説明

画像処理装置

【課題】表示画像の印象を変えないようにバックライトの光量を下げ、消費電力の低減を図りつつ、デバイスコストの上昇を抑えた、画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像データを取得して、複数の画素に関する情報を含む第1表示画像データを生成し、第一表示画像データに含まれている画素の輝度分布を表すヒストグラムを生成し、生成されたヒストグラムにおいて、輝度の高い領域のうち、輝度分布全体の面積比に対して所定の割合に相当する領域をカットオフ領域とし、そのカットオフ領域にある画素の輝度を100%に設定するとともに、輝度が0%から前記カットオフ領域の下限の輝度であるカットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、その輝度分布を維持しながら輝度0%から輝度100%になるように変更して第2表示画像データを生成する。第2表示画像データに基づく画像を、カットオフ輝度値に基づいて前記バックライトの光量の設定を変更し、表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、バックライトによる消費電力の削減を図った画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パソコンや携帯用の小型情報端末などには、液晶ディスプレイとバックライトとから構成された液晶表示ユニットが用いられていることが多い。この液晶表示ユニットは、画像を液晶ディスプレイに表示するとともに、この液晶ディスプレイの後からバックライトを照射することにより、ユーザの視認性の向上を図っている。
【0003】
このバックライトの光量は、ユーザが自らの好みで調節することができ、明るい画面を好むユーザは、バックライトの光量を高く設定し、逆に、暗い画面を好むユーザは、バックライトの光量を低く設定している。
【0004】
また、ノート型パソコンや携帯用の小型情報端末などでは、バッテリーだけで駆動するような使用態様も想定されており、バックライトの消費電力は、このバッテリーによる駆動時間に大きな影響を及ぼしている。バックライトを明るく設定すると、バッテリーによる駆動時間が短くなることから、ユーザが、画面の視認性を犠牲にして、あえてバックライトを暗い設定にしている場合もある。
【0005】
このようにユーザに不自由を強いてしまうという問題は、ノート型パソコンや携帯用の小型情報端末に限らず、液晶表示ユニットなどのバックライトを有する画像表示ユニットを備える画像処理装置で生じている。
【0006】
このため、特開平11−109317号公報(以下、特許文献1という)の画像処理装置では、表示画像の輝度値を上げるとともに、バックライトの光量を下げることにより、ユーザの表示画像に対する印象を変えないようにしつつ、バックライトによる消費電力の低減を図っている。しかし、この特許文献1の画像処理装置では、輝度値を上げた表示画像を生成ために専用の回路を用意しなければならず、デバイスコストの上昇を招いてしまっている。
【特許文献1】特開平11−109317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザに対する表示画像の印象を変えないようにバックライトの光量を下げることにより、バックライトによる消費電力の低減を図りつつ、デバイスコストの上昇を抑えた、画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像処理装置は、
画像データを取得して、複数の画素に関する情報を含む第1表示画像データを生成する、第1表示画像データ生成手段と、
前記表示画像データに含まれている画素の輝度分布を表すヒストグラムを生成する、ヒストグラム生成手段と、
前記ヒストグラム生成手段で生成されたヒストグラムにおいて、輝度の高い領域のうち、輝度分布全体の面積比に対して所定の割合に相当する領域をカットオフ領域とし、そのカットオフ領域にある画素の輝度を100%に設定するとともに、輝度が0%から前記カットオフ領域の下限の輝度であるカットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、その輝度分布を維持しながら輝度0%から輝度100%になるように変更して、第2表示画像データを生成する、第2表示画像データ生成手段と、
バックライトを有しており、前記第2表示画像データに基づく画像を表示する、画像表示ユニットと、
前記カットオフ輝度値に基づいて、前記バックライトの光量の設定を変更する、バックライト設定変更手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この場合、前記第1表示画像データに基づく画像も、前記画像表示ユニットに表示されるようにしてもよい。
【0010】
