説明

画像形成装置、パターン形成システム、画像形成方法およびパターン形成方法

【課題】レジストパターンとして利用されるトナー画像を対象物上に高精度に形成する。
【解決手段】パターン形成システムの画像形成装置1では、エッチング耐性を有する湿式トナーにより感光ドラム31の外周面上に形成されたトナー画像を、感光ドラム31と対象物9の被転写面91との間に転写電圧を作用させて行う静電転写により対象物9に転写し、転写されたトナー画像を対象物9上に定着させることによりレジストパターンが形成される。これにより、転写時にトナー画像が乱れたり崩れることを確実に防止することができ、レジストパターンとして利用されるトナー画像を対象物9上に高精度に形成することができる。また、レジストパターンの形成に係るコストを低減することができるとともにレジストパターンの形成に要する時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状またはフィルム状の対象物上にトナー画像を形成する技術に関し、また、当該トナー画像を利用して対象物上に配線パターンを形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント基板等の対象物に配線パターンを形成する方法として、サブトラクティブ法やセミアディティブ法、フルアディティブ法等が用いられており、サブトラクティブ法では、他の2つの方法に比べて低コストにて迅速に配線パターンを形成することができる。
【0003】
フォトレジスト技術を利用したサブトラクティブ法の1つであるプロキシミティ露光方式では、絶縁性の基材上に銅箔(Cu)が接合された対象物に対し、感光性およびエッチング耐性を有するレジスト膜が銅箔上に形成され、配線パターンに対応する透光部または遮光部を有するガラスマスクやフィルムマスクを介してレジスト膜が露光される。続いて、レジスト膜が現像されることにより、レジスト膜の配線パターンに対応する部位以外が除去され、配線パターンに対応するレジスト膜のパターン(すなわち、レジストパターン)が銅箔上に形成される。そして、対象物に対してエッチング液が付与されることにより、銅箔のレジスト膜から露出している部位が除去された後、レジストパターンが除去されることにより、銅により形成された配線パターンの形成が終了する。
【0004】
また、スクリーン印刷技術を利用したサブトラクティブ法では、上述のガラスマスク等を介したレジスト膜の露光に代えて、配線パターンに対応する版を用いてレジストパターンが銅箔上に印刷される。
【0005】
一方、マスク等を使用せずにレジスト膜上にパターンを描画する方法として、空間変調された光ビームをレジスト膜上で走査することによりパターンを直接描画する方式(以下、「直描方式」という。)が知られている。
【0006】
また、特許文献1では、電子写真法によりレジストパターンに対応する静電潜像を感光体ドラム上に形成し、当該静電潜像を熱溶融トナーにより現像してトナー画像を形成した後、加熱により溶融状態とされたトナー画像を被加工部材に圧接する熱溶融転写により、プリント基板となる被加工部材の銅箔上にトナー画像をレジストパターンとして転写する技術が開示されている。特許文献1では、粒径7μm〜15μmの乾式の熱溶融トナーが利用されているが、粒径1μm〜2μmの湿式の熱溶融トナーも利用可能とされている。
【特許文献1】特開平7−273428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のガラスマスクや版等を利用するパターン描画では、配線パターンに対応するマスク等を予め製造しておく必要があり、その上、このようなマスク等を所定の環境下において保管する必要があるため、マスク等の製造および保管に係るコストが必要となる。さらに、配線パターンが変更されると新たなマスク等が必要となるため、多品種少量生産には適していない。また、これらの方法では、銅箔上に形成されるレジスト膜の薄膜化に限界があるため、エッチングにより形成される配線パターンの高精細化に限界がある。
【0008】
一方、直描方式では、パターンを微小なドット(画素)の集合として表現してドット単位でパターンを描画するラスタ方式が一般的であり、配線パターンの高精細化に対応するためには、描画装置の分解能を上げる(すなわち、ドットの面積を小さくする)必要がある。このため、高精細なパターンを描画する際には、描画するドット数が増加して描画に要する時間が増大してしまう。また、銅箔上にレジスト膜を形成する点では、マスク等を利用するパターン描画と同様であるため、上記と同様に配線パターンの高精細化に限界がある。さらには、レジスト膜に対して光ビームを照射する光源として大出力の高価な光源が必要とされ、描画に要するコストが増大してしまう。
【0009】
これに対し、特許文献1のレジストパターンの形成では、静電潜像を現像することにより形成された熱溶融トナーのトナー画像を被加工部材に転写することにより、マスク等を利用することなく、また、レジスト膜を被加工部材の全面に亘って形成することなくレジストパターンが被加工部材上に形成され、さらに、粒径が小さい湿式の熱溶融トナーを利用することにより、高精細なレジストパターンが迅速に形成される。
【0010】
しかしながら、特許文献1のレジストパターンの形成では、トナー画像が熱溶融状態にされた上で被加工部材に圧接されるため、溶融や圧接によりトナー画像が崩れてしまう恐れがあり、レジストパターンの高精細化に限界がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、レジストパターンとして利用されるトナー画像を対象物上に高精度に形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、板状またはフィルム状の対象物上にトナー画像を形成する画像形成装置であって、エッチング耐性を有する湿式トナーによる転写前のトナー画像が外周面上に形成される円筒ドラム状または平ベルト状の環状部材を前記外周面に沿って循環移動するトナー画像保持部と、板状またはフィルム状の絶縁性基材および前記絶縁性基材の一の主面に形成された比抵抗が10Ω・cm以下の導電層を有する対象物を保持し、前記導電層の被転写面を所定の転写位置において前記外周面に最も接近させつつ、前記対象物を前記転写位置における前記環状部材の部位と同じ速度にて前記環状部材の前記部位の進行方向と同じ方向であって前記被転写面に沿う移動方向に移動する移動機構と、前記転写位置において前記環状部材と前記対象物の前記被転写面との間に所定の転写電圧を作用させて前記トナー画像を前記対象物に転写するトナー画像転写部とを備える。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記トナー画像転写部が、前記循環移動の前記転写位置よりも手前において前記トナー画像上から前記環状部材の前記外周面に前記湿式トナーの帯電極性と同じ極性の第1電位を付与する第1電位付与部と、前記被転写面に接地電位に実質的に等しい第2電位を付与することにより、前記転写位置において前記環状部材と前記被転写面との間に前記転写電圧を作用させる第2電位付与部とを備える。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記第2電位の絶対値が、前記第1電位の絶対値の5%以下である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置であって、前記第2電位が接地電位である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記湿式トナーの粒径が2μm以下である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記湿式トナーの主成分が酢酸ビニルである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記環状部材の前記外周面に静電潜像を形成する潜像形成部と、前記湿式トナーにより前記静電潜像を現像して前記トナー画像を形成する現像部とをさらに備える。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記対象物が、可撓性を有するフレキシブル基板である。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置であって、前記移動機構による前記対象物の前記移動方向において前記転写位置よりも下流側に配置され、前記トナー画像を前記被転写面に定着させる定着部をさらに備え、前記移動機構が、前記トナー画像が転写される前のロール状の前記対象物を保持するとともに前記対象物を前記転写位置へと供給する対象物供給部と、前記移動機構による前記対象物の前記移動方向において前記定着部よりも下流側に配置され、前記トナー画像が定着された前記対象物を巻き取って回収する対象物回収部とを備える。
