要素に基づいて生体センサパラメータを選択するなど、生体センサパラメータの選択を制御するプログラムをプログラム格納メモリ21に格納し、このプログラムに基づいて読み出された生体センサパラメータを生体認証装置1に送信する。例えば、生体情報端末1から環境情報として「気温0〜10℃」と「外光0〜33」という情報が送信された場合は、環境情報232に対応する生体センサパラメータと環境情報262に対応する生体センサパラメータの両方が候補に挙がる。ここで、生体情報一致率に基づいて選択する場合には、そ生体情報一致率231と生体情報一致率261を比較し、より一致率の高い生体情報一致率261に対応付けられた生体センサパラメータを送信する。また、個人情報記録装置2で選択せずに、複数の生体センサパラメータを送信し、生体認証装置1の側で設定に用いる生体センサパラメータを選択してもよい。
【0063】
また、図5の例では、生体認証装置1が環境情報取得部18を有しているが、これに限定するものではなく、個人情報記録装置2が環境情報取得部に相当する構成を有していてもよい。この場合、図6の処理フローにおいて、S3015は省略され、その代わりに、個人情報記録装置2において環境情報の取得処理がS3020に先立って行われる。
【0064】
以上説明したように、環境情報を取得し、生体センサパラメータと環境情報とを対応付けて記憶することにより、生体認証が行われる環境に応じて生体情報センサの動作条件を設定することができる。これにより生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を効果的に抑えることができ、認証精度を損なうことなく、ユーザの利便性を向上することができる。
【0065】
なお、生体情報一致率や環境情報などの情報に限らず、例えば親指や人差指など、生体情報を取得した生体の部位を示す情報や、生体センサパラメータを取得した生体認証装置の識別情報などの、パラメータに関連する関連情報を対応付けて記憶するようにしても良い。さらに、複数の生体センサパラメータを格納している場合に、それぞれの生体センサパラメータの使用履歴を記憶し、使用履歴をもとに生体センサパラメータを選択するようにしても良い。前述のように、利用者が個人情報記録装置を用いて認証処理を行う場合、自宅近くの銀行や会社などに設置された生体認証装置で繰り返し行うことが多いと考えられる。また、複数の生体部位に対応した生体センサパラメータが記憶されている場合であっても、利用者が生体認証に用いる生体部位は、人差指などの所定の部位を用いることが多いと考えられる。そのため、使用頻度の高い生体センサパラメータを用いることにより、生体情報センサの動作条件を適切に設定できる可能性が高くなり、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。
【0066】
使用履歴をもとに生体センサパラメータを選択する場合のシステムの構成および処理フローの例を図9および図10を用いて説明する。
【0067】
図9は、生体認証システムの構成例を示す図である。図において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、説明を省略する。本例では、データ格納メモリ23に生体センサパラメータが生体テンプレート番号と対応付けられて複数記憶され、生体テンプレート使用履歴238がさらに格納されていることが、図1の例と異なる点である。ここで、生体テンプレート番号233、生体テンプレート番号243には、例えば、生体の部位や生体認証装置の識別番号など、生体センサテンプレートに関連した情報に対応する番号が格納される。なお、番号に限らず、他の符号やアドレスなどのデータであってもよい。
【0068】
生体テンプレート使用履歴238には、個人情報記録装置2に格納された生体テンプレートを生体認証に用いた履歴が格納される。使用履歴は、生体テンプレート番号に対応付けて格納される。個人情報記録装置2は、この生体テンプレート使用履歴238に基づいて、複数の生体テンプレートの中から、生体認証装置1に送信する生体センサパラメータを選択する。例えば、今までに使用した回数が最も多いものを選択するようにしても良いし、1月内などの所定期間に最も使用頻度の高いものを選択するようにしても良い。
【0069】
図9の生体認証システムにおいて実行される認証処理の処理フロー例を図10に示す。図において、図2と同じ処理ステップについては同じ符号を付し、説明を省略する。
【0070】
生体認証装置1と個人情報記録装置2との間で相互認証処理を行い、認証が成功すると(S1000、S1010)、個人情報記録装置2は、生体テンプレート使用履歴238に基づいて、生体テンプレート番号を選択する(S4015)。そして、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータのうち、ステップS4015で選択した生体テンプレート番号に対応したセンサパラメータを生体認証装置1に送信する(S4020)。
【0071】
生体認証装置1は、生体情報を適切に取得すると(S1050)、生体情報の特徴パターンおよび生体センサパラメータに加えて、生体認証装置1の識別情報や生体情報センサが生体情報を取得した生体部位を示す情報を送信する(S4070)。
【0072】
S1090において認証に成功すると、生体認証装置1から送信された装置識別情報や生体部位情報などの情報に対応した生体テンプレート番号を抽出し、その生体テンプレート番号に対応する生体センサパラメータおよび生体テンプレート使用履歴を更新する。なお、生体センサパラメータの更新は、図4に示す処理フローのように、生体情報一致率に応じて更新するようにしても良い。
【0073】
ここで、生体テンプレート使用履歴238の一例を図11、図12に示す。
【0074】
図11の例では、最近6回の認証処理において用いられた生体テンプレートに対応する生体テンプレート番号が格納されている。個人情報記録装置2は、ステップS4015において、この情報に基づいて生体認証装置1に送信する生体センサパラメータを選択する。選択基準としては、例えば直近の認証で使用された生体テンプレートを選択してもよいし(この場合#1)、最近6回で使用頻度が高い生体テンプレートを選択してもよい(この場合#3)。あるいは用いられた何回前に用いられたかでスコアを付けてもよい。例えばN回前に用いられた生体テンプレートに6−(N−1)というスコアを付けると(図11中の「スコア」の行)、#1のスコアは6+5=11、#2のスコアは4、#3のスコアは3+2+1=6、となる。ここで最もスコアの高いものを選ぶとすれば、#1が選択されることになる。
【0075】
図12の例は、個人情報記録装置2に格納された生体テンプレートのそれぞれについて、認証で用いられた回数がトータルで保存されている場合を示している。ステップS4015における選択処理では、この情報に基づき、最も使用回数の多い#3が選択される。
【0076】
なお、S4015において選択する生体テンプレート番号は1つに限らず、複数選択するようにしても良い。選択した複数の番号に対応する生体センサパラメータを生体認証装置1に送信し、生体認証装置1の側で設定に用いる生体センサパラメータを選択してもよい。
【0077】
以上、図1等に示した例では、生体認証装置1と個人情報記録装置2が分かれた構成となっているが、これに限定するものではなく、例えば図13に示すように、生体認証装置と個人情報記録装置とが一体構成となった生体認証装置であってもよい。本例では、データ格納メモリ33には、生体センサパラメータ格納テーブル330と、輝度範囲331と、生体テンプレート格納部339とが格納されている。図13において、図1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0078】
次に、生体認証装置3が実行する認証処理の処理フローの一例を図14に示す。
【0079】
演算処理部12は、生体センサパラメータ格納テーブル330に格納された生体センサパラメータを用いて生体情報センサ30の動作条件を設定する(S5000)。例えば撮像部301のシャッタースピードや、光源部302のLEDの明るさなどを設定する。生体情報センサ30から生体情報を取得すると(S5010)、演算処理部12は、撮像された生体情報の一部または全部の画素の平均輝度あるいは輝度の最大値や最小値が、輝度範囲331に入っているかどうかを判定する。なお、図1や図2の例と同様、輝度以外の他の条件や複数の条件の組み合わせで判定を行っても良い。判定の結果、輝度範囲331に入っていない場合は、生体センサパラメータの再調整を行う(S5030)。例えば、撮像された画像の輝度が明るすぎる場合は、シャッタースピードをより短くする、あるいは、LEDの明るさをより暗くする、などの調節を行う。
