説明

画像処理装置および照合システム

【課題】記録媒体に含有される被検出体の分布の特徴量を検出して、それを記憶されているものと照合する。
【解決手段】制御部は、オブジェクトの総数が一致または1個だけ異なる用紙IDを特定し(Sd1)、これらのうち、印刷物から算出した「領域別本数」、「重なり本数別本数」おおよび「角度範囲別本数」が一致する領域数および項目数の一致数を算出する(Sd3〜Sd6)。制御部は、この一致数が閾値を以上で(Sd7;YES)、かつ、一致数が最大値であれば(Sd8;YES)、この用紙IDを特定する(Sd9)。制御部は、すべての用紙IDとの照合が終了すれば(Sd2;YES)、最後に選択した用紙IDに対応する用紙が印刷物と同一物であると判断する(Sd11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙等のシート状の記録媒体に金属繊維等の異物(被検出体)を漉き込んでおき、その異物を検出することにより、記録媒体が不正に持ち出されていないかどうかを確認する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−120456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、被検出体を含有する記録媒体の特徴に関する情報を、より少ない情報量で得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、1または複数の被検出体を含有する記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記特徴量を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0005】
また、請求項2に記載の発明は、1または複数の被検出体を含有する記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する算出手段と、前記被検出体の分布の特徴量を外部装置から取得し、取得した特徴量と、前記算出手段によって算出された前記特徴量とを照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果に関する情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0006】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記算出手段は、前記記録媒体における前記特徴量を、前記記録媒体の所定の部分画像領域毎に算出し、前記記憶手段は、前記算出手段によって前記部分画像領域毎に算出された前記特徴量を記憶することを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0007】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記算出手段は、前記記録媒体における前記特徴量を、前記記録媒体の所定の部分画像領域毎に算出し、前記照合手段は、前記外部装置から取得した所定の部分画像領域毎の前記特徴量と、前記算出手段によって算出された前記特徴量とを、前記部分画像領域毎に照合することを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0008】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像処理装置において、前記算出手段は、前記抽出手段によって抽出された前記被検出体に相当する画像情報を複数の画像領域に分割して、それらの画像領域を重ね合わせた重畳画像情報を生成することにより前記特徴量を算出することを特徴とする記載の画像処理装置を提供する。
【0009】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記抽出手段は、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報から、第1の輝度よりも高い画像領域を抽出した第1の画像情報と、前記第1の輝度よりも低い第2の輝度よりも高い輝度の画像領域を抽出した第2の画像情報との差分に応じて、前記被検出体に相当する画像を抽出し、前記算出手段は、前記抽出手段によって抽出された前記被検出体に相当する画像を表す画像情報を、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報に応じて補正し、その補正後の画像情報に応じて前記特徴量を算出することを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0010】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記算出手段は、前記抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像を表す画像情報をハフ変換し、前記ハフ変換した結果に応じた情報を、前記記録媒体における前記特徴量として算出することを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0011】
また、請求項8に記載の発明は、1または複数の被検出体を含有する記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記特徴量を記憶する記憶手段と、第1の記録媒体について前記記憶手段に記憶された前記特徴量と、第2の記録媒体について前記算出手段によって算出された前記特徴量とを照合し、その照合結果に関する情報を出力する照合手段と、前記照合手段による照合結果に関する情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0012】
また、請求項9に記載の発明は、1または複数の被検出体を含有する第1の記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する第1の画像情報取得手段と、前記第1の画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する第1の抽出手段と、前記第1の抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記第1の記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する第1の算出手段と、前記第1の算出手段によって算出された前記特徴量を記憶する記憶手段と、1または複数の被検出体を含有する第2の記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する第2の画像情報取得手段と、前記第2の画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する第2の抽出手段と、前記第2の抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記第2の記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する第2の算出手段と、前記第2の記録媒体について前記第2の算出手段によって算出された前記特徴量と、前記第1の記録媒体について前記記憶手段に記憶された前記特徴量とを照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果に関する情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする照合システムを提供する。
【0013】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像処理装置において、前記第1の算出手段は、前記第1の抽出手段によって抽出された前記被検出体に相当する画像情報を複数の画像領域に分割して、それらの画像領域を重ね合わせた第1の重畳画像情報を生成することにより、前記第1の記録媒体における前記特徴量を算出し、前記記憶手段は、前記第1の算出手段によって生成された前記第1の重畳画像情報を記憶し、前記第2の算出手段は、前記第2の抽出手段によって抽出された前記被検出体に相当する画像情報を複数の画像領域に分割して、それらの画像領域を重ね合わせた第2の重畳画像情報を生成することにより、前記第2の記録媒体における前記特徴量を算出し、前記照合手段は、前記第2の算出手段によって生成された前記第2の重畳画像情報と、前記記憶手段に記憶された前記第1の重畳画像情報とのクロススペクトルを算出し、算出したクロススペクトルに応じて照合結果を求めることにより、前記第1の重畳画像情報と前記第2の重畳画像情報との前記特徴量とを照合することを特徴とする照合システムを提供する。
【0014】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の照合システムにおいて、前記第1の記録媒体に形成されている可視画像の属性を表す属性情報を取得する属性情報取得手段を備え、前記記憶手段は、前記第1の算出手段によって算出された前記特徴量に、前記属性情報取得手段によって取得された属性情報を対応付けて記憶し、前記出力手段は、前記照合結果と、前記記憶手段によって前記特徴量に対応付けられて記憶されている前記属性情報とを出力することを特徴とする照合システムを提供する。
【0015】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の照合システムにおいて、前記属性情報は、前記可視画像が形成された前記第1の記録媒体を所定の空間領域からその外部の空間領域へと持ち出し可能か否かを表す情報であり、前記出力手段は、前記記憶手段によって前記特徴量に対応付けられて記憶されている前記属性情報が持ち出し可能ではないことを表している場合には、前記第1の記録媒体に対応する第2の記録媒体が持ち出し可能ではない旨を表す情報を出力することを特徴とする照合システムを提供する。
【0016】
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の照合システムにおいて、ゲートと、前記照合手段による照合結果が所定の条件を満たし、前記記憶手段によって前記特徴量に対応付けられて記憶されている前記属性情報が持ち出し可能でないことを表している場合には、前記第2の記録媒体が前記外部の空間領域へ持ち出されようとしていることを報知するか、又は、前記外部の空間領域へと持ち出されないように前記ゲートを制御する制御手段とを備えていることを特徴とする照合システムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、記録媒体に含有される被検出体の分布の特徴量に関する情報を、より少ない情報量で記憶しておくことができる。
請求項2に係る発明によれば、被検出体の分布の特徴量を用いずに照合する場合と比較して、高速、且つ高精度に記録媒体に含有される被検出体の分布の特徴量を照合することができる。
請求項3に係る発明によれば、部分画像領域に分割せずに特徴量を算出する場合と比較して、特徴量の算出精度を高めて、これを記憶することができる。
