説明

画像処理装置

【課題】 画像処理に関する光学機器の位置決め精度が,本体装置の設置面の状態の影響を受けにくい構造を有する画像処理装置を提供すること。
【解決手段】 画像形処理置A本体の下面を形成する底板60の縁部近傍に,4つの脚部61,62,63a,63bが,概ね三角形を形成する3箇所に突設され,光学機器が組み込まれた光学ユニットX1は,下から見て3箇所の前記脚部61〜63が形成する三角形と同方向の三角形を形成する3箇所において本体構造体の一部である前記鉛直位置決め板6a若しくは前記水平位置決め板6aにより支持され,その3箇所は,下から見て前記脚部61,62,63が設けられた3箇所各々の近傍位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理に関する光学機器が組み込まれた光学ユニットを具備する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機,プリンタ,ファクシミリ装置等の画像処理装置では,画像形成のための光学機器が本体筐体内に収容されている。
また,近年の画像処理装置は,例えば特許文献1等に示されるように,例えば像担持体(典型例としては,感光体ドラム)に対して静電潜像書き込み用のビーム光の出力を行う光源(レーザ光出力装置等)や,そのビーム光を前記感光体ドラムに導く1又は複数の偏向ミラー(反射ミラー),ビーム光のfθ補正を行なうfθレンズ,ビーム光を前記感光体ドラムの軸方向に走査させるポリゴンミラー等の画像処理に関する光学機器が,画像処理装置の本体側の構造体とは別の一体成型された筐体に組み込まれ,光学ユニットとしてユニット化されている。これにより,光学機器相互間の相対位置が,一体成型により高い寸法精度で製作される筐体を介して高精度で位置決めされる。
一方,従来の画像処理装置は,装置本体の下面における4箇所(通常は,矩形状の下面の四隅)に,設置面に当接する脚部が突設されることが一般的である。また,特許文献2には,画像形成装置本体と設置面との間に装置安定用の脚部(足)を略三角形を形成するように三箇所設けたものが示されている。
【特許文献1】特開2002−187308号公報
【特許文献2】特開2001−117302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,特許文献1に示されるように光学機器をユニット化しても,その光学ユニットを支持する本体装置側の支持部(本体側のフレーム)自体が装置の設置面の高低差(高低の分布)等によって歪んだ場合には,光学機器の位置決め精度が悪化するという問題点があった。特に,本体装置の下面の4箇所(四隅)に脚部を設けた場合,その4箇所の脚部が当接する設置面の高低差により,本体装置側の支持部(フレーム)が歪みやすい。
また,特許文献2に示されるように本体装置の下面の3箇所に略三角形を形成するように脚部を設けた場合でも,装置の自重によって本体装置側の支持部(フレーム)が歪む場合があり,その場合,前記光学ユニットの支持構造によってはその支持部の歪みの影響を受けて光学機器の位置決め精度が悪化するという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,画像処理に関する光学機器の位置決め精度が,本体装置の設置面の状態の影響を受けにくい構造を有する画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,画像処理に関する光学機器が一体成型された筐体に組み込まれた光学ユニットを具備するプリンタ,複写機,ファクシミリ装置等の画像処理装置に適用されるものであり,当該画像処理装置の下面(底板の下面等)の縁部近傍に,設置面と当接する複数の脚部が略三角形の角部に相当する3箇所において当該画像処理措置の構造体に対して突設され,前記光学ユニットが,下から見て3箇所の前記脚部が形成する略三角形とほぼ同方向の三角形の角部に相当する3箇所(ほぼ同方向の三角形を形成する3箇所)において前記構造体により支持された構造を有するものである。
このように,装置下面の3箇所に突設される前記脚部によって画像処理装置全体を支持することにより,設置面における前記脚部の当接部相互間に高低差がある場合でも,装置本体は装置自体の自重のバランスで若干歪む以外はほとんど歪むことがない。
