説明

画像形成装置、及び画像データ転送方法

【課題】同じ内部バスを介して複数の用途の画像データが並行して転送される状況に応じて、各用途の画像データの転送をより適切に制御するための技術を提供する。
【解決手段】PCIアクセスコントローラ12は、各ビデオ転送コントローラ34からデータ取得要求信号が出力される状況下において、LCDコントローラ21がLCD表示部22に動作用に供給するクロックLcdClk、水平同期信号LcdHsync、及び垂直同期信号LcdVsyncの周期を共に通常時よりも長くさせる。それにより、LCD表示部22用の画像データの転送頻度を抑え、各ビデオ転送コントローラ34への画像データの適切な転送を確実にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通の転送経路を介した画像データの転送により複種類の画像形成を並行して可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を記録紙上に記録する画像形成装置では、通常、カラー画像の形成に4色の画像データが用いられる。近年の画像形成装置には、記録紙上に画像を記録するプロセスを色毎に連続して行えるタンデム方式が多く採用されている。そのタンデム方式を採用した画像形成装置は、カラー画像であっても高速に記録紙上にカラー画像を記録することができる。
【0003】
画像形成装置の大部分には、操作の案内やアラーム報知のために表示装置が搭載されている。その表示装置の多くは、液晶表示装置(LCD)である。そのLCDは、図4に表すように、水平同期信号/HSYNCによりライン毎の描画が管理され、垂直同期信号/VSYNCにより画面毎の描画が管理される。描画動作は、クロックDotClkにより管理され、水平同期信号/HSYNCが有効、つまり信号レベルがLとなってから次に有効となるまでの間、クロックDotClkにより画像データDataに従ってライン上の各画素の描画(駆動)が行われる。
【0004】
画像形成装置において、印刷用の画像データ、及び表示用の画像データは一般的に、CPUが管理するメモリ上に格納されている。それらは、同じ内部バスを介して随時、転送されるのが普通である。それにより、例えば画面(ページ)単位で画像データは転送される。
【0005】
タンデム方式では、高速印刷が可能である。解像度、及び階調度は共に高くなっており、1ページ(枚)当たりの画像データのデータ量は非常に大きいのが普通である。画素数の多い、或いは、階調度の高いLCDでも、LCD用に転送される画像データのデータ量が非常に大きくなる可能性がある。このため、そのようなLCDを画像形成装置に搭載させた場合、LCD用の画像データの転送に内部バスが使用される時間が長くなり、印刷用の画像データの転送が阻害される可能性が高くなる。印刷用の画像データの転送が阻害されると、適切な印刷が行えなくなる。
【0006】
不適切な印刷を行った場合、ユーザに再度の印刷を行わせることになるから、不適切な印刷を行うことは非常に望ましくない。一方、LCD用の画像データの転送が阻害されると、表示される画像の更新間隔が長くなって、ちらつきが生じやすくなる。このちらつきの発生も望ましくない。
【0007】
画像形成装置に採用される内部バスは、通常、規格によって転送速度が定められているものである。それにより、内部バスの転送速度には事実上、上限が存在する。このことも考慮するならば、LCD用、印刷用の各画像データの転送が並行して行われる可能性のある画像形成装置では、状況に応じて各画像データの転送を制御することが重要と考えられる。これは、表示、及び印刷のうちの少なくとも一方が異なる用途であった場合も同様である。また、表示、及び印刷の2種類の用途ではなく、3種類以上の用途で画像データが並行して転送される可能性がある場合も同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−161242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、同じ内部バスを介して複数の用途の画像データが並行して転送される状況に応じて、各用途の画像データの転送をより適切に制御するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、本発明の請求項1の発明によれば、画像データを用いて第1の対象上に画像形成を行う第1の画像形成手段と、前記画像データを用いて、前記第1の画像形成手段とは異なる第2の対象上に画像形成を行う第2の画像形成手段と、前記第1及び第2の画像形成手段にそれぞれ前記画像データを供給するデータ供給手段と、前記データ供給手段による前記画像データの前記第1及び第2の画像形成手段への供給に用いられる転送手段と、前記第1の画像形成手段への前記画像データの供給状況を監視し、該供給状況を基に、前記第2の画像形成手段が前記画像形成に用いる前記画像データの供給量を制御する供給量制御手段と、を具備する画像形成装置を提供することによって実現できる。
