説明

生体認証装置、生体認証方法および通行制御装置

【課題】特定の環境に偏らずバリエーションを広げた学習が可能となり、使用頻度の少ない環境においても安定した認証性能が得られる生体認証装置を提供する。
【解決手段】顔画像を利用して本人を特定する生体認証装置において、顔画像を入力する環境をあらかじめ1つまたは複数に区分し、辞書情報の登録・更新時の学習状況を学習した内容がどの区分に分布しているかで表わし、辞書更新時の環境と対応付けられた環境区分の過去の学習状況に応じて重み付けを変更して辞書更新を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、セキュリティ管理などにおいて人物の顔画像、指紋画像、虹彩画像、静脈画像、声紋情報などの生体情報を用いて当該人物が本人であるか否かを判定する生体認証装置および生体認証方法に関する。
また、本発明は、上記生体認証装置を用いて通行者の通行(たとえば、重要施設の入退場など)を制御する通行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の生体認証装置は、あらかじめ認証対象者として登録された人物の生体情報をカメラやセンサなどを用いて取得し、この取得した生体情報から得られる当該人物固有の特徴情報を辞書情報として辞書記憶手段にあらかじめ記憶(登録)しておく。
【0003】
そして、照合時には、認証対象者としての人物の生体情報をカメラやセンサなどを用いて再度取得し、この取得した生体情報から得られる当該人物固有の特徴情報を辞書記憶手段にあらかじめ記憶(登録)されている辞書情報と照合することにより両情報の類似度を求めることにより、その求めた類似度により当該照合対象者が本人であるか否かを判定するようになっている。
【0004】
このような生体認証装置では、生体情報を利用した認識手法の問題として、入力環境の変動や経年変化などの認証性能の低下を引き起こす要因が数多く存在する。
これらの要因を解決するものとして、入力環境を計測し、計測した入力環境があらかじめ複数の段階に区分された環境の中のどの区分に該当するかを決定し、辞書登録時には該当する区分に対応させて登録を行ない、照合時には該当する区分の辞書情報と入力特徴情報との照合を行なうようにした技術がある(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−236665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体情報を用いた認識方法において、上記した認証性能低下要因の影響を軽減するために辞書更新を適宜行なうことで対処している。また、特許文献1のように想定される環境での辞書をあらかじめ作成しておき、切換えて利用するといった手法もある。
しかし、使用する環境を想定するには限界があり、特に経年変化に対しては、あらかじめ辞書を作成することは不可能である。また、先に挙げた辞書更新においても、従来手法は辞書更新を行なう際に現在の辞書の学習状況を考慮せずに足しこむ手法である。これは、辞書更新を行なう環境の発生頻度に依存するため、特定の環境に偏った学習をしてしまうという問題がある。また、照合時においても照合を行なっている環境での学習が不充分な辞書では個人の特徴を正確に表現することができず、照合結果の信頼性に欠けるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、特定の環境に偏らずバリエーションを広げた学習が可能となり、使用頻度の少ない環境においても安定した認証性能が得られる生体認証装置、生体認証方法および通行制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、他人受入率の軽減/本人誤排除率の軽減を優先といったシステムの要求に合う信頼性の高い照合結果を得ることができる生体認証装置、生体認証方法および通行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生体認証装置は、認識対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、この生体情報取得手段により取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出手段と、前記生体情報取得手段により生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得手段と、あらかじめ登録されている認識対象者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分がどの区分に該当するかを表わす分布情報とを対応させて記憶する辞書記憶手段と、前記生体特徴抽出手段により抽出された生体特徴情報と前記辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより当該認識対象者はあらかじめ登録されている特定の認識対象者であるかどうかを判定する照合手段と、この照合手段の判定結果あるいは前記環境区分取得手段により取得された環境区分に該当する区分における学習頻度に応じて学習を行なうことで前記辞書記憶手段に対する辞書情報の更新を行なう辞書更新手段とを具備している。
【0009】
