説明

画像形成システム、データ処理装置、及び、画像形成装置

【課題】 データ処理装置が出力した画像データの少なくとも一部を携帯型記憶媒体を媒介として画像形成装置に提供する画像形成システム、若しくは、その画像形成システムを構成するためのデータ処理装置または画像形成装置において、上記携帯型記憶媒体が上記画像形成装置に装着されてもその画像データが印刷されてしまうのを抑制すること。
【解決手段】 データ処理装置としてのパソコン200は、印刷ファイルを2つのファイルに分割し、片方のファイルをEメールに添付してインターネット910経由でパソコン300へ送信し、もう片方のファイルを接続部216に装着されたUSBメモリ105へ保存する。Eメールを受信したパソコン300から上記片方のファイルをLAN900経由で複合機1へ転送し、上記もう片方のファイルが保存されたUSBメモリ105を複合機1の接続部106に装着すると、元の印刷ファイルが復元されて用紙に印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを出力するデータ処理装置と、画像データに基づいて被記録媒体に画像を形成する画像形成装置と、を備えた画像形成システム、並びに、その画像形成システムを構成するためのデータ処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像データを出力するデータ処理装置と、画像データに基づいて被記録媒体に画像を形成(以下、印刷ともいう)する画像形成装置と、を備えた画像形成システムが種々提案されている。また、この種の画像形成システムでは、データ処理装置がUSBメモリ,メモリカード等の携帯型記憶媒体に画像データを出力して書き込み、その携帯型記憶媒体を画像形成装置に装着することで上記画像データを印刷可能にすることも考えられる。しかしながら、この場合、画像データが書き込まれた携帯型記憶媒体が第三者の手に渡ると、その第三者によって画像データが不正に印刷されてしまう可能性がある。
【0003】
そこで、画像データを分割し、その分割された一方の画像データを画像形成装置に送信し、他方の画像データを携帯型記憶媒体に書き込むことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この場合、上記他方の画像データが書き込まれた携帯型記憶媒体を、上記一方の画像データが送信された画像形成装置に装着しなければ上記分割前の画像データを印刷することができず、その画像データに関するセキュリティを向上させることができる。
【特許文献1】特開2006−243874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1記載の技術では、上記他方の画像データが書き込まれた携帯型記憶媒体を不正に入手した第三者が、上記一方の画像データが送信された画像形成装置に当該携帯型記憶媒体を装着すれば、それだけで上記画像データの印刷ができてしまう。上記第三者は、上記携帯型記憶媒体をたまたま上記画像形成装置に装着する可能性もあり、画像データのセキュリティを充分に確保することができない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、データ処理装置が出力した画像データの少なくとも一部を携帯型記憶媒体を媒介として画像形成装置に提供する画像形成システム、若しくは、その画像形成システムを構成するためのデータ処理装置または画像形成装置において、上記携帯型記憶媒体が上記画像形成装置に装着されてもその画像データが印刷されてしまうのを抑制することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達するためになされた本発明の画像形成システムは、画像データを出力するデータ処理装置と、画像データに基づいて被記録媒体に画像を形成する画像形成装置と、を備えた画像形成システムであって、上記データ処理装置は、元の画像データを複数のファイルに分割するデータ分割手段と、該データ分割手段により分割されたファイルの一部を携帯型記憶媒体に書き込むファイル書き込み手段と、上記データ分割手段により分割されたファイルの残りをEメールに添付して送信するファイル送信手段と、を備え、上記画像形成装置は、上記携帯型記憶媒体からファイルを読み込むファイル読み込み手段と、上記ファイル送信手段から上記Eメールに添付して送信されたファイルを受信するファイル受信手段と、上記ファイル読み込み手段が読み込んだファイルと上記ファイル受信手段が受信したファイルとに基づいて上記元の画像データを復元するデータ復元手段と、該データ復元手段により復元された上記元の画像データに基づき、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明の画像形成システムでは、データ処理装置のデータ分割手段は、元の画像データを複数のファイルに分割し、その分割されたファイルの一部をファイル書き込み手段が携帯型記憶媒体に書き込む。また、データ分割手段により分割されたファイルの残りは、ファイル送信手段により、Eメールに添付して送信される。
