説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】文書作成者や一般色覚者に違和感を与えずに、色弱者がグラフなどの入力画像中の塗りつぶし領域の色同士を判別しやすいように色変換する。
【解決手段】色抽出部1は入力画像から使用色を抽出し、識別性評価部3は、使用色中に色弱者が識別し難い色の組み合わせがあるかを評価する。識別し難い色の組み合わせがある場合に、付加画像生成部4は透明トナーデータを生成し、識別し難い色の組み合わせの一方の色に、透明トナーを重畳し、その表面の特性を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書作成者や一般色覚者に違和感を与えずに、色弱者が色を判別しやすくなるような色変換を行う画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー画像を表示、印刷するカラー画像出力技術の発達により、個人や企業が作成する文書、WEBページには、様々な色付き文字やカラー画像が使用されている。このような文書では、注意を促す表記やグラフのグループ分けに色付き文字等を用いることにより、色そのものに重要な情報を持たせている場合が多い。また、これらの文書の内容を正しく理解するためには、文字や画像を認識し、さらに文書に用いられている色の違いを判別しなければならない。
【0003】
このような様々な色を用いた文書であっても、色覚に障害がある場合には色情報の判別が難しい。例えば、赤と緑の判別が難しい色覚の場合では、赤、緑、青を使用したグラフの、赤と緑の識別がしにくく、あるいは全く識別できないため、青とそれ以外の2要素から成るグラフとしか認識できない場合がある。また、カラー画像出力装置が多色を表現できるため、却って、一般的な色覚特性の人にとっても識別しづらい配色がなされてしまうことがある。
【0004】
図1に色文字、円グラフ、写真を含むような文書例を示すが、図1に示したグラフでは、円グラフ本体の塗り分けは、比較的面積が大きく、色同士が接しているため、色の違いは比較的分かりやすい。しかし、このグラフの情報を読み取るためには、凡例と対応付ける必要があるが、凡例部分は面積が小さいため、色同士の違いが分かりにくく、円グラフ本体部分との対応付けが難しくなる。同様に、色文字についても、明朝体のような細い字体で、しかも文字サイズが小さいような場合には、色文字の使い分けが認識しづらい。一方、写真などの自然物の画像については、経験的に対象物と色名を対応付けられる(葉は緑、人の顔は肌色等)場合が多く、また、色の塗り分けそのものが意味を持つものではない場合が多い。
【0005】
ところで、人間の色覚に関する生理的、医学的研究によると、色覚障害には、上述のような、赤と緑の判別が困難な赤緑色盲、また、黄青色盲、全色盲といった型があることが知られている。最近では、CUDO(NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構)が、色覚が正常もしくは異常という線引きではなく、C(Common)型/P(Protanope)型(強度・弱度)(赤緑色盲又は色弱に相当)/D(Deuteranope)型(強度・弱度)(赤緑色盲又は色弱に相当)/T(Tritanope)型(黄青色盲に相当)/A(Achromaic)型(全色盲に相当)といった、色覚の型名で呼び、C型色覚の人を一般色覚者、それ以外の色の認識に関して弱い部分のある人を色弱者と呼ぶことを提唱している。
【0006】
従来、このような色覚障害に配慮して、色を容易に識別できるようにするために、文書中に使われている色を抽出し、区別がつきにくい色の組合せがあった場合に、(1)色を調整する(例えば、特許文献1を参照)、(2)グラフなどの塗りつぶし部分にハッチングをする(例えば、特許文献2を参照)、(3)塗りつぶし領域を縁取りする(例えば、特許文献3を参照)、といった技術が提案されている。
【0007】
その他、色覚障害も一般色覚者も認識しやすい表示として、正面から視認した場合には、赤色と緑色に視認され、斜め方向から視認した場合には、それぞれ緑色と青色に視認される表示物もある(特許文献4を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した(1)の方法では、前述したグラフの凡例部分は面積が小さいため、色同士の違いが分かりにくく、大きく色を変化させる必要があり(例えば、明度差がほとんどない場合に、CIELAB空間のb*成分がΔb*=45程度、変化させても色の違いが分からないこともある)、オリジナル文書の配色を知っている文書作成者などが違和感を持ってしまう可能性がある。
【0009】
(2)の方法では、グラフの塗りつぶし部分に周期的な斜線などを挿入することにより、画像の形状を変化させるため、(1)と同様、オリジナル画像の作成者などが違和感を持ち、また、色弱者も、ハッチングの形状を認識した上で、グラフと凡例の対応付けを識別しなければならず、色の違いに比べると直感的にグラフを読み取ることができない。さらに、凡例部分の面積が小さすぎる場合には、ハッチングパターンが粗いと、その1周期分のパターンさえも凡例内に収まらず、十分な効果が得られない。
【0010】
(3)の方法では、塗りつぶし領域の縁取りにより領域の分離を識別できるが、色同士の違いを識別できなければグラフ本体と凡例との対応付けができず、根本的な解決にはならない。
【0011】
また、特許文献4では、各領域の色相差により表示物の表面状態を異なる状態にしているが、色が変化することから一般色覚者が違和感を持ち、またその表示物の構造から、画像形成装置により出力される印刷物への適用も難しい。
【0012】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、文書作成者や一般色覚者に違和感を与えずに、色弱者がグラフなどの入力画像中の塗りつぶし領域の色同士を判別しやすいように色変換を行う画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、入力画像データを画像形成用の画像データに変換する画像処理装置であって、前記入力画像データから使用色を抽出する色抽出手段と、前記抽出された使用色の信号を、輝度を含む3つの色信号成分から成る中間色信号へと変換する色信号変換手段と、前記変換された中間色信号に基づき、前記使用色の識別性を評価する識別性評価手段と、前記識別性評価手段の評価結果及び入力画像データに基づき、通常の画像形成用のデータに付加する付加画像データを生成する付加画像生成手段と、前記入力画像データを、通常の画像形成用データに変換する色変換手段とを備えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入力画像データに使われている色を抽出し、抽出された色の中に色弱者にとって識別しにくい色の組合せがないかを評価し、識別しにくい色の組合せがあった場合に、その組合せの一方の色の領域に透明トナー像を付加することにより、表面の散乱特性(光沢感)を変化させているので、文書作成者や一般色覚者に違和感を与えることなく、色弱者がグラフなどの入力画像中の塗りつぶし領域の色同士を区別しやすいように色変換を行うことができる。
【0015】
また、本発明によれば、色弱者が識別し難い組み合わせのクラスタを入力画像に基づいて適応的に判断するともに、色弱者の識別性を向上させるために付加する付加画像データを効率的に生成することができる。さらに、付加画像データを再現するために必要なトナー消費量を抑制することでプリントに掛かるコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】グラフや色文字を含む文書例を示す。