【0021】
請求項10に記載の発明は、対象物上に配線パターンを形成するパターン形成システムであって、請求項9に記載の画像形成装置と、前記対象物の前記移動方向において前記画像形成装置の前記定着部と前記対象物回収部との間に配置され、前記導電層の前記トナー画像から露出している部位にエッチングを施すエッチング装置とを備える。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のパターン形成システムであって、前記対象物の前記移動方向において前記エッチング装置と前記対象物回収部との間に配置され、前記トナー画像を前記対象物上から除去する画像除去装置をさらに備える。
【0023】
請求項12に記載の発明は、板状またはフィルム状の対象物上にトナー画像を形成する画像形成方法であって、a)外周面に沿って循環移動する円筒ドラム状または平ベルト状の環状部材の前記外周面上にエッチング耐性を有する湿式トナーによる転写前のトナー画像を形成する工程と、b)板状またはフィルム状の絶縁性基材および前記絶縁性基材の一の主面に形成された比抵抗が10Ω・cm以下の導電層を有する対象物を保持し、前記導電層の被転写面を所定の転写位置において前記外周面に最も接近させつつ、前記対象物を前記転写位置における前記環状部材の部位と同じ速度にて前記環状部材の前記部位の進行方向と同じ方向であって前記被転写面に沿う移動方向に移動する工程と、c)前記b)工程と並行して、前記転写位置において前記環状部材と前記対象物の前記被転写面との間に所定の転写電圧を作用させて前記トナー画像を前記対象物に転写する工程とを備える。
【0024】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像形成方法であって、前記c)工程が、d)前記循環移動の前記転写位置よりも手前において前記トナー画像上から前記環状部材の前記外周面に前記湿式トナーの帯電極性と同じ極性の第1電位を付与する工程と、e)前記d)工程と並行して、前記被転写面に接地電位に実質的に等しい第2電位を付与することにより、前記転写位置において前記環状部材と前記被転写面との間に前記転写電圧を作用させる工程とを備える。
【0025】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の画像形成方法であって、前記第2電位の絶対値が、前記第1電位の絶対値の5%以下である。
【0026】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像形成方法であって、前記第2電位が接地電位である。
【0027】
請求項16に記載の発明は、請求項12ないし15のいずれかに記載の画像形成方法であって、前記湿式トナーの粒径が2μm以下である。
【0028】
請求項17に記載の発明は、請求項12ないし16のいずれかに記載の画像形成方法であって、前記湿式トナーの主成分が酢酸ビニルである。
【0029】
請求項18に記載の発明は、対象物上に配線パターンを形成するパターン形成方法であって、請求項12ないし17のいずれかに記載の画像形成方法の前記a)工程ないし前記c)工程と、f)前記c)工程よりも後に、前記被転写面に転写された前記トナー画像を定着させる工程と、g)前記f)工程よりも後に、前記導電層の前記トナー画像から露出している部位にエッチングを施す工程とを備える。
【0030】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載のパターン形成方法であって、h)前記g)工程よりも後に、前記トナー画像を前記対象物上から除去する工程をさらに備える。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、トナー画像を対象物上に高精度に形成することができる。請求項2ないし4、並びに、請求項13ないし15の発明では、導電性の被転写面に対するトナー画像の転写を安定して行うことができる。請求項9の発明では、複数の回路基板となる対象物に対するレジストパターンの形成を迅速に行うことができる。
【0032】
請求項10および11、並びに、請求項18および19の発明では、配線パターンを迅速かつ高精度に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るパターン形成システム100の構成を示す図である。パターン形成システム100は、フィルム状の対象物9上に配線パターンを形成する装置である。対象物9は、可撓性を有するフレキシブル基板(すなわち、フィルム基板)であり、フィルム状の絶縁性基材、および、絶縁性基材の一の主面全体に形成された比抵抗が10−6Ω・cm以上10Ω・cm以下の導電層(本実施の形態では、銅箔(Cu))を備える。パターン形成システム100では、対象物9上に銅による配線パターンを形成することにより、複数のフレキシブル回路基板が連続したシート状部材である回路基板シートが形成される。
【0034】
図1に示すように、パターン形成システム100は、対象物9の導電層の表面上にトナー画像を転写(すなわち、形成)し、当該トナー画像を導電層上に定着させてレジストパターンとする画像形成装置1、導電層のレジストパターンから露出している部位(すなわち、トナー画像により被覆されていない部位)にエッチング液を付与することによりエッチングを施して当該部位を絶縁性基材上から除去するエッチング装置61、エッチングが終了した対象物9を洗浄する第1洗浄装置62、対象物9上からレジストパターン(すなわち、トナー画像)を剥離して除去する画像除去装置63、および、レジストパターンが除去された対象物9を洗浄する第2洗浄装置64を備える。以下の説明では、画像形成装置1によりトナー画像が転写される対象物9の導電層の表面91を「被転写面91」という。
【0035】
図2は、画像形成装置1を拡大して示す図である。図2に示すように、画像形成装置1は、絶縁性基材93および導電層94を有する対象物9を保持するとともに被転写面91に沿う移動方向である(+Y)方向に移動する移動機構2、電子写真法にて感光ドラム31上にトナー画像を形成するプロセスユニット3、当該トナー画像上から感光ドラム31の外周面に所定の電位を付与する第1電位付与部4、および、対象物9に接触して被転写面91に所定の電位を付与する第2電位付与部5を備える。以下の説明では、第1電位付与部4により感光ドラム31に付与される電位を「第1電位」といい、第2電位付与部5により被転写面91に付与される電位を「第2電位」という。
【0036】
プロセスユニット3は、減速機を介してモータ(図示省略)に接続される直径250mmの感光ドラム31を備え、感光ドラム31は、図2中のX方向に平行な回転軸310を中心として図2中における時計回りに回転可能とされる。感光ドラム31は、アルミニウム等の金属により形成されるとともに回転軸310を中心とするドラム本体311を有し、ドラム本体311は電気的に接地される。
【0037】
ドラム本体311の外周面には、例えば、フタロシアニン顔料を有する単層型有機感光体(以下、単に「感光体312」という。)が一様に塗布される(または、蒸着される)。なお、感光ドラム31の直径は250mmには限定されないが、好ましくは200mm以上400mm以下とされる。また、感光体312は、フタロシアニン顔料を有する単層型有機感光体以外に、例えば、アモルファスシリコン等の無機感光体により形成されてもよい。
【0038】
プロセスユニット3は、また、感光ドラム31の(+Z)側において感光ドラム31に対向して設けられて感光体312を帯電させる帯電器32、画像形成用の光を出射して感光体312の外周面に静電潜像を形成する潜像形成部33、エッチング耐性を有する液体トナー(例えば、イソパラフィン系の絶縁性の溶媒(キャリア液)に分散している湿式トナー)により感光体312上の静電潜像を現像して感光体312の外周面上にトナー画像を形成する現像部34、感光体312の表面をクリーニングするクリーナ35、および、光を出射して感光体312を除電する除電器36を備える。
