説明

画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及び画像表示方法

【課題】他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテールの表現を改善する画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及び画像表示方法を提供する。
【解決手段】画像信号を補正する画像処理装置は、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分の補正量を算出する輝度成分補正量算出部と、前記輝度成分補正量算出部によって算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度成分を補正する輝度成分補正部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及び画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像コンテンツの階調数やダイナミックレンジが増加し、表示された映像の暗部や明部が、表示機器のコントラスト不足によって表現できず、暗部や明部のディテールを完全に再現できないことが多くなっている。このような暗部や明部のディテールを表現するために、白黒伸張と呼ばれる画像適応型の階調補正処理が行われる。
【0003】
図19に、上記の階調補正処理の説明図を示す。図19では、階調補正処理中の各画像信号により表される画像の特性として、横軸に画像の水平方向の位置、縦軸に輝度レベルを模式的に表している。
【0004】
入力画像IMG1は、左側が低輝度(低階調)で、右側が高輝度(高階調)の画像であり、輝度が低い領域においても微小な階調変化を有し、輝度が高い領域においても微小な階調変化を有する。このような入力画像IMG1に対して上記の階調補正処理を行う場合、図19に示すように、全体的に輝度を上げるように上に凸のガンマ補正曲線に従って階調補正が行われる。その結果、階調補正後の出力画像IMG2では、画面全体に輝度が上がり、左側の低輝度の領域では輝度が伸張されるものの、低輝度の領域において平均的な輝度も上昇してしまう。
【0005】
このように、従来の階調補正処理では、例えば画像に暗部が含まれるときには低階調側の輝度が上がるように全体的に輝度を上げることで、暗部の微小な階調変化を表現できるようにする。その一方、例えば画像に明部が含まれるときには高階調側の輝度が下がるように全体的に輝度を下げることで、明部の微小な階調変化を表現できるようにする。
【0006】
このような階調補正処理に関する技術については、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、入力画像の平均輝度に応じたガンマ補正曲線を算出し、該ガンマ補正曲線に従って入力画像の輝度補正を行う技術が開示されている。この特許文献1に開示された技術では、入力画像の平均輝度が低いほど、補正後の輝度の増幅率が上昇する。また、入力画像が動画のとき、画面の平均輝度を前フレームの平均輝度との線形和に基づいてガンマ補正曲線を求めることで、補正後の動画のちらつきを抑える。
【0007】
【特許文献1】特開2004−266755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、画面全体に対して一律の輝度補正を行うため、暗部のディテールだけでなく、暗部全体や他の輝度領域も明るく表現されてしまうという問題がある。そのため、暗部と明部とが混在している場合には、例えば暗部のディテールを表現できるようになる一方で、明部のディテールを表現できなくなることがある。
【0009】
また、特許文献1に開示された技術では、輝度成分のみを補正するため、各画素の色度が変化し、画面全体の色の傾向が変化してしまう。この場合、輝度成分の補正のみでは画質を劣化させてしまう可能性もあり、画像のディテールを表現する場合に画面全体の色の傾向を維持できることが望ましい。
【0010】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテールの表現を改善する画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及び画像表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は、画像信号を補正する画像処理装置であって、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分の補正量を算出する輝度成分補正量算出部と、前記輝度成分補正量算出部によって算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度成分を補正する輝度成分補正部とを含む画像処理装置に関係する。
【0012】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分を補正するようにしたので、画面全体に対して一律の補正を行うことなく、暗部と明部とが混在している場合であっても、暗部と明部の両方のディテールを表現できるように画像信号を補正できるようになる。
【0013】
また本発明に係る画像処理装置では、前記輝度成分補正部による補正前後においてxy色度の値が変化しないように前記画像信号の色差成分を補正する色差成分補正部を含むことができる。
【0014】
本発明によれば、輝度成分の補正前後におけるxy色度の値が変化しないように輝度成分の補正と連動して色差成分を補正するようにしたので、上記の効果に加えて、各画素の色度が変化して画面の全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを表現する場合に画面全体の色の傾向を維持できるようになる。
【0015】
また本発明に係る画像処理装置では、前記輝度成分補正部による補正前後の前記画像信号の輝度成分に基づいて、xy色度の値が変化しないように該画像信号の色差成分の補正量を算出する色差成分補正量算出部を含み、前記色差成分補正部が、前記色差成分補正量算出部によって算出された前記色差成分の補正量を用いて、前記画像信号の色差成分を補正することができる。
【0016】
本発明によれば、画像信号の輝度成分の補正と連動して、輝度成分の補正量に応じて色差成分を補正するようにしたので、輝度成分の補正前後におけるxy色度の値を変化させることなく、画像の暗部や明部のディテールを表現可能な画像信号の補正が可能となる。
【0017】
また本発明に係る画像処理装置では、前記色差成分の調整パラメータを記憶する調整パラメータ記憶部を含み、補正前の前記輝度成分をYin、補正後の前記輝度成分をYout、前記調整パラメータをbとしたとき、前記色差成分補正部は、(1−b×(1−Yout/Yin))を色差ゲインとして、前記画像信号の色差成分に前記色差ゲインを乗算することで前記色差成分を補正することができる。
【0018】
本発明によれば、画像信号の輝度成分の補正に連動した色差成分の補正を簡素な処理で実現できるようになる。
【0019】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出回路を含み、前記輝度成分補正量算出部は、前記画像信号の輝度成分のレベルに対応した輝度ゲインを算出する輝度ゲイン算出回路を含み、前記信号抽出回路によって抽出された前記空間周波数帯域の信号と、前記輝度ゲイン算出回路によって算出された前記輝度ゲインとに基づいて、前記輝度成分の補正量を算出することができる。
【0020】
本発明によれば、信号抽出回路により所与の空間周波数帯域の信号を抽出し、輝度ゲイン算出回路により所与の輝度成分のレベル範囲の信号を特定することができるので、簡素な構成により、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分を補正することができるようになる。
【0021】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する多段フィルタ回路を含み、前記輝度成分補正量算出部は、前記多段フィルタ回路の出力ごとに設けられ補正前の前記輝度成分のレベルに対応したゲインを出力する複数のテーブルと、前記多段フィルタ回路の出力ごとに設けられ、前記多段フィルタ回路の出力と前記複数のテーブルを構成する各テーブルの出力とを乗算する複数の乗算器と、前記複数の乗算器を構成する各乗算器の乗算結果を加算する加算器とを含み、前記加算器の出力を前記輝度成分の補正量として算出することができる。
【0022】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分を補正する場合に、多段フィルタ回路の出力ごとに設けられた複数のテーブルによりゲインを出力するようにしたので、乗算器の数を減らすことができ、低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0023】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出回路を含み、前記輝度成分補正量算出部は、前記信号抽出回路の出力と補正前の前記輝度成分のレベルとに対応した前記輝度成分の補正量を出力するテーブルを含むことができる。
