説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】複数の色成分の画素データを重ね合せる処理(トラッピング処理)を画素単位で実行することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】トラッピング判定処理部22は、入力画像データの各プレーンに対して、微分フィルタを用いて各画素の主走査方向及び副走査方向のエッジ量を算出する。トラッピング判定処理部22は、少なくとも2つのプレーンで、算出したエッジ量の絶対値が閾値以上であり、エッジ量のそれぞれが正負の値となる画素が存在するか否かを判定する。このような画素が存在する場合、トラッピング判定処理部22は、この画素(注目画素)と、インクリメント方向領域・デクリメント方向領域内の画素の画素値の平均値との色差を算出し、算出した色差の小さい方向を類似色方向とする。トラッピング判定処理部22は、類似色方向に基づいて、この注目画素(エッジ)にトラッピング処理を行うか否かを判定し、トラッピング処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の色成分の画素データを重ね合せる処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機又はプリンタ等の画像形成装置が紙媒体に形成する画像の画質劣化を防止するために、トラッピング処理及びスムージング処理等が提案されている。複数の色成分の画素データを重ね合せる処理(以下、トラッピング処理と言う)は、版ずれ時の白抜けを防止するための処理である。スムージング処理は、ジャギー(文字又は画像の曲線及び斜線に見えるギザギザ)を低減しつつ解像度の向上を行うための処理である。
【0003】
トラッピング処理を行う装置においては、トラッピング処理を行うべき境界の抽出、トラッピング処理を行うべきトラップ領域の指定、各トラップ領域に対してトラップ色の指定を自動で行う装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。斯かる画像形成装置によれば、カラー画像の印刷の際に版ずれが生じても、色抜けの発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−165104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、トラッピング処理を行うべき境界(エッジ)の抽出後、トラップ領域を指定する際に、抽出した境界から所定の距離内にある画素を指定しているが、その具体的な方法は記載されていない。例えば、境界を抽出した後、境界上の各画素から所定の距離以内にある画素であり、境界内の色となる画素をトラップ領域に指定する場合、トラップ領域の指定及びトラップ色の指定をページ単位で行うことになる。従って、画素単位でのパイプラン処理が困難である。
【0006】
また、境界上の1つの点に対する処理が完了した後に境界上の異なる点に対する処理を行う必要があるので、処理時間は、境界上の各画素の数及び各画素を中心とした所定距離以内に存在する画素の数に依存する。従って、トラッピング処理に必要な最大処理時間を予測できないので、特許文献1の構成ではリアルタイム処理に不向きである。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画素単位で各処理を行うことにより、画素単位でのパイプライン処理及びリアルタイム処理が可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、複数の色成分を有する入力画像データから抽出したエッジに、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行う画像処理装置において、入力画像データの注目画素が、所定の条件を満たすエッジを構成する画素であるか否かを判定するエッジ判定部と、該エッジ判定部が所定の条件を満たすエッジを構成する画素であると判定した場合、前記注目画素の周辺画素のうちで、該注目画素の色に類似する色を有する周辺画素の方向を判定するエッジ方向判定部と、該エッジ方向判定部が判定した方向に基づいて、前記注目画素に、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行うか否かを判定する処理判定部と、該処理判定部が重ね合せ処理を行うと判定した場合、重ね合せる画素の色成分を決定する決定部と、該決定部が決定した色成分に基づく画素データを、前記注目画素に重ね合せる処理を行う重ね合せ処理部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る画像処理装置は、前記エッジ判定部は、前記注目画素が、前記入力画像データの異なる色成分のデータにずれが生じた場合に白抜けが生じるエッジを構成する画素であるか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、前記エッジ判定部は、前記入力画像データに対して色成分毎に微分フィルタを用いて、各注目画素に対して、各注目画素の画素値と各注目画素の周囲の画素の画素値との変化度合いを示すエッジ量を算出するエッジ量算出部を備え、該エッジ量算出部が注目画素毎に算出した各色成分のエッジ量の少なくとも1つのエッジ量が正の値であり、かつ、該正の値のエッジ量の絶対値が所定値以上であり、前記各色成分のエッジ量の少なくとも1つのエッジ量が負の値であり、かつ、該負の値のエッジ量の絶対値が所定値以上である場合に、当該注目画素が前記所定の条件を満たすエッジを構成する画素であると判定するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、前記エッジ方向判定部は、前記注目画素の画素値と、該注目画素に隣接する第1領域内の画素の画素値の平均値との差分、並びに、前記注目画素の画素値と、前記注目画素に隣接し、前記第1領域とは異なる第2領域内の画素の画素値の平均値との差分に基づいて、前記注目画素に対して、前記注目画素の色により類似する色を有する周辺画素の方向を判定するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、前記処理判定部は、前記エッジ方向判定部が判定した方向に応じて予め前記注目画素に対して設定されている第1領域及び第2領域内の画素の画素値に基づいて、前記第1領域及び第2領域における各色成分の代表画素値を算出する代表画素値算出部と、該代表画素値算出部が算出した前記第1領域及び第2領域における各色成分の代表画素値に基づいて、前記第1領域及び第2領域における輝度値を算出する輝度値算出部と、該輝度値算出部が算出した前記第1領域及び第2領域における輝度値を比較する比較部とを備え、該比較部が比較した結果、前記第1領域における輝度値が前記第2領域における輝度値よりも小さい場合に、前記重ね合せる処理を行うと判定するようにしてあり、前記決定部は、前記代表画素値算出部が算出した第2領域における各色成分の代表画素値に基づいて、前記重ね合せる画素の色成分に決定するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像処理装置は、前記代表画素値算出部は、複数の画素を含む前記第1領域及び第2領域内の画素の画素値の平均値、又は、1つの画素を含む前記第1領域及び第2領域内の画素の画素値を、前記第1領域及び第2領域における各色成分の代表画素値として算出することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、前記注目画素に対して設定されている第1領域及び第2領域は、前記注目画素を中心として対称の位置にある領域であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、上述したいずれかの画像処理装置と、該画像処理装置で処理された画像データに基づいて出力画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る画像処理方法は、複数の色成分を有する入力画像データから抽出したエッジに、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行う画像処理方法において、入力画像データの注目画素が、所定の条件を満たすエッジを構成する画素であるか否かを判定するエッジ判定ステップと、該エッジ判定ステップで所定の条件を満たすエッジを構成する画素であると判定した場合、前記注目画素の周辺画素のうちで、該注目画素の色に類似する色を有する周辺画素の方向を判定するエッジ方向判定ステップと、該エッジ方向判定ステップで判定した方向に基づいて、前記注目画素に、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行うか否かを判定する処理判定ステップと、該処理判定ステップで重ね合せ処理を行うと判定した場合、重ね合せる画素の色成分を決定する決定ステップと、該決定ステップで決定した色成分に基づく画素データを、前記注目画素に重ね合せる処理を行う重ね合せ処理ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の色成分を有する入力画像データから抽出したエッジに、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行わせるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、入力画像データの注目画素が、所定の条件を満たすエッジを構成する画素であるか否かを判定するエッジ判定ステップと、該エッジ判定ステップで所定の条件を満たすエッジを構成する画素であると判定した場合、前記注目画素の周辺画素のうちで、該注目画素の色に類似する色を有する周辺画素の方向を判定するエッジ方向判定ステップと、該エッジ方向判定ステップで判定した方向に基づいて、前記注目画素に、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行うか否かを判定する処理判定ステップと、該処理判定ステップで重ね合せ処理を行うと判定した場合、重ね合せる画素の色成分を決定する決定ステップと、該決定ステップで決定した色成分に基づく画素データを、前記注目画素に重ね合せる処理を行う重ね合せ処理ステップとを実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る記録媒体は、上述したコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、入力画像データの各注目画素が所定の条件を満たすエッジを構成する画素である(注目画素が、所定の条件を満たすエッジである)場合に、この注目画素に対して、周辺画素のうちで注目画素の色に類似する色を有する周辺画素の方向を判定する。判定した方向に基づいて、前記注目画素に、複数の色成分の画素を重ね合せる処理(トラッピング処理)を行うか否かを判定する。そして、重ね合せる処理を行う場合、重ね合せる色(トラップ色)を決定する。決定した色成分の画素データを、入力画像データの前記注目画素に重ね合せる処理を行う。
