説明

生活支援報知システム

【課題】住居人が日常的に行う生活行動を忘れると、その重要度に応じた報知方法で行動忘れを報知する生活支援報知システムを提供する。
【解決手段】制御装置1のCPU7は、テレビ100の消費電流を検出する電流センサ8、電気調理器具101の消費電流を検出する電力計測装置2、人感センサ34と照度センサ35と開閉センサ36とを具備したセンサ端末3、及びガス給湯器102の給湯量を無線送信する無線装置4の入力データから住居人の生活行動を検出する。記憶部25には、複数種類の生活行動について、その行動が行われる標準的な時間帯と重要度が予め登録されている。CPU7は、タイマ7aが検出した時刻情報と生活行動の検出結果をもとに、記憶部25に登録された生活行動のうち、所定の時間帯に行われなかった生活行動を検出し、その重要度に応じてテレビ100を用いた住居人への報知やEメールによる介護ヘルパーへの報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活支援報知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者人口の増加に伴い、高齢者の独居世帯が増加する傾向にある。高齢者が一人暮らしをしていると、いわゆる認知症が進みやすく、認知症の初期症状として物忘れが多くなる場合がある。物忘れが多くなると、生活する上で欠かせない基本的な生活行動さえ忘れてしまうようになり、例えば食事、排泄、戸締まりなどをし忘れたり、浴槽に湯を貯めたにも関わらず入浴するのを忘れたり、寝室に行かずに居間でテレビを見たまま寝入ってしまったり、時間の感覚がずれて就寝時間が遅くなることで睡眠時間が短くなるといった状況が発生する。このような状況を放置しておくと物忘れがひどくなって、認知症が進行する可能性がある。同居人がいれば同居人の声かけによって、高齢者自身が忘れていた生活行動を簡単に実行できたり、生活行動のし忘れ自体が減ってくることもあるが、高齢者の独居世帯では高齢者の日常生活を見てくれる同居人がいないため、高齢者に対して、生活行動をし忘れていることを気付かせることができないという問題があり、行動忘れを高齢者に指摘して、行動忘れを防ぎたいという要望があった。
【0003】
ところで、住居人の生活を支援するシステムとして、例えば特許文献1に示されるような支援システムが従来提案されている。この支援システムは、リモートコントロール操作が可能な各種生活設備機器の動作状況を収集するとともに、収集データから時系列に沿った一連の動作パターンを抽出し、抽出した動作パターンを予め登録された動作パターンとマッチングすることで、次の動作を予測して、生活設備機器の操作を提案したり、代行するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−40726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の生活支援システムは、住居人が生活設備機器を操作した動作パターンをもとに次の動作を予測して、生活設備機器の操作を提案したり、代行することで、住居人による生活設備機器の操作を支援するものであるが、住居人が日常的に行う生活行動をし忘れていることを検知して、行動忘れを報知する機能は備えておらず、このような生活行動のし忘れを報知するシステムが要望されていた。また住居人が日常的に行う生活行動の中でも、食事、排泄、睡眠といった行動をし忘れると、体調の悪化を招く可能性があるため、入浴のような生活行動をし忘れた場合に比べて、報知回数を増やしたり、介護ヘルパーにも報知するなど報知方法を変更したいという要望があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、住居人が日常的に行う生活行動を忘れると、その重要度に応じた報知方法で行動忘れを報知する生活支援報知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、住居内での住居人の生活行動によって発生する事象を検出するセンシング手段と、センシング手段により検出される事象と生活行動とを対応付けた行動情報が予め登録された行動情報記憶手段と、センシング手段の検出結果をもとに行動情報記憶手段に記憶された行動情報を参照して住居人の生活行動を検出する行動検出手段と、現在の時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、住居人が行う複数種類の生活行動について、各生活行動が行われる所定の時間帯と、各生活行動の重要度が予め登録された基準行動記憶手段と、時刻情報取得手段の取得した時刻情報と行動検出手段の検出結果とをもとに、基準行動記憶手段に登録された生活行動のうち、所定の時間帯に行われなかった生活行動を検出する行動忘れ検知手段と、行動忘れ検知手段が所定の時間帯に行われなかった生活行動を検出すると、当該生活行動の重要度に応じた報知方法で行動忘れを報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。ここにおいて、重要度に応じた報知方法とは、重要度に応じて報知回数、報知を行う時期、報知先の何れかを変更して報知を行うことを意味している。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、報知手段は、行動忘れ検知手段によって検出された生活行動の重要度が高いほど、行動忘れを報知する報知回数を増やすことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、報知手段は、行動忘れの報知後に報知対象の生活行動が行われたことを行動検出手段が検出すると、当該生活行動の行動忘れに対する報知を停止することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明において、報知手段は、行動忘れ検知手段によって検出された生活行動の重要度が所定閾値よりも低い場合、重要度が所定閾値以上の場合に比べて、行動忘れを検知してから報知を行うまでの時間を長くすることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、報知手段は、行動忘れ検知手段によって検出された生活行動の重要度が所定閾値よりも低い場合、行動忘れをした日の翌日に、行動忘れを報知するとともに、行動忘れ検知手段によって検出された生活行動の重要度が所定閾値以上の場合、行動忘れを検出した際に行動忘れを報知することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、報知手段が、行動忘れをした日の翌日に行動忘れを報知する場合、報知対象の生活行動が行われる所定の時間帯に、行動忘れを報知することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかの発明において、報知手段による住居人への報知動作を一時停止させる一時停止機能を報知手段に設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、報知手段の一時停止機能は、行動忘れ検知手段が行動忘れを所定期間検知しなかった生活行動について報知動作を一時停止することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかの発明において、基準行動記憶手段には、生活行動が行われる所定の時間帯に対応付けて、当該時間帯に生活行動が行われる行動回数が予め登録されており、行動検出手段が、基準行動記憶手段に行動回数が登録された生活行動を、当該生活行動が行われる所定の時間帯に行動回数以上検出できなければ、行動忘れ検知手段は当該生活行動をし忘れたと判断することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかの発明において、行動忘れ検知手段は、行動検出手段によって基準行動記憶手段に登録された生活行動が所定の時間帯に複数回検出されると、当該生活行動を行ったことを住居人が忘れて同じ生活行動を繰り返す行動忘れが発生したと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、行動検出手段が、センシング手段の検出結果と予め登録された行動情報をもとに住居人の行った生活行動を検出しており、住居人が行う生活行動自体を直接検出できない場合でも、生活行動を行うことで発生する事象をセンシング手段が検出することによって、検出された事象に対応する生活行動が行われたと推定することができる。そして、行動忘れ検知手段は、基準行動記憶手段に登録された生活行動のうち、所定の時間帯に、行動検知手段が検知できなかった生活行動を、住居人がし忘れている生活行動として検出し、当該生活行動の重要度に応じた報知方法で報知手段が報知しているので、生活行動をし忘れていることを住居人に知らしめることができ、報知対象の生活行動を住居人に促すこともできる。
【0018】