【0024】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分を補正する場合に、テーブルにより輝度成分の補正量を出力するようにしたので、乗算器を無くすことができ、大幅な低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0025】
また本発明は、画像信号に基づいて画像を表示する画像表示装置であって、前記画像信号を補正する上記のいずれか記載の画像処理装置と、前記画像処理装置によって補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを含む画像表示装置に関係する。
【0026】
本発明によれば、他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテールの表現を改善する画像表示装置を提供できるようになる。
【0027】
また本発明は、画像信号に基づいて画像を表示する画像表示装置であって、画像の第1の方向に空間周波数が変化すると共に前記第1の方向と交差する第2の方向に前記画像信号の輝度成分のレベルが変化し、且つ前記輝度成分の交流成分が全体に均一な画像の画像信号を補正する画像処理部と、前記画像処理部によって補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを含み、前記画像表示部が、所与の空間周波数帯域の所与の輝度レベル範囲において輝度の交流成分が不均一である画像を表示する画像表示装置に関係する。
【0028】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分を補正することで、他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテールの表現を改善する画像表示装置を提供できるようになる。
【0029】
また本発明は、画像信号を補正する画像処理方法であって、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分の補正量を算出する輝度成分補正量算出ステップと、前記輝度成分補正量算出ステップにおいて算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度成分を補正する輝度成分補正ステップとを含む画像処理方法に関係する。
【0030】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分を補正するようにしたので、画面全体に対して一律の補正を行うことなく、暗部と明部とが混在している場合であっても、暗部と明部の両方のディテールを表現できるように画像信号を補正できるようになる。
【0031】
また本発明に係る画像処理方法では、前記輝度成分補正ステップにおける補正前後においてxy色度の値が変化しないように前記画像信号の色差成分を補正する色差成分補正ステップを含むことができる。
【0032】
本発明によれば、輝度成分の補正前後におけるxy色度の値が変化しないように輝度成分の補正と連動して色差成分を補正するようにしたので、上記の効果に加えて、各画素の色度が変化して画面の全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを表現する場合に画面全体の色の傾向を維持できるようになる。
【0033】
また本発明に係る画像処理方法では、前記輝度成分補正ステップにおける補正前後の前記画像信号の輝度成分に基づいて、xy色度の値が変化しないように該画像信号の色差成分の補正量を算出する色差成分補正量算出ステップを含み、前記色差成分補正ステップが、前記色差成分補正量算出ステップにおいて算出された前記色差成分の補正量を用いて、前記画像信号の色差成分を補正することができる。
【0034】
本発明によれば、画像信号の輝度成分の補正と連動して、輝度成分の補正量に応じて色差成分を補正するようにしたので、輝度成分の補正前後におけるxy色度の値を変化させることなく、画像の暗部や明部のディテールを表現可能な画像信号の補正が可能となる。
【0035】
また本発明に係る画像処理方法では、前記画像信号の輝度成分から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出ステップを含み、前記輝度成分補正量算出ステップは、前記画像信号の輝度成分のレベルに対応した輝度ゲインを算出する輝度ゲイン算出ステップとを含み、前記信号抽出ステップにおいて抽出された前記空間周波数帯域の信号と、前記輝度ゲイン算出ステップにおいて算出された前記輝度ゲインとに基づいて、前記輝度成分の補正量を算出することができる。
【0036】
本発明によれば、信号抽出ステップにおいて所与の空間周波数帯域の信号を抽出し、輝度ゲイン算出ステップにおいて所与の輝度成分のレベル範囲の信号を特定することができるので、簡素な処理により、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分を補正することができるようになる。
【0037】
また本発明は、画像信号に基づいて画像を表示する画像表示方法であって、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分の補正量を算出する輝度成分補正量算出ステップと、前記輝度成分補正量算出ステップにおいて算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度成分を補正する輝度成分補正ステップと、前記輝度成分補正ステップにおいて補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示ステップとを含む画像表示方法に関係する。
【0038】
本発明によれば、他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテールの表現を改善する画像表示方法を提供できるようになる。
【0039】
また本発明は、画像信号に基づいて画像を表示する画像表示方法であって、画像の第1の方向に空間周波数が変化すると共に前記第1の方向と交差する第2の方向に前記画像信号の輝度成分のレベルが変化し、且つ前記輝度成分の交流成分が全体に均一な画像の画像信号を補正する画像処理ステップと、前記画像処理ステップにおいて補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示ステップとを含み、前記画像表示ステップが、所与の空間周波数帯域の所与の輝度レベル範囲において輝度の交流成分が不均一である画像を表示する画像表示方法に関係する。
【0040】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分を補正することで、他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテールの表現を改善する画像表示方法を提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0042】
以下では、本発明に係る画像表示装置としてプロジェクタを例に説明するが、本発明に係る画像表示装置がプロジェクタに限定されるものではない。
【0043】
〔実施形態1〕
図1に、本発明に係る実施形態1における画像表示システムの構成例のブロック図を示す。
【0044】
画像表示システム10は、プロジェクタ20と、スクリーンSCRとを含む。プロジェクタ20は、入力画像信号に基づいて図示しない光源からの光を変調し、変調後の光をスクリーンSCRに投射することで画像を表示する。
【0045】
このプロジェクタ20は、画像処理部30(広義には画像処理装置)と、投射部100(広義には画像表示部)とを含む。画像処理部30は、他の輝度領域に影響を与えることなく表示画像の暗部や明部のディテールを表現できるように入力画像信号を補正し、補正後の画像信号を投射部100に出力する。投射部100は、画像処理部30からの画像信号に基づいて変調した光をスクリーンSCRに投射する。
【0046】
図2に、図1の画像処理部30において行われる階調補正処理の説明図を示す。図2では、階調補正処理中の各画像信号により表される画像の特性として、横軸に画像の水平方向の位置、縦軸に輝度レベルを模式的に表している。
【0047】
入力画像IMGinは、例えば左側が低輝度(低階調)で、右側が高輝度(高階調)の画像であり、輝度が低い領域においても微小な階調変化を有し、輝度が高い領域においても微小な階調変化を有する。信号抽出手段L1は、この入力画像IMGinの画像信号の輝度成分から所与の空間周波数帯域の輝度成分の信号Yを抽出する。図2では、信号抽出手段L1が、空間周波数に対応してゲインが設定され、このゲインが大きい空間周波数帯域の輝度成分の信号Yを抽出している。
【0048】