また、本発明の生体認証装置は、認識対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、この生体情報取得手段により取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出手段と、前記生体情報取得手段により生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得手段と、あらかじめ登録されている認識対象者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分がどの区分に該当するかを表わす分布情報とを対応させて記憶する辞書記憶手段と、前記生体特徴抽出手段により抽出された生体特徴情報と前記辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより両情報の類似度を求め、この求めた類似度をあらかじめ設定された認証閾値と比較することで当該認識対象者はあらかじめ登録されている特定の認識対象者であるかどうかを判定する照合手段と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分と前記辞書記憶手段に記憶されている分布情報とを比較し、その比較結果に応じて前記照合手段における認証閾値を変更する認証閾値変更手段とを具備している。
【0010】
また、本発明の生体認証方法は、認識対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、この生体情報取得ステップにより取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出ステップと、前記生体情報取得ステップにより生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得ステップと、前記生体特徴抽出ステップにより抽出された生体特徴情報と、あらかじめ登録されている認識対象者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報とどの区分で学習しているかを表わす分布情報とを対応させて記憶している辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより当該認識対象者はあらかじめ登録されている特定の認識対象者であるかどうかを判定する照合ステップと、この照合ステップの判定結果あるいは前記環境区分取得ステップにより取得された環境区分に該当する区分における学習頻度に応じて学習を行なうことで前記辞書記憶手段に対する辞書情報の更新を行なう辞書更新ステップとを具備している。
【0011】
また、本発明の生体認証方法は、認識対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、この生体情報取得ステップにより取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出ステップと、前記生体情報取得ステップにより生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得ステップと、前記生体特徴抽出ステップにより抽出された生体特徴情報と、あらかじめ登録されている認識対象者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報とどの区分で学習しているかを表わす分布情報とを対応させて記憶している辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより両情報の類似度を求め、この求めた類似度をあらかじめ設定された認証閾値と比較することで当該認識対象者はあらかじめ登録されている特定の認識対象者であるかどうかを判定する照合ステップと、前記環境区分取得ステップにより取得された環境区分と前記辞書記憶手段に記憶されている分布情報とを比較し、その比較結果に応じて前記照合ステップにおける認証閾値を変更する認証閾値変更ステップとを具備している。
【0012】
また、本発明の通行制御装置は、通行者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、この生体情報取得手段により取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出手段と、前記生体情報取得手段により生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得手段と、あらかじめ登録されている通行者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分がどの区分に該当するかを表わす分布情報とを対応させて記憶する辞書記憶手段と、前記生体特徴抽出手段により抽出された生体特徴情報と前記辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより当該通行者はあらかじめ登録されている特定の通行者であるかどうかを判定する照合手段と、この照合手段の判定結果に応じて前記通行者の通行を制御する通行制御手段と、前記照合手段の判定結果あるいは前記環境区分取得手段により取得された環境区分に該当する区分における学習頻度に応じて学習を行なうことで前記辞書記憶手段に対する辞書情報の更新を行なう辞書更新手段とを具備している。
【0013】