【図2】実施例1の画像処理装置の構成を示す。
【図3】実施例1の処理フローチャートを示す。
【図4】PDLによって記述された入力画像データの例を示す。
【図5】抽出された使用色の例と、使用色のLab値の例を示す。
【図6】識別性評価部における処理フローチャート(明度、彩度を基に透明トナーを重畳する色を決定)を示す。
【図7】透明トナーを重畳する色と判定された例を示す。
【図8】識別性評価部における処理フローチャート(色相角を基に透明トナーを重畳する色を決定)を示す。
【図9】識別性評価部における処理フローチャート(識別性の悪い色が3色の場合)を示す。
【図10】図9の処理フローチャートによる判定結果と色調整テーブルの例を示す。
【図11】付加画像データの例を示す。
【図12】sRGBからXYZ三刺激値への変換式を示す。
【図13】色相角、彩度の計算式を示す。
【図14】実施例2の画像処理装置の構成を示す。
【図15】実施例2の処理フローチャートを示す。
【図16】クラスタリング部の構成を示す。
【図17】クラスタリング部の処理フローチャートを示す。
【図18】実施例2の付加画像生成部の処理フローチャートを示す。
【図19】実施例3の処理フローチャートを示す。
【図20】実施例4における、クラスタの色材量を算出するための処理フローチャートを示す。
【図21】実施例4の付加画像生成部の処理フローチャートを示す。
【図22】実施例4の処理を説明する図である。
【図23】実施例5の付加画像生成部の処理フローチャートを示す。
【図24】本発明をソフトウェアで実施する場合の画像処理システムのハードウェア構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明は、入力カラー画像データを、画像形成用の画像データに変換する色変換処理に際して、入力画像データに使われている色を抽出し、抽出された色の中に色弱者が識別し難い色の組合せがないかを評価し、識別し難い色の組合せがあった場合に、その組合せの一方の色の領域に対応した、透明トナー像形成用の画像データを生成し、画像形成を行う。
【0019】
図1は、本発明の実施例1の画像処理装置の全体構成を示す。実施例1の画像処理装置は、色抽出部1、色信号変換部2、識別性評価部3、付加画像生成部4、色調整部5、色変換部6から成る。
【0020】
色抽出部1では、入力画像データ(プリンタ用のページ記述言語(Page Description Language(以下PDL))で記述されたデータ)が入力されると、矩形や円弧といった塗りつぶされた領域の色の情報(RGB値)を抽出する。色信号変換部2は、色抽出部1によって抽出された画像データに使用されている色のRGB値を知覚量、例えばCIELABのL*a*b*値に変換する。
【0021】
識別性評価部3では、使用色のL*a*b*値に基づき、全ての色の組合せの識別性を評価し、識別性に問題のある組合せを抽出し、どの色に対して透明トナーによる画像を付加するか、どの色を色調整するか、色調整する場合はその調整量を決定する。対象とする領域を決定するために、入力色の明度や彩度の情報を利用する。
【0022】
式1は、識別性評価式を表す。
(識別性)=α|ΔL*|+β|Δb*| 式1
付加画像生成部4では、識別性の評価結果に基づき、透明トナー像形成用の画像データを生成する。座標や大きさについては、入力画像のページ記述を参照する。色調整部5では、識別性評価部3の評価結果に基づき、入力画像データ中の色調整対象となっている色に対し明度や色相の調整を行う。色変換部6では、色調整後の入力画像データに対し、通常の3D−LUTによる色変換を行う。画像形成部7では、色変換部6及び付加画像生成部4から受け取った画像形成用データに基づき、出力媒体(紙媒体)へ画像を形成する。
【0023】
図3は、実施例1の処理フローチャートである。まず、グラフやテキストを含んだPDLで記述された画像データ(文書データ)が入力される(S11)。次に、色抽出部1は、入力された画像データから、画像に用いられている使用色のRGB値を抽出する(S12)。色信号変換部2は、抽出された使用色のRGB値(一般的なオフィス文書ではsRGB値がほとんどであり、以下では入力画像がsRGB値で入力されるものとするが、これに限定されるものではなく、AdobeRGB(1998)(登録商標)やscRGB等、拡張RGB空間でも良いし、sYCCのような輝度−色差系の色空間でも良い)を、CIELABなどの値に変換する(S13)。
【0024】
次に、識別性評価部3では、S13で抽出された使用色の中に色弱者にとって識別し難い色の組合せがあるか否かを、識別性の評価式1を用いて評価し、透明トナー像を重ねたり、色調整を行ったりといった処理が必要か否かを判断する(S14)。そして、識別性評価部3は、透明トナー像の重畳や、色調整が必要な場合には、透明トナー像の重畳や色調整をどの色に対して行うのかを決定する(S15)。続いて、付加画像生成部4は、S15で透明トナー像を重畳する対象の色については透明トナー用の付加画像を生成し(S16)、色調整部5は、S15で色調整が必要とされた色に対しては、色調整を行う(S17)。
【0025】
色変換部6は、透明トナー像の重畳のみが行われる場合には、オリジナルの入力画像に対して、通常の3D−LUTなどを用いたRGBからCMYK値への変換を行い、S17で色調整が行われた場合には、調整後の入力画像に対して通常の3D−LUTなどを用いた変換を行う(S18)。そして、最終的に、画像処理装置の画像形成部7によって、通常のCMYKのトナーからなる像と、透明トナーの像が重ねて形成される(S19)。
【0026】
図4は、ページ記述言語によって記述された入力画像データの例を示す。図4において、C100〜C104は、テキストの描画命令の例を示し、順に、フォントの指定、フォントサイズの指定、フォントカラーの指定、描画位置の指定、描画内容が記述されている。また、C301〜302は、グラフィックス、具体的には矩形描画の例を示し、RGB値が[R、G、B]=[128、230、211]の色で、対角の2点の座標が[50、100][20、20]となる矩形領域を塗りつぶすような描画を行う。
【0027】
色抽出部1では、入力画像データから、上記した図形を塗りつぶすコマンドであるxxxFillや、色を規定するFillColor、SetRgbColorといったコマンドを探索し、単色で領域の塗りつぶしに用いられている色のRGB値を抽出する。図5(a)は、6色が抽出された例である。No.は抽出された順番、RGBは、使用色のRGB値であり、その他は、色信号変換部などにより用いられるため、この時点では全て0で初期化された状態である。このように抽出された使用色の情報が、入力画像データと共に、色信号変換部2へと送られる。
【0028】
図12に示す式2は、sRGB値をXYZ三刺激値へ変換するための式である。色信号変換部2では、使用色のRGB値を受け取ると、その値をCIELAB空間のL*a*b*値(以下”*”は略す)へと変換する。
【0029】
sRGBからLabへの変換は、まず、sRGBの仕様(IEC/4WD 61966−2−1: Colour Measurement and Management in Multimedia Systems and Equipment−Part 2−1: Default RGB Colour Space−sRGB)に基づき、XYZ三刺激値へと変換する(式1の丸付き数字1〜4)。さらに、CIELAB表色系の定義に従いLab値が算出される。
【0030】