【0020】
即ち、所定の条件を満たすエッジに対して、トラッピング処理を行うか否かの判定(以下、トラップ判定と言う)及びトラップ色を算出する。所定の条件とは、例えば、異なる色成分のデータにずれが生じた場合に白抜けが生じるか否かである。従って、異なる色成分のデータにずれが生じた場合に白抜けが生じるエッジを自動で検出し、検出したエッジにトラッピング処理を行うことにより、版ずれが生じた場合に発生する白抜けを防止する。
【0021】
本発明においては、微分フィルタを用いて算出したエッジ量の絶対値が所定値以上であるか否かを判定することにより、版ずれ時に白抜けとなる箇所をより精度よく検出する。また、正と負の両方のエッジ量の存在を確認することにより、トラッピング処理が不要な箇所にトラッピング処理を行うことを回避する。トラッピング処理が不要な箇所とは、例えば、白の背景上の赤(マゼンダ及びイエローで構成)のオブジェクトの周囲のような箇所であり、マゼンダ又はイエローで版ずれが発生しても、白抜けは発生しないためトラッピング処理は不要である。そのため、このような箇所ではマゼンダとイエローの2つのエッジが存在するが、共に正、又は、共に負のエッジ量となり、トラッピング処理の対象としない。
【0022】
本発明においては、注目画素の画素値と、所定の広さを有する第1領域又は第2領域内の画素の画素値の平均値との色差比較を行うことにより、注目画素に対して、安定したエッジ方向を判定する。
【0023】
本発明においては、輝度値が高い方の色を輝度値が低い方の色に重ね合わせることでオブジェクトの大きさを変えることのないトラッピング処理が可能となる。また、輝度値が小さい方の領域における色をトラップ色とすることにより、注目画素の反対側の色を的確にトラップ色に選択できる。
【0024】
本発明においては、版ずれが少ない時の偽色による画質劣化、又は、版ずれが大きい時の白抜けによる画質劣化のどちらを優先するかに応じて、代表画素値(代表色)を算出する方法に面積タイプ又は点タイプを選択して設定する。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、画素単位で、所定の条件を満たすエッジである否かの判定、各エッジにおけるエッジ方向の判定、トラッピング処理を行うか否かの判定、トラップ色の決定、トラッピング処理の実行を行う。これにより、画素単位でのパイプライン処理が可能となる。また、画素毎に同様の処理を行うので、各画素に対して必要な最大処理時間が予測でき、リアルタイム処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1に係るカラー画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】トラッピング処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】トラッピング判定処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】入力画像データの一例を模式的に示す図である。
【図5】微分フィルタの一例を模式的に示す図である。
【図6】図5の微分フィルタを用いて、図4の入力画像データに対してエッジ量を算出した結果の一部を示す図である。
【図7】インクリメント方向領域及びデクリメント方向領域を説明するための模式図である。
【図8】図4の入力画像データに対して、類似色方向判定を実行した結果の一部を示す図である。
【図9】代表色を算出する際に参照する領域を説明するための模式図である。
【図10】代表色を算出する際に参照する領域を説明するための模式図である。
【図11】注目側及び反対側の代表色を算出した結果の一部を示す図である。
【図12】注目側及び反対側の代表色に基づいて算出した輝度値及びトラップ判定の結果の一部を示す図である。
【図13】トラッピング重ね合せ処理を行った結果の一部を示す図である。
【図14】トラッピング重ね合せ処理を行った結果の一部を示す図である。
【図15】カラー画像処理装置によるトラッピング判定処理を示すフローチャートである。
【図16】カラー画像処理装置によるトラッピング判定処理を示すフローチャートである。
【図17】カラー画像処理装置によるトラッピング判定処理を示すフローチャートである。
【図18】実施形態2に係るカラー画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図19】トラッピング・スムージング処理部の構成を示すブロック図である。
【図20】入力解像度調整部の構成を示すブロック図である。
【図21】解像度変換トラッピング処理部の構成を示すブロック図である。
【図22】スムージング処理におけるデータ補間について説明するための模式図である。
【図23】スムージング処理を概念的に示した模式図である。
【図24】図4の入力画像データに対して、バイリニア補間を行った結果を示す図である。
【図25】図24の画像データにおいて、注目画素に近い色の画素をコピーした処理結果の一部を示す図である。
【図26】アップサンプリング結果の一部を示す。
【図27】入力画像データが低解像度、出力画像が高解像度である場合に、スムージング処理後の画像にアップサンプリング結果でトラッピング重ね合せ処理を行った結果の一部を示す図である。
【図28】カラー画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図29】本発明に係る画像処理装置を備えるデジタルカラー複合機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体について、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0028】
(実施形態1)
以下に、実施形態1に係るカラー画像形成装置について説明する。図1は実施形態1に係るカラー画像形成装置の構成を示すブロック図である。本実施形態1のカラー画像形成装置は、入力された画像データ(以下、入力画像データと言う)に対して画像処理を施し、処理後の画像データに基づいて記録用紙などのシート上にカラー画像を形成する。入力画像データは、図示しないコンピュータ上で画像編集ソフトなどのアプリケーションソフトウェアを用いて作成される。作成された入力画像データは、プリンタドライバにてページ記述言語に変換され、ネットワーク等を介してコンピュータからカラー画像形成装置へ伝送される。
【0029】
カラー画像形成装置は、図1に示すように、入力画像データを処理するカラー画像処理装置1、及びカラー画像処理装置1によって処理された画像データに基づく画像を形成するカラー画像出力装置(画像形成手段)2などを備えている。カラー画像出力装置2は、記録用紙又はOHPシート等のシート上に画像を形成する例えば電子写真方式又はインクジェット方式等のプリンタである。なお、カラー画像出力装置2は、ディスプレイのような表示装置としてもよい。
【0030】
カラー画像処理装置1は、ラスタデータ生成部11、色補正部12、黒生成下地除去部13、セレクタ14、トラッピング処理部15、出力階調補正部16及び階調再現処理部17などを備えている。
【0031】
ラスタデータ生成部11は、入力されたページ記述言語を解析し、RGB(R:赤、G:緑、B:青)又はCMYK(C:シアン、M:マゼンダ、Y:イエロー、K:黒)のラスタデータを生成する。RGBのラスタデータを生成した場合、ラスタデータ生成部11は、生成したラスタデータを色補正部12へ出力する。一方、CMYKのラスタデータを生成した場合、ラスタデータ生成部11は、生成したラスタデータをセレクタ14へ出力する。
【0032】
また、ラスタデータ生成部11は、入力画像データの色空間情報を取得し、取得した色空間情報をセレクタ14へ出力する。さらに、ラスタデータ生成部11は、ラスタデータの各画素が文字領域、ベクター・グラフィックス領域、写真領域、又はそれ以外の何れのものであるかを示すタグ情報を生成し、黒生成下地除去部13及び階調再現処理部17へ出力する。
【0033】
色補正部12は、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行う。色補正部12は、色補正後の3色のCMY信号を黒生成下地除去部13へ出力する。
【0034】
黒生成下地除去部13は、色補正後のCMY信号から黒(K)信号を生成する黒生成処理、元のCMY信号からK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理を行う。これにより、CMYの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。黒生成下地除去部13は、生成したCMYK信号をセレクタ14へ出力する。
【0035】
なお、黒生成下地除去部13は、例えばスケルトンブラック処理により黒信号を生成する。この方法では、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるデータをC,M,Y、出力されるデータをC',M',Y',K'、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とした場合、黒生成下色除去処理により出力されるデータ夫々は、K'=f{min(C、M、Y)}、C'=C−αK'、M'=M−αK'、Y'=Y−αK'で表される。
