説明

画像形成装置、その制御方法、プログラム。

【課題】不正複写を防止する機能を搭載したデジタル複合機において、矛盾する内容の符号画像の付いた原稿が作成されてしまうような事態の発生を未然に防ぐ。
【解決手段】画像形成装置が、原稿を読み取って原稿画像を取得する読取手段と、前記読取手段で取得された前記原稿画像から、出力制御情報を含む符号画像を検出する検出手段と、前記検出手段で前記符号画像の検出を行うかどうかを設定する検出設定手段と、前記取得された原稿画像に、前記符号画像を付加するかどうかを設定する付加設定手段と、前記検出設定手段で前記符号画像の検出を行わない設定がなされた場合に、該検出を行わない動作モード時の動作制限を設定する動作制限設定手段と、ユーザの指示に応じた出力内容で前記取得された原稿画像を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力制御情報を含む符号画像によって原稿の出力を管理可能な画像形成装置、その制御方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル複合機(MFP)の普及に伴い、原稿の不正複写問題が増大している。このような原稿の不正複写への対策として、従来より特定の原稿の複写を制限する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、原稿に対して複写禁止情報を含んだバーコードを付加しておき、複写機で原稿を複写しようとしたときにそのようなバーコードが読み取られることで、該原稿の複写を禁止する方法が開示されている。
【0003】
最近のデジタル複合機では、複写以外にもBOX保存や、E−mail/FAX送信など様々な出力機能が備わっている。そのため、このような様々な形の出力を制御する情報を含んだ符号画像(例えばQRコード(登録商標))を原稿に付加することによって原稿の不正出力に対応している。なお、原稿の出力を制御する情報(以下、「出力制御情報」と呼ぶ。)は、複写等の出力が禁止されていることを示す「出力禁止情報」の他、複写等の出力が許可されていることを示す「出力許可情報」である場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−009963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような出力禁止情報を含む符号画像が付加された原稿であっても状況により出力を可能にしたいというケースも存在する。例えば、複写等の許否を判断する権限のある管理者が複写を許すような場合には、その原稿の複写を可能にすることが望ましい。そこで、例えば、符号画像の検出を行わない動作モードや、出力禁止情報を無視する動作モードを設け、これら動作モードの設定を管理者のみが行い得るようにすることでこのような要望に対応することも提案されている。
【0006】
上記のような動作モードを備えた画像形成装置において、例えば、管理者が符号画像の検出を行わない動作モードに設定している状況下で、出力される原稿に対して符号画像を付加する設定をユーザが行ったとする。この動作モードの場合には符号画像が付加されていても検出されることがないので、結果的に出力用の画像データにおいて、元の符号画像に新たな符号画像が上書きされたり或いは元の符号画像とは別の位置に新たな符号画像が追加されるといった事態が生じかねない。このように、符号画像が新たなものに置き換わったり、1の原稿に複数の符号画像が存在することになると様々な問題が生じ得る。例えば、符号画像には原稿の出力履歴を追跡するための追跡情報を含ませることができるが、上書きの場合には元の符号画像に含まれる最初の原稿作成者に関する情報が消失してしまうので、原稿の出力履歴を正確に追跡することができなくなってしまう。また別の位置に新たに追加される場合には、例えば、2つの符号画像において一方が出力禁止情報で他方が出力許可情報といったように出力制御情報の内容が相互に矛盾し、符号画像による原稿の出力制御ができないという状況に陥りかねない。
【0007】
また、例えば、管理者が出力禁止情報を無視する動作モードに設定している状況下で、出力用の原稿に付加される符号画像の出力制御情報の内容を「出力許可情報」にユーザが設定したとする。この場合において、元の符号画像の出力制御情報が「出力禁止情報」であったとすると、上書きされなかった場合には、相互に矛盾する出力制御情報を持った2つの符号画像が出力原稿上に存在することになる。この場合も、符号画像による原稿の出力制御ができないという状態に陥ることになる。
【0008】
本発明は、このような事態に対処するべくなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、原稿を読み取って原稿画像を取得する読取手段と、前記読取手段で取得された原稿画像から、出力制御情報を含む符号画像を検出する検出手段と、前記検出手段で前記符号画像の検出を行うかどうかを設定する検出設定手段と、前記取得された原稿画像に、前記符号画像を付加するかどうかを設定する付加設定手段と、前記検出設定手段で前記符号画像の検出を行わない設定がなされた場合に、該検出を行わない場合における動作制限を設定する動作制限設定手段と、ユーザの指示に応じた出力内容で前記取得された原稿画像を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、符号画像によって原稿の出力制御を行う機能を備えた画像形成装置において、上述のような問題を生じさせることなく、符号画像付き原稿の出力を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図2】出力セキュリティ設定の基本画面の一例を示す図である
【図3】出力セキュリティ詳細設定画面の一例を示す図である。
【図4】QRコード付き原稿画像の作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】QRコードが合成された原稿画像の一例を示した図である。
【図6】QRコードを検出しない動作モードの設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】QRコード検出設定画面の一例を示す図である。
【図8】QRコード検出設定[無効]時の動作制限設定画面の一例を示す図である
【図9】実施形態1に係る画像形成装置の出力動作の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】出力禁止情報無視モードの設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】出力禁止情報無視モード設定画面の一例を示す図である。
【図12】出力禁止情報無視モード詳細設定画面の一例を示す図である。
【図13】実施形態2における選択画面の一例を示す図である。