【0009】
一方、画像形成装置のファイル読み込み手段は、上記携帯型記憶媒体からファイルを読み込み、ファイル受信手段は、上記ファイル送信手段から上記Eメールに添付して送信されたファイルを受信する。すると、データ復元手段は、上記ファイル読み込み手段が読み込んだファイルと上記ファイル受信手段が受信したファイルとに基づいて上記元の画像データを復元し、その復元された上記元の画像データに基づき、画像形成手段が被記録媒体に画像を形成する。
【0010】
このように、本発明の画像形成システムでは、携帯型記憶媒体への書き込みファイルと、Eメールへの添付ファイルといった全く異なる形態に元の画像データが分割され、両者が揃ったときに初めて元の画像データが復元可能となる。また、Eメールへの添付ファイルは一旦開く必要があり、上記携帯型記憶媒体が上記画像形成装置に装着されただでけでは元の画像データを印刷することはできない。更に、上記添付ファイルのデータと携帯型記憶媒体とが第三者の手に渡った場合でも、上記画像形成装置を使用しなければ元の画像データを復元して印刷することができない。従って、本発明の画像形成システムでは、画像データのセキュリティを良好に向上させることができる。
【0011】
なお、本発明の画像形成システムは、以下の構成に限定されるものではないが、上記Eメールは、上記画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータに送信され、上記ファイル受信手段は、上記Eメールに添付されたファイルを上記パーソナルコンピュータから転送されることによって受信してもよい。
【0012】
この場合、ファイル受信手段が上記ファイルを受信する過程にパーソナルコンピュータが介在するので、どのパーソナルコンピュータにどういった件名のメールに添付してファイルが送信されたかを知っていなければ元の画像データを復元できない。従って、この場合、画像データのセキュリティを一層向上させることができる。
【0013】
また、上記ファイル書き込み手段により携帯型記憶媒体に書き込まれるファイルと、上記ファイル送信手段によりEメールに添付して送信されるファイルとは、互いに異なるキーワードを用いて暗号化され、他方のファイルの暗号化に用いられたキーワードを互いに有してもよい。
【0014】
元の画像データを複数のファイルに分割する方法や元の画像データを復元する方法は種々考えられるが、このように、分割されたファイルが互いに暗号化のキーワードを有し合う場合、一方のファイルから元の画像データが推測されることがない。従って、この場合、画像データのセキュリティを一層向上させることができる。
【0015】
また、本発明のデータ処理装置は、元の画像データを複数のファイルに分割するデータ分割手段と、該データ分割手段により分割されたファイルの一部を携帯型記憶媒体に書き込むファイル書き込み手段と、上記データ分割手段により分割されたファイルの残りをEメールに添付して送信するファイル送信手段と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
このように構成された本発明のデータ処理装置は、上記携帯型記憶媒体からファイルを読み込むファイル読み込み手段と、上記ファイル送信手段から上記Eメールに添付して送信されたファイルを受信するファイル受信手段と、上記ファイル読み込み手段が読み込んだファイルと上記ファイル受信手段が受信したファイルとに基づいて上記元の画像データを復元するデータ復元手段と、該データ復元手段により復元された上記元の画像データに基づき、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置と組み合わせることにより、上記発明の画像形成システムを構成することができ、前述のように、画像データのセキュリティを向上させることができる。
【0017】
また、本発明のデータ処理装置は、以下の構成に限定されるものではないが、上記ファイル書き込み手段により携帯型記憶媒体に書き込まれるファイルと、上記ファイル送信手段によりEメールに添付して送信されるファイルとは、互いに異なるキーワードを用いて暗号化され、他方のファイルの暗号化に用いられたキーワードを互いに有してもよい。
【0018】