請求項4に係る発明によれば、部分画像領域に分割せずに特徴量を照合する場合と比較して、特徴量の照合精度を高めることができる。
請求項5に係る発明によれば、重畳画像情報を用いずに特徴量を算出する場合と比較して、特徴量の算出に要する時間およびその計算量を少なくすることができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、可視画像が形成された記録媒体から、被検出体に相当する画像を精度よく抽出することができる。
請求項7に係る発明によれば、ハフ変換を用いない場合に比較して、より簡易な処理で被検出体の位置および傾きを表す特徴量を算出することができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、記録媒体に含有される被検出体の分布の特徴量に関する情報をより少ない情報量で記憶しておくことができ、被検出体の分布の特徴量を用いずに照合する場合と比較して、高速、且つ高精度に記録媒体に含有される被検出体の分布の特徴量を照合することができる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、記録媒体に含有される被検出体の分布の特徴量に関する情報をより少ない情報量で記憶しておくことができ、被検出体の分布の特徴量を用いずに照合する場合と比較して、高速、且つ高精度に記録媒体に含有される被検出体の分布の特徴量を照合することができる。
請求項10に係る発明によれば、クロススペクトルを用いない場合に比較して、被検出体の分布の特徴量の算出に要する時間およびその計算量を少なくして、特徴量を照合することができる。
請求項11に係る発明によれば、被検出体の分布の特徴量を照合するとともに、可視画像の属性情報に関する情報を出力することができる。
請求項12に係る発明によれば、外部の空間領域へ記録媒体を持ち出し可能でないことを表す属性情報を出力し、記録媒体を持ち出させないような制御を行わせることができる。
請求項13に係る発明によれば、外部の空間領域へ記録媒体が持ち出されようとしていることを報知したり、ゲートを制御したりすることにより、より厳重に外部の空間領域への記録媒体の持ち出しを制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
(A)第1実施形態
(1)構成
図1は、本発明の一実施形態である照合システム100の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、照合システム100は、第1の装置である登録装置200と、第2の装置である照合装置300と、ゲートとして開閉可能な扉400とを備えている。この照合システム100は、例えば企業や学校の一室などのように、所定の範囲の限られた空間領域に設置される。この空間領域内には、可視画像が形成されたシート状の記録媒体(以下、印刷物という)が複数あり、それらの印刷物の中には、その外部の空間領域へ持ち出しが禁止されているものがある。この印刷物となる記録媒体は例えば用紙であり、その用紙には1又は複数の金属の被検出体が予め漉き込まれている。登録装置200は、例えば電子写真方式の画像形成装置であり、ユーザによって指示された可視画像を用紙に形成すると共に、その用紙(第1の記録媒体)を光学的に読み取ってそこに漉き込まれている被検出体の分布の特徴量を算出して記憶する。照合装置300は、例えば光学的に印刷物(第2の記録媒体)の画像を読み取るスキャナ装置であり、扉400の近傍に設置されている。扉400は通常は閉まっており、後述する扉開閉部401によって扉400の開閉が制御される。
【0019】
印刷物を持参してその扉400を外部へと通過したいユーザは、その印刷物を照合装置300によって読み取らせる。照合装置300は、印刷物を読み取ってその印刷物に漉き込まれている被検出体の分布の特徴量を算出する。登録装置200と照合装置300は無線又は有線で通信可能に接続されている。照合装置300は、自身が算出した被検出体の分布の特徴量と、登録装置200によって記憶されている被検出体の分布の特徴量とを照合し、その照合結果を出力する。このとき、照合装置300は、それらの照合結果が所定の条件を満たし、その印刷物が外部の空間領域へ持ち出しが禁止されているものでない場合には、扉400を開き、照合結果が所定の条件を満たさなかったり、その印刷物が外部の空間領域へ持ち出しが禁止されているものである場合には、扉400を開かないようにする。なお、上記所定の条件は、照合の対象となる各々の分布の特徴量の一致度(一致する特徴量の数や、特徴量の値)に応じて決められる。また、扉400として開閉可能な扉に限らず、例えば出入り口の両端に設置されたパネルからなる、常時通過可能なゲートを用いてもよい。この場合、例えばゲートに非常ベルやサイレンを設置しておき、扉を閉じる代わりに、印刷物が持ち出されようとしていることを音や光によって報知すればよい。
【0020】
図2は、登録装置200および照合装置300の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、登録装置200は、制御部210と、画像読取部220と、操作部230と、ID情報記憶部240と、画像形成部250とを備える。制御部210は、画像読取部220や画像形成部250の動作を制御するとともに、画像読取部220から取得した画像情報に所定の画像処理を実行する。画像読取部220は、被検出体が漉き込まれた用紙を光学的に読み取り、これを表す画像情報を生成して制御部210に供給する。操作部230は、キーボード等の入力装置またはボタン等の操作子を備え、ユーザによる操作を受け付けてこれを表す制御信号を生成し、制御部210に供給する。画像形成部250は、制御部210から供給された、用紙に形成する画像を表す画像情報に基づいてシートに画像を形成する。
【0021】
制御部210は、より詳細には、CPU(Central Processing Unit)211と、メモリ212と、インタフェース213とを備える。CPU211は、メモリ212に記憶されたプログラムを実行する。メモリ212は、例えば、各種プログラムの記憶されたROM(Read Only Memory)や、CPU211のワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)を備える。インタフェース213は、制御部210に接続される各部と情報のやりとりを可能にする物理インタフェースであり、画像読取部220および操作部230から各種の情報を取得するとともに、画像読取部220に各種の情報を供給する。
【0022】
なお、メモリ212が記憶しているプログラムには、登録装置200の動作を制御する基本プログラムP1と、被検出体の分布の特徴量を算出するための特徴量算出プログラムP2とがある。特徴量算出プログラムP2によって実現される処理の詳細については後述する。
【0023】
次に、画像形成部250について説明する。画像形成部250は、画像形成ユニットを有する。
画像形成ユニットは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色トナー毎に設けられ、その各々が、感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部を有する。感光体ドラムは、軸を中心にして所定の速度で周回するドラム状の部材であり、帯電部によって所定の電位に帯電される。露光部は、帯電した感光体ドラムにレーザ光を照射して静電潜像を形成する。現像部は、感光体ドラムに形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する。転写部は、感光体ドラムに現像された各色のトナー像を、給紙トレイから画像の形成にあわせて搬送される用紙に転写する。用紙上のトナー像が定着されたら、用紙は装置外へ排出される。
【0024】
画像読取部220は、画像形成部250の転写部よりも用紙の搬送方向に対して上流側に設けられており、転写部によってトナー像が転写される前に、給紙トレイから搬送された用紙を光学的に読み取る。
画像読取部220の構成は、具体的には図3のようになっている。図3に示すように、画像読取部220は、光源21と、センサ22と、搬送ロール23、24と、信号処理回路25とを備える。光源21は、例えば蛍光ランプであり、センサ22が撮像を行うべき位置に光を照射する。センサ22は、例えば密着型のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサであり、光源21により照射された光のうち用紙Sにおいて反射した反射光を受光し、その濃淡を示す画像信号を生成する。搬送ロール23、24は、用紙Sを図中の矢印方向に搬送するロール状部材である。信号処理回路25は、センサ21から供給される画像信号にAD変換等の信号処理を実行し、アナログの画像信号をデジタルの画像情報に変換して出力する回路である。なお、光源21、センサ22および用紙Sは、図3の紙面に垂直な方向に有限の幅を有している。この方向のことを、以下では「X方向」という。そして、X方向に直交する方向、すなわち図3中の矢印方向のことを、以下では「Y方向」という。
【0025】
また、画像情報のサイズや階調は任意であるが、ここではA4サイズ(210mm×297mm)を1インチ当たり600ドット(画素)の入力解像度で読み取り、各ドットが8ビットの階調(256階調)を示すデータであるとする。このときの階調値(輝度情報)は、「0」を白とし、「255」を黒とする。また、画像情報は、用紙の表面の全体を画像領域に含むとする。つまり、画像情報の画像領域は、X方向に4960(≒210×600÷25.4)画素であり、Y方向に7016(≒297×600÷25.4)画素である。
【0026】
ID情報記憶部240には、ID情報管理テーブル241および属性情報管理テーブル242が記憶されている。
図4は、ID情報管理テーブル241の一例を示した図である。このID情報管理テーブル241においては、用紙の識別情報である「用紙ID」と、それぞれの用紙に漉き込まれた被検出体の分布の特徴量とが対応付けられている。被検出体の分布の特徴量とは、用紙に漉き込まれている被検出体がどのように分布しているかということに関する情報であり、例えば図4に示したように、「合計本数」、「領域別本数」、「重なり本数別本数」および「角度範囲別本数」といった特徴量が含まれる。「合計本数」のフィールドには、それぞれの用紙から読み取った被検出体の総数が書き込まれる。「領域別本数」のフィールドには、用紙のそれぞれの部分「F1」〜「F9」に含まれる被検出体の数が書き込まれる。「重なり本数別本数」のフィールドには、用紙面に垂直な方向から見て、互いに重なっている被検出体の数が、「1本」、「2本」、「3本以上」に分類されて書き込まれる。「角度範囲別本数」のフィールドには、用紙面における所定の方向と被検出体が延びる方向とが成す角度を所定の角度範囲R1〜R4別に分類したときの、それぞれの角度範囲R1〜R4に属する被検出体の数が書き込まれる。なお、上述した被検出体の数は、いずれも用紙から読み取られた画像において、被検出体に相当すると判断される画像に基づいて求められた値である。これらの各フィールドに書き込まれる内容やそれを求めるための具体的な手順については、後で詳述する。
【0027】
