説明

画像処理装置、画像処理方法、ならびに、プログラム

【課題】仮想空間に配置された表示オブジェクトが破壊される画像を簡易な処理で生成する画像処理装置等を提供する。
【解決手段】画像処理装置201の記憶部202は、表示オブジェクトと伸縮オブジェクトの情報とを記憶し、置換部204は、判断部203により破壊されるべきと判断された表示オブジェクトと同じ大きさに、破砕オブジェクトを伸縮して生成した伸縮オブジェクトを記憶部202に追加し、当該表示オブジェクトを記憶部202から削除し、生成部206は、表示オブジェクトのポリゴンには設定されたテクスチャ画像を貼付し、伸縮オブジェクトのポリゴンには元の表示オブジェクトに設定されていたテクスチャ画像を貼付して画像を生成し、離間部205は、時間の経過とともに伸縮オブジェクトのポリゴンが互いに離間するように移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間に配置された表示オブジェクトが破壊される画像を簡易な処理で生成するのに好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想空間に表示オブジェクトと、視点や視線と、投影面と、を配置し、視点から表示オブジェクトへ進む半直線や視線と同じ方向で表示オブジェクトを通過する半直線が投影面と交差する点の位置を当該表示オブジェクトの画像を投影する位置として一点透視投影もしくは平行透視投影を行う3次元グラフィックス処理技術が提案されている。
【0003】
このような技術では、一般に、表示オブジェクトは、複数の表示ポリゴンによって構成されることによって、その形状が定められる。また、テクスチャ画像を用意して、各表示ポリゴンに当該テクスチャ画像内の領域を対応付けておき、画像生成の際には、各表示ポリゴンにテクスチャ画像の当該領域を貼付することによって、表示オブジェクトの表面に各種の模様や色彩を描くこととする。
【0004】
このような画像処理技術については、以下の文献に開示されている。
【特許文献1】特開2005−196594号公報
【0005】
[特許文献1]においては、仮想空間内に破片ポリゴンから構成される破片オブジェクトを用意し、表示オブジェクトを複数の破片オブジェクトと置換して、当該複数の破片オブジェクトを移動させることで、表示オブジェクトが破壊される様子を表す画像を生成する技術が開示されている。
【0006】
本技術においては、1つの表示オブジェクトに対して、複数の破片オブジェクトを用意する必要があり、破片オブジェクトを構成する破片ポリゴンには、破片ポリゴン用に用意されたテクスチャ画像が貼付される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、表示オブジェクトの種類や個数が多くなった場合に、多数の破片オブジェクトを用意しなくとも、破壊の様子を簡易に実現できるような画像処理技術が強く望まれている。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、仮想空間に配置された表示オブジェクトが破壊される画像を簡易な処理で生成するのに好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0010】
本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、記憶部、判断部、置換部、離間部、生成部を備え、以下のように構成する。
【0011】
すなわち、記憶部は、以下の情報を記憶する。
(a)複数の破砕ポリゴンにより構成される破砕オブジェクトの形状の情報。
(b)複数の表示ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される表示オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報。
(c)複数の伸縮ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される伸縮オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報。
【0012】
ここで、表示オブジェクトは、仮想空間に配置され、画像に描画されるものである。したがって、当該表示ポリゴンは種々の形状を有する。また、画像生成の際には、その表面に、当該表示オブジェクトに対応付けられるテクスチャ情報が貼付される。
【0013】
一方、破砕オブジェクトは、単純な形状のもので典型的には1つだけ用意される。そして、あらかじめ用意された切れ目で分割可能なように、複数の破砕ポリゴンを組み合わせて構成される。すなわち、破砕オブジェクトは各表示オブジェクトの破砕の際に再利用される。
【0014】
さらに伸縮オブジェクトは、破壊対象となった表示オブジェクトを置換して仮想空間に配置されるオブジェクトであり、後述するように、1つの破砕オブジェクトを伸縮させることによって得られるものである。
【0015】
一方、判断部は、記憶された表示オブジェクトのそれぞれが破砕されるべきか否かを判断する。
【0016】
たとえば、本画像処理装置が射撃ゲームに適用される場合には、射撃により弾が表示オブジェクトに命中した場合に、表示オブジェクトが破砕されるべき、と判断されることになる。
【0017】
さらに、置換部は、記憶された表示オブジェクトのうち、破砕されるべきであると判断された表示オブジェクトのそれぞれについて、以下の処理を行って、当該伸縮オブジェクトで当該表示オブジェクトを置換する。
【0018】
すなわち、記憶部に、以下のような設定がされた伸縮オブジェクトの情報を追加する。
(a)当該破砕オブジェクトを当該表示オブジェクトの形状の大きさに伸縮した形状を有する。
(b)当該複数の破砕ポリゴンを当該伸縮と同じ倍率で伸縮した複数の伸縮ポリゴンにより構成される。
(c)当該表示オブジェクトの位置に配置される。
(d)当該表示オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像と同じテクスチャ画像が貼付される。
【0019】
さらに、記憶部から、当該表示オブジェクトの情報を削除する。
【0020】
上記のように、伸縮オブジェクトは、破砕オブジェクトを伸縮させて、破砕されるべき表示オブジェクトと略同じ大きさに変形させたものである。なお、伸縮の倍率は、方向によって異なるものとしても良い。
【0021】
したがって、伸縮オブジェクトを構成する伸縮ポリゴンは、同じ倍率で破砕ポリゴンを伸縮させたものとなる。