【図14】QRコードと共にマークが付与された原稿画像の一例を示す図である。
【図15】実施形態2に係る画像形成装置の出力動作の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて説明する。なお、本明細書では、符号画像として二次元コード(より具体的には代表的な2次元コードであるQRコード)の場合を例に説明するが、本発明の適用範囲はQRコードに限定されるものではない。
【0013】
[実施形態1]
まず、実施形態1として、QRコードを検出しない動作モードが設定された場合における画像形成装置について説明する。
【0014】
ここで、本発明の前提となる技術である「出力制御情報のコード化」と「出力制御情報の抽出」について簡単に説明しておく。
【0015】
出力制御情報のコード化とは、出力制御情報を符号化して画像化するまでの一連の処理をいう。すなわち、QRコードは、まず、元情報である出力制御情報に誤り訂正符号を付加して埋め込み情報を生成(符号化)し、次に、生成された埋め込み情報を画像化することで作成される。そして、生成されたQRコードが原稿の画像データに合成され、該合成された原稿の画像データを用いて印刷処理することでQRコード付きの原稿が完成する。
【0016】
出力制御情報の抽出とは、原稿を読み取って得られた画像データ(以下、「原稿画像」と呼ぶ。)からQRコードを検出して出力制御情報を得るまでの一連の処理をいう。出力制御情報を抽出するには、まず、QRコードの付加された原稿を読み取って原稿画像を生成する。次に、得られた原稿画像からQRコードを検出する。そして、検出されたQRコードを情報化して埋め込み情報を得る。最後に、埋め込み情報を復号化することで出力制御情報が得られる。
【0017】
QRコードが汚れ等により毀損していない限り、出力制御情報の符号化によって生成された埋め込み情報の内容とQRコードの情報化によって得られる埋め込み情報の内容とは、一致することになる。
【0018】
(画像形成装置の内部構成)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのMFP100の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
101は制御部であり、後述する各部の動作制御を統括的に行う。この制御部101は、不図示のCPUを有している(ここでは図示しない。)。また、制御部101は、埋め込み情報を復号化して出力の制御に関する元情報を抽出する処理も行う。
【0020】
102は読取部(スキャナ部)であり、不図示の原稿台又はADF(Auto Document Feeder)にセットされた複写印刷等の処理対象となる原稿(以下、「元原稿」と呼ぶ。)を読み取って、元原稿の画像データ(原稿画像)を生成する。なお、元原稿が印刷物等の紙文書であるのに対して、原稿画像はデジタルデータである。読取部102で生成された原稿画像(画像データ)が複写等の各種出力に供されることになる。
【0021】
103は情報化部であり、生成された原稿画像からQRコードを探し出し(検出)し、検出されたQRコードから埋め込み情報を抽出する処理を行う。QRコードからの埋め込み情報の抽出は、画像情報を0、1の情報(バイナリデータ)に変換する処理と言い換えることもできる。なお、原稿画像からQRコードを探し出す作業は、原稿画像内の所定の領域からQRコードの隅(右上、左上及び左下の3箇所)にある切り出しシンボル(ファインダパターン)を検出することによって行われる。そして、原稿画像内の所定の領域は、本実施形態においては、原稿画像の左上隅、左下隅、右上隅、右下隅に設けられた矩形領域であり、その一辺の長さは例えば縦横それぞれ30mmである。
【0022】
104はユーザインタフェースであり、MFP100に対するユーザからの操作入力を受け付ける操作部と各種情報を外部に表示する表示部とで構成される。
【0023】
105はユーザ認証部であり、MFP100を使用するユーザの認証を行う。具体的には、管理している個々のユーザ情報と入力されたユーザID及びパスワードとを照らし合わせることで、ユーザの権限の有無を確認する処理を行う。なお、ユーザ認証は ネットワーク110を介して接続された外部のユーザ認証サーバ(不図示)によって行うようにしてもよい。
106はメモリ部であり、生成された原稿画像や各種設定における設定内容などを一時的に記憶するためのRAM及び、後述の各種処理を実行するためのプログラムを格納するROMで構成される。さらにメモリ部106には、原稿画像とQRコードとを合成する画像合成部も含まれる。
【0024】
107はHDDであり、MFP100における各種設定における設定内容や使用ログを記憶する他、原稿画像をBOX保存する場合の格納先ともなる。
【0025】
108は出力部であり、ユーザの指示に従った原稿画像の複写印刷やBOX保存等の出力を行う。なお、BOX保存の出力先としては、上述のHDD107の他、例えばMFP100とネットワーク110を介して接続されたPC等の外部装置のストレージ(不図示)でもよい。
【0026】
109はエンコード部であり、元情報である出力制御情報を符号化して埋め込み情報を生成し、さらに埋め込み情報を画像化してQRコードを生成する処理を行う。また、QRコード生成処理の際に、エンコード部109は、出力の履歴を追跡するのに必要な情報(以下、「追跡情報」という。)を更新する処理も併せて行う。この追跡情報は、その原稿を最初に作成した(初めにQRコードを付加した)ユーザに関する「オリジナル情報」と、その原稿についての2回目以降の出力であって直近の出力を行ったユーザに関する「レイテスト情報」とが含まれる。そして、更新時にはレイテスト情報が新たな内容に置き換えられる。追跡情報の具体的な中身としては、例えば、出力を指示したユーザのユーザ名やメールアドレス、出力日時、使用したMFPのシリアル番号、出力(ジョブ)の種類情報などがある。以下に続く説明においては、便宜上、追跡情報への言及を省略することもあるが、追跡情報も出力制御情報と共に埋め込み情報の一部を構成するので、前述の情報化部103における埋め込み情報の抽出及び復号化や、上記符号化及び画像化の対象となるものである。
【0027】
110はネットワークI/Fであり、外部装置と画像データ等をやり取りする際のネットワークインタフェースである。
【0028】
111は不図示の外部装置とMFP100とを接続するLAN等のネットワークである。
【0029】
(QRコードの付加設定)
次に、上述の出力制御情報を含んだQRコードの付加設定を行う処理について説明する。なお、本処理は、ROMからRAMに読み込まれたプログラムを制御部101内のCPUが実行することによって実現される。
【0030】
