説明

画像形成システムおよびその制御方法

【課題】複数の画像形成装置がネットワークを介して接続された画像形成システムにおいて、個々の画像形成装置のユーザインタフェースが元々異なる場合であっても、ユーザ毎、或いは部門毎に共通のユーザインタフェースを用いることができる画像形成システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成システムは、コントロールパネルを具備する複数の画像形成装置と、前記各画像形成装置とネットワークを介して接続され、前記各画像形成装置の夫々のコントロールパネルで共通に使用可能なユーザインタフェースのデータを管理すると共に前記各画像形成装置に対して前記ユーザインタフェースを供給するサーバと、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムおよびその制御方法に係り、特に、複写機等の画像形成装置とサーバ等のネットワーク装置とがネットワークを介して接続された画像形成システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やMFP(Multi-Function Peripheral)等の画像形成装置には、ユーザが操作するためのコントロールパネルが通常設けられている。コントロールパネルは、例えばタッチパネル付きの表示パネルや操作ボタン等を具備しており、ユーザは表示パネルを見ながらタッチパネルや操作ボタンを押下することによって画像形成装置を操作する。
【0003】
一方、近時のネットワーク技術の普及により、画像形成装置から離れた場所から、例えばパーソナルコンピュータ等を用いて画像形成装置を遠隔操作することも可能となってきている。
【0004】
例えば、特許文献1には、複写機等の画像形成装置のコントロールパネルと同じ機能を有するコントロールパネルをパーソナルコンピュータの表示画面に表示させ、パーソナルコンピュータの表示画面上のコントロールパネルをクリックすることによって画像形成装置を離れた場所からでも操作することができる技術が開示されている。特許文献1が開示する技術では、画像形成装置で生成されたコントロールパネルの画像データをパーソナルコンピュータに転送し、これをパーソナルコンピュータに表示させるようにしているため、画像形成装置のコントロールパネルの表示内容とパーソナルコンピュータでの表示内容は全く同一のものが得られる事になる。
【特許文献1】特開2001−175382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、今日のオフィス等では複数の画像形成装置が同一ビル内や同一フロアに設置されることが多い。一般に、画像形成装置は、コピー等の基本的な機能は異ならないものの、様々な部位の性能向上や多機能化は常時行われている。このため、購入時期やメーカが異なる画像形成装置では、コントロールパネルの表示内容や操作内容(以下、表示内容と操作内容とを併せてユーザインタフェースと呼ぶ場合がある)が夫々異なったものとなっている。
【0006】
このため、ユーザはそれぞれの画像形成装置のコントロールパネルに対応しユーザインタフェースを覚えこれに慣れる必要があり、非常に面倒である。
【0007】
また、特許文献1が開示する技術は、特定の画像形成装置に固有のコントロールパネルの画像データをパーソナルコンピュータに取り込んで表示させる形態である。このため、複数の画像形成装置をネットワークに接続し、1台のパーソナルコンピュータから夫々の画像形成装置を操作しようとした場合、画像形成装置毎に異なるユーザインタフェースがパーソナルコンピュータに表示されることになり、不便である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複数の画像形成装置がネットワークを介して接続された画像形成システムにおいて、個々の画像形成装置のユーザインタフェースが元々異なる場合であっても、ユーザ毎、或いは部門毎に共通のユーザインタフェースを用いることができる画像形成システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成システムは、コントロールパネルを具備する複数の画像形成装置と、前記各画像形成装置とネットワークを介して接続され、前記各画像形成装置の夫々のコントロールパネルで共通に使用可能なユーザインタフェースのデータを管理すると共に前記各画像形成装置に対して前記ユーザインタフェースを供給するサーバと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像形成システムの制御方法は、コントロールパネルを具備する複数の画像形成装置と、前記各画像形成装置とネットワークを介して接続されるサーバとを有する画像形成システムの制御方法において、前記各画