説明

画像処理装置

【課題】パスワードの付された複数のファイルについて処理を行う際に、ユーザの操作負担を軽減することのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】
複合機1の記憶装置3には、画像データのファイルがパスワードを付されて記憶されており、ジョブ実行制御部82の制御の下、ジョブ実行部9は、同一のパスワードが付された複数のファイルについて一括してジョブを実行することができる。また、入力受付部73は、複数のパスワードを一括して受け付け可能であり、ジョブ実行部9は、これら複数のパスワードに対応するファイルに対しても、一括してジョブを実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿から画像を取得して、その画像を用紙上に印刷又は外部装置に送信する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが入力したパスワードをデータファイルに付して保存し、このファイルの閲覧や変更を制限することのできるが提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−197833号公報(段落[0031]等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、複数のファイルを送信、印刷等したい場合には、ユーザは、1のファイルに対応するパスワードを入力し、このファイルについて送信又は印刷の指示を画像処理装置に入力するという操作を、繰り返すことを求められる。そのため、複数のファイルの処理を希望するユーザにとっては、操作にかかる負担が大きいという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、従来の技術に鑑み、ユーザへの負担を軽減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の画像処理装置は、原稿から又は外部装置から画像データを取得するデータ取得部と、上記画像データを記憶可能な記憶装置と、上記記憶装置に、上記画像データをファイルとして記憶させることができ、上記ファイルにパスワードを付して記憶させることができ、上記パスワードは複数のファイルについて同一であってもよい記憶制御部と、上記画像データについて、印刷ジョブ及び送信ジョブの少なくとも一方を行うジョブ実行部と、上記ジョブの依頼及びパスワードの入力を受け付けるジョブ依頼受付部と、上記ジョブ依頼受付部が受け付けた1回の依頼において、入力された上記パスワードが複数のファイルに付されている場合、上記複数のファイルについてジョブを実行するように上記ジョブ実行部を制御するジョブ実行制御部と、を備える。
【0006】
この画像処理装置は、パスワードが付された複数のファイルについて、1回の依頼にて、一括してジョブを実行することができる。それゆえ、ユーザにかかる操作負担が軽減される。
【0007】
請求項2に記載するように、請求項1の画像処理装置は、上記ジョブ依頼受付部が、1回の上記依頼において、複数のパスワードの入力を受け付けることができるようになっていてもよい。
【0008】
この画像処理装置によれば、互いに異なるパスワードが付されたファイルについても一括して処理が可能なので、ユーザの操作負担がさらに軽減される。
【0009】
請求項3に記載するように、請求項1又は2の画像処理装置において、上記ジョブ依頼受付部が入力を受け付けた上記パスワードに対応するファイルの情報を、一覧としてユーザに提示する一覧提示部をさらに備えてもよい。
【0010】
この画像処理装置によれば、入力されたパスワードに対応するファイル、つまりジョブ実行可能なファイルを、ユーザが確認することができる。よって、ジョブが実行されるとユーザが予測するファイルと、実際にジョブが実行されるファイルとが一致するかどうか、ユーザによる確認が可能となる。
【0011】
請求項4に記載するように、請求項1〜3のいずれか1項の画像処理装置は、上記ジョブ実行部によるジョブ実行の対象となるファイルを、ユーザに指定させるファイル指定受付部をさらに備えてもよい。
【0012】
この画像処理装置によれば、ユーザの意向により沿った処理を行うことができる。
【0013】
また、請求項5に記載するように、請求項1〜4の画像処理装置は、各ファイルに付すためのパスワードの設定を受け付ける、パスワード設定受付部をさらに備えてもよい。
【0014】
