説明

画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ

【課題】高湿時の帯電手段近傍における濃度低下、画像ボケによる画像劣化を抑制でき、更には高耐久性を有し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】電子写真感光体表面を帯電する非接触のコロナ放電方式の帯電手段と前記電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段43とを有し、湿度検知手段によって、画像形成装置内の相対湿度を検知し、画像形成終了後、画像形成装置内の相対湿度が60%以上で5時間以上画像形成動作が入らない状態にあるとき、つぎの画像形成動作に入る前に、画像形成を行わない電子写真感光体の回転動作が60回転分以上行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐久性を有し、高画質化を実現できる画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式による情報処理システム機の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なうレーザープリンタやデジタル複写機は、そのプリント品質、及び信頼性において向上が著しい。また、これらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンタ又はデジタル複写機へと応用されてきている。このような背景から、要求される電子写真感光体(以下、「感光体」と称することもある)の機能としては、高画質化及び高耐久化を両立させることが特に重要な課題となっている。
【0003】
このような電子写真方式のレーザープリンタやデジタル複写機等に使用される感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く用いられている。この有機系感光体(OPC)としては、例えば(1)ポリビニルカルバゾ−ル(PVK)に代表される光導電性樹脂を用いたもの、(2)PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、(3)フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、(4)電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを組み合わせた機能分離型、などがある。
【0004】
しかし、有機系感光体(OPC)は、繰り返し使用によって感光層の削れが発生しやすく、このように感光層の削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下あるいは画質劣化が促進される傾向が強く、従来から感光体の耐摩耗性が大きな課題であった。また、近年では画像形成装置の高速化及び装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。
【0005】
このような感光体の高耐久化を実現する方法としては、感光体の最表面に保護層を設け、その保護層に潤滑性を付与したり、硬化させたり、フィラーを含有させる方法などが広く知られている。特に、保護層にフィラーを含有させる方法は、感光体の高耐久化に対して有効な方法の一つである(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6参照)。
しかし、高耐久化のために感光体の最表面の保護層にフィラーを含有させた場合、残留電位の上昇や酸化性ガスによる画像ボケが現れやすく、高画質化に対する課題が残されている。
【0006】
近年、省電力でオゾン発生量が少なく、コンパクト化が可能なローラ帯電方式の帯電手段を用いたカラー画像形成装置が主流となっているが、更なる画像形成装置の高耐久化、高速化のため、従来から使われてきた非接触のコロ放電ナ方式の帯電手段が見直されている。しかし、コロナ放電方式の帯電手段では、放電による放電生成物(オゾン、NOx等)の発生量がローラ帯電方式よりも多く、高耐久化を図るため最表層にフィラーを含有する感光体を用いると、画像ボケがより発生しやすくなる。
【0007】
また、高画質化を図るため、転写率を向上させて、文字中抜け及びベタの転写ムラを低減する目的、更にクリーニングブレードによるクリーニング性を向上させる目的から、電子写真感光体へ潤滑剤を塗布し電子写真感光体の摩擦係数を低くする潤滑剤付与手段を備えた画像形成装置が提案されている(特許文献7参照)。このような潤滑剤付与手段を備えた画像形成装置では、別のメリットとして感光体の摩耗量及び感光体フィルミングが低減され、感光体の長寿命化が実現可能である。また、高耐久化のために最表層にフィラーを含有する感光体と組み合わせた場合には、潤滑剤付与手段の潤滑剤塗布量のバラツキによる感光体摩耗や感光体表面のキズに対する耐性が向上するため、最表層にフィラーを含有しない感光体に比べて更なる高耐久化が可能となる。
【0008】
しかし、潤滑剤を電子写真感光体に塗布すると、帯電手段及び転写手段を発生源とする酸化性ガス及び酸化性物質が潤滑剤に吸着され、加えて高湿化では、水分の影響によって感光体表面が低抵抗化され、画像ボケが発生しやすくなる場合が多い。また、帯電手段がコロナ放電方式である場合、酸化性ガス及び酸化性物質がコロナ帯電手段の内側に付着乃至蓄積され、該酸化性ガス及び酸化性物質が感光体の停止中に該感光体に降り注ぎ、潤滑剤が塗布された感光体表面が極度に低抵抗化し、画像が全く消失して再現されないことがあることが判明した。潤滑剤を感光体へ塗布する手段と非接触の帯電手段(コロナ放電方式)を組み合わせると、フィラーを含有する保護層がない感光体を使用した場合でも、酸化性ガス及び酸化性物質の潤滑剤への吸着による表面抵抗低下のため画像ボケが発生することがある。
【0009】
以上のように、コロナ放電方式の帯電手段と、潤滑剤付与手段とを備えた画像形成装置において、高速化、高耐久、高画質化に対する課題が今もなお残されているのが現状である。
【0010】
【特許文献1】特開昭53−133444号公報
【特許文献2】特開昭55−157748号公報
【特許文献3】特開昭57−30846号公報
【特許文献4】特開平2−4275号公報
【特許文献5】特開平4−281461号公報
【特許文献6】特開2000−66434号公報
【特許文献7】特開2002−244485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高湿時の帯電手段近傍における濃度低下、画像ボケによる画像劣化を抑制でき、更には高耐久性を有し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
高湿時の帯電手段近傍における画像濃度低下及び画像ボケを解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、これらの画像不具合は感光体に塗布され潤滑剤が酸化性物質を吸着劣化して起こる表面抵抗の低下に起因するため、感光体の酸化性ガス及び酸化性物質に対する耐性を向上させるだけでは不十分であり、併せて相対湿度60%以上で5時間以上画像形成動作が行われない場合、感光体を60回転以上回転させて劣化した潤滑剤を新しいものに置換することによって、画像不具合を抑制できることを見い出し、本発明の構成に至った。
【0013】
上記構成については、本発明の検討で得られた以下の1〜3の知見に基づくものである。
1.画像形成装置内の相対湿度が60%未満であれば、酸化性物質の吸着により劣化した潤滑剤の抵抗低下は非常に小さくなるため、本発明のように感光体の酸化性ガス及び酸化性物質に対する耐性が十分であれば、画像ボケや濃度低下といった画像不具合は発生しない。相対湿度が60%以上、特に70%以上になれば、水分の影響を受け感光体表層の劣化した潤滑剤の抵抗は低下し、画像不具合が発生しやすくなる。
2.画像形成動作終了後、5時間未満であれば、帯電手段近傍に吸着、蓄積された酸化性ガス及び物質の感光体表面上の潤滑剤への影響は軽微であるため、画像不具合は発生しにくいが、5時間以上になると潤滑剤への吸着、蓄積が進行し潤滑剤の劣化が進行し、表面抵抗の低下につながる。特に8時間以上になると潤滑剤への吸着、蓄積が進行が激しくなり、潤滑剤の劣化が著しく進行し、表面抵抗の大幅な低下につながる。
3.更に潤滑剤付与手段が潤滑剤を電子写真感光体上に供給する潤滑剤供給手段と、潤滑剤供給手段の電子写真感光体の回転方向におけるクリーニング手段の下流に供給された潤滑剤を電子写真感光体上に塗布する潤滑剤塗布手段とから構成することにより、潤滑剤塗布量を低減すると共に、潤滑剤の置換効率を上げることが可能になるため、酸化性ガス及び物質が吸着し劣化した潤滑剤を置換するために必要な感光体回転数を60回転と少なくする(回転動作時間を短くする)ことができる。また、確実な置換を期すためには90回転以上とすることが好ましい。なお、水分、酸化性ガスおよび酸化物質は、装置内の若干の温度上昇(定着機の通電)では充分揮発除去されないことが確認された。
【0014】
また、電子写真感光体の高耐久化を実現するには、従来の感光体上に最表層としてフィラーを含有させた保護層を設けることが有効である。しかしながら、先述したように残留電位の上昇や画像ボケの発生等の画質劣化を引き起こすという問題点がある。
このような長寿命化のため最表層にフィラーを含有させた電子写真感光体と、非接触で放電を行なうコロナ放電方式の帯電手段と前記電子写真感光体上に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段を組み合わせた画像形成装置の場合においても、感光体の最表層に特開2004−233955号公報及び特開2004−264788号公報に開示されているような一般式(1)、及び(2)のジアミン化合物のうちの少なくともいずれかを含有させて、酸化性ガス及び物質に対する耐性を持たせ、更に相対湿度60%以上で5時間以上画像形成動作が行なわれない場合、感光体を60回転以上回転させて酸化性物質により劣化した潤滑剤を新しいものに置換することによって高湿時の帯電手段近傍における濃度低下、画像ボケによる画像劣化を防止できる。
一般式(1)、(2)の少なくともいずれかのジアミン化合物を表層に含有させることにより酸化性ガス及び物質に対する耐性を向上できる理由については、現時点では明らかになっていないが、構造内に含まれる置換アミノ基が酸化性ガスに対して有効なラジカル物質生成抑制を行なっているものと推測される。また、一般式(1)、(2)で表わされるジアミン化合物は、電荷輸送能力も有しているため、それ自身で電荷胆体のトラップとして働かず、添加に伴う残留電位上昇等の電気的な特性劣化は殆どみられないものとなる。
【0015】
以上のような構成をとることによって、高耐久性を有し、かつ高湿時の帯電手段近傍における濃度低下、画像ボケによる画像劣化を抑制でき、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できることを本発明者らは知見した。
【0016】
本発明は、前記知見に基づくものであり、以下の(1)〜(20)に記載する発明によって上記課題は解決される。以下、本発明について具体的に説明する。
【0017】
(1)「電子写真感光体と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記電子写真感光体表面の残存トナーを除去するクリーニング手段と、を少なくとも有する画像形成装置において、
該画像形成装置が該電子写真感光体表面を帯電する非接触のコロナ放電方式の帯電手段と前記電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段とを有し、湿度検知手段によって、画像形成装置内の相対湿度を検知し、画像形成終了後、画像形成装置内の相対湿度が該装置に予め記憶された60%以上で、該装置に予め記憶された5時間以上画像形成動作が入らない状態にあるとき、つぎの画像形成動作に入る前に、画像形成を行なわない電子写真感光体の回転動作が60回転分以上行なわれることを特徴とする画像形成装置」、
