説明

生産管理システム及びその方法

【課題】部品情報の二重登録を防止して、製造物の部品情報をより正確に管理できるシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】生産工程2で製造物3に組み付けられる部品4を製造物3と関連付けて管理する生産管理システム100であって、前記部品4の部品情報を入力し、入力された部品情報P1等の製造物情報をデータベース74に記憶して、製造物3の個体情報を示す識別情報ごとに格納し、部品情報が入力された際に、同一の部品情報が前記データベース74に既に記憶されているか否かを検索して、入力された部品情報P1と同一の部品情報が、前記データベース74に既に記憶されていると判断された場合に、入力された部品情報P1及び/又はデータベース74に既に記憶されている部品情報P2の正誤確認を指示し、その結果に基づいて、誤入力された部品情報を修正して正しい部品情報を入力するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理システム及びその方法に関し、より詳細には、生産工程で製造物に組み付けられる部品を製造物と関連付けて管理する生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両や電気製品等の製造物を組み立てる生産工場においては、生産ラインに沿って組立装置が配置されており、生産ライン上を製造物が搬送されながら各組立装置にて順次部品が組み付けられて、所定の製造物が製造されるシステムが構築されている。
具体的には、製造物ごとに個体情報を示す識別情報がそれぞれ付与されており、管理コンピュータに設けられたデータベースに、識別情報ごとのデータファイルが作成される。このデータファイルには、各製造物に関する情報(製造物情報)、例えば、各製造物にどの部品を組み付けたかを示す部品情報や、どのような仕様で部品が組み立てられるかを示す仕様情報や、製造物がどの工程まで処理されたかを示す工程情報などが格納される。特に、部品情報は、各生産工程において製造物に部品が組み付けられる際に、データベースに記憶され、このデータファイルごとに格納される。
このようにして、従来の生産管理システムでは、各生産工程で製造物に組み付けられる部品が製造物ごとに関連付けて管理されている。
【0003】
ところで、上述した部品情報は、バーコードやICタグ等に記憶されて各部品に取り付けられており、通常、製造物に部品が組み付けられる際には、このバーコードやICタグ等が読取装置にて読み取られることで、該当する部品情報が管理コンピュータに入力される。また、バーコードやICタグ等が破損したり汚れたりして読取装置にて読み取ることができない場合には、オペレータによって部品情報に対応した部品ナンバーが入力される。
【0004】
このような構成において、破損等したバーコードやICタグ等が読み取られる際や、作業者によって部品情報が手入力される際などに、部品情報が管理コンピュータに誤入力されて、部品情報が二重登録されてしまう場合があった。
そこで、例えば、特許文献1には、部品情報が入力された際に、部品情報が記憶されるべきデータファイル内の領域が未入力状態であるか否かを判断する領域判断手段と、該領域が既入力状態である場合に、その領域への部品情報の登録を禁止しその旨を表示する警報手段とを有してなる生産管理システムが開示されている(特許文献1参照)。この生産管理システムは、部品情報が入力されて記憶される際に、その部品情報が格納される領域が未入力であるか否かを判断して、部品情報の二重登録を防止しようとするものである。
【特許文献1】特開平7−93418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
なるほど、上述した特許文献1に開示される生産管理システムでは、部品情報が誤入力された場合であっても、新たに(後に)入力された部品情報について、データファイル内の領域状態に基づいて、かかる部品情報がデータベースに既に記憶されているか否かを判断することで、部品情報の二重登録を防止できる。
しかし、既に記憶されている部品情報が正しく入力されたか否かを判断するものではなかったため、既に記憶されている部品情報が誤って入力されたものであって、新たに入力された部品情報の方が正しい場合には、新たに入力された正しい方の部品情報がデータファイルに登録されないという課題があった。
