画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
【課題】カラー画像について、画質低下を抑制しつつ画像記録のための色剤使用量を低減させる。
【解決手段】解像度変倍処理部(A)4でKCMY版データを出力解像度の1/n(nは2以上の整数)の解像度に変換し、変換後のKCMY版データにハーフトーン処理部5でハーフトーン処理を施す。解像度変倍処理部(B)6で、ハーフトーン処理後のKCMY版データのONドットは、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンで置き換え、OFFドットはONドットを含まないn×nドットパターンで置き換える。ハーフトーン処理後のKCMY版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを、版間で相互に異ならせ、かつ、ハーフトーン処理後のKCMY版データのドット位置毎に変化させる。
【解決手段】解像度変倍処理部(A)4でKCMY版データを出力解像度の1/n(nは2以上の整数)の解像度に変換し、変換後のKCMY版データにハーフトーン処理部5でハーフトーン処理を施す。解像度変倍処理部(B)6で、ハーフトーン処理後のKCMY版データのONドットは、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンで置き換え、OFFドットはONドットを含まないn×nドットパターンで置き換える。ハーフトーン処理後のKCMY版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを、版間で相互に異ならせ、かつ、ハーフトーン処理後のKCMY版データのドット位置毎に変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に、カラー画像形成時の色剤使用量の低減のための処理を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機では、エコノミーモード等と呼ばれる色剤使用量低減モードが用意されることが多い。このモードを指定すると、標準的な記録モードよりも色剤使用量を低減し、1枚当たりの記録ランニングコストを低減できる。
【0003】
画像形成のための色剤使用量を低減する様々な手法が知られている。例えば、入力画像データに1以下の係数を乗算し、画像全体の濃度を引き下げる方法(方法1)がある。高濃度の表現には多くの色剤を必要となるので、全体の濃度を引き下げれば色剤使用量を低減できる。ハーフトーン処理後の画像データにマスキング処理を施し、一定率で間引くことで色剤使用量を低減する方法(方法2)がある。多値ドットを形成可能な記録装置では、記録するドットサイズを縮小し色剤使用量を低減する方法(方法3)もある。
【0004】
しかし、上記方法1,2,3はいずれも、色剤使用量を低減しない場合の記録画像と比較すると、画像品質が相当に低下するという問題がある。これは、色剤使用量低減モードの宿命といえる課題であるが、この画質低下を少しでも目立たなくするため、近年では、BG/UCR処理における下色除去を積極的に行い、色重ね部分を可能な限りK(ブラック)版データに置き換え、カラー(CMY)版データの濃度を下げて色剤使用量を低減する方法(方法4)も知られている。
【0005】
また、画像の輪郭部だけを残し、輪郭の内側に使用される色剤を低減する方法(方法5)も採用される。この方法では、当然、記録画像は元画像データから大きくかけ離れたものとなるが、大幅な色剤使用量低減を実現できる。
【0006】
画像のオブジェクト(文字、線画、グラフィックス、写真等)毎に上記手法の適用を制御し、画質低下が好ましくないオブジェクトを保護する方法(方法6)も知られている。
【0007】
方法4によれば、方法1,2,3よりも比較的画像品質の高い色剤使用量低減記録が可能となったが、より大幅な色剤使用量低減を狙った場合、画質低下が無視できないレベルになってくる。具体的には、画像のコントラストや鮮やかさ、階調再現性が低下し、何が描かれているかが判別できなくなってくる。この傾向は写真オブジェクト等で顕著に現れる。
【0008】
方法5の方法でも、輪郭部を残すことで形状自体が情報となる文字やグラフィックオブジェクトでは使用上問題は無い。しかし、写真の様に自然にあるものを写した画像に対しては、極端な輪郭の誇張と階調性の喪失から、元の画像イメージを推測することさえ困難になってしまう。
【0009】
障害の発生しやすい写真オブジェクト等を色剤使用量低減の対象から外す、あるいは色剤使用量の低減量を緩和するという対応は可能である。しかし、写真をふんだんに使った画像データを出力するケースが非常に多くなってきており、結果的に色剤使用量低減効果が低くなってしまう。
【0010】
また、オブジェクト毎に処理を切り替えるためには、オブジェクトを分離する処理が必要となる。コンピュータのOS機能として、オブジェクト毎に画像データを分けて出力できる場合は個々に処理を行っていけば良いが、非対応のOSの場合や、スキャナー等からの取り込み画像等を処理するような場合、一度像域分離処理を行ってどのオブジェクトであるか逐一判別を行う必要がある。この様な処理は非常に演算負荷が大きく、出力されるまでのスループットが低下したり、高機能な処理回路の搭載のために画像処理装置のコストアップを招いたりする。そして、常に誤変換の可能性もつきまとうことになり、必ずしも狙い通りの画質になるとは限らない。
【0011】
また、上記方法と異なった方法として、出力解像度の1/nの解像度のデータを出力解像度に変換する際に、ONドット(色剤を用いて記録されるドット)を減らすことにより、画像情報の消失を防ぎながら、色剤使用量を低減する方法も知られている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、カラー画像について、画質品質の低下を抑制しつつ、画像記録のための色剤使用量を低減させることが可能な新規な画像処理装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、請求項1に記載の通り、
K(ブラック)版データ及び他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nは2以上の整数)の解像度に変換する第1の処理手段、
前記第1の処理手段により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理手段、
及び、
前記第2の処理手段によりハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンによって置き換え、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないn×nドットパターンによって置き換える処理を行う第3の処理手段を有し、
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを、版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させる構成とされる。
【発明の効果】
【0014】
前記第3の処理手段の処理によって出力解像度のK版データ及び他の色版データが得られるが、当該処理の前のK版データ又は他の色版データのONドットと置き換えられるドットパターンのONドット数に応じた色剤使用量低減がなされている。しかし、このK版データ及び他の色版データは、ハーフトーン処理によるドット配置が保存されているため、階調再現は良好であり、単純に間引きを行う方法のような不快なモアレやテクスチャーが発生しにくい。さらに、ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを版間で相互に異ならせるので、複数版のONドットの重なりが減り、複数版のONドットの重なりによる彩度の低下が抑えられ発色性が向上する。さらに、ONドットと置き換えられるドットパターンを、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させるため、同じドットパターンを連続的に用いた場合に問題となる特定色のラインや筋状の抜けが目立ったり、色版ズレの様に見えたりするといった不具合は生じにくい。このように、本発明によれば、カラー画像について、画質の低下を抑制しつつ画像記録のための色剤使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置のブロック図である。
【図2】実施例1を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施例2を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施例3を説明するためのフローチャートである。
【図5】色剤使用量を1/2に低減するための2×2ドットパターンの例を示す図である。
【図6】図5のドットパターンの適用例を説明するためのドット配列図である。
【図7】色剤使用量を1/4に低減するための2×2ドットパターンの例を示す図である。
【図8】サイズの大きな分散ドットパターンからn×nドットパターンを切り出して使用する方法を説明するための模式図である。
【図9】本発明における解像度変換と色剤使用量低減の原理を説明するための模式図である。
【図10】出力解像度での誤差拡散処理結果と出力解像度より低い解像度での誤差拡散処理結果とを示す図である。