この画像処理装置によれば、ユーザの意思に基づいてパスワードが設定されるので、ユーザの意向により沿った処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像処理装置は、パスワードが付された複数のファイルについて、1回の依頼にて、一括してジョブを実行することができる。それゆえ、ユーザにかかる操作負担が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態として、プリンタ、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有する所謂複合機(MFP、Multi Function Peripheral)1を挙げて説明する。複合機以外にも、少なくともデータ送信機能又は印刷機能を備える装置であれば、本発明を好適に採用可能である。
【0017】
(1)複合機1の概要
図1を参照して、複合機1の構成の概略について説明する。図1は、複合機1の要部構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、複合機1は、スキャナ2、記憶装置3、印刷部4、画像処理部5、通信部6、操作パネル7、及び制御装置8等を備え、これらの機能部は、データバス10によって接続されている。
【0019】
また、複合機1はコンタクトガラス及び原稿搬送装置をさらに備える(図示せず)。スキャナ2は、コンタクトガラス上に載置された原稿、又は原稿搬送装置によって搬送される原稿を読み取る装置である。具体的にはスキャナ2は、CCD等のイメージセンサ、及び、イメージセンサからから出力されたアナログ信号をデジタル化するADコンバータ等を備え、原稿上の画像を読み取って画像データを取得する。
【0020】
記憶装置3は種々のデータを記憶可能な記憶媒体である。記憶装置3が記憶するデータとしては、例えばスキャナ2の取得した画像データファイル、及び外部装置から得た画像データファイル等を挙げることができる。記憶装置3は一時的な記憶用にRAM(Read Only Memory)等の揮発性メモリを、長期の記憶用にHDD等の不揮発性メモリを備える。
【0021】
印刷部4は、画像データに基づいて、用紙上に画像を印刷することができる。印刷部4としては、インクジェット記録装置又は電子写真式記録装置等が好適に用いられる。
【0022】
画像処理部5は、画像メモリ3から受け取った画像データを送信用画像データに変換したり、通信装置6が外部装置から受信したPDL(Page Description Language)をラスタライズしたりすることができる。ラスタライズされた画像データは、上記記憶装置3に記憶可能である。
【0023】
通信装置6は、ネットワーク通信部61及びファクシミリ通信部62等を備える。
【0024】
ネットワーク通信部61は、インターネット又はLAN等を介して外部装置と電子データのやり取りをするインターフェースを含む。ネットワーク通信部61は、具体的にはクライアント‐サーバシステム等のファイルシステムプロトコルによって、外部装置と電子ファイルの共有及び転送等を行ったり、外部装置と電子メールの送受信を行ったりすることができる。
【0025】
ファクシミリ通信部62は、モデム(MODEM:MOdulator/DEModulator)等を備え、G3(Group3)規格やG4(Group4)規格等に準拠して、ファクシミリの送受信を行うことができる。
【0026】
操作パネル7については、図2を参照して後述する。
【0027】
制御装置8は、複合機1内の各部の動作を制御したり、種々のデータ処理等を行ったりすることができる。制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)、並びに、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体によって構成可能である。CPUはROM内のプログラムを読み出して実行することで、制御装置8の各種機能を実現することができる。RAMは、CPUの作業領域として機能することができる。制御装置8の詳細な機能については、後述する。
【0028】
(2)操作パネル7
操作パネル7の概要について、図2を参照して説明する。図2は、操作パネル7の平面図である。
【0029】
図2に示すように、操作パネル7は、タッチパネル71、並びに、テンキー、スタートキー、ストップキー、キャンセルキー、機能選択キー等のハードキー群72等を備える。機能選択キーとは、複合機の機能である、ボックス、コピー、スキャナ、送信(データ転送、メール送信、ファクシミリ送信を含む)のいずれかを選択するためのキーである。タッチパネル71は、液晶表示パネルである表示部711(図3)及びタッチセンサを備える。ハードキー群72及びタッチセンサは、ユーザからの入力を受け付ける入力受付部73として機能する(図3)。