【0080】
一方、判定の結果、輝度範囲331に入っている場合は、演算処理部12は生体情報センサ10から取得した生体情報から特徴パターンを抽出し、抽出した特徴パターンと、生体テンプレート格納部339に格納された生体情報の特徴パターンとを用いて照合処理を行う(S5040)。
【0081】
認証処理が成功した場合、生体センサパラメータ格納テーブル330に格納された生体センサパラメータを、ステップS5030で調節した値に更新する。一方、認証処理に失敗した場合は、生体センサパラメータを更新することなく、認証処理を終了する。
【0082】
以上説明したように、生体認証装置3は、生体情報を取得するときに調整した生体センサのパラメータを内部に保存しておき、次回の認証処理ではそのパラメータを用いることができる。これにより、次回の認証処理において同じような周辺環境の下で生体情報が取得される場合は、パラメータの調節を行う必要がなくなる。結果として、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができ、認証精度を損なうことなく、ユーザの利便性を向上することができる。
【0083】
なお、図14に示した処理フローに限定するものではなく、図4、6、10の処理フローに示したように、生体情報一致率に応じて更新を制御したり、環境情報や生体部位などの情報に対応付けて複数の生体センサテンプレートを記憶し、環境情報や使用履歴に基づいて生体センサテンプレートを選択したりするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】生体認証システムの構成例を示す図。
【図2】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【図3】生体認証システムの構成例を示す図。
【図4】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【図5】生体認証システムの構成例を示す図。
【図6】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【図7】生体センサパラメータ格納テーブルの例を示した図。
【図8】生体センサパラメータ格納テーブルの例を示した図。
【図9】生体認証システムの構成例を示す図。
【図10】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【図11】生体テンプレート使用履歴の例を示した図。
【図12】生体テンプレート使用履歴の例を示した図。
【図13】生体認証装置の構成例を示す図。
【図14】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【符号の説明】
【0085】
1…生体認証装置、2…個人情報記録装置、9…利用者の生体、10…生体情報センサ、11…プログラム格納メモリ、12…演算処理部、13…データ格納メモリ、19…通信部、101…撮像部、102…光源部、130…生体センサパラメータ格納テーブル、131…輝度範囲、21…プログラム格納メモリ、22…演算処理部、23…データ格納メモリ、29…通信部、230…生体センサパラメータ格納テーブル、239…生体テンプレート格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証による本人確認を行う生体認証システムおよび生体認証装置、情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ等の情報機器を利用し、金融取引や入退室管理を行う場合の本人確認の手段としては、暗証番号やパスワードといった本人のみ知り得る情報を確認することや、カードなどといった本人のみが所持し得る物を用いて確認することなどが一般的であった。しかし、暗証番号やパスワード、カード等は、他人に盗まれてしまった場合になりすましが容易であるという欠点がある。そこで近年においては、指紋や虹彩あるいは指静脈といった、他人が盗むのが困難であると共に各個人で異なっている生体情報を利用した、生体認証が注目されている。例えば、指紋に基づく個人認証は、指紋を指紋センサ上に接触させることで指紋を読み取り、指紋の端点や分岐点といった特徴パターンを抽出し、既に登録されている本人の指紋の特徴パターンと照合することによって、本人か否かを確認する。
【0003】
生体情報を取得する装置は、指紋や指静脈、虹彩、音声などの生体的特徴を得るための生体センサを有している。特許文献1には、生体センサから生体情報を生体認証に適した形で取得するために、生体センサに指を置くためのガイドを設置して位置決めすることにより、指や手のひらから取得する生体情報のばらつきを軽減することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−140247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体情報を生体認証に適した形で取得するためには、指などの生体の位置決めをするだけでなく、生体センサの動作条件を適切に設定することが必要である。ここで、動作条件とは、生体情報を撮像するタイプのセンサであればシャッタースピードやしぼり、光の当て方などであり、音を取得するタイプのセンサであればマイクゲインなどである。例えばシャッタースピードを例に取ると、シャッタースピードが遅すぎると取得された画像の輝度が過度に明るくなると考えられるし、速すぎると画像の輝度は過度に暗くなると考えられる。このような動作条件のパラメータとして、生体認証装置の出荷時に実験結果などに基づいて所定の値が設定される。
【0006】
しかしながら、利用者が生体認証を利用するときの周辺環境は、常に同じであるとは限らない。例えば場所によって照明や外光の明るさが異なったり、利用する時間帯や季節によって温度や湿度などが異なったりする。そのため、周辺環境に応じて、生体情報取得に適したパラメータが異なる可能性がある。特に、生体認証装置が携帯可能である場合には、いろいろな場所で用いられるため、その傾向が顕著になる可能性が高いと考えられる。
【0007】
また、利用者毎に生体的な特徴が異なることにより、生体情報取得に適したパラメータが異なる可能性がある。さらに、この生体的な特徴は温度や体調の影響を受けて変化する。例えば、相対的に気温が高い場合はより発汗し、声などは朝と夕とで平均的な大きさが異なるなどといったことが考えられる。
【0008】
このように周辺環境や利用者などの違いにより、適切に生体情報を取得するためのパラメータが変化するため、パラメータとして所定の値を設定した場合であっても、パラメータを調節することが必要である。しかしながら、パラメータ調節を生体認証のたびに何度も繰り返すと、生体認証にかかる時間が大きくなってしまい、使い勝手が悪いものとなるという問題がある。
【0009】
本発明は、使い勝手を良好に保ちつつ、適切に生体認証を実行可能な生体認証システムおよび生体認証装置、情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる生体認証システムは、生体認証装置および情報記録装置を備える。前記生体認証装置は、前記情報記録装置との間で通信を行う第1の通信手段と、生体情報を取得する生体情報センサと、を備える。前記情報記録装置は、前記生体認証装置との間で通信を行う第2の通信手段と、生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段と、を備える。前記情報記録装置は、前記記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを前記第2の通信手段により前記生体認証装置に送信する。そして、前記生体認証装置は、前記情報記録装置から送信された前記パラメータを前記第1の通信手段により受信し、受信した前記パラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から抽出された特徴パターンを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使い勝手を良好に保ちつつ、適切に生体認証を実行可能な生体認証システムおよび生体認証装置、情報記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、生体認証システムの構成例を示す図である。図1において、1は生体認証装置、2は個人情報記録装置、9は利用者の生体である。本例では、生体認証装置1により生体情報を取得するときに調整した生体センサの動作条件を示す生体センサパラメータを、個人情報記録装置2に記録し、次回の認証処理の際に記録した生体センサパラメータを用いる。これにより、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。