像形成装置の夫々のコントロールパネルで共通に使用可能なユーザインタフェースのデータを前記サーバで管理し、前記ユーザインタフェースのデータを前記サーバから前記各画像形成装置に対して供給する、ステップを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像形成システムおよびその制御方法によれば、複数の画像形成装置がネットワークを介して接続された画像形成システムにおいて、個々の画像形成装置のユーザインタフェースが元々異なる場合であっても、ユーザ毎、或いは部門毎に共通のユーザインタフェースを用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る画像形成システムおよびその制御方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
(1)画像形成システムの構成
図1は、第1の実施形態に係る画像形成システム1の構成例を示す図である。画像形成システム1は、複数の画像形成装置(2、5)、1以上の情報処理装置(4、6)、及びUIサーバ3を備えており、これらがネットワーク7を介して互いに接続されている。
【0014】
図1のでは2台の画像形成装置2、5と2台の情報処理装置4、6を例示しているが、これらの数は図1の例示に限定されるものではない。
【0015】
画像形成装置2と画像形成装置5は、例えば複写機や、複写機能、スキャナ機能、FAX機能等を1台で実現するMFPである。画像形成装置2と画像形成装置5は機能、性能が互いに少しずつ異なっており、このためこれらが備えるコントロールパネル20、50の表示内容や操作内容(即ち、ユーザインタフェース)は、元々は異なったものとなっている。
【0016】
情報処理装置4、6は、例えばパーソナルコンピュータであり、画像形成装置2、5を遠隔操作するためのものである。情報処理装置4、6は夫々表示装置40、60を有しており、画像形成装置2、5を操作するためのユーザインタフェースが表示される。
【0017】
UIサーバ3は、後述するユーザインタフェースデータ(以下、UIデータという。また、UIデータの集合をUIデータベース30という。)を具備する情報処理手段である。UIサーバ3は、パーソナルコンピュータで構成してもよい。
【0018】
図2は、本発明の実施形態の動作概要を例示する図である。図2の左方の図は、画像形成装置2のコントロールパネル20を模式的に示したものである。コントロールパネル20は、表示操作部200とキー操作部201を有している。
【0019】
キー操作部201は、テンキーやスタートキー等を有しており、ユーザはキー操作部201を操作して、例えばコピー枚数の設定やコピー開始を行う。
【0020】
表示操作部200は、例えば、液晶表示器とタッチパネルとが重ねあわされた構造となっている。図2に示した表示操作部200の表示内容(四角形や多角形等のグラフィクス)はあくまで説明の便宜上のものである。実際には、コピーの拡大、縮小機能、コピー濃度、用紙選択機能、ファックス機能等、画像形成装置2で実現される各種機能に対応した各種の操作用画像や、操作支援用の表示画像(以下、これらの個々の画像をアイコンと呼ぶ)が適宜の位置に配置されて表示されている。即ち、表示操作部200には、画像形成装置2のユーザインタフェースが表示されている。
【0021】
図2の右方には、情報処理装置4の表示装置40の表示例を示している。表示装置40のMFPアクセスウィンド400には、コントロールパネル20の表示操作部200と同じユーザインタフェースが表示されている。
【0022】
本実施形態に係る画像形成システム1では、これらのユーザインタフェース用のデータ(UIデータ)を個々の画像形成装置の本体から出力するのではなく、UIサーバ3から共通のUIデータとして提供することが可能な形態としている。
【0023】
この結果、個々の画像形成装置2、5の元々のコントロールパネルのユーザインタフェースがオプション化による機能の違い、メーカによる違い、或いは購入時期の違いによって異なっていたとしても、各画像記録装置2、5に共通するユーザインタフェースを提供することができる。この共通のユーザインタフェースを用いることで、各画像形成装置2、5のコントロールパネル20、50において同じ表示と同じ操作を実現することが可能となる。
【0024】
また、夫々の画像形成装置2、5を同じ社員Aが情報処理装置4を用いて遠隔操作する場合にも、共通のユーザインタフェースを用いることによって、情報処理装置4の上で同じ表示と同じ操作を実現することが可能となる。
【0025】
また、後述するように、本実施形態では、ユーザ毎、或いは部門毎にカスタマイズしたユーザインタフェースを取り扱うことが可能な形態としている。この結果、より柔軟性の高いシステムを実現できる。
【0026】
