画像形成装置、ヘッドメンテナンス方法
【課題】メンテナンス動作後のヘッドの待ち時間を低減した画像形成装置及びヘッドメンテナンス方法の提供。
【解決手段】ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスが行われるときにヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域を往復動するメンテナンス手段70を用い、メンテナンス手段70が前記領域を復動するときにヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う時間を、メンテナンス手段70が前記領域を復動するときにヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う時間よりも少なくした画像形成装置及びヘッドメンテナンス方法。
【解決手段】ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスが行われるときにヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域を往復動するメンテナンス手段70を用い、メンテナンス手段70が前記領域を復動するときにヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う時間を、メンテナンス手段70が前記領域を復動するときにヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う時間よりも少なくした画像形成装置及びヘッドメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドによりインク等の記録液を吐出して画像形成を行うインクジェット方式の画像形成装置であってヘッドのメンテナンスを行う画像形成装置及びこの画像形成装置におけるヘッドメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ピエゾ方式に代表される可動アクチュエータ方式、サーマル方式に代表される加熱膜沸騰方式等により、複数の微小なノズルからインク等の記録液を液滴化して吐出するヘッドを備え、インクジェット記録を行うインクジェットプリンタ等のインクジェット方式の画像形成装置が知られている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献5〕参照)。
【0003】
このような画像形成装置では、記録液の乾燥によるノズルの詰まりや記録液の吐出量低下を防止するために、非駆動時のヘッドに対するキャップが設けられている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献5〕参照)ことが多いが、キャップをしていても、ノズルの詰まりや吐出量の低下を完全に防止することができない等の理由により、記録液を、画像形成時以外に、キャップに吐出させる、いわゆる空吐出や、ヘッドからの記録液の強制排出などのメンテナンスを行い、ノズルによる記録液の吐出性能を維持する技術が提案されている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献5〕参照)。
【0004】
かかる技術においては、空吐出等によるメンテナンスによってヘッドからキャップに排出された記録液をキャップからさらに排出させる機構を要する(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献5〕参照)ものの、ヘッド及びキャップが1つずつである構成(たとえば、〔特許文献1〕参照)においては、それほど構造が複雑ではない。
【0005】
ところが、ヘッドが複数ある場合など、キャップを複数備えた構成(たとえば、〔特許文献2〕ないし〔特許文献5〕参照)においては、各キャップに、キャップから記録液を排出させる機構を設けると(たとえば、〔特許文献2〕、〔特許文献3〕参照)、構造が複雑になり、価格も上昇してしまう。
【0006】
そこで、複数のキャップのうちの一部のキャップにかかる機構を設け、キャップを移動させ、キャップに対向した部分のヘッドから記録液を排出させるなどのメンテナンスを行なう技術が提案されており(たとえば、〔特許文献3〕ないし〔特許文献5〕参照)、さらには、このような技術において、かかるメンテナンス動作を、キャップを一方向に移動させながら順次連続的に行うようにした技術が提案されている(たとえば、〔特許文献5〕参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、キャップを移動させながらメンテナンス動作を順次行うと、ヘッドの位置によって、メンテナンス動作終了後、記録液の次の吐出動作までの待機時間が異なる。すなわち、たとえば、ヘッドのうち、メンテナンス動作が最初に行われた部分とメンテナンス動作が最後に行われた部分とでは、前者の部分の方が、次の画像形成開始までの待機時間が長くなり、記録液の粘性が高くなって、記録液の吐出性能が低下し得る。
【0008】
本発明は、メンテナンス動作後のヘッドの待ち時間を低減した画像形成装置及びヘッドメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を有し、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくした画像形成装置にある。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出される記録液を受ける記録液受け部材を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量よりも少なくしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出されるべき必要吐出量に一致することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項2ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、画像形成が行われるときにヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段を有し、このヘッド駆動手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドを駆動してヘッドから記録液を吐出させることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項2ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、ヘッドに向けて記録液を圧送する圧送手段を有し、この圧送手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに向けて記録液を圧送してヘッドから記録液を排出させることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときに、ヘッドから記録液を吸引してヘッドのメンテナンスを行うための吸引手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量よりも少なくしたことを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときに同吸引手段によりヘッドから吸引されるべき必要吸引量に一致することを特徴とする。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項2ないし9の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を拭ってヘッドをクリーニングするワイピング部材を有することを特徴とする。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項2ないし10の何れか1つに記載の画像形成装置に従属する画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を排出する排出経路を有することを特徴とする。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし11の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を往復動した後、ヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段により、前記メンテナンス手段が前記領域を往動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量よりも、前記メンテナンス手段が前記領域を復動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量が多くなるように、ヘッドを駆動して記録液を吐出させることを特徴とする。
【0021】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、ヘッドの非駆動時にヘッドをキャップするキャップ部を有することを特徴とする。
【0022】
請求項14記載の発明は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を用い、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくしてヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス方法にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を有し、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくした画像形成装置にあるので、メンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0024】
前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出される記録液を受ける記録液受け部材を有することとすれば、記録液をヘッドから吐出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0025】
前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量よりも少なくしたこととすれば、記録液をヘッドから吐出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を、メンテナンス手段の往動時と復動時とにおいてヘッドから吐出される記録液の量の調整を行うことで低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0026】
前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出されるべき必要吐出量に一致することとすれば、記録液をヘッドから吐出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を、メンテナンス手段の往動時と復動時とにおいてヘッドから吐出される記録液の量の和が必要吐出量となるように保ちつつこれらの量の調整を行うことで低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0027】
画像形成が行われるときにヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段を有し、このヘッド駆動手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドを駆動してヘッドから記録液を吐出させることとすれば、ヘッド駆動手段をメンテナンスにも用いることでヘッドから記録液を吐出させるための特別な機構を設けることなく記録液をヘッドから吐出させ、この、記録液をヘッドから吐出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0028】
ヘッドに向けて記録液を圧送する圧送手段を有し、この圧送手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに向けて記録液を圧送してヘッドから記録液を排出させることとすれば、圧送手段をメンテナンスにも用いることでヘッドから記録液を排出させるための特別な機構を設けることなく記録液をヘッドから排出させ、この、記録液をヘッドから排出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0029】
前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときに、ヘッドから記録液を吸引してヘッドのメンテナンスを行うための吸引手段を有することとすれば、吸引手段によってヘッドから記録液を吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0030】
前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量よりも少なくしたこととすれば、吸引手段によってヘッドから記録液を吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を、メンテナンス手段の往動時と復動時とにおいてヘッドから吸引する記録液の量の調整を行うことで低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0031】
前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときに同吸引手段によりヘッドから吸引されるべき必要吸引量に一致することとすれば、吸引手段によってヘッドから記録液を吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を、メンテナンス手段の往動時と復動時とにおいてヘッドから吸引する記録液の量の和が必要吸引量となるように保ちつつこれらの量の調整を行うことで低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0032】
前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を拭ってヘッドをクリーニングするワイピング部材を有することとすれば、記録液をヘッドから吐出あるいは吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドから流出した記録液をクリーニングするとともに、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れをより良好に低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0033】
前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を排出する排出経路を有することとすれば、記録液をヘッドから吐出あるいは吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドから流出した記録液を排出し、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0034】
前記メンテナンス手段が前記領域を往復動した後、ヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段により、前記メンテナンス手段が前記領域を往動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量よりも、前記メンテナンス手段が前記領域を復動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量が多くなるように、ヘッドを駆動して記録液を吐出させることとすれば、メンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減するとともに、メンテナンス後にヘッドからかかる吐出量で記録液を吐出させることでかかる待ち時間に起因する各ヘッドにおける記録液の状態の差を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れをより良好に低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0035】
前記メンテナンス手段は、ヘッドの非駆動時にヘッドをキャップするキャップ部を有することとすれば、ヘッドの非駆動時における記録液の状態変化を抑制できるとともに、メンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0036】
本発明は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を用い、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくしてヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス方法にあるので、メンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得るヘッドメンテナンス方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図であって、すべてのヘッドが記録位置を占めた状態を示している。
【図2】図1に示したヘッドのすべてが離間位置を占めた状態を示す概略正面図である。
【図3】図1に示した画像形成装置の制御ブロック図である。
【図4】図1に示したヘッドの一部が記録位置を占め、ヘッドの他の一部がキャップされた状態を示す概略正面図である。
【図5】図1に示したヘッドのすべてがキャップされた状態を示す概略正面図である。
【図6】図1に示した画像形成装置に備えられたヘッドのメンテナンス時の様子を示した概略正面図である。
【図7】図1に示した画像形成装置に備えられたメンテナンス手段の概略正面図である。
【図8】図1に示した画像形成装置に備えられたキャップ手段の概略正面図である。
【図9】図1に示した画像形成装置において画像形成後、ヘッドをキャップするときのフローチャートである。
【図10】図1に示した画像形成装置においてヘッドのメンテナンスを行なうときのフローチャートである。
【図11】本発明を適用したメンテナンス方法により、メンテナンス後の待ち時間及びこの待ち時間の差が低減されていることを示した模式図である。
【図12】ヘッド及びメンテナンス手段の他の構成例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、インクジェットプリンタとしてのプリンタであってフルカラーの画像形成を行うことができるようになっている。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。
【0039】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体である被記録材たる記録体としての用紙Sの片面に画像形成可能な片面画像形成装置であるが、用紙Sの両面に画像形成可能な両面画像形成装置であってもよい。
【0040】
画像形成装置100は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な、当該色のインクとしての印字液である記録液を液滴の状態で吐出する記録液吐出体としてのインクヘッドである記録ヘッドとしてのヘッド61BK、61M、61C、61Yを有している。
【0041】
ヘッド61BKは、単体で、これを保持したキャリッジ37Aとともに、ブラックの記録液の液滴を吐出するブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成している。ヘッド61M、61C、61Yは、これらを一体に保持したキャリッジ37Bとともに、マゼンタ、シアン、イエローのカラー記録液の液滴を吐出するカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成している。ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aは、ブラックの記録液を吐出するノズル群であるBK群を有している。カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bは、マゼンタ、シアン、イエローの記録液をそれぞれ吐出するC1群、C2群、C3群を有している。
【0042】
ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aとカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bとは、独立して構成されている。ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aとカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bとは、画像形成ユニット61を構成している。
