説明

画像処理プログラム及び画像処理方法

【課題】モスキートノイズを効果的に低減する。
【解決手段】画像データを補正するコンピュータAを、画像データを構成する各画素の色値及び所定のエッジ情報にもとづいて前記画像データを複数の領域に分割する領域分割手段12、前記領域における各画素の色値にもとづき、前記領域の代表色Tを算出する領域代表点算出手段141、前記代表色Tの色相位置Ntにもとづき、前記領域における有効色相範囲RangeNと代表色相Nを求める位置パラメータ算出手段142、前記領域における対象画素の色相位置が前記有効色相範囲RangeNに含まれない場合に、前記対象画素の色相位置を前記代表色相Nに置き換える色補正を行う色相置換手段143、及び、前記色補正を行った後の各領域の画像を統合する領域統合手段15、として機能させる画像処理プログラムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮画像に係るノイズを低減することができる画像処理プログラム及び画像処理方法に関し、特に、エッジ部分に多く発生し、本来の色合いが変化することで生ずるモスキートノイズを効果的に低減することができる画像処理プログラム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
JPEG等の圧縮方式においては、量子化テーブル、サンプリング比など、いくつかのパラメータを設定することによって圧縮画像の画質や圧縮率を調整することができる。
一般に、画質を高める調整を行うと圧縮率は低くなり、また、圧縮率を高める調整を行うと画質が低下する。
ところで、画像データに圧縮処理を施した場合、本来の色合いが変化したモスキートノイズ(又は偽色)が、復号化した画像データの輪郭(エッジ)の近辺に発生することがある。
モスキートノイズの低減策として、従来、平滑化処理や中間調処理(誤差拡散処理)等の措置が採られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カラーエッジから取得した画像特徴量の値に応じて、先鋭度を強調し又は平滑化する補正の技術が開示されてある。
また、特許文献2には、画像をRGB色空間からYUV表色系の色空間に変換し、色差信号U,Vに作用して色補間の際に発生する偽色を減少させるためのメディアンフィルタに関する技術が開示されてある。
さらに、特許文献3には、文字領域や網点領域などの領域に分割した後、それぞれの画質レベルを量子化係数で判断して処理すべきフィルタを切り替える技術が開示されてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4099936号公報
【特許文献2】特開2000−217123号公報
【特許文献3】特開2010−166448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、ひとつの画像データとして、特徴量を算出して補正の種類を決定するようにしているので、全体として偏った補正が行われる場合があった。このため、補正後の画像が全体として不自然に再現される問題を生じていた。
また、特許文献1の技術によれば、平坦部は滑らかになるように平滑化を行い、エッジ部にはシャープになるように鮮鋭化を強調するといった補正の場合分けを行うようにしているため、エッジ部の補正に伴って平坦部のノイズが強調される弊害を防ぐことはできても、エッジ部分に発生するモスキートノイズの発生を抑えることはできなかった。
また、特許文献2の技術においては、モスキートノイズのような孤立点に対しメディアンフィルタでは色味を改善することはできない。
すなわち、メディアンフィルタでは、フィルタ領域内は、領域の代表値で全て置き換えられる。モスキートノイズが発生する孤立点においては、画像では同じ色に見える色でも、一定の範囲を持った色から構成されていることが多い。したがって、係る領域部分を代表値で置き換えることは、必要な色情報ですら落とすことになるからである。
また、特許文献3によれば、文字の周りに発生するモスキートノイズについては、低濃度側文字領域に対して平滑処理を施すことでノイズを除去することができるとしてあるが、この方法では、モスキートノイズによる色味の変化を単にぼかすだけで、根本的な解消には至らない問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、画像の色値及びエッジ情報にもとづき分割した領域ごとに代表色を定め、領域ごとに、対象画素の色相位置が代表色の色相位置からかけ離れている場合には、その対象画素の色相位置を代表色の色相位置に置き換える補正を行うことによってモスキートノイズを効果的に低減することができる画像処理プログラム及び画像処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像処理プログラムは、画像データを補正するコンピュータを、画像データを構成する各画素の色値及び所定のエッジ情報にもとづいて前記画像データを複数の領域に分割する領域分割手段、前記領域における各画素の色値にもとづき、前記領域の代表色を算出する領域代表点算出手段、前記代表色の色相位置にもとづき、前記領域における有効色相範囲と代表色相を求める位置パラメータ算出手段、前記領域における対象画素の色相位置が前記有効色相範囲に含まれない場合に、前記対象画素の色相位置を前記代表色相に置き換える色補正を行う色相置換手段、及び、前記色補正を行った後の各領域の画像を統合する領域統合手段、として機能させるようにしてある。
