説明

画像形成方法および画像形成装置

【課題】画質の劣化を生じさせずに変倍処理を実行することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成装置であって、変倍率αに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/αに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り部と、前記画像読み取り部により生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部で画像処理がなされた画像データを、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して画像形成する画像形成部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成方法と画像形成装置とに関し、特に、変倍画像処理によらず変倍された画像形成が可能な画像形成方法と画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、画像読み取り装置(スキャナ)、プリンタなどにおいて、一般的には、画像読み取り装置(スキャナ)では、主走査方向に読み取りを行うラインセンサを、主走査方向と直交する副走査方向に移動させ、あるいは、原稿を副走査方向に移動させることで二次元の読み取りを実行している。
【0003】
この場合、主走査方向の変倍率あるいは解像度は固定であり、副走査方向の変倍率あるいは解像度については読み取り速度(副走査速度)を変更することで任意に変更することができる。そして、主走査方向の変倍率あるいは解像度については、画像処理により対処していた。
【0004】
また、一般的には、プリンタでは、感光体上や記録紙上を主走査方向に走査する行為を、感光体上や記録紙を副走査方向に移動させつつ繰り返すことで二次元の画像形成を実行している。
【0005】
この場合、主走査方向の変倍率あるいは解像度は固定あるいは整数倍の段階的切り替えであり、副走査方向の変倍率あるいは解像度については副走査速度を変更することで任意に変更することができる。そして、主走査方向の変倍率あるいは解像度については、画像処理により対処していた。
【0006】
なお、このような変倍処理については、以下の特許文献1や特許文献2などに関連技術が記載されている。
【特許文献1】特開平5−282843号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開2001−157042号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1の画像読み取り装置(スキャナ)では、主走査方向に読み取りを行うラインセンサを、主走査方向と直交する副走査方向に移動させ、あるいは、原稿を副走査方向に移動させることで二次元の読み取りを実行しており、主走査方向の変倍率あるいは解像度は固定であり、副走査方向の変倍率あるいは解像度については読み取り速度(副走査速度)を変更することで任意に変更する。そして、主走査方向の変倍率あるいは解像度については、画像処理により対処していた。
【0008】
上述した特許文献2の画像形成装置(プリンタ)では、主走査方向と副走査方向の両方の変倍率あるいは解像度については、メモリ上の画像データに対して画像処理を施すことにより対処していた。
【0009】
ここで、画像形成装置の露光手段としてLEDアレイを用いたものが、電子写真方式のプリンタや、印画紙に露光を行うミニラボ用プリンタなどで使用されている。この種のLEDアレイでは、各発光素子のピッチは固定である。
【0010】
このため、主走査方向の整数倍や整数分の一の変倍や解像度の変更に対しては劣化が少ない状態で対処できるものの、整数倍以外の変倍や解像度の変更が指定された場合には画像には数画素おきに画素の追加や間引きを行うために劣化が生じやすくなる。すなわち、細線が消えたり途切れたりすることがあり、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりと、画質の劣化を生じさせやすくなる。
【0011】
特に、2値でドットの有り/無しによって画像を形成する場合、以上の画質の劣化を著しく感じ易い状態になる。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、画質の劣化を生じさせずに変倍処理を実行することが可能な画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決する本発明は、以下に記載するようなものである。
(1)請求項1記載の発明は、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成方法であって、変倍率αに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/αに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行い、画像処理がなされた前記画像データを、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して画像形成する、ことを特徴とする画像形成方法である。
【0013】
(2)請求項2記載の発明は、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成方法であって、解像度変更率βに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/βに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行い、前記解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替えて、画像処理がなされた前記画像データを画像形成する、ことを特徴とする画像形成方法である。
【0014】