次に、図5は、属性情報管理テーブル242の一例を示した図である。図5に示したように、属性情報管理テーブル242においては、用紙の識別情報である「用紙ID」に対し、用紙に形成された画像(可視画像)の属性情報として「画像形成日時」、「装置ID」、「ファイルID」、「ページ数」、「ユーザID」および「持ち出し可否」が対応付けられている。「画像形成日時」のフィールドには、用紙に画像が形成された日時が書き込まれる。「装置ID」のフィールドには、用紙に画像を形成した画像形成装置に割り当てられた識別情報(ID)が書き込まれる。「ファイルID」のフィールドには、用紙に形成する画像情報(ファイル)を表す識別情報が書き込まれる。「ページ数」のフィールドには、画像情報に割り当てられたページ数が書き込まれる。「ユーザID」のフィールドには、画像形成装置に対してこの画像を形成するように指示したユーザの識別情報が書き込まれる。「持ち出し可否」のフィールドには、各用紙IDが割り当てられた用紙を外部の空間領域へ持ち出すことが許可されているかまたは禁止されているかが書き込まれる。
図4および図5に示したように、被検出体の分布の特徴量および画像の属性情報は、それぞれ用紙IDに対応付けられている。よって、ID情報記憶部240においては、被検出体の分布の特徴量に、画像の属性情報が対応付けられて記憶されているということができる。
【0028】
再び図2に戻り、照合装置300の構成を説明する。
図2に示したように、照合装置300は、制御部310と、画像読取部320と、操作部330と、通知部340と、扉開閉部401とを備える。制御部310は、画像読取部320の動作を制御するとともに、画像読取部320から取得した画像情報に所定の画像処理を実行する。画像読取部320は、一般的なスキャナ装置と同等であり、用紙を光学的に読み取り、これを表す画像情報を生成して制御部310に供給する。ただし、画像読取部320は、印刷物において、画像が形成されていない面(本実施形態の印刷物は、用紙の片面のみに画像が形成されている)を読み取って画像情報を生成する。操作部330は、キーボード等の入力装置またはボタン等の操作子を備え、ユーザによる操作を受け付けてこれを表す制御信号を生成し、制御部310に供給する。通知部340は、液晶ディスプレイやスピーカを備え、制御部310から供給される画像信号や音声信号を出力することによりユーザに各種情報を通知する。扉開閉部401は、制御部310による制御の下、被検出体の分布の特徴量に応じて扉400の開閉を制御する。
【0029】
制御部310は、CPU311と、メモリ312と、インタフェース313とを備える。CPU311は、メモリ312に記憶されたプログラムを実行する。メモリ312は、例えば、各種プログラムの記憶されたROMや、CPU311のワークエリアとして機能するRAMを備える。インタフェース313は、制御部310に接続される各部と情報のやりとりを可能にする物理インタフェースであり、画像読取部320および操作部330から各種の情報を取得するとともに、画像読取部320に各種の情報を供給する。メモリ312が記憶しているプログラムには、照合装置300の動作を制御する基本プログラムP3と、被検出体の分布の特徴量を算出して照合を行うための特徴量算出照合プログラムP4とがある。特徴量算出照合プログラムP4によって実現される処理の詳細については後述する。
【0030】
ここで、図6および7を参照して、用紙の構造について説明する。図6に示すように、用紙Sは、基材S1に被検出体S2を埋め込んでなるシート状物である。基材S1は、通常の用紙と同様のものが用いられるが、その成分は、例えばセルロースなどである。被検出体S2は、例えば繊維状の金属であり、基材S1に漉き込むようにして埋め込まれている。また、被検出体S2は、略直線をなす棒状部材であり、その長さは25mm程度、直径は30μm程度である。被検出体S2は、用紙Sの全体に数本〜50本程度埋め込まれている。なお、被検出体S2の光の透過率(または反射率)は、基材S1のそれよりも低く、被検出体S2の直径は、用紙Sの厚み以下である。それゆえ、用紙Sを光にかざした場合などには、被検出体S2の位置や形状がある程度視認できるようになっている。
【0031】
図7は、用紙Sに被検出体S2が埋め込まれている様子を例示した図であり、用紙Sの断面を示している。例えば、図7に示すように、用紙Sには、被検出体全体が用紙の表面からはみださないように埋め込まれている。例えば、用紙Sがなす平面に対して被検出体S2がほぼ平行に埋め込まれている場合には、被検出体S2は、その全体がほぼ一様な濃度で視認される。一方、例えば用紙Sがなす平面に対して被検出体S2が傾いた状態で埋め込まれている場合には、被検出体S2として視認される部分の濃度は一様とならず、徐々に薄く(あるいは濃く)なる。
【0032】
(2)動作
続いて、上述の照合システム100が実行する処理の内容を説明する。
(2−1)登録装置200の動作
図8は、登録装置200の制御部210により特徴量算出プログラムP2が実行されたときの処理の概要を示すフローチャートである。この特徴量算出プログラムP2は、ユーザが用紙に画像を形成するための操作(ボタン押下等)を行い、この操作に対応する制御信号を制御部210が取得したときに実行される。このときの画像形成処理は所謂プリントアウトでもよいしコピー(複写)でもよいが、特徴量算出プログラムP2に基づく処理は、その用紙に対する画像形成処理の前に、その画像形成処理とは別のルーチンとして行われるものである。
図8において、はじめに、登録装置200の制御部210は、画像読取部220に用紙の読み取りを行わせ、画像読取部220により生成された画像情報を、インタフェース213を介して取得する(ステップSa)。次に、制御部10は、この画像情報から被検出体に相当する画像、すなわちオブジェクトを抽出する(ステップSb)。そして、制御部210は、抽出した被検出体に相当する画像に基づいて、用紙における被検出体の分布の特徴量を算出する(ステップSc)。
以下、これらステップSa〜Scのうち、特徴的な処理であるステップSb,Scについて詳細に説明する。
【0033】
[オブジェクト抽出処理]
図9は、ステップSbのオブジェクト抽出処理を示すフローチャートである。以下、同図に沿って説明する。はじめに、制御部210は、画像読取部220により生成された画像情報に対して平滑化処理を実行する(ステップSb1)。この処理は、基材部分の濃淡の差を低減させるための処理であり、例えば、所定のサイズの平滑化フィルタを適用することにより実現される。続いて、制御部210は、画像情報に対して膨張処理を実行する(ステップSb2)。この処理は、被検出体が埋め込まれている部分を強調するための処理であり、具体的には、注目画素の近傍にある他の画素(以下「近傍画素」という。)を参照し、近傍画素に1つでも注目画素の階調値よりも大きい(すなわち濃い)階調値を有する画素があれば、注目画素の階調値をその近傍画素の階調値に置換する処理である。
【0034】
この膨張処理について、具体的な例を挙げて説明する。例えば、図10(a)に示すような画素P(i,j)を有する画像情報について考える。なお、ここにおいて、iはX方
向の座標値を表しており、jはY方向の座標値を表している。また、説明の便宜上、画素Pの階調値は「1」であり、その他の画素の階調値は全て「0」であるとする。このような画像情報に対して、例えば注目画素の上下左右の2ライン分の画素を参照した膨張処理を実行すると、画素P(i−2,j−2)を注目画素とした場合、近傍画素は、図10(b)においてハッチングで示した画素となる。すなわち、近傍画素は、画素P(i−4,j−4)〜P(i,j−4)、P(i−4,j−3)〜P(i,j−3)、P(i−4,j−2)〜P(i−3,j−2)、P(i−1,j−2)〜P(i,j−2)、P(i−4,j−1)〜P(i,j−1)、P(i−4,j)〜P(i,j)の24画素である。このとき、近傍画素には階調値が「1」である画素P(i,j)が含まれるので、注目画素である画素P(i−2,j−2)の階調値は、「0」から「1」に置換される。このような処理を各画素について実行すると、その処理結果は、図10(c)に示すように、画素P(i,j)の近傍の24画素の階調値が「1」となる。
【0035】
なお、この膨張処理においては、近傍画素の数はいくつであってもよい。例えば、上述した例では注目画素の上下左右の2ライン分の画素を近傍画素としたが、これを1ライン分としてもよい。以下では、注目画素の上下左右の2ライン分の画素を近傍画素とした膨張処理のことを、注目画素を中心とした5×5画素を参照する処理という意味で「5×5画素の膨張処理」という。また、同様に、注目画素の上下左右の1ライン分の画素を近傍画素とした膨張処理のことを、注目画素を中心とした3×3画素を参照する処理という意味で「3×3画素の膨張処理」という。つまり、ステップSb2において実行した膨張処理は、5×5画素の膨張処理である。
【0036】
再び図9のフローチャートの説明に戻る。制御部210は、ステップSb2の膨張処理を実行したら、再び膨張処理を実行する(ステップSb3)。このとき実行される膨張処理は、3×3画素の膨張処理である。続いて、制御部210は、ステップSb1、Sb2およびSb3において実行した平滑化処理と膨張処理とを同じ順番で繰り返す(ステップSb4、Sb5、Sb6)。
【0037】
次に、制御部210は、画像情報の全画素の階調値の平均値を算出する(ステップSb7)。制御部210はこのとき算出した平均値に基づき、後段の二値化処理における閾値Th1を決定する(ステップSb8)。閾値Th1と平均値の関係は任意であり、例えば、平均値に所定の係数を乗算した値を閾値Th1とすることもできるが、本動作例においては、平均値から「22」を加算した値を閾値Th1としている。
【0038】
そして、制御部210は、このようにして決定された閾値Th1を用いて二値化処理を実行する(ステップSb9)。すなわち、制御部210は、上述の閾値Th1より小さい階調値を有する画素の階調値を全て「0」とし、上述の閾値Th1以上の階調値を有する画素の階調値を全て「1」とする置換を行う。
【0039】
二値化処理を実行したら、制御部210は、この二値化後の画像情報に基づいてオブジェクトを抽出する処理を行う(ステップSb10)。この処理は、例えば、階調値が「1」である画素が連続した固まりを1つのオブジェクトとみなしてラベリングを行うとともに、それぞれのオブジェクトの長さ、周囲長および面積を算出し、これらが所定の閾値に満たないオブジェクトは、用紙の浮きや照射光のムラ等に起因して抽出されるオブジェクト、すなわちノイズとみなして除外する処理である。本実施形態においては、長さ、周囲長および面積の閾値を、それぞれ「236」、「600」および「7000」とした。なお、これらの閾値の単位は、いずれも「画素」である。つまり、長さの閾値Th1は、およそ10(≒236÷600×25.4)mmである。また、以下において単に「オブジェクト」といった場合、これはステップSb10において抽出されたオブジェクト、すなわち画像情報に現れたノイズを除外したオブジェクトのことを指すものとする。
【0040】