出力される原稿画像にQRコードを付加したいユーザは、ユーザインタフェース104上で「出力セキュリティ設定」を行うためのボタン(不図示)を選択する。すると、制御部101が、ユーザインタフェース104上に、「QRコードを付加する」或いは「QRコードを付加しない」のいずれかを選択可能な画面(出力セキュリティ設定の基本画面)を表示する。図2は出力セキュリティ設定の基本画面の一例を示している。原稿画像にQRコードを付加したい場合、ユーザは、「出力時にQRコードを付加する」のチェックボックス201にチェックを入れてOKボタン203を押下する。なお、本実施形態においては、デフォルトで「出力時にQRコードを付加しない」のチェックボックス202にチェックが入る設定となっている。そのため、「出力時にQRコードを付加する」が選択された場合でも、その選択に係る出力が完了すると自動でQRコードを付加しない設定に戻ることになる。
【0031】
「出力時にQRコードを付加する」のチェックボックス201が選択され、OKボタン203が押下されると、どのようなQRコードを付加するのかについて詳細を指定する「出力セキュリティ詳細設定画面」がユーザインタフェース104上に表示される。図3は、出力セキュリティ詳細設定画面の一例を示している。ユーザは、チェックボタン301を用いて、出力制御情報の制御内容として「複写を許可する」又は「複写を禁止する」のいずれかを選択する。「複写を禁止する」が選択された場合は、出力制御情報として複写等の出力禁止を指示する情報を含むQRコードが生成されることになる。一方、「複写を許可する」が選択された場合は、出力制御情報として複写等の出力が可能であることを指示する情報を含むQRコードが生成されることになる。なお、この場合における「複写」とは、狭義の複写印刷に加え、BOX保存におけるストレージへの格納やFAX等の外部装置へのデータ送信など、MFP100が備える出力機能の全般を意味するものである。
【0032】
さらにユーザは、チェックボタン302を用いて、原稿画像に付加されるQRコードの位置を指定する。図3の例では、原稿画像に対して「右上」「右下」「左上」「左下」の選択肢の中から1つを選択して指定するようになっている。ユーザは、自身が選択した印字位置をチェックボタン302の右横にある印字位置確認画像303によって視覚的イメージとして確認することができる。設定内容を確認したユーザが、OKボタン304を押下すると、出力セキュリティ設定の内容が確定し(当該設定内容がメモリ部106のRAMに格納)、出力時の原稿画像に反映されることになる。
【0033】
なお、例えば、一度の複写印刷で作成される原稿にはすべて同じ出力制御情報を含んだQRコードが印字されることになる。よって、例えば、ユーザが4枚の原稿をADFに置いて3部複写する指示をMFP100に行った場合、作成される3部の複写物(4枚×3部=12枚)にはすべて同じ出力制御情報を含んだQRコードが印字されることとなる。
【0034】
以上のようにして、QRコードの付加に関する設定がなされるが、同様の設定をMFP100とネットワーク111を介して接続された不図示のPCのドライバやユーティリティ上で行えるようにしてもよい。
【0035】
(QRコード付き原稿画像の作成)
次に、QRコードの付きの原稿画像を作成する際の処理について説明する。なお、本処理も、ROMからRAMに読み込まれたプログラムを制御部101内のCPUが実行することによって実現される。
【0036】
図4は、QRコード付き原稿画像の作成処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
まず、ステップ401において、エンコード部109が、出力セキュリティ設定の設定内容を取得する。
【0038】
ステップ402において、読取部102は、ユーザからの指示に基づいて原稿画像を生成する。例えば、ユーザからの出力指示が、MFP100の原稿台にセットした元原稿を用いた複写印刷である場合、制御部101からの読み取り指示に従って、読取部102は、原稿台にセットされた元原稿をスキャンして原稿画像を生成する。生成された原稿画像は一次保存のためメモリ部106に送られる。
【0039】
ステップ403において、エンコード部109は、上述の追跡情報を更新し、ステップ401で取得した設定内容に従って出力制御情報を符号化して埋め込み情報を生成した後、さらに埋め込み情報を画像化してQRコードを生成する。生成したQRコードは一次保存のためメモリ部106に送られる。
【0040】
ステップ404において、メモリ部106は、出力セキュリティ設定で指定された位置にQRコードを合成して、QRコード付きの原稿画像を生成する。図5は、QRコードが合成された原稿画像の一例を示した図である。原稿画像501の右上隅にQRコード502が付加されている。QRコードが合成された原稿画像は、出力部108に送られて出力される。
【0041】
ステップ405において、出力部108はユーザの指示した出力内容(例えば、複写印刷)で原稿画像を出力する。
【0042】
(QRコードの検出を無効にする動作モードの設定)
次に、元原稿上にQRコードが存在しても情報化部103でそれを検出しないようにするための動作モードの設定について説明する。この動作モードは、「発明が解決しようとする課題」で述べたように、権限のある管理者が自ら複写するケースのような、出力禁止情報を含むQRコードの付いた原稿であってもその複写を可能にすることが望ましい場合に対応するためのものである。
【0043】
図6は、元原稿にQRコードが存在したとしても、それを検出しないようにするための動作モードに設定する処理の流れを示すフローチャートである。なお、本処理も、ROMからRAMに読み込まれたプログラムを制御部101内のCPUが実行することによって実現される。
【0044】
この動作モードの設定を行う権限を有する特定のユーザ(管理者)は、ユーザインタフェース104上で該設定を行うための画面を選択する。すると、ステップ601において、制御部101は、ユーザインタフェース104の表示部にユーザIDとパスワードの入力を促す画面(不図示)を表示し、ユーザによる入力を受け付ける。入力された情報は、ユーザ認証部105に送られる。
【0045】
ステップ602において、ユーザ認証部105は、入力されたユーザID及びパスワードを用いてユーザ認証を行い、QRコード検出設定の設定内容を変更する権限を有している適切なユーザであるかどうかを判定する。権限のある適切なユーザであると判定されると、ユーザ認証部105は、そのユーザID及びパスワードを制御部101に送信して、ステップ603に進む。権限を有さないユーザであると判定されると本処理を抜ける。
【0046】
ステップ603において、制御部101は、ユーザインタフェース104の表示部に、QRコードの検出を行うかどうかを指定可能な「QRコード検出設定画面」を表示する。図7は、このQRコード検出設定画面の一例を示している。QRコードを検出しない動作モードに設定したい場合、ユーザは、デフォルトでは「有効」のチェックボックス702にチェックが入っているので、これを「無効」のチェックボックス701にチェックを入れてOKボタン703を押下する。
