説明

画像データ処理装置、画像形成装置、プログラム及び記録媒体

【課題】前景の面積率が比較的高い画像であっても、プリントの際のトナー消費量を有効に低減する。
【解決手段】背景画像(例えばバスの写真画像)を表現する背景データと、背景の前に位置する前景の大まかな色及び形を示す画像である前景画像を表現する前景データと、前景画像の全域のうち、どの領域を背景画像に重ねるのかを示すマスク画像を表現するマスクデータ(例えばバスという文字列)とを具備するJPM画像データにおける背景データに対し、背景画像の色合いを薄くするための背景薄色化処理を施し、且つ、前景データに対し、前景画像の色合いを前記背画像よりも低い度合いで薄くするための前景薄色化処理を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化画像データにおける背景データに対して背景画像の色合いを薄くするための背景薄色化処理を施す画像データ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、静止画像データを圧縮して保存する圧縮画像データ形式の1つとして、MRC(Mixed Raster Contents)や、JPM(JPEG2000 Multi Layer)などの構造化画像データが知られている。構造化画像データは、背景と、背景の前に位置する文字などの前景とを含む画像を表現するものであり、背景データ、前景データ及びマスクデータという3つのデータを具備している。背景データは、背景画像のデータを圧縮したものである。また、前景データは、前景の大まかな色及び形を示す前景画像のデータを圧縮したものである。また、マスクデータは、前景画像の全域のうち、どの領域を背景画像に重ねるのかを示すマスク画像のデータを圧縮したものである。例えば、構造化画像データに含まれているマスク画像が、紙面の中央に位置する「A」という形の画像であったとする。また、構造化画像データに含まれている前景画像が、紙面の中央に位置する緑色の矩形の画像であったとする。この場合、緑色の矩形の前景画像のうち、アルファベットの「A」を形取った領域だけを背景画像に重ねることを意味している。構造化画像データは、前景と背景とで画像データの圧縮を分けて行うことで、文字などの前景の形状を大きく乱すことなく、画像データを高い圧縮率で圧縮することができる。
【0003】
また、構造化画像データに関連した技術として、特許文献1に記載の画像データ処理装置が知られている。この画像データ処理装置は、構造化画像データに含まれる3つのデータのうち、背景データに対し、背景画像の色合いを薄くするための背景薄色化処理を施すことで、構造化画像データによって表現される画像が画像形成装置によって形成される際における色材としてのトナーの使用量を低減する。これにより、文字の視認性を低下させることなくトナー消費量を低減したプリントを実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この画像データ処理装置においては、多量の文字を含んでいたり、大きな文字を含んでいたりなどの理由により、前景の面積率が比較的高くなっている画像では、プリントの際のトナー消費量を有効に低減することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、前景の面積率が比較的高い画像であっても、プリントの際の色材消費量を有効に低減することができる画像データ処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、背景画像を表現する背景データと、背景の前に位置する前景の大まかな色及び形を示す画像である前景画像を表現する前景データと、前景画像の全域のうち、どの領域を背景画像に重ねるのかを示すマスク画像を表現するマスクデータとを具備するJPM等の構造化画像データにおける背景データに対し、背景画像の色合いを薄くするための背景薄色化処理を施す画像データ処理装置であって、前記前景データに対し、前景画像の色合いを前記背画像よりも低い度合いで薄くするための前景薄色化処理を施すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、前景画像の色合いを背景画像よりも低い度合いで薄くすることで、前景画像を背景画像よりも目立たせつつ、画像全体における前景の箇所を形成する際の色材使用量を低減する。これにより、前景の面積率が比較的高い画像であっても、プリントの際のトナー消費量を有効に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタにおけるY作像ユニットを拡大して示す拡大構成図。
【図3】開閉扉を開いた状態の同プリンタの開閉扉及び筺体を示す拡大構成図。
【図4】同プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図。
【図5】無圧縮の原画像データをJPEG2000形式の圧縮画像データに変換する際の処理フローと、JPEG2000形式の圧縮画像データから画像を再現する際の処理フローとを示すブロック図。
【図6】原画像データの3原色のコンポーネントを示す模式図。
【図7】原画像における1つのタイルを示す拡大模式図。
【図8】第1階層まで離散ウェーブレット変換処理を施した状態の画像タイルを示す模式図。
【図9】第2階層まで離散ウェーブレット変換処理を施した状態の画像タイルを示す模式図。
【図10】第3階層まで離散ウェーブレット変換処理を施した状態の画像タイルを示す模式図。
【図11】プレシンクトを説明するための拡大模式図。
【図12】ビットプレーンに順位付けする手順の一例を説明するための模式図。
【図13】符号列データにおける1フレーム分の概略構成を説明するための模式図。
【図14】JPMの概要を説明するための模式図。
【図15】JPMによって表現される画像の一例を説明するための模式図。
【図16】デコードされたマスクの一例を示す模式図。
【図17】縦横にそれぞれ変倍された状態のマスクの一例を示す模式図。
【図18】マスクの部分切り取りを説明するための模式図。
【図19】部分切り取りされたマスクの位置割付処理を説明するための模式図。
【図20】位置割付後のマスクの変倍を説明するための模式図。
【図21】同プリンタの表示部に表示されるプレビュー画面の一例を示す模式図。
【図22】同表示部に表示されるサブ画面の一例を示す模式図。
【図23】前景画像や背景画像の薄色化を説明するための模式図。
【図24】第1実施例に係るプリンタの画像データ処理装置がJPM画像データの前景データや背景データに対して実施する各種処理の処理フローを示したフローチャート。
【図25】同プリンタにおける輝度補正による薄色化処理のより詳細な工程を示したフローチャート。
【図26】同プリンタの背景用の輝度補正テーブルにおける補正前の輝度と補正後の輝度との関係を示すグラフ。
【図27】同プリンタの前景用の輝度補正テーブルにおける補正前の輝度と補正後の輝度との関係を示すグラフ。
【図28】図26のグラフと図27のグラフとを重ねたグラフ。
【図29】同プリンタにおける各画素の元々の輝度値と前景の輝度値と背景の輝度値との大小関係を示すグラフ。
【図30】第2実施例に係るプリンタの画像データ処理装置がJPM画像データの前景データや背景データに対して実施する各種処理の処理フローを示したフローチャート。
【図31】同プリンタにおける薄色化処理のより詳細な工程を示したフローチャート。
【図32】同プリンタの背景用の輝度係数補正テーブルにおける補正前の輝度と補正後の輝度との関係を示すグラフ。
【図33】同プリンタの前景用の輝度係数補正テーブルにおける補正前の輝度と補正後の輝度との関係を示すグラフ。
【図34】図32のグラフと図33のグラフとを重ねたグラフ。
【図35】同プリンタの背景用の色差係数補正テーブルにおける補正前の色差と補正後の色差との関係を示すグラフ。
【図36】同プリンタの前景用の色差係数補正テーブルにおける補正前の色差と補正後の色差との関係を示すグラフ。
【図37】図35のグラフと図36のグラフとを重ねたグラフ。
【図38】第3実施例に係るプリンタの画像データ処理装置が実数型の9/7非可逆フィルタによって圧縮された前景データや背景データに対して実施する各種処理の処理フローを示したフローチャート。
【図39】同プリンタにおけるLL成分の逆正規化処理のより詳細な工程を示したフローチャート。
【図40】同プリンタの背景用の輝度正規化分母補正テーブルにおける補正前の輝度係数と輝度の正規化分母の補正値Q’との関係を示すグラフ。
【図41】同プリンタの前景用の輝度正規化分母補正テーブルにおける補正前の輝度係数と輝度の正規化分母の補正値Q’との関係を示すグラフ。
【図42】図40のグラフと図41のグラフとを重ねたグラフ。
【図43】同プリンタの背景用の色差正規化分母補正テーブルにおける補正前の色差係数と色差の正規化分母の補正値Q"との関係を示すグラフ。
【図44】同プリンタの前景用の色差正規化分母補正テーブルにおける補正前の色差係数と色差の正規化分母の補正値Q"との関係を示すグラフ。
【図45】図43のグラフと図44のグラフとを重ねたグラフ。
【図46】実施形態に係る画像編集ソフトによる画面表示の第1例を示す模式図。
【図47】同画面表示の第2例を示す模式図。
【図48】同画面表示の第3例を示す模式図。
【図49】同画面表示の第4例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つの作像ユニット6Y,M,C,Kを備えている。これらは、色材として、互いに異なる色のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を作像するための作像ユニット6Yを例にすると、これは図2に示されるように、像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像器5Y等を有している。作像ユニット6Yは、ユニットの状態でプリンタ本体に対して脱着される。
【0010】
帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電した感光体1Yの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーと磁性キャリアとを含有するY現像剤を用いる現像器5Yによって現像されてYトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、1次転写工程を経た後の感光体1Y表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色の作像ユニット(6M,C,K)においても、同様にして感光体(1M,C,K)上に(M,C,K)トナー像が形成されて、中間転写ベルト8上に重ね合わせて1次転写される。
【0011】
現像器5Yは、そのケーシングの開口から一部露出させるように配設された現像ロール51Yを有している。また、互いに平行配設された2つの搬送スクリュウ55Y、ドクターブレード52Y、トナー濃度センサー56Yなども有している。
【0012】
現像器5Yのケーシング内には、磁性キャリアとYトナーとを含む図示しないY現像剤が収容されている。このY現像剤は2つの搬送スクリュウ55Yによって撹拌搬送されて摩擦帯電せしめられながら、現像ロール51Yの表面に担持される。そして、ドクターブレード52Yによってその層厚が規制されてからY用の感光体1Yに対向する現像領域に搬送され、ここで感光体1Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体1Y上にYトナー像が形成される。現像器5Yにおいて、現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール51Yの回転に伴ってケーシング内に戻される。
【0013】
2つの搬送スクリュウ55Yの間には仕切壁が設けられている。この仕切壁により、現像ロール51Yや図中右側の搬送スクリュウ55Y等を収容する第1供給部53Yと、図中左側の搬送スクリュウ55Yを収容する第2供給部54Yとがケーシング内で分かれている。図中右側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Y内のY現像剤を図中手前側から奥側へと搬送しながら現像ロール51Yに供給する。図中右側の搬送スクリュウ55Yによって第1供給部53Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられた図示しない開口部を通って第2供給部54Y内に進入する。第2供給部54Y内において、図中左側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Yから送られてくるY現像剤を図中右側の搬送スクリュウ55Yとは逆方向に搬送する。図中左側の搬送スクリュウ55Yによって第2供給部54Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられたもう一方の開口部(図示せず)を通って第1供給部53Y内に戻る。
【0014】
透磁率センサーからなる上述のトナー濃度センサー56Yは、第2供給部54Yの底壁に設けられ、その上を通過するY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度と良好な相関を示すため、トナー濃度センサー56YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、トナー濃度センサー56Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納したRAMを備えている。このRAM内には、他の現像器に搭載された図示しないトナー濃度センサーからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納されている。Y用Vtrefは、後述するY用のトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、トナー濃度センサー56Yからの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないY用のトナー搬送装置を駆動制御して第2供給部54Y内にYトナーを補給させる。この補給により、現像器5Y内のY現像剤中のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスユニットの現像器についても、M,C,K用のトナー搬送装置を用いた同様のトナー補給制御が実施される。
【0015】
先に示した図1において、作像ユニット6Y,M,C,Kの図中下方には、光書込装置7が配設されている。潜像形成手段たる光書込装置7は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lにより、作像ユニット6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体を光走査する。この光走査により、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込装置7は、光源から発したレーザー光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
【0016】
光書込装置7の図中下側には、シート収容カセット26、これらに組み込まれた給送ローラ27など有するシート収容手段が配設されている。シート収容カセット26は、シート状の記録体たる記録シートPを複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の記録シートPに給送ローラ27を当接させている。給送ローラ27が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の記録シートPがシート供給路70に向けて送り出される。
【0017】
このシート供給路70の末端付近には、レジストローラ対28が配設されている。レジストローラ対28は、記録シートPを挟み込むべく両ローラを回転させているが、挟み込むとすぐに両ローラの回転を一旦停止させる。そして、適切なタイミングで両ローラの回転を再開して記録シートPを後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0018】
作像ユニット6Y,M,C,Kの図中上方には、表面無端移動体たる中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他、2次転写バイアスローラ19、クリーニング装置10などを備えている。また、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,K、駆動ローラ12、クリーニングバックアップローラ13、2次転写ニップ入口ローラ14なども備えている。中間転写ベルト8は、これら7つのローラにそれぞれ掛け回された状態で、駆動ローラ12の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0019】
1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kは、このようにして無端移動せしめられる中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これら1次転写バイアスローラには、トナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写転写バイアスが印加される。1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
【0020】
中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0021】
駆動ローラ12は、接離部材たる2次転写バイアスローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで記録シートPに転写される。そして、記録シートPの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0022】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、クリーニング装置10によってクリーニングされる。また、2次転写ニップで4色トナー像が一括2次転写された記録シートPは、転写後搬送路71を経由して定着装置20に送られる。
【0023】
定着装置20は、内部にハロゲンランプ等の発熱源を有する定着ローラ20aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ20bとによって定着ニップを形成している。定着装置20内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ20aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0024】
定着装置20内でフルカラー画像が定着せしめられた記録シートPは、定着装置20を出た後、排紙路72と反転前搬送路73との分岐点にさしかかる。この分岐点には、第1切替爪75が揺動可能に配設されており、その揺動によって記録シートPの進路を切り替える。具体的には、爪の先端を反転前送路73に近づける方向に動かすことにより、記録シートPの進路を排紙路72に向かう方向にする。また、爪の先端を反転前搬送路73から遠ざける方向に動かすことにより、記録シートPの進路を反転前搬送路73に向かう方向にする。
【0025】
第1切替爪75によって排紙路72に向かう進路が選択されている場合には、記録シートPは、排紙路72から排紙ローラ対100を経由した後、機外へと配設されて、プリンタ筺体の上面に設けられたスタック50a上にスタックされる。これに対し、第1切替爪75によって反転前搬送路73に向かう進路が選択されている場合には、記録シートPは反転前搬送路73を経て、反転ローラ対21のニップに進入する。反転ローラ対21は、ローラ間に挟み込んだ記録シートPをスタック部50aに向けて搬送するが、記録シートPの後端をニップに進入させる直前で、ローラを逆回転させる。この逆転により、記録シートPがそれまでとは逆方向に搬送されるようになり、記録シートPの後端側が反転搬送路74内に進入する。