【0008】
また、本発明の画像処理方法は、画像データを補正するための画像処理方法であって、画像データを構成する各画素の色値及び所定のエッジ情報にもとづいて前記画像データを複数の領域に分割するステップと、前記領域における各画素の色値にもとづき、前記領域の代表色を算出するステップと、前記代表色の色相位置にもとづき、前記領域における有効色相範囲と代表色相を求めるステップと、前記領域における対象画素の色相位置が前記有効色相範囲に含まれない場合に、前記対象画素の色相位置を前記代表色相に置き換える色補正を行うステップと、前記色補正を行った後の各領域の画像を統合するステップと、を有する方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像処理プログラム及び画像処理方法によれば、モスキートノイズを効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の画像処理プログラムを実行するホストコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図2】RGB−CMYKからなる三次元の直交座標系の色空間を表した模式図である。
【図3】図2に示す色空間を明度軸(W−K)方向の視点にもとづき形成した色相環の模式図であり、エリアごとのに割り振られたindexを説明するための図である。
【図4】対象画素の色値(r、g、b)に対し、その色相位置と、彩度ピークの色値とを対応付けたテーブルデータである。
【図5】index1に該当する代表値Tの彩度ピーク点Ptとその色相位置Ntを図示したものである。
【図6】色相環を等分することによって、代表色相Nと有効色相範囲RangeNとを模式的に表した図である。
【図7】有効色相範囲と代表色相とを対応付けたテーブルデータである。
【図8】任意の画素に係る点Qがindex1に属する場合の色相面を表した模式図である。
【図9】本実施形態に係る画像処理方法の全体手順を示すメインフローチャートである。
【図10】領域ごとの補正処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(画像処理プログラム)
まず、本発明の画像処理プログラムについて説明する。具体的には、この画像処理プログラムを実行するホストコンピュータの構成にもとづいてプログラムの機能を説明する。
図1は、本発明の画像処理プログラムを実行するホストコンピュータAの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るホストコンピュータAは、USBインタフェースやネットワークを介して取得し又は自ら生成した画像データを非図示の外部インタフェースからプリンター等の外部装置に出力することができる。
特に、ホストコンピュータAの制御部10は、いわゆるプリンタドライバとして、入力した画像データの色値を補正する画像処理プログラムを有し、この画像処理プログラムを実行することによって、画像のエッジ部分に発生するモスキートノイズを軽減したうえでその画像データをプリンター等に出力することができる。
【0012】
ここで、制御部10は、非図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。ROMには、制御部10を、後述する各機能を動作するための画像処理プログラムが記憶されている。すなわち、CPUは、この画像処理プログラムをROMから読み出し、読み出された画像処理プログラムを実行することにより、制御部10を、画像読込機能、領域分割機能、領域切出機能、領域ごとの色補正機能、及び、領域統合機能として動作させることができる。RAMは、CPUがこの画像処理プログラムを実行する際の作業用メモリとして用いられる。
【0013】
制御部10は、図1に示すように、画像読込手段11、領域分割手段12、領域切出手段13、領域ごとの色補正手段14、及び、領域統合手段15を、各機能ブロックとして備える
【0014】
画像読込手段11は、取得又は生成した対象画像から色値を読み込む処理を行う。
これにより、対象画像を構成する全画素の色値を取得することができる。
【0015】
領域分割手段12は、対象画像を構成する各画素の色値及びエッジ情報にもとづき対象画像を複数の領域に分割する。例えば、周波数成分等にもとづきエッジ判定を行いつつ、色値の近似性や連続性を考慮し、同一又は近似する色あいからなる分割領域を得ることができる。
より具体的には、対象画像を、色値の差異やエッジの有無を基準にして小領域に分割し、各小領域にラベリング処理を施したうえで、相互に近接する小領域で色値が近似する小領域を統合することによって、複数の分割領域を識別可能に取得することができる。
なお、予め対象画像に平滑化処理を施した上で分割処理を行うようにしてもよい。このようにすると、分割前の原画像から一定のノイズを除去することができ、精度良く分割処理を行うことができる。