また,前記光学ユニットが,下から見て前記脚部が形成する略三角形と同方向の三角形を形成する3箇所で支持されるので,必然的に,前記光学ユニットが下から見て前記脚部の3箇所に対して極力近い3箇所で支持されることになる。即ち,下から見たときの前記光学ユニットの大きさが大きい(装置下面の大きさに近い)ほど,前記脚部の3箇所に近い3箇所で支持することが可能となる。これにより,その光学ユニットに組み込まれる光学機器が,本体の構造体の歪みの影響をあまり受けずに高精度で位置決めされる。
特に,下方から見て3箇所の前記脚部各々と重なる位置若しくはその近傍位置の3箇所は,装置自体の自重による歪みの影響も受けにくい位置であるので,そのような3箇所で前記光学ユニットが支持される構造とすれば,その光学ユニットに組み込まれる光学機器が,装置本体の歪みの影響をほとんど受けずにより高精度で位置決めされる。
ここで,より具体的には,例えば,前記脚部が,概ね矩形状(略矩形状)の装置本体の下面における隣り合う2つの角部各々の近傍範囲(2箇所)及び残り2つの角部に対する中間点の近傍範囲(1箇所)の計3箇所に設けられたもの等が考えられる。これにより,前記脚部が,下から見て略二等辺三角形若しくは略正三角形を形成するように配置されることになる。
また,画像形成用の記録シートを略鉛直方向のシート搬送経路に沿って搬送するシート搬送手段を備える場合,前記脚部が設けられた3箇所のうちの2箇所を,前記略鉛直方向のシート搬送経路の下方の位置に配置することが考えられる。
略鉛直方向のシート搬送経路には,シートを案内するガイドや定着ローラ等を含む搬送ローラ及びその駆動機構等が縦方向に複数配列されるため,その部分の下方には一般に集中的に大きな荷重がかかる。このため,前記脚部が設けられる3箇所のうちの2箇所を前記略鉛直方向のシート搬送経路の下方に設ければ,画像処理装置の設置状態が安定し,自重による本体装置の歪みも極力抑えられるので好適である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば,画像処理装置が下面の略三角形を形成する3箇所において装置本体の構造体に突設される脚部によって支持されるので,設置面における前記脚部の当接部相互間に高低差がある場合でも,装置本体は装置自体の自重のバランスで若干歪む以外はほとんど歪むことがない。
また,下から見て3箇所の前記脚部が形成する略三角形と同方向の三角形を形成する3箇所(同方向の三角形の角部に相当する位置)において前記光学ユニットが本体の構造体により支持されるので,その光学ユニットに組み込まれる光学機器が,装置本体の歪みの影響をあまり受けず高精度で位置決めされる。特に,下方から見て3箇所の前記脚部各々と重なる位置若しくはその近傍位置の3箇所は,装置自体の自重による歪みの影響も受けにくい位置であり,そのような3箇所で前記光学ユニットが支持されれば,装置本体の歪みの影響をほとんど受けずにより高精度で位置決めされる。
さらに,集中的に大きな荷重がかかる略鉛直方向のシート搬送経路の下方に,前記脚部が設けられる3箇所のうちの2箇所を配置すれば,画像処理装置の設置状態が安定し,自重による装置本体の歪みも極力抑えられるのでさらに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置Aの概略構成を表す断面図,図2は画像処理装置Aの本体構造体を下面側から見た斜視図,図3は画像処理装置Aが具備する光学ユニットX1の2箇所で支持される側面側の上方側から見た斜視図,図4は光学ユニットX1を下方側から見た斜視図,図5は光学ユニットX1の1箇所で支持される側の上方側から見た斜視図,図6は画像処理装置Aを下方から見たときの脚部の位置と光学ユニットX1の支持位置との関係を表す模式図である。
【0007】
まず,図1に示す断面図を用いて,本発明の実施形態に係る画像処理装置A全体の概略構成について説明する。図1に示す画像処理装置Aは,電子写真方式の画像形成装置の一例であるプリンタ(カラープリンタ)であるが,本発明は,複写機,ファクシミリ装置等,他の画像処理装置への適用も同様に可能である。
図1に示すように,画像処理装置Aは,直列に配列され,複数のトナー色(ブラック,マゼンタ,イエロー,シアン)各々に対応する複数の感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C(像担持体)に対し,静電潜像書き込み用のビーム光の出力及び走査を行なう光学機器(光源,偏向ミラー,ポリゴンミラー,fθレンズ等)が,樹脂成型等により一体成型された筐体30(以下,ユニット筐体30という)に組み込まれてユニット化された光学ユニットX1を具備している。
さらに,画像処理装置Aは,トナー像の形成及び記録シートへの転写(印字)を行う印字部α1,記録シートを前記印字部α1に供給する給紙部α2,トナー像が転写された記録シートが排出される排紙部α3等を具備している。
