説明

画像処理装置、画像処理方法

【課題】 機器間の色域形状の違いやグレイラインの違いを考慮して異なる色再現範囲を持つ画像機器間でのカラーマッチングにおいて最適な色空間を判別しその色空間において色域圧縮を行い、極端な彩度低下や階調性の悪化を防止する為の技術を提供すること。
【解決手段】 プリンタの色域内の色を示す第1のデータと、モニタの色域内の色を示す第2のデータとに基づいて、第2のデータをプリンタの色域内の色のデータに色域圧縮する際に用いる色空間を決定し(S207)、決定した色空間において第2のデータをプリンタの色域内の色のデータに色域圧縮する(S208)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある色再現範囲内の色を、異なる色再現範囲内の色に色域圧縮する為の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラー画像を扱うデバイスの色域形状は、デバイス毎に異なる。例えば、モニタは、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体の発色を加法混色して色再現を行うため、モニタの色域は、使用する蛍光体の種類に依存する。
【0003】
一方、プリンタの色域は、使用するインクだけでなく、紙の種類等によっても異なっている。図4は、sRGBモニタの色域とインクジェットプリンタの色域を示した図である。同図に示す色空間における色とCIELAB色空間における色とは、以下の式(1)、(2)で示す関係を有する。
【0004】
L*=L* (1)
C*=((a*)+(b*)1/2 (2)
このように、一方の色域が他方の色域よりも小さい場合には、画像によっては一方の色情報の正確な再現が不可能となる。例えば、モニタ上の画像をプリンタで出力する場合、モニタよりもプリンタの色域の方が小さいため、プリンタの色域外の色はそのまま再現できない。従ってこのような場合には、元の画像情報をなるべく保ちつつ、色域外の色を色域内に持ってくるような色処理が必要になる。このように、物理的に再現不可能な色を、何らかの処理により色域内に押し込むことを一般的に色域圧縮と呼んでいる。
【特許文献1】特開2000−253267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばモニタからプリンタへの色再現を考えた場合、図12(a),(b),(c)に示すような色域圧縮アルゴリズムが提案されている。図12は、色域圧縮を説明する図である。
【0006】
しかし、図4に示す通り、インクジェットプリンタの色域は、モニタ色域に比べ彩度のピークが明度方向で低明度方向にずれている。言い換えれば、モニタの色域とインクジェットプリンタの色域とは相似形となっておらず、図12(a),(b),(c)のような単純な色域圧縮アルゴリズムでは、極端な彩度低下や階調性の悪化など、大きな画質の劣化を引き起こす場合がある。
【0007】
このように、図12に示すような単純な圧縮アルゴリズムを用いた場合においても、大きな画質劣化を生じることなく色域圧縮を行うためには、両方の色域形状がより相似形で表される色空間において色域圧縮を行うことが必要である。
【0008】
一方、図19に示すように、色域圧縮を行う際、一方のグレイラインと他方のグレイラインの色みが異なることも知られている。このグレイラインの色みの違いは、色域圧縮を行うことによって、グレイ再現の低下のみならず、低彩度部全体の再現性の低下をも引き起こすことが知られている。
【0009】
また一方で、図4に示す色相の場合、インクジェットプリンタの色域は、モニタ色域に比べ彩度のピークが明度方向で低明度方向にずれているため、モニタからプリンタへの色再現を考えた場合、高明度、高彩度領域での色再現性が良くない。
【0010】
一般的に色域圧縮では、色域圧縮元の色のうち、色域圧縮先において再現不可能な高彩度色を色域圧縮先の色域へ押し込むため、高彩度部において再現性の低下が生じる。
【0011】
本発明はこのような問題に鑑みて成されたものであり、機器間の色域形状の違いやグレイラインの違いを考慮して、異なる色再現範囲を持つ画像機器間でのカラーマッチングにおいて、最適な色空間を判別しその色空間において色域圧縮を行い、極端な彩度低下や階調性の悪化を防止する為の技術を提供することを目的とする。
【0012】
また、機器間の色域形状の違いを考慮して、異なる色再現範囲を持つ画像機器間でのカラーマッチングにおいて、一方の機器のグレイラインと他方機器のグレイラインとがより近い色空間において色域圧縮を行うことで、グレイ再現の向上及び低彩度部の色再現性を向上させることを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的を達成するために、例えば本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。
【0014】
即ち、第1の色域を示す第1の色域データと、当該第1の色域と異なる第2の色域を示す第2の色域データとを用いて、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色データに色域マッピングする際に用いる色空間を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した色空間において、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色データに色域マッピングする色域マッピング手段と
