説明

画像処理装置、及び画像処理方法

【課題】 描画データにより、出力する用紙の属性が変更する必要がある場合、印刷設定に応じて出力する用紙を選択する画像処理装置を提供する。
【解決手段】 本発明の画像処理装置は、第1及び第2の描画データそれぞれに対し特色記録剤を用いて印刷をする際、特色記録剤を用いて得られる特色効果を指定し、第1の描画データ印刷時に指定された特色効果を実現するために必要な用紙の属性と、第2の描画データの印刷時に指定された特色効果を実現するために必要な用紙の属性を決定する。さらに、第1及び第2の描画データを1枚の出力用紙に印刷出力する印刷体裁に設定されると、第1及び第2の描画データを印刷出力するための出力用紙を、第1の描画データの印刷時に指定された特殊効果を実現する属性且つ第2の描画データの印刷時に指定された特殊効果を実現する属性を有する用紙に決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特色トナーを用いて記録媒体に画像を形成する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホストコンピュータから供給される描画データを取り込み、この描画データに基づいて画像処理を行う画像処理装置がある。画像処理方式としては、例えば電子写真方式がある。この電子写真方式を用いる画像処理装置では、帯電器で感光ドラムを帯電させ、画像データに応じた光で感光ドラム上に静電潜像を形成する。この静電潜像に対して現像器でトナーを付着させて現像し、可視像とする。次に、この現像されたトナー像を感光ドラムから用紙に転写し、熱や圧力で用紙上に定着する。
【0003】
こうした電子写真方式の画像処理装置において、プロセスカラーといわれる基本の記録剤の色であるCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)トナーを使用することに加えて、印刷される画像の一部または全部に、特色記録剤も使用する。この特色記録剤には、透明トナーがある。(特許文献1)。こうした透明トナーを用いて印刷された画像部分には、印刷表面の光の反射性能に変化が生じ、装飾効果を表現することが出来る。また、画像処理に用いる用紙の種類(紙種)と透明トナーを用いて印刷される描画データの組み合わせにより、これらの画像処理に用いられた用紙の表面において、透明トナーが用いられた部分に対して光沢感やつやけし感などの装飾効果が発揮できる。しかし、画像処理時に用いられた紙種により、ユーザが所望する装飾効果を十分実現できないことがある。そこで、ユーザにより指定された装飾効果およびユーザ優先事項(画質や速度)に応じて紙種や透明トナーの描画データを変更する提案がなされている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−251722号公報
【特許文献2】特開2010−091813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、印刷出力時に透明トナーを用いて装飾効果を表現するよう指定された用紙に対して更に印刷体裁(例えば両面印刷)を設定することが考えられる。印刷体裁を設定することで、透明トナーを用いて印刷を行うページが特定の用紙の裏面に配置することが起こりうる。
【0006】
ユーザ例えば、1枚目の用紙面上に光沢効果の指定されたオブジェクトが付与されていると、1枚目の用紙属性としては、光沢属性が必要となる。さらに、2枚目の用紙面上につやけし効果の指定されたオブジェクトが付与されていると、2枚目の用紙属性としては、マット属性が必要となる。このような文書データを印刷する場合は、1枚目は光沢紙、2枚目はマット紙を用いて印刷を行う。しかし、このような文書データに、両面印刷が選択されると、1枚目の用紙の裏に2枚目の描画内容が配置される。これにより、1枚目の用紙属性は表面が光沢属性であり、裏面がマット属性を持つ用紙を新たに用いて印刷する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明における画像処理装置は、入力された第1の描画データ及び第2の描画データそれぞれに対して特色記録剤を用いて印刷をする際に、該特色記録剤を用いて得られる特色効果を指定する指定手段と、前記第1の描画データの印刷出力時に、前記指定手段により指定された特色効果を実現するために必要な用紙の属性を決定する第1の出力用紙属性決定手段と、前記第2の描画データの印刷出力時に、前記指定手段により指定された特色効果を実現するために必要な用紙の属性を決定する第2の出力用紙属性決定手段と、前記第1の描画データと前記第2の描画データを1枚の出力用紙に印刷出力する印刷体裁に設定する設定手段と、前記設定手段により設定された印刷体裁にて、前記第1の描画データ及び前記第2の描画データを印刷出力するための出力用紙を、前記第1の出力用紙属性決定手段によって決定された属性且つ前記第2の出力用紙属性決定手段によって決定された属性を有する用紙にする決定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
印刷出力時に特色データも含む文書データおよび印刷体裁により、必要な用紙属性が変化する場合、印刷体裁および用紙の表面性を含む用紙属性を考慮しつつ、印刷出力する文書データの内容に従って用紙を選択する。これにより最終成果物である印刷出力物の印刷体裁に合わせて、ユーザが所望した出力結果(特色トナーによって指定された特色記録剤による特色効果を表現し、指定された印刷体裁で印刷された印刷出力物)が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ホストコンピュータとプリンタのハードウェア構成例を示す図である。
【図2】印刷制御システムのソフトウェアの構成例を示す図である。
【図3】メインウインドウのユーザインターフェースの例を示した図である。
【図4】印刷設定のユーザインターフェースの例を示した図である。