(3)請求項3記載の発明は、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成方法であって、変倍率αと解像度変更率βとに応じて副走査方向の読み取り間隔を、1/(αβ)に変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行い、前記解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替え、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して、画像処理がなされた前記画像データを画像形成する、ことを特徴とする画像形成方法である。
【0015】
(4)請求項4記載の発明は、両面画像形成時の記録紙の収縮率に応じて前記αを設定して両面画像形成を実行する、ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の画像形成方法である。
【0016】
(5)請求項5記載の発明は、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成装置であって、変倍率αに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/αに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り部と、前記画像読み取り部により生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部で画像処理がなされた画像データを、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して画像形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0017】
(6)請求項6記載の発明は、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成装置であって、解像度変更率βに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/βに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り部と、前記画像読み取り部により生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行う画像処理部と、前記解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替えて、前記画像処理部で画像処理がなされた画像データを画像形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0018】
(7)請求項7記載の発明は、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成装置であって、変倍率αと解像度変更率βとに応じて副走査方向の読み取り間隔を、1/(αβ)に変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り部と、前記画像読み取り部により生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行う画像処理部と、前記解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替え、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して、前記画像処理部で画像処理がなされた画像データを画像形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0019】
(8)請求項8記載の発明は、両面画像形成時の記録紙の収縮率に応じて前記αを設定して両面画像形成を実行する、ことを特徴とする請求項5または請求項7に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると以下のような効果が得られる。
(1)請求項1と請求項5とに記載の発明では、変倍率αに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/αに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成された画像データを90度回転させる画像処理を行い、回転の画像処理がなされた画像データを、変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して画像形成する。
【0021】
これにより、読み取りの際に、原稿の主走査方向は所定の画素数であり副走査方向はα倍の画素数である画像データが生成される。その後、90度の画像回転処理が施され、主走査方向と副走査方向とが入れ替わる。そして、原稿の主走査方向は画像形成の副走査方向としてα倍の画像形成速度によりα倍の大きさに引き伸ばされ、α倍の画素数となった主走査方向(原稿の副走査方向)と共に、主走査方向(原稿の副走査方向)・副走査方向(原稿の主走査方向)共にα倍の大きさの画像が記録紙上に形成される。
【0022】
ここで、画像形成時の主走査方向は、画像読み取り時にα倍の画素数とされており、変倍の画像処理も画像形成主走査方向のピッチ変更も必要ないため、劣化なく変倍が可能になっている。
【0023】
また、画像形成時の副走査方向(原稿の主走査方向)は、画像形成時にα倍の画像形成速度によりα倍の大きさに引き伸ばされるため、変倍の画像処理が必要ないため、劣化なく変倍が可能になっている。
【0024】
すなわち、拡大であっても縮小であっても、変倍の画像処理や主走査方向読み取りピッチの変更や主走査方向画像形成ピッチの変更が必要なく、劣化なく変倍が可能になっている。
【0025】
この結果、整数倍以外の変倍や解像度の変更が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなる。
【0026】
(2)請求項2と請求項6とに記載の発明では、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する際に、解像度変更率βに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/βに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成された画像データを90度回転させる画像処理を行い、解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替えて、画像処理がなされた前記画像データを画像形成する。