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の目的を達成するために、例えば本発明の画像処理方法は以下の構成を備える。
【0016】
即ち、第1の色域を示す第1の色域データと、当該第1の色域よりも広い第2の色域を示す第2の色域データとを用いて、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色データに色域マッピングする際に用いる色空間を決定する決定工程と、
前記決定工程で決定した色空間において、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色データに色域マッピングする色域マッピング工程と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成により、機器間の色域形状の違いやグレイラインの違いを考慮して、異なる色再現範囲を持つ画像機器間でのカラーマッチングにおいて、最適な色空間を判別しその色空間において色域圧縮を行い、極端な彩度低下や階調性の悪化を防止することができる。
【0018】
また、本発明の構成により、機器間の色域形状の違いを考慮して、異なる色再現範囲を持つ画像機器間でのカラーマッチングにおいて、一方の機器のグレイラインと他方機器のグレイラインとがより近い色空間において色域圧縮を行うことで、グレイ再現の向上及び低彩度部の色再現性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
<画像処理装置とその周辺機器について>
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。同図に示す如く、画像処理装置1には、画像表示装置2と画像出力装置3とが接続されている。画像表示装置2としてはCRTや液晶画面等が適用可能である。画像出力装置3としてはプリンタや複写機など、画像や文字などを紙やOHPなどの記録媒体上に記録する装置が適用可能である。
【0021】
以下、画像処理装置1を構成する各部について説明する。4は画像表示部で、画像表示装置2に出力する画像信号を生成する。5は画像処理部で、画像表示装置2に表示される色を画像出力装置3に出力するための階調変換処理などを行う。6は最適色空間判別部で、色域圧縮(色域マッピング)を行う為の最適な色空間を判別する。7は色域形状評価部で、最適色空間判別部6が色空間を判別するために用いる評価値を算出する。8はグレイ評価部で、最適色空間判別部6が色空間を判別するために用いる評価値を算出する。9は色域圧縮処理部で、CIELAB色空間におけるL*−C*平面における色域圧縮を行う。
【0022】
10はカラーマッチングLUT作成部で、画像表示装置2に表示される色と画像出力装置3にて出力される色とのカラーマッチングLUTを作成する。11は画像出力部で、画像出力装置3に出力するための信号を生成する。12はデータ処理を行うために一時的にデータを保存するデータバッファ、13は画像表示装置2などのモニタプロファイルを記憶しておくモニタプロファイル記憶部、14は画像出力装置3などのプリンタプロファイルを記憶しておくプリンタプロファイル記憶部、15はユーザが画像処理装置1を用いて各種の操作を入力するためのUI(ユーザインターフェース)部である。16は画像出力装置3に画像信号を出力する前段で、この画像信号に対して色変換処理を行う色変換処理部である、17はユーザが画像処理装置1における色再現を設定するために操作する色再現設定部である。
【0023】
図10は、上記画像処理装置1の基本構成を示すブロック図である。本実施形態では画像処理装置1としては一般のPC(パーソナルコンピュータ)やWS(ワークステーション)等のコンピュータを用いる。
【0024】
同図において1001はCPUで、RAM1002やROM1003に格納されているプログラムやデータを用いて本コンピュータ全体の制御を行うと共に、画像処理装置1が行う後述の各処理を実行する。
【0025】
1002はRAMで、外部記憶装置1005からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶するためのエリアを備えると共に、CPU1001が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを備える。
【0026】
1003はROMで、本コンピュータの設定データや、ブートプログラムなどを格納している。
【0027】
1004は操作部で、マウスやキーボードなどにより構成されており、各種の指示をCPU1001に入力することができる。なお、図1においてUI部15、色再現設定部17は、この操作部1004が有する一機能である。
【0028】
1005は外部記憶装置で、ハードディスクドライブ装置などの大容量情報記憶装置であって、ここにOS(オペレーティングシステム)や、画像処理装置1が行う後述の各処理をCPU1001に実行させるためのプログラムやデータなどが保存されており、これらの一部もしくは全部はCPU1001の制御に基づいてRAM1002にロードされ、CPU1001による処理対象となる。
【0029】
1006はI/Fで、上記画像表示装置2を本コンピュータに接続するためのインターフェースとして機能する。
【0030】
1007はI/Fで、上記画像出力装置3を本コンピュータに接続するためのインターフェースとして機能する。