さらに、本発明の通行制御装置は、通行者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、この生体情報取得手段により取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出手段と、前記生体情報取得手段により生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得手段と、あらかじめ登録されている通行者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分がどの区分に該当するかを表わす分布情報とを対応させて記憶する辞書記憶手段と、前記生体特徴抽出手段により抽出された生体特徴情報と前記辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより両情報の類似度を求め、この求めた類似度をあらかじめ設定された認証閾値と比較することで当該通行者はあらかじめ登録されている特定の通行者であるかどうかを判定する照合手段と、この照合手段の判定結果に応じて前記通行者の通行を制御する通行制御手段と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分と前記辞書記憶手段に記憶されている分布情報とを比較し、その比較結果に応じて前記照合手段における認証閾値を変更する認証閾値変更手段とを具備している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入力環境の変動ごとの学習状況に応じて辞書情報の更新の重みを変更することで、特定の環境に偏らずバリエーションを広げた学習が可能となり、使用頻度の少ない環境においても安定した認証性能が得られる生体認証装置、生体認証方法および通行制御装置を提供できる。
【0015】
また、本発明によれば、照合時の環境と対応付けられた環境の学習状況に応じた認証閾値を用いて照合することで、他人受入率の軽減/本人誤排除率の軽減を優先といったシステムの要求に合う信頼性の高い照合結果を得ることができる生体認証装置、生体認証方法および通行制御装置を提供できる。
【0016】
入力環境の変動ごとの学習状況に応じて辞書更新の重みを変更することで、特定の環境に偏らずバリエーションを広げた学習が可能となり、使用頻度の少ない環境においても安定した認識性能が得られる。また、照合時の環境と対応付けられた環境の学習状況に応じた認証しきい値を用いて照合することで、他人受入率の軽減/本人誤排除率の軽減を優先といったシステムの要求に合う信頼性の高い照合結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、人物の生体情報として顔画像を用いた場合を例として述べるが、顔画像以外に、指紋画像、虹彩情報、掌形画像、指画像、音声情報、静脈情報などの他の生体情報を用いても同様に実施できる。
【0018】
また、以下の説明では、図2に示すように現在の環境を表わす指標(たとえば、照度、湿度などの物理量)を環境情報、あらかじめ想定される環境(たとえば、照明条件0〜2000Lux)をあらかじめ少なくとも1つ以上(この例では複数)に区分しておき、現在の環境がどの区分に該当するかを表わしたものを環境区分と定義して説明する。
【0019】
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る生体認証装置の構成を概略的に示すものである。この生体認証装置は、認証対象者(以下、人物ともいう)Mの顔画像(少なくとも顔を含んでいる画像)を撮像して入力する生体情報取得手段としてのテレビジョンカメラ(以下、単にカメラと略称する)100、カメラ100から入力された顔画像から人物固有の顔の特徴情報を抽出する顔特徴抽出手段としての顔特徴抽出部101、入力環境を計測し、どの区分に該当するかを取得する環境区分取得手段としての環境区分取得部102、あらかじめ登録されている認証対象者の顔画像から得られる人物固有の顔の特徴情報からなる辞書情報とどの区分で学習しているかの分布を表わす分布情報とを対応付けて記憶(登録)しておく辞書記憶手段としての辞書記憶部103、顔特徴抽出部101により抽出された特徴情報(以下、入力特徴情報ともいう)と辞書記憶部103内の辞書情報とを照合することにより両情報の類似度を求め、この求めた類似度をあらかじめ設定された認証閾値と比較することで当該人物はあらかじめ登録されている特定の人物であるかどうかを判定する照合手段としての照合部104、顔特徴抽出部101により抽出された特徴情報と環境区分取得部102より取得した環境区分がどの区分に該当するかを対応付けて辞書記憶部103に記憶する辞書登録と、照合部104の判定結果あるいは環境区分取得部102により取得された環境区分に該当する区分における学習頻度に応じて学習を行なうことで辞書記憶部103内の辞書情報を更新する辞書更新とを行なう登録・更新手段としての登録・更新部105、照合部104の照合結果に応じて所定の出力を行なう出力手段としての出力部106から構成されている。
【0020】
なお、図示は省略しているが、必要に応じて、認証対象者Mが本人であることを確認する際に用いる暗証番号などを入力したり、多数登録されている辞書情報の中のどの辞書情報であるかを特定するID番号(識別情報)などを入力する入力手段をカメラ100の近傍に併設しても構わない。具体的には、たとえば、テンキーやタッチパネル、あるいは、ICカードや磁気カードあるいは無線カードを読取るカードリーダなどによって実現可能である。
【0021】
また、図示は省略しているが、必要に応じて、カメラ100の近傍(たとえば、右上方あるいは左上方)から認証対象者Mの少なくとも顔に向けて一定の照度で光を照射する照明手段が設けられる。
【0022】
以下、各部について詳細に説明する。
【0023】
カメラ100は、認証対象者Mの顔画像(少なくとも顔を含んでいる画像)を下方から所定角度で撮像して入力するものであり、たとえば、CCDセンサなどの撮像素子を用いたテレビジョンカメラから構成されている。