【0047】
ステップ604において、制御部101は、「無効」のチェックボックス701が選択されたかどうかを判定する。「無効」が選択された場合にはステップ605に進み、「有効」が選択された場合はステップ607に進む。一方、キャンセルボタン704が選択された場合には本処理を抜ける。
【0048】
ステップ605において、御部部101は、QRコードを検出しない動作モード時の動作制限を指定するための「QRコード検出設定[無効]時の動作制限設定画面」をインタフェース104の表示部に表示し、ユーザの指定を受け付ける。
【0049】
図8は、このQRコード検出設定[無効]時の動作制限設定画面の一例を示している。ユーザは、チェックボタン801〜803のいずれかを選択することで、QRコードを検出しない動作モード時の動作制限を以下のように指定できる。
【0050】
チェックボタン801の「出力セキュリティ設定画面をマスクする」が選択された場合には、現在の出力セキュリティ設定画面をマスク表示(グレイアウト)して、出力セキュリティ設定画面をユーザが操作できないようにする。すなわち、QRコード検出設定が無効に設定されている間は、出力セキュリティ設定の内容がデフォルトである「出力時にQRコードを付加しない」に固定化され、ユーザによる設定操作が不能化される。
【0051】
チェックボタン802の「QRコード付加設定時に出力をキャンセルする」が選択された場合には、出力セキュリティ設定画面において「出力時にQRコードを付加する」が選択されると、すべての出力動作が中止される。すなわち、QRコード検出設定が無効に設定されている間、出力セキュリティ設定で「出力時にQRコードを付加する」を選択している限り、複写等の出力がすべてできなくなる。
【0052】
チェックボタン803の「QRコード付加設定時に検出モードを[有効]に設定する」が選択された場合には、出力セキュリティ設定画面において「出力時にQRコードを付加する」が選択されると、一時的にQRコードの検出設定を「有効」に切り替える。すなわち、QRコード検出設定が無効に設定されている状態において、出力セキュリティ設定で「出力時にQRコードを付加する」を選択した際は、出力制御情報の内容が「出力許可」であれば複写等の出力が可能となる。一方、「出力禁止」の場合には一切の出力ができなくなる。
【0053】
ステップ606において、制御部101は、QRコード検出設定[無効]時の動作制限が指定されたかどうか、具体的には、チェックボタン801〜803のいずれかの選択肢にチェックが入れられ、かつOKボタン804が押下されたかどうかを判定する。動作制限の指定がなされた場合はステップ607に進む。一方、キャンセルボタン805が押下された場合には本処理を抜ける。
【0054】
ステップ607において、制御部101は、ユーザの指定した内容に従って、QRコード検出設定に関する各項目を設定し、HDD107に記憶する。例えば、ステップ804で「無効」が選択され、かつステップ606で「出力セキュリティ設定画面をマスクする」が指定されている場合、QRコード検出設定が無効になっている間は出力セキュリティ設定画面がグレイアウトする設定内容で記憶される。
【0055】
なお、前述の出力セキュリティ設定の場合と違い、QRコード検出設定における設定内容は、一度設定されると次回権限あるユーザによって設定内容が変更されるまでは設定内容が維持される。
【0056】
以上のようにして、QRコードの検出を無効にする動作モードの設定がなされる。
【0057】
(出力動作の制御処理)
次に、本実施形態に係る画像形成装置における出力動作の制御処理について説明する。
【0058】
図9は、出力動作の制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、本処理も、ROMからRAMに読み込まれたプログラムを制御部101内のCPUが実行することによって実現される。
【0059】
原稿を複写等したいユーザは、まず、ユーザインタフェース104を介して画像形成装置100にログインする必要がある。そのため、ステップ901において、制御部101は、ユーザ認証処理を行う。より、具体的には、制御部101は、ユーザインタフェース104で入力されたユーザID及びパスワードをユーザ認証部105に送り、ユーザ認証部105にログイン認証処理を実行するよう指示する。ログイン認証がNGの場合、適切なユーザIDとパスワードが入力されるまで同様の処理を繰り返す。ログイン認証でOKと判定されると、ステップ902に進む。
【0060】
ステップ902において、制御部101は、前述したQRコード検出設定の設定内容をHDD107から読み出して取得する。
【0061】
ステップ903において、制御部101は、取得したQRコード検出設定の設定内容が「無効」であるかどうかを判定する。「無効」であると判定された場合、ステップ904に進む。一方、「有効」であると判定された場合は、ステップ907に進む。
【0062】
ステップ904において、制御部101は、QRコード検出設定「無効」時の動作制限の設定内容をHDD107から読み出して取得する。
【0063】
ステップ905において、制御部101は、取得した「無効」時の動作制限の設定内容が「出力セキュリティ設定画面をマスクする」であるかどうかを判定する。「出力セキュリティ設定画面をマスクする」に設定されている場合は、ステップ906に進む。一方、設定内容が「出力セキュリティ設定画面をマスクする」以外である場合には、ステップ907に進む。
【0064】
ステップ906において、制御部101は、出力セキュリティ設定画面がユーザインタフェース104の表示部に表示される際にマスク表示されるように設定し、以降は「出力時にQRコードを付加する」を選択できないようにする。この結果、デフォルトである「出力時にQRコードを付加しない」の設定状態が保たれることになり、原稿画像に2つのQRコードが印字されるという事態の発生が防止される。出力セキュリティ設定画面のマスク表示設定を完了すると、ステップ907に進む。
【0065】
ステップ907において、制御部101は、ユーザからの出力指示(例えば、複写印刷など)をユーザインタフェース104で受け付ける。出力指示を受け付けると制御部101は、読取部102に対して元原稿の読み取りを命令する。
【0066】
ステップ908において、読取部102は、原稿台等にセットされた元原稿を読み取って原稿画像(画像データ)を生成する。生成された原稿画像は、メモリ部106及び情報化部103に送られる。なお、メモリ部106に送られた原稿画像については、ユーザの出力指示に応じた必要な画像処理(例えば、複写印刷の場合のハーフトーニングなど)が不図示の画像処理部で実行される。
【0067】