【0031】
1008は上述の各部を繋ぐバスである。
【0032】
なお、上述の通り、本実施形態では画像処理装置1として一般のコンピュータを適用するが、これに限定するものではなく、例えば図1に示した各部を専用のハードウェアでもって構成するようにしても良い。
【0033】
<全体処理>
次に、画像処理装置1が行う色域圧縮処理について、図2を用いて説明する。尚、図2のフローチャートに従った処理をCPU1001に実行させるためのプログラムやデータは外部記憶装置1005に保存されており、これらをRAM1002にロードすることで、CPU1001はこれを用いて後述する各処理を実行することができる。
【0034】
図5は、画像表示装置2の表示画面上に表示されるGUI(グラフィカルユーザインターフェース)の表示例を示す図である。ユーザが操作部1004を操作してこのGUIを用いて各種の操作指示を入力することで、後述する各種の設定指示を入力することができる。以下説明する色域圧縮処理のCPU1001への指示は、図5に示したGUIを操作することでなされる。
【0035】
先ず、図5のGUIについて説明する。ユーザは操作部1004を操作してブルダウン502や503を操作すると(例えばマウスを操作してマウスカーソルをプルダウンメニュー502や503上に移動させ、そこでクリックすると)、出力機器や出力用紙の設定を行うことができる。そして、色調整を行うための領域504内で「自動」ボタンを選択し、LUT作成ボタン512を指示すると、図2に示したフローチャートに従った処理が開始される。
【0036】
また、領域504内で「マニュアル」ボタンを選択すると、設定ボタン506が有効(指示可能)となり、且つグレイ再現性を重視するのか、色再現性を重視するのか、またはそれぞれの重視のレベルを重み値でもってマニュアル設定するのかを領域505内の3つのボタンにより設定することができる。グレイの再現性を重視したい場合には「グレイ再現性重視」のボタンを指示する。色の再現性を重視したい場合には「色再現性重視」のボタンを指示する。また、グレイの再現性、色の再現性のそれぞれの重視のレベルをユーザがマニュアルでもって設定したい場合には「マニュアル調整」のボタンを指示する。
【0037】
ここで、「マニュアル調整」のボタンを指示し、且つ設定ボタン508を指示すると、領域509内のスライダバー510を左右に移動させることができるので、色の再現性よりもグレイの再現性を重視したい場合にはより左側にスライダバー510を移動させればよいし、逆にグレイの再現し得よりも色の再現性を重視したい場合にはより右側にスライダバー510を移動させればよい。なお、スライダバー510を一番左側に移動させると「グレイ再現性重視」のボタンを指示した場合と同じであるし、スライダバー510を一番右側に移動させると「色再現性重視」のボタンを指示した場合と同じである。
【0038】
スライダバー510の移動を終了した後に、「OK」ボタン507を指示し、且つ上記LUT作成ボタン512を指示すると、図2のフローチャートに従った処理が開始される。
【0039】
LUT作成ボタン512が指示されると、CPU1001は先ず、プルダウンメニュー502、503によって設定された出力機器(ここではプリンタとする)および出力用紙に応じたプロファイルPon(以下、プリンタプロファイルと呼称する)を外部記憶装置205からRAM1002にロードする(ステップS201)。本実施形態ではこのプリンタプロファイルPonは、画像出力装置3のプロファイルに相当することになる。
【0040】
このプリンタプロファイルPonには、画像出力装置3に送られるデジタルデータRGBと、これに基づいて画像出力装置3が出力した結果の測色データL*a*b*との関係を示すデータが含まれている。具体的には、RGB各9段階のデータ(計729色)に対する、L*a*b*のデータ(Lab値のデータ)が含まれている。この測色データは、画像出力装置3の特性を示すデータであり、測色データから階調特性や色域を求めることができる。
【0041】
次に、モニタプロファイルMonを外部記憶装置205からRAM1002にロードする(ステップS202)。本実施形態ではこのモニタプロファイルは、画像表示装置2のプロファイルに相当する。このモニタプロファイルには、RGB各9段階のデータ(計729色)に対するCIELAB測色データが含まれており、RGB値に対するCIELABデータのテーブルデータが格納されている。
【0042】
次に、上記GUIによって設定された色再現条件(マッチング方法)を取得する(ステップS203)。ここでの色再現条件とは、グレイの再現性に対する重み値と、色の再現性に対する重み値を意味しており、これは以下のようにして設定される。
【0043】
即ち、領域504において「自動」のボタンが指示された場合には、グレイの再現性に対する重み値と、色の再現性に対する重み値とを同じにする。これは先のスライダバー510を中央の位置に移動させた場合と同じである。
【0044】
また、領域504において「マニュアル」のボタンが指示され、且つ領域505において「グレイ再現性重視」のボタンが指示されると、グレイの再現性に対する重み値と、色の再現性に対する重み値との比を2:1にする。また、領域504において「マニュアル」のボタンが指示され、且つ領域505において「色再現性重視」のボタンが指示されると、グレイの再現性に対する重み値と、色の再現性に対する重み値との比を1:2にする。また、領域504において「マニュアル」のボタンが指示され、且つ領域505において「マニュアル調整」のボタンが指示されると、グレイの再現性に対する重み値と、色の再現性に対する重み値との比を、スライダバー510の位置に応じた比とする。