顔特徴抽出手段101は、カメラ100から入力された顔画像から人物の顔を検出することにより人物固有の顔の特徴情報を抽出する。顔の検出方法は、たとえば、文献(福井和広、山口修:「形状抽出とパターン照合の組合せによる顔特徴点抽出」、電子情報通信学会論文誌(D),vol.J80−D−II,No.8,pp2170−2177(1997))に開示されている方法などを用いることで、精度の高い顔の検出が実現可能である。その場合、あらかじめ用意されたテンプレートを入力画像中を移動させながら相関値を求めることにより、最も高い相関値を持った位置を顔領域とする。
なお、その他に、固有空間法や部分空間法を利用した顔抽出法などを用いてもよいが、本実施の形態においては、特定サイズに切り出した顔領域画像を入力された顔の特徴情報とすることとする。
【0024】
環境区分取得部102は、入力環境を計測し、どの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する。環境区分を取得するのに以下のステップで取得する。まず、環境情報(本実施の形態では照度情報)を計測する。次に、計測した環境情報(以下、入力環境情報ともいう)がどの区分に該当するかを対応付けることで入力環境と対応する環境区分を取得する。
【0025】
環境情報(照度情報)を計測する計測手段としては、たとえば、図3に示すように、カメラ100が設置された本装置の本体10と認証対象者Mとの間で、装置本体10の前面、左面、右面の3箇所にそれぞれ照度計102C,102L,102Rを設置することで実現可能である。その場合、入力環境情報として前面照度、左面照度、右面照度をそれぞれ取得する。
【0026】
また、計測した環境情報が、どの区分に該当するかの対応付けは以下の方法で実施が可能である。たとえば、図4に示すように、計測した3箇所の照度情報のうち、左面照度と右面照度のある範囲を指定し、対応づける。左面照度と右面照度のみを用いるのは、本装置は壁面に設置することが前提であり、左右面の照度により前面照度が決定されることからである。他にも、左右面の照度情報の差である左右照度差を用いて対応づけることも考えられる。
ここで、具体例を挙げて説明すると、たとえば、入力環境情報が図5に示す値であった場合、図4の例では入力環境情報は区分2に対応付けられる。
【0027】
辞書記憶部103は、人物を同定するために用いる辞書情報としての部分空間(または、相関行列など)、および、人物を特定するID番号などの識別情報を対応させて記憶する。また、辞書登録の際の時刻、日時、場所などの状況情報なども記憶できる。なお、部分空間に限らず、入力された顔画像や抽出された顔の特徴情報そのものを辞書情報として記憶してもよい。ここで保持する辞書情報は1名あたり1つでもよいし、状況によって切換えたり同時に認証に利用できるように複数の辞書情報を保持していてもかまわない。
【0028】
また、図6に示すように、環境区分取得部102によって取得された入力環境区分の該当する区分での学習頻度を求め、学習状況をも記憶する。このように区分ごとの学習頻度により学習状況を表わしたものを環境区分学習情報と定義する。
以上のように取得した顔の特徴情報(辞書情報)と環境区分学習情報とを対応させて辞書記憶部103に保持することで、以降その人物の照合を可能な状態とする。
【0029】
照合部104は、顔特徴抽出部101で抽出された特徴情報を周知のKL展開を行なうことにより得られたベクトル情報と、辞書記憶部103に記憶されている特徴情報(辞書情報)とを照合することで、現在、カメラ100の前にいる認証対象者Mがあらかじめ登録されている人物かどうかを判定する。
【0030】
この照合方法としては、IDカードやテンキー入力を利用して特定された辞書情報と一致するかどうかの判定を行ない、一致すれば登録者と判定するという1対1照合と、全ての辞書情報または一部の辞書情報と総当りで一致判定を行ない、1つでも一致する辞書情報があれば登録者と判定するという1対N照合の両方が利用可能である。
【0031】
具体的な認証方法としては、たとえば、文献(山口修、福井和広、前田賢一:「動画像を用いた顔認識システム」、信学技報PRMU97−50、pp17−23、1997−06)に記載されている公知の認証方法である相互部分空間法を用いることで実現可能である。
【0032】
この方法では、あらかじめ蓄えられた辞書情報の中の認証データも、入力されるデータも部分空間として表現され、2つの部分空間のなす「角度」を類似度として定義する。ここで入力される部分空間を入力部分空間という。入力データ列に対して同様に相関行列Cinを求め、
【数1】

【0033】
と対角化し、固有ベクトルΦinを求める。2つのΦin,Φdで表わされる部分空間の部分空間類似度(0.0〜1.0)を求め、それを認識するための類似度とする。
【0034】
なお、本実施の形態においては、この方法以外にも登録されている辞書情報の種類によってニューラルネットや単純類似度などでも実現可能である。
【0035】
以上のような方法で、辞書記憶部103に記憶された全ての辞書情報(部分空間)との類似度を求め、最も高い類似度となる人物の類似度をあらかじめ定められた認証閾値と比較し、認証閾値以上となった場合にその人物であると判定する。一方、最も高い類似度が認証閾値よりも低い場合にはあらかじめ登録を行なっている人物ではないと判定する。
【0036】
登録・更新部105は、辞書記憶部103に対して辞書登録および辞書更新を行なうもので、以下、辞書登録時と辞書更新時にわけて説明する。