【0036】
セレクタ14は、ラスタデータ生成部11及び黒生成下地除去部13からCMYK信号が入力されており、ラスタデータ生成部11から出力された色空間情報に基づいて、何れか一方の信号を出力する。色空間情報がRGBである場合、セレクタ14は、黒生成下地除去部13から入力されたCMYK信号をトラッピング処理部15へ出力する。色空間情報がCMYKである場合、セレクタ14は、ラスタデータ生成部11から直接入力されたCMYK信号をトラッピング処理部15へ出力する。従って、入力画像データの色空間情報がCMYKであった場合、トラッピング処理部15には、色補正部12及び黒生成下地除去部13で処理されていないCMYK信号が入力される。
【0037】
トラッピング処理部15は、入力されたラスタデータに対して、版ずれ時の白抜けを防止するためのトラッピング処理を行う。そして、トラッピング処理部15は、処理後のCMYK信号を出力階調補正部16へ出力する。なお、トラッピング処理部15の構成及び処理内容については後述する。
【0038】
出力階調補正部16は、カラー画像出力装置2の特性に基づく出力階調補正処理を行い、階調再現処理部17は、最終的に画像を画素に分離してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)を施す。階調再現処理部17は、ラスタデータ生成部11からのタグ情報に基づいて写真と判定されている領域に関しては、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化又は多値化処理を行う。
【0039】
次に、トラッピング処理部15について説明する。図2はトラッピング処理部15の構成を示すブロック図である。トラッピング処理部15は、入力ラインバッファ部21、トラッピング判定処理部22、トラッピング重ね合せ処理部23などを備えている。なお、図2において、入力及び出力の信号線などは1本のみ描いているが、実際にはCMYKの4つの色成分毎に信号線があるものとする。
【0040】
入力ラインバッファ部21は、セレクタ14が出力した入力画像データ(CMYK信号)を、一時的に格納するラインバッファ21aを複数備えている。複数のラインバッファ21aにより、後段のトラッピング判定処理部22は、マスク処理等を行う際に複数ラインのデータを参照できるようになっている。
【0041】
トラッピング判定処理部22は、入力画像データに対してトラップ判定を行い、さらにトラップ色を決定する。図3はトラッピング判定処理部22の構成を示すブロック図である。また、図4は入力画像データの一例を模式的に示す図である。以下、図4に示す15×15画素の入力画像データに対して処理を行うものとして説明する。図4では、横方向を画像データの主走査方向、縦方向を副走査方向とし、斜線部分の画素がシアン(C)の純色、白抜部分の画素がマゼンダ(M)の純色を示している。従って、マゼンダ(M)のみの画素(例えば、主走査方向1、副走査方向1の画素)における画素値(M,C)は、(255,0)となる。また、シアン(C)のみの画素(例えば、主走査方向8、副走査方向8の画素)における画素値(M,C)は、(0,255)となる。なお、他の色成分(Y及びK)はないものとし、以下の説明では、シアン(C)及びマゼンダ(M)についてのみ説明する。
【0042】
トラッピング判定処理部22は、図3に示すように、主走査側及び副走査側エッジ量算出部221,222、主走査側及び副走査側類似色方向判定部223,224、並びに、トラップ判定・トラップ色算出部225などを備えている。
【0043】
主走査側及び副走査側エッジ量算出部221,222は、入力画像データの各プレーン(色成分毎の画像データ)に対して、微分フィルタを用いて主走査方向及び副走査方向それぞれのエッジ量を算出する。図5は微分フィルタの一例を模式的に示す図であり、(a)は主走査方向、(b)は副走査方向に対して用いる微分フィルタである。なお、図5では5×5のマスクサイズを示しているがこれに限るものではない。このような微分フィルタを用いることにより、色成分毎に、各画素と周囲の画素との主走査方向及び副走査方向における色差(変化度合い)を示すエッジ量を算出する。
【0044】
版の色境界(以下、トラッピング境界と言う)からどれくらいの幅までトラッピングを行うかを示すトラップ幅は、マスクサイズに依存する。従って、微分フィルタは、必要に応じて最適なマスクサイズを選択することができる。一般的に、トラップ幅を大きくした場合、色の重ね合せ領域が大きくなり、その領域が偽色として目立つため、画質としては悪くなる。一方、トラップ幅が小さい場合、版ずれの量が大きい場合に白抜けが目立つ結果となる。そのため、版ずれの量の大きさと偽色による画質低下のバランスにより、最適なトラップ幅、及びマスクサイズを決めることができる。
【0045】
図6は、図5の微分フィルタを用いて、図4の入力画像データに対してエッジ量を算出した結果の一部を示す図である。図6において、画素内の左側に表示されている数字は、シアン(C)に対して算出したエッジ量であり、上側が主走査方向、下側が副走査方向のエッジ量を示している。また、画素内の右側に表示されている数字は、マゼンダ(M)に対して算出したエッジ量であり、上側が主走査方向、下側が副走査方向のエッジ量を示している。
【0046】
例えば、主走査方向8、副走査方向8の画素の場合、シアン(C)のエッジ量は、主走査方向及び副走査方向の何れも「765」となり、マゼンダ(M)は、「−765」となる。また、図6では省略しているが、エッジから離れた画素(例えば、主走査方向1、副走査方向1の画素)では、エッジ量は主走査側及び副走査側の何れも「0」となる。このように、入力画像データにおけるシアン(C)とマゼンダ(M)との境界(エッジ)付近では、エッジ量は0でない値を持つ。
【0047】
主走査側及び副走査側類似色方向判定部223,224は、エッジ量算出部221,222が算出したエッジ量に対して、主走査方向及び副走査方向それぞれについての類似色方向を判定する。類似色方向とは、注目画素の色と類似している画素がある方向である。まず、類似色方向判定部223,224は、CMYKのうち少なくとも2つのプレーン(本実施形態では、C及びM色成分)で、エッジ量の絶対値が閾値(例えば240)以上であり、エッジ量のそれぞれが正負の値となる画素が存在するか否かを判定する。なお、このような画素は、版ずれが生じた場合に白抜けが発生するエッジとなる。
【0048】
このような画素が存在する場合、類似色方向判定部223,224は、この画素に対して、エッジが存在すると判定する。このような画素が存在しない場合、類似色方向判定部223,224は、類似色方向の判定結果として「0」をトラップ判定・トラップ色算出部225へ出力する。なお、閾値は、どの程度までエッジを検出するかなどによって適宜変更可能である。
【0049】
図6の主走査方向4、副走査方向6の画素の場合、主走査方向のエッジ量は、シアン(C)が255、マゼンダ(M)が−255となっているため、かかる画素にはエッジが存在すると判定される。エッジが存在すると判定した場合、類似色方向判定部223,224は、エッジが存在すると判定した画素(注目画素)と、インクリメント方向領域・デクリメント方向領域(注目画素に隣接する第1領域・第2領域)内の画素の画素値の平均値とに基づいて色差(col_diff)を算出する。
【0050】
図7は、インクリメント方向領域及びデクリメント方向領域を説明するための模式図であり、(a)は主走査方向、(b)は副走査方向の場合を示している。主走査方向では、中央の注目画素Pより左側がデクリメント方向領域となり、右側がインクリメント方向領域となる。また、副走査方向の場合、中央の注目画素Pより上側がデクリメント方向領域となり、下側がインクリメント方向領域となる。
【0051】
注目画素Pのシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)それぞれの画素値を、C1 、M1 、Y1 、K1とし、インクリメント方向領域又はデクリメント方向領域内の画素の画素値の平均値を、C2、M2、Y2、K2とした場合、注目画素と、インクリメント方向領域又はデクリメント方向領域との色差(col_diff)は、以下の式1により算出される。
【0052】
col_diff=|C1 −C2|+|M1 −M2|+|Y1 −Y2|+|K1 −K2| …(式1)
【0053】
類似色方向判定部223,224は、上記の式1により、インクリメント方向領域及びデクリメント方向領域との色差(col_diff)を算出した結果、色差の小さい方向を類似色方向とする。例えば、注目画素P及びインクリメント方向領域に基づいて算出した色差が、注目画素P及びデクリメント方向領域に基づいて算出した色差よりも小さい場合、インクリメント方向が類似色方向とされる。
【0054】
類似色方向判定部223,224は、インクリメント方向が類似色方向と判定した場合、判定結果として「1」をトラップ判定・トラップ色算出部225へ出力する。また、類似色方向判定部223,224は、デクリメント方向が類似色方向と判定した場合、判定結果として「−1」をトラップ判定・トラップ色算出部225へ出力する。なお、類似色方向判定部223,224は、エッジが存在しないと判定した場合、類似色方向は「なし」とし、判定結果として「0」をトラップ判定・トラップ色算出部225へ出力する。
【0055】
図8は、図4の入力画像データに対して、類似色方向判定を実行した結果の一部を示す図である。各画素内の数値は、類似色方向の判定結果を示しており、上側の数値が主走査方向、下側の数値が副走査方向を示している。例えば、主走査方向6、副走査方向7の画素の場合、主走査方向及び副走査方向における類似色方向は何れも−1、即ちデクリメント方向となり、注目画素は、デクリメント方向の画素と色が類似していることになる。
【0056】
トラップ判定・トラップ色算出部225は、エッジ量算出部221,222、並びに類似色方向判定部223,224における処理結果に基づいて、トラップ判定及びトラップ色の決定を行う。まず、トラップ判定・トラップ色算出部225は、マスクサイズ内の画素に対して代表色を算出する。