図5(b)は、抽出された使用色6色について、Lab値が算出された例である。但し、ここでは、入力RGBとして、オフィス文書において一般的なsRGB値、変換後の値をLab値としているが、入力画像データの色情報が、sRGB以外の拡張色空間で記述されている場合には、それらの定義に従ってXYZ三刺激値を介してLab値に変換すれば良い。また、RGBではなく、CMYK値でも良い。但し、Labなどの知覚量空間の表色値に定義式や変換テーブル、予測モデルなどで一意に変換可能な値である必要がある。さらには、変換後の値も、必ずしもLabに限定されるものではなく、例えばCIEの定める色の見えモデルCIECAM02のJCaCb値などでも良い。
【0031】
次に、識別性評価部3は、図5(b)に示すような使用色のLab値を用い、使用色同士の識別性を評価する。この例では、6色あるため、6色から2色を選ぶ組合せ、すなわち、=6*5/2=15通りの組合せについて、順に識別性を評価していく。識別性は前述の式1のように、使用色同士の明度差(ΔL)とb成分差(Δb)それぞれに、ある係数をかけた和で評価される。但し、式1において、係数α及びβは、α>βを満たす定数であり、色弱者による主観評価によってあらかじめ求めておいた値である。例えば、α=0.17、β=0.13とすると、図5(b)のNo.1とNo.2の色の間の識別性は次のように計算される。
(識別性)=0.17*|47.09−43.26|+0.13*|−33.08−22.66|=7.90
同様に、No.1とNo.4の色の間の識別性は、
(識別性)=0.17*|47.09−41.96|+0.13*|−33.08−(−26.63)|=1.71
と求められる。
【0032】
識別性評価部3では、式1により求められた識別性の評価値が所定値以下(ここでは仮に3.0以下とする)であった場合に、色弱者にとっての識別性が悪いと判断する。
【0033】
図5(b)の6色に対し、(1−2)、(1−3)、(1−4)・・・と順に識別性を評価すると、まず、No.1とNo.4の間の評価値が1.7となり、No.3とNo.6の間の評価値が1.4となり、それぞれ所定値以下となる(3.0を割り込む)。その場合、識別性を上げるために、どちらの色に透明トナーを重畳するかを判定する。判定方法については後述する。
【0034】
以下、本実施例では、乗せる量が増えるに従い、光沢度が増すような透明トナーを用いることを前提とする(実際には、乗せる量を増やしても光沢度の上がらない透明トナーも存在し、そのような特性を持った透明トナーであっても、光沢度に差異を生じさせることは可能である)。
【0035】
図6は、識別性評価部における、透明トナー重畳対象色を明度及び彩度に基づき決定する処理フローチャートである。
(識別性の低い色の各組合せが2色までの場合)
前述のように、識別性評価を行い、識別性が低いと判断した場合、対象の2色の明度差ΔLが所定値(例えば5)以下か否かを判定する(S1501)。所定値以下であった場合、図13の式3の丸付き数字2によって2色の彩度Cを算出し、彩度差ΔCを算出し、その2色の彩度差ΔCが所定値(例えば10)以下か否かを判定する(S1502)。所定値以下であった場合、すなわち、明度差や彩度差があまり大きくなく、通常の色変換において概ね同程度のトナー量で画像形成されることが予想される場合には、既にどちらかの色の透明トナー重畳フラグが立っていないかを確認する(S1503)。フラグが立っていなければ、2色のうち、より少ないトナー量で画像が形成されると考えられる高明度な色に対して、透明トナーを重畳することを示すフラグを立てる(S1504)。一方、S1503において、既にどちらかの色に透明トナー重畳フラグが立っていた場合には、透明トナーによる識別性向上処理が行われるため、何も処理せずに終了する。
【0036】
S1502において、彩度差が所定値より大きかった場合、より少ないトナー量で画像が形成されると考えられる彩度の低い方の色に透明トナーを重畳すべく、まず、既にどちらかの色に透明トナー重畳フラグが立っていないかを確認し(S1505)、フラグが立っていなければ低彩度の色に対して、透明トナー重畳フラグを立てる(S1506)。また、S1501において、2色間の明度差が大きく異なっていると判定された場合には、やはり、なるべく少ないトナー量で画像形成されると考えられる高明度側の色に透明トナーを重畳すべく、既にフラグが立っていないかを確認し(S1507)、明度の高い方の色に対して透明トナー重畳フラグを立てる(S1508)。
【0037】
図7(a)は、透明トナー重畳色と判定された結果の例である。No.1とNo.3にフラグがセットされている。
【0038】
上述のトナー量が少ないであろう色に対して透明トナーを重畳するのは、一般的に、プリンタなどの色材を用いた画像形成装置においては、あまり多くの色材を使用すると、色材のちりやにじみによる画質低下が起きるため、それを抑制するためである。
【0039】
図8は、識別性評価部における透明トナー重畳対象色を色相角に基づき決定する処理フローチャートである。
(識別性の低い色の各組合せが2色までの場合)
識別性の評価後、識別性が低いと判断された場合、その組合せの2色の色相角を図13の式3の丸付き数字1により算出する、そして、それらの色相角と、画像形成に用いられる有彩のトナー(一般的にはシアンC、マゼンタM、イエローY)の色相角の差分値Δhを算出し、対象の2色それぞれに対し、CMYとの差分値が所定値(例えばΔh=5)以下の組合せがあるかを評価する(S1509)。
【0040】
CMYの色相角については、紙などの画像記録媒体上での記録濃度によっても変化するため、例えば、所定の記録媒体上での光学濃度が各色1.2となる場合について、あらかじめ測色するなどして記録しておき評価に用いる。ここでは、CMYの色相角が例えば、Y:60度、C:180度、M:300度とする。
【0041】
図5(b)のNo.3とNo.6の色について色相角判定を行う場合について説明する。No.3の色相角は式3の丸付き数字1により119.8度であり、同様にNo.6は61.5度である。よって、No.3については、CMY全てに対してΔhは5よりも大きくなり、一方、No.6については、Yに対してΔh=1.5となる。このような場合、一方の色の色相角がトナーの1次色(CMY)との色相角差が所定値以下となっているので、1次色に近い色に対し透明トナーを重畳すべく、透明トナー重畳フラグを確認し(S1510)、1次色に近い色に対し、透明トナー重畳フラグを立てる(S1511)。
【0042】
S1509において、対象の2色ともトナー1次色との色相角差が所定値以下とならない場合には、図6に示す明度及び彩度による判定を行う。図7(b)は、図8と図6における判定結果の例である。図8の処理の結果、図7(a)と異なり、No.3とNo.6の色については、色相角による判定が行われるため、ここでは、No.6の色に対して透明トナーを重畳するためのフラグが立っている。
【0043】
図9は、識別性評価部において、識別性の悪い色が3色あった場合の透明トナー重畳対象色及び色調整対象色を決定する処理フローチャートである。
(識別性の低い色の各組合せが3色の場合)
まず、前述したと同様に、識別性の評価が行われた結果、一例として、図7(b)に示した使用色6色のうち、No.1、No.4、No.5の識別性が悪かったと仮定して、以下説明する(前述のように、No.1とNo.4の識別性は悪いが、No.1とNo.5、No.4とNo.5の識別性は実際には悪くない)。
【0044】