【0043】
ヘッド61BK、61M、61C、61Yは、画像形成装置100の本体99の略中央部に配設され用紙Sを同図において左方に搬送する搬送ユニット10の上面に対向する位置に配設されている。ヘッド61BK、61M、61C、61Yは、搬送ユニット10による用紙Sの搬送方向である図1において反時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。このように、画像形成装置100は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yを用紙Sの搬送経路に対向させA1方向に並設したタンデム構造となっている。同図において各符号の数字の後に付されたBK、M、C、Yは、ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー用の部材であることを示している。
【0044】
ヘッド61BK、61M、61C、61Yはそれぞれ、ブラック(BK)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の画像を形成するための記録液吐出装置であるインク吐出装置60BK、60M、60C、60Yに備えられている。
【0045】
用紙Sは、搬送ユニット10により搬送される過程で、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域で、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yからブラック、マゼンタ、シアン、イエローの記録液が順次重ね合わされる態様で吐出されて付与され、その表面上に画像が形成されるようになっている。
【0046】
ヘッド61BK、61M、61C、61Yによる用紙Sに対する記録液の吐出すなわち付与は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色の画像領域が用紙S上の同じ位置に重なるよう、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。画像形成装置100は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出された記録液を用紙Sに直接塗布して画像形成を行う直接方式の画像形成装置となっている。
【0047】
画像形成装置100は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yをそれぞれ備えたインク吐出装置60BK、60M、60C、60Yと、搬送ユニット10と、用紙Sを多数枚積載可能であり積載した用紙Sのうち最上位の用紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する給紙ユニット20と、搬送ユニット10によって搬送されてきた画像形成済み言い換えるとプリント済みの用紙Sを多数積載可能な排紙台25とを有している。
【0048】
画像形成装置100はまた、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスが行われるときにヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域を、同図に示している位置を起点として往復動するメンテナンス手段70と、メンテナンス手段70をクリーニングするクリーナーユニット71と、ヘッド61M、61C、61Yの非駆動時にヘッド61M、61C、61Yをキャップしてヘッド61M、61C、61Yないしカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bの維持すなわち保湿を行う維持機構であるキャップ手段72とを有している。メンテナンス手段70は、かかる往復動時にブラック印字液滴吐出ヘッド群61A及びカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bのメンテナンス言い換えると回復を行う回復機構として機能するほか、ヘッド61BKの非駆動時にヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKないしブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aの維持すなわち保湿を行う維持機構として機能するため、合わせて維持回復機構として機能する。
【0049】
画像形成装置100はまた、キャリッジ37Aとキャリッジ37Bとを独立して上下方向に駆動し、同図に示した搬送ユニット10に近接した位置すなわち記録液を吐出する印刷位置である記録位置と、図2に示すように搬送ユニット10から離間させた位置である離間位置との間で移動させる、図3に示す画像形成ユニット移動モータ42を備えた図示しない移動機構を有している。この離間位置は、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aについてはメンテナンス手段70により維持を行う維持位置であり次の動作まで待機する待機位置であるとともにメンテナンス手段70等により回復言い換えるとメンテナンスを行う回復位置であるメンテナンス位置であり、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bについてはキャップ手段72により維持を行う維持位置であり次の動作まで待機する待機位置であるとともにメンテナンス手段70等により回復言い換えるとメンテナンスを行う回復位置であるメンテナンス位置である。
【0050】
画像形成装置100はまた、図3に示すように、画像形成装置100の動作全般を制御するCPU46、メモリとしてのROM51、RAM52等を含む制御手段としての制御部40と、画像形成装置100の動作の設定等を行う操作パネル41とを有している。
【0051】
なお、図1に示した、キャリッジ37Aとキャリッジ37Bとがともに下方に位置し、ヘッド61BK、61M、61C、61Yがすべて搬送ユニット10に近接した記録位置を占めるのは、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのすべてから記録液を吐出して画像形成を行うカラー画像形成時であり、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのうちヘッド61BKのみから記録液を吐出して画像形成を行うモノクロ画像形成時言い換えるとブラック画像形成時には、図4に示すように、キャリッジ37Aのみが下方に位置しヘッド61BKのみが搬送ユニット10に近接した記録位置を占めるとともに、キャリッジ37Bは上方に位置しヘッド61M、61C、61Yが搬送ユニット10から離間した離間位置を占める。この状態では、同図に示されているように、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yは、キャップ手段72によってキャップされ、ヘッド61M、61C、61Yの維持が行われる。
【0052】
また、図2に示したように、キャリッジ37Aとキャリッジ37Bとがともに上方に位置し、ヘッド61BK、61M、61C、61Yがすべて搬送ユニット10から離間した離間位置を占めた場合においては、図5に示すように、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BKをメンテナンス手段70でキャップして維持するとともに、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yをキャップ手段72によってキャップして維持する状態となる場合がある他、図6に示すように、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yのキャップ手段72によるキャップを行わない状態としながら、メンテナンス手段70を、ヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域を往復動させ、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BK及びカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yをメンテナンスする状態となる場合がある。この図6に示した状態については後に詳しく述べる。
【0053】
図1に示すように、搬送ユニット10は、A1方向に回転する無端状の搬送ベルト11と、搬送ベルト11を巻き掛けられた搬送駆動ローラとしての駆動ローラ12と、駆動ローラ12とともに搬送ベルト11を巻き掛けられた搬送従動ローラとしての従動ローラ13と、搬送ベルト11のうちヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向した上面部の裏面側に設けられた裏面側支持部材14と、裏面側支持部材14の下方に位置しヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域に設けられたインク受け15と、駆動ローラ12及び従動ローラに掛け回された搬送ベルト11の下方に設けられ搬送ベルト11に用紙Sを吸着させるための吸引手段16と、駆動ローラ12を回転駆動する駆動手段としての図4に示す搬送ベルト移動モータ45等とを有している。
【0054】
搬送ベルト移動モータ45は搬送ベルト11がA1方向に回転し周回移動するように駆動ローラ12を回転駆動する。従動ローラ13は駆動ローラ12によってA1方向に回転駆動される搬送ベルト11に従動回転する。
【0055】
搬送ベルト11には図示しない多数の孔が形成されており、後述するように、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから、搬送ベルト11に向けて記録液が吐出されたとき、かかる記録液をかかる孔から透過させる。搬送ベルト11を透過した記録液は、インク受け15によって受け止められる。
【0056】
吸引手段16は、回転により負圧を発生させる吸引ファン43と、吸引ファン43を回転駆動する図3に示す吸引ファンモータ44とを有し、搬送ベルト11に形成された孔を利用して、用紙Sを搬送ベルト11に吸着する。この点、かかる孔は、吸引ファン16による吸引用の吸引孔としても機能する。用紙Sはこのようにして搬送ベルト11に吸い付けられた状態で、搬送ベルト11のA1方向への周回移動により、同図における左方に搬送される。
【0057】
裏面側支持部材14は、搬送ベルト11を下方から支持し、吸引ファン16によって形成される負圧によって搬送ベルト11が撓むことを防止している。裏面側支持部材14は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから搬送ベルト11に向けて吐出された記録液がインク受け15に進入することを許容するように構成されている。
なお、搬送ユニット10は、用紙Sに付着された記録液を用紙Sに定着し記録液によって形成された画像を用紙Sに定着させるための定着手段を備えていてもよい。
【0058】
給紙ユニット20は、用紙Sを多数枚積載可能な給紙トレイ21と、給紙トレイ21に積載された用紙Sのうち最上位の用紙Sのみを他の用紙Sから分離する分離ローラ22と、分離ローラ22により一枚だけ分離された用紙Sを搬送ユニット10に向けて給送する給紙ローラ23と、給紙ローラ23を、ヘッド61BK、61M、61C、61Yにおける記録液の吐出タイミングに合わせるように回転駆動し用紙Sを給送させる図示しない駆動手段としてのモータ等とを有している。
【0059】
排紙台25は、画像形成済みの用紙Sを多数積載可能な排紙トレイ26と、用紙Sの幅方向すなわち同図における紙面に垂直な方向において用紙Sを規制する一対のサイドフェンス27と、用紙Sの先端すなわち同図における左側の端部を規制するエンドフェンス28とを有している。
【0060】
キャリッジ37A、37Bは、ヘッド61BK、あるいはヘッド61M、61C、61Yに劣化等が生じたときにこれらが新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、ヘッド61BK、あるいはヘッド61M、61C、61Yと一体で、本体99に対して着脱可能となっている。各ヘッド61BK、61M、61C、61Yもそれぞれ、劣化等が生じたときに新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、独立してキャリッジ37Aあるいはキャリッジ37Bに対して着脱可能となっている。これによって、交換作業、メンテナンス作業が容易化されている。
【0061】
インク吐出装置60BK、60M、60C、60Yは、用いる記録液の色が異なるものの、その余の点では互いに略同様の構成となっている。インク吐出装置60BK、60M、60C、60Yはそれぞれ、ヘッド61BK、61M、61C、61Yをそれぞれ、A1方向である副走査方向に垂直な、用紙Pの幅方向である主走査方向に延在した状態で備えている。ヘッド61BK、61M、61C、61Yはそれぞれ、記録液を液滴化して吐出する図示しない多数のノズルを主走査方向にライン状に備えており、ヘッド61BK、61M、61C、61Yはライン型記録ヘッドとなっているとともに、インク吐出装置60BK、60M、60C、60Y、画像形成装置100はヘッド固定式のフルライン型となっており、画像形成装置100はライン型画像形成装置であるライン型インクジェット記録装置となっている。なお、千鳥状に配列されたノズルもライン状に配列されているものとする。
【0062】
インク吐出装置60BK、60M、60C、60Yは、記録液供給系であるインク供給系として、ヘッド61BK、61M、61C、61Yに供給される当該色の記録液を収容したメインタンクとしての記録液カートリッジであるインクカートリッジ81BK、81M、81C、81Yと、インクカートリッジ81BK、81M、81C、81Y内に収容された記録液を各ヘッド61BK、61M、61C、61Yに向けて圧送し給送するための供給ポンプとしてのポンプ82BK、82M、82C、82Yと、ポンプ82BK、82M、82C、82Yによってインクカートリッジ81BK、81M、81C、81Y側から供給されてきた記録液をヘッド61BK、61M、61C、61Yに供給する記録液供給部であるサブタンクたるインク供給部としてのディストリビュータである図示しないディストリビュータタンクとを有している。
【0063】
インクカートリッジ81BK、81M、81C、81Yは、内部の記録液が消費されて残り少なくなったときあるいはなくなったとき等に新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、本体99に対して着脱可能となっている。
【0064】
ポンプ82BK、82M、82C、82Yは、制御部40によって作動を制御される。具体的には、インク量検知センサによってディストリビュータタンク内の記録液量の不足が検出されたことを条件として、この不足が検出されなくなるまで駆動され、インクカートリッジ81BK、81M、81C、81Y内の記録液をディストリビュータタンクに供給する。この点、制御部40は記録液供給制御手段であるインク供給制御手段として機能する。制御部40は、画像形成装置100において駆動される構成については、特に説明しない場合であっても、その駆動を制御するようになっている。
【0065】
図示を省略するが、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yは、同図において下方を向く記録液吐出側に配設されノズルを有するノズル板と、ディストリビュータタンクから記録液を供給され記録液を充填されたインク室と、インク室内の記録液をノズルから吐出させる図示しないアクチュエータ手段としてのインク吐出手段とを有している。ノズル、インク室、インク吐出手段はこれらが1組となって、それぞれ各ヘッド61BK、61M、61C、61Yに多数備えられている。
【0066】
インク吐出手段は、ノズルから記録液を液滴化して吐出させ用紙Sに着弾させるためのアクチュエータとして圧電素子を有し、圧電素子に印加される電圧パルスに応じてノズルから記録液を吐出するようになっている。インク吐出手段のアクチュエータはピエゾ方式等の、形状変形素子方式である他の方式の可動アクチュエータであってもよいし、サーマル方式等の加熱ヒータ方式によってノズルから記録液を吐出させるものであっても良い。
【0067】
記録液は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローに対応した色剤と、この色剤の分散剤と、溶媒とを少なくとも含む水性顔料インクである。
本体99は、図示しない前後側板及びステーなどを有している。
【0068】
図7に示すように、メンテナンス手段70は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスが行われるときに離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する対向領域を往復動するとともにヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れか1つに選択的に係合し、また、ヘッド61BKの非駆動時にヘッド61BKに係合する係合部73を有している。
【0069】
係合部73は、離間位置を占めたヘッド61BKに係合してヘッド61BKのノズルを密閉しキャップするキャップ部として機能するブラックキャップとしてのキャップ38と、キャップ38とともに同図における左右方向に移動するときに離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yに係合し、離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの吐出等によりヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出した記録液を拭ってヘッド61BK、61M、61C、61Yをクリーニングするワイピング部材としてのワイパー39とを有している。
【0070】
キャップ38は、ブラックの記録液の液滴を吐出するブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aをキャップするブラック印字液滴ヘッドキャップ群を構成している。キャップ38は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンス時に、ヘッド61BKのみならず、離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yについても、ヘッド61BKと同様に係合する。ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンス時に、ヘッド61BK、61M、61C、61Yは、キャップ38が係合した状態で記録液を吐出するいわゆる空吐出を行い、キャップ38は、この空吐出によりヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出された記録液を受ける空吐受けとしての記録液受け部材として機能する。
【0071】
メンテナンス手段70はまた、係合部73をかかる対向領域にて往復動するとともに、キャップ38を離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに係合させるために上下方向に移動させるように駆動するキャップ移動手段74と、キャップ38が離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに係合した状態でヘッド61BK、61M、61C、61Y内部の記録液を吸引して記録液をヘッド61BK、61M、61C、61Yの外部に流出させるための吸引手段としてのポンプ75と、キャップ38及びポンプ75を連結しヘッド61BK、61M、61C、61Yの外部に流出した記録液を排出する排出経路76と、排出経路76に接続されヘッド61BK、61M、61C、61Yの外部に流出した記録液を貯める図示しない記録液貯め部とを備えている。
【0072】
なお、本形態では、キャップ38を空吐受けとし、空吐出をキャップ38に行うこととして、空吐出を、キャップ38へのキャップ内吐出として説明しているが、係合部73は、空吐受けとしてキャップ38とは別に、たとえばA1方向においてキャップ38の脇言い換えると側部に空吐出により吐出された記録液を受けるための空吐出受けを有していても良く、この場合はこの空吐出受けが記録液受け部材として機能し、空吐出は、空吐出受けへの空吐受け内吐出または空吐受け吐出として行われる。
【0073】
キャップ移動手段74は、係合部73を上述のように往復動させる往復移動手段77と、往復移動手段77を支持し係合部73を往復移動手段77と一体で上述のように上下方向に駆動する上下移動手段78とを有している。
【0074】
往復移動手段77は、係合部73と一体の固定部材79と、その一部が固定部材79を固定した無端状のベルト83と、ベルト83を巻き掛けられた駆動プーリとしてのプーリ84と、プーリ84とともにベルト83を巻き掛けられた従動プーリとしてのプーリ85とを有している。
【0075】