【0057】
図9及び図10は、代表色を算出する際に参照する領域を説明するための模式図である。図9は、複数画素の画素値の平均値に基づいて代表色を算出する場合、図10は、1つの画素の画素値に基づいて代表色を算出する場合をそれぞれ示している。以下の説明では、図9に示す領域を用いて代表色を算出する方法を面積タイプと言い、図10の方法を点タイプと言う。
【0058】
トラップ判定・トラップ色算出部225は、類似色方向判定部223,224による判定結果に対して、注目側及び反対側の代表色を色成分毎に算出する。例えば、図8において、主走査方向6、副走査方向7の画素は、主走査方向及び副走査方向における類似色方向は何れも「−1」である。そして、面積タイプに基づいて代表色を算出する場合、注目側の代表色(代表色画素値)は、図9(a)に示す(−1,−1)の領域(第1領域)内の画素値の平均値となる。このとき、反対側の代表色は、(1,1)の領域(第2領域)内の画素値の平均値となる。また、点タイプに基づいて代表色を算出する場合、注目側の代表色は、図10に示す(−1,−1)の画素値となり、反対側の代表色は、(1,1)の画素値となる。以下、代表色は、面積タイプに基づいて算出するものとして説明する。
【0059】
図11は、注目側及び反対側の代表色を算出した結果の一部を示す図である。各画素内の数値は、算出した代表色の画素値を示しており、画素内の右側に表示されている数字はマゼンダ(M)、左側の数字はシアン(C)に対して算出した代表色の画素値を示している。また、上側の数値が注目側の代表色の画素値、下側の数値が反対側の代表色の画素値を示している。例えば、主走査方向6、副走査方向7の画素の場合、注目側の代表色は、マゼンダ(M)、反対側の代表色は、シアン(C)となる。
【0060】
トラップ判定・トラップ色算出部225は、注目側及び反対側の代表色を算出した後、以下の式2から式5に基づいて輝度値Lを算出する。式2から式4の(Crep,Mrep,Yrep,Krep)は、注目側及び反対側それぞれの代表色の画素値であり、これらの式は、CMYKをRGBに変換するための式である。式5は、変換したRGBを用いて輝度値Lを算出する式である。
【0061】
【数1】

【0062】
トラップ判定・トラップ色算出部225は、上記の式により算出した注目側及び反対側それぞれの輝度値を対比し、注目側の輝度値が反対側の輝度値より低い場合、輝度が明るい領域(色が薄い領域)を拡大させるために、トラップ判定を有効とする。輝度が明るい方の領域を広げることで、オブジェクトの形状が変形されることを防ぐことができる。トラップ判定を有効とした場合、トラップ判定・トラップ色算出部225は、反対側の領域、即ち、輝度が高い方の代表色をトラップ色(Ctrap ,Mtrap,Ytrap,Ktrap)に決定する。また、注目側の輝度値が反対側の輝度値より高い場合、トラップ判定・トラップ色算出部225は、トラップ判定を無効とする。
【0063】
図12は、注目側及び反対側の代表色に基づいて算出した輝度値及びトラップ判定の結果の一部を示す図である。各画素内の数値は、算出した注目側及び反対側の輝度値、及び、トラップ判定結果を示しており、トラップ判定結果は、「1」がトラップ判定を有効とした場合、「0」がトラップ判定を無効とした場合である。例えば、主走査方向6、副走査方向7の画素の場合、注目側の輝度値が反対側の輝度値より低いため、トラップ判定は有効となり、トラップ判定が1とされる。トラップ判定・トラップ色算出部225は、この画素に対して、決定されたトラップ色、即ち、シアン(C)をトラップ色(図11参照)として重ね合せの処理を行うよう決定する。
【0064】
トラッピング判定処理部22は、トラップ判定・トラップ色算出部225による上述の処理結果を、トラッピング重ね合せ処理部23に対して出力する。また、トラッピング重ね合せ処理部23には、入力ラインバッファ部21の所定のラインバッファ21aに格納されたラインデータ(CMYK信号)が、処理対象の注目ラインデータとして入力されている。なお、トラッピング重ね合せ処理部23に入力される注目ラインデータは、入力ラインバッファ部21から入力される必要はなく、トラッピング判定処理部22を介してトラッピング重ね合せ処理部23に入力されてもよい。この場合、トラッピング判定処理部22は、トラップ判定・トラップ色算出部225による処理結果と共に注目ラインデータをトラッピング重ね合せ処理部23に入力する。
【0065】
トラッピング重ね合せ処理部23は、トラッピング判定処理部22から出力されるトラップ判定結果及びトラップ色(Ctrap,Mtrap,Ytrap,Ktrap)を用いて、入力画像データ(Cin,Min,Yin,Kin)に対してトラッピング重ね合せ処理を行う。トラッピング重ね合せ処理部23は、トラップ判定結果が1のとき、色成分毎に、入力画像データとトラップ色とにおいて大きい方の値を出力画素の画素値とする。即ち、出力画素をCout ,Mout ,Yout ,Kout とした場合に、Cout =MAX(Cin,Ctrap),Mout =MAX(Min,Mtrap),Yout =MAX(Yin,Ytrap),Kout =MAX(Kin,Ktrap)とする。なお、MAX(A,B)は、A,Bのうちの大きい方の値を示す。
【0066】
なお、ブラック(K)については、重ね合せたとき、重ねた画素値が目立ちやすい場合があるため、他の色成分と同様の処理を行う、又は、重ね合せ処理を行わないという選択をできるようにしてもよい。
トラップ判定結果が0のとき、トラッピング重ね合せ処理部23は、入力画像データの画素値を、出力画素の画素値とする。
【0067】
図13及び図14はトラッピング重ね合せ処理を行った結果の一部を示す図であり、図13は、図9に示すような面積タイプでトラップ色を算出した場合を、図14は、図10に示すような点タイプでトラップ色を算出した場合を示している。
【0068】
面積タイプでトラップ色を算出した場合、図13に示すように、シアン(C)とマゼンダ(M)との境界付近では、マゼンダ(M)側にシアン(C)の値がトラッピングされた画像となる。また、面積タイプでトラップ色を算出した場合、境界から離れるに従って色が薄くなるが、これは、重ね合せた箇所(トラッピング箇所)を目立ちにくくする効果がある。
一方、点タイプでトラップ色を算出した場合、図14に示すように色が薄くならない。そのため、重ね合せた箇所が目立ちやすくなるが、版ずれ時の白ぬけの視認度合いは低くなる。
【0069】
従って、トラップ判定・トラップ色算出部225は、版ずれが少ないときの偽色による画質劣化、又は版ずれが大きい時の白抜けによる画質劣化など、どちらの問題を優先するかに応じて、面積タイプ及び点タイプの何れかに切り替えて、代表色を算出するようにしてもよい。
【0070】
次に、上述のカラー画像処理装置1の動作について説明する。図15乃至図17は、カラー画像処理装置1によるトラッピング判定処理を示すフローチャートである。
【0071】
カラー画像処理装置1は、入力画像データの各プレーンに対して、注目画素と所定のマスクサイズ内の周辺画素とを処理対象の画素としてそれぞれ取得する(S1)。カラー画像処理装置1は、各プレーンの処理対象の画素に対して、図5に示す微分フィルタを用いて主走査方向及び副走査方向それぞれのエッジ量を算出する(S2)。
【0072】
次に、カラー画像処理装置1は、主走査方向及び副走査方向のそれぞれについて、4つのプレーンのうちの1つのプレーンに対するエッジ量を選択し(S3)、選択したエッジ量の絶対値が閾値(例えば240)以上であるか否かを判断する(S4)。選択したエッジ量の絶対値が閾値以上であると判断した場合(S4:YES)、カラー画像処理装置1は、選択したエッジ量が正の数であるか否かを判断する(S5)。
【0073】
カラー画像処理装置1は、選択したエッジ量が正の数であると判断した場合(S5:YES)、ステップS3で選択したエッジ量のプレーンに対するエッジ判定を1とし(S6)、選択したエッジ量が負の数であると判断した場合(S5:NO)、ステップS3で選択したエッジ量のプレーンに対するエッジ判定を−1とする(S7)。なお、選択したエッジ量の絶対値が閾値未満であると判断した場合(S4:NO)、カラー画像処理装置1は、ステップS3で選択したエッジ量のプレーンに対するエッジ判定を0とする(S8)。
【0074】
カラー画像処理装置1は、4つのプレーン全てに対するエッジ量について、ステップS4,S5の判定を行ったか否かを判断し(S9)、行っていないと判断した場合(S9:NO)、ステップS3に処理を戻し、まだ判定が行われていないプレーンに対するエッジ量を選択する(S3)。カラー画像処理装置1は、選択したエッジ量に対してステップS4〜S8の処理を行い、全てのプレーンに対するエッジ量についてステップS4〜S8の処理を行う。
【0075】
カラー画像処理装置1は、全てのプレーンに対するエッジ量について、ステップS4,S5の判定を行ったと判断した場合(S9:YES)、ステップS6〜S8で決定した各プレーンに対するエッジ判定に1及び−1が含まれているか否かを判断する(S10)。各プレーンに対するエッジ判定に1及び−1が含まれていないと判断した場合(S10:NO)、カラー画像処理装置1は、類似色方向の判定結果を0とし(S11)、ステップS17へ処理を移行する。
【0076】
各プレーンに対するエッジ判定に1及び−1が含まれていると判断した場合(S10:YES)、即ち、処理対象の注目画素にエッジが存在する場合、カラー画像処理装置1は、この注目画素と、インクリメント方向領域との色差を算出する(S12)。また、カラー画像処理装置1は、この注目画素と、デクリメント方向領域との色差を算出する(S13)。カラー画像処理装置1は、インクリメント方向領域との色差と、デクリメント方向領域との色差とを比較し、インクリメント方向領域との色差の方が小さいか否かを判断する(S14)。
【0077】