識別性の悪い色の組合せのどちらに透明トナーを重畳するかの判定は、まず、No.1とNo.4の色について、すでに透明トナー重畳フラグ又は透明トナーを明示的に乗せないことを示す非重畳フラグが立っていないかを確認する(S1521)。フラグが立っていなければ、高明度側の色に対し、透明トナー重畳フラグを立てる(S1525)。すなわち、この例では、No.1の色の方が明度が高いため、No.1の色に対し、透明トナーを重畳することになる。そして、もう一方の低明度側の色のNo.4の色に対し、透明トナー非重畳フラグ(重畳フラグ「1」と区別するため、「2」とする)を立てる。
【0045】
次に、No.1とNo.5の色を比較する。すると、今度は既にNo.1の色に対して透明トナー重畳フラグが立っているため、引き続き、透明トナー非重畳フラグが立っているかを確認する(S1522)。透明トナー非重畳フラグが立っていない場合は、一方の色の透明トナー重畳フラグが立っている場合であるので、その2色は透明トナーの有無により識別性が確保されるため、処理は終了し、次の色の組合せの処理に移る。この例では、No.5には透明トナー非重畳フラグは立っていないので、何も処理されない。そして、最後に、No.4とNo.5の色を比較する。この例では、No.4の色に非重畳フラグが立っているため、S1522において非重畳フラグが立っていることを確認し、No.4の色に色調整フラグ(Corr.flag)を立てる(S1523)。図10(a)は、図9の処理フローチャートによる判定結果の例である。
【0046】
次に、色調整フラグ(Corr.flag)の立っているNo.4の色に対する色調整パラメータの算出(S1524)について説明する。色調整量を算出するために、まず、No.4の色のL成分及びb成分を例えば±10の範囲で2刻み(望ましくは、さらに広い範囲を細かく刻んだ方が良い)で色みを振り、他の使用色(ここでは、No.4を除く5色)との識別性を式1によって評価する。但し、明度が負の値になるような場合は評価は行わない。
(No.4の色の振り方)
(L,a,b)=(41.96, 21.92, −26.63)、(41.96+2, 21.92, −26.63)、(41.96+4, 21.92, −26.63)・・・(41.96+10, 21.92, −26.63)、(41.96, 21.92, −26.63+2)・・・(41.96+10, 21.92, −26.63+10)、(41.96−2, 21.92, −26.63)・・・
そして、他の使用色との識別性評価結果の最小値(最悪値)が最も大きな場合、すなわち、他の使用色との識別性が色みを振った範囲で最も良いLab値を色調整後の表色値として用いる。この調整を図2の色調整部5で行うため、用いるLab値を、色信号変換部2によるRGB→Lab変換の逆の変換を行い、sRGB値に変換し、入力データのRGB値と調整後のRGB値を対応させた調整テーブル(図10(b))を生成し、色調整部5へ送られる。
【0047】
色調整部5では、色抽出部1による使用色の抽出と同様、入力画像データ中の図形を塗りつぶすコマンドであるxxxFillや、色を規定するFillColor、SetRgbColorといったコマンドを探索し、塗りつぶしに使われる色のRGB値が、図10(b)に示すようなRGB値と一致していた場合には、調整後のR’G’B’値に置換し、置換後の入力画像データを色変換部6へと送る。色変換部6では、通常の色変換パラメータ(例えば3D−LUT)を用いて、入力画像データもしくは、色調整後の入力画像データを画像形成用の画像データへと変換し、画像形成部7へと送る。
【0048】
図11は、付加画像生成部によって生成される付加画像データの例を示す。付加画像生成部4では、図10(a)に示すような、使用色や透明トナー重畳フラグの情報と入力画像データを受け取り、透明トナー重畳フラグが「1」である色のRGB値(図10(a)では、(R,G,B)=(69,114,167))と、入力画像データ中の図形を塗りつぶすコマンドで用いられる色指定コマンドのRGB値が一致する部分(図11のC301)を探索し、一致していた場合には、同一領域(入力データのC302と生成データのC101が対応)に透明トナー画像形成用のデータ(生成データのC100)を生成する。そして、生成された画像形成用のデータを画像形成部7へと送り、画像形成部7は、紙などの記録媒体上に、通常の画像と、透明トナー画像を重ねて形成する。
【0049】
以下の各実施例は、透明トナーの載せ方の変形例である。
【実施例2】
【0050】
実施例2は、入力画像から、色弱者が認識しにくい色の組み合わせとなるクラスタを検出し、検出したクラスタに対して透明トナーを用いた画像形成を行い、色の光沢を制御することで、一般色覚者になるべく違和感を与えずに、色弱者の識別性を高めると共に、透明トナーの消費量を抑えた実施例である。
【0051】
図14は、本発明の実施例2の画像処理装置の構成を示す。実施例2の画像処理装置は、クラスタリング部101、識別性判断部102、情報取得部103、付加画像生成部104、色変換部105、画像形成部106から成る。
【0052】
以下の説明で、入力画像データの色情報は、基本的にRGBデータにより構成されるものとし、各処理部では、必要に応じて適宜、RGB値をCIEL*a*b*値やL*C*H*値(CIE L*a*b*表色系におけるa*b*平面上の座標(a*,b*)を極座標表示(C*,H*)に変換したもの)に変換し、処理を行うものとする。
【0053】
クラスタリング部101では、入力画像データの各画素の色信号(RGB信号)に基づいて、各画素を同一とみなせるクラスタに分類する。識別性判断部102では、クラスタリング部101で分類された各クラスタの代表色に基づき、全てのクラスタ代表色の組合せについて、色弱者が識別しにくい色を評価し、識別性に問題のある組合せとなるクラスタを決定する。
【0054】
情報取得部103は、識別性判断部102で識別性に問題のある組み合わせとなるクラスタの情報を取得する。付加画像生成部104は、情報取得部103で取得した、識別性に問題のある組み合わせとなるクラスタの情報に基づき、透明トナーによる画像形成用の画像データを生成する。色変換部105では、入力画像データに対する通常の色変換を行い、カラートナーによる画像形成用の画像データに変換する。画像形成部106では、色変換部105および、付加画像生成部104からそれぞれ出力される画像形成用データに基づき、カラートナー画像と透明トナー画像とを用いて記録媒体への画像形成を行う。
【0055】
図3は、実施例2の処理フローチャートを示す。まず、ステップS101において、入力画像データが取得される。ステップS102において、クラスタリング部101は、入力画像データの各画素の色信号(RGB信号)に基づいてクラスタリングを行う。ステップS102のクラスタリングの処理の詳細を説明する。
【0056】
図16は、クラスタリング部104の構成を示す。カラー変換部201では、入力画素の色情報であるRGB信号をL*a*b*に変換する。クラスタ分類部202では、入力画素のL*a*b*値に基づいて各画素を実質的に同一とみなせるクラスタに分類する。実質的に同一であるとは、明るさ、彩度、色相が略同一であることを示している。
【0057】
クラスタ分類部202によるクラスタリング結果として、クラスタの色情報、クラスタを構成する画素数、クラスタを構成する画素の位置が得られる。クラスタを構成する画素の位置とは、例えば、入力画像データの左上の位置を基点として、画像の横方向、縦方向に対して何画素目に位置するかの情報である。横方向の位置をx、縦方向の位置をyとすると、画素位置は(x,y)として表せる。
【0058】