そして,画像処理装置Aは,不図示の画像処理制御部により,外部機器(典型的にはパーソナルコンピュータ)から不図示の外部入力インターフェースを通じて受信された印字ジョブ(印刷ジョブ)に基づいて,ブラック,マゼンダ,イエロー,シアン,の4色各々に対する濃淡値情報を取得し,これに基づいて画像形成を行う。
【0008】
前記印字部α1は,上述の4色各々に対応する感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C(ブラック用感光体ドラム1BK,マゼンダ用感光体ドラム1M,イエロー用感光体ドラム1Y,シアン用感光体ドラム1C),上記4色各々に対応する現像装置2BK,2M,2Y,2C(ブラック用現像装置2BK,マゼンダ用現像装置2M,イエロー用現像装置2Y,シアン用現像装置2C),中間転写ベルト3,搬送ローラ4,定着装置5,光学ユニットX1,鉛直位置決め板6a,水平位置決め板7a,等を具備して概略構成される。
また,前記光学ユニットX1は,前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々に静電潜像書き込み用のビーム光を出力する不図示のレーザダイオード等の光源,その光源により出力されたビーム光を反射し,前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々に導く複数の偏向ミラー8(反射ミラー),前記光源により出力されたビーム光を前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々の軸方向(図1の奥行き方向,即ち,主走査方向)に走査させるポリゴンミラー9,前記光源により出力されたビーム光のfθ補正を行なう複数のfθレンズ10等の光学機器が,樹脂成型等により一体成型された前記ユニット筐体30に組み込まれてユニット化されたものである。
【0009】
前記画像処理制御部は,外部機器からの印字ジョブに基づき得られた前記濃淡値情報に対応するビーム光(静電潜像書き込み用のビーム光)が出射されるよう4色各々に対応した前記光源(不図示)を制御するとともに,そのビーム光が前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々の軸方向に走査されるよう前記ポリゴンミラー9を制御する。これにより,前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々の表面に静電潜像が形成される。
また,前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々に対応する現像装置2BK,2M,2Y,2Cに設けられた現像ローラにより,各色のトナーが前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々の表面に供給され,これにより,前記静電潜像は,前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々と前記現像ローラ各々との電位ギャップ(現像バイアス)に応じてトナー像として顕像化される。
【0010】
前記給紙部α2は,給紙カセット11,給紙ローラ12等を有して概略構成される。前記給紙カセット11には,予め記録シートが収容されている。そして,外部機器からの印字ジョブが受信されると,前記画像処理制御部による制御によって,前記給紙ローラ12が回転駆動され,これにより前記給紙カセット11に収容されている画像形成用の記録シートが,シートガイド41によりほぼ鉛直方向に形成されたシート搬送経路40に送出される。
ほぼ鉛直方向に形成された前記シート搬送経路40には,複数の搬送ローラ4や前記定着装置5を構成する定着ローラ等のシート搬送手段が複数配置されており,これらによって記録シートが前記シート搬送経路40に沿って搬送される。
一方,前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1C各々上で形成(顕像化)されたトナー像は,前記中間転写ベルト3に転写され,その中間転写ベルト3が駆動されることにより,転写部50において前記シート搬送経路40に沿って搬送される記録シートに転写される。さらに,トナー像が転写された記録シートは,前記シート搬送経路40に沿って前記定着装置5に搬送され,例えば加熱ローラ等によりトナー像の定着が行われた後,前記排紙部α3に排出される。
【0011】
図2は,画像処理装置Aの本体構造体を下面側から見た斜視図である。