【0011】
上記第1の画像形成手段は、表示色の異なる複数の前記画像データを用いて前記第1の対象とする記録紙上にカラー画像を形成可能な印刷手段であり、上記第2の画像形成手段は、前記第2の対象とする表示装置上に画像形成を行う描画手段であった場合、例えば請求項2に記載するように、供給量制御手段は、前記第1の画像形成手段から所定数以上の前記画像データが要求された場合に、前記第2の画像形成手段への前記画像データの供給量を低下させる、ことが望ましい。また、供給量制御手段が前記第2の画像形成手段への前記画像データの供給量を低下させた場合、例えば請求項3に記載するように、該第2の画像形成手段が前記画像形成を行う描画速度を低下させる、ことが望ましい。
【0012】
上記課題は、本発明の請求項4の発明によれば、画像データを用いて第1の対象上に画像形成を行う第1の画像形成手段と、前記画像データを用いて、前記第1の画像形成手段とは異なる第2の対象上に画像形成を行う第2の画像形成手段と、前記第1及び第2の画像形成手段にそれぞれ前記画像データを供給するデータ供給手段と、前記データ供給手段による前記画像データの前記第1及び第2の画像形成手段への供給に用いられる転送手段と、を備えた画像形成装置に適用され、前記第1の画像形成手段への前記画像データの供給状況を監視し、該供給状況を基に、前記第2の画像形成手段が前記画像形成に用いる前記画像データの供給量を制御する画像データ転送方法を提供することによって実現できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、同じ転送手段(内部バス)を介して用途が異なる複数の画像データが転送される場合、各用途に事実上の優先順位を設け、複数の用途の画像データが並行して転送される状況下では、優先順位の低い用途の画像データの転送速度を通常よりも低下させ、優先順位の高い用途の画像データの転送速度を必要なレベルに維持させる。それにより、各用途の画像データの転送が行える環境は維持されつつ、より重大となる不具合の発生は回避される。このため、各用途の画像データの転送はより適切に制御されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態による画像形成装置の回路構成を説明する図である。
【図2】本実施形態による画像形成装置で送受信される各種信号の出力例を表すタイムチャートである(2色のトナーを用いた印刷が行われる場合)。
【図3】本実施形態による画像形成装置で送受信される各種信号の出力例を表すタイムチャートである(4色のトナーを用いた印刷が行われる場合)。
【図4】LCDにおける画像表示に用いられる各種信号のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態による画像形成装置の回路構成を説明する図である。この画像形成装置1は、例えば電子写真方式で記録紙上に画像形成、つまり印刷を行うプリンター、コピー機、或いはデジタル複合機である。図1には、本実施形態に係わる重要な構成要素のみを抜粋して表している。それにより、例えばネットワークを介して通信を行うためのネットワークインターフェース、原稿を読み取るためのスキャナ、ユーザによるキー操作を可能とさせるオペレーションパネル、プログラムが格納されたメモリ、及び各種モータ等は省略している。
【0016】
この画像形成装置1では、CPU11及びPCI(Peripheral Components Interconnect)アクセスコントローラ12が内部バスであるPCIバス13と接続されている。CPU11にはRAM14が接続され、このRAM14には画像データが格納されている。RAM14に格納された画像データは、例えばネットワークを介して受信するか、或いはスキャナにより読み取られたものである。
【0017】