【0022】
また、伸縮オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像は、元の表示オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像と同じものである。したがって、破砕の様子を表すために新たにテクスチャ画像を用意する必要はない。
【0023】
一方、離間部は、記憶された伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該伸縮オブジェクトを構成する複数の伸縮ポリゴンの位置が、時間の経過により互いに離間するように、当該伸縮オブジェクトの形状を変化させる。
【0024】
伸縮ポリゴンが離散するようにするためには、伸縮オブジェクトの中心・重心等の基準点から当該伸縮ポリゴンへ向かう半直線の向きを初期速度の向きとする手法、各伸縮ポリゴンの初期速度の向きや大きさを乱数を用いてランダムに設定する手法などを採用することができる。
【0025】
初期速度を一旦上記のように設定した後は、各伸縮ポリゴンに仮想空間の重力や摩擦力、粘性力などがかかることとして、物理シミュレーションを行うことにより、伸縮ポリゴンの位置の変化を計算すれば、伸縮ポリゴンの位置は時間の経過とともに互いに離間するようになる。
【0026】
なお、各伸縮ポリゴンのそれぞれを[特許文献1]における破片オブジェクトと考え、破片オブジェクトの集合体を、伸縮オブジェクトと考えることもできる。
【0027】
さらに、生成部は、記憶された表示オブジェクトと伸縮オブジェクトとを当該仮想空間に配置される視点から見た画像を、当該表示オブジェクトと当該伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該オブジェクトに対して記憶されたテクスチャ画像を当該オブジェクトを構成するポリゴンに貼付して、生成する。
【0028】
上記のように、表示オブジェクトについても伸縮オブジェクトについても、テクスチャ画像が割り当てられているが、ある表示オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像は、その表示オブジェクトが破砕されることとなって伸縮オブジェクトに置換される場合には、当該伸縮オブジェクトにも貼付される。すなわち、表示オブジェクトに対して用意されたテクスチャ画像を使い廻す。このため、必要なテクスチャ画像の個数を抑制することができる。
【0029】
本発明によれば、仮想空間に配置された表示オブジェクトが破壊される画像を、必要なオブジェクト定義やテクスチャ画像定義の個数を抑制しつつ簡易な処理で生成することができるようになる。
【0030】
また、本発明の画像処理装置において、記憶される破砕オブジェクトを構成する破砕ポリゴンの個数は、記憶される表示オブジェクトを構成する表示ポリゴンの個数のいずれよりも少ないように構成することができる。
【0031】
一般に、表示オブジェクトはユーザに注視されやすいオブジェクトであり、その形状は多数のポリゴンを用いて精細に定義することが望ましいが、これが破砕される様子を表す場合には、破片が飛び散る様子が見えれば十分なことも多く、このような場合には、各破片を表す伸縮ポリゴンの個数(これは、破砕ポリゴンの個数に等しい。)は、比較的少なくて良い。本発明はこのような用途に好適である。
【0032】
本発明によれば、伸縮ポリゴンの個数を少なくすることによって、テクスチャ画像の貼付処理や伸縮ポリゴンにより表現される破片の離散、移動処理に必要な計算量やメモリ使用量を低減することができる。
【0033】
また、本発明の画像処理装置は、以下のように構成することができる。
【0034】
すなわち、記憶部に記憶されるテクスチャ画像の縦横の大きさは、所定の基準サイズに一致する。
【0035】
すなわち、いずれの表示オブジェクトに対しても、同じ縦横ドット数のテクスチャ画像を用意するのである。
【0036】
一方、記憶部は、当該複数の表示ポリゴンのそれぞれと、当該表示ポリゴンに対応付けられる当該表示オブジェクトのテクスチャ画像の領域と、の対応関係と、当該複数の破砕ポリゴンのそれぞれと、当該所定の基準サイズの領域に含まれ当該破砕ポリゴンに対応付けられる領域と、の対応関係と、をさらに記憶する。
【0037】
従来から、表示オブジェクトの各表示ポリゴンについては、当該表示オブジェクト用のテクスチャ画像のどの領域が貼付されるのかを表す対応関係が用意されるのが一般的である。典型的には、テクスチャ画像の縦と横に対応付けられる座標系は(u,v)座標系と呼ばれ、表示ポリゴンの各頂点について、(u,v)座標系の座標値が定められる。これにより、当該表示ポリゴンに貼付される画像が定義される。
【0038】
一方、破砕オブジェクトについては、テクスチャ画像は対応付けられていない。破砕オブジェクトの各破砕ポリゴンの頂点に対して(u,v)座標系における座標値が定められるが、当該破砕ポリゴンに対して「貼付される画像」が定義されるのではなく、「基準サイズ内における領域」が定義されるのみである。
【0039】
一方、生成部は、当該複数の表示ポリゴンのそれぞれに対して、当該表示ポリゴンに対するテクスチャ画像の領域を貼付し、当該複数の伸縮ポリゴンのそれぞれに対して、当該伸縮オブジェクトに対するテクスチャ画像のうち、当該伸縮ポリゴンの伸縮前の破砕ポリゴンに対応付けられる領域を貼付して、当該画像を生成する。
【0040】
表示オブジェクトを構成する表示ポリゴンについては、従来と同様に、テクスチャ画像の領域を貼付するが、伸縮オブジェクトを構成する伸縮ポリゴンについては、伸縮オブジェクトに対するテクスチャ画像(これは、置換の対象となった表示オブジェクトに対するテクスチャ画像と一致する。)のうち、伸縮前の破砕ポリゴンに割り当てられた基準サイズ内における領域の画像を貼付する。
【0041】
破砕オブジェクトを構成する破砕ポリゴンに対する領域の対応関係は1種類であるから、表示オブジェクトの形状やそのテクスチャ画像の内容を考慮せずに、伸縮ポリゴンへのテクスチャ画像貼付が行われることになる。
【0042】
本発明によれば、伸縮オブジェクトに対するテクスチャ画像の貼付の処理を簡易に近似することにより、計算量やメモリ使用量を抑制することができるようになる。
【0043】
また、本発明の画像処理装置において、記憶される破砕オブジェクトの形状は立方体であり、当該破砕オブジェクトを構成する破砕ポリゴンのそれぞれは、当該立方体の面および辺に等間隔に配置される格子点を結ぶ線分を辺とする多角形であるように構成することができる。