【0027】
これにより、読み取りの際に、原稿の主走査方向は所定の画素数であり副走査方向はβ倍の画素数である画像データが生成される。その後、90度の画像回転処理が施され、主走査方向と副走査方向とが入れ替わる。
【0028】
そして、主走査方向の画像形成解像度がβ倍に切り替えられた状態で、β倍の画素数となった主走査方向(原稿の副走査方向)の画像形成がなされる。これにより、形成される画像は等倍でありながら、読み取り時のセンサの性能(解像度)を何ら変更することなく、また、補間処理などの画素増加の画像処理を施すことなく、主走査方向の解像度をβ倍にした画像形成が可能になる。
【0029】
ここで、画像形成時の主走査方向は、画像読み取り時の副走査方向としてβ倍の画素数とされており、画像読み取り時の主走査方向ピッチ変更も変倍の画像処理も必要ないため、画像形成側の解像度変更が可能な装置にあっては、劣化や面倒な処理なく解像度変更を伴った複写が可能になっている。
【0030】
すなわち、解像度アップであっても解像度ダウンであっても、変倍の画像処理や主走査方向読み取りピッチの変更や主走査方向画像形成ピッチの変更が必要なく、劣化なく解像度変更が可能になっている。
【0031】
この結果、整数倍以外の解像度変更が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなる。
【0032】
(3)請求項3と請求項7とに記載の発明では、原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する際に、変倍率αと解像度変更率βとに応じて副走査方向の読み取り間隔を、1/(αβ)に変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行い、解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替え、変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して、画像処理がなされた画像データを画像形成する。
【0033】
これにより、読み取りの際に、原稿の主走査方向は所定の画素数であり副走査方向はα×β倍の画素数である画像データが生成される。その後、90度の画像回転処理が施され、主走査方向と副走査方向とが入れ替わる。
【0034】
そして、原稿の主走査方向は画像形成の副走査方向としてα倍の画像形成速度によりα倍の大きさに引き伸ばされ、主走査方向の画像形成解像度がβ倍に切り替えられた状態で、αβ倍の画素数となった主走査方向(原稿の副走査方向)の画像形成がなされ、主走査方向(原稿の副走査方向)・副走査方向(原稿の主走査方向)共にα倍の大きさの画像が記録紙上に形成される。
【0035】
これにより、主走査方向の画像形成解像度はβ倍であって形成される画像はα倍でありながら、読み取り時のセンサの性能(解像度)を何ら変更することなく、また、補間処理などの画素増加の画像処理を施すことなく、主走査方向の解像度をβ倍にした画像形成が可能になる。
【0036】
ここで、画像形成時の主走査方向は、画像読み取り時の副走査方向としてα×β倍の画素数とされており、画像読み取り時の主走査方向ピッチ変更も変倍の画像処理も必要ないため、画像形成側の解像度変更が可能な装置にあっては、劣化や面倒な処理なく解像度変更と変倍との両方を伴った複写が可能になっている。
【0037】
また、画像形成時の副走査方向(原稿の主走査方向)は、画像形成時にα倍の画像形成速度によりα倍の大きさに引き伸ばされるため、変倍の画像処理が必要ないため、劣化なく変倍が可能になっている。
【0038】
すなわち、拡大であっても縮小であっても、変倍の画像処理や主走査方向読み取りピッチの変更や主走査方向画像形成ピッチの変更が必要なく、解像度変更を伴った状態で劣化なく変倍が可能になっている。
【0039】
この結果、整数倍以外の変倍や解像度変更が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなる。
【0040】
(4)請求項4と請求項8と記載の発明では、両面画像形成時の記録紙の収縮率に応じて上述した(1)または(3)のαを設定して両面画像形成を実行する、ことを特徴とする。
【0041】
この場合も、上記(1)や(3)と同様に、拡大であっても縮小であっても、変倍の画像処理や主走査方向読み取りピッチの変更や主走査方向画像形成ピッチの変更が必要なく、解像度変更を伴った状態で劣化なく変倍が可能になっている。この結果、両面画像形成時の表裏の収縮の違いを解消するために整数倍以外の変倍や解像度変更が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。なお、以下、画像形成装置の構成および動作について実施形態の説明をするが、画像形成装置の動作が画像形成方法となっている。
【0043】
〈画像形成装置の電気的構成〉
図1は、本発明の第1の実施形態の画像形成装置として複写機の電気的構成を示す回路構成図である。
【0044】
この図1において、101は装置全体を制御するCPUなどで構成された制御部、102は画像形成装置の設定の操作をユーザあるいはキーオペレータが入力する操作入力部、103は装置の状態をユーザに対して表示する表示部である。なお、ここでは、操作の入力と表示とを個別に行う操作入力部と表示部とを示したが、両方を行うタッチパネルなどで構成された操作表示部の構成であってもよい。104は画像形成に関する各種情報を保持する情報保持部である。
【0045】
110は原稿の画像情報を光学的にスキャンして読み取って画像データを生成するスキャナとしての画像読み取り部であり、原稿の画像をスキャンして画像データを生成する画像読み取り部と、この画像読み取り部に対して原稿を自動的に給送する自動原稿給送手段(ADF)とを備えていてもよい。
【0046】