【0030】
(3)パスワード設定
図3及び図4を参照して、ファイルにパスワードを付す場合の複合機1の動作について、説明する。図3は複合機1内でのデータの流れを示すブロック図であり、図4はパスワード付加時の複合機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【0031】
図3に示すように、制御装置8は、表示制御部81、ジョブ実行制御部82、記憶制御部83、パスワード認証部84等を備える。各部の機能について簡単に説明すると、以下の通りである。表示制御部81は、表示部711を制御して種々の画面を表示させる。ジョブ実行制御部82は、印刷部4を制御して印刷を実行させる印刷制御部と、通信装置6を制御してファイル転送、ファクシミリ送信、電子メール送信のいずれかを実行させる通信制御部と、を含む。記憶制御部83は、記憶装置3を制御して、特に電子ファイルを、パスワードを付して記憶させることができる。パスワード認証部84は、入力受付部73又は通信装置6を介してユーザから入力されたパスワードと、記憶装置3内のファイルに付されたパスワードとを比較して、両者が一致するかどうかを判断することができる。
【0032】
また、記憶装置3は、その不揮発性領域にボックス格納部(図示せず)を備える。ボックス格納部内には、複数のドキュメントボックス(以下、単に「ボックス」と称する)が設けられている。この「ボックス」は、「フォルダ」と言い換えてもよい。
【0033】
説明の便宜上、図3では、印刷部4及び通信装置6を、まとめてジョブ実行部9として表す。
【0034】
複合機1の有する機能のうち、ボックス機能がユーザにより指定されると(ステップS100でYes)、表示制御部81は、保存先指定画面W11を表示部711に表示させる(ステップS101)。ユーザは、ハードキー群72に含まれる機能選択キーのうち、ボックスキーを押下することで、ボックス機能を指定することができる。ボックス機能が指定されないと(ステップS100でNo)、ファイルが保存されることなく、一連の動作は終了する。
【0035】
図5に示すように、保存先指定画面W11は、複数のボックス選択キーK11、キャンセルキーK12、パスワード設定キーK13及びOKキーK14等を含む。複数のボックス選択キーK11は、記憶装置3内のボックス(B01、B02等)にそれぞれ対応する。本実施形態では、ボックスは複数のグループに分けられ、保存先指定画面W11では、グループ毎にボックス選択キーK11が表示される。
【0036】
ボックス選択キーK11のいずれかが押下され、かつパスワード設定キーK13が押下されると、表示制御部81は、パスワード設定画面W12を表示部711に表示させる(S102でYes→S103)。
【0037】
また、保存先指定画面W11でOKキーK14が押下されると、パスワードが付されることなく、ファイルが保存される((ステップS102でNo→S105)。
【0038】
なお、保存先指定画面W11でキャンセルキーK12が押下されると、ファイルが保存されることなく一連の動作は終了する。
【0039】
図6に示すように、パスワード設定画面W12は、パスワード入力欄C1、キャンセルキーK16、及びOKキーK17等を含む。
【0040】
入力受付部73は、ハードキー及びソフトキー等により構成されるテンキー及びアルファベットに対応するキーボード等を介して、ユーザからパスワードの入力を受け付けることができる。こうして受け付けられたパスワードは、パスワード入力欄C1に、伏字で表示される。パスワードは、数字及びアルファベット等の文字を組合せた文字列である。
【0041】
パスワードが入力された状態で、パスワード設定画面W12のOKキーK17が押下されると、パスワードが確定され(ステップS104でYes)、記憶制御部83の制御の下、保存先指定画面W11で押下されたボックス選択キーK11に対応するボックスに、ファイルが、入力されたパスワードと関連付けて保存される(ステップS105)。
【0042】
なお、保存されるファイルは、スキャナ2が取得した画像データのファイルであってもよいし、ネットワーク通信部61が、クライアントPC200等の外部装置から受け取ったデータのファイルであってもよい。つまり、スキャナ2及び通信装置6は、画像データを取得するデータ取得部として機能する。「画像データ」は、画像、文字、記号等のデータを含む。また、「ファイル」は、「ドキュメント」と呼ばれることもある。
【0043】
なお、パスワード設定画面W12でキャンセルキーK16が押下されると、表示は前画面W11に戻る。
【0044】
(4)ファイルに対する処理の実行