【0045】
図2に戻って次に、色域圧縮元の色域と、色域圧縮先の色域とにおけるグレイラインが、色相平面上で近い色度になるか否かの評価を行い、その評価値を算出する(ステップS204)。ステップS204における処理の詳細については後述する。
【0046】
次に、色域圧縮元の色域の形状と、色域圧縮先の色域の形状とが相似形であるか否かの評価を行い、その評価値を算出する(ステップS205)。ステップS205における処理の詳細については後述する。
【0047】
次に、ステップS204で算出した評価値(グレイライン評価値)とステップS205で算出した評価値(色域形状評価値)とステップS203で取得した色再現条件(重み値)とを用いて、ユーザが指定した色調整を満足する色空間として適切な色空間を決定するための評価値を算出する(ステップS206)。具体的には、各色空間毎に算出したグレイライン評価値Egと色域形状評価値dkにステップS203により取得した色再現条件の重み付けを付加した重み付け付加後のグレイライン評価値Eg_aと重み付け付加後の色域形状評価値dk_aとの積である総合評価値を算出する。なお、この総合評価値はCIELABおよびIPTの2つの色空間において算出する。
【0048】
次に、それぞれの色空間について求めた総合評価値のうち、最も小さい総合評価値となった色空間を、後述の色域圧縮処理で用いる色空間に設定する(ステップS207)。そして、色域圧縮元の色データについて、ステップS207で決定した色空間の色相角を保ち、明度彩度方向にのみ圧縮を行うような色域圧縮を行う(ステップS208)。色域圧縮方法は、例えば図12の(a)、(b)、(c)に示すような、上述の従来方法が適用可能であるが、これに限定するものではない。また、ここでの圧縮元の色データは、画像出力装置3の色域内の色データであり、圧縮先の色域とは、画像出力装置3の色域を示す。
【0049】
そして最後に、RGB各9段階(729色)に対する、ステップS209における色域圧縮後のL*a*b*値の計算結果をテーブルデータ(LUT)として作成する(ステップS209)。
【0050】
<色域形状評価値値算出>
図3は、上記ステップS205における処理の詳細を示すフローチャートである。以下、ステップS205における処理の詳細、即ち、色域圧縮元の色域の形状と、色域圧縮先の色域の形状とが相似形であるか否かの評価を行い、その評価値を算出する処理について説明する。
【0051】
先ず、プリンタプロファイルデータPonに格納されている測色データから生成する色域最外郭データPoを抽出する(ステップS301)。次に、モニタプロファイルデータMonから色域最外郭データMoを抽出する(ステップS302)。次に、Lab色空間で示されるプリンタの色域最外郭データPoとLab色空間で示されるモニタのの色域最外郭データMoとを用いて、色域圧縮元の色域の形状と、色域圧縮先の色域の形状との相似度合いを評価し、そのLab色空間における評価値を算出する(ステップS303)。ステップS303における処理の詳細については後述する。
【0052】
次に、プリンタ色域最外郭データPoをIPT色空間へ変換する(ステップS304)。ここで、CIELABデータからIPT色空間へ変換する方法について図11を用いて簡単に説明する。図11は、プリンタ色域最外郭データPoをIPT色空間へ変換する為に用いる式群を示す図である。
【0053】
CIELABデータをPublication CIE No.15.2(1986)、およびJIS Z8729(色の表示方法-L*a*b*表色系)等に記載されている変換式を用いてXYZ(D50)に変換する。さらに、変換したXYZ(D50)はBradford変換式を用いてXYZ(D65)に変換する。次に(式11−1)を用いて、錐体応答LMSへ変換、さらに(式11−2)のガンマ処理の後、(式11−3)のマトリクス変換によりIPT色空間へ変換する。以上の変換式を用いることで、CIELABデータをIPT色空間データへと変換することができる。本実施形態では、他の色空間として、特に色相線の線形性に富んでいる色空間でRITにて検討しているIPT色空間を用いているが、その他、CIE(国際照明委員会)で検討を行っているカラーアピアランスモデルCAM97s、CAM02等を用いてもよい、また複数個同時に用いてもよく、これに限定しない。求める精度、目的に応じて変化させてよいことは言うまでもない。
【0054】
図3に戻って次に、同様の方法でもってモニタ色域最外郭データMoをIPT色空間へ変換する(ステップS305)。
【0055】
次に、ステップS304およびステップS305においてIPT色空間に変換したモニタ色域最外郭データ及びプリンタ色域最外郭データを用いて、色域圧縮元の色域の形状と、色域圧縮先の色域の形状との相似度合いを評価し、IPT色空間における評価値を算出する(ステップS306)。ステップS306における処理はステップS303における処理と同様にして行う。
【0056】
<色域形状の評価>
図6は、上記ステップS303における処理の詳細を示すフローチャートである。以下、ステップS303における処理の詳細、即ち、プリンタの色域最外郭データPoとモニタの色域最外郭データMoとを用いて、色域圧縮元の色域の形状と、色域圧縮先の色域の形状との相似度合いを評価し、その評価値を算出する処理について説明する。