【図11】出力解像度での誤差拡散処理結果とその間引き処理結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を説明するためのブロック図である。図1に示す画像処理装置は、画像データ入力部1によってカラー画像をRGBデータとして入力し、画像出力部7で入力カラー画像をK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色剤を用いて記録するものである。このような画像出力部7としては、例えば電子写真方式やインクジェット方式のプリンタエンジンを用いることができる。電子写真方式のプリンタエンジンの場合、色剤はトナーに相当する。インクジェット方式のプリンタエンジンの場合、色剤はインクに相当する。
【0017】
この画像処理装置は、入力されたカラー画像のRGBデータを画像出力部7で記録されるKCMYの各色版のデータに変換する色変換処理部2、このCMYK各色版データに対し画像出力部7のγ特性に応じたγ補正処理を施すγ補正処理部3、γ補正処理後のCMYK各色版データの解像度を画像出力部7による出力解像度より低い解像度へ変換する解像度変倍処理部(A)4、この低い解像度に変換されたCMYK各色版データにディザ処理、誤差拡散処理等のハーフトーン処理(中間調処理)を施すハーフトーン処理部5、ハーフトーン処理後のCMYK各色版データの解像度を画像出力部7による出力解像度へ変換する解像度変倍処理部(B)6を備え、この変換後のKCMY各色版データが画像出力部7へ入力される。
【0018】
解像度変倍処理部(A)4で変換後の各色版データの解像度が出力解像度の1/nの解像度の場合、解像度変倍処理部(B)6は、ハーフトーン処理後の各色版データを出力解像度のデータへ変換する際に、1/n解像度の各色版データの各ドットをn×nのドットパターンに置き換える。1/n解像度の各色版データ中のOFFドット(記録されないドット)と置き換えられるn×nのドットパターンは、全ドットがOFFドットである。ONドット(記録されるドット)と置き換えられるn×nのドットパターンは、少なくとも1つのONドットを含み、このONドットの割合を小さくするほど色剤使用量を減らすことが出来る。つまり、1/n解像度データ中のONドットと置き換えられるn×nドットパターンのONドットの割合により、色剤使用量低減率を調整することができる。
【0019】
このような色剤使用量低減に関連した処理内容を中心に、いくつかの実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図2は実施例1における処理フローを示している。
【0021】
画像データ入力部1によって画像データ(RGBデータ)が入力される(ステップ101)。このRGBデータは色変換処理部2によりCMYKの各色版データへ変換される(ステップ102)。この色変換は、例えば、RGBデータからCMYデータへの変換のための周知のマトリクス演算等の処理と、周知の墨生成/下色除去(BC/UCR)処理によって行われる。このようにして生成されたCMYK各色版データはγ補正処理部3でγ補正処理を施され(ステップ103)、次に解像度変倍処理部(A)4で出力解像度の1/nの解像度のデータへ変換される(ステップ104)。ただし、nは2以上の整数である。1/n解像度のCMYK各色版データはハーフトーン処理部5でハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理)を施される(ステップ105)。解像度変倍処理部(B)6では、ハーフトーン処理後のCMYK各色版データの各ドットをn×nドットパターンに置き換えることにより、解像度が出力解像度へ変換される(ステップ106K,106C,106M,106Y)。この際に、OFFドットと置き換えられるn×nドットパターンは全ドットがOFFドットであるが、ONドットと置き換えられるn×nドットパターンは、色剤使用量低減率毎に、かつ、色版毎に予め用意されたものが用いられる。このようにして出力解像に変換され、かつ、必要に応じて色剤使用量低減処理が施されたCMYK各色版データは画像出力部7に入力され、各色版が作像され、それらの合成されたカラー画像が形成される(ステップ107)。
【0022】
次に、ステップ106K〜106Yについて詳細に説明する。ここでは、理解を容易にするためn=2として説明する。
【0023】
まず、1/2解像度データのONドットを2×2ドットパターンと置き換えることにより、出力解像度への変換と色剤使用量低減とを行う処理方法の基本的な利点について、図9、図10、図11を参照して説明する。
【0024】
まず図9を参照する。図9において、(a)は出力解像度の1/2の解像度のある色版データ(ハーフトーン処理済み)であり、その各ドットを2×2ドットパターンに置き換えた例を(b)(c)(d)に示す。(b)の例では、1/2解像度データのONドットと置き換えられた2×2ドットパターンの全ドットがONドットであり、この場合の色剤使用量を基準量とする。(c)の例では、1/2解像度データのONドットと置き換えられた2×2ドットパターンの半数のドットがONドットであるので、色剤使用量は基準量の約半分に低減される。(d)の例では、1/2解像度データのONドットと置き換えられる2×2ドットパターンの1ドットのみがONドットであるので、色剤使用量は基準量の約1/4に低減される。2×2ドットパターン中の3ドットのみONドットのときは、色剤使用量は基準量の約3/4に低減される。より一般化して云えば、出力解像度の1/nの解像度に変換した色版データをハーフトーン処理後に出力解像度へ変換し、この変換の際に1/n解像度のデータの各ドットはn×nドットパターンと置き換えられる。したがって、nを3、4、5...と大きくするならば、置き換えられるドットパターンのドット数が大きくなるため、そのONドットの割合を増減することにより、より細かく色剤使用量の低減率を調整することができる。
【0025】
さて、本発明では、各色版データに、出力解像度の状態でハーフトーン処理を施すのではなく、出力解像度より低い解像度に変換した状態でハーフトーン処理を施す。このように低い解像度でハーフトーン処理を施すことの影響について図10により説明する。
【0026】
図10において、ある色版データに対し、出力解像度でハーフトーン処理(誤差拡散処理)を施した結果を(a)に模式的に示し、出力解像度の1/2解像度でハーフトーン処理(誤差拡散処理)を施した結果を(b)に模式的に示している。図10に見られるように、解像度が半分になれば、ドットの径は約2倍となり、逆にドットの発生数は約1/4となる(厳密には、ドットゲインと階調特性の持たせ方によって、径や数は多少違ってくる)。(a)と(b)の画質的な差は粒状感や鮮鋭性といった特性に表れてくるが、(b)の様に半分の解像度であっても、解像度に応じた適切なハーフトーン処理が行われれば、階調性は確保され、不快なテクスチャー等は発生しない。
【0027】
そして、本発明の場合、例えば図9で説明したように、1/2解像度のハーフトーン処理後のデータを出力解像度へ変換する際に色剤使用量の低減を行うが、ハーフトーン処理の結果形成されるドットパターンはほぼ保存されるため、不快なテクスチャー等は発生せず、階調性も確保される。すなわち、出力解像度へ変換したデータでは、色剤使用量の低減率に応じてドット塊の太り/細りの変化は生じるものの、ドット塊の配置はハーフトーン処理で再現された理想的な配置のままであるため、不快なモアレやテクスチャーは発生せず、階調毎のドット塊の個数も変化しないため階調差も確保される。
【0028】
この点は、ハーフトーン処理を施した出力解像度の各色版データに対し一定割合でドット間引きを行うことにより色剤使用量を低減する手法に比べ大きな利点である。これについて図11を参照し説明する。図11の(a)はある色版の出力解像度でハーフトーン処理を施した画像を模式的に示し、このハーフトーン画像に一定比率で間引きを行った画像を(b)に示す。(a)と(b)を比較すれば分かるように、ハーフトーン処理により理想的に配置されたドットが間引き処理によって局部的に欠落することで、ドットの分布が不均一になってしまい、この様なドットの分布の不均一さは、モアレやテクスチャーといった不快な画質劣化に繋がるのである。
【0029】
さて、先に述べたように、ハーフトーン処理後の1/n(ここでは1/2)解像度の各路版データのONドットと置き換えられるn×n(ここでは2×2)ドットパターンは、色剤使用量低減率毎に、かつ、色版毎に予め用意されたものが用いられる。
【0030】
図5に、KCMY各色版に適用される2×2ドットパターンの例を示す。この例は、色剤使用量を1/2に低減する場合に用いられる。図7に、色剤使用量を1/4に低減する場合に用いられる2×2ドットパターンの例を示す。図5及び図7において、丸印はONドットを意味する。
【0031】
図5及び図7において、縦に並ぶ4つのドットパターンKはK版に適用されるパターン、同じく4つのドットパターンCはC版に適用されるパターン、同じく4つのドットパターンMはM版に適用されるパターン、同じく4つのドットパターンYはY版に適用されるパターンである。
【0032】
図2のステップ106K〜106Yでは、図5又は図7の2×2ドットパターンは1段目のもの、2段目のも、3段目のもの、4段目のも、再び1段目のものというように、ローテーションさせるように順に用いられる。
【0033】