なお、この画像読み取り部110では、原稿載置部に載置された原稿を自動的に給送しつつスキャンして画像データを生成する場合と、プラテンガラス上に1枚ずつ原稿をユーザが載置してスキャンして画像データを生成する場合との、二通りのスキャンが可能である。ここで、原稿がプラテンガラス上に読み取り面を下に向けた状態に載置された場合には、読み取り光学系はプラテンガラスに沿って走査して読み取りを行う。また、原稿が自動給送される場合には、読み取り光学系が固定された状態で読み取りを行う。
【0047】
また、この画像読み取り部110は、制御部101の制御により、変倍率αに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/αに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する機能を有する。
【0048】
なお、読み取り間隔を1/αにするとは、一般的には、読み取り速度を1/αにすることにより実現することができる。
120は画像読み取り部110で読み取って得られた画像データに所定の画像処理を施す画像処理部であり、必要に応じて画像データを保持するための所定の容量の画像メモリを有していてもよい。なお、この実施形態では、画像データを90度回転させる画像処理を実行する機能を有する。
【0049】
130は画像データに応じた画像(トナー像)を記録紙上に形成して出力するプリントエンジンとしての画像形成部であり、給紙トレイから所望の記録紙を画像書込部136に対して給紙する給紙部132と、給紙された記録紙を所定の速度で副走査方向に搬送する搬送部134と、画像データに応じた露光により画像を書き込む画像書き込み部136とと、を備えて構成されている。
【0050】
また、この画像形成装置100は、複写機、ファクシミリ装置、オールインワンプリンタなどの各種の装置が該当する。また、画像形成部130は、レーザビームを用いる電子写真方式のもののほか、LEDプリントヘッドを用いるものや、インクジェット方式のものでもよい。
【0051】
〈画像形成装置の機械的構成〉
また、図2は本発明の実施形態の画像形成装置100の画像形成部130を電子写真方式で構成した場合の機械的構成を示す構成図である。
【0052】
この図2において、10は自動原稿給送手段(以下、ADFと言う)であり、原稿の両面を読み取るための給紙を行う手段である。20は原稿を光学的にスキャンして読み取って画像データを生成する画像読み取り部(スキャナ部)である。
【0053】
また、このADF10または画像読み取り部20は、図1における画像読み取り部110を構成しており、制御部101の制御により、変倍率αに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/αに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する機能を有する。なお、読み取り間隔を1/αにするとは、一般的には、読み取り速度を1/αにすることにより実現することができる。50は画像データを電子写真方式により記録紙p上に記録する画像書き込み部である。60は記録紙の搬送を行う搬送手段である。
【0054】
ここで、原稿の両面給送が可能なADF10の原稿載置部11には、原稿第1頁の表面を上にした状態の原稿dが複数枚載置されている。ローラ12a、ローラ12bを介して繰り出された原稿の1枚目はローラ13を介して回転される。
【0055】
この時、光源23により原稿dの原稿面が照射され、その反射光がミラー24,25,26を介して結像光学系27を介して光電変換手段であるCCD28の受光面に像を結ぶ。ここで、光源23、ミラー24,25,26、結像光学系27及びCCD28を有する光学系、並びに、図示されていない光学系駆動手段とで画像読み取り部20を構成している。
【0056】
この図において、原稿dがプラテンガラス21上に読み取り面を下に向けた状態に載置された場合には、光学系はプラテンガラス21に沿って走査して読み取りを行う。
また、原稿dが自動給紙されてローラ13の周囲を回る場合には、第2のプラテンガラス22下に光源23とミラー24とが固定された状態で読み取りを行う。そして、読み取られた原稿dの画像データは、CCD28から図示しない読み取り画像処理部に送られる。
【0057】
なお、原稿dがADF10により自動給送される場合には、原稿dの1ページ目が読み取られると、今度は反転ローラ14を介して再度ローラ13を用いた巻き取り操作が行われ、原稿裏面の画像が画像読み取り部20で読み取られ、読み取り画像処理部に送られる。
【0058】
このようにして、表面と裏面との画像が読み取られた原稿dは、再度反転ローラ14で反転されて、表面を下に向けた状態で排紙皿16に積載されていく。
このようにして画像読み取り部20で読み取られた画像データは、読み取り画像処理部で所定の画像処理が行なわれた後、圧縮伸長回路で圧縮されて画像記憶部に記憶される。
【0059】
一方、記録紙pが積載されている給紙トレイ30a〜30cのいずれかから、第1給紙ローラ31a〜31cにより記録紙pが繰り出され、画像書き込み部50に給送される。
画像書き込み部50に給送される記録紙pは、その入口付近の第2給紙ローラ(レジストローラ)32で同期がとられた後、像担持体となる感光体ドラム51に近接する。
【0060】
記録画像処理部から露光部53に画像データが入力され、露光部53内のLEDアレイなどの主走査方向に配列された光源から光を感光体ドラム51上に照射し、静電潜像を形成する。この静電潜像を現像部54で現像することで、感光体ドラム51上にトナー像を形成する。
【0061】
このトナー像は感光体ドラム51の下部の転写部55aにより記録紙pに転写される。そして、感光体ドラム51に圧着されている記録紙pは分離部55bにより分離される。感光体ドラム51から分離された記録紙pは搬送機構58を介して定着部59に入り、トナー像が熱と圧力とにより定着される。このようにして、記録紙pに画像が形成される。
【0062】
なお、必要に応じて、トナー像が定着された記録紙pは、ガイド61を介して下方に搬送され、反転部63に入る。そして、片面画像形成であれば、一方の面の画像形成が完了した記録紙pは排紙ローラ65を介して排出される。
【0063】