また、輝度ゲイン算出手段G1は、該入力画像の画像信号の輝度成分のレベルに対応したゲイン係数gを算出する。図2では、輝度ゲイン算出手段G1が、輝度成分のレベルが低い領域ではゲイン係数gが大きくなり、輝度成分のレベルが高い領域ではゲイン係数gがほぼ0となるように算出する。
【0049】
この結果、乗算器M1は、信号抽出手段L1によって抽出された信号Yに輝度ゲイン算出手段G1によって算出されたゲイン係数gを掛け合わせた信号gYを生成する。信号gYが、入力画像信号の輝度成分の補正量に対応した信号であり、加算器A1が、入力画像信号の輝度成分Yinと信号gYとを加算して、階調補正後の画像信号の輝度成分Youtを出力する。
【0050】
図3に、図1の画像処理部30の動作説明図を示す。図3では、縦軸に入力画像信号の輝度成分、横軸に該輝度成分の空間周波数を表している。
【0051】
図1の画像処理部30は、空間周波数帯域Far(所与の空間周波数帯域)のみにおいて画像信号の輝度成分の補正量を算出し、該補正量を用いて画像信号の輝度成分を補正する。より具体的には、画像処理部30は、信号抽出手段L1によって抽出された空間周波数帯域Farにおいて、輝度ゲイン算出手段G1によって算出された入力画像信号の輝度成分Yinの所与のレベル範囲Yarの信号(図3では、範囲Sar)に対して、階調補正を行う。これにより、全体的な輝度の傾向を変化させることなく、信号抽出手段L1によって抽出された空間周波数帯域Farであって、輝度ゲイン算出手段G1によって算出された入力画像信号の輝度成分Yinの所与のレベル範囲Yarのみ、輝度成分を変化させることができるようになる。
【0052】
信号抽出手段L1によって抽出される空間周波数帯域や、輝度ゲイン算出手段G1によってゲイン係数gが算出される輝度成分のレベル範囲は、それぞれ指定可能であるため、指定した空間周波数帯域の指定した輝度成分のレベル範囲のみ、入力画像信号の輝度変化を増幅させることができる。このため、例えば輝度ゲイン算出手段G1において、暗部である低輝度の輝度成分に対して輝度ゲイン係数を大きくすることで、他の階調の輝度レンジを縮めることなく暗部のディテールを表現できるようになる。しかも、画面全体に対して一律の補正を行わないので、暗部と明部とが混在している場合であっても、例えば一律に暗部の輝度も上げたり、或いは一律に明度の輝度も下げたりすることもなく、暗部と明部の両方のディテールを表現できるようになる。
【0053】
以下、このような階調補正を実現する実施形態1におけるプロジェクタ20の構成例について詳細に説明する。以下では、画像信号が、輝度信号Y及び色差信号U、Vにより構成される例について説明するが、本発明に係る画像信号は、これに限定されるものではない。
【0054】
図4に、図1の画像処理部30のハードウェア構成例のブロック図を示す。
【0055】
画像処理部30は、ラインメモリ32、多段フィルタ回路(信号抽出回路)40、輝度信号補正量算出回路(輝度成分補正量算出部)50、輝度信号補正回路(輝度成分補正部)60を含む。更に、画像処理部30は、ラインメモリ70、色差ゲイン算出回路(色差成分補正量算出部)80、色差信号補正回路(色差成分補正部)90を含む。
【0056】
ラインメモリ32は、入力画像信号を構成する輝度信号Y(入力画像信号の輝度成分)を格納する。ラインメモリ32は、多段フィルタ回路40で必要なライン数分だけ輝度信号Yを格納する。
【0057】
多段フィルタ回路40は、ラインメモリ32に格納された輝度信号Y(画像信号の輝度成分)から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する。この多段フィルタ回路40は、図2の信号抽出手段L1の機能を実現することができる。
【0058】
輝度信号補正量算出回路50は、多段フィルタ回路40の出力と、ラインメモリ32に格納されている輝度信号とに基づいて、輝度信号の補正量を算出する。この輝度信号補正量算出回路50は、多段フィルタ回路40によって抽出された所与の空間周波数帯域の輝度信号のうち所与の輝度レベル範囲の輝度信号に対する補正量を算出することができる。この輝度信号補正量算出回路50は、図2の輝度ゲイン算出手段G1の機能を実現することができる。
【0059】
輝度信号補正回路60は、輝度信号補正量算出回路50によって算出された補正量を用いて、ラインメモリ32に格納された輝度信号を補正し、補正後の輝度信号Y1として出力する。
【0060】
また、画像処理部30は、輝度信号の補正と連動して色差信号を補正することができるようになっている。このため、ラインメモリ70には、ラインメモリ32に輝度信号Yが格納されるタイミングに同期して、該輝度信号に対応した色差信号U、V(入力画像信号の色差成分)が格納される。
【0061】
色差ゲイン算出回路80は、輝度信号補正回路60による補正前後の輝度信号Y、Y1に基づいて、例えばXYZ表色系(CIE 1931 standard colorimetric system)のxy色度の値が変化しないように、色差信号U、Vの補正量を算出する。ここでは、色差ゲイン算出回路80は、色差信号の補正量に対応したゲイン係数を算出する。
【0062】
色差信号補正回路90は、色差ゲイン算出回路80によって算出された補正量を用いて、ラインメモリ70に格納された色差信号U、Vを補正し、補正後の色差信号U1、V1として出力する。これにより、色差信号補正回路90は、輝度信号補正回路60による補正前後においてxy色度の値が変化しないように色差信号U、Vを補正することができる。
【0063】
このように画像処理部30は、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベルの輝度信号に対してのみ、輝度信号を補正することができる。また、画像処理部30は、該輝度信号の補正と連動して、輝度信号の補正量に応じて色差信号を補正することができる。
【0064】
次に、画像処理部30を構成する各ブロックについて説明する。
【0065】
図5に、図4の多段フィルタ回路40の構成例のブロック図を示す。図5において、図4と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0066】
多段フィルタ回路40は、互いにフィルタサイズが異なる第1〜第3のフィルタ回路42、44、46を含む。図5では、多段フィルタ回路40が、3種類のフィルタ回路でフィルタ処理を行う例を説明するが、フィルタ回路の数に本発明が限定されるものではない。
【0067】
多段フィルタ回路40は、それぞれが抽出する信号の周波数帯域が異なる複数のフィルタ回路を有し、各フィルタ回路は、画像の水平方向及び垂直方向に並ぶ画素の画素値と、フィルタ係数行列との畳み込み演算結果を出力する。
【0068】
第1のフィルタ回路42は、次の式に従ってフィルタ処理された結果を出力することができる。
【数1】

【0069】
上式において、第1のフィルタ回路42の出力をFO1、座標(x,y)の輝度信号をY(x,y)、フィルタ係数をa、(i,j)は対象画素を中心とした相対座標で上式の範囲をとり、フィルタサイズをsとする。各フィルタ回路には、フィルタサイズに対応したライン数(垂直走査ライン数)の輝度信号が入力される。
【0070】
上式では、第1のフィルタ回路42の出力について示したが、第2及び第3のフィルタ回路44、46も、上式と同様のフィルタ処理結果を出力することができる(出力FO2、FO3)。
【0071】
図5では、第1のフィルタ回路42のフィルタサイズを「3」、第2のフィルタ回路44のフィルタサイズを「5」、第3のフィルタ回路46のフィルタサイズを「7」とするが、フィルタサイズに本発明が限定されるものではない。
【0072】
図6に、図4の輝度信号補正量算出回路50の構成例のブロック図を示す。図6において、図4と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図7に、図6の重み付け算出回路52の動作説明図を示す。
図8に、図6の輝度ゲイン算出回路56の動作説明図を示す。
【0073】
輝度信号補正量算出回路50は、重み付け算出回路52、乗算器54〜54、加算器55、輝度ゲイン算出回路56、乗算器58を含む。
【0074】
重み付け算出回路52には、多段フィルタ回路40を構成する第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各フィルタ回路の出力が入力される。そして、重み付け算出回路52は、図7に示すように、第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各フィルタ回路の出力の組み合わせに応じて、重み付け係数g〜gを算出する。
【0075】