ここで、図11は、画像情報において抽出されたオブジェクトが抽出された様子を示した図であり、符号A〜Jは各オブジェクトを識別するための識別情報である。制御部210は、画像情報において、所定の原点Oを基準としてX方向およびY方向に座標軸XおよびYを設定する。ここでは、画像領域の左上端部を原点Oとする。この座標系における座標値は、画像領域の画素の数に対応しており、X座標は「0」〜「4959」までの値を採り、Y座標は「0」〜「7015」を採るものとする。制御部210は、それぞれのオブジェクトについて長さ、周囲長、面積、重心、重心および角度を算出し、これらを各オブジェクトの検出値としてメモリ212に記憶する(ステップSb11)。図12は、図11に示した画像情報の場合に制御部210が各々のオブジェクトについて算出した検出値を表している。図12において、重心(X)、重心(Y)とは、オブジェクトの重心のX座標及びY座標である。また、「角度」とは、所定の方向(本実施形態では、座標軸Y方向)とオブジェクトの長手方向(つまり被検出体が延びる方向)とがなす角度のことで、単位は「度」である。また、長さ、周囲長及び面積の単位は「画素」である。
【0041】
[特徴量算出処理]
次に、図8のステップScの特徴量算出処理について詳細に説明する。この処理は、上述のオブジェクト抽出処理においてメモリに記憶された検出値から、用紙に埋め込まれた被検出体の分布の特徴量を算出するための処理である。
この特徴量算出処理において、制御部210は、画像情報が表す画像を複数の画像(以下、部分画像という)に分割し、その部分画像領域毎に被検出体の分布の特徴量を算出する。具体的には、図13に示したように、制御部210は、画像領域全体を格子状に3×3の計9つの部分画像領域F1〜F9に分割する。図11に示した画像を部分画像領域F1〜F9に分割すると、図14に図示した通りになる。このとき、X=2338,4676の直線と、Y=1653,3306の直線が、それぞれ隣り合う部分画像領域の境界となる。
【0042】
図15は、ステップScの特徴量算出処理を示すフローチャートである。以下、同図に沿って説明する。はじめに、制御部210は、メモリ212に記憶されたオブジェクトの検出値を読み出す(ステップSc1)。続いて、制御部210は、オブジェクト毎に、被検出体の分布の特徴量を算出する。
まず、制御部210は、あるオブジェクトを対象として、当該オブジェクトが属する部分画像領域がF1〜F9のいずれであるかを特定する(ステップSc2)。ここでは、各オブジェクトの重心の座標値と各部分画像領域の座標値とが比較され、その重心が属する部分画像領域が、そのオブジェクトの属する部分画像領域として特定される。図14の例で言えば、例えば、オブジェクトAは部分画像領域F2に属するし、オブジェクトBは部分画像領域F3に属する。
【0043】
次に、制御部210は、オブジェクトにおける被検出体の重なり本数を特定する(ステップSc3)。
より具体的には、制御部210は、抽出したオブジェクトの面積または周囲長から重なり本数を算出する。被検出体の長さは25mm程度であるから、その被検出体1本当たりの面積は10000〜33000(画素)であり、被検出体1本当たりの周囲長は850〜1500(画素)である。そこで、制御部210は、オブジェクトの面積が33000以上55000未満であるか、またはオブジェクトの周囲長が1500以上3000未満であれば、重なり本数は「2」であるとし、オブジェクトの面積が55000以上であるか、またはオブジェクトの周囲長が3000以上であれば、重なり本数は「3以上」であるとしている。そして、制御部210は、オブジェクトの面積が33000未満であるか、またはオブジェクトの周囲長が1500未満であれば、重なり本数は「1」であるとしている。これにより、図16に示すように、重なりのない被検出体とみなされる場合に重なり本数「1」となり、2本の被検出体が重なって1つのオブジェクトとなっているとみなされる場合に重なり本数「2」となり、3本の被検出体が重なって1つのオブジェクトとなっているとみなされる場合に重なり本数「3以上」となる。
【0044】
続いて、図15において、制御部210は、各オブジェクトの角度を表す角度範囲を特定する(ステップSc4)。ここで、図17は、この角度範囲を説明する図である。オブジェクトの角度は、オブジェクトの長手方向と座標軸Yとのなす角度で定義される。図17に示したように、オブジェクトの角度が、0度以上45度未満であれば角度範囲R1、45度以上90度未満であれば領域R2、90度以上135度未満であれば角度範囲R3、135度以上180度未満であれば領域R4に、それぞれ属する。図12乃至14の例で言えば、例えば、オブジェクトA、BおよびCは角度範囲R4に属するし、オブジェクトDは角度範囲R2に属する。
【0045】
そして、図15において、制御部210は、画像情報に含まれるすべてのオブジェクトについて、上述した処理ステップSc2〜Sc4の処理を実行したか否かを判断する(ステップSc5)。制御部210は、図18に示したように、すべてのオブジェクトについて属する部分画像領域および角度範囲、並びに、重なり本数を特定したと判断すれば(ステップSc5;YES)、被検出体の分布の特徴量を算出する処理を実行する。
【0046】
制御部210は、画像情報が表す画像領域の全体に属するオブジェクトの総数を算出する(ステップSc6)。ここでは、オブジェクトA〜Jの総和である10個である。続いて、制御部210は、部分画像領域F1〜F9のそれぞれについて、属するオブジェクトの総数を算出する(ステップSc7)。図18の例で言えば、部分画像領域F1にはオブジェクトは属しておらず「0」であり、部分画像領域F2にはオブジェクトAが属するから「1」である。また、部分画像領域F5においては、オブジェクトD,EおよびFが属するから、その総数は「3」である。続いて、制御部210は、画像情報が表す画像領域の全体について「重なり本数別本数」を算出する(ステップSc8)。制御部210は、ステップSc3においてそれぞれの被検出体の重なり本数を特定しているから、これらを重なり本数「1本」、「2本」、「3本以上」のグループに分類し、それぞれについてオブジェクトの個数を算出する。
【0047】
次に、制御部210は、角度範囲別R1〜R4のそれぞれに属するオブジェクトの総数を算出する(ステップSc9)。図18の例で言えば、角度範囲R1にはオブジェクトE、GおよびHが属するから「3」であり、角度範囲R2にはオブジェクトDおよびIが属するから「2」である。角度範囲R3においては、オブジェクトJが属するから「1」である。角度範囲R4においては、オブジェクトA、B、CおよびFが属するから「1」である。
【0048】
制御部210は、以上のようにして被検出体の分布の特徴量を算出すると、これらをID情報記憶部240のID情報管理テーブル241に書き込む(ステップSc10)。図19は、このとき、ID情報管理テーブル241に書き込まれる被検出体の分布の特徴量である。前掲の図4にて例示したID情報管理テーブル241の内容は、用紙毎の被検出体の分布の特徴量の集合である。
【0049】
そして、以上の処理を経た用紙は画像形成部250へと供給され、その画像形成部250により用紙に画像(可視画像)が形成される。このとき、制御部210は、属性情報管理テーブル242に「画像形成日時」、「装置ID」、「ファイルID」、「ページ数」、「ユーザID」および「持ち出し可否」を書き込む。「画像形成日時」は現在の日時であり、「装置ID」は登録装置200に割り当てられた装置IDであるので、制御部210は、それらを書き込めばよい。また、「ファイルID」、「ページ数」、「ユーザID」は、用紙に形成される画像を表す画像データやそのヘッダを参照すれば特定し得る情報であるから、制御部210は、それらを書き込めばよい。そして、「持ち出し可否」については、画像データのヘッダに記述されていたり、ユーザが画像形成処理を指示する際に指定にしたりするので、制御部210は、それら情報を参照して属性情報管理テーブル242に書き込めばよい。
【0050】
(2−2)照合装置300の動作
次に、照合装置300の動作について説明する。
印刷物を外部に持ち出したいユーザが、その印刷物を照合装置300にセットして、照合を行うための操作(ボタン押下等)を行うと、照合装置300の制御部310は、特徴量算出照合プログラムP4を実行する。なお、以下の照合装置300の動作説明においては、図11に示した画像から算出された特徴量(図19参照)と、図4に示すID情報管理テーブル241の内容(特徴量)とが照合される場合について説明する。
まず、制御部310は、画像読取部320に印刷物の読み取りを行わせ、画像読取部320により生成された画像情報を、インタフェース313を介して取得する。次に、制御部310はオブジェクト抽出処理を実行して、特徴量算出処理を実行する。この制御部310が実行する印刷物の読み取り、オブジェクト抽出処理および特徴量算出処理(図7のステップSa,Sb,Scに相当する処理)の手順については、上述した登録装置200の制御部210が実行する処理と同じであるから、その説明を省略する。
制御部310は、印刷物に基づいて特徴量を算出すると、算出した特徴量と、ID情報記憶部240のID情報管理テーブル241に書き込まれた特徴量とを照合する照合処理を実行する。
【0051】
図20は、制御部310が実行する照合処理を示すフローチャートである。以下、同図に沿ってその内容を説明する。
まず、制御部310は、オブジェクトの総数が一致または1個分だけ異なる用紙IDを、ID情報管理テーブル241から抽出する(ステップSd1)。図11に示した画像に属するオブジェクトの総数は10個であるから、制御部310は、「合計本数」のフィールドに「9」、「10」または「11」と書き込まれた用紙ID「2」、「6」,「7」、「8」および「9」のみを抽出する。この処理は、ID情報管理テーブル241に膨大な数の情報が記憶されている場合、制御部310がここに書き込まれたすべての特徴量と照合するようにしてしまうと、処理に要する時間も膨大になる。したがって、制御部310は、オブジェクトの総数がおおよそ一致する用紙IDを絞っておくことで、照合処理にかかる負担を低減させている。
【0052】
制御部310は、すべての用紙IDについての特徴量を照合したか否かを判断する(ステップSd2)。ここでは、まだいずれの用紙IDについてもその特徴量との照合を終えていないので(ステップSd2;NO)、制御部310の処理はステップSd3に進む。ステップSd3において、制御部310は、抽出した用紙IDのうちいずれかの用紙IDに着目し、その用紙IDの「領域別本数」のフィールドに書き込まれた値に基づいて、部分画像領域F1〜F9のうちオブジェクトの個数が一致する領域の数を計数する(ステップSd3)。続いて、制御部310は、この用紙IDの「重なり本数別本数」のフィールドに書き込まれた値に基づいて、「1本」、「2本」、「3本以上」のうちで、各々の個数が一致する項目の数を計数する(ステップSd4)。そして、制御部310は、角度範囲R1〜R4について、それぞれに属するオブジェクトの個数が一致する領域の数を計数する(ステップSd5)。そして、制御部310は、ステップSd3〜Sd5で計数した項目または領域の数の総和(以下、「一致数」という)を算出する(ステップSd6)。具体的には、一致数は、用紙ID「2」については「3」、用紙ID「9」については「16」となる。
【0053】
制御部310は、一致数が予め決められた閾値以上であるか否かを判断する(ステップSd7)。ここでの閾値とは、例えば80%である。つまり、各々の特徴量が完全でなくても、ある程度以上の一致数であれば一致するとみなされる。制御部310は、一致数がこの閾値未満であると判断すれば(ステップSd7;NO)、印刷物は注目している用紙IDに対応する用紙と同一物でないと判断し、上述したステップSd2に戻る。