図2に示すように,画像処理装置A本体の下面(底面)を形成する底板60には,その略矩形状の下面の縁部近傍に,当該画像処理装置Aの設置面に当接する4つの脚部61,62,63a,63bが,概ね三角形を形成する3箇所(三角形の角部に相当する位置)に突設されている。ここで,前記脚部61及び脚部62は,各々三角形の異なる角部(頂点部)に相当する位置に設けられているが,前記脚部63a及び63b(以下,総称して脚部63という)は,三角形の角部の一つに対応する1箇所の位置に近接して設けられている。
また,本実施形態では,前記脚部61,62は,概ね正方形状(矩形状の一例)の前記底板60の下面(当該画像処理装置の下面)における隣り合う2つの角部60a,60b各々の近傍範囲に,残りの前記脚部63は,残り2つの角部60c,60dに対する中間点(中央の位置)の近傍範囲に設けられている。これにより,前記脚部61,62,63は,概ね正三角形を形成するように(三角形の角部に相当する位置に)突設されている。
このような構成により,設置面における前記脚部61〜63の当接部相互間に高低差がある場合でも,装置本体は装置自体の自重のバランスで若干歪む以外はほとんど歪むことがない。
ここで,1箇所の前記脚部63を複数(ここでは2つ)設けているのは,3箇所支持の安定性を確保するためであり,例えば,当接面積を大きくする等により前記当接部63を1つにしたもの等も考えられる。また,全体として概ね三角形を形成する3箇所に前記脚部を突設させる構成であれば,各箇所ごとに複数の前記脚部を突設して設けた構成等であっても同様の作用効果を奏し,本発明の実施態様の一つである。
また,前記底板60には,装置の自重で歪みが生じないよう十分な強度を確保するため,プレス成型等により凹凸が形成されている。
なお,前記底板60の下面(装置の下面)が概ね長方形(矩形状の一例)の形状であれば,前記脚部61〜63を本実施形態と同様の配置にした場合,当該画像処理装置Aの設置面に当接する脚部61〜63が,概ね二等辺三角形を形成することになることは言うまでもない。
【0012】
また,前記脚部61〜63が設けられた3箇所のうちの2箇所の前記脚部61,62は,ほぼ鉛直方向に形成された前記シート搬送経路40(図1参照)の下方の位置に設けられている。
ほぼ鉛直方向に形成された前記シート搬送路40には,シートを案内する前記シートガイド41の他,前記定着装置5や前記搬送ローラ4及びその駆動機構(不図示)等,画像形成用の記録シートを前記シート搬送経路40に沿って搬送する手段(シート搬送手段)が縦方向に複数配列されるため,その部分の下方には集中的に大きな荷重がかかる。このため,本実施形態のように,前記脚部61〜63が設けられる3箇所のうちの2箇所(前記脚部61,62の突設箇所)を,前記シート搬送経路40の下方に配置すれば,画像処理装置Aの設置状態が安定し,自重による本体の歪みも極力抑えられる。
なお,図2には,前記シート搬送経路40及びそれに沿って配置される前記搬送ローラ4等は取り外された状態が示されている。
【0013】
次に,図3〜図5を用いて,前記光学ユニットX1の支持構造(位置決め構造)について説明する。
前記光学ユニットX1は,その側壁側の一部が当該画像処理装置Aの本体側の構造体(本体構造体)の一部である鉛直位置決め板6aに対して2箇所で嵌合するとともに,その下面側の一部が同じく本体構造体の一部である水平位置決め板7aに当接することにより支持される。
図3の斜視図に示されるように,前記光学ユニットX1の外装を形成する前記ユニット筐体30の一の側面(以下,第一の側面13という)には,水平方向に所定距離間隔を隔てて2つの位置決め軸14が略水平方向に突設されている。一方,これに対向配置された前記鉛直位置決め板6aには,2つの前記位置決め軸14に対応する位置に2つの孔部15が形成されている。
2つの前記位置決め軸14各々は,2つの前記孔部15に摺動自在に嵌合され,これにより,前記光学ユニットX1の,図3に示されるyz平面内での位置が決定される。
また,前記ユニット筐体30の前記第一の側面13には,やはり水平方向に所定間隔を隔てて2つの側面側当接部16が略水平方向に突設されている。この側面側当接部16は,2つの前記位置決め軸14各々が2つの前記孔部15に嵌合された状態での摺動(図3に示すX軸方向の摺動)により,前記鉛直位置決め板6aの所定の基準面側(図2では陰になっている面)における2箇所において当接される。これにより,前記側面側当接部16の当接箇所(2箇所)において図1の左右方向(図2に示される座標軸でのx軸方向)の位置が決定され,さらに,水平方向の平面(図2に示される座標軸でのxy平面)における前記光学ユニットX1の向きも固定される。
