説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、及びこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに画像処理サーバ

【課題】画像処理技術において、重要なデータ及び元データの存在しないデータを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できるようにすること。
【解決手段】読み取られたデータ又は受信したデータは、画像処理される。こ画像処理された後のデータは、HDDに記憶される。HDDで記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になると、HDDに記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータが抽出される。削除候補データが抽出されると、削除候補として抽出された画像データに関連するユーザを通知先として抽出する。通知先が抽出されると、抽出された通知先のPCに対して、削除候補として抽出された画像データを削除する旨が電子メールで通知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、及びこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに画像処理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、複合機は、記憶手段としてHDD(Hard Disk Drive)を備え、コピー、SCAN TО E―MAIL、プリント及びファクシミリ通信等の各画像処理を行なった画像データをHDDに記憶して、再利用及び参照を行なう、ドキュメントファイリング機能を有している。
【0003】
ここに、「SCAN TО E―MAIL」とは、読み取った又は受信したデータを電子メールに添付して送信することをいう。
【0004】
上記のようなドキュメントファイリング機能を有する複合機では、HDDの記憶容量が一杯になるまでは、画像処理されたデータ(以下、単に「画像データ」と称することもある。)は順次記憶されてファイリング可能であるが、HDDの記憶容量が一杯になったときの対応として、以下の先行技術がある。
【0005】
特許文献1では、HDDがディスクフルになった場合に、画像処理されたデータを再圧縮するか否かを促す画面を表示し、操作部でユーザにより選択されたファイルを圧縮する旨が開示されている。
【0006】
特許文献2では、印刷保存用記憶手段の記憶領域が不足した場合に、保存されている印刷データのうちより一時的なデータを、印刷処理に用いられる印刷処理用記憶手段の一部を仮想的に印刷データ保存用記憶手段の後続部と認識して、印刷処理用記憶手段へ移動させる旨が開示されている。
【0007】
ここに、「一時的なデータ」とは、電源を切ると自動的に削除されるもの、指定部数を超えると自動的に削除されるもの、及び上限サイズを超えると古いものから自動的に削除されるものである。
【0008】
特許文献3では、印刷装置の登録データ記憶手段の記憶容量が一杯になったときに、古い登録データ及び最近使用されていない登録データを削除し、その登録データの登録者に削除した旨を電子メールで通知する旨が開示されている。
【0009】
特許文献4では、記憶された画像データを指定時間に自動消去する前に、たとえば、文字認識により文字コード化する等し、画像データをベクトル化してサーバに転送する旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−88417号公報
【特許文献2】特開2006−123342号公報
【特許文献3】特開2004−34585号公報
【特許文献4】特開2006−163470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ユーザが再圧縮する画像データを選ぶので手間がかかるという問題がある。
【0012】
上記特許文献2〜4に記載の技術では、ユーザが選んでいないが、一律に画像データの削除又は転送が行なわれるため、重要な画像データが失われる問題がある。また、画像データは、様々な方法で作成され、作成された方法によっては元データが存在しない可能性が高いのにもかかわらず、一律に削除するのは好ましくない。
【0013】
本発明は、記憶手段(HDD)の記憶容量が一杯となった場合に、記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除するデータの候補を抽出し、削除前にユーザへ通知することで、重要なデータ及び元データの存在しないデータを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できる、画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、及びこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに画像処理サーバの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、読み取られたデータ又は外部から受信したデータを画像処理するための画像処理手段と、前記画像処理手段において画像処理された後のデータを記憶するための記憶手段と、前記記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出手段と、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出手段と、前記通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知手段とを含むものである。
【0015】
上記構成において、読み取られたデータ又は外部から受信したデータは、画像処理手段により画像処理される。この画像処理手段において画像処理された後のデータは、記憶手段に記憶される。記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になると、削除候補データ抽出手段は、記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出する。削除候補データ抽出手段により削除候補データが抽出されると、通知先抽出手段は、削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出する。通知手段は、通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知する。このように、記憶手段(HDD)の記憶容量が一杯になると、画像処理されたデータの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに削除前に通知される。そのため、重要な画像データ及び元データの存在しない画像データを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できることになる。
【0016】
ある態様では、前記データの属性は、前記画像処理手段におけるデータの画像処理内容である。
【0017】
この場合、コピー、SCAN TО E―MAIL、プリント及びファクシミリ通信等の処理内容に応じて削除候補を決定することで、元の電子データの存在可能性及び書類の存在可能性によって削除可否を決定することができる。
【0018】
また、ある態様では、前記データの属性は、前記画像処理手段により画像処理されたデータが特定パターンを含むか否かに関する情報である。
【0019】
この場合、特定パターン(社外秘及び部外秘等)によって重要書類を判別し、重要書類を削除対象からはずすことができる。
【0020】
さらに、ある態様では、前記データの属性は、前記画像処理手段により画像処理されたデータの特定ファイル名である。