【0044】
本発明においては、典型的には、立方体の各面に対角線を引いたときにできる直角二等辺三角形(合計で4×6個)や、立方体の各面をn×n個の桝目に区切ったときにできる正方形(合計で6n2個)を、破砕ポリゴンとする。
【0045】
上記発明においては、破砕オブジェクトを構成する破砕ポリゴンの形状は任意とすることができるため、自由度が極めて高いが、本発明においては、破砕ポリゴンの頂点の座標は立方体の頂点の平均や整数比による重み付き平均で求められる。これから、伸縮ポリゴンの頂点の初期座標を求めることができる。
【0046】
本発明によれば、破砕ポリゴンの頂点の座標の計算ならびに伸縮ポリゴンの頂点の初期座標の計算を容易に行うことができ、計算負担の低減を図ることができるようになる。
【0047】
本発明のその他の観点に係る画像処理方法は、複数の破砕ポリゴンにより構成される破砕オブジェクトの形状の情報と、複数の表示ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される表示オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報と、複数の伸縮ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される伸縮オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報と、を記憶する記憶部、判断部、置換部、離間部、生成部を有する画像処理装置にて実行され、判断工程、置換工程、離間工程、生成工程を備え、以下のように構成する。
【0048】
すなわち、判断工程では、判断部が、記憶された表示オブジェクトのそれぞれが破砕されるべきか否かを判断する。
【0049】
一方、置換工程では、置換部が、記憶された表示オブジェクトのうち、破砕されるべきであると判断された表示オブジェクトのそれぞれについて、記憶部に、当該破砕オブジェクトを当該表示オブジェクトの形状の大きさに伸縮した形状であり、当該複数の破砕ポリゴンを当該伸縮と同じ倍率で伸縮した複数の伸縮ポリゴンにより構成され、当該表示オブジェクトの位置に配置され、当該表示オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像と同じテクスチャ画像が貼付される伸縮オブジェクトの情報を追加し、記憶部から、当該表示オブジェクトの情報を削除して、当該伸縮オブジェクトで当該表示オブジェクトを置換する。
【0050】
さらに、離間工程では、離間部が、記憶された伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該複数のポリゴンの位置が、時間の経過により互いに離間するように、当該伸縮オブジェクトの形状を変化させる。
【0051】
一方、生成工程では、生成部が、記憶された表示オブジェクトと伸縮オブジェクトとを当該仮想空間に配置される視点から見た画像を、当該表示オブジェクトと当該伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該オブジェクトに対して記憶されたテクスチャ画像を当該オブジェクトを構成するポリゴンに貼付して、生成する。
【0052】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記の画像処理装置として機能させ、コンピュータに上記の画像処理方法を実行させるように構成する。
【0053】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【0054】
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、仮想空間に配置された表示オブジェクトが破壊される画像を簡易な処理で生成するのに好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0057】
図1は、プログラムを実行することにより、本発明の実施形態に係る装置の機能を果たす典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0058】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM 102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェイス104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、画像処理部107と、DVD−ROM(Digital Versatile Disc ROM)ドライブ108と、NIC(Network Interface Card)109と、音声処理部110と、マイク111と、を備える。
【0059】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態に係る装置が実現される。
【0060】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0061】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0062】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0063】
インターフェイス104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0064】
インターフェイス104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワーク対戦の場合のチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0065】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0066】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0067】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0068】
また、仮想空間が3次元にて構成される場合には、当該3次元空間内に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0069】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0070】
NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェイス(図示せず)により構成される。
【0071】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0072】
音声処理部110では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0073】
さらに、情報処理装置100には、インターフェイス104を介してマイク111を接続することができる。この場合、マイク111からのアナログ信号に対しては、適当なサンプリング周波数でA/D変換を行い、PCM形式のディジタル信号として、音声処理部110でのミキシング等の処理ができるようにする。
【0074】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0075】
以上で説明した情報処理装置100は、いわゆる「コンシューマ向けテレビ画像処理装置」に相当するものであるが、仮想空間を表示するような画像処理を行うものであれば本発明を実現することができる。したがって、携帯電話、携帯ゲーム機器、カラオケ装置、一般的なビジネス用コンピュータなど、種々の計算機上で本発明を実現することが可能である。
【0076】
たとえば、一般的なコンピュータは、上記情報処理装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、DVD−ROMドライブ、および、NICを備え、情報処理装置100よりも簡易な機能を備えた画像処理部を備え、外部記憶装置としてハードディスクを有する他、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっている。また、コントローラ105ではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用する。
【0077】
図2は、本発明の実施形態の一つにかかる画像処理装置の概要構成を示す説明図である。本画像処理装置は、上記の情報処理装置100に所定のプログラムを実行させることにより、実現される。以下、本図を参照して説明する。
【0078】
本実施形態に係る画像処理装置201は、記憶部202、判断部203、置換部204、離間部205、生成部206を備える。まず、記憶部202は、RAM 103などにより実現され、以下のような種々の情報を記憶する。

(1)テクスチャ画像の情報。テクスチャ画像は、画面にオブジェクトを表示する際に、そのオブジェクトの表面に適宜拡大、縮小、変形して貼付される画像である。本発明では、テクスチャ画像は、表示オブジェクトを構成する表示ポリゴン、ならびに、伸縮オブジェクトを構成する伸縮ポリゴンに貼付される。本実施形態では、いずれのテクスチャ画像も縦および横のサイズを所定の基準サイズに共通化することとする。

(2)表示オブジェクトの種々の情報。具体的には、以下の情報が含まれる。
・表示オブジェクトのグローバル座標系に対する位置および姿勢。これらの情報により、表示オブジェクトに固定されるローカル座標系と仮想空間に固定されるグローバル座標系との座標変換が可能となる。
・表示オブジェクトを構成する表示ポリゴンの形状および位置。各ポリゴンの形状は、その頂点の位置を、当該表示オブジェクトに固定されるローカル座標系における座標値で指定することにより、定義する。
・表示オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像の情報。テクスチャ画像の画素値情報そのものではなく、(1)で述べたテクスチャ画像の情報を参照する識別番号や画像名などで指定する。
・表示オブジェクトを構成する各表示ポリゴンに対して貼り付けられるテクスチャ画像中の領域の定義。各表示ポリゴンの頂点に、テクスチャ画像の縦横に対応する(u,v)座標系を対応付けることにより、領域を定義する。
・表示オブジェクトの大きさを表す情報。表示オブジェクトの大きさは、典型的にはローカル座標系の各座標軸に対する表示オブジェクトのサイズ、すなわち、幅、高さ、奥行きのサイズによって定めるのが典型的である。
・表示オブジェクトの質量、慣性モーメント、速度、角速度。仮想空間において表示オブジェクトの位置や姿勢を変化させる物理シミュレーションを行うための情報である。なお、表示オブジェクトの位置が固定されており移動しない場合、たとえば、射的ゲームの標的が表示オブジェクトであるような場合には、これらの情報は不要である。
【0079】
図3は、表示オブジェクト、表示ポリゴン、テクスチャ画像の関係を表す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0080】
本図(a)に示す表示オブジェクト301は、把手が2つついた壷のような形状をしており、その高さ、幅、奥行きのサイズは互いに異なる。
【0081】
表示オブジェクト301の表面は三角形の形状の表示ポリゴン302で覆われている(本図では、理解を容易にするため、表示ポリゴン302の一部のみを示す)。
【0082】
一方、本図(b)に示すテクスチャ画像303は、所定の基準サイズの縦横ドット数を有する画素値配列により表現される画像情報であり、各表示ポリゴン302に対応付けられる領域304が定義されている。
【0083】
表示オブジェクト301を描画する際には、まず、表示オブジェクト301を構成する各表示ポリゴン302の各頂点の投影先を透視投影により計算する。ついで、当該頂点の投影先を結んだ三角形の範囲に対応付けられる領域304の画像を拡大、縮小、変形(具体的には、アフィン変換を行うのが一般的である。)して貼付する。このようにして、表示オブジェクト301の表面の模様や色彩を描画するのである。

(3)破砕オブジェクトの種々の情報。具体的には、以下の情報が含まれる。
・破砕オブジェクトを構成する破砕ポリゴンの形状および位置。各ポリゴンの形状は、その頂点の位置を、当該破砕オブジェクトに固定されるローカル座標系における座標値で指定することにより、定義する。本実施形態では、破砕オブジェクトとして立方体形状を採用するので、破砕ポリゴンは、当該立方体形状を埋め尽くす多角形からなることとなる。
・破砕オブジェクトを構成する各破砕ポリゴンに対して対応付けられる基準サイズ内の領域の定義。各破砕ポリゴンの頂点に、基準サイズ内の縦横に対応する(u,v)座標系を対応付けることにより、領域を定義する。