【0014】
また,図4の下面側の斜視図に示されるように,前記光学ユニットX1の下面には,下面側当接部17が突設されている。この下面側当接部17は,前記水平位置決め板7aの所定の一箇所において当接し,これにより,前記光学ユニットX1の鉛直方向での(図3,図4に示されるz軸方向での)位置決めがなされる。
以上のように,2つの前記側面側当接部16,及び1つの前記下面側当接部17,の合計3ヵ所による当接により,前記光学ユニットX1(ユニット側筐体)は前記画像処理装置Aの構造体に対して位置決めされる。
また,前記光学ユニットX1は,2つの前記位置決め軸14及び1つの前記下面側当接部17の合計3箇所において支持される。
【0015】
ここで,2つの前記側面側当接部16にはネジ穴19が設けられている。また,前記鉛直位置決め板6aには,前記ネジ穴19に対応する位置に2つの貫通孔20が設けられている。即ち,この貫通孔20は,2つの前記位置決め軸14が2つの前記孔部15に嵌合し,2つの前記側面側当接部16が前記鉛直位置決め板6aに当接されている状態で,前記2つの前記ネジ穴19各々と重なる位置に形成されている。
そして,前記光学ユニットX1を前記鉛直位置決め板6aに取り付ける際には,前記鉛直位置決め板6aに設けられた前記貫通孔20に,前記側面側当接部16の当接面(前述の基準面)と反対側の面の方向から,先端部にネジが切られている段付きネジ付きのピン21が挿入され,前記側面側当接部16における前記ネジ穴19に螺着(取り付け)される。更に,前記ピン21の頭部と前記鉛直位置決め板6aとの間には弾性付勢手段としてバネ部材22が挟み込まれ,前記ピン21の前記ネジ穴19への締め付けに伴い弾性変形される。従って,前記ピン21の頭部には前記バネ部材22の復元力が作用し,これにより前記光学ユニットX1が前記鉛直位置決め板6aの方向に引き寄せられるように弾性付勢される。
【0016】
また,図4の斜視図に示すように,前記光学ユニットX1の1箇所で支持される側の側面,即ち,前記第一の側面12とは反対側の側面である第二の側面18には,その中央部に鉛直上下方向に伸びる溝23が形成されており,その溝23には水平方向の架橋部材24が設けられている。
また,前記光学ユニットX1の下方に配置された前記水平位置決め板7aの端部には,断面略L字状の折り曲げ部25が形成されており,その折り曲げ部25の中央部にはU字状の切欠き26が形成されている。
そして,前記架橋部材24と前記切欠き26との各々には,弾性部材であるバネ28の両端に形成されたフック27が係合される。これにより,前記バネ28が弾性変形し,その復元力により,前記光学ユニットX1における前記第二の側面18が形成される端部γ1(つまり,前記基準面に対して水平方向に付勢される端部β1とは反対側の端部)が,前記水平位置決め板7a(本体の構造体の一部)に向けて鉛直方向に弾性付勢され,前記光学ユニットX1の端部の水平方向へのズレが防止される。
【0017】
次に,図2に示す本体構造体の下面側の斜視図及び図6に示す平面図を用いて,当該画像処理装置Aの下面の前記脚部61〜63の位置と,前記光学ユニットX1の支持位置との関係について説明する。
図2に示すように,当該画像処理装置Aには,前記脚部61〜63が設けられた3箇所のうちの2箇所(前記脚部61,62の突設箇所)の上方各々に,その本体構造体の一部として,ほぼ鉛直方向に伸びる剛体部材(ここでは,金属部材)である2つの縦フレーム71,72が設けられている。この縦フレーム71,72各々は,前記感光体ドラム1BK,1M,1Y,1Cの配列方向にも伸びて本体構造体の一部を構成する側板フレーム部71b,72b(71bは後述の図6に示す)も形成するものとなっている。そして,これら縦フレーム71,72における側板フレーム部71b,72b各々に,剛体部材(ここでは,金属部材)である前記水平位置決め板7a(図1参照)が跨った状態で連結(固定)され,本体構造体の一部を構成している。
また,ほぼ水平方向に伸びてその長手方向が形成された剛体部材(ここでは,金属部材)である前記鉛直位置決め板6aは,前記縦フレーム71,72各々に対し,跨った状態で2箇所の連結部71a,72a各々において連結され,本体構造体の一部を構成している。
そして,前記光学ユニットX1は,前述したように,2つの前記位置決め軸14(図3参照)の部分で,前記鉛直位置決め板6aにより水平方向に所定間隔隔てた2箇所で支持されている。
【0018】
図6は,当該画像処理装置Aを下方から見たときの前記脚部61〜63の位置と前記光学ユニットX1の支持位置との関係を表す模式図である。