また、両面画像形成であれば、反転部63に入っている記録紙pは、反転ローラにより再度繰り出され、反転搬送路64を経由して再度画像書き込み部50に送られる。前記原稿dの片面の画像形成が終了した画像書き込み部50では、感光体ドラム51に付着したトナーがクリーニング部56で除去され、続く帯電部52により帯電させられ、次の画像形成に備えている。
【0064】
この状態で記録紙pのもう一方の面(未だ画像形成されていない面)が画像書き込み部50に搬入され、画像が形成される。分離部55bで感光体ドラム51から分離された記録紙pは搬送機構58を介して再度定着部59に入って定着される。このようにして、裏面と表面との画像形成が完了した記録紙p、または、一方の面の画像形成が完了した記録紙pは排紙ローラ65を介して排出される。
【0065】
〈画像形成装置の動作(第一の実施形態)〉
以下、第一の実施形態の画像形成装置の動作について、図3のフローチャートと図4の説明図とを参照して説明を行う。
【0066】
まず、画像形成装置の制御部101は、操作入力102を介したオペレータからの意図的な倍率αの指定、あるいは、情報保持部104からの記録紙表裏収縮率の違いなどに起因する倍率αの指定を受け付ける(図3S1)。
【0067】
ここで、制御部101は、実行しようとしている画像形成に対して設定された倍率αが1であるか、1以外であるかを判定する(図3S2)。ここで、α=1であれば等倍であり、α<1であれば縮小であり、α>1であれば拡大を意味する。
【0068】
αが1として設定されていれば(図3S2でN)、制御部101は通常状態の画像形成を実行するよう各部を制御する(図3S3)。
ここで、通常状態の画像形成とは、画像読み取り部110において通常の主走査速度および通常の副走査速度にて画像の読み取りを行って通常の画像データを生成し、画像形成部130において通常の主走査速度および通常の副走査速度にて画像の形成を行うことを意味している。
【0069】
αが1以外に設定されていれば(図3S2でY)、制御部101は、読み取り時副走査速度と、画像形成時副走査速度とを、倍率αに応じて決定する(図3S4)。
この場合、制御部101は、読み取り時副走査速度を、倍率αに応じて、通常の読み取り時副走査速度の1/αに決定する。
【0070】
また、制御部101は、画像形成時副走査速度を、倍率αに応じて、通常の画像形成時副走査速度のα倍に決定する。
そして、制御部101の制御に基づき、画像読み取り部110は、読み取り時副走査速度を通常の読み取り時副走査速度の1/αに制御しつつ、原稿の画像を読み取って画像データを生成する(図3S5)。
【0071】
これにより、読み取りによって、原稿の主走査方向は所定の画素数であり、副走査方向は所定の画素数のα倍の画素数である画像データが生成される。
図4(a)は画像読み取り部110で読み取られる原稿の一例を示す説明図、図4(b)は画像読み取り部110で通常の副走査速度で読み取られる様子を模式的に示した説明図、図4(c)は画像読み取り部110で通常の1/αの副走査速度で読み取られる様子を模式的に示した説明図、図4(d)は画像読み取り部110で通常の1/αの副走査速度で読み取られることで生成された副走査方向がα倍になった画像データの様子を模式的に示した説明図である。
【0072】
そして、この後、制御部101の制御により、画像処理部120で所定の画像処理が施される。ここでは、画像メモリ上で、画像データを90度回転させる画像処理が少なくとも実行される(図3S6)。
【0073】
図4(e)は画像処理部120で画像データを90度回転させる画像処理が実行された様子を模式的に示している。なお、このような90度の画像回転処理が施されることで、読み取り時と画像形成時とで、主走査方向と副走査方向とが入れ替わる。
【0074】
すなわち、α倍の画素数となった原稿の副走査方向は、画像形成時の主走査方向として扱われる。また、通常の画素数である原稿の主走査方向は、画像形成時には副走査方向として扱われる。
【0075】
そして、αが1以外に設定されている場合(図3S2でY)、制御部101は、画像形成の副走査方向(原稿の主走査方向)をα倍の画像形成速度によって画像形成を実行する(図3S7)。
【0076】
このようなα倍の画像形成速度の画像形成により、画像形成の副走査方向(原稿の主走査方向)はα倍の大きさに引き伸ばされる。図4(f)は画像形成の副走査方向(原稿の主走査方向)がα倍の大きさに引き伸ばされた様子を模式的に示している。
【0077】
すなわち、原稿の主走査方向は画像形成の副走査方向としてα倍の画像形成速度によりα倍の大きさに引き伸ばされ、α倍の画素数となった主走査方向(原稿の副走査方向)と共に、主走査方向(原稿の副走査方向)・副走査方向(原稿の主走査方向)共にα倍の大きさの画像が記録紙上に形成される。
【0078】
ここで、画像形成時の主走査方向は、画像読み取り時にα倍の画素数とされており、変倍の画像処理も画像形成主走査方向のピッチ変更も必要ないため、劣化なく変倍が可能になっている。
【0079】
また、画像形成時の副走査方向(原稿の主走査方向)は、画像形成時にα倍の画像形成速度によりα倍の大きさに引き伸ばされるため、変倍の画像処理が必要ないため、劣化なく変倍が可能になっている。
【0080】
なお、以上の図4ではα>1である場合を具体例にしているが、これに限定されるものではない。すなわち、拡大(α>1)であっても縮小(α<1)であっても、変倍の画像処理や主走査方向読み取りピッチの変更や主走査方向画像形成ピッチの変更が必要なく、劣化なく変倍が可能になっている。
【0081】
この結果、整数倍以外の変倍や解像度の変更が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなる。
【0082】
なお、この第一の実施形態での倍率の変更は、両面画像形成時の表裏の収縮の違いを解消するために整数倍以外の変倍が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなり、有効である。
【0083】
〈画像形成装置の動作(第二の実施形態)〉
以下、第二の実施形態の画像形成装置の動作について、図5のフローチャートと図6の説明図とを参照して説明を行う。
【0084】
この第二の実施形態では、画像形成装置100の画像書込部130が、解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度を通常のβ倍に切り替える機能を有していることを前提とする。