請求項2の発明によれば、重要度が高いほど報知回数を増やすことで、住居人に対して報知内容をより確実に知らしめることができ、また報知対象の生活行動を住居人に促す効果を高めることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、行動忘れの報知後に報知対象の生活行動が検出されると、報知を停止しているので、行動忘れの報知が繰り返されて居住者が煩わしさを感じるのを防止することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、住居人が忘れていてもあまり支障がないような生活行動の場合、その重要度を所定閾値よりも低く設定しておけば、重要度が所定閾値よりも高い生活行動に比べて、行動忘れが起きてから報知するまでの時間を長くできるので、住居人が忘れているのではなく、生活行動を後回しにしているにも関わらず、報知手段による報知を受けて、不快に感じるのを防止することができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、重要度が所定閾値よりも低い生活行動の場合、報知手段が翌日に報知を行っているので、住居人が忘れているのではなく、後回しにしているにも関わらず、報知手段による報知を受けて、不快に感じるのを防止することができる。一方、重要度が所定閾値よりも高い生活行動の場合、行動忘れを検出した際に報知を行っているので、より早いタイミングで当該生活行動のし忘れを住居人に報知することができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、報知対象の生活行動が日常的に行われる時間帯に、報知手段による報知が行われるので、報知を受けた住居人が、し忘れていた生活行動をすぐに行いやすいという利点がある。
【0023】
請求項7の発明によれば、報知手段による行動忘れの報知動作を一時停止させることで、報知対象の生活行動について行動忘れを検知して報知する支援動作を行わなくても住居人が実行できるようになったかを確認することができる。
【0024】
請求項8の発明によれば、行動忘れが所定期間検出されなかった生活行動については、住居人が忘れず実行できるものと予想されるので、行動忘れの報知動作を一時停止させることで、行動忘れを検知して報知する支援動作を行わなくても住居人が実行できるようになったかを確認することができる。
【0025】
請求項9の発明によれば、決まった時間帯に1回だけ行われるような生活行動ではなく、ある時間帯に所定の行動回数以上行われるような生活行動の場合でも、その回数が所定の行動回数に満たないことから、行動忘れを検出することができる。
【0026】
また住居人の物忘れがひどくなると、例えば食事をしたことを忘れて、再び食事をするというように、生活行動を行ったことを忘れてしまう可能性があるが、請求項10の発明によれば、行動検出手段によって基準行動記憶手段に登録された生活行動が所定の時間帯に複数回検出されると、行動忘れ検知手段が行動忘れと検知しているので、生活行動を行ったことを住居人が忘れて同じ生活行動を繰り返すような行動忘れについても報知することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1のシステム構成図である。
【図2】同上の全体処理のフローチャートである。
【図3】同上の食事忘れ判定処理のフローチャートである。
【図4】同上のトイレ忘れ判定処理のフローチャートである。
【図5】同上の戸締まり確認処理のフローチャートである。
【図6】同上のリビング睡眠判定処理のフローチャートである。
【図7】同上の入浴忘れ判定処理のフローチャートである。
【図8】同上の睡眠時間異常判定処理のフローチャートである。
【図9】(a)は居間の照度センサ出力、(b)は寝室の照度センサ出力、(c)は寝室の開閉センサ出力のタイムチャートである。
【図10】実施形態2の制御装置のブロック図である。
【図11】同上の全体処理のフローチャートである。
【図12】同上の食事忘れ判定処理のフローチャートである。
【図13】同上のトイレ忘れ判定処理のフローチャートである。
【図14】同上のリビング睡眠判定処理のフローチャートである。
【図15】実施形態3の入浴忘れ判定処理のフローチャートである。
【図16】実施形態4の制御装置のブロック図である。
【図17】同上の入浴忘れ判定処理のフローチャートである。
【図18】実施形態5の制御装置のブロック図である。
【図19】同上の食事忘れ判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る生活支援報知システムは、住居内で住居人が日常的に行う生活行動を検出し、生活する上で欠かせない生活行動を住居人がし忘れていることを検出すると、住居人或いは住居人の訪問介護を行う介護ヘルパーに対して生活行動のし忘れを報知するシステムであり、以下に生活支援報知システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(実施形態1)
図1は実施形態1の概略的なシステム構成図であり、住居人が多くの時間を過ごす部屋、例えばテレビ100の置かれた居間に設置される制御装置1と、台所に置かれた電気調理器具101の消費電力量を計測する1乃至複数の電力計測装置2と、住居内の各所に設置された複数台のセンサ端末3と、ガス給湯器102の動作状態を制御装置1に送信する無線装置4とを主要な構成として備えている。
【0030】
電力計測装置2は、電源コンセント(図示せず)に接続される電源プラグ2aと、コンセント口26とを備え、電源プラグ2aが電源コンセントに接続されると、内部回路に動作電源が供給され、電気調理器具101の電源プラグ101aがコンセント口26に接続されると、電力計測装置2を介して電気調理器具101に交流電源が供給される。
【0031】
また電力計測装置2は、全体的な制御を行うCPU27と、電源プラグ2aとコンセント口26の間を接続する電路に流れる電流を検出するカレントトランスのような電流センサ28と、電流センサ28のアナログ出力をデジタル信号に変換してCPU27に出力するA/D変換部29と、電流センサ28によって計測される電気調理器具101の入力電流を記憶する電流値格納部30と、アンテナ31aを介して無線信号(電波信号)を送受信する無線通信部31と、無線通信部31が送信する送信データを格納する送信データ格納部32とを備え、電気調理器具101の入力電流から消費電力を求めて制御装置1に定期的に無線送信するものである。
【0032】
なお、住居内に電気調理器具101が複数台ある場合、電気調理器具101の各々に電力計測装置2を設けて、個々の電気調理器具101の消費電力量を個別に計測してもよいし、複数台の電気調理器具101に対して電力計測装置2を1台設け、複数台の電力計測装置2の消費電力をまとめて計測するようにしてもよい。
【0033】
センサ端末3は、住居内の各部位、例えば居間、台所、寝室、玄関、トイレ、浴室などに設置され、住居人の生活行動によって発生する事象を検出して、検出結果を制御装置1に出力するものである。このセンサ端末3は、全体的な制御を行うCPU33と、例えば人体から放射される熱線を検出する焦電型の赤外線検出素子からなり、設置場所付近の検知エリアにおける人の存否を検出する人感センサ34と、設置場所付近の明るさを検出する照度センサ35と、当該センサ端末3の設置場所が居間、寝室、玄関、トイレ、浴室などの場合に設置場所へ出入りするためのドアの開閉を検知する開閉センサ36と、アンテナ37aを介して無線信号(電波信号)を送受信する無線通信部37と、無線通信部37が送信する送信データを格納する送信データ格納部38とを備え、人感センサ34、照度センサ35、開閉センサ36の検出信号を定期的に制御装置1に無線送信するものである。
【0034】
無線装置4は、全体的な制御を行うCPU39と、アンテナ40aを介して無線信号(電波信号)を送受信する無線通信部40と、無線通信部40が送信する送信データを格納する送信データ格納部41とを備える。無線装置4では、ガス給湯器102から信号線を介して動作情報(例えば給湯量)が入力されると、この動作情報を無線通信部40から制御装置1へ無線送信するようになっている。
【0035】
ここにおいて、本システムでは、住居内での住居人の生活行動によって発生する事象を検出するセンシング手段として、電気調理器具2の消費電力を検出する電力計測装置2と、センサ端末3と、ガス給湯器102の給湯量を送信する無線装置4と、テレビ100の消費電流を検出する後述の電流センサ8とを備えているが、センシング手段を上記のものに限定する趣旨ではなく、生活行動にともなって発生する事象を検出できるようなセンサであれば、上記以外のセンサを用いてもよい。
【0036】
一方、制御装置1は、AC100V用の電源コンセント(図示せず)に接続される一対の栓刃5と、テレビ100の電源プラグ100aが接続されるコンセント口6とを備え、栓刃5が電源コンセントに接続されるとともに、電源プラグ100aがコンセント口6に接続されると、栓刃5を介して入力される交流電源から制御装置1の動作電源を得るとともに、制御装置1を介してテレビ100に交流電源が供給される。
【0037】
