説明

生餃子とその製造装置

【課題】
水餃子用の皮は厚く、水分を多く含んでいるが、茹でても合わせ目はこわばらずしかもほころびないこと。そしてしっかりしたすわり面があり、容箱にきちんと整列した生餃子と、その自動製造装置を得ることにある。
【解決手段】
長円形のすわり面があり、その長径方向の上部には半円状の合わせ目があり、合わせ目を境とする片面はのっぺりした凸面であるのに対し、他の片面は合成された凹凸面で形成され、その面を区画するリブを有する生餃子とし、自動製造装置に皮成形装置と皮打ち抜き装置と具供給装置と皮絞り装置と生餃子の合わせ目形成装置とを備えたものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水餃子料理を作る前工程の生餃子と、それを全自動的に製造する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来、餃子は中国が発祥の地といわれ、現在中国では水餃子、日本では焼き餃子が一般的となっている。生餃子とは、茹でる前の水餃子若しくは焼く前の焼き餃子のことであり、長い間手作りであったが、20年ほど前から、人件費の高騰、安全、衛生面から生餃子を自動機で製造する事が行われるようになった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、生餃子の自動製造機で現在実用になっているものは、皮厚が0.8ミリメートル程度の一定厚みで可能な焼き餃子用のみであり、水餃子用については、茹で行程で皮が開いてしまったり、破れてしまうことがあり、皮を棒で伸して不等厚にする手作りに依存せざるをえなかった。出願人においても、過去に皮を機械で不等厚にしようとする考えは存在したものの実現するまでには至らなかった(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、水餃子の皮は40〜45%の水分を多く含むものが好まれることも、生餃子を自動機で製造しようとすることの障害になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−110268号 公報
【特許文献2】特開平1−252266号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水餃子用の皮は厚く柔らかく、合わせ目は茹でてもこわばらずしかもほころびず、そしてしっかりしたすわり面があり、容箱にきちんと整列した生餃子とその製造装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
長円形のすわり面があり、その長径方向の上部には半円状の合わせ目があり、合わせ目を境とする片面はのっぺりした凸面であるのに対し、他の片面は合成された凹凸面で形成され、その面を区画するリブを有する生餃子とするのがよい。
【0008】
さらに、前記区画するリブは放射状の3本であるのがよい。
【0009】
皮帯製造装置と間欠送り装置と打ち粉付着装置と皮成形装置と皮打ち抜き装置と具供給装置と皮絞り装置と生餃子の合わせ目形成装置とを備えた生餃子の製造装置とした。
【0010】
皮絞り装置のダイは長円形をなし、長円形の長径は皮の送り方向に対して直角に配置されている生餃子の製造装置とした。
【0011】
皮成形装置は動力駆動する複数本のテーパーローラで外薄中厚皮を成形する生餃子の製造装置とした。
【0012】
皮打ち抜き装置の真円カッタの中心部に具供給装置は配置され、かつ皮打ち抜き装置の真下に皮絞り装置が配置された生餃子の製造装置とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1による効果は、長円形のすわり面は大きく広く生餃子が安定して直立する。合わせ目を境とする片面はのっぺりした凸面であるのに対し、他の片面は合成された凹凸面で形成され、その面を区画するリブを有する生餃子とすることで、のっぺりした凸面の離型がし易く、区画するリブを有する側に生餃子は保持されるのできれいに整列できる。
【0014】
請求項2による効果は、生餃子における凹面は合わせ目を閉じるのに際して、内部の空気を追い出すのに欠くことはできない。空気を追い出すと表面に皺が出るのを利用してリブとした。中央のリブは皺のセンターがきまり、すわり面の近くから放射状に伸びる左右2本のリブ皺を完全に取ると共に生餃子を回転型に保持して駆動する働きをする。
【0015】