【0013】
生体認証装置1は、利用者の生体9から生体情報を取得する。この装置は、生体情報を取得する専用の装置であってもよいし、入退室管理や金融取引処理、電話など他の機能を有していてもよい。また、利用者の生体9を撮像した画像の輝度を調べるなどして、生体情報を個人認証に適した形で取得したかどうかを一定の条件で判断する機能を有する。
【0014】
個人情報記録装置2は、生体認証装置1によって取得された生体情報の特徴パターンを保存しておく機能と、生体認証装置1が利用者の生体9から生体情報を取得するために用いる生体センサの各種パラメータを保存しておく機能を有し、生体認証装置1から取得した情報で個人認証処理を行う。個人情報記録装置2は個人識別番号など他の情報を保存する機能を有してもよいし、暗号処理機能、金融取引機能など他の機能を有していてもよい。個人情報記録装置2としては、例えばICカードあるいはSIMカード、あるいは携帯電話などを用いる。なお、個人情報記録装置2は生体認証装置1に着脱可能になっていてもよい。例えば、生体認証装置1として携帯電話を用い、個人情報記録装置2としてSIMカードを用いる場合が考えられる。
【0015】
生体認証装置1は、生体情報センサ10と、プログラム格納メモリ11と、演算処理部12と、データ格納メモリ13と、通信部19とを有しており、これらが通信用バスなどで相互に接続されている。
【0016】
生体情報センサ10は生体情報を読み取る機能を有する。生体情報とは、例えば指静脈パターンや、指紋パターン、虹彩パターンなどである。生体情報センサ10は撮像部101と光源部102を有する。撮像部101は利用者の生体9から生体情報の画像を取得する。撮像部101としてはカメラなどを用いる。なお、撮像部101のシャッタースピードや絞りの度合い、ピントなど、撮像に用いられるパラメータの一部または全部を調節する機能を有する。また、光源部102はLEDなどにより構成され、例えば生体情報センサ10が利用者の生体9に光を当てながら撮像部101で撮像する場合などに用いられる。光源部102は光の強さ、周波数、あるいは光を発する角度、光らせる発光素子の数や種類など、発光に用いられるパラメータの一部または全部を調節する機能を有する。
【0017】
プログラム格納メモリ11は、生体認証装置1が処理を行うための制御プログラムを格納し、半導体メモリやハードディスク等から構成される。
【0018】
演算処理部12は、生体認証装置1全体の制御を司り、プログラム格納メモリ11に格納しているプログラムを実行して処理を行う。演算処理部12としては、例えばマイクロプロセッサを用いる。
【0019】
データ格納メモリ13は、生体認証装置1が処理を行うために必要なデータを格納するためのメモリであり、半導体メモリやハードディスク等から構成される。なお、データ格納メモリ13は、個別の構成に限らず、構成の一部または全部が、生体情報センサ10や、プログラム格納メモリ11、あるいは演算処理部12などの、他のモジュールの中に含まれていてもよい。
【0020】
通信部19は、個人情報記録装置2などの外部装置との間で情報を送受信する。通信部19としては、例えば、接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC 7816に則った通信を行うモジュールや、非接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC 14443に則った通信を行うモジュール、有線LANモジュール、無線LANモジュール、USBモジュールなどを用いる。 次に、データ格納メモリ13に格納しているデータについて説明していく。データ格納メモリ13には、生体センサパラメータ格納テーブル130と、輝度範囲131が格納されている。なお、これらのデータに加えて他のデータを格納するようにしても良い。
【0021】
生体センサパラメータ格納テーブル130には、例えば撮像部101のシャッタースピードや、光源部102のLEDの明るさなど、生体情報センサ10が生体情報を取得する際の動作条件に関する生体センサパラメータが格納される。生体認証装置1はこれらの生体センサパラメータに基づいて撮像部101や光源部102の動作条件を設定し、生体情報を取得する。なお、生体センサパラメータ格納テーブル130には、プリセット値として予め所定の生体センサパラメータが格納されているが、個人情報記録装置2から生体センサパラメータを受信すると、その値に書き換えられる。なお、個人情報記録装置2から受信したパラメータを用いて生体情報を取得してから所定時間経過すると、このパラメータを削除し、プリセット値に戻すようにしても良い。また、図1の例では、生体センサパラメータとして135、136、137が格納されているが、格納する生体センサパラメータは3つに限られない。
【0022】
輝度範囲131には、生体情報センサ10によって撮像された生体情報の画像の一部または全部が満たすべき輝度の範囲が格納される。この範囲は、画像の一部または全部の輝度の平均値が満たすべき範囲でもよいし、輝度の最大値や最小値が満たすべき範囲であってもよい。生体認証装置1は、利用者の生体9を撮像した画像の輝度を調べ、輝度範囲131と比較することで、生体情報を個人認証に適した形で取得したかどうかを判断する。
【0023】
本例では、生体認証装置1が生体情報を個人認証に適した形で取得したかどうかを判断するために、撮像された生体情報の画像の輝度範囲を用いたが、これに限定するものではなく、画像のフォーカスなど他の条件に基づいて判断を行っても良い。また、複数の条件を組み合わせ判断するようにしても良い。その場合、輝度範囲131に代えて、あるいは輝度範囲131に追加して、必要な情報がデータ格納メモリ13に格納される。
【0024】
次に個人情報記録装置2の内部構成を述べる。個人情報記録装置2は、プログラム格納メモリ21と、演算処理部22と、データ格納メモリ23と、通信部29とを有しており、これらが通信用バスなどで相互に接続されている。
【0025】
プログラム格納メモリ21は、生体認証装置1が処理を行うための制御プログラムを格納し、半導体メモリやハードディスク等から構成される。
【0026】
演算処理部22は、個人情報記録装置2全体の制御を司り、プログラム格納メモリ21に格納されているプログラムを実行して処理を行う。演算処理部22としては、例えばマイクロプロセッサを用いる。
【0027】
データ格納メモリ23は、個人情報記録装置2が処理を行うために必要なデータを格納し、半導体メモリやハードディスク等から構成される。なお、データ格納メモリ23は、個別の構成に限らず、構成の一部または全部が、プログラム格納メモリ21や演算処理部22などの他のモジュールの中に含まれていてもよい。
【0028】
通信部29は、生体認証装置1などの外部装置との間で情報を送受信する。通信部29としては、例えば、接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC 7816に則った通信を行うモジュールや、非接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC 14443に則った通信を行うモジュール、有線LANモジュール、無線LANモジュール、USBモジュールなどを用いる。
【0029】
次に、データ格納メモリ23に格納しているデータについて説明する。データ格納メモリ23は、生体センサパラメータ格納テーブル230と、生体テンプレート格納部239を有する。なお、これらデータに加えて他のデータを格納しても良い。
【0030】