このように、分割されたファイルが互いに暗号化のキーワードを有し合う場合、一方のファイルから元の画像データが推測されることがない。従って、この場合、画像データのセキュリティを一層向上させることができる。
【0019】
更に、本発明の画像形成装置は、携帯型記憶媒体からファイルを読み込むファイル読み込み手段と、パーソナルコンピュータから転送されたファイルを受信可能なファイル受信手段と、上記ファイル読み込み手段が読み込んだファイルと上記ファイル受信手段が受信したファイルとが、元の画像データを複数のファイルに分割したものの一部と残りとである場合、当該各ファイルに基づいて上記元の画像データを復元するデータ復元手段と、該データ復元手段により復元された上記元の画像データに基づき、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
このように構成された本発明の画像形成装置は、上記元の画像データを複数のファイルに分割するデータ分割手段と、該データ分割手段により分割されたファイルの一部を上記携帯型記憶媒体に書き込むファイル書き込み手段と、上記データ分割手段により分割されたファイルの残りをEメールに添付して上記パーソナルコンピュータへ送信するファイル送信手段と、を備えたデータ処理装置と組み合わせて使用され、かつ、上記ファイル受信手段は、上記Eメールに添付されたファイルを上記パーソナルコンピュータから転送されるようにすることで、前述の発明の画像形成システムを構成することができる。このため、前述のように、画像データのセキュリティを向上させることができる。
【0021】
しかも、この場合、前述のように、ファイル受信手段がデータ処理装置から上記ファイルを受信する過程にパーソナルコンピュータが介在するので、どのパーソナルコンピュータにどういった件名のメールに添付してファイルが送信されたかを知っていなければ元の画像データを復元できない。従って、画像データのセキュリティを一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明が適用された画像形成システムの構成を表す外観図である。図1に示すように、本実施の形態の画像形成システムは、画像形成装置の一例としての複合機1と、その複合機1にLAN900を介して接続されたデータ処理装置の一例としてのパーソナルコンピュータ(以下、単にパソコンという)200と、そのパソコン200と同様に複合機1にLAN900を介して接続されたパソコン300とから構成されている。なお、複合機1とパソコン200,300とは、赤外線通信などを介して接続されてもよい。また、パソコン200とパソコン300とは、インターネット910を介してEメールの送受信が可能に構成されている。
【0023】
図1には、後述の本体カバー12を閉じた状態の複合機1の外観が示されており、図2は、その本体カバー12を開いた状態の複合機1の外観を表す斜視図である。なお、この複合機1は、少なくとも、イメージスキャナ、プリンタ、コピー、ファクシミリとしての機能を備えたものである。
【0024】
図1,図2に示すように、複合機1は、画像が形成(以下、印刷ともいう)される被記録媒体の一例としての用紙18(図3参照)を給紙する用紙トレー17と、用紙トレー17から供給された用紙18に画像を形成する本体10と、本体10の上面を完全に覆うように、本体10に開閉可能に支持された本体カバー12と、を備えている。
【0025】
本体10は、原稿19(図2参照)に記載された画像を読み取る(以下、原稿19を読み取るともいう)原稿読取部40(図4参照)と、用紙18に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部2(図3参照)と、複合機1を使用する際に必要な情報を使用者が入力する操作部14と、を備えている。そして、原稿読取部40、画像形成部2は、本体ケース11内に収納されている。
【0026】
また、本体ケース11は、原稿読取部40に読み取られる原稿19を配置する読取面11A(図2参照)と、用紙トレー17を介さずに画像形成部2に用紙18を供給するための手差給紙部8と、画像形成部2で印刷された用紙18が排出される用紙排出部7と、を有している。そして、読取面11Aは、ガラス等の光を透過する素材によって形成された板材であり、本体カバー12と相対する本体ケース11の上面に固定されている。
【0027】
また、操作部14は、複数の機能のうち使用者が望む機能を選択するための動作選択キー14Aと、使用者が選択した機能を実行するためのスタートキー14Bと、複合機1の状態等を表示するための表示部15と、その表示部15にメニューを表示するためのメニューキー14Cと、そのメニューを操作するための十字キー14Dと、各種動作をキャンセルするためのキャンセルキー14Eと、を備えている。