【0026】
反転搬送路74は、鉛直方向上側から下側に向けて湾曲しながら延在する形状になっており、路内に第1反転搬送ローラ対22、第2反転搬送ローラ対23、第3反転搬送ローラ対24を有している。記録シートPは、これらローラ対のニップを順次通過しながら搬送されることで、その上下を反転させる。上下反転後の記録シートPは、上述のシート供給路70に戻された後、再び2次転写ニップに至る。そして、今度は、画像非担持面を中間転写ベルト8に密着させながら2次転写ニップに進入して、その画像非担持面に中間転写ベルトの第2の4色トナー像が一括2次転写される。この後、転写後搬送路71、定着装置20、排紙路72、排紙ローラ対100を経由して、機外のスタック部50a上にスタックされる。このような反転搬送により、記録シートPの両面にフルカラー画像が形成される。
【0027】
転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部50aとの間には、ボトル支持部31が配設されている。このボトル支持部31は、Y,M,C,Kトナーを収容するトナー収容部たるトナーボトル32Y,M,C,Kを搭載している。トナーボトル32Y,M,C,K内のY,M,C,Kトナーは、それぞれ図示しないトナー搬送装置により、作像ユニット6Y,M,C,Kの現像器に適宜補給される。これらのトナーボトル32Y,M,C,Kは、作像ユニット6Y,M,C,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
【0028】
反転搬送路74は開閉扉内に形成されており、この開閉扉は、外部カバー61と揺動支持体62とを有している。具体的には、開閉扉の外部カバー61は、プリンタ本体の筺体50に設けられた第1回動軸59を中心にして回動するように支持されている。この回動により、外部カバー61は、筺体50の図示しない開口を開閉する。また、開閉扉の揺動支持体62は、図3に示されるように、外部カバー61が開かれることで外部に露出し、外部カバー61に設けられた第2回動軸63を中心にして回動するように外部カバーに支持されている。この回動により、筺体50から開かれた状態にある外部カバー61に対して、揺動支持体62が揺動して、外部カバー61と揺動支持体62とが分かれることで、反転搬送路74が露出する。このようにして反転搬送路74が露出することで、反転搬送路74内のジャムシートが容易に取り除かれる。
【0029】
図4は、本プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御部100は、CPU101と、制御プログラムや各種データを記憶したROM102と、各種データを一時的に記憶するRAM103と、各種データを記憶するフラッシュメモリ104とを有している。この制御部100には、周辺機器との間で信号をやりとりするためのI/Oインターフェース110を介して光書込装置7、光書込制御回路116、プリントサーバー回路112、入力ポート113、表示部114、カードリーダー115、光書込制御回路116、操作部117、画像データ処理装置180などが接続されている。
【0030】
本プリンタは、基本的には、外部のパーソナルコンピュータやスキャナなどから送られてくるPDL(ページ記述言語)データに基づいて画像を形成するものであるが、JPEG、ビットマップ、JPMなどの画像データについては、その画像データに基づいて自らがPDLデータを構築することも可能である。外部機器から送られてきたPDLデータについては、LANポート111あるいは入力ポート113によって受け入れる。LANポート111に入力されたPDLデータは、プリントサーバー回路112とI/Oインターフェース110とを介して、制御部100や光書込制御回路116に送られる。また、入力ポート113に入力されたPDLデータは、I/Oインターフェース110を介して制御部100に送られる。
【0031】
光書込制御回路116は、光書込装置7の駆動を制御するものである。また、カードリーダー115は、SDカードやmicroSDカードなどのフラッシュメモリーカードに記録されている電子ファイルデータを読み込むものである。また、表示部114は、液晶ディスプレイ等から構成され、画面に画像を表示するものである。また、操作部117は、テンキーや各種の入力ボタンから構成され、操作者によるキー操作を受け付けるものである。
【0032】
次に、実施形態に係るプリンタによって復号化される構造化画像データに具備される圧縮画像データであるJPEG(Joint Photographic Experts Group)2000について説明する。図5は、無圧縮の原画像データをJPEG2000形式の圧縮画像データに変換する際の処理フローと、JPEG2000形式の圧縮画像データから画像を再現する際の処理フローとを示すブロック図である。無圧縮の原画像データをJPEG2000形式の圧縮画像データに変換する際には、図示のように、原画像データに対し、色空間処理、離散ウェーブレット変換処理、量子化処理、エントロピー符号化処理、及びデータ結合・タグ付加処理を順次施す。また、JPEG2000形式の圧縮画像データに基づいて画像を再現する際には、その圧縮画像データに対し、前述した各処理を正反対の順序で施す。具体的には、データ読込処理、エントロピー復号化処理、逆量子化処理、離散ウェーブレット逆変換処理、色空間逆変換処理を順次施して、無圧縮の画像データを得る。
【0033】
原画像データは、図6に示されるように、原画像データのR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)という3原色のコンポーネントがそれぞれ、所定の矩形領域に分割される。分割数は1以上である。分割された矩形領域は、タイルと呼ばれる。図示の例では、R、G、Bという3原色のコンポーネント211R、211G、211Bがそれぞれ、縦4×横4=16個の矩形のタイル212R、212G、212Bに分割されている。Rのコンポーネントを例にすると、図示のように、R00、R01、R02、R03、R04、R05、R06、R07、R08、R09、R10、R11、R12、R13、R14、R15という16個のタイルに分割されている。これらのタイル(212R、212G、212B)が、画像データの圧縮プロセス(符号化)や伸長プロセス(復号化)を実行する際の基本単位となる。従って、画像データの圧縮や伸長は、コンポーネント毎、且つタイル毎に行われる。
【0034】
原画像データの符号化の際には、まず、コンポーネント211R,G,Bにおける各タイル212R,G,Bのデータに対して、色空間変換処理が施される。これにより、R,G,Bの3原色の各コンポーネントからなるRGB表色系が、補色系のY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各コンポーネントからなるYMC表色系、YUV表色系、あるいはYCbCr表色系などに変換される。このようにして変換された画像データは、離散ウェーブレット変換処理により、周波数帯に空間分割される。このような空間分離が、必要に応じて所定の階層数だけ行われる。
【0035】
図7は、原画像における1つのタイルを示す拡大模式図である。このような原画像タイルのデータに対して、離散ウェーブレット変換処理が施されると、図8に示されるように、原画像タイルが、1LL(第1階層−縦低周波成分−横低周波成分)、1HL(第1階層−縦高周波成分−横低周波成分)、1LH(第1階層−縦低周波成分−横高周波成分)、1HH(第1階層−縦高周波成分−横高周波成分)という4つのサブバンドに分割される。このように4つのサブバンドに分割された状態が第1階層である(階層数=1)。第2階層まで空間分離が行われる場合には、それら4つのサブバンドのうち、1LLに対して更に離散ウェーブレット変換処理が施される。これにより、図9に示されるように、1LLが、2LL、2HL、2LH、2HHという4つのサブバンドに更に分割される。また、第3階層まで空間分離が行われる場合には、それら4つのサブバンドのうち、2LLに対して更に離散ウェーブレット処理が施される。これにより、図10に示されるように、2LLが、3LL、3HL、3LH、3HHという4つのサブバンドに更に分割される。図8〜図10においては、各階層において符号化の対象となるサブバンドを墨付きで示している。例えば、第1階層では、1HL、1LH、1HHの3つのサブバンドが符号化の対象となる。また、第3階層では、3HL、3LH、3HHの3つのサブバンドが符号化の対象になり、3LLサブバンドは符号化されない。
【0036】
このようにして必要な階層数だけ離散ウェーブレット変換が行われた後には、量子化処理が施される。量子化処理では、指定された符号化の順番で符号化の対象となるビットが定められ、対象ビット周辺のビットからコンテキストが生成される。
【0037】
量子化処理によって得られたウェーブレット係数は、インプリメンテーションでメモリを効率的に使うために、個々のサブバンド毎に、プレシンクトと呼ばれる重複しない矩形に分割される。図11は、プレシンクトを説明するための拡大模式図である。同図において、1つのプレシンクトは、空間的に一致した3つの矩形領域からなっている。より詳細には、サブバンドの矩形領域で、同じ階層のHL,LH,HHサブバンドの空間的に同じ位置にある3つの領域の組が1つのプリシンクトとして扱われる。ただし、LLサブバンドでは、1つの領域が1つのプレシンクトとして扱われる。プレシンクトのサイズをサブバンドと同じサイズにすることも可能である。更に、個々のプレシンクトは、重複しない矩形のコード・ブロックに分けられる。コード・ブロックは、エントロピー・コーディングを行う際の基本単位となる。よって、画像、タイルと、サブバンドと、プレシンクトと、コード・ブロックとの間には、画像≧タイル>サブバンド≧プレシンクト≧コード・ブロックという大小関係が成立する。