一方、制御部310は、一致数が閾値以上であると判断すれば(ステップSd7;YES)、その一致数が現時点で最大値であるか否かを判断する(ステップSd8)。つまり、制御部310はそれよりも一致数が大きな用紙IDを特定しており、一致数が最大値よりも小さいと判断すれば(ステップSd8;NO)、印刷物は、注目している用紙IDに対応する用紙と同一物でないと判断し、上述したステップSd2に戻り、別の用紙IDに着目して上述した処理を繰り返す。一方、制御部310は、注目している用紙IDについて、一致数が最大値よりも大きいと判断すれば(ステップSd8;YES)、当該用紙IDを選択し(ステップSd9)、ステップSd2に戻り、別の用紙IDに着目して上述した処理を繰り返す。
【0054】
制御部310は、すべての用紙IDについて照合したと判断すれば(ステップSd2;YES)、ステップSd9で用紙IDを選択することができたか否かを判断する(ステップSd10)。上述したように、制御部310は、ステップSd9において用紙ID「9」を選択したため(ステップSd10;YES)、用紙ID「9」を特定する。すなわち、印刷物は、用紙ID「9」に対応する用紙と同一物と特定される。そして、制御部310は、特定した用紙IDと、ID情報記憶部240に記憶された属性情報管理テーブル242(図5参照)に基づいて、照合処理の対象の印刷物の持ち出しを許可するか否かを判断する。図5を参照すれば、用紙ID「9」に対応付けられた「持ち出し許可」のフィールドには「禁止」と書き込まれている。したがって、制御部310は、当該用紙の持ち出しを禁止するべく、扉400を閉じたままにしておくように,扉開閉部401に制御信号を出力する。このとき、制御部310は、用紙ID「9」に対応する各種の属性情報を、通知部340に表示させてもよいし、図示せぬ記憶部に記された所定のファイルに書き込むようにしてもよい。
【0055】
一方、ステップSd10において、制御部310は、ステップSd9で用紙IDを選択することができなかったと判断すれば(ステップSd10;NO)、照合処理の対象の印刷物が登録装置200に登録されておらず、該当用紙なしと判断する(ステップSd12)。したがって、制御部310は、この用紙の外部の空間領域への持ち出しを許可すると判断し、扉400を開くように制御信号を出力する。このとき、制御部310は、ユーザに対して登録装置200への登録を促すべく、通知部340に制御信号を出力して音声信号により通知させてもよい。
【0056】
(B)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、上述した第1実施形態とは、特徴量算出処理および照合処理の動作が異なっており、その他の動作および装置構成については同様である。そこで、以下では、特徴量算出処理および照合処理について詳細に説明する。
【0057】
本実施形態では、図8のステップScで行われる特徴量算出処理を、ハフ変換処理を用いて実行する。
ここで、まずハフ変換処理について説明する。階調値が二値で表される画像情報における画素の位置をX座標とY座標とで表した場合、座標(x,y)を通り、x軸とのなす角がθである直線に対して原点からの距離をρとすると、X−Y座標上において座標(x,y)に位置する画素を通る全ての直線は下記式(1)で表すことができる。
(数1)
ρ=xcosθ+ysinθ (0≦θ<π) ・・・(1)
【0058】
例えば、図21に示した直線l上の座標P1(x1,y1)およびP2(x2,x2)に位置する画素について、式(1)のθを0〜πまで順次変化させ、このθの変化に対応して得られるρを、図22に示したようにρ−θ座標上にプロットしていくと、ある画素を通る全ての直線を、ρ−θ座標上(極座標上)で曲線として表すことができる。この曲線をハフ曲線と呼び、座標P1に対応するハフ曲線をハフ曲線C1といい、座標P2に対応するハフ曲線をハフ曲線C2という。このようにして、ハフ曲線を求める処理をハフ変換と呼ぶ。
【0059】
図22に示したように、ハフ曲線C1,C2はそれぞれ直線lの位置および傾きによって一意に特定される。また、ハフ曲線C1とC2との交点Q(ρ0,θ0)が存在するが、この交点Qにおけるρ0およびθ0の値を参照すれば、これらの値からも直線lを一意に特定することができる。すなわち、直線l上の点であればどの座標に位置する画素に基づいてハフ曲線を表したとしても、すべて交点Q(ρ0,θ0)を通る。
【0060】
次に、以上に説明したハフ変換を用いて実行される、特徴量算出処理について説明する。
まず、登録装置200の制御部210は、用紙を読み取った画像情報を生成すると、所定の閾値を用いて二値化処理を実行する。次に、制御部210は、この画像情報にハフ変換を実行してハフ曲線を求める。上述したように、被検出体は略直線状であるから、被検出体に相当する画像も同様の略直線状となる。つまり、ある被検出体に相当する画像の画素に基づいて表された複数のハフ曲線は、ハフ平面においてある座標(交点)において交わることになる。したがって、制御部210は、ハフ平面において、多数のハフ曲線の交点を表す座標(つまり、交点を形成するための投票数が多い座標)を参照すれば、被検出体の位置および傾きに相当する情報を得ることができる。
また、用紙に漉き込まれる被検出体の数はある範囲の数に限られるから、制御部210は、投票数が多いものから順に投票数が多い座標(ρ,θ)を被検出体数に応じた所定数だけ抽出して、これを被検出体の分布の特徴量としてID情報記憶部240に書き込む。また、被検出体がやや曲線がかっている場合、ハフ平面においては、複数のハフ曲線の交点が完全には一致しない。この場合、小さな範囲内に多数の交点が集中することになるから、所定の範囲内の投票数に着目すれば、これを特徴量として抽出することもできる。
【0061】
次に、照合装置300が行う照合処理について説明する。
照合処理に際しては、登録装置200の場合と同じで、まず照合装置300の制御部310は、印刷物を読み取った画像情報を生成すると、二値化処理およびハフ変換処理を実行する。そして、制御部310は、ハフ平面において投票数から多いものから順に座標を抽出していき、これを被検出体の分布の特徴量とする。
次に、制御部310は、ID情報記憶部240に記憶された特徴量と、印刷物から算出した特徴量とを照合するべく、各々の特徴量から座標を1点ずつ選択して、ハフ平面におけるユークリッド距離を算出する。そして、制御部310は、このユークリッド距離が0または所定値以上小さい場合に、被検出体に相当する画像の位置および傾きが一致すると判断する。そして、制御部310は、この一致数が所定値以上である用紙IDが存在すれば、印刷物と、当該用紙IDに対応する用紙とが同一物であると判断する。この後の処理については、上述した第1実施形態と同じである。
【0062】
(C)第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、上述した第1実施形態とは動作が異なっており、装置構成については同様である。そこで、以下で、その動作内容を中心に説明する。本実施形態では、照合装置300は、クロススペクトルを用いて照合処理を実行する。つまり、登録された用紙から生成された画像情報と、印刷物から生成された画像情報との相関関係に基づいて、2つの画像情報がどの程度類似しているかによって照合を行うのである。
【0063】
まず、登録装置200の制御部210は、用紙を読み取った画像情報を生成すると、所定の閾値を用いて二値化処理を実行する。この処理によって、白色画素は階調値「0」で表され、黒色画素は階調値「1」で表されるものとする。次に、制御部210は、この画像情報が表す画像を複数の部分画像領域に分割して、それらの部分画像領域を重ね合わせた重畳画像情報を生成する。なお、重畳画像情報を用いる理由は、画像領域全体についてクロススペクトルを用いて照合処理が行われると、計算量が大きくなり、処理に要する時間も大きくなるためである。本実施形態のように、画像領域を分割した部分画像領域を重畳した重畳画像情報を用いた方が、処理に要する計算量および処理時間は低減されるし、重畳画像情報においても被検出体の特徴量は保持される。
【0064】
図23は、重畳画像情報の生成方法を模式的に表した図である。制御部210は、ある画像情報が表す画像Gを格子状の画像領域に分割し、X方向の長さがW1でY方向の長さがH1である合計8個の部分画像領域を作成する。なお、本実施形態では、各部分画像領域が主走査方向および副走査方向にそれぞれ256画素となるように分割されるものとし、余った画像領域については、照合処理に用いられないものとする。そして、制御部210は、分割した全ての部分画像領域の部分画像を重ね合わせた重畳画像情報を生成する。図23においては、8個の部分画像領域の部分画像G1〜G8が、図示した矢印で示したように重ね合わされ、重畳画像Gaを表す重畳画像情報が生成される。具体的には、制御部210は、各画像領域の対応する位置の画素の階調値の論理和を算出し、それを重畳画像の階調値とする。例えば、階調値「1」で表される黒色画素どうしが重畳されると、階調値が「1」の黒色画素となり、階調値「0」で表される白色画素どうしが重畳されると、階調値が「0」の白色画素となる。階調値「1」で表される黒色画素と、階調値「0」で表される白色画素が重畳されると、階調値「1」で表される黒色画素となる。つまり、重畳画像情報において、画像領域の左上端部を原点OとしたX−Y座標上において、座標(a,b)に位置する画素の階調値p(a,b)は、下記式(2)で表される。ただし、各々の部分画像領域の左上端部を原点OとしたX−Y座標上において、座標(a,b)に対応する画素の階調値をPx,y(a,b)とし、また、0≦a<W1、0≦b<H1である。
【数2】

【0065】
制御部210は、各画素の階調値が式(2)によって表される重畳画像情報を被検出体の分布の特徴量として、ID情報記憶部240に用紙IDに対応付けて記憶させる。なお、以下では、ID情報記憶部240に記憶された重畳画像情報のことを「登録用重畳画像情報」という。
【0066】
次に、照合装置300が行う照合処理について説明する。
照合処理に際しては、照合装置300の制御部310は、上述した登録装置200の制御部210が実行する重畳画像情報の生成処理と同様にして、印刷物に基づいて重畳画像情報(以下、「照合用重畳画像情報」という)生成する。そして、制御部310は、この照合用重畳画像情報と、ID情報記憶部240に記憶された登録用重畳画像情報とを照合する。
【0067】
図24は、制御部310が実行する照合処理を示すフローチャートである。以下、同図に沿ってその内容を説明する。
まず、制御部310は、ID情報記憶部240に記憶されたいずれかの登録用重畳画像情報および照合用重畳画像情報に対してそれぞれ2次元フーリエ変換を実行する(ステップSd102)。なお、2次元フーリエ変換後の登録用重畳画像情報をFirとし、照合用重畳画像情報をFiで表す。そして、制御部310は、登録用重畳画像情報をFirと照合用重畳画像情報をFiとに基づいて、クロススペクトルSを算出する(ステップSd103)。クロススペクトルは、下記式(3)によって定義される。なお、F-1は、逆フーリエ変換を表す。
【数3】

【0068】