請求項3による効果は、本願生餃子の製造装置を諸要素装置に分解し、流れに沿ってシステムを現したもので、1要素装置を欠いても目的とする生餃子はできない必須要素装置である。
【0016】
請求項4による効果は、皮絞り装置は従来の機械装置にはないもので、ダイスは長円形をなしていて、生餃子のすわり面を形成すると共に、合わせ目を境とするのっぺりした面とリブのある面をあらかじめ形成し、半円状の合わせ目の高さを高くする働きをする。
【0017】
請求項5による効果は、皮成形装置は従来の皮成形構造にはないもので、動力駆動する複数本のテーパーローラで外薄中厚皮を成形することができる。
【0018】
請求項6による効果は、皮打ち抜き装置と具供給装置と皮絞り装置の位置関係は従来の生餃子成形構造にはないもので、長円形のすわり面は大きく広く生餃子が安定して直立する。合わせ目を境とする片面はのっぺりした凸面であるのに対し、他の片面は合成された凹凸面で形成され、その面を区画するリブを有する生餃子の自動製造を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の生餃子の基本4面図で(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は平面図中央断面図である。
【図2】本発明の生餃子の製造装置を示す総合断面図である。
【図3】本発明の生餃子の皮成形装置の実施例で(a)は中央断面図、(b)はテーパーローラ部の底面図である。
【図4】本発明の生餃子の製造装置の皮打ち抜き装置と具供給装置と皮絞り装置及び生餃子の合わせ目形成装置の実施例で(a)は中央断面図、(b)は右押し型ロータの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願発明の実施例を図面よって説明する。図1では、(a)から(d)によって、本発明の生餃子10の3面外形図と中央断面図で示している。長円形のすわり面15があり、その長径方向の上部には半円状の合わせ目13があり、合わせ目13を境とする片面はのっぺりした凸面であるのに対し、他の片面は合成された凹凸面で形成され、その面を区画するリブ14を有する。
【0021】
本実施例の水餃子用生餃子の皮11では、加水45%、皮厚1.5ミリメートルで、中厚部2.0ミリメートルになった。因みに、焼き餃子用の皮では、加水35%、皮厚0.8ミリメートルである。
【0022】
図1の中央断面図(d)では、内部には空気を追い出した生餃子の具12が、生餃子の皮11で包み込まれている形態を示している。生餃子の皮11は、生餃子の合わせ目13の方向に近づくにしたがって薄くなっていて滑らかで食感をよくしている。生餃子の片面には空気を追い出した際にできる皺を型成形して3本のリブ14として使っている。また、リブは皺寄せであるから、峰または折までを含む概念である。本実施例の水餃子用生餃子では、茹でても皮質の変化が少ないので、弾力がある。
【0023】
図2では、本願水餃子用生餃子の自動製造機を総合断面図として示したものである。
皮帯製造装置20と間欠送り装置28と打ち粉付着装置30と皮成形装置40、皮打ち抜き装置50と具供給装置60と皮絞り装置70と皮の合わせ目形成装置80とから本願生餃子の製造装置は成りたっている。
【0024】
図2における皮帯製造装置20と間欠送り装置28と打ち粉付着装置30と打ち粉塗布ブラシ31と余剰打ち粉回収ボックス32は従来の焼き餃子用の自動製造装置にも使われていた装置であるので説明は省く。本願の皮帯製造装置20では、第1番ローラで厚さ10ミリメートル、第2番ローラで厚さ3ミリメートル、第3番ローラで1.5ミリメートルで実施した。
【0025】
図2では、分かりやすいように皮帯25の厚さを誇張して描いている。また、右方には滑らないように上下に挟んだ皮帯25の間欠送り装置28があるが、図示していない。
【0026】
図3では、本願生餃子の皮成形装置40の実施例の詳細で(a)の中央断面図において、上下にテーパーローラ41がクイル44によってストロークsをする形態を示している。皮成形装置40は、電動機によってドライブシャフト42が回転すると傘歯車43の遊星歯車機構によりクイル44若しくは遊動体45が回動する。
【0027】
この形態でクイル44を下方にストロークsして押受台との間に皮帯25を挟むと、テーパーローラ41により短時間に外薄中厚の皮47ができる。なお、クイル44を下方にストロークsさせる行程は、間欠送り装置28によって皮帯25が停止している間に行われる。またストロークsは装置作動中にアナログ的に調節できる。
【0028】