また制御装置1は、全体的な制御を行うCPU7と、栓刃5とコンセント口6の間を接続する電路に流れる電流を検出するカレントトランスのような電流センサ8と、電流センサ8のアナログ出力をデジタル信号に変換してCPU7に出力するA/D変換部9と、A/D変換部9によりデジタル信号に変換されたテレビ100の入力電流値を記憶する電流値格納部10と、テレビ100との間でHDMI(High Definition Multimedia Interface)規格の通信を行うHDMI通信部11と、HDMI通信部11からテレビ100へ出力させる制御データを格納するHDMI制御データ格納部12と、HDMI通信部11からテレビ100へ出力させる映像、音声の信号(AVデータ)を格納するHDMIAVデータ格納部13と、インターネットNTに接続するためのインターフェイス部(インターネットIF部)14と、アンテナ15aを介して無線信号(電波信号)を送受信する無線通信部15と、無線通信部15が受信した受信データを格納する受信データ格納部16と、前日および当日のそれぞれについて住居内の部位毎の状態データを格納する部位別状態格納部17と、住居人に対して報知する報知内容を格納する本人向け通知内容格納部18と、テレビ100を用いて映像や音声で通知する通知内容を格納するTV通知内容格納部19と、住居人の訪問介護を行う介護ヘルパーに通知する通知内容を格納するヘルパー向け通知内容格納部20と、所定の通知先に送信されるEメールの通知内容を格納するEメール通知内容格納部21と、センシング手段(電流センサ8、電力計測装置2、センサ端末3、無線装置4からなる)により検出される事象と生活行動とを対応付けた行動情報、
並びに、住居人が行う複数種類の生活行動について各生活行動が行われる所定の時間帯と各生活行動の重要度が予め登録された記憶部(行動情報記憶手段、基準行動記憶手段)25とを備えている。またCPU7は、動作クロックをカウントすることによって現在の時刻情報を取得するタイマ(時刻情報取得手段)7aを備えている。尚、各生活行動が行われる時間帯として、本システムを提供するメーカ側で複数人の生活パターンをもとに決定した時間帯を記憶部25に登録しておいてもよいし、居住者自身や居住者の家族や介護ヘルパーが決定した時間帯を記憶部25に登録してもよい。
【0038】
制御装置1では、無線通信部15が、台所に配置された電力計測装置2、住居内の各所に設置されたセンサ端末3、無線装置4からそれぞれ送信された無線信号を受信すると、受信データを受信データ格納部16に一旦格納しており、CPU7では、受信データ格納部16に格納されたデータを、住居内の部位毎(本実施形態では居間、台所、寝室、玄関、トイレ、浴室)のセンシング情報として部位別状態格納部17に格納している。またCPU7は、A/D変換部9から入力された電流センサ8の検出情報を、テレビ100が置かれた部位(例えば居間)のセンシング情報として部位別状態格納部17に格納している。
【0039】
以下の表1〜表6は、それぞれ、居間、台所、寝室、玄関、トイレ、浴室における前日のセンシング情報を示しており、各種のセンシング情報が4分間隔で格納されている。例えば居間では、表1に示すように居間に設置されたセンサ端末3が備える人感センサ34、照度センサ35、開閉センサ36の検出情報と、テレビ100の入力電流値のデータがセンシング情報として保管されている。台所では、表2に示すように台所に設置されたセンサ端末3が備える人感センサ34、照度センサ35の検出情報と、電力計測装置2により計測された電気調理器具101の入力電流値のデータがセンシング情報として保管されている。寝室、玄関、及びトイレでは、表3、表4、表5に示すように、寝室、玄関、及びトイレにそれぞれ設置されたセンサ端末3が備える人感センサ34、照度センサ35、開閉センサ36の検出情報がセンシング情報として保管されている。また浴室では、表6に示すように浴室に設置されたセンサ端末3が備える人感センサ34、照度センサ35、開閉センサ36の検出情報と、無線装置4から送信されたガス給湯器102の給湯量のデータがセンシング情報として保管されている。なお表1〜表6は前日分のセンシング情報を示しているが、制御装置1は逐次センシング情報を取得しており、部位別状態格納部17には、当日分のセンシング情報も各部位毎に所定の時間間隔(例えば4分間隔)で格納されている。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
そして、行動検出手段としてのCPU7は、部位別状態格納部17に格納されたセンシング情報(電流センサ8の検出情報や電力計測装置2、センサ端末3、無線装置4から入力された情報)をもとに、記憶部25に登録された行動情報を参照して、住居人の生活行動を検出している。また行動忘れ検出手段としてのCPU7は、タイマ7aが取得した時刻情報と、住居人による生活行動の検出結果とをもとに、記憶部25に登録された生活行動のうち、所定の時間帯に行われなかった生活行動を検出しており、行動忘れを検出すると、住居人や介護ヘルパーへの報知動作を行っている。
【0047】
本システムでは報知の形態として、テレビ100を用いて映像や音声で住居人に報知する形態と、介護ヘルパーが所持する携帯電話機などの端末装置にEメールで送信する形態とがある。
【0048】
テレビ100を用いた報知では、CPU7は、TV通知内容格納部19に格納された通知内容をHDMI通信部11からテレビ100に出力して、テレビ100から映像や音声で生活行動のし忘れを報知させている。尚、一般的に高齢者はテレビを視聴する時間が長いと考えられるので、本システムではテレビ100を報知手段として利用しているが、ラジオを聞く時間が長い住居人の場合は、ラジオを報知手段として利用すればよいし、居室内の特定の場所に居る時間が長い住居人の場合は、住居人が長くいる場所にスピーカやディスプレイなどの報知装置を設置し、人感センサによりその場所に住居人がいることを検知すれば、上記の報知装置を利用して行動忘れの報知を行えばよい。
【0049】
またEメールによる報知では、CPU7が、Eメール通知内容格納部21に格納された通知内容をもとにEメールを作成して、インターネットIF部14から送信することで、介護ヘルパーが所持する携帯電話機などの端末装置に生活行動のし忘れを報知するEメールを送信している。ここにおいて、本実施形態では制御装置1のCPU7、HDMI通信部11、インターネットIF部14、テレビ100などから報知手段が構成される。
【0050】
ここで表7は、本人向け通知内容格納部18に格納された報知内容の一例を示し、CPU7によって行動忘れと判断される生活行動と通知内容とが対応付けて予め格納されている。また表8は、ヘルパー向け通知内容格納部20に格納された報知内容の一例を示し、CPU7によって行動忘れと判断される生活行動のうち、介護ヘルパーに通知する対象の生活行動と通知内容とが対応付けて予め格納されている。なお本システムでは住居人の生活行動として食事、排泄、戸締まり、入浴といった生活行動のし忘れや、寝室に行かずに居間で寝入ってしまう状態(この状態をリビング睡眠と言う。)、就寝が遅くなって睡眠時間が短くなってしまう睡眠時間異常を検出しており、これらの検出項目のうち、戸締まりについては施錠の確認手段がなく、誤検出の可能性もあるため介護ヘルパーへの通知は行わず、またリビング睡眠、入浴については、健康への悪影響が少ない(重要度が低い)ため介護ヘルパーへの通知は行わないようになってる。また表9はTV通知内容格納部19の内部構成を示し、食事未完、トイレ間隔空き、戸締まり確認、リビング睡眠、入浴未完、睡眠時間異常の各生活行動毎に、テレビ100による通知内容を格納する記憶領域が設けられている。また表10はEメール通知内容格納部21の内部構成を示し、食事未完、トイレ間隔空き、睡眠時間異常の各生活行動毎に、Eメールによる通知内容を格納する記憶領域が設けられている。
【0051】
【表7】

【0052】
【表8】

【0053】
【表9】

【0054】
【表10】

【0055】
上述のように本システムでは、住居人が行う基本的な生活行動として、食事(朝食、昼食、夕食)、排泄、睡眠、入浴といった生活行動を検出することを目的としているが、これらの生活行動を住居人が実際に行っていることを検出するのは難しい。そこで本システムでは、制御装置1が、検出対象の生活行動を住居人が行うことで発生する事象を検出することにより、当該生活行動が行われたものと推定している。例えば食事の場合は、食事(朝食、昼食、夕食)をすると想定される時間帯に電気調理器具101が使用されていなければ、食事をし忘れていると判断する。また排泄の場合は、起床していると予想される時間帯にトイレが使用されたか否かを判定し、トイレの使用間隔が規定時間を超えると、排泄を忘れていると判断する。睡眠の場合は、夕食後に居間で過ごす間に寝入ってしまうリビング睡眠を検出するとともに、睡眠時間が標準的な時間よりも短くなる睡眠時間異常を検出しており、リビング睡眠の検出は、夕食後の時間帯に、居間に設置されたセンサ端末3の人感センサ34が人の動きを検知していない状態で、照明が点灯したままになっていることから、リビング睡眠と判断する。また睡眠時間異常の場合は、寝室に入室した時間から退室するまでの間で、寝室の明るさが所定の閾値よりも暗い時間を積算し、その積算時間が標準的な睡眠時間よりも短ければ、睡眠時間異常と判断している。また入浴の場合は、ガス給湯器102から所定湯量を超える大量の給湯があった後に、浴室内に設置されたセンサ端末3の人感センサ34が所定時間以上連続して人を検知すると、入浴があったと判断し、午前零時(24時)までに入浴が検出されなければ、入浴忘れと判断している。また戸締まりの場合、電気錠を備えた住居では施解錠の状態を容易に検出できるが、電気錠が設置されていない住居では、施解錠の状態を検出することはできないため、本システムでは玄関でドアの開閉を検出すると、1日に1回は戸締まりの確認を促す報知を行っている。