図5のドットパターンの適用例を図6に示す。図6の(a)は1/2解像度データのドット配列を示し、各丸印が1つのドットであり、ドット中の文字は当該ドットがONドットである色版名を表している。すなわち、(a)に示した例では、K版、M版、Y版については全てのドットがONドットであり、C版については全てのドットがOFFドットである。この1/2解像度データの各ドットをラスタ順に処理するものとして、ONドットを、図5の1段目のドットパターン、2段目のドットパターン、3段目のドットパターン、4段目のドットパターン、1段目のドットパターン...というように置き換える。このようなドットパターンの置き換えにより出力解像度に戻された各色版データのドット配列は図6の(b)のようになる。(b)において、各丸印は1つのドットであり、ドット中の文字は当該ドットがONドットである色版名を表している。
【0034】
図5の1段目に示したドットパターンのみを用いて図6の(a)に示した1/2解像度データのONドットの置き換えを行うと、その結果は図6の(c)のようになる。(c)において、各丸印は1つのドットであり、ドット中の文字は当該ドットがONドットである色版名である。この(c)の例では、Y色版でONドットが連続するため、Yのラインが目立つという不都合が生じる。
【0035】
さて、図5又は図7の同じ段に並ぶドットパターンK,C,M,Yを比較すれば理解されるように、KCMY各色版間でONドットができる限り重ならないように各色版に適用されるドットパターンのONドットの配置が決定される。TVやカラーモニターのような加法混色系では、色を重ねる事でより鮮やかに発色する特性を持つが、記録用紙に印刷を行う減法混色系では、色が重なるほど色の濁りが発生し色域が狭くなってしまう。色剤使用量が低減されるとただでさえ色域が狭くなる傾向になるため、色版間でのONドットの重なりを減らすことは重要である。
【0036】
また、図5の1段目から4段目までの各段のドットパターンをローテーションさせるように順に選択して適用するが、こうすることにより、1/2解像度の各色版データの1ドット位置毎にドットパターンのONドット位置を変動させることができる。各色版において同じドットパターンが連続的に適用されると、図6(c)の例のように、ある色のラインや筋条の抜けが目立ったり、ある色版がズレたように見えることがあり、このような不都合はドット被覆率の高い画像ほど発生しやすい。ドットパターンのローテーションにより、このような不都合の発生を減らすことができる。
【0037】
なお、図5のようなドットパターンをローテーションさせるように順に選択するのではなく、ランダム順に選択して適用するようにしても同様な効果を得られる。このようにランダム順に選択して適用する態様も本発明に含まれる。
【0038】
また、ステップ106K〜106Yにおいて、図5又は図7に示したような予め決定したドットパターンをローテーションさせるように順に選択し、あるいはランダム順に選択して用いる方法と同様の結果を得る別の手法がある。例えば、図8に模式的に示すようなn×nドットパターンよりサイズの大きい、色剤使用量低減率に対応した分散型ドットパターン21を用意し、この分散型ドットパターン21からn×nドットパターン22を切り出し、その切り出し位置をハーフトーン処理後のKCMY各色版データのドット位置毎に順次移動させ、切り出したn×nドットパターンをステップ106K〜106YでONドットと置き換えるようにしてもよい。分散型ドットパターン21は色版毎に異ならせるか、あるいは、全ての色版で共通の分散型ドットパターン21を用いるがn×nドットパターン22の切り出し位置を色版間で異ならせる。分散型ドットパターン21としてブルーノイズ、グリーンノイズと呼ばれる特性を持ったパターンを用いれば、パターンの発生規則がランダムかつ均等であるので、図6(c)に関連して説明したような不都合を効果的に回避することができる。分散型ドットパターン21の縦横サイズはドットパターンのサイズnの倍数に選ぶとよい。このような色剤使用量低減率に対応したサイズの大きな分散型ドットパターンからn×nドットパターンを切り出して利用する態様も本発明に含まれる。
【0039】
また、ステップ106K〜106Yで、その都度、置き換えるn×nドットパターンを計算によって求めるようにしてもよい。図6(b)を見れば分かるように、予め用意したn×nドットパターンをローテーションさせて、あるいはランダムに選択したとしても、複数の色版のドットの重複がどこかで発生してしまう。これを極力回避するために、例えば、既に出力解像度への変換(上位変換)が済んだ隣接画素位置のドット配置を元に、最も遠い位置にONドットを割り当てるようにすると良い。更に、この時に、明度の低い、すなわち感覚的にブラックに近い色ドットからなるべく離れた位置を計算することで、最大限に発色性を確保することができる。
【0040】
また、ステップ106K〜106Yにおいて、ブラックドットとカラードットの重なり発生した時に、そのカラードットをOFFドットに変更し、あるいは、そのブラックドットをOFFドットに変更する処理を行うようにしてもよい。かかる態様も本発明に含まれる。
【0041】
ブラックドットを含むドットの重なりが発生する場合、多少カラードットを重複させても発色は黒となる。この場合、少しでも色剤使用量を低減させるため、ブラックドットと重複する位置のカラードットは記録しない方が好ましい。特に、インクジェット記録装置の様に液状の色剤を使用する記録装置では、必要以上にカラードットを重ね打ちすると、滲みや裏抜けといった不具合が発生しやすくなる。滲みは特に文字や細線の品質を著しく落とす原因となるため、文字や細線に対しては、積極的にブラックドットを残す様にするのが好ましい。この効果をより高める為に、ハーフトーン処理より前の工程で、鮮鋭化処理をK版にかけておくのも良い。
【0042】
一方、ブラックドットは非常に目立ちやすく、画像の鮮やかさを損なう働きもする(粒状感の悪化や、人肌の皺や傷を強調してしまう可能性もある)。自然画や図形(塗り)など、なだらかなクラデーションが多用されるビットマップ画像に対しては、ブラックドットを記録せずカラードットを残すようにした方がむしろ好ましい。
【0043】
この様に、画像種によって好ましい処理が変わるため、画像オブジェクト(文字/線画/塗り/ビットマップ等)毎に入力データを切り分けて処理できるシステムにおいては、オブジェクト毎に、重なったブラックドットを残すかカラードットを残すか切り替えるようにするとよい。
【実施例2】
【0044】
図3は実施例2における処理フローを示している。
【0045】
画像データ入力部1によって画像データ(RGBデータ)が入力される(ステップ201)。このRGBデータは色変換処理部2によりCMYKの各色版データへ変換される(ステップ202)。CMYK各色版データはγ補正処理部3でγ補正処理を施される(ステップ203)。この後の処理フローは、K版とカラー版とで切り替わる。
【0046】
まず、K版データについては、解像度変倍処理部(A)4で出力解像度へ変換され(ステップ204)、変換後の出力解像度のK版データに対しハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理等)が施される(ステップ205)。このハーフトーン処理後のK版データはそのまま画像出力部7で出力される(ステップ209)。
【0047】
一方、CMY各色版データについては、解像度変倍処理部(A)4で出力解像度の1/nの解像度のデータへ変換される(ステップ206)。ただし、nは2以上の整数である。1/n解像度のCMY各色版データはハーフトーン処理部5でハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理)を施される(ステップ207)。解像度変倍処理部(B)6では、ハーフトーン処理後のCMY各色版データの各ドットをn×nドットパターンに置き換えることにより、解像度が出力解像度へ変換される(ステップ208C,208M,208Y)。この際に、OFFドットと置き換えられるn×nドットパターンは全ドットがOFFドットであるが、ONドットと置き換えられるn×nドットパターンはONドットをほ含み、そのONドットの割合により色剤使用量低減率が決まる。このステップ208C,208M,208Yで適用されるn×nドットパターンは、前記実施例1に関連して説明したように、予め用意したドットパターンをローテーションさせて使用したりランダムに選択して使用したりすることができる。あるいは、ブルーノイズパターンやグリーンノイズパターンのような分散型ドットパターンからn×nドットパターンを切り出すようにしてもよい。また、計算によりn×nドットパターンを求めるようにしてもよい。ステップ208C,208M,208Yの処理結果である出力解像度のCMY版データは画像出力部7で出力される(ステップ209)。
【0048】
本実施例では、K版を出力解像度でハーフトーン処理することにより、K版についてカラー版よりも高解像度なドットパターンを形成できる。K版の画像オブジェクトすなわちブラック色剤で記録される画像オブジェクトは、その大半が文字や細線であり、文字や細線の重要な画質特性としてエッジの滑らかさが要求される。エッジの滑らかさは解像度の高さによってほぼ決まるので、本実施例のようにK版の解像度を高くすることは、文字や細線をより美しく表現するために有効である。なお、本実施例では、K版については色剤使用量低減はなされない。
【0049】
本実施形態においても、ステップ208C〜208Yにおいて、ブラックドットとカラードットの重なり発生した時に、そのカラードットをOFFドットに変更し、あるいは、そのブラックドットをOFFドットに変更する処理を行うようにしてもよい。かかる態様も本発明に含まれる。
【実施例3】
【0050】
図4は実施例3における処理フローを示している。
【0051】
画像データ入力部1によって画像データ(RGBデータ)が入力される(ステップ301)。このRGBデータは色変換処理部2によりCMYKの各色版データへ変換される(ステップ302)。CMYK各色版データはγ補正処理部3でγ補正処理を施される(ステップ303)。この後の処理フローは、K版とカラー版とで切り替わる。