つまり、従来の生産管理システムでは、データベースに既に記憶されている部品情報と新たに入力された部品情報とにおいて、いずれが正しく入力されたものであるか判断できなかったため、部品情報が誤入力された部品が組み付けられてしまう場合があり、部品情報の二重登録を完全には防止できていなかった。
【0006】
そこで、本発明では、生産管理システム及びその方法に関し、前記従来の課題を解決するもので、部品情報が入力される際に、入力された部品情報及びデータベースに既に記憶されている部品情報の正誤確認を行って、正確な部品情報に修正できるように構成することで、部品情報の二重登録を防止して、製造物の部品情報をより正確に管理できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
すなわち、第一の発明においては、生産工程で製造物に組み付けられる部品を製造物と関連付けて管理する生産管理システムであって、前記部品の部品情報を入力する部品情報入力手段と、前記部品情報入力手段によって入力された部品情報等の製造物情報をデータベースに記憶して、製造物の個体情報を示す識別情報ごとに格納する製造物情報管理手段と、前記部品情報入力手段によって部品情報が入力された際に、同一の部品情報が前記データベースに既に記憶されているか否かを検索する部品情報検索手段と、前記部品情報検索手段によって、前記部品情報入力手段によって入力された部品情報と同一の部品情報が、前記データベースに既に記憶されていると判断された場合に、前記部品情報入力手段によって入力された部品情報及び/又はデータベースに既に記憶されている部品情報の正誤確認を指示する部品情報確認指示手段と、誤入力された部品情報を修正して正しい部品情報を入力する部品情報修正手段とを有するものである。
【0009】
第二の発明においては、前記部品情報確認指示手段の指示を受けて部品情報の正誤確認をした結果、前記データベースに既に記憶されている部品情報が誤っている場合に、該部品情報が格納された識別情報に、該部品情報が誤りであることを示す設定情報を付与する設定情報付与手段を有するものである。
【0010】
第三の発明においては、前記設定情報付与手段によって設定情報が付与された製造物が、所定の生産工程を通過する時に、警告を発してその旨を表示する警告手段を有するものである。
【0011】
なお、前記製造物を車両とするのが好ましい。
【0012】
第四の発明においては、生産工程で製造物に組み付けられる部品を製造物と関連付けて管理する生産管理方法であって、前記部品の部品情報を読取装置によって入力し、入力された部品情報等の製造物情報をデータベースに記憶して、製造物の個体情報を示す識別情報ごとに格納し、前記部品情報が入力された際に、同一の部品情報が前記データベースに既に記憶されているか否かを検索して、入力された部品情報と同一の部品情報が、前記データベースに既に記憶されていると判断された場合に、入力された部品情報及び/又はデータベースに既に記憶されている部品情報の正誤確認を指示し、その結果に基づいて、誤入力された部品情報を修正して正しい部品情報を入力するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
第一の発明に示す構成としたので、部品情報が入力される際に、入力された部品情報及び/又はデータベースに既に記憶されている部品情報の正誤確認を行って、正確な部品情報に修正することで、部品情報の二重登録を防止して、製造物の部品情報をより正確に管理できる。
【0015】
第二の発明に示す構成としたので、データベースに記憶された設定情報から、部品情報が誤入力された部品が組み付けられた製造物を容易に特定することができ、製造物のトレーサビリティを向上できる。
【0016】
第三の発明に示す構成としたので、部品情報が誤入力された部品が組み付けられた製造物が後工程に搬送されるのを確実に防止できる。
【0017】
第四の発明に示す構成としたので、部品情報が入力される際に、入力された部品情報及び/又はデータベースに既に記憶されている部品情報の正誤確認を行って、正確な部品情報に修正することで、部品情報の二重登録を防止して、製造物の部品情報をより正確に管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、発明の実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の生産管理システムが適用された生産ラインの全体的な構成を示した模式図、図2は管理装置のブロック図、図3は管理コンピュータのブロック図、図4はデータベースのデータファイルの構造を示した図、図5は部品を組み付ける際の部品情報の管理方法を示すフローチャート、図6は製造物に組み付けられた部品の部品情報の管理方法を示すフローチャートである。