【0056】
以下に、上述した各生活行動のし忘れを検出する動作について、図2〜図8のフローチャートに基づいて説明する。図2は制御装置1のCPU7が行う全体処理のフローチャートであり、CPU7は一定時間毎(例えば1分毎)に全体処理を繰り返し実行しており、全体処理を開始すると、食事のし忘れを判定する食事忘れ判定処理(S1)、排泄のし忘れを判定するトイレ忘れ判定処理(S2)、戸締まり確認の報知を行う戸締まり確認処理(S3)、リビング睡眠を検出するリビング睡眠判定処理(S4)、入浴のし忘れを検出する入浴忘れ判定処理(S5)、睡眠時間異常を検出する睡眠時間異常判定処理(S6)を順番に実行する。
【0057】
ここで、個別の判定処理について詳細に説明する。先ず、S1の食事忘れ判定処理について図3のフローチャートを参照して説明する。CPU7は、食事忘れ判定処理を開始すると、タイマ7aの取得した現在時刻が食事促し時刻か否かの判定を順次行う(S20,S23,S26)。ここで、食事促し時刻は食事が完了していると予想される時刻に設定されており、例えば朝食であれば8時、昼食であれば13時、夕食であれば20時にそれぞれ設定されている。S20,S23,S26の判定の結果、現在時刻が食事促し時刻でなければS30の処理に移行し、現在時刻が朝食、昼食、夕食何れかの食事促し時刻であれば、部位別状態格納部17に格納された台所の当日のセンシング情報(表2)を参照し(S21,S24,S27)、2時間前から現在までの間(直近2時間以内)に電気調理器具101を使用したか否かを判断する(S22,S25,S28)。CPU7は、電力計測装置2により検出された電流値と所定の基準電流値との高低を比較することによって、電気調理器具101の使用/不使用を判断しており、電気調理器具101が使用されていれば食事が完了していると判断して、S30の処理に移行する。一方、S22,S25,S28の判定で電気調理器具101が使用されていなければ、CPU7は、食事忘れと判断し、本人向け通知内容格納部18から食事未完(朝食未完、昼食未完、夕食未完)に対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納する(S29)。
【0058】
次にCPU7は、現在時刻が、食事未完を介護ヘルパーに通知する食事未完時刻であるか否かの判定を順次行う(S30,S33,S36)。ここで、食事未完時刻は、食事促し時刻よりも遅い時刻、例えば食事促し時刻の2時間後に設定されており、朝食未完時刻は10時、昼食未完時刻は15時、夕食未完時刻は22時にそれぞれ設定されている。S30,S33,S36の判定の結果、現在時刻が食事未完時刻でなければ食事忘れ判定処理を終了し、朝食、昼食、夕食何れかの食事未完時刻であれば、部位別状態格納部17に格納された台所の当日分のセンシング情報を参照し(S31,S34,S37)、4時間前から現在までの間(直近4時間以内)に調理器具を使用したか否かを判断する(S32,S35,S38)。CPU7は、電力計測装置2により検出された電流値と所定の基準電流値との高低を比較することによって、電気調理器具101の使用/不使用を判断しており、調理器具が使用されていなければ、ヘルパー向け通知内容格納部20から食事未完(朝食未完、昼食未完、夕食未完)に対する通知内容を読み出して、Eメール通知内容格納部21の対応する記憶領域に格納し(S39)、調理器具が使用されていれば食事が完了しているものと判断して、食事忘れ判定処理を終了する。
【0059】
またトイレ忘れの判定処理について図4のフローチャートを参照して説明する。CPU7は、トイレ忘れ判定処理を開始すると、タイマ7aの取得した現在時刻が住居人の起床していると予想される時間帯、すなわち10時から24時までの間か否かを判定し(S41)。ここで、現在時刻が10時から24時までの間であれば、CPU7は部位別状態格納部17に格納されたトイレの当日のセンシング情報(表5)を参照し(S42)、開閉センサ36がドアの開状態を検知した後、人感センサ34が人を検知すれば、住居人がトイレを使用したと判断する。そして、CPU7は、直近4時間以内にトイレが使用されたか否かを判断し(S43)、トイレが使用されたと判断すれば、TV通知内容格納部19の「トイレ忘れ」に対応する記憶領域(トイレ未完領域)をクリアして(S44)、トイレ忘れ判定処理を終了する。一方、S43の判定で直近4時間以内にトイレを使用していないと判断された場合、CPU7は、当日、既にトイレ忘れを報知したか否かを判断し(S45)、報知済みでなければ、本人向け通知内容格納部18からトイレ忘れに対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納するとともに(S46)、ヘルパー向け通知内容格納部20からトイレ忘れに対する通知内容を読み出して、Eメール通知内容格納部21の対応する記憶領域に格納した後(S47)、トイレ忘れ判定処理を終了する。尚、S41の判定で現在時刻が10時から24時までの間ではないと判定された場合、またS45の判定で当日報知済みと判定された場合、CPU7は、トイレ忘れ判定処理を終了する。なお、本システムではトイレの使用間隔が4時間を超えると、トイレ忘れと判断しているが、使用間隔には個人差があるので、住居人に応じて使用間隔を適宜設定すればよい。また、本システムではトイレの時間間隔が所定間隔を超えるとトイレ忘れと判断しているが、例えば人が起床していると予想される時間帯に、トイレを利用したことを所定の行動回数以上検出できなければ、トイレ忘れと判断してもよく、また排泄以外の生活行動についても、ある時間帯に所定の行動回数以上行われるような生活行動の場合は、当該時間帯に所定の行動回数以上、生活行動が検出できなければ、当該生活行動をし忘れていると判断するようにしてもよい。
【0060】
また戸締まりの確認処理について図5のフローチャートを参照して説明する。CPU7は、戸締まりの確認処理を開始すると、部位別状態格納部17に格納された玄関の前日及び当日のセンシング情報(表4)を参照し(S51)、30分前から現在までの間(直近30分)に、開閉センサ36によりドアの開閉(すなわち閉状態から開状態に切り替わったのち再び閉状態となること)が検知されたか否かを判定し(S52)、検知がなければ戸締まりの確認処理を終了する。一方、S52の判定の結果、直近30分以内にドアの開閉が検知されていれば、CPU7は、当日、既に戸締まり確認を報知したか否かを判断し(S53)、報知済みでなければ、本人向け通知内容格納部18から戸締まり確認に対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納した後(S54)、戸締まりの確認処理を終了する。またS53の判定の結果、報知済みと判断された場合も、CPU7は戸締まりの確認処理を終了する。
【0061】
また、リビング睡眠の判定処理について図6のフローチャートを参照して説明する。CPU7は、リビング睡眠の判定処理を開始すると、タイマ7aの取得した現在時刻がリビング睡眠の判定を行う対象時間(例えば21時から24時までの間)であるか否かを判定し(S61)、対象時間帯でなければ、TV通知内容格納部19の「リビング睡眠」に対応する記憶領域をクリアして(S66)、リビング睡眠の判定処理を終了する。
【0062】
一方、現在時刻がリビング睡眠の判定を行う対象時間であれば、CPU7は、部位別状態格納部17に格納された居間の当日のセンシング情報(表1)を参照して(S62)、住居人が居間で寝入ってしまったか否かを判断する。住居人が居間で寝入ってしまった場合、人体の動きがないため、焦電素子を用いた人感センサ34では人の存在を検知することができず、また照明器具は点灯したままになっていると予想される。したがって、CPU7では、当日のセンシング情報をもとに、30分前から現在までの間(直近30分以内)にセンサ端末3の人感センサ34が人を検知したか否かを判断し(S63)、人(すなわち人の動き)を検知していれば、住居人は起きていると判断して、上述したS66の処理に移行する。一方、直近30分以内に人を検知していなければ、CPU7は、照度センサ35の検出した照度と所定の規定値との高低を比較し(S64)、直近の30分間で照度が規定値よりも暗くなる期間があれば、住居人が照明器具のオン/オフ操作を行った、すなわち住居人が起きていると判断して、上述したS66の処理へ移行する。そして、S64の判定の結果、直近30分以内に照度が規定値よりも常に明るいと判断された場合、CPU7は、照明器具を点灯させたまま、住居人が寝入ったものと判断し、当日、既にリビング睡眠を報知したか否かを判断し(S65)、報知済みでなければ、本人向け通知内容格納部18からリビング睡眠に対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納した後(S67)、リビング睡眠の判定処理を終了する。またS65の判定の結果、報知済みと判断された場合も、CPU7は、リビング睡眠の判定処理を終了する。尚、リビング睡眠としては、居間でテレビを視聴している間に寝入ってしまうような状況も考えられるので、リビング睡眠の判定処理において、所定時間帯に人感センサ34の検知なしという判定と、所定時間帯の照度が規定値以上という判定に加えて、テレビ100の電源オンという判定を加えてもよいが、図2の全体フローで報知動作を行う際にテレビ100の電源がオンか否かの判定を行っており(S9)、テレビ100の電源がオンの場合に行動忘れの報知を行うので、リビング睡眠の判定処理ではテレビ100の電源がオンか否かの判定は省略してある。