【0021】
この場合、ファイル名によって重要書類を判別し、重要書類を削除対象からはずすことができる。
【0022】
さらにまた、ある態様では、前記データの属性は、前記画像処理手段により画像処理されたデータの特定記憶場所である。
【0023】
この場合、特定記憶場所(たとえば、フォルダ)によって重要書類を判別し、重要書類を削除対象からはずすことができる。
【0024】
ところで、上記のように、記憶手段(HDD)の記憶容量が一杯になると、画像データの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに通知されるが、この通知は、抽出された削除候補データの削除権限を有する者に対して行なわれる必要がある。
【0025】
そこで、ある態様では、前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータが特定のフォーマットのデータである場合には、そのフォーマットに応じた通知先に決定するための手段を含む。
【0026】
また、ある態様では、前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータが指定フォルダにある場合には、そのフォルダに応じた通知先に決定するための手段を含む。
【0027】
さらに、ある態様では、前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータがファクシミリ受信により作成されたデータである場合は、管理者及び/又は受信者を通知先に決定するための手段を含む。
【0028】
さらにまた、ある態様では、前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータが読み取った又は受信したデータを電子メールに添付して送信されたデータ(SCAN TО E―MAIL)である場合には、そのデータ作成者及び/又は送信先を通知先に決定するための手段を含む。
【0029】
加えて、ある態様では、前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータの作成者が前記記憶手段に記憶されている場合には、その作成者を通知先に決定する一方、そうでない場合は、管理者を通知先に決定するための手段を含む。
【0030】
本発明の第2の観点に係る画像処理方法は、読み取られたデータ又は外部から受信したデータを画像処理するための画像処理ステップと、前記画像処理ステップにおいて画像処理された後のデータを記憶手段に記憶させるための記憶ステップと、前記記憶ステップにおいて前記記憶手段に記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出ステップと、前記削除候補データ抽出ステップにおいて削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出ステップと、前記通知先抽出ステップにおいて抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出ステップにおいて削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知ステップとを含むものである。
【0031】
上記構成によれば、記憶手段(HDD)の記憶容量が一杯になると、画像処理されたデータの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに削除前に通知される。そのため、重要な画像データ及び元データの存在しない画像データを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できることになる。
【0032】
本発明の第3の観点に係る画像処理プログラムは、コンピュータを、読み取られたデータ又は外部から受信したデータを画像処理するための画像処理手段と、前記画像処理手段において画像処理された後のデータを記憶するための記憶手段と、前記記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出手段と、 前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出手段と、前記通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知手段として機能させるものである。
【0033】
上記構成によれば、記憶手段(HDD)の記憶容量が一杯になると、画像処理されたデータの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに削除前に通知されるため、重要な画像データ及び元データの存在しない画像データを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できることになる。
【0034】
本発明の第4の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータを、読み取られたデータ又は外部から受信したデータを画像処理するための画像処理手段と、前記画像処理手段において画像処理された後のデータを記憶するための記憶手段と、前記記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出手段と、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出手段と、前記通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知手段として機能させる、画像処理プログラムを記録したものである。
【0035】
上記構成によれば、記憶手段(HDD)の記憶容量が一杯になると、画像処理されたデータの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに削除前に通知されるので、重要な画像データ及び元データの存在しない画像データを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できることになる。
【0036】
なお、上記記録媒体としては、たとえば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで処理が行なわれるためのメモリそのものが記録媒体であってもよい。また、コンピュータの外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、この装置に挿入することで読み取り可能な記録媒体であってもよい。何れの場合においても、記録されている画像処理プログラムは、プロセッサが記録媒体にアクセスすることで実行される。また、プロセッサが記録媒体から画像処理プログラムを読み出し、この読み出された画像処理プログラムをプログラム記憶エリアに複写して実行するようにしてもよい。プロセッサは、インストールされた画像処理プログラムに従って所定の画像処理動作を行なうようにコンピュータの各部を統括的に制御する。
【0037】
さらに、プログラム読み取り装置で読み取り可能な記録媒体としては、(1)磁気テープ、(2)カセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク(FD)、HDD等の磁気ディスク、又はCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、MO(Magneto Optical Disk)、MD(Mini Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスクといったディスク系、(3)メモリカードを含むIC(Integrated Circuit)カード、光カード等のカード系、及び(4)マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリを含めた固定的にプログラムを記録する媒体等を例示することができる。