図17は、クラスタリング部104の処理フローチャートである。初めて注目画素が入力された時点では、クラスタ数NはN =0に初期化された状態であるため(ステップS201)、色差による条件分岐(ステップS206)で“NO”の方に進んでクラスタ番号1を新規クラスタとして追加し、クラスタ数をN=1に設定し、クラスタ番号1の画素数をn(1)=0に設定する(ステップS209)。さらに、クラスタ番号1の平均L*a*b*に注目画素のL*a*b*値が設定される(ステップS210)。
【0059】
その後は、順次入力される注目画素のL*a*b*値に対して、各クラスタの平均L*a*b*との色差を求め(ステップS204)、その中で色差最小のクラスタ番号jと色差dE_minの組を取得する(ステップS205)。
【0060】
色差は、式(4)により算出する。
色差=|ΔL*|+|Δa*|+|Δb*| 式(4)
ここで、ΔL*、Δa*、Δb*は、注目画素と各クラスタの明度成分L*、a成分a*、b成分b*のそれぞれの差分値である。
【0061】
色差による条件分岐(ステップS206)で色差dE_minが予め設定された閾値dE_th以下であれば(ステップS206でYES)、ステップS207の方に進んでクラスタjに入力画素を追加し、平均L*a*b*を再計算する。クラスタjの画素数n(j)を+1して、L*a*b*の平均値を以下の式に従い再計算する。
(再計算後の平均L*)=((再計算前の平均L*)×(n(j)−1)+(入力画素のL*))/n(j)
(再計算後の平均a*)=((再計算前の平均a*)×(n(j)−1)+(入力画素のa*))/n(j)
(再計算後の平均b*)=((再計算前の平均b*)×(n(j)−1)+(入力画素のb*))/n(j)
色差による条件分岐(ステップS206)で色差dE_minが予め設定された閾値dE_thより大きければ(ステップS206でNO)、ステップS209の方に進んで新規クラスタを追加し、クラスタ数Nをカウントアップして新規クラスタの画素数を0に設定し、平均L*a*b*に入力画素のL*a*b*を設定する(ステップS209、ステップS210)。
【0062】
新規クラスタを追加するか否かの境界色差を表しているのがdE_thであり、dE_thを予め設定する。注目画素がいずれかのクラスタに属する場合は、その画素位置に対応した色情報とともに、クラスタ番号が付与される(ステップS211)。全ての画素において処理を終了した時点(ステップS202でYES)で、クラスタリング終了となる。まだ終了していない場合は、ステップS203以降の処理を繰り返す。
【0063】
クラスタリングが終了した時点で、クラスタ数、クラスタを構成する画素数、注目画素が属するクラスタ番号(各クラスタを構成する画素の位置)、さらに、各クラスタの色情報(クラスタを構成する画素の平均L*a*b*値)が得られる。
【0064】
図15に戻り、ステップS103において、クラスタリング後の各クラスタの色情報(本実施例ではクラスタを構成する画素の平均値L*a*b*とする)から、識別性判断部102は、色弱者にとって識別しにくい色の組み合わせがないかを、例えば、前掲した式(1)のような識別性評価式を用いて判断する。
(識別性)=α|ΔL*|+β|Δb*| 式(1)
ここで、ΔL*、Δb*は、クラスタリング後の各クラスタのうちの2つのクラスタの代表色の明度成分L*、b成分b*のそれぞれの差分値である。また、式(1)において、係数α及びβは、α>βを満たす定数であり、色弱者による主観評価によってあらかじめ求めておいた値であり、例えば、α=0.17、β=0.13とすればよい。
【0065】
式(1)により求められる2つのクラスタにおける、識別性の評価値が、所定の閾値(th_A)以下(ここでは仮にth_A=3.0とする)である場合に、色弱者にとっての識別性が悪いと判断する。
【0066】
以上説明した識別性評価式により、識別しにくい色の組み合わせとなるクラスタが存在する(識別性の評価値が3.0以下)場合には、ステップS104に進む。存在しない場合には、ステップS106へ進む。
【0067】
ステップS104では、情報取得部103が、識別しにくい色の組み合わせとなる2つのクラスタに対する情報取得を行う。本実施例では、取得する情報としてクラスタを構成する画素数、各画素の属するクラスタ番号とする。ステップS105では、ステップS104で取得した情報に基づいて、付加画像生成部104が、どちらか一方のクラスタを選択して、選択したクラスタを構成する画素に対して付加する画像データを生成する。
【0068】
本実施例では、2つのクラスタの画素数を比較し、画素数の小さい方のクラスタを選択して、該クラスタを構成する画素に対して、透明トナーを付加する付加画像生成処理を行う。生成する画像データは、カラー画像面の凹凸を平坦化するようなデータを生成するものとする。
【0069】
付加画像生成部104は、クラスタを構成する画素に対応するRGB値をCMYK値へ変換した際のCMYKの色材総量(sum_CMYK)を求め、予め定めた色材総量(Max_Target)に合致するように、付加画像データを生成する。このようにすることで、該当するクラスタにおいては、予め定めた色材総量に揃った状態(カラー画像面の凹凸が平坦化された状態)にすることが出来る。
【0070】
付加画像データの値をdata_Tとすると、以下の式により、注目画素における付加画像データを求めることができる。
data_T=Max_Target−sum_CMYK
但し、sum_CMYKは、RGBから通常の3D−LUTなどを用いたRGB→CMYK値への変換したCMYKデータの総和である。また、Max_Target>sum_CMYKである。生成した画像データは、後述する画像形成部106において入力画像データのカラー変換画像と合成して出力媒体に画像形成される。
【0071】
図18は、付加画像生成部の処理フローチャートを示す。ステップS301において、注目画素のクラスタ番号を取得する。注目画素のクラスタ番号は、先に説明したクラスタリング部104において、クラスタリングした際に得られるものである。
【0072】
ステップS302では、注目画素のクラスタ番号と、先に選択した付加画像データを生成する対象となるクラスタ番号(Tとする)と比較する。等しい場合には、ステップS303へ進み、先に説明した、画像面を平坦化するように付加画像データ生成を行う。等しくない場合には、ステップS304へ進み、透明トナーを載せないことを表す画像データとして、注目画素の生成データ値=0とする。
【0073】
このようにすることで、クラスタ番号Tをもつクラスタに対してのみ透明トナーを載せることができる。ステップS305では全ての画素に対して処理を終了したかを判断し、全画素終了していない場合は、ステップS301へ戻り次の注目画素に対する処理を繰り返す。
【0074】
図15に戻り、ステップS106では、色変換部105は入力画像データに対して通常の3D−LUTなどを用いたRGB→CMYK値への変換を行う。ステップS107では、画像形成部106はカラー(CMYK)画像と付加画像とにより記録媒体に画像形成を行う。
【0075】
以上説明したように、入力画像データから色弱者にとって識別しにくい色の組み合わせとなるクラスタが存在するか否かを判断して、識別しにくい色の組み合わせが存在する場合には、構成する画素数が小さい方のクラスタに透明トナーを載せるための画像データを生成しているので、色弱者の識別性が向上され、また、より効果的にトナー消費量を抑制することができ、プリントに掛かるコストを削減することが出来る。
【実施例3】
【0076】
実施例2では、入力画像データにおいて、識別しにくい色の組み合わせが存在する場合には、構成する画素数が小さい方のクラスタに透明トナーを載せる実施例を説明したが、本実施例ではさらに、クラスタを構成する画素数が小さすぎる場合には、透明トナーを載せることによる色弱者の識別性向上の効果が無いと判断し、画素数が大きい方のクラスタに透明トナーを載せる実施例である。