なお、本実施例の生産管理システム100は、製造物3として車両を組み立てる生産ライン1に適用されるが、これに限定されず、その他電子部品を組み立てる生産ライン等に適用することができる。
【0019】
図1に示すように、生産ライン1は、搬送経路10に沿って複数の組立装置からなる生産工程2・2・・・がそれぞれ配置されており、製造物3としての車両は、搬送経路10を搬送方向(X方向)下流側に搬送されながら、各生産工程2にて所定の部品4が組み付けられる。本実施例の生産ライン1は、車両フレームが枠組みされた状態の製造物3(車両)に対して、生産工程2として、各種トリムを組み付けるトリム工程、各種シャシーを組み付けるシャシー工程、最終的に仕上げるファイナル工程、及び検査工程がそれぞれ配置されており、検査工程を経た製造物3は、生産ライン1より出荷される。
そして、この生産ライン1には、製造物に組み付けられる部品4・4・・・を製造物3ごとに関連付けて集中管理する生産管理システム100が構築されている。
【0020】
生産管理システム100は、生産工程2の管理・制御を行う管理装置5と、例えばLAN等のネットワーク6を介してこの管理装置5と接続された管理コンピュータ7等とで構成されている。そして、管理装置5より入力された各種情報(識別情報及び製造物情報)は、管理コンピュータ7に集約されて管理され、管理コンピュータ7に設けられたデータベース74にそれぞれ記憶される(図4参照)。
【0021】
本実施例の製造物3には、個体情報を示す識別IDがそれぞれ付与されており、識別IDに対応する識別情報は、製造物3本体に直接取り付けられたバーコード3aに記憶されている。また、部品4にも固有の部品IDがそれぞれ付与されており、部品IDに対応する部品情報は、部品4本体に直接取り付けられたバーコード4aに記憶されている。この部品情報は、部品4に付与された部品IDに対応する情報であって、所定の部品4が製造物3に組み付けられる際に管理装置5に入力され、管理コンピュータ7に送られて製造物情報としてデータベース74に記憶される。
【0022】
製造物情報には、部品情報の他に、どのような仕様で部品4が組み付けられるかを示す仕様情報や、どの工程まで製造物3が処理されたかを示す工程情報や、各生産工程2を製造物3が通過した日時を示す工程通過情報や、記憶された部品情報が誤りであることを示す設定情報等とが含まれる(図4参照)。
特に、本実施例では、製造物情報として、製造物3に組み付けられている部品4の状態を示す設定情報が含まれる。設定情報は、データファイル74aごとに格納されて管理されており、データファイル74aには、それぞれ製造物3に所定の部品IDを持つ部品4が正しく組み付けられているか否かを示すフラグが登録されている。すなわち、データファイル74aに、設定情報として「0」のフラグが登録されている場合には、製造物3に正しい部品IDの部品4が組み付けられていることを示し、設定情報として「1」のフラグが登録されている場合では、製造物3に誤った部品IDの部品4が組み付けられていることを示す。このフラグは、部品4(部品情報)ごとに付与されている。
【0023】
図2に示すように、管理装置5は、生産工程2の全体を制御する制御部50が設けられており、この制御部50に、バーコード3aに記憶された識別情報を読み取るバーコードリーダ51と、バーコード4aに記憶された部品情報を読み取る部品情報入力手段としてのバーコードリーダ52と、画像出力手段としてのディスプレイ53と、音声出力手段としてのスピーカ54と、キーボードやスイッチ類等からなる入力装置55と、管理コンピュータ7と通信する通信部56等とが接続されている。なお、この制御部50は、マイクロプロセッサやメモリ等からなり、プログラムに基づいて各部を制御するように構成されている。
【0024】
バーコードリーダ51は、生産工程2の入り口近傍に配置されており、搬送経路10に沿って所定の生産工程2に製造物3が搬送された際に、この製造物3に取り付けられたバーコード3aを読み取るように構成されている(図1参照)。また、バーコードリーダ52は、製造物3に部品4を組み付けた際に、その部品4に取り付けられたバーコード4aを読み取るように構成されている。バーコードリーダ51・52によって読み取られた識別情報及び部品情報は、一旦管理装置5の内部メモリに格納された後に、通信部56を介して管理コンピュータ7に送られる。ディスプレイ53は、後述する管理コンピュータ7のデータベース74の内容等を画像情報として出力表示する。
