説明

画像形成装置、その制御方法、及びプログラム

【課題】起動時に制御ソフトウェアが正常に起動するか否かを監視するとともに、制御ソフトウェアがハングアップした際にHDDのデータを破壊することなく、好適に電源供給を制御する画像形成装置、その制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】本画像形成装置は、起動時に制御ソフトウェアがハングアップした際には、一度、再起動をかける。その際に、画像形成装置内部で電源供給しているスイッチをオフし、内部から画像形成装置への電源供給を止めて、その後、正常に制御ソフトウェアが起動すると、画像形成装置内部からの電源供給スイッチをオンに制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、その制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザによって画像形成装置の電源スイッチがオンに制御されると、制御ソフトウェアが正常に起動するまでは当該電源スイッチによって電源が画像形成装置へ供給される。その後、制御ソフトウェアが正常に起動すると、制御ソフトウェアの制御でリレーやFETをオンに制御することで装置内部の制御によって電源が供給される。これにより、ユーザによって電源スイッチが切られても、正常にシャットダウン処理を行って電源オフすることができる。しかし、制御ソフトウェアが正常に起動する前にユーザによって電源スイッチがオフに制御されると、電源がすぐに切れてしまい、そのときにHDDへのアクセスが行われている状態だとHDD内部のデータを破壊してしまう可能性がある。
【0003】
また、起動時に装置内部で電源を供給するスイッチを即座にオンに制御すると、制御ソフトウェアがハングアップした際に、そのままの状態を保持してしまう。この場合、ユーザによって電源スイッチがオフに制御されたのをトリガとしてタイマを動作させ、装置内部で電源を供給するためのスイッチをオフに制御することが考えられ、タイマが満了するまでの期間を待機するため電源オフまでの期間が長くなるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、制御ソフトウェアのハングアップの対策として、ユーザから操作可能なスイッチと、制御装置から制御可能であって、かつ、ユーザからはアクセスできない装置内部にあるスイッチとの2つのスイッチを有する画像形成装置が提案されている。具体的には、制御ソフトウェアがハングアップした場合に、ユーザからアクセス可能なスイッチがユーザによりオフに制御されたのをトリガとしてタイマを動作させ、タイマが満了するとオフに制御するように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−58803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には以下に記載する問題がある。上記従来技術では、電源オン時に制御ソフトウェアのハングアップが生じた際には、電源スイッチをオフ/オンすることでしか、画像形成装置の復旧が行われない。さらに、制御ソフトウェアがハングアップしたときに、ユーザが電源スイッチをオフに制御してから電源が切れるまでの時間はタイマを使用しているため時間が掛かってしまう。また、制御ソフトウェアが正常に起動するまで、画像形成装置内部において電源を供給するためのリレー回路やFETをオンに制御しないようにすると、電源オンして起動途中に電源スイッチをユーザによって切られてしまうと電源がすぐに切れてしまう。この場合、HDDへのアクセスが行われている状態だとHDD内部のデータを破壊してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、起動時に制御ソフトウェアが正常に起動するか否かを監視するとともに、制御ソフトウェアがハングアップした際にHDDのデータを破壊することなく、好適に電源供給を制御する画像形成装置、その制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ユーザから操作され、かつ、装置に電源を供給するための第1スイッチと、ユーザから操作されずに装置内部で制御され、かつ、装置に電源を供給するための第2スイッチとを備える画像形成装置として実現できる。画像形成装置は、ユーザによって第1スイッチがオンに制御されて画像形成装置に電源が供給されると、第2スイッチをオンに制御する電源制御手段と、電源が供給されると実行される起動処理において画像形成装置を制御する制御ソフトウェアが正常に起動したか否かを判定する判定手段と、制御ソフトウェアが正常に起動しない場合に、電源制御手段を用いて第2スイッチをオフに制御して、再起動を行う再起動手段とをさらに備え、電源制御手段は、再起動手段によって制御ソフトウェアが正常に起動されなかった場合には制御ソフトウェアのハングアップと判断して起動処理を終了させ、再起動手段によって制御ソフトウェアが正常に起動された場合には第2スイッチをオンに制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、起動時に制御ソフトウェアが正常に起動するか否かを監視するとともに、制御ソフトウェアがハングアップした際にHDDのデータを破壊することなく、好適に電源供給を制御する画像形成装置、その制御方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る画像形成システムと画像形成装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の外観を示す図である。