辞書登録時(新規登録時)には、別途設置したテンキー(キーボード)やタッチパネルなどの入力手段により登録者(認証対象者M)のID番号、名前やメガネの有無など必要に応じた属性情報を入力するとともに、カメラ100による認証対象者Mの顔画像の取得によって、顔特徴抽出部101で特徴情報を抽出する。また、環境区分取得部102によって取得した入力環境区分がどの区分に該当するかを求め、それぞれを対応付けて辞書記憶部103に記憶(登録)する。
【0037】
辞書更新時には、照合部104において充分本人であると確証の得られる照合結果が得られた場合や、ID番号とパスワードの入力などといった確実に本人であるといった確認がとれたときのみ、カメラ100によって認証対象者Mの顔画像を取得して顔特徴抽出部101で抽出した入力特徴情報、および、環境区分取得部102で取得した入力環境区分、および、辞書記憶部103内の辞書情報(登録された特徴情報)の一部または全ての辞書情報と環境区分学習情報を利用することで、新たな辞書情報を計算(生成)する。
【0038】
具体的な方法としては、たとえば、辞書情報(登録された特徴情報)に部分空間を用いる場合、図7に示すように、辞書側に部分空間を作成するための相関行列を保存しておいて、入力側から新たに入力された顔特徴によって得られる相関行列と特定の比率で加算した上で、KL展開を再度計算して出力された部分空間を新たな顔の特徴情報(辞書情報)として置き換えることで実施が可能である。この場合、以前から登録されていた辞書情報を一切消去して情報を全て書換える方法でもよいし、まったく別の部分空間として新規に記憶(登録)するようにしても構わない。
【0039】
登録・更新部105において、特定の環境に偏らない学習を行なうためには、以下の方法で実施が可能である。たとえば、入力環境区分と環境区分学習情報とを比較することで、入力環境区分に該当する区分における学習頻度が少ない場合には高い重みをかけ、入力環境区分に該当する区分における学習頻度が多い場合には小さい重みをかけて辞書情報に加算することで、新たに入力された顔の特徴情報を登録された顔の特徴情報(辞書情報)に反映させる。重みのかけかたは、たとえば、下記数2に示すような方法が考えられる。
【数2】

【0040】
一方、特定の環境に特化した学習を行なうためには、以下の方法で実施が可能である。たとえば、入力環境区分が特定の区分に該当する場合には高い重みをかけ、特定の区分に該当しない場合には小さな重みをかけて辞書情報に加算することで、新たに入力された顔の特徴情報を登録された顔の特徴情報(辞書情報)に反映させる。
【0041】
出力部106は、たとえば、液晶表示パネルなどで構成されていて、カメラ100で撮影されている認証対象者Mの顔画像や各種ガイダンス、顔特徴抽出部101から得られる顔の特徴情報といったものを表示したり、照合部104の照合結果に応じたメッセージなどを表示する。同様に、音声出力が行なえる機器を接続して音声メッセージなどを出力してもよい。また、照合に利用された顔の特徴情報を履歴として記憶しておき、必要に応じて画面に表示することで確認することを可能とすることもできる。さらに、照合部104の照合結果に応じて、接続された機器を制御する信号を出力するといったことも行なえるようにすることができることは明らかである。たとえば、ゲート装置などを接続して、あらかじめ登録されている人物と認証された場合にのみ、ゲートの通行を許可するといったことなどが実現できることは自明である。
【0042】
以上説明したように上記第1の実施の形態によれば、生体情報を利用して本人を特定する生体認証において、入力環境の変動ごとの学習状況に応じて辞書更新の重みを変更することで、特定の環境に偏らずバリエーションを広げた学習が可能となり、使用頻度の少ない環境においても常に安定した認証性能が得られる。また、辞書更新の際、特定環境に特化した重み付けを行なうことで、使用頻度に影響を受けずに特定環境に強い認証性能が得られる。
【0043】
なお、生体情報として虹彩または網膜を用いた場合には、虹彩または網膜の照合に影響を与えそうな照度などの環境情報を利用することや、指紋を用いた場合には、指紋の照合に影響を与えそうな湿度、温度、圧力などの環境情報を利用することや、静脈を用いた場合には、静脈の照合に影響を与えそうな温度、照度などの環境情報を利用することや、声紋を用いた場合には、声紋の照合に影響を与えそうな背景雑音などの環境情報を利用することなどで同様に実現が可能である。
【0044】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る生体認証装置の構成を概略的に示すものである。この生体認証装置は、認証対象者Mの顔画像(少なくとも顔を含んでいる画像)を撮像して入力する生体情報取得手段としてのカメラ200、カメラ200から入力された顔画像から人物固有の顔の特徴情報を抽出する顔特徴抽出手段としての顔特徴抽出部201、入力環境を計測し、どの区分に該当するかを取得する環境区分取得手段としての環境区分取得部202、あらかじめ登録されている認証対象者の顔画像から得られる人物固有の顔の特徴情報からなる辞書情報とどの区分で学習しているかの分布を表わす分布情報とを対応付けて記憶(登録)しておく辞書記憶手段としての辞書記憶部203、顔特徴抽出部201により抽出された特徴情報(以下、入力特徴情報ともいう)と辞書記憶部203内の辞書情報とを照合することにより両情報の類似度を求め、この求めた類似度をあらかじめ設定された認証閾値と比較することで当該人物はあらかじめ登録されている特定の人物であるかどうかを判定する照合手段としての照合部204、環境区分取得手段202により取得した入力環境区分と辞書記憶部203に記憶してあるどの区分で学習しているかの分布情報とを比較し、それに応じて照合部204における認証閾値を変更する認証閾値変更手段としての認証閾値変更部205、照合部204の照合結果に応じて所定の出力を行なう出力手段としての出力部206から構成されている。