前述したように,前記脚部61〜63は,前記底板60下面(装置の下面)の縁部近傍に,概ね正三角形若しくは二等辺三角形(図中,2点鎖線で表す)を形成するように3箇所に設けられている。
また,図6に示すように,前記光学ユニットX1は,下から見て3箇所の前記脚部61〜63が形成する略正三角形(図中の2点鎖線)と同方向の三角形(図中の一点鎖線)を形成する3箇所(その同方向の三角形の角部)である,2つの前記位置決め軸14の部分,及び前記下面側当接部17の部分の計3箇所において本体構造体の一部である前記鉛直位置決め板6a若しくは前記水平位置決め板6aにより支持された構造を有している。
さらに,前記光学ユニットX1の支持箇所である2つの前記位置決め軸14の部分,及び前記下面側当接部17の部分の3箇所は,下から見て前記脚部61,62,63が設けられた3箇所各々の近傍位置に配置されている。
このような構成により,前記光学ユニットX1に組み込まれる光学機器が,装置本体の歪みの影響をほとんど受けずに高精度で位置決めされる。
【0019】
上述の実施形態では,画像処理装置の一例としてプリンタを例に挙げて本発明の説明を行なったが,これに限られるものではなく,複写機,ファクシミリ装置等にも当然適用可能であるし,また,これらの装置各々の機能を有する複合機にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置Aの概略構成を表す断面図。
【図2】画像処理装置Aの本体構造体を下面側から見た斜視図。
【図3】画像処理装置Aが具備する光学ユニットX1の2箇所で支持される側面側の上方側から見た斜視図。
【図4】光学ユニットX1を下方側から見た斜視図。
【図5】光学ユニットX1の1箇所で支持される側の上方側から見た斜視図。
【図6】画像処理装置Aを下方から見たときの脚部の位置と光学ユニットX1の支持位置との関係を表す模式図。
【符号の説明】
【0021】
A…本発明の実施の形態に係る画像処理装置
X1…光学ユニット
1BK,1M,1Y,1C…感光体ドラム
2BK,2M,2Y,2C…現像装置
3…中間転写ベルト
4…搬送ローラ
5…定着装置
6a…鉛直位置決め板
7a…水平位置決め板
12…給紙ローラ
14…位置決め軸
15…孔部
16…側面側当接部
17…下面側当接部
18…第二の側面
19…ネジ穴
20…貫通孔
21…ピン
30…光学ユニットの筐体
40…シート搬送経路
41…シートガイド
50…転写部
60…底板(装置の構造体の一部)
61〜63…脚部
71,72…縦フレーム(装置の構造体の一部)
71a,72a…連結部
71b,72b…側板フレーム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理に関する光学機器が一体成型された筐体に組み込まれた光学ユニットを具備する画像処理装置であって,
当該画像処理装置の下面の縁部近傍に設置面と当接する複数の脚部が略三角形の角部に相当する3箇所において当該画像処理措置の構造体に対して突設され,
前記光学ユニットが,下から見て3箇所の前記脚部が形成する略三角形と略同方向の三角形の角部に相当する3箇所において前記構造体により支持されてなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記光学ユニットが,下から見て3箇所の前記脚部各々と重なる位置若しくはその近傍位置の3箇所において前記構造体により支持されてなる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記脚部が,略矩形状の当該画像処理装置の下面における隣り合う2つの角部各々の近傍範囲と残り2つの角部に対する中間点の近傍範囲とに設けられてなる請求項1又は2のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項4】
画像形成用の記録シートを略鉛直方向のシート搬送経路に沿って搬送するシート搬送手段を具備し,
前記脚部が設けられた3箇所のうちの2箇所が,前記略鉛直方向のシート搬送経路の下方の位置である請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−142736(P2006−142736A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338488(P2004−338488)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】