なお、近時の液晶表示器の大型化技術により、図3に示したように、操作キーを含めたコントロールパネル全体を外部からのUIデータによって自由にアレンジすることも可能となってきている。この場合、画像形成装置のコントロールパネルで実現されるユーザインタフェースと、情報処理装置で実現されるユーザインタフェースとを全く同じにすることが可能であり、本実施形態による効果はさらに高まる。
【0027】
図4は、UIサーバ3が具備するUIデータの集合(UIデータベース30)の一例を示したものである。このうち、UIデータ300aは、ユーザ名や部門名が未定義の一般ユーザインタフェースのデータである。つまり、誰でも使用できるUIデータである。
【0028】
また、UIデータ300b、300c、300dは、ユーザ名と部門名の少なくとも一方が定義された特定ユーザインタフェースのデータである。例えば、UIデータ300bは、社員A専用のUIデータであり、UIデータ300cは社員B専用のUIデータである。また、UIデータ300dは、部門A専用のUIデータである。部門Aに所属するメンバは誰でもUIデータ300dを使用できるが、部門Aのメンバ以外のユーザは使用できない。
【0029】
特定ユーザインタフェースのデータはカスタマイズが可能であり、例えばUIデータ300bは、社員Aが自分の使い勝手が良いようにアイコンの形状や配置等を変更することができる。
【0030】
それぞれのUIデータは、表示画面の背景画像や複数のアイコン情報からなっている。アイコン情報は、例えば各アイコンのイメージファイル、表示座標、タッチ音の情報や、各アイコンに割り当てられている機能に関する情報を含むものである。
【0031】
(2)動作
上記のように構成された画像形成システム1の動作について以下に説明する。
【0032】
図5は、第1の実施形態(クライアントPC(情報処理装置4)からの遠隔操作モードで動作する形態)に係る画像形成システム1の動作のうち、画像形成装置2での処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
なお、情報処理装置4を用いて画像形成装置5を遠隔操作する処理や、情報処理装置6を用いて画像形成装置2や画像形成装置5を遠隔操作する動作も、基本的には情報処理装置4を用いて画像形成装置2を遠隔操作する処理と同じ処理となるため、以下の説明では情報処理装置4を用いて画像形成装置2を遠隔操作する例を主に説明する。
【0034】
まず、ステップST1及びステップST2にて、ユーザ管理機能又は部門管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定する。本実施形態では、特定のユーザや特定の部門が予め自分専用の特定ユーザインタフェースをカスタマイズし、UIサーバ3に登録できるようにしている。
【0035】
一方、ユーザや部門が未定義であり、誰でも使用できる一般ユーザインタフェースもUIサーバ3に登録されている。ユーザ管理機能や部門管理機能が画像形成装置2に設定されていない場合や、自分用の特定ユーザインタフェースを登録していないユーザや部門に対しては、この一般ユーザインタフェースを使用できるようにしている。
【0036】
そこで、ステップST1及びステップST2にて、ユーザ管理機能又は部門管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定し、いずれも設定されていない場合には、ステップST15へ進み、ユーザと部門が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得するようにしている。
【0037】
一般UIデータをUIサーバ3から取得すると、画像形成装置2のコントロールパネル20に「外部接続中」である旨を表示する(ステップST9)。画像形成装置2を直接ローカルモードで使用しようとするユーザに対して、外部の情報処理装置4からの遠隔操作中であることを通知するためである。
【0038】
取得した一般UIデータはクライアントPC(情報処理装置4)に送信され、情報処理装置4での操作に供される(ステップST10)。
【0039】
図6は、情報処理装置4を用いて画像形成装置2を遠隔操作する際に、一般ユーザインタフェースが情報処理装置4の上で実現されるまでの過程を、画像形成システム1の構成図上に模式的に示した図である。
【0040】
まず、情報処理装置4から、ユーザ管理機能も部門管理機能も設定されていない画像形成装置2に対して遠隔操作のアクセスを行う(図6中の<1>)。このアクセスを受けて画像形成装置2は、UIサーバ3に対して、ユーザと部門が未定義の一般UIデータ300aの提供を要求する(図6中の<2>)。
【0041】
UIサーバ3は、UIデータベース30の中からUIデータ300aを検索し(図6中の<3>)、画像形成装置2に出力する(図6中の<4>)。