【図3】本実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係る電源制御構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置の制御フローを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係るスイッチ状態の遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
<画像形成装置の構成>
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る画像形成システムと画像形成装置について説明する。本画像形成システムは、複数の画像形成装置100、101と、ホストコンピュータ10とを備える。各装置は、LAN500を介して相互通信可能に接続されている。図1に示すように、画像形成装置100は、制御装置(コントローラ部)110、操作部150、リーダ部200、プリンタ部300、及び電源400を備える。画像形成装置100は、プリンタ、画像入力、文書ファイリング、文書送受信、画像変換など各種の基本的な画像処理機能を提供する。
【0013】
リーダ部200は、原稿画像を光学的に読み取り、画像データに変換して出力する。リーダ部200は、原稿を読み取るための機能を持つスキャナユニット210と、原稿用紙を搬送するための機能を持つ原稿給紙ユニット250とを備える。プリンタ部300は、記録紙を搬送し、その上に画像データを可視画像として印字して装置外に排紙する。プリンタ部300は、複数種類の記録紙カセットを持つ給紙ユニット360と、画像データを記録紙に転写、定着させる機能を持つマーキングユニット310と、印字された記録紙をソート、ステイプルして機外へ出力する機能を持つ排紙ユニット370とを備える。
【0014】
制御装置110は、リーダ部200、プリンタ部300と電気的に接続され、さらにLAN500と接続されている。制御装置110は、リーダ部200を制御して、原稿の画像データを読み込み、プリンタ部300を制御して画像データを記録用紙に出力してコピー機能を提供する。また、リーダ部200から読み取った画像データを、コードデータに変換し、LAN500を介してホストコンピュータ10へ送信するスキャナ機能を提供する。さらに、ホストコンピュータからLAN500を介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ部300に出力するプリンタ機能を提供する。
【0015】
操作部150は、制御装置110に接続され、液晶タッチパネルで構成され、画像形成装置100を操作するためのユーザI/Fを提供する。電源400は、交流電源(AC電源)を直流電源(DC電源)に変換して、制御装置110/リーダ部200/プリンタ部300に対して電源供給する。各装置に対する電源供給制御は、制御装置110からの制御信号によって制御される。
【0016】
次に、リーダ部200における詳細な動作について説明する。リーダ部200は、複数のCCD(Charge Coupled Device)を有している。各CCDの感度が夫々異なっていると、たとえ原稿上の各画素の濃度が同じであったとしても、読み取られた各画素が夫々異なる濃度であると認識されてしまう。そこでその補正を行うため、リーダ部200では、最初に白板(一様に白い板)を露光走査し、露光走査して得られた反射光の量を電気信号に変換して制御装置110に出力している。また、リーダ部200は、原稿上の画像を露光走査して得られた反射光をCCDに入力することで画像の情報を電気信号に変換する。さらに電気信号をR,G,B各色からなる輝度信号に変換し、当該輝度信号を画像データとして制御装置110に対して出力する。
【0017】
なお、図2に示すように、原稿は原稿給紙ユニット250のトレイにセットされる。ユーザが操作部150から読み取り開始を指示すると、制御装置110からリーダ部200に原稿読取指示が与えられる。リーダ部200は、原稿読取指示を受けると原稿給紙ユニット250のトレイから原稿を1枚ずつフィードして、原稿の読み取り動作を行う。なお、原稿の読み取り方法は原稿給紙ユニット250による自動送り方式ではなく、原稿を不図示のガラス面上にセットし、露光部を移動させることで原稿の走査を行う方法であってもよい。
【0018】