生体センサパラメータ格納テーブル230には、生体認証装置1から送信された生体センサパラメータが格納される。図1の例では、生体センサパラメータ235、236、237が格納されているが、格納する生体センサパラメータは3つに限られない。なお、生体認証装置1から生体センサパラメータを受信するまでは、生体センサパラメータ格納テーブル230にパラメータが格納されていない状態にしても良いし、生体センサパラメータ格納テーブル230に平均的なパラメータを格納しておき、生体認証装置1から送信された生体センサパラメータによりデータを更新するようにしても良い。
【0031】
生体テンプレート格納部239は、利用者の生体情報の特徴パターンを生体テンプレートとして格納する。演算処理部22は、生体テンプレート格納部239に格納された生体テンプレートと、生体認証装置1から送信された生体情報の特徴パターンとを比較し、それらの一致率あるいは不一致率を計算するなど、所定のアルゴリズムによって認証処理を行う。
【0032】
次に、生体認証装置1および個人情報記録装置2が実行する生体認証処理の処理フローの一例を図2に示す。この処理フローは、例えば生体認証装置1の所定の場所に個人情報記録装置2が置かれたり、生体認証装置1と個人情報記録装置2とが所定範囲内に近づいたり、生体認証装置1に個人情報記録装置2が挿入されたりすることにより、スタートする。
【0033】
生体認証装置1と個人情報記録装置2は相互認証処理を行う(S1000、S1010)。認証が成功した場合、個人情報記録装置2は、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータを生体認証装置1に送信する(S1020)。なお、この際に、生体センサパラメータ格納テーブル230に生体センサパラメータが格納されていない場合は、その旨を示すデータを生体認証装置1に送信する。
【0034】
生体認証装置1は、生体センサパラメータを個人情報記録装置2から受信すると、取得した生体センサパラメータを生体センサパラメータ格納テーブル130に格納し、生体情報センサ10を設定する(S1030)。例えば撮像部101のシャッタースピードや、光源部102のLEDの明るさなどを設定する。
【0035】
生体認証装置1は、生体情報センサ10から生体情報を取得すると(S1040)、撮像された生体情報の一部または全部の画素の平均輝度あるいは輝度の最大値や最小値が、輝度範囲131に入っているかどうかを判定する(S1050)。これにより、取得した生体情報が生体認証に適したものとなっているかどうかを判定する。なお、前述のように、輝度以外の他の条件や複数の条件の組み合わせで判定を行っても良い。
【0036】
S1050において撮像された生体情報の画素の輝度が輝度範囲131に入っていない場合は、生体認証装置1は、生体センサパラメータ格納テーブル130の生体センサパラメータを調節し、生体情報センサ10の動作条件を変更する(S1060)。例えば、撮像された画像の輝度が明るすぎる場合は、シャッタースピードをより短くする、あるいは、LEDの明るさをより暗くする、などの調節を行う。その後、ステップS1040に進み、生体情報センサ10は、変更後の動作条件により生体情報を取得する。
【0037】
一方、S1050において撮像された生体情報の画素の輝度が輝度範囲131に入っている場合は、演算処理部12は生体情報から特徴パターンを抽出し、特徴パターンおよび生体センサパラメータを個人情報記録装置2に送信する。
【0038】
個人情報記録装置2は、生体認証装置1から特徴パターンおよび生体センサパラメータを受信すると、生体認証装置1から取得した生体情報の特徴パターンと、生体テンプレート格納部239に格納された特徴パターンとを用いて照合処理を行う(S1080)。
認証処理が成功したかどうかを判定し(S1090)、成功した場合、個人情報記録装置2は、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータを、生体認証装置1から送信された生体センサパラメータの値に更新する(S1100)。一方、認証処理に失敗した場合は、生体センサパラメータの値を更新しない。
【0039】
S1110において、個人情報記録装置2は、認証処理の結果を生体認証装置1に送信し、認証処理を終了する。
【0040】
以上説明したように、生体認証装置1が生体情報を取得するときに調整した生体センサのパラメータを、個人情報記録装置2に保存しておき、次回の認証処理の際にそのパラメータを読み出して用いることができる。一般的には、利用者が個人情報記録装置を用いて認証処理を行う場合、例えば自宅の近くの銀行や、会社など、ある決まった場所に設置された生体認証装置で繰り返し行うことが多いと考えられる。また、場所が異なる場合でも、生体認証装置が設置されている場所は、同じような周辺環境である可能性がある。そのため、本例のように、認証に成功したときに用いられた生体センサパラメータを個人情報記録装置に記憶しておき、次回の認証処理の際に記憶されたパラメータを生体認証装置に送信し、そのパラメータを用いて生体センサの動作条件を設定することにより、生体認証に適した形で生体情報を取得できる可能性が高くなる。これにより、パラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができ、認証精度を損なうことなく、ユーザの利便性を向上することができる。
【0041】
なお、本例では、S1060における生体センサパラメータの再調整を行ったか否かにかかわらず、生体センサパラメータを個人情報記録装置2に送信しているが、再調整を行った場合にのみ生体センサパラメータを送信するようにしても良い。この場合、個人情報記録装置2は、S1100を省略して処理を実行する。
【0042】
また、本例では、生体情報照合処理が成功した場合に、個人情報記録装置2の生体情報センサパラメータを生体認証装置1から取得した値に更新しているが、これに限定するものではない。例えば、生体情報照合処理が成功した場合に、生体情報の一致率あるいは不一致率に応じて生体センサパラメータを更新するか否かを判定するようにしても良い。これにより、認証精度の高い生体情報を取得できる可能性の高いパラメータを用いて生体情報センサの動作条件を設定することが可能になる。以下、図3および図4を用いて説明を行う。
【0043】
図3は、生体認証システムの構成例を示す図である。図3において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図3の例では、生体センサパラメータ格納部230に、生体センサパラメータ235、236、237と対応付けて生体情報の一致率を格納していることが、図1の例と異なる点である。
ここで、生体情報一致率231には、対応して格納された生体センサパラメータを用いて取得された生体情報の特徴パターンを用いて生体情報照合処理が行われた場合の、特徴パターンと生体テンプレートとの一致率を示す情報が保存される。なお、この生体情報一致率231は個人情報記録装置2の内部でのみ取り扱われ、外部には公開されないことが望ましい。また、生体情報一致率231には、一致率を示す情報の代わりに、不一致率を示す情報であってもよい。
【0045】
図4に、図3の生体認証システムにおいて実行される認証処理の処理フロー例を示す。図4において、図2と同じ処理ステップについては同じ符号を付し、説明を省略する。
【0046】
本例では、S1080の処理の後に、個人情報記録装置2は、認証処理が成功したかどうかの判定に追加して、S1080の照合処理での生体情報一致率が、生体センサパラメータ格納テーブル230に記憶された生体情報一致率231よりも大きいかどうかを判定する。認証成功し、かつ、記憶されている生体情報一致率231よりもS1080における生体情報一致率が大きい場合、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータ235,236,237および生体情報一致率231を更新する(S2100)。一方、認証に失敗した場合、あるいはS1080における生体情報一致率が生体情報一致率231よりも小さい場合には、生体センサパラメータ235,236,237および生体情報一致率231を更新しない。
【0047】
以上説明したように、生体情報の一致率が高かったときの生体センサパラメータを個人情報記録装置2に格納し、それを次回以降の認証処理において生体情報センサの動作条件を設定するパラメータとして用いることにより、認証精度を高めることができるとともに、パラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0048】