【0028】
動作選択キー14Aは、複合機1に備えられた各機能の中から、使用者が使用したい機能を選択するためのものであり、具体的には、コピー機能を選択するためのコピーキーや、ファクシミリ機能を選択するためのファクシミリキー、スキャナ機能を選択するためのスキャナキー等が設けられている。なお、使用者が動作選択キー14Aを操作することによって使用者が望む機能が選択されると、選択された機能に対応する画面やキーの役割付け等が行われ、これによって、操作部14が提供する操作環境の切り替えが行われる。
【0029】
また、メニューキー14Cを操作すると、表示部15には複数の階層からなるメニューが表示される。そして、このようにメニューが表示された状態では、十字キー14Dの左右のボタンを操作することによりメニューの階層の切り替えが、十字キー14Dの上下のボタンを操作することにより各階層における項目の選択が、十字キー14Dの中央のボタンを操作することにより上記選択された項目のセットが、それぞれ実行できる。
【0030】
[画像形成部の構成について]
次に、複合機1の本体10内の概略構成を図3に示す断面図を用いて、画像形成部2について説明する。画像形成部2は、レーザー光を照射し画像を形成するスキャナユニット60、スキャナユニット60で形成された画像を用紙18に転写するプロセスカートリッジ6、用紙18に転写された画像を定着させる定着ユニット70、を備えている。
【0031】
このうち、スキャナユニット60は、後述する感光ドラム80上に静電潜像を形成するためのレーザ光を発光するレーザーダイオード(図示せず)と、レーザーダイオードが発光するレーザー光を走査状に反射するように回転駆動されるポリゴンミラー61と、レーザー光を集光するレンズ62、63及び反射ミラー64、65、66等の光学器と、を備えている。つまり、スキャナユニット60では、レーザーダイオードが発光するレーザー光がポリゴンミラー61により偏向され、光学器により集光、かつ光路の変更後、感光ドラム80の表面に高速走査にて照射される。
【0032】
また、プロセスカートリッジ6は、画像形成プロセス(帯電、現像、転写)を行うための構成を備えたカートリッジであり、ドラムカートリッジ4と、ドラムカートリッジ4に着脱自在に装着され、トナー(図示せず)を収納する現像カートリッジ50と、から構成されている。
【0033】
そして、ドラムカートリッジ4は、レーザー光の被照射体であり、用紙18に転写されるトナー画像が形成される感光ドラム80と、感光ドラム80を帯電させる帯電器82と、感光ドラム80上のトナー画像を用紙18に転写する転写ローラー81と、を備えている。つまり、感光ドラム80上のトナー画像は、感光ドラム80と転写ローラー81との間を通過する用紙18に転写される。
【0034】
また、定着ユニット70は、加熱用ローラ71と、押圧ローラ72とを備え、感光ドラム80と転写ローラー81との圧接部において用紙18に転写されたトナー画像が、加熱用ローラ71と押圧ローラ72との間を搬送される時に、加熱かつ押圧されることにより、用紙18に定着されるように構成されている。
【0035】
つまり、画像形成部2では、スキャナユニット60から照射されたレーザー光により感光ドラム80に形成された静電潜像を、現像カートリッジ50から供給されるトナーによって現像する。そして、用紙トレー17から供給された用紙18に、プロセスカートリッジ6を通過する間にそのトナー画像を転写し、定着ユニット70にて定着させる。
【0036】
[本体カバー及び原稿読取部の構成]
次に、図4は、本体カバー12及び原稿読取部40の構成を表す概略断面図である。図4に示すように、本体カバー12は、原稿読取部40に読み取られる前の原稿19を載置する載置部21と、原稿読取部40に読み取られた後の原稿19を集積する集積部31と、載置部21から読取面11Aを経由して(すなわち、原稿自動搬送読取位置3で保持された原稿読取部40に原稿19を読み取らせた後)集積部31へと原稿19を搬送する搬送部25と、を備えている。以下、載置部21、集積部31、搬送部25を総称して原稿自動搬送装置5とする。
【0037】
また、図4に示すように、原稿読取部40は、原稿19に対して光を照射する光源43と、原稿19によって反射された反射光を集光するミラー及びレンズ等の光学素子群42と、原稿19から画像を読み取るためのイメージセンサ41と、を備えている。つまり、原稿読取部40は、光源43から光を照射し、原稿19によって反射された反射光を光学素子群42によって集光し、集光された反射光をイメージセンサ41によって認識することにより原稿19を読み取るように構成されている。
【0038】