【0057】
先ず、以下の処理で用いる変数kが保持する値を0に初期化する(ステップS601)。次に、プリンタ色域最外郭データPoとモニタ色域最外郭データMoのL*−C*平面データを取得する(ステップS602)。この処理の詳細について図7を用いて説明する。図7は、プリンタ色域最外郭データPo、及びモニタ色域最外郭データMoをCIELABのa*−b*平面で示した図である。
【0058】
先ず最初は変数kが保持する値は0であるので、このとき、色相角0°(図7中において701)でPoおよびMoの色域のL*−C*平面データを抽出する。次に変数kが保持する値を1つインクリメントするので、k=1となり、そのときは色相角45°(図7中において702)でPoおよびMoの色域のL*−C*平面データを抽出する。このように変数kが保持する値を1づつインクリメントする毎に45°づつのL*−C*平面データを取得していく。なお、本実施形態では色相角45°づつのL*−C*平面データを取得しているが、これに限定するものではない。
【0059】
次に、以下の処理で用いる変数nが保持する値を0に初期化する(ステップS603)。次に、モニタ色域最外郭データPoとプリンタ色域最外郭データMoとの彩度比Cnを算出する(ステップS604)。この処理の詳細を図8、図9を用いて詳細に説明する。図8,9はステップS604における処理の詳細を説明する図である。
【0060】
変数kが保持する値が0の時、彩度比C0は、線分801とモニタ色域最外郭との交点Mx、線分801とプリンタ色域最外郭との交点Px、線分801〜807の回転軸の位置Lstを用いて、以下の式でもって求めることができる。
【0061】
C0=(Px−Lst)/(Mx−Lst) (3)
そして変数nが保持する値を1つインクリメントし、n<7であるのか否かをチェックする(ステップS605)。そしてn<7であれば処理をステップS604に戻し、次はk=1であるので、彩度比C1は線分802とモニタ色域最外郭との交点Mx、線分802とプリンタ色域最外郭との交点Px、線分801の回転軸の位置Lstを用いて、上記式(3)に従って求める。同様にして線分803,804,805,806,807についても彩度比を求める。よってステップS605におけるチェック処理で、n≧7の時には既に、C0〜C7が求まっていることになる。変数kが保持する値がある値であるときの交点Mx、交点Px、位置Lstを図9に示す。
【0062】
図6に戻って、n≧7の場合には処理をステップS605からステップS606に進め、ある色相角における彩度比Cnの平均偏差dkを算出する(ステップS606)。平均偏差dkを算出するためには、まず以下の式に従って彩度比Cnの平均値を算出する。
【0063】
Mc=(C0+C1+C2+C3+C4+C5+C6+C7)/8 (4)
その後、以下の式に従って、上記平均偏差dkを算出する。
彩度比Cnの平均値を算出する。
【0064】
dk=(|C0−Mc|+|C1−Mc|+|C2−Mc|
+|C3−Mc|+|C4−Mc|+|C5−Mc|
+|C6−Mc|+|C7−Mc|)/8 (5)
なお、本実施形態では変数nが保持する値を0〜6まで変化させ、その結果7本の線分のそれぞれについて彩度比を求めていたが、この数に限定するものではない。
【0065】
図6に戻って、次に変数kが保持する値を1つインクリメントし、その結果k<8であるのか否かをチェックする(ステップS607)。そしてチェックの結果、k<8の場合には処理をステップS602に戻し、以降の処理を繰り返す。
【0066】
一方、k≧8の場合には処理をステップS607からステップS608に進め、全色相角における平均偏差の平均値を計算し、それの計算結果を色域形状評価の評価値とする(ステップS608)。即ち、k=0の場合に計算した平均偏差、k=1の場合に計算した平均偏差、、、k=7の場合に計算した平均偏差のそれぞれの平均値を求め、これを色域形状評価の評価値とする。
【0067】
なお、本実施形態では、色域形状の相似形評価を、L*−C*平面上における彩度比の平均偏差をとることにより評価したが、これに限定するものではない。
【0068】
<グレイライン評価値算出>
図15は、上記ステップS204における処理の詳細を示すフローチャートである。以下、ステップS204における処理の詳細、即ち、色域圧縮元の色域と、色域圧縮先の色域とにおけるグレイラインが、色相平面上で近い色度になるか否かの評価を行い、その評価値を算出する処理について説明する。
【0069】
先ず、プリンタプロファイルPonからグレイラインデータPglを読み出す(ステップS1501)。ここでグレイラインデータとは、ディジタルデータRGB値が全て同じ時の測色データであり、本実施形態では、RGB各9段階(計729色)であるので、9色のグレイラインデータがプリンタプロファイルデータPonに含まれていることになる。
【0070】
次に、読み出したグレイラインデータPglをIPT色空間におけるデータに変換する(ステップS1502)。CIELABデータからIPT色空間へ変換する技術については上述の通りである。
【0071】
次に、モニタプロファイルMonからグレイラインデータMglをRAM1002にロードし(ステップS1503)、これを同様にして、IPT色空間におけるデータMGLに変換する(ステップS1504)。
【0072】