図1において、PCIバス13とPCIアクセスコントローラ12の間に「REQ#」「GNT#」「FRAME#」「TRDY#」「AD」を表記している。これらはそれぞれ、リクエスト信号、PCIバス13へのアクセスの許可を示す信号、データ転送中を示す信号、ターゲットのデータ転送の準備が整ったことを示す信号、データにアクセスするアドレスを表すアドレスデータ信号、を表している。
【0018】
PCIアクセスコントローラ12には、他に、LCDコントローラ21とビデオ転送コントローラ群33が接続されている。それにより、PCIアクセスコントローラ12は、PCIバス13と、LCDコントローラ21及びビデオ転送コントローラ群33との間のデータ転送を制御する。LCDコントローラ21とビデオ転送コントローラ群33を構成する4つのビデオ転送コントローラ34からはそれぞれ、データ取得要求を受け、PCIバス13にアクセスする。複数のデータ取得要求を受けた場合、優先順位に従って1データ取得要求を選択しPCIバス13にアクセスするアービトレーション機能を備えている。
図1において、PCIアクセスコントローラ12とLCDコントローラ21の間に「LcdReq」「LcdAck」「LcdData」を表記している。これらはそれぞれ、データ取得要求信号、その応答(データ取得を許可することを示す)信号、及び画像データ(信号)、を表している。
【0019】
LCDコントローラ21には、他に、グラフィックLCD表示部22が接続されている。このグラフィックLCD表示部22は、LCDコントローラ21から出力された画像データを用いて画像を描画(形成)する表示装置である。LCDコントローラ21は、LCD表示部22を制御して、出力した画像データを用いた画像の描画を行わせる。
【0020】
LCDコントローラ21とLCD表示部22の間には、「LcdVsync」「LcdHsync」「LcdClk」「LcdData」が表記されている。これらはそれぞれ、垂直同期信号、水平同期信号、クロック、画像データ、を表している。それにより、LCD表示部22は、垂直同期信号LcdVsync、水平同期信号LcdHsync及びクロックLcdClkにより動作速度が管理される。
【0021】
画像形成装置1は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(ブラック)の4色のトナーを用いて記録紙上への画像形成を行う。ビデオ転送コントローラ群33を構成するビデオ転送コントローラ34が4つなのは、ビデオ転送コントローラ34を色毎に用意したからである。4つのビデオ転送コントローラ34のなかで特定できるものには、34にY、M、C或いはKを続けた符号を付すこととする。それにより、例えばY用のビデオ転送コントローラ34の符号としては「34Y」を用いる。これは、後述するプリンタヘッド31でも同様である。
【0022】
PCIアクセスコントローラ12と例えばビデオ転送コントローラ34Yの間には、「VidReq−Y」「VidAck−Y」「VidData−Y」が表記されている。これらはそれぞれ、Yのデータ取得要求信号、その応答信号、及び画像データ、を表している。他のビデオ転送コントローラ34M〜34Kでは、最後のシンボルがM〜Kの何れかとなっているが、表記されているシンボル列が表す内容は同様である。
【0023】
各ビデオ転送コントローラ34は、プリンタエンジンコントローラ32と接続されている。そのプリンタエンジンコントローラ32は、他に、色毎に用意された計4つのプリンタヘッド31と接続されている。各プリンタヘッド31は、レーザ発光器或いはLED発光素子アレイなどから構成され、対応する色の画像データを用いて不図示の感光体上に書込光の照射、つまり露光を行うためのものである。プリンタエンジンコントローラ32は、各プリンタヘッド31の駆動の他に、記録紙の搬送、感光体上のトナーを記録紙に転写する転写装置の制御、記録紙上に転写されたトナー(トナー像)を定着させる定着装置の制御、等も行うものである。
【0024】
例えばビデオ転送コントローラ34Yとプリンタエンジンコントローラ32の間には、「/VSYNC−Y」「/HSYNC−Y」「/Vdata−Y」が表記されている。これらはそれぞれ、垂直同期信号、水平同期信号、Yの画像データ、を表している。他のビデオ転送コントローラ34M〜34Kでも最後のシンボルがM〜Kの何れかとなっているが、表記されているシンボル列が表す内容は同様である。
【0025】