(2)「前記電子写真感光体の最表層が、少なくともフィラーと、下記一般式(1)及び(2)で表わされるジアミン化合物のうち少なくともいずれかとを含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の画像形成装置;
【0018】
【化1】

[前記一般式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表わし、該R及びRの少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。]
【0019】
【化2】

[前記一般式(2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、芳香族炭化水素基置換又は無置換のアルキル基を表わし、該RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表わし、lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表わす。]」、
(3)「前記画像形成装置に予め記憶された相対湿度が65%以上であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の画像形成装置」、
(4)「前記画像形成装置に予め記憶された画像形成動作が入らない時間が6時間以上であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(5)「前記画像形成を行なわない電子写真感光体の回転動作の回転数が90回転以上であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(6)「前記潤滑剤付与手段が、電子写真感光体の回転方向におけるクリーニング手段の下流に設けられていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(7)「潤滑剤塗布手段が、塗布ブレードであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(8)「前記潤滑剤が金属石鹸であり、該金属石鹸が、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(9)「潤滑剤供給手段が電子写真感光体に接触して回転するブラシ状ローラであり、該ブラシ状ローラが潤滑剤を摺擦し掻き取って該電子写真感光体上に供給する前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(10)「前記電子写真感光体の最表層に含有されるフィラーが、金属酸化物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(11)「前記電子写真感光体の最表層に含有されるフィラーの平均一次粒径が、0.01〜1.0μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(12)「前記電子写真感光体の最表層におけるフィラーの含有量が、5〜50質量%であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(13)「前記電子写真感光体の最表層が、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(12)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(14)「前記電子写真感光体が、支持体と該支持体上に感光層と保護層とをこの順に有してなり、前記保護層が、最表層であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(15)「前記露光手段が、半導体レーザ(LD)及び発光ダイオード(LED)のいずれかであり、該露光手段によりデジタル方式で電子写真感光体上に静電潜像の書き込みを行なうようにしたことを特徴とする前記第(1)項乃至第(14)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(16)「前記電子写真感光体上に複数色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成する構成としたことを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(17)「前記電子写真感光体を複数有し、それぞれの電子写真感光体に現像された単色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成するものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(16)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(18)「前記電子写真感光体上に現像された可視像を中間転写体上に一次転写した後、該中間転写体上の可視像を記録媒体上に二次転写する中間転写手段を備え、複数色の可視像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録媒体上に一括で二次転写する構成としたことを特徴とする前記第(1)項乃至第(17)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(19)「電子写真感光体と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記電子写真感光体表面の残存トナーを除去するクリーニング工程と、を少なくとも有する画像形成方法において、
該画像形成方法が該電子写真感光体表面を帯電する非接触のコロナ放電方式の帯電工程と前記電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与工程とを有し、前記電子写真感光体の最表層が、少なくともフィラーと、下記一般式(1)及び(2)で表わされるジアミン化合物のうち少なくともいずれかとを含有し、湿度検知工程によって、画像形成装置内の相対湿度を検知し、画像形成終了後、画像形成装置内の相対湿度が少なくとも60%以上で少なくとも5時間以上画像形成動作が入らない場合、画像形成を行なわない電子写真感光体の回転動作が少なくとも60回転分以上行なわれることを特徴とする画像形成方法;
【0020】
【化3】

[前記一般式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表わし、該R及びRの少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。]
【0021】
【化4】

[前記一般式(2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、芳香族炭化水素基置換又は無置換のアルキル基を表わし、該RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表わし、lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表わす。]」、
(20)「電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段を備え、前記第(1)項乃至第(18)項のいずれかに記載の画像形成装置に用いられることを特徴とするプロセスカートリッジ」。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、高耐久性を有し、かつ感光体の高湿時の帯電手段近傍における濃度低下、画像ボケによる画像劣化を抑制でき、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段と、潤滑剤付与手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他による手段、例えば、定着手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、クリーニング工程と、潤滑剤付与工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば定着工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
【0024】
本発明による画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行なうことができ、前記露光工程は前記露光手段により行なうことができ、前記現像工程は前記現像手段により行なうことができ、前記転写工程は前記転写手段により行なうことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行なうことができ、前記潤滑剤付与工程は前記潤滑剤付与手段により行なうことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行なうことができる。
【0025】
[電子写真感光体]
前記電子写真感光体は、その層構成について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第一の形態では、支持体上に単一の層構成である感光層(以下、「単層型感光層」と称することもある)を有してなり、更に必要に応じて、保護層、下引き層等のその他の層を有してなる。また、第二の形態では、支持体と、該支持体上に電荷発生層と、電荷輸送層とを積層した構成の感光層(以下、「積層型感光層」と称することもある)を有してなり、更に必要に応じて、保護層、下引き層等のその他の層を有してなる。なお、前記第二形態では、電荷発生層、及び電荷輸送層は逆に積層しても構わない。
【0026】
ここで、前記電子写真感光体について、図面に基づいて説明する。図1〜図5は、本発明の電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。図1は、支持体(201)上に電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層(202)を有し、フィラー並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物は感光層(202)に含有される。
図2は、支持体(201)上に電荷発生物質を含有する電荷発生層(203)と、電荷ジアミン)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物は電荷輸送層(204)に含有される。
図3は、支持体(201)上に電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層(202)を有し、更に感光層表面に保護層(210)を有する。フィラー並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物は保護層(210)に含有される。
図4は、支持体(201)上に電荷発生物質を含有する電荷発生層(203)と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(204)とが積層され、更に電荷輸送層表面に保護層(210)を有する。フィラー並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物は保護層(210)に含有される。
図5は、支持体(201)上に電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(204)と、電荷発生物質を含有する電荷発生層(203)とが積層され、更に電荷発生層表面に保護層(210)を有する。フィラー並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物は保護層(210)に含有される。
【0027】
前記最表層としては、前記積層型感光体では電荷輸送層、又は保護層などが挙げられる。前記単層型感光体では、感光層、又は保護層などが好適に挙げられる。これらの中でも、電子写真感光体が、支持体と、該支持体上に電荷発生層と、電荷輸送層と、保護層とをこの順に有してなり、前記保護層が、最表層である態様が特に好ましい。