また、図1の例では、生体センサパラメータは、そのパラメータが用いられたときの環境にかかわらず記憶されていたが、外光や騒音、気温などを示す環境情報を取得し、その情報と生体センサパラメータを対応付けて記憶するようにしても良い。周辺環境に応じて、生体情報取得に適したパラメータが異なる可能性が高いため、このように生体センサパラメータと環境情報とを対応付けて記憶することにより、生体認証が行われる環境に適するように生体情報センサの動作条件を設定できるため、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。以下、図5および図6を用いて説明を行う。
【0049】
図5は、生体認証システムの構成例を示す図である。図5において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、説明を省略する。図5の例では、生体認証装置1に環境情報取得部18を追加するとともに、個人情報記録装置2の生体センサパラメータ格納部230に、環境情報と対応付けて生体センサパラメータを格納していることが、図1の例と異なる点である。
【0050】
ここで、環境情報取得部18は、光学センサや温度センサ、湿度センサ、加速度センサ、圧力センサ、マイク、GPS、時計などといった各種センサや計測装置により構成され、生体認証装置1が使用される環境に関する情報を取得する。取得する情報は、例えば、外光の様子や、気温、体温、湿度、日付、時間、場所、騒音、移動速度などである。また、なお、環境情報取得部18は、個別の構成であることに限定するものではなく、演算処理部12などの他の構成に含めるようにしても良い。また、生体認証装置1が設置されている場所の周辺環境がほとんど変化しない場合には、環境情報取得部18の代わりに、所定の環境情報を予め記憶する環境情報記憶部を設けるようにしても良い。
【0051】
環境情報232、242には、生体センサパラメータを用いて生体情報を取得した場合の環境を示す情報が格納される。例えば、環境情報232には「気温が0〜10℃」との情報が、環境情報242には「気温が10〜20℃」との情報が記憶される。なお、前述のように、環境情報は気温情報に限られず、外光などの他の情報を用いても良いし、例えば外光と気温など、複数の情報が組み合わさっていてもよい。
【0052】
図6に、図5の生体認証システムにおいて実行される認証処理の処理フロー例を示す。図6において、図2と同じ処理ステップについては同じ符号を付し、説明を省略する。
【0053】
本例では、相互認証処理が成功すると(S1000、S1010)、生体認証装置1は、環境情報取得部18で取得した環境情報を個人情報記録装置2に送信する(S3015)。そして、個人情報記録装置2は、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータのうち、生体認証装置1から受信した環境情報に対応する生体センサパラメータを生体認証装置1に送信する(S1020)。生体認証装置1は、受信した生体センサパラメータを用いて生体情報の取得を行う(S1030)。
このように、環境情報に基づいた生体センサパラメータを用いることにより、生体認証が行われる環境に適するように生体情報センサの動作条件を設定できるため、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。
【0054】
個人情報記録装置2は、認証に成功すると(S1090)、パラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータのうち、先に生体認証装置1から受信した環境情報に対応する生体センサパラメータを、生体認証装置1から送信された生体センサパラメータに更新する。
【0055】
図5の例において、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納される情報の一例を図7に示す。
【0056】
図7において生体センサパラメータ格納テーブルには環境情報232、242、252、262の4つの環境情報が格納されており、環境情報232には生体センサパラメータ235、236、237が、環境情報242には生体センサパラメータ245、246、247が、環境情報252には生体センサパラメータ255、256、257が、環境情報262には生体センサパラメータ265、266、267が、それぞれ対応付けられて格納されている。
【0057】
環境情報には、生体認証装置1の環境情報取得部18で取得された情報が格納されている。ここでは「気温」と「外光」を例にとっており、「外光」について0が暗室など極めて暗い場合とし、100が直射日光など極めて明るい場合とした。環境情報は気温や外光以外の情報であっても構わない。
【0058】
例えば環境情報232には、生体情報端末1から「気温0〜10℃」で「外光0〜50」という情報を受けた場合にステップS3020で送信すべき生体センサパラメータが格納されている。例では、生体センサパラメータ235には生体認証装置1の撮像部101の動作条件に関して「シャッタースピードは低速」というパラメータが格納されており、また生体センサパラメータ236には光源部101の動作条件に関して「LEDは明るく」というパラメータが格納されている。同様に生体センサパラメータ237には生体情報センサ10の動作条件に関するパラメータが格納されているとする。これらの生体センサパラメータを生体認証装置1が受け取り、生体情報センサ10を調節することで、「気温0〜10℃」で「外光0〜50」という環境に適した条件で生体情報を取得することができる。その結果として、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。
【0059】
生体認証装置1から送信される環境情報は、環境情報がある範囲内に入っているという情報であってもよいし、特定の値でもよい。例えば「気温は0〜10℃の範囲内である」というような情報であってもよいし「気温は5℃である」というような情報であってもよい。前者の場合は個人情報記録装置2の生体センサパラメータ格納テーブル230における環境情報の条件分けに即した形式を取り、後者の場合は個人情報記録装置2の側で範囲判定などを行う。
【0060】
以上、環境情報と生体センサパラメータを組み合わせて格納する場合について説明したが、生体情報一致率を生体センサパラメータおよび環境情報と組み合わせて記憶し、記憶されている生体情報一致率よりもS1080における生体情報一致率が大きい場合にのみ、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータを更新するようにしても良い。
【0061】
また、図7の例では、環境情報として「気温」と「外光」の二つの要素の組み合わせを格納しているが、「気温」と「外光」など、それぞれの要素に対応するテーブルを設けるようにしても良い。図8に、環境情報の「気温」と生体センサパラメータを対応付けたテーブルと、環境情報の「外光」と生体センサパラメータを組み合わせたテーブルを別に持ち、それぞれに生体情報一致率を組み合わせて格納している例を示す。
【0062】
なお、生体認証装置1から送信される環境情報に「気温」と「外光」などの複数の要素が含まれる場合がある。その結果、複数の生体センサパラメータが候補に挙がる場合に、生体情報一致率のより高いもの選択する、あるいはいずれかの要素に基づいて生体センサパラメータを選択するなど、生体センサパラメータの選択を制御するプログラムをプログラム格納メモリ21に格納し、このプログラムに基づいて読み出された生体センサパラメータを生体認証装置1に送信する。例えば、生体情報端末1から環境情報として「気温0〜10℃」と「外光0〜33」という情報が送信された場合は、環境情報232に対応する生体センサパラメータと環境情報262に対応する生体センサパラメータの両方が候補に挙がる。ここで、生体情報一致率に基づいて選択する場合には、そ生体情報一致率231と生体情報一致率261を比較し、より一致率の高い生体情報一致率261に対応付けられた生体センサパラメータを送信する。また、個人情報記録装置2で選択せずに、複数の生体センサパラメータを送信し、生体認証装置1の側で設定に用いる生体センサパラメータを選択してもよい。
【0063】