【0039】
プロセスユニット3では、帯電器32から感光ドラム31の回転方向(すなわち、図1中の時計回り)に沿って潜像形成部33、現像部34、クリーナ35および除電器36が、感光ドラム31の周囲に配置されており、現像部34には、現像液である液体トナーを供給するトナー供給部(図示省略)が接続されている。また、画像形成装置1では、第1電位付与部4も、現像部34とクリーナ35との間において感光ドラム31の周囲に配置されている。
【0040】
第1電位付与部4は、コロナ放電によりイオンを発生させ、当該イオンを感光体312に付与することにより感光体312を帯電させるコロナ帯電機構であり、本実施の形態では、第1電位付与部4としてスコロトロンが利用されて感光体312に第1電位が付与される。また、プロセスユニット3の帯電器32も、第1電位付与部4と同様、コロナ放電により感光体312を帯電させるコロナ帯電機構である。
【0041】
第2電位付与部5は2つの接触子51を備え、接触子51は、導電性材料にて形成されるブラシ(例えば、カーボンブラシや導電性毛ブラシ)を有する。各接触子51は図示省略の支持部材により支持されており、対象物9の導電性の被転写面91に直接当接する。各接触子51の電極は電気的に接地されているため、対象物9の被転写面91も電気的に接地される。換言すれば、第2電位付与部5の接触子51により、対象物9の被転写面91に接地電位である第2電位が付与される。
【0042】
画像形成装置1では、感光ドラム31の(−Z)側において、移動機構2により感光ドラム31に対向して移動する対象物9の被転写面91が、第1電位付与部4とクリーナ35との間にて感光ドラム31の外周面に最も接近する。そして、第1電位付与部4および第2電位付与部5による電位の付与により、感光ドラム31と対象物9とが最も接近する位置において、感光ドラム31と対象物9の被転写面91との間に所定の転写電圧が作用し、感光ドラム31の外周面上のトナー画像が対象物9の被転写面91上に転写される。以下の説明では、感光ドラム31の外周面と対象物9の被転写面91とが最も接近する位置を「転写位置」と呼ぶ。転写位置は、プロセスユニット3に対して相対的に固定された位置となる。画像形成装置1では、第1電位付与部4および第2電位付与部5が、転写位置において感光ドラム31と対象物9の被転写面91との間に所定の転写電圧を作用させてトナー画像を対象物9に転写するトナー画像転写部となっている。
【0043】
画像形成装置1は、移動機構2による対象物9の移動方向において上記転写位置よりも下流側(すなわち、(+Y)側)に配置されて対象物9の被転写面91に転写されたトナー画像を被転写面91に定着させる定着部52をさらに備える。画像形成装置1では、定着部52により対象物9の被転写面91を非接触にて加熱することにより、トナー画像が被転写面91に定着されてレジストパターンとなる。
【0044】
移動機構2は、トナー画像が転写される前のロール状の対象物9を保持するとともに対象物9を転写位置へと供給する対象物供給部203、転写位置において対象物9を下面側(すなわち、被転写面91とは反対側)である(−Z)側から支持する転写ローラ204、および、移動機構2による対象物9の移動方向において定着部52よりも下流側(すなわち、(+Y)側)に配置されるとともに定着部52によりトナー画像が定着された対象物9を巻き取って回収する対象物回収部205を備える。図2では、定着部52と対象物回収部205との間に配置されるエッチング装置61等の他の装置の図示を省略している。本実施の形態では、移動機構2による対象物9の(+Y)方向への移動速度は、分速約2m〜3mである。
【0045】
図1に示すように、パターン形成システム100では、移動機構2による対象物9の移動方向において、エッチング装置61、第1洗浄装置62、画像除去装置63および第2洗浄装置64が、画像形成装置1の定着部52と対象物回収部205との間に順に配置されており、したがって、画像除去装置63はエッチング装置61と対象物回収部205との間に配置されることとなる。移動機構2により移動される対象物9上の一の部位に注目すると、当該部位は、移動機構2により一の装置から他の装置へと順に搬送される。換言すれば、対象物9を移動する移動機構2は、画像形成装置1、エッチング装置61、第1洗浄装置62、画像除去装置63および第2洗浄装置64により共有される対象物搬送機構となっている。
【0046】
エッチング装置61は、塩化鉄(FeCl)や塩化銅(CuCl)等を主成分とするエッチング液を、トナー画像が形成された対象物9の被転写面91に向けて噴射する複数のスプレー611を備え、第1洗浄装置62は、純水等の洗浄液を対象物9の被転写面91に向けて噴射する複数のスプレー621を備える。また、画像除去装置63は、対象物9からトナー画像を剥離する剥離液を対象物9の被転写面91に向けて噴射する複数のスプレー631を備え、第2洗浄装置64は、第1洗浄装置62と同様に、純水等の洗浄液を対象物9の被転写面91に向けて噴射する複数のスプレー641を備える。
【0047】
次に、パターン形成システム100による配線パターンの形成について説明する。図3は、パターン形成システム100により対象物9上に配線パターンを形成する処理の流れを示す図である。なお、図3中のステップS11〜S15は感光体312の一部に注目した処理の流れを示しており、感光体312全体に対しては実際にはこれらのステップは時間的にほぼ並行して行われる。また、ステップS16〜S20は対象物9の一部に注目した処理の流れを示しており、対象物9全体に対しては実際にはこれらのステップは時間的にほぼ並行して行われる。
【0048】
図2に示す画像形成装置1では、まず、感光ドラム31が回転軸310を中心として図2中における時計回りに一定の回転速度にて回転を開始するとともに、移動機構2において対象物供給部203および対象物回収部205がそれぞれ反時計回りに回転することにより、対象物9の(+Y)方向への移動が一定の速度にて開始される。プロセスユニット3では感光ドラム31の回転により、回転軸310を中心とする円筒ドラム状の環状部材である感光ドラム31が、周囲に配置された各周辺構成(すなわち、帯電器32、潜像形成部33、現像部34、第1電位付与部4、クリーナ35および除電器36)に対して外周面に沿って連続的に循環移動し、これらの周辺構成による感光体312に対する処理が開始される。
【0049】
帯電器32では、対向する位置へと到達する感光体312の一部(以下、「対象部位」と呼ぶ。)に電荷が順次付与され、対象部位の表面を、例えば、+700V(ボルト)にて一様に帯電させる(ステップS11)。帯電後の対象部位は潜像形成部33の光の照射位置へと連続的に移動する。
【0050】
潜像形成部33は、所定の波長の光を出射する複数の発光ダイオード(LED)が配列されたLEDアレイを光源として有する。潜像形成部33には、対象物9の被転写面91上に形成されるトナー画像の画像データが入力され、画像データに応じて画像形成用の光が感光体312に向けて出射される。感光体312の対象部位において光が照射された部位では、表面の電荷が感光体312内に移動することにより、表面電位が+100Vまで低減される。また、光が照射されない部位は帯電状態がそのまま維持されるため、感光体312の表面には電荷の分布による画像(すなわち、静電潜像)が形成される(ステップS12)。潜像形成部33の光源は、必ずしもLEDである必要はなく、例えば、半導体レーザや、ランプと液晶シャッタとを組み合わせたものであってもよい。
【0051】
感光ドラム31において静電潜像が形成された部分(対象部位)は現像部34に対向する位置へと移動する。現像部34では、現像ローラ341が現像バイアス電源343に接続されており、現像バイアス電源343により、+500Vの電位が付与されている。そして、現像ローラ341と静電潜像との間のバイアス電圧により、液体トナー中においてプラスに帯電している湿式トナー(すなわち、液体トナーの溶媒中に分散されるとともに感光体312の表面と同じ極性に帯電している湿式トナー)が静電潜像に付与される(ステップS13)。本実施の形態では、湿式トナーとして、粒径が0.1μm以上2μm以下(より好ましくは、0.1μm以上0.5μm以下)のものが使用される。また、湿式トナーの主成分は酢酸ビニル(C)とされる。