・破砕オブジェクトの大きさを表す情報。表示オブジェクトの大きさは、典型的にはローカル座標系の各座標軸に対する表示オブジェクトのサイズ、すなわち、幅、高さ、奥行きのサイズによって定めるのが典型的であるが、破砕オブジェクトとして立方体を採用した場合には、一辺の長さの情報があれば十分である。
【0084】
破砕オブジェクトは、表示オブジェクト301が破砕される様子の画像を生成するための共通テンプレートとして使用される仮想的なオブジェクトであるため、グローバル座標系における位置や姿勢の情報、質量、速度、角速度の情報、貼付されるテクスチャ画像の情報は不要である。
【0085】
図4は、破砕オブジェクト、破砕ポリゴン、基準サイズ枠の関係を表す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0086】
本図(a)に示す破砕オブジェクト401は、立方体形状をしており、各面で頂点を結ぶ線により区切られる24個の直角二等辺三角形が、破砕ポリゴン402となっている。
【0087】
一方、本図(b)に示す基準サイズ枠403は、本実施形態で使用される任意のテクスチャ画像303と同じサイズの四辺形であり、各破砕ポリゴン402に対応付けられる領域404が、表示ポリゴン302の場合と同様に定義されている。
【0088】
もっとも、破砕ポリゴン402に対応付けられる領域404は、あくまで基準サイズの四辺形403内における位置と形状のみが定義されるものであり、画素値については何らの定義もされていない。
【0089】
また、1つの破砕オブジェクト401に対する破砕ポリゴン402の個数は、1つの表示オブジェクト301に対する表示ポリゴン302の個数よりも圧倒的に少ないのが典型的である。このように個数を調整することで、破砕に関する表示を簡易な計算で行うことが可能となる。

(4)伸縮オブジェクトの種々の情報。伸縮オブジェクトは、破砕オブジェクト401を伸縮させて生成されるオブジェクトであり、破砕されることとなった表示オブジェクト301に置換されるオブジェクトである。具体的には、以下のような情報が記憶される。
・破砕オブジェクト401の高さ、幅、奥行き方向の拡大率。本実施形態に係る伸縮オブジェクトは、破砕オブジェクト401を、伸縮オブジェクトに固定されるローカル座標系の各座標軸方向に伸縮させることによって生成される。
・伸縮オブジェクトのグローバル座標系に対する位置および姿勢。これらの情報により、伸縮オブジェクトに固定されるローカル座標系と仮想空間に固定されるグローバル座標系との座標変換が可能となる。もっとも、伸縮オブジェクトは、破砕される表示オブジェクト301を置換するものであるから、置換元の表示オブジェクト301の位置および姿勢の情報が、そのままこの情報として設定されることとなる。
・伸縮オブジェクトを構成する伸縮ポリゴンのそれぞれに対応付けられる破砕ポリゴン402に、あらかじめ対応付けられた基準サイズ枠403内での領域404。この情報は、伸縮ポリゴンを描画する際に参照される。
・伸縮オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像の情報。このテクスチャ情報は、元となった表示オブジェクト301のテクスチャ画像の情報に一致する。
・伸縮オブジェクトを構成する伸縮ポリゴンのそれぞれの質量、慣性モーメント、位置、姿勢、速度、角速度。伸縮ポリゴンの位置や姿勢は、当初の位置や姿勢からの変化量で表現する。伸縮ポリゴンは、破砕オブジェクト401を構成する破砕ポリゴン402のいずれかに1対1に対応付けられ、上記の拡大率で伸縮したものに相当し、破砕された表示オブジェクトの破片を表現するものである。そこで、伸縮ポリゴンの位置や姿勢を変化させることにより、破片が飛散する状況を表現する。
【0090】
なお、伸縮ポリゴンの質量の総和は、元となった表示オブジェクト301の質量に等しくするのが典型的である。また、この質量に基づいて、元となった表示オブジェクト301との間で、運動量ならびに角運動量が保存されるように、伸縮ポリゴンの速度や角速度の初期値を定める。
【0091】
このように、伸縮ポリゴンについて、質量や速度などの物理シミュレーションを行うため、伸縮ポリゴンのそれぞれを「破片オブジェクト」と考えることもできる。
【0092】
図5は、表示オブジェクト、破砕オブジェクト、伸縮オブジェクトの関係を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0093】
本図(a)に示すように伸縮オブジェクト501は、表示オブジェクト301(本図では点線で示している。)の幅、高さ、奥行きの方向に、その大きさの分だけ、破砕オブジェクト401を伸縮して生成されるオブジェクトである。
【0094】
したがって、伸縮オブジェクト501を構成する伸縮ポリゴン502は、破砕ポリゴン402と1対1に対応付けられている。
【0095】
伸縮オブジェクト501が一旦生成されると、伸縮ポリゴン502は物理シミュレーションによって時間の経過にともなって互いに離間するような運動を開始する。したがって、伸縮ポリゴン502は、伸縮オブジェクト501の基本位置から、時間の経過とともに次第に変位量505だけ離れていくことになる。
【0096】
一方、本図(b)に示すように、各伸縮ポリゴン502の描画の際には、表示オブジェクト301に対応付けられる当該伸縮ポリゴン502の元となった破砕ポリゴン402に対応付けられる基準サイズ枠403内での領域404と同じ位置に同じ形状で配置される領域504の画像を、テクスチャ画像303から切り取って、伸縮ポリゴン502の投影先に貼付する。
【0097】
このように、伸縮ポリゴン502は互いに離間するように運動するとともに、伸縮ポリゴン502には、破砕の対象となった表示オブジェクト301のテクスチャ情報303が貼付されるため、破砕の様子の簡易な近似シミュレーションをリアルに行うことができる。

(5)このほか、3次元グラフィックス処理に必要な種々の情報。たとえば、視点の位置や視線の方向の情報や、投影面の位置や向きなどの情報、仮想空間における重力や摩擦力、弾性力、粘性力等の情報である。
【0098】
以下では、本画像処理装置において実行される画像処理について、さらに詳細に説明する。図6は、本画像処理装置において実行される画像処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0099】