カラー画像処理装置1は、インクリメント方向領域との色差の方が小さいと判断した場合(S14:YES)、類似色方向の判定結果を1とし(S15)、インクリメント方向領域との色差の方が大きいと判断した場合(S14:NO)、類似色方向の判定結果を−1とする(S16)。なお、入力画像データの主走査方向及び副走査方向それぞれについて、上述したステップS2〜S16の各処理は、主走査側エッジ量算出部221及び主走査側類似色方向判定部223と、副走査側エッジ量算出部222及び副走査側類似色方向判定部224とによって、並列に行うことができる。
【0078】
カラー画像処理装置1は、ステップS11,S15又はS16において、主走査方向について決定した類似色方向の判定結果と副走査方向について決定した類似色方向の判定結果とが共に0であるか否かを判断する(S17)。類似色方向の判定結果が共に0であると判断した場合(S17:YES)、カラー画像処理装置1は、ステップS25に処理を移行する。
【0079】
類似色方向の判定結果の少なくとも一方が0でないと判断した場合(S17:NO)、カラー画像処理装置1は、注目側の代表色を算出する(S18)。例えば、図8において、主走査方向6、副走査方向7の画素は、主走査方向及び副走査方向における類似色方向は何れも「−1」(デクリメント方向領域)である。そして、図9に基づいて代表色を算出する場合、注目側の代表色は、図9(a)中に(−1,−1)で示した領域内の画素値の平均値となる。
【0080】
また、カラー画像処理装置1は、反対側の代表色を算出する(S19)。例えば、図8において、主走査方向6、副走査方向7の画素は、主走査方向及び副走査方向における類似色方向は何れも「−1」である。そして、図9に基づいて代表色を算出する場合、反対側の代表色は、図9(a)中に(1,1)で示した領域内の画素値の平均値となる。
【0081】
カラー画像処理装置1は、注目側及び反対側の代表色を算出した後、式2から式5に基づいて、注目側の輝度値及び反対側の輝度値をそれぞれ算出する(S20,S21)。なお、カラー画像処理装置1は、ステップS18〜S22の処理において、処理順序を逆にしてもよいし、同時に行うようにしてもよい。
【0082】
カラー画像処理装置1は、注目側の輝度値と反対側の輝度値とを比較し、注目側の輝度値が反対側の輝度値より低いか否かを判定する(S22)。注目側の輝度値が反対側の輝度値より低いと判定した場合(S22:YES)、カラー画像処理装置1は、トラップ判定を有効としてトラップ判定結果を1とし(S23)、トラップ色を決定する(S24)。ここで、トラップ色は、反対側の領域の代表色である。
【0083】
なお、類似色方向の判定結果が共に0であると判断した場合(S17:YES)、又は、注目側の輝度値が反対側の輝度値より低くないと判定した場合(S22:NO)、カラー画像処理装置1は、トラップ判定を無効としてトラップ判定結果を0とする(S25)。
【0084】
カラー画像処理装置1は、ステップS23又はS25で決定したトラップ判定結果が1であるか否かを判断する(S26)。トラップ判定結果が1であると判断した場合(S26:YES)、カラー画像処理装置1は、ステップS1で取得した注目画素に、ステップS24で決定したトラップ色を重ね合せた出力画素を生成し(S27)、出力する。トラップ判定結果が0であると判断した場合(S26:NO)、カラー画像処理装置1は、ステップS1で取得した注目画素を出力画素とし(S28)、出力する。
【0085】
カラー画像処理装置1は、入力画像データに含まれる全ての画素に対して処理を行ったか否かを判断し(S29)、全ての画素に対する処理が完了していないと判断した場合(S29:NO)、ステップS1へ処理を戻す。全ての画素に対する処理が完了したと判断した場合(S29:YES)、カラー画像処理装置1は、本処理を終了する。
【0086】
(実施形態2)
以下に、実施形態2に係るカラー画像形成装置について説明する。図18は実施形態2に係るカラー画像形成装置の構成を示すブロック図である。本実施形態2のカラー画像形成装置は、図1に示した実施形態1のカラー画像形成装置において、トラッピング処理部15の代わりにトラッピング・スムージング処理部18を備える。なお、本実施形態2のカラー画像形成装置におけるその他の構成は、図1に示した実施形態1のカラー画像形成装置の構成と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
本実施形態2のラスタデータ生成部11は、実施形態1のラスタデータ生成部11と同様に、入力されたページ記述言語を解析し、RGB又はCMYKのラスタデータを生成する。また、ラスタデータ生成部11は、入力画像データの色空間情報を取得する。ラスタデータ生成部11は、RGBのラスタデータを生成した場合、生成したラスタデータを色補正部12へ出力し、CMYKのラスタデータを生成した場合、生成したラスタデータをセレクタ14へ出力する。また、ラスタデータ生成部11は、取得した色空間情報をセレクタ14へ出力する。
【0088】
また、ラスタデータ生成部11は、ラスタデータの各画素が文字領域、ベクター・グラフィックス領域、写真領域、又はそれ以外の何れのものであるかを示すタグ情報を生成し、黒生成下地除去部13及び階調再現処理部17へ出力する。
なお、本実施形態2のラスタデータ生成部11は、入力画像データの解像度情報を取得し、取得した解像度情報をトラッピング・スムージング処理部18へ出力する。
【0089】
カラー画像形成装置での解像度情報の取得方法は、カラー画像形成装置の形態に応じて異なる。例えば、カラー画像形成装置がプリンタである場合、入力画像データのヘッダに記載されている解像度情報を取得する。また、コピー複合機の場合、操作パネルより設定された解像度情報を取得する。設定がなされなかった場合は、デフォルト(例えば、600dpi)の解像度情報を取得する。コンピュータシステムの場合、画像を読み取る際のスキャナの読み取り条件設定画面(スキャナドライバ)において、マウス又はキーボードなどから設定された解像度情報を取得する。
【0090】
本実施形態2のセレクタ14は、ラスタデータ生成部11及び黒生成下地除去部13からCMYK信号が入力されており、ラスタデータ生成部11から出力された色空間情報に基づいて、何れか一方の信号をトラッピング・スムージング処理部18へ出力する。色空間情報がRGBである場合、セレクタ14は、黒生成下地除去部13から入力されたCMYK信号をトラッピング・スムージング処理部18へ出力する。色空間情報がCMYKである場合、セレクタ14は、ラスタデータ生成部11から直接入力されたCMYK信号をトラッピング・スムージング処理部18へ出力する。従って、色空間情報がCMYKである場合、トラッピング・スムージング処理部18には、色補正部12及び黒生成下地除去部13で処理されていないCMYK信号が入力される。
【0091】
本実施形態2のトラッピング・スムージング処理部18は、入力されたラスタデータに対して、解像度情報に応じて、版ずれ時の白抜けを防止するためのトラッピング処理及び、画素ボケとジャギーとを低減しながら解像度を向上するスムージング処理を行う。そして、トラッピング・スムージング処理部18は、処理後のCMYK信号を出力階調補正部16へ出力する。
【0092】
なお、本実施形態2のトラッピング・スムージング処理部18は、入力画像データの解像度、及びカラー画像出力装置2が形成する画像(以下、出力画像と言う)の解像度に応じて、トラッピング処理及びスムージング処理を行う。なお、本実施形態2のトラッピング・スムージング処理部18の構成及び処理内容については後述する。
【0093】
また、出力画像の解像度は、複合機の場合においては、操作パネルから選択された解像度(選択されない場合は、デフォルトの値、例えば600dpi)が設定される。コンピュータシステムで実現する場合は、印刷条件(プリンタドライバの設定画面)で設定すればよい。
【0094】
次に、本実施形態2のトラッピング・スムージング処理部18について説明する。図19はトラッピング・スムージング処理部18の構成を示すブロック図である。トラッピング・スムージング処理部18は、入力解像度調整部10及び解像度変換トラッピング処理部20などを備えている。
【0095】
入力解像度調整部10は、セレクタ14から低解像度又は高解像度のCMYK信号(入力画像データ)が入力され、必要に応じて後段処理のための低解像度の画像データを生成する。低解像度は、例えば600dpi又はそれ以下の解像度であり、高解像度は、例えば600dpi以上の解像度である。なお、解像度は、600dpiを基準としているが、数値は解像度変換トラッピング処理部20が有するラインバッファの容量又は数などに依存して決定される。また、本発明をソフトウェアで実現する場合は、解像度変換トラッピング処理部20で使用するメモリサイズ(ハードウェアと同様、処理する解像度に依存して必要なサイズが決まる)により決定することができる。
【0096】
図20は、入力解像度調整部10の構成を示すブロック図である。入力解像度調整部10は、解像度検出部101、ダウンサンプリング処理部102、低解像度側セレクタ103、ラインディレイ調整部104及び高解像度側セレクタ105などを備えている。解像度検出部101は、入力されたCMYK信号に基づいて、入力画像データの解像度を検出する。なお、入力画像データの解像度は、ラスタデータ生成部11から入力される解像度情報に基づいて解像度を検出してもよい。
【0097】
ダウンサンプリング処理部102は、入力画像データが高解像度である場合に、入力画像データを低解像度に変換するダウンサンプリングを行う。ダウンサンプリングの方法としては、間引き処理などを使用する。間引き処理としては、例えば50%縮小であれば2×2画素単位で左上画素を選択するニアレストネイバー法を用いる。ニアレストネイバー法の他に、倍率に応じた領域の平均値(例えば50%縮小であれば2×2画素の平均値)を選択する方法、バイリニア法、又はバイキュービック法などを用いてもよい。
【0098】
低解像度側セレクタ103は、解像度検出部101及びダウンサンプリング処理部102から入力されたCMYK信号を、入力画像データの解像度に応じて何れかの信号を出力する。入力画像データが低解像度である場合、低解像度側セレクタ103は、解像度検出部101から入力されたCMYK信号を出力する。一方、入力画像データが高解像度である場合、低解像度側セレクタ103は、ダウンサンプリング処理部102で低解像度に変換されたCMYK信号を出力する。
