説明

生物学的リコピンを基にした栄養補助食品および生物学的リコピンを得るための方法

そのバルク製品、すなわち全抽出物が50%の生物学的トマト果および50%の乾果(アーモンド、ナッツなど)および/または他の組成物によって作られる適切な抽出マトリックスを、下記の共抽出技術で、超臨界二酸化炭素で処理して得られる、生物学的リコピンを基にした革新的な栄養補助食品。トマト果は適宜脱水、粉砕およびふるい分けされ;共抽出マトリックス(乾果、植物、その他)は適宜脱水および粉砕される。得られた全抽出物はいずれの改変または添加物の添加なしに直接リコピンを基にした栄養補助食品の調製に用いられる。既知の市販されているリコピンを基にした栄養補助食品に対して、このような生物学的リコピンは優れた品質特性:全抽出物が100%天然である;化学溶媒を含まない;最終的な天然製剤のリコピン濃度(人為操作なし);摂取の問題および副作用を示さない;を有する。最終生成物において、リコピンは使用した植物から共抽出された他の天然の抗酸化剤と混合されている。バルク製品(全抽出物)の充填品は、様々な形状および色調のソフトまたはハードカプセル、または錠剤またはその他の方法(例えば液状、その他)にて作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物学的リコピンを基にした新規な栄養補助食品に関する。
【背景技術】
【0002】
現状の技術において、細胞の酸化的損傷を減少させる抗酸化剤が詳しく知られている。それらは天然または化学合成品の両方である。周知の天然抗酸化剤は、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)、レチノール(ビタミンA)およびベータ−カロテンである。抗酸化剤の一つの主要な作用は、化学的連鎖反応により細胞を損傷しうる、酸素フリーラジカルの作用による損傷を防ぐことである。さらに、抗酸化剤は細胞の老化、アテローム性動脈硬化症、癌および心臓病の予防において重要な役割を果たす。抗酸化剤は多くの野菜および果物の中に発見され、なかでもトマトは大きな抗酸化特性を合成する。トマトは、事実、それ(およびその派生物:皮むきトマト、トマトソース、トマトジュース、および類似のもの)が豊富なカロテノイド源であるという事実により健康食品と見なされる。カロテノイドは、炭素、水素およびある時は酸素の混合にて構成される。これらの分子は植物によって、簡単な分子を利用して形成され;花、果実、およびいくつかは根の色に関与している。例えば、にんじんはそのオレンジ色を、カロテノイド群と名づけられている中の、純粋状態で単離された初めてのカロテノイドである、ベータ−カロテンから得ている。高い抗酸化能を特徴とするカロテノイドの一つは、赤色の色素を提供する、リコピンである。多量のリコピンを含む果物および野菜は、苺、パパイヤ、スイカ、グレープフルーツおよび類似のものである。なかでも赤トマトは最大級のリコピン濃度(30〜400mg/kg生トマト)を有し、それは新鮮な場合に、およびほぼ全体を油の豊富な料理において調理および/または提供した場合は脂肪酸が一般的に吸収を増加させることから、高率で人体に容易に吸収される。臨床研究において、いくつかの種類の癌および他の循環器疾患を予防すること;および自然細胞加齢過程を遅らせることへのリコピンの非常に有益な効果が証明されている。リコピンは、事実、その高い、および特異的な抗酸化特性により重要な保護の役目を果たす。
【0003】
化学合成(合成リコピン)または植物生合成(天然リコピン)により、リコピンが栄養補助食品を製造するための基本的な原料として用いられることもまた知られている。後者の場合、植物(例えばトマト)からの天然リコピンの抽出は化学溶媒を用いることによって行われる。
【0004】
合成リコピンは、文献において「ウィッティヒ反応」として知られている化学反応によって得られる。それは非常に長く複雑な工程であり、2個の中間体を生成し、それを第3の化合物と反応させて粗リコピンを得て、最後にろ過と結晶化により精製することを含むものである。最終生成物は、巨大な針状の、均一かつきれいな結晶であることが特徴の、赤色の結晶状固体であり、最終リコピン濃度は約95%である(不純物および化学溶媒で〜5%)。リコピンは食用色素(リコピンを富化したソース、ケチャップ)として、および栄養補助食品の原料として市販されている。
【0005】