ステップ909において、制御部101は、ステップ902で取得したQRコード検出設定の設定内容が「無効」であるかどうかを再度判定する。「無効」であると判定された場合、ステップ910に進む。一方、「有効」であると判定された場合は、ステップ915に進む。
【0068】
ステップ910において、制御部101は、出力セキュリティ設定の設定内容をメモリ部106のRAMから読み出して取得する。
【0069】
ステップ911において、制御部101は、取得した出力セキュリティ設定の設定内容において、「出力時にQRコードを付加する」が設定されているかどうかを判定する。「出力時にQRコードを付加する」が設定されている場合には、ステップ912に進む。一方、「出力時にQRコードを付加しない」が設定されている場合には、ステップ924に進む。
【0070】
ステップ912において、制御部101は、QRコード検出設定「無効」時の動作制限の設定内容をHDD107から読み出して取得する。
【0071】
ステップ913において、制御部101は、ステップ912で取得したQRコード検出設定[無効]時の動作制限の設定内容を判定する。すなわち、動作制限の内容が、「QRコード付加設定時に検出設定を[有効]に設定する」であるか「QRコード付加設定時に出力をキャンセルする」であるかを判定する。「QRコード付加設定時に検出設定を[有効]に設定する」が設定されている場合には、ステップ914に進む。「QRコード付加設定時に出力をキャンセルする」が設定されている場合には、ユーザの指示した出力を行うことなく処理を終える。
【0072】
ステップ914において、制御部101は、QRコード検出設定の設定内容を「無効」から「有効」に一時的に変更する。これにより、ステップ907での出力指示に係る処理に関しては、暫定的にQRコードを検出する動作モードとなる。
【0073】
ステップ915において、情報化部103は、ステップ908で生成された原稿画像の所定領域を対象にQRコードの検出処理を行い、検出されたQRコードから埋め込み情報を得る。なお、本ステップの処理は通常N回(例えば、20回)行うように設計されるので、最大でN個の埋め込み情報が得られる。原稿画像にQRコードが付加されていない或いは著しく毀損してファインダパターンを検出できないような場合には、埋め込み情報が得られないことになる。
【0074】
ステップ916において、制御部101は、ステップ915の処理で、埋め込み情報が得られたかどうかを判定する。埋め込み情報が得られた場合には、ステップ917に進む。一方、埋め込み情報が得られなかった場合には、ステップ920に進む。
【0075】
ステップ917において、制御部101は、得られた埋め込み情報をすべて復号化して、出力制御情報を取得する。
【0076】
ステップ918において、制御部101は、埋め込み情報の復号化に成功したかどうかを判定する。復号化に成功した場合にはステップ919に進む。復号化に失敗した場合には、ユーザの指示した出力を行うことなく処理を終える。
【0077】
ステップ919において、制御部101は、復号化により得られた情報が「出力禁止情報」であるかどうかを判定する。出力禁止情報である場合には、ユーザの指示した出力を行うことなく処理を終える。一方、「出力禁止情報」ではない場合(すなわち、「出力許可情報」である場合)には、ステップ920に進む。
【0078】
ステップ920において、制御部101は、出力セキュリティ設定の設定内容を取得する。なお、先のステップ910で既に取得済みの場合には、本処理はスルーされる。
【0079】
ステップ921において、制御部101は、出力セキュリティ設定の設定内容において、「出力時にQRコードを付加する」が設定されているかどうかを判定する。「出力時にQRコードを付加する」が設定されている場合には、ステップ922に進む。一方、「出力時にQRコードを付加しない」が設定されている場合には、ステップ924に進む。
【0080】
ステップ922において、エンコード部109は、出力セキュリティ設定における設定内容に従って、QRコードを生成する。なお、上述の通り、生成されるQRコードに含まれる追跡情報内のレイテスト情報の内容は、ログイン認証時のユーザIDやステップ907での指示内容等を基に更新されたものとなる。
【0081】
ステップ923において、制御部101は、ステップ908で生成された原稿画像とステップ922で生成されたQRコードとを合成する。この場合において、ステップ916で埋め込み情報が取得できていた(元原稿からQRコードが検出できた)場合は、それと同じ位置又は出力セキュリティ設定で指定された印字位置に新たなQRコードが合成される。例えば、前者(元のQRコードと同じ位置に合成)の場合であれば、ステップ915で検出されたQRコードの位置と同じ位置に、生成したQRコードの画像データを上書きする。この合成の際には、元のQRコードの周辺領域を一部含む背景部分(通常は白)ごと上書きされることになるので、元原稿における従前のQRコードと新規のQRコードとが重なり合ってしまって結果的にQRコードが不鮮明になるといったことは起こらない。同様に、後者(出力セキュリティ設定で指定された位置に新たなQRコードを合成)の場合も、新たなQRコードを配置する際には元のQRコードの消去(元のQRコードとその周辺領域を背景色で埋める)も併せて行われる。よって、新旧のQRコードが並存してしまうという事態はやはり生じない。
【0082】
また、ステップ916で埋め込み情報が取得できていなかった(QRコードが検出できなかった又は検出されたが情報化に失敗した等)場合には、出力セキュリティ設定において指定された印字位置に、QRコードの画像データが合成される。
【0083】
ステップ924において、出力部108は、ステップ907で指示された出力内容に従って、原稿画像の出力を開始する。
【0084】
ステップ925において、制御部101は、他に処理すべき元原稿があるかどうかを判定する。処理すべき元原稿がまだあると判定された場合には、ステップ908に戻って上記各処理を繰り返す。処理すべき元原稿がないと判定された場合には処理を終える。
【0085】
以上の通り、本実施形態に係る画像形成装置によれば、元原稿から符号画像の検出を行わない動作モードにおいて各種出力の実行が指示された場合に、矛盾する内容の符号画像の付いた原稿が作成されてしまうといった事態の発生を未然に防ぐことができる。
【0086】
[実施形態2]
次に、QRコードの検出機能有効時において、元原稿に付されたQRコードの内容を無視して出力を可能にする動作モード(出力制御情報無視モード)を備えた画像形成装置について、実施形態2として説明する。
【0087】