【0038】
さらにまた、コンピュータを、インターネットを含む通信ネットワークに接続可能な構成とし、通信ネットワークから画像処理プログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。このように通信ネットワークから画像処理プログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めコンピュータに格納しておけばよい。また、他の記録媒体からインストールされてもよい。
【0039】
本発明の第5の観点に係る画像処理サーバは、画像処理装置とネットワークを通じて接続された画像処理サーバであって、前記画像処理装置から送られてきたデータを記憶するための記憶手段と、前記記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出手段と、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出手段と、前記通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知手段とを含むものである。
【0040】
上記構成において、画像処理装置から送られてきたデータは、記憶手段に記憶される。
記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になると、削除候補データ抽出手段は、記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出する。削除候補データ抽出手段により削除候補データが抽出されると、通知先抽出手段は、削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出する。通知手段は、通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知する。このように、画像処理サーバ(外部サーバ)でドキュメントファイリングするシステムであっても、記憶手段(HDD)の記憶容量が一杯になると、画像処理されたデータの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに削除前に通知されるので、結果的に、重要な画像データ及び元データの存在しない画像データを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できることになる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、記憶手段(HDD)の記憶容量がしきい値以上になった場合に、記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除するデータの候補が抽出され、削除前にユーザに通知されるので、重要なデータ及び元データの存在しないデータを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】データ属性テーブルの構成を示す図である。
【図3】通知先テーブルの構成を示す図である。
【図4】画像処理装置のメインルーチンのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【図5】通知メールの一例を示す図である。
【図6】サブルーチンとしての削除候補抽出処理を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【図7】サブルーチンとしての削除候補の通知対象補抽出処理を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る画像処理装置におけるサブルーチンとしての削除候補抽出処理を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【図9】特定パターンを示す図であって、(A)は「社外秘」マークを示し、(B)は「部外秘」マークを示している。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る画像処理システムの構成を簡略化して示す図である。
【図11】画像処理サーバの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0044】
[第1の実施の形態]
<画像処理装置の構成>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置100の構成を示すブロック図である。
【0045】
図1を参照して、本実施の形態の画像処理装置100は、ドキュメントファイリング機能を有するMFP(Multi Function Printer)であって、コンピュータ102、印字部104、スキャナ部106及び通信インターフェース(以下、「通信I/F」という。)108を含む。
【0046】
コンピュータ102は、制御デバイス110及びHDD112を備えている。
【0047】
印字部104、スキャナ部106、通信I/F108、制御デバイス110及びHDD112は、それぞれ、BUS114に接続されている。
【0048】
制御デバイス110は、CPU、ROM、RAM及びタイマ等から構成される。この制御デバイス110には、画像処理部116、ファイリング部118、削除候補抽出部120、通知対象抽出部122、通信部124及び削除部126が含まれる。
【0049】
画像処理部116は、スキャナ部106で読み取られたデータ、又はLAN(Local Area Network)及び通信I/F108を介してパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)及びファクシミリ(以下、「FAX」という。)等の外部装置から受信したデータを画像処理する。このとき、画像処理部116は、指定された画像処理内容に従ってコピー、SCAN TО E―MAIL、プリント及びFAX通信等の各画像処理を行なう。それゆえ、指定された画像処理内容がコピー、プリント及びFAX受信である場合には、画像処理部116でこれに応じた画像処理が行なわれ、画像処理されたデータが印字部104から印刷出力される。また、指定された画像処理内容がSCAN TО E―MAIL及びFAX送信である場合には、画像処理部116でこれに応じて画像処理が行なわれ、画像処理されたデータが通信I/F108及びLANを介して上記外部装置に送られる。
【0050】
ここで、スキャナ部106は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等を含み、原稿からの反射光像をRGB(R:赤、G:緑、B:青)アナログ信号として読み取るように構成されている。一方、印字部104は、たとえば、感光体ドラム、帯電器、レーザスキャニングユニット(LSU)、現像器、転写器、クリーニング器及びトナー供給器等を含む、画像形成ユニットで構成される。
【0051】
ファイリング部118は、画像処理部116で画像処理されたデータをファイリングする。このファイリング部118でファイリングされた画像データ(ファイリングデータ)は、HDD112のファイリングデータ格納領域128内に格納される。さらに、このHDD112には、図2に示すデータ属性テーブル140を格納するためのデータ属性テーブル格納領域130、及び図3に示す通知先テーブル150を格納するための通知先テーブル格納領域132が形成されている。なお、データ属性テーブル140及び通知先テーブル150の構成については後述する。
【0052】