【0063】
また、入浴忘れの判定処理について図7のフローチャートを参照して説明する。CPU7は、入浴忘れの判定処理を開始すると、部位別状態格納部17に格納された浴室の当日のセンシング情報(表6)を参照し(S71)、現在より1時間以上前にガス給湯器102の給湯量が規定値(例えば250リットル)を超えたか否かを判定し(S72)、給湯量が規定値を超えていなければ、入浴忘れの判定処理を終了する。またS72の判定で、現在より1時間以上前に給湯量が規定値を超えていた、すなわち浴槽に湯を貯めるために大量に湯が使用されたと判断された場合、CPU7は、1時間前から現在までの間(直近1時間以内)に、10分以上連続して人感センサ34が人を検知した期間があるか否かを判断し(S73)、10分以上連続して検知があれば、住居人が入浴したと判断し、TV通知内容格納部19の入浴忘れに対応する記憶領域(入浴未完領域)をクリアして(S74)、入浴忘れの判定処理を終了する。またS73の判定で10分以上連続した検知がないと判断されると、CPU7は、住居人が浴槽に湯を貯めたのに入浴し忘れていると判断して、当日、既に入浴忘れを報知したか否かを判断し(S75)、報知済みであれば、入浴忘れの判定処理を終了する。一方、報知済みでなければ、CPU7は、本人向け通知内容格納部18から入浴忘れに対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納した後(S76)、現在時刻が24時か否かを判定し(S77)、24時でなければ、そのまま入浴忘れの判定処理を終了し、24時になっていれば、TV通知内容格納部19の入浴忘れに対応する記憶領域(入浴未完領域)をクリアして(S78)、入浴忘れの判定処理を終了する。
【0064】
次に、睡眠時間異常の判定処理について図8及び図9を参照して説明する。尚、図8は睡眠時間異常の判定処理を示すフローチャートであり、図9(a)は居間に設置されたセンサ端末3の照度センサ出力、同図(b)(c)はそれぞれ寝室に設置されたセンサ端末3の照度センサ出力、開閉センサ出力である。CPU7は、睡眠時間異常の判定処理を開始すると、先ずタイマ7aの取得した現在時刻が午前10時か否かを判断し(S81)、午前10時でなければ判定処理を終了し、午前10時であればS82以降の処理を実行する。すなわちCPU7は、毎日、住居人が確実に起床していると予想される午前10時になると、睡眠時間異常の判定処理を行うようになっている。現在時刻が午前10時であれば、CPU7は、部位別状態格納部17に格納された居間の前日及び当日のセンシング情報を参照し(S82)、前日の22時(午後10時)から当日の8時(午前8時)までの間で、照度センサ35の検出した照度が連続して50ルクス以下となる時間帯で最長の時間帯の起点時刻と終点時刻を抽出する。図9(a)は居間に設置された照度センサ35の検出照度と所定の基準照度(50ルクス)との明暗を比較した結果を示しており、50ルクス以下となる時間帯で最長の時間帯の起点時刻、終点時刻はそれぞれt1,t2であるから、CPU7は起点時刻t1を居間から退室した時刻(以下、リビング退室時刻と言う。)、終点時刻t2を居間に入室した時刻(以下、リビング入室時刻と言う。)として一時記憶する(S83)。
【0065】
次にCPU7は、部位別状態格納部17に格納された寝室の前日及び当日のセンシング情報を参照し(S84)、リビング退室時刻t1以後1時間以内で、開閉センサ36が寝室のドアの開状態を検出した時刻t3,t4のうち、最も古い時刻t3を寝室に入室した時刻(以下、寝室入室時刻と言う。)として一時格納するとともに(S85)、リビング入室時刻t2から遡って1時間以内で、開閉センサ36が寝室のドアの開状態を検出した時刻t5,t6のうち、最も新しい時刻t6を寝室から退室した時刻(以下、寝室退室時刻と言う。)として一時格納する(S86)。その後、CPU7は、寝室入室時刻t3から寝室退室時刻t6までの間で照度センサ35の検出した照度が所定のしきい値(例えば50ルクス)以下となる時間T1,T2を積算して、この積算時間(T1+T2)を睡眠時間として求めており(S87)、積算時間が標準的な睡眠時間(例えば5時間)よりも短いか否かを判断する(S88)。この時、積算時間が5時間以上であれば、CPU7は睡眠時間異常の判定処理を終了し、積算時間が5時間未満であれば、CPU7は、本人向け通知内容格納部18から睡眠時間異常に対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納した後(S89)、ヘルパー向け通知内容格納部20から睡眠時間異常に対する通知内容を読み出して、Eメール通知内容格納部21の対応する記憶領域に格納し(S90)、睡眠時間異常の判定処理を終了する。
【0066】
上述した各生活行動ついての判定処理(S1〜S6)が終了すると、CPU7は TV通知内容格納部19を参照し(S7)、TV通知内容格納部19に通知内容が格納されているか否かを判断する(S8)。S8の判定の結果、何れかの判定処理で行動忘れが検出され、TV通知内容格納部19に通知内容が格納されていれば、CPU7は、A/D変換部9から入力された電流の検出結果からテレビ100の電源がオンかオフかを判定し(S9)、テレビ100の電源がオンであればTV通知内容格納部19に格納された通知内容をHDMI通信部11からテレビ100に出力させて、テレビ100に住居人に対する報知動作を行わせた後に、TV通知内容格納部19の格納データをクリアして(S11)、S12の処理に移行する。一方、S8の判定でTV通知内容格納部19に通知内容が格納されていなかった場合、つまり何れの判定処理でも行動忘れが検出されなかった場合、CPU7はS12の処理に移行し、報知動作を行わないので、報知後に対象の生活行動が検出された場合は報知を停止することができ、報知を受けた居住者が対象の生活行動を実施した後も報知が行われて、居住者が煩わしさを感じることがない。またS9の判定でテレビ100の電源がオフの場合も、CPU7はS12の処理に移行し、報知動作を行わない。
【0067】
S12の処理ではCPU7がEメール通知内容格納部21を参照し、Eメール通知内容格納部21に通知内容が格納されているか否かを判断する(S13)。S13の判定の結果、TV通知内容格納部19に通知内容が格納されていれば、CPU7は、Eメール通知内容格納部21に格納された通知内容を報知するEメールを作成して、インターネットIF部14から例えば住居人の訪問介護を行う介護ヘルパーが保持する携帯電話などの端末装置のメールアドレスに宛てて送信された後(S14)、Eメール通知内容格納部21に格納された通知内容をクリアして(S15)、全体処理を終了する。またS13の判定の結果、TV通知内容格納部19に通知内容が格納されていなければ、CPU7は、全体処理を終了する。
【0068】
以上説明したように、本システムによれば、行動検出手段たるCPU7が、センシング手段たる電力計測装置2、センサ端末3、無線装置4、及びA/D変換部9の検出結果と、記憶部25に予め登録された行動情報をもとに住居人の行った生活行動を検出しており、住居人が行う生活行動自体を直接検出できない場合でも、生活行動を行うことで発生する事象をセンシング手段が検出することによって、検出された事象に対応する生活行動が行われたと推定することができる。そして、行動忘れ検知手段たるCPU7は、記憶部25に登録された生活行動のうち、対応する時間帯に検知できなかった生活行動を、住居人がし忘れている生活行動として検出し、当該生活行動の重要度に応じた報知方法で(例えば居間にあるテレビ100から映像や音を出力させるなどして)、報知動作を行うことによって、所定の生活行動をし忘れていることを住居人に知らしめることができ、報知対象の生活行動を住居人に促すこともできる。また生活行動の重要度によっては、CPU7が、住居人の介護ヘルパーが所有する携帯電話にEメールで報知内容を送信することで、重要な生活行動をし忘れていることを介護ヘルパーにも知らしめることができる。
【0069】
尚、一般的に高齢者はテレビ視聴時間が長いため、本実施形態では住居人に行動忘れを報知する報知手段としてテレビ100を用いているが、ラジオを聞く時間が長い住居人に対しては、報知手段としてラジオを用い、行動忘れの報知メッセージをラジオから出力させるようにしてもよい。また、居間で過ごす時間が長い住居人に対しては、文字、音声、映像などで報知する別個の報知装置を居間に設置し、この報知装置を用いて行動忘れの報知を行うようにしてもよい。
【0070】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図10〜図14に基づいて説明する。尚、制御装置1以外のシステム構成は、実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0071】