【図5】印刷体裁変更時の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】印刷体裁変更時の用紙属性決定処理手順を示したフローチャートである。
【図7】印刷実行時の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】印刷実行時の出力用紙の決定処理手順を示したフローチャートである。
【図9】文書データの例を示す図である。
【図10】プリンタ情報の例を示した図である。
【図11】本文データおよび片面印刷時の出力結果の例を示す図である。
【図12】両面印刷時の出力結果の例を示す図である。
【図13】両面印刷時の出力結果の例を示す図である。
【図14】2 in 1印刷時の出力結果の例を示す図である。
【図15】反転描画の設定を行うユーザインターフェースの例を示した図である。
【図16】給紙段の挿入を指示するユーザインターフェースの例を示した図である。
【図17】ネガポジ反転による、透明トナーの描画部分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また本実施例で説明されている特徴を組み合わせたものすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
また、特色記録剤には透明トナーを用いて以下を説明するが、この特色記録剤には、透明トナー以外にも、印刷用紙等の媒体、又はトナー等が積載された媒体上に光沢度を変更させるようなトナー、インク等であればよい。
例えば、透明トナーの他にも、淡トナーや透明インク等、他の特色記録剤を用いても構わない。
【0011】
また、また、透明トナーとは、透過性がある画像を付加する特徴を有する透明記録剤である。この透明トナーを用いて印刷が行われた領域は見えにくい。また、透明トナーを用いると、有色トナーのみ用いて行われた印刷とは異なった光沢感やつや感マット感等の特殊な質感を表現することができる。
この特殊な質感は、印刷出力時に用いる用紙との組み合わせによって異なる。この組み合わせについての詳細は後述する。
【0012】
<構成>
図1は、本実施例の印刷制御システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
ホストコンピュータ1はCPU(Central Processing Unit )11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、システムバス14、キーボードコントローラ15を備える。また、ホストコンピュータ1は、ディスプレイコントローラ16、ディスクコントローラ17、プリンタコントローラ18、キーボード19、ディスプレイ20、外部メモリ21を備える。CPU11は、ROM13に含まれるプログラム用ROM又は外部メモリ21に記憶された文書処理プログラム等に基づいて、文書処理と、該文書処理に基づく印刷処理の実行を制御する。ここで、文書処理とは、例えば、図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等が混在した文書の処理を示す。CPU11は、システムバス14に接続されている各デバイスを制御する。RAM12は、CPU11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0013】
ROM13は、プログラム用ROM、フォント用ROM、及びデータ用ROMを備える。ROM13内のプログラム用ROM、又は、外部メモリ21には、CPU11の制御プログラムであるオペレーティングシステム(OS)プログラム等が記憶されている。また、ROM13内のフォント用ROM、又は、外部メモリ11には、文書処理に用いられるフォントデータ等が記憶されている。更に、ROM13内のデータ用ROM、又は、外部メモリ11には、文書処理等を行う際に用いられる各種データが記憶されている。システムバス14には、CPU11、RAM12、ROM13、キーボードコントローラ15、ディスプレイコントローラ16、ディスクコントローラ17、プリンタコントローラ18が接続されている。
【0014】
キーボードコントローラ15は、キーボード19、又は図示を省略するポインティングデバイスからのキー入力を制御する。ディスプレイコントローラ16は、ディスプレイ20による表示を制御する。ディスクコントローラ17は、外部メモリ21とのアクセスを制御する。ここで、外部メモリ11として、例えばブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、プリンタ制御コマンド生成プログラム等を記憶するハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクが用いられる。プリンタコントローラ18は、ネットワーク7を介して、プリンタ3に接続されており、プリンタ3との通信制御処理を実行する。なお、CPU11は、ディスプレイ10上の図示を省略するマウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて、予め登録された種々のウィンドウを開き、種々のデータ処理を実行する。ユーザは、印刷を実行する際に、印刷の設定に関するウィンドウを開き、プリンタの設定や、印刷モードの選択等、印刷処理方法における設定を行うことができる。
【0015】
画像処理装置としてのプリンタ3は、CPU31、RAM32、ROM33、システムバス34、入出力部35、印刷部インターフェース36、メモリコントローラ37、印刷部38、操作部39、外部メモリ40を備える。CPU31は、プリンタ3全体を制御する。CPU31は、ROM33又は外部メモリ40に記憶された制御プログラム等に基づいて、印刷部インターフェース36を介して、印刷部38に印刷出力情報としての画像信号を入力する。以下、印刷部38をプリンタエンジンとも記述する。
【0016】