次に、Lab色空間におけるプリンタのグレイラインデータPglとLab色空間におけるモニタのグレイラインデータMglの差を評価する評価値egを算出する(ステップS1506)。評価値eg算出処理の詳細を図13,14を用いて説明する。
【0073】
図13は、CIELAB色空間上の色相平面(a*−b*平面)を示す図である。図14は、評価値egの算出式を示す図である。
【0074】
グレイラインの差を評価する評価値egは、図14に示す(式16−1)に示す如く、デジタルデータRGB値が同一の時のa*b*値(モニタグレイラインはa*mi,b*mi、プリンタグレイラインはa*pi、b*pi)の差を取ることとする。
【0075】
図15に戻って、ステップS1506では、IPT色空間におけるモニタのグレイラインデータMGLとIPT色空間におけるプリンタのグレイラインデータPGLとの差を評価値EGとして求める。評価値EGの算出方法は、ステップS1505と同様のためここでは省略する。
【0076】
よってステップS206では、ステップS303で求めた評価値、ステップS1505で求めた評価値egとにそれぞれ重み付けし、それぞれ(先に設定した重み値でもって)重み付けした結果の積(CIELAB色空間における総合評価値)を求めると共に、ステップS306で求めた評価値、ステップS1506で求めた評価値EGとにそれぞれ(先に設定した重み値でもって)重み付けし、それぞれ重み付けした結果の積(IPT色空間における総合評価値)を求め、ステップS207では総合評価値が小さい方の色空間を、色域圧縮に用いる色空間として決定する。
【0077】
以上の説明により、本実施形態によって、異なる色再現範囲を持つ画像機器間でのカラーマッチングにおいて、機器間の色域形状の違いやグレイラインの違いを考慮した最適な色空間において色域圧縮を行うことで、極端な彩度低下や階調性の悪化を防止することが可能となり、色域圧縮方法にユーザーの意図を反映させ、色域調整の自由度が高いユーザーインタフェースをも提供することができる。
【0078】
なお、本実施形態ではステップS209にて作成するカラーマッチングLUTの格子点数を9としたが、これに限定するものではなく、求める精度、目的に応じて変化させてよいことは言うまでもない。
【0079】
また、本実施形態で用いたGUIは図5に示す構成を有するが、このような構成に限定するものではない。即ち、メニュー形式にして、ユーザに選択させるようなGUIでも構わない。また、キーワードを直接入力させるようなGUIでも構わない。つまり、ユーザーの所望の設定ができるような構成であればよい。
【0080】
また、本実施形態では設定した重み付けに関係なくグレイライン評価値を求めていたが、例えばスライダバー510を右端に移動させた後にOKボタン507,LUT作成ボタン512を指示すると、グレイの再現性に対する重み値は0となるので、グレイライン評価値を求めても最終的には使用されないことになる。そこで、このような場合にはグレイライン評価値の計算処理を省く用意しても良い。また、グレイライン評価値の計算を行うか否かのチェックボックスを上記GUIに設け、ユーザに選択させる用意しても良い。
【0081】
[第2の実施形態]
図16は、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。同図において図1と同じ部分については同じ番号を付けており、その説明は省略する。同図において1601はオリジナル色記憶部で、画像表示装置2に表示されている色であるオリジナル色ORcのデータを記憶している。オリジナル色ORcは具体的には、RGB各9段階のデータ(計729色)のCIELABデータであり、RGB値に対するCIELABデータのテーブルデータとしてオリジナル色記憶部1601に記憶しておくものとする。なお、以下の説明において、特に触れない点については第1の実施形態と同じである。
【0082】
次に、画像処理装置1が行う、色域圧縮処理について、同処理のフローチャートを示す図17を用いて説明する。尚、同図のフローチャートに従った処理をCPU1001に実行させるためのプログラムやデータは外部記憶装置1005に保存されており、これらをRAM1002にロードすることで、CPU1001はこれを用いて後述する各処理を実行することができる。
【0083】
図20は、画像表示装置2の表示画面上に表示されるGUI(グラフィカルユーザインターフェース)の表示例を示す図である。ユーザが操作部1004を操作してこのGUIを用いて各種の操作指示を入力することで、後述する各種の設定指示を入力することができる。
【0084】
先ず、同図のGUIについて説明する。ユーザは操作部1004を操作してブルダウン2002や2003を指示すると(例えばマウスを操作してマウスカーソルをプルダウンメニュー2002や2003上に移動させ、そこでクリックすると)、出力機器や出力用紙の設定を行うことができる。またユーザは操作部104を操作して(例えばキーボードを用いて)、以下の処理で生成される出力ファイルのファイル名を領域2005内に入力する。また、ユーザは、領域2004内のプルダウンメニューを指示することで、色再現モードを選択することができる。
【0085】
そして、プロファイル作成ボタン2006を指示すると、図17に示したフローチャートに従った処理が開始される。即ちCPU1001はプロファイル作成ボタン2006が指示されると、これを検知し、先に設定した内容に基づいて、以下説明する、図17のフローチャートに従った処理を開始する。
【0086】