外薄中厚の皮47の外薄は0.3ミリメートル、中厚(最大部)は2.5ミリメートルとして好結果を得ている。外薄中厚の皮47は0.3ミリメートルで皮帯25と繋がっているから間欠送りには支障はない。
【0029】
図3の(b)はテーパーローラ部の底面図である。テーパーローラ41は4本で転がるから皮帯25を削るようなことはない。また、皮帯25の上面(生餃子の内面)は粘りやすいのでテーパーローラの材質は4フッ化エチレン樹脂が好ましい。
【0030】
図4では、生餃子の製造装置の皮打ち抜き装置50と具供給装置60と皮絞り装置70及び皮の合わせ目形成装置80の実施例である。(a)は中央断面図で、各装置の配置と外薄中厚の皮47が変形する形態を示している。
【0031】
先ず皮が皮打ち抜き装置50の真円カッタ51で丸く打ち抜かれて、皮絞り装置70の長円絞りダイス71の上に供給される。そこへ具供給装置60の長円パンチ61が降りてくる。長円パンチ61には円筒状の孔がありその孔から定量の具が供給されると共に、長円絞りを行い、外薄中厚の皮47は皮の絞り状態86を経て厚さも変わり、皮の合わせ目形成装置への供給状態87と変化する。なお定量の具供給は従来から使われており、設定値±0.5gに管理され、設定値は装置作動中にアナログ的に調節できる。
【0032】
図4の(b)は右押し型ロータの左側面図である。ここでは具供給装置60と皮絞り装置70の長円絞りダイス71と長円パンチ61の長径を(a)と比較して示ししている。そして皮の合わせ目形成装置80は左右の押し型ロータ81、82の型部の形が異なる。そのうち複雑な右押し型ロータ81の右押し型ロータの型断面1(83)と右押し型ロータの型断面2(84)及び右押し型ロータの型正面85を簡略3面図で示した。この皮の合わせ目形成装置80では、右押し型ロータ81側に生餃子の完成状態88は残る。空気で剥がし、生餃子10を得る。なお合わせ目は先端が一致する必要も無く、先端部にヒダ寄せする必要も無い。
【符号の説明】
【0033】
10 生餃子
11 生餃子の皮
12 生餃子の具
13 生餃子の合わせ目
14 生餃子のリブ
15 生餃子のすわり面
20 皮帯製造装置
21 第1番ローラ
22 第2番ローラ
23 第3番ローラ
24 つき板
25 皮帯
28 間欠送り装置
30 打ち粉付着装置
31 打ち粉塗布ブラシ
32 余剰打ち粉回収ボックス
40 皮成形装置
41 テーパーローラ
42 ドライブシャフト
43 傘歯車
44 クイル
45 遊動体
46 押受台
47 外薄中厚の皮
s ストローク
50 皮打ち抜き装置
51 真円カッタ
60 具供給装置
61 長円パンチ
70 皮絞り装置
71 長円絞りダイス
80 皮の合わせ目形成装置
81 右押し型ロータ
82 左押し型ロータ
83 右押し型ロータの型断面1
84 右押し型ロータの型断面2
85 右押し型ロータの型正面
86 皮の絞り状態
87 皮の合わせ目形成装置への供給状態
88 生餃子の完成状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長円形のすわり面があり、その長径方向の上部には半円状の合わせ目があり、合わせ目を境とする片面はのっぺりした凸面であるのに対し、他の片面は合成された凹凸面で形成され、その面を区画するリブを有する生餃子。
【請求項2】
請求項1において、区画するリブは放射状の3本である生餃子。
【請求項3】
皮帯製造装置と間欠送り装置と打ち粉付着装置と皮成形装置と皮打ち抜き装置と具供給装置と皮絞り装置と生餃子の合わせ目形成装置とを備えた生餃子の製造装置。
【請求項4】
皮絞り装置のダイは長円形をなし、長円形の長径は皮の送り方向に対して直角に配置されている生餃子の製造装置。
【請求項5】
皮成形装置は動力駆動する複数本のテーパーローラで外薄中厚皮を成形する生餃子の製造装置。
【請求項6】
皮打ち抜き装置の真円カッタの中心部に具供給装置は配置され、かつ皮打ち抜き装置の真下に皮絞り装置が配置された生餃子の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−78378(P2011−78378A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234968(P2009−234968)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000219417)東亜工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】