前記電子写真感光体における最表層は、少なくともフィラーと、下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0028】
[フィラー]
前記フィラーとしては、有機フィラー及び無機フィラーのいずれかが用いられる。前記有機性フィラーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂粉末;シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末などが挙げられる。前記無機フィラーとしては、例えば銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物;フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物;チタン酸カリウム、窒化硼素などが挙げられる。これらの中でも、フィラーの硬度の点から無機フィラーを用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
【0029】
また、いわゆる画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーが好ましい。このようなフィラーとしては、pHが5以上を示すフィラー又は誘電率が5以上を示すフィラーが特に有効であり、例えば酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。また、pHが5以上のフィラー又は誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することもでき、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合して用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの発生抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
【0030】
前記フィラーの分散性が低下すると残留電位の上昇だけでなく、最表層の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、更には耐摩耗性の低下も引き起こすため、前記フィラーは少なくとも1種の表面処理剤で表面処理されてなることが好ましい。
前記表面処理剤としては、特に制限はなく、従来用いられている表面処理剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましく、例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸、又はこれらとシランカップリング剤との混合処理;Al、TiO、ZrO、シリコン、ステアリン酸アルミニウム、又はこれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの発生防止の点からより好ましい。前記シランカップリング剤による表面処理により、画像ボケの影響は強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。前記表面処理剤量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。前記表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こすことがある。
【0031】
前記フィラーの平均一次粒径は、0.01〜1.0μmが好ましく、0.05〜0.8μmがより好ましい。前記平均一次粒径が0.01μm未満であると、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こすことがあり、1.0μmを超えると、フィラーの沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
前記フィラーの平均一次粒径は、例えば電子顕微鏡観察により直接粒径を測定することができる。
【0032】
前記フィラーの前記最表層における含有量は、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。前記含有量が5質量%未満であると、耐摩耗性はあるものの十分なものではなく、50質量%を超えると、最表層の透明性が損なわれてしまうことがある。この場合、感光層表面にフィラーを含有する場合には、感光層全体にフィラーを含有させることができるが、電荷輸送層の最表面側が最もフィラー濃度が高く、支持体側が低くなるようにフィラー濃度に傾斜を設けたり、電荷輸送層を複数層にして、支持体側から表面側に向かい、フィラー濃度を順次高くする構成にすることが好ましい。
【0033】
[酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物]
前記感光体における最表層がフィラーを含有することによって、高耐久化の実現と共に、いわゆる画像ボケの発生を回避することが可能となるが、残留電位上昇の影響が増加することになる。この残留電位上昇を抑制するため、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を添加することが好ましい。
ここで、前記酸価とは、1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義され、JIS K2501などで定められている方法により測定することができる。
前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物としては、特に制限はなく、酸価が10〜700mgKOH/gの有機脂肪酸、樹脂などが挙げられる。しかし、非常に低分子のマレイン酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸、アクセプター等はフィラーの分散性を大幅に低下させてしまう可能性があるため、残留電位の低減効果が十分に発揮されないことがある。従って、感光体の残留電位を低減させ、かつフィラーの分散性を高めるためには、低分子量ポリマーや樹脂、共重合体等、更にはそれらを混合させて使用することが好ましい。また、前記有機化合物の構造としては、立体障害が少ないリニアの構造を有することがより好ましい。分散性を向上させるためにはフィラーとバインダー樹脂との双方に親和性を持たせることが必要であり、立体障害が大きな材料は、それらの親和性が低下することにより、分散性が低下し、前述のような多くの問題を発生させることにつながる。
この点から、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物としては、ポリカルボン酸が好ましい。前記ポリカルボン酸としては、カルボン酸をポリマー又はコポリマー中に含む構造を有する化合物であって、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル酸やメタクリル酸を用いた共重合体、スチレンアクリル共重合体等、カルボン酸を含む有機化合物又はその誘導体はすべて使用することが可能である。これらは2種以上混合して用いることが可能である。場合によっては、これらの材料と有機脂肪酸とを混合させることによって、フィラーの分散性あるいはそれに伴う残留電位の低減効果が高まることがある。
【0034】
前記有機化合物の酸価としては、10〜700mgKOH/gが好ましく、30〜400mgKOH/gがより好ましい。前記酸価が高すぎると、抵抗が下がりすぎて画像ボケの影響が大きくなり、酸価が低すぎると添加量を多くする必要が生じる上、残留電位の低減効果が不十分となる。前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物の酸価は、その添加量とのバランスにより決めることが必要である。同じ添加量でも酸価が高ければ残留電位低減効果が高いというわけではなく、その効果は、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物のフィラーへの吸着性にも大きく関係している。
【0035】
前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物の含有量は、その酸価とフィラーの含有量によって決められる。即ち、前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物の含有量をA、前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物の酸価をB、前記フィラーの含有量をCとしたときに、A、B及びCとの間に下記の関係式1を満たすことが好ましい。
<関係式1>
0.2≦酸価当量(A×B/C)≦20
前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物の含有量が多すぎると、逆に分散不良を引き起こしたり、画像ボケの影響が強く現れることがあり、一方、前記含有量が少なすぎると、分散不良や残留電位低減効果が不十分となることがある。
【0036】
前記フィラーは、少なくとも有機溶剤、及び酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物等とともにボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散することができる。これらの中でも、フィラーと酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルによる分散が分散性の点からより好ましい。使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ等のすべてのメディアを使用することができるが、フィラーの分散性及び残留電位低減効果の点からアルミナが特に好ましい。ジルコニアは分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が著しく増加する。更に、その摩耗粉の混入によって分散性が大きく低下し、フィラーの沈降性が促進される。一方、メディアにアルミナを使用した場合には、分散時にメディアは摩耗されるものの、摩耗量は低く抑えられる上に、混入した摩耗粉が残留電位に与える影響が非常に小さい。また、摩耗粉が混入しても分散性に対して悪影響が少ない。従って、分散に使用するメディアとしてはアルミナを使用することが特に好ましい。
【0037】
前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物は、フィラーや有機溶剤とともに分散前より添加することによって、塗工液中のフィラーの凝集、更にはフィラーの沈降性を抑制し、フィラーの分散性が著しく向上することから、分散前より添加することが好ましい。一方、バインダー樹脂や電荷輸送物質は、分散前に添加することも可能であるが、その場合、分散性が若干低下する場合が見られる。従って、バインダー樹脂や電荷輸送物質は、有機溶剤に溶解された状態で分散後に添加することが好ましい。
【0038】
[ジアミン化合物]
前記有機化合物は、その化学構造に由来してコロナ放電方式の帯電手段により生じるオゾンやNOxなどの酸化性ガスが吸着しやすく、場合によっては、最表面の低抵抗化を招き、画像流れ等の問題を引き起こす可能性がある。
本発明においては、この問題を解決するため、最表層が、下記一般式(1)及び(2)で表わされるジアミン化合物のうち少なくともいずれかを含有する。
【0039】
【化5】

[前記一般式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表わし、該R及びRの少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。]
【0040】
【化6】

[前記一般式(2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、芳香族炭化水素基置換又は無置換のアルキル基を表わし、該RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表わし、lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表わす。]