【0077】
本実施例における構成は、実施例2で説明した図14と同一であるため省略する。実施例2との相違は、全体の処理フローチャート(図15)のステップS105における処理内容であるため、ステップS105の処理についてのみ説明する。
【0078】
図19は、実施例3のステップS105における処理の詳細を示した処理フローチャートである。ステップS401において、識別しにくいと判断した2つのクラスタ(Cl1、Cl2とする)の画素数を取得する。また、2つのクラスタを構成する画素数をそれぞれ、num_Cl1、num_Cl2とする。
【0079】
ステップS402では、num_Cl1が予め定めた閾値(=th_minとする)と比較される。num_Cl1<th_minである場合は、ステップS403に進む。num_Cl1<th_minでない場合は、ステップS404に進む。
【0080】
ステップS403では、num_Cl2とth_minとを比較し、num_Cl2<th_minである場合は、ステップS406へ進む。num_Cl2<th_minでない場合は、ステップS408へ進む。
【0081】
ステップS404では、num_Cl2とth_minとを比較し、num_Cl2<th_minである場合は、ステップS407へ進む。num_Cl2<th_minでない場合は、ステップS405へ進む。
【0082】
ステップS405では、num_Cl1とnum_Cl2とを比較し、num_Cl1<num_Cl2である場合は、ステップS407へ進む。num_Cl1<num_Cl2でない場合は、ステップS408へ進む。
【0083】
ステップS406は、2つのクラスタの画素数がどちらもth_min未満である場合に行う処理であり、この場合は透明トナーを付加するための画像データの生成は行わない。
【0084】
ステップS407は、2つのクラスタの画素数のうち、num_Cl1がth_min以上である場合、もしくは、2つのクラスタの画素数がどちらもth_min以上であり、かつ、Cl1の画素数が小さい場合に行う処理であり、この場合はCl1のクラスタを構成する画素に透明トナーを付加するための画像データの生成を行う。
【0085】
ステップS408は、2つのクラスタの画素数のうち、num_Cl2がth_min以上である場合、もしくは、2つのクラスタの画素数がどちらもth_min以上であり、かつ、Cl2の画素数が小さい場合に行う処理であり、この場合はCl2のクラスタを構成する画素に透明トナーを付加するための画像データの生成を行う。
【0086】
以上説明したように、入力画像データから色弱者にとって識別しにくい色の組み合わせとなるクラスタが存在するか否かを判断して、識別しにくい色の組み合わせが存在する場合に、例え画素数の小さいクラスタを、透明トナーを載せるクラスタとして選択しても、予め定めた閾値以上の画素数を持たない場合には、画素数の小さいほうのクラスタではなく、大きい方のクラスタに対して透明トナーを載せるように画像データを生成することができる。 このように、付加画像データを生成する面積が小さいために、色弱者の識別性が向上しないと判断した場合は、もう一方のクラスタを選択して付加画像データを生成するので、色弱者の識別性を犠牲にせずに、トナー消費量を抑制することが出来る。
【実施例4】
【0087】
実施例4は、透明トナーの付加対象とするクラスタの色材量が一定値以上である場合には、画像面の凹凸を平坦化するのではなく、ハッチングを掛けるようにして、逆に透明トナーで凹凸をつけるように付加画像データを生成する実施例である。
【0088】
一般に、電子写真によるトナーを用いた画像形成により画像部に厚みが生じるが、画像部の色材量が多い場合には、画像表面の凹凸が少なくなり、既に高光沢な場合があるため、透明トナーを用いて凹凸をつけて、画像表面を粗くして光沢を下げる処理を行う。
【0089】
本実施例における構成は、図14と同一であるので省略する。実施例2との相違は、全体の処理フローチャート(図15)のステップS104以降における処理内容であるため、ステップS104以降の処理(ステップS101〜S103までは実施例2と同一)について説明する。
【0090】
ステップS104では、識別しにくい色の組み合わせとなる2つのクラスタに対する情報取得が行われる。本実施例で取得する情報として、クラスタを構成する画素数と、クラスタの平均L*a*b*値とする。
【0091】
まず、クラスタを構成する画素の色材量を略算出する。本実施例では、略算出する色材量として、カラー画像を形成する際のCMYK値の総和とする。
【0092】
図20は、クラスタの色材量を略算出するための処理フローチャートである。ステップS501において、識別しにくいと判断された各クラスタの平均L*a*b*値をRGB値へ変換する。ステップS502において、RGB値をCMYK値へ変換する。CMYK値への変換は、色変換部105で行っている通常の3D−LUTなどを用いた変換を行えばよい。ステップS503において、変換したCMYK値の総和(sum_CMYK)を計算して終了する。
【0093】
ステップS105では、2つのクラスタの色材量と、クラスタを構成する画素数を用いて、透明トナーを付加する付加画像生成処理を行う。
【0094】
図21は、実施例4の付加画像生成部における処理フローチャートを示す。まず、ステップS601において、識別しにくいと判断された各クラスタを構成する画素数を比較し、画素数の小さい方のクラスタを透明トナーを付加するクラスタとして選択する。ステップS602で、選択したクラスタのCMYK値の総和(sum_CMYK)を予め定めた閾値(th_B)と比較する。sum_CMYKがth_B未満の場合は、ステップS603へ進む。sum_CMYKがth_B以上の場合は、ステップS604へ進む。
【0095】
ステップS603では、選択したクラスタの画像面の凹凸を平坦化するように透明トナーを付加する付加画像生成処理を行う。選択したクラスタの画像面の凹凸を平坦化するように透明トナーを付加する処理については、実施例2で説明したので省略する。ステップS604では、選択したクラスタに、透明トナーによるハッチングが掛かるように付加画像データを生成する。
【0096】
ハッチングを掛けるための処理としての一例として、予め用意している入力画像データと同サイズのハッチング画像に対して、選択したクラスタ番号によるマスクを行う方法が挙げられる。
【0097】
例えば、図22(a)は、予め用意しているハッチング画像の例である。このハッチング画像において、黒の画素は、画素値=255、白の画素は、画素値=0とする。また、図22(b)は、付加画像生成処理を行うと選択したクラスタ番号に属する画素領域(白破線内の領域)を示した例(マスク画像の例)である。
【0098】
図22(a)のハッチング画像と、図22(b)のマスク画像の画素位置を比較し、マスク画像領域内の画素であれば、付加画像データの画素値をハッチング画像の画素位置に対応する画素値とし、それ以外の画素に対しては、付加画像データの画素値を0とすることで、図22(c)に示したような、選択したクラスタ領域にのみハッチングを掛ける付加画像データを生成することが出来る。
【0099】
ハッチング画像については、本実施例では45度のスクリーン角をもつ画像を例示したが、各カラー画像(C、M、Y、K)に用いるスクリーン角と異なるスクリーン角を設定するようにしても良い。
【0100】