【0045】
なお、カメラ200、顔特徴抽出部201、環境区分取得部202、辞書記憶部203、照合部204、出力部206は、前述した第1の実施の形態におけるそれらと同一であるため説明を省略し、第1の実施の形態と異なる認証閾値変更部205について説明する。
【0046】
認証閾値変更部205は、環境区分取得部202で取得した入力環境区分と、辞書記憶部203内のどの区分で学習しているかの分布より学習状況を表わした環境区分学習情報とを比較し、その比較結果に基づき照合部204における認証閾値を変更する。
【0047】
具体的な方法としては、たとえば、他人受入の軽減を優先したシステムの場合には、以下の方法で実施が可能である。たとえば、IDカードやテンキー入力を利用して特定された辞書情報と一致するかどうかの1対1照合において、入力環境区分と環境区分学習情報とを比較し、入力環境区分に該当する区分における学習頻度が所定の頻度を超えない場合には、入力環境区分の学習が不充分であると判定し、認証閾値を高く設定する。極端なことを言えば、認証閾値を最大にして辞書記憶部203内の辞書情報を使用不可能にすることで、他人受入の可能性を排除してもよい。
【0048】
一方、本人誤排除の軽減を優先したシステムの場合には、以下の方法で実施が可能である。たとえば、IDカードやテンキー入力を利用して特定された辞書情報と一致するかどうかの1対1照合において、入力環境区分と環境区分学習情報とを比較し、入力環境区分に該当する区分における学習頻度が所定の頻度を超えない場合には、入力環境区分の学習が不充分であると判定し、認証閾値を低く設定する。極端なことを言えば、認証閾値を最小にすることで本人誤排除の可能性を排除してもよい。
【0049】
以上説明したように上記第2の実施の形態によれば、照合時の環境と対応付けられた環境の学習状況に応じた認証閾値を用いて照合することで、他人受入率の軽減や本人誤排除率の軽減を優先といったシステムの要求に合わせた適切な認証閾値での運用が可能となる。
【0050】
なお、生体情報として虹彩または網膜を用いた場合には、虹彩または網膜の照合に影響を与えそうな照度などの環境情報を利用することや、指紋を用いた場合には、指紋の照合に影響を与えそうな湿度、温度、圧力などの環境情報を利用することや、静脈を用いた場合には、静脈の照合に影響を与えそうな温度、照度などの環境情報を利用することや、声紋を用いた場合には、声紋の照合に影響を与えそうな背景雑音などの環境情報を利用することなどで同様に実現が可能である。
【0051】
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、たとえば、第1の実施の形態で説明した生体認証装置を、通行者の顔を認識して通行者の通行を制御する通行制御装置に適用した場合の例である。
【0052】
図9は、第3の実施の形態に係る通行制御装置の構成を概略的に示すものである。この通行制御装置は、たとえば、重要施設(セキュリティ重視の部屋など)への入退室管理を行なうもので、利用者(通行者)の顔を認識して、その認識結果に基づき重要施設の入退室用ドアの開閉制御を行なうものであり、カメラ100、顔特徴抽出部101、環境区分取得部102、辞書記憶部103、照合部104、登録・更新部105、出力部106、および、照合部104の照合結果に応じて重要施設116の入退室用ドア117の開閉制御を行なう通行制御手段としてのドア制御部115から構成されている。
なお、図9において、ドア制御部115以外は図1の生体認証装置と同じ構成であるので、同一符号を付して、その説明は省略する。
【0053】
照合部104は、たとえば、照合の結果、認証対象者(この場合は通行者)Mが本人であると判定した場合、ドア制御部115に「ドア開」の信号を出力し、通行者Mが本人でないと判定した場合、ドア制御部115に「ドア閉」の信号を出力する。ドア制御部115は、照合部105から「ドア開」の信号を受取ると、入退室用ドア117を開状態に制御して通行者Mの入室を許可し、「ドア閉」の信号を受取ると、入退室用ドア117を閉状態に保持して通行者Mの入室を拒否する。
このように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した生体認証装置を用いて通行者の通行を制御することができる。
【0054】
次に、第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、たとえば、第2の実施の形態で説明した生体認証装置を、通行者の顔を認識して通行者の通行を制御する通行制御装置に適用した場合の例であり、図10に本実施の形態に係る通行制御装置の構成を示す。第4の実施の形態も第3の実施の形態と同様な考えのもとで構成されており、よって同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施の形態に係る生体認証装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図2】環境区分取得部を説明するための図。
【図3】環境区分取得部における計測手段を説明するための図。
【図4】入力環境情報の取得に関する説明図。
【図5】取得した入力環境情報の具体例を示す図。
【図6】辞書記憶部の構成に関する説明図。
【図7】辞書更新に関する説明図。