往復移動手段77はまた、ヘッド61BK、61M、61C、61Yに対応して配設され固定部材79を検知することでキャップ38の位置が離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向した位置を占めたことを検知するセンサ86BK、86M、86C、86Yと、キャップ38がヘッド61BK、61M、61C、61Yに何れにも対向しない退避位置であって図1に示して上述した往復動の起点となる位置すなわちホームポジションを占めていることを検知するセンサ86とを有している。
【0076】
往復移動手段77はまた、係合部73を下方から上述のように往復動自在に支持した支持台87と、プーリ84を回転駆動する図示しない駆動手段としてのモータ等とを有している。
キャップ38及び往復移動手段77はブラックキャップユニット88を構成している。
【0077】
上下移動手段78は、ブラックキャップユニット88をその上に載置され固定されたベース部材89と、ベース89にその下端部が螺合した駆動軸としてのシャフト90と、シャフト90の他端部に固定されシャフト90と一体で回転するギヤ91と、ギヤ91に噛合したギヤ92と、ギヤ92を回転駆動する図示しない駆動手段としてのステッピングモータとを有している。
【0078】
したがって、キャップ移動手段74は、往復移動手段77により、モータの駆動により係合部73を上述のように往復動させることが可能となっているとともに、センサ86BK、86M、86C、86Y、86の何れかが固定部材79を検知するようにモータを駆動することで、キャップ38を離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに対向した位置またはホームポジションに正確に位置決め可能となっており、また、キャップ38を往復移動手段77によりヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに対向した位置に位置決めした状態で、上下移動手段78により、ステッピングモータを所定量すなわち所定パルス数で駆動することでキャップ38を所定量上方に移動させ、キャップ38が対向している離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに係合させることが可能となっている。なお、ステッピングモータの代わりに上下方向におけるキャップ38の位置を検知するセンサとモータとの組み合わせを用いても良い。
【0079】
図8に示すように、キャップ手段72は、メンテナンス手段70と同様の構成であるため、メンテナンス手段70に備えられている構成に相当する構成に当該構成を示す符合に「’」を付した符号を付して、動作を含む説明を適宜省略する。
【0080】
キャップ手段72は、カラーキャップとしてのキャップ38’により、ヘッド61M、61C、61Yの非駆動時に離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yに係合してヘッド61M、61C、61Yのノズルを一括してキャップする。キャップ手段72は、ヘッド61BKをキャップすることはない。キャップ手段72は、メンテナンス手段70におけるセンサ86BK、86M、86C、86Yの代わりに、キャップ38’が離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yに対向した位置を占めていることを検知するセンサ93を有している。キャップ38’及び往復移動手段77’はカラーキャップユニット88’を構成している。キャップ38’は、マゼンタ、シアン、イエローのカラー記録液の液滴を吐出するカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bをキャップするカラー印字液滴ヘッドキャップ群を構成している。
【0081】
したがって、キャップ移動手段74’は、往復移動手段77’により、モータの駆動により係合部73’を往復動させることが可能となっているとともに、センサ86、93の何れかが固定部材79’を検知するようにモータを駆動することで、キャップ38’を離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yに対向した位置またはホームポジションに正確に位置決め可能となっており、また、キャップ38’を往復移動手段77’により離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yに対向した位置に位置決めした状態で、上下移動手段78’により、ステッピングモータを所定量駆動することでキャップ38’を所定量上方に移動させ、ヘッド61M、61C、61Yに係合させることが可能となっている。なお、ステッピングモータの代わりに上下方向におけるキャップ38’の位置を検知するセンサとモータとの組み合わせを用いても良い。
【0082】
クリーニングユニット71は、メンテナンス時における係合部73の往復動後、係合部73がホームポジションに復帰した状態で、係合部73、すなわち少なくともキャップ38、ワイパー39等のクリーニングを行う。クリーニングユニット71による係合部73のクリーニングは、その他、所定枚数の画像形成後など定期的に行っても良い。
【0083】
図4に示すように、制御部40は、画像形成動作時すなわち印刷動作時、CPU46によりホストI/F47に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC48にてデータの並び替え処理等、場合によっては、画像処理の一部の処理を行ってヘッド駆動制御部49に画像データを転送する。画像出力するための印刷データのビットマップデータすなわち印刷ラスタデータへの変換は、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開し印刷データの印刷ラスタデータを作成した上で、該印刷ラスタデータを制御部40に転送するようにしている。
【0084】
ヘッド駆動制御部49は、印刷ラスタデータを受け取ると、このドットパターンデータである印刷ラスタデータを、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ50にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバ50に送出する。
【0085】
ヘッド駆動制御部49は、駆動波形である駆動信号のパターンデータを格納したROM51(専用のROMであっても良い)と、このROM51から読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
【0086】
ヘッドドライバ50は、ヘッド駆動制御部49からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部49からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路であるレベルシフタと、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイであるスイッチ手段等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的にヘッド61BK、61M、61C、61Yのアクチュエータ手段としてのインク吐出手段に印加してヘッド61BK、61M、61C、61Yを駆動し、画像データを印刷してドットパターンを形成する。この点、ヘッドドライバ50は、画像形成が行われるときにヘッド61BK、61M、61C、61Yを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段として機能する。
【0087】
制御部40は、ROM52に、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの放置時間及び環境温湿度と空吐出量の関係を、設計時に作成されたテーブルである制御シーケンステーブルとして格納している。
【0088】
制御部40は、他に、画像形成ユニット移動モータ42の駆動制御を行う画像形成ユニット移動モータ駆動部53と、搬送ベルト移動モータ45の駆動制御を行う搬送ベルト移動モータ駆動部54と、吸引ファンモータ44の駆動制御を行う吸引ファン駆動部55とを有している。
【0089】
このような構成の画像形成装置100において、モノクロ画像を形成するときには、図4に示した状態において、モノクロ画像形成開始の旨の所定の信号の入力により、給紙ユニット20から用紙Sが送り出され、この用紙Sが搬送ユニット10によって搬送される過程で、ヘッド61BKからブラックの記録液が、用紙Sの所定位置に吐出され、用紙S上に画像が担持される。画像を担持し画像形成が行われた用紙Sは、搬送ユニット10によってさらに搬送され、排紙台25上に排出される。
【0090】
また画像形成装置100においてカラー画像を形成するときには、図1に示した状態において、カラー画像形成開始の旨の所定の信号の入力により、給紙ユニット20から用紙Sが送り出され、この用紙Sが搬送ユニット10によって搬送される過程で、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの記録液が、用紙Sの同じ位置に重なるように、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして順次重ね合わされる態様で吐出され、用紙S上に画像が担持される。画像を担持し画像形成が行われた用紙Sは、搬送ユニット10によってさらに搬送され、排紙台25上に排出される。
【0091】
そして、これらの画像形成後は、図9に示すようにして、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BKをメンテナンス手段70でキャップして保湿するとともに、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yをキャップ手段72によってキャップして保湿する状態とする。
【0092】
具体的には、モノクロ画像形成後すなわちモノクロ印刷完了状態では、同図(a)に示すように、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BKが維持位置に移動するまで、移動機構により、ヘッド61BKを上方に駆動し(S9a1、S9a2)、ヘッド61BKが維持位置を占めたら、キャップ38がヘッド61BKをキャップするまで、キャップ移動手段74により、係合部73を駆動し(S9a3、S9a4)、キャップ38がヘッド61BKをキャップすると、次の工程に移る(S9a5)。
【0093】
また、カラー画像形成後すなわちカラー印刷完了状態では、同図(b)に示すように、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BK及びカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yが維持位置に移動するまで、移動機構により、ヘッド61BK及びヘッド61M、61C、61Yを上方に駆動し(S9b1、S9b2)、ヘッド61BK及びヘッド61M、61C、61Yが維持位置を占めたら、キャップ38がヘッド61BKをキャップするとともにキャップ38’がヘッド61M、61C、61Yをキャップするまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動するとともにキャップ移動手段74’によりキャップ38’を駆動し(S9b3、S9b4)、キャップ38がヘッド61BKをキャップするともにキャップ38’がヘッド61M、61C、61Yをキャップすると、次の工程に移る(S9b5)。
【0094】
このようにしてキャップを行うことで、ヘッド61BK、61M、61C、61Yは保湿され、記録液の乾燥による増粘が抑制されるが、かかるステップS9a5、S9b5における次の工程が、たとえば次の画像形成動作である場合において、その開始までの待機時間が長時間になっている場合、環境温度が高い場合、環境湿度が低い場合などは、ノズル内の記録液の粘度が高まり、吐出が不安定となる状態が生じ得る。そのため、制御部40は、ROM52に記憶している、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの放置時間及び環境温湿度と空吐出量の関係を読み出すなどして、次の画像形成前等に、必要に応じ、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う。
【0095】
このメンテナンスは、図6に示すように、係合部73を、このホームポジションを起点として、ヘッド61BK、61M、61C、61Yとの対向領域を往復動させながら行う。同図(a)は、係合部73がかかる対向領域を往動している状態を示しており、同図(b)は係合部73がかかる対向領域を復動している状態を示している。メンテナンスはヘッド61BK、61M、61C、61Yの移動を伴わずに実施されるため、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの各ノズルにおいて、かかる移動に起因する振動等でメニスカスが不安定となったり破壊されたりすることが抑制ないし防止される。
【0096】
画像形成装置100では、かかるメンテナンスを、キャップ38への記録液の空吐出、または流出によって行うことが可能となっている。空吐出とは、画像形成を目的とせずノズル内の記録液の更新によるメンテナンスを目的としてヘッドドライバ50によりヘッド61BK、61M、61C、61Yからキャップ38へ記録液を吐出させることである。流出には、加圧流出と吸引流出とがある。加圧流出とは、かかる目的と同じ目的によりポンプ82BK、82M、82C、82Yの加圧によりヘッド61BK、61M、61C、61Yからキャップ38へ記録液を吐出させるようにして排出させ流出させることである。吸引流出とは、かかる目的と同じ目的によりポンプ75の吸引によりヘッド61BK、61M、61C、61Yからキャップ38内に記録液を吸引して流出させることである。このように、ポンプ75は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから記録液を吸引してヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行なうために備えられている。
【0097】
流出によるメンテナンスは、流出した記録液をワイパー39によって拭ってクリーニングすることと併せて行われる。ワイパー39によってヘッド61BK、61M、61C、61Yから除去された記録液は、流出によりキャップ38内に進入した記録液とともに、排出経路76を介して記録液貯め部に収納される。
【0098】
空吐出と流出とは、何れか一方が選択されて行なわれる。空吐出によるメンテナンスの選択は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間、環境音湿度等に応じた制御部40の判断によって主に行われ、流出によるメンテナンスの選択は、操作パネル41を用いたユーザーの操作によって主に行われる。流出によるメンテナンスの場合、加圧流出と吸引流出の何れか一方が実施されても良いし、これらの両方が実施されても良い。
【0099】
空吐出による各ヘッド61BK、61M、61C、61Yからの記録液の吐出量、流出による各ヘッド61BK、61M、61C、61Yからの記録液の流出量は何れも、制御部40の判断によって決定される。かかる吐出量、流出量は、その選択条件が同じ場合には同量となるように制御部40により決定される。すなわち、たとえば、空吐出については、ノズル内の記録液の更新に必要な、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出されるべき記録液の量が、必要吐出量として、ROM52に記憶された制御シーケンステーブルに記憶されている。流出についても同様に、ROM52に記憶された制御シーケンステーブルに、ノズル内の記録液の更新に必要な、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出されるべき記録液の量が、必要流出量としての必要吐出量として記憶されている。この必要流出量は、流出を加圧流出によって行う場合については、必要吐出量としての必要加圧流出量として記憶されており、流出を吸引流出によって行う場合については、必要吐出量としての必要吸引流出量として記憶されている。
【0100】
ところで、かかるメンテナンスを、かりに、同図(a)に示した往動時においてヘッド61BK、61M、61C、61Yの順で行うとすると、メンテナンス後、キャップ38をホームポジションに復帰させるまでの間にヘッド61BK、61M、61C、61Yのノズル内の記録液の増粘が始まる。特に最初にメンテナンスを行うヘッド61BKは、空吐出後キャップ38が往復動してホームポジションに復帰するまでの時間が長時間となる。この点を考慮し、メンテナンスを、かりに、同図(b)に示したヘッド61BK、61M、61C、61Yの順で行うとすると、この場合は、ヘッド61BKのメンテナンスが最後となるため、ヘッド61BKに関しては、メンテナンス後キャップ38がホームポジションに復帰するまでの時間が短縮される。ところがこの場合、今度は、最初にメンテナンスを行うヘッド61Yの、メンテナンス後キャップ38がホームポジションに復帰するまでの時間が長時間となる。
【0101】
そこで、画像形成装置100では、同図に示すように、同図(a)の往動時及び同図(b)の復動時にメンテナンスを行うこととするとともに、同図(b)に示した、係合部73がかかる対向領域を復動している状態でのメンテナンスを行う時間を、同図(a)に示した、係合部73がかかる対向領域を往動している状態でのメンテナンスを行う時間よりも少なくすることで、係合部73がかかる対向領域を復動している状態でのメンテナンスを行う時間を短縮し、空吐出後係合部73がホームポジションに復帰するまでの各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間を短縮している。
【0102】
具体的には、メンテナンスを空吐出により行なう場合は、必要吐出量を、係合部73の復動時に各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出される記録液の量が、係合部73の往動時に各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出される記録液の量よりも少なくなるように配分すること、言い換えると、かかる後者の量とこれより少ない前者の量との和が必要吐出量に一致するようにすることで、係合部73の復動時のメンテナンス時間を、係合部73の往動時のメンテナンス時間よりも少なくしている。メンテナンスを流出により行なう場合は、必要流出量を、係合部73の復動時に各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから加圧流出または吸引流出により流出する記録液の量が、係合部73の往動時に各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから加圧流出または吸引流出により流出する記録液の量よりも少なくなるように配分すること、言い換えると、かかる後者の量とこれより少ない前者の量との和が必要吐出量に一致するようにすることで、係合部73の復動時のメンテナンス時間を、係合部73の往動時のメンテナンス時間よりも少なくしている。
【0103】
図10を参照しながら、かかるメンテナンスをヘッド61BK、61M、61C、61Yについて行う場合について説明する。なお、ここでは、かかるメンテナンスを、キャップ38への記録液の空吐出によって行う場合について説明する。
【0104】
空吐出によるメンテナンスの選択が、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間、環境音湿度等に応じた制御部40の判断等によって行われると、制御部40は、ROM52に記憶されている空吐出シーケンスを読み出し、これを開始する。
【0105】
すなわち、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BK及びカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yが維持位置に移動するまで、移動機構により、ヘッド61BK及びヘッド61M、61C、61Yを上方に駆動し(S1001、S1002)、ヘッド61BK及びヘッド61M、61C、61Yが維持位置を占めたら、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKのノズル群BKを密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1003、S1004)、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKのノズル群BKを密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61BKを駆動して必要吐出量の50%を上回る量で記録液を空吐出させる(S1005)。
【0106】