垂直同期信号/VSYNC−Y及び水平同期信号/HSYNC−Yはプリンタコントローラ32からビデオ転送コントローラ34Yに出力されている。これは、ビデオ転送コントローラ34Yに、プリンタエンジンコントローラ32に画像データを転送するタイミング、その画像データをCPU11から取得するタイミング、つまりデータ取得要求信号VidReq−Yを出力するタイミング等を特定させるためである。
【0026】
図2及び図3は、画像形成装置1で送受信される各種信号の出力例を表すタイムチャートである。図2は、2色(ここではYとM)のトナーを用いた印刷を行う場合のものであり、図3は、4色のトナーを用いた印刷を行う場合のものである。以降、図2及び図3を参照しつつ、上記構成要素の動作について具体的に説明する。
【0027】
図2及び図3では、PCIバス13を転送される信号(図2(a)及び図3(a))、LCDコントローラ21とPCIアクセスコントローラ12間の信号(図2(b)及び図3(b))、LCDコントローラ21からLCD表示部22への信号(図2(c)及び図3(c))、ビデオ転送コントローラ34とPCIアクセスコントローラ12間の信号(図2(d)及び図3(d))、に分けて、各信号の時間変化例を表している。
【0028】
図2(a)及び図3(a)には、PCIバス13を転送される信号として、REQ#、GNT#、FRAME#、TRDY#、AD、を表している。AD(アドレスデータ信号)において、太線で囲まれ、内部に縦線を有する部分は、ADが出力される期間を表している。各太線部分の下方に表記の「LCD」「Vid−Y」「Vid−M」「Vid−C」「Vid−K」はそれぞれ、LCD表示部22用の画像データを読み出すためのアドレスデータ信号、Yのトナーによる印刷用の画像データを読み出すためのアドレスデータ信号、Mのトナーによる印刷用の画像データを読み出すためのアドレスデータ信号、Cのトナーによる印刷用の画像データを読み出すためのアドレスデータ信号、Kのトナーによる印刷用の画像データを読み出すためのアドレスデータ信号、を表している。信号REQ#、GNT#、FRAME#、TRDY#は何れも、Lレベルが有効を表している。
【0029】
図2(b)及び図3(b)では、LCDコントローラ21とPCIアクセスコントローラ12間の信号として、LcdReq、LcdAck、及びLcdDataを表している。信号LcdReq、LcdAckは何れも、Hレベルが有効を表している。LcdDataにおいて、太線で囲まれ、内部に縦線を有する部分は、実際にLcdData(画像データ)が出力される期間を表している。これは、図2(d)及び図3(d)においても同様である。
【0030】
図2(c)及び図3(c)では、LCDコントローラ21からLCD表示部22への信号として、LcdClk、LcdDataを表している。
図2(d)及び図3(d)では、ビデオ転送コントローラ34とPCIアクセスコントローラ12間の信号として、ビデオ転送コントローラ34毎に、3種類の信号を表している。例えばビデオ転送コントローラ34Yでは、VidReq−Y、VidAck−Y、VidData−Yを表している。信号VidReq−Y、VidAck−Yは共に、Hレベルが有効を表している。
【0031】
始めに図2を参照して、各部の動作を説明する。
LCDコントローラ21は、例えば垂直同期信号LcdVsyncを有効とさせるタイミングから、データ取得要求信号LcdReqを出力する(有効とさせる)。それにより、PCIアクセスコントローラ12は、リクエスト信号REQ#をアサートし、更に信号GNT#をアサートする。
【0032】
リクエスト信号REQのアサートによって、CPU1はRAM14から、そのリクエスト信号REQのアサートによって要求された画像データを読み出し、画像データの転送を準備する。その画像データの転送を可能とするために、PCIアクセスコントローラ12は、信号FRAME#をアサートする。CPU11は、信号FRAME#がアサートされた後、更に信号TRDY#がアサートされるのを待って、画像データを転送する。
【0033】
PCIアクセスコントローラ12は、信号FRAME#をアサートさせた後、信号LcdAckをアサートする。それにより、LCDコントローラ21に画像データの転送が通知され、CPU11から送信された画像データはPCIバス13、PCIアクセスコントローラ12を介してLCDコントローラ21に転送される。
【0034】