また、図5の例では、生体認証装置1が環境情報取得部18を有しているが、これに限定するものではなく、個人情報記録装置2が環境情報取得部に相当する構成を有していてもよい。この場合、図6の処理フローにおいて、S3015は省略され、その代わりに、個人情報記録装置2において環境情報の取得処理がS3020に先立って行われる。
【0064】
以上説明したように、環境情報を取得し、生体センサパラメータと環境情報とを対応付けて記憶することにより、生体認証が行われる環境に応じて生体情報センサの動作条件を設定することができる。これにより生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を効果的に抑えることができ、認証精度を損なうことなく、ユーザの利便性を向上することができる。
【0065】
なお、生体情報一致率や環境情報などの情報に限らず、例えば親指や人差指など、生体情報を取得した生体の部位を示す情報や、生体センサパラメータを取得した生体認証装置の識別情報などの、パラメータに関連する関連情報を対応付けて記憶するようにしても良い。さらに、複数の生体センサパラメータを格納している場合に、それぞれの生体センサパラメータの使用履歴を記憶し、使用履歴をもとに生体センサパラメータを選択するようにしても良い。前述のように、利用者が個人情報記録装置を用いて認証処理を行う場合、自宅近くの銀行や会社などに設置された生体認証装置で繰り返し行うことが多いと考えられる。また、複数の生体部位に対応した生体センサパラメータが記憶されている場合であっても、利用者が生体認証に用いる生体部位は、人差指などの所定の部位を用いることが多いと考えられる。そのため、使用頻度の高い生体センサパラメータを用いることにより、生体情報センサの動作条件を適切に設定できる可能性が高くなり、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができる。
【0066】
使用履歴をもとに生体センサパラメータを選択する場合のシステムの構成および処理フローの例を図9および図10を用いて説明する。
【0067】
図9は、生体認証システムの構成例を示す図である。図において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、説明を省略する。本例では、データ格納メモリ23に生体センサパラメータが生体テンプレート番号と対応付けられて複数記憶され、生体テンプレート使用履歴238がさらに格納されていることが、図1の例と異なる点である。ここで、生体テンプレート番号233、生体テンプレート番号243には、例えば、生体の部位や生体認証装置の識別番号など、生体センサテンプレートに関連した情報に対応する番号が格納される。なお、番号に限らず、他の符号やアドレスなどのデータであってもよい。
【0068】
生体テンプレート使用履歴238には、個人情報記録装置2に格納された生体テンプレートを生体認証に用いた履歴が格納される。使用履歴は、生体テンプレート番号に対応付けて格納される。個人情報記録装置2は、この生体テンプレート使用履歴238に基づいて、複数の生体テンプレートの中から、生体認証装置1に送信する生体センサパラメータを選択する。例えば、今までに使用した回数が最も多いものを選択するようにしても良いし、1月内などの所定期間に最も使用頻度の高いものを選択するようにしても良い。
【0069】
図9の生体認証システムにおいて実行される認証処理の処理フロー例を図10に示す。図において、図2と同じ処理ステップについては同じ符号を付し、説明を省略する。
【0070】
生体認証装置1と個人情報記録装置2との間で相互認証処理を行い、認証が成功すると(S1000、S1010)、個人情報記録装置2は、生体テンプレート使用履歴238に基づいて、生体テンプレート番号を選択する(S4015)。そして、生体センサパラメータ格納テーブル230に格納された生体センサパラメータのうち、ステップS4015で選択した生体テンプレート番号に対応したセンサパラメータを生体認証装置1に送信する(S4020)。
【0071】
生体認証装置1は、生体情報を適切に取得すると(S1050)、生体情報の特徴パターンおよび生体センサパラメータに加えて、生体認証装置1の識別情報や生体情報センサが生体情報を取得した生体部位を示す情報を送信する(S4070)。
【0072】
S1090において認証に成功すると、生体認証装置1から送信された装置識別情報や生体部位情報などの情報に対応した生体テンプレート番号を抽出し、その生体テンプレート番号に対応する生体センサパラメータおよび生体テンプレート使用履歴を更新する。なお、生体センサパラメータの更新は、図4に示す処理フローのように、生体情報一致率に応じて更新するようにしても良い。
【0073】
ここで、生体テンプレート使用履歴238の一例を図11、図12に示す。
【0074】
図11の例では、最近6回の認証処理において用いられた生体テンプレートに対応する生体テンプレート番号が格納されている。個人情報記録装置2は、ステップS4015において、この情報に基づいて生体認証装置1に送信する生体センサパラメータを選択する。選択基準としては、例えば直近の認証で使用された生体テンプレートを選択してもよいし(この場合#1)、最近6回で使用頻度が高い生体テンプレートを選択してもよい(この場合#3)。あるいは用いられた何回前に用いられたかでスコアを付けてもよい。例えばN回前に用いられた生体テンプレートに6−(N−1)というスコアを付けると(図11中の「スコア」の行)、#1のスコアは6+5=11、#2のスコアは4、#3のスコアは3+2+1=6、となる。ここで最もスコアの高いものを選ぶとすれば、#1が選択されることになる。
【0075】
図12の例は、個人情報記録装置2に格納された生体テンプレートのそれぞれについて、認証で用いられた回数がトータルで保存されている場合を示している。ステップS4015における選択処理では、この情報に基づき、最も使用回数の多い#3が選択される。
【0076】
なお、S4015において選択する生体テンプレート番号は1つに限らず、複数選択するようにしても良い。選択した複数の番号に対応する生体センサパラメータを生体認証装置1に送信し、生体認証装置1の側で設定に用いる生体センサパラメータを選択してもよい。
【0077】
以上、図1等に示した例では、生体認証装置1と個人情報記録装置2が分かれた構成となっているが、これに限定するものではなく、例えば図13に示すように、生体認証装置と個人情報記録装置とが一体構成となった生体認証装置であってもよい。本例では、データ格納メモリ33には、生体センサパラメータ格納テーブル330と、輝度範囲331と、生体テンプレート格納部339とが格納されている。図13において、図1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0078】
次に、生体認証装置3が実行する認証処理の処理フローの一例を図14に示す。
【0079】
演算処理部12は、生体センサパラメータ格納テーブル330に格納された生体センサパラメータを用いて生体情報センサ30の動作条件を設定する(S5000)。例えば撮像部301のシャッタースピードや、光源部302のLEDの明るさなどを設定する。生体情報センサ30から生体情報を取得すると(S5010)、演算処理部12は、撮像された生体情報の一部または全部の画素の平均輝度あるいは輝度の最大値や最小値が、輝度範囲331に入っているかどうかを判定する。なお、図1や図2の例と同様、輝度以外の他の条件や複数の条件の組み合わせで判定を行っても良い。判定の結果、輝度範囲331に入っていない場合は、生体センサパラメータの再調整を行う(S5030)。例えば、撮像された画像の輝度が明るすぎる場合は、シャッタースピードをより短くする、あるいは、LEDの明るさをより暗くする、などの調節を行う。
【0080】
一方、判定の結果、輝度範囲331に入っている場合は、演算処理部12は生体情報センサ10から取得した生体情報から特徴パターンを抽出し、抽出した特徴パターンと、生体テンプレート格納部339に格納された生体情報の特徴パターンとを用いて照合処理を行う(S5040)。
【0081】
認証処理が成功した場合、生体センサパラメータ格納テーブル330に格納された生体センサパラメータを、ステップS5030で調節した値に更新する。一方、認証処理に失敗した場合は、生体センサパラメータを更新することなく、認証処理を終了する。
【0082】