【0042】
画像形成装置2は、コントロールパネル20に「外部接続中」であることを表示し(図6中の<5>)、UIデータ300aを情報処理装置4に出力する(図6中の<6>)。
【0043】
情報処理装置4は、入力したUIデータ300aに基づくユーザインタフェース画像を表示装置40に表示させると共に、ユーザインタフェース画像のアイコンに関連付けられた操作環境を実現する(図6中の<7>)。
【0044】
図7は、情報処理装置4を用いて画像形成装置5を遠隔操作する際に、一般UIデータが情報処理装置4に提供されるまでの過程を模式的に示した図である。情報処理装置4のアクセス先が画像形成装置2から画像形成装置5に変っただけで、その他はやり取りされるデータや処理の内容も含めて図6と異なるところはない。
【0045】
図6及び図7からわかるように、機種の異なる画像形成装置2及び画像形成装置5を遠隔操作する場合であっても、情報処理装置4上で実現されるユーザインタフェースは、UIサーバ3から提供される同じUIデータ300aに基づくものである。従って、元々のユーザインタフェースが画像形成装置2と画像形成装置5とで異なっていたとしても、ユーザはUIサーバ3に登録されている共通の一般ユーザインタフェースを情報処理装置1上で利用することが可能となり、利便性が増す。
【0046】
画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合には、ステップST3にて、クライアントPC(情報処理装置4)にユーザ認証のデータ入力を要求する(ステップST3)。ユーザ認証が成功すると、認証されたユーザ専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求する(ステップST5)。このとき、認証されたユーザ名を検索用のキーとしてUIサーバ3に渡す。
【0047】
同様に、画像形成装置2に部門管理機能が設定されている場合には、ステップST11にて、クライアントPC(情報処理装置4)に部門認証のデータ入力を要求する(ステップST12)。部門認証が成功すると、認証された部門専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求する(ステップST13)。この場合にも認証された部門名をキーとしてUIサーバ3に渡す。
【0048】
ステップST6及びステップST14は、UIサーバ3で行われる処理であるが、より詳細な内容を図8に示す。
【0049】
図8は、UIサーバ3で行われる処理例を示すフローチャートである。UIサーバ3では、画像形成装置2から渡されたキーがユーザ名であるのか部門名であるのかを判定する(ステップST31、ステップST33)。
【0050】
キーがユーザ名の場合にはユーザ名をキーとしてUIデータベース30を検索する(ステップST32)。また、キーが部門名の場合には部門名をキーとしてUIデータベース30を検索する(ステップST34)。
【0051】
キーに一致するユーザ名或いは部門名で定義されたUIデータがUIデータデータベース30に存在した場合には(ステップST35のYES)、「特定UIデータ有り」を画像形成装置2に対して送信する(ステップST36)。存在しない場合には、「特定UIデータ無し」を画像形成装置2に対して送信する(ステップST37)。
【0052】
画像形成装置2では、UIサーバ3に該当する特定UIデータがあった場合にはその特定UIデータをUIサーバ3から取得する(図5のステップST7)。
【0053】
一方、該当する特定UIデータがなかった場合には、ユーザ名と部門名が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得する(ステップST15)。そして、画像形成装置2のコントロールパネル20に「外部接続中」と表示した後(ステップST9)、取得した特定UIデータ又は一般UIデータをクライアントPC(情報処理装置4)に送信する(ステップST10)。
【0054】
なお、ステップST4或いはステップST12にて認証が失敗した場合には、クライアントPC(情報処理装置4)に認証失敗の旨を送信し、処理を終了する。
【0055】
図9は、情報処理装置4を用いて画像形成装置2を遠隔操作する際に、特定ユーザインタフェースが情報処理装置4の上で実現されるまでの過程を、図6と同様に画像形成システム1の構成図上に模式的に示した図である。
【0056】
まず、情報処理装置4からユーザ管理機能が設定されている画像形成装置2に対して遠隔操作のアクセスを行う。画像形成装置2では、情報処理装置4に対して認証用データの入力要求を行う。この要求を受けて、情報処理装置4では、表示装置40の画面上に、ユーザ名とパスワードの入力画面を表示し、入力を促す。ユーザはこの入力画面に、ユーザ名(図9の例では「社員A」)とパスワードを入力し画像形成装置2に送信する(図9中の<1>)。