また、前記ヒストグラム生成手段は、最も明るい輝度の設定を100%とし、最も暗い輝度の設定を0%となるように、前記第1表示画像データに含まれている画素のヒストグラムを生成するようにしてもよい。
【0011】
また、前記第2表示画像データ生成手段は、輝度が0%から前記カットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、輝度値×100%/前記カットオフ輝度値により算出された値に変更するようにしてもよい。
【0012】
この場合、前記バックライト設定変更手段は、(100%−前記カットオフ輝度値)の値に相当する分だけ、前記バックライトの光量として設定されている設定値から下がるように、前記バックライトの光量を変更するようにしてもよい。
【0013】
また、前記画像データは、静止画の画像データであってもよい。
【0014】
本発明に係る画像処理装置の制御方法は、
画像データを取得して、複数の画素に関する情報を含む第1表示画像データを生成するステップと、
前記表示画像データに含まれている画素の輝度分布を表すヒストグラムを生成するステップと、
前記生成されたヒストグラムにおいて、輝度の高い領域のうち、輝度分布全体の面積比に対して所定の割合に相当する領域をカットオフ領域とし、そのカットオフ領域にある画素の輝度を100%に設定するとともに、輝度が0%から前記カットオフ領域の下限の輝度であるカットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、その輝度分布を維持しながら輝度0%から輝度100%になるように変更して、第2表示画像データを生成するステップと、
バックライトを有している画像表示ユニットに、前記第2表示画像データに基づく画像を表示するステップと、
前記カットオフ輝度値に基づいて、前記バックライトの光量の設定を変更するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプログラムは、
画像データを取得して、複数の画素に関する情報を含む第1表示画像データを生成するステップと、
前記表示画像データに含まれている画素の輝度分布を表すヒストグラムを生成するステップと、
前記生成されたヒストグラムにおいて、輝度の高い領域のうち、輝度分布全体の面積比に対して所定の割合に相当する領域をカットオフ領域とし、そのカットオフ領域にある画素の輝度を100%に設定するとともに、輝度が0%から前記カットオフ領域の下限の輝度であるカットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、その輝度分布を維持しながら輝度0%から輝度100%になるように変更して、第2表示画像データを生成するステップと、
バックライトを有している画像表示ユニットに、前記第2表示画像データに基づく画像を表示するステップと、
前記カットオフ輝度値に基づいて、前記バックライトの光量の設定を変更するステップと、
を画像処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置10の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。この図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)20と、メモリ22と、メモリ制御部24と、ハードディスクドライブ26と、液晶ディスプレイ駆動回路30と、バックライト制御回路32と、液晶表示ユニット40と、バッテリー50とを備えて構成されている。また、液晶表示ユニット40は、液晶ディスプレイ42と、バックライト44とを備えて構成されている。
【0018】
CPU20は、この画像処理装置10の各種の制御を行うためのユニットであり、本実施形態では、ハードディスクドライブ26から読み込んだ静止画の画像データに基づいて、表示画像データを生成し、液晶表示ユニット40に表示する処理を行う。メモリ22は、いわゆるRAM(Random Access Memory)により構成されており、CPU22が各種の処理を行う際に必要となるデータやプログラムや、一時的に、格納される。
【0019】
ハードディスクドライブ26からデータやプログラムをメモリ22に読み込むための制御は、メモリ制御部24が行う。すなわち、メモリ制御部24は、いわゆるDMAコントローラにより構成されており、CPU20からの指示に基づいて、メモリ制御部24が駆動され、CPU20に指定されたデータやプログラムが、メモリ制御部24の制御の下、ハードディスクドライブ26から読み出されて、メモリ22に格納される。
【0020】