次いで、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61Mのノズル群C1を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1006〜S1008)、キャップ38がヘッド61Mをキャップしてヘッド61Mのノズル群C1を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Mを駆動して必要吐出量の50%を上回る量で記録液を空吐出させる(S1009)。
【0107】
次いで、キャップ38がヘッド61Cをキャップしてヘッド61Cのノズル群C2を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1010〜S1012)、キャップ38がヘッド61Cをキャップしてヘッド61Cのノズル群C2を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Cを駆動して必要吐出量の50%を上回る量で記録液を空吐出させる(S1013)。
【0108】
次いで、キャップ38がヘッド61Yをキャップしてヘッド61Yのノズル群C3を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1014〜S1016)、キャップ38がヘッド61Yをキャップしてヘッド61Yのノズル群C3を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Mを駆動して必要吐出量の100%の量で記録液を空吐出させる(S1017)。なお、図6及び上述の説明では、係合部73の復動時にヘッド61Yから吐出される記録液の量が、係合部73の往動時にヘッド61Yから吐出される記録液の量よりも少なくなるように必要吐出量を2回の空吐出に分けて配分すると記載しているが、ヘッド61Yに関しては、前者の量の空吐出後すぐに後者の量の空吐出を行うため、ステップS1016では、前者の量の空吐出と後者の量の空吐出とを連続して行い必要吐出量の100%の量で記録液を空吐出するものと説明している。
【0109】
次いで、キャップ38がヘッド61Cをキャップしてヘッド61Cのノズル群C2を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1018〜S1020)、キャップ38がヘッド61Cをキャップしてヘッド61Cのノズル群C2を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Cを駆動して必要吐出量の残りの量で記録液を空吐出させる(S1021)。
【0110】
次いで、キャップ38がヘッド61Mをキャップしてヘッド61Mのノズル群C1を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1022〜S1024)、キャップ38がヘッド61Mをキャップしてヘッド61Mのノズル群C1を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Mを駆動して必要吐出量の残りの量で記録液を空吐出させる(S1025)。
【0111】
最後に、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKのノズル群BKを密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1026〜S1028)、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKのノズル群BKを密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61BKを駆動して必要吐出量の残りの量で記録液を空吐出させる(S1029)。その後、図示しないが、係合部73はホームポジションに復帰する。
【0112】
なお、このようなメンテナンス動作に続いて画像形成を行う場合には、画像形成がカラー画像形成であるかモノクロ画像形成であるかに応じて、キャリッジ37A及びキャリッジ37B、あるいはキャリッジ37Aのみを記録位置に移動させ、後述のようにして、画像形成のために用紙Sに対する記録液の吐出を行う前に、ヘッドドライバ50によりヘッド61BK、61M、61C、61Yあるいはヘッド61BKを駆動してA1方向に移動している搬送ベルト11に向けて記録液を吐出し、画像形成に用いるヘッド61BK、61M、61C、61Yあるいはヘッド61BKの状態をさらに良好にする。この印字前空吐出である予備吐出によりヘッド61BK、61M、61C、61Yあるいはヘッド61BKから吐出された記録液は、搬送ベルト11に形成された多数の孔を透過して、インク受け15によって受け止められる。
【0113】
また、メンテナンスを流出で行う場合には、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出した記録液を、ワイパー39で拭う動作が入る。具体的には、係合部73の往動時においては、係合部73の移動方向においてワイパー39はキャップ38の下流側に位置しているため、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出した記録液を拭う際には、キャップ38によるヘッド61BK、61M、61C、61Yのキャップを解除した後、係合部73を一旦かかる移動方向の上流側に戻してからワイパー39をヘッド61BK、61M、61C、61Yに係合させ、かかる移動方向の下流側に移動させる動作が加わる。一方、係合部73の復動時においては、係合部73の移動方向においてワイパー39はキャップ38の上流側に位置しているため、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出した記録液を拭う際には、キャップ38によるヘッド61BK、61M、61C、61Yのキャップを解除した後、係合部73をかかる移動方向の上流側に戻す動作を入れずにワイパー39をヘッド61BK、61M、61C、61Yに係合させ、かかる移動方向の下流側に移動させる。そのため、復動時のメンテナンスにかかる時間がさらに短縮されている。
【0114】
このような動作により、図11に示すように、ヘッド61M、61C、61Yの空吐出によるメンテナンス後、係合部73がホームポジションに復帰するまでの時間である待機時間が短縮される。同図において、かかる時間は、デキャップ期間として示されており、とくにかかる待機時間は、着色部分によって示されている。
【0115】
同図において(b−1)は、本発明を適用せず、係合部73の往動時と復動時とで必要吐出量が等分されるように分配した例を示している。同図において(b−2)は、本発明を適用し、係合部73の往動時と復動時とで必要吐出量を75%と25%とで分配した例を示している。同図において(b−3)は、本発明を適用し、係合部73の往動時と復動時とで必要吐出量を90%と10%とで分配した例を示している。
【0116】
その他、同図に示した例の条件は、必要吐出量を各ノズルから吐出される記録液の2000滴とし、吐出の周波数を1kHzとし、係合部73が隣り合う各ヘッド61BK、61M、61C、61Y間を移動する列間移動時間を1秒としている。
【0117】
同図(b−1)、(b−2)、(b−3)に示した各例において、メンテナンス開始から終了までの所要時間は同じであるが、同図(b−1)に示した例よりも、同図(b−2)、(b−3)に示した各例の方が、ヘッド61M、61C、61Yの待機時間が短縮されており、特に、係合部73のホームポジションから最も遠い位置にあるヘッド61Yに関しては、同図(b−1)に示した例においては、待機時間が7秒であるのに対し、同図(b−2)に示した例においては、待機時間が5.5秒、同図(b−3)に示した例においては、待機時間が4.6秒となり、待機時間が大幅に短縮されている。
【0118】
このように、各ヘッド61M、61C、61Yの待機時間が短縮される態様で、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間の差が低減されている。このことも、メンテナンス後の画像形成時にすべてのヘッド61BK、61M、61C、61Yから記録液が良好に吐出され、画像乱れを低減することに寄与する。
【0119】
なお、画像形成装置100のように、記録液に水性顔料インクを用いている場合には、増粘速度が比較的速いことから、必要吐出量を多くする必要があるが、そのため、メンテナンス時において係合部73の移動を停止する必要があり、待機時間が長くなってしまうというトレードオフの事情があるところ、待機時間の短縮は、良好な画像形成に非常に有効である。一方、記録液の性能や環境によって必要吐出量が少なくて済む場合も、この場合には例えば復動時において係合部73を停止させることが不要となるなどして、待機時間がさらに短縮されるという利点がある。また、復動時において係合部73を停止させることが不要である場合には、復動時のメンテナンスに要する時間が少なくなるため、この時間が往動時のメンテナンスに要する時間を下回る範囲において、必要吐出量を、往動時の吐出量が復動時の吐出量以上となるようにすることも可能である。
【0120】
以上、空吐出によるメンテナンスを行う場合について主に説明したが、流出によるメンテナンスを行う場合も、同様の制御によりヘッド61M、61C、61Yについての同様の待機時間の短縮がなされる。
【0121】
このようなメンテナンス動作に続いて画像形成を行う場合には、画像形成がカラー画像形成であるときには、キャリッジ37A及びキャリッジ37Bを記録位置に移動させ、画像形成のために用紙Sに対する記録液の吐出を行う前に、ヘッドドライバ50によりヘッド61BK、61M、61C、61Yを駆動してA1方向に移動している搬送ベルト11に向けて記録液を予備吐出して、画像形成に用いるヘッド61BK、61M、61C、61Yあるいはヘッド61BKの状態をさらに良好にするが、この予備吐出量は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間の長短を考慮して調整される。
【0122】
すなわち、図11から明らかなように、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間はこの順で漸増するため、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの予備吐出量は、この順で順次多くなるようになっている。すなわち係合部73の往動開始側であるホームポジション側におけるヘッド61BKよりも、係合部73の復動開始側におけるヘッド61Yの方が予備吐出量が多くなるように、ヘッドドライバ50により、ヘッド61BK、61M、61C、61Yを駆動する。
【0123】
各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの予備吐出量は、画像形成時における記録液の吐出状態が各ヘッド61BK、61M、61C、61Yで均一となる範囲で可能な限り少なくなるように設定されており、これにより、より良好な画像形成が行われる。この予備吐出量は、メンテナンス時において係合部73の往動時にのみ記録液の吐出、流出を行う場合よりも少なくて済む。これは、メンテナンス時において係合部73の復動時にヘッド61M、61C、61Yから記録液の吐出、流出を行うため、この吐出、流出を行った後のヘッド61M、61C、61Yの待機時間が短縮されているためである。予備吐出量の低減は、用紙Pの一枚あたりの画像形成コストの低減を含む画像形成コストの低減に寄与している。同様に、上述のメンテナンスを行なった後、再度、ヘッド61BK、61M、61C、61Yが非駆動状態とされたときなど、再びメンテナンスを行う場合にも、必要吐出量が低減され、用紙Pの一枚あたりの画像形成コストの低減を含む画像形成コストの低減に寄与している。
【0124】
制御部40は、ROM51に、以上述べた、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスが行われるときにヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域を往復動するメンテナンス手段70を用い、メンテナンス手段70がかかる領域を復動するときにヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う時間を、メンテナンス手段70がかかる領域を往動するときにヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う時間よりも少なくしてヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス方法を実行するためのヘッドメンテナンスプログラムを記憶している。この点、制御部40ないしROM51は、ヘッドメンテナンスプログラム記憶手段として機能している。かかるヘッドメンテナンスプログラムは、制御部40に備えられたROM51のみならず、半導体媒体(たとえば、RAM、不揮発性メモリ等)、光媒体(たとえば、DVD、MO、MD、CD−R等)、磁気媒体(たとえば、ハードディスク、磁気テープ、フレキシブルディスク等)その他の記憶媒体に記憶可能であり、かかるメモリ、他の記憶媒体は、かかるヘッドメンテナンスプログラムを記憶した場合に、かかるヘッドメンテナンスプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体を構成する。
【0125】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0126】
たとえば、図12に示すように、キャリッジ37Aとキャリッジ37Bとを一体化し、ヘッド61BK、61M、61C、61Yが一体で保持され上下に移動するように構成するとともに、係合部73と係合部73’とを一体化することでメンテナンス手段70とキャップ手段72とを一体化し、係合部73と係合部73’とが一体で上下左右に移動するように構成してもよく、この構成では、移動機構が簡略化されるとともにメンテナンス手段70とキャップ手段72とも簡略化される。この場合、係合部73がヘッド61Yのキャップを行い、また係合部73、73’のホームポジションを同図(a)において破線で示す位置とすると、係合部73はその往動方向における最下流に位置する。
【0127】
上述の例では、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yが、副走査方向において2列のノズルを備えているとともに、係合部73、73’が各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの2列のノズルに対応したキャップ38、38’、ワイパー39を備えており、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの2列のノズルを一括してキャップ可能、ワイピング可能としており、メンテナンス時における係合部73、73’の移動回数を少なくしてメンテナンスに要する時間を短縮しているが、副走査方向におけるキャップ、ワイパーの列数をヘッド61BK、61M、61C、61Yのノズルの列数より少なくして、副走査方向におけるメンテナンス手段70やキャップ手段72の幅を小さくするようにしてもよい。
【0128】
また、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yは4列あるいは他の列数のノズルを有していても良い。
キャップ手段71は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのすべてに対応する一体型となっているが、たとえば上述の例のように吸引手段、ワイピング部材などのメンテナンス機構を備えていない場合には、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yのそれぞれに対応して分割された、言い換えると独立した態様で備えられていてもよい。
【0129】
上述の例では、A1方向上流側から下流側に向けてブラック、マゼンタ、シアン、イエローの順で画像形成を行っているが、画像形成の順はかかる順に限らず、たとえばブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順としても良い。
各ヘッドから吐出する記録液の色は、上述の例に限られるものではなく、たとえば、その他の2次色の記録液やグレーインク等の記録液を吐出するようにしても良い。
【0130】
メンテナンス時において、移動機構によりヘッド61BK、61M、61C、61Yを上下動させて、キャップ、クリーニング等を行なうようにすれば、上下移動手段78、78’を省略可能である。
【0131】
本発明を適用する画像形成装置は、上述のタイプの画像形成装置に限らず、インクジェット方式であれば、他のタイプの画像形成装置、すなわち、複写機、ファクシミリの単体、あるいはプリンタとこれらの何れか複数を組み合わせた複合機、その他、電気回路形成に用いられる画像形成装置、バイオテクノロジー分野において所定の画像を形成するのに用いられる画像形成装置であっても良い。
【0132】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0133】
38 記録液受け部材、キャップ部
39 ワイピング部材
50 ヘッド駆動手段
61BK、61M、61C、61Y ヘッド
70 メンテナンス手段
75 吸引手段
76 排出経路
82BK、82M、82C、82Y 圧送手段
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0134】
【特許文献1】特開平9−70961号公報
【特許文献2】特開2009−78539号公報
【特許文献3】特許3231144号公報
【特許文献4】特開2008−290400号公報
【特許文献5】特許3670428号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドによりインク等の記録液を吐出して画像形成を行うインクジェット方式の画像形成装置であってヘッドのメンテナンスを行う画像形成装置及びこの画像形成装置におけるヘッドメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ピエゾ方式に代表される可動アクチュエータ方式、サーマル方式に代表される加熱膜沸騰方式等により、複数の微小なノズルからインク等の記録液を液滴化して吐出するヘッドを備え、インクジェット記録を行うインクジェットプリンタ等のインクジェット方式の画像形成装置が知られている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献5〕参照)。
【0003】
このような画像形成装置では、記録液の乾燥によるノズルの詰まりや記録液の吐出量低下を防止するために、非駆動時のヘッドに対するキャップが設けられている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献5〕参照)ことが多いが、キャップをしていても、ノズルの詰まりや吐出量の低下を完全に防止することができない等の理由により、記録液を、画像形成時以外に、キャップに吐出させる、いわゆる空吐出や、ヘッドからの記録液の強制排出などのメンテナンスを行い、ノズルによる記録液の吐出性能を維持する技術が提案されている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献5〕参照)。
【0004】
かかる技術においては、空吐出等によるメンテナンスによってヘッドからキャップに排出された記録液をキャップからさらに排出させる機構を要する(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献5〕参照)ものの、ヘッド及びキャップが1つずつである構成(たとえば、〔特許文献1〕参照)においては、それほど構造が複雑ではない。
【0005】
ところが、ヘッドが複数ある場合など、キャップを複数備えた構成(たとえば、〔特許文献2〕ないし〔特許文献5〕参照)においては、各キャップに、キャップから記録液を排出させる機構を設けると(たとえば、〔特許文献2〕、〔特許文献3〕参照)、構造が複雑になり、価格も上昇してしまう。
【0006】
そこで、複数のキャップのうちの一部のキャップにかかる機構を設け、キャップを移動させ、キャップに対向した部分のヘッドから記録液を排出させるなどのメンテナンスを行なう技術が提案されており(たとえば、〔特許文献3〕ないし〔特許文献5〕参照)、さらには、このような技術において、かかるメンテナンス動作を、キャップを一方向に移動させながら順次連続的に行うようにした技術が提案されている(たとえば、〔特許文献5〕参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、キャップを移動させながらメンテナンス動作を順次行うと、ヘッドの位置によって、メンテナンス動作終了後、記録液の次の吐出動作までの待機時間が異なる。すなわち、たとえば、ヘッドのうち、メンテナンス動作が最初に行われた部分とメンテナンス動作が最後に行われた部分とでは、前者の部分の方が、次の画像形成開始までの待機時間が長くなり、記録液の粘性が高くなって、記録液の吐出性能が低下し得る。
【0008】