【0025】
図3に示すように、管理コンピュータ7は、生産ライン1を管理・制御するホストサーバであって、制御部本体を構成するCPU(中央処理ユニット)70と、このCPU70が各部を制御するためのプログラムデータを格納したROM(リード・オンリー・メモリ)71と、CPU50がデータを処理する場合に使用するメモリ等が設けられたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)72と、上述した各管理装置5とネットワーク6を介して通信を行う通信部73と、識別情報及び製造物情報が記憶されるデータベース74等とからなり、これらがバスライン75によって接続されている。
【0026】
図4に示すように、データベース74には、製造物3の識別情報ごとにデータファイル74a・74a・・・が構築されており、データファイル74aには、所定の識別情報に対応した製造物情報がそれぞれ格納されている。すなわち、データベース74には、識別情報としての識別IDごとにデータファイル74aが作成され、このデータファイル74aに、部品情報や仕様情報等の製造物情報が格納されて管理されている。
本実施例では、製造物3がトリム工程に搬送されるまでに、この製造物3の識別情報に対応したデータファイル74aが作成される。すなわち、製造物3が生産ライン1の搬送経路10に搬入された際にデータファイル74aが作成される。また、作成されたデータファイル74aには、上述した製造物情報のうち少なくとも仕様情報が当初より格納されており、各生産工程2で組み付けられる部品4の仕様が予め定められている。
【0027】
図4を参照して、製造物3としての車両(識別ID:車両A)についてのデータファイル74aを説明すると、この車両Aは、トリムやシャシーが特注で組み付けられる「特注仕様」で組み立てられるものであって(仕様情報)、現在、シャシー工程まで処理済であり(工程情報)、その内、トリム工程は「2005年7月25日10時」に通過され、シャシー工程は「2005年7月25日11時」に通過され(工程経過情報)、部品AA(部品ID:「1100」)・部品BB(部品ID:「0100」)・部品CC(部品ID:「0010」)がそれぞれ組みつけられている(部品情報)。そして、このデータファイル74aには、部品情報に対応して設定情報が登録されており、本実施例では部品AAに「1」のフラグが、その他の部品BB及び部品CCには「0」のフラグが付与されている。
【0028】
次に、生産管理システム100における製造物3の生産管理方法ついて、以下に説明する。
上述したように、所定の生産工程2に製造物3が搬送されると、その生産工程2を管理・制御する管理装置5によってバーコードリーダ51が制御されて、製造物3の識別情報が管理装置5に入力される。バーコードリーダ51によって入力された識別情報は、通信部56を介して管理コンピュータ7に送られ、データベース74に記憶された所定の製造物情報が読み込まれる。そして、本実施例の生産管理システム100は、所定の生産工程2に製造物3が搬送された際に、製造物3に既に組み付けられた部品4の部品情報について正しく入力されているか否かの正誤確認が行われ、誤入力された部品情報を正しい部品情報に修正できるような構成とされている。
【0029】
まず、図5を参照しながら、部品4を組み付ける際の部品情報の管理方法について、以下に説明する。
所定の部品4が製造物3に組み付けられる際には、制御部50によってバーコードリーダ52が制御されて、部品4の部品情報が管理装置5に入力される。そして、入力された部品情報は、キー情報としての識別情報と一緒に、通信部56を介して管理コンピュータ7に送られる。以下、特に断りのある場合を除いて、製造物3に部品4が組み付けられる際に管理装置5に入力された部品情報を「入力された部品情報P1」といい、管理コンピュータ7のデータベース74に既に記憶されている部品情報を「既に記憶されている部品情報P2」というものとする。
【0030】
管理コンピュータ7では、管理装置5から送信された識別情報及び部品情報が通信部73を介して受信され(S101)、一時的に内部メモリに記憶される。次いで、CPU70によって、入力された部品情報P1と同一の部品情報が、データベース74に既に記憶されている部品情報P2の中に存在するか否かが検索される(S102)。