更に、原稿読取部40は、原稿自動搬送読取位置3と対面する位置において、原稿19の読み取りが可能であり、かつ、図示しない原稿読取部駆動機構により、読取面11Aに沿った本体ケース11の長手方向(図4の左右方向)への移動が可能に構成されている。
【0039】
つまり、原稿自動搬送装置5を用いて原稿19の読み取りを行う際には、原稿読取部40を、原稿自動搬送読取位置3に対面する位置に保持し、原稿自動搬送装置5によって搬送される原稿19から、その原稿19の全画像を読み取る。また、読取面11Aを覆うように配置された原稿19の読み取りを行う(いわゆる、フラットベット型として使用する)際には、原稿読取部40は、上記原稿読取部駆動機構によって移動されながら、読取面11Aに配置された原稿19の全画像を読み取る。
【0040】
次に、載置部21には、その載置部21に原稿19が載置されていることを検知する載置部検知センサ24が配置され、本体ケース11には、読取面11Aに原稿19が配置されていることを検知する読取面検知センサ35(図5参照)が配置されている。以下、載置部検知センサ24、読取面検知センサ35を総称して原稿検知センサ(図5参照)92とする。
【0041】
載置部検知センサ24及び読取面検知センサ35は、それぞれ、発光部24Aと受光部24B、発光部35Aと受光部35Bからなる光センサである。そして、発光部24Aと受光部24B、発光部35Aと受光部35Bは、それぞれ、載置部21または読取面11Aに配置された原稿19によって、発光部24A、35Aから受光部24B、35Bに向かう光が遮られるように対向配置されている。
【0042】
但し、読取面検知センサ35は、本体ケース11内の原稿読取部40が移動する移動経路から外れた位置に受光部35Bが配置され、本体カバー12内に発光部35Aが配置されている。つまり、読取面検知センサ35は、本体カバー12が閉じられた際に、発光部35Aから照射された光を受光部35Bが受光するように構成されている。
【0043】
このため、原稿検知センサ92では、その設置位置に原稿19が存在していない時には、発光部24A、35Aから照射された光が受光部24B、35Bで検知されるため、受光部24B、35Bからは、信号レベルの大きな受光信号が得られる。また、原稿検知センサ92の設置位置に原稿19が存在している時には、原稿19に遮られ、発光部24A、35Aから照射された光が受光部24B、35Bで検知されないため、受光部24B、35Bからは、信号レベルの小さな受光信号が得られる。
【0044】
[制御系に関する説明]
次に、図5は、本実施の形態の画像形成システムにおける制御系の構成を表すブロック図である。図5に示すように、複合機1には、LAN900(図1参照)等のネットワークに接続するためのファイル受信手段の一例としてのネットワークインタフェース(ネットワークI/F)108と、電話回線に接続するためのファクシミリインタフェース(ファクシミリI/F)104と、データを読み書き可能な携帯型記憶媒体の一例としてのUSBメモリ105が着脱されるファイル読み込み手段の一例としての接続部106(図1参照)と、複合機1の様々な駆動を制御するための処理プログラムを記憶するROM101と、処理結果等を一時的に記憶するRAM102と、電源がOFFになっても保存しておく必要のあるデータを記憶するNVRAM(不揮発性メモリ)107と、ROM101に記憶された処理プログラムを実行するCPU103と、が備えられている。
【0045】
更に、CPU103には、前述の原稿読取部40、画像形成部2、表示部15に画像を表示させる表示駆動部91、操作部14が操作されたことを検知する操作検知部90、及び、前述の原稿検知センサ92、が接続されている。
【0046】
接続部106は、USBメモリ105が装着されると、USBメモリ105に対し通電するように構成されていると共に、USBメモリ105が装着されたことを検知する接続検知部93を備えている。なお、USBメモリ105に記憶されるデータとしては、JPEG、TIFF等の汎用的な画像フォーマットを持つファイルや、一般的なワープロソフトにより作成されたものやPDF形式等の文書ファイル、プリントドライバが出力した印刷データをファイル化したものなど、種々の形態がある。
【0047】
パソコン200のパソコン本体210は、CPU211、ROM212、RAM213、及び、ハードディスク装置(HDD)214を内蔵し、更に、USBメモリ105が着脱されるファイル書き込み手段の一例としての接続部216(図1参照)、及び、LAN900やインターネット910(いずれも図1参照)と接続するためのファイル送信手段の一例としてのネットワークインタフェース(ネットワークI/F)217も備えている。そして、このパソコン本体210には、CRT等のディスプレイ220、キーボード230、マウス240が接続されている(いずれも図1参照)。パソコン300のパソコン本体310も、同様に、CPU311,ROM312,RAM313,ハードディスク装置314,接続部316,ネットワークインタフェース317を備え、ディスプレイ320,キーボード330,マウス340が接続されている。