【0041】
前記一般式(1)又は(2)におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ウンデカニル基、ドデシル基、ビニル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
前記一般式(1)又は(2)におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、スチリル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基などが挙げられる。
前記一般式(2)における芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ピレン等の芳香族環基;ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール等の芳香族複素環基などが挙げられる。
及びR、あるいはR及びRが互いに結合して窒素原子を含む複素環基を形成する場合には、該複素環基としてはピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基などに芳香族炭化水素基が縮合した縮合複素環基を挙げることができる。
また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;前記芳香族炭化水素基;ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等の複素環基などが挙げられる。
【0042】
前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物は、文献(E.Elce and A.S.Hay,Polymer,Vol.37 No.9,1745(1996))に記載の方法により容易に製造することができる。具体的には、下記一般式(a)で表わされるジハロゲン化物と、下記一般式(b)で表わされる第二級アミン化合物とを塩基性化合物の存在下、室温〜100℃の温度で反応させることにより得られる。
【0043】
XHC−Ar−CHX・・・一般式(a)
ただし、前記一般式(a)中、Arは、上記一般式(1)と同じ意味を表わし、Xはハロゲン原子を表わす。
【0044】
【化7】

ただし、前記一般式(b)中、R及びRは、上記一般式(1)と同じ意味を表わす。
【0045】
前記塩基性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキシドなどが挙げられる。前記反応溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリルなどが挙げられる。
【0046】
以下、上記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物の具体例を挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
【0047】
【化8】

【0048】
【化9】

【0049】
前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物の前記最表層における含有量は、1〜60質量%が好ましく、2〜50質量%がより好ましい。
【0050】
前記一般式(1)及び(2)で表わされるジアミン化合物のうち少なくともいずれかを酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物と併用する構成において、塗工液の保存を必要とする場合には、相互作用による塩の生成を抑制するため、特定の酸化防止剤を含有させることが好ましい。この塩の生成は、塗工液の変色を引き起こすだけではなく、製造された電子写真感光体において、残留電位の上昇等の不具合を引き起こすことがある。
【0051】
本発明で使用できる酸化防止剤としては、後述する一般の酸化防止剤が使用できるが、これらの中でも、ハイドロキノン系、及びヒンダードアミン系の化合物が特に好ましい。但し、ここで用いられる酸化防止剤は、後述の添加目的と異なり、前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされる化合物の塗工液中での保護のために添加される。このため、前記酸化防止剤は、前記一般式(1)、及び(2)のいずれかで表わされる化合物を含有させる前の工程で塗工液に含有させておくことが好ましい。該酸化防止剤の添加量は、充分な塗工液の経時保存安定性を図るため、前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物100質量部に対し、0.1〜200質量部が好ましい。
【0052】
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来の塗工方法を用いることができる。
【0053】
[支持体]
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板又はそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。また、厚み50〜150μmのニッケル箔でもよく、あるいは厚み50〜150μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアルミニウム蒸着等の導電加工を行ったものでもよい。
【0054】
その他、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0055】
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、導電性支持体として良好に用いることができる。
【0056】
[積層型感光層]
前記積層型感光層は、電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有し、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
【0057】
(電荷発生層)
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
【0058】
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機系材料及び有機系材料のいずれをも用いることができる。
前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、などが挙げられる。
【0059】
前記有機系材料としては、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シーアイピグメントブルー25(カラーインデックスC.I.21180)、シーアイピグメントレッド41(C.I.21200)、シーアイシッドレッド52(C.I.45100)、シーアイベーシックレッド3(C.I.45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料等のアゾ顔料;シーアイピグメントブルー16(C.I.74100)等のフタロシアニン系顔料;シーアイバットブラウン(C.I.7
3410)、シーアイバットダイ(C.I.730.50)等のインジゴ系顔料;アルゴールスカーレット5(バイエル社製)、インダスレンスカーレットR(バイエル社製)等のペリレン系顔料;スクエリック染料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂の添加量は、前記電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部が好ましく、10〜300質量部がより好ましい。なお、前記バインダー樹脂の添加は分散前あるいは分散後のいずれでも構わない。
【0061】
前記電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と、溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等が挙げられる。この真空薄膜作製法は、上述した無機系材料又は有機系材料を良好に形成することができる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、電荷発生層塗工液を用いて、浸漬塗工法やスプレーコート法、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行なうことができる。
【0062】
前記電荷発生層塗工液に用いられる有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、沸点が40〜80℃のテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールは、塗工後の乾燥が容易であることから特に好適である。
【0063】
前記電荷発生層塗工液は、上記有機溶媒中に前記電荷発生物質と、バインダー樹脂を分散、溶解して製造する。有機顔料を有機溶媒に分散する方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ミルなどの分散メディアを用いた分散方法、高速液衝突分散方法などが挙げられる。
前記電荷発生層の厚みは、通常、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
【0064】
(電荷輸送層)
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ電荷移動性がよいことが要求される。
【0065】
前記電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送物質を含んでなり、電荷輸送層が最表層となる場合には、上記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされる化合物並びにフィラーを含有し、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記一般式(1)及び(2)で表わされるジアミン化合物の少なくともいずれか、フィラー、並びに酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物としては、前記最表層において記載された化合物をすべて使用することができる。
【0066】
前記電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質等の低分子型の電荷輸送物質が用いられ、更に必要に応じて高分子電荷輸送物質を添加することもできる。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
前記高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。
(a)カルバゾール環を有する重合体としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体としては、例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体としては、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体としては、例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
【0069】
また、前記高分子電荷輸送物質としては、上記以外にも、例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前記高分子電荷輸送物質としては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
【0070】