本発明は、メンテナンス動作後のヘッドの待ち時間を低減した画像形成装置及びヘッドメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を有し、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくした画像形成装置にある。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出される記録液を受ける記録液受け部材を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量よりも少なくしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出されるべき必要吐出量に一致することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項2ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、画像形成が行われるときにヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段を有し、このヘッド駆動手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドを駆動してヘッドから記録液を吐出させることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項2ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、ヘッドに向けて記録液を圧送する圧送手段を有し、この圧送手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに向けて記録液を圧送してヘッドから記録液を排出させることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときに、ヘッドから記録液を吸引してヘッドのメンテナンスを行うための吸引手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量よりも少なくしたことを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときに同吸引手段によりヘッドから吸引されるべき必要吸引量に一致することを特徴とする。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項2ないし9の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を拭ってヘッドをクリーニングするワイピング部材を有することを特徴とする。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項2ないし10の何れか1つに記載の画像形成装置に従属する画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を排出する排出経路を有することを特徴とする。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし11の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段が前記領域を往復動した後、ヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段により、前記メンテナンス手段が前記領域を往動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量よりも、前記メンテナンス手段が前記領域を復動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量が多くなるように、ヘッドを駆動して記録液を吐出させることを特徴とする。
【0021】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記メンテナンス手段は、ヘッドの非駆動時にヘッドをキャップするキャップ部を有することを特徴とする。
【0022】
請求項14記載の発明は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を用い、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくしてヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス方法にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を有し、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくした画像形成装置にあるので、メンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0024】
前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出される記録液を受ける記録液受け部材を有することとすれば、記録液をヘッドから吐出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0025】
前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量よりも少なくしたこととすれば、記録液をヘッドから吐出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を、メンテナンス手段の往動時と復動時とにおいてヘッドから吐出される記録液の量の調整を行うことで低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0026】
前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出されるべき必要吐出量に一致することとすれば、記録液をヘッドから吐出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を、メンテナンス手段の往動時と復動時とにおいてヘッドから吐出される記録液の量の和が必要吐出量となるように保ちつつこれらの量の調整を行うことで低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0027】
画像形成が行われるときにヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段を有し、このヘッド駆動手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドを駆動してヘッドから記録液を吐出させることとすれば、ヘッド駆動手段をメンテナンスにも用いることでヘッドから記録液を吐出させるための特別な機構を設けることなく記録液をヘッドから吐出させ、この、記録液をヘッドから吐出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0028】
ヘッドに向けて記録液を圧送する圧送手段を有し、この圧送手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに向けて記録液を圧送してヘッドから記録液を排出させることとすれば、圧送手段をメンテナンスにも用いることでヘッドから記録液を排出させるための特別な機構を設けることなく記録液をヘッドから排出させ、この、記録液をヘッドから排出する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0029】
前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときに、ヘッドから記録液を吸引してヘッドのメンテナンスを行うための吸引手段を有することとすれば、吸引手段によってヘッドから記録液を吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0030】
前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量よりも少なくしたこととすれば、吸引手段によってヘッドから記録液を吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を、メンテナンス手段の往動時と復動時とにおいてヘッドから吸引する記録液の量の調整を行うことで低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0031】
前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときに同吸引手段によりヘッドから吸引されるべき必要吸引量に一致することとすれば、吸引手段によってヘッドから記録液を吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を、メンテナンス手段の往動時と復動時とにおいてヘッドから吸引する記録液の量の和が必要吸引量となるように保ちつつこれらの量の調整を行うことで低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0032】
前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を拭ってヘッドをクリーニングするワイピング部材を有することとすれば、記録液をヘッドから吐出あるいは吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドから流出した記録液をクリーニングするとともに、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れをより良好に低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0033】
前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を排出する排出経路を有することとすれば、記録液をヘッドから吐出あるいは吸引する態様によるメンテナンス後の、ヘッドから流出した記録液を排出し、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、かかるメンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、かかるメンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0034】
前記メンテナンス手段が前記領域を往復動した後、ヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段により、前記メンテナンス手段が前記領域を往動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量よりも、前記メンテナンス手段が前記領域を復動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量が多くなるように、ヘッドを駆動して記録液を吐出させることとすれば、メンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減するとともに、メンテナンス後にヘッドからかかる吐出量で記録液を吐出させることでかかる待ち時間に起因する各ヘッドにおける記録液の状態の差を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れをより良好に低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0035】
前記メンテナンス手段は、ヘッドの非駆動時にヘッドをキャップするキャップ部を有することとすれば、ヘッドの非駆動時における記録液の状態変化を抑制できるとともに、メンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【0036】
本発明は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を用い、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくしてヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス方法にあるので、メンテナンス後の、ヘッドの位置に起因する待ち時間の差を低減しながら、メンテナンス後のヘッドの待ち時間を低減することで、メンテナンス後に形成する画像の乱れを低減し得るヘッドメンテナンス方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図であって、すべてのヘッドが記録位置を占めた状態を示している。
【図2】図1に示したヘッドのすべてが離間位置を占めた状態を示す概略正面図である。
【図3】図1に示した画像形成装置の制御ブロック図である。
【図4】図1に示したヘッドの一部が記録位置を占め、ヘッドの他の一部がキャップされた状態を示す概略正面図である。
【図5】図1に示したヘッドのすべてがキャップされた状態を示す概略正面図である。
【図6】図1に示した画像形成装置に備えられたヘッドのメンテナンス時の様子を示した概略正面図である。
【図7】図1に示した画像形成装置に備えられたメンテナンス手段の概略正面図である。
【図8】図1に示した画像形成装置に備えられたキャップ手段の概略正面図である。
【図9】図1に示した画像形成装置において画像形成後、ヘッドをキャップするときのフローチャートである。
【図10】図1に示した画像形成装置においてヘッドのメンテナンスを行なうときのフローチャートである。
【図11】本発明を適用したメンテナンス方法により、メンテナンス後の待ち時間及びこの待ち時間の差が低減されていることを示した模式図である。
【図12】ヘッド及びメンテナンス手段の他の構成例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、インクジェットプリンタとしてのプリンタであってフルカラーの画像形成を行うことができるようになっている。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。
【0039】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体である被記録材たる記録体としての用紙Sの片面に画像形成可能な片面画像形成装置であるが、用紙Sの両面に画像形成可能な両面画像形成装置であってもよい。
【0040】
画像形成装置100は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な、当該色のインクとしての印字液である記録液を液滴の状態で吐出する記録液吐出体としてのインクヘッドである記録ヘッドとしてのヘッド61BK、61M、61C、61Yを有している。
【0041】
ヘッド61BKは、単体で、これを保持したキャリッジ37Aとともに、ブラックの記録液の液滴を吐出するブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成している。ヘッド61M、61C、61Yは、これらを一体に保持したキャリッジ37Bとともに、マゼンタ、シアン、イエローのカラー記録液の液滴を吐出するカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成している。ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aは、ブラックの記録液を吐出するノズル群であるBK群を有している。カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bは、マゼンタ、シアン、イエローの記録液をそれぞれ吐出するC1群、C2群、C3群を有している。
【0042】
ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aとカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bとは、独立して構成されている。ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aとカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bとは、画像形成ユニット61を構成している。
【0043】
ヘッド61BK、61M、61C、61Yは、画像形成装置100の本体99の略中央部に配設され用紙Sを同図において左方に搬送する搬送ユニット10の上面に対向する位置に配設されている。ヘッド61BK、61M、61C、61Yは、搬送ユニット10による用紙Sの搬送方向である図1において反時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。このように、画像形成装置100は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yを用紙Sの搬送経路に対向させA1方向に並設したタンデム構造となっている。同図において各符号の数字の後に付されたBK、M、C、Yは、ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー用の部材であることを示している。
【0044】
ヘッド61BK、61M、61C、61Yはそれぞれ、ブラック(BK)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の画像を形成するための記録液吐出装置であるインク吐出装置60BK、60M、60C、60Yに備えられている。
【0045】
用紙Sは、搬送ユニット10により搬送される過程で、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域で、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yからブラック、マゼンタ、シアン、イエローの記録液が順次重ね合わされる態様で吐出されて付与され、その表面上に画像が形成されるようになっている。
【0046】
ヘッド61BK、61M、61C、61Yによる用紙Sに対する記録液の吐出すなわち付与は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色の画像領域が用紙S上の同じ位置に重なるよう、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。画像形成装置100は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出された記録液を用紙Sに直接塗布して画像形成を行う直接方式の画像形成装置となっている。
【0047】
画像形成装置100は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yをそれぞれ備えたインク吐出装置60BK、60M、60C、60Yと、搬送ユニット10と、用紙Sを多数枚積載可能であり積載した用紙Sのうち最上位の用紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する給紙ユニット20と、搬送ユニット10によって搬送されてきた画像形成済み言い換えるとプリント済みの用紙Sを多数積載可能な排紙台25とを有している。
【0048】
画像形成装置100はまた、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスが行われるときにヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域を、同図に示している位置を起点として往復動するメンテナンス手段70と、メンテナンス手段70をクリーニングするクリーナーユニット71と、ヘッド61M、61C、61Yの非駆動時にヘッド61M、61C、61Yをキャップしてヘッド61M、61C、61Yないしカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bの維持すなわち保湿を行う維持機構であるキャップ手段72とを有している。メンテナンス手段70は、かかる往復動時にブラック印字液滴吐出ヘッド群61A及びカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bのメンテナンス言い換えると回復を行う回復機構として機能するほか、ヘッド61BKの非駆動時にヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKないしブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aの維持すなわち保湿を行う維持機構として機能するため、合わせて維持回復機構として機能する。
【0049】
画像形成装置100はまた、キャリッジ37Aとキャリッジ37Bとを独立して上下方向に駆動し、同図に示した搬送ユニット10に近接した位置すなわち記録液を吐出する印刷位置である記録位置と、図2に示すように搬送ユニット10から離間させた位置である離間位置との間で移動させる、図3に示す画像形成ユニット移動モータ42を備えた図示しない移動機構を有している。この離間位置は、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aについてはメンテナンス手段70により維持を行う維持位置であり次の動作まで待機する待機位置であるとともにメンテナンス手段70等により回復言い換えるとメンテナンスを行う回復位置であるメンテナンス位置であり、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bについてはキャップ手段72により維持を行う維持位置であり次の動作まで待機する待機位置であるとともにメンテナンス手段70等により回復言い換えるとメンテナンスを行う回復位置であるメンテナンス位置である。