「天然」リコピンの製造工程は生トマト(遺伝子組み換え品または農薬もしくは他の植物薬を使用していてもよい)をミンチにし、ホモジナイズし、遠心分離して水の大部分を除去することから始まる。残りの湿ったペースト(pasta)がトマト濃縮物である。トマト濃縮物からのリコピンの抽出は有機溶媒を添加し、激しく撹拌することにより行われる。当然に、リコピンとともに、他の脂質物質および可溶性植物薬も同様に抽出される。その後、水を加えることにより、溶液は2相:リコピンおよび抽出された他の物質と有機溶媒からなる有機のもの、ならびに水および不溶性の野菜残渣を含む液相に分離される。溶媒留去または他の方法によって溶解度を下げることにより、リコピン有機相から無晶形の沈殿物が得られ、そのような沈殿物は(合成リコピンのように)精製および再結晶化が可能である。最終生成物は赤茶色で、部分的に結晶化しており、化学溶媒、およびおおよそ巨大で均一な、リコピン濃度が約60%であることを特徴とする暗色の結晶(不純物含有、および溶媒)が含まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したリコピン抽出工程には、効率性および最終生成物のあらゆる品質の点において、いくつかの欠点を有する。
【0007】
一般的に、結晶形の最終生成物の純度は、使用した原料の純度および選択した結晶化および精製工程に主に依存する。必要に応じてまたは都合により、最終生成物の再結晶を繰り返すことができる。合成工程において、使用する原料はほぼ純粋であり;それゆえ、さらなる工程さえあれば、容易に95%純度の結晶固体を得る。他方で、原料(アルデヒドおよび類似のもの)および使用する溶媒(例えばトルエン)のもたらす高い毒性により、最終産物をさらに精製して、その毒性を減少することを必要とする。さらに、結晶の合成リコピンを不適切に保管(光または空気にさらす)すると、変異原性物質へと分解する可能性があり;それゆえ、この効果を予防または減少するために抗酸化剤を加える必要がある。
【0008】
天然工程から得られたリコピンの場合、その毒性は最終生成物中の残留化学溶媒および使用する原料の品質の両方によるものである。事実、トマト果は農薬および他の植物薬で処理されている可能性があり、それらはリコピンと共に抽出され、最終生成物で濃縮されることになるであろう。生体マトリックス内にはリコピンと共に、リコピンと共に抽出される多量の可溶性脂質が存在するので、この工程において、トマト果からのリコピン抽出は、複数の有機溶媒にて行われる。不純物は天然物で無毒であるが、それらの量に比較して多量の、有毒で有害な化学溶媒もまた吸収される。さらに、工程の間に非常に有毒な酸化生成物を生じ得る。再結晶により得られる天然リコピンは、精製により有効性が失われ得る(各工程で10〜20パーセント)。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の開示
本発明は、「生物学的」リコピンを基にした、栄養補助食品として使用される新規な製品;および関連する、十分な抽出効率とともに高い純度および品質を保証できるリコピンの天然抽出工程の創出を目的とする。
【0010】
本発明は、適切な抽出原料(全体的にまたは部分的に植物)から抽出された、生物学的リコピンを基にした栄養補助食品における、リコピン抽出に関連する課題を、超臨界二酸化炭素および共抽出技術により解決する。超臨界二酸化炭素で処理される抽出原料は、混合物からできており、該混合物は等しいかまたは異なる量の抽出マトリックスおよび共抽出マトリックスで構成される。
【0011】
さらに、本発明のもう一つの目的は、超臨界状態における二酸化炭素による、適切な生体マトリックスからのリコピンの抽出方法である。上記のマトリックスからの二酸化炭素抽出は、トマト果中の当初のリコピン濃度に応じて、1〜2%の範囲のリコピン濃度を有する全抽出物をもたらす。最終生成物はいずれの有毒または有害な化学物質のない、100%天然物である。この理由から、そのリコピンを「生物学的」と定義する。生物学的リコピンの使用は、高品質の栄養補助食品として特に好適であり、医薬品および化粧品としても同様である。本工程によって得られたリコピンの品質は、従来の製法によって得られたものと相当異なるものであり、すなわち、この「生物学的」リコピンは新規な製品とみなすことができる。
【発明の効果】
【0012】
これらのおよび他の利点は、表1/4、2/4、3/4および4/4の中の、工程および製品からもたらされるいくつかの実験結果において言及し、および共抽出工程を実現する装置の例が示されている、発明の詳細な説明において指摘されるであろう。どちらも実施例であって、限定をするものではない。
【0013】
発明を実施する方法
上記で言及した表に関連して:
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】表1は、リコピンを基にした栄養補助食品の調製に使用する、合成、天然および生物学的リコピンの特性の要約である。