また、電子供与性基を有する重合体としては、上記重合体だけでなく、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、更には、例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることもできる。
【0071】
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記電荷輸送物質の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対し20〜300質量部が好ましく、40〜150質量部がより好ましい。
【0072】
前記電荷輸送層は、これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。前記電荷輸送層には、更に必要に応じて、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記電荷輸送層の厚みは、解像度及び応答性の点から、25μm以下が好ましく、下限値については使用するシステム(特に帯電電位等)に応じて異なるが5μm以上が好ましい。
【0073】
[単層型感光層]
前記単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂としては、上述した材料を用いることができる。前記その他の成分としては、例えば、可塑剤、微粒子、各種添加剤、などが挙げられる。前記電荷発生物質の添加量は前記バインダー樹脂100質量部に対し5〜40質量部が好ましい。また、前記電荷輸送物質の添加量は、前記バインダー樹脂100質量部に対し0〜190質量部が好ましく、50〜150質量部がより好ましい。
【0074】
前記単層型感光層が最表層になる場合には、上記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物並びにフィラーを含有し、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を含有してなる。
前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物、フィラー、並びに酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物としては、前記最表層において記載された化合物をすべて使用することができる。
この場合、感光層全体にフィラーを含有させてもよいが、表面にフィラーを含有することが耐摩耗性向上の点から有効であるため、フィラーの濃度勾配を付けたり、フィラー濃度を変えた複数の感光層の傾斜構成としてもよい。
前記単層型感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜25μmが好ましい。
【0075】
[保護層]
前記電子写真感光体では、最表層として、前記感光層の保護及び耐久性の向上を目的として、フィラーを含有する保護層を感光層の上に形成することができる。前記保護層を有する場合には、上記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物及びフィラーを含有し、バインダー樹脂、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を含有してなる。
前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物、フィラー、並びに酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物としては、前記最表層において記載された化合物をすべて使用することができる。
【0076】
前記バインダー樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
なお、保護層に前記電荷輸送層で挙げた低分子電荷輸送物質又は高分子電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
【0077】
前記フィラーは、少なくとも有機溶剤、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物等とともにボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などの従来方法を用いて分散させることができる。これらの中でも、フィラーと酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルによる分散が分散性の点からより好ましい。
【0078】
前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物は、フィラーや有機溶剤とともに分散前より添加することによって、塗工液中のフィラーの凝集、更にはフィラーの沈降性を抑制し、フィラーの分散性が著しく向上することから、分散前より添加することがより好ましい。一方、バインダー樹脂や電荷輸送物質は、分散前に添加することも可能であるが、その場合分散性が若干低下する場合が見られる。従って、バインダー樹脂や電荷輸送物質は、有機溶剤に溶解された状態で分散後に添加することが好ましい。
【0079】
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば浸漬塗工法、スプレーコート法、ビートコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法などが挙げられる。これらの中でも、塗膜の均一性の面からスプレーコート法が特に好ましい。また、前記保護層の必要厚みを一度で塗工し、保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工し、保護層を多層にする方が層中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。これによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対してより一層の効果が得られる。
【0080】
前記保護層の厚みは、通常0.1〜10μmが好ましい。前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を添加することによって、残留電位が大幅に低減させることが可能となり、それによって保護層の厚みを自由に設定することが可能である。しかし、保護層厚みが著しく増加すると、画質が若干劣化する傾向が認められるため、必要最小限度の厚みに設定することが好ましい。
【0081】
[下引き層]
前記支持体と前記感光層との間には、必要に応じて、下引き層を設けてもよい。前記下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。
【0082】
前記下引き層は、少なくとも樹脂、及び微粉末を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂;共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂;ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂、などが挙げられる。
前記微粉末としては、例えば酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物、金属硫化物、又は金属窒化物などが挙げられる。
また、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤などを含むものを使用することもできる。更に、下引き層として、Alを陽極酸化にて設けたもの、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものなども使用できる。
前記下引き層の厚みについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
【0083】
前記感光体においては、必要に応じて前記基体上に、接着性、電荷ブロッキング性を向上させるために中間層を設けてもよい。該中間層は樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが好ましい。前記樹脂としては、上記下引き層と同様のものを適宜選択して用いることができる。
【0084】
また、本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、特に、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、単層型感光層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質、レベリング剤などを添加することができる。
【0085】
前記酸化防止剤として、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、などが挙げられる。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
【0086】
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0087】
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
【0088】
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
【0089】
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
【0090】
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量は、添加する層の総質量に対して0.01〜10質量%が好ましい。
【0091】
また、各層に添加できる可塑剤として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル誘導体、オキシ酸エステル系可塑剤、エポキシ可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、含塩素可塑剤、ポリエステル系可塑剤、スルホン酸誘導体、クエン酸誘導体、その他の可塑剤などが挙げられる。
【0092】
前記リン酸エステル系可塑剤としては、例えばリン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなどが挙げられる。
【0093】
前記フタル酸エステル系可塑剤としては、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどが挙げられる。
【0094】
前記芳香族カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなどが挙げられる。
【0095】
前記脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤としては、例えばアジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなどが挙げられる。
【0096】
前記脂肪酸エステル誘導体としては、例えばオレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなどが挙げられる。
【0097】
前記オキシ酸エステル系可塑剤としては、例えばアセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
【0098】
前記エポキシ可塑剤としては、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなどが挙げられる。
【0099】
前記二価アルコールエステル系可塑剤としては、例えばジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどが挙げられる。
【0100】
前記含塩素可塑剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなどが挙げられる。