【0050】
画像形成装置100はまた、図3に示すように、画像形成装置100の動作全般を制御するCPU46、メモリとしてのROM51、RAM52等を含む制御手段としての制御部40と、画像形成装置100の動作の設定等を行う操作パネル41とを有している。
【0051】
なお、図1に示した、キャリッジ37Aとキャリッジ37Bとがともに下方に位置し、ヘッド61BK、61M、61C、61Yがすべて搬送ユニット10に近接した記録位置を占めるのは、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのすべてから記録液を吐出して画像形成を行うカラー画像形成時であり、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのうちヘッド61BKのみから記録液を吐出して画像形成を行うモノクロ画像形成時言い換えるとブラック画像形成時には、図4に示すように、キャリッジ37Aのみが下方に位置しヘッド61BKのみが搬送ユニット10に近接した記録位置を占めるとともに、キャリッジ37Bは上方に位置しヘッド61M、61C、61Yが搬送ユニット10から離間した離間位置を占める。この状態では、同図に示されているように、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yは、キャップ手段72によってキャップされ、ヘッド61M、61C、61Yの維持が行われる。
【0052】
また、図2に示したように、キャリッジ37Aとキャリッジ37Bとがともに上方に位置し、ヘッド61BK、61M、61C、61Yがすべて搬送ユニット10から離間した離間位置を占めた場合においては、図5に示すように、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BKをメンテナンス手段70でキャップして維持するとともに、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yをキャップ手段72によってキャップして維持する状態となる場合がある他、図6に示すように、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yのキャップ手段72によるキャップを行わない状態としながら、メンテナンス手段70を、ヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域を往復動させ、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BK及びカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yをメンテナンスする状態となる場合がある。この図6に示した状態については後に詳しく述べる。
【0053】
図1に示すように、搬送ユニット10は、A1方向に回転する無端状の搬送ベルト11と、搬送ベルト11を巻き掛けられた搬送駆動ローラとしての駆動ローラ12と、駆動ローラ12とともに搬送ベルト11を巻き掛けられた搬送従動ローラとしての従動ローラ13と、搬送ベルト11のうちヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向した上面部の裏面側に設けられた裏面側支持部材14と、裏面側支持部材14の下方に位置しヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域に設けられたインク受け15と、駆動ローラ12及び従動ローラに掛け回された搬送ベルト11の下方に設けられ搬送ベルト11に用紙Sを吸着させるための吸引手段16と、駆動ローラ12を回転駆動する駆動手段としての図4に示す搬送ベルト移動モータ45等とを有している。
【0054】
搬送ベルト移動モータ45は搬送ベルト11がA1方向に回転し周回移動するように駆動ローラ12を回転駆動する。従動ローラ13は駆動ローラ12によってA1方向に回転駆動される搬送ベルト11に従動回転する。
【0055】
搬送ベルト11には図示しない多数の孔が形成されており、後述するように、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから、搬送ベルト11に向けて記録液が吐出されたとき、かかる記録液をかかる孔から透過させる。搬送ベルト11を透過した記録液は、インク受け15によって受け止められる。
【0056】
吸引手段16は、回転により負圧を発生させる吸引ファン43と、吸引ファン43を回転駆動する図3に示す吸引ファンモータ44とを有し、搬送ベルト11に形成された孔を利用して、用紙Sを搬送ベルト11に吸着する。この点、かかる孔は、吸引ファン16による吸引用の吸引孔としても機能する。用紙Sはこのようにして搬送ベルト11に吸い付けられた状態で、搬送ベルト11のA1方向への周回移動により、同図における左方に搬送される。
【0057】
裏面側支持部材14は、搬送ベルト11を下方から支持し、吸引ファン16によって形成される負圧によって搬送ベルト11が撓むことを防止している。裏面側支持部材14は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから搬送ベルト11に向けて吐出された記録液がインク受け15に進入することを許容するように構成されている。
なお、搬送ユニット10は、用紙Sに付着された記録液を用紙Sに定着し記録液によって形成された画像を用紙Sに定着させるための定着手段を備えていてもよい。
【0058】
給紙ユニット20は、用紙Sを多数枚積載可能な給紙トレイ21と、給紙トレイ21に積載された用紙Sのうち最上位の用紙Sのみを他の用紙Sから分離する分離ローラ22と、分離ローラ22により一枚だけ分離された用紙Sを搬送ユニット10に向けて給送する給紙ローラ23と、給紙ローラ23を、ヘッド61BK、61M、61C、61Yにおける記録液の吐出タイミングに合わせるように回転駆動し用紙Sを給送させる図示しない駆動手段としてのモータ等とを有している。
【0059】
排紙台25は、画像形成済みの用紙Sを多数積載可能な排紙トレイ26と、用紙Sの幅方向すなわち同図における紙面に垂直な方向において用紙Sを規制する一対のサイドフェンス27と、用紙Sの先端すなわち同図における左側の端部を規制するエンドフェンス28とを有している。
【0060】
キャリッジ37A、37Bは、ヘッド61BK、あるいはヘッド61M、61C、61Yに劣化等が生じたときにこれらが新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、ヘッド61BK、あるいはヘッド61M、61C、61Yと一体で、本体99に対して着脱可能となっている。各ヘッド61BK、61M、61C、61Yもそれぞれ、劣化等が生じたときに新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、独立してキャリッジ37Aあるいはキャリッジ37Bに対して着脱可能となっている。これによって、交換作業、メンテナンス作業が容易化されている。
【0061】
インク吐出装置60BK、60M、60C、60Yは、用いる記録液の色が異なるものの、その余の点では互いに略同様の構成となっている。インク吐出装置60BK、60M、60C、60Yはそれぞれ、ヘッド61BK、61M、61C、61Yをそれぞれ、A1方向である副走査方向に垂直な、用紙Pの幅方向である主走査方向に延在した状態で備えている。ヘッド61BK、61M、61C、61Yはそれぞれ、記録液を液滴化して吐出する図示しない多数のノズルを主走査方向にライン状に備えており、ヘッド61BK、61M、61C、61Yはライン型記録ヘッドとなっているとともに、インク吐出装置60BK、60M、60C、60Y、画像形成装置100はヘッド固定式のフルライン型となっており、画像形成装置100はライン型画像形成装置であるライン型インクジェット記録装置となっている。なお、千鳥状に配列されたノズルもライン状に配列されているものとする。
【0062】
インク吐出装置60BK、60M、60C、60Yは、記録液供給系であるインク供給系として、ヘッド61BK、61M、61C、61Yに供給される当該色の記録液を収容したメインタンクとしての記録液カートリッジであるインクカートリッジ81BK、81M、81C、81Yと、インクカートリッジ81BK、81M、81C、81Y内に収容された記録液を各ヘッド61BK、61M、61C、61Yに向けて圧送し給送するための供給ポンプとしてのポンプ82BK、82M、82C、82Yと、ポンプ82BK、82M、82C、82Yによってインクカートリッジ81BK、81M、81C、81Y側から供給されてきた記録液をヘッド61BK、61M、61C、61Yに供給する記録液供給部であるサブタンクたるインク供給部としてのディストリビュータである図示しないディストリビュータタンクとを有している。
【0063】
インクカートリッジ81BK、81M、81C、81Yは、内部の記録液が消費されて残り少なくなったときあるいはなくなったとき等に新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、本体99に対して着脱可能となっている。
【0064】
ポンプ82BK、82M、82C、82Yは、制御部40によって作動を制御される。具体的には、インク量検知センサによってディストリビュータタンク内の記録液量の不足が検出されたことを条件として、この不足が検出されなくなるまで駆動され、インクカートリッジ81BK、81M、81C、81Y内の記録液をディストリビュータタンクに供給する。この点、制御部40は記録液供給制御手段であるインク供給制御手段として機能する。制御部40は、画像形成装置100において駆動される構成については、特に説明しない場合であっても、その駆動を制御するようになっている。
【0065】
図示を省略するが、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yは、同図において下方を向く記録液吐出側に配設されノズルを有するノズル板と、ディストリビュータタンクから記録液を供給され記録液を充填されたインク室と、インク室内の記録液をノズルから吐出させる図示しないアクチュエータ手段としてのインク吐出手段とを有している。ノズル、インク室、インク吐出手段はこれらが1組となって、それぞれ各ヘッド61BK、61M、61C、61Yに多数備えられている。
【0066】
インク吐出手段は、ノズルから記録液を液滴化して吐出させ用紙Sに着弾させるためのアクチュエータとして圧電素子を有し、圧電素子に印加される電圧パルスに応じてノズルから記録液を吐出するようになっている。インク吐出手段のアクチュエータはピエゾ方式等の、形状変形素子方式である他の方式の可動アクチュエータであってもよいし、サーマル方式等の加熱ヒータ方式によってノズルから記録液を吐出させるものであっても良い。
【0067】
記録液は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローに対応した色剤と、この色剤の分散剤と、溶媒とを少なくとも含む水性顔料インクである。
本体99は、図示しない前後側板及びステーなどを有している。
【0068】
図7に示すように、メンテナンス手段70は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスが行われるときに離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する対向領域を往復動するとともにヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れか1つに選択的に係合し、また、ヘッド61BKの非駆動時にヘッド61BKに係合する係合部73を有している。
【0069】
係合部73は、離間位置を占めたヘッド61BKに係合してヘッド61BKのノズルを密閉しキャップするキャップ部として機能するブラックキャップとしてのキャップ38と、キャップ38とともに同図における左右方向に移動するときに離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yに係合し、離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの吐出等によりヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出した記録液を拭ってヘッド61BK、61M、61C、61Yをクリーニングするワイピング部材としてのワイパー39とを有している。
【0070】
キャップ38は、ブラックの記録液の液滴を吐出するブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aをキャップするブラック印字液滴ヘッドキャップ群を構成している。キャップ38は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンス時に、ヘッド61BKのみならず、離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yについても、ヘッド61BKと同様に係合する。ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンス時に、ヘッド61BK、61M、61C、61Yは、キャップ38が係合した状態で記録液を吐出するいわゆる空吐出を行い、キャップ38は、この空吐出によりヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出された記録液を受ける空吐受けとしての記録液受け部材として機能する。
【0071】
メンテナンス手段70はまた、係合部73をかかる対向領域にて往復動するとともに、キャップ38を離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに係合させるために上下方向に移動させるように駆動するキャップ移動手段74と、キャップ38が離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに係合した状態でヘッド61BK、61M、61C、61Y内部の記録液を吸引して記録液をヘッド61BK、61M、61C、61Yの外部に流出させるための吸引手段としてのポンプ75と、キャップ38及びポンプ75を連結しヘッド61BK、61M、61C、61Yの外部に流出した記録液を排出する排出経路76と、排出経路76に接続されヘッド61BK、61M、61C、61Yの外部に流出した記録液を貯める図示しない記録液貯め部とを備えている。
【0072】
なお、本形態では、キャップ38を空吐受けとし、空吐出をキャップ38に行うこととして、空吐出を、キャップ38へのキャップ内吐出として説明しているが、係合部73は、空吐受けとしてキャップ38とは別に、たとえばA1方向においてキャップ38の脇言い換えると側部に空吐出により吐出された記録液を受けるための空吐出受けを有していても良く、この場合はこの空吐出受けが記録液受け部材として機能し、空吐出は、空吐出受けへの空吐受け内吐出または空吐受け吐出として行われる。
【0073】
キャップ移動手段74は、係合部73を上述のように往復動させる往復移動手段77と、往復移動手段77を支持し係合部73を往復移動手段77と一体で上述のように上下方向に駆動する上下移動手段78とを有している。
【0074】
往復移動手段77は、係合部73と一体の固定部材79と、その一部が固定部材79を固定した無端状のベルト83と、ベルト83を巻き掛けられた駆動プーリとしてのプーリ84と、プーリ84とともにベルト83を巻き掛けられた従動プーリとしてのプーリ85とを有している。
【0075】
往復移動手段77はまた、ヘッド61BK、61M、61C、61Yに対応して配設され固定部材79を検知することでキャップ38の位置が離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向した位置を占めたことを検知するセンサ86BK、86M、86C、86Yと、キャップ38がヘッド61BK、61M、61C、61Yに何れにも対向しない退避位置であって図1に示して上述した往復動の起点となる位置すなわちホームポジションを占めていることを検知するセンサ86とを有している。
【0076】
往復移動手段77はまた、係合部73を下方から上述のように往復動自在に支持した支持台87と、プーリ84を回転駆動する図示しない駆動手段としてのモータ等とを有している。
キャップ38及び往復移動手段77はブラックキャップユニット88を構成している。
【0077】
上下移動手段78は、ブラックキャップユニット88をその上に載置され固定されたベース部材89と、ベース89にその下端部が螺合した駆動軸としてのシャフト90と、シャフト90の他端部に固定されシャフト90と一体で回転するギヤ91と、ギヤ91に噛合したギヤ92と、ギヤ92を回転駆動する図示しない駆動手段としてのステッピングモータとを有している。
【0078】
したがって、キャップ移動手段74は、往復移動手段77により、モータの駆動により係合部73を上述のように往復動させることが可能となっているとともに、センサ86BK、86M、86C、86Y、86の何れかが固定部材79を検知するようにモータを駆動することで、キャップ38を離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに対向した位置またはホームポジションに正確に位置決め可能となっており、また、キャップ38を往復移動手段77によりヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに対向した位置に位置決めした状態で、上下移動手段78により、ステッピングモータを所定量すなわち所定パルス数で駆動することでキャップ38を所定量上方に移動させ、キャップ38が対向している離間位置を占めたヘッド61BK、61M、61C、61Yの何れかに係合させることが可能となっている。なお、ステッピングモータの代わりに上下方向におけるキャップ38の位置を検知するセンサとモータとの組み合わせを用いても良い。
【0079】
図8に示すように、キャップ手段72は、メンテナンス手段70と同様の構成であるため、メンテナンス手段70に備えられている構成に相当する構成に当該構成を示す符合に「’」を付した符号を付して、動作を含む説明を適宜省略する。
【0080】
キャップ手段72は、カラーキャップとしてのキャップ38’により、ヘッド61M、61C、61Yの非駆動時に離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yに係合してヘッド61M、61C、61Yのノズルを一括してキャップする。キャップ手段72は、ヘッド61BKをキャップすることはない。キャップ手段72は、メンテナンス手段70におけるセンサ86BK、86M、86C、86Yの代わりに、キャップ38’が離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yに対向した位置を占めていることを検知するセンサ93を有している。キャップ38’及び往復移動手段77’はカラーキャップユニット88’を構成している。キャップ38’は、マゼンタ、シアン、イエローのカラー記録液の液滴を吐出するカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bをキャップするカラー印字液滴ヘッドキャップ群を構成している。
【0081】
したがって、キャップ移動手段74’は、往復移動手段77’により、モータの駆動により係合部73’を往復動させることが可能となっているとともに、センサ86、93の何れかが固定部材79’を検知するようにモータを駆動することで、キャップ38’を離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yに対向した位置またはホームポジションに正確に位置決め可能となっており、また、キャップ38’を往復移動手段77’により離間位置を占めたヘッド61M、61C、61Yに対向した位置に位置決めした状態で、上下移動手段78’により、ステッピングモータを所定量駆動することでキャップ38’を所定量上方に移動させ、ヘッド61M、61C、61Yに係合させることが可能となっている。なお、ステッピングモータの代わりに上下方向におけるキャップ38’の位置を検知するセンサとモータとの組み合わせを用いても良い。
【0082】
クリーニングユニット71は、メンテナンス時における係合部73の往復動後、係合部73がホームポジションに復帰した状態で、係合部73、すなわち少なくともキャップ38、ワイパー39等のクリーニングを行う。クリーニングユニット71による係合部73のクリーニングは、その他、所定枚数の画像形成後など定期的に行っても良い。
【0083】