削除候補抽出部120は、HDD112で記憶された画像データの記憶容量がしきい値以上になった場合に、HDD112に記憶されている画像データの属性に基づいて、削除候補となる画像データを抽出する。本実施の形態においては、上記「画像データの属性」は、画像処理部116におけるデータの画像処理内容である。それゆえ、削除候補抽出部120は、コピー、SCAN TО E―MAIL、プリント及びファクシミリ通信等の処理内容に応じて削除候補データを決定する。
【0053】
通知対象抽出部122は、削除候補抽出部120により削除候補として抽出された画像データに関連するユーザを通知先として抽出する。
【0054】
通信部124は、通知対象抽出部122により抽出された通知先に対し、通信I/F108及びLANを介して削除候補抽出部120により削除候補として抽出された画像データを削除する旨を電子メール形式で通知する。
【0055】
削除部126は、LAN及び通信I/F108を介して上記通信先より削除候補として抽出された画像データを削除可とする旨の通知があった場合にそのデータを削除する。
【0056】
<データ属性テーブルの構成>
図2はデータ属性テーブル140の構成を示す図である。
【0057】
図2を参照して、データ属性テーブル140では、上記HDD112のファイリングデータ格納領域128に格納されたファイリングデータの各画像データごとに、そのファイル名、記憶場所、作成方法、作成者、受信元、送信先、パターン、回答内容、回答状況及び通知日時がリレーショナル化して登録されている。
【0058】
<通知先テーブルの構成>
図3は通知先テーブル150の構成を示す図である。
【0059】
図3を参照して、通知先テーブル150では、上記HDD112のファイリングデータ格納領域128に格納されたファイリングデータの各画像データごとに、そのフォーマット、フォルダ及び通知先がリレーショナル化して登録されている。具体的には、画像処理部116で画像処理されたデータが「決裁書」及び「展示会資料」等のように特定のフォーマット形式を有している場合には、「フォーマット」欄に文書名が記録され、「通信先」欄に通信先アドレスが記録される。また、画像処理部116で画像処理されたデータが「大石個人」、「大山個人」及び「月次報告書」等のように指定フォルダを有している場合には、「フォルダ」欄にフォルダ名が記録され、「通信先」欄に通信先アドレスが記録される。
【0060】
<ソフトウェアの構成>
本画像処理装置100では、画像処理部116でコピー、SCAN TО E―MAIL、プリント及びFAX通信等の各画像処理を行なった画像データをHDD112に記憶して、その画像データの再利用及び参照が可能とされる。このようなドキュメントファイリング機能を有するがゆえに、本実施に形態においては、HDD112の記憶容量がしきい値以上になった場合に、HDD112に記憶されている画像データの属性に基づいて、削除する画像データの候補を抽出し、削除前にユーザへ通知するようにプログラミングされている。このプログラムは、次に説明する本画像処理装置100の各種の機能を実現するためのソフトウェア資源として構成され、コンピュータ102の制御中枢を司る制御デバイス110のROMに記憶されている。これらの機能は、上記の制御デバイス110を構成する各部が上記プログラムを実行することによって達成される。
【0061】
(メインルーチン)
図4は画像処理装置100のメインルーチンのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【0062】
図4を参照して、プログラムが実行されると、まず、制御デバイス110は、HDD112の記憶容量がしきい値以上になるのを待つ(ステップS100)。
【0063】
HDD112の記憶容量がしきい値以上になると、制御デバイス110の削除候補抽出部120は、削除候補となる画像データを抽出する処理を行なう(ステップS200)。この削除候補抽出処理の具体的な処理内容については後述する。
【0064】
上記削除候補抽出処理が終了すると、制御デバイス110の通知対象抽出部122は、削除候補として抽出された画像データの通知対象を抽出する処理を行なう(ステップS300)。この削除候補の通知対象抽出処理の具体的な処理内容については後述する。
【0065】
上記削除候補の通知対象抽出処理が終了すると、制御デバイス110の通信部124は、図5に示すような通知メール160を作成し(ステップS400)、この作成した通知メール160を通信I/F108及びLANを介して通知対象として抽出された通知先のPCに送信する(ステップS500)。
【0066】
通知メール160を送信すると、制御デバイス110は、通知メール160に記載した回答期限日時に達するまで当該通知メール160の返信を待つ(ステップS600及びS900)。
【0067】
上記ステップS600及びS900において、上記回答期限日時に達するまでに通知メール160の返信があった場合には、制御デバイス110は、その返信メールの内容に基づいて、削除候補として通知した画像データを削除可能か否かを判断する(ステップS700)。このとき、削除可能であると判断されると、制御デバイス110の削除部126は、HDD112のファイリングデータ格納領域128にアクセスし、ファイリングデータの中から削除候補として通知した画像データを削除する(ステップS800)。その後、制御はステップS100に戻される。これに対し、削除不可であると判断されると、制御デバイス110は、HDD112のデータ属性テーブル格納領域130にアクセスし、削除候補として通知された画像データに関連するデータ属性テーブル140の「回答内容」欄(図2参照)に削除不可情報を記録する(ステップS1100)。このとき同時に、削除候補として通知された画像データに関連するデータ属性テーブル140の「回答状況」欄(図2参照)に「○」が記録される。その後、制御はステップS100に戻される。
【0068】
一方、上記ステップS600及びS900において、上記回答期限日時に達するまでに通知メール160の返信がない場合には、制御デバイス110は、HDD112のデータ属性テーブル格納領域130にアクセスし、削除候補として通知された画像データに関連するデータ属性テーブル140の「回答状況」欄に回答無し情報として「×」を記録すると共に「通知日時」欄(図2参照)に通知日時を記録する(ステップS1000)。その後、制御はステップS100に戻される。
【0069】
(削除候補抽出処理)
図6はサブルーチンとしての削除候補抽出処理を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。なお、この処理においては、HDD112に記憶されている画像データの属性に基づいて、削除候補となる画像データが抽出されるが、本実施の形態においては、画像データの属性は、画像処理部116におけるデータの画像処理内容に設定されているので、SCAN TО E―MAILを優先して削除候補データを抽出し、その後、たとえば、コピー、プリント及びFAX通信の順で削除候補データが抽出されるように、削除候補データの抽出順序が予め指定されている。このように、SCAN TО E―MAILを優先して削除候補データを抽出するように指定しているのは、スキャナ部106で読み取った又は外部装置から受信したデータが既に電子メールに添付して送信されており、いらない場合が多々あるからである。
【0070】
図6を参照して、削除候補抽出処理においては、まず、削除候補抽出部120は、HDD112のデータ属性テーブル格納領域130内に格納されているデータ属性テーブル140(図2参照)を参照して、上記の指定方法で作成された全画像データを候補として抽出する(ステップS202A)。
【0071】
次に、削除候補抽出部120は、データ属性テーブル140の「回答内容」欄を参照して、「削除不可情報」をもつ画像データを削除候補からはずす(ステップS204A)。
【0072】
さらに、削除候補抽出部120は、データ属性テーブル140の「回答内容」欄及び「通知日時」欄を参照して、「回答無し情報」を持ち且つ通知日時から回答期限日時を経過していない画像データを削除候補からはずす(ステップS206A)。