次に、プリンタ部300における詳細な動作について説明する。プリンタ部300は、制御装置110から受け取った画像データを用紙上に形成する画像形成デバイスである。なお、本実施形態において画像形成方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式となっているが、本発明はこれに限られることはない。例えば、本発明は、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に印字するインクジェット方式などでも適用可能である。また、プリンタ部300には、図2に示すように、異なる用紙サイズ又は異なる用紙向きを選択可能とする複数の給紙ユニット360が設けられている。排紙ユニット370には印字後の用紙が排出される。
【0019】
<制御装置>
次に、図3を参照して、画像形成装置100における制御装置110のハードウェア構成について説明する。制御装置110は、メインコントローラ111、ROM114、DRAM116、Codec118、SRAM119、外部通信I/F121、コネクタ122、拡張コネクタ124、I/O制御部126、LCDコントローラ131、パネルI/F132、リアルタイムクロックモジュール133、バックアップ用電池134、Graphic Processor135、SRAM136、スキャナI/F140、コネクタ142、プリンタI/F145、コネクタ147、USBI/F151、LANI/F152、HDドライブ160、SATAコネクタ161、HD162、電源制御部170、及びコネクタ17を備える。
【0020】
メインコントローラ111は、主にCPU112と、バスコントローラ113、及び各種I/Fコントローラ回路を備える。CPU112及びバスコントローラ113は、制御装置110全体の動作を統括的に制御する。CPU112は、ROMI/F115を経由してROM114から読み込んだプログラムに基づいて動作する。また、ホストコンピュータから受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを解釈し、ラスターイメージデータに展開する動作も、このプログラムに記述されており、ソフトウェアによって処理される。バスコントローラ113は、各I/Fから入出力されるデータ転送を制御するものであり、バス競合時の調停やDMAデータの転送を制御する。
【0021】
DRAM116は、DRAMI/F117によってメインコントローラ111と接続されており、CPU112が動作するためのワークエリアや、画像データを蓄積するためのエリアとして使用される。Codec118は、DRAM116に蓄積されたラスターイメージデータをMH/MR/MMR/JBIG/JPEG等の方式で圧縮し、また逆に圧縮され蓄積されたコードデータをラスターイメージデータに伸長する。SRAM119はCodec118の一時的なワーク領域として使用される。Codec118はI/F120を介してメインコントローラ111と接続され、DRAM116との間のデータの転送は、バスコントローラ113によって制御されDMA転送される。
【0022】
Graphic Processor135は、画像回転、変倍処理、色空間変換等の処理を行う。外部通信I/F121は、I/F123によってメインコントローラ111と接続され、コネクタ122によって外部ネットワークと接続される。汎用高速バス125には、拡張ボードを接続するための拡張コネクタ124とI/O制御部126とが接続される。汎用高速バスとしては、一般的にPCI ExpressバスやPCIバスが挙げられる。
【0023】
I/O制御部126には、リーダ部200、プリンタ部300の各CPUと制御コマンドを送受信するための調歩同期シリアル通信コントローラ127が2チャンネル装備されており、I/Oバス128によって外部I/F回路140、145に接続されている。パネルI/F132は、LCDコントローラ131に接続され、操作部150上の液晶画面に表示を行うためのI/Fと、ハードキーやタッチパネルキーの入力を行うためのキー入力I/F130とから構成される。
【0024】
操作部150は、液晶表示部と液晶表示部上に張り付けられたタッチパネル入力装置と、複数のハードキーとを有する。タッチパネル又はハードキーにより入力された信号は、上記パネルI/F132を介してCPU112に伝えられ、液晶表示部はパネルI/F132から送られてきた画像データを表示するものである。液晶表示部には、本画像形成装置の操作における機能表示や画像データ等を表示する。
【0025】
リアルタイムクロックモジュール133は、機器内で管理する日付と時刻を更新/保存するためのもので、バックアップ用電池134によってバックアップされている。SATAインターフェース161は、外部記憶装置を接続するためのものである。本実施形態においては、このI/Fを介してハードディスクドライブ160を接続し、ハードディスク162へ画像データを記憶させたり、ハードディスク162から画像データを読み込ませたりする動作を行う。
【0026】
コネクタ142、147は、それぞれリーダ部200とプリンタ部300とに接続され、同調歩同期シリアルI/F143、148とビデオI/F144、149とから構成される。スキャナI/F140は、コネクタ142を介してリーダ部200と接続され、さらに、スキャナバス141によってメインコントローラ111と接続される。また、スキャナI/F140は、リーダ部200から受け取った画像に対して所定の処理を施す機能を有し、さらに、リーダ部200から送られたビデオ制御信号に基づいて生成した制御信号を、スキャナバス141に出力する機能も有する。スキャナバス141からDRAM116へのデータ転送は、バスコントローラ113によって制御される。