図10は制御装置1の概略的なブロック図であり、制御装置1は、行動忘れを検出した生活行動について複数回繰り返して報知する場合の報知間隔を記憶する繰り返し通知間隔格納部22を備え、重要度が相対的に高い生活行動については、繰り返し通知間隔格納部22に設定された報知間隔で、複数回繰り返し報知動作を行うようになっている。ここでは、行動忘れの検知対象である生活行動のうち、食事、排泄、リビング睡眠の3つについて、他の生活行動よりも重要度が相対的に高く設定されている場合を例に説明を行う。また繰り返し通知間隔格納部22には、本人向けに報知する場合の繰り返し通知間隔として30分が、介護ヘルパー向けに報知する場合の繰り返し通知間隔として1時間が設定されているものとする。尚、繰り返し通知間隔格納部22以外の制御装置1の構成は、実施形態1で説明した制御装置1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0072】
次に本実施形態の検出動作について図11〜図14のフローチャートを参照して説明を行う。尚、図11は全体処理のフローチャート、図12は食事忘れ判定処理のフローチャート、図13はトイレ忘れ判定処理のフローチャート、図14はリビング睡眠判定処理のフローチャートであり、実施形態1で説明したフローチャートと共通する処理には同一の符号を付してある。
【0073】
先ず、図11を参照して全体処理の説明を行う。CPU7は一定時間毎(例えば1分毎)に全体処理を繰り返し実行しており、全体処理を開始すると、食事のし忘れを判定する食事忘れ判定処理(S1)、就寝前の排泄を忘れているかを判定するトイレ忘れ判定処理(S2)、戸締まり確認の報知を行う戸締まり確認処理(S3)、リビング睡眠を検出するリビング睡眠判定処理(S4)、入浴のし忘れを検出する入浴忘れ判定処理(S5)、睡眠時間異常を検出する睡眠時間異常判定処理(S6)を順番に実行する。ここで、戸締まり確認処理、入浴忘れ判定処理、睡眠時間異常判定処理は実施形態1で説明した処理内容と同一であるので、その説明は省略し、食事忘れ判定処理、トイレ忘れ判定処理、リビング睡眠判定処理について以下に説明する。
【0074】
図12は食事忘れ判定処理のフローチャートであり、本実施形態では住居人または介護ヘルパーに通知を行う時刻(食事促し時刻、食事未完時刻)に幅を持たせてある。すなわち、S20,S23,S26で現在時刻を食事促し時刻と比較する際に、CPU7では、食事促し時刻を朝食の場合は7時から9時の時間帯、昼食の場合は12時から14時までの時間帯、夕食の場合は19時から21時までの時間帯と設定してあり、各時間帯において直近2時間以内に電気調理器具101が使用されたことを検出できれば(S22,S25,S28)、食事が完了したと判断する。一方、各時間帯において直近2時間以内に電気調理器具101が使用されたことを検出できなければ、CPU7は、食事が未完と判断し、本人向け通知内容格納部18から食事未完(朝食未完、昼食未完、夕食未完)に対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納する(S29)。
【0075】
次にCPU7は、現在時刻を食事未完時刻と比較するのであるが(S30,S33,S36)、本システムでは食事未完時刻が朝食の場合は9時から11時の時間帯、昼食の場合は14時から16時までの時間帯、夕食の場合は21時から23時までの時間帯に設定されており、CPU7は、各時間帯において直近4時間以内に電気調理器具101が使用されたことを検出できれば(S32,S35,S38)、食事が完了したと判断する。一方、各時間帯において直近4時間以内に電気調理器具101が使用されたことを検出できなければ、CPU7は、食事が未完と判断し、ヘルパー向け通知内容格納部20から食事未完(朝食未完、昼食未完、夕食未完)に対する通知内容を読み出して、Eメール通知内容格納部21の対応する記憶領域に格納する(S39)。
【0076】
このように、本実施形態では食事促し時刻及び食事未完時刻にそれぞれ幅を持たせて、それぞれの時間帯において、食事が完了したとみなせる電気調理器具101の使用があるまで、TV通知内容格納部19及びEメール通知内容格納部21に通知内容を格納し続けている。
【0077】
また図13はトイレ忘れ判定処理のフローチャートを示している。実施形態1で説明したトイレ忘れ判定処理では、S45の処理で当日報知済みか否かを判断し、当日既に報知済みであれば、TV通知内容格納部19及びEメール通知内容格納部21に通知内容を格納する処理を行っていないので、再度の報知が行われないようになっている。それに対して、本実施形態ではS43の判定で直近4時間にトイレが使用されていないと判断されると、CPU7は、TV通知内容格納部19及びEメール通知内容格納部21に通知内容を格納する処理を行っているので、当日既に報知済みであっても、トイレ間隔が4時間以上あけば、繰り返し、トイレ忘れを報知することができる。
【0078】
また図14はリビング睡眠判定処理のフローチャートを示している。実施形態1で説明したリビング睡眠判定処理では、S65の処理で当日報知済みか否かを判断し、当日報知済みであれば、TV通知内容格納部19に通知内容を格納する処理を行っていないので、再度の報知が行われないようになっている。それに対して、本実施形態ではS63,S64の判定で直近30分に人の動きが検知できず、その間に照明が点灯し続けていると判断されると、CPU7は、TV通知内容格納部19に通知内容を格納する処理を行っているので(S67)、当日既に報知済みであっても、リビング睡眠を検出できれば、繰り返し、リビング睡眠を報知することができる。
【0079】
そして、個別の生活行動ついての判定処理(図11のS1〜S6)が終了すると、CPU7は TV通知内容格納部19を参照し(S7)、TV通知内容格納部19に通知内容が格納されているか否かを判断する(S8)。S8の判定の結果、TV通知内容格納部19に通知内容が格納されていれば、CPU7は、A/D変換部9から入力された電流の検出結果からテレビ100の電源がオンかオフかを判定し(S9)、テレビ100の電源がオンであれば、前回の通知から本人向け通知間隔(例えば30分)が経過したか否かを判定しており(S16)、前回通知時から本人向け通知間隔が経過していれば、TV通知内容格納部19に格納された通知内容をHDMI通信部11からテレビ100に出力させて、テレビ100に住居人に対する報知動作を行わせた後に、TV通知内容格納部19の格納データをクリアして(S11)、S12の処理に移行する。尚、S8の判定で通知内容がなかった場合、またS9の判定でテレビ100の電源がオフの場合、S16の判定で前回通知時から本人向け通知間隔が経過していなかった場合も、CPU7はS12の処理に移行する。
【0080】
S12の処理ではCPU7がEメール通知内容格納部21を参照し、Eメール通知内容格納部21に通知内容が格納されているか否かを判断する(S13)。S13の判定の結果、TV通知内容格納部19に通知内容が格納されていれば、前回の通知からヘルパー向け通知間隔(例えば1時間)が経過したか否かを判定しており(S17)、前回通知時からヘルパー向け通知間隔が経過していれば、CPU7は、Eメール通知内容格納部21に格納された通知内容を報知するEメールを作成して、インターネットIF部14から例えば介護ヘルパーが所持する携帯電話のメールアドレスに宛てて送信された後(S14)、Eメール通知内容格納部21に格納された通知内容をクリアして(S15)、全体処理を終了する。また、S13の判定でTV通知内容格納部19に通知内容が格納されていない場合、S17の判定で前回通知時からヘルパー向け通知間隔が経過していなかった場合も、CPU7は、全体処理を終了する。
【0081】
このように、本実施形態では、検出対象である生活行動のうち重要度が相対的に高い生活行動(食事忘れ、トイレ忘れ、リビング睡眠の3つ)について、これらの生活行動を住居人が忘れた場合、住居人がし忘れていたことに気付いて生活行動を実行するまでの間、CPU7が、住居人或いは介護ヘルパーに対する報知動作を繰り返し行っているので、住居人や介護ヘルパーなどの報知先に報知内容をより確実に知らしめることができ、また報知対象の生活行動を住居人に促す効果を高めることができる。尚、本実施形態では住居人が報知対象の生活行動を実行するまで、所定の通知間隔で報知動作を行っているが、重要度が高い生活行動の場合は、重要度が低い生活行動に比べて、報知回数を増やしてやればよく、住居人に対して報知内容をより確実に知らしめることができ、また報知対象の生活行動を住居人に促す効果を高めることができる。またCPU7は、重要度が相対的に高い生活行動の行動忘れを検知すると、所定の通知間隔で報知動作を繰り返すことによって、報知動作を複数回行っているが、報知後に対象の生活行動が検出されると、報知が停止されるので、報知を受けた住居人が生活行動を行った後も報知が行われて、居住者が煩わしさを感じることがない。
【0082】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図15に基づいて説明する。尚、本実施形態のシステム構成は、実施形態1又は2と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0083】