【0052】
まず、K版データについては、解像度変倍処理部(A)4で出力解像度の1/mの解像度へ変換され(ステップ304)、変換後の出力解像度のK版データに対しハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理等)が施される(ステップ305)。ただし、mは2以上の整数である。
【0053】
一方、CMY各色版データについては、解像度変倍処理部(A)4で出力解像度の1/nの解像度のデータへ変換される(ステップ306)。ただし、nはmの2倍数以上の倍数である(例えば、m=2、n=4)。1/n解像度のCMY各色版データはハーフトーン処理部5でハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理)を施される(ステップ307)。
【0054】
解像度変倍処理部(B)6では、ハーフトーン処理後のK版データとCMY各色版データの各ドットをm×nドットパターンとn×nドットパターンにそれぞれ置き換えることにより、解像度が出力解像度へ変換される(ステップ308K〜308Y)。この際に、OFFドットと置き換えられるm×mドットパターンとn×nドットパターンは全ドットがOFFドットであるが、ONドットと置き換えられるm×mドットパターンとn×nドットパターンはONドットを含み、そのONドットの割合により色剤使用量低減率が決まる。このステップ308K〜308Yで適用されるm×mドットパターンとn×nドットパターンは、前記実施例1に関連して説明したように、予め用意したドットパターンの組をローテーションさせるように順に選択して使用したりランダムに選択して使用したりすることができる。あるいは、大きな分散型ドットパターンからm×mドットパターンとn×nドットパターンを切り出すようにしてもよい。この場合、分散型ドットパターの縦横サイズは、mとnの公倍数に選ぶとよい。また、計算によりm×mドットパターンとn×nドットパターンを求めるようにしてもよい。
【0055】
ステップ308K,308C,308M,308Yの処理結果である出力解像度のCMY版データは画像出力部7で出力される(ステップ309)。
【0056】
本実施例では、K版をCMY版より高い解像度でハーフトーン処理することにより(m<n)、K版ではCMY版よりも高解像度なドットパターンを形成できる。これは、前記実施例2と同様に文字や細線をより美しく表現するために有効である。なお、本実施例では、K版についても色剤使用量を低減することができる。
【0057】
本実施形態においても、ステップ308K〜308Yにおいて、ブラックドットとカラードットの重なり発生した時に、そのカラードットをOFFドットに変更し、あるいは、そのブラックドットをOFFドットに変更する処理を行うようにしてもよい。かかる態様も本発明に含まれる。
【0058】
なお、図1に示した画像データ入力部1から解像度変倍処理部(B)6までの各手段としてコンピュータを機能させるプログラム、あるいは、図2乃至図4の画像出力ステップ107,209,309以外の各ステップをコンピュータで実行させるプログラムも本発明に含まれる。このようなプログラムは、プリンタドライバーに組み込むことができるほか、アプリケーションのプラグインソフトとして、あるいは、アプリケーションとプリンタドライバーの仲立ちをする単体のアプリケーションとして実現することもできる。
【0059】
これらのアプリケーションもしくはプラグインソフトが記録された記憶媒体(CD-ROM、DVD-ROM、メモリーカード等)も本発明に包含される。
【符号の説明】
【0060】
1 画像データ入力部
2 色変換処理部
3 γ補正処理部
4 解像度変倍処理部(A)
5 ハーフトーン処理部
6 解像度変倍処理部
7 画像出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開平9−277646号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に、カラー画像形成時の色剤使用量の低減のための処理を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機では、エコノミーモード等と呼ばれる色剤使用量低減モードが用意されることが多い。このモードを指定すると、標準的な記録モードよりも色剤使用量を低減し、1枚当たりの記録ランニングコストを低減できる。
【0003】
画像形成のための色剤使用量を低減する様々な手法が知られている。例えば、入力画像データに1以下の係数を乗算し、画像全体の濃度を引き下げる方法(方法1)がある。高濃度の表現には多くの色剤を必要となるので、全体の濃度を引き下げれば色剤使用量を低減できる。ハーフトーン処理後の画像データにマスキング処理を施し、一定率で間引くことで色剤使用量を低減する方法(方法2)がある。多値ドットを形成可能な記録装置では、記録するドットサイズを縮小し色剤使用量を低減する方法(方法3)もある。
【0004】
しかし、上記方法1,2,3はいずれも、色剤使用量を低減しない場合の記録画像と比較すると、画像品質が相当に低下するという問題がある。これは、色剤使用量低減モードの宿命といえる課題であるが、この画質低下を少しでも目立たなくするため、近年では、BG/UCR処理における下色除去を積極的に行い、色重ね部分を可能な限りK(ブラック)版データに置き換え、カラー(CMY)版データの濃度を下げて色剤使用量を低減する方法(方法4)も知られている。
【0005】
また、画像の輪郭部だけを残し、輪郭の内側に使用される色剤を低減する方法(方法5)も採用される。この方法では、当然、記録画像は元画像データから大きくかけ離れたものとなるが、大幅な色剤使用量低減を実現できる。
【0006】
画像のオブジェクト(文字、線画、グラフィックス、写真等)毎に上記手法の適用を制御し、画質低下が好ましくないオブジェクトを保護する方法(方法6)も知られている。
【0007】
方法4によれば、方法1,2,3よりも比較的画像品質の高い色剤使用量低減記録が可能となったが、より大幅な色剤使用量低減を狙った場合、画質低下が無視できないレベルになってくる。具体的には、画像のコントラストや鮮やかさ、階調再現性が低下し、何が描かれているかが判別できなくなってくる。この傾向は写真オブジェクト等で顕著に現れる。
【0008】
方法5の方法でも、輪郭部を残すことで形状自体が情報となる文字やグラフィックオブジェクトでは使用上問題は無い。しかし、写真の様に自然にあるものを写した画像に対しては、極端な輪郭の誇張と階調性の喪失から、元の画像イメージを推測することさえ困難になってしまう。
【0009】
障害の発生しやすい写真オブジェクト等を色剤使用量低減の対象から外す、あるいは色剤使用量の低減量を緩和するという対応は可能である。しかし、写真をふんだんに使った画像データを出力するケースが非常に多くなってきており、結果的に色剤使用量低減効果が低くなってしまう。
【0010】
また、オブジェクト毎に処理を切り替えるためには、オブジェクトを分離する処理が必要となる。コンピュータのOS機能として、オブジェクト毎に画像データを分けて出力できる場合は個々に処理を行っていけば良いが、非対応のOSの場合や、スキャナー等からの取り込み画像等を処理するような場合、一度像域分離処理を行ってどのオブジェクトであるか逐一判別を行う必要がある。この様な処理は非常に演算負荷が大きく、出力されるまでのスループットが低下したり、高機能な処理回路の搭載のために画像処理装置のコストアップを招いたりする。そして、常に誤変換の可能性もつきまとうことになり、必ずしも狙い通りの画質になるとは限らない。
【0011】
また、上記方法と異なった方法として、出力解像度の1/nの解像度のデータを出力解像度に変換する際に、ONドット(色剤を用いて記録されるドット)を減らすことにより、画像情報の消失を防ぎながら、色剤使用量を低減する方法も知られている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、カラー画像について、画質品質の低下を抑制しつつ、画像記録のための色剤使用量を低減させることが可能な新規な画像処理装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、請求項1に記載の通り、
K(ブラック)版データ及び他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nは2以上の整数)の解像度に変換する第1の処理手段、
前記第1の処理手段により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理手段、
及び、
前記第2の処理手段によりハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンによって置き換え、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないn×nドットパターンによって置き換える処理を行う第3の処理手段を有し、
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを、版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させる構成とされる。
【発明の効果】
【0014】