本処理が開始されると、まず、CPU 101は、RAM 103に用意された記憶部202の初期化を行う(ステップS601)。典型的には、この初期化によって、表示オブジェクト301ならびに破砕オブジェクト401の情報が定義される。なお、通常は、初期化の段階では、記憶部202には、伸縮オブジェクト501の情報は記憶されない。伸縮オブジェクト501の情報は後述する処理によって記憶部202に追加されることとなる。
【0100】
次に、CPU 101は、記憶部202に記憶された表示オブジェクト301のそれぞれについて、以下の処理を繰り返す(ステップS602〜)。まず、判断部203は、当該表示オブジェクト301が破砕されるべきか否かを判断する(ステップS603)。したがって、CPU 101は、RAM 103と共働して、判断部203として機能する。
【0101】
表示オブジェクト301が破砕されるべきか否かの判断基準としては、たとえば以下のようなものを採用することができる。
(1)表示オブジェクト301が、所定の速度以上で他のオブジェクトや仮想空間に設定された地面に衝突した場合。たとえば、表示オブジェクト301が、陶器の壷を表すものであり、これが地面に落ちた場合などである。
(2)表示オブジェクト301に対する攻撃が成功した場合。たとえば、射撃ゲームにおいて表示オブジェクト301を標的にした場合等が考えられる。
(3)表示オブジェクト301が時間の経過にともなって自爆する場合。たとえば、表示オブジェクト301が仮想世界において導火線に点火された爆弾を表す場合などである。
(4)その他、本画像処理装置201が適用される用途に応じた条件が満たされる場合。
【0102】
破砕されるべきでないと判断された場合(ステップS603;No)、すべての表示オブジェクト301について処理を行うまで、繰り返す(ステップS604)。
【0103】
一方、破砕されるべきであると判断された場合(ステップS603;Yes)、当該表示オブジェクト301の大きさを取得する(ステップS605)。
【0104】
そして、破砕オブジェクト401を当該表示オブジェクト301の大きさに伸縮させた伸縮オブジェクト501についての情報を生成して(ステップS606)、記憶部202に追加する(ステップS607)。
【0105】
生成される伸縮オブジェクト501の情報については、上述した通り、以下のような設定を行う。
(a)伸縮オブジェクト501に、当該表示オブジェクト301に貼付されるテクスチャ情報303を対応付ける。
(b)伸縮オブジェクト501を構成する各伸縮ポリゴン502に、元の破砕ポリゴン402に対応付けられる領域404を対応付ける。
(c)各伸縮ポリゴン502の位置や姿勢、速度や角速度等を、当該表示オブジェクト301の位置や姿勢、速度や角速度等に基づいて設定する。
【0106】
そして、当該記憶部202から、当該破砕されるべき表示オブジェクト301の情報を削除して(ステップS608)、処理を繰り返す(ステップS604)。したがって、CPU 101とRAM 103が共働して、置換部204として機能する。
【0107】
各伸縮ポリゴン502の位置や姿勢は、伸縮オブジェクト501の基準軸方向を表示オブジェクト301のローカル座標系の座標軸方向に合わせることによって確定する。本実施形態では、各破砕ポリゴン402は同じ大きさを有するので、破砕ポリゴン402に対する拡大率に比例させて配分するように各伸縮ポリゴン502の質量を設定しても良いが、単純に、伸縮ポリゴン502の数で割ることとしても良い。
【0108】
各伸縮ポリゴン502の速度や角速度は、当該表示オブジェクト301の速度や角速度に、適宜生成した乱数を加算あるいは減算することとしても良いし、伸縮オブジェクト501の中心や重心から当該伸縮ポリゴン502へ向かう方向の所定の大きさ(あるいは乱数により大きさを変化させた)のベクトルを加算することによって、得ることとしても良い。
【0109】
すべての表示オブジェクト301について、上記の処理が終了したら、CPU 101は、RAM 103の記憶部202に記憶された情報を参照して、現在記憶されているすべての表示オブジェクト301およびすべての伸縮オブジェクト501の伸縮ポリゴン502について、以下の処理を繰り返す(ステップS609)。
【0110】
すなわち、処理の対象となる表示オブジェクト301もしくは伸縮ポリゴン502について、記憶部202に記憶されている位置、姿勢、速度、角速度、および、これにかかる外力(仮想空間における重力、粘性力、弾性力、摩擦力等。)に基づいて微小時間(典型的には、画面の表示における垂直同期割込周期)後の位置、姿勢、速度、角速度を計算する(ステップS610)。
【0111】
そして、計算された結果で、当該表示オブジェクト301もしくは伸縮ポリゴン502の位置、姿勢、速度、角速度を更新する(ステップS611)。
【0112】
上記のように、伸縮ポリゴン502の情報が初めて記憶部202に追加されたときには、互いに離間するような方向の初速度が設定される。したがって、本物理シミュレーションによって、伸縮ポリゴン502は時間の経過にともなって互いに離間するように運動することとなる。したがって、CPU 101は、RAM 103と共働して、離間部205として機能する。
【0113】
この処理を、すべての表示オブジェクト301および伸縮ポリゴン502について繰り返したら(ステップS612)、CPU 101は、画面に表示すべき画像の生成処理を開始する。
【0114】
まず、RAM 103に用意された画像バッファをクリアする(ステップS613)。この際に、あらかじめ用意された遠景の画像を画像バッファに展開することとしても良い。
【0115】
ついで、記憶部202に記憶されたすべての表示オブジェクト301および伸縮オブジェクト501について、仮想空間における視点位置から遠い順に、以下の処理を繰り返す(ステップS614)。
【0116】
すなわち、当該オブジェクトを構成する各ポリゴンについて、仮想空間における視点位置から遠い順に、以下の処理を繰り返す(ステップS615)。
【0117】
まず、当該ポリゴンの頂点が、投影面に投影される座標を計算する(ステップS616)。本処理には、一点透視投影もしくは平行透視投影などの、通常の3次元グラフィックス技術を適用することができる。
【0118】
次に、当該オブジェクトに対応付けられたテクスチャ画像のうち、当該ポリゴンに対応付けられる領域の画像を、計算された座標に囲まれる領域にアフィン変換して描画する(ステップS617)。いわゆるテクスチャ貼付の処理である。
【0119】