プロファイル作成ボタン2006が指示され、これを検知すると、CPU1001は先ず、プルダウンメニュー2002、2003によって設定した出力機器(ここではプリンタとする)及び出力用紙に対応するのプロファイルPon(以下、プリンタプロファイルと呼称する)を外部記憶装置205からRAM1002にロードする(ステップS1701)。本実施形態ではこのプリンタプロファイルPonは、画像出力装置3のプロファイルに相当することになる。このプリンタプロファイルPonについては第1の実施形態で使用したものと同じである。
【0087】
次に、プリンタプロファイルPonからグレイライン上のデータ(グレイラインデータ)のみを抽出し、RAM1002上の所定のエリアに格納する(ステップS1702)。グレイラインデータとは上述の通り、デジタルデータRGBの値が全て等しい時の測色データであり、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、プリントプロファイルデータ729色の中に9色のグレイラインデータを含む。
【0088】
次に、画像表示装置2と画像出力装置3とのグレイライン評価を行うことで後述の色域圧縮処理で用いる色空間を判別し(ステップS1703)、設定する(ステップS1704)。ステップS1703における処理の詳細については後述する。
【0089】
そして、色域圧縮元の色データについて、ステップS1704で決定した色空間の色相角を保ち、明度彩度方向にのみ圧縮を行うような色域圧縮を行う(ステップS1705)。色域圧縮方法は、例えば図12の(a)、(b)、(c)に示すような、上述の従来方法が適用可能であるが、これに限定するものではない。
【0090】
そして最後に、RGB各9段階(729色)に対する、ステップS1705における色域圧縮後のL*a*b*値の計算結果をテーブルデータ(LUT)として作成する(ステップS1706)。
【0091】
<グレイライン評価値算出>
図18は、上記ステップS1703における処理の詳細を示すフローチャートである。以下、ステップS1703における処理の詳細、即ち、画像表示装置2と画像出力装置3とのグレイライン評価を行うことで色域圧縮処理で用いる色空間を判別する処理について説明する。
【0092】
先ず、プリンタプロファイルPonからグレイラインデータPglを読み出す(ステップS1801)。
【0093】
次に、読み出したグレイラインデータPglをIPT色空間におけるデータに変換する(ステップS1802)。CIELABデータからIPT色空間へ変換する技術については上述の通りである。
【0094】
次に、上記オリジナル色ORcのデータからグレイラインデータMglをRAM1002にロードし(ステップS1803)、これを同様にして、IPT色空間におけるデータMGLに変換する(ステップS1804)。
【0095】
次に、プリンタのグレイラインデータPglとモニタのグレイラインデータMglの差を評価する評価値egを算出する(ステップS1805)。評価値eg算出処理の詳細については第1の実施形態と同じである。
【0096】
次に、IPT色空間に変換後のモニタのグレイラインデータMGLとIPT色空間に変換後のプリンタのグレイラインデータPGLとの差を評価値EGとして求める(ステップS1806)。評価値EGの算出方法は、ステップS1805と同様のためここでは省略する。
【0097】
次に、評価値egと評価値EGとの大小比較を行い、eg<EGの場合にはCIELAB色空間を以下の色域圧縮で用いる色空間に決定し、eg>EGの場合にはIPT色空間を以下の色域圧縮で用いる色空間に決定する(ステップS1807)。
【0098】
以上の説明により、本実施形態によって、機器間の色域形状の違いを考慮して、異なる色再現範囲を持つ画像機器間でのカラーマッチングにおいて、一方の機器のグレイラインと他方機器のグレイラインとがより近い色空間において色域圧縮を行うことで、グレイ再現の向上及び低彩度部の色再現性を向上させることができる。
【0099】
なお、本実施形態ではステップS1706にて作成するカラーマッチングLUTの格子点数を9としたが、これに限定するものではなく、求める精度、目的に応じて変化させてよいことは言うまでもない。
【0100】
また、本実施形態で用いたGUIは図20に示す構成を有するが、このような構成に限定するものではない。即ち、メニュー形式にして、ユーザに選択させるようなGUIでも構わない。また、キーワードを直接入力させるようなGUIでも構わない。つまり、ユーザーの所望の設定ができるような構成であればよい。
【0101】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、色空間としてLab色空間およびIPT色空間を用いたが、Luv色空間、sRGB色空間など他の色空間を用いても構わない。また、評価対象とする色空間も2つに限らず、3つ以上でも構わない。
【0102】
また、上記実施形態では、色域圧縮処理を用いて説明したが、色域拡張処理などの色域マッピング処理であれば適用することができる。
【0103】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体(または記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0104】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0105】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0106】