RAM32は、CPU32の主メモリや、ワークエリア等として機能する。また、図示を省略する増設ポートに接続されるオプションRAMにより、メモリ容量を拡張することができる。なお、RAM32は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、NVRAM(Non Volatile Random Access Memory)等に用いられる。ROM33は、フォント用ROM、プログラム用ROM、データ用ROMを備える。ROM33のフォント用ROMには、印刷出力情報を生成する際に用いられるフォントデータ等が記憶されている。ROM33のプログラム用ROMには、CPU31の制御プログラム等が記憶されている。また、ハードディスク等の外部メモリ44がないプリンタの場合には、ROM33のデータ用ROMには、プリンタ3の動作処理で用いられる種々の情報等が記憶されている。
【0017】
システムバス34には、CPU31、RAM32、ROM33、入出力部35、印刷部インターフェース36、メモリコントローラ37、操作部39が接続されている。
【0018】
入出力部35は、ネットワークカード等である。CPU31は、入出力部35及びネットワーク7を介して、プリンタ3とホストコンピュータ1との間におけるデータの送受信を行う。これによって、プリンタ3内の情報等が、ホストコンピュータ1に通知される。印刷部インターフェース36は、CPU31と印刷部38との間のインターフェースである。メモリコントローラ37は、外部メモリ40へのアクセスを制御する。印刷部38は、CPU31から印刷部インターフェース36を介して入力された画像信号に基づいて画像を形成し、用紙に対して定着器を用いて定着させ、出力画像とする。
【0019】
操作部39は、ユーザの操作に応じた処理を行なう。操作部39は、例えば、操作パネルであって、ユーザによる操作のためのスイッチ、LED(Light Emitting Diode)表示器等を備える。また、本実施例において、プリンタ3が、図示を省略するNVRAMを備え、NVRAMが操作部22から入力されたプリンタモード設定情報を記憶するようにしてもよい。外部メモリ40は、ハードディスクやICカード等である。外部メモリ40は、オプションとして接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ等を記憶する。
【0020】
図2は、本実施例における印刷制御システムのソフトウェアの構成例を示す図である。ホストコンピュータ1は、アプリケーション101、グラフィックスエンジン102、プリンタドライバ103、システムスプーラ104を備える。アプリケーション101、グラフィックスエンジン102、プリンタドライバ103、システムスプーラ104は、図1に示す外部メモリ21に保存されたファイルとして存在する。これらは、実行される場合にOSやそのモジュールを利用するモジュールによってRAM12にロードされて実行されるプログラムモジュールである。また、アプリケーション101及びプリンタドライバ103は、外部メモリ21のフロッピー(登録商標)ディスク、図示を省略するCD−ROM、又は図示を省略するネットワークを経由して、外部メモリ21のハードディスクに追加することが可能となっている。
【0021】
アプリケーション101は、ホストコンピュータ1のディスプレイ20上に表示される。グラフィックユーザインターフェース(GUI)部111は、キーボード/マウスなどの入力デバイスからの入力を受け付ける。入力制御部112は、ユーザのキーボード19の操作を、GUI部111を通して検知して、操作に応じて文書の編集、ファイルの保存などを指示する。文書編集部113は、入力制御部112の編集指示に従い、アプリケーション101で編集中の文書データに対して各種編集処理を制御する。保存更新部114は、入力制御部112の編集指示に従い、文書データおよびプリンタ情報の保存・更新を指示する。データ解析部115は、文書編集部113の制御に応じて、文書データおよびプリンタ情報を解析して、透明トナー描画データを含む描画データを生成する。印刷出力部116は、文書編集部113の制御に応じて、アプリケーション101で編集中の文書データに対して印刷出力を行う。通信部117はネットワーク7を介して、プリンタ3との通信を行う。
【0022】
アプリケーション101は外部メモリ21に格納されている文書データをRAM12に読み込み、それを編集するための機能を利用者に提供する。文書データは、本文書処理システム独自のフォーマットであっても良いし、一般アプリケーションのデータファイルを独自のフォーマットに変換したものでもよい。文書データの例については、図9を用いて後述する。
【0023】
図3および図4は、アプリケーション101のGUI部111を示している。GUI部111は、メインウインドウ3000、印刷設定ダイアログ4000、反転描画設定ダイアログ5000から構成される。表示領域3001では文書データの内容を表示する。開くボタン3002を押下することで、編集する文書データを選択することが可能である。保存ボタン3003を押下することで編集中の文書データの保存を行う。印刷ボタン3004を押下することで、編集中の文書データの印刷を実行する。印刷設定ボタン3005を押下することで印刷設定ダイアログ4000を表示する。印刷設定ダイアログ4000では両面印刷や製本印刷の設定や用紙サイズの設定などを行うことが可能である。印刷設定ダイアログにてOKボタンが押下されることで印刷設定の変更が開始される。印刷設定変更時の処理の詳細については図5および図6のフローチャートを用いて後述する。特色効果3006は、透明トナーを載せることで表現できる特色効果を設定することが可能であり、光沢及びつやけしが少なくとも存在する。3007は透明トナーを載せる箇所を決めるアノテーション形式のスタンプのオブジェクトがあり、ユーザのキーボード19の操作などによって設定することができる。例えば、3008や3009といった任意の位置に、スタンプのオブジェクトを載せることができる。なお、透明トナーを載せる設定はスタンプのような点在させる設定に限らず、全面を装飾するようなテンプレートが用意されていてもよい。