【0101】
前記ポリエステル系可塑剤としては、例えばポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど挙げられる。
【0102】
前記スルホン酸誘導体としては、例えばp−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなどが挙げられる。
【0103】
前記クエン酸誘導体としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなどが挙げられる。
【0104】
前記その他の可塑剤としては、例えば、ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル、などが挙げられる。
【0105】
各層に添加できる滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば炭化水素系化合物、脂肪酸系化合物、脂肪酸アミド系化合物、エステル系化合物、アルコール系化合物、金属石けん、天然ワックス、その他の滑剤などが挙げられる。
【0106】
前記炭化水素系化合物としては、例えば流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなどが挙げられる。
【0107】
前記脂肪酸系化合物としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
【0108】
前記脂肪酸アミド系化合物としては、例えばステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなどが挙げられる。
【0109】
前記エステル系化合物としては、例えば脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどが挙げられる。
【0110】
前記アルコール系化合物としては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなどが挙げられる。
【0111】
前記金属石けんとしては、例えばステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0112】
前記天然ワックスとしては、例えばカルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなどが挙げられる。
【0113】
前記その他の滑剤としては、例えば、シリコーン化合物、フッ素化合物、などが挙げられる。
【0114】
各層に添加できる紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルシレート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、クエンチャー(金属錯塩系)紫外線吸収剤、HALS(ヒンダードアミン)などが挙げられる。
【0115】
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0116】
前記サルシレート系紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
【0117】
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ3'−ターシャリブチル5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0118】
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えばエチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなどが挙げられる。
【0119】
前記クエンチャー(金属錯塩系)紫外線吸収剤としては、例えばニッケル(2,2'チオビス(4−t-オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなどが挙げられる。
【0120】
前記HALS(ヒンダードアミン)としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
【0121】
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程は、電子写真感光体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行なわれる。
前記帯電手段としては、前記電子写真感光体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子写真感光体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段が用いられる。
前記非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;電子写真感光体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。これらの中でも、コロナ放電が特に好ましい。
【0122】
前記コロナ放電は、空気中のコロナ放電によって発生した正又は負のイオンを電子写真感光体の表面に与える非接触な帯電方法であり、電子写真感光体に一定の電荷量を与える特性を持つコロトン帯電器と、一定の電位を与える特性を持つスコロトロン帯電器とがある。
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は電子写真感光体表面から1.0〜2.0mm離れた位置に設けられている。
【0123】
[露光工程及び露光手段]
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行なうことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接電子写真感光体上に投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して電子写真感光体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行なうことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行なう光背面方式を採用してもよい。
【0124】
[現像工程及び現像手段]
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行なうことができ、前記現像手段により行なうことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
【0125】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0126】
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0127】
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
【0128】
[転写工程及び転写手段]
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
【0129】
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行なうことができ、前記転写手段により行なうことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0130】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0131】
[定着工程及び定着手段]
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行なってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
【0132】
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有するものが用いられる。
前記定着部材としては、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
【0133】
[除電工程及び除電手段]
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行なう工程であり、除電手段により好適に行なうことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0134】
[クリーニング工程及びクリーニング手段]
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行なうことができる。なお、クリーニング手段を用いることなく、摺擦部材で残留トナーの電荷を揃え、現像ローラで回収する方法を採用することもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0135】
[潤滑剤付与工程及び潤滑剤付与手段]
前記潤滑剤付与工程は、電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する工程であり、潤滑剤付与手段により実施される。該潤滑剤付与手段は、電子写真感光体の回転方向におけるクリーニング手段の下流に設けられていることが好ましい。
前記潤滑剤付与手段は、潤滑剤を前記電子写真感光体上に供給する潤滑剤供給手段と、該供給された潤滑剤を前記電子写真感光体表面に塗布する潤滑剤塗布手段とを有する。
【0136】
前記潤滑剤塗布手段としては、塗布ブレードが好ましい。
前記塗布ブレードの材料としては、特に制限はなく、クリーニングブレード用材料として公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらブレードは、電子写真感光体との接点部分を低摩擦係数材料で、コーティングや含浸処理してもよい。また、弾性体の硬度を調整するために、有機フィラー、無機フィラー等の充填材を分散させてもよい。
【0137】
前記塗布ブレードは、ブレード支持体に、先端部が感光体表面へ押圧当接できるように、接着や融着等の任意の方法によって固定される。前記ブレードの厚みについては、押圧で加える力との兼ね合いで一義的に規定できるものではないが、0.5〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。
また、支持体から突き出し、たわみを持たせることができるブレードの長さ、いわゆる自由長(ブレード支持具の根元から自由端としての刃面までの間の長さ)についても同様に押圧で加える力との兼ね合いで一義的に規定できるものではないが、1〜15mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。
【0138】
前記ブレードの他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要に応じてカップリング剤やプライマー成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマー等の被覆層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要であれば表面研摩等を施して用いてもよい。
【0139】
前記被覆層は、少なくともバインダー樹脂及び充填剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばPFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂;フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマーなどが挙げられる。
【0140】
前記弾性金属ブレードの厚みは、0.05〜3mmが好ましく、0.1〜1mmがより好ましい。前記弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施してもよい。