ステップS106では、入力画像データに対して通常の3D−LUTなどを用いたRGB→CMYK値への変換が行われる。ステップS107では、カラー(CMYK)画像と透明トナー画像とを合わせて記録媒体に画像形成する。
【0101】
以上説明したように、入力画像データから色弱者にとって識別しにくい色の組み合わせとなるクラスタが存在するか否かを判断して、透明トナーを載せるためのクラスタを選択し、クラスタの色材量(CMYK値の総和)がある閾値以上の場合は、ハッチングによる透明トナーを載せる画像データを生成し、対象クラスタの画像面に凹凸をつけることができる。このように、対象クラスタを再現するCMYK色材量に応じて付加画像データの生成方法を変更しているので、適切に色弱者の識別性を向上させることが出来る。
【実施例5】
【0102】
実施例5は、透明トナーの付加対象とするクラスタの色材量がどちらも一定値以上である場合には、片方のクラスタに対しては、画像面に凹凸がつくような透明トナーによる載せ方とし、もう片方のクラスタに対しては、画像面の凹凸を平坦化するように透明トナーを載せて、クラスタ間の光沢度に差をつけることにより、色弱者の識別性を向上させるようにした実施例である。
【0103】
本実施例における構成は、図14と同一であるので省略する。実施例4との相違は、全体の処理フローチャート(図15)のステップS105以降における処理内容であるため、ステップS105以降の処理(ステップS101〜S104までは実施例4と同一)について説明する。
【0104】
ステップS105では、色弱者が識別しにくい色の組み合わせと判断した2つのクラスタの色材量と、クラスタを構成する画素数を用いて、透明トナーを付加する付加画像生成処理を行う。
【0105】
図23は、実施例5の付加画像生成部における処理フローチャートを示す。まず、ステップS701において、識別しにくいと判断された各クラスタ(本例では、各クラスタをCl1、Cl2とする)の色材量であるCMYK値の総和(本例では、sum_Cl1、sum_Cl2とする)を算出する。算出方法は、実施例4で説明した方法と同一であるので省略する。
【0106】
ステップS702において、クラスタCl1の色材量sum_Cl1を予め定めた閾値(th_C)と比較し、th_C未満であるか否かの判定を行う。sum_Cl1<th_Cである場合は、ステップS703に進む。sum_Cl1<th_Cでない場合は、ステップS704に進む。
【0107】
ステップS703では、sum_Cl2とth_Cとを比較し、sum_Cl2<th_Cである場合は、ステップS705へ進む。sum_Cl2<th_Cでない場合は、ステップS707へ進む。
【0108】
ステップS704では、sum_Cl2とth_Cとを比較し、sum_Cl2<th_Cである場合は、ステップS706へ進む。sum_Cl2<th_Cでない場合は、ステップS708へ進む。
【0109】
ステップS705は、2つのクラスタの色材量がどちらもth_C未満である場合に行う処理であり、この場合は画素数の小さいクラスタへの付加画像データを生成する。
【0110】
ステップS706は、クラスタCl2の色材量のみth_C未満である場合に行う処理であり、この場合はクラスタCl2のクラスタを構成する画素に透明トナーを付加するための画像データの生成を行う。
【0111】
ステップS707は、クラスタCl1の色材量のみth_C未満である場合に行う処理であり、この場合はクラスタCl1のクラスタを構成する画素に透明トナーを付加するための画像データの生成を行う。
【0112】
ステップS708は、どちらのクラスタの色材量もth_C以上である場合に行う処理であり、この場合はクラスタCl1とCl2のクラスタに対して、透明トナーを付加するための画像データの生成を行う。
【0113】
この場合、Cl1とCl2に対して別々の付加画像データを生成する。Cl1とCl2の色材量を比較し、色材量の大きいクラスタに対して画像面の凹凸を平坦化するように透明トナーを付加する付加画像データを生成し、色材量の小さいクラスタに対して透明トナーにより画像面の凹凸がつくように付加画像データを生成する。凹凸が付くような付加画像データとしては、例えば、先の実施例4で示したハッチングを掛ける処理を行う。なお、Cl1とCl2の色材量が等しい場合でも、別々の付加画像データを生成するようにする。
【0114】
以上説明したように、一方のクラスタにおける光沢度を下げるために、透明トナーによるハッチングを掛けることによりトナー画像表面に意図的に凹凸を設け、もう一方のクラスタにおける光沢度を上げるために、画像面の凹凸を平坦化するように透明トナーを付加することにより平坦化を行い、2つのクラスタの光沢度に差をつけることができる。このように、対象クラスタを再現するCMYK色材量に応じて積極的に光沢差を出すようにすることができ、適切に色弱者の識別性を向上させることが出来る。
【0115】
図24は、本発明をソフトウェアで実施する場合の画像処理システムのハードウェア構成例を示す。コンピュータ10は、プログラム読取装置10a、全体を制御するCPU10b、CPU10bのワークエリア等として使用されるRAM10c、CPU10bの制御プログラム等が記憶されているROM10d、ハードディスク10e、NIC10f、マウス10g、キーボード10h、画像データを表示したり、ユーザーが画面に直接触れることで情報の入力が可能なディスプレイ11、カラープリンタ等の画像形成装置12とを備えている。本画像処理システムは、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータ等で実現することができる。
【0116】
このような構成の場合、図2に示した色抽出部1〜色変換部6の機能、図14に示したクラスタリング部101〜色変換部105の機能はCPU10bに実行させることができる。また、入力画像データは、DISK10eやRAM10c、ROM10dのいずれかに保持されたものを読み出したり、NIC10fから入力させることができる。なお、CPU10bで行われる画像処理機能は、例えばソフトウェアパッケージ、具体的には、CD−ROMや磁気ディスク等の情報記録媒体の形で提供することができ、このため、図24に示す例では、情報記録媒体がセットされると、これを駆動する図示しない媒体駆動装置が設けられている。
【0117】
以上により、本発明における画像処理方法は、ディスプレイ等を備えた汎用の計算機システムにCD−ROM等の情報記録媒体に記録されたプログラムを読み込ませて、この汎用計算機システムの中央演算装置に画像処理を実行させる装置構成においても実施することが可能である。この場合、本発明の画像処理を実行するためのプログラム、すなわちハードウェアシステムで用いられるプログラムは、記録媒体に記録された状態で提供される。プログラムなどが記録される情報記録媒体としてはCD−ROMといったものに限定されるものではなく、例えばROM、RAM、フラッシュメモリ、光磁気ディスクといったものが用いられても良い。記録媒体に記録されたプログラムは、ハードウェアシステムに組み込まれている記憶装置、例えばハードディスク10eにインストールされることにより、このプログラムを実行して、画像処理機能を実現することができる。また、本発明の画像処理機能を実現するためのプログラムは、記録媒体の形で提供されるのみならず、例えばネットワークを介した通信によってサーバから提供されるものでも良い。
【符号の説明】
【0118】
1 色抽出部
2 色信号変換部
3 識別性評価部
4 付加画像生成部
5 色調整部
6 色変換部
7 画像形成部
101 クラスタリング部
102 識別性判断部
103 情報取得部
104 付加画像生成部
105 色変換部