液晶ディスプレイ駆動回路30は、CPU20からの指示に基づいて、メモリ22から表示画像データを取得して、液晶ディスプレイ42を駆動し、画像を液晶ディスプレイ42に表示する。本実施形態においては、この液晶ディスプレイ42は、2枚の透明基板の間に液晶と偏光板が挟まれて構成されている。そして、マトリックス状に配置された複数のトランジスタを液晶ディスプレイ駆動回路30が個別に駆動制御して、液晶に電圧を印加することにより、所定の画像を液晶ディスプレイ42に形成する。また、本実施形態においては、2枚の透明基板の間にカラーフィルターが設けられており、カラーの画像が液晶表示ユニット40に表示されるように構成されている。さらに、液晶ディスプレイ42に後側には、バックライト44が配置されており、液晶ディスプレイ42に形成された画像の視認性の向上が図られている。
【0021】
バックライト制御回路32は、CPU20からの指示に基づいて、バックライト44を駆動する。すなわち、バックライト制御部32は、CPU20からの指示に基づいて、バックライトを点灯したり、消灯したりするとともに、バックライト44に印加される電圧を制御して、バックライト44の光量を上げたり、下げたりする。一般に、バックライト44の光量が増加すると、液晶ディスプレイ42に表示された画像に対するユーザの視認性は向上すると言われている。
【0022】
バッテリー50は、この画像処理装置10内の各所に電源を供給する。バッテリー50は、いわゆる再充電可能な二次電池により構成されている。なお、本実施形態における画像処理装置10は、家庭用のコンセントから取得したAC電源でも駆動するように構成されており、バッテリー50に対する充電も、AC電源から供給した電源により行われる。
【0023】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置10において、液晶表示ユニット40に画像を表示する仕組みを概念的に説明するための図である。この図2に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10においては、メモリ22に、第1画像格納領域60と、第2画像格納領域70とが形成される。これら第1画像格納領域60と第2画像格納領域70は、いわゆるVRAMと呼ばれるデータ格納領域である。
【0024】
そして、例えば、第1画像格納領域60に展開された表示画像データに基づいて、液晶表示ユニット40に画像が表示されている間に、第2画像格納領域70に次の画像データに基づく表示画像データが展開され、格納される。そして、次の画像を液晶表示ユニット40に表示する際には、液晶ディスプレイ駆動回路30は、第2画像格納領域70に展開されている表示画像データに基づいて液晶表示ユニット40に画像を表示する。これにより、液晶表示ユニット40における画像切替が迅速に行えるようにしている。本実施形態においては、駆動回路30は、第1画像格納領域60に格納されている表示画像データと、第2画像格納領域70に格納されている表示画像データとを、33m秒間隔で交互に切り換えて、液晶表示ユニット40に出力する。すなわち、本実施形態における液晶表示ユニット40は、1フレームが33m秒である。
【0025】
次に、図3に基づいて、この画像処理装置10で実行される画像表示処理について、説明する。本実施形態においては、この図3に示す画像表示処理は、ハードディスクドライブ26に格納されている画像表示処理プログラムをCPU20が読み込んで実行することにより、実現される処理である。また、この画像表示処理は、ユーザの指示やCPU20のプログラム処理により、液晶表示ユニット40に表示する静止画像が特定された場合に、各静止画像毎に駆動される処理である。
【0026】
この図3に示すように、画像処理装置10は、指定された画像を液晶表示ユニット40に表示する(ステップS100)。具体的には、画像処理装置10は、ハードディスクドライブ26から指定された画像データを読み出して、画像表示データに展開して、メモリ22内の第1画像格納領域60又は第2画像格納領域70に格納する。そして、液晶ディスプレイ駆動回路30が展開された表示画像データに基づいて、液晶ディスプレイ42を駆動制御して、液晶表示ユニット40に画像を表示する。これにより、例えば、図4に示すような画像が、液晶表示ユニット40に表示される。このことから分かるように、画像表示データには、画像を形成するための複数の画素に関する情報が含まれている。また、各画素の情報は、一般に、赤、緑、青の3つの色の表示階調に関する情報が含まれている。
【0027】
次に、画像処理装置10は、表示した画像のヒストグラムを生成する(ステップS110)。図5は、このステップS110で生成されるヒストグラムHG10の一例を示す図である。この図5に示すように、ヒストグラムHG10では、横軸は輝度を表しており、本実施形態では、この輝度は、0%から100%の値で表現される。この輝度は0%が最も暗い値であり、100%が最も明るい値である。縦軸はその輝度における頻度、すなわち画素数を表している。頻度が大きくなるほど、それに対応する輝度の画素数が多いことを表している。対応する輝度の画素がまったく無い場合には、その頻度は0となる。