【0052】
図4.Aないし図4.Cは、現像部34(図2参照)により湿式トナー92が付与された感光体312表面の電位分布を概念的に示す図である。図4.Aないし図4.Cでは、感光体312表面の電位を実線81にて描いており、実線81が感光体312表面からドラム本体311とは反対側に位置する場合をプラスとする。また、実線81と感光体312表面との間の上下方向の距離は、電位の大きさを表す。
【0053】
図4.Aに示すように、感光体312の表面と同じ極性であるプラスに帯電している湿式トナー92は、感光体312上の対象部位において、潜像形成部33により表面電位が低減された部位にのみ付着し、これにより、静電潜像が現像される。すなわち、感光体312の外周面上の対象部位に、湿式トナー92による転写前のトナー画像が形成される。図2に示す画像形成装置1では、感光ドラム31およびドラム回転用のモータが、感光体312の外周面に転写前のトナー画像を保持するとともに感光体312を循環移動するトナー画像保持部となっている。
【0054】
現像部34では、対象部位上の不要な液体トナーは、現像ローラ341の(−Z)側(すなわち、感光ドラム31の循環移動の下流側)に位置するスキージローラ342により掻き取られて現像部34へと戻される。スキージローラ342はスキージ用電源344に接続されており、スキージ用電源344により、+500Vの電位が付与されている。そして、スキージローラ342が図1中の時計回りに回転して液体トナーを掻き取ることにより、感光体312上の余剰の液体トナー(すなわち、潜像形成部33により表面電位が低減された部位上に過剰に付与された液体トナー、および、表面電位が低減されなかった部位であるバックグラウンド上に付与された液体トナー)が回収される。
【0055】
次に、感光ドラム31の循環移動において転写位置よりも手前に配置された第1電位付与部4により、感光体312上に現像されたトナー画像上から、感光体312の外周面に湿式トナーの帯電極性と同じ極性であるプラスの第1電位が付与される(ステップS14)。これにより、図4.Bに示すように、感光体312の外周面の対象部位全体が、帯電器32による帯電と同程度、または、絶対値において大きい電位(本実施の形態では、約+800V)まで帯電する。なお、対象部位では、湿式トナー92の付着領域における電位と非付着領域における電位とが僅かに異なっているが、この程度の電位差は後述する湿式トナー92の転写にはほとんど影響しない。また、当該電位差は、第1電位付与部4による第1電位の付与時間を長くすることにより解消される。
【0056】
図2に示す第1電位付与部4による第1電位の付与が終了すると、感光ドラム31の対象部位は、感光ドラム31の回転に同期して移動する対象物9の被転写面91に最も接近する転写位置へと到達し、転写位置では対象部位は感光ドラム31の回転速度に応じた速度(すなわち、感光ドラム31の外周面の回転軸310に垂直な断面における接線方向の速度)にて正確に(+Y)方向へと移動する。また、対象物9は、移動機構2により、転写位置における感光体312の対象部位と同じ速度にて、対象部位の進行方向と同じ(+Y)方向を移動方向として移動する。これにより、転写位置の極近傍において対象物9(の対象部位に対向する部位)の位置が対象部位に対して相対的に固定される。
【0057】
このとき、対象物9は、転写位置の(+Y)側および(−Y)側にそれぞれ配置される第2電位付与部5の2つの接触子51を介して電気的に接地されており(換言すれば、第2電位付与部5により、対象物9の被転写面91に接地電位が付与されており)、転写位置における対象物9の被転写面91と感光体312の対象部位との間に所定の転写電圧が作用する。すなわち、対象部位から被転写面91へと向かう電界が発生し、図4.Cに示すように、感光体312から対象物9の被転写面91へと向かう方向(すなわち、図4.C中の符号82を付す矢印が向く方向)の力が湿式トナー92に作用する。これにより、感光体312の対象部位上に付着したプラスに帯電したトナー画像が、対象物9の被転写面91に順次転写される(ステップS15)。
【0058】
湿式トナーの転写後の感光体312の対象部位は、図2に示すクリーナ35の位置へと続けて移動し、クリーナ35により対象部位に残留した湿式トナー(すなわち、対象物9に転写されなかった湿式トナー)等の不要物が除去されて感光体312の表面がクリーニングされ、感光体312が機械的に初期状態に戻される。そして、ランプとフィルタとの組合せ、あるいは、LED等を有する除電器36により光が照射されて感光体312が除電され、電気的に初期状態に戻される。
【0059】
上述のように、ステップS11〜S15の処理は感光体312上の各部位に対してほぼ並行して行われ、転写位置へと順次到達する感光体312の各部位に対して連続的に処理が行われる。このため、感光体312の外周面上のトナー画像全体が転写位置において対象物9上に転写され、これが繰り返されることにより、最終的に複数のフレキシブル回路基板となる対象物9上に、複数のフレキシブル回路基板の配線パターンに対応するトナー画像が形成される。
【0060】
画像形成装置1では、対象物9のトナー画像が形成された部位が、移動機構2により転写位置から(+Y)側へと移動されて定着部52の下方を通過することにより、被転写面91および被転写面91上のトナー画像が定着部52により加熱され、トナー画像が被転写面91に定着されてレジストパターンとなる(ステップS16)。
【0061】
対象物9のトナー画像が定着された部位は、図1に示す移動機構2により画像形成装置1からエッチング装置61へと移動し、エッチング装置61においてエッチング液が付与されることにより、導電層94(図2参照)のトナー画像(すなわち、レジストパターン)から露出している部位にエッチングが施されて当該部位が絶縁性基材93(図2参照)上から除去される(ステップS17)。これにより、銅にて形成された導電層94のうちトナー画像により被覆された部分のみが絶縁性基材93上に残置され、フレキシブル回路基板の配線パターン(すなわち、銅電極および銅配線)となる。
【0062】
対象物9のエッチングが施された部位は、移動機構2によりエッチング装置61から第1洗浄装置62へと移動し、第1洗浄装置62において純水が噴射されることにより、対象物9が洗浄されて対象物9上のエッチング液が除去される(ステップS18)。
【0063】
対象物9の洗浄が終了した部位は、移動機構2により第1洗浄装置62から画像除去装置63へと移動し、画像除去装置63において剥離液が付与されることにより、対象物9上のトナー画像(すなわち、絶縁性基材93上に形成された配線パターン上のレジストパターン)が配線パターンから剥離されて除去される(ステップS19)。これにより、絶縁性基材93および絶縁性基材93上に銅にて形成された配線パターンを有するフレキシブル回路基板が形成される。
【0064】
対象物9のトナー画像が剥離された部位は、移動機構2により画像除去装置63から第2洗浄装置64へと移動し、第2洗浄装置64において純水が噴射されることにより、対象物9が洗浄されて対象物9上の剥離液が除去される(ステップS20)。そして、対象物9の洗浄が終了した部位は、移動機構2により第2洗浄装置64から搬出され、必要に応じて加熱や送風等により乾燥された後、移動機構2の対象物回収部205により巻き取られて回収される。これにより、複数のフレキシブル回路基板が連続した回路基板シートが形成される。
【0065】
以上に説明したように、パターン形成システム100では、移動機構2の対象物供給部203により保持されたロール状の対象物9が、画像形成装置1の転写位置へと供給されてトナー画像の転写および定着が行われ、さらに、エッチング装置61および画像除去装置63によりエッチングおよびトナー画像の除去が行われた後に対象物回収部205により回収されることにより、複数のフレキシブル回路基板となる回路基板シートを迅速に形成することができる。
【0066】
画像形成装置1では、エッチング耐性を有する湿式トナーにより感光ドラム31の外周面上に形成されたトナー画像を、感光ドラム31と対象物9の被転写面91との間に転写電圧を作用させることにより対象物9に転写し、転写されたトナー画像を対象物9上に定着させることによりレジストパターンが形成される。