さらに図7を併せて参照して、ボックス内のファイルに対する処理実行時の複合機1の動作について説明する。図7は、複合機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【0045】
(4-1)ファイルの指定
送信及び印刷等の処理を行うように、又はドキュメントボックスの内容を表示するように、とのユーザの指示を、入力受付部73が受け取ると、図7の一連の動作が開始される。
【0046】
表示部711は、表示制御部81の制御の下、ボックス選択画面(図示せず)を表示する(ステップS200)。ボックス選択画面は、上述の保存先指定画面W11と略同一の構成であり、ユーザにボックス記憶部31内の複数のボックスから、1つのボックスを選択させる。ボックスが選択されると、表示部711はファイル指定画面W21を表示する(ステップS201)。
【0047】
図8に示すように、ファイル指定画面W21は、ファイルリストL、複数の処理選択キーK20、OKキーK201等を含む。
【0048】
ファイルリストLは、選択されたボックス内に格納されたファイル名の一覧である。ファイルリストLには、ファイル名の他、ファイル名、作成日時、サイズ等のファイルに関する情報が含まれる。リストLにはチェックボックスCBが含まれる。チェックボックスCBは、1のファイル名に対して1つ設けられる。
【0049】
ユーザがファイル名のいずれかに触れる等の操作を行うと、表示制御部81は、このファイル名に対応するチェックボックスCBにチェックマークを表示させる。ユーザは、複数のチェックボックスCBをチェックすることで、複数のファイルを選択することができる。また、ファイル指定画面W21は一括指定キーK202を備えており、この一括指定キーK202が押下されると、同一ボックス内の全てのファイルが処理対象に設定される。
【0050】
複数の処理選択キーK20は、ボックス記憶部31内のファイルについて複合機1が実行可能な処理に、それぞれ対応する。これらの処理として、例えば、印刷、送信、結合、移動、及び削除等が挙げられる。印刷及び送信は、それぞれ印刷部4及び通信装置6が実行する。結合は、制御装置8内の画像編集部(図示せず)によって、選択された複数のファイルを1のファイルに結合し、結合後のファイルを記憶制御部83の制御下で記憶装置3内に記憶することを、移動はファイルの保存先(ボックス)を変更することを、削除は選択されたファイルを記憶装置3内から削除することを指す。
【0051】
ファイル指定画面W21においては、或る処理選択キーK20が押下された状態で、他の処理選択キーK20も押下可能になっている。つまり、ユーザは、1つのファイル指定画面W21で複数の処理を選択可能である。
【0052】
以上のように、ファイル指定画面W21は、処理対象として複数のファイルの指定を受け付けることができると共に、複数種類の処理の実行指示を受け付けることができる。
【0053】
ファイルリストLのファイルのいずれかが選択された状態(チェックボックスCBにチェックマークが入った状態)で、処理選択キーK20のいずれかが押下され、さらにOKキー201が押下されると、選択されたファイルのいずれかにパスワードが設定されている場合には(ステップS202でYes)、表示制御部81は、表示部711に、パスワード入力画面W22を表示させる(ステップS203)。
【0054】
一方、選択されたファイルのいずれにもパスワードが付されていなければ、表示部711は、パスワード入力画面W22を表示せずに、選択されたファイルについて、押下された処理選択キーK20に対応する処理が行われる(ステップS202でNo→ステップS207)。
【0055】
(4-2)パスワード照合
図9に示すように、パスワード入力画面W22は、パスワード入力欄C21、キャンセルキーK21、連続入力キーK22、OKキーK23等を含む。
【0056】
図9では、1つのパスワード入力画面W22に設けられるパスワード入力欄C21は1つとなっている。そして、連続入力キーK22が押下されると、表示部711は、他のパスワード入力画面W22を表示する。こうして、パスワード入力画面W22により、連続して複数のパスワード入力が受け付けられる。キャンセルキーK21が押下されると1つ前の画面に戻り、OKキー23が押下されると、パスワードが確定し、パスワードの照合が行われる(S204)。
【0057】