各ビデオ転送コントローラ34への画像データの転送も、LCDコントローラ21への画像データの転送と同様の手順で行われる。例えばビデオ転送コントローラ34Yがデータ取得要求信号VidReq−Yをアサートすると、PCIアクセスコントローラ12は、リクエスト信号REQ#、GNT#、FRAME#を順次アサートし、更に信号VidAck−Y、TRDY#をアサートする。それにより、ビデオ転送コントローラ34Yは、信号VidAck−Yがアサートされている間に、PCIアクセスコントローラ12を介して転送される画像データを取り込むことになる。
【0035】
ビデオ転送コントローラ34Yとビデオ転送コントローラ34Mとでは、データ取得要求信号をアサートするタイミングが異なっている。ビデオ転送コントローラ34Mは、ビデオ転送コントローラ34Yより後のタイミングでデータ取得要求信号をアサートする。これは、各プリンタヘッド31が配置されている位置が異なるからである。つまり、記録紙の搬送経路上、Mのトナー像のための露光を行うプリンタヘッド31Mは、Yのトナー像のための露光を行うプリンタヘッド31Yよりも下流に位置しているからである。
【0036】
PCIアクセスコントローラ12は、LCDコントローラ21からのデータ取得要求信号の優先順位を、各ビデオ転送コントローラ34からのデータ取得要求信号の優先順位よりも高くしている。このため、LCDコントローラ21への画像データの転送が繰り返される状況下で4色のトナーを用いたカラー印刷を行う場合、PCIバス13のその画像データの転送に用いる時間が長くなって、カラー印刷用の画像データを印刷速度が要求する転送速度で転送できない可能性が生じる。このことから、本実施形態では、4色のトナーを用いたカラー印刷を行う場合、不具合が発生しないようにカラー印刷を事実上、優先させ、LCDコントローラ21により、LCD表示部22に画像の描画速度を通常よりも低下させて、画面の切換間隔を通常よりも長くさせている。この描画速度の低下は、図2(c)と図3(c)の比較から明らかなように、クロックLcdClkの周期を通常よりも長くすることで実現させている。このクロックLcdClkの周期を通常よりも長くすることで、その周期の長期化に合わせて、水平同期信号LcdHsync、及び垂直同期信号LcdVsyncの周期も長期化することになる。その結果、データ取得要求信号LcdReqの周期、つまりアサートされてから次にアサートされるまでの期間は、図2(b)に表すようなものから図3(b)に表すようなものに変化することとなる。
【0037】
LCDコントローラ21は、クロックLcdClkの周期(水平同期信号LcdHsync、及び垂直同期信号LcdVsyncのものを含む)を変更する周期変更機能を備えている。その周期の変更指示は、PCIアクセスコントローラ12に各ビデオ転送コントローラ34から出力されるデータ取得要求信号を監視させることで行わせても良い。その場合、例えば予め定めた一定時間内に各ビデオ転送コントローラ34からデータ取得要求信号が出力、つまり全てのデータ取得要求信号がアサートされたか否かにより、クロックLcdClkの周期を通常よりも低下させるか否かを判定させることが考えられる。印刷の指示はCPU11が行うことから、CPU11に印刷内容を監視させ、4色のトナーを用いたカラー印刷を行わせるのか否かにより、クロックLcdClkの周期を設定させるようにしても良い。
【0038】
LCDコントローラ21は、FIFO(First-In First-Out)メモリ21aを備え、データ取得要求信号の出力(アサート)の管理は、このFIFOメモリ21aへのデータの格納、読み出しを通して行っている。このため、データ取得要求信号の出力間隔が通常より長くなるタイミングのズレが生じても、このFIFOメモリ21aにより、そのタイミングのズレを吸収することができる。このことは、各ビデオ転送コントローラ34でも同様であり、各ビデオ転送コントローラ34もタイミングのズレを吸収可能にするFIFOメモリ34aを備えている。
【0039】
LCDコントローラ21への画像データの転送速度を低下させることにより、LCD表示部22における画像(画面)表示にちらつきが生じる可能性がある。しかし、そのちらつきは、一時的なものである。また、クロックLcdClkの周期を通常よりも長くすることで描画速度自体を低下させていることから、FIFOメモリ21aに入出力される単位時間当たりのデータ量も少なくなり、FIFOメモリ21aに容量以上のデータを書き込むようなことは回避することができる。このようなことから、画像(画面)表示上、重大な不具合は発生しない。一方、印刷は、印刷速度を低下させることなく、確実に適切に行うことができる。それにより、再印刷をユーザに行わせるようなことは発生しない。