【0067】
このように、レジストパターンとなるトナー画像を対象物9に静電転写することにより、対象物の全面に形成された感光性のレジスト膜にマスク等を介しての光の照射および現像を行うことによりレジストパターンを形成するプロキシミティ露光方式に比べ、マスク等の製造および保管に係るコストを削減してレジストパターンの形成に係るコストを低減することができる。さらには、レジストパターンに対応したマスク等を不要とすることにより、例えば、多品種のフレキシブル回路基板を少量ずつ生産する場合に、複数種類のレジストパターンの形成を低コストにて効率良く行うことができる。
【0068】
また、対象物の全面に形成された感光性のレジスト膜上における光ビームの走査および現像を行うことによりレジストパターンを形成する直描方式に比べ、レジストパターンを迅速に形成することができる。さらには、上記レジスト膜の感度は比較的低いため、直描方式ではレジスト膜の露光に高出力のレーザ光源が必要とされるが、画像形成装置1では、感光体312の感度が上記レジスト膜よりも高いため、感光体312にレジストパターンに対応するパターンを露光する潜像形成部33の出力を、直描方式のレーザ光源に比べて小さくすることができ、装置のコストを低減することができる。
【0069】
プロキシミティ露光方式や直描方式では、レジスト膜をある程度以上薄くする(例えば、厚さ5μm以下とする)ことが難しいため、後工程のエッチングにより形成される配線パターンの高精細化に限界があるが、画像形成装置1では、粒径が2μm以下の小さい湿式トナーにより形成したトナー画像をレジストパターンとすることにより、後工程のエッチングにより形成される配線パターンの更なる高精細化を実現することができる。
【0070】
また、画像形成装置1では、プロキシミティ露光方式や直描方式において必要とされるレジスト膜の形成工程、露光工程および現像工程に代えて、トナー画像の転写および定着工程のみによりレジストパターンを形成することができるため、レジストパターンの形成に要する時間を短縮することができる。これにより、エッチングによる配線パターンの形成において、レジストパターンの形成工程が他の工程よりも所要時間が長いボトルネックとなることを防止することができ、配線パターンの形成に係る一連の工程(すなわち、レジストパターンの形成工程やエッチング工程、レジストパターンの剥離工程等)を、パターン形成システム100のような一のシステムにて連続的に行うことができる。パターン形成システム100では、配線パターンを迅速かつ高精度に形成することができる。
【0071】
さらには、画像形成装置1では、対象物9へのトナー画像の転写を上述のように静電転写により行っているため、熱溶融転写等のように転写の際にトナー画像を溶融したり圧接する場合と比べて、転写時にトナー画像が乱れたり崩れることを確実に防止することができ、レジストパターンとして利用されるトナー画像を対象物9上に高精度に形成することができる。
【0072】
上述のように、画像形成装置1では、湿式トナーにて形成されたトナー画像上から湿式トナーと同極性の第1電位が第1電位付与部4により感光体312の外周面に付与され、第2電位付与部5により、対象物9の導電性の被転写面91が電気的に接地される(すなわち、被転写面91に接地電位が付与される)ことにより、感光体312と被転写面91との間に転写電圧が作用し、トナー画像が感光体312から対象物9の被転写面91に転写される。
【0073】
このように、画像形成装置1では、乾式トナーよりも粒径が小さい湿式トナーによりトナー画像を形成することにより、トナー画像上から感光体312の外周面に第1電位を付与することを可能とし、トナー画像の転写に利用される転写電圧を、対象物9に接地電位を付与しつつ感光体312への第1電位の付与により作用させることができる。これにより、感光体312と被転写面91との間の空間において転写電圧による剥離放電が発生した場合であっても、被転写面91の剥離放電が発生した部位の電位を接地電位のまま維持し、剥離放電の持続を防止することができる。また、対象物に付与された電荷がトナーへと移動することにより生じる転写抜け(すなわち、感光ドラム上のトナーが対象物へと転写されない現象、あるいは、対象物上に一旦転写されたトナーが感光ドラムへと戻ってしまう現象)の発生も防止することができる。その結果、剥離放電や転写抜けによるトナー画像の品質低下や破壊を防止して導電性の被転写面91に対するトナー画像の転写(すなわち、対象物9に対するトナー画像の形成)を安定して行うことができる。
【0074】
プロセスユニット3では、第1電位付与部4が、コロナ放電により発生したイオンを感光体312の外周面に付与するコロナ帯電機構とされることにより、感光体312に第1電位を容易に付与することができる。
【0075】
プロセスユニット3では、潜像形成部33により感光体312の外周面に静電潜像を形成し、現像部34により湿式トナーにて静電潜像を現像する電子写真法によりトナー画像を形成することにより、プロセスユニット3および画像形成装置1の構造を簡素化することができる。また、湿式トナーの粒径を2μm以下とすることにより、第1電位付与部4によるトナー画像上からの感光体312への第1電位の付与を確実かつ容易に実現することができる。さらには、湿式トナーにより形成されるレジストパターンを薄くすることができ、後工程のエッチングにおいて形成される配線パターンをさらに高精細化することができる。また、湿式トナーの主成分を酢酸ビニルとすることにより、レジストパターンのエッチング耐性を向上することができる。
【0076】
画像形成装置1では、第1電位付与部4および第2電位付与部5により付与される第1電位および第2電位は、上述の電位には必ずしも限定されない。例えば、対象物9の被転写面91は、必ずしも第2電位付与部5により電気的に接地される必要はなく、第2電位付与部5により接地電位に実質的に等しい第2電位が付与されていればよい。具体的には、第2電位の絶対値が、第1電位付与部4により感光体312に付与される第1電位の絶対値の5%以下とされていればよく、上述のように第1電位が+800Vである場合には、−40V以上+40V以下とされる。この場合であっても、剥離放電や転写抜けによるトナー画像の品質低下や破壊を防止して導電性の被転写面91に対するトナー画像の転写を安定して行うことができる。
【0077】
図5は、第1電位および第2電位を様々に変化させて第1電位および第2電位とトナー画像の品質(転写品質)および転写効率との関係を示す表である。図5に示すように、第1電位を、帯電器32により感光体312に付与される電位(+700V)よりも小さい+500Vとすると、第2電位を−200V〜−400Vと変化させて第1電位と第2電位との差(すなわち、転写電圧)を変更しても、剥離放電による放電模様や転写抜けが発生し、転写品質は良好とはならない。また、第1電位を、帯電器32により感光体312に付与される電位以上とした場合であっても、第2電位が−100Vや−200V等のように接地電位(0V)から大きく離れていると、転写品質は良好とはならない。
【0078】
これに対し、第1電位を、帯電器32により感光体312に付与される電位(+700V)以上とし、さらに、第2電位を接地電位とした場合は、転写品質が良好となる。ただし、第1電位が+900Vのように帯電器32により感光体312に付与される電位から大きく離れていると、やはり放電模様が発生する。したがって画像形成装置1では、第1電位を、帯電器32により感光体312に付与される電位(+700V)以上であって当該電位から大きく離れない範囲内である+700V以上+900V未満(より好ましくは、+700V以上+850V以下)とし、第2電位を接地電位(あるいは、接地電位と実質的に等しい電位)とすることにより、良好な転写品質を実現することができる。また、第1電位を+800Vとすることにより、転写効率を向上することもできる。なお、第1電位の好ましい範囲は、湿式トナーの種類や感光体312の材質、感光ドラム31の曲率半径等、様々な要因により変化し、例えば、湿式トナーの帯電量や感光体312と湿式トナーとの密着力等により、+400V程度でも良好な転写品質を得ることができる場合もある。