【0024】
反転描画設定ダイアログ5000は、メインウインドウ3000の不図示のコントロール(例えばメニューアイテム)を選択することで表示される。(この反転描画ダイアログ5000については、図15を用いて後述する。)反転描画設定ダイアログ5000では、透明トナーを用いて印刷するように指示されていた部分には、透明トナーを用いず印刷をするよう設定する。一方、透明トナーを用いないで印刷するように指示されていた部分には、透明トナーを用いて印刷するよう、データを反転する反転描画設定を行うことが可能である。なお、反転描画とは図17に示すように、透明トナーで描画するように指定された部分と、描画しないように指定された部分を反転することを示す。(以降ネガポジ反転とする)1701では、オブジェクト1703以外の部分に透明トナーが描画されることを示している。これをネガポジ反転すると1702のように、オブジェクト1704のみに透明トナーが描画されるようになる。
【0025】
ネガポジ反転について設定する際には、図15に記載の反転描画モード5001〜5004のいずれかを選択することが可能である。
5001が選択されているときには、ネガポジ反転を行わない。
5002が選択されているときは、最適な用紙が存在するときはネガポジ反転を行わない。5003が選択されているときには、ネガポジ反転を行うことで、用紙の切り替えが発生しないときには、反転描画を行う。
5004が選択されているときには、ネガポジ反転を行うことで、消費する透明トナーの量が減少するときにはネガポジ反転を行う。
なお、本設定値については、アプリケーション101の設定ファイルとして外部メモリ21に保持する。また、参照時には、RAM12にロードされる。設定は予めユーザが決定してもよい。
【0026】
グラフィックスエンジン102も、アプリケーションと同様にRAM12にロードされて実行される。プリンタドライバ103は、アプリケーション101の出力を、印刷出力を実行するプリンタの制御コマンドに変換する。この制御コマンドは、グラフィックスエンジン102が生成した印刷データの印刷出力を指示するコマンドである。プリンタドライバ103は、ホストコンピュータ1とネットワーク7を介して接続されたプリンタ毎に用意されており、外部メモリ11からRAM2にロードされて実行される。システムスプーラ104は、プリンタドライバ103によって変換されたプリンタ制御コマンドを、ネットワーク7を介して、印刷出力を実行するプリンタへ出力する。このプリンタ制御コマンドを受けたプリンタが、印刷出力を実行する。システムスプーラ104も図2に示すRAM12にロードされて実行される。
【0027】
プリンタ3は、用紙情報作成部301、用紙情報応答部302、用紙情報303を備える。用紙情報作成部301は、用紙情報を作成し、作成した用紙情報を用紙情報303に蓄積する。用紙情報には少なくともプリンタ3が備える給紙段にセットされている用紙の表および裏の表面の性質(以下、表面属性と呼ぶ)を含む。各給紙段のプリンタ情報応答部302は、ホストコンピュータ1の通信部117からプリンタ情報の取得要求を受けて、プリンタ情報を通信部117に送信する。送信するプリンタ情報としては、少なくとも用紙情報303の情報を含む。
【0028】
本実施例の印刷制御方法は、図2に示す印刷制御システムが備える、ホストコンピュータ1の動作によって実現される。
【0029】
<データ構造>
図9は、文書データの例を示したものである。前述したように文書データは、外部メモリ21に格納されており、アプリケーション101によりRAM12に読み込まれる。文書データは、アプリケーション本文データ901はドキュメントを構成する(論理)ページおよび描画内容が格納される。ここでいう論理ページとは、出力用紙に対して面付けを行う前の本文データ901で1ページ分として設定されたページである。また物理ページとは実際に出力用紙に対して、面付けを行った後の1つの面にのる物理的なページのことを言う。印刷体裁情報902は、印刷設定ダイアログ4000にて選択された印刷設定情報および、印刷設定に従った各論理ページの配置に関するページ配置情報が格納される。
たとえば、4論理ページが存在する文書データに対して印刷設定情報として2 in 1及び、両面印刷が指定されている場合があるとする。
【0030】
この場合には、出力用紙の物理1ページ目(表面)に対して論理1,2ページ目が配置され、出力用紙の物理2ページ目(裏面)に対して論理3,4ページ目が配置されるという情報が少なくとも存在する。特色効果情報903は、特色効果3006により設定された特色効果の付与されているオブジェクトに関する情報である。たとえば、特色効果が設定されているオブジェクトが載っている論理ページ番号、オブジェクトの描画データ(座標)、特色効果(光沢またはつやけし)が少なくとも存在する。出力用紙属性904は、文書データの各物理ページの印刷時に必要な用紙属性が格納されている。透明トナー描画データ905には文書データにおける各物理ページを印刷する際に、透明トナーを用いて描画する内容が格納されている。
【0031】
図10はプリンタ情報の例を示したものである。プリンタ情報1000は、印刷出力部116が現在、印刷対象としている1つのプリンタの情報を保持してもよいし、ネットワーク上の複数のプリンタに対するそれぞれのプリンタ情報を保持してもよい。プリンタ名1001はプリンタの名称である。アドレス1002は、ネットワーク7におけるプリンタのアドレスになる。1003〜1005、1006〜1008、1019〜1011は給紙段情報であり、プリンタに存在する給紙段にセットされている用紙の情報が格納されている。これらの用紙の属性は、通信部117が任意のタイミングで取得し、少なくとも印刷実行前に取得し格納する。各給紙段情報は1004や1005のように用紙の表の属性および裏の属性を少なくとも保持している。例えば、図10では、給紙段Bには表が光沢、裏がマットの属性を持つ用紙がセットされていることになる。