【0048】
[上記制御系における処理(パソコン200の処理)]
次に、上記制御系における処理について説明する。図6は、パソコン200のCPU211がROM212に記憶されたプログラムに基づいて実行するファイル作成処理を表すフローチャートである。なお、この処理は、周知のアプリケーションにより印刷すべき画像が作成され、プリントドライバがコールされてそのプリントドライバのUI(ユーザ・インタフェース)の「OK」(印刷)がマウス340にクリックされると開始される。また、本実施の形態では、上記UIには、以下に説明するような分割機能を選択するか否かを設定するためのチェックボックスが設けられている。
【0049】
図6に示すように、処理が開始されると、先ず、S1(Sはステップを表す:以下同様)にて、上記チェックボックスにより分割機能が選択されているか否かが判断される。分割機能が選択されている場合は(S1:Y)、処理はデータ分割手段の一例としてのS3へ移行し、上記印刷すべき画像に対応する画像データの一例としての印刷ファイルが2つのファイルに分割される。この分割方法としては、オプションにより種々の形態が選択可能であるが、例えば、適宜の方法で分割された上記2つのファイルが互いに異なるキーワードを用いて暗号化され、他方のファイルの暗号化に用いられたキーワードを互いに有してもよい。このように、分割された2つのファイルが互いに暗号化のキーワードを有し合う場合、一方のファイルから元の印刷ファイルが推測されるのを抑制して、セキュリティを向上させることができる。
【0050】
続くS4では、上記分割された2つのファイルの片方が接続部216を介してUSBメモリ105に保存される(書き込まれる)。更に続くS5では、もう片方のファイルが、ネットワークインタフェース217及びインターネット910を介して、指定相手(例えばパソコン300)にEメールに添付して送信され、処理が一旦終了する。なお、S5による送信時には、使用者によりEメールに所望の件名が付けられてもよい。また、S4,S5では、ファイル名を自由に設定できてもよく、この場合、上記2つのファイルに全く関連のないファイル名を付けるのが,セキュリティを向上させる上で望ましい。
【0051】
一方、分割機能が選択されていない場合は(S1:N)、上記印刷ファイルをネットワークインタフェース217及びLAN900を介して複合機1に送信する通常の印刷処理が実施され、処理が終了する。すると、複合機1はその印刷ファイルを通常通りに用紙18に印刷する。
【0052】
[上記制御系における処理(複合機1の処理)]
次に、上記UIにて機能分割を選択した場合、その選択を行った使用者は、上記指定相手としてのパソコン300にて上記添付ファイルを開き、ネットワークインタフェース317及びLAN900を介して複合機1へ転送する。続いて、その使用者は、上記片方のファイルが保存されたUSBメモリ105を複合機1の接続部106に装着し、メニューキー14C及び十字キー14Dを操作して分割ファイルの印刷を指示する。すると、複合機1のCPU103は、ROM101に記憶されたプログラムに基づき、次の分割ファイル印刷処理を実行する。なお、CPU103は、上記分割ファイルの印刷が指示されると共に、USBメモリ105またはパソコン300から上記2つのファイルのうちの一方を受信するとこの処理を開始する。
【0053】
図7は、この分割ファイル印刷処理のメインルーチンを表すフローチャートである。図7に示すように、この処理では、先ず、S10にて、前述のように2つに分割されたファイルを合成するファイル合成処理が実行される。
【0054】
図8は、このファイル合成処理を詳細に表すフローチャートである。図8に示すように、この処理では、先ず、S11にて、もう片方からファイルが受信されたか否かが判断される。すなわち、本処理は、上記分割されたファイルの片方がUSBメモリ105またはパソコン300から受信されたときに開始されるが、S11では、もう片方のファイルがパソコン300またはUSBメモリ105から受信されたか否かが判断されるのである。もう片方のファイルが受信されていない場合は(S11:N)、S12にて、処理が開始されてから所定時間が経過したか否かが判断され、経過していない場合は(S12:N)、処理は前述のS11へ移行する。
【0055】