【0085】
まず、画像形成装置の制御部101は、操作入力102を介したオペレータからの意図的な解像度変更率βの指定、あるいは、情報保持部104からの画像形成モードに起因する解像度変更率βの指定を受け付ける(図5S1)。
【0086】
ここで、制御部101は、実行しようとしている画像形成に対して設定された解像度変更率βが1であるか、1以外であるかを判定する(図5S2)。ここで、β=1であれば解像度変更無しであり、β<1であれば解像度ダウンであり、β>1であれば解像度アップを意味する。
【0087】
βが1として設定されていれば(図5S2でN)、制御部101は通常状態の画像形成を実行するよう各部を制御する(図5S3)。
ここで、通常状態の画像形成とは、画像読み取り部110において通常の主走査速度および通常の副走査速度にて画像の読み取りを行って通常の画像データを生成し、画像形成部130において通常の主走査方向解像度にて画像の形成を行うことを意味している。
【0088】
βが1以外に設定されていれば(図5S2でY)、制御部101は、読み取り時副走査速度と、画像形成時主走査方向解像度とを、解像度変更率βに応じて決定する(図5S4)。
【0089】
この場合、制御部101は、読み取り時副走査速度を、解像度変更率βに応じて、通常の読み取り時副走査速度の1/βに決定する。
また、制御部101は、画像形成時主走査方向解像度を、解像度変更率βに応じて、通常の画像形成時主走査方向解像度のβ倍に決定する。
【0090】
そして、制御部101の制御に基づき、画像読み取り部110は、読み取り時副走査速度を通常の読み取り時副走査速度の1/βに制御しつつ、原稿の画像を読み取って画像データを生成する(図5S5)。
【0091】
これにより、読み取りによって、原稿の主走査方向は所定の画素数であり、副走査方向は所定の画素数のβ倍の画素数である画像データが生成される。
図6(a)は画像読み取り部110で読み取られる原稿の一例を示す説明図、図6(b)は画像読み取り部110で通常の副走査速度で読み取られる様子を模式的に示した説明図、図6(c)は画像読み取り部110で通常の1/βの副走査速度で読み取られる様子を模式的に示した説明図、図6(d)は画像読み取り部110で通常の1/βの副走査速度で読み取られることで生成された副走査方向がβ倍になった画像データの様子を模式的に示した説明図である。
【0092】
そして、この後、制御部101の制御により、画像処理部120で所定の画像処理が施される。ここでは、画像メモリ上で、画像データを90度回転させる画像処理が少なくとも実行される(図5S6)。
【0093】
図6(e)は画像処理部120で画像データを90度回転させる画像処理が実行された様子を模式的に示している。なお、このような90度の画像回転処理が施されることで、読み取り時と画像形成時とで、主走査方向と副走査方向とが入れ替わる。
【0094】
すなわち、β倍の画素数となった原稿の副走査方向は、画像形成時の主走査方向として扱われる。また、通常の画素数である原稿の主走査方向は、画像形成時には副走査方向として扱われる。
【0095】
そして、βが1以外に設定されている場合(図5S2でY)、制御部101は、画像形成時主走査方向解像度を通常のβ倍に設定した状態で画像書き込み部を制御し(図5S7)、画像形成を実行する(図5S8)。
【0096】
このようなβ倍の画像形成時主走査方向解像度での画像形成により、画像形成の主走査方向(原稿の副走査方向)は、読み取りによってβ倍の大きさに引き伸ばされていたものが、通常よりもβ倍高精細な画像形成によって、画像形成時の主走査方向の大きさが通常時の大きさに戻る(図6(f))。
【0097】
すなわち、β倍の画素数となった主走査方向(原稿の副走査方向)はβ倍の画像形成時主走査方向解像度によって元の原稿の大きさに戻され、元の大きさの画像が記録紙上に形成される。
【0098】
ここで、画像形成時の主走査方向は、解像度変更率βに従って、画像読み取り時にβ倍の画素数とされており、解像度変更のための電気的な画像処理(補間や間引き)の必要ないため、劣化なく解像度変更が可能になっている。
【0099】
なお、以上の図6ではβ>1である場合を具体例にしているが、これに限定されるものではない。すなわち、解像度アップ(β>1)であっても解像度ダウン(β<1)であっても、変倍の画像処理や主走査方向読み取りピッチの変更や主走査方向画像形成ピッチの変更が必要なく、劣化なく変倍が可能になっている。
【0100】
この結果、整数倍以外の解像度の変更が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなる。
【0101】
〈画像形成装置の動作(第三の実施形態)〉
以下、第三の実施形態の画像形成装置の動作について、図7のフローチャートを参照して説明を行う。
【0102】
この第三の実施形態では、画像形成装置100の画像書込部130が、解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度を通常のβ倍に切り替える機能を有していることを前提とする。
【0103】
まず、画像形成装置の制御部101は、操作入力102を介したオペレータからの意図的な倍率αの指定、あるいは、情報保持部104からの記録紙表裏収縮率の違いなどに起因する倍率αの指定を受け付ける(図7S1)。また、画像形成装置の制御部101は、操作入力102を介したオペレータからの意図的な解像度変更率βの指定、あるいは、情報保持部104からの画像形成モードに起因する解像度変更率βの指定を受け付ける(図7S1)。
【0104】
ここで、制御部101は、実行しようとしている画像形成に対して設定された倍率αが1以外であり、解像度変更率βが1以外であるか、を判定する(図7S2)。ここで、α=1であれば等倍であり、α<1であれば縮小であり、α>1であれば拡大を意味する。ここで、β=1であれば解像度変更無しであり、β<1であれば解像度ダウンであり、β>1であれば解像度アップを意味する。
【0105】
αが1以外かつβが1以外として設定されている場合以外であれば(図7S2でN)、制御部101は所定の画像形成を実行するよう各部を制御する(図7S3)。