【0099】
ラインディレイ調整部104は、入力画像データが高解像度である場合、後段の解像度変換トラッピング処理部20で処理される2つの信号のタイミングを調整する。具体的には、入力画像データが高解像度である場合、解像度変換トラッピング処理部20では、ダウンサンプリング処理部102によりダウンサンプリング処理が施されたCMYK信号、及び元の高解像度のCMYK信号の2つの信号に対しての処理が行われる。そして、低解像度のCMYK信号に対してはトラッピング判定の処理が行われるため、判定処理の実行時間だけ2つの信号に時間ずれが生じる。このため、ラインディレイ調整部104は、2つの信号の間でライン単位のタイミング調整を行う。このタイミング調整のための構成としては、ラインバッファによる構成であってもよいし、DMA(Direct Memory Access)により一度メモリへ出力し、適切なタイミングでDMAにより再度入力する構成であってもよい。
【0100】
高解像度側セレクタ105は、ラインディレイ調整部104から入力されるCMYK信号と、固定値(例えば、0)の信号とが入力され、入力画像データ又は出力画像の解像度に応じて、何れかの信号を出力する。入力画像データ又は出力画像が低解像度である場合、高解像度側セレクタ105は、固定値の信号を出力する。一方、入力画像データ及び出力画像が高解像度である場合、高解像度側セレクタ105は、ラインディレイ調整部104から入力されたCMYK信号を出力する。後段の解像度変換トラッピング処理部20は、高解像度側セレクタ105から固定値の信号を入力した場合、高解像度側セレクタ105からの信号を処理に使用しないよう動作する。
【0101】
解像度変換トラッピング処理部20は、低解像度側セレクタ103が出力した低解像度の入力画像データに対して、各画素にトラッピング重ね合せ処理を行うかを判定(以下、トラップ判定と言う)し、さらに、重ね合せ処理を行う際に重ね合せる色(以下、トラップ色と言う)を決定する。また、解像度変換トラッピング処理部20は、低解像度の入力画像データに対してスムージング処理を行う。そして、解像度変換トラッピング処理部20は、これら処理結果に基づいてトラッピング処理を行う。
【0102】
図21は、解像度変換トラッピング処理部20の構成を示すブロック図である。解像度変換トラッピング処理部20は、入力ラインバッファ部21、トラッピング判定処理部22、トラッピング重ね合せ処理部23、トラッピング判定結果格納部24、アップサンプリング処理部25、トラップ色側セレクタ26、画像側セレクタ27、及びスムージング処理部28などを備えている。なお、図21において、入力及び出力の信号線などは1本のみ描いているが、実際にはCMYKの4つの色成分毎に信号線があるものとする。
【0103】
ここで、解像度変換トラッピング処理部20が備える入力ラインバッファ部21、トラッピング判定処理部22、トラッピング重ね合せ処理部23は、実施形態1のトラッピング処理部15が備える入力ラインバッファ部21、トラッピング判定処理部22、トラッピング重ね合せ処理部23と同様の構成を有し、同様の処理を行う。
【0104】
なお、本実施形態2の入力ラインバッファ部21は、低解像度側セレクタ103が出力した低解像度の入力画像データを複数のラインバッファ21aに一時的に格納する。ラインバッファ21aにより、後段のトラッピング判定処理部22及びスムージング処理部28などは、マスク処理等を行う際に複数ラインのデータを参照できるようになっている。
【0105】
本実施形態2のトラッピング判定処理部22は、低解像度の入力画像データに対してトラップ判定を行い、さらにトラップ色を決定する。なお、本実施形態2のトラッピング判定処理部22は、図3に示した実施形態1のトラッピング判定処理部22と同様の構成を有し、実施形態1で説明した処理によってトラップ判定を行い、トラップ色を決定する。なお、本実施形態2のトラッピング判定処理部22は、トラップ判定・トラップ色算出部225による処理結果(トラップ判定結果、トラップ色)を、トラップ色側セレクタ26及びトラッピング判定結果格納部24に対して出力する。
【0106】
スムージング処理部28は、入力画像データが低解像度、かつ、出力画像が高解像度である場合、低解像度の入力画像データに対してスムージング処理を行い、高解像度の画像データを生成する。スムージング処理部28は、入力画像データ(CMYK信号)の2×2単位でデータを補間して画素データを生成する。その際には、画素ボヤケとジャギーを低減しながら行う。
【0107】
図22は、スムージング処理におけるデータ補間について説明するための模式図である。なお、図22では、主走査方向及び副走査方向それぞれを2倍の解像度に向上する場合を示しており、P00,P01、P10,P11の画素(以下、入力画素と言う)に対して、0,1,2,3の画素(以下、出力補間画素と言う)を補間するものとする。
【0108】
スムージング処理部28は、それぞれのプレーン(色成分毎)でバイリニア補間を実行することにより、出力補間画素を生成する。スムージング処理部28は、図22の場合、出力補間画素3は以下の式6により算出する。ここでは、P00の画素の画素値を(Cp00 ,Mp00 ,Yp00 ,Kp00 )、P01の画素の画素値を(Cp01 ,Mp01 ,Yp01 ,Kp01 )、P10の画素の画素値を(Cp10 ,Mp10 ,Yp10 ,Kp10 )、P11の画素の画素値を(Cp11 ,Mp11 ,Yp11 ,Kp11 )とし、出力補間画素3の画素値を、(Cbl3 ,Mbl3 ,Ybl3 ,Kbl3 )とする。
【0109】
【数2】

【0110】
上記の式6には、Cbl3 の算出式のみを記載したが、Mbl3 ,Ybl3 ,Kbl3も同様の算出式にて算出される。また、上記の式6のu,vの値は、出力補間画素0の場合はu=0,v=0、出力補間画素1の場合はu=0.5,v=0、出力補間画素2の場合はu=0,v=0.5、出力補間画素3の場合はu=0.5,v=0.5となる。次に、出力補間画素0〜3それぞれに対して、出力補間画素と入力画素との色差を算出する。この算出式は、実施形態1で用いた式1と同様であるため省略する。さらに、算出した色差における最小値が閾値(例えば140)以下であれば、その入力画素値を出力補間画素値とする。閾値以上であれば、v<0.5の場合はP10、v≧0.5の場合はP11を出力補間画素の画素値とする。
【0111】
図23は、スムージング処理を概念的に示した模式図である。例えば、図23(a)の、マゼンダとシアンとの境界領域を含む4×4画素を、上述のように2倍の解像度に向上する場合、バイリニア補間により、4つの入力画素から4つの出力補間画素を生成する(図23(b)参照)。算出した色差がシアン(C)又はマゼンダ(M)のどちらかに近い場合は、近い色の画素をコピーする(図23(c)参照)。算出した色差がシアン(C)又はマゼンダ(M)の中間の場合は、入力画像の右側をコピーする(図23(d)参照)。斜め線に対してもスムーズな形状にスムージングすることができる。
【0112】
図24は、図4の入力画像データに対して、バイリニア補間を行った結果を示す図である。各画素の数値は、上側の数値がシアン(C)の画素値、下側の数値がマゼンダ(M)の画素値を示している。なお、図24では、イエロー(Y)及びブラック(K)は、画素値が0であるため省略している。例えば副走査方向21の画素に示すように、シアン(C)及びマゼンダ(M)の境界部分では、シアン(C)及びマゼンダ(M)の中間の画素値となる。図25は、図24の画像データにおいて、注目画素に近い色の画素をコピーした処理結果の一部を示す図である。
【0113】
トラッピング判定結果格納部24は、出力画像が高解像度である場合に、トラッピング判定処理部22が行った処理の結果であるトラップ判定結果及びトラップ色を格納する。アップサンプリング処理部25は、トラッピング判定結果格納部24に格納されたデータを読み出し、アップサンプリング処理を実行する。アップサンプリングの方法としては、例えば、ニアレストネイバを使用する。なお、アップサンプリング処理部25は、スムージング処理部28が行うスムージング処理とタイミングを合わせてアップサンプリングを実行する。
【0114】
図26は、アップサンプリング処理部25が行ったアップサンプリング結果の一部を示す。シアン(C)とマゼンダ(M)の画素値がともに0となっている画素は、トラップ判定が0であることを示し、そうでない場合は、トラップ判定が1、かつ、そのときのトラップ色を示している。
【0115】
トラップ色側セレクタ26及び画像側セレクタ27は、トラッピング・スムージング処理部18への入力画像データ及び出力画像の解像度の組み合わせに応じてトラッピング重ね合せ処理部23への出力信号を切り替える。トラップ色側セレクタ26には、トラッピング判定処理部22の処理結果、及び、アップサンプリング処理部25の処理結果が入力される。画像側セレクタ27には、入力階調度調整部10の高解像度側セレクタ105からの画像データ、スムージング処理部28による処理結果、及び入力ラインバッファ部21からの画像データが入力される。
【0116】
入力画像データ及び出力画像が低解像度である場合、トラップ色側セレクタ26は、トラッピング判定処理部22の処理結果をトラッピング重ね合せ処理部23へ出力する。画像側セレクタ27は、入力ラインバッファ部21から入力画像データの注目画素を出力する。入力画像データが低解像度、出力画像が高解像度である場合、トラップ色側セレクタ26は、アップサンプリング処理部25の処理結果を出力し、画像側セレクタ27は、スムージング処理部28による処理結果を出力する。入力画像データが高解像度、出力画像が低解像度である場合、トラップ色側セレクタ26は、トラッピング判定処理部22の処理結果を出力し、画像側セレクタ27は、入力ラインバッファ部21から入力画像データの注目画素を出力する。入力画像データ及び出力画像が高解像度である場合、トラップ色側セレクタ26は、アップサンプリング処理部25の処理結果を出力し、画像側セレクタ27は、高解像度側セレクタ105からの画像データを出力する。
【0117】