【0032】
<印刷設定変更時の動作>
図5は、印刷設定変更時の処理フローの例を示す図である。
なお、本実施例では印刷設定変更時の動作として記載してあるが、文書データへのページの追加や特色効果の変更など印刷による最終成果物が変化するときには同様の処理フローを適用することが可能である。ホストコンピュータ1のアプリケーション101にてGUI部111の印刷設定ダイアログ4000にて、印刷設定の変更が行われると、アプリケーション101は印刷設定の変更処理フローを開始する。ステップS501では、文書編集部113は印刷体裁情報902を作成する。ステップS502ではデータ解析部115は、印刷体裁情報902を参照し、印刷体裁情報取得を行う。そして、処理を行っていない先頭の物理ページを1ページ取得する。続いてステップS503にて、データ解析部115は、物理ページの用紙属性(出力用紙の表の用紙属性)の決定および透明トナーを用いて印刷を行う透明トナー描画データを生成する。なお、ステップS503の処理の詳細は図6を用いて後述する。ステップS504では、データ解析部115が印刷体裁情報902を参照し、ステップS501で取得した物理ページの裏面に配置される物理ページが存在するかを確認する。確認した結果、物理ページの裏面に配置される物理ページが存在する場合には、ステップS505に進む。物理ページの裏面に配置される物理ページが存在しない場合には、ステップS507へ進む。ステップS505では、データ解析部115が印刷体裁情報902を参照し、ステップS501で取得した物理ページの裏面の物理ページを1ページ取得する。続いてステップS506にて、データ解析部115が物理ページの用紙属性(出力用紙の裏の用紙属性)の決定および透明トナー描画データを生成する。ステップS506の処理はステップS503と同様である。ステップS507では、文書編集部113は、ステップS502およびステップS505で取得した物理ページが含まれる出力用紙の最適用紙を決定し、出力用紙属性決定を行う。この結果を出力用紙属性904に格納する。決定される最適用紙は、ステップS503で決定した用紙属性を表面に持ち、ステップS506で決定した用紙属性を裏面に持つ用紙となる。物理ページ上に存在するステップS508では、データ解析部115は、全物理ページの処理が完了したかを確認し、完了していない場合はステップS502へ進み、完了している場合は処理を終了する。本処理フローの適用により、指定された印刷設定および特色トナーによる効果を十分に満たす最適な用紙属性を有する出力用紙が自動的に選択され、それに合わせた透明トナー描画データを作成することが可能となる。
【0033】
図6は、図5のステップS503およびS506の処理の詳細を示すフローの例を示す図である。なお、図6の各ステップはデータ解析部115が行う。ステップS601では、印刷体裁情報902を参照し、ステップS502(もしくはS505)で取得した物理ページに含まれる論理ページを1ページ取得する。ステップS602では、特色効果情報903を参照し、ステップS601で取得した論理ページ内に含まれる特色効果を取得する。ステップS603では、S602で取得した特色効果を実現するための用紙属性を決定する。ステップS604では決定した用紙属性をもとに、論理ページの透明トナー描画データ905を生成する。ステップS605では、物理ページ内の論理ページの処理がすべて完了したか否かを判定し、完了していない場合はステップS601へ進み、完了している場合にはステップS606に進む。ステップS606では、S603で決定した論理ページの用紙属性をもとに物理ページの用紙属性を決定する。ここでは、先頭の論理ページにあわせた用紙属性を物理ページの用紙属性としてもよいし、最も多い論理ページの用紙属性を物理ページの用紙属性としてもよい。つまり、印刷体裁が2in1である場合、論理ページ1ページ目の用紙属性と、論理ページ2ページ目の用紙属性が異なる場合、物理ページの用紙属性を論理ページ1ページ目の用紙属性としてもよい。ステップS607では、用紙属性を決定した物理ページに含まれる論理ページを再度取得する。ステップS608では、ステップS603で決定した論理ページの属性とステップS608で決定した物理ページ用紙属性とが等しいかを判定する。これらが等しい場合にはステップS610に進み、等しくない場合には、ステップS609に進む。ステップS609では、論理ページの透明トナー描画データ905をネガポジ反転する。ステップS610では全論理ページが終了したか否かを判定し、終了していない場合にはステップS607に進み、終了している場合には処理を終了する。
【0034】
<印刷実行時の動作>
図7は、印刷時の処理フローの例を示す図である。ホストコンピュータ1のアプリケーション101にてGUI部111のメインウインドウ3000にて、印刷ボタン3004が押下されると、アプリケーション101は印刷実行時の処理フローを開始する。
【0035】
ステップS701では、通信部117はネットワーク7を介して、用紙情報303を取得し、プリンタ情報1000に格納する。ステップS702では、データ解析部115は、文書データ900を参照し、出力用紙属性904を取得する。ステップS703では、データ解析部115は、文書データ900を参照し、印刷出力用紙枚数nを算出し、現在の処理対象用紙番号としてi=1とする。ステップS704では、出力用紙属性904を参照し、未処理の先頭最適用紙(i枚目の用紙)属性を取得する。ステップS705では、データ解析部115は、i枚目の出力用紙の決定とi枚目の透明トナー描画データの作成を行う。ステップS705の処理の詳細は図8を用いて後述する。ステップS706では、印刷出力部116は、グラフィックエンジン102を介して、プリンタドライバ103にi枚目の出力用紙の設定を行う。具体的には、ステップS705で決定された用紙を保持する給紙段を設定する。続いてステップS707では、i枚目に存在する本文データに対する本文描画データおよび透明トナーを用いて印刷を行うために必要な描画データを、グラフィックエンジン102を介して、プリンタドライバ103に送信する。本文描画データおよび透明トナー描画データを受信したプリンタドライバ103は、印刷出力を実行するプリンタの制御コマンドに変換し、システムスプーラ104を介してプリンタ3に送信する。プリンタの制御コマンドを受信したプリンタ3は制御コマンドに従って印刷出力を行う。ステップS708では、データ解析部115は、全てのページ(用紙)が送信完了しているかの判定を行い、完了していなければ、ステップS709に進み、完了していれば印刷処理を終了する。ステップS709は、処理対象とする用紙番号であるiにi+1を代入する。(処理対象の用紙を次の用紙にする)