領域切出手段13は、分割領域ごとに画像データを切り出す処理を行う。色合いが近似する画素からなる分割画像ごとに後述の色補正を行うことで、各分割画像のエッジ部分に発生するモスキートノイズを低減するためである。
【0016】
領域ごとの色補正手段14は、各分割領域の画像データについて補正を行う。
領域ごとの色補正手段14は、図1に示すように、領域代表点算出手段141と、位置パラメータ算出手段142と、色相置換手段143と、平滑化手段144とを備える。
【0017】
領域代表点算出手段11は、切り出した分割領域ごとに画像データを抽出し、抽出した分割領域の代表値(代表色)Tを求める。例えば、その分割領域の画像データを構成する各画素の色値につき中間項平均を用いて代表値Tを求める。
【0018】
位置パラメータ算出手段142は、代表値Tに係る色相において彩度がピークとなる点Ptの色値と、代表値Tの色相位置Ntを求める。
例えば、色相を6つのエリアに区分し、各区分にindexを割り振る。具体的には、図2に示すRGB−CMYKからなる三次元の直交座標系の色空間において、R−Y−G−C−B−M−Rの辺ごとにindexを設定する。
図3は、図2に示す色空間を明度軸(W−K)方向の視点にもとづき形成した色相環の模式図であり、エリアごとのに割り振られたindexを説明するための図である。
すなわち、図3に示すように、色相全体を、R〜Yをindex1、Y〜Gをindex2、G〜Cをindex3、C〜Bをindex4、B〜Mをindex5、M〜Rをindex6として区分する。
【0019】
図4は、対象画素の色値(r、g、b)に対し、その色相位置と、彩度ピークの色値とを対応付けたテーブルデータである。
このテーブルデータを参照することで、対象画素に係る色相位置を認識することができ、また、その彩度ピークの色値を求めることができる。
例えば、代表値Tの色値(r、g、b)が、b≦g<rの関係にある場合、つまり、R〜Yに含まれる場合(index1に該当する場合)、代表値Tの色相位置Ntは(g-b)/(r-b)であり、代表値Tの彩度ピーク点における色値は、(r,g,b)=(1,(g-b)/(r-b),0)であることを、このテーブルデータから導き出すことができる。
また、このテーブルデータは、補正対象となり得る任意の対象画素に係る色相位置Nrとその彩度ピーク点の色値を求める際にも参照することができる。
【0020】
図5は、index1に該当する代表値Tの彩度ピーク点Ptとその色相位置Ntを図示したものである。
図5に示すように、代表値T(色値=(r,g,b))がindex1に属する場合の色相位置Ntは(g-b)/(r-b)となる(図4参照)。
また、位置パラメータ算出手段142は、代表値Tの色相位置Ntにもとづき有効色相範囲RangeNを求め、この有効色相範囲RangeNにもとづいて補正時に用いる代表色相Nを求める。
【0021】
図6は、色相環を等分することによって、代表色相Nと有効色相範囲RangeNとを模式的に表した図である。ここでは、色相全体を48等分にしている。
また、図7は、有効色相範囲と代表色相とを対応付けたテーブルデータである。ここでは、2等分区間を有効色相範囲RangeNの一単位としている。
すなわち、一定の色相区間ごとに有効な色相範囲と代表色相Nとを定義したものであり、これらを参照することにより、任意の分割領域の代表値Tに対応した有効色相範囲RangeNとその代表色相Nを求めることができる。
【0022】
例えば、図4のテーブルデータにもとづき導出した代表値Tの色相位置Ntが、(7OR↑+1OY↑)/8≦Nt<(5OR↑+3OY↑)/8となる場合(つまり、範囲ID=2に該当する場合)、代表色相Nのベクトル値は、(6OR↑+2OY↑)/8となることを図7から導出することができる(OR↑、OY↑はベクトルOR、ベクトルOYを示す。以降、ベクトル値は「↑」で示す)。
また、この場合、有効色相範囲Nは、(7OR↑+1OY↑)/8≦N<(5OR↑+3OY↑)/8であることを図7から導出することができる。
なお、48等分に限らず、96等分その他、任意の数で等分することができる。等分数の増減により、有効色相範囲を広狭することができ、補正に係る処理負荷や精度を調整することができる。
【0023】
色相置換手段143は、任意の対象画素の色相位置Nrが、その分割領域における有効色相範囲RangeNの範囲外である場合に、対象画素の色相位置Nrを代表色相Nに置き換える。
このようにすると、分割領域において発生する偽色やモスキートノイズを効果的に削除することができる。
また、色相置換手段143は、対象画素の色相位置を代表色相Nに置き換えるとともに、その色値を補正する。
ここで、任意の対象画素の色値の補正方法について図8を参照しながら説明する。
なお、ここでは、対象画素に係る点Q(=(r,g,b))を、点Q’(=(r',g',b'))に補正するものとして、点Q’の色値(r',g',b')を求める方法について説明する。
【0024】
図8は、任意の対象画素に係る点Qがindex1に属する場合の色相面を表した模式図である。
図8に示すように、点Qは、△KWPからなる色相面上に存在する。