このような重み付け算出回路52は、入力を第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各フィルタ回路の出力とし、出力を重み付け係数g〜gとするルックアップテーブル(Look Up Table:以下、LUTと略す)により実現される。そのため、重み付け算出回路52には、予め第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各フィルタ回路の出力の組み合わせに対応した重み付け係数(ga,ga,ga)、(gb,gb,gb)、(gc,gc,gc)、・・・が記憶されており、第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各フィルタ回路の出力FO1〜FO3が入力されたとき、これらの組み合わせに対応した重み付け係数を出力するようになっている。
【0076】
重み付け係数gは、第1のフィルタ回路42の出力FO1が入力される乗算器54に入力される。乗算器54は、第1のフィルタ回路42の出力FO1に重み付け係数gを乗算した結果を加算器55に出力する。
【0077】
重み付け係数gは、第2のフィルタ回路44の出力FO2が入力される乗算器54に入力される。乗算器54は、第2のフィルタ回路44の出力FO2に重み付け係数gを乗算した結果を加算器55に出力する。
【0078】
重み付け係数gは、第3のフィルタ回路46の出力FO3が入力される乗算器54に入力される。乗算器54は、第3のフィルタ回路46の出力FO3に重み付け係数gを乗算した結果を加算器55に出力する。
【0079】
加算器55は、乗算器54〜54の各乗算結果を加算し、その加算結果を乗算器58に出力する。乗算器58には、輝度ゲイン算出回路56によって算出された輝度ゲイン係数hが入力されている。
【0080】
輝度ゲイン算出回路56には、入力画像信号を構成する輝度信号が入力される。そして、輝度ゲイン算出回路56は、図8に示すように、輝度信号のレベル(画像信号の輝度成分のレベル)に対応した輝度ゲイン係数h(輝度ゲイン)を算出する。
【0081】
このような輝度ゲイン算出回路56は、入力を輝度信号(画像信号の輝度成分)とし、出力を輝度ゲイン係数hとするLUTにより実現される。そのため、輝度ゲイン算出回路56には、予め入力画像信号を構成する輝度信号(入力輝度信号)に対応した輝度ゲイン係数ha、hb、hc、・・・が記憶されており、入力画像信号を構成する輝度信号が入力されたとき、該輝度信号に対応した輝度ゲイン係数を出力するようになっている。この輝度ゲイン算出回路56では、所望の輝度信号に対応した輝度ゲイン係数を指定できるので、指定した階調に対してのみ補正量を生成することができる。
【0082】
乗算器58は、加算器55の加算結果に、輝度ゲイン算出回路56からの輝度ゲイン係数hを乗算することで、輝度信号の補正量に対応した補正信号VAを出力する。この補正信号VAは、輝度信号補正回路60に入力される。
【0083】
このように、輝度信号補正量算出回路50は、多段フィルタ回路40(広義には信号抽出回路)によって抽出された所与の空間周波数帯域の信号と、輝度ゲイン算出回路56によって算出された輝度ゲイン係数とに基づいて、輝度信号の補正量を算出することができる。そして、輝度信号補正回路60は、例えば入力画像信号を構成する輝度信号に、輝度信号補正量算出回路50からの補正信号VAを加算することで、補正後の輝度信号Y1を出力する。
【0084】
また、輝度信号の補正と連動した、輝度信号の補正量に応じた色差信号の補正処理は、次のような構成で実現できる。
【0085】
図9に、図4の色差ゲイン算出回路80の構成例のブロック図を示す。図9において、図4と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0086】
色差ゲイン算出回路80は、色差信号調整回路82と、調整パラメータ記憶部84とを含む。色差信号調整回路82には、入力画像信号を構成する輝度信号(入力画像信号の輝度成分)Yinと、輝度信号Yinを上記のように補正した輝度信号Youtと、調整パラメータ記憶部84に記憶された調整パラメータbとが入力される。そして、色差信号調整回路82は、輝度信号Yin、Yout、調整パラメータbを用いて、色差ゲイン係数(色差ゲイン)gcを算出する。
【0087】
より具体的には、色差ゲイン算出回路80は、次式に従って色差ゲイン係数gcを算出する。
【数2】

【0088】
上式において、調整パラメータbは、色度を調整するためのパラメータである。調整パラメータbが「0」のとき、入力画像信号を構成する色差信号(色差成分)は補正されることなくそのまま出力される。一方、調整パラメータbが「1」のとき、入力画像信号の輝度信号の補正前後において色度が変化しないように、輝度信号の補正量に応じて色差信号も補正される。調整パラメータbは、「0」より大きく「1」より小さい値とすることもできるが、実施形態1では、調整パラメータbが「1」であることが望ましい。
【0089】
図10に、図9の色差ゲイン算出回路80の動作例の説明図を示す。図10では、調整パラメータbが「1」であるものとする。
【0090】
縦軸に輝度信号、横軸に色差信号を示す色空間を表すと、RGBのR成分とG成分及びB成分とは図10に示す方向に定義される。ここで、領域DISPは、表示機器で再現可能な色域を表す。このとき、入力画像信号の色が座標P0のとき、座標P0を通る等値線SV上では、xy色度図の値が等しい。
【0091】
ところが、入力画像信号を構成する輝度信号を上記のように補正すると、座標P1に移動してしまう。そのため、等値線SV上に座標P1が存在しなくなり、輝度信号を補正した後の色の傾向が変化してしまう。
【0092】
そこで、色差ゲイン算出回路80では、座標P0の入力信号の色を等値線SV上の座標P2に変換するように輝度信号の補正量に応じて色差信号を補正するために、色差ゲイン係数gcを算出する。これにより、輝度信号を補正したとしても、補正後の輝度レベルを変えることなく、画面全体の色の傾向を維持させることができる。従って、補正前後で各画素の色度が変化することなく、見た目に自然な補正を実現できるようになる。
【0093】
このように算出された色差ゲイン係数gcは、色差信号補正回路90に入力される。色差信号補正回路90は、色差ゲイン係数gcをラインメモリ70からの色差信号Uに乗算すると共に、該色差ゲイン係数gcをラインメモリ70からの色差信号Vに乗算する。こうして補正された色差信号U、Vは、投射部100に入力される。
【0094】
このように、画像処理部30は、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号を補正することができる。これにより、輝度信号の補正量に応じて各画素の色度が変化して画面の全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを表現する場合に画面全体の色の傾向を維持できるようになる。
【0095】
実施形態1における画像処理部30の処理は、ソフトウェア処理によって実現することもできる。この場合、画像処理部30は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:以下、CPUと略す)、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:以下、ROMと略す)又はランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:以下、RAMと略す)を有し、ROM又はRAMに格納されたプログラムを読み込んだCPUが、該プログラムに対応した処理を実行することで乗算器や加算器等のハードウェアを制御して、上記の輝度成分及び色差成分の補正処理を行う。
【0096】
図11に、実施形態1における画像処理部30の輝度信号の補正処理例のフロー図を示す。図11の処理をソフトウェアで実現する場合、画像処理部30が内蔵するROM又はRAMに図11に示す処理を実現するプログラムが格納される。
【0097】
まず、画像処理部30は、入力輝度信号蓄積ステップとして、入力画像信号を構成する輝度信号(入力輝度信号)を蓄積する(ステップS10)。この場合、輝度信号は、ラインメモリ32、又はラインメモリ32の機能を実現するRAMに格納される。
【0098】
次に、画像処理部30は、信号抽出ステップとして、輝度信号の特定の空間周波数帯域を抽出する(ステップS12)。例えば、多段フィルタ回路40により所与の空間周波数帯域の輝度信号を抽出する。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが多段フィルタ回路40の機能を実現する乗算器や加算器を制御して上記の空間周波数帯域の輝度信号を抽出する。
【0099】
続いて、画像処理部30は、輝度成分補正量算出ステップとして、輝度信号の補正量を算出する(ステップS14)。即ち、輝度信号補正量算出回路50が、多段フィルタ回路40で抽出された信号に応じて重み付けされた後、入力画像信号を構成する輝度信号の輝度レベルに応じた係数で乗算された補正信号VAを出力する。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが、信号抽出処理により抽出した信号に応じて重み付けした後、入力画像信号を構成する輝度信号の輝度レベルに応じた係数で乗算した補正信号VAを生成する。即ち、ステップS14では、輝度ゲイン算出ステップとして、画像信号の輝度成分のレベルに対応した輝度ゲインが算出される。そして、ステップS12において抽出された空間周波数帯域の信号と、ステップS14において算出された輝度ゲインとに基づいて、輝度成分の補正量が算出される。