【0038】
図12は、ビットプレーンに順位付けする手順の一例を説明するための模式図である。同図においては、原画像(32×32画素)を16×16画素のタイル4つで分割した例を示している。第1階層のプレシンクトの大きさは8×8画素であり、コード・ブロックの大きさは4×4画素である。プレシンクトやコード・ブロックの番号は、ラスター順に付けられており、この例では、プレシンクトが番号0から3まで、コード・ブロックが番号0から3まで割り当てられている。タイル境界外に対する画素拡張にはミラーリング法が使用され、且つ、可逆(5,3)フィルターによってウェーブレット変換が施されて、第1階層のウェーブレット係数値が求められている。変換後のコード・ブロックは、サブバンド(1LL,1HL,1LH,1HH)に分割され、各サブバンドにはウェーブレット係数値が割り当てられている。
【0039】
レイヤの構造については、ウェーブレット係数値を横方向(ビットプレーン方向)から見ると理解し易い。1つのレイヤは任意の数のビットプレーンから構成される。この例では、レイヤ0,1,2,3は、各々、1,3,1,3のビットプレーンから成っている。そして、LSB(Least Significant Bit:最下位ビット)に近いビットプレーンを含むレイヤほど、先に量子化の対象となり、逆に、MSB(Most Significant Bit:最上位ビット)に近いレイヤは最後まで量子化されずに残ることになる。LSBに近いレイヤから破棄する方法はトランケーションと呼ばれ、量子化率を細かく制御することが可能である。
【0040】
エントロピー符号化処理では、コンテキストと対象ビットから確率推定によって、各コンポーネントのタイルに対する符号化が行われる。これにより、原画像の全てのコンポーネントに対して、タイル単位で符号化処理が施される。
【0041】
データ結合・タグ付加処理では、エントロピー符号化処理によって得られた全符号化データが1本の符号列データに結合され、更にタグが付加される処理が行われる。具体的には、不要なエントロピー符号を破棄し、必要なエントロピー符号をまとめてパケットを生成し、パケットを所定の順番に並べるとともに必要なタグ及びタグ情報を付加することにより、符号列データ(コードストリーム)を生成する。プレシンクトに含まれる全てのコード・ブロックの符号の一部(例えば最上位から3ビット目までの3枚のビットプレーンの符号)を取り出して集めたものがパケットである。符号が空(から)のパケットも許される。コード・ブロックの符号をまとめてパケットを所定の順序に並べたものは、「bit stream」と呼ばれる。
【0042】
図13は、符号列データにおける1フレーム分の概略構成を説明するための模式図である。符号列データの先頭や、各タイルの符号データ(bit stream)の先頭には、ヘッダ(メインヘッダ(Mainheader)、タイル境界位置情報等であるタイルパートヘッダ(tile part header))と呼ばれるタグ情報が付加され、その後に、各タイルの符号化データが続く。なお、メインヘッダ(Main header)には、符号化パラメータや量子化パラメータが記述されている。そして、符号列データの終端には、再びタグ(end of codestream)が置かれる。
【0043】
一方、符号化データの復号化の際には、画像データの符号化時とは逆に、各コンポーネントの各タイルの符号列データから画像データを生成する。この場合、データ読込処理により、外部から入力される符号列データに付加されたタグ情報を解釈し、符号列データを各コンポーネントの各タイルの符号列データに分解し、その各コンポーネントの各タイル112の符号列データ毎に復号化処理(伸長処理)を行う。このとき、符号列データ内のタグ情報に基づく順番で復号化の対象となるビットの位置が定められた後、その対象ビット位置の周辺ビット(既に復号化を終えている)の並びからコンテキストが生成される。このコンテキストと符号列データから確率推定によって復号化を行い、対象ビットを生成し、それを対象ビットの位置に書き込む。このようにして復号化されたデータは周波数帯域毎に空間分割されているため、これに対して離散ウェーブレット逆変換処理を施すことにより、画像データの各コンポーネントの各タイルを復元する。復元されたデータは色空間逆変換処理によって元の表色系の画像データに変換される。
【0044】
次に、実施形態に係るプリンタによって復号化される構造化画像データとしてのJPMについて説明する。
図14は、JPMの概要を説明するための模式図である。同図において、Pageは、LayoutObjectと、BasePageとからなる。BasePageは、パラメータにより、単色、透明などに指定される。LayoutObjectは、ImageとMaskとからなる。Imageには通常の画像データが格納される。また、Maskは、Imageの不透明度を表している。通常は、MaskObjectとImageObjectとの組が用いられるが、どちらか一方のみを使用してもかまわない。ImageObjectのみの場合、Maskは1(すべて上書き)として扱われる。また、MaskObjectのみの場合には、Imageは指定値となる。Mask、Imageともに、伸縮(スケーリング)や一部切り取り(クリッピング)を行って用いることも可能である。
【0045】
図15は、JPMによって表現される画像の一例を説明するための模式図である。JPMに含まれているBasePageがPageImage(背景)として扱われ、これに対して、1つ目のLayoutObjectのImage(前景)におけるMask(マスク)の箇所が重ねられて、PageImage(背景)が合成される。このとき、Maskの黒の画素位置では不透明度が1として扱われ、ImageがPageImageに上書きされる。Maskの白の画素位置では透明度が1として扱われ、PageImageが表示される。同様に、PageImage(背景)と、2つ目のLayoutObjectのImage(前景)と、Mask(マスク)とに基づいて、PageImage(背景)が合成される。このとき、Maskの黒の画素位置でImageがPageImageに上書きされ、Maskの白の画素位置でPageImageが表示される。図示の例では、PageImageが最終的に表示される再現画像PageImageとなる。
【0046】
次の数1で表される数式は、JPMに基づいて画像を再現する際の演算式の一例を示すものである。
【数1】

【0047】
この演算式では、PageImageとImageとMaskとから、PageImageが作られる。Maskが黒の場合には、不透明度が1として扱われ、Imageが上書きされる。また、Maskが白の場合には、透明度が1として扱われ、PageImageが表示される。同様にして、PageImageとImageとMaskとから、PageImageが作られる。Maskが黒の場合には、不透明度が1として扱われ、Imageが上書きされる。また、Maskが白の場合には、透明度が1として扱われ、PageImageが表示される。
【0048】
数1の演算式における上から2行目は、ブレンド(画像再現)方法を表す式である。Mはm番目のLayoutObjectにおけるMaskObjectの画素値を表している。また、Iはm番目のLayoutObjectにおけるImageObjectの画素値を表している。また、cはコンポーネントを表している。MaskObjectはシングルコンポーネントである。x,yは画像の座標を表している。また、SはM(マスク)の最大値(2のべき乗−1)を表している。また、nは当該ページに含まれるLayoutObjectの数を表している。
【0049】
図16は、デコードされたマスクの一例を示す模式図である。デコードされたマスクについては、図17に示すように、縦横独立に変倍することが可能である。また、図18に示すように、マスクの一部だけを切り取って(クリッピング)使用することも可能である。クリッピングしたマスクについては、図19に示すように、ページのどの位置に割り付けるかを指定することも可能である。また、図20に示すように、ページの指定位置に割り付けた後に、クリッピングを施すことも可能である。
【0050】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
本プリンタは、SDカード等のフラッシュメモリーカードに記録されているJPEg画像データ、ビットマップ画像データ、JPM画像データなどについては、それらをカードリーダー115(図4参照)によって読み込んで、それらに基づく画像を表示部114に表示したり、それらに基づく画像を形成したりすることができる。つまり、所定のデータ形式の画像データについては、外部機器からPDLデータが提供されなくても、自らがその画像データに基づくPDLデータを構築しながら、そのPDLデータに基づく画像を形成することが可能である。
【0051】
制御部100は、カードリーダー115に差し込まれたフラッシュメモリーカードを認識すると、そのフラッシュメモリーカードに記録されている電子ファイルのうち、「JPG」など、特定の種類の拡張子を有する画像データファイルだけを抽出してそのファイル名一覧を構築し、その一覧を表示部114に表示する。表示部114としては、タッチパネルからなるものが採用されている。操作者が、表示部114に表示されたファイル名の一覧のうち、希望するもののファイル名の画面箇所をタッチすると、制御部100は、そのファイル名に対応する画像データファイルを読み込む。このとき、JPEg2000やJPMなどの圧縮画像データである場合には、読み込んだ画像データを画像データ処理装置180に送る。画像データ処理装置180は、受け取った符号化された画像データを、予め記憶しているアルゴリズム等に基づいて復号化した後、制御部100に送り返す。制御部100は、画像データ処理装置180から送られてきた復号化後の画像データに基づいて、図21に示すようなプレビュー画面を表示部114に表示させる。
【0052】