【0031】
部品情報の検索では、データベース74のデータファイル74a・74a・・・に既に記憶されている部品情報P2の全ての中から、入力された部品情報P1と同一のものが存在するか否かが検索される。なお、部品情報が同一であるということは、部品4に付与された部品IDの同一であり、部品情報が同一でないということは、部品4に付与された部品IDが異なるということである。
入力された部品情報P1と同一の部品情報が存在しないと判断された場合には(S103)、入力された部品情報P1がそのまま所定のデータファイル74aに格納される。
また、入力された部品情報P1と同一の部品情報が存在すると判断された場合(S103)、つまり、部品情報P1と同一の部品情報がデータベース74のデータファイル74a・74a・・・に既に記憶されていると判断された場合には、管理装置5において、ブザー音がスピーカ54より出力されて警告が発せられるとともに(S104)、入力された部品情報P1の部品情報を再確認させる旨の文字情報がディスプレイ53に表示されて、入力された部品情報P1の正誤確認が行われる(S105)。
【0032】
入力された部品情報P1の正誤確認には、入力された部品情報P1と管理コンピュータ7に予め記憶された部品データベースで管理される部品情報とが対比される。この部品データベースは、製造物3ごとに組み付けられるべき部品4の部品情報が一括管理されている。本実施例では、データベース74がこの部品データベースを兼ねるように構成されている。ただし、データベース74とは別に部品データベースが設けられてもよい。
そして、入力された部品情報P1が部品データベースで管理される部品情報と異なる場合には、入力された部品情報P1が誤っている(誤入力されたものである)と判断される。一方、入力された部品情報P1が部品データベースで管理される部品情報と同一である場合には、入力された部品情報P1が正しいと判断される。
この部品情報の確認は、管理装置5の入力装置55がオペレータによって操作されることで開始される。
【0033】
このようにして、入力された部品情報P1が誤っている(誤入力されたものである)と判断された場合には(S106)、正しい部品情報及びその結果が文字情報としてディスプレイ53に表示されるとともに、該当する部品4の部品情報が再入力されて修正される(S107)。正しい部品情報は、ディスプレイ53に表示された文字情報を参照しながら、オペレータが管理装置5に設けられた入力装置55やバーコードリーダ52を用いて入力される。そして、部品情報検索(S102)が再度行われ、再入力された部品情報が、データベース74に記憶されて、所定の識別情報に基づいたデータファイル74aに格納される。
【0034】
一方、入力された部品情報P1が正しく、つまり、データベース74に既に記憶されている部品情報P2が誤っている(誤入力されたものである)と判断された場合には(S106)、その結果が文字情報としてディスプレイ53に表示されるとともに、既に記憶されている部品情報P2が格納されたデータファイル74aに、設定情報としてこの部品情報が誤りであることを示す「1」のフラグが登録される(S108)。設定情報は、当初、全ての部品情報に対して「0」のフラグが付与されているが、データベース74に既に記憶されている部品情報P2が誤っていると判断された場合に、該当する部品4の設定情報が「1」のフラグに変更される。
【0035】
次に、図6を参照しながら、製造物3に組み付けられた部品4の部品情報の管理方法について、以下に説明する。
上述したように、生産工程2に製造物3が搬送された際には、管理装置5のバーコードリーダ51によって製造物3の識別情報が入力され、この識別情報が管理装置5から管理コンピュータ7に送信される。管理コンピュータ7では、管理装置5から送信された識別情報が受信され(S201)、この識別情報に該当するデータファイル74aにアクセスして、各部品情報に対応した設定情報からフラグの状態が確認される(S202)。つまり、かかるデータファイル74aに格納されている部品情報について、その設定情報が「1」/「0」のフラグのいずれであるかが確認される。
【0036】