【0079】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るパターン形成システムについて説明する。図6は、第2の実施の形態に係るパターン形成システムの画像形成装置1aを示す図である。画像形成装置1aでは、中間転写体251を有する中間転写部25が設けられ、感光ドラム31上のトナー画像は中間転写体251を介して間接的に対象物9上に転写される。その他の構成は、図2に示す画像形成装置1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0080】
図6に示すように、中間転写体251は、誘電材料にて形成される平ベルト状の環状部材とされ、2つのローラ252a,252bに外接して設けられる。一方のローラ252aにはモータが接続され、モータが駆動されることにより、感光ドラム31上のトナー画像に当接しつつ中間転写体251が外周面に沿って循環移動する。また、他方のローラ252bには直流電源253が接続される。また、図2の画像形成装置1と比べて、第1電位付与部4が中間転写体の251の転写位置の直前に設けられ、中間転写体251に対向する対象物9の移動方向が反対向き((−Y)方向)になるという点でさらに相違している。
【0081】
画像形成装置1aでは、プロセスユニット3の帯電器32、潜像形成部33、現像部34等により感光体312上に形成されたトナー画像が、ローラ252bを介して中間転写体251に付与される電位により、中間転写体251上に転写される。すなわち、中間転写体251や中間転写体251を循環移動する機構を含む中間転写部25は、中間転写体251の外周面上に転写前のトナー画像を間接的に形成して保持するトナー画像保持部となっている。また、画像形成装置1aでは、中間転写体251の外周面と対象物9とが最も近接する転写位置の直前において、第1電位付与部4により、トナー画像上から所定の電位が中間転写体251の外周面におよそ均一に付与され、電位が付与された対象部位は対象物9に向かって送られる。
【0082】
画像形成装置1aでは、図2の画像形成装置1と同様に、対象物9の転写位置の部位が中間転写体251の転写位置の部位と同じ速度で同じ方向に移動する。そして、第2電位付与部5の接触子51により対象物9の被転写面91に接地電位が付与されることにより、転写位置において、湿式トナーに対象物9に向かう電気的力が作用し、中間転写体251上のトナー画像が対象物9上に高い精度にて転写される。
【0083】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るパターン形成システムについて説明する。第3の実施の形態に係るパターン形成システムでは、絶縁性基材であるガラス基板、および、絶縁性基材の一の主面全体に形成された導電層であるITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムすず)膜を備える板状の対象物に対する配線パターンの形成が行われる。図7は、第3の実施の形態に係るパターン形成システムの画像形成装置1bを示す図である。画像形成装置1bでは、図2に示す画像形成装置1の移動機構2に代えて、図7に示すように、移動機構2aが設けられる。その他の構成は図2に示す画像形成装置1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0084】
図7に示す画像形成装置1bでは、厚さ約0.7mmの絶縁性基材93であるガラス基板上に比抵抗が約10−6Ω・cm〜約10Ω・cmの導電層94であるITO膜(ITOインクの塗布等により形成される。)を有する対象物9aのITO膜表面である被転写面91に対して、第1の実施の形態と同様に、エッチング耐性を有する湿式トナーによりトナー画像が形成され、定着部52により被転写面91に定着されることによりレジストパターンが形成される。
【0085】
移動機構2aは、図7に示すように、対象物9aを吸着保持する保持部であるステージ21、定盤11上に設けられるとともにステージ21をY方向にスライドするスライド機構22、および、ステージ21による対象物9aの吸着保持を制御する吸着制御部23(後述の図8参照)を備える。
【0086】
図8は、ステージ21および吸着制御部23を示す平面図である。図8では、対象物9aを二点鎖線にて示している。図7および図8に示すように、ステージ21の対象物9aが載置される保持面210は、精度の高い平面となっており、保持面210にはそれぞれが対象物9aの搬送方向に垂直なX方向に伸びるとともに搬送方向に配列された複数の吸着要素である溝211が形成されている。
【0087】
ステージ21の(+X)側および(−X)側には、複数のチューブ212が取り付けられており、各溝211は対応する2つのチューブ212を介して吸着制御部23に接続され、吸着制御部23は図示省略の減圧ポンプに接続される。ステージ21では、減圧ポンプにより複数の溝211から空気が吸引されて対象物9aが保持面210上に吸着保持され、吸着制御部23により、各溝211による吸着が個別にON/OFF可能とされる。なお、実際には、チューブ212はステージ21の移動の妨げにならないように十分に長く、束ねられて曲げられている。
【0088】
図7に示す画像形成装置1bでは、対象物9aの全体がステージ21に吸着された場合に、転写位置におけるプロセスユニット3の感光体312の外周面と対象物9aの被転写面91との間に30μmないし100μm(好ましくは、40μm〜80μm)の設計上の間隙が生じるように感光ドラム31とステージ21とが位置決めされている。そして、後述するように、トナー画像の転写時にステージ21による吸着が部分的に解除されて対象物9aが図7に示すように感光ドラム31に電気的に引き寄せられ、対象物9aの転写位置の部位が30μmないし100μm(好ましくは、40μm〜80μm)だけ撓む。なお、本実施の形態では対象物9aの撓み量は50μmに設定されており、図7では、対象物9aの撓み量を実際よりも大きく図示している。
【0089】
図9は移動機構2aを示す側面図であり、図7中の(−Y)側から(+Y)方向を向いて見た様子を示している。スライド機構22は、定盤11上において、それぞれがY方向に伸びる1対のガイドレール231を有し、ステージ21には各ガイドレール231に対向する位置にスライダ232が設けられる。各スライダ232にはエア供給部233から高圧のエアが供給されてスライダ232がガイドレール231に非接触にて係合し、ステージ21がY方向に移動可能に支持される。また、スライド機構22はリニアモータ24をさらに有し、リニアモータ24の固定体241は定盤11上に固定され、移動体242はステージ21に取り付けられる。そして、リニアモータ24を駆動することにより、ステージ21が対象物9aと共にY方向に滑らかに移動する。
【0090】
図7に示す電位付与部5は、第1の実施の形態と同様に、転写位置の(+Y)側および(−Y)側にそれぞれ配置される2つの接触子51を備え、接触子51は、導電性材料にて形成されるブラシを有する。図8に示すように、(+Y)側および(−Y)側の接触子51は、ステージ21の(−X)側に配置されており、各接触子51は図示省略の支持部材により支持される。
【0091】
図7に示す接触子51は対象物9aの被転写面91に直接当接する。実際には、対象物9aは図8中の(−Y)側から(+Y)方向に向かって移動するため、対象物9aの(+Y)側の端部が転写位置に位置する間は(−Y)側の接触子51が対象物9aの被転写面91に当接し、対象物9aの(−Y)側の端部が転写位置に位置する間は(+Y)側の接触子51が対象物9aの被転写面91に当接し、トナーの転写時において(+Y)側および(−Y)側の接触子51の少なくとも一方が被転写面91に常時当接する。図7に示すように、各接触子51の電極は電気的に接地されているため、対象物9aの被転写面91も電気的に接地される。換言すれば、第2電位付与部5の接触子51により、対象物9aの被転写面91に接地電位である第2電位が付与される。
【0092】