操作者によってプレビュー画面の「モノクロで出力」の表示箇所、あるいは、「カラーで出力」の表示箇所がタッチされると、制御部100は、トナーセーブモードの設定条件を確認する。トナーセーブモードは、オリジナル画像よりも色合いを薄くした状態でプリントを行うことで、色材としてのトナーの消費量を低減するモードである。図示の例では、トナーセーブモードがONに設定されている。この状態で「ON」の表示箇所が操作者によってタッチされると、トナーセーブモードがOFFに設定されるとともに、「ON」の表示が「OFF」に切り替えられる。また、「OFF」の表示箇所が操作者によってタッチされると、トナーセーブモードがONに設定されるとともに、「OFF」の表示が「ON」に切り替えられる。トナーセーブモードがONに設定された状態で「モノクロで出力」や「カラーで出力」の表示箇所がタッチされた場合であって、且つ、画像データがJPM形式のデータである場合には、制御部100は、図22に示されるようなサブ画面を表示部114に表示させる。このサブ画面は、画像の全領域のうち、色合いを薄くしてトナーの消費量を低減する領域を操作者に選択してもらうためのものである。操作者のタッチ操作によって「絵柄のみ」が選択された場合には、背景画像だけに対して、色合いを薄くするための処理が施される。また、操作者のタッチ操作によって「文字と絵柄」が選択された場合には、前景及び背景の両方に対して、色合いを薄くするための処理が施される。
【0053】
図21に示されるバスの画像を表示するためのJPM画像データを例にすると、図23に示されるように、このJPM画像データは、帯状の前景画像を再現するためにJPEG2000形式で圧縮された前景データと、「バス」という文字列を表現するバスクデータと、バスの写真画像を背景画像として再現するためにJPEG2000形式で圧縮された背景データとを具備している。上述したサブ画面に対するタッチ操作によって「文字と絵柄」が選択された場合、画像データ処理装置180は、背景データに対して、バスの写真画像の色合いを薄くするための背景薄色化処理を施す。また、前景データに対して、前景画像の色合いを背景画像よりも低い度合いで薄くするための前景薄色化処理を施す。帯状の前景画像の色合いを、バスの写真画像からなる背景画像よりも低い度合いで薄くすることで、図示のように、前景画像を背景画像よりも目立たせつつ、前景画像及び背景画像の箇所についてそれぞれトナー消費量を低減する。これにより、前景の面積率が比較的高い画像であっても、プリントの際のトナー消費量を有効に低減することができる。
【0054】
なお、上述したサブ画面に対するタッチ操作によって「絵柄のみ」が選択された場合には、特許文献1に記載の画像データ処理装置と同様に、背景データに対する背景薄色化処理だけを行って、前景データに対する前景薄色化処理は行わず、薄色化された背景画像の上に、オリジナルのままの色合いの前景を重ねる。
【0055】
次に、実施形態に係るプリンタに対し、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
【0056】
[第1実施例]
図24は、第1実施例に係るプリンタの画像データ処理装置180がJPM画像データの前景データや背景データに対して実施する各種処理の処理フローを示したフローチャートである。このフローチャートにおいて、画像データ処理装置180は、まず、原画像データである前景データや背景データの符号を解析しながら、前景データや背景データをバケット単位で分割する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、得られた複数のバケットをそれぞれコード・ブロック単位で更に分割する(S2)。次いで、符号化されたデータの復号化をコード・ブロック毎に行った後(S3)、得られた復号化データに対してそれぞれサブバンド単位で逆量子化(ウェーブレットフィルタとして実数型の9/7非可逆フィルタが用いられる場合には逆正規化も含む)を施す(S4)。その後、得られたデータのタイル毎に対して逆ウェーブレット変換処理を施した後(S5)、得られた画素マトリクスの各画素データに対してそれぞれ輝度補正による薄色化処理を施す(S6)。そして、薄色化処理後の各画素データに対して、DC逆レベルシフト及び逆色変換処理を施す(S7)。モノクロ出力の場合には(S8でY)、最後に、モノクロか処理を行う(S9)。
【0057】
なお、上述したプレビュー画面を表示するための復号化を行う場合には、S6の工程を省略して、S7で得られた画像データを制御部100に送信する。
【0058】
図25は、輝度補正による薄色化処理のより詳細な工程を示したフローチャートである。薄色化処理では、まず、画素マトリクスにおける複数の画素のうち、注目画素の画素データを抽出する(S6−1)。そして、前景データの場合には(S6−2でY)、データ記憶回路に記憶している前景用の輝度補正テーブルに基づいて、画素データの輝度値を補正した後、画素データを更新する(S6−3)。また、背景データの場合には(S6−2でN)、データ記憶回路に記憶している背景用の輝度補正テーブルに基づいて、画素データの輝度値を補正した後、画素データを更新する(S6−4)。その後、画素マトリクスにおける全ての画素データを抽出したか否かを判断し(S6−5)、未抽出の画素データが残っている場合には(S6−5でN)、注目画素を移動させた後(S6−6)、制御フローをS6−1にループさせる。
【0059】
図26は、背景用の輝度補正テーブルにおける補正前の輝度と補正後の輝度との関係を示すグラフである。図示のように、背景における輝度補正では、輝度の元の値がプラス側に大きくなるほどその値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で輝度値を補正する。輝度値aに対する増加率αは、輝度値aよりもプラス側に大きい輝度値bに対する増加率βよりも大きくなっている。
【0060】
図27は、前景用の輝度補正テーブルにおける補正前の輝度と補正後の輝度との関係を示すグラフである。図示のように、前景における輝度補正でも、輝度の元の値がプラス側に大きくなるほどその値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で輝度値を補正する。輝度値aに対する増加率α’は、輝度値aよりもプラス側に大きい輝度値bに対する増加率β’よりも大きくなっている。
【0061】
図28は、図26のグラフと図27のグラフとを重ねたものである。図示のように、同じ輝度値(例えばa)では、背景における増加率(例えばα)の方が、前景における増加率(例えばα’)よりも大きくなっている。つまり、元々の輝度値<前景の輝度値<背景の輝度値という大小関係になっている。このような輝度補正テーブルを用いることで、前景データに対し、前景画像の色合いを背画像よりも低い度合いで薄くすることができる。これにより、全ての画素において、例えば図29に示されるように、元々の輝度値<前景の輝度値<背景の輝度値という大小関係を成立させることができる。
【0062】
[第2実施例]
図30は、第2実施例に係るプリンタの画像データ処理装置180がJPM画像データの前景データや背景データに対して実施する各種処理の処理フローを示したフローチャートである。このフローチャートにおいて、画像データ処理装置180は、まず、原画像データである前景データや背景データの符号を解析しながら、前景データや背景データをバケット単位で分割する(S1)。そして、得られた複数のバケットをそれぞれコード・ブロック単位で更に分割する(S2)。次いで、符号化されたデータの復号化をコード・ブロック毎に行った後(S3)、得られた復号化データに対してそれぞれサブバンド単位で逆量子化(9/7非可逆フィルタの場合には逆正規化も含む)を施す(S4)。その後、得られたデータのうち、LLの輝度係数及び色差係数を補正することで色合いを薄くする薄色化処理を行った後(S5)、タイル毎に対して逆ウェーブレット変換処理を施す(S6)。そして、変換後の各画素データに対して、DC逆レベルシフト及び逆色変換処理を施す(S7)。モノクロ出力の場合には(S8でY)、最後に、モノクロか処理を行う(S9)。
【0063】
なお、上述したプレビュー画面を表示するための復号化を行う場合には、S5の工程を省略して、S7で得られた画像データを制御部100に送信する。
【0064】
図31は、第2実施例に係るプリンタにおける薄色化処理のより詳細な工程を示したフローチャートである。この薄色化処理では、まず、サブバンド毎に逆量子化されたデータのうち、LLのサブバンドにおいて、複数の係数(輝度係数や色差係数)のうち、注目係数を抽出する(S5−1)。そして、前景データの場合には(S5−2でY)、データ記憶回路に記憶している前景用の輝度係数補正テーブルや色差係数補正テーブルに基づいて、輝度係数や色差係数を補正した後、データを更新する(S5−3)。また、背景データの場合には(S5−2でN)、データ記憶回路に記憶している背景用の輝度係数補正テーブルや色差係数補正テーブルに基づいて、輝度係数や色差係数を補正した後、データを更新する(S5−4)。その後、LLのサブバンドにおける全ての輝度係数や色差係数を抽出したか否かを判断し(S5−5)、未抽出の係数が残っている場合には(S5−5でN)、LLのサブバンドにおける注目係数を移動させた後(S5−6)、制御フローをS5−1にループさせる。
【0065】
図32は、背景用の輝度係数補正テーブルにおける補正前の輝度と補正後の輝度との関係を示すグラフである。図示のように、背景における輝度係数補正では、輝度の元の値がプラス側に大きくなるほどその値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で輝度値を補正する。輝度値cに対する増加率Cは、輝度値cよりもプラス側に大きい輝度値dに対する増加率Dよりも大きくなっている。
【0066】
図33は、前景用の輝度係数補正テーブルにおける補正前の輝度と補正後の輝度との関係を示すグラフである。図示のように、前景における輝度係数補正でも、輝度の元の値がプラス側に大きくなるほどその値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で輝度値を補正する。輝度値cに対する増加率C’は、輝度値cよりもプラス側に大きい輝度値dに対する増加率D’よりも大きくなっている。