なお、複数のパスワードの入力を受け付けるには、1つのパスワード入力画面W22に複数のパスワード入力欄C21が設けられていてもよい。このとき、1のパスワード入力画面W22に表示されるパスワード入力欄C21は、ファイル指定画面W21でチェックされたファイルに応じて、入力すべきパスワードの種類の数だけ設けられてもよい。例えば、ファイル指定画面W21で選択された複数のファイルのうち、パスワードがかけられているファイルが3つであり、そのうち2つのファイルについては同じパスワードがかけられているとする。この場合は、入力が必要なパスワードは2種類となる。よって、1つのパスワード入力画面W22において、2つのパスワード入力欄C21が表示される。
【0058】
入力受付部73がパスワードの入力を受け付けると、表示制御部81の制御の下、表示部711により、パスワード入力欄C21に伏字で表示される。
【0059】
パスワード認証部84は、こうして入力されたパスワードと、選択されたファイルのパスワードとを比較し、これらが一致するかどうか判断する(ステップS204)。
【0060】
表示制御部81は、表示部711に、照合結果の一覧を表示させる(ステップS205)。この一覧は、図10に示す照合結果表示画面W23に表示される。
【0061】
図10に示すように、照合結果表示画面W23は、第1表示欄C23、第2表示欄C24、再入力キーK24、及びOKキーK25等を含む。
【0062】
第1表示欄C23には、ファイル指定画面W21で指定されたファイルであって、パスワードが付されたファイルのうち、付されたパスワードとパスワード入力画面W22で入力されたパスワードとが一致するファイルのファイル情報(ファイル名、サイズ等)が表示される。
【0063】
パスワード入力画面W22で複数のパスワードが入力された場合は、第1表示欄C23はパスワード毎に複数設けられてもよい。この場合、例えば2つのパスワードが入力された場合は、そのうちの1つに合致したファイルの情報を表示する第1表示欄C23と、他のパスワードに合致したファイルの情報を表示する他の第1表示欄C23とが、照合結果表示画面W23に含まれる。
【0064】
また、第1表示欄C23は、ファイル指定画面W21と同様に、チェックボックスを含んでもよい。つまり、第1表示欄C23は、このチェックボックスによって、パスワードが合致したファイルから、実際に処理を施す対象となるファイルを、ユーザにさらに絞り込ませることもできる。
【0065】
第2表示欄C24には、パスワード入力画面W22で入力されたパスワードのいずれにも合致しないファイルの情報の一覧が表示される。
【0066】
照合結果表示画面W23は、ファイル指定画面W21で指定されたファイル中に、パスワードが付されていないファイルが存在する場合は、これらのファイルの情報の一覧を表示する表示欄(図示せず)をさらに含んでいる。
【0067】
再入力キーK24が押下されると、表示部711にてパスワード入力画面W22を再び表示することで、複合機1は、再びパスワード入力を受け付けることができる(ステップS206でYes→S203)。つまり、ユーザは、照合結果表示画面W23を見て、所望のファイルが印刷可能と表示されていない場合には、パスワードを入力し直すことができる。
【0068】
一方、OKキーK25が押下されると、ファイル指定画面W21で指定されたファイルのうち、パスワードが正しく入力されたファイルについて、ファイル指定画面W21で選択された処理が行われる(ステップS206でNo→S207)。なお、ファイル指定画面W21で「送信」が選択された場合には、送信実行前に、表示部711が送信先の指定を受け付ける画面(図示せず)を適宜表示する。
【0069】
複合機1の動作について具体例を挙げて説明する。例えば、ファイル指定画面W21で4つのファイルが指定されると共に、処理として「印刷」又は「送信」が選択されたとする。指定された4つのファイルのうち、2つのファイルについてパスワードが一致し、1つのファイルはパスワードが付加されていない場合は、パスワードが一致しなかった残りの1つのファイル以外、3つのファイルについて、ジョブ実行制御部82の制御の下、印刷部4又は通信装置6によって印刷又は送信ジョブが実行される。パスワードが一致しなかった1つのファイルについては、ジョブは実行されない。
【0070】
また、ファイル指定画面W21で「印刷」及び「送信」の両方が選択された場合には、ジョブ実行制御部82は、パスワードの一致した2つのファイル及びパスワードの付加されていない1つのファイルについて、印刷及び送信の両方の処理を行う。
【0071】
こうして実行された処理、特に印刷及び送信等のジョブについて、表示部711はログを表示する(ステップS208)。図11には、ログを表示する画面の一例として、印刷ジョブ実行後のジョブログ画面W24を示す。図11に示すように、ジョブログ画面W24は、ジョブ完了通知領域R1及びジョブ不完了通知領域R2、並びにジョブログ画面W2を閉じるための“閉じる”キーK26を含む。