【図8】第2の実施の形態に係る生体認証装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図9】第3の実施の形態に係る通行制御装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図10】第4の実施の形態に係る通行制御装置の構成を概略的に示すブロック図。
【符号の説明】
【0056】
M…認証対象者(人物、通行者)、100,200…カメラ(生体情報取得手段)、101,201…顔特徴抽出部(顔特徴抽出手段)、102,202…環境区分取得部(環境区分取得手段)、103,203…辞書記憶部(辞書記憶手段)、104,204…照合部(照合手段)、105…登録・更新部(辞書更新手段)、205…認証閾値変更部(認証閾値変更手段)、106,206…出力部(出力手段)、115…ドア制御部(通行制御手段)、116…重要施設、117…入退室用ドア(通行制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認識対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
この生体情報取得手段により取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出手段と、
前記生体情報取得手段により生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得手段と、
あらかじめ登録されている認識対象者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分がどの区分に該当するかを表わす分布情報とを対応させて記憶する辞書記憶手段と、
前記生体特徴抽出手段により抽出された生体特徴情報と前記辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより当該認識対象者はあらかじめ登録されている特定の認識対象者であるかどうかを判定する照合手段と、
この照合手段の判定結果あるいは前記環境区分取得手段により取得された環境区分に該当する区分における学習頻度に応じて学習を行なうことで前記辞書記憶手段に対する辞書情報の更新を行なう辞書更新手段と、
を具備したことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記辞書更新手段は、前記環境区分取得手段により取得された環境区分に該当する区分における学習頻度が少ない場合にはそれに応じた高い重みをかけて学習し、前記環境区分取得手段により取得された環境区分に該当する区分における学習頻度が多い場合にはそれに応じた小さい重みをかけて学習することを特徴とする請求項1記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記辞書更新手段は、前記環境区分取得手段により取得された環境区分が特定の区分に該当する場合には高い重みをかけて学習し、前記環境区分取得手段により取得された環境区分が特定の区分に該当しない場合には小さい重みをかけて学習することを特徴とする請求項1記載の生体認証装置。
【請求項4】
認識対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
この生体情報取得手段により取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出手段と、
前記生体情報取得手段により生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得手段と、
あらかじめ登録されている認識対象者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分がどの区分に該当するかを表わす分布情報とを対応させて記憶する辞書記憶手段と、
前記生体特徴抽出手段により抽出された生体特徴情報と前記辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより両情報の類似度を求め、この求めた類似度をあらかじめ設定された認証閾値と比較することで当該認識対象者はあらかじめ登録されている特定の認識対象者であるかどうかを判定する照合手段と、
前記環境区分取得手段により取得された環境区分と前記辞書記憶手段に記憶されている分布情報とを比較し、その比較結果に応じて前記照合手段における認証閾値を変更する認証閾値変更手段と、
を具備したことを特徴とする生体認証装置。
【請求項5】
前記認証閾値変更手段は、照合時の環境と対応付けられた環境区分の過去の学習状況が所定の頻度を超えない認識対象者の辞書情報に対し認証閾値を高い値に設定することを特徴とする請求項4記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記認証閾値変更手段は、照合時の環境と対応付けられた環境区分の過去の学習状況が所定の頻度を超えない認識対象者の辞書情報に対し認証閾値を低い値に設定することを特徴とする請求項4記載の生体認証装置。
【請求項7】
前記生体情報として認識対象者の顔画像、指紋画像、虹彩画像、静脈画像、声紋情報のうち少なくともいずれか1つを用いることを特徴とする請求項1または請求項4記載の生体認証装置。
【請求項8】
前記環境情報として照度情報、湿度情報、温度情報、圧力情報、電解強度情報、背景雑音情報のうち少なくともいずれか1つを用いることを特徴とする請求項1または請求項4記載の生体認証装置。
【請求項9】
認識対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