【0100】
そして、画像処理部30は、輝度成分補正ステップとして、ステップS14で算出された補正量を用いて、入力画像信号を構成する輝度信号を補正し(ステップS16)、補正後の輝度信号を出力して(ステップS18)、一連の処理を終了する(エンド)。即ち、ステップS16では、輝度信号補正回路60が、入力画像信号を構成する輝度信号に、補正信号VAを加算して、補正後の輝度信号を生成する。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが、入力画像信号を構成する輝度信号に、補正信号VAを加算して、補正後の輝度信号を生成する。
【0101】
図12に、実施形態1における画像処理部30の色差信号の補正処理例のフロー図を示す。図12の処理をソフトウェアで実現する場合、画像処理部30が内蔵するROM又はRAMに図12に示す処理を実現するプログラムが格納される。
【0102】
まず、画像処理部30は、入力色差信号蓄積ステップとして、入力画像信号を構成する色差信号(入力色差信号)を蓄積する(ステップS20)。この場合、色差信号は、ラインメモリ32、又はラインメモリ32の機能を実現するRAMに格納される。
【0103】
次に、画像処理部30は、色差成分補正量算出ステップとして、図11の輝度信号の補正処理における補正前後の輝度信号に応じて、色差信号を調整する色差ゲイン係数を算出する(ステップS22)。例えば、色差信号調整回路82が、補正前後の輝度信号と予め指定された調整パラメータとに対応した色差ゲイン係数gcを出力する。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが、予め決められた調整パラメータbを用いて上記の(2)式に従って色差ゲイン係数gcを出力する。このように、ステップS22では、輝度成分補正ステップにおける補正前後においてxy色度の値が変化しないように画像信号の色差成分の補正量が算出される。
【0104】
続いて、画像処理部30は、色差成分補正ステップとして、ステップS22で算出された色差成分の補正量(色差ゲイン係数)を用いて、入力画像信号を構成する色差信号を補正し(ステップS24)、補正後の色差信号を出力して(ステップS26)、一連の処理を終了する(エンド)。即ち、ステップS24では、色差信号補正回路90が、入力画像信号を構成する色差信号に、ステップS22で算出された色差ゲイン係数を乗算して、補正後の色差信号を生成する。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが、入力画像信号を構成する色差信号に、上記の色差ゲイン係数を乗算して補正後の色差信号を生成する。このように、ステップS24では、輝度成分補正ステップにおける補正前後においてxy色度の値が変化しないように画像信号の色差成分が補正される。
【0105】
画像処理部30によって補正された輝度信号Y1、色差信号U1、V1は、投射部100に出力される。投射部100は、輝度信号Y1及び色差信号U1、V1に基づいて、光源からの光を変調し、変調後の光をスクリーンSCRに投射することができる。
【0106】
図13に、図1の投射部100の構成例の図を示す。図13では、実施形態1における投射部100が、いわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものとして説明するが、本発明に係る画像表示装置の投射部がいわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものに限定されるものではない。即ち、以下では、1画素がR成分のサブ画素、G成分のサブ画素、及びB成分のサブ画素により構成されるものとして説明するが、1画素を構成するサブ画素数(色成分数)に限定されるものではない。
【0107】
また、図13では、画像処理部30から入力される輝度信号Y1、色差信号U1、V1が、RGBの各色成分の画像信号に変換された後、色成分毎に光源からの光を変調するものとする。この場合、RGB信号への変換回路は、画像処理部30が備えていてもよいし、投射部100が備えていてもよい。
【0108】
実施形態1における投射部100は、光源110、インテグレータレンズ112、114、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R用ダイクロイックミラー120R、G用ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R用フィールドレンズ124R、G用フィールドレンズ124G、R用液晶パネル130R(第1の光変調素子)、G用液晶パネル130G(第2の光変調素子)、B用液晶パネル130B(第3の光変調素子)、リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム160、投射レンズ170を含む。R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bとして用いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
【0109】
光源110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成分の光、B成分の光を含む光を射出する。インテグレータレンズ112は、光源110からの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレータレンズ114は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する。重畳レンズ118は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズから射出される部分光を液晶パネル上で重畳する。
【0110】
また偏光変換素子116は、偏光ビームスプリッタアレイとλ/2板とを有し、光源110からの光を略一種類の偏光光に変換する。偏光ビームスプリッタアレイは、インテグレータレンズ112により分割された部分光をp偏光とs偏光に分離する偏光分離膜と、偏光分離膜からの光の向きを変える反射膜とを、交互に配列した構造を有する。偏光分離膜で分離された2種類の偏光光は、λ/2板によって偏光方向が揃えられる。この偏光変換素子116によって略一種類の偏光光に変換された光が、重畳レンズ118に照射される。
【0111】
重畳レンズ118からの光は、R用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R用ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分及びB成分の光を透過させる機能を有する。R用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G用ダイクロイックミラー120Gに照射され、R用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光は反射ミラー122により反射されてR用フィールドレンズ124Rに導かれる。
【0112】
G用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させる機能を有する。G用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系140に入射され、G用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG用フィールドレンズ124Gに導かれる。
【0113】
リレー光学系140では、G用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の光路長と他のR成分及びG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リレーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ142を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレンズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレーレンズ146を透過した光は、B用液晶パネル130Bに照射される。
【0114】
R用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR用液晶パネル130Rに入射される。R用液晶パネル130Rは、光変調素子(光変調部)として機能し、R用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、R用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、R用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0115】