【0036】
図8は、図7のステップS705における処理の詳細フローの例を示す図である。
なお、図8の各ステップはデータ解析部115が行う。ステップS801では、反転描画設定ダイアログ5000にて、設定されている反転描画設定を参照し、現在の反転描画のモードを判定する。反転描画モードが反転描画不可(5001)または、最適な用紙を優先(5002)のときは、ステップS807に進む。反転描画モードが用紙切り替え優先(5003)のときは、ステップS802に進む。反転描画モードが透明トナー使用量優先(5004)のときは、ステップS805に進む。
【0037】
反転描画モードが用紙切り替え優先(5003)であり、ステップS802に進んだ場合では、現在処理対象としているi枚目の1枚前の出力した用紙(i−1枚目の用紙)の用紙属性を取得する。次にステップS803へ進み、特色効果情報903を参照し、i−1枚目の用紙の属性でi枚目に存在する特色効果が実現可能か否かを判定する。実現が可能な場合には、ステップS804に進み、実現が不可能な場合にはステップS807に進む。ステップS804では、i枚目の出力用紙をi−1枚目の出力用紙と同一の用紙に設定する。反転描画モードが透明トナー使用量優先(5004)であり、ステップS805に進んだ場合、特色効果情報903およびプリンタ情報1000の給紙段情報を参照する。そして、各給紙段のi枚目に存在する用紙のうち、i枚目のデータに指定された特色効果が実現可能な用紙を選択する。そして、選択された用紙のうち、印刷時に用いる透明トナーの使用量を算出する。そして、ステップS806へ進み、ここでi枚目の出力用紙をステップS805で算出した透明トナーの消費量が最小の出力用紙に設定する。
【0038】
反転描画モードが反転描画不可(5001)または、最適な用紙を優先(5002)のとき、または、S803にてi−1枚目の用紙で描画負荷の場合、ステップS807へ進む。S807では、i枚目の最適用紙属性を持つ用紙がプリンタ3に存在するかをプリンタ情報1000の給紙段情報を参照する。用紙が存在する場合には、ステップS809に進み、存在しない場合にはステップS810に進む。ステップS809では、i枚目の出力用紙にi枚目の最適用紙を設定する。ステップS810では、反転描画設定を参照し、反転描画が許可されている設定か否かを判定する。許可されているときは、ステップS814に進み、許可されていないときはステップS811に進む。ステップS811では、GUI部111を介して図16(a)に示すようなプリンタ3の給紙段に用紙を挿入する必要がある旨のメッセージボックスを表示する。なお、本ステップで表示するメッセージボックスは、既にプリンタ3に用紙が逆向きでセットされている給紙段が存在する場合は、図16(b)に示すような、用紙を逆にセットするように指示する旨のメッセージボックスを表示してもよい。ステップS812では、ステップS811で表示したメッセージボックスで「はい」が押下された場合には、ステップS812へ進み、「いいえ」が押下された場合にはステップS813に進む。ステップS813では、印刷処理を中止し、処理を完了する。ステップS821では、ステップS812でセットした用紙の情報を取得するため、通信部117を通じて、プリンタ情報を取得する。そしてプリンタ情報1000の各給紙段の情報を更新する。ステップS822では、i枚目の出力用紙をi枚目の最適用紙として設定する。
【0039】
ステップS814では、プリンタ情報1000を参照し、i枚目の特色効果がネガポジ反転により実現可能な用紙が存在するかを判定する。実現可能な時は、ステップS815に進み、不可能な時は、ステップS811に進む。ステップS815では、透明トナー描画データ905をネガポジ反転する。なお、ここでは、透明トナー描画データ905を更新し、ステップS707の出力時にも使用する方式をとっているが、透明トナー描画データ905と関連付けてネガポジ反転した透明トナー描画データを別に作成し、ステップS707の出力時に使用してもよい。ステップS816では、i枚目の出力用紙をステップS814にてネガポジ反転すれば描画可能として判定された用紙に設定する。
【0040】
ステップS817では、i枚目の表用紙の属性とi枚目の最適用紙表属性が同一であるかを判定し、同一であれステップS819に進み、異なっていればステップS818に進む。ステップS818では、表用紙面の物理ページ内の透明トナー描画データ905をネガポジ反転する。ステップS819では、i枚目の裏用紙の属性とi枚目の最適用紙裏属性が同一であるかを判定し、同一であれば処理を終了し、異なっていればステップS820に進む。ステップS820では、裏用紙面の物理ページ内の透明トナー描画データ905をネガポジ反転する。
【0041】
ステップS818及びステップS820において、透明トナー描画データ905を更新し、ステップS707の出力時にも使用する方式をとっている。また、透明トナー描画データ905と関連付けてネガポジ反転した透明トナー描画データを別に作成し、ステップS707の出力時に使用してもよい。
【0042】
図11、12、13、14は、本実施例の処理フローを適用したときの各種印刷設定を行ったときの出力用紙と透明トナー描画データの組み合わせを示したものである。
【0043】