前記第3の処理手段の処理によって出力解像度のK版データ及び他の色版データが得られるが、当該処理の前のK版データ又は他の色版データのONドットと置き換えられるドットパターンのONドット数に応じた色剤使用量低減がなされている。しかし、このK版データ及び他の色版データは、ハーフトーン処理によるドット配置が保存されているため、階調再現は良好であり、単純に間引きを行う方法のような不快なモアレやテクスチャーが発生しにくい。さらに、ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを版間で相互に異ならせるので、複数版のONドットの重なりが減り、複数版のONドットの重なりによる彩度の低下が抑えられ発色性が向上する。さらに、ONドットと置き換えられるドットパターンを、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させるため、同じドットパターンを連続的に用いた場合に問題となる特定色のラインや筋状の抜けが目立ったり、色版ズレの様に見えたりするといった不具合は生じにくい。このように、本発明によれば、カラー画像について、画質の低下を抑制しつつ画像記録のための色剤使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置のブロック図である。
【図2】実施例1を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施例2を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施例3を説明するためのフローチャートである。
【図5】色剤使用量を1/2に低減するための2×2ドットパターンの例を示す図である。
【図6】図5のドットパターンの適用例を説明するためのドット配列図である。
【図7】色剤使用量を1/4に低減するための2×2ドットパターンの例を示す図である。
【図8】サイズの大きな分散ドットパターンからn×nドットパターンを切り出して使用する方法を説明するための模式図である。
【図9】本発明における解像度変換と色剤使用量低減の原理を説明するための模式図である。
【図10】出力解像度での誤差拡散処理結果と出力解像度より低い解像度での誤差拡散処理結果とを示す図である。
【図11】出力解像度での誤差拡散処理結果とその間引き処理結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を説明するためのブロック図である。図1に示す画像処理装置は、画像データ入力部1によってカラー画像をRGBデータとして入力し、画像出力部7で入力カラー画像をK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色剤を用いて記録するものである。このような画像出力部7としては、例えば電子写真方式やインクジェット方式のプリンタエンジンを用いることができる。電子写真方式のプリンタエンジンの場合、色剤はトナーに相当する。インクジェット方式のプリンタエンジンの場合、色剤はインクに相当する。
【0017】
この画像処理装置は、入力されたカラー画像のRGBデータを画像出力部7で記録されるKCMYの各色版のデータに変換する色変換処理部2、このCMYK各色版データに対し画像出力部7のγ特性に応じたγ補正処理を施すγ補正処理部3、γ補正処理後のCMYK各色版データの解像度を画像出力部7による出力解像度より低い解像度へ変換する解像度変倍処理部(A)4、この低い解像度に変換されたCMYK各色版データにディザ処理、誤差拡散処理等のハーフトーン処理(中間調処理)を施すハーフトーン処理部5、ハーフトーン処理後のCMYK各色版データの解像度を画像出力部7による出力解像度へ変換する解像度変倍処理部(B)6を備え、この変換後のKCMY各色版データが画像出力部7へ入力される。
【0018】
解像度変倍処理部(A)4で変換後の各色版データの解像度が出力解像度の1/nの解像度の場合、解像度変倍処理部(B)6は、ハーフトーン処理後の各色版データを出力解像度のデータへ変換する際に、1/n解像度の各色版データの各ドットをn×nのドットパターンに置き換える。1/n解像度の各色版データ中のOFFドット(記録されないドット)と置き換えられるn×nのドットパターンは、全ドットがOFFドットである。ONドット(記録されるドット)と置き換えられるn×nのドットパターンは、少なくとも1つのONドットを含み、このONドットの割合を小さくするほど色剤使用量を減らすことが出来る。つまり、1/n解像度データ中のONドットと置き換えられるn×nドットパターンのONドットの割合により、色剤使用量低減率を調整することができる。
【0019】
このような色剤使用量低減に関連した処理内容を中心に、いくつかの実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図2は実施例1における処理フローを示している。
【0021】
画像データ入力部1によって画像データ(RGBデータ)が入力される(ステップ101)。このRGBデータは色変換処理部2によりCMYKの各色版データへ変換される(ステップ102)。この色変換は、例えば、RGBデータからCMYデータへの変換のための周知のマトリクス演算等の処理と、周知の墨生成/下色除去(BC/UCR)処理によって行われる。このようにして生成されたCMYK各色版データはγ補正処理部3でγ補正処理を施され(ステップ103)、次に解像度変倍処理部(A)4で出力解像度の1/nの解像度のデータへ変換される(ステップ104)。ただし、nは2以上の整数である。1/n解像度のCMYK各色版データはハーフトーン処理部5でハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理)を施される(ステップ105)。解像度変倍処理部(B)6では、ハーフトーン処理後のCMYK各色版データの各ドットをn×nドットパターンに置き換えることにより、解像度が出力解像度へ変換される(ステップ106K,106C,106M,106Y)。この際に、OFFドットと置き換えられるn×nドットパターンは全ドットがOFFドットであるが、ONドットと置き換えられるn×nドットパターンは、色剤使用量低減率毎に、かつ、色版毎に予め用意されたものが用いられる。このようにして出力解像に変換され、かつ、必要に応じて色剤使用量低減処理が施されたCMYK各色版データは画像出力部7に入力され、各色版が作像され、それらの合成されたカラー画像が形成される(ステップ107)。
【0022】
次に、ステップ106K〜106Yについて詳細に説明する。ここでは、理解を容易にするためn=2として説明する。
【0023】
まず、1/2解像度データのONドットを2×2ドットパターンと置き換えることにより、出力解像度への変換と色剤使用量低減とを行う処理方法の基本的な利点について、図9、図10、図11を参照して説明する。
【0024】
まず図9を参照する。図9において、(a)は出力解像度の1/2の解像度のある色版データ(ハーフトーン処理済み)であり、その各ドットを2×2ドットパターンに置き換えた例を(b)(c)(d)に示す。(b)の例では、1/2解像度データのONドットと置き換えられた2×2ドットパターンの全ドットがONドットであり、この場合の色剤使用量を基準量とする。(c)の例では、1/2解像度データのONドットと置き換えられた2×2ドットパターンの半数のドットがONドットであるので、色剤使用量は基準量の約半分に低減される。(d)の例では、1/2解像度データのONドットと置き換えられる2×2ドットパターンの1ドットのみがONドットであるので、色剤使用量は基準量の約1/4に低減される。2×2ドットパターン中の3ドットのみONドットのときは、色剤使用量は基準量の約3/4に低減される。より一般化して云えば、出力解像度の1/nの解像度に変換した色版データをハーフトーン処理後に出力解像度へ変換し、この変換の際に1/n解像度のデータの各ドットはn×nドットパターンと置き換えられる。したがって、nを3、4、5...と大きくするならば、置き換えられるドットパターンのドット数が大きくなるため、そのONドットの割合を増減することにより、より細かく色剤使用量の低減率を調整することができる。
【0025】
さて、本発明では、各色版データに、出力解像度の状態でハーフトーン処理を施すのではなく、出力解像度より低い解像度に変換した状態でハーフトーン処理を施す。このように低い解像度でハーフトーン処理を施すことの影響について図10により説明する。
【0026】
図10において、ある色版データに対し、出力解像度でハーフトーン処理(誤差拡散処理)を施した結果を(a)に模式的に示し、出力解像度の1/2解像度でハーフトーン処理(誤差拡散処理)を施した結果を(b)に模式的に示している。図10に見られるように、解像度が半分になれば、ドットの径は約2倍となり、逆にドットの発生数は約1/4となる(厳密には、ドットゲインと階調特性の持たせ方によって、径や数は多少違ってくる)。(a)と(b)の画質的な差は粒状感や鮮鋭性といった特性に表れてくるが、(b)の様に半分の解像度であっても、解像度に応じた適切なハーフトーン処理が行われれば、階調性は確保され、不快なテクスチャー等は発生しない。
【0027】
そして、本発明の場合、例えば図9で説明したように、1/2解像度のハーフトーン処理後のデータを出力解像度へ変換する際に色剤使用量の低減を行うが、ハーフトーン処理の結果形成されるドットパターンはほぼ保存されるため、不快なテクスチャー等は発生せず、階調性も確保される。すなわち、出力解像度へ変換したデータでは、色剤使用量の低減率に応じてドット塊の太り/細りの変化は生じるものの、ドット塊の配置はハーフトーン処理で再現された理想的な配置のままであるため、不快なモアレやテクスチャーは発生せず、階調毎のドット塊の個数も変化しないため階調差も確保される。