次に、制御部310は、照合用重畳画像情報と、ID情報記憶部240に記憶されたすべての登録用重畳画像情報との照合を終了したか否かを判断する(ステップSd101)。制御部310は、すべての登録用重畳画像情報との照合が終了していないと判断すれば(ステップSd101;NO)、上述した処理ステップSd102およびSd103を繰り返す。
【0069】
一方、制御部310は、すべての登録用重畳画像情報との照合が終了したと判断すれば(ステップSd101;YES)、クロススペクトルの値Sが最大値をとる用紙IDを特定する(ステップSd104)。続いて、制御部310は、特定した用紙IDに基づいて算出したクロススペクトルSが所定の閾値を超えるか否かを判断する(ステップSd105)。制御部310は、このクロススペクトルSが閾値を超えると判断すれば(ステップSd105;YES)、登録用重畳画像情報と、照合用重畳画像情報の一致度が高いから、特定した用紙IDに対応する用紙が、印刷物と同一物であると判断する(ステップSd106)。なお、この閾値を設ける理由は、登録装置200に用紙が登録されていない場合もあるからであり、この場合、クロススペクトルが最大であっても、比較的小さな値をとるからである。すなわち、制御部210は、閾値を設けることにより、印刷物の誤判断を回避することができる。
一方、ステップSd105における判定結果が“NO”の場合には、制御部310は、この印刷物の用紙が登録装置200に登録されていないと判断する(ステップSd107)。
【0070】
(D)第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、上述した第1実施形態とはオブジェクト抽出処理の動作が異なっており、その他の動作および装置構成については同様である。そこで、以下では、オブジェクト抽出処理について説明する。
【0071】
例えば、用紙の両面に画像が形成された印刷物の場合に、制御部310は、読み取って生成した画像情報が表す画像から、被検出体に相当する画像のみを抽出した画像情報を生成してから、上記の照合を行う。
以下では、制御部310が、生成した画像情報から被検出体に相当する画像のみを抽出する処理の流れについて、図25および図26を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、画像読取部320が印刷物を読み取って生成した画像情報が表す画像において、用紙に形成された可視画像に相当する画像のことを「印刷画像」といい、被検出体に相当する画像のことを「被検出体画像」という。
【0072】
図25は、制御部310が実現する機能を示す機能ブロック図である。なお、図中の矢印は、データの流れを概略的に示したものである。
なお、図において、平滑化処理部3101、第1処理部3102、第2処理部3103、第3処理部3104、減算処理部3105、オブジェクト抽出処理部3106、重なり判定部3107、補正部3108および特徴量算出部3109は、制御部310が特徴量算出照合プログラムP4実行することによって実現される。
図26は、図25に示した各機能ブロックによる処理が行われた後の画像情報が表す画像の様子を模式的に表した図である。図26に示したように、この画像は印刷画像A1および被検出画像A2からなる。
【0073】
画像読取部320は、印刷物を読み取った画像を表す画像情報を生成する。このとき、図26(a)に図示したように、画像情報には、印刷画像A1と被検出体画像A2とともに、基材の濃淡や画像の読み取りに起因する低濃度のノイズ画像A3が含まれる。
平滑化処理部3101は、画像読取部320から画像情報を取得して、平滑化処理を実行する。この処理は、例えば、所定のサイズの平滑化フィルタを適用することにより実現される。この処理により、同図(b)に示したような、ノイズ画像A3が除去された画像情報が生成される。
【0074】
第1処理部3102、第2処理部3103および第3処理部3104は、それぞれ膨張処理部と二値化処理部とを備える。
第1処理部3102は、画像読取部320から画像情報を取得し、画像情報に対して強い(近傍画素数が多い)膨張処理を実行してから、比較的高い閾値で二値化処理を実行する。より具体的には、第1処理部3102は、「7×7画素の膨張処理」を3回実行した後、「5×5画素の膨張処理」を3回実行し、さらに、閾値を画像情報の全画素の階調値の平均値から「45」を加算した値として二値化処理を実行する。この処理により、同図(c)に示したような、強い膨張処理により印刷画像A1および被検出体画像A2が強調され、且つ、高い閾値の二値化処理により輝度の高い印刷画像A1のみが現れた画像情報が生成される。
第2処理部3103は、画像読取部320から画像情報を取得し、画像情報に対して弱い膨張処理(近傍画素数が少ない)を実行してから、比較的低い閾値で二値化処理を実行する(d)。より具体的には、第2処理部3103は、「5×5画素の膨張処理」を2回実行した後、「3×3画素の膨張処理」を3回実行し、さらに、閾値を画像情報の全画素の階調値の平均値から「22」を加算した値として二値化処理を実行する。この処理により、同図(d)に示したような、弱い膨張処理により印刷画像A1および被検出体画像A2が細めに強調され、且つ、低い閾値の二値化処理により印刷画像A1と共に、輝度の低い被検出体画像A2が現れた画像情報が生成される。
【0075】
減算処理部3105は、第1処理部3102と第2処理部3103から画像情報を取得し、各画像情報の対応する位置どうしの画素の階調値の差分を示す画像情報を生成する。この処理により、同図(e)に示したように、被検出体画像のみが現れる画像情報が生成される。第1処理部3102と第2処理部3103が供給する画像情報においては、印刷画像A1及び被検出体画像A2の画素の階調値は「255」で、その他(背景に相当)の画素の階調値は「0」である。よって、減算処理部3105は、これらの階調値を反転した画像情報を生成してから差分を算出して、被検出体画像A2の画素のみが階調値「255」で表される画像情報を生成する。
【0076】
オブジェクト抽出処理部3106は、減算処理部3105から画像情報を取得し、多値変換処理、膨張処理および二値化処理を実行する。より具体的には、オブジェクト抽出処理部3106は、「5×5画素の膨張処理」を2回実行した後、「3×3画素の膨張処理」を3回実行し、さらに、閾値を画像情報の全画素の階調値の平均値から「22」を加算した値として二値化を実行することにより、オブジェクトを抽出する。この処理により、同図(f)に示したような、多値変換処理の後の膨張処理により被検出体画像A2がさらに強調されてオブジェクトが抽出された画像情報が生成される。オブジェクト抽出処理部3106は、二値化後の画像情報について、オブジェクトについて規定された長さ、周囲長および面積の最低基準値を超えるものをオブジェクトとして抽出する。ここでは、長さの最低基準値を「100」、周囲長の最低基準値を「300」、面積の最低基準値を「3000」とする。
【0077】
第3処理部3104は、画像読取部320から画像情報を取得し、画像情報に対して弱い膨張処理を実行してから、比較的高い閾値で二値化処理を実行する。より具体的には、第3処理部3104は、「5×5画素の膨張処理」を2回実行した後、「3×3画素の膨張処理」を3回実行し、さらに、閾値を画像情報の全画素の階調値の平均値から「45」を加算した値として二値化を実行する。同図(g)に示したように、強い膨張処理により印刷画像A1および被検出体画像A2が強調されて、高い閾値の二値化処理により、輝度の高い印刷画像A1のみが現れる。第3処理部3104が実行する処理と、第1処理部3102が実行する処理との違いは、膨張処理の強さである。第1処理部3102が処理を実行した後の画像情報は、上述したように第2処理部3103による処理後の画像情報の差分に基づいて、被検出体画像A2のみが現れるようになる。よって、印刷画像A1を太めにしておかなければ、当該印刷画像の外縁部分まで、被検出体画像A2として現れてしまう。
【0078】
重なり判定部3107は、オブジェクト抽出処理部3106および第3処理部3104から画像情報を取得し、印刷画像A1とオブジェクトとが重なり合っている画像領域を特定する。なぜなら、オブジェクト抽出処理部3106によりオブジェクト抽出処理が行われても、印刷画像A1と被検出体画像A2との重なり具合によっては、オブジェクトのみを精度良く抽出することができないことがあるためである。例えば、図26(f)に図示したオブジェクトObj1、Obj2およびObj3のように、オブジェクトの一部分が途切れて抽出されてしまう。
ここで、重なり判定部3107が実行する処理の内容について図27を参照しつつ説明する。
【0079】
重なり判定部3107は、一部分が途切れてしまったオブジェクトを特定するべく、それぞれのオブジェクトの長さ(画素数)を参照する。続いて、重なり判定部3107は、ある長さよりも短いオブジェクトを特定する。オブジェクトの長さは被検出体の長さに応じた値となるから、重なり判定部3107は、所定の長さよりも短いオブジェクトを特定することにより、一部分が途切れてしまったオブジェクトを抽出することができる。続いて、重なり判定部3107は、当該オブジェクトに、印刷画像A1が接しているか否かを判断する。この処理は、印刷画像A1との重なりによって途切れてしまったオブジェクトを抽出するためのものである。具体的には、重なり判定部3107は、オブジェクトの位置については、図26(f)に示した画像を表す画像情報から特定することができるし、印刷画像A1の位置については、図26(g)に示した画像を表す画像情報から特定することができる。したがって、重なり判定部3107は、それぞれの画像の対応する位置を参照すれば、印刷画像A1に接しているオブジェクトを特定することができる。
なお、重なり判定部3107は、一部分が途切れたオブジェクトに印刷画像A1が接していないと判断すれば、当該オブジェクトは、例えば画像の読取時等に発生したノイズ等であり、被検出体画像から抽出されたものでないと判断する。
以上の処理を実行すると、重なり判定部3107は、画像情報(図26(f)および(g)に相当する画像情報)と共に、特定したオブジェクトを表す識別情報を、補正部3108に供給する。
【0080】
補正部3108は、重なり判定部3107から取得した画像情報およびオブジェクトの識別情報に基づいて、一部分が途切れたオブジェクトを補正する。以下、補正部3108が、オブジェクトを補正する処理について、図27を参照しつつ説明する。補正部3108は、オブジェクトの長さL'が基準値L以上であれば、オブジェクトは途切れていないと判断し、そのオブジェクトについては補正しない。なお、この基準値Lは、被検出体の長さに応じて決められている。一方、補正部3108は、オブジェクトの長さL'が基準値L未満であれば、図27(a)に示したように、オブジェクトの重心を原点としたX軸およびY軸を定め、X軸またはY軸の交点を中心とし、正方形の画像領域Tを特定する。このときの画像領域のTの一辺の長さとしては、Y軸とオブジェクトとがなす角度をθとした、2/3×L'×cosθおよび2/3×L’×sinθのうちの値が大きなものが採用される。補正部3108は、この画像領域Tを、X軸及びY軸を境界として4つの画像領域T1〜T4に分割する。そして、補正部3108は、画像領域T1〜T4のそれぞれを参照して、オブジェクトの端部と、印刷画像A1とが共に含まれている画像領域が存在すれば、それぞれが接していると判断する。