トラッピング重ね合せ処理部23は、上述のように入力画像データ及び出力画像の解像度に応じて入力される信号が異なるため、解像度に基づいてトラッピング重ね合せ処理を行う。入力画像データ及び出力画像が低解像度の場合、トラッピング重ね合せ処理部23は、トラッピング判定処理部22から出力されるトラップ判定結果及びトラップ色を用いて、入力画像データに対してトラッピング重ね合せ処理を行う。トラッピング重ね合せ処理部23は、トラップ判定結果が1のとき、入力画像データ又はトラップ色の最大値を出力画素の画素値とする。トラップ判定結果が0のとき、トラッピング重ね合せ処理部23は、入力画像データの画素値を、出力画素の画素値とする。なお、ブラック(K)については、重ね合せたとき、重ねた画素値が目立ちやすい場合があるため、他の色成分と同様の処理を行う、又は、重ね合せ処理を行わないという選択をできるようにしてもよい。
【0118】
入力画像データが低解像度、出力画像が高解像度である場合、トラッピング重ね合せ処理部23は、スムージング処理部28でスムージング処理された画像データに、アップサンプリング処理部25でアップサンプリング処理されたデータをトラッピング重ね合せ処理を行う。図27は、スムージング処理後の画像にアップサンプリング結果でトラッピング重ね合せ処理を行った結果の一部を示す図である。
【0119】
入力画像データが高解像度、出力画像が低解像度である場合、トラッピング重ね合せ処理部23は、入力解像度データ及び出力画像が低解像度の場合と同様の処理を行う。入力画像データ及び出力画像が高解像度である場合、トラッピング重ね合せ処理部23は、高解像度側セレクタ105から出力された入力画像データに対して、アップサンプリング処理部25でアップサンプリング処理されたデータを重ね合せる処理を行う。
【0120】
このようにトラッピング処理において、トラッピング判定処理を低解像度側で、トラッピング重ね合せ処理を高解像度側で行うことで、画質の劣化、及び、回路規模の増加を低減しつつ、幅広い入力解像度に対応することができる。
【0121】
次に、本実施形態2のカラー画像処理装置1の動作について説明する。図28は、カラー画像処理装置1の動作を示すフローチャートである。
【0122】
カラー画像処理装置1は、入力画像データが低解像度であるか否かを判定する(S31)。入力画像データが低解像度でない場合(S31:NO)、即ち、入力画像データが高解像度である場合、カラー画像処理装置1は、入力画像データに対してダウンサンプリング処理を行う(S32)。ダウンサンプリング処理は、上述のように、間引き処理などが用いられる。
【0123】
カラー画像処理装置1は、例えば操作パネルから選択された解像度を取得することで、出力画像が低解像度であるか否かを判定する(S33)。出力画像が低解像度でない場合(S33:NO)、即ち、出力画像が高解像度である場合、カラー画像処理装置1は、ステップS32でダウンサンプリング処理された入力画像データに対してトラッピング判定処理を行う(S34)。なお、トラッピング判定処理は、上述のトラップ判定及びトラップ色の決定を行う処理であり、実施形態1において図15乃至図17で説明した処理である。
【0124】
次に、カラー画像処理装置1は、ニアレストネイバなどを用いてアップサンプリング処理を行う(S35)。その後、カラー画像処理装置1は、ステップS34でのトラップ判定結果及び決定したトラップ色を用いて、入力画像データに対してトラッピング重ね合せ処理を行う(S36)。そして、カラー画像処理装置1は、本処理を終了する。
【0125】
入力画像データが低解像度の場合(S31:YES)、カラー画像処理装置1は、ステップS33と同様に、出力画像が低解像度であるか否かを判定する(S37)。出力画像が低解像度である場合(S37:YES)、カラー画像処理装置1は、ステップS34と同様のトラッピング判定処理を行う(S38)。その後、カラー画像処理装置1は、トラッピング重ね合せ処理を行った後(S36)、本処理を終了する。
【0126】
ステップS33で出力画像が低解像度である場合(S33:YES)、カラー画像処理装置1は、ステップS38の処理を実行する。このように、カラー画像処理装置1は、入力画像データの解像度に関係なく、出力画像が低解像度である場合、低解像度の入力画像データに対して、トラップ判定及びトラップ色を決定する処理を行い、その処理結果に基づいてトラッピング重ね合せ処理を行う。
【0127】
ステップS37において、出力画像が低解像度でない場合(S37:NO)、即ち、入力画像データが低解像度で、出力画像が高解像度である場合、カラー画像処理装置1は、ステップS34と同様のトラッピング判定処理を行い(S39)、ステップS35と同様のアップサンプリング処理を行う(S40)。その後、カラー画像処理装置1は、低解像度の入力画像データに対してスムージング処理を行い、高解像度の画像データを生成する(S41)。なお、カラー画像処理装置1は、ステップS39及びS40の処理と、ステップS41の処理とを、処理順序を逆に行ってもよいし、同時に行うようにしてもよい。その後、カラー画像処理装置1は、トラッピング重ね合せ処理を行った後(S36)、本処理を終了する。
【0128】
上述した実施形態1,2では、本発明に係る画像処理装置を、プリンタなどのカラー画像形成装置に備えた場合について説明したが、カラー複合機に備えるようにしてもよい。図29は、本発明に係る画像処理装置を備えるデジタルカラー複合機の構成を示すブロック図である。
【0129】
カラー画像処理装置50は、A/D変換部51、シェーディング補正部52、入力階調補正部53、領域分離処理部54、色補正部55、黒生成下地除去部56、空間フィルタ処理部57、トラッピング・スムージング処理部58、出力階調補正部59、及び階調再現処理部60などから構成されている。デジタルカラー複合機は、カラー画像処理装置50に、操作パネル50a、カラー画像入力装置40、カラー画像出力装置70及び送信装置71が接続されて構成されている。操作パネル50aは、デジタルカラー複合機の動作モードを設定する設定ボタン及びテンキー、並びに液晶ディスプレイなどで構成される表示部より構成される。
【0130】
カラー画像入力装置40は、例えばCCD(Charge Coupled Device )を備えたスキャナ部より構成され、原稿からの反射光像を、RGB(R:赤・G:緑・B:青)のアナログ信号としてCCDにて読み取って、カラー画像処理装置50に入力する。カラー画像入力装置40にて読み取られたアナログ信号は、カラー画像処理装置50内を、A/D変換部51、シェーディング補正部52、入力階調補正部53、領域分離処理部54、色補正部55、黒生成下地除去部56、空間フィルタ処理部57、トラッピング・スムージング処理部58、出力階調補正部59、階調再現処理部60の順で送られ、ストリームとしてカラー画像出力装置70へ出力される。
【0131】
A/D変換部51は、RGBのアナログ信号をデジタル信号に変換する。シェーディング補正部52は、A/D変換部51より送られてきたデジタルのRGB信号に対して、カラー画像入力装置40の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施す。入力階調補正部53は、シェーディング補正部52から入力されたRGB信号(RGBの反射率信号)に対して、カラーバランスを整えると同時に、濃度信号などカラー画像処理装置50に採用されている画像処理システムの扱い易い信号に変換する処理を施す。
【0132】
領域分離処理部54は、RGB信号より、入力画像中の各画素を文字領域、網点領域、写真領域の何れかに分離するものである。領域分離処理部54は、分離結果に基づき、画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒生成下地除去部56、空間フィルタ処理部57、及び階調再現処理部60へと出力すると共に、入力階調補正部53より出力された入力信号をそのまま後段の色補正部55に出力する。色補正部55、黒生成下地除去部56、及びトラッピング・スムージング処理部58の処理内容は、上述の実施形態1,2と同様である。なお、トラッピング・スムージング処理部58の代わりに、実施形態1で説明したトラッピング処理部を備えてもよい。
【0133】
空間フィルタ処理部57は、黒生成下地除去部56より入力されるCMYK信号の画像データに対して、領域識別信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行い、空間周波数特性を補正することによって出力画像のぼやけ又は粒状性劣化を防ぐ処理を行う。階調再現処理部60は、空間フィルタ処理部57と同様に、CMYK信号の画像データに対して、領域識別信号を基に所定の処理を施す。例えば、領域分離処理部54にて文字に分離された領域は、特に黒文字或いは色文字の再現性を高めるために、空間フィルタ処理部57による空間フィルタ処理における鮮鋭強調処理で高周波数の強調量が大きくされる。同時に、階調再現処理部60においては、高域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでの二値化または多値化処理が選択される。
【0134】
また、領域分離処理部54にて網点に分離された領域に関しては、空間フィルタ処理部57において、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が施される。
【0135】
出力階調補正部59は、カラー画像出力装置70の特性に基づく出力階調補正処理を行った後、階調再現処理部60により、最終的に画像を画素に分離してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)が施される。領域分離処理部54にて写真に分離された領域に関しては、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理が行われる。
【0136】
送信装置71は、モデム又はネットワークカードを備えている。ファクシミリの送信を行うときは、モデムにて、相手先との送信手続きを行い送信可能な状態が確保された後、所定の形式で圧縮された画像データ(スキャナで読み込まれた画像データ)をメモリから読み出し、圧縮形式の変更など必要な処理を施して、相手先に通信回線を介して順次送信する。