ある部品情報に「1」のフラグが登録されていた場合には(S202)、ブザー音がスピーカ54より出力されて警告が発せられるとともに、正しい部品情報を再入力させる旨の文字情報がディスプレイ53に表示される(S203)。そして、オペレータによって、管理装置5に設けられた入力装置55やバーコードリーダ52を用いて正しい部品情報が再入力される(S204)。このようにして再入力された部品情報は、データベース74のデータファイル74aに格納されて記憶されるとともに、該当する部品情報が「1」のフラグから「0」のフラグに変更される。
このとき、本実施例の生産管理システム100では、かかる部品4の部品情報が正しく修正されるまで、所定の生産工程2を制御する管理装置5によって、製造物3の搬送や部品4の組み付けが停止される。また、当該製造物3が、生産ライン1から出荷済みの場合であっても、上述したように設定情報が「0」のフラグに変更される。
【0037】
一方、管理コンピュータ7では、管理装置5から送信された識別情報が受信され(S201)、この識別情報に該当するデータファイル74aにアクセスして、各部品情報に対応した設定情報からフラグの状態が確認された結果、ある部品4の設定情報として「0」のフラグが登録されていた場合には(S202)かかる部品4は部品IDが正しく登録されているものとして認識される。
【0038】
以上のように、本実施例の生産管理システム100では、生産工程2で製造物3に組み付けられる部品4を製造物3と関連付けて管理するシステムであって、入力された部品情報P1をデータベース74に記憶して、製造物3の個体情報を示す識別情報ごとに格納している。そして、このように、部品情報をデータベース74に識別情報ごとに格納して管理することで、入力された部品情報P1のみならず、データベース74に既に記憶されている部品情報P2にアクセスして、部品情報が入力された際に、入力された部品情報P1と同一の部品情報がデータベース74に既に記憶されているか否かを検索して、入力された部品情報P1と同一の部品情報が、データベース74に既に記憶されていると判断された場合に、入力された部品情報P1の正誤確認を行って、誤入力された部品情報を修正して正しい部品情報を入力するように構成されている。そのため、製造物3に部品4を組み付ける際に、当該部品4の部品情報が誤入力されるのを防止できるとともに、すでに製造物3に組み付けられた部品4の部品情報が誤入力されていても、その部品情報を書き換えて修正することができるため、部品情報の二重登録を防止して、製造物3の部品情報をより正確に管理することができる。
【0039】
特に、本実施例では、製造物情報として、該部品情報が誤りであることを示す設定情報が設定されており、部品情報の正誤確認をした結果、データベース74に既に記憶されている部品情報P2が誤っている場合に、該部品情報が格納された識別情報に、部品情報が誤りであることを示す設定情報としてのフラグを付与するように構成されている。そのため、データベース74に記憶された設定情報から、部品情報が誤入力された部品4が組み付けられた製造物3がどの工程にあるかを容易に特定して、部品情報を修正できるとともに、出荷済みの製造物3に対しても部品情報が誤入力された旨を容易に確認でき、製造物3のトレーサビリティを向上できる。
また、設定情報としての「1」のフラグが付与された製造物3が、所定の生産工程2を通過する時に、警告を発してその旨を表示するように構成されているため、当該製造物3が搬送される後工程のシステム管理者等が容易に察知することができ、部品情報が誤入力された部品4が組み付けられた製造物3が後工程に搬送されるのを確実に防止できる。
【0040】
なお、上述した実施例では、識別情報及び部品情報の記憶部材としてバーコード3a・4aを用いたが、これに代わってICタグを用いてもよい。ICタグを用いた場合には、管理装置5には、ICタグと通信して記憶された情報を読書可能な入力装置(ICタグリーダ)が設けられる。また、各バーコード3a・4aは、本実施例のように製造物3本体及び部品4本体に直接取り付けられても、これらを搬送する搬送容器等に取り付けられてもよい。
【0041】
また、上述した実施例では、上述した部品情報の正誤確認において、入力された部品情報P1のみを確認するように構成しているが、入力された部品情報P1とデータベース74に既に記憶されている部品情報P2の両方や、データベース74に既に記憶されている部品情報P2のみを確認するように構成してもよい。また、部品データベースを設けることなく、オペレータが、入力された部品情報P1等と部品データベースに一括管理されている部品情報とを対比して、部品情報の正誤確認を手動で行うような構成としてもよい。