【0081】
補正部3108は、例えば図27(a)に示したように、オブジェクトと印刷画像A1とが接する箇所を1つだけ(画像領域T3)特定した場合には、同図(b)に示したようにして、オブジェクトの長さを補正する。つまり、補正部3108は、オブジェクトの長さが印刷画像A1の方向(図の矢印H1方向)に、L−L'だけ長くなるように補正する。この補正に応じて、重心の位置も(L−L')/2だけ矢印H1方向に変化する。また、図27(c)に示したように、補正部3108はオブジェクトと印刷画像A1とが接する箇所を2つ(画像領域T1およびT3)特定した場合には、同図(d)に示したようにして、オジェクトの長さを補正する。つまり、補正部3108は、オブジェクトの長さがそれぞれの印刷画像A1の方向(図の矢印H2およびH3方向)に、(L−L')/2ずつ長くなるように補正する。この補正においては、補正前後で重心の位置は変化しない。
【0082】
図26(h)は、以上説明したような手順によって補正された画像情報が表す画像である。同図に示したように、途切れることによって短いオブジェクトになってしまっていたオブジェクトObj1の長さが本来の長さに補正されているし、2本の短いオブジェクトに途切れていたオブジェクトObj2およびObj3が、本来の1本のオブジェクトとなるように補正されている。
【0083】
特徴量算出部3109は、補正部3108から図26(h)に示したような補正後の画像情報を取得すると、上述した第1実施形態と同様にして、オブジェクトに基づいて被検出体の分布の特徴量を算出する。そして、制御部310は、登録装置200のID情報記憶部240に記憶された被検出体の分布の特徴量との照合処理を実行する。
【0084】
(E)変形例
なお、上記実施形態を次のように変形してもよい。具体的には、例えば以下のような変形が挙げられる。なお、これらの変形は、各々を適宜に組み合わせることも可能である。
【0085】
上述した第4実施形態では、用紙の両面に画像が形成された印刷物に対し、照合装置300は、これを読み取った画像情報からオブジェクトのみを抽出する処理の実行した後に、そのオブジェクトを補正してから照合処理を実行していた。しかし、オブジェクトの補正を行わずに照合処理を実行してもよい。以下、その処理の手順について説明する。
なお、登録装置200は、被検出体の分布の特徴量として、用紙を読み取った画像情報を用紙IDと対応付けて、ID情報記憶部240に記憶させておく。つまりこの画像情報には、被検出体画像のみが含まれる。
照合装置300は、印刷物を読み取って、上述した図26(c)に示した輝度の高い印刷画像のみを抽出した画像情報と、同図(e)に示した被検出体画像のみが現れる画像情報を生成し、メモリ313に記憶させておく。次に、制御部310は、ID情報記憶部240に記憶された用紙ID毎に記憶された画像情報を読み出すと、この画像情報に、図26(c)に示したような印刷画像のみが現れた画像情報を重畳させる。続いて、制御部310は、この画像情報に対して第4実施形態と同様の方法でオブジェクトを抽出する処理を実行してから、照合処理を実行する。
このようにすれば、被検出体画像と印刷画像とを含む画像情報から、同じ処理によってオブジェクトを抽出する処理を行ってから照合処理が行われるため、制御部310は、オブジェクトの補正を行わなくてもよい。ただし、ID情報記憶部240に記憶されているすべての被検出体を表す画像情報に印刷画像を重畳すると、照合処理に要する時間が膨大になる虞がある。そのため、制御部310は、印刷物を読み取った画像情報と、ID情報記憶部240に記憶された画像情報とを所定の複数の画像領域に分割し、対応する画像領域どうしで、共にオブジェクトが存在する画像領域のみについて、印刷画像を復元して照合処理を実行すればよい。
【0086】
登録装置200の画像読取部220と、照合装置300の画像読取部320について、それぞれの用紙(印刷物)の読み取り面および読み取り方向については、実際にはユーザによる用紙のセットの仕方により、その読み取りの方向はさまざまである。具体的には、用紙の表面・裏面と、用紙の天地方向とに鑑みれば、画像読取部は1枚の用紙から計4通りの画像情報を生成し得る。つまり、これらのいずれかが特定されない場合は、その全てのパタンを考慮しなければ、照合装置300は意図する照合を行うことができない。次に、上述した実施形態毎に、用紙の読み取り面および読み取り方向による画像情報の違いと、その補正方法について説明する。
【0087】
まず、第1実施形態において、図11に示した用紙が読み取られると、図14に示したように部分画像領域F1〜F9に分割され、図17に示したように角度範囲R1〜R4に分割される。ところが、読み取り面が反対で、かつ、天地方向が同じとして用紙が読み取られると、図11に示した画像は、図28に示したように左右が反転した画像として読み取られる。図29は、照合装置300が用紙の表面と裏面を読み取った場合の、それぞれの部分画像領域および角度範囲の対応関係を示す図である。したがって、照合装置300は、照合処理において、図29に示したような対応関係をもとに、いずれの用紙面が読み取られても意図する照合処理を行うことができるように、両方に基づいて照合処理を行えばよい。
次に、第2実施形態においては、画像情報の中心を原点とした場合、上記の4通りのいずれの方向で読み取られても原点の位置は不変である。しかし、ハフ平面における座標値(θ,ρ)は、読み取りの天地方向が同じで、読み取り面が反対の場合は(π−θ,ρ)の位置に対応する。また、読み取り面が同じで、読み取りの天地方向が反対の場合は(θ,−ρ)の位置に対応する。また、読み取り面および読み取りの天地方向が共に反対の場合は(π−θ,−ρ)の位置に対応する。すなわち、照合装置300はこれらの対応関係をもとに補正した座標を比較して照合処理を行えばよい。
次に、第3実施形態においては、照合用重畳画像情報と、登録用重畳画像情報を90度ずつ回転した画像情報のそれぞれとをクロススペクトルを用いて照合処理を実行すればよい。
そして、第4実施形態は、被検出体の特徴量の算出方法が同じであるから、第1実施形態と同様にして、画像領域および角度範囲の対応関係をもとに照合すればよい。
【0088】
上述した各々の実施形態では、画像読取部220および320は用紙の一方の面を読み取って画像情報を生成していた。しかし、画像読取部が両方の面を読み取って画像情報を生成してもよい。この場合の画像読取部の構成は、図3の構成のまま、一方の面が読み取られた後、紙面が反転されて搬送されることにより、もう一方の面が読み取られるようにしてもよい。また、光源221およびセンサ222と同様の光源及びセンサが、用紙を挟んで対向する位置に設けられ、両方の面が同時に読み取られる構成でもよい。この場合、登録装置200は、1枚のシートに対して表面・裏面の2種類の特徴量を算出して記憶する。
【0089】
上述した各々の実施形態では、画像読取部220は、転写部によってトナー像が転写される前に、給紙トレイから搬送された用紙を読み取っていた。しかし、画像読取部は、スキャナのような独立した装置が用いられてもよい。つまり、ユーザが登録装置200に登録したい用紙をセットして、読み取らせる構成であってもよい。
また、上述した第4実施形態で、画像情報が表す画像から被検出体に相当する画像のみを抽出した画像情報を生成する処理を、登録装置200も実行する構成としてもよい。この構成によれば、例えば予め様々な模様が描かれている用紙であっても、オブジェクトを抽出することができる。
【0090】
上述した実施形態では、照合装置300は、画像読取部320によって読み取られて生成した画像情報に基づいて特徴量を算出し、照合処理を行っていた。照合装置300は、外部装置から取得した画像情報に基づいて照合処理を行うようにしてもよい。例えば、照合装置300が、ネットワークを介して通信を行うためのインタフェース装置である通信部を備え、外部の空間領域に設置されているスキャナと通信可能であるとする。照合装置300は、外部のスキャナで用紙が読み取られた場合に、画像情報を取得して照合処理を実行する。この照合処理により、例えば、持ち出し禁止の印刷物が外部の空間領域に持ち出されたとしても、制御部310は、そのスキャナを識別することにより、その所在を特定することができるし、その被検出体の分布の特徴量から用紙IDを特定し、図5に示したような属性情報も特定することができる。
また、この外部スキャナが、扉400の近傍の外部の空間領域に設置され、当該スキャナによって読み取られた画像に基づいて、照合装置300は照合処理を実行する。そして、照合装置300は、図示しないが、属性情報に対応付けられた持ち込みを許可するか否かが書き込まれたフィールドを参照する。照合装置300は、持ち込みを許可すれば扉400を開けるよう、扉開閉部401に制御信号を出力する。このとき、照合装置300は、持ち出された印刷物が返却された旨を検知し、これをファイルに書き込むようにして、印刷物を管理するようにしてもよい。もちろん、照合装置300は、印刷物が持ち出された場合には、その旨を当該ファイルに書き込む。
【0091】
上述した各々の実施形態では、照合装置300の制御部310は、照合処理によって用紙IDを特定すると、ID情報管理テーブル241の内容に応じて、扉400の開閉を制御する制御信号を出力していた。ところが、制御部310が出力する、照合結果に関する情報はこれに限らない。例えば、照合装置300は、図5に示した属性情報テーブルを参照し、特定した用紙IDに対応するフィールドに書き込まれた内容や、印刷物が持ち出された旨を示す情報を、外部の空間領域に設置された図示せぬ情報端末に出力してもよい。また、図示せぬ画像形成装置に対して、その情報を用紙に印刷するよう指示される構成であってもよい。
【0092】
上述した各々の実施形態では、登録装置200が用紙の登録に係る処理を行い、照合装置300が印刷物の照合に係る処理を行っていたが、これらは一体の装置で実現されてもよいし、共有部分を有するようにしてもよいし、部分的に外部装置を用いても実現することができる。
一台の装置(登録照合装置とする)で実現する場合、登録照合装置は、ユーザによって、用紙の登録を指示する操作が行われると、画像読取部にセットされた用紙(第1の記憶媒体)を読み取って画像情報を生成する。そして、登録照合装置は、被検出体の分布の特徴量を算出すると、これをID情報記憶部に記憶させておく。また、登録照合装置は、ユーザによって、印刷物の照合を指示する操作が行われると、画像読取部にセットされた印刷物(第2の記憶媒体)を読み取って画像情報を生成する。そして、登録照合装置は、被検出体の分布の特徴量を算出すると、ID情報記憶部から特徴量を読み出して照合し、その照合結果に関する情報を出力する。
また、照合システム100において、照合装置300がID情報記憶部240を備えるようにしてもよいし、外部の記憶装置としてもよい。また、画像読取部を共有する構成としてもよい。例えば、管理者が操作部230を操作することにより登録装置200に対して用紙の登録を指示すると、登録装置200は読み取った用紙を登録する一方で、印刷物を持ち出したいユーザによってセットされた印刷物を読み取ると、登録装置200はこれを読み取って生成した画像情報を照合装置300に出力する。そして、照合装置300がこの画像情報を取得して以降の処理を行う、という構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】照合システムの全体構成を示す斜視図である。