【0028】
この点は、ハーフトーン処理を施した出力解像度の各色版データに対し一定割合でドット間引きを行うことにより色剤使用量を低減する手法に比べ大きな利点である。これについて図11を参照し説明する。図11の(a)はある色版の出力解像度でハーフトーン処理を施した画像を模式的に示し、このハーフトーン画像に一定比率で間引きを行った画像を(b)に示す。(a)と(b)を比較すれば分かるように、ハーフトーン処理により理想的に配置されたドットが間引き処理によって局部的に欠落することで、ドットの分布が不均一になってしまい、この様なドットの分布の不均一さは、モアレやテクスチャーといった不快な画質劣化に繋がるのである。
【0029】
さて、先に述べたように、ハーフトーン処理後の1/n(ここでは1/2)解像度の各路版データのONドットと置き換えられるn×n(ここでは2×2)ドットパターンは、色剤使用量低減率毎に、かつ、色版毎に予め用意されたものが用いられる。
【0030】
図5に、KCMY各色版に適用される2×2ドットパターンの例を示す。この例は、色剤使用量を1/2に低減する場合に用いられる。図7に、色剤使用量を1/4に低減する場合に用いられる2×2ドットパターンの例を示す。図5及び図7において、丸印はONドットを意味する。
【0031】
図5及び図7において、縦に並ぶ4つのドットパターンKはK版に適用されるパターン、同じく4つのドットパターンCはC版に適用されるパターン、同じく4つのドットパターンMはM版に適用されるパターン、同じく4つのドットパターンYはY版に適用されるパターンである。
【0032】
図2のステップ106K〜106Yでは、図5又は図7の2×2ドットパターンは1段目のもの、2段目のも、3段目のもの、4段目のも、再び1段目のものというように、ローテーションさせるように順に用いられる。
【0033】
図5のドットパターンの適用例を図6に示す。図6の(a)は1/2解像度データのドット配列を示し、各丸印が1つのドットであり、ドット中の文字は当該ドットがONドットである色版名を表している。すなわち、(a)に示した例では、K版、M版、Y版については全てのドットがONドットであり、C版については全てのドットがOFFドットである。この1/2解像度データの各ドットをラスタ順に処理するものとして、ONドットを、図5の1段目のドットパターン、2段目のドットパターン、3段目のドットパターン、4段目のドットパターン、1段目のドットパターン...というように置き換える。このようなドットパターンの置き換えにより出力解像度に戻された各色版データのドット配列は図6の(b)のようになる。(b)において、各丸印は1つのドットであり、ドット中の文字は当該ドットがONドットである色版名を表している。
【0034】
図5の1段目に示したドットパターンのみを用いて図6の(a)に示した1/2解像度データのONドットの置き換えを行うと、その結果は図6の(c)のようになる。(c)において、各丸印は1つのドットであり、ドット中の文字は当該ドットがONドットである色版名である。この(c)の例では、Y色版でONドットが連続するため、Yのラインが目立つという不都合が生じる。
【0035】
さて、図5又は図7の同じ段に並ぶドットパターンK,C,M,Yを比較すれば理解されるように、KCMY各色版間でONドットができる限り重ならないように各色版に適用されるドットパターンのONドットの配置が決定される。TVやカラーモニターのような加法混色系では、色を重ねる事でより鮮やかに発色する特性を持つが、記録用紙に印刷を行う減法混色系では、色が重なるほど色の濁りが発生し色域が狭くなってしまう。色剤使用量が低減されるとただでさえ色域が狭くなる傾向になるため、色版間でのONドットの重なりを減らすことは重要である。
【0036】
また、図5の1段目から4段目までの各段のドットパターンをローテーションさせるように順に選択して適用するが、こうすることにより、1/2解像度の各色版データの1ドット位置毎にドットパターンのONドット位置を変動させることができる。各色版において同じドットパターンが連続的に適用されると、図6(c)の例のように、ある色のラインや筋条の抜けが目立ったり、ある色版がズレたように見えることがあり、このような不都合はドット被覆率の高い画像ほど発生しやすい。ドットパターンのローテーションにより、このような不都合の発生を減らすことができる。
【0037】
なお、図5のようなドットパターンをローテーションさせるように順に選択するのではなく、ランダム順に選択して適用するようにしても同様な効果を得られる。このようにランダム順に選択して適用する態様も本発明に含まれる。
【0038】
また、ステップ106K〜106Yにおいて、図5又は図7に示したような予め決定したドットパターンをローテーションさせるように順に選択し、あるいはランダム順に選択して用いる方法と同様の結果を得る別の手法がある。例えば、図8に模式的に示すようなn×nドットパターンよりサイズの大きい、色剤使用量低減率に対応した分散型ドットパターン21を用意し、この分散型ドットパターン21からn×nドットパターン22を切り出し、その切り出し位置をハーフトーン処理後のKCMY各色版データのドット位置毎に順次移動させ、切り出したn×nドットパターンをステップ106K〜106YでONドットと置き換えるようにしてもよい。分散型ドットパターン21は色版毎に異ならせるか、あるいは、全ての色版で共通の分散型ドットパターン21を用いるがn×nドットパターン22の切り出し位置を色版間で異ならせる。分散型ドットパターン21としてブルーノイズ、グリーンノイズと呼ばれる特性を持ったパターンを用いれば、パターンの発生規則がランダムかつ均等であるので、図6(c)に関連して説明したような不都合を効果的に回避することができる。分散型ドットパターン21の縦横サイズはドットパターンのサイズnの倍数に選ぶとよい。このような色剤使用量低減率に対応したサイズの大きな分散型ドットパターンからn×nドットパターンを切り出して利用する態様も本発明に含まれる。
【0039】
また、ステップ106K〜106Yで、その都度、置き換えるn×nドットパターンを計算によって求めるようにしてもよい。図6(b)を見れば分かるように、予め用意したn×nドットパターンをローテーションさせて、あるいはランダムに選択したとしても、複数の色版のドットの重複がどこかで発生してしまう。これを極力回避するために、例えば、既に出力解像度への変換(上位変換)が済んだ隣接画素位置のドット配置を元に、最も遠い位置にONドットを割り当てるようにすると良い。更に、この時に、明度の低い、すなわち感覚的にブラックに近い色ドットからなるべく離れた位置を計算することで、最大限に発色性を確保することができる。
【0040】
また、ステップ106K〜106Yにおいて、ブラックドットとカラードットの重なり発生した時に、そのカラードットをOFFドットに変更し、あるいは、そのブラックドットをOFFドットに変更する処理を行うようにしてもよい。かかる態様も本発明に含まれる。
【0041】
ブラックドットを含むドットの重なりが発生する場合、多少カラードットを重複させても発色は黒となる。この場合、少しでも色剤使用量を低減させるため、ブラックドットと重複する位置のカラードットは記録しない方が好ましい。特に、インクジェット記録装置の様に液状の色剤を使用する記録装置では、必要以上にカラードットを重ね打ちすると、滲みや裏抜けといった不具合が発生しやすくなる。滲みは特に文字や細線の品質を著しく落とす原因となるため、文字や細線に対しては、積極的にブラックドットを残す様にするのが好ましい。この効果をより高める為に、ハーフトーン処理より前の工程で、鮮鋭化処理をK版にかけておくのも良い。
【0042】
一方、ブラックドットは非常に目立ちやすく、画像の鮮やかさを損なう働きもする(粒状感の悪化や、人肌の皺や傷を強調してしまう可能性もある)。自然画や図形(塗り)など、なだらかなクラデーションが多用されるビットマップ画像に対しては、ブラックドットを記録せずカラードットを残すようにした方がむしろ好ましい。
【0043】
この様に、画像種によって好ましい処理が変わるため、画像オブジェクト(文字/線画/塗り/ビットマップ等)毎に入力データを切り分けて処理できるシステムにおいては、オブジェクト毎に、重なったブラックドットを残すかカラードットを残すか切り替えるようにするとよい。
【実施例2】
【0044】
図3は実施例2における処理フローを示している。
【0045】
画像データ入力部1によって画像データ(RGBデータ)が入力される(ステップ201)。このRGBデータは色変換処理部2によりCMYKの各色版データへ変換される(ステップ202)。CMYK各色版データはγ補正処理部3でγ補正処理を施される(ステップ203)。この後の処理フローは、K版とカラー版とで切り替わる。
【0046】
まず、K版データについては、解像度変倍処理部(A)4で出力解像度へ変換され(ステップ204)、変換後の出力解像度のK版データに対しハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理等)が施される(ステップ205)。このハーフトーン処理後のK版データはそのまま画像出力部7で出力される(ステップ209)。
【0047】