図4に示すように、制御部40は、画像形成動作時すなわち印刷動作時、CPU46によりホストI/F47に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC48にてデータの並び替え処理等、場合によっては、画像処理の一部の処理を行ってヘッド駆動制御部49に画像データを転送する。画像出力するための印刷データのビットマップデータすなわち印刷ラスタデータへの変換は、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開し印刷データの印刷ラスタデータを作成した上で、該印刷ラスタデータを制御部40に転送するようにしている。
【0084】
ヘッド駆動制御部49は、印刷ラスタデータを受け取ると、このドットパターンデータである印刷ラスタデータを、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ50にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバ50に送出する。
【0085】
ヘッド駆動制御部49は、駆動波形である駆動信号のパターンデータを格納したROM51(専用のROMであっても良い)と、このROM51から読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
【0086】
ヘッドドライバ50は、ヘッド駆動制御部49からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部49からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路であるレベルシフタと、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイであるスイッチ手段等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的にヘッド61BK、61M、61C、61Yのアクチュエータ手段としてのインク吐出手段に印加してヘッド61BK、61M、61C、61Yを駆動し、画像データを印刷してドットパターンを形成する。この点、ヘッドドライバ50は、画像形成が行われるときにヘッド61BK、61M、61C、61Yを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段として機能する。
【0087】
制御部40は、ROM52に、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの放置時間及び環境温湿度と空吐出量の関係を、設計時に作成されたテーブルである制御シーケンステーブルとして格納している。
【0088】
制御部40は、他に、画像形成ユニット移動モータ42の駆動制御を行う画像形成ユニット移動モータ駆動部53と、搬送ベルト移動モータ45の駆動制御を行う搬送ベルト移動モータ駆動部54と、吸引ファンモータ44の駆動制御を行う吸引ファン駆動部55とを有している。
【0089】
このような構成の画像形成装置100において、モノクロ画像を形成するときには、図4に示した状態において、モノクロ画像形成開始の旨の所定の信号の入力により、給紙ユニット20から用紙Sが送り出され、この用紙Sが搬送ユニット10によって搬送される過程で、ヘッド61BKからブラックの記録液が、用紙Sの所定位置に吐出され、用紙S上に画像が担持される。画像を担持し画像形成が行われた用紙Sは、搬送ユニット10によってさらに搬送され、排紙台25上に排出される。
【0090】
また画像形成装置100においてカラー画像を形成するときには、図1に示した状態において、カラー画像形成開始の旨の所定の信号の入力により、給紙ユニット20から用紙Sが送り出され、この用紙Sが搬送ユニット10によって搬送される過程で、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの記録液が、用紙Sの同じ位置に重なるように、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして順次重ね合わされる態様で吐出され、用紙S上に画像が担持される。画像を担持し画像形成が行われた用紙Sは、搬送ユニット10によってさらに搬送され、排紙台25上に排出される。
【0091】
そして、これらの画像形成後は、図9に示すようにして、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BKをメンテナンス手段70でキャップして保湿するとともに、カラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yをキャップ手段72によってキャップして保湿する状態とする。
【0092】
具体的には、モノクロ画像形成後すなわちモノクロ印刷完了状態では、同図(a)に示すように、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BKが維持位置に移動するまで、移動機構により、ヘッド61BKを上方に駆動し(S9a1、S9a2)、ヘッド61BKが維持位置を占めたら、キャップ38がヘッド61BKをキャップするまで、キャップ移動手段74により、係合部73を駆動し(S9a3、S9a4)、キャップ38がヘッド61BKをキャップすると、次の工程に移る(S9a5)。
【0093】
また、カラー画像形成後すなわちカラー印刷完了状態では、同図(b)に示すように、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BK及びカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yが維持位置に移動するまで、移動機構により、ヘッド61BK及びヘッド61M、61C、61Yを上方に駆動し(S9b1、S9b2)、ヘッド61BK及びヘッド61M、61C、61Yが維持位置を占めたら、キャップ38がヘッド61BKをキャップするとともにキャップ38’がヘッド61M、61C、61Yをキャップするまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動するとともにキャップ移動手段74’によりキャップ38’を駆動し(S9b3、S9b4)、キャップ38がヘッド61BKをキャップするともにキャップ38’がヘッド61M、61C、61Yをキャップすると、次の工程に移る(S9b5)。
【0094】
このようにしてキャップを行うことで、ヘッド61BK、61M、61C、61Yは保湿され、記録液の乾燥による増粘が抑制されるが、かかるステップS9a5、S9b5における次の工程が、たとえば次の画像形成動作である場合において、その開始までの待機時間が長時間になっている場合、環境温度が高い場合、環境湿度が低い場合などは、ノズル内の記録液の粘度が高まり、吐出が不安定となる状態が生じ得る。そのため、制御部40は、ROM52に記憶している、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの放置時間及び環境温湿度と空吐出量の関係を読み出すなどして、次の画像形成前等に、必要に応じ、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う。
【0095】
このメンテナンスは、図6に示すように、係合部73を、このホームポジションを起点として、ヘッド61BK、61M、61C、61Yとの対向領域を往復動させながら行う。同図(a)は、係合部73がかかる対向領域を往動している状態を示しており、同図(b)は係合部73がかかる対向領域を復動している状態を示している。メンテナンスはヘッド61BK、61M、61C、61Yの移動を伴わずに実施されるため、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの各ノズルにおいて、かかる移動に起因する振動等でメニスカスが不安定となったり破壊されたりすることが抑制ないし防止される。
【0096】
画像形成装置100では、かかるメンテナンスを、キャップ38への記録液の空吐出、または流出によって行うことが可能となっている。空吐出とは、画像形成を目的とせずノズル内の記録液の更新によるメンテナンスを目的としてヘッドドライバ50によりヘッド61BK、61M、61C、61Yからキャップ38へ記録液を吐出させることである。流出には、加圧流出と吸引流出とがある。加圧流出とは、かかる目的と同じ目的によりポンプ82BK、82M、82C、82Yの加圧によりヘッド61BK、61M、61C、61Yからキャップ38へ記録液を吐出させるようにして排出させ流出させることである。吸引流出とは、かかる目的と同じ目的によりポンプ75の吸引によりヘッド61BK、61M、61C、61Yからキャップ38内に記録液を吸引して流出させることである。このように、ポンプ75は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから記録液を吸引してヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行なうために備えられている。
【0097】
流出によるメンテナンスは、流出した記録液をワイパー39によって拭ってクリーニングすることと併せて行われる。ワイパー39によってヘッド61BK、61M、61C、61Yから除去された記録液は、流出によりキャップ38内に進入した記録液とともに、排出経路76を介して記録液貯め部に収納される。
【0098】
空吐出と流出とは、何れか一方が選択されて行なわれる。空吐出によるメンテナンスの選択は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間、環境音湿度等に応じた制御部40の判断によって主に行われ、流出によるメンテナンスの選択は、操作パネル41を用いたユーザーの操作によって主に行われる。流出によるメンテナンスの場合、加圧流出と吸引流出の何れか一方が実施されても良いし、これらの両方が実施されても良い。
【0099】
空吐出による各ヘッド61BK、61M、61C、61Yからの記録液の吐出量、流出による各ヘッド61BK、61M、61C、61Yからの記録液の流出量は何れも、制御部40の判断によって決定される。かかる吐出量、流出量は、その選択条件が同じ場合には同量となるように制御部40により決定される。すなわち、たとえば、空吐出については、ノズル内の記録液の更新に必要な、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出されるべき記録液の量が、必要吐出量として、ROM52に記憶された制御シーケンステーブルに記憶されている。流出についても同様に、ROM52に記憶された制御シーケンステーブルに、ノズル内の記録液の更新に必要な、ヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出されるべき記録液の量が、必要流出量としての必要吐出量として記憶されている。この必要流出量は、流出を加圧流出によって行う場合については、必要吐出量としての必要加圧流出量として記憶されており、流出を吸引流出によって行う場合については、必要吐出量としての必要吸引流出量として記憶されている。
【0100】
ところで、かかるメンテナンスを、かりに、同図(a)に示した往動時においてヘッド61BK、61M、61C、61Yの順で行うとすると、メンテナンス後、キャップ38をホームポジションに復帰させるまでの間にヘッド61BK、61M、61C、61Yのノズル内の記録液の増粘が始まる。特に最初にメンテナンスを行うヘッド61BKは、空吐出後キャップ38が往復動してホームポジションに復帰するまでの時間が長時間となる。この点を考慮し、メンテナンスを、かりに、同図(b)に示したヘッド61BK、61M、61C、61Yの順で行うとすると、この場合は、ヘッド61BKのメンテナンスが最後となるため、ヘッド61BKに関しては、メンテナンス後キャップ38がホームポジションに復帰するまでの時間が短縮される。ところがこの場合、今度は、最初にメンテナンスを行うヘッド61Yの、メンテナンス後キャップ38がホームポジションに復帰するまでの時間が長時間となる。
【0101】
そこで、画像形成装置100では、同図に示すように、同図(a)の往動時及び同図(b)の復動時にメンテナンスを行うこととするとともに、同図(b)に示した、係合部73がかかる対向領域を復動している状態でのメンテナンスを行う時間を、同図(a)に示した、係合部73がかかる対向領域を往動している状態でのメンテナンスを行う時間よりも少なくすることで、係合部73がかかる対向領域を復動している状態でのメンテナンスを行う時間を短縮し、空吐出後係合部73がホームポジションに復帰するまでの各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間を短縮している。
【0102】
具体的には、メンテナンスを空吐出により行なう場合は、必要吐出量を、係合部73の復動時に各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出される記録液の量が、係合部73の往動時に各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから吐出される記録液の量よりも少なくなるように配分すること、言い換えると、かかる後者の量とこれより少ない前者の量との和が必要吐出量に一致するようにすることで、係合部73の復動時のメンテナンス時間を、係合部73の往動時のメンテナンス時間よりも少なくしている。メンテナンスを流出により行なう場合は、必要流出量を、係合部73の復動時に各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから加圧流出または吸引流出により流出する記録液の量が、係合部73の往動時に各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから加圧流出または吸引流出により流出する記録液の量よりも少なくなるように配分すること、言い換えると、かかる後者の量とこれより少ない前者の量との和が必要吐出量に一致するようにすることで、係合部73の復動時のメンテナンス時間を、係合部73の往動時のメンテナンス時間よりも少なくしている。
【0103】
図10を参照しながら、かかるメンテナンスをヘッド61BK、61M、61C、61Yについて行う場合について説明する。なお、ここでは、かかるメンテナンスを、キャップ38への記録液の空吐出によって行う場合について説明する。
【0104】
空吐出によるメンテナンスの選択が、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間、環境音湿度等に応じた制御部40の判断等によって行われると、制御部40は、ROM52に記憶されている空吐出シーケンスを読み出し、これを開始する。
【0105】
すなわち、ブラック印字液滴吐出ヘッド群61Aを構成しているヘッド61BK及びカラー印字液滴吐出ヘッド群61Bを構成しているヘッド61M、61C、61Yが維持位置に移動するまで、移動機構により、ヘッド61BK及びヘッド61M、61C、61Yを上方に駆動し(S1001、S1002)、ヘッド61BK及びヘッド61M、61C、61Yが維持位置を占めたら、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKのノズル群BKを密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1003、S1004)、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKのノズル群BKを密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61BKを駆動して必要吐出量の50%を上回る量で記録液を空吐出させる(S1005)。
【0106】
次いで、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61Mのノズル群C1を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1006〜S1008)、キャップ38がヘッド61Mをキャップしてヘッド61Mのノズル群C1を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Mを駆動して必要吐出量の50%を上回る量で記録液を空吐出させる(S1009)。
【0107】
次いで、キャップ38がヘッド61Cをキャップしてヘッド61Cのノズル群C2を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1010〜S1012)、キャップ38がヘッド61Cをキャップしてヘッド61Cのノズル群C2を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Cを駆動して必要吐出量の50%を上回る量で記録液を空吐出させる(S1013)。
【0108】
次いで、キャップ38がヘッド61Yをキャップしてヘッド61Yのノズル群C3を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1014〜S1016)、キャップ38がヘッド61Yをキャップしてヘッド61Yのノズル群C3を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Mを駆動して必要吐出量の100%の量で記録液を空吐出させる(S1017)。なお、図6及び上述の説明では、係合部73の復動時にヘッド61Yから吐出される記録液の量が、係合部73の往動時にヘッド61Yから吐出される記録液の量よりも少なくなるように必要吐出量を2回の空吐出に分けて配分すると記載しているが、ヘッド61Yに関しては、前者の量の空吐出後すぐに後者の量の空吐出を行うため、ステップS1016では、前者の量の空吐出と後者の量の空吐出とを連続して行い必要吐出量の100%の量で記録液を空吐出するものと説明している。
【0109】
次いで、キャップ38がヘッド61Cをキャップしてヘッド61Cのノズル群C2を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1018〜S1020)、キャップ38がヘッド61Cをキャップしてヘッド61Cのノズル群C2を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Cを駆動して必要吐出量の残りの量で記録液を空吐出させる(S1021)。
【0110】
次いで、キャップ38がヘッド61Mをキャップしてヘッド61Mのノズル群C1を密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1022〜S1024)、キャップ38がヘッド61Mをキャップしてヘッド61Mのノズル群C1を密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61Mを駆動して必要吐出量の残りの量で記録液を空吐出させる(S1025)。
【0111】
最後に、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKのノズル群BKを密閉するまで、キャップ移動手段74により係合部73を駆動し(S1026〜S1028)、キャップ38がヘッド61BKをキャップしてヘッド61BKのノズル群BKを密閉すると、ヘッドドライバ50によりヘッド61BKを駆動して必要吐出量の残りの量で記録液を空吐出させる(S1029)。その後、図示しないが、係合部73はホームポジションに復帰する。
【0112】
なお、このようなメンテナンス動作に続いて画像形成を行う場合には、画像形成がカラー画像形成であるかモノクロ画像形成であるかに応じて、キャリッジ37A及びキャリッジ37B、あるいはキャリッジ37Aのみを記録位置に移動させ、後述のようにして、画像形成のために用紙Sに対する記録液の吐出を行う前に、ヘッドドライバ50によりヘッド61BK、61M、61C、61Yあるいはヘッド61BKを駆動してA1方向に移動している搬送ベルト11に向けて記録液を吐出し、画像形成に用いるヘッド61BK、61M、61C、61Yあるいはヘッド61BKの状態をさらに良好にする。この印字前空吐出である予備吐出によりヘッド61BK、61M、61C、61Yあるいはヘッド61BKから吐出された記録液は、搬送ベルト11に形成された多数の孔を透過して、インク受け15によって受け止められる。
【0113】
また、メンテナンスを流出で行う場合には、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出した記録液を、ワイパー39で拭う動作が入る。具体的には、係合部73の往動時においては、係合部73の移動方向においてワイパー39はキャップ38の下流側に位置しているため、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出した記録液を拭う際には、キャップ38によるヘッド61BK、61M、61C、61Yのキャップを解除した後、係合部73を一旦かかる移動方向の上流側に戻してからワイパー39をヘッド61BK、61M、61C、61Yに係合させ、かかる移動方向の下流側に移動させる動作が加わる。一方、係合部73の復動時においては、係合部73の移動方向においてワイパー39はキャップ38の上流側に位置しているため、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yから流出した記録液を拭う際には、キャップ38によるヘッド61BK、61M、61C、61Yのキャップを解除した後、係合部73をかかる移動方向の上流側に戻す動作を入れずにワイパー39をヘッド61BK、61M、61C、61Yに係合させ、かかる移動方向の下流側に移動させる。そのため、復動時のメンテナンスにかかる時間がさらに短縮されている。