【0067】
図34は、図32のグラフと図33のグラフとを重ねたものである。図示のように、元の輝度係数が同じである場合(例えばc)、背景における増加率(例えばC)の方が、前景における増加率(例えばC’)よりも大きくなっている。つまり、元々の輝度値<前景の輝度値<背景の輝度値という大小関係になっている。
【0068】
図35は、背景用の色差係数補正テーブルにおける補正前の色差と補正後の色差との関係を示すグラフである。図示のように、背景における色差係数補正では、色差の元の絶対値が大きくなるほどその絶対値に対する低下後の絶対値の低下率を高くする規則で色差係数の絶対値を低下させる。色差係数fに対する低下率Fは、色差係数fよりも絶対値の小さい色差係数eに対する低下率Eよりも高くなっている。
【0069】
図36は、前景用の色差係数補正テーブルにおける補正前の色差と補正後の色差との関係を示すグラフである。図示のように、前景における色差係数補正でも、色差の元の絶対値が大きくなるほどその絶対値に対する低下後の絶対値の低下率を高くする規則で色差係数の絶対値を低下させる。色差係数fに対する低下率F’は、色差係数fよりも絶対値の小さい色差係数eに対する低下率E’よりも大きくなっている。
【0070】
図37は、図35のグラフと図36のグラフとを重ねたものである。図示のように、同じ色差係数(例えばf)の場合、背景における低下率(例えばF)の方が、前景における低下率(例えばF’)よりも大きくなっている。
【0071】
このような各係数補正テーブルを用いることで、前景データに対し、前景画像の色合いを背画像よりも低い度合いで薄くすることができる。
【0072】
LL、HL、LH、HHという4種類の係数のうち、全係数に対するLL係数の割合は非常に小さい。例えば、階層数が2階層である場合、全係数(1HL、1LH、1HH、2HL、2LH、2HH、及び2LL)に対する2LLの割合は、1/16である。N階層では1/2(N×2)である。第2実施例に係るプリンタにおいては、このように少ない数であるLLの係数だけに対して薄色化処理を施すことで、全ての係数に対して薄色化処理を施す場合に比べて、処理時間を短縮することができる。
【0073】
なお、LLの係数だけに薄色化処理を施す例について説明したが、所定の階層数以上の係数だけに対して、薄色化処理を施してもよい。かかる構成においても、全ての係数に対して薄色化処理を施す場合に比べて、処理時間を短縮することができる。
【0074】
[第3実施例]
第3実施例に係るプリンタの画像データ処理装置180は、JPM画像データに含まれるJPEG2000形式のデータ(背景データや前景データ)が、整数型の5/3可逆フィルタが用いられている場合には、第2実施例に係るプリンタと同様の処理を行う。これに対し、実数型の9/7非可逆フィルタが用いられている場合には、第2実施例に係るプリンタとは異なる処理を行う。
【0075】
図38は、第3実施例に係るプリンタの画像データ処理装置180が実数型の9/7非可逆フィルタによって圧縮された前景データや背景データに対して実施する各種処理の処理フローを示したフローチャートである。このフローチャートにおいて、画像データ処理装置180は、まず、原画像データである前景データや背景データの符号を解析しながら、前景データや背景データをバケット単位で分割する(S1)。そして、得られた複数のバケットをそれぞれコード・ブロック単位で更に分割する(S2)。次いで、符号化されたデータの復号化をコード・ブロック毎に行った後(S3)、得られた復号化データに対してそれぞれサブバンド単位で逆量子化処理を施す(S4)。また、サブバンド単位で逆正規化処理も施す。この際、LLの輝度係数や色差係数については、データ記憶回路に記憶している正規化分母補正テーブルに基づいて補正した正規化分母を用いることで、薄色化処理を実施する。その後、タイル毎に対して逆ウェーブレット変換処理を施した後(S5)、変換後の各画素データに対して、DC逆レベルシフト及び逆色変換処理を施す(S6)。モノクロ出力の場合には(S7でY)、最後に、モノクロか処理を行う(S8)。
【0076】
なお、上述したプレビュー画面を表示するための復号化を行う場合には、S4の工程において、LLの輝度係数や色差係数についても、他の係数と同様に、正規化分母を補正しないで逆正規化を行う。
【0077】
図39は、第2実施例に係るプリンタにおけるLL成分の逆正規化処理のより詳細な工程を示したフローチャートである。この逆正規化処理(薄色化処理)では、まず、サブバンド毎に逆量子化されたデータのうち、LLのサブバンドにおいて、複数の係数(輝度係数や色差係数)のうち、注目係数を抽出する(S4−1)。そして、前景データの場合には(S4−2でY)、データ記憶回路に記憶している前景用の輝度正規化分母補正テーブルに基づいて、輝度用の正規化分母の補正値Q’を特定する(S4−3)。次いで、データ記憶回路に記憶している前景用の色差正規化分母補正テーブルに基づいて、色差用の正規化分母の補正値Q"を特定する(S4−4)。一方、背景データの場合には(S4−2でN)、データ記憶回路に記憶している背景用の輝度正規化分母補正テーブルに基づいて、輝度用の正規化分母の補正値Q’を特定する(S4−5)。次いで、データ記憶回路に記憶している背景用の色差正規化分母補正テーブルに基づいて、色差用の正規化分母の補正値Q"を特定する(S4−6)。前景、背景の何れにおいても、その後、輝度用の正規化分母Qを補正値Q’と同じ値に補正し、その結果の乗算によって輝度係数を補正する(S4−7)。また、色差用の正規化分母Qを補正値Q"と同じ値に補正し、その結果の乗算によって色差係数を補正する(S4−8)。そして、LLのサブバンドにおける全ての輝度係数や色差係数を抽出したか否かを判断し(S4−9)、未抽出の係数が残っている場合には(S4−9でN)、LLのサブバンドにおける注目係数を移動させた後(S4−10)、制御フローをS4−1にループさせる。
【0078】
図40は、背景用の輝度正規化分母補正テーブルにおける補正前の輝度係数と輝度の正規化分母の補正値Q’との関係を示すグラフである。図示のように、背景における輝度係数の補正では、輝度係数の元の値がプラス側に大きくなるほどその値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で、輝度係数を逆正規化する際の正規化分母値を標準値よりも大きくする。輝度値cに対する増加率Cは、輝度値cよりもプラス側に大きい輝度値dに対する増加率Dよりも大きくなっている。
【0079】
図41は、前景用の輝度正規化分母補正テーブルにおける補正前の輝度係数と輝度の正規化分母の補正値Q’との関係を示すグラフである。図示のように、前景における輝度係数補正でも、輝度係数の元の値がプラス側に大きくなるほどその値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で、輝度係数を逆正規化する際の正規化分母値を標準値よりも大きくする。輝度値cに対する増加率C’は、輝度値cよりもプラス側に大きい輝度値dに対する増加率D’よりも大きくなっている。
【0080】
図42は、図40のグラフと図41のグラフとを重ねたものである。図示のように、同じ輝度係数(例えばc)の場合には、背景における増加率(例えばC)の方が、前景における増加率(例えばC’)よりも大きくなっている。つまり、元々の輝度値<前景の輝度値<背景の輝度値という大小関係になっている。
【0081】
図43は、背景用の色差正規化分母補正テーブルにおける補正前の色差係数と色差の正規化分母の補正値Q"との関係を示すグラフである。図示のように、背景における色差係数補正では、色差係数の元の絶対値が大きくなるほどその絶対値に対する低下後の絶対値の低下率を高くする規則で、色差係数を逆正規化する際の正規化分母値の絶対値を標準値よりも増大させる。色差係数fに対する低下率Fは、色差係数fよりも絶対値の小さい色差係数eに対する低下率Eよりも大きくなっている。
【0082】
図44は、前景用の色差正規化分母補正テーブルにおける補正前の色差係数と色差の正規化分母の補正値Q"との関係を示すグラフである。図示のように、前景における色差係数補正でも、色差係数の元の絶対値が大きくなるほど低下後の絶対値の低下率を高くする規則で、色差係数を逆正規化する際の正規化分母値の絶対値を標準値よりも増大させる。色差係数fに対する低下率F’は、色差係数fよりも絶対値の小さい色差係数eに対する低下率E’よりも大きくなっている。
【0083】
図45は、図43のグラフと図44のグラフとを重ねたものである。図示のように、同じ色差係数(例えばf)の場合には、背景における増加率(例えばF)の方が、前景における増加率(例えばF’)よりも大きくなっている。
【0084】
このような各係数補正テーブルを用いることで、前景データに対し、前景画像の色合いを背画像よりも低い度合いで薄くすることができる。
【0085】
LL、HL、LH、HHという4種類の係数のうち、全係数に対するLL係数の割合は非常に小さい。例えば、階層数が2階層である場合、全係数(1HL、1LH、1HH、2HL、2LH、2HH、及び2LL)に対する2LLの割合は、1/16である。N階層では1/2(N×2)である。第2実施例に係るプリンタにおいては、このように少ない数であるLLの係数だけに対して薄色化処理を施すことで、全ての係数に対して薄色化処理を施す場合に比べて、処理時間を短縮することができる。
【0086】
なお、LLの係数だけに薄色化処理を施す例について説明したが、所定の階層数以上の係数だけに対して、薄色化処理を施してもよい。かかる構成においても、全ての係数に対して薄色化処理を施す場合に比べて、処理時間を短縮することができる。
【0087】