【0027】
プリンタI/F145は、コネクタ147を介してプリンタ部300と接続され、さらに、プリンタバス146によってメインコントローラ111と接続される。また、プリンタI/F145は、メインコントローラ111から出力された画像データに所定の処理を施しプリンタ部300へ出力する機能と、プリンタ部300からのビデオ制御信号に基づいて生成した制御信号を、プリンタバス146に出力する機能とを有する。DRAM116上に展開されたラスターイメージデータのプリンタ部300への転送は、バスコントローラ113によって制御され、プリンタバス146、ビデオI/F149を経由して、プリンタ部300へDMA転送される。LANI/F152はLAN500を介して、複数のホストコンピュータ10と接続して、ホストコンピュータ10からのプリント指示を受け付ける。
【0028】
電源制御部170は、コネクタ171を介して電源400と接続されている。また、制御信号172によってメインコントローラ111と接続されており、制御信号172を介してメインコントローラ111からの命令を受け、その命令によって電源400から各装置に対して電源供給を行うかどうかを制御する。
【0029】
<電源制御に関するハードウェア構成>
次に、図4を参照して、画像形成装置100の電源制御に関するハードウェア構成について説明する。画像形成装置100は、電源制御に関するハードウェア構成として、第1電源供給部400、第2電源供給部401、スイッチ402、403、404を備える。また、制御装置110は、電源制御部170、及び第2電源監視部409を備える。
【0030】
スイッチ(第1スイッチ)402は、ユーザによって画像形成装置100の電源ON/OFFの操作をするためのスイッチである。ユーザによってスイッチ402がONされると、第1電源供給部400にAC電源が入力される。第1電源供給部400は、AC電源をDC電源に変換し、制御装置110に対して、第1電源405を供給する。第1電源供給部400から供給される第1電源405は、画像形成装置100がスリープモードに入っている際でも制御装置110に対して電源供給を行う電源である。第1電源405は主に電源制御部170やスリープモード時にスリープモードからの復帰をする要因となるLAN500やFAXからの着信を検知するための着信検知回路(不図示)に供給される。
【0031】
第2電源供給部401は、AC電源をDC電源に変換し、制御装置110に対して、第1電源405とは異なる負荷に電源を供給するための第2電源406を供給する。第2電源供給部401から供給される第2電源406は、画像形成装置100がスリープモードの時に制御装置110に対して電源供給を停止する電源である。第2電源供給部は、スリープモード時の消費電力を下げ、スリープモード時に電源供給が不要な各種デバイスに対して、通常モード時に電源供給を行うために備えられている。
【0032】
第2電源監視部409は、第2電源406が正常な電圧で供給されているかを監視し、リセット信号413を電源制御部170を含む各種デバイスに対して発行する。また、電源制御部170からリセット信号412が入力され、電源制御部170によりリセット信号412がアサートされた場合には、第2電源監視部409はリセット信号413をアサートし、電源制御部170を含む各種デバイスに対してリセットを発行する。電源制御部170は、リセット信号413の入力をみて、第2電源406が正常に供給されているかの判断を行う。
【0033】
スイッチ(第2スイッチ)403は、電源制御部170によって(装置内部で)制御されるスイッチであり、電源制御部170から出力する制御信号407によってスイッチのオン/オフ制御がなされる。通常モード時やスリープモードの場合に、制御信号407によってスイッチ403のオン制御がなされて、制御装置110に対して、第1電源405の供給を行う。スイッチ403はリレースイッチやFET等で実現することが可能である。
【0034】
スイッチ(第3スイッチ)404は、電源制御部170によって(装置内部で)制御されるスイッチであり、制御信号408によってスイッチのオン/オフ制御がなされる。スリープモード時には、電源制御部170が制御信号408を制御することでスイッチ404をOFFにして、第2電源供給部401へのAC電源入力を停止することで、制御装置110への第2電源406の供給を停止している。スイッチ404はリレースイッチやFET等で実現することが可能である。
【0035】
<電源制御>
次に、図5を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の電源制御について説明する。なお、ここでは、電源オン時に制御装置110上のソフトウェアがハングアップした場合の制御装置の手順の一例を説明する。以下で説明する処理は、CPU112がROM114等から制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0036】