【0114】
このような動作により、図11に示すように、ヘッド61M、61C、61Yの空吐出によるメンテナンス後、係合部73がホームポジションに復帰するまでの時間である待機時間が短縮される。同図において、かかる時間は、デキャップ期間として示されており、とくにかかる待機時間は、着色部分によって示されている。
【0115】
同図において(b−1)は、本発明を適用せず、係合部73の往動時と復動時とで必要吐出量が等分されるように分配した例を示している。同図において(b−2)は、本発明を適用し、係合部73の往動時と復動時とで必要吐出量を75%と25%とで分配した例を示している。同図において(b−3)は、本発明を適用し、係合部73の往動時と復動時とで必要吐出量を90%と10%とで分配した例を示している。
【0116】
その他、同図に示した例の条件は、必要吐出量を各ノズルから吐出される記録液の2000滴とし、吐出の周波数を1kHzとし、係合部73が隣り合う各ヘッド61BK、61M、61C、61Y間を移動する列間移動時間を1秒としている。
【0117】
同図(b−1)、(b−2)、(b−3)に示した各例において、メンテナンス開始から終了までの所要時間は同じであるが、同図(b−1)に示した例よりも、同図(b−2)、(b−3)に示した各例の方が、ヘッド61M、61C、61Yの待機時間が短縮されており、特に、係合部73のホームポジションから最も遠い位置にあるヘッド61Yに関しては、同図(b−1)に示した例においては、待機時間が7秒であるのに対し、同図(b−2)に示した例においては、待機時間が5.5秒、同図(b−3)に示した例においては、待機時間が4.6秒となり、待機時間が大幅に短縮されている。
【0118】
このように、各ヘッド61M、61C、61Yの待機時間が短縮される態様で、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間の差が低減されている。このことも、メンテナンス後の画像形成時にすべてのヘッド61BK、61M、61C、61Yから記録液が良好に吐出され、画像乱れを低減することに寄与する。
【0119】
なお、画像形成装置100のように、記録液に水性顔料インクを用いている場合には、増粘速度が比較的速いことから、必要吐出量を多くする必要があるが、そのため、メンテナンス時において係合部73の移動を停止する必要があり、待機時間が長くなってしまうというトレードオフの事情があるところ、待機時間の短縮は、良好な画像形成に非常に有効である。一方、記録液の性能や環境によって必要吐出量が少なくて済む場合も、この場合には例えば復動時において係合部73を停止させることが不要となるなどして、待機時間がさらに短縮されるという利点がある。また、復動時において係合部73を停止させることが不要である場合には、復動時のメンテナンスに要する時間が少なくなるため、この時間が往動時のメンテナンスに要する時間を下回る範囲において、必要吐出量を、往動時の吐出量が復動時の吐出量以上となるようにすることも可能である。
【0120】
以上、空吐出によるメンテナンスを行う場合について主に説明したが、流出によるメンテナンスを行う場合も、同様の制御によりヘッド61M、61C、61Yについての同様の待機時間の短縮がなされる。
【0121】
このようなメンテナンス動作に続いて画像形成を行う場合には、画像形成がカラー画像形成であるときには、キャリッジ37A及びキャリッジ37Bを記録位置に移動させ、画像形成のために用紙Sに対する記録液の吐出を行う前に、ヘッドドライバ50によりヘッド61BK、61M、61C、61Yを駆動してA1方向に移動している搬送ベルト11に向けて記録液を予備吐出して、画像形成に用いるヘッド61BK、61M、61C、61Yあるいはヘッド61BKの状態をさらに良好にするが、この予備吐出量は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間の長短を考慮して調整される。
【0122】
すなわち、図11から明らかなように、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの待機時間はこの順で漸増するため、ヘッド61BK、61M、61C、61Yの予備吐出量は、この順で順次多くなるようになっている。すなわち係合部73の往動開始側であるホームポジション側におけるヘッド61BKよりも、係合部73の復動開始側におけるヘッド61Yの方が予備吐出量が多くなるように、ヘッドドライバ50により、ヘッド61BK、61M、61C、61Yを駆動する。
【0123】
各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの予備吐出量は、画像形成時における記録液の吐出状態が各ヘッド61BK、61M、61C、61Yで均一となる範囲で可能な限り少なくなるように設定されており、これにより、より良好な画像形成が行われる。この予備吐出量は、メンテナンス時において係合部73の往動時にのみ記録液の吐出、流出を行う場合よりも少なくて済む。これは、メンテナンス時において係合部73の復動時にヘッド61M、61C、61Yから記録液の吐出、流出を行うため、この吐出、流出を行った後のヘッド61M、61C、61Yの待機時間が短縮されているためである。予備吐出量の低減は、用紙Pの一枚あたりの画像形成コストの低減を含む画像形成コストの低減に寄与している。同様に、上述のメンテナンスを行なった後、再度、ヘッド61BK、61M、61C、61Yが非駆動状態とされたときなど、再びメンテナンスを行う場合にも、必要吐出量が低減され、用紙Pの一枚あたりの画像形成コストの低減を含む画像形成コストの低減に寄与している。
【0124】
制御部40は、ROM51に、以上述べた、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスが行われるときにヘッド61BK、61M、61C、61Yに対向する領域を往復動するメンテナンス手段70を用い、メンテナンス手段70がかかる領域を復動するときにヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う時間を、メンテナンス手段70がかかる領域を往動するときにヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行う時間よりも少なくしてヘッド61BK、61M、61C、61Yのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス方法を実行するためのヘッドメンテナンスプログラムを記憶している。この点、制御部40ないしROM51は、ヘッドメンテナンスプログラム記憶手段として機能している。かかるヘッドメンテナンスプログラムは、制御部40に備えられたROM51のみならず、半導体媒体(たとえば、RAM、不揮発性メモリ等)、光媒体(たとえば、DVD、MO、MD、CD−R等)、磁気媒体(たとえば、ハードディスク、磁気テープ、フレキシブルディスク等)その他の記憶媒体に記憶可能であり、かかるメモリ、他の記憶媒体は、かかるヘッドメンテナンスプログラムを記憶した場合に、かかるヘッドメンテナンスプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体を構成する。
【0125】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0126】
たとえば、図12に示すように、キャリッジ37Aとキャリッジ37Bとを一体化し、ヘッド61BK、61M、61C、61Yが一体で保持され上下に移動するように構成するとともに、係合部73と係合部73’とを一体化することでメンテナンス手段70とキャップ手段72とを一体化し、係合部73と係合部73’とが一体で上下左右に移動するように構成してもよく、この構成では、移動機構が簡略化されるとともにメンテナンス手段70とキャップ手段72とも簡略化される。この場合、係合部73がヘッド61Yのキャップを行い、また係合部73、73’のホームポジションを同図(a)において破線で示す位置とすると、係合部73はその往動方向における最下流に位置する。
【0127】
上述の例では、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yが、副走査方向において2列のノズルを備えているとともに、係合部73、73’が各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの2列のノズルに対応したキャップ38、38’、ワイパー39を備えており、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yの2列のノズルを一括してキャップ可能、ワイピング可能としており、メンテナンス時における係合部73、73’の移動回数を少なくしてメンテナンスに要する時間を短縮しているが、副走査方向におけるキャップ、ワイパーの列数をヘッド61BK、61M、61C、61Yのノズルの列数より少なくして、副走査方向におけるメンテナンス手段70やキャップ手段72の幅を小さくするようにしてもよい。
【0128】
また、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yは4列あるいは他の列数のノズルを有していても良い。
キャップ手段71は、ヘッド61BK、61M、61C、61Yのすべてに対応する一体型となっているが、たとえば上述の例のように吸引手段、ワイピング部材などのメンテナンス機構を備えていない場合には、各ヘッド61BK、61M、61C、61Yのそれぞれに対応して分割された、言い換えると独立した態様で備えられていてもよい。
【0129】
上述の例では、A1方向上流側から下流側に向けてブラック、マゼンタ、シアン、イエローの順で画像形成を行っているが、画像形成の順はかかる順に限らず、たとえばブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順としても良い。
各ヘッドから吐出する記録液の色は、上述の例に限られるものではなく、たとえば、その他の2次色の記録液やグレーインク等の記録液を吐出するようにしても良い。
【0130】
メンテナンス時において、移動機構によりヘッド61BK、61M、61C、61Yを上下動させて、キャップ、クリーニング等を行なうようにすれば、上下移動手段78、78’を省略可能である。
【0131】
本発明を適用する画像形成装置は、上述のタイプの画像形成装置に限らず、インクジェット方式であれば、他のタイプの画像形成装置、すなわち、複写機、ファクシミリの単体、あるいはプリンタとこれらの何れか複数を組み合わせた複合機、その他、電気回路形成に用いられる画像形成装置、バイオテクノロジー分野において所定の画像を形成するのに用いられる画像形成装置であっても良い。
【0132】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0133】
38 記録液受け部材、キャップ部
39 ワイピング部材
50 ヘッド駆動手段
61BK、61M、61C、61Y ヘッド
70 メンテナンス手段
75 吸引手段
76 排出経路
82BK、82M、82C、82Y 圧送手段
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0134】
【特許文献1】特開平9−70961号公報
【特許文献2】特開2009−78539号公報
【特許文献3】特許3231144号公報
【特許文献4】特開2008−290400号公報
【特許文献5】特許3670428号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を有し、
同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくした画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出される記録液を受ける記録液受け部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量よりも少なくしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出されるべき必要吐出量に一致することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、
画像形成が行われるときにヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段を有し、このヘッド駆動手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドを駆動してヘッドから記録液を吐出させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
ヘッドに向けて記録液を圧送する圧送手段を有し、この圧送手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに向けて記録液を圧送してヘッドから記録液を排出させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときに、ヘッドから記録液を吸引してヘッドのメンテナンスを行うための吸引手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量よりも少なくしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときに同吸引手段によりヘッドから吸引されるべき必要吸引量に一致することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項2ないし9の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を拭ってヘッドをクリーニングするワイピング部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項2ないし10の何れか1つに記載の画像形成装置に従属する画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を排出する排出経路を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を往復動した後、ヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段により、前記メンテナンス手段が前記領域を往動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量よりも、前記メンテナンス手段が前記領域を復動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量が多くなるように、ヘッドを駆動して記録液を吐出させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、ヘッドの非駆動時にヘッドをキャップするキャップ部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を用い、
同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくしてヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス方法。
【請求項1】
ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を有し、
同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくした画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出される記録液を受ける記録液受け部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量よりも少なくしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときにヘッドから吐出される記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドから吐出される記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドから吐出されるべき必要吐出量に一致することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、
画像形成が行われるときにヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段を有し、このヘッド駆動手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドを駆動してヘッドから記録液を吐出させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
ヘッドに向けて記録液を圧送する圧送手段を有し、この圧送手段により、ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに向けて記録液を圧送してヘッドから記録液を排出させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、ヘッドのメンテナンスが行われるときに、ヘッドから記録液を吸引してヘッドのメンテナンスを行うための吸引手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を復動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量を、同メンテナンス手段が前記領域を往動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量よりも少なくしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を往動するときに前記吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量と、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときに同吸引手段がヘッドから吸引する記録液の量との和が、ヘッドのメンテナンスが行われるときに同吸引手段によりヘッドから吸引されるべき必要吸引量に一致することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項2ないし9の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を拭ってヘッドをクリーニングするワイピング部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項2ないし10の何れか1つに記載の画像形成装置に従属する画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、吐出または吸引によりヘッドから流出した記録液を排出する排出経路を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段が前記領域を往復動した後、ヘッドを駆動して記録液を吐出させるヘッド駆動手段により、前記メンテナンス手段が前記領域を往動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量よりも、前記メンテナンス手段が前記領域を復動し始める側におけるヘッドからの記録液の吐出量が多くなるように、ヘッドを駆動して記録液を吐出させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記メンテナンス手段は、ヘッドの非駆動時にヘッドをキャップするキャップ部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
ヘッドのメンテナンスが行われるときにヘッドに対向する領域を往復動するメンテナンス手段を用い、
同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間を、同メンテナンス手段が前記領域を復動するときにヘッドのメンテナンスを行う時間よりも少なくしてヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−131443(P2011−131443A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291521(P2009−291521)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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