【0057】
画像形成装置2は、ユーザ名(社員A)とパスワードに基づいてユーザ認証を行う。認証が成功すると、社員A用の特定UIデータ300bの提供をUIサーバ3に対して要求する。このとき、ユーザ名(社員A)と共に要求する(図9中の<2>)。
【0058】
UIサーバ3は、UIデータベース30の中からユーザ名(社員A)をキーとして特定UIデータ300bを検索し(図6中の<3>)、画像形成装置2に出力する(図9中の<4>)。
【0059】
画像形成装置2は、コントロールパネル20に「外部接続中」であることを表示し(図9中の<5>)、特定UIデータ300bを情報処理装置4に出力する(図9中の<6>)。
【0060】
情報処理装置4は、入力した特定UIデータ300bに基づくユーザインタフェース画像を表示装置40に表示させると共に、ユーザインタフェース画像のアイコンに関連付けられた操作環境を実現する(図9中の<7>)。
【0061】
図10は、情報処理装置4が画像形成装置5を遠隔操作する際に、特定UIデータが情報処理装置4に提供されるまでの過程を模式的に示した図である。情報処理装置4のアクセス先が画像形成装置2から画像形成装置5に変っただけで、その他はやり取りされるデータや処理の内容を含めて図9と異なるところはない。
【0062】
図9及び図10からわかるように、機種の異なる画像形成装置2及び画像形成装置5を遠隔操作する場合であっても、情報処理装置4上で実現されるユーザインタフェースは、UIサーバ3から提供される同じ特定UIデータ300bに基づくものである。従って、元々のユーザインタフェースが画像形成装置2と画像形成装置5とで異なっていたとしても、ユーザはUIサーバ3に登録されている共通の特定ユーザインタフェースを情報処理装置4の上で利用することが可能となり、利便性が増す。さらに、特定ユーザインタフェースの場合には、例えば、社員Aが自分の好みに応じてアイコンの形状や配置をカスタマイズすることが可能であり、さらに使い勝手のよりユーザインタフェースが実現できる。
【0063】
図11は、情報処理装置4が画像形成装置5を遠隔操作する際に、特定UIデータが情報処理装置4に提供されるまでの過程を、図10と同様に画像形成システム1の構成図上に模式的に示した図である。但し、図11では、画像形成装置5にユーザ管理機能ではなく、部門管理機能が設定されている。
【0064】
この場合、情報処理装置4では、部門名と部門認証用のパスワードを入力する(図11中の<1>)。
【0065】
画像形成装置5は、UIサーバ3に対して特定UIデータを要求する際に部門名を渡す(図11中の<2>)。UIサーバ3は、部門名(この場合、「部門A」)をキーとしてUIデータベース30の中から特定UIデータ300dを検索する(図11中の<3>)。
【0066】
検索された部門A用の特定UIデータ300dは、画像形成装置5を経由して情報処理装置4に渡される(図11中の<4>)。画像形成装置5は、「外部接続中」であることを表示し(図11中の<5>)、さらに特定UIデータ300dを情報処理装置4に出力する(図11中の<6>)。情報処理装置4では、特定UIデータ300dに基づくユーザインタフェースを実現する。
【0067】
この場合にも、元々の画像形成装置2、5のユーザインタフェースによらず、各画像形成装置2、5に共通するユーザインタフェースが特定UIデータ300dに基づいて実現されるため、部門Aに属するメンバ全員の利便性が向上する。
【0068】
(3)第2の実施形態
図12は、第2の実施形態に係る画像形成システム1aの構成例を示す図である。画像形成システム1aは、複数の画像形成装置2、5とUIサーバ3とがネットワーク7を介して接続されている形態である。第1の実施形態がクライアントPC(情報処理装置4、6)を用いて画像形成装置2、5を遠隔操作する形態であったのに対して、第2の実施形態は、各画像形成装置2、5が自分のコントロールパネル20、50を用いてローカルモードで動作する形態である。なお、本実施形態に係る画像形成装置2、5の動作は同じものであり、以下の説明では画像形成装置2を例にとって説明する。
【0069】
図13は、ローカルモード動作時の画像形成装置2の処理例を示すフローチャートである。遠隔操作時の処理のフローチャート(図8)と同じ処理に対しては同じステップ番号を付しており、説明を省略する。
【0070】
ローカルモードでの画像形成装置2の操作は、画像形成装置2が具備するコントロールパネル20を使用して行われる。従って、ユーザ認証や部門認証のデータ入力を要求する表示は、コントロールパネル20に表示される(ステップST100、ステップST101)。また、UIサーバ3から取得したUIデータに基づく表示や操作機能は、自らのコントロールパネル20に適用されることになる(ステップST102)。これらの2点以外は、第1の実施形態と同様の処理となる。