これまで、プリンタ内に搭載される画像データ処理装置や、これを備えるプリンタに本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明をソフトウエア用のプログラムや、ソフトウエアを記録した光ディスク等の記録媒体に適用することも可能である。具体的には、記録媒体に記録されている画像データの電子ファイルを読み込んだ結果に基づいて、画像をディスプレイに表示する画像ビュワーソフトや、表示することに加えて更に画像を加工することも可能な画像編集ソフトにおける画像データ処理手段として、コンピュータを機能させるプログラムや、これを記録した記録媒体である。デフォルトの状態では、JPM等の構造化画像データをそのままディスプレイに再現し、再現した画像のPDLをプリンタに出力する際に、色材セーブモードが選択されている場合に、その画像に対応するPDLをそのまま出力するのではなく、薄色化処理を行った画像を再現し直す。そして、再現し直した画像に対応するPDLをプリンタに出力する構成のソフトウエアのプログラムである。
【0088】
図46は、実施形態に係るプログラムによって起動する画像編集ソフトによる画面表示の第1例を示す模式図である。この画像編集ソフトは、JPM画像データファイルを読み込むと、図示のように、JPMに基づいて、前景と、マスクと、背景と、合成画像とを並べて表示する。初期状態では、前景及び背景に対して何れも薄色化処理を施さない状態で、前景画像、背景画像、及び合成画像を表示する。前景画像の下や、背景画像の下には、図示のように、トナーセーブモード切替ボタンが表示されている。初期状態では、トナーセーブモードがOFFになっているので、何れもトナーセーブモード切替ブタンにおいても、「OFF」という文字が表示されている。
【0089】
前景画像の下に配設されたトナーセーブモード切替ボタンに対してクリック操作がなされると、図47に示されるように、そのトナーセーブモード切替ボタンの文字表示が「OFF」から「ON」に切り替わる。同時に、前景データに対して薄色化処理が施されて、薄色化された状態の前景画像が表示される。更には、合成画像の前景である「バス」という文字も薄色化された状態で表示される。
【0090】
その後、背景画像の下に配設されたトナーセーブモード切替ボタンに対してクリック操作がなされると、図48に示されるように、そのトナーセーブモード切替ボタンの文字表示が「OFF」から「ON」に切り替わる。同時に、背景データに対して薄色化処理が施されて、薄色化された状態の背景画像が表示される。更には、合成画像の背景も薄色化された状態で表示される。
【0091】
この状態で、図49に示されるように、ファイル→印刷という順でクリック操作がなされると、前景及び背景がともに薄色化された状態の合成画像を形成するためのPDLデータが画像編集ソフトから複合機に向けて出力される。
【0092】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、背景画像を表現する背景データと、背景の前に位置する前景の大まかな色及び形を示す画像である前景画像を表現する前景データと、前景画像の全域のうち、どの領域を背景画像に重ねるのかを示すマスク画像を表現するマスクデータとを具備するJPM等の構造化画像データにおける背景データに対し、背景画像の色合いを薄くするための背景薄色化処理を施す画像データ処理装置であって、前記前景データに対し、前景画像の色合いを前記背画像よりも低い度合いで薄くするための前景薄色化処理を施すことを特徴とする。かかる構成においては、前景画像の色合いを背景画像よりも低い度合いで薄くすることで、前景画像を背景画像よりも目立たせつつ、画像全体における前景の箇所を形成する際の色材使用量を低減する。これにより、前景の面積率が比較的高い画像であっても、プリントの際のトナー消費量を有効に低減することができる。
【0093】
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、背景データに対して背景画像の輝度を増加させるための処理を施すことで背景画像の色合いを薄くし、且つ、前景データに対して前景画像の輝度を増加させるための処理を施すことで前景画像の色合いを薄くすることを特徴とする。かかる構成では、輝度の増加に伴う薄色化によって画像を形成する際の色材消費量を低減することができる。
【0094】
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、背景データに対し、背景画像の輝度を増加させるための処理と、背景画像の色差を低下させるための処理とを施すことで背景画像の色合いを薄くし、且つ、前景データに対し、前景画像の輝度を増加させるための処理と、前景画像の色差を低下させるための処理とを施すことで前景画像の色合いを薄くすることを特徴とする。かかる構成では、輝度の増加に伴う薄色化と、色差の低下に伴う薄色化との両方の作用により、画像を形成する際の色材消費量を低減することができる。
【0095】
[態様D]
態様Dは、態様Cにおいて、背景薄色化処理及び前記前景薄色化処理でそれぞれ、元の輝度の値が低くなるにつれてその値に対する増加後の値の増加率を高くし、且つ、元の色差の値が大きくなるにつれてその値に対する低下後の値の低下率を高くする。かかる構成では、背景全体や前景全体で輝度の均一化を図りつつ、背景全体や前景全体で色差の均一化を図ることができる。
【0096】
[態様E]
態様Eは、態様Dにおいて、画素データにおける輝度値を増加させることで背景画像や前景画像の輝度を増加させることを特徴とする。かかる構成では、離散ウェーブレット逆変換処理後の各画素データに対してデータ処理を施して、背景画像や前景画像の色合いを薄くすることができる。
【0097】
[態様F]
態様Fは、態様Dにおいて、背景データや前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた複数の色係数列のうち、最も低い周波数帯域(例えばLL)に対応する色係数列についてだけ、輝度係数を増加させるための処理を実施し、且つ前記処理で、輝度係数の元の値がプラス側に大きくなるほど前記値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で輝度係数を増加させることを特徴とする。かかる構成では、離散ウェーブレット逆変換処理が施される前のデータに対してデータ処理を施して、背景画像や前景画像の色合いを薄くすることができる。更には、背景全体や前景全体で輝度の均一化を図ることができる。
【0098】
[態様G]
態様Gは、態様D又は態様Fにおいて、背景データや前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた正規化された複数の正規化色係数列のうち、最も低い周波数帯域(例えばLL)に対応する正規化色係数列についてだけ、輝度係数を増加させるための処理を実施し、且つ前記処理で、輝度係数の元の値がプラス側に大きくなるほどその値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で、輝度係数を逆正規化する際の正規化分母値を標準値よりも大きくすることを特徴とする。かかる構成では、離散ウェーブレット逆変換処理が施される前のデータに対してデータ処理を施して、背景画像や前景画像の色合いを薄くすることができる。更には、背景全体や前景全体で輝度の均一化を図ることができる。
【0099】
[態様H]
態様Hは、態様D、態様F又は態様Gにおいて、背景データや前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた複数の色係数列を具備する係数列組(例えばLLサブバンド、HLサブバンド、LHサブバンド、HHサブバンド)、あるいは、離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた正規化された複数の正規化色係数列を具備する係数列組として、繰り返しの離散ウェーブレット変換処理によって得られた複数のもの、を有する画像データにおける所定階層以上(例えば3階層以上)の係数列組についてだけ、輝度を増加させるための処理を実施することを特徴とする。かかる構成では、全ての階層の係数列組に対して輝度を増加させるための処理を実施する場合に比べて、処理完了までの時間を短縮することができる。
【0100】
[態様I]
態様Iは、態様D、態様F又は態様Gにおいて、背景データや前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた複数の色係数列のうち、最も低い周波数帯域に対応する色係数列についてだけ、色差係数を低下させるための処理を実施し、且つ前記処理で、色差係数の元の絶対値が大きくなるほどその絶対値に対する低下後の絶対値の低下率を高くする規則で色差係数の絶対値を小さくすることを特徴とする。かかる構成では、全ての色系数列に対して色差係数を低下させるための処理を実施する場合に比べて、処理完了までに要する時間を短縮することができる。更には、背景全体や前景全体で色差の均一化を図ることができる。
【0101】
[態様J]
態様Jは、態様D、態様H又は態様Iにおいて、背景データや前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた正規化された複数の正規化色係数列のうち、最も低い周波数帯域に対応する正規化色係数列についてだけ、色差係数を低下させるための処理を実施し、且つ前記処理で、色差係数の元の絶対値が大きくなるほど前記絶対値に対する低下後の絶対値の低下率を高くする規則で、色差係数を逆正規化する際の正規化分母値の絶対値を標準値よりも増大させることを特徴とする。全ての正規化色系数列に対して色差係数を低下させるための処理を実施する場合に比べて、処理完了までに要する時間を短縮することができる。更には、背景全体や前景全体で色差の均一化を図ることができる。
【0102】
[態様K]
態様Kは、態様I又は態様Jにおいて、背景データや前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた複数の色係数列を具備する係数列組、あるいは、離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた正規化された複数の正規化色係数列を具備する係数列組として、繰り返しの離散ウェーブレット変換処理によって得られた複数のもの、を有する画像データにおける所定階層以上の係数列組についてだけ、色差係数を低下させるための処理を実施することを特徴とする。かかる構成では、全ての階層の係数列組に対して色差係数を低下させるための処理を実施する場合に比べて、処理完了までの時間を短縮することができる。