以上説明したように、生体認証装置3は、生体情報を取得するときに調整した生体センサのパラメータを内部に保存しておき、次回の認証処理ではそのパラメータを用いることができる。これにより、次回の認証処理において同じような周辺環境の下で生体情報が取得される場合は、パラメータの調節を行う必要がなくなる。結果として、生体センサのパラメータ調節と生体情報取得の繰り返し回数を抑えることができ、認証精度を損なうことなく、ユーザの利便性を向上することができる。
【0083】
なお、図14に示した処理フローに限定するものではなく、図4、6、10の処理フローに示したように、生体情報一致率に応じて更新を制御したり、環境情報や生体部位などの情報に対応付けて複数の生体センサテンプレートを記憶し、環境情報や使用履歴に基づいて生体センサテンプレートを選択したりするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】生体認証システムの構成例を示す図。
【図2】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【図3】生体認証システムの構成例を示す図。
【図4】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【図5】生体認証システムの構成例を示す図。
【図6】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【図7】生体センサパラメータ格納テーブルの例を示した図。
【図8】生体センサパラメータ格納テーブルの例を示した図。
【図9】生体認証システムの構成例を示す図。
【図10】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【図11】生体テンプレート使用履歴の例を示した図。
【図12】生体テンプレート使用履歴の例を示した図。
【図13】生体認証装置の構成例を示す図。
【図14】生体認証処理の処理フロー例を示す図。
【符号の説明】
【0085】
1…生体認証装置、2…個人情報記録装置、9…利用者の生体、10…生体情報センサ、11…プログラム格納メモリ、12…演算処理部、13…データ格納メモリ、19…通信部、101…撮像部、102…光源部、130…生体センサパラメータ格納テーブル、131…輝度範囲、21…プログラム格納メモリ、22…演算処理部、23…データ格納メモリ、29…通信部、230…生体センサパラメータ格納テーブル、239…生体テンプレート格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体認証装置および情報記録装置を備えてなる生体認証システムであって、
前記生体認証装置は、前記情報記録装置との間で通信を行う第1の通信手段と、生体情報を取得する生体情報センサと、を備え
前記情報記録装置は、前記生体認証装置との間で通信を行う第2の通信手段と、生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段と、を備え、
前記情報記録装置は、前記記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを前記第2の通信手段により前記生体認証装置に送信し、
前記生体認証装置は、前記情報記録装置から送信された前記パラメータを前記第1の通信手段により受信し、受信した前記パラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から抽出された特徴パターンを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信することを特徴とする生体認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体認証システムであって、
前記生体認証装置は、前記生体情報センサにより取得した生体情報が生体認証に適したものとなっているか否かを判定し、前記生体情報が生体認証に適していないと判定された場合に前記パラメータを調整し、調整したパラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定することを特徴とする生体認証システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生体認証システムであって、
前記生体認証装置は、前記生体情報から抽出された特徴パターンとともに前記調整したパラメータを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信し、
前記情報記録装置は、前記生体認証装置から特徴パターンおよびパラメータを前記第2の通信手段により受信すると、前記第2の通信手段により受信した特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとを用いて照合処理を行い、照合に成功した場合に、前記第2の通信手段により受信したパラメータにより前記記憶手段に記憶されたパラメータを更新することを特徴とする生体認証システム。
【請求項4】
請求項2に記載の生体認証システムであって、
前記記憶手段は、前記パラメータを用いて取得された生体情報から抽出された特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとの一致率を示す一致率情報を、前記パラメータと対応付けて記憶し、
前記生体認証装置は、前記生体情報から抽出された特徴パターンとともに前記調整したパラメータを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信し、
前記情報記録装置は、前記生体認証装置から特徴パターンおよびパラメータを前記第2の通信手段により受信すると、前記第2の通信手段により受信した特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとを用いて照合処理を行い、
前記情報記録装置は、前記照合に成功した場合であって、かつ、前記受信した特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとの一致率が前記記憶手段に記憶された一致率よりも高い場合に、前記第2の通信手段により受信したパラメータにより前記記憶手段に記憶されたパラメータを更新することを特徴とする生体認証システム。
【請求項5】
請求項1に記載の生体認証システムであって、
前記記憶手段は、複数のパラメータと前記複数のパラメータに関する関連情報をそれぞれ対応付けて記憶しており、
前記情報記録装置は、前記関連情報を用いて、前記複数のパラメータの中から前記生体認証装置に送信するパラメータを選択することを特徴とする生体認証システム。
【請求項6】
請求項5に記載の関連情報は、環境に関する環境情報あるいは生体認証装置の識別情報であることを特徴とする生体認証システム。
【請求項7】
請求項1に記載の生体認証システムであって、
前記記憶手段は、複数のパラメータと、前記複数のパラメータの使用履歴に関する履歴情報を記憶しており、
前記情報記録装置は、前記履歴情報を用いて、前記複数のパラメータの中から前記生体認証装置に送信するパラメータを選択することを特徴とする生体認証システム。
【請求項8】
生体認証に用いられる生体認証装置であって、
生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する情報記録装置との間で通信を行う通信手段と、
生体情報を取得する生体情報センサと、を備え
前記通信手段により前記パラメータを前記情報記録装置から受信し、受信した前記パラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から抽出された特徴パターンを前記通信手段により前記情報記録装置に送信することを特徴とする生体認証装置。
【請求項9】
生体認証に用いられる情報記録装置であって、
生体情報センサを備えた生体認証装置との間で通信を行う通信手段と、
生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段と、を備え、
前記記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを前記通信手段により前記生体認証装置に送信し、