図11の1100は文書データ900をメインウインドウ3000で表示したときの例を表している。文書データ900は1101および1102の2つの論理ページの本文データ901を持っている。
【0044】
1103および1104は特色効果が設定されたオブジェクトを表している。1103に対しては特色効果として光沢効果が設定されている。1104に対しては特色効果として、つやけし効果が設定されている。
【0045】
1105〜1108は文書データ900を片面印刷にてプリンタ3にて特色効果を実現するのに最適な用紙で印刷出力したときの用紙の種類と透明トナー描画データの出力例である。1105は、物理1ページ目の透明トナー描画データである。1106は、物理1ページ目の出力用紙属性を示しており、用紙属性としては光沢紙が選択されている。用紙属性の決定および透明トナー描画データの作成はステップS503にて行われる。片面印刷の場合には、ステップS602〜S604にて、1ページ目の特色効果として、光沢効果を取得し、光沢効果を実現する用紙属性としては光沢を選択している。そして、光沢紙上で、光沢効果1103を実現するために、透明トナー描画―データとして、1105のように、1103のオブジェクト以外のところに透明トナーを描画している。ステップS504では、裏面も存在しないため、1枚目の最適用紙としては、光沢紙が選択される。
【0046】
1107は、物理2ページ目の透明トナー描画データである。1108は、物理2ページ目の出力用紙属性を示しており、用紙属性としてはマット紙が選択されている。1ページ目同様、2ページ目の用紙属性の決定および透明トナー描画データはステップS503にておこなわれる。2ページ目の最適用紙としてはマット紙が設定される。なお、1105〜1108は、印刷出力時には、図7および図8のフローチャートで示したように、実際に出力する用紙をプリンタの情報(給紙段の情報)やあらかじめ設定された反転描画モードにより変更し、実現することも可能である。
【0047】
図12の1200〜1203は、文書データ900を両面印刷にてプリンタ3にて特色効果を実現するのに最適な用紙で印刷出力したときの用紙の種類と透明トナー描画データの出力例である。1200は、物理1ページ目の透明トナー描画データ(第1の描画データ)である。1201は、物理1ページ目の出力用紙属性を示しており、表面の用紙属性としては光沢が選択されている。用紙属性の決定および透明トナー描画データはステップS503にて行われる。両面印刷の場合には、ステップS602〜S604にて、1ページ目の特色効果として、光沢効果を取得し、光沢効果を実現する用紙属性としては光沢を選択している。そして、光沢紙上で、光沢効果1103を実現するために、透明トナー描画―データとして、1200のように、1103のオブジェクト以外のところに透明トナーを描画している。ステップS504では、裏面が存在するため、裏面に描画される物理2ページ目の用紙属性の決定を行う。1202は、物理2ページ目の透明トナー描画データ(第2の描画データ)である。1203は、物理2ページ目の出力用紙属性を示しており、用紙属性としてはマットが選択されている。2ページ目の用紙属性の決定および透明トナー描画データはステップS506にておこなわれる。そして、ステップS507では、表の用紙属性が光沢、裏の用紙属性がマットの用紙を最適用紙として設定する。このように、最適な用紙が存在するときに、最適な用紙の選択と透明トナー描画データの作成を自動的に行うことが可能となっている。
【0048】
図13では、両面印刷時に図12で選択された最適な出力用紙が存在しなかったときの出力結果を示している。つまり、プリンタ3の給紙段に用紙のが光沢属性、裏がマット属性の用紙が存在せず、表裏両面とも光沢属性の用紙が存在するときの出力結果である。1300および1301は物理1ページ目を出力した際に用いられた用紙の属性と透明トナー描画データの組み合わせである。ステップS815では、表の属性は光沢であるため、最適用紙属性と同一のため1200,1201と同一である。1302,1303は物理2ページ目を出力した際に用いられた用紙の属性と透明トナー描画データの組み合わせである。ステップS815では、裏の属性は最適な属性はマット、出力用紙の属性は光沢となっているため、透明トナー描画データのネガポジ反転を行う。それにより、2ページ目の透明トナー描画データ1302は1202と反転した描画内容となっている。このように、最適な用紙が存在しない場合でも、印刷体裁に応じて、特色効果を実現可能な用紙の選択と透明トナー描画データの作成を自動的に行うことが可能となっている。
【0049】
図14の1400および1401は、文書データ900を2 in 1印刷(Nin1印刷)でプリンタ3にて特色効果を実現するのに最適な用紙で印刷出力したときの用紙の種類と透明トナー描画データの出力例である。第1の描画データと第2描画データを2IN1印刷する。この出力時の例では、1401のようにステップS606で、先頭の論理ページの用紙属性である、光沢属性を物理ページの用紙属性として選択している。続いてステップS607〜S609の処理により、1ページ目の物理ページの用紙属性が光沢、2ページ目はステップS603で決定した用紙属性マットとなっているため、1400のように論理2ページ目の透明トナー描画データをネガポジ反転している。このように、1枚の用紙面に複数のページが存在するような印刷体裁であっても、特色効果を実現可能な用紙の選択と透明トナー描画データの作成を自動的に行うことが可能となっている。
【0050】
上述のように、特色効果として、透明トナーが付与されている文書データを印刷するときに、印刷体裁に応じて最適な用紙を自動的に選択し、選択された用紙に合わせて透明トナー描画データを作成する。これにより、ユーザにより所望されている、光沢効果やつやけし効果を容易に発揮することが可能である。さらに、最適な用紙がプリンタに存在しない場合においても、実際に出力装置に存在する用紙に合わせて、自動的に透明トナーの描画データを作成する。これにより、ユーザにより所望されている、光沢効果やつやけし効果を表現できる。また、用紙の選択と透明トナー描画データのネガポジ反転について、どちらを優先して、特色効果を実現するかを選択可能とする。これによりで、印刷出力時の出力用紙(給紙段)の切り替え回数を削減し、印刷速度を向上することや透明トナーの消費量を減らすことも可能である。