ここで、αが1以外かつβが1として設定されている場合であれば、制御部101は前述した第一実施形態にて画像形成を実行するよう各部を制御する。また、αが1かつβが1以外として設定されている場合であれば、制御部101は前述した第二実施形態にて画像形成を実行するよう各部を制御する。αが1かつβが1として設定されている場合であれば、制御部101は拡大縮小もせず解像度変更も無い従来の一般的な画像形成を実行するよう各部を制御する。
【0106】
ここで、通常状態の画像形成とは、画像読み取り部110において通常の主走査速度および通常の副走査速度にて画像の読み取りを行って通常の画像データを生成し、画像形成部130において通常の主走査方向解像度にて画像の形成を行うことを意味している。
【0107】
αが1以外であり、βが1以外に設定されていれば(図7S2でY)、制御部101は、読み取り時副走査速度と、画像形成時副走査速度と、画像形成時主走査方向解像度とを、解像度変更率αとβとに応じて決定する(図7S4)。
【0108】
この場合、制御部101は、読み取り時副走査速度を、倍率αと解像度変更率βとに応じて、通常の読み取り時副走査速度の1/(αβ)に決定する。また、制御部101は、画像形成時副走査速度を、倍率αに応じて、通常の画像形成時副走査速度のα倍に決定する。さらに、制御部101は、画像形成時主走査方向解像度を、解像度変更率βに応じて、通常の画像形成時主走査方向解像度のβ倍に決定する。
【0109】
そして、制御部101の制御に基づき、画像読み取り部110は、読み取り時副走査速度を通常の読み取り時副走査速度の1/(αβ)に制御しつつ、原稿の画像を読み取って画像データを生成する(図7S5)。
【0110】
これにより、読み取りによって、原稿の主走査方向は所定の画素数であり、副走査方向は所定の画素数のβ倍の画素数である画像データが生成される。
そして、この後、制御部101の制御により、画像処理部120で所定の画像処理が施される。ここでは、画像メモリ上で、画像データを90度回転させる画像処理が少なくとも実行される(図7S6)。
【0111】
なお、このような90度の画像回転処理が施されることで、読み取り時と画像形成時とで、主走査方向と副走査方向とが入れ替わる。
すなわち、αβ倍の画素数となった原稿の副走査方向は、画像形成時の主走査方向として扱われる。また、通常の画素数である原稿の主走査方向は、画像形成時には副走査方向として扱われる。
【0112】
そして、αとβとが1以外に設定されている場合(図7S2でY)、制御部101は、画像形成の副走査方向(原稿の主走査方向)をα倍の画像形成速度にする共に、画像形成時主走査方向解像度を通常のβ倍に設定した状態で画像書き込み部を制御し(図7S7)、画像形成を実行する(図7S8)。
【0113】
このようなα倍の画像形成速度の画像形成により、画像形成の副走査方向(原稿の主走査方向)はα倍の大きさに引き伸ばされる。また、このようなβ倍の画像形成時主走査方向解像度での画像形成により、画像形成の主走査方向(原稿の副走査方向)は、読み取りによってβ倍の大きさに引き伸ばされていたものが、通常よりもβ倍高精細な画像形成によって、画像形成時の主走査方向の大きさがβに関しては通常時の大きさに戻りαに関する分のみ作用する。
【0114】
すなわち、原稿の主走査方向は画像形成の副走査方向としてα倍の画像形成速度によりα倍の大きさに引き伸ばされる。また、αβ倍の画素数となった主走査方向(原稿の副走査方向)は、βについては解像度変更に用いられ、α倍の大きさに引き伸ばされる。これにより、主走査方向(原稿の副走査方向)・副走査方向(原稿の主走査方向)共にα倍の大きさの画像が記録紙上に形成される。
【0115】
ここで、画像形成時の主走査方向は、画像読み取り時にαβ倍の画素数とされており、解像度変更のための電気的な画像処理(補間や間引き)の必要ないため、劣化なく解像度変更が可能になっている。また、画像形成時の副走査方向も、画像形成時にβ倍にされており、解像度変更のための電気的な画像処理(補間や間引き)の必要ないため、劣化なく解像度変更が可能になっている。
【0116】
なお、以上の図4ではα>1、β>1である場合を具体例にしているが、これに限定されるものではない。すなわち、拡大(α>1)であっても縮小(α<1)であっても、変倍の画像処理や主走査方向読み取りピッチの変更や主走査方向画像形成ピッチの変更が必要なく、劣化なく変倍が可能になっている。また、解像度アップ(β>1)であっても解像度ダウン(β<1)であっても、変倍の画像処理や主走査方向読み取りピッチの変更や主走査方向画像形成ピッチの変更が必要なく、劣化なく変倍が可能になっている。
【0117】
この結果、整数倍以外の変倍や解像度の変更が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなる。また、この結果、整数倍以外の解像度の変更が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなる。
【0118】
なお、この第三の実施形態での倍率の変更は、両面画像形成時の表裏の収縮の違いを解消するために整数倍以外の変倍が指定された場合であっても、細線が消えたり途切れたりすることはなく、また、斜めの線に不規則な階段状のギザギザが目立つようになったりすることもなく、画質の劣化を生じることがなくなり、有効である。
【0119】
〈その他の実施形態(1)〉
なお、以上の各実施形態では、読み取り速度を1/αにすることによって、読み取り間隔を1/αあるいは1/βまたは1/(αβ)にしていた。これ以外の手法であっても、読み取り間隔を変更して読み取られた画像データの画素数をα倍やβ倍にすることができればよい。
【0120】
〈その他の実施形態(2)〉
以上の画像形成装置100は、複写機、ファクシミリ装置、オールインワンプリンタなどの各種の装置が該当する。また、画像形成部130は、図2に示した感光体ドラムを用いる電子写真方式のもののほか、ベルト方式の電子写真画像形成装置や、LEDプリントヘッドを用いて印画紙に画像を形成する装置や、インクジェット方式の画像形成装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の電気的構成を示す回路構成図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置の機械的構成を示す構成図である。