【0073】
その後、削除候補抽出部120は、削除候補となる画像データが有るか否かを判断する(ステップS208A)。
【0074】
上記ステップS208Aにおいて、削除候補となる画像データ(候補データ)が有ると判断された場合には、削除候補抽出部120は、その候補データ数が所定数以上か否かを判断する(ステップS210A)。候補データが所定数以上であると、削除候補抽出部120は、所定のルールに従って、候補データの絞り込みを行なう(ステップS212A)。ここに、「所定のルール」としては、データの古い順に絞り込む態様、及び容量の大きい順に絞り込む態様等を例示することができる。その後、削除候補抽出部120は、制御をステップS214Aに進める。これに対し、候補データが所定数未満であると、削除候補抽出部120は、制御をステップS214Aにジャンプさせる。制御がステップS214Aに進むと、削除候補抽出部120は、削除候補となる画像データを決定する。その後、制御はステップS202Aに戻される。
【0075】
一方、上記ステップS208Aにおいて、削除候補となる画像データが無いと判断された場合には、削除候補抽出部120は、上記の指定方法に従って他のデータ作成方法を指定する(ステップS216A)。その後、制御はステップS202Aに戻される。
【0076】
(削除候補の通知対象抽出処理)
図7はサブルーチンとしての削除候補の通知対象補抽出処理を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。なお、この処理においては、上記削除候補抽出処理で抽出された削除候補としての画像データの削除権限を有する者に対して通知が行なわれるように構成されている。
【0077】
図7を参照して、削除候補の通知対象抽出処理においては、まず、通知対象抽出部122は、削除候補抽出処理において削除候補として決定された画像データが特定のフォーマットであるか否かを判断する(ステップS302)。このとき、削除候補データのファイル名をパラメータとしてHDD112のデータ属性テーブル格納領域130内に格納されたデータ属性テーブル140(図2参照)を参照し、ファイル名が決裁書及び展示会資料等のように特定のフォーマット形式を有していれば、削除候補データが特定のフォーマットデータであると判断される。削除候補データが特定のフォーマットデータであると判断された場合、通知対象抽出部122は、HDD112の通知先テーブル格納領域132内に格納された通知先テーブル150(図3参照)を参照して、通知対象をそのフォーマットに応じた通信先に決定する(ステップS314)。その後、制御はステップ302に戻される。一方、削除候補データが特定のフォーマットデータでないと判断された場合、通知対象抽出部122は、制御をステップS304に進める。
【0078】
制御がステップS304に進むと、通知対象抽出部122は、削除候補抽出処理において削除候補として決定された画像データが指定フォルダに有るか否かを判断する。このとき、削除候補データのファイル名をパラメータとしてデータ属性テーブル140を参照し、そのファイル名に該当する記憶場所が「大石個人」、「大山個人」及び「月次報告書」等のように指定されていれば、削除候補データが指定フォルダに有ると判断される。削除候補データが指定フォルダに有ると判断された場合、通知対象抽出部122は、通知先テーブル150を参照して、通知対象をそのフォルダに応じた通信先に決定する(ステップS316)。その後、制御はステップ302に戻される。一方、削除候補データが指定フォルダに無いと判断された場合、通知対象抽出部122は、制御をステップS306に進める。
【0079】
制御がステップS306に進むと、通知対象抽出部122は、削除候補抽出処理において削除候補として決定された画像データが「FAX」受信により作成されているか否かを判断する。このとき、削除候補データのファイル名をパラメータとしてデータ属性テーブル140を参照し、そのファイル名に該当する作成方法が「FAX」であり且つ記憶場所が「共有/○○会社FAX受」等であれば、削除候補データが「FAX」受信で作成されたと判断される。削除候補データが「FAX」受信で作成されたと判断された場合、通知対象抽出部122は、管理者及び/又は受信者を通信先に決定する(ステップS318)。その後、制御はステップ302に戻される。一方、削除候補データが「FAX」受信により作成されていないと判断された場合、通知対象抽出部122は、制御をステップS308に進める。
【0080】
制御がステップS308に進むと、通知対象抽出部122は、削除候補抽出処理において削除候補として決定された画像データが「SCAN TО E―MAIL」に作成されているか否かを判断する。このとき、削除候補データのファイル名をパラメータとしてデータ属性テーブル140を参照し、そのファイル名に該当する作成方法が「SCAN TО E―MAIL」であれば、削除候補データが「SCAN TО E―MAIL」で作成されたと判断される。削除候補データが「SCAN TО E―MAIL」で作成されたと判断された場合、通知対象抽出部122は、データ作成者及び/又は送信先を通信先に決定する(ステップS320)。その後、制御はステップ302に戻される。一方、削除候補データが「SCAN TО E―MAIL」により作成されていないと判断された場合、通知対象抽出部122は、制御をステップS310に進める。
【0081】
制御がステップS310に進むと、通知対象抽出部122は、削除候補抽出処理において削除候補として決定された画像データの作成者情報が記憶されているか否かを判断する。このとき、削除候補データのファイル名をパラメータとしてデータ属性テーブル140を参照し、そのファイル名に該当する「作成者」欄に作成者名があれば、削除候補データの作成者が記憶されていることになる。削除候補データの作成者情報が記憶されていると判断された場合、通知対象抽出部122は、削除候補データの作成者を通信先に決定する(ステップS322)。その後、制御はステップ302に戻される。一方、削除候補データの作成者情報が記憶されていないと判断された場合、通知対象抽出部122は、管理者を通知先に決定する(ステップS312)。その後、制御はステップS302に戻される。
【0082】
<動作>
スキャナ部106で読み取られたデータ、又は外部装置から受信したデータは、画像処理部116により画像処理される。この画像処理部116において画像処理された後のデータは、HDD112に記憶される。
【0083】
HDD112で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になると、削除候補抽出部120は、HDD112に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出する。このときの「データの属性」は、画像処理部116におけるデータの画像処理内容であるので、コピー、SCAN TО E―MAIL、プリント及びファクシミリ通信等の処理内容に応じて削除候補が決定されることになる。
【0084】
削除候補抽出部120により削除候補データが抽出されると、通知対象抽出部122は、削除候補抽出部120により削除候補として抽出された画像データに関連するユーザを通知先として抽出する。このとき、削除候補データが特定のフォーマットデータである場合には、そのフォーマットに応じた通信先が通知対象として決定される。削除候補データが指定フォルダに有る場合には、そのフォルダに応じた通信先が通知対象として決定される。削除候補データが「FAX」受信で作成されている場合には、管理者及び/又は受信者が通知対象(通信先)として決定される。削除候補データが「SCAN TО E―MAIL」で作成されている場合には、データ作成者及び/又は送信先が通知対象(通信先)として決定される。削除候補データの作成者情報が記憶されている場合には、削除候補データの作成者が通知対象(通信先)として決定される。削除候補データが上記何れの場合にも当てはまらない場合には、管理者が通知対象(通知先)として決定される。