前記生体認証装置から生体情報センサにより取得された生体情報から抽出された特徴パターンおよびパラメータを前記通信手段により受信すると、前記通信手段により受信した特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとを用いて照合処理を行い、
前記照合に成功した場合に、前記通信手段により受信したパラメータにより前記記憶手段に記憶されたパラメータを更新することを特徴とする情報記録装置。
【請求項10】
生体認証に用いられる生体認証装置であって、
生体情報を取得する生体情報センサと、
前記生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段と、を備え
前記記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から特徴パターンを抽出し、前記抽出された特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとを用いて照合処理を行うことを特徴とする生体認証装置。
【請求項1】
生体認証装置および情報記録装置を備えてなる生体認証システムであって、
前記生体認証装置は、前記情報記録装置との間で通信を行う第1の通信手段と、生体情報を取得する生体情報センサと、を備え
前記情報記録装置は、前記生体認証装置との間で通信を行う第2の通信手段と、生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段と、を備え、
前記情報記録装置は、前記記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを前記第2の通信手段により前記生体認証装置に送信し、
前記生体認証装置は、前記情報記録装置から送信された前記パラメータを前記第1の通信手段により受信し、受信した前記パラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から抽出された特徴パターンを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信することを特徴とする生体認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体認証システムであって、
前記生体認証装置は、前記生体情報センサにより取得した生体情報が生体認証に適したものとなっているか否かを判定し、前記生体情報が生体認証に適していないと判定された場合に前記パラメータを調整し、調整したパラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定することを特徴とする生体認証システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生体認証システムであって、
前記生体認証装置は、前記生体情報から抽出された特徴パターンとともに前記調整したパラメータを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信し、
前記情報記録装置は、前記生体認証装置から特徴パターンおよびパラメータを前記第2の通信手段により受信すると、前記第2の通信手段により受信した特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとを用いて照合処理を行い、照合に成功した場合に、前記第2の通信手段により受信したパラメータにより前記記憶手段に記憶されたパラメータを更新することを特徴とする生体認証システム。
【請求項4】
請求項2に記載の生体認証システムであって、
前記記憶手段は、前記パラメータを用いて取得された生体情報から抽出された特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとの一致率を示す一致率情報を、前記パラメータと対応付けて記憶し、
前記生体認証装置は、前記生体情報から抽出された特徴パターンとともに前記調整したパラメータを前記第1の通信手段により前記情報記録装置に送信し、
前記情報記録装置は、前記生体認証装置から特徴パターンおよびパラメータを前記第2の通信手段により受信すると、前記第2の通信手段により受信した特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとを用いて照合処理を行い、
前記情報記録装置は、前記照合に成功した場合であって、かつ、前記受信した特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとの一致率が前記記憶手段に記憶された一致率よりも高い場合に、前記第2の通信手段により受信したパラメータにより前記記憶手段に記憶されたパラメータを更新することを特徴とする生体認証システム。
【請求項5】
請求項1に記載の生体認証システムであって、
前記記憶手段は、複数のパラメータと前記複数のパラメータに関する関連情報をそれぞれ対応付けて記憶しており、
前記情報記録装置は、前記関連情報を用いて、前記複数のパラメータの中から前記生体認証装置に送信するパラメータを選択することを特徴とする生体認証システム。
【請求項6】
請求項5に記載の関連情報は、環境に関する環境情報あるいは生体認証装置の識別情報であることを特徴とする生体認証システム。
【請求項7】
請求項1に記載の生体認証システムであって、
前記記憶手段は、複数のパラメータと、前記複数のパラメータの使用履歴に関する履歴情報を記憶しており、
前記情報記録装置は、前記履歴情報を用いて、前記複数のパラメータの中から前記生体認証装置に送信するパラメータを選択することを特徴とする生体認証システム。
【請求項8】
生体認証に用いられる生体認証装置であって、
生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する情報記録装置との間で通信を行う通信手段と、
生体情報を取得する生体情報センサと、を備え
前記通信手段により前記パラメータを前記情報記録装置から受信し、受信した前記パラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から抽出された特徴パターンを前記通信手段により前記情報記録装置に送信することを特徴とする生体認証装置。
【請求項9】
生体認証に用いられる情報記録装置であって、
生体情報センサを備えた生体認証装置との間で通信を行う通信手段と、
生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段と、を備え、
前記記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを前記通信手段により前記生体認証装置に送信し、
前記生体認証装置から生体情報センサにより取得された生体情報から抽出された特徴パターンおよびパラメータを前記通信手段により受信すると、前記通信手段により受信した特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとを用いて照合処理を行い、
前記照合に成功した場合に、前記通信手段により受信したパラメータにより前記記憶手段に記憶されたパラメータを更新することを特徴とする情報記録装置。
【請求項10】
生体認証に用いられる生体認証装置であって、
生体情報を取得する生体情報センサと、
前記生体情報センサの動作条件に関するパラメータと生体情報の特徴パターンを記憶する記憶手段と、を備え
前記記憶手段から前記パラメータを読み出し、読み出された前記パラメータを用いて前記生体情報センサの動作条件を設定し、前記生体情報センサにより生体情報を取得し、取得された前記生体情報から特徴パターンを抽出し、前記抽出された特徴パターンと前記記憶手段に記憶された特徴パターンとを用いて照合処理を行うことを特徴とする生体認証装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
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【図14】
【公開番号】特開2010−113433(P2010−113433A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283860(P2008−283860)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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