一方、CMY各色版データについては、解像度変倍処理部(A)4で出力解像度の1/nの解像度のデータへ変換される(ステップ206)。ただし、nは2以上の整数である。1/n解像度のCMY各色版データはハーフトーン処理部5でハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理)を施される(ステップ207)。解像度変倍処理部(B)6では、ハーフトーン処理後のCMY各色版データの各ドットをn×nドットパターンに置き換えることにより、解像度が出力解像度へ変換される(ステップ208C,208M,208Y)。この際に、OFFドットと置き換えられるn×nドットパターンは全ドットがOFFドットであるが、ONドットと置き換えられるn×nドットパターンはONドットをほ含み、そのONドットの割合により色剤使用量低減率が決まる。このステップ208C,208M,208Yで適用されるn×nドットパターンは、前記実施例1に関連して説明したように、予め用意したドットパターンをローテーションさせて使用したりランダムに選択して使用したりすることができる。あるいは、ブルーノイズパターンやグリーンノイズパターンのような分散型ドットパターンからn×nドットパターンを切り出すようにしてもよい。また、計算によりn×nドットパターンを求めるようにしてもよい。ステップ208C,208M,208Yの処理結果である出力解像度のCMY版データは画像出力部7で出力される(ステップ209)。
【0048】
本実施例では、K版を出力解像度でハーフトーン処理することにより、K版についてカラー版よりも高解像度なドットパターンを形成できる。K版の画像オブジェクトすなわちブラック色剤で記録される画像オブジェクトは、その大半が文字や細線であり、文字や細線の重要な画質特性としてエッジの滑らかさが要求される。エッジの滑らかさは解像度の高さによってほぼ決まるので、本実施例のようにK版の解像度を高くすることは、文字や細線をより美しく表現するために有効である。なお、本実施例では、K版については色剤使用量低減はなされない。
【0049】
本実施形態においても、ステップ208C〜208Yにおいて、ブラックドットとカラードットの重なり発生した時に、そのカラードットをOFFドットに変更し、あるいは、そのブラックドットをOFFドットに変更する処理を行うようにしてもよい。かかる態様も本発明に含まれる。
【実施例3】
【0050】
図4は実施例3における処理フローを示している。
【0051】
画像データ入力部1によって画像データ(RGBデータ)が入力される(ステップ301)。このRGBデータは色変換処理部2によりCMYKの各色版データへ変換される(ステップ302)。CMYK各色版データはγ補正処理部3でγ補正処理を施される(ステップ303)。この後の処理フローは、K版とカラー版とで切り替わる。
【0052】
まず、K版データについては、解像度変倍処理部(A)4で出力解像度の1/mの解像度へ変換され(ステップ304)、変換後の出力解像度のK版データに対しハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理等)が施される(ステップ305)。ただし、mは2以上の整数である。
【0053】
一方、CMY各色版データについては、解像度変倍処理部(A)4で出力解像度の1/nの解像度のデータへ変換される(ステップ306)。ただし、nはmの2倍数以上の倍数である(例えば、m=2、n=4)。1/n解像度のCMY各色版データはハーフトーン処理部5でハーフトーン処理(ディザ処理、誤差拡散処理)を施される(ステップ307)。
【0054】
解像度変倍処理部(B)6では、ハーフトーン処理後のK版データとCMY各色版データの各ドットをm×nドットパターンとn×nドットパターンにそれぞれ置き換えることにより、解像度が出力解像度へ変換される(ステップ308K〜308Y)。この際に、OFFドットと置き換えられるm×mドットパターンとn×nドットパターンは全ドットがOFFドットであるが、ONドットと置き換えられるm×mドットパターンとn×nドットパターンはONドットを含み、そのONドットの割合により色剤使用量低減率が決まる。このステップ308K〜308Yで適用されるm×mドットパターンとn×nドットパターンは、前記実施例1に関連して説明したように、予め用意したドットパターンの組をローテーションさせるように順に選択して使用したりランダムに選択して使用したりすることができる。あるいは、大きな分散型ドットパターンからm×mドットパターンとn×nドットパターンを切り出すようにしてもよい。この場合、分散型ドットパターの縦横サイズは、mとnの公倍数に選ぶとよい。また、計算によりm×mドットパターンとn×nドットパターンを求めるようにしてもよい。
【0055】
ステップ308K,308C,308M,308Yの処理結果である出力解像度のCMY版データは画像出力部7で出力される(ステップ309)。
【0056】
本実施例では、K版をCMY版より高い解像度でハーフトーン処理することにより(m<n)、K版ではCMY版よりも高解像度なドットパターンを形成できる。これは、前記実施例2と同様に文字や細線をより美しく表現するために有効である。なお、本実施例では、K版についても色剤使用量を低減することができる。
【0057】
本実施形態においても、ステップ308K〜308Yにおいて、ブラックドットとカラードットの重なり発生した時に、そのカラードットをOFFドットに変更し、あるいは、そのブラックドットをOFFドットに変更する処理を行うようにしてもよい。かかる態様も本発明に含まれる。
【0058】
なお、図1に示した画像データ入力部1から解像度変倍処理部(B)6までの各手段としてコンピュータを機能させるプログラム、あるいは、図2乃至図4の画像出力ステップ107,209,309以外の各ステップをコンピュータで実行させるプログラムも本発明に含まれる。このようなプログラムは、プリンタドライバーに組み込むことができるほか、アプリケーションのプラグインソフトとして、あるいは、アプリケーションとプリンタドライバーの仲立ちをする単体のアプリケーションとして実現することもできる。
【0059】
これらのアプリケーションもしくはプラグインソフトが記録された記憶媒体(CD-ROM、DVD-ROM、メモリーカード等)も本発明に包含される。
【符号の説明】
【0060】
1 画像データ入力部
2 色変換処理部
3 γ補正処理部
4 解像度変倍処理部(A)
5 ハーフトーン処理部
6 解像度変倍処理部
7 画像出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開平9−277646号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
K(ブラック)版データ及び他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nは2以上の整数)の解像度に変換する第1の処理手段、
前記第1の処理手段により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理手段、
及び、
前記第2の処理手段によりハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンによって置き換え、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないn×nドットパターンによって置き換える処理を行う第3の処理手段を有し、
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを、版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
K(ブラック)版データを出力解像度に変換し、他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nは2以上の整数)の解像度に変換する第1の処理手段、
前記第1の処理手段により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理手段、
及び、
前記第2の処理手段によりハーフトーン処理後の他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンによって置き換え、前記ハーフトーン処理後の他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないn×nドットパターンによって置き換える処理を行う第3の処理手段を有し、
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後の他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後の他の色版データのドット位置毎に変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
K(ブラック)版データを出力解像度の1/m(ただし、mは2以上の整数)の解像度に変換し、他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nはmの2倍数以上の倍数)の解像度に変換する第1の処理手段、
前記第1の処理手段により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理手段、
及び、
前記第2の処理手段によりハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むm×mドットパターン及びn×nドットパターンによってそれぞれ置き換え、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないm×mドットパターン及びn×nドットパターンによってそれぞれ置き換える処理を行う第3の処理手段を有し、