S501は、ユーザによってスイッチ402がオンに制御されたことを示している。スイッチ402がオンに制御されると、制御装置110には、電源供給が行われる。S502において、制御装置110の電源制御部170は、正常に第1電源405が供給されているか否かを判定する。ここで、正常に電源が投入されていればS503に進み、電源が正常に投入されなければS502の判定を定期的に繰り返す。
【0037】
S503において、電源制御部170は、第1電源405が正常に供給されている場合に、制御信号407及び制御信号408をオンに制御することでスイッチ403及びスイッチ404をオンに制御する。S503においてのスイッチ403、404のオン制御はハードウェア制御によって行われる。これによって、なお、スイッチ403をオンに制御することにより、ユーザによってスイッチ402が起動処理中にオフに操作されたとしても、制御装置110に対して瞬時に電源供給が遮断されることを防ぐことができる。つまり、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、起動処理中にユーザによってスイッチ402がオフに操作されたとしても、制御装置110に対する電源供給を維持することができる。また、第2電源406を制御装置110に対して供給することが可能となる。第1電源はスリープモード等の省エネ状態においても供給され、主にはパワーマネージメント回路やRTCといった回路に供給される。一方、第2電源は、それ以外のCPUやIOチップ(負荷)に供給される。S503においてのスイッチ403、404のオン制御は電源制御部170によって制御される。なお、S503において、スイッチ403、404によって画像形成装置100に対して電源供給が行われると、まず、制御ソフトウェアが起動される。
【0038】
S504において、電源制御部170は、制御ソフトウェアが正常に起動したか否かを判定する。正常に制御ソフトウェアが起動した場合にはS511に進み、正常に起動しない場合にはS505に進む。正常に起動したか否かは、例えば、電源制御部170内部に搭載しているウォッチドッグタイマ割り込みがクリアされたかどうかで判断される。S504において制御ソフトウェアが正常に起動した際のスイッチ403の状態遷移を図6(a)に示す。具体的には、図6(a)に示すように、制御ソフトウェアが正常に起動した際には、スイッチ402、403がオン状態となる。
【0039】
一方、制御ソフトウェアが正常に起動しなかった場合には、S505において、電源制御部170は、第2電源406の供給を停止するために、制御信号408をオフに制御し、スイッチ404をオフに制御する。S505においてのスイッチ404のオフ制御はハードウェア制御によって行われる。これによりCPUやIOチップに供給している第2電源供給を停止する。CPUやIOチップへの電源を一旦切ることでデバイスを初期化する。
【0040】
続いて、S506において、電源制御部170は、制御信号407をオフに制御し、スイッチ403をオフに制御する。S506においてのスイッチ403のオフ制御はハードウェア制御によって行われる。これにより画像形成装置100内部で電源を供給するために接続しているスイッチ403をオフに制御することで、再度、制御ソフトウェアのハングアップが生じた場合でもユーザがスイッチ402をオフに制御することで電源がすぐに切れるようになる。さらに、S507において、電源制御部170は、第2電源406の供給を行うために、制御信号408をオンに制御し、スイッチ404をオンに制御する。S507においてのスイッチ404のオン制御はハードウェア制御によって行われる。これによりCPUやIOチップに第2電源供給を行い、制御ソフトウェアの再起動を行う。
【0041】
次に、S508において、電源制御部170は、第2電源406が正常に供給されたか否かを判定する。正常に第2電源460が供給されるとS509に進み、供給されていなければS508の判定を定期的に繰り返す。S509において、電源制御部170は、制御ソフトウェアが正常に起動したか否かを判定する。正常に制御ソフトウェアが起動した場合にはS512に進み、正常に起動しない場合にはS510に進みハングアップと判断し、起動処理を終了する。正常に起動したか否かは、例えば、電源制御部170内部に搭載しているウォッチドッグタイマ割り込みがクリアされたかどうかで判断する。再起動後に正常に起動しなかった場合のスイッチ403の状態遷移は図6(b)の通りになる。具体的には、図6(b)に示すように、再起動後に制御ソフトウェアが正常に起動しなかった場合は、スイッチ402がオン状態で、スイッチ403がオフ状態となる。
【0042】
S512において、制御ソフトウェアが正常に起動した場合に電源制御部170は、制御信号407をオンに制御することでスイッチ403をオンに制御する。S512においてのスイッチ403のオン制御はソフトウェア制御によって行われる。この状態を図6(c)に示す。具体的には、図6(c)に示すように、スイッチ402、403の両方がオン状態となる。これによってユーザがスイッチ402をオフに制御した際でも、制御装置110に対する電源供給は切れないような状態となる。なお、上記ソフトウェア制御とは、起動した制御ソフトウェアによる制御を示し、上記ハードウェア制御とは制御ソフトウェア以外のチップ等による制御を示す。