G用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG用液晶パネル130Gに入射される。G用液晶パネル130Gは、光変調素子(光変調部)として機能し、G用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、G用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、G用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0116】
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB用液晶パネル130Bは、光変調素子(光変調部)として機能し、B用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B用液晶パネル130Bに入射された光(第3の色成分の光)は、B用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0117】
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G、B用液晶パネル130Bは、それぞれ同様の構成を有している。各液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスタをスイッチング素子として、各サブ画素の画像信号に対応して各色光の通過率を変調する。
【0118】
実施形態1では、1画素を構成する色成分毎に光変調素子としての液晶パネルが設けられ、各液晶パネルの透過率がサブ画素に対応した画像信号により制御される。即ち、R成分のサブ画素用の画像信号が、R用液晶パネル130Rの透過率(通過率、変調率)の制御に用いられ、G成分のサブ画素用の画像信号が、G用液晶パネル130Gの透過率の制御に用いられ、B成分のサブ画素用の画像信号が、B用液晶パネル130Bの透過率の制御に用いられる。実施形態1では、各色成分用の画像信号に対してコントラスト処理が行われ、コントラスト処理後の画像信号がRGBの各色成分の画素値に対応した信号に変換されて、色成分毎に設けられた各液晶パネルの透過率が制御される。
【0119】
クロスダイクロイックプリズム160は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させるレンズである。
【0120】
実施形態1における階調補正処理を行った後に、画像表示ステップとしてこのような投射部100を制御して、上記の階調補正処理において補正された画像信号に基づいて画像を表示することで、他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテールの表現を改善する画像表示方法を提供できる。
【0121】
以上のように、実施形態1によれば、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号を補正する。このとき、輝度信号については、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲のみ補正される。従って、画像の第1の方向に空間周波数が変化すると共に第1の方向と交差する第2の方向に画像信号の輝度成分のレベルが変化し、且つ輝度成分の交流成分が全体に均一なテスト画像を入力したとき、プロジェクタ20は、次のような画像を表示する。
【0122】
図14に、実施形態1におけるテスト画像を模式的に示す。
【0123】
このテスト画像は、画像の垂直方向(第1の方向)に空間周波数が次第に変化(例えば第1の方向に高い周波数から低い周波数に変化)すると共に該画像の水平方向(第1の方向と交差する第2の方向)に画像信号の輝度成分のレベルが次第に変化(例えば第2の方向に低輝度から高輝度に変化)し、且つ輝度成分の交流成分が全体に均一な画像である。このようなテスト画像をプロジェクタ20に入力したとき、画像処理部30は、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲のみ輝度信号を補正する。このため、図14に示すテスト画像が入力されたプロジェクタ20は、所与の空間周波数帯域の所与の輝度レベル範囲において輝度の交流成分が不均一である画像を表示する。
【0124】
即ち、画像処理ステップとして、上記のテスト画像の画像信号を実施形態1における階調補正処理により補正した後、画像表示ステップとして、この階調補正処理後の画像信号に基づいて画像を表示したとき、所与の空間周波数帯域の所与の輝度レベル範囲において輝度の交流成分が不均一である画像を表示する。
【0125】
従って、抽出される空間周波数帯域を所望の帯域に設定し、且つ輝度レベル範囲を所望の範囲に設定することで、画像の暗部や明部のディテールを表現できるプロジェクタ20を提供できるようになる。
【0126】
なお、図14では、第1の方向を画像の垂直方向、第2の方向を該画像の水平方向として説明したが、第1の方向を画像の水平方向、第2の方向を該画像の垂直方向としても同様である。
【0127】
〔実施形態2〕
実施形態1における画像処理部30では、輝度信号補正量算出回路50が、図6に示すように、重み付け算出回路52と輝度ゲイン算出回路56とを有し、重み付け係数や輝度ゲイン係数を乗算する乗算器により補正信号VAを生成する構成となっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0128】
図15に、本発明に係る実施形態2における輝度信号補正量算出回路200の構成例のブロック図を示す。例えば実施形態1における輝度信号補正量算出回路50に代えて、図15に示す輝度信号補正量算出回路200が図4の画像処理部30に内蔵される。
【0129】
輝度信号補正量算出回路200は、第1〜第3のLUT202〜202、乗算器204〜204、加算器206を含む。この輝度信号補正量算出回路200は、第1〜第3のLUT202〜202の各LUTからの輝度ゲイン係数を、多段フィルタ回路40の各出力に乗算した後、各乗算結果を加算して補正信号VAとして出力する。
【0130】
図16(A)、図16(B)、図16(C)に、図15の第1〜第3のLUT202〜202の動作説明図を示す。
【0131】
第1のLUT202には、入力画像信号を構成する輝度信号が入力され、該輝度信号に対応した輝度ゲイン係数jを出力する。そのため、第1のLUT202には、予め輝度信号に対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されており、輝度信号が入力されたとき該輝度信号に対応した輝度ゲイン係数を輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0132】
第2のLUT202には、入力画像信号を構成する輝度信号が入力され、該輝度信号に対応した輝度ゲイン係数jを出力する。そのため、第2のLUT202には、予め輝度信号に対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されており、輝度信号が入力されたとき該輝度信号に対応した輝度ゲイン係数を輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0133】
第3のLUT202には、入力画像信号を構成する輝度信号が入力され、該輝度信号に対応した輝度ゲイン係数jを出力する。そのため、第3のLUT202には、予め輝度信号に対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されており、輝度信号が入力されたとき該輝度信号に対応した輝度ゲイン係数を輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0134】
図15において、乗算器204は、多段フィルタ回路40を構成する第1のフィルタ回路42の出力FO1と第1のLUT202からの輝度ゲイン係数jとを乗算し、乗算結果を加算器206に出力する。乗算器204は、多段フィルタ回路40を構成する第2のフィルタ回路44の出力FO2と第2のLUT202からの輝度ゲイン係数jとを乗算し、乗算結果を加算器206に出力する。乗算器204は、多段フィルタ回路40を構成する第3のフィルタ回路46の出力FO3と第3のLUT202からの輝度ゲイン係数jとを乗算し、乗算結果を加算器206に出力する。
【0135】
加算器206は、乗算器204〜204の各乗算結果を加算し、加算結果を補正信号VAとして出力する。
【0136】
以上のように、実施形態2における画像処理部は、画像信号の輝度成分から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する多段フィルタ回路40を含み、輝度信号補正量算出回路200は、多段フィルタ回路40の出力ごとに設けられ補正前の輝度成分のレベルに対応したゲインを出力する複数のテーブルと、多段フィルタ回路40の出力ごとに設けられ多段フィルタ回路40の出力と上記の複数のテーブルを構成する各テーブルの出力とを乗算する複数の乗算器と、複数の乗算器の乗算結果を加算する加算器とを含み、加算器の出力を輝度成分の補正量として算出することができる。