画像形成装置1bによる対象物9aへのトナー画像の形成の流れは、第1の実施の形態におけるトナー画像の形成の流れ(図3参照)とほぼ同様である。画像形成装置1bでは、図3中のステップS15におけるトナー画像の転写の際に、感光体312の回転(すなわち、感光体312上の対象部位の移動)および対象物9aの(+Y)方向への移動に伴って吸着制御部23(図8参照)が制御されることにより、ステージ21の複数の溝211のうち転写位置に位置する溝211(正確には、転写位置から(±Y)方向に一定の距離の範囲内に位置する複数の溝211)による吸着が順次解除され、対象物9aの転写位置の部位が、感光ドラム31の外周面に向かって撓むことが可能な状態とされる。その結果、感光ドラム31と対象物9aとの間に作用する転写電圧に起因する電気的吸引力により、対象物9aの転写位置の部位が感光ドラム31に向かって撓み、対象物9aの被転写面91と感光体312とが湿式トナーを挟んで密着する。吸着制御部23では、吸着の部分的な解除を高速に行うために、吸着を解除する溝211に瞬間的にブローが行われてもよい。
【0093】
そして、対象物9aの転写位置の部位が感光ドラム31の外周面の転写位置の部位と同じ速度にて同じ方向に移動することにより、感光体312の対象部位上のプラスに帯電したトナー画像が、対象物9aの被転写面91に順次転写される。なお、対象物9aの転写位置を通り過ぎた部位は、ステージ21の溝211により再び吸着保持される。これにより、対象物9aの保持面210上における位置精度を保ちつつ対象物9aの転写位置の部位のみを撓ませることができる。
【0094】
画像形成装置1bでは、第1の実施の形態と同様に、エッチング耐性を有する湿式トナーにより感光ドラム31の外周面上に形成されたトナー画像を、静電転写により対象物9aに転写することにより、レジストパターンとして利用されるトナー画像を対象物9a上に高精度かつ迅速に、さらには、低コストにて形成することができる。また、転写されたトナー画像を対象物9a上に定着させることにより、レジストパターンを迅速に形成することができる。
【0095】
画像形成装置1bでは、また、第1の実施の形態と同様に、トナー画像上から湿式トナーと同極性の第1電位が第1電位付与部4により感光体312の外周面に付与され、第2電位付与部5により対象物9aの導電性の被転写面91に接地電位が付与されることにより、静電転写によるトナー画像の転写が行われる際に、剥離放電や転写抜けによるトナー画像の品質低下や破壊を防止して導電性の被転写面91に対するトナー画像の転写を安定して行うことができる。
【0096】
第3の実施の形態に係る画像形成装置1bでは、特に、転写電圧に起因する電気的吸引力により対象物9aを感光体312側へと撓ませつつトナー画像が転写されることにより、メカニカルな圧力を与えることなく電気的吸引力でトナー画像と対象物9aとを接触させる(または、ほぼ接触しているとみなすことができる程度に実質的に接触させる)ことができる。その結果、トナー画像に不必要に強い力が作用してしまうことを防止しつつ、対象物9aのうねりの影響を防止することができる力の大きさでトナー画像と対象物9aとを接触させることができ、高い精度にてトナー画像を転写することができる。
【0097】
第3の実施の形態に係るパターン形成システムでは、第1の実施の形態と同様に、エッチング装置、第1洗浄装置、画像除去装置および第2洗浄装置が設けられる。これらの装置ではそれぞれ、対象物9aを保持するステージ、および、ステージを対象物9aの被転写面91に平行に移動するステージ移動機構が設けられ、また、対象物9aを一の装置から搬出して他の装置へと搬入する搬送機構も設けられる。
【0098】
第3の実施の形態に係るパターン形成システムでは、当該搬送機構により、対象物9aが画像形成装置1b、エッチング装置、第1洗浄装置、画像除去装置および第2洗浄装置に順次搬入されて処理されることにより、導電層94であるITO膜のうち、トナー画像により形成されたレジストパターンから露出している部位が除去され、絶縁性基材93であるガラス基板上にITO電極やITO配線等の配線パターンが形成される。第3の実施の形態に係るパターン形成システムでも、第1の実施の形態と同様に、回路基板を迅速に形成することができる。
【0099】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0100】
例えば、第1および第3の実施の形態にかかる画像形成装置では、感光ドラム31に代えて平ベルト状の感光ベルトが利用されてもよく、第2の実施の形態に係る画像形成装置1aでは、中間転写体251がドラム状とされてもよい。
【0101】
第1電位付与部4は、コロナ帯電機構以外の他の構成とされてもよい。例えば、第1および第3の実施の形態に係る画像形成装置では、感光ドラム31の回転軸310と同じ方向を向く中心軸を中心として感光ドラム31の回転方向とは反対向きに回転する円筒状の導電性スポンジに電位を付与し、導電性スポンジを感光体312の外周面に接触させることにより、トナー画像上から感光体312の外周面に第1電位が付与されてもよい。また、第2の実施の形態に係る画像形成装置1aでは、同様の導電性スポンジにより、中間転写体251の外周面に第1電位が付与されてもよい。
【0102】
潜像形成部33により形成される静電潜像は、ネガ型であってもポジ型であってもよい。また、プロセスユニット3では、感光体312に対するイオンフローにより、直接的に静電潜像が形成されてもよい。現像部34では、マイナスに帯電した湿式トナーを含む液体トナーが感光体312に付与されてもよく、この場合、帯電器32および第1電位付与部4により感光体312(または、中間転写体251)に付与される電位も同極性のマイナスとされる。
【0103】
上記実施の形態に係る画像形成装置では、第2電位付与部5の接触子51は、ブラシ以外に例えば、バネ材や電位付与ローラ等を利用して被転写面91に電位を付与するものであってもよい。
【0104】
画像形成装置では、第2電位付与部5により被転写面91に付与される第2電位は実質的に接地電位に等しくされるが、例えば、湿式トナーの種類や感光体312の材質、感光ドラム31の曲率半径等を適宜変更することにより、被転写面91に対するトナー画像の転写を安定して行うことができるのであれば、第2電位は接地電位から十分に離れた電位とされてもよい。また、第1電位付与部4による感光体312への第1電位の付与も省略されてよい。
【0105】
画像形成装置の定着部52では、例えば、トナー画像に対して定着用スプレーにより定着液を付与することによりトナー画像の定着が行われてもよく、また、加熱ローラをトナー画像に接触させることによりトナー画像の定着が行われてもよい。ただし、高精度なレジストパターンを形成するという観点からは、上記実施の形態のような非接触加熱による定着、または、定着液の付与による非接触定着がより好ましい。なお、上記実施の形態に係るパターン形成システムでは、画像形成装置の定着部52に代えて、画像形成装置とエッチング装置61との間に画像形成装置とは独立した定着装置が設けられてもよい。
【0106】
上記実施の形態に係るパターン形成システムの画像形成装置は、対象物にトナー画像を形成する装置として、エッチング装置61、第1洗浄装置62、画像除去装置63および第2洗浄装置64とは別に単体で使用されてもよい。例えば、第1および第2の実施の形態に係る画像形成装置が単体で使用される場合、移動機構2の対象物供給部203により保持されたロール状の対象物9が転写位置へと供給され、トナー画像の転写および定着が行われた後に対象物回収部205により回収されることにより、複数のフレキシブル回路基板となる対象物9に対するレジストパターンの形成を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施の形態に係るパターン形成システムの構成を示す図である。
【図2】画像形成装置の構成を示す図である。
【図3】対象物上に配線パターンを形成する処理の流れを示す図である。
【図4.A】感光体表面の電位分布を示す図である。
【図4.B】感光体表面の電位分布を示す図である。
【図4.C】感光体表面の電位分布を示す図である。
【図5】第1電位および第2電位とトナー画像の転写品質および転写効率との関係を示す表である。
【図6】第2の実施の形態に係る画像形成装置を示す図である。
【図7】第3の実施の形態に係る画像形成装置を示す図である。
【図8】ステージおよび吸着制御部を示す平面図である。
【図9】移動機構を示す側面図である。
【符号の説明】
【0108】
1,1a,1b 画像形成装置
2,2a 移動機構
4 第1電位付与部
5 第2電位付与部
9,9a 対象物
25 中間転写部
31 感光ドラム