【0085】
通知対象抽出部122により通知先が抽出されると、通信部124は、通知対象抽出部122により抽出された通知先のPCに対して、削除候補抽出部120により削除候補として抽出された画像データを削除する旨を電子メールで通知する。
【0086】
<作用・効果>
本実施の形態によると、以下の作用・効果を奏する。
【0087】
(1)HDD112の容量が一杯になると、画像処理されたデータの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに削除前に通知される。そのため、重要な画像データ及び元データの存在しない画像データを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できることになる。
【0088】
(2)HDD112に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するが、このときの「データの属性」を、画像処理部116におけるデータの画像処理内容としているので、コピー、SCAN TО E―MAIL、プリント及びファクシミリ通信等の処理内容に応じて削除候補が決定されることになる。その結果、元の電子データの存在可能性及び書類の存在可能性によって削除可否を決定することができる。
【0089】
(3)削除候補データが抽出されると、削除候補として抽出された画像データに関連するユーザが通知先として抽出される。このとき、削除候補データが特定のフォーマットデータである場合には、そのフォーマットに応じた通信先が通知対象として決定される。削除候補データが指定フォルダに有る場合には、そのフォルダに応じた通信先が通知対象として決定される。削除候補データが「FAX」受信で作成されている場合には、管理者及び/又は受信者が通信先として決定される。削除候補データが「SCAN TО E―MAIL」で作成されている場合には、データ作成者及び/又は送信先が通信先として決定される。削除候補データの作成者情報が記憶されている場合には、削除候補データの作成者が通信先として決定される。削除候補データが上記何れの場合にも当てはまらない場合には、管理者が通知先として決定される。従って、HDD112の記憶容量が一杯になったときの削除候補データ通知は、抽出された削除候補データの削除権限を有する者に対して行なわれることになる。
【0090】
[第2の実施の形態]
図8は本発明の第2の実施の形態に係る画像処理装置100におけるサブルーチンとしての削除候補抽出処理を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【0091】
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、削除候補抽出処理の処理内容に有り、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0092】
<削除候補抽出処理>
図8を参照して、削除候補抽出処理において、まず、削除候補抽出部120は、データ属性テーブル140を参照して、特定フォルダ以外の格納場所(記憶場所)にある画像データを削除候補として抽出する(ステップS202B)。
【0093】
次に、削除候補抽出部120は、データ属性テーブル140の「回答内容」欄(図2参照)を参照して、「削除不可情報」をもつ画像データを削除候補からはずす(ステップS204B)。
【0094】
さらに、削除候補抽出部120は、データ属性テーブル140の「回答内容」欄及び「通知日時」欄を参照して、「回答無し情報」を持ち且つ通知日時から回答期限日時を経過していない画像データを削除候補からはずす(ステップS206B)。
【0095】
そして、削除候補抽出部120は、データ属性テーブル140の「パターン」欄を参照して、特定パターンを含む画像データが有るか否かを判断する(ステップS208B)。このとき、上記データ属性テーブル140の「パターン」欄に「社外秘パターン」及び「部外秘パターン」と登録されていれば、特定パターンを含む画像データがあると判断される。これらのパターンは、画像処理部116での画像処理時のパターンマッチングにより検出される。たとえば、パターンマッチングにより、図9(A)に示す「社外秘」マーク200が検出されると、データ属性テーブル140の「パターン」欄に「社外秘パターン」と記録される。また、パターンマッチングにより、図9(B)に示す「部外秘」マーク202が検出されると、データ属性テーブル140の「パターン」欄に「部外秘パターン」と記録される。特定パターンを含む画像データが有ると判断された場合には、削除候補抽出部120は、特定パターンを含む画像データを削除候補からはずす(ステップS210B)。その後、削除候補抽出部120は、制御をステップS212Bに進める。これに対し、特定パターンを含む画像データが無いと判断された場合には、削除候補抽出部120は、制御をステップS212Bにジャンプさせる。
【0096】
制御がステップS212Bに進むと、削除候補抽出部120は、データ属性テーブル140の「ファイル名」欄を参照して、特定のファイル名をもつ画像データが有るか否かを判断する。このとき、上記データ属性テーブル140の「ファイル名」欄に、たとえば、「・・・決裁書」等と記録されていれば、特定のファイル名をもつ画像データを有すると判断される。特定のファイル名をもつ画像データが有ると判断された場合には、削除候補抽出部120は、特定のファイル名をもつ画像データを削除候補からはずす(ステップS214B)。その後、削除候補抽出部120は、制御をステップS216Bに進める。これに対し、特定のファイル名をもつ画像データが無いと判断された場合には、削除候補抽出部120は、制御をステップS216Bにジャンプさせる。
【0097】
制御がステップS216Bに進むと、削除候補抽出部120は、削除候補となる画像データを決定する。その後、制御はステップS202Bに戻される。
【0098】
<作用・効果>
本実施の形態によると、第1の実施の形態の(1)及び(3)と同様の作用・効果を奏することに加えて、以下の作用・効果を奏する。
【0099】
(1)ステップS202Bにおいて、特定フォルダ以外の記憶場所にある画像データが削除候補として抽出される。従って、特定フォルダによって重要書類を判別し、重要書類を削除対象からはずすことができる。
【0100】
(2)ステップS208B及び210Bにおいて、特定パターンを含む画像データが有ると判断された場合には、特定パターンを含む画像データが削除候補からはずされる。従って、特定パターン(社外秘及び部外秘等)によって重要書類を判別し、重要書類を削除対象からはずすことができる。
【0101】
(3)ステップS212B及び214Bにおいて、特定のファイル名をもつ画像データが有ると判断された場合には、特定のファイル名をもつ画像データが削除候補からはずされる。従って、特定のファイル名によって重要書類を判別し、重要書類を削除対象からはずすことができる。
【0102】
[第3の実施の形態]
<画像処理システムの構成>
図10は本発明の第3の実施の形態に係る画像処理システム300の構成を簡略化して示す図である。
【0103】
図10を参照して、本実施の形態の画像処理システム300は、画像処理サーバ400でドキュメントファイリングするように構成されており、画像処理サーバ400には、LAN500を介して複数の画像処理装置6001,6002・・・600Nが接続されている。なお、画像処理装置6001,6002・・・600Nは、MFPであって、従来公知の構成を有している。
【0104】
<画像処理サーバの構成>
図11は画像処理サーバ400の構成を示すブロック図である。
【0105】
画像処理サーバ400は、外部サーバとして機能するものであって、制御デバイス700及びHDD702を備えている。
【0106】