【0072】
ジョブ完了通知領域R1には、印刷されたファイルの情報が列挙される。そして、これらのファイルについては印刷を完了した旨のメッセージ、及びジョブの受付日時等のジョブに関する情報が表示される。受付日時としては、例えば、照合結果表示画面W23でOKキーK25が押下された時刻等、ジョブの依頼を受け付けた時刻として採用可能な時刻が適宜表示される。
【0073】
また、ジョブ不完了通知領域R2には、ユーザが指定したものの印刷されなかったファイルの情報が列挙され、併せて、印刷ができなかった旨のメッセージが表示される。
【0074】
なお、ジョブログを表示する画面は、ジョブが完了したファイルの情報と完了できなかったファイルの情報とを、区別してユーザに提示することができれば、ジョブログ画面W24のように通知領域が2つに分かれている必要はない。
【0075】
図7のフローでは、ジョブログ画面W24は、ジョブ実行直後に自動的に表示されるようになっている。しかし、これ以外のタイミング、例えばジョブ実行中に、ログが表示されてもよい。また、記憶制御部83の制御の下、記憶装置3がその不揮発性領域にログを記憶し、ユーザから指示があったときに、直近のジョブ以外の過去のジョブも併せたログを、表示部711が表示してもよい。
【0076】
以上に説明したように、複合機1は、図7のフローに沿った一連の動作を1回行う間に、つまり1回の処理受付で、パスワードの付された複数のファイルについての処理依頼を受け付けることができる。そして、複合機1は、これらの複数のファイルについて、ファイル毎の実行指示の入力をユーザに求めることなく、一括して処理を行うことができる。
【0077】
具体的には、複合機1は、同一のパスワードが複数のファイルに付されている場合には、このパスワードがユーザの入力したパスワードと一致すれば、これら複数のファイルについて一括して処理を行うことができる。また、複合機1は、1回の処理受付において、複数の異なるパスワードの入力を一括して受け付けることもできる。つまり、複合機1は、パスワードの異なる複数のファイルについても一括して処理を行うことができる。
【0078】
より具体的には、或るボックス内の全てのファイルにパスワードが付されており、ファイル指定画面W21においてこのボックス内の全てのファイルが一括指定された場合、パスワード入力画面W22で1つのパスワードが入力されるだけで、入力されたパスワードに合致するファイルが自動的に処理対象として指定されることになる。つまり、この場合は、ユーザは、1つのパスワードの入力によって、ファイルの選択と、セキュリティの利用の両方を行うことができる。
【0079】
また、逆に、ユーザは、ファイル指定画面W21で複数のファイルを選択し、これら複数のファイルに合わせて、複数のパスワードをパスワード入力画面W22に入力することもできる。
【0080】
さらに、上述したように、複合機1は、ジョブログを表示することができるようになっている。そのため、ユーザは、パスワード照合の結果、どのファイルについては処理を完了でき、どのファイルについては処理が完了できなかったかを、確認することができる。よって、ユーザが送信や印刷漏れに気付かないという事態を回避できる。
【0081】
(5)クライアントPCを介した操作
図4及び図7を参照して説明した動作において、複合機1は、ユーザからの指示を入力受付部73ではなく、通信装置6によってクライアントPC200を介して受け付けることができる。
【0082】
クライアントPC200は、表示装置201、入力受付部202、通信装置203、制御装置204等を備える。表示装置201としては、液晶表示ディスプレイが好適に用いられる。入力受付部202は、キーボード及びマウス等を備える。通信装置203は、通信ネットワークを介して、複合機1との間でデータの送受信を行うことができる。制御装置204は、CPU、ROM、及びRAM等を備え、表示装置201を始めとするクライアントPC200内の各部の動作を制御する。
【0083】
図4及び図7の動作中に表示部711に表示される各種画面は、通信装置6がクライアントPC200に画面データを送ることで、クライアントPC200の表示装置201によって表示可能である。そして、クライアントPC200において、入力受付部202は、図4及び図7の動作中のユーザからの入力(パスワード、ファイルの指定、処理の選択等)を受け付けることができ、通信装置203は、これらの入力内容を、複合機1へと送信可能である。複合機1は、クライアントPC200から受け取ったユーザの指示等を、入力受付部73の受けた指示等と同様に扱って、図4及び図7に示すフローに沿った動作を行うことができる。