上述のように、本実施形態においては、当該オブジェクトが表示オブジェクト301である場合には、通常のテクスチャ貼付と同様の処理を行うこととなるが、伸縮オブジェクト501である場合には、伸縮ポリゴン502に貼り付けられるテクスチャ画像は、元の表示オブジェクト301に対応付けられていたテクスチャ画像303であり、当該テクスチャ画像303において貼付の対象となる領域504は、元の破砕ポリゴン402に対応付けられた基準サイズ枠403内の領域404と一致する。
【0120】
本発明では、上記のような近似を行うことによって、破砕の様子を簡易な計算で高速に処理することが可能になるのである。
【0121】
すべてのポリゴンについて処理を繰り返し(ステップS618)、すべての表示オブジェクト301および伸縮オブジェクト501について処理を繰り返したら(ステップS619)、画像バッファには、仮想空間内の様子を表す画像が生成されたことになる。したがって、CPU 101は、RAM 103と共働して、生成部206として機能する。
【0122】
この後、CPU 101は、垂直同期割込が生じるまで待機する(ステップS620)。当該待機の間には、他の種々の処理をコルーチン的に行うことができる。たとえば、物理シミュレーションを行う場合には、時間の経過やユーザの操作によって、仮想空間における外力の分布などの環境パラメータを変化させたり、射的ゲームを行う場合には、ユーザのコントローラ操作を監視して、標的となる表示オブジェクト301への射撃が行われたか否かを判断したりする等である。
【0123】
このほか、伸縮オブジェクト501を記憶部202から適宜消去する処理を行っても良い。たとえば射撃ゲームにおいては、ある標的が破砕されるまでの様子がアニメーション表示された後は、破片そのものを表示し続ける必要性が低い場合も多い。これに対応するものである。このような消去処理は、以下のような判断基準に基づいて行うことができる。
(a)伸縮オブジェクト501が記憶部202に追加されてからの経過時間が、所定の閾時間を超えた場合、当該伸縮オブジェクト501の情報を記憶部202から消去する。
(b)伸縮ポリゴン502が、仮想空間の地面に衝突した場合、当該伸縮ポリゴン502の情報を記憶部202から消去する。
(c)伸縮ポリゴン502の位置が、所定の閾時間以上の間変化しなかった場合、当該伸縮ポリゴン502の情報を記憶部202から消去する。
【0124】
垂直同期割込が発生したら、CPU 101は、画像処理部107に対して、画像バッファに生成された画像をモニタに表示するように指示を出して(ステップS621)、ステップS602に戻る。このようなダブルバッファリングの処理を行うことにより、アニメーション表示の際のちらつきを防止することができる。
【0125】
上記の実施形態では、破砕オブジェクト401の外形として立方体を採用したが、正多面体や正多角形柱などの単純な形状を採用することとしても良い。また、破砕ポリゴン402の形状は、破砕オブジェクト401が有する面を何らかの形で分割する多角形とすれば十分であり、種々の形状を採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
以上説明したように、本発明によれば、仮想空間に配置された表示オブジェクトが破壊される画像を簡易な処理で生成するのに好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】プログラムを実行することにより、本発明の画像処理装置の機能を果たす典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係る画像処理装置の概要構成を示す説明図である。
【図3】表示オブジェクト、表示ポリゴン、テクスチャ画像の関係を表す説明図である。
【図4】破砕オブジェクト、破砕ポリゴン、基準サイズ枠の関係を表す説明図である。
【図5】表示オブジェクト、破砕オブジェクト、伸縮オブジェクトの関係を示す説明図である。
【図6】本画像処理装置において実行される画像処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0128】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェイス
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
111 マイク
201 画像処理装置
202 記憶部
203 判断部
204 置換部
205 離間部
206 生成部
301 表示オブジェクト
302 表示ポリゴン
303 テクスチャ画像
304 テクスチャ画像の領域
401 破砕オブジェクト
402 破砕ポリゴン
403 基準サイズ枠
404 基準サイズ枠内の領域
501 伸縮オブジェクト
502 伸縮ポリゴン
504 伸縮ポリゴンに貼付されるテクスチャ画像の領域
505 伸縮ポリゴンの変位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の破砕ポリゴンにより構成される破砕オブジェクトの形状の情報と、複数の表示ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される表示オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報と、複数の伸縮ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される伸縮オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報と、を記憶する記憶部、
前記記憶された表示オブジェクトのそれぞれが破砕されるべきか否かを判断する判断部、
前記記憶された表示オブジェクトのうち、破砕されるべきであると判断された表示オブジェクトのそれぞれについて、前記記憶部に、当該破砕オブジェクトを当該表示オブジェクトの形状の大きさに伸縮した形状であり、当該複数の破砕ポリゴンを当該伸縮と同じ倍率で伸縮した複数の伸縮ポリゴンにより構成され、当該表示オブジェクトの位置に配置され、当該表示オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像と同じテクスチャ画像が貼付される伸縮オブジェクトの情報を追加し、前記記憶部から、当該表示オブジェクトの情報を削除して、当該伸縮オブジェクトで当該表示オブジェクトを置換する置換部、
前記記憶された伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該複数のポリゴンの位置が、時間の経過により互いに離間するように、当該伸縮オブジェクトの形状を変化させる離間部、