制御デバイス110は、CPU、ROM、RAM及びタイマ等から構成される。この制御デバイス700には、ファイリング部704、削除候補抽出部706、通知対象抽出部708、送受信部710及び削除部712が含まれる。
【0107】
ファイリング部704は、各画像処理装置6001,6002・・・600Nで画像処理されたデータをファイリングする。このファイリング部704でファイリングされた画像データ(ファイリングデータ)は、HDD702ファイリングデータ格納領域714内に格納される。さらに、このHDD702には、データ属性テーブル140(図2参照)を格納するためのデータ属性テーブル格納領域716、及び通知先テーブル150(図3参照)を格納するための通知先テーブル格納領域718が形成されている。
【0108】
削除候補抽出部706は、HDD702で記憶された画像データの記憶容量がしきい値以上になった場合に、HDD702に記憶されている画像データの属性に基づいて、削除候補となる画像データを抽出する。
【0109】
通知対象抽出部708は、削除候補抽出部706により削除候補として抽出された画像データに関連するユーザを通知先として抽出する。
【0110】
送受信部710は、LAN500を介して各画像処理装置6001,6002・・・600Nで画像処理された画像データを受信する機能と、通知対象抽出部708により抽出された通知先に対し、たとえば、イントラネットを介して削除候補抽出部706により削除候補として抽出された画像データを削除する旨を電子メール形式で通知する機能とを有している。
【0111】
削除部712は、上記通信先より削除候補として抽出された画像データを削除可とする旨の通知があった場合にそのデータを削除する。
【0112】
<動作>
各画像処理装置6001,6002・・・600Nから送られてきた画像処理データ(画像データ)は、画像処理サーバ400内の制御デバイス700の送受信部710で受信され、制御デバイス700のファイリング部704によってファイリングされて画像処理サーバ400内のHDD702にファイリングデータとして記憶される。
【0113】
HDD702で記憶された画像データの記憶容量がしきい値以上になると、制御デバイス700の削除候補抽出部706は、HDD702に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出する。ここでの削除候補抽出処理は、第1又は第2の実施の形態で説明した削除候補抽出処理の処理内容と同様である。
【0114】
削除候補抽出部706により削除候補データが抽出されると、通知対象抽出部708は、削除候補抽出部706により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出する。ここでの削除候補の通知対象抽出処理は、第1の実施の形態で説明した削除候補の通知対象抽出処理の処理内容と同様である。
【0115】
送受信部710は、通知対象抽出部708により抽出された通知先に対して、削除候補抽出部706により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を電子メールで通知する。すなわち、図5に示すような通知メール160が通知先に送信される。
【0116】
<作用・効果>
本実施の形態によると、以下の作用・効果を奏する。
【0117】
画像処理サーバ400でドキュメントファイリングするシステムであっても、画像処理サーバ400内のHDD702の容量が一杯になると、各画像処理装置6001,6002・・・600Nで画像処理されたデータの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに削除前に通知されるので、結果的に、重要な画像データ及び元データの存在しない画像データを保護しつつ、最終的な削除決定をユーザが選択できることになる。
【0118】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0119】
(1)第1の実施の形態においては、削除候補抽出処理時に、SCAN TО E―MAILを優先して削除候補データを抽出し、その後、たとえば、コピー、プリント及びFAX通信の順で削除候補データが抽出されるように、削除候補データの抽出順序が予め指定されている例について記載した。しかし、本発明はそのような構成には限定されない。HDDの記憶容量がしきい値以上になったときに、削除候補データを抽出する順序を操作パネルで指定するようにしてもよい。この場合であっても、本発明の目的は十分に達成される。
【0120】
(2)第1及び第2の実施の形態においては、画像処理装置側が主体となって、そのHDDの容量が一杯になることを条件として、画像処理されたデータの属性に応じて削除候補データを抽出して対象のデータに関連するユーザに電子メールで通知される構成について記載した。しかし、本発明はそのような構成には限定されない。PCに画像処理装置の状態をモニタリングするソフトウェアをインストールしておき、このインストールされたソフトウェアによってポップアップして削除候補データを電子メール形式で通知するようにしてもよい。この場合であっても、本発明の目的は十分に達成される。
【0121】
(3)第1及び第2の実施の形態においては、削除候補の通知対象抽出処理を行なう際に、削除候補データが特定のフォーマットデータである場合には、そのフォーマットに応じた通信先が通知対象として決定され、削除候補データが指定フォルダに有る場合には、そのフォルダに応じた通信先が通知対象として決定され、削除候補データが「FAX」受信で作成されている場合には、管理者及び/又は受信者が通信先として決定され、削除候補データが「SCAN TО E―MAIL」で作成されている場合には、データ作成者及び/又は送信先が通信先として決定され、削除候補データの作成者情報が記憶されている場合には、削除候補データの作成者が通信先として決定され、削除候補データが上記何れの場合にも当てはまらない場合には、管理者が通知先として決定される、例について記載した。しかし、本発明はそのような構成には限定されない。通知先を決定するに当たり、上記複数の通知先決定手順のうち何れか1つの手順で通知先を決定するようにしてもかまわない。
【0122】
(4)第2の実施の形態においては、削除候補抽出処理を行なう際に、ステップS202Bにおいて、特定フォルダ以外の記憶場所にある画像データが削除候補として抽出され、ステップS208B及び210Bにおいて、特定パターンを含む画像データが有ると判断された場合には、特定パターンを含む画像データが削除候補からはずされ、ステップS212B及び214Bにおいて、特定のファイル名をもつ画像データが有ると判断された場合には、特定のファイル名をもつ画像データが削除候補からはずされる、例について記載した。しかし、本発明はそのような構成には限定されない。削除候補データを決定するに当たり、上記複数の削除候補抽出手順のうち何れか1つの手順で削除候補データを決定するようにしてもかまわない。
【0123】
(5)第1の実施の形態で記載した削除候補抽出処理と、第2の実施の形態で記載した削除候補抽出処理とを組み合わせることによって、削除候補データを決定するようにしてもかまわない。
【0124】
その他、本明細書に添付の特許請求の範囲内での種々の設計変更及び修正を加え得ることは勿論である。
【0125】
すなわち、本明細書で開示した実施の形態は単に例示であって、本明細書が上述した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、本明細書の記載内容を参酌した上で、別紙の特許請求の範囲によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0126】
100 画像処理装置
102 コンピュータ
110 制御デバイス
112 HDD
116 画像処理部
118 ファイリング部
120 削除候補抽出部
122 通知対象抽出部
124 通信部