【0137】
このような実施形態2によれば、実施形態1と同様に、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号を補正することができる。これにより、輝度信号の補正量に応じて各画素の色度が変化して画面の全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを表現する場合に画面全体の色の傾向を維持できるようになる。また、図14に示すテスト画像を入力した場合、実施形態1と同様に、所与の空間周波数帯域の所与の輝度レベル範囲において輝度の交流成分が不均一である画像を表示することになる。
【0138】
また、実施形態2によれば、実施形態1と比較して、輝度信号補正量算出回路に内蔵される乗算器の数を減らすことができるので、低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0139】
〔実施形態3〕
実施形態2における輝度信号補正量算出回路200が、図15に示すように、第1〜第3のLUT202〜202と、乗算器204〜204と、加算器206とを有し、第1〜第3のLUT202〜202からの輝度ゲイン係数を用いた乗算器の乗算結果を加算する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】
図17に、本発明に係る実施形態3における輝度信号補正量算出回路250の構成例のブロック図を示す。例えば実施形態1における輝度信号補正量算出回路50に代えて、図17に示す輝度信号補正量算出回路250が図4の画像処理部30に内蔵される。
【0141】
輝度信号補正量算出回路250は、LUT252を含む。この輝度信号補正量算出回路250は、LUT252からの出力を補正信号VAとして出力する。
【0142】
図18に、図17のLUT252の動作説明図を示す。
【0143】
LUT252には、入力画像信号を構成する輝度信号と、多段フィルタ回路40を構成する第1〜第3のフィルタ回路42〜44の各フィルタ回路の出力FO1〜FO3が入力され、輝度信号と各フィルタ回路の出力との組み合わせに対応した補正量を出力する。この補正量が、補正信号VAとして出力される。そのため、LUT252には、予め輝度信号と各フィルタ回路の出力FO1〜FO3との組み合わせに対応した補正量VAa、VAb、・・・、VAc、VAd、VAe、・・・が記憶されており、輝度信号及び各フィルタ回路の出力が入力されたとき、これらの組み合わせに対応した補正量を出力するようになっている。
【0144】
以上のように、実施形態3における画像処理部は、画像信号の輝度成分から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する多段フィルタ回路(広義には信号抽出回路)40を含み、輝度信号補正量算出回路250は、多段フィルタ回路40の出力と補正前の輝度成分のレベルとに対応した輝度成分の補正量を出力するテーブルを含むことができる。そして、このテーブルが出力する補正量を補正信号VAとして出力する。
【0145】
実施形態3によれば、実施形態1又は実施形態2と同様に、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号を補正することができる。これにより、輝度信号の補正量に応じて各画素の色度が変化して画面の全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを表現する場合に画面全体の色の傾向を維持できるようになる。また、図14に示すテスト画像を入力した場合、実施形態1又は実施形態2と同様に、所与の空間周波数帯域の所与の輝度レベル範囲において輝度の交流成分が不均一である画像を表示することになる。
【0146】
また、実施形態3によれば、実施形態1又は実施形態2と比較して、輝度信号補正量算出回路に内蔵される乗算器及び加算器を無くすことができるので、大幅な低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0147】
以上、本発明に係る画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及び画像表示方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0148】
(1)上記の各実施形態では、画像表示装置としてプロジェクタを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る画像表示装置は、液晶表示装置やプラズマディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等の画像表示を行う装置全般に適用できる。
【0149】
(2)上記の各実施形態では、光変調素子として透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調素子として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を採用してもよい。
【0150】
(3)上記の各実施形態では、光変調素子として、いわゆる3板式の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを例に説明したが、単板式の液晶パネルや2板又は4板式以上の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを採用してもよい。
【0151】
(4)上記の各実施形態では、1画素を3つの色成分のサブ画素で構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。1画素を構成する色成分数が2、又は4以上であってもよい。
【0152】
(5)上記の各実施形態において、本発明を、画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及び画像表示方法として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記の画像処理装置や画像表示装置を含む画像表示システムであってもよい。或いは、例えば、本発明を実現するための画像処理装置の処理方法(画像処理方法)、又は本発明を実現するための画像表示装置の処理方法(画像表示方法)の処理手順が記述されたプログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明に係る実施形態1における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図2】図1の画像処理部において行われる階調補正処理の説明図。
【図3】図1の画像処理部の動作説明図。
【図4】図1の画像処理部のハードウェア構成例のブロック図。
【図5】図4の多段フィルタ回路の構成例のブロック図。
【図6】図4の輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図7】図6の重み付け算出回路の動作説明図。
【図8】図6の輝度ゲイン算出回路の動作説明図。
【図9】図4の色差ゲイン算出回路の構成例のブロック図。
【図10】図9の色差ゲイン算出回路の動作例の説明図。
【図11】実施形態1における画像処理部の輝度信号の補正処理例のフロー図。
【図12】実施形態1における画像処理部の色差信号の補正処理例のフロー図。
【図13】図1の投射部の構成例の図。
【図14】実施形態1におけるテスト画像を模式的に示す図。
【図15】本発明に係る実施形態2における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図16】図16(A)、図16(B)、図16(C)は図15の第1〜第3のLUTの動作説明図。
【図17】本発明に係る実施形態3における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図18】図17のLUTの動作説明図。
【図19】従来の階調補正処理の説明図。
【符号の説明】
【0154】
10…画像表示システム、 20…プロジェクタ、 30…画像処理部、
32,70…ラインメモリ、 40…多段フィルタ回路、 42…第1のフィルタ回路、
44…第2のフィルタ回路、 46…第3のフィルタ回路、
50,200,250…輝度信号補正量算出回路、 52…重み付け算出回路、
54〜54,58,204〜204,M1…乗算器、
55,206,A1…加算器、 56…輝度ゲイン算出回路、
60…輝度信号補正回路、 80…色差ゲイン算出回路、 82…色差信号調整回路、
84…調整パラメータ記憶部、 90…色差信号補正回路、 100…投射部、
110…光源、 112,114…インテグレータレンズ、