前記記憶された表示オブジェクトと伸縮オブジェクトとを当該仮想空間に配置される視点から見た画像を、当該表示オブジェクトと当該伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該オブジェクトに対して記憶されたテクスチャ画像を当該オブジェクトを構成するポリゴンに貼付して、生成する生成部
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記記憶される破砕オブジェクトを構成する破砕ポリゴンの個数は、前記記憶される表示オブジェクトを構成する表示ポリゴンの個数のいずれよりも少ない
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記記憶部に記憶されるテクスチャ画像の縦横の大きさは、所定の基準サイズに一致し、
前記記憶部は、当該複数の表示ポリゴンのそれぞれと、当該表示ポリゴンに対応付けられる当該表示オブジェクトのテクスチャ画像の領域と、の対応関係と、当該複数の破砕ポリゴンのそれぞれと、当該所定の基準サイズの領域に含まれ当該破砕ポリゴンに対応付けられる領域と、の対応関係と、をさらに記憶し、
前記生成部は、当該複数の表示ポリゴンのそれぞれに対して、当該表示ポリゴンに対するテクスチャ画像の領域を貼付し、当該複数の伸縮ポリゴンのそれぞれに対して、当該伸縮オブジェクトに対するテクスチャ画像のうち、当該伸縮ポリゴンの伸縮前の破砕ポリゴンに対応付けられる領域を貼付して、当該画像を生成する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記記憶される破砕オブジェクトの形状は立方体であり、当該破砕オブジェクトを構成する破砕ポリゴンのそれぞれは、当該立方体の面および辺に等間隔に配置される格子点を結ぶ線分を辺とする多角形である
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
複数の破砕ポリゴンにより構成される破砕オブジェクトの形状の情報と、複数の表示ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される表示オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報と、複数の伸縮ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される伸縮オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報と、を記憶する記憶部、判断部、置換部、離間部、生成部を有する画像処理装置にて実行される画像処理方法であって、
前記判断部が、前記記憶された表示オブジェクトのそれぞれが破砕されるべきか否かを判断する判断工程、
前記置換部が、前記記憶された表示オブジェクトのうち、破砕されるべきであると判断された表示オブジェクトのそれぞれについて、前記記憶部に、当該破砕オブジェクトを当該表示オブジェクトの形状の大きさに伸縮した形状であり、当該複数の破砕ポリゴンを当該伸縮と同じ倍率で伸縮した複数の伸縮ポリゴンにより構成され、当該表示オブジェクトの位置に配置され、当該表示オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像と同じテクスチャ画像が貼付される伸縮オブジェクトの情報を追加し、前記記憶部から、当該表示オブジェクトの情報を削除して、当該伸縮オブジェクトで当該表示オブジェクトを置換する置換工程、
前記離間部が、前記記憶された伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該複数のポリゴンの位置が、時間の経過により互いに離間するように、当該伸縮オブジェクトの形状を変化させる離間工程、
前記生成部が、前記記憶された表示オブジェクトと伸縮オブジェクトとを当該仮想空間に配置される視点から見た画像を、当該表示オブジェクトと当該伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該オブジェクトに対して記憶されたテクスチャ画像を当該オブジェクトを構成するポリゴンに貼付して、生成する生成工程
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
複数の破砕ポリゴンにより構成される破砕オブジェクトの形状の情報と、複数の表示ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される表示オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報と、複数の伸縮ポリゴンにより構成され、仮想空間に配置される伸縮オブジェクトの位置、形状、テクスチャ画像の情報と、を記憶する記憶部、
前記記憶された表示オブジェクトのそれぞれが破砕されるべきか否かを判断する判断部、
前記記憶された表示オブジェクトのうち、破砕されるべきであると判断された表示オブジェクトのそれぞれについて、前記記憶部に、当該破砕オブジェクトを当該表示オブジェクトの形状の大きさに伸縮した形状であり、当該複数の破砕ポリゴンを当該伸縮と同じ倍率で伸縮した複数の伸縮ポリゴンにより構成され、当該表示オブジェクトの位置に配置され、当該表示オブジェクトに貼付されるテクスチャ画像と同じテクスチャ画像が貼付される伸縮オブジェクトの情報を追加し、前記記憶部から、当該表示オブジェクトの情報を削除して、当該伸縮オブジェクトで当該表示オブジェクトを置換する置換部、
前記記憶された伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該複数のポリゴンの位置が、時間の経過により互いに離間するように、当該伸縮オブジェクトの形状を変化させる離間部、
前記記憶された表示オブジェクトと伸縮オブジェクトとを当該仮想空間に配置される視点から見た画像を、当該表示オブジェクトと当該伸縮オブジェクトのそれぞれについて、当該オブジェクトに対して記憶されたテクスチャ画像を当該オブジェクトを構成するポリゴンに貼付して、生成する生成部
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−117147(P2008−117147A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299461(P2006−299461)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】