【図2】表2は、いくつかの市販されている、リコピンを基にした栄養補助食品を示す(アメリカ市場、2005)。
【図3】表3は、生物学的リコピンの詳細である。
【図4】表4は、カロテノイドの特徴を示す。
【図5】表5は、脂肪酸の特徴を示す。
【図6】図1(Fig.1)は、超臨界流体での抽出を実現する装置の基本構成である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
このように、本発明の範囲は、適切な抽出原料(全体的にまたは部分的に植物)からの、共抽出技術での超臨界二酸化炭素の使用による、すべての抽出である。この抽出原料は、各々が等しいかまたは異なる量の抽出マトリックスおよび共抽出マトリックスの混合物で構成される。抽出マトリックスは、トマト果からできており、該トマト果は、適宜加工(洗浄、精製、有色体の濃縮、または他の類似の工程)され、脱水(蒸発、昇華または他の類似工程による、空気中または減圧中での冷却または加温工程)され、粉砕されふるい分けされる。共抽出マトリックスは、全体として、各々の下記の原料:
・落花生、ナッツ、アーモンド、くるみ、ピスタチオおよび類似のものの単一の種子、またはそれらのいずれかの混合物から作られた乾果;
・油糧種子としてのひまわり、大豆、スイカ、柑橘類、かぼちゃ、グレープフルーツ、他の油糧種子、またはそれらのいずれかの混合物;
・ローズマリー、セージ、オレガノ、にんにく、にんじん、カリフラワー、他の植物の葉および/または枝および/または花および/または根および/または他の部分を単独で、またはそれらのいずれかの混合物;
・魚粉;
またはそれらの可能ないずれかの組み合わせからできている。
すべての場合において、原料は適宜加工され、脱水され、粉砕される。
【0016】
本発明のさらなる範囲は、原料の調製(第一工程)ならびに、植物油および他の乾果からの化合物および/または油糧種子および/または植物および類似のものとの同時抽出を特徴とするリコピン抽出および原料の分離(第二工程)を含む超臨界二酸化炭素の使用による、トマト粉末からのリコピン共抽出のための最適化された方法である。動作状態が同じならば、共溶媒としての該植物油はリコピン抽出効率を、4時間の抽出後は10%まで、8時間の抽出後は30%まで、より長い時間の抽出継続により60%まで向上し、およびリコピンの分解を防ぐ。抽出マトリックスはトマト粉末ならびに乾果および/または油糧種子および/または他の植物および/または魚粉の混合物である。混合物の調製は、原料の脱水(冷却または加温状態における、蒸発、昇華または他の工程による、減圧脱水トマト)および粉末が得られるまでのドライトマトの粉砕およびふるい分け;得られたトマト粉末と等量の乾果(アーモンド、ナッツ、落花生、および類似のもの)または油糧種子(ひまわり種子、および類似のもの)または植物または他のものとの混合、および混合物の粉砕からなる。該混合物は均一なペーストが得られるまで粉砕される。超臨界二酸化炭素の圧力は400から600barの間の範囲にわたり;その温度は320から373Kの間の範囲にわたる。動作状態が同じならば、二酸化炭素流速は15から40Kg CO/時の間の範囲にわたり;その密度は0.800から0.950Kg/lの間の範囲にわたる。リコピン抽出段階は:CO圧縮および加熱、リコピンおよび他の化合物の抽出、混合物の冷却、第一の分離段階、圧力の減少、第二の分離段階および母液から沈殿した溶質の回収、さらなる圧力の減少、沈殿物のさらなる回収である第三の分離段階、ろ過および濃縮後のCO再利用および貯蔵、を含む。
【0017】
生物学的工程はCOにて1段階でもたらされ、リコピン濃度が1から2%の範囲にわたる全抽出物を製造する。最終オレオレジンのリコピン濃度は抽出に使用するマトリックスの特性(リコピン力価、果実の品質および成熟度、前処理工程)による。最終生成物は一切の化学溶媒または他の有毒で有害な不純物のない、100%天然物である。1〜2%のリコピン濃度はソフトカプセルまたは他の特製品にて生成物を直接詰めるために好適である。
【0018】
図1(Fig.1)において図式化した、超臨界流動体での抽出装置は、10l抽出器(AO1)および三基の連続した分離器、それぞれ(S1、S2)どちらも1.5l、および(S3)0.3lを含む。ポンプ(P1)により目標圧力に達するとすぐにCOが加熱コイル(E2)を流れて抽出ベッド(AO1)に至る。その後(AO1)を出て、流れが冷却コイル(E3)を通って分離器(S1)に至り、その後、マイクロメーターバルブ(VL1)を通過して、CO圧力および密度が下がり、分離器(S2)に至る。その後、流動体は分離器(S3)および圧力を最終値まで下げる第二のマイクロメーターバルブ(VL2)を通過し;分離された溶質は(S3)に集められる。分離器(S3)を出たCOは再利用することができ、フィルター(F1)および凝縮器(E1)を通して、タンク(TO1)に集められる。分離器(S1)は一定圧にて動作し;温度変化は抽出物の溶解度を下げることにより、分離と沈殿の原因となる。分離器(S2、S3)において、圧力を変化させることにより溶解度は減少する。