画像形成装置の動作モードが、出力制御情報無視モードに設定されている場合には、出力制御情報の内容がたとえ出力禁止情報であっても、QRコードが付加された原稿を複写等することが可能となる。この出力制御情報無視モード下において、例えば、ユーザが複写印刷を指示する際に、出力許可情報のQRコードを付加するよう出力セキュリティ設定を行ったとする。仮に、その元原稿に付加されていたQRコードの内容が出力禁止情報であった場合には、元の出力禁止情報のQRコードに加えて新たに出力許可情報のQRコードが複写原稿に付加されるということが起こり得る。
【0088】
そこで、このような事態の発生を未然に防止すべく、本実施形態では、以下に述べるような出力制御を行う。具体的な出力制御の説明の前に、出力制御情報無視モードの設定について説明する。
【0089】
(出力制御情報無視モード設定)
図10は、画像形成装置を出力制御情報無視モードに設定する際の処理の流れを示すフローチャートである。なお、本処理も、ROMからRAMに読み込まれたプログラムを制御部101内のCPUが実行することによって実現される。また、QRコードの内容を無視する必要があるのは出力制御情報が出力禁止情報の場合であるから、以下この動作モードを「出力禁止情報無視モード」と呼ぶこととする。
【0090】
この出力禁止情報無視モードの設定も、実施形態1におけるQRコード検出設定と同様、特別な権限を有する特定のユーザ(管理者)のみが行い得る。
【0091】
管理者が、ユーザインタフェース104上で該設定を行うための画面を選択すると、ステップ1001において、制御部101は、ユーザインタフェース104上にユーザIDとパスワードの入力を促す画面(不図示)を表示し、ユーザによる入力を受け付ける。入力された情報は、ユーザ認証部105に送られる。
【0092】
ステップ1002において、ユーザ認証部105は、入力されたユーザID及びパスワードを用いてユーザ認証を行い、出力禁止情報無視モードの設定内容を変更する権限を有している適切なユーザであるかどうかを判定する。権限のある適切なユーザであると判定されると、ユーザ認証部105は、そのユーザID及びパスワードを制御部101に送信して、ステップ1003に進む。権限を有さないユーザであると判定されると本処理を抜ける。
【0093】
ステップ1003において、制御部101は、ユーザインタフェース104の表示部に、出力制御情報の内容が出力禁止情報であった場合に、これを無視するかどうかを指定するための「出力禁止情報無視モード設定画面」を表示する。図11は、この出力禁止情報無視モード設定画面の一例を示している。出力禁止情報を無視する動作モードに設定したい場合、デフォルトでは「無効」のチェックボックス1101にチェックが入っているので、ユーザはこれを「有効」のチェックボックス1102にチェックを入れてOKボタン1103を押下する。
【0094】
ステップ1004において、制御部101は、「有効」のチェックボックス1102が選択されたかどうかを判定する。「有効」が選択された場合にはステップ1005に進み、「無効」が選択された場合はステップ1007に進む。一方、キャンセルボタン1104が選択された場合には本処理を抜ける。
【0095】
ステップ1005において、制御部101は、出力禁止情報を無視する動作モード時の詳細設定を行うための「出力禁止情報無視モード詳細設定画面」をインタフェース104の表示部に表示し、ユーザの指定を受け付ける。
【0096】
図12は、この出力禁止情報無視モード詳細設定画面の一例を示している。ユーザは、チェックボタン1201〜1203のいずれかを選択することで、出力禁止情報を無視した場合における出力制御を以下のように指定できる。
【0097】
チェックボタン1201の「[複写許可]指定時に出力をキャンセルする」が選択された場合には、出力セキュリティ詳細設定の「制御内容」の設定において「複写を許可する」が選択されると、すべての出力動作が中止される設定となる。すなわち、出力禁止情報無視モードが有効に設定されており、かつ元原稿に出力禁止情報のQRコードが付加されている場合、印刷セキュリティ設定で「複写を許可する」を選択する限り、複写等の出力がすべてできなくなる。
【0098】
チェックボタン1202の「[複写許可]指定時に選択画面を表示する」が選択された場合には、ユーザに出力を続行するかどうかを選択させる選択画面をユーザインタフェース104の表示部に表示する設定となる。すなわち、出力禁止情報無視モードが有効に設定されており、かつ元原稿に出力禁止情報のQRコードが付加されている場合、QRコードの内容を「出力許可」に変更できない旨がユーザに示される。これにより「出力禁止」のまま複写等を行うか、それとも複写等を断念するかをユーザに選択させるようにする。図13は、この選択画面の一例を示しており、「出力制御情報の内容は“出力禁止”のままで出力されるがよいか?」のメッセージが表示され、その上でユーザの選択を促す画面となっている。
【0099】
チェックボタン1203の「[複写許可]指定時にマークを付与する」が選択された場合には、出力される原稿画像に、複写等が禁止されていることを表すマークを付加して出力する設定となる。すなわち、出力禁止情報無視モードが有効に設定されており、かつ元原稿に出力禁止情報のQRコードが付加されている場合、出力制御情報の内容を「出力許可」に変更する指示がなされても「出力禁止」のQRコードを付加した原稿画像を生成する。その上で、その事実を示すマークを原稿画像の任意の位置に付与して出力するようにする。図14は、マークが付与された原稿画像の一例を示しており、複写等が禁止であることを示す「禁」の文字がQRコードの左横に印字されている。このように出力禁止情報のQRコードであることを示すマークをQRコードと共に原稿に付加するため、意図したものとは異なる内容のQRコードが付加された事実をユーザに明示することができる。
【0100】
ステップ1006において、制御部101は、出力禁止情報無視モードの詳細設定が指定されたかどうか、具体的には、チェックボタン1201〜1203のいずれかの選択肢にチェックが入れられ、かつOKボタン1204が押下されたかどうかを判定する。詳細設定の指定がなされた場合はステップ1007に進む。一方、キャンセルボタン1205が押下された場合には本処理を抜ける。
【0101】
ステップ1007において、制御部101は、ユーザの指定した内容に従って、出力禁止情報無視モードに関する詳細設定の内容を確定し、HDD107に記憶する。例えば、ステップ1004で「有効」が選択され、かつステップ1006で「[複写許可]指定時に出力をキャンセルする」が指定されている場合にはこのようになる。すなわち、元原稿に出力禁止情報のQRコードが付加されている限り、「複写許可」のQRコードを付した原稿を出力できないように設定内容を確定し、HDD107に記憶される。
【0102】
なお、QRコード検出設定における設定内容と同様、出力禁止情報無視モードの設定も一度設定されると次回権限あるユーザによって設定内容が変更されるまでは設定内容が維持される。
【0103】
以上のようにして、出力禁止情報を無視する動作モードの設定がなされる。