126 削除部
300 画像処理システム
400 画像処理サーバ
500 LAN
6001,6002・・・600N 画像処理装置
700 制御デバイス
702 HDD
704 ファイリング部
706 削除候補抽出部
708 通知対象抽出部
710 送受信部
712 削除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取られたデータ又は外部から受信したデータを画像処理するための画像処理手段と、
前記画像処理手段において画像処理された後のデータを記憶するための記憶手段と、
前記記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出手段と、
前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出手段と、
前記通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知手段とを含む、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記データの属性は、前記画像処理手段におけるデータの画像処理内容である、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記データの属性は、前記画像処理手段により画像処理されたデータが特定パターンを含むか否かに関する情報である、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記データの属性は、前記画像処理手段により画像処理されたデータの特定ファイル名である、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記データの属性は、前記画像処理手段により画像処理されたデータの特定記憶場所である、画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか1項に記載の画像処理装置において、
前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータが特定のフォーマットのデータである場合には、そのフォーマットに応じた通知先に決定するための手段を含む、画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から5までの何れか1項に記載の画像処理装置において、
前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータが指定フォルダにある場合には、そのフォルダに応じた通知先に決定するための手段を含む、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から5までの何れか1項に記載の画像処理装置において、
前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータがファクシミリ受信により作成されたデータである場合は、管理者及び/又は受信者を通知先に決定するための手段を含む、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から5までの何れか1項に記載の画像処理装置において、
前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータが読み取った又は受信したデータを電子メールに添付して送信されたデータである場合には、そのデータ作成者及び/又は送信先を通知先に決定するための手段を含む、画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から5までの何れか1項に記載の画像処理装置において、
前記通知先抽出手段は、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータの作成者が前記記憶手段に記憶されている場合には、その作成者を通知先に決定する一方、そうでない場合は、管理者を通知先に決定するための手段を含む、画像処理装置。
【請求項11】
読み取られたデータ又は外部から受信したデータを画像処理するための画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにおいて画像処理された後のデータを記憶手段に記憶させるための記憶ステップと、
前記記憶ステップにおいて前記記憶手段に記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出ステップと、
前記削除候補データ抽出ステップにおいて削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出ステップと、
前記通知先抽出ステップにおいて抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出ステップにおいて削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知ステップとを含む、画像処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、
読み取られたデータ又は外部から受信したデータを画像処理するための画像処理手段と、
前記画像処理手段において画像処理された後のデータを記憶するための記憶手段と、
前記記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出手段と、
前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出手段と、
前記通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知手段として機能させる、画像処理プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
読み取られたデータ又は外部から受信したデータを画像処理するための画像処理手段と、
前記画像処理手段において画像処理された後のデータを記憶するための記憶手段と、
前記記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出手段と、
前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出手段と、
前記通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知手段として機能させる、画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
画像処理装置とネットワークを通じて接続された画像処理サーバであって、
前記画像処理装置から送られてきたデータを記憶するための記憶手段と、
前記記憶手段で記憶されたデータの記憶容量がしきい値以上になれば、前記記憶手段に記憶されているデータの属性に基づいて、削除候補となるデータを抽出するための削除候補データ抽出手段と、
前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータに関連するユーザを通知先として抽出するための通知先抽出手段と、
前記通知先抽出手段により抽出された通知先に対して、前記削除候補データ抽出手段により削除候補として抽出されたデータを削除する旨を通知するための通知手段とを含む、画像処理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−29804(P2011−29804A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171914(P2009−171914)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】