【0137】
ファクシミリを受信する場合、通信手続きを行いながら相手先から送信されてくる画像データを受信してカラー画像処理装置50に入力し、カラー画像処理装置50では、受信した画像データを、圧縮/伸張処理部(図示せず)にて伸張処理を施す。伸張された画像データは、必要に応じて、回転処理や解像度変換処理が行われ、出力階調補正及び階調再現処理が施され、カラー画像出力装置70より出力される。
【0138】
また、ネットワークカード、LANケーブルを介して、ネットワークに接続されたコンピュータや他のデジタル複合機とデータ通信を行う。なお、デジタルカラー複合機について説明したが、モノクロの複合機であっても構わない。
【0139】
さらに、本発明はコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、前記したトラッピング処理・スムージング処理(又は、トラッピング処理)を行う方法を記録するものとすることもできる。この結果、前記処理を行うプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0140】
なお、この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであってもよい。また、図示していない外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。
【0141】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0142】
ここで、前記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
【0143】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0144】
前記記録媒体は、デジタルカラー画像形成装置やコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで上述した画像処理方法が実行される。
【0145】
以上、本発明の好適な実施の形態について具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施の形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0146】
15 トラッピング処理部
21 入力ラインバッファ部
22 トラッピング判定処理部
23 トラッピング重ね合せ処理部
221,222 エッジ量算出部
223,224 類似色方向判定部
225 トラップ判定・トラップ色算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色成分を有する入力画像データから抽出したエッジに、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行う画像処理装置において、
入力画像データの注目画素が、所定の条件を満たすエッジを構成する画素であるか否かを判定するエッジ判定部と、
該エッジ判定部が所定の条件を満たすエッジを構成する画素であると判定した場合、前記注目画素の周辺画素のうちで、該注目画素の色に類似する色を有する周辺画素の方向を判定するエッジ方向判定部と、
該エッジ方向判定部が判定した方向に基づいて、前記注目画素に、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行うか否かを判定する処理判定部と、
該処理判定部が重ね合せ処理を行うと判定した場合、重ね合せる画素の色成分を決定する決定部と、
該決定部が決定した色成分に基づく画素データを、前記注目画素に重ね合せる処理を行う重ね合せ処理部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記エッジ判定部は、前記注目画素が、前記入力画像データの異なる色成分のデータにずれが生じた場合に白抜けが生じるエッジを構成する画素であるか否かを判定するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記エッジ判定部は、
前記入力画像データに対して色成分毎に微分フィルタを用いて、各注目画素に対して、各注目画素の画素値と各注目画素の周囲の画素の画素値との変化度合いを示すエッジ量を算出するエッジ量算出部を備え、
該エッジ量算出部が注目画素毎に算出した各色成分のエッジ量の少なくとも1つのエッジ量が正の値であり、かつ、該正の値のエッジ量の絶対値が所定値以上であり、前記各色成分のエッジ量の少なくとも1つのエッジ量が負の値であり、かつ、該負の値のエッジ量の絶対値が所定値以上である場合に、当該注目画素が前記所定の条件を満たすエッジを構成する画素であると判定するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記エッジ方向判定部は、前記注目画素の画素値と、該注目画素に隣接する第1領域内の画素の画素値の平均値との差分、並びに、前記注目画素の画素値と、前記注目画素に隣接し、前記第1領域とは異なる第2領域内の画素の画素値の平均値との差分に基づいて、前記注目画素に対して、前記注目画素の色により類似する色を有する周辺画素の方向を判定するようにしてあることを特徴とする請求項1から3までのいずれかひとつに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記処理判定部は、
前記エッジ方向判定部が判定した方向に応じて予め前記注目画素に対して設定されている第1領域及び第2領域内の画素の画素値に基づいて、前記第1領域及び第2領域における各色成分の代表画素値を算出する代表画素値算出部と、
該代表画素値算出部が算出した前記第1領域及び第2領域における各色成分の代表画素値に基づいて、前記第1領域及び第2領域における輝度値を算出する輝度値算出部と、
該輝度値算出部が算出した前記第1領域及び第2領域における輝度値を比較する比較部とを備え、
該比較部が比較した結果、前記第1領域における輝度値が前記第2領域における輝度値よりも小さい場合に、前記重ね合せる処理を行うと判定するようにしてあり、
前記決定部は、前記代表画素値算出部が算出した第2領域における各色成分の代表画素値に基づいて、前記重ね合せる画素の色成分に決定するようにしてあることを特徴とする請求項1から4までのいずれかひとつに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記代表画素値算出部は、複数の画素を含む前記第1領域及び第2領域内の画素の画素値の平均値、又は、1つの画素を含む前記第1領域及び第2領域内の画素の画素値を、前記第1領域及び第2領域における各色成分の代表画素値として算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記注目画素に対して設定されている第1領域及び第2領域は、前記注目画素を中心として対称の位置にある領域であることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれひとつに記載の画像処理装置と、
該画像処理装置で処理された画像データに基づいて出力画像を形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
複数の色成分を有する入力画像データから抽出したエッジに、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行う画像処理方法において、
入力画像データの注目画素が、所定の条件を満たすエッジを構成する画素であるか否かを判定するエッジ判定ステップと、
該エッジ判定ステップで所定の条件を満たすエッジを構成する画素であると判定した場合、前記注目画素の周辺画素のうちで、該注目画素の色に類似する色を有する周辺画素の方向を判定するエッジ方向判定ステップと、
該エッジ方向判定ステップで判定した方向に基づいて、前記注目画素に、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行うか否かを判定する処理判定ステップと、
該処理判定ステップで重ね合せ処理を行うと判定した場合、重ね合せる画素の色成分を決定する決定ステップと、
該決定ステップで決定した色成分に基づく画素データを、前記注目画素に重ね合せる処理を行う重ね合せ処理ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、複数の色成分を有する入力画像データから抽出したエッジに、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行わせるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
入力画像データの注目画素が、所定の条件を満たすエッジを構成する画素であるか否かを判定するエッジ判定ステップと、
該エッジ判定ステップで所定の条件を満たすエッジを構成する画素であると判定した場合、前記注目画素の周辺画素のうちで、該注目画素の色に類似する色を有する周辺画素の方向を判定するエッジ方向判定ステップと、
該エッジ方向判定ステップで判定した方向に基づいて、前記注目画素に、複数の色成分の画素を重ね合せる処理を行うか否かを判定する処理判定ステップと、
該処理判定ステップで重ね合せ処理を行うと判定した場合、重ね合せる画素の色成分を決定する決定ステップと、
該決定ステップで決定した色成分に基づく画素データを、前記注目画素に重ね合せる処理を行う重ね合せ処理ステップと
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とするコンピュータでの読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−246040(P2010−246040A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95182(P2009−95182)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】