【0104】
次に、本実施形態に係る画像形成装置における出力動作の制御について説明する。
【0105】
図15は、本実施形態における出力動作の制御処理の流れを示すフローチャートである。実施形態1の図9のフローチャートと共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、ここでは差異点を中心に説明することとする。なお、本処理も、ROMからRAMに読み込まれたプログラムを制御部101内のCPUが実行することによって実現される。
【0106】
まず、ステップ1501において、制御部101は、ユーザ認証処理を行う。ログイン認証でOKと判定されると、ステップ1502に進む。
【0107】
ステップ1502において、制御部101は、ユーザからの出力指示(例えば、複写印刷など)をユーザインタフェース104の操作部で受け付ける。出力指示を受け付けると制御部101は、読取部102に対して元原稿の読み取りを命令する。
【0108】
ステップ1503において、読取部102は、原稿台等にセットされた元原稿を読み取って原稿画像を生成する。生成された原稿画像は、メモリ部106及び情報化部103に送られる。
【0109】
ステップ1504において、情報化部103は、ステップ1503で生成された原稿画像の所定領域を対象にQRコードの検出処理を行い、検出されたQRコードから埋め込み情報を得る。
【0110】
ステップ1505において、制御部101は、埋め込み情報が得られたかどうかを判定する。埋め込み情報が得られた場合には、ステップ1506に進む。一方、埋め込み情報が得られなかった場合には、ステップ1509に進む。
【0111】
ステップ1506において、制御部101は、得られた埋め込み情報をすべて復号化して、出力制御情報を取得する。
【0112】
ステップ1507において、制御部101は、埋め込み情報の復号化に成功したかどうかを判定する。復号化に成功した場合にはステップ1508に進む。復号化に失敗した場合には、ユーザの指示した出力を行うことなく処理を終える。
【0113】
ステップ1508において、制御部101は、復号化により得られた出力制御情報の内容が「出力禁止情報」であるかどうかを判定する。「出力禁止情報」である場合には、ステップ1511に進む。一方、「出力禁止情報」ではない場合(すなわち、「出力許可情報」である場合)には、ステップ1509に進む。
【0114】
ステップ1509において、制御部101は、出力セキュリティ設定の設定内容を取得する。
【0115】
ステップ1510において、制御部101は、取得した出力セキュリティ設定の設定内容において、「出力時にQRコードを付加する」が設定されているかどうかを判定する。「出力時にQRコードを付加する」が設定されている場合には、ステップ1519に進む。一方、「出力時にQRコードを付加しない」が設定されている場合には、ステップ1521に進む。
【0116】
ステップ1511において、制御部101は、出力禁止情報無視モードの設定内容をHDD107から読み出して取得し、該動作モードが「有効」であるかどうかを判定する。すなわち、出力制御情報の内容が出力の禁止を指示する情報の場合に、これを無視する動作モードに設定されているかどうかを判定する。「有効」に設定されている場合にはステップ1512に進む。一方、「無効」に設定されている場合には、出力禁止情報にそのまま従うこととなるので、出力を行うことなく本処理を抜ける。なお、出力禁止情報無視モードの設定内容の取得自体は、本ステップよりも早い段階(例えば、ステップ1501のユーザ認証の直後)で行うようにしてもよい。
【0117】
ステップ1512において、制御部101は、出力セキュリティ設定の設定内容を取得する。
【0118】
ステップ1513において、制御部101は、取得した出力セキュリティ設定の詳細設定の「制御内容」において、「複写を許可する」が指定されているかどうかを判定する。「複写を許可する」が指定されている場合には、ステップ1514に進む。一方、「複写を禁止する」が指定されている場合には、ステップ1519に進む。
【0119】
ステップ1514において、制御部101は、出力禁止情報無視モードの詳細設定をHDD107から読み出して取得する。すなわち、複写許可指定時におけるその後の動作制御に関する指定された設定内容を取得する。
【0120】
ステップ1515において、制御部101は、出力禁止情報無視モードの詳細設定における設定内容を確認する。具体的には、設定内容が「複写許可指定時に出力をキャンセルする」であるか、「複写許可指定時に選択画面を表示する」であるか、或いは「複写許可指定時にマークを付与する」であるかを判定する。「複写許可指定時に出力をキャンセルする」が指定されている場合は、ユーザの指示した出力を行うことなく処理を終える。「複写許可指定時にマークを付与する」が指定されている場合には、ステップ1516に進む。そして、「複写許可指定時に選択画面を表示する」が指定されている場合には、ステップ1517に進む。
【0121】
ステップ1516において、制御部101は、QRコードと共に原稿画像に付加するための出力禁止であることを表すマーク(例えば、「禁」の文字)の画像データを生成する。マークの生成を終えるとステップ1519に進む。
【0122】
ステップ1517において、制御部101は、ユーザインタフェース104の表示部に図13で示したような選択画面を表示し、ユーザによる選択を受け付ける。
【0123】
ステップ1518において、制御部101は、出力の続行が選択されたかどうかを判定する。すなわち、「出力禁止」のQRコードを付加した原稿画像による出力の続行が選択された場合には、ステップ1519に進む。一方、出力の断念が選択された場合には、そのまま処理を終える。
【0124】
ステップ1519において、エンコード部109は、出力セキュリティ設定における設定内容やステップ1518での選択内容等に従って、QRコード(画像データ)を生成する。例えば、ステップ1513で「複写を禁止する」が指定されているとは判定された場合には、出力禁止情報を含んだQRコードが生成される。また、ステップ1518で出力の続行が選択された場合には、例え出力セキュリティ設定において「複写を許可する」が指定されていたとしても、出力禁止情報を含んだQRコードが生成される。さらに、ステップ1516で出力禁止であることを表すマークが生成された場合も、例え出力セキュリティ設定において「複写を許可する」が指定されていたとしても、出力禁止情報を含んだQRコードが生成される。なお、実施形態1の場合同様、QRコードに含まれる追跡情報内のレイテスト情報の内容が、ログイン認証時のユーザIDやステップ1502での指示内容等を基に更新される。
【0125】