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるドットパターンを版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ又は他の色版データのドット位置毎に、予め用意された複数組のドットパターンから所定順又はランダム順に1組のドットパターンを選択し、選択した1組のドットパターンを前記ハーフトーン処理後のK版データ又は他の色版データのONドットと置き換えられるドットパターンとして用いることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ又は他の色版データのONドットと置き換えられるドットパターンを、それよりサイズの大きな分散型ドットパターンから切り出し、その切り出し位置を前記ハーフトーン処理後のK版データ又は他の色版データのドット位置毎に移動させることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第3の処理手段において、前記ドットパターンの置き換え処理後のK版データと他の色版データのONドットの重なり箇所で、K版データと他の色版データのいずれかの側のONドットをOFFドットに変更することを特徴とする請求項1又は3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データと前記ドットパターンの置き換え処理後の他の色版データのONドットの重なり箇所で、K版データと他の色版データのいずれかの側のONドットをOFFドットに変更することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
K(ブラック)版データ及び他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nは2以上の整数)の解像度に変換する第1の処理工程、
前記第1の処理工程により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理工程、
及び、
前記第2の処理工程によりハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンによって置き換え、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないn×nドットパターンによって置き換える処理を行う第3の処理工程を有し、
前記第3の処理工程において、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを、版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置の各処理手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項1】
K(ブラック)版データ及び他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nは2以上の整数)の解像度に変換する第1の処理手段、
前記第1の処理手段により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理手段、
及び、
前記第2の処理手段によりハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンによって置き換え、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないn×nドットパターンによって置き換える処理を行う第3の処理手段を有し、
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを、版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
K(ブラック)版データを出力解像度に変換し、他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nは2以上の整数)の解像度に変換する第1の処理手段、
前記第1の処理手段により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理手段、
及び、
前記第2の処理手段によりハーフトーン処理後の他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンによって置き換え、前記ハーフトーン処理後の他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないn×nドットパターンによって置き換える処理を行う第3の処理手段を有し、
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後の他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後の他の色版データのドット位置毎に変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
K(ブラック)版データを出力解像度の1/m(ただし、mは2以上の整数)の解像度に変換し、他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nはmの2倍数以上の倍数)の解像度に変換する第1の処理手段、
前記第1の処理手段により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理手段、
及び、
前記第2の処理手段によりハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むm×mドットパターン及びn×nドットパターンによってそれぞれ置き換え、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないm×mドットパターン及びn×nドットパターンによってそれぞれ置き換える処理を行う第3の処理手段を有し、
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるドットパターンを版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ又は他の色版データのドット位置毎に、予め用意された複数組のドットパターンから所定順又はランダム順に1組のドットパターンを選択し、選択した1組のドットパターンを前記ハーフトーン処理後のK版データ又は他の色版データのONドットと置き換えられるドットパターンとして用いることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データ又は他の色版データのONドットと置き換えられるドットパターンを、それよりサイズの大きな分散型ドットパターンから切り出し、その切り出し位置を前記ハーフトーン処理後のK版データ又は他の色版データのドット位置毎に移動させることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第3の処理手段において、前記ドットパターンの置き換え処理後のK版データと他の色版データのONドットの重なり箇所で、K版データと他の色版データのいずれかの側のONドットをOFFドットに変更することを特徴とする請求項1又は3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第3の処理手段において、前記ハーフトーン処理後のK版データと前記ドットパターンの置き換え処理後の他の色版データのONドットの重なり箇所で、K版データと他の色版データのいずれかの側のONドットをOFFドットに変更することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
K(ブラック)版データ及び他の色版データを出力解像度の1/n(ただし、nは2以上の整数)の解像度に変換する第1の処理工程、
前記第1の処理工程により変換後のK版データ及び他の色版データにハーフトーン処理を施す第2の処理工程、
及び、
前記第2の処理工程によりハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットを、色剤使用量低減率に対応したONドットを含むn×nドットパターンによって置き換え、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのOFFドットを、ONドットを含まないn×nドットパターンによって置き換える処理を行う第3の処理工程を有し、
前記第3の処理工程において、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのONドットと置き換えられるn×nドットパターンを、版間で相互に異ならせ、かつ、前記ハーフトーン処理後のK版データ及び他の色版データのドット位置毎に変化させることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置の各処理手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−66082(P2013−66082A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203944(P2011−203944)
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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