ここで、Kを原点とし、KP方向をx方向とし、KW方向をy方向とすると、点Q(=r,g,b)に係るベクトル値KQ↑は、KP↑に係るxパラメータ(=α)と、KW↑に係るyパラメータ(=β)と、彩度ピーク点Pにおける色値を用いた以下のベクトル式(1)によって求めることができる。
KQ↑=α・KP↑+β・KW↑ ・・・(1)
【0025】
点Qはindex1に含まれるので、P=(1,(g-b)/(r-b),0)となる(図4参照)。このため、式(1)は次式(2)のように表すことができる。
(r,g,b)=α(1,(g-b)/(r-b),0)+β(1,1,1)
=(α+β,α(g-b)/(r-b)+β,β) ・・・(2)
このため、β=b、α=r−bとなる。
【0026】
ところで、α、βは、色相面における点Qの明度・彩度の関係を示す指標であるため、この関係を維持しつつ補正を行う場合には、次式(3)が成り立つ。
Q’=α・KPt↑+β・KW↑
=(r−b)・KPt↑+b・KW↑ ・・・(3)
一般式は、次式(4)で表すことができる。
Q’=r',g',b'={max(r,g,b)-min(r,g,b)}・KPt↑+min(r,g,b)・KW↑・・・(4)
このようにすると、明度と彩度を維持しつつ色相を置換する色補正を行うことができ、補正後においても自然な色味を表現することができる。
なお、色相置換手段143は、対象画素の色相位置Nrが、この分割領域の有効色相範囲RangeNの範囲内である場合には、上述の色相の置換は行わず、補正も行わない。
【0027】
平滑化手段144は、補正を行った後の画像データに対して既知の平滑化フィルタを用いて平滑化処理を行う。これにより、色相を置換した画素の色値が周辺画素との関係において不自然に表示されることを効果的に防ぐことができる。
また、平滑化手段144は、領域境界の画素に対しては代表色で補間しつつ平滑化処理を行う。
これは、分割により形成された領域の形状は単純な矩形でないことが多く、境界付近のデータを矩形形状の平滑化フィルタで走査した場合に、色値が存在しない周辺画素(境界外の画素)があるために適切に平滑化処理を施すことができないケースがあるからである。このため、境界部のように、一部に色値が存在しない境界外の周辺画素については代表値(代表色)Tで置き換えて平滑化処理を行うようにする。
また、メディアンフィルタのように、画像上は同じ色に見える色でも、一定の範囲を持った色から構成されている領域部分を代表値で置き換えることによって必要な色情報ですら落とすといった従来の問題は発生しない。
【0028】
図1に示すように、領域統合手段15は、領域切出手段13により切り出された各分割領域であって、分割領域ごとに色補正が行われた画像を統合して一つの画像にする。
これにより、制御部10における補正処理は終了する。
なお、補正処理後の画像データは、非図示の出力インタフェースに渡され、ネットワーク等を介して外部のプリンター等に出力することができる。
【0029】
(画像処理方法)
つぎに、本実施形態に係る画像処理方法について図面を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態に係る画像処理方法の全体手順を示すメインフローチャートである。
【0030】
図9に示すように、まず、対象画像の読込みを行う(S101)。具体的には、画像読込手段11が、対象画像を構成する全画素の色値を読み込んで取得する。
次に、対象画像を分割する(S102)。具体的には、領域分割手段12が、読み込んだ画像の色値にもとづきエッジ情報及び色領域の違いを利用して分割を行い、領域切出手段13が、分割領域ごとに画像データを切り出す処理を行う。
次いで、領域ごとの補正手段14が、分割したそれぞれの領域ごとの補正処理を行う(S103)。
そして、領域統合手段15が、各領域を統合して一つの画像にする(S104)。
【0031】
ここで、領域ごとの補正処理について図10を参照しながら説明する。
図10は、領域ごとの補正処理の手順を示すフローチャートである。
まず、領域代表点算出手段141が、領域分割された部分のカラー画像を抽出し(S201)、領域内の代表値(代表色)Tを算出する(S202)。
次に、位置パラメータ算出手段142が、代表値Tの彩度ピークの色値Ptと色相位置Ntを求め(S203)、この色相位置Ntより有効色相範囲RangeNと代表色相Nを求める(S204)。
【0032】
ここで、制御部10は、以降S206〜S210の処理を、領域内の全ての画素について処理する(S205)。また、この処理は、対象画像のすべての分割領域に対して行う。
まず、位置パラメータ算出手段142が、対象画素における色の色相位置とxyパラメータを求める(S206)。
対象画素の色相位置がRangeNの範囲内であるかどうかを判別する(S207)。
対象画素の色相位置がRangeNの範囲内でない場合(S207:YES)、その対象画素の色相位置を代表色相Nに置き換える(S208)。
xyパラメータと彩度ピークの色値Ptにもとづき、明度と彩度を保持できる新たなRGB値を求め、そのRGB値に色補正する(S209)。
色補正した画素をカウントする(S210)。