116…偏光変換素子、 118…重畳レンズ、
120R…R用ダイクロイックミラー、 120G…G用ダイクロイックミラー、
122,148,150…反射ミラー、 124R…R用フィールドレンズ、
124G…G用フィールドレンズ、 130R…R用液晶パネル、
130G…G用液晶パネル、 130B…B用液晶パネル、
140…リレー光学系、 142,144,146…リレーレンズ、
160…クロスダイクロイックプリズム、 170…投射レンズ、
202…第1のLUT、 202…第2のLUT、 202…第3のLUT、
252…LUT、 FO1〜FO3…フィルタ回路の出力、
G1…輝度ゲイン算出手段、 L1…信号抽出手段、 SCR…スクリーン、
Y,Y1…輝度信号、 U,U1,V,V1…色差信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号を補正する画像処理装置であって、
所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分の補正量を算出する輝度成分補正量算出部と、
前記輝度成分補正量算出部によって算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度成分を補正する輝度成分補正部とを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記輝度成分補正部による補正前後においてxy色度の値が変化しないように前記画像信号の色差成分を補正する色差成分補正部を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記輝度成分補正部による補正前後の前記画像信号の輝度成分に基づいて、xy色度の値が変化しないように該画像信号の色差成分の補正量を算出する色差成分補正量算出部を含み、
前記色差成分補正部が、
前記色差成分補正量算出部によって算出された前記色差成分の補正量を用いて、前記画像信号の色差成分を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記色差成分の調整パラメータを記憶する調整パラメータ記憶部を含み、
補正前の前記輝度成分をYin、補正後の前記輝度成分をYout、前記調整パラメータをbとしたとき、
前記色差成分補正部は、
(1−b×(1−Yout/Yin))を色差ゲインとして、前記画像信号の色差成分に前記色差ゲインを乗算することで前記色差成分を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出回路を含み、
前記輝度成分補正量算出部は、
前記画像信号の輝度成分のレベルに対応した輝度ゲインを算出する輝度ゲイン算出回路を含み、
前記信号抽出回路によって抽出された前記空間周波数帯域の信号と、前記輝度ゲイン算出回路によって算出された前記輝度ゲインとに基づいて、前記輝度成分の補正量を算出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する多段フィルタ回路を含み、
前記輝度成分補正量算出部は、
前記多段フィルタ回路の出力ごとに設けられ補正前の前記輝度成分のレベルに対応したゲインを出力する複数のテーブルと、
前記多段フィルタ回路の出力ごとに設けられ、前記多段フィルタ回路の出力と前記複数のテーブルを構成する各テーブルの出力とを乗算する複数の乗算器と、
前記複数の乗算器を構成する各乗算器の乗算結果を加算する加算器とを含み、
前記加算器の出力を前記輝度成分の補正量として算出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出回路を含み、
前記輝度成分補正量算出部は、
前記信号抽出回路の出力と補正前の前記輝度成分のレベルとに対応した前記輝度成分の補正量を出力するテーブルを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
画像信号に基づいて画像を表示する画像表示装置であって、
前記画像信号を補正する請求項1乃至7のいずれか記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置によって補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
画像信号に基づいて画像を表示する画像表示装置であって、
画像の第1の方向に空間周波数が変化すると共に前記第1の方向と交差する第2の方向に前記画像信号の輝度成分のレベルが変化し、且つ前記輝度成分の交流成分が全体に均一な画像の画像信号を補正する画像処理部と、
前記画像処理部によって補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを含み、
前記画像表示部が、
所与の空間周波数帯域の所与の輝度レベル範囲において輝度の交流成分が不均一である画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
画像信号を補正する画像処理方法であって、
所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分の補正量を算出する輝度成分補正量算出ステップと、
前記輝度成分補正量算出ステップにおいて算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度成分を補正する輝度成分補正ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記輝度成分補正ステップにおける補正前後においてxy色度の値が変化しないように前記画像信号の色差成分を補正する色差成分補正ステップを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記輝度成分補正ステップにおける補正前後の前記画像信号の輝度成分に基づいて、xy色度の値が変化しないように該画像信号の色差成分の補正量を算出する色差成分補正量算出ステップを含み、
前記色差成分補正ステップが、
前記色差成分補正量算出ステップにおいて算出された前記色差成分の補正量を用いて、前記画像信号の色差成分を補正することを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかにおいて、
前記画像信号の輝度成分から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出ステップを含み、
前記輝度成分補正量算出ステップは、
前記画像信号の輝度成分のレベルに対応した輝度ゲインを算出する輝度ゲイン算出ステップとを含み、
前記信号抽出ステップにおいて抽出された前記空間周波数帯域の信号と、前記輝度ゲイン算出ステップにおいて算出された前記輝度ゲインとに基づいて、前記輝度成分の補正量を算出することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
画像信号に基づいて画像を表示する画像表示方法であって、
所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ該画像信号の輝度成分の補正量を算出する輝度成分補正量算出ステップと、
前記輝度成分補正量算出ステップにおいて算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度成分を補正する輝度成分補正ステップと、
前記輝度成分補正ステップにおいて補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示ステップとを含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項15】
画像信号に基づいて画像を表示する画像表示方法であって、
画像の第1の方向に空間周波数が変化すると共に前記第1の方向と交差する第2の方向に前記画像信号の輝度成分のレベルが変化し、且つ前記輝度成分の交流成分が全体に均一な画像の画像信号を補正する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにおいて補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示ステップとを含み、
前記画像表示ステップが、
所与の空間周波数帯域の所与の輝度レベル範囲において輝度の交流成分が不均一である画像を表示することを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図2】
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【図14】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−63064(P2010−63064A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229476(P2008−229476)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】