【0103】
[態様L]
態様Lは、態様A〜態様Kにおいて、背景薄色化処理と前景薄色化処理とのうち、背景薄色化処理だけを行う処理と、両方行う処理とを、ユーザーからの指示に基づいて切り替えて実施することを特徴とする。かかる構成では、背景及び前景の両方の色合いを薄くするモードと、背景だけを薄くするモードとのうち、ユーザーに対してユーザーの望む方を提供することができる。
【符号の説明】
【0104】
6Y,M,C,K:作像ユニット(作像手段)
111:LANポート(画像データ取得手段)
113:入力ポート(画像データ取得手段)
115:カードリーダー(構造化画像データ取得手段)
180:画像データ処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2007−235679号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景画像を表現する背景データと、背景の前に位置する前景の大まかな色及び形を示す画像である前景画像を表現する前景データと、前景画像の全域のうち、どの領域を背景画像に重ねるのかを示すマスク画像を表現するマスクデータとを具備する構造化画像データにおける背景データに対し、背景画像の色合いを薄くするための背景薄色化処理を施す画像データ処理装置であって、
前記前景データに対し、前景画像の色合いを前記背画像よりも低い度合いで薄くするための前景薄色化処理を施すことを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項2】
請求項1の画像データ処理装置であって、
前記背景データに対して背景画像の輝度を増加させるための処理を施すことで背景画像の色合いを薄くし、且つ、前記前景データに対して前景画像の輝度を増加させるための処理を施すことで前景画像の色合いを薄くすることを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項3】
請求項2の画像データ処理装置であって、
前記背景データに対し、背景画像の輝度を増加させるための処理と、背景画像の色差を低下させるための処理とを施すことで背景画像の色合いを薄くし、且つ、前記前景データに対し、前景画像の輝度を増加させるための処理と、前景画像の色差を低下させるための処理とを施すことで前景画像の色合いを薄くすることを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項4】
請求項3の画像データ処理装置であって、
前記背景薄色化処理及び前記前景薄色化処理でそれぞれ、元の輝度の値が低くなるにつれて前記値に対する増加後の値の増加率を高くし、且つ、元の色差の値が大きくなるにつれて前記値に対する低下後の値の低下率を高くすることを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項5】
請求項4の画像データ処理装置であって、
画素データにおける輝度値を増加させることで前記背景画像や前記前景画像の輝度を増加させることを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項6】
請求項4の画像データ処理装置であって、
前記背景データや前記前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた複数の色係数列のうち、最も低い周波数帯域に対応する色係数列についてだけ、輝度係数を増加させるための処理を実施し、且つ前記処理で、輝度係数の元の値がプラス側に大きくなるほど前記値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で輝度係数を増加させることを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項7】
請求項4又は6の画像データ処理装置であって、
前記背景データや前記前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた正規化された複数の正規化色係数列のうち、最も低い周波数帯域に対応する正規化色係数列についてだけ、輝度係数を増加させるための処理を実施し、且つ前記処理で、輝度係数の元の値がプラス側に大きくなるほど前記値に対する増加後の値の増加率を低くする規則で、輝度係数を逆正規化する際の正規化分母値を標準値よりも大きくすることを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項8】
請求項4、6又は7の画像データ処理装置であって、
前記背景データや前記前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた複数の色係数列を具備する係数列組、あるいは、離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた正規化された複数の正規化色係数列を具備する係数列組として、繰り返しの離散ウェーブレット変換処理によって得られた複数のもの、を有する画像データにおける所定階層以上の係数列組についてだけ、輝度を増加させるための処理を実施することを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項9】
請求項4、6又は8の画像データ処理装置であって、
前記背景データや前記前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた複数の色係数列のうち、最も低い周波数帯域に対応する色係数列についてだけ、色差係数を低下させるための処理を実施し、且つ前記処理で、色差係数の元の絶対値が大きくなるほど前記絶対値に対する低下後の絶対値の低下率を高くする規則で色差係数の絶対値を小さくすることを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項10】
請求項4、7又は8の画像データ処理装置であって、
前記背景データや前記前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた正規化された複数の正規化色係数列のうち、最も低い周波数帯域に対応する正規化色係数列についてだけ、色差係数を低下させるための処理を実施し、且つ前記処理で、色差係数の元の絶対値が大きくなるほど前記絶対値に対する低下後の絶対値の低下率を高くする規則で、色差係数を逆正規化する際の正規化分母値の絶対値を標準値よりも増大させることを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項11】
請求項9又は10の画像データ処理装置であって、
前記背景データや前記前景データに対する離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた複数の色係数列を具備する係数列組、あるいは、離散ウェーブレット変換処理によって複数の周波数帯域にそれぞれ個別に対応するように得られた正規化された複数の正規化色係数列を具備する係数列組として、繰り返しの離散ウェーブレット変換処理によって得られた複数のもの、を有する画像データにおける所定階層以上の係数列組についてだけ、色差係数を低下させるための処理を実施することを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかの画像データ処理装置であって、
前記背景薄色化処理と前記前景薄色化処理とのうち、前記背景薄色化処理だけを行う処理と、両方行う処理とを、ユーザーからの指示に基づいて切り替えて実施することを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項13】
構造化画像データを取得する構造化画像データ取得手段と、前記構造化画像データ取得手段によって取得された構造化画像データに対して所定の処理を施す画像データ処理手段と、前記構造化画像データ取得手段によって取得された構造化画像データに基づいて作像を行う作像手段とを備える画像形成装置において、
前記構造化画像データ処理手段として、請求項1乃至12の何れかの画像データ処理装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前景画像を表現する前景データと、前景画像の背後に位置する背景画像を表現する背景データと、前景画像のうち、どの領域を背景画像に重ねるのかを表すマスク画像を表現するマスクデータとを具備する構造化画像データにおける背景データに対し、背景画像の色合いを薄くするための背景薄色化処理を施す画像データ処理手段として、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記前景データに対し、前景画像の色合いを前記背景薄色化処理よりも低い度合いで薄くするための前景薄色化処理を施す画像データ処理手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
プログラムを機械読み取り可能に記録した記録媒体であって、
前記プログラムとして、請求項13のプログラムを記録していることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図22】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2013−21607(P2013−21607A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155057(P2011−155057)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】