本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置1が行う色域圧縮処理のフローチャートである。
【図3】ステップS205における処理の詳細を示すフローチャートである。
【図4】sRGBモニタの色域とインクジェットプリンタの色域を示した図である。
【図5】画像表示装置2の表示画面上に表示されるGUI(グラフィカルユーザインターフェース)の表示例を示す図である。
【図6】ステップS303における処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】プリンタ色域最外郭データPo、及びモニタ色域最外郭データMoをCIELABのa*−b*平面で示した図である。
【図8】ステップS604における処理の詳細を説明する図である。
【図9】ステップS604における処理の詳細を説明する図である。
【図10】画像処理装置1の基本構成を示すブロック図である。
【図11】プリンタ色域最外郭データPoをIPT色空間へ変換する為に用いる式群を示す図である。
【図12】色域圧縮を説明する図である。
【図13】CIELAB色空間上の色相平面(a*−b*平面)を示す図である。
【図14】評価値egの算出式を示す図である。
【図15】ステップS204における処理の詳細を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図17】画像処理装置1が行う色域圧縮処理のフローチャートである。
【図18】ステップS1703における処理の詳細を示すフローチャートである。
【図19】2つの異なる色域を示す図である。
【図20】画像表示装置2の表示画面上に表示されるGUI(グラフィカルユーザインターフェース)の表示例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色域を示す第1の色域データと、当該第1の色域と異なる第2の色域を示す第2の色域データとを用いて、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色データに色域マッピングする際に用いる色空間を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した色空間において、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色データに色域マッピングする色域マッピング手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
前記第1の色域データ、前記第2の色域データを用いて、前記第1の色域のグレイラインと前記第2の色域のグレイラインとで、色相平面内での色度の近さを求める第1の計算手段と、
前記第1の色域データ、前記第2の色域データを用いて、前記第1の色域と前記第2の色域との色域形状の類似度を求める第2の計算手段と、
前記第1,2の計算手段による計算結果に従って、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色のデータに色域マッピングする際に用いる色空間を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
更に、
グレイラインの再現性、色の再現性のそれぞれに対する重み値を設定する設定手段を備え、
前記決定手段は、前記第1の計算手段による計算結果、前記第2の計算手段による計算結果のそれぞれを前記設定手段によって設定した重み値でもって重み付け、重み付け後のそれぞれの計算結果の積を2つの色空間のそれぞれについて求め、最も積値の小さい色空間を、前記第2のデータを前記第1の色域内の色のデータに色域マッピングする際に用いる色空間として決定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、第1の色域のグレイラインと、前記第2の色域とのグレイとに基づくグレイライン評価値に基づき、色域マッピングに用いる色空間を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
第1の色域を示す第1の色域データと、当該第1の色域よりも広い第2の色域を示す第2の色域データとを用いて、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色データに色域マッピングする際に用いる色空間を決定する決定工程と、
前記決定工程で決定した色空間において、前記第2の色域内の色データを前記第1の色域内の色データに色域マッピングする色域マッピング工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータに請求項5記載の画像処理方法を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを格納したことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−197366(P2006−197366A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7991(P2005−7991)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】