【0042】
また、上述した実施例では、部品情報の再入力において、オペレータが、ディスプレイ53に表示された文字情報を参照しながら、管理装置5に設けられた入力装置55やバーコードリーダ52を用いて行われるが、管理コンピュータ7によって自動的に行われるように構成してもよい。さらに、この部品情報の再入力は、その他の部品4が組み付けられた際等にまとめて行われるように構成してもよく、その実行されるタイミングは問わない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の生産管理システムが適用された生産ラインの全体的な構成を示した模式図。
【図2】管理装置のブロック図。
【図3】管理コンピュータのブロック図。
【図4】データベースのデータファイルの構造を示した図。
【図5】部品を組み付ける際の部品情報の管理方法を示すフローチャート。
【図6】製造物に組み付けられた部品の部品情報の管理方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0044】
1 生産ライン
2 生産工程
3 製造物
4 部品
5 管理装置
7 管理コンピュータ
74 データベース
74a データファイル
100 生産管理システム
P1、P2 部品情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産工程で製造物に組み付けられる部品を製造物と関連付けて管理する生産管理システムであって、
前記部品の部品情報を入力する部品情報入力手段と、
前記部品情報入力手段によって入力された部品情報等の製造物情報をデータベースに記憶して、製造物の個体情報を示す識別情報ごとに格納する製造物情報管理手段と、
前記部品情報入力手段によって部品情報が入力された際に、同一の部品情報が前記データベースに既に記憶されているか否かを検索する部品情報検索手段と、
前記部品情報検索手段によって、前記部品情報入力手段によって入力された部品情報と同一の部品情報が、前記データベースに既に記憶されていると判断された場合に、前記部品情報入力手段によって入力された部品情報及び/又はデータベースに既に記憶されている部品情報の正誤確認を指示する部品情報確認指示手段と、
誤入力された部品情報を修正して正しい部品情報を入力する部品情報修正手段とを有することを特徴とする生産管理システム。
【請求項2】
前記部品情報確認指示手段の指示を受けて部品情報の正誤確認をした結果、前記データベースに既に記憶されている部品情報が誤っている場合に、該部品情報が格納された識別情報に、該部品情報が誤りであることを示す設定情報を付与する設定情報付与手段を有することを特徴とする請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記設定情報付与手段によって設定情報が付与された製造物が、所定の生産工程を通過する時に、警告を発してその旨を表示する警告手段を有することを特徴とする請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記製造物を車両としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の生産管理システム。
【請求項5】
生産工程で製造物に組み付けられる部品を製造物と関連付けて管理する生産管理方法であって、
前記部品の部品情報を読取装置によって入力し、
入力された部品情報等の製造物情報をデータベースに記憶して、製造物の個体情報を示す識別情報ごとに格納し、
前記部品情報が入力された際に、同一の部品情報が前記データベースに既に記憶されているか否かを検索して、
入力された部品情報と同一の部品情報が、前記データベースに既に記憶されていると判断された場合に、入力された部品情報及び/又はデータベースに既に記憶されている部品情報の正誤確認を指示し、
その結果に基づいて、誤入力された部品情報を修正して正しい部品情報を入力することを特徴とする生産管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−200000(P2007−200000A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17537(P2006−17537)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】