なお、対象画素の色相位置がRangeNの範囲である場合(S207:NO)、S208〜S210の置換及び補正に係る処理は行わない。
【0033】
平滑化手段144は、色補正した画素があるか否かを判別する(S211)。S210のカウント値が0か0以外かによって判別する。
色補正した画素がある場合(S211:YES)、画像領域全体を所定の平滑化フィルタを通して平滑化する処理をもって「領域ごとの補正処理(S103)」は終了する。
そして、この平滑化処理に際しては、領域境界に対し、代表色で補間しつつ平滑化処理を行う(S212)。このようにすると、色値が存在しない境界外を周辺画素として平滑化フィルタを適用する場合に、適切に平滑化処理を施すことができる。
なお、色補正した画素がない場合(S211:NO)、平滑化処理は施さず、「領域ごとの補正処理(S103)」は終了する。
【0034】
以上、本発明の実施形態に係る画像処理プログラム及び画像処理方法によれば、本来の色合いが変化することによって生じ、エッジ部分に発生するモスキートノイズや偽色を効果的に低減することができる。
【0035】
以上、本発明の画像処理プログラム及び画像処理方法について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明の画像処理プログラムは、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータにおいて実行されるものではなく、プリンター、コピー機、ファクシミリ装置、複合機などの画像形成装置における画像処理プログラムとして用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置や、プリンター、コピー機、ファクシミリ装置、複合機などの画像形成装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
A ホストコンピュータ
10 制御部
11 画像読込手段
12 領域分割手段
13 領域切出手段
14 領域ごとの色補正手段
141 領域代表点算出手段
142 位置パラメータ算出手段
143 色相置換手段
144 平滑化手段
15 領域統合手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを補正するコンピュータを、
画像データを構成する各画素の色値及び所定のエッジ情報にもとづいて前記画像データを複数の領域に分割する領域分割手段、
前記領域における各画素の色値にもとづき、前記領域の代表色を算出する領域代表点算出手段、
前記代表色の色相位置にもとづき、前記領域における有効色相範囲と代表色相を求める位置パラメータ算出手段、
前記領域における対象画素の色相位置が前記有効色相範囲に含まれない場合に、前記対象画素の色相位置を前記代表色相に置き換える色補正を行う色相置換手段、及び
前記色補正を行った後の各領域の画像を統合する領域統合手段、として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
前記色相置換手段を、
前記色補正を行うにあたり、当該色補正を行う前の前記対象画素に係る明度及び彩度を保持するように前記色補正を行う手段として機能させる請求項1記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記色補正を行った後の各領域の画像に対し所定の平滑化処理を行う平滑化手段として機能させるとともに、
前記領域統合手段を、
前記平滑化処理を行った後の各領域の画像を統合する手段として機能させる請求項1又は2記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記平滑化手段を、
注目画素の色値を、所定の平滑化フィルタによってその周辺画素の色値に応じて補正することで前記平滑化処理を行うにあたり、前記注目画素がその領域の境界部分に該当する場合に、その周辺画素の色値を前記代表色で補間させて前記平滑化処理を行う手段として機能させる請求項3記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
画像データを補正するための画像処理方法であって、
画像データを構成する各画素の色値及び所定のエッジ情報にもとづいて前記画像データを複数の領域に分割するステップと、
前記領域における各画素の色値にもとづき、前記領域の代表色を算出するステップと、
前記代表色の色相位置にもとづき、前記領域における有効色相範囲と代表色相を求めるステップと、
前記領域における対象画素の色相位置が前記有効色相範囲に含まれない場合に、前記対象画素の色相位置を前記代表色相に置き換える色補正を行うステップと、
前記色補正を行った後の各領域の画像を統合するステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−31000(P2013−31000A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165887(P2011−165887)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】