この生体情報取得ステップにより取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出ステップと、
前記生体情報取得ステップにより生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得ステップと、
前記生体特徴抽出ステップにより抽出された生体特徴情報と、あらかじめ登録されている認識対象者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報とどの区分で学習しているかを表わす分布情報とを対応させて記憶している辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより当該認識対象者はあらかじめ登録されている特定の認識対象者であるかどうかを判定する照合ステップと、
この照合ステップの判定結果あるいは前記環境区分取得ステップにより取得された環境区分に該当する区分における学習頻度に応じて学習を行なうことで前記辞書記憶手段に対する辞書情報の更新を行なう辞書更新ステップと、
を具備したことを特徴とする生体認証方法。
【請求項10】
認識対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
この生体情報取得ステップにより取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出ステップと、
前記生体情報取得ステップにより生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得ステップと、
前記生体特徴抽出ステップにより抽出された生体特徴情報と、あらかじめ登録されている認識対象者の生体情報から得られる人物固有の特徴情報からなる辞書情報とどの区分で学習しているかを表わす分布情報とを対応させて記憶している辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより両情報の類似度を求め、この求めた類似度をあらかじめ設定された認証閾値と比較することで当該認識対象者はあらかじめ登録されている特定の認識対象者であるかどうかを判定する照合ステップと、
前記環境区分取得ステップにより取得された環境区分と前記辞書記憶手段に記憶されている分布情報とを比較し、その比較結果に応じて前記照合ステップにおける認証閾値を変更する認証閾値変更ステップと、
を具備したことを特徴とする生体認証方法。
【請求項11】
通行者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
この生体情報取得手段により取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出手段と、
前記生体情報取得手段により生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得手段と、
あらかじめ登録されている通行者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分がどの区分に該当するかを表わす分布情報とを対応させて記憶する辞書記憶手段と、
前記生体特徴抽出手段により抽出された生体特徴情報と前記辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより当該通行者はあらかじめ登録されている特定の通行者であるかどうかを判定する照合手段と、
この照合手段の判定結果に応じて前記通行者の通行を制御する通行制御手段と、
前記照合手段の判定結果あるいは前記環境区分取得手段により取得された環境区分に該当する区分における学習頻度に応じて学習を行なうことで前記辞書記憶手段に対する辞書情報の更新を行なう辞書更新手段と、
を具備したことを特徴とする通行制御装置。
【請求項12】
通行者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
この生体情報取得手段により取得された生体情報から固有の生体特徴情報を抽出する生体特徴抽出手段と、
前記生体情報取得手段により生体情報を取得する際の環境情報を計測し、あらかじめ少なくとも1つ以上に区分された環境の中からどの区分に該当するかを表わす環境区分を取得する環境区分取得手段と、
あらかじめ登録されている通行者の生体情報から得られる固有の特徴情報からなる辞書情報と、前記環境区分取得手段により取得された環境区分がどの区分に該当するかを表わす分布情報とを対応させて記憶する辞書記憶手段と、
前記生体特徴抽出手段により抽出された生体特徴情報と前記辞書記憶手段内の辞書情報とを照合することにより両情報の類似度を求め、この求めた類似度をあらかじめ設定された認証閾値と比較することで当該通行者はあらかじめ登録されている特定の通行者であるかどうかを判定する照合手段と、
この照合手段の判定結果に応じて前記通行者の通行を制御する通行制御手段と、
前記環境区分取得手段により取得された環境区分と前記辞書記憶手段に記憶されている分布情報とを比較し、その比較結果に応じて前記照合手段における認証閾値を変更する認証閾値変更手段と、
を具備したことを特徴とする通行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−31103(P2006−31103A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204826(P2004−204826)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】