このように、S11,S12の処理を繰り返しながら待機がなされ、所定時間が経過するまでに(S12:N)、もう片方のファイルが受信されると(S11:Y)、処理はS14へ移行する。S14では、受信された2つのファイルが対になっている印刷情報(すなわち印刷ファイルを分割したもの)であるか否かが判断される。そして、対になっている印刷情報であった場合は(S14:Y)、データ復元手段の一例としてのS15にて、その2つのファイルが前述の印刷ファイルに合成(復元)され、通常の印刷形式に変換されて、処理はS20へ移行する。
【0056】
図7に戻って、S20では、S15の処理にて合成された印刷ファイルの印刷処理が実施され、続くS30にて、上記合成された印刷ファイル及び合成前の2つのファイルのデータ(情報)が消去されて、処理が終了する。以上の処理により、上記分割前の印刷ファイルを用紙18に印刷することができる。
【0057】
一方、図8のS11,S12の処理による待機中に、もう片方のファイルが受信されることなく(S11:N)、所定時間が経過すると(S12:Y)、処理はS16へ移行する。S16では、タイムオーバーエラーが告知され、先に受信された上記片方のファイルがRAM102の記憶領域から削除されて、処理は図7のS20へ移行する。すると、S20,S30の処理では、先に受信されたファイルに対してなんら処理を施すことなく、そのままこの分割ファイル印刷処理が終了する。
【0058】
また、図7のS14にて、受信された2つのファイルが対になっていないと判断された場合は(S14:N)、S17にて、後から受信されたファイルが通常の印刷形式のファイルであるか否かが判断される。そして、通常の印刷形式のファイルでない場合は(S17:N)、S18にて、表示部15にエラーが表示されると共に上記2つのファイルが共に破棄された後、処理は図7のS20へ移行する。この場合、S20,S30の処理では、上記2つのファイルに対してなんら処理を施すことなく、そのままこの分割ファイル印刷処理が終了する。
【0059】
一方、図8のS17にて、後から受信されたファイルが通常の印刷形式のファイルであると判断された場合は(S17:Y)、S19にて、先のファイルが破棄されると共に後から受信されたファイルが通常の印刷形式に差し替えられて、処理は図7のS20へ移行する。すると、S20では、後から受信されたファイルに対する通常の印刷処理が実施され、S30にてそのファイルのデータが消去されて、処理が終了する。
【0060】
[本実施の形態の効果及び変形例]
このように、本実施の形態では、USBメモリ105への書き込みファイルと、Eメールへの添付ファイルといった全く異なる形態に元の印刷ファイルが分割され、両者が揃ったときに初めて元の印刷ファイルが復元可能となる。また、上記添付ファイルのデータとUSBメモリ105とが第三者の手に渡った場合でも、複合機1を使用しなければ元の印刷ファイルを復元して印刷することができない。従って、本実施の形態の画像形成システムでは、印刷ファイルのセキュリティを良好に向上させることができる。
【0061】
なお、本発明は上記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、携帯型記憶媒体としては、USBメモリに限らず、メモリカード,携帯型ハードディスクなど種々の媒体を適用することができる。
【0062】
また、上記実施の形態では、元の画像データとしての印刷ファイルを2つのファイルに分割しているが、元の画像データは3つ以上のファイルに分割してもよい。この場合も、3つ以上の複数のファイルを2組に分けて、一方をUSBメモリ105への書き込みファイル、他方をEメールへの添付ファイルとすればよい。
【0063】
更に、複合機1がメール受信機能を有する場合は、Eメールは複合機1へ直接送信されてもよい。この場合も、Eメールに添付されたファイルを開く操作をする必要があり、USBメモリ105を装着しただけでは印刷ができないので、印刷データが不正に印刷されてしまうのを抑制することができる。但し、上記実施の形態では、パソコン300が介在するので、どのパソコンにどういった件名のメールに添付してファイルが送信されたかを知っていなければ元の印刷ファイルを復元することができない。従って、上記実施の形態では、印刷ファイルのセキュリティを一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明が適用された画像形成システムの構成を表す外観図である。
【図2】そのシステムを構成する複合機の本体カバーを開いた状態の外観を表す斜視図である。
【図3】その複合機の本体内の概略構成を表す断面図である。
【図4】その複合機の本体カバー及び原稿読取部の構成を表す断面図である。
【図5】上記画像形成システムの制御系の構成を表すブロック図である。