本実施形態の生活支援報知システムでは、行動忘れ検知手段たるCPU7によって、行動忘れと検出された生活行動の重要度が所定閾値よりも低い場合、重要度が所定閾値以上の場合に比べて、行動忘れが起きてから報知を行うまでの時間を長くしており、本実施形態では行動忘れが起きた翌日に報知動作を行っている。ここでは、重要度が所定閾値よりも低い生活行動として入浴忘れが設定されている場合を例に説明を行う。
【0084】
図15は入浴忘れ判定処理のフローチャートであり、CPU7は、入浴忘れの判定処理を開始すると、先ずタイマ7aの取得した現在時刻が、住居人が確実に起床していると予想される午前10時か否かを判断し(S91)、午前10時でなければ判定処理を終了し、午前10時であればS92以降の処理を実行する。すなわち、CPU7は、毎日、午前10時になると入浴忘れの判定処理を行うようになっている。
【0085】
現在時刻が午前10時であれば、CPU7は、部位別状態格納部17に格納された浴室の前日のセンシング情報を参照し(S92)、ガス給湯器102の給湯量が規定値(例えば250リットル)を超えたか否かを判定し(S93)、給湯量が規定値を超えていなければ、入浴忘れの判定処理を終了する。またS93の判定で、給湯量が規定値を超えていた、すなわち浴槽に湯をためたと判断された場合、CPU7は、給湯量が規定値を超えた時刻(以下、湯張り時刻と言う。)を一時記憶し(S94)、湯張り時刻から前日の24時までの間に、10分以上連続して人感センサ34が人を検知した期間があるか否かを判断し(S95)、10分以上連続して検知があれば、住居人が入浴したと判断して、入浴忘れの判定処理を終了する。一方、S95の判定で10分以上連続した検知がないと判断されると、CPU7は、住居人が浴槽に湯を貯めたのに入浴し忘れていると判断して、本人向け通知内容格納部18から入浴忘れに対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納した後(S96)、入浴忘れの判定処理を終了する。尚、下記の表11は本人向け通知内容格納部18に予め登録された通知内容を示し、入浴未完に対しては翌日の報知になるため、「昨日、お風呂にはいりましたか」という通知内容が登録されている。
【0086】
【表11】

【0087】
本システムでは、毎日、午前10時になるとCPU7が入浴忘れの判定処理を行って、前日入浴忘れが起きたか否かを判定しており、入浴忘れが起きていれば住居人に対して報知動作が行われるようになっている。このように、重要度が所定閾値よりも低い生活行動の場合、行動忘れが起きた翌日に報知を行っているので、住居人が忘れているのではなく、重要度が高くないから後回しにしているにも関わらず、報知手段による報知を受けて、不快に感じるのを防止することができる。一方、重要度が所定閾値よりも高い生活行動の場合、CPU7は、行動忘れを検出した際に報知を行っているので、より早いタイミングで当該生活行動の実行を住居人に促すことができる。
【0088】
(実施形態4)
本発明の実施形態4を図16及び図17に基づいて説明する。尚、制御装置1以外のシステム構成は、実施形態1又は2と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0089】
本実施形態の生活支援報知システムでは、行動忘れ検知手段たるCPU7によって、行動忘れと検出された生活行動の重要度が所定閾値よりも低い場合、重要度が所定閾値以上の場合に比べて、行動忘れが起きてから報知を行うまでの時間を長くしており、本実施形態では行動忘れが起きた翌日、報知対象の生活行動が標準的に行われる時間帯に報知動作を行っている。なお本実施形態では、重要度が所定閾値よりも低い生活行動として入浴忘れが設定されている場合を例に説明を行う。
【0090】
図16は制御装置1の概略的なブロック図であり、制御装置1は、入浴忘れを報知する報知時刻を格納する入浴忘れ報知時刻格納部23を備え、重要度が所定閾値よりも低い行動忘れについては、行動忘れが起きた日の翌日、入浴忘れ報知時刻格納部23に格納された報知時刻に報知動作を行っている。尚、入浴忘れ報知時刻格納部23以外の制御装置1の構成は、実施形態2で説明した制御装置1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0091】
図17は入浴忘れ判定処理のフローチャートであり、CPU7は、入浴忘れの判定処理を開始すると、部位別状態格納部17に格納された浴室の当日のセンシング情報を参照し(S71)、30分前から現在までの間(直近30分以内)にガス給湯器102の給湯量が規定値(例えば250リットル)を超えたか否かを判定する(S72)。ここで、給湯量が規定値を超えていれば、CPU7は、住居人が浴槽に湯を貯めたと判断し、現在時刻より30分前の時刻を、入浴が日常的に行われる時間帯として入浴忘れ報知時刻格納部23に格納した後(S90)、S91の処理へ移行し、S72の判定で給湯量が規定値を超えていなければ、S91の処理へそのまま移行する。S91の処理では、CPU7は、タイマ7aの取得した現在時刻が、入浴忘れ報知時刻格納部23に格納された報知時刻か否かを判断し、報知時刻でなければ判定処理を終了し、報知時刻であればS92以降の処理を実行する。すなわち、CPU7は、入浴忘れ報知時刻格納部23に格納された報知時刻になると、入浴忘れの判定処理を行っており、CPU7は、部位別状態格納部17に格納された浴室の前日のセンシング情報を参照し(S92)、ガス給湯器102の給湯量が規定値(例えば250リットル)を超えたか否かを判定し(S93)、給湯量が規定値を超えていなければ、つまり湯張りを行っていなれば、入浴忘れの判定処理を終了する。またS93の判定で、給湯量が規定値を超えていた、すなわち浴槽に湯を貯めたと判断された場合、CPU7は、給湯量が規定値を超えた時刻(以下、湯張り時刻と言う。)を一時記憶し(S94)、湯張り時刻から前日の24時までの間に、10分以上連続して人感センサ34が人を検知した期間があるか否かを判断し(S95)、10分以上連続して検知があれば、住居人が入浴したと判断して、入浴忘れの判定処理を終了する。一方、S95の判定で10分以上連続した検知がないと判断されると、CPU7は、住居人がお湯張りをしたのに入浴し忘れていると判断して、本人向け通知内容格納部18から入浴忘れに対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納した後(S96)、入浴忘れの判定処理を終了する。
【0092】
このように本実施形態では、住居人が浴槽に湯を貯めた時刻を、住居人が日常的に入浴を行う時刻として入浴忘れ報知時刻格納部23に格納しておき、その後、入浴忘れ報知時刻がくると、浴室の前日のセンシング情報から入浴忘れが発生しているか否かを判断し、入浴忘れが起きていると判断されれば、報知動作を行っているので、報知対象の生活行動を行いやすい時間帯に行動忘れを報知することで、住居人が忘れていた生活行動を行いやすいという利点がある。
【0093】
(実施形態5)
本発明の実施形態5を図18及び図19に基づいて説明する。尚、制御装置1以外のシステム構成は、実施形態1〜4と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0094】
本実施形態の生活支援報知システムでは、CPU7が、住居人に対して行う行動忘れの報知動作を一時停止させる一時停止機能をCPU7に設けており、行動忘れの報知動作を一時停止させることで、報知対象の生活行動について行動忘れを検知して報知する支援動作を行わなくても住居人が実行できるようになったかを確認することができる。
【0095】
図18は制御装置1の概略的なブロック図であり、制御装置1は、行動忘れの報知動作を一時停止する生活行動を格納する一時停止サービス格納部24を備えている。下記の表12は一時停止サービス格納部24の内部構成を示し、検知対象の生活行動毎に、報知サービスを実行するか停止するかが設定されている。一時停止サービス格納部24の設定データは、例えば介護ヘルパーの端末装置からインターネット経由で制御装置1にアクセスして、書き換えられるようになっている。介護ヘルパーが、住居人との対話や、Eメールで送信されてくる通知内容の履歴をもとに、行動忘れの報知動作を一時停止させたいと考えた場合、介護ヘルパーの携帯端末からインターネット経由で制御装置1にアクセスし、制御装置1の一時停止サービス格納部24に格納された設定データの書き換えを行っている。尚、一時停止サービス格納部24以外の制御装置1の構成は実施形態4で説明した制御装置1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0096】
【表12】

【0097】