ステップ1520において、制御部101は、ステップ1503で生成された原稿画像とステップ1519で生成されたQRコードとを合成する。この場合において、ステップ1516で出力禁止を表すマークが生成されている場合には、当該マークも一緒に合成される。なお、QRコードが配される位置については、実施形態1における図9のステップ923で説明したとおりである。
【0126】
ステップ1521において、出力部108は、ステップ1502で指示された出力内容に従って、原稿画像の出力を開始する。
【0127】
ステップ1522において、制御部101は、他に処理すべき元原稿があるかどうかを判定する。処理すべき元原稿がまだあると判定された場合には、ステップ1503に戻って上記各処理を繰り返す。処理すべき元原稿はないと判定された場合には処理を終える。
【0128】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置によれば、元原稿のQRコードの出力制御情報無視モードにおいて各種出力の実行が指示された場合に、矛盾する内容の符号画像の付いた原稿が作成されてしまうような事態の発生を未然に防ぐことができる。また、安易に「複写禁止情報」から「複写許可情報」に変更されることを抑止できるので、文書のセキュリティレベルを保つことができる。
【0129】
(その他の実施例)
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って原稿画像を取得する読取手段と、
前記読取手段で取得された原稿画像から、出力制御情報を含む符号画像を検出する検出手段と、
前記検出手段で前記符号画像の検出を行うかどうかを設定する検出設定手段と、
前記取得された原稿画像に、前記符号画像を付加するかどうかを設定する付加設定手段と、
前記検出設定手段で前記符号画像の検出を行わない設定がなされた場合に、該検出を行わない場合における動作制限を設定する動作制限設定手段と、
ユーザの指示に応じた出力内容で前記取得された原稿画像を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記動作制限設定手段で設定される動作制限の内容は、前記付加設定手段における設定操作を不能化することであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記動作制限設定手段で設定される動作制限の内容は、前記付加設定手段で前記符号画像を付加する設定がなされた場合に前記取得された原稿画像の出力を中止することであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記動作制限設定手段で設定される動作制限の内容は、前記付加設定手段で前記符号画像を付加する設定がなされた場合に前記検出設定手段における設定を前記符号画像の検出を行う設定に変更することであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿を読み取って原稿画像を取得する読取手段と、
前記読取手段で取得された原稿画像から、出力制御情報を含む符号画像を検出する検出手段と、
前記取得された原稿画像に、前記符号画像を付加するかどうかを設定する付加設定手段と、
前記取得された原稿画像から符号画像が検出された場合に、該符号画像に含まれる出力制御情報を無視するかどうかを設定する出力制御情報無視モード設定手段と、
前記出力制御情報無視モード設定手段で出力制御情報を無視すると設定された場合に、該出力制御情報を無視する場合における出力制御の内容を設定する詳細設定手段と、
ユーザの指示に応じた出力内容で前記取得された原稿画像を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記付加設定手段は、付加される符号画像の出力制御情報の制御内容として出力許可或いは出力禁止を設定する手段を備え、
出力制御情報の制御内容として出力許可が設定された場合に、前記詳細設定手段で設定される出力制御の内容として前記取得された原稿画像の出力を中止することが設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記付加設定手段は、付加される符号画像の出力制御情報の制御内容として出力許可或いは出力禁止を設定する手段を備え、
出力制御情報の制御内容として出力許可が設定された場合に、前記詳細設定手段で設定される出力制御の内容としてユーザに出力を続行するかどうかを選択させる選択画面を表示することが設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記付加設定手段は、付加される符号画像の出力制御情報の制御内容として出力許可或いは出力禁止を設定する手段を備え、
出力制御情報の制御内容として出力許可が設定された場合に、前記詳細設定手段で設定される出力制御の内容として出力制御情報の制御内容を示すマークを前記出力手段で出力される前記原稿画像に付加することが設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
原稿を読み取って原稿画像を取得する読取ステップと、
前記読取ステップで取得された原稿画像から、出力制御情報を含む符号画像を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで前記符号画像の検出を行うかどうかを設定する検出設定ステップと、
前記取得された原稿画像に、前記符号画像を付加するかどうかを設定する付加設定ステップと、
前記検出設定ステップで前記符号画像の検出を行わない設定がなされた場合に、該検出を行わない場合における動作制限を設定する動作制限設定ステップと、
ユーザの指示に応じた出力内容で前記取得された原稿画像を出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
原稿を読み取って原稿画像を取得する読取ステップと、
前記読取ステップで取得された原稿画像から、出力制御情報を含む符号画像を検出する検出ステップと、
前記取得された原稿画像に、前記符号画像を付加するかどうかを設定する付加設定ステップと、
前記取得された原稿画像から符号画像が検出された場合に、該符号画像に含まれる出力制御情報を無視するかどうかを設定する出力制御情報無視モード設定ステップと、
前記出力制御情報無視モード設定ステップで出力制御情報を無視すると設定された場合に、該出力制御情報を無視する場合における出力制御の内容を設定する詳細設定ステップと、
ユーザの指示に応じた出力内容で前記取得された原稿画像を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−156697(P2012−156697A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13028(P2011−13028)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】