【0019】
化学溶媒によって抽出された合成もしくは天然リコピンと、超臨界COによって得られた生物学的リコピンの間の主要な違いは、最初の2つの方法においては、生物学的方法では無駄であり、むしろ損害を与えるものである、精製段階が必須となることである。事実、他の2種の方法と異なり、生物学的方法におけるリコピン以外の全ての物質も同様に天然化合物であり、それは個人の健康および幸福に重要であり、リコピンの抗ガン作用をもたらすものである。それらは植物から抽出され、抗酸化剤としておよび脂質として重要な役割を果たすリン脂質、トコフェロール(ビタミンE)、オメガ3系およびオメガ6系多価不飽和脂肪酸、他のカロテノイド(ルテイン、ベータカロテン、および類似のもの)であり、リコピンの組織への吸収、および必然的にその血液への移行(生物学的利用能)を増進させる。最終生成物は100%天然物であり、いかなる有毒性もなく、いかなる者にも好適である。
【0020】
純粋な、または濃縮したリコピンは、いくつかの理由、なかでもその低い生物学的利用能により、ヒトによる直接使用には適さない。しかしながら、組織によるリコピン吸収、およびその血液への移行が脂質物質(例えば植物油)によって増進されることはよく知られている。合成リコピンを基にした市販製品の調製においては、所望の最終濃度までリコピン結晶(ほぼ純粋)を希釈するために、脂質物質を十分に加えなければならない。天然リコピンを基にした市販製品の場合も、その製品自体にすでに部分的に存在しているとしても、脂質物質を加えなければならない。対照的に、生物学的リコピンを基にした市販製品の場合、製品が必要な脂質物質を含んでいるため、外来の脂質物質を添加する必要は無い。リコピンの構造は、製品の生物学的利用能に影響を与えるもう一つの重要な特性であり;リコピンの場合、その構造は、結晶、無晶形、または結晶の割合が可変である混合されたものとなり得る。結晶構造は、無晶形のものに比べてより安定であり、分子中に溶解するためにより多くのエネルギーを必要とする;このため、すぐに利用できる無晶形構造よりも低い生物学的利用能を示す。結晶または無晶形構造はリコピン製造工程、化学的−物理的条件および溶質−溶媒分離工程の管理に依存する。合成リコピンまたは天然リコピンの製造工程において、有機溶媒溶液からの分離は時間において異なるが、工程は常に2つの異なる段階:核生成および結晶成長、を経る。これらの工程(合成および天然リコピン)において、母液からのリコピンの分離は純粋な沈殿を得るために行われ:リコピン以外の物質はすべて有毒な不純物および有毒で有害な有機化学溶媒である。最終生成物は全体的(合成リコピン)にまたは部分的(天然リコピン)に結晶である。代わりに、超臨界二酸化炭素での生物学的リコピン製造工程において、溶媒溶液(CO)からのリコピン分離は瞬時である;事実、CO中でのリコピン溶解度は密度に(0.8〜0.95kg/l)に依存し、それは圧力(400〜600bar)および温度(320〜373K)に依存する;分離器において、圧力は急速に70〜150barまで減少し、密度の0.1kg/l以下までの減少をもたらし、溶液に含まれている溶質(脂質およびリコピン)の急速な沈殿をもたらす。したがって、この方法では、リコピンが急速に100%無晶形状態で沈殿するため、標準的な溶質−溶媒分離工程はもはや必要ない。
【0021】
表1は3種類の製造方法によるリコピンの特徴を要約する。
【0022】
リコピンを基にした栄養補助食品は、製剤において所望される、有効成分(リコピン)の最終濃度値までの、濃縮バルクリコピン(合成または天然)のいくつかの添加物または賦形剤での希釈により得られる。今日、市販されている合成または天然リコピンを基にした製品はリコピン重量を1回量として1mg〜10mgの範囲にわたって含み、最終製剤において、対応するリコピン濃度は1%未満から10%(重量パーセント)までの範囲にわたる。表2は、アメリカの市販製品に最も求められているものは錠剤や類似のものよりも、ソフトカプセルのリコピン栄養補助食品であることを示す。反対に、生物学的リコピンを基にした栄養補助食品は市場で公知の製品に対して新しい製品を示す:それは、適宜脱水、粉砕、およびふるい分けされた約50%のトマト果、および適宜処理および粉砕された約50%の乾果(アーモンド、くるみ、ナッツ、落花生、ピスタチオおよび類似のもの)および/または油糧種子、および/または他の植物または魚粉で作られる好適な生物学的マトリックスの超臨界CO処理により得られた、全抽出物のみから構成されるものである。特に、抽出マトリックスは常に約50%のトマト粉末、さらに他の部分、唯一つの種類の乾果もしくは油糧種子もしくは他の植物もしくは魚粉、またはそれらの可能な組み合わせの一つから構成され、それにより抽出マトリックス中のトマト果と他のものとの比が約1となる。