ここで、食事忘れの報知動作を例にして、行動忘れの報知動作を一時停止する処理を説明する。図19は食事忘れ判定処理のフローチャートであり、CPU7は、食事忘れ判定処理を開始すると、タイマ7aの取得した現在時刻が食事促し時刻か否かの判定を順次行う(S20,S23,S26)。ここで、食事促し時刻は食事が完了していると予想される時刻に設定されており、例えば朝食であれば7時から9時までの時間帯、昼食であれば12時から14時までの時間帯、夕食であれば19時から21時までの時間帯にそれぞれ設定されている。S20,S23,S26の判定の結果、現在時刻が朝食、昼食、夕食何れかの食事促し時刻であれば、部位別状態格納部17に格納された台所の当日のセンシング情報を参照し(S21,S24,S27)、2時間前から現在までの間(直近2時間以内)に電気調理器具101を使用したか否かを判断する(S22,S25,S28)。CPU7は、電力計測装置2により検出された電流値と所定の基準電流値との高低を比較することによって、電気調理器具101の使用/不使用を判断しており、電気調理器具101が使用されていれば食事が完了していると判断して、S30の処理に移行する。一方、電気調理器具101が使用されていなければ、CPU7は、一時停止サービス格納部24の設定データを参照して食事忘れの報知サービスが一時停止中か否かを判断し、食事忘れの報知サービスが一時停止中であればS30の処理へ移行し、食事忘れの報知サービスが一時停止中でなければ、本人向け通知内容格納部18から食事未完(朝食未完、昼食未完、夕食未完)に対する通知内容を読み出して、TV通知内容格納部19の対応する記憶領域に格納する(S29)。
【0098】
次にCPU7は、現在時刻が、食事未完を介護ヘルパーに通知する食事未完時刻であるか否かの判定を順次行う(S30,S33,S36)。ここで、食事未完時刻は、食事促し時刻よりも遅い時刻に設定されており、朝食の場合は9時から11時の時間帯、昼食の場合は14時から16時までの時間帯、夕食の場合は21時から23時までの時間帯にそれぞれ設定されている。S30,S33,S36の判定の結果、現在時刻が朝食、昼食、夕食何れかの食事未完時刻であれば、部位別状態格納部17に格納された台所のセンシング情報を参照し(S31,S34,S37)、4時間前から現在までの間(直近4時間以内)に調理器具を使用したか否かを判断する(S32,S35,S38)。CPU7は、電力計測装置2により検出された電流値と所定の基準電流値との高低を比較することによって、電気調理器具101の使用/不使用を判断しており、調理器具が使用されていなければ、ヘルパー向け通知内容格納部20から食事未完(朝食未完、昼食未完、夕食未完)に対する通知内容を読み出して、Eメール通知内容格納部21の対応する記憶領域に格納し(S39)、調理器具が使用されていれば食事が完了しているものと判断して、食事忘れ判定処理を終了する。
【0099】
このように、本実施形態では介護ヘルパーが一時停止サービス格納部24に格納された設定データを書き換えて、所望の生活行動に対応する設定データを「実行」から「停止」に書き換えると、当該生活行動に対する行動忘れの報知動作が一時停止されるから、報知対象の生活行動について行動忘れを検知して報知する支援動作を行わなくても住居人が実行できるようになったかを確認することができる。
【0100】
尚、本実施形態では介護ヘルパーが所望の生活行動に対する報知動作を一時停止させているが、住居者自身や住居者の家族が所望の生活行動に対する報知動作を一時停止させてもよいし、報知手段たるCPU7の一時停止機能が、行動忘れ検知手段としてのCPU7によって行動忘れを所定期間(例えば数日間)検知しなかった生活行動について報知動作を一時停止するようにしてもよい。行動忘れが所定期間検知されなかった生活行動は、住居者が忘れず行えるようになったものと予想されるので、CPU7の一時停止機能が、対象の生活行動についての報知動作を一時停止させることで、行動忘れを検知して報知する支援動作を行わなくても住居人が実行できるようになったかを確認することができる。
【0101】
また上述の各実施形態では、行動忘れ検知手段としてのCPU7は、記憶部25に登録された生活行動のうち、所定の時間帯に行われなかった生活行動を行動忘れとして検出しているが、記憶部25に登録された生活行動が所定の時間帯に複数回検出されると、当該生活行動を行ったことを住居人が忘れて同じ生活行動を繰り返す行動忘れが発生したと判断し、上述の各実施形態で説明した報知手段を用いて報知動作を行わせてもよい。例えば住居人の物忘れがひどくなると、食事後に食事をしたことを忘れて再び食事をするといった具合に、自分の行った生活行動を忘れてしまう可能性があるが、朝食・昼食・夕食の各時間帯で複数回食事行動が検出されれば、行動忘れが発生したとの検知を行い、テレビやEメールなどの報知手段を用いて行動忘れを報知するようにしてもよく、生活行動を行ったことを忘れて同じ生活行動を繰り返すような行動忘れについても報知することが可能になる。
【符号の説明】
【0102】
1 制御装置
2 電力計測装置(センシング手段)
3 センサ端末(センシング手段)
4 無線装置(センシング手段)
7 CPU(行動検出手段、行動忘れ検知手段、報知手段)
7a タイマ(時刻情報取得手段)
8 電流センサ(センシング手段)
14 インターネットIF部(報知手段)
25 記憶部(行動情報記憶手段、基準行動記憶手段)
34 人感センサ
35 照度センサ
36 開閉センサ
100 テレビ(報知手段)
101 電気調理器具
102 ガス給湯器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住居内での住居人の生活行動によって発生する事象を検出するセンシング手段と、
センシング手段により検出される事象と生活行動とを対応付けた行動情報が予め登録された行動情報記憶手段と、
センシング手段の検出結果をもとに行動情報記憶手段に記憶された行動情報を参照して住居人の生活行動を検出する行動検出手段と、
現在の時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
住居人が行う複数種類の生活行動について、各生活行動が行われる所定の時間帯と、各生活行動の重要度が予め登録された基準行動記憶手段と、
時刻情報取得手段の取得した時刻情報と行動検出手段の検出結果とをもとに、基準行動記憶手段に登録された生活行動のうち、前記所定の時間帯に行われなかった生活行動を検出する行動忘れ検知手段と、
行動忘れ検知手段が所定の時間帯に行われなかった生活行動を検出すると、当該生活行動の重要度に応じた報知方法で行動忘れを報知する報知手段とを備えたことを特徴とする生活支援報知システム。
【請求項2】
前記報知手段は、前記行動忘れ検知手段によって検出された生活行動の重要度が高いほど、行動忘れを報知する報知回数を増やすことを特徴とする請求項1記載の生活支援報知システム。
【請求項3】
前記報知手段は、行動忘れの報知後に報知対象の生活行動が行われたことを前記行動検出手段が検出すると、当該生活行動の行動忘れに対する報知を停止することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の生活支援報知システム。
【請求項4】
前記報知手段は、前記行動忘れ検知手段によって検出された生活行動の重要度が所定閾値よりも低い場合、重要度が所定閾値以上の場合に比べて、行動忘れを検知してから報知を行うまでの時間を長くすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の生活支援報知システム。
【請求項5】
前記報知手段は、前記行動忘れ検知手段によって検出された生活行動の重要度が所定閾値よりも低い場合、行動忘れをした日の翌日に、行動忘れを報知するとともに、行動忘れ検知手段によって検出された生活行動の重要度が所定閾値以上の場合、行動忘れを検出した際に行動忘れを報知することを特徴とする請求項4記載の生活支援報知システム。
【請求項6】
前記報知手段が、行動忘れをした日の翌日に行動忘れを報知する場合、報知対象の生活行動が行われる前記所定の時間帯に、行動忘れを報知することを特徴とする請求項5記載の生活支援報知システム。
【請求項7】
前記報知手段による住居人への報知動作を一時停止させる一時停止機能を報知手段に設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の生活支援報知システム。
【請求項8】
前記報知手段の前記一時停止機能は、前記行動忘れ検知手段が行動忘れを所定期間検知しなかった生活行動について報知動作を一時停止することを特徴とする請求項7記載の生活支援報知システム。
【請求項9】
前記基準行動記憶手段には、生活行動が行われる前記所定の時間帯に対応付けて、当該時間帯に生活行動が行われる行動回数が予め登録されており、前記行動検出手段が、基準行動記憶手段に行動回数が登録された生活行動を、当該生活行動が行われる前記所定の時間帯に前記行動回数以上検出できなければ、前記行動忘れ検知手段は当該生活行動をし忘れたと判断することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の生活支援報知システム。
【請求項10】
前記行動忘れ検知手段は、前記行動検出手段によって前記基準行動記憶手段に登録された生活行動が前記所定の時間帯に複数回検出されると、当該生活行動を行ったことを住居人が忘れて同じ生活行動を繰り返す行動忘れが発生したと判断することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の生活支援報知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−207537(P2010−207537A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60074(P2009−60074)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】