【0141】
前記塗布ブレードで感光体を押圧する力は、潤滑剤が延展し層の状態になる力で十分であり、バネ圧として1.0〜10Nが好ましく、2.0〜8.0Nがより好ましい。
【0142】
[潤滑剤供給手段]
前記潤滑剤供給手段としては、電子写真感光体に接触して回転するブラシ状ローラであり、該ブラシ状ローラが潤滑剤を摺擦し掻き取って該電子写真感光体上に潤滑剤を供給することが好ましい。
この場合、感光体表面への機械的ストレスを抑制するためにはブラシ繊維は可撓性を有することが好ましい。前記可撓性のブラシ繊維の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル系樹脂又はポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂)などが挙げられる。
なお、撓みの程度を調整するため、例えばジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合してもよい。
【0143】
前記潤滑剤供給手段の支持体としては、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の供給部材としては、例えばブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものなどが挙げられる。前記ブラシ繊維としては繊維径10〜500μm程度、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本)が好適である。
【0144】
前記潤滑剤供給手段は、供給の均一性、供給の安定性の面から、ブラシ密度の高いものを使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作製することが好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することが好適である。
【0145】
また、ブラシ表面には必要に応じてブラシの表面形状や環境安定性等を安定化することを目的として、被覆層を設けてもよい。該被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましい。前記被覆層成分としては、可撓性を保持し得る材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル又はポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等による変性品);パーフルオロアルキルエーテル、ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、又はこれらの複合樹脂などが挙げられる。
【0146】
[潤滑剤]
前記潤滑剤としては、金属石鹸が好適である。該金属石鹸としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リコリノレン酸カドミウム、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムが特に好ましい。
【0147】
前記潤滑剤を一定の形状、例えば角柱状や円柱状に成型するための方法としては、固体物質の成型方法として公知の方法を用いることができ、例えば、溶融成型法、粉末成型法、熱プレス成型法、冷間等方圧プレス法(CIP)、熱間等方圧プレス法(HIP)などが挙げられる。
【0148】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行なうことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0149】
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行なうことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0150】
ここで、図6は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。この図6において、電子写真感光体(1)は、少なくとも感光層が設けられ、最表層が上記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされる化合物及びフィラーを含有してなる。図6では感光体(1)はドラム形状であるが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
帯電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、及びクリーニング前チャージャ(13)としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)等の非接触のコロナ放電式の帯電手段が用いられている。
【0151】
転写手段としては、一般に上記の帯電器が使用できるが、図6に示すように転写チャージャ(10)と分離チャージャ(11)とを併用したものが効果的である。
また、露光部(5)、及び除電ランプ(2)等の光源としては、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図6に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0152】
次に、現像手段(6)により感光体(1)上に現像されたトナー像は、記録媒体(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このような残存トナーは、ファーブラシ(14)及びブレード(15)からなるクリーニング手段(16)により、感光体から除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシとしては、ファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0153】
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。前記現像手段としては、公知の手段が用いられる。
【0154】
除電手段としての除電ランプ(2)の波長は、感光体が光感度を有する波長領域内であればよく、感光体の実用的な光感度波長領域における長波長側のものが好ましい。
【0155】
前記クリーニングブレードの各種条件として、ブレード当接角10〜30度、当接圧力0.3〜4g/mm、ブレードとして用いるゴムのゴム硬度60〜70度、反発弾性、30〜70%、ヤング率30〜60kgf/cm、厚み1.5〜3.0mm、自由長7〜12mm、ブレードエッジの感光体への食い込み量0.2〜2mmの範囲が好ましく、このような物性を満たす材質としてウレタンゴムブレードが特に好適である。
【0156】
次に、従来の潤滑剤付与手段について説明する。転写効率の向上や、残留する未転写トナーのクリーニング性向上のため、図6のトナークリーニング手段(16)内に、図7に示すように、感光体(1)に潤滑剤を付与する潤滑剤付与装置(30)を設けている。この潤滑剤付与装置(30)においては、感光体(1)の近くに固形潤滑剤(33)を配設し、感光体(1)と固形潤滑剤(33)の双方に接触する状態でブラシ状ローラ(34)を配設している。そして、潤滑剤供給時に、ブラシ状ローラ(34)を回転させて、固形潤滑剤(33)をブラシ状ローラ(34)で削り取り、ブラシ状ローラ(34)に付着した固形潤滑剤(33)を感光体(1)の表面に塗布するように構成されている。
【0157】
図7の潤滑剤付与装置(30)では除去されずにトナーが残留している状態の感光体表面に潤滑剤を塗布することになる。ここで、もともと感光体表面に担持していた画像のうち文字部にあたる部分は、記録媒体への転写後にも感光体表面に残留トナーが多く存在し、文字部以外の部分は、実質的には残留トナーは存在していない。そして、残留トナーの付着量が多いところから、そのトナーと共に多量の潤滑剤がブラシ状ローラ及びクリーニング位置におけるクリーニングブレードなどによって掻き取られるため、クリーニング位置を通過後の感光体表面における潤滑剤の塗布量に偏りが生じてしまいやすい。特に同一画像を連続して出力した場合には、感光体表面のうち残留トナーの多い部分が常に同じであるため、このような偏りが顕著となる場合がある。また、ブラシ状ローラ等の塗布部材に残留トナーが付着するため、ブラシ状ローラが汚れてしまい、長期に渡って潤滑剤を均一に塗布し続けることが困難になりやすい。そして、感光体表面に均一な潤滑剤層が形成できないと、表面の静止摩擦係数(μ)に偏りが生じたり、トナーを転写するために十分低い値にならなかったりして転写ムラが生じ、文字中抜け、虫喰い、画像ボケ、ボソツキ等の異常画像が発生する。そのため、ブラシ状ローラに強めに固形潤滑剤を押し当て、感光体への潤滑剤供給量を増やす必要がある。また、本発明者らの検討した結果、潤滑剤が供給過多の場合コロナ放電方式の帯電手段を併用する場合には、酸化性ガスが感光体表面に付着した潤滑剤に吸着して取り込まれ、新しい潤滑剤に置換されにくくなり、そのため、付着した潤滑剤が低抵抗化し、画像ボケを発生させてしまいやすいことが明らかとなった。
したがって、本発明のように画像形成装置内の相対湿度が60%以上で5時間以上放置された場合、劣化した潤滑剤を新しいものに置換するためには、図8に示す構成の潤滑剤塗布手段よりも感光体を多く回転させる必要があり、感光体の回転数は100回以上が好ましい。
【0158】
また、図7に示すクリーニングブレード(15)をブラシ状ローラ(34)の感光体回転方向上流に設けて、クリーニング後に潤滑剤塗布を行なえば、塗布後の潤滑剤がブラシ状ローラ及びクリーニングブレードで掻き取られることがないので、塗布後クリーニングの構成での不具合は防止できる。しかし、潤滑剤が塗布された感光体表面がそのまま転写位置に進入して転写が行なわれると、表面の静止摩擦係数(μ)が適正範囲にあるにも関わらず異常画像が発生してしまう。これは、潤滑剤の粒子は塗布しただけで均一な層となるほど細かくないため、感光体表面で層厚にムラが生じ、これがトナーの転写性に影響を及ぼしてしまうからである。感光体表面に均一な潤滑剤層が形成できないと、表面の静止摩擦係数(μ)が不均一になったり、トナーを転写するために十分低い値にならなかったりして転写ムラが生じ、文字中抜け、虫喰い、画像ボケ、ボソツキ等の異常画像が発生する。
【0159】
次に、図8に示す本発明のクリーニング装置(48)の構成を説明する。このクリーニング装置(48)は、クリーニングブレード(48a)、支持部材(48c)を備える。クリーニングブレード(48a)は、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴムを板状に形成してなり、そのエッジが感光体(1)表面に当接するようにして設けられ、転写後に残留する感光体(1)上のトナーを除去する。
クリーニングブレード(48a)は、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材(48c)に貼着されて支持され、感光体(1)表面に対し図8に示す角度で設置される。
【0160】
潤滑剤付与装置(43)は、クリーニング装置(48)の下流側外部に配置され、感光体(1)移動方向上流側にクリーニングブレード(48a)、同下流側に潤滑剤塗布ブレード(43e)がそれぞれ配設される。クリーニングブレード(48a)により残留トナーが除去されてクリーンな状態の感光体(1)の表面に、潤滑剤付与装置(43)によって塗布された潤滑剤を、その後に潤滑剤塗布ブレード(43e)が感光体(1)表面を摺擦することで引き延ばし、感光体(1)表面に潤滑剤の薄層を形成することができる。
潤滑剤塗布ブレード(43e)は、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材(43c)に貼着されて支持され、感光体(1)表面に対し図8に示す角度で設置される。
なお、図8では潤滑剤塗布ブレード(43e)がトレールで感光体に当接しているが、カウンター方向で塗布ブレードを当接させてもよい。
【0161】