【0051】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された第1の描画データ及び第2の描画データそれぞれに対して特色記録剤を用いて印刷をする際に、該特色記録剤を用いて得られる特色効果を指定する指定手段と、
前記第1の描画データの印刷出力時に、前記指定手段により指定された特色効果を実現するために必要な用紙の属性を決定する第1の出力用紙属性決定手段と、
前記第2の描画データの印刷出力時に、前記指定手段により指定された特色効果を実現するために必要な用紙の属性を決定する第2の出力用紙属性決定手段と、
前記第1の描画データと前記第2の描画データを1枚の出力用紙に印刷出力する印刷体裁に設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された印刷体裁にて、前記第1の描画データ及び前記第2の描画データを印刷出力するための出力用紙を、前記第1の出力用紙属性決定手段によって決定された属性且つ前記第2の出力用紙属性決定手段によって決定された属性を有する用紙にする決定手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特色効果は、透明トナーを用いて印刷を行うことにより、前記出力用紙にて表現される効果であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段により決定された用紙が存在する場合、前記決定手段により決定された出力用紙を給紙する給紙手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段により決定された出力用紙が存在しない場合、前記決定手段により決定された出力用紙の追加をユーザに促すための情報を表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記出力用紙の変更回数が少なくなるように、同じ属性を有する出力用紙に決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、トナーの使用量が少なくなるように出力用紙を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記決定手段によって決定された出力用紙が存在しない場合、前記第1の描画データ又は前記第2の描画データのいずれかを反転する反転手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
入力された第1の描画データ及び第2の描画データそれぞれに対して特色記録剤を用いて印刷をする際に、該特色記録剤を用いて得られる特色効果を指定する指定ステップと、
前記第1の描画データの印刷出力時に、前記指定ステップにより指定された特色効果を実現するために必要な用紙の属性を決定する第1の出力用紙属性決定ステップと、
前記第2の描画データの印刷出力時に、前記指定ステップにより指定された特色効果を実現するために必要な用紙の属性を決定する第2の出力用紙属性決定ステップと、
前記第1の描画データと前記第2の描画データを1枚の出力用紙に印刷出力する印刷体裁に設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された印刷体裁にて、前記第1の描画データ及び前記第2の描画データを印刷出力するための出力用紙を、前記第1の出力用紙属性決定ステップによって決定された属性且つ前記第2の出力用紙属性決定ステップによって決定された属性を有する用紙にする決定ステップと
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記特色効果は、透明トナーを用いて印刷を行うことにより、前記出力用紙にて表現される効果であることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項10】
前記決定ステップにより決定された用紙が存在する場合、前記決定ステップにより決定された出力用紙を給紙する給紙ステップを有することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
前記決定ステップにより決定された出力用紙が存在しない場合、前記決定ステップにより決定された出力用紙の追加をユーザに促すための情報を表示装置に表示することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項12】
前記決定ステップは、前記出力用紙の変更回数が少なくなるように、同じ属性を有する出力用紙に決定することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
前記決定ステップは、トナーの使用量が少なくなるように出力用紙を決定することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項14】
前記決定ステップによって決定された出力用紙が存在しない場合、前記第1の描画データ又は前記第2の描画データのいずれかを反転する反転ステップを有することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項15】
請求項8に記載の画像処理装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−58466(P2012−58466A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201082(P2010−201082)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】