【0071】
図14は、画像形成装置2がローカルモードで動作する際に、一般ユーザインタフェースが画像形成装置2のコントロールパネル20上で実現されるまでの過程を画像形成システム1aの構成図上に模式的に示した図である。
【0072】
ユーザ管理機能や部門管理機能が設定されていない場合、画像形成装置2は、一般UIデータ300aの提供をサーバ3に対して要求する(図14中の<1>)。
【0073】
UIサーバ3は、UIデータベース30の中からUIデータ300aを検索し(図14中の<2>)、画像形成装置2に出力する(図14中の<3>)。
【0074】
画像形成装置2は、UIデータ300aに基づくユーザインタフェース画像をコントロールパネル20に表示させると共に、ユーザインタフェース画像のアイコンに関連付けられた操作環境を実現する(図14中の<4>)。このようにして一般UIデータ300aに基づくユーザインタフェースがコントロールパネル20上で実現される。
【0075】
特に例示はしないが、画像形成装置5のコントロールパネル50上にも、共通の一般UIデータ300aに基づく、同じユーザインタフェースが実現される。
【0076】
図15は、ローカルモードで動作する画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合に、特定ユーザインタフェースがコントロールパネル20上で実現されるまでの過程を図14と同様に画像形成システム1aの構成図上に模式的に示した図である。
【0077】
ローカルモード動作時においてユーザ管理機能が設定されている場合には、画像形成装置2のコントロールパネル20にユーザ認証用の入力画面が表示される。ユーザはこの入力画面に、ユーザ名(図15の例では「社員A」)とパスワードを入力する。その後、画像形成装置2は、ユーザ名(社員A)とパスワードに基づいてユーザ認証を行う。認証が成功すると、社員A用の特定UIデータ300bの提供をUIサーバ3に対して要求する。このとき、ユーザ名(社員A)と共に要求する(図15中の<1>)。
【0078】
UIサーバ3は、UIデータベース30の中から社員A用のUIデータ300bを検索し(図15中の<2>)、画像形成装置2に出力する(図15中の<3>)。
【0079】
画像形成装置2は、社員A用の特定UIデータ300bに基づくユーザインタフェースを、コントロールパネル20上に実現する(図15中の<4>)。
【0080】
なお、説明は省略するが、画像形成装置5のコントロールパネル50上でも、同じ社員A用の特定UIデータ300bに基づくユーザインタフェースが実現される。
【0081】
また、他の社員B用のUIデータ300cや部門AのUIデータ300dに基づくユーザインタフェースも同様にして画像形成装置2のコントロールパネル20や画像形成装置のコントロールパネル50上で実現される。
【0082】
以上説明してきたように、上記の各実施形態に係る画像形成システム1、1aによれば、個々の画像形成装置のユーザインタフェースが元々異なる場合であっても、ユーザ毎、或いは部門毎に共通のユーザインタフェースを情報処理装置やコントロールパネル上で実現することができる。
【0083】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図。
【図2】画像形成装置のコントロールパネル、及び画像形成装置を遠隔操作する情報処理装置の表示装置の第1の表示例を示す図。
【図3】画像形成装置のコントロールパネル、及び画像形成装置を遠隔操作する情報処理装置の表示装置の第2の表示例を示す図。
【図4】UIサーバのUIデータベースの一例を概念的に示す図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の処理例を示すフローチャート。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムにおいて、一般ユーザインタフェースを情報処理装置のうえで実現する第1の動作例を示す図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムにおいて、一般ユーザインタフェースを情報処理装置のうえで実現する第2の動作例を示す図。