【0043】
以上のことから、制御ソフトウェアがハングアップした際に一度再起動することでシステムが起動する機会を与えられる。その際に画像形成装置100内部で電源を供給するためのリレースイッチをオフに制御にして再起動を行うので、再度ソフトウェアハングアップが生じた際でもユーザによる電源スイッチオフ操作で電源供給をすぐに停止することが可能となる。また、電源オン時にユーザに電源スイッチを切られることによって電源が切れた場合でもHDD内部データの破壊等のダメージをシステムに与えないことが可能となる。
【0044】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから操作され、かつ、装置に電源を供給するための第1スイッチと、ユーザから操作されずに装置内部で制御され、かつ、装置に電源を供給するための第2スイッチとを備える画像形成装置であって、
ユーザによって前記第1スイッチがオンに制御されて前記画像形成装置に電源が供給されると、前記第2スイッチをオンに制御する電源制御手段と、
電源が供給されると実行される起動処理において前記画像形成装置を制御する制御ソフトウェアが正常に起動したか否かを判定する判定手段と、
前記制御ソフトウェアが正常に起動しない場合に、前記電源制御手段を用いて前記第2スイッチをオフに制御して、再起動を行う再起動手段と
をさらに備え、
前記電源制御手段は、前記再起動手段によって前記制御ソフトウェアが正常に起動されなかった場合には該制御ソフトウェアのハングアップと判断して起動処理を終了させ、前記再起動手段によって前記制御ソフトウェアが正常に起動された場合には前記第2スイッチをオンに制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザから操作されずに装置内部で制御され、かつ、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチとは異なる負荷へ電源を供給するための第3スイッチをさらに備え、
前記電源制御手段は、ユーザによって前記第1スイッチがオンに制御されて前記画像形成装置に電源が供給されると、前記第3スイッチをオンに制御し、
前記再起動手段は、前記電源制御手段を用いて前記第3スイッチをオフに制御した後にオンに制御して、再起動を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電源制御手段は、
前記制御ソフトウェアの再起動の際に、ハードウェア制御によって前記第2スイッチ及び前記第3スイッチを制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、
前記制御ソフトウェアが正常に起動すると、ソフトウェア制御によって前記第2スイッチ及び前記第3スイッチを制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記制御ソフトウェアが正常に起動するとクリアされるウォッチドッグタイマを用いて該制御ソフトウェアが正常に起動したか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2スイッチは、前記電源制御手段によってオンに制御された後に、ユーザによって前記第1スイッチがオフに制御された場合であっても、オンに制御された状態が維持されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザから操作され、かつ、装置に電源を供給するための第1スイッチと、ユーザから操作されずに装置内部で制御され、かつ、装置に電源を供給するための第2スイッチとを備える画像形成装置の制御方法であって、
電源制御手段が、ユーザによって前記第1スイッチがオンに制御されて前記画像形成装置に電源が供給されると、前記第2スイッチをオンに制御する電源制御ステップと、
判定手段が、電源が供給されると実行される起動処理において前記画像形成装置を制御する制御ソフトウェアが正常に起動したか否かを判定する判定ステップと、
再起動手段が、前記制御ソフトウェアが正常に起動しない場合に、前記電源制御手段を用いて前記第2スイッチをオフに制御して、再起動を行う再起動ステップと
を実行し、
前記電源制御ステップでは、前記再起動ステップにおいて前記制御ソフトウェアが正常に起動されなかった場合には該制御ソフトウェアのハングアップと判断して起動処理を終了させ、前記再起動ステップにおいて前記制御ソフトウェアが正常に起動された場合には前記第2スイッチをオンに制御することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置の制御方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−224033(P2012−224033A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95281(P2011−95281)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】