【0023】
以下に数種の可能な組み合わせを例示する。
1) トマト粉末およびナッツ
2) トマト粉末およびアーモンド
3) トマト粉末およびピスタチオ
4) トマト粉末およびくるみ
5) トマト粉末および落花生
6) トマト粉末および他の油糧種子
7) トマト粉末および乾果混合物および/または他の油糧種子
8) トマト粉末および魚粉
9) トマト粉末および魚粉および乾果
10) トマト粉末および植物油および/または魚粉
【0024】
非常に重要な抽出マトリックスの選択肢は、得られる抽出物中の多価不飽和脂肪酸の割合を増やすための魚粉の添加である。トマト粉末中のリコピン濃度は5000から15000mg/kgの範囲にわたり得る。得られた全抽出物は、添加物および類似のものの添加のようないかなる組成物の改変もなしに直接詰められる最終製品を示す。全抽出物のリコピン濃度は1%から2%の範囲にわたり、処理されたトマト果のリコピン濃度に依存する。カロテノイドは、全量がトマトからであり、一方で脂質部分、トコフェロール(ビタミンE)、多価不飽和脂肪酸および他の化合物はトマトおよび共マトリックスの両方に由来するものである。
【0025】
最終抽出物のリコピン濃度は生トマト果のリコピン濃度に依存するので、抽出生成物におけるリコピン濃度は栄養補助食品として全くの天然物であり、合成または天然リコピンは、添加物の量によって、最終処方においてリコピン濃度を容易に変更できる(例えば、市場の需要による)。
【0026】
生物学的リコピンのさらなる特徴は、天然リコピンに対して、マトリックスのCO2処理と最終製品の充填までの間がわずかな時間間隔であることである。
【0027】
最終栄養補助食品の仕様でもある、バルク生物学的リコピンの仕様を表3に示す。カロテノイド類の量および種類はトマト果の種類、その成熟度、気候および耕作条件ならびに前処理に依存する。表4において、通常得られるカロテノイドの割合を示す。抽出物中の脂質物質の量および種類はトマト果の特性と使用される共マトリックスの両方に依存する。ナッツ共マトリックスの場合の脂肪酸組成を表5に示す。生果において得られる、カロテノイド群と共にCO2抽出されたオレオレジンもまた、認識できる量の重要な多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む。それらは:リノール酸(オメガ6)およびアルファ−リノレン酸(オメガ3)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適切な抽出原料(全体的にまたは部分的に植物)から超臨界二酸化炭素および共抽出技術によって抽出されるものであり、超臨界二酸化炭素で処理される該抽出原料が、混合物からできており;
該混合物は等量または異なる量の抽出マトリックスおよび共抽出マトリックスから構成され;
該抽出マトリックスは50%または他の比率の、適宜処理し、−冷却または加温工程にて、空気中または減圧中で蒸発、昇華または他の類似の工程により−脱水し、粉砕しふるい分けした、生物学的トマト果であり;
50%または他の比率の該共抽出マトリックスは全体が下記の原料:
落花生、ナッツ、アーモンド、くるみ、ピスタチオおよび類似のものの種子単独またはそれらのいずれかの混合から作られる乾果;
ひまわり、大豆、スイカ、柑橘類、かぼちゃ、グレープフルーツ、他の油糧種子などの油糧種子またはそれらのいずれかの混合;
ローズマリー、セージ、オレガノ、にんにく、にんじん、カリフラワー、他の植物の葉および/または枝および/または花および/または根および/または他の部分を単独でまたはそれらのいずれかの混合により作られるものである植物;
魚粉の各々かまたはそれらの可能ないずれかの組み合わせであって;
該原料が適宜処理、脱水および粉砕されたものである、
ことを特徴とする、生物学的リコピンを基にした高品質の栄養補助食品、医薬品もしくは化粧品の製品。
【請求項2】
100%天然であることを特徴とする請求項1記載の製品。
【請求項3】
抽出組成物が添加物または保存料などの添加によるいずれの改変もなしに、生物学的リコピンを基にした栄養補助食品または医薬品または化粧品を調製するために使用されることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の製品。
【請求項4】