【図6】その制御系を構成するパソコンによるファイル作成処理を表すフローチャートである。
【図7】その制御系を構成する複合機による分割ファイル印刷処理を表すフローチャートである。
【図8】その分割ファイル印刷処理のファイル合成処理を詳細に表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1…複合機 2…画像形成部 14…操作部 14C…メニューキー
14D…十字キー 14E…キャンセルキー 15…表示部 93…接続検知部
101,212,312…ROM 102,213,313…RAM
103,211,311…CPU 104…ファクシミリインタフェース
105…USBメモリ 106…接続部 107…NVRAM
108,217,317…ネットワークインタフェース 105…USBメモリ
106,216,316…接続部 200,300…パソコン
214,314…ハードディスク装置 910…インターネット 900…LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを出力するデータ処理装置と、画像データに基づいて被記録媒体に画像を形成する画像形成装置と、を備えた画像形成システムであって、
上記データ処理装置は、
元の画像データを複数のファイルに分割するデータ分割手段と、
該データ分割手段により分割されたファイルの一部を携帯型記憶媒体に書き込むファイル書き込み手段と、
上記データ分割手段により分割されたファイルの残りをEメールに添付して送信するファイル送信手段と、
を備え、
上記画像形成装置は、
上記携帯型記憶媒体からファイルを読み込むファイル読み込み手段と、
上記ファイル送信手段から上記Eメールに添付して送信されたファイルを受信するファイル受信手段と、
上記ファイル読み込み手段が読み込んだファイルと上記ファイル受信手段が受信したファイルとに基づいて上記元の画像データを復元するデータ復元手段と、
該データ復元手段により復元された上記元の画像データに基づき、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
上記Eメールは、上記画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータに送信され、
上記ファイル受信手段は、上記Eメールに添付されたファイルを上記パーソナルコンピュータから転送されることによって受信することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
上記ファイル書き込み手段により携帯型記憶媒体に書き込まれるファイルと、上記ファイル送信手段によりEメールに添付して送信されるファイルとは、互いに異なるキーワードを用いて暗号化され、他方のファイルの暗号化に用いられたキーワードを互いに有することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成システム。
【請求項4】
元の画像データを複数のファイルに分割するデータ分割手段と、
該データ分割手段により分割されたファイルの一部を携帯型記憶媒体に書き込むファイル書き込み手段と、
上記データ分割手段により分割されたファイルの残りをEメールに添付して送信するファイル送信手段と、
を備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
上記ファイル書き込み手段により携帯型記憶媒体に書き込まれるファイルと、上記ファイル送信手段によりEメールに添付して送信されるファイルとは、互いに異なるキーワードを用いて暗号化され、他方のファイルの暗号化に用いられたキーワードを互いに有することを特徴とする請求項4記載のデータ処理装置。
【請求項6】
携帯型記憶媒体からファイルを読み込むファイル読み込み手段と、
パーソナルコンピュータから転送されたファイルを受信可能なファイル受信手段と、
上記ファイル読み込み手段が読み込んだファイルと上記ファイル受信手段が受信したファイルとが、元の画像データを複数のファイルに分割したものの一部と残りとである場合、当該各ファイルに基づいて上記元の画像データを復元するデータ復元手段と、
該データ復元手段により復元された上記元の画像データに基づき、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−219786(P2008−219786A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57530(P2007−57530)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】