【0040】
例えば画像形成装置1が50ppm(Page Per Minute)の印刷速度での印刷が可能であり、その印刷速度での印刷に画像データの転送速度として75MB/sが必要と想定する。その想定において、PCIバス13の平均転送速度が85MB/sだとすると、LCDコントローラ21用の画像データの転送にはその差である10MB/sを上限とする転送速度を割り当てれば、50ppmの印刷速度を維持できることとなる。
【0041】
なお、本実施形態では、内部バスとしてPCIバス13を採用しているが、採用する内部バスはPCIバス13に限定されるものではない。また、LCD表示部22における描画速度は、通常時、低速時の2つとしているが、より多段階に切り換えられるようにしても良い。そのような多段階の切換は、印刷に用いられるトナーの種類数に応じて行うことが考えられる。
【0042】
また、本実施形態では、印刷方式として電子写真方式が採用され、表示装置としてはLCD(LCD表示部22)が採用されているが、印刷方式、及び表示装置ともに、このようなものに限定されるわけではない。また、画像を出力するという視点からは、印刷、表示以外のもの、例えば画像データの外部装置への転送、画像データの加工、等であっても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 画像形成装置
11 CPU
12 PCIアクセスコントローラ
13 PCIバス
14 RAM
21 LCDコントローラ
22 LCD表示部
31 プリンタヘッド
32 プリンタエンジンコントローラ
33 ビデオ転送コントローラ群
34 ビデオ転送コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを用いて第1の対象上に画像形成を行う第1の画像形成手段と、
前記画像データを用いて、前記第1の画像形成手段とは異なる第2の対象上に画像形成を行う第2の画像形成手段と、
前記第1及び第2の画像形成手段にそれぞれ前記画像データを供給するデータ供給手段と、
前記データ供給手段による前記画像データの前記第1及び第2の画像形成手段への供給に用いられる転送手段と、
前記第1の画像形成手段への前記画像データの供給状況を監視し、該供給状況を基に、前記第2の画像形成手段が前記画像形成に用いる前記画像データの供給量を制御する供給量制御手段と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の画像形成手段は、表示色の異なる複数の前記画像データを用いて前記第1の対象とする記録紙上にカラー画像を形成可能な印刷手段であり、
前記第2の画像形成手段は、前記第2の対象とする表示装置上に画像形成を行う描画手段であり、
前記供給量制御手段は、前記第1の画像形成手段から所定数以上の前記画像データが要求された場合に、前記第2の画像形成手段への前記画像データの供給量を低下させる、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給量制御手段が前記第2の画像形成手段への前記画像データの供給量を低下させた場合に、該第2の画像形成手段が前記画像形成を行う描画速度を低下させる、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像データを用いて第1の対象上に画像形成を行う第1の画像形成手段と、前記画像データを用いて、前記第1の画像形成手段とは異なる第2の対象上に画像形成を行う第2の画像形成手段と、前記第1及び第2の画像形成手段にそれぞれ前記画像データを供給するデータ供給手段と、前記データ供給手段による前記画像データの前記第1及び第2の画像形成手段への供給に用いられる転送手段と、を備えた画像形成装置に適用され、
前記第1の画像形成手段への前記画像データの供給状況を監視し、
該供給状況を基に、前記第2の画像形成手段が前記画像形成に用いる前記画像データの供給量を制御する、
ことを特徴とする画像データ転送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−124680(P2012−124680A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272995(P2010−272995)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】