【図8】UIサーバの処理例を示すフローチャート。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムにおいて、特定ユーザインタフェースを情報処理装置のうえで実現する第1の動作例を示す図。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムにおいて、特定ユーザインタフェースを情報処理装置のうえで実現する第2の動作例を示す図。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムにおいて、特定ユーザインタフェースを情報処理装置のうえで実現する第3の動作例を示す図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の処理例を示すフローチャート。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る画像形成システムにおいて、一般ユーザインタフェースをコントロールパネルのうえで実現する動作例を示す図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る画像形成システムにおいて、特定ユーザインタフェースをコントロールパネルのうえで実現する動作例を示す図。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成システム
2、5 画像形成装置
3 UIサーバ
4、6 情報処理装置
7 ネットワーク
20、50 コントロールパネル
30 UIデータベース
40、60 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロールパネルを具備する複数の画像形成装置と、
前記各画像形成装置とネットワークを介して接続され、前記各画像形成装置の夫々のコントロールパネルで共通に使用可能なユーザインタフェースのデータを管理すると共に前記各画像形成装置に対して前記ユーザインタフェースを供給するサーバと、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記各画像形成装置は、
前記サーバから供給された前記ユーザインタフェースのデータに基づいて、前記夫々のコントロールパネルの表示機能と操作機能とを実現する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記ユーザインタフェースのデータは、
前記コントロールパネルに表示させる操作用画像のデータ、前記操作用画像の配置に関するデータ、及び前記操作用画像に関連付けられた機能に関するデータ、を含むデータである、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記ユーザインタフェースのデータは、
特定のユーザが前記各画像形成装置を使用するときに用いられる特定ユーザインタフェースのデータと、
非特定の一般ユーザが前記各画像形成装置を使用するときに用いられる一般ユーザインタフェースのデータと、
を具備するデータである、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記各画像形成装置は、
ユーザ認証手段を有しており、
ユーザ認証を行う場合には、前記特定のユーザの認証が成功したときに前記サーバに対して前記特定ユーザインタフェースのデータを提供するように要求し、
ユーザ認証を行わない場合には、前記サーバに対して前記一般ユーザインタフェースのデータを提供するように要求する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記ネットワークに接続される情報処理装置をさらに備え、
前記各画像形成装置は、
前記情報処理装置からの要求に応じて、前記サーバに対して前記ユーザインタフェースのデータを提供するように要求し、
前記サーバから提供を受けた前記ユーザインタフェースのデータをさらに前記情報処理装置に提供する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、
前記画像形成装置を介して前記サーバから供給された前記ユーザインタフェースのデータに基づいて、前記夫々のコントロールパネルの表示機能と操作機能とに実質的に同じ表示機能と操作機能とを実現する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記各画像形成装置は、
前記ユーザインタフェースのデータの提供を受けた前記情報処理装置によって操作されているときには、外部から操作中である旨を前記夫々のコントロールパネルに表示する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記ユーザインタフェースのデータは、
特定のユーザが前記各画像形成装置を使用するときに用いられる特定ユーザインタフェースのデータと、
非特定の一般ユーザが前記各画像形成装置を使用するときに用いられる一般ユーザインタフェースのデータと、
を具備するデータである、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記各画像形成装置は、
ユーザ認証手段を有しており、