【0028】
このステップS110では、画像処理装置10は、メモリ22に展開されている表示画像データを読み出して、この表示画像データに基づいて、ヒストグラムHG10を生成する。すなわち、メモリ22の第1画像格納領域60又は第2画像格納領域70に格納されている表示画像データに基づいて、各画素の輝度を取得してカウントする。そして、このカウント結果に基づいて、ヒストグラムHG10を生成する。表示画像データにおける各画素が、赤、緑、青の3つの色の表示階調で表現されている場合には、各色の表示階調に基づいて輝度を算出する。
【0029】
なお、このステップS110では、ハードディスクドライブ26から読み出した画像データに基づいて、各画素の輝度を算出するようにしてもよい。画像データから輝度を算出する際に、画像データのフォーマットに各画素毎の輝度情報が含まれている場合には、この輝度情報を用いて、各画素の輝度を求めればよい。一方、画像データのフォーマットに各画素の輝度情報が含まれていない場合には、そのフォーマットに含まれている画素情報に基づいて輝度情報を算出すればよい。
【0030】
この各画素の輝度のカウントは、ある1つの画素の輝度を取得して、その画素が例えば50%であれば、50%の輝度の頻度をプラス1する。このカウント処理をすべての画素について行えば、ヒストグラムHG10を作成することができる。但し、画素数が多い場合には、輝度を取得してカウントする画素数を間引くようにしてもよい。例えば、2画素につき1画素の割合で、輝度を取得するようにしてもよいし、矩形領域を形成する4画素のうちの1画素についてのみ輝度を取得するようにしてもよい。
【0031】
次に、画像処理装置10は、カットオフするカットオフ輝度値を決定する(ステップS120)。すなわち、ステップS110で生成されたヒストグラムHG10に基づいて計算により、カットオフ輝度値を決定する。本実施形態では、生成されたヒストグラムHG10を積分して、輝度分布全体の面積を求め、この輝度分布全体の面積のうち、輝度の高い方の10%に相当する領域がカットオフ領域の対象となるように、カットオフ輝度値を決定する。すなわち、カットオフ領域の下限となるカットオフ輝度値を、カットオフ領域が輝度分布全体の10%になるように設定する。
【0032】
但し、このカットオフ輝度値は、90%や95%というように、予め固定値として定めておくようにしてもよい。また、カットオフする面積比を画像処理装置10の設定モードに応じて、変更するようにしてもよい。例えば、画像処理装置10がパワーセーブモードに設定されている場合には、輝度分布全体の面積における輝度の高い方の30%に相当する面積が、カットオフ領域の対象となるようにカットオフ輝度値を決定しても良いし、画像処理装置10が高精細表示モードに設定されている場合には、輝度分布全体の面積における輝度の高い方の5%に相当する面積だけが、カットオフ領域の対象となるようにカットオフ輝度値を決定しても良い。
【0033】
次に、画像処理装置10は、表示画像データの各画素の輝度を変更する(ステップS130)。すなわち、画像処理装置10は、ステップS120で決定したカットオフ輝度値に基づいて、メモリ22に格納されている表示画像データの各画素の輝度を全体的に上げる。本実施形態では、例えば、変更後の輝度=元の輝度×100%/(カットオフ輝度値)により算出する。但し、変更後の輝度の最大値も100%であり、計算結果が100%を超えた画素については、変更後の輝度は100%とする。
【0034】
例えば、ステップS120で決定したカットオフの輝度値が90%であったとすると、このステップS130の処理により、現在の輝度が90%の画素は、その輝度が100%に変更される。また、現在の輝度が10%の画素は、その輝度が11.1%に変更される。但し、現在の輝度が90%以上100以下の画素については、その輝度はすべて100%に集約される。
【0035】
輝度を変更した後の表示画像データのヒストグラムを仮に生成したとすると、例えば、図6に示すようになる。すなわち、輝度変更後のヒストグラムHG20では、ヒストグラムHG10の元の輝度値が90%以上の画素については、すべて100%の輝度に集約される。また、元の輝度値が0%以上90%未満の画素については、それぞれの輝度が0%以上100%未満の間に伸張される。
【0036】
変更後の輝度により構成された表示画像データは、変更前の表示画像データが格納されている画像格納領域とは別の画像格納領域に格納される。すなわち、変更前の表示画像データが第1画像格納領域60に格納されている場合には、変更後の表示画像データは第2画像格納領域70に格納される。また、変更前の表示画像データが第2画像格納領域70に格納されている場合には、変更後の表示画像データは第1画像格納領域60に格納される。これにより、次のフレーム期間で液晶表示ユニット40に表示に表示される画像が輝度を変更した後の画像に切り替わる。