最終的な製剤において、完全に天然のリコピンを有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の生物学的リコピンを基にした製品。
【請求項5】
有毒および有害な化学溶媒も農薬および他の植物薬も全く存在しないことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の生物学的リコピンを基にした製品。
【請求項6】
全体が均一化された混合物中で、共抽出脂質中で完全に混合され、可溶化されている無晶形リコピンを含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の生物学的リコピンを基にした製品。
【請求項7】
リコピン以外の、抽出マトリックスに由来する他の抗酸化剤、特にビタミンEおよび/またはルテイン、ベータ−カロテン、ゼアキサンチンなどのような他のカロテノイド、および他の抗酸化剤群を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の生物学的リコピンを基にした製品。
【請求項8】
リコピン以外の、共抽出マトリックスに由来するビタミンE、のような他の抗酸化物質、多価不飽和脂肪酸、リン脂質などのような他の化合物を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の生物学的リコピンを基にした製品。
【請求項9】
いずれの形状または色調を有していてもよいソフトもしくはハードカプセルに充填されているか、錠剤であるか、または液体〜ペースト状態で直接使用されていることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の生物学的リコピンを基にした製品。
【請求項10】
下記の工程:
原料の脱水(冷却または加温状態における、蒸発、昇華または他の工程による、減圧脱水トマト)、粉末になるまでのドライトマトの粉砕、およびふるい分け;
得られたトマト粉末と等量の乾果(アーモンド、ナッツ、落花生など)および/または油糧種子(ひまわり種子など)および/または植物(ローズマリーなど)および/または魚粉との混合;
均一なペーストが得られるまでの該混合物の粉砕;
次いで、CO圧縮および加熱、リコピンおよび他の化合物の抽出;さらに混合物の冷却、第一の分離段階、圧力の減少、第二の分離段階および母液から沈殿した溶質の回収、さらなる圧力の減少、溶質のさらなる回収である第三の分離段階;
最後に、ろ過および濃縮後のCO再利用および貯蔵タンクへの回収;
を含む超臨界二酸化炭素を使用することによるトマト粉末からのリコピン共抽出方法。
【請求項11】
超臨界二酸化炭素圧力が400から600barの間の範囲にわたる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
超臨界二酸化炭素温度が320から373Kの間の範囲にわたる、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
超臨界二酸化炭素の流速が15から40Kg CO/時の間の範囲にわたる、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
超臨界二酸化炭素の密度が0.800から0.950Kg/lの間の範囲にわたる、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
順にならんだ抽出器(AO1)および三基の分離器(S1、S2、S3)ならびにさらに少なくとも加圧ポンプ、加熱装置(E2)、冷却装置(E3)、第一のマイクロメーターバルブ(VL1)、第二のマイクロメーターバルブ(VL2)、タンク(TO1)、フィルター(F1)および凝縮器(E1)を含むことを特徴とする、請求項10から14に定義されている通りのリコピン共抽出方法のための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−545305(P2009−545305A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522345(P2009−522345)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003390
【国際公開番号】WO2008/015490
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(509032483)ピエール・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE Srl
【Fターム(参考)】