106 画像形成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2007−293832号公報
【特許文献2】特開2008−77307号公報
【特許文献3】特開2001−293926号公報
【特許文献4】特開2007−271946号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データを画像形成用の画像データに変換する画像処理装置であって、前記入力画像データから使用色を抽出する色抽出手段と、前記抽出された使用色の信号を、輝度を含む3つの色信号成分から成る中間色信号へと変換する色信号変換手段と、前記変換された中間色信号に基づき、前記使用色の識別性を評価する識別性評価手段と、前記識別性評価手段の評価結果及び入力画像データに基づき、通常の画像形成用のデータに付加する付加画像データを生成する付加画像生成手段と、前記入力画像データを、通常の画像形成用データに変換する色変換手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記付加画像生成手段により生成される付加画像データは、出力媒体の表面の散乱特性を変化させるような画像形成材料を制御するための画像形成用データであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記付加画像生成手段は、識別性評価手段によって識別性が悪いと評価された色の組合せのうち、明度差が所定値以上であった場合又は明度差が所定値以下でかつ彩度差が所定値以下であった場合、明度の高い方の色の領域に対して、明度差が所定値以下で彩度差が所定値以上であった場合、彩度の低い方の色の領域に対して、それぞれ前記付加画像形成用のデータを生成することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記付加画像生成手段は、識別性評価手段によって識別性が悪いと評価された色の組合せのうち、一方の色の色相角と通常の画像形成に用いられる有彩の画像形成材料の色相角との色相角差が所定値以下であった場合、前記一方の色の領域に対して、前記付加画像形成用のデータを生成することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
さらに色調整部を備え、前記付加画像データの有無によって、前記使用色の識別性を変化させられない場合に、色調整を行うことにより、識別性を向上させることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
入力画像データを画像形成用の画像データに変換する画像処理方法であって、前記入力画像データから使用色を抽出する色抽出工程と、前記抽出された使用色の信号を、輝度を含む3つの色信号成分から成る中間色信号へと変換する色信号変換工程と、前記変換された中間色信号に基づき、前記使用色の識別性を評価する識別性評価工程と、前記識別性評価工程の評価結果及び入力画像データに基づき、通常の画像形成用のデータに付加する付加画像データを生成する付加画像生成工程と、前記入力画像データを、通常の画像形成用データに変換する色変換工程とを備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
入力画像データの各画素を色差に基づき複数のクラスタに分類するクラスタ化手段と、前記複数のクラスタにおいて、色弱者にとって識別しにくい組み合わせのクラスタを判断する識別性判断手段と、前記識別性判断手段により識別しにくいと判断された組み合わせのクラスタを対象クラスタとして、前記対象クラスタにおける情報を取得する情報取得手段と、前記取得した対象クラスタにおける情報に基づき、前記対象クラスタに付加する付加画像データを生成する付加画像生成手段と、前記入力画像データを通常の画像形成用データに変換する色変換手段と、前記通常の画像形成用データと前記付加画像データとに基づいて記録媒体に出力画像形成を行う画像形成手段とを備えること特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
前記付加画像生成手段は、前記対象クラスタのうちの一方のクラスタに対して付加画像データを生成することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記情報取得手段は、前記対象クラスタを構成する画素数を情報として取得し、前記付加画像生成手段は、構成する画素数の小さい方のクラスタに対する付加画像データを生成することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記付加画像生成手段は、前記付加画像を生成するクラスタの画素数が予め定めた閾値以上であるか否かを判断し、予め定めた閾値未満である場合には、前記クラスタではないもう一方のクラスタに対して付加画像データを生成することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記情報取得手段は、前記対象クラスタを構成する各画素の代表色を取得し、前記代表色を通常の画像形成用データに変換した際の色材量を求め、前記付加画像生成手段は、前記色材量が予め定めた閾値未満であるか否かに応じて、前記付加画像データの生成方法を異ならせることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記情報取得手段は、前記対象クラスタを構成する各画素の代表色を取得し、前記代表色を通常の画像形成用データに変換した際の色材量を求め、前記付加画像生成手段は、前記色材量が予め定めた閾値以上である場合に、前記対象クラスタの一方のクラスタと他方のクラスタに対してそれぞれ異なる付加画像データを生成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記付加画像生成手段は、光沢を上げる付加画像データと光沢を下げる付加画像データを前記各クラスタに対する付加画像データとして生成することを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
【請求項14】
入力画像データの各画素を色差に基づき複数のクラスタに分類するクラスタ化工程と、前記複数のクラスタにおいて、色弱者にとって識別しにくい組み合わせのクラスタを判断する識別性判断工程と、前記識別性判断工程により識別しにくいと判断された組み合わせのクラスタを対象クラスタとして、前記対象クラスタにおける情報を取得する情報取得工程と、前記取得した対象クラスタにおける情報に基づき、前記対象クラスタに付加する付加画像データを生成する付加画像生成工程と、前記入力画像データを通常の画像形成用データに変換する色変換工程と、前記通常の画像形成用データと前記付加画像データとに基づいて記録媒体に出力画像形成を行う画像形成工程とを備えること特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
請求項6または14記載の画像処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項6または14記載の画像処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−56716(P2011−56716A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207327(P2009−207327)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】