【0037】
次に、画像処理装置10は、ステップS120で決定したカットオフ輝度値に基づいて、バックライト44の光量を変更する(ステップS140)。すなわち、例えばステップS120でカットオフ輝度値が90%に決定していた場合には、高い輝度の10%分の領域がカットオフされるので、画像処理装置10は、バックライト44の光量を10%分減少させる。具体的には、画像処理装置10のバックライト制御回路32は、バックライト44の電圧を10%分低くする。但し、バックライト44の光量とバックライト44の電圧との関係が非線形であり、カットオフされた輝度の割合で単純に電圧を下げただけでは適正な効果が得られない場合には、何らかの換算式を用いて、バックライト44の電圧を下げる割合を決定するようにすればよい。
【0038】
また、本実施形態のステップS140では、画像処理装置10のバックライト44の光量のユーザ設定に基づいて、光量を変更することとしている。例えば、ユーザが画像処理装置10のバックライト44の設定を100%の光量に設定している場合には、このバックライト44の設定値100%から、10%低く光量を設定して、90%の光量に変更する。また、ユーザが画像処理装置10のバックライト44の設定を50%の光量に設定している場合には、このバックライト44の設定値50%から、10%低く光量を設定して、45%の光量に変更する。
【0039】
このステップS140により、本実施形態に係る画像表示処理は終了する。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置10によれば、表示画像データの各画素の輝度を上げるとともに、バックライト44の光量をその分下げることとしたので、ユーザの表示画像に対する印象を大きく落とすことなく、バックライト44で消費される電力を削減することができる。すなわち、表示画像のヒストグラムHG10を生成し、このヒストグラムHG10において、カットオフ輝度値以上の輝度を有する画素をカットオフする画素として、輝度100%に設定変更するとともに、0%の輝度からカットオフ輝度値までの画素の輝度を0%から100%に引き延ばして、ヒストグラムの輝度分布が大きく変わらないようにした。このため、バックライト44の光量をその分落としても、液晶表示ユニット40に表示される画像の印象を大きく変えないようにすることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る画像表示処理は、CPU20により実行されるソフトウェアで実現されるので、ハードウェアで実現する場合と比べて、製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した画像処理装置10では、静止画の画像データに基づいて液晶表示ユニット40に画像を表示する場合を例に本発明を説明したが、動画の画像データに基づいて液晶表示ユニット40に画像を表示する場合にも本発明を適用することができる。
【0043】
また、上述した実施形態では、画像表示ユニットが液晶表示ユニット40である場合を例に本発明を説明したが、画像表示ユニットは光量を調整できるバックライトを備えているものであれば、本発明を同様に適用できる。
【0044】
また、上述した実施形態では、バックライトの光量を変更する前の画像もステップS100で表示することとしたが、画像が切り替わって次の画像が表示されるまでの時間が僅かに遅れても差し支えない場合には、バックライトの光量を変更する前の画像は表示しないようにすることもできる。但し、本実施形態のように、バックライトの光量を変更する前の画像を表示する場合でも、通常、1フレームの時間は33m秒であるため、表示された画像の変化は肉眼では認識できないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の内部構成の一例を示すブロック図。
【図2】メモリに形成される第1画像格納領域と第2画像格納領域と液晶表示ユニットと関係を概念的に説明する図。
【図3】図1の画像処理装置で実行される画像表示処理の内容を説明するフローチャートを示す図。
【図4】図1の液晶表示ユニットに表示される画像の一例を示す図。
【図5】液晶表示ユニットに表示された画像のヒストグラムの一例を示す図。
【図6】図3の画像表示処理で変更された表示画像のヒストグラムの一例を示す図。
【符号の説明】
【0046】
10 画像処理装置
20 CPU
22 メモリ
24 メモリ制御部
26 ハードディスクドライブ
30 液晶ディスプレイ駆動回路
32 バックライト制御回路
40 液晶表示ユニット
42 液晶ディスプレイ
44 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得して、複数の画素に関する情報を含む第1表示画像データを生成する、第1表示画像データ生成手段と、