【図3】本発明の第一実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第一実施形態の画像形成装置の動作時の様子を示す説明図である。
【図5】本発明の第二実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第二実施形態の画像形成装置の動作時の様子を示す説明図である。
【図7】本発明の第三実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0122】
100 画像形成装置
101 制御部
102 操作入力部
103 表示部
104 情報保持部
110 画像読み取り部
120 画像処理部
130 プリントエンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成方法であって、
変倍率αに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/αに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、
生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行い、
画像処理がなされた前記画像データを、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して画像形成する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成方法であって、
解像度変更率βに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/βに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、
生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行い、
前記解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替えて、画像処理がなされた前記画像データを画像形成する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成方法であって、
変倍率αと解像度変更率βとに応じて副走査方向の読み取り間隔を、1/(αβ)に変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成し、
生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行い、
前記解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替え、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して、画像処理がなされた前記画像データを画像形成する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】
両面画像形成時の記録紙の収縮率に応じて前記αを設定して両面画像形成を実行する、ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の画像形成方法。
【請求項5】
原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成装置であって、
変倍率αに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/αに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り部と、
前記画像読み取り部により生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部で画像処理がなされた画像データを、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して画像形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成装置であって、
解像度変更率βに応じて副走査方向の読み取り間隔を1/βに変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り部と、
前記画像読み取り部により生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行う画像処理部と、
前記解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替えて、前記画像処理部で画像処理がなされた画像データを画像形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
原稿の画像を読み取って得た画像データに応じた可視像を記録紙上に形成して出力する画像形成装置であって、
変倍率αと解像度変更率βとに応じて副走査方向の読み取り間隔を、1/(αβ)に変更して原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り部と、
前記画像読み取り部により生成された前記画像データを90度回転させる画像処理を行う画像処理部と、
前記解像度変更率βに応じて主走査方向の解像度をβ倍に切り替え、前記変倍率αに応じて副走査方向の画像形成速度をα倍に変更して、前記画像処理部で画像処理がなされた画像データを画像形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
両面画像形成時の記録紙の収縮率に応じて前記αを設定して両面画像形成を実行する、ことを特徴とする請求項5または請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−150980(P2007−150980A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345446(P2005−345446)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】