33 潜像形成部
34 現像部
52 定着部
61 エッチング装置
63 画像除去装置
91 被転写面
92 湿式トナー
93 絶縁性基材
94 導電層
100 パターン形成システム
203 対象物供給部
205 対象物回収部
S11〜S20 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状またはフィルム状の対象物上にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
エッチング耐性を有する湿式トナーによる転写前のトナー画像が外周面上に形成される円筒ドラム状または平ベルト状の環状部材を前記外周面に沿って循環移動するトナー画像保持部と、
板状またはフィルム状の絶縁性基材および前記絶縁性基材の一の主面に形成された比抵抗が10Ω・cm以下の導電層を有する対象物を保持し、前記導電層の被転写面を所定の転写位置において前記外周面に最も接近させつつ、前記対象物を前記転写位置における前記環状部材の部位と同じ速度にて前記環状部材の前記部位の進行方向と同じ方向であって前記被転写面に沿う移動方向に移動する移動機構と、
前記転写位置において前記環状部材と前記対象物の前記被転写面との間に所定の転写電圧を作用させて前記トナー画像を前記対象物に転写するトナー画像転写部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記トナー画像転写部が、
前記循環移動の前記転写位置よりも手前において前記トナー画像上から前記環状部材の前記外周面に前記湿式トナーの帯電極性と同じ極性の第1電位を付与する第1電位付与部と、
前記被転写面に接地電位に実質的に等しい第2電位を付与することにより、前記転写位置において前記環状部材と前記被転写面との間に前記転写電圧を作用させる第2電位付与部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記第2電位の絶対値が、前記第1電位の絶対値の5%以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記第2電位が接地電位であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記湿式トナーの粒径が2μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記湿式トナーの主成分が酢酸ビニルであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記環状部材の前記外周面に静電潜像を形成する潜像形成部と、
前記湿式トナーにより前記静電潜像を現像して前記トナー画像を形成する現像部と、
をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記対象物が、可撓性を有するフレキシブル基板であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置であって、
前記移動機構による前記対象物の前記移動方向において前記転写位置よりも下流側に配置され、前記トナー画像を前記被転写面に定着させる定着部をさらに備え、
前記移動機構が、
前記トナー画像が転写される前のロール状の前記対象物を保持するとともに前記対象物を前記転写位置へと供給する対象物供給部と、
前記移動機構による前記対象物の前記移動方向において前記定着部よりも下流側に配置され、前記トナー画像が定着された前記対象物を巻き取って回収する対象物回収部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
対象物上に配線パターンを形成するパターン形成システムであって、
請求項9に記載の画像形成装置と、
前記対象物の前記移動方向において前記画像形成装置の前記定着部と前記対象物回収部との間に配置され、前記導電層の前記トナー画像から露出している部位にエッチングを施すエッチング装置と、
を備えることを特徴とするパターン形成システム。
【請求項11】
請求項10に記載のパターン形成システムであって、
前記対象物の前記移動方向において前記エッチング装置と前記対象物回収部との間に配置され、前記トナー画像を前記対象物上から除去する画像除去装置をさらに備えることを特徴とするパターン形成システム。
【請求項12】
板状またはフィルム状の対象物上にトナー画像を形成する画像形成方法であって、
a)外周面に沿って循環移動する円筒ドラム状または平ベルト状の環状部材の前記外周面上にエッチング耐性を有する湿式トナーによる転写前のトナー画像を形成する工程と、
b)板状またはフィルム状の絶縁性基材および前記絶縁性基材の一の主面に形成された比抵抗が10Ω・cm以下の導電層を有する対象物を保持し、前記導電層の被転写面を所定の転写位置において前記外周面に最も接近させつつ、前記対象物を前記転写位置における前記環状部材の部位と同じ速度にて前記環状部材の前記部位の進行方向と同じ方向であって前記被転写面に沿う移動方向に移動する工程と、
c)前記b)工程と並行して、前記転写位置において前記環状部材と前記対象物の前記被転写面との間に所定の転写電圧を作用させて前記トナー画像を前記対象物に転写する工程と、
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成方法であって、
前記c)工程が、
d)前記循環移動の前記転写位置よりも手前において前記トナー画像上から前記環状部材の前記外周面に前記湿式トナーの帯電極性と同じ極性の第1電位を付与する工程と、
e)前記d)工程と並行して、前記被転写面に接地電位に実質的に等しい第2電位を付与することにより、前記転写位置において前記環状部材と前記被転写面との間に前記転写電圧を作用させる工程と、
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
請求項13に記載の画像形成方法であって、
前記第2電位の絶対値が、前記第1電位の絶対値の5%以下であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
請求項14に記載の画像形成方法であって、
前記第2電位が接地電位であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれかに記載の画像形成方法であって、
前記湿式トナーの粒径が2μm以下であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
請求項12ないし16のいずれかに記載の画像形成方法であって、
前記湿式トナーの主成分が酢酸ビニルであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項18】
対象物上に配線パターンを形成するパターン形成方法であって、
請求項12ないし17のいずれかに記載の画像形成方法の前記a)工程ないし前記c)工程と、
f)前記c)工程よりも後に、前記被転写面に転写された前記トナー画像を定着させる工程と、
g)前記f)工程よりも後に、前記導電層の前記トナー画像から露出している部位にエッチングを施す工程と、
を備えることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項19】
請求項18に記載のパターン形成方法であって、
h)前記g)工程よりも後に、前記トナー画像を前記対象物上から除去する工程をさらに備えることを特徴とするパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4.A】
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【図4.B】
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【図4.C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−270398(P2008−270398A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109018(P2007−109018)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】