【0084】
つまり、ユーザは、操作パネル7のハードキー及びソフトキーを介して複合機1に直接パスワード入力やジョブ実行の指示入力を行うこともできるし、クライアントPC200の表示装置201の表示画面を見ながら、クライアントPC200の入力受付部202を操作して、これらの入力を行うこともできる。また、ユーザは、複合機1の表示部711にてログを確認することもできるし、クライアントPC200の表示装置201にてログを確認することもできる。
【0085】
以上に述べたように、制御装置8及び操作パネル、並びに制御装置8及び通信部6は、画面W21及びW22を介することで、ユーザからジョブ依頼とパスワード入力を受け付けるジョブ依頼受付部、ユーザが入力したパスワードと合致するファイルの情報を一覧(照合結果表示画面W23)としてユーザに提示する一覧提示部、ジョブ実行部9によるジョブ実行の履歴をジョブログ画面W24にて表示する履歴提示部、画面W21及びW23を介することで、ジョブ実行の対象となるファイルをユーザに選択させるファイル指定受付部、並びに、パスワード設定画面W12を介することでファイルに付すパスワードの設定を受け付けるパスワード設定受付部として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる複合機1の要部構成を示すブロック図。
【図2】複合機1の操作パネル7の概略構成を表す平面図。
【図3】複合機1におけるデータの流れを示す図面。
【図4】処理実行時の複合機1の動作の流れを示すフローチャート。
【図5】図4の動作において複合機1が提示する保存先指定画面W11を示す図面。
【図6】図4の動作において複合機1が提示するパスワード設定画面W12を示す図面。
【図7】ファイルに対する処理実行時の複合機1の動作の流れを示すフローチャート。
【図8】図7の動作において複合機1が提示するファイル指定画面W21を示す図面。
【図9】図7の動作において複合機1が提示するパスワード入力画面W22を示す図面。
【図10】図7の動作において複合機1が提示する照合結果表示画面W23を示す図面。
【図11】図7の動作において複合機1が提示するジョブログ画面W24を示す図面。
【符号の説明】
【0087】
1 複合機
2 スキャナ
3 記憶装置
4 印刷部
5 画像処理部
6 通信装置
7 操作パネル
8 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿から又は外部装置から画像データを取得するデータ取得部と、
上記画像データを記憶可能な記憶装置と、
上記記憶装置に、上記画像データをファイルとして記憶させることができ、上記ファイルにパスワードを付して記憶させることができ、上記パスワードは複数のファイルについて同一であってもよい記憶制御部と、
上記画像データについて、印刷ジョブ及び送信ジョブの少なくとも一方を行うジョブ実行部と、
上記ジョブの依頼及びパスワードの入力を受け付けるジョブ依頼受付部と、
上記ジョブ依頼受付部が受け付けた1回の依頼において、入力された上記パスワードが複数のファイルに付されている場合、上記複数のファイルについてジョブを実行するように上記ジョブ実行部を制御するジョブ実行制御部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
上記ジョブ依頼受付部は、1回の上記依頼において、複数のパスワードの入力を受け付けることができるようになっている、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記ジョブ依頼受付部が入力を受け付けた上記パスワードに対応するファイルの情報を、一覧としてユーザに提示する一覧提示部をさらに備える、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記ジョブ実行部によるジョブ実行の対象となるファイルを、ユーザに指定させるファイル指定受付部をさらに備える、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
各ファイルに付すためのパスワードの設定を受け付ける、パスワード設定受付部をさらに備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−267675(P2009−267675A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113612(P2008−113612)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】