前記表示画像データに含まれている画素の輝度分布を表すヒストグラムを生成する、ヒストグラム生成手段と、
前記ヒストグラム生成手段で生成されたヒストグラムにおいて、輝度の高い領域のうち、輝度分布全体の面積比に対して所定の割合に相当する領域をカットオフ領域とし、そのカットオフ領域にある画素の輝度を100%に設定するとともに、輝度が0%から前記カットオフ領域の下限の輝度であるカットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、その輝度分布を維持しながら輝度0%から輝度100%になるように変更して、第2表示画像データを生成する、第2表示画像データ生成手段と、
バックライトを有しており、前記第2表示画像データに基づく画像を表示する、画像表示ユニットと、
前記カットオフ輝度値に基づいて、前記バックライトの光量の設定を変更する、バックライト設定変更手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1表示画像データに基づく画像も、前記画像表示ユニットに表示される、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ヒストグラム生成手段は、最も明るい輝度の設定を100%とし、最も暗い輝度の設定を0%となるように、前記第1表示画像データに含まれている画素のヒストグラムを生成する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2表示画像データ生成手段は、輝度が0%から前記カットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、輝度値×100%/前記カットオフ輝度値により算出された値に変更する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記バックライト設定変更手段は、(100%−前記カットオフ輝度値)の値に相当する分だけ、前記バックライトの光量として設定されている設定値から下がるように、前記バックライトの光量を変更する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像データは、静止画の画像データであることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像データを取得して、複数の画素に関する情報を含む第1表示画像データを生成するステップと、
前記表示画像データに含まれている画素の輝度分布を表すヒストグラムを生成するステップと、
前記生成されたヒストグラムにおいて、輝度の高い領域のうち、輝度分布全体の面積比に対して所定の割合に相当する領域をカットオフ領域とし、そのカットオフ領域にある画素の輝度を100%に設定するとともに、輝度が0%から前記カットオフ領域の下限の輝度であるカットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、その輝度分布を維持しながら輝度0%から輝度100%になるように変更して、第2表示画像データを生成するステップと、
バックライトを有している画像表示ユニットに、前記第2表示画像データに基づく画像を表示するステップと、
前記カットオフ輝度値に基づいて、前記バックライトの光量の設定を変更するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
画像データを取得して、複数の画素に関する情報を含む第1表示画像データを生成するステップと、
前記表示画像データに含まれている画素の輝度分布を表すヒストグラムを生成するステップと、
前記生成されたヒストグラムにおいて、輝度の高い領域のうち、輝度分布全体の面積比に対して所定の割合に相当する領域をカットオフ領域とし、そのカットオフ領域にある画素の輝度を100%に設定するとともに、輝度が0%から前記カットオフ領域の下限の輝度であるカットオフ輝度値の間にある画素の輝度を、その輝度分布を維持しながら輝度0%から輝度100%になるように変更して、第2表示画像データを生成するステップと、
バックライトを有している画像表示ユニットに、前記第2表示画像データに基づく画像を表示するステップと、
前記カットオフ輝度値に基づいて、前記バックライトの光量の設定を変更するステップと、
を画像処理装置に実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−175880(P2008−175880A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6999(P2007−6999)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】