前記情報処理装置から入力された認証情報に基づいてユーザ認証を行う場合には、前記特定のユーザの認証が成功したときに前記サーバに対して前記特定ユーザインタフェースのデータを提供するように要求すると共に、前記サーバから提供された前記特定ユーザインタフェースを前記情報処理装置に提供し、
ユーザ認証を行わない場合には、前記サーバに対して前記一般ユーザインタフェースのデータを提供するように要求すると共に、記サーバから提供された前記一般ユーザインタフェースを前記情報処理装置に提供する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
コントロールパネルを具備する複数の画像形成装置と、前記各画像形成装置とネットワークを介して接続されるサーバとを有する画像形成システムの制御方法において、
前記各画像形成装置の夫々のコントロールパネルで共通に使用可能なユーザインタフェースのデータを前記サーバで管理し、
前記ユーザインタフェースのデータを前記サーバから前記各画像形成装置に対して供給する、
ステップを備えたことを特徴とする画像形成システムの制御方法。
【請求項12】
前記サーバから供給された前記ユーザインタフェースのデータに基づいて、前記夫々のコントロールパネルの表示機能と操作機能とを実現する、
ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の画像形成システムの制御方法。
【請求項13】
前記ユーザインタフェースのデータは、特定のユーザが前記各画像形成装置を使用するときに用いられる特定ユーザインタフェースのデータと、非特定の一般ユーザが前記各画像形成装置を使用するときに用いられる一般ユーザインタフェースのデータと、を具備するデータであり、
ユーザ認証を行う場合には、前記特定のユーザの認証が成功したときに前記サーバに対して前記特定ユーザインタフェースのデータを提供するように要求し、
ユーザ認証を行わない場合には、前記サーバに対して前記一般ユーザインタフェースのデータを提供するように要求する、
ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の画像形成システムの制御方法。
【請求項14】
前記画像形成システムは、前記ネットワークに接続される情報処理装置をさらに備え、
前記情報処理装置からの要求に応じて、前記サーバに対して前記ユーザインタフェースのデータを提供するように要求し、
前記サーバから提供を受けた前記ユーザインタフェースのデータをさらに前記情報処理装置に提供する、
ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の画像形成システムの制御方法。
【請求項15】
前記画像形成装置を介して前記サーバから供給された前記ユーザインタフェースのデータに基づいて、前記夫々のコントロールパネルの表示機能と操作機能とに実質的に同じ表示機能と操作機能とを前記情報処理装置にて実現する、
ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項14に記載の画像形成システムの制御方法。
【請求項16】
前記ユーザインタフェースのデータの提供を受けた前記情報処理装置によって操作されているときには、外部から操作中である旨を前記夫々のコントロールパネルに表示する、
ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項14に記載の画像形成システムの制御方法。
【請求項17】
前記ユーザインタフェースのデータは、特定のユーザが前記各画像形成装置を使用するときに用いられる特定ユーザインタフェースのデータと、非特定の一般ユーザが前記各画像形成装置を使用するときに用いられる一般ユーザインタフェースのデータと、を具備するデータであり、
前記情報処理装置から入力された認証情報に基づいてユーザ認証を行う場合には、前記画像形成装置は、前記特定のユーザの認証が成功したときに前記サーバに対して前記特定ユーザインタフェースのデータを提供するように要求すると共に、前記サーバから提供された前記特定ユーザインタフェースを前記情報処理装置に提供し、
ユーザ認証を行わない場合には、前記画像形成装置は、前記サーバに対して前記一般ユーザインタフェースのデータを提供するように要求すると共に、前記サーバから提供された前記一般ユーザインタフェースを前記情報処理装置に提供する、
ステップを備えたことを特徴とする請求項14に記載の画像形成システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−71819(P2009−71819A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231422(P2008−231422)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】