【図2】登録装置および照合装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】画像読取部220の構成を説明する図である。
【図4】ID情報管理テーブルの一例を示した図である。
【図5】属性情報管理テーブルの一例を示した図である。
【図6】用紙の一例を示す図である。
【図7】用紙の一例を示す図である。
【図8】登録装置の制御部による動作を示すフローチャートである。
【図9】登録装置の制御部によるオブジェクト抽出処理を示すフローチャートである。
【図10】膨張処理を説明する図である。
【図11】オブジェクトが属する画像の一例を示した図である。
【図12】登録装置の制御部により算出される検出値を示す図である。
【図13】画像領域の分割方法を示す図である。
【図14】画像領域を分割した画像の一例を示す図である。
【図15】登録装置の制御部による特徴量算出処理を示すフローチャートである。
【図16】重なり本数を説明する図である。
【図17】角度範囲を説明する図である。
【図18】オブジェクトごとに特定された画像領域、角度範囲および重なり本数を示す図である。
【図19】登録装置の制御部により情報管理テーブルに書き込まれる被検出体の分布の特徴量を示す図である。
【図20】照合装置の制御部による照合処理を示すフローチャートである。
【図21】ハフ変換処理を説明する図である。
【図22】ハフ変換処理を説明する図である。
【図23】重畳画像情報の生成方法を模式的に表した図である。
【図24】照合装置の制御部による照合処理を示すフローチャートである。
【図25】照合装置の制御部が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図26】各機能ブロックによる処理が行われた後の画像情報が表す画像を模式的に表した図である。
【図27】補正部が実行する処理の内容を説明する図である。
【図28】オブジェクトが属する画像の一例を示した図である。
【図29】照合装置が用紙の表面と裏面を読み取った場合の、それぞれ画像領域および角度範囲の対応関係を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
100…照合システム、200…登録装置、210、310…制御部、220、320…画像読取部、21…光源、211,311…CPU、212,312…メモリ、213,313…インタフェース、22…センサ、23,24…搬送ロール、230,330…操作部、240…ID情報記憶部、241…ID情報管理テーブル、242…属性情報管理テーブル、25…信号処理回路、250…画像形成部,300…照合装置、3101…平滑化処理部、3102…第1処理部、3103…第2処理部、3104…第3処理部、3105…減算処理部、3106…オブジェクト抽出処理部、3107…重なり判定部、3108…補正部、3109…特徴量算出部、340…通知部、400…扉、401…扉開閉部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の被検出体を含有する記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記特徴量を記憶する記憶手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
1または複数の被検出体を含有する記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する算出手段と、
前記被検出体の分布の特徴量を外部装置から取得し、取得した特徴量と、前記算出手段によって算出された前記特徴量とを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に関する情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記記録媒体における前記特徴量を、前記記録媒体の所定の部分画像領域毎に算出し、
前記記憶手段は、前記算出手段によって前記部分画像領域毎に算出された前記特徴量を記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記記録媒体における前記特徴量を、前記記録媒体の所定の部分画像領域毎に算出し、
前記照合手段は、前記外部装置から取得した所定の部分画像領域毎の前記特徴量と、前記算出手段によって算出された前記特徴量とを、前記部分画像領域毎に照合する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記抽出手段によって抽出された前記被検出体に相当する画像を複数の画像領域に分割して、それらの画像領域を重ね合わせた重畳画像情報を生成することにより前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記抽出手段は、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報から、第1の輝度よりも高い画像領域を抽出した第1の画像情報と、前記第1の輝度よりも低い第2の輝度よりも高い輝度の画像領域を抽出した第2の画像情報との差分に応じて、前記被検出体に相当する画像を抽出し、
前記算出手段は、前記抽出手段によって抽出された前記被検出体に相当する画像を表す画像情報を、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報に応じて補正し、その補正後の画像情報に応じて前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記算出手段は、前記抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像を表す画像情報をハフ変換し、
前記ハフ変換した結果に応じた情報を、前記記録媒体における前記特徴量として算出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
1または複数の被検出体を含有する記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記特徴量を記憶する記憶手段と、
第1の記録媒体について前記記憶手段に記憶された前記特徴量と、第2の記録媒体について前記算出手段によって算出された前記特徴量とを照合し、その照合結果に関する情報を出力する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に関する情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
1または複数の被検出体を含有する第1の記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する第1の画像情報取得手段と、
前記第1の画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する第1の抽出手段と、
前記第1の抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記第1の記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する第1の算出手段と、
前記第1の算出手段によって算出された前記特徴量を記憶する記憶手段と、
1または複数の被検出体を含有する第2の記録媒体を読み取った画像を表す画像情報を取得する第2の画像情報取得手段と、
前記第2の画像情報取得手段によって取得された画像情報から前記被検出体に相当する画像を抽出する第2の抽出手段と、
前記第2の抽出手段により抽出された前記被検出体に相当する画像に応じて、前記第2の記録媒体における前記被検出体の分布の特徴量を算出する第2の算出手段と、
前記第2の記録媒体について前記第2の算出手段によって算出された前記特徴量と、前記第1の記録媒体について前記記憶手段に記憶された前記特徴量とを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に関する情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする照合システム。
【請求項10】
前記第1の算出手段は、
前記第1の抽出手段によって抽出された前記被検出体に相当する画像情報を複数の画像領域に分割して、それらの画像領域を重ね合わせた第1の重畳画像情報を生成することにより、前記第1の記録媒体における前記特徴量を算出し、
前記記憶手段は、前記第1の算出手段によって生成された前記第1の重畳画像情報を記憶し、
前記第2の算出手段は、
前記第2の抽出手段によって抽出された前記被検出体に相当する画像情報を複数の画像領域に分割して、それらの画像領域を重ね合わせた第2の重畳画像情報を生成することにより、前記第2の記録媒体における前記特徴量を算出し、
前記照合手段は、
前記第2の算出手段によって生成された前記第2の重畳画像情報と、前記記憶手段に記憶された前記第1の重畳画像情報とのクロススペクトルを算出し、算出したクロススペクトルに応じて照合結果を求めることにより、前記第1の重畳画像情報と前記第2の重畳画像情報との前記特徴量とを照合する
ことを特徴とする請求項9に記載の照合システム。
【請求項11】
前記第1の記録媒体に形成されている可視画像の属性を表す属性情報を取得する属性情報取得手段
を備え、
前記記憶手段は、前記第1の算出手段によって算出された前記特徴量に、前記属性情報取得手段によって取得された属性情報を対応付けて記憶し、
前記出力手段は、前記照合結果と、前記記憶手段によって前記特徴量に対応付けられて記憶されている前記属性情報とを出力する
ことを特徴とする請求項9または10に記載の照合システム。
【請求項12】
前記属性情報は、前記可視画像が形成された前記第1の記録媒体を所定の空間領域からその外部の空間領域へと持ち出し可能か否かを表す情報であり、
前記出力手段は、前記記憶手段によって前記特徴量に対応付けられて記憶されている前記属性情報が持ち出し可能ではないことを表している場合には、前記第1の記録媒体に対応する第2の記録媒体が持ち出し可能ではない旨を表す情報を出力する
ことを特徴とする請求項11に記載の照合システム。
【請求項13】
ゲートと、
前記照合手段による照合結果が所定の条件を満たし、前記記憶手段によって前記特徴量に対応付けられて記憶されている前記属性情報が持ち出し可能でないことを表している場合には、前記第2の記録媒体が前記外部の空間領域へ持ち出されようとしていることを報知するか、又は、前記外部の空間領域へと持ち出されないように前記ゲートを制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする請求項12に記載の照合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−93280(P2009−93280A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261136(P2007−261136)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】