図8の潤滑剤付与装置(43)についてより詳細に説明する。潤滑剤付与装置(43)は、感光体用クリーニング装置(48)の下流側外部に設けられ、固形潤滑剤(43b)と、この固形潤滑剤(43b)を感光体(1)に塗布するためのブラシ状部材としてのブラシ状ローラ(43a)とを備えている。固形潤滑剤(43b)は、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解した後冷却固化させたものであり、バー状に成型されている。固形潤滑剤(43b)は、潤滑剤保持部材(43d)に保持され、塗布装置のハウジング(43f)に取り付けた加圧バネによって潤滑剤保持部材(43d)を介して固形潤滑剤(43b)をブラシ状ローラ(43a)側に押し当てている。ブラシ状ローラ(43a)は感光体(1)に当接して設けられており、ブラシ状ローラ(43a)の回転によって、固形潤滑剤(43b)をブラシ状ローラ(43a)側に掻き取り、ブラシ状ローラ(43a)に付着した潤滑剤が感光体(1)との当接部から感光体(1)表面に付着する。その後、潤滑剤は塗布ブレード(43e)によって均一にされる。また、潤滑剤の感光体への供給量は、固形潤滑剤のブラシ状ローラへ押し当てる加圧バネの加圧力によりコントロール可能である。
【0162】
図8に示すような潤滑剤付与装置によって、少ない潤滑剤の供給量で潤滑剤を均一に薄層塗布可能となる。この構成を採ることによって、感光体に付着した潤滑剤の置換効率を向上させることが可能になる。酸化性ガスを取り込み感光体表面抵抗を低低化する潤滑剤を効率的に新しい潤滑剤と置換することが可能となり、最表層にフィラーを含有する感光体の画像ボケを防止できるだけでなく、特に高湿時においてコロナ帯電器に蓄積された酸化性ガス及び物質が感光体停止時に感光体上に降り注がれても、潤滑剤が新規に置換されやすいため、コロナ帯電器近傍の画像濃度低下が防止可能となる。高湿放置時の劣化した潤滑剤を新しいものに置換するための感光体の回転数は60回以上となり、図7に示す従来の構成の潤滑剤塗布手段よりも、必要な感光体の回転回数は少なくすることが可能となる。
前記固形潤滑剤(43b)としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、該固体疎水性潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムなどが好適である。
【0163】
次に、図9は、本発明による電子写真プロセスの一例を示す概略図である。感光体(21)は少なくとも感光層を有し、上記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされる化合物及びフィラーを含有してなる。感光体(21)は駆動ローラ(22a),(22b)により駆動され、帯電器(23)による帯電、光源(24)による像露光、現像(不図示)、転写チャージャ(25)を用いる転写、クリーニングユニット(27)によるクリーニング、光源(28)による除電が繰返し行なわれ、かつ図7又は図8に示す潤滑剤付与手段(30)(クリーニング付き)が、クリーニングユニット(27)の下流において使用される。
図9に示す電子写真プロセスは、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0164】
図10は、本発明における別の実施形態の一例を示す図である。この図10において、感光体ドラム(56)は、図中反時計回りに回転駆動されながら、その表面がコロトロンやスコロトロンなどを用いる帯電チャージャ(53)によって一様に帯電した後、図示を省略しているレーザ光学装置から発せられるレーザ光Lの走査を受けて静電潜像を担持する。
【0165】
この走査はフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報に基づいてなされるため、感光体ドラム(56)上にはイエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックという単色用の静電潜像が形成される。感光体ドラム(56)の図中左側には、リボルバ現像ユニット(50)が配設されている。これは、回転するドラム状の筺体の中にイエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、及びブラック現像器を有しており、回転によって各現像器を感光体ドラム(56)に対向する現像位置に順次移動させる。なお、イエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、及びブラック現像器は、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーを付着させて静電潜像を現像するものである。
【0166】
感光体ドラム(56)上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の静電潜像が順次形成される。これらはリボルバ現像ユニット(50)の各現像器によって順次現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像となる。
【0167】
上記現像位置よりも感光体ドラム(56)の回転下流側には中間転写ユニットが配設されている。これは、張架ローラ(59a)、転写手段たる中間転写バイアスローラ(57)、二次転写バックアップローラ(59b)、ベルト駆動ローラ(59c)によって張架している中間転写ベルト(58)を、ベルト駆動ローラ(59c)の回転駆動によって図中時計回りに無端移動させる。感光体ドラム(56)上で現像されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、及びブラックトナー像は、感光体ドラム(56)と中間転写ベルト(58)とが接触する中間転写ニップに進入する。そして、中間転写バイアスローラ(57)からのバイアスの影響を受けながら、中間転写ベルト(58)上に重ね合わせて中間転写されて、4色重ね合わせトナー像となる。
【0168】
回転に伴って中間転写ニップを通過した感光体ドラム(56)表面は、ドラムクリーニングユニット(55)によって転写残トナーがクリーニングされる。このクリーニングユニット(55)は、クリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラによって転写残トナーをクリーニングするものであるがファーブラシ、マグファーブラシ等からなるクリーニングブラシ、クリーニングブレードなどを用いるものであってもよい。クリーニングユニット(55)の下流には図7又は図8に示す潤滑剤付与手段(30)(クリーニング付き)が設けられる。
【0169】
転写残トナーがクリーニングされた感光体ドラム(56)表面は、除電ランプ(54)によって除電される。除電ランプ(54)には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが用いられている。また、上記レーザ光学装置の光源には半導体レーザが用いられている。これら発せられる光については、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターにより、所望の波長域だけを用いるようにしてもよい。
【0170】
一方、図示しない給紙カセットから送られてきた記録媒体(60)を2つのローラ間に挟み込んでいるレジストローラ対(61)は、記録媒体(60)を中間転写ベルト(58)上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記二次転写ニップに向けて送り込む。中間転写ベルト(58)上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写ニップ内で紙転写バイアスローラ(63)からの二次転写バイアスの影響を受けて記録媒体(60)上に一括して二次転写される。この二次転写により、記録媒体(60)上にはフルカラー画像が形成される。
【0171】
フルカラー画像が形成された記録媒体(60)は、転写ベルト(62)によって紙搬送ベルト(64)に送られる。搬送ベルト(64)は、転写ユニットから受け取った記録媒体(60)を定着装置(65)内に送り込む。定着装置(65)は、送り込まれた記録媒体(60)を加熱ローラとバックアップローラとの当接によって形成された定着ニップに挟み込みながら搬送する。記録媒体(60)上のフルカラー画像は、加熱ローラからの加熱や、定着ニップ内での加圧力の影響を受けて転写紙(60)上に定着される。
【0172】
なお、図示を省略しているが、転写ベルト(62)や搬送ベルト(64)には、記録媒体(60)を吸着させるためのバイアスが印加されている。また、記録媒体(60)を除電する紙除電チャージャや、各ベルト(中間転写ベルト(58)、転写ベルト(62)、搬送ベルト(64))を除電する3つのベルト除電チャージャが配設されている。また、中間転写ユニットは、ドラムクリーニングユニット(55)と同様の構成のベルトクリーニングユニットも備えており、これによって中間転写ベルト(58)上の転写残トナーをクリーニングする。
【0173】
次に、図11は、本発明における別の実施形態を示す概略図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のプリンタであり、図10のように感光体ドラム(80)を各色で共有させるのではなく、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色それぞれ用の感光体ドラム(80Y、80M、80C、80Bk)を備えている。また、ドラムクリーニングユニット(85)、除電ランプ(83)、及び帯電チャージャ(84)についても、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色のものを備えている。各ドラムクリーニングユニット(85)の下流には図7又は図8に示す潤滑剤付与手段(30)が設けられている。
前記タンデム型では、各色の静電潜像形成や現像を並行して行なうことができるため、前記リボルバ型よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。
【0174】
以上説明した画像形成装置における画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、以下に説明するプロセスカートリッジの形で画像形成装置内に組み込まれてもよい。
【0175】
[プロセスカートリッジ]
本発明のプロセスカートリッジは、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段と、電子写真感光体とを有し、本発明の前記画像形成装置に用いられる。
【0176】
ここで、図12は、本発明のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の構成を示す概略図である。感光体(101)は、支持体上に、少なくとも感光層を有し、かつ最表層が、上記一般式(1)及び(2)のいずれかで表わされるジアミン化合物と、フィラーとを含有してなる。(103)は帯電手段、(106)は現像手段、(107)は転写手段、(105)はクリーニング手段、(30)は潤滑剤付与手段を示す。
本発明においては、上述の感光体(101)、帯電手段(103)、現像手段(106)、及び潤滑剤付与手段(30)付きクリーニング手段(105)等の構成要素のうち、少なくとも感光体(101)及び現像手段(106)をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成することができる。
【0177】
次に、相対湿度60%以上に5時間以上放置された場合、画像形成を行なわず感光体を回転させる画像形成装置の動作について説明する。
本発明の画像形成装置は、装置内に湿度検知手段を有しており、相対湿度常時モニターし、画像形成動作終了するたびに停止状態にある時間をカウントする。相対湿度が例えば60%以上で停止状態にある時間が例えば5時間以上経過すると、感光体上への画像形成を行なわず60回数分以上感光体を回転させるシーケンスを行なう。このとき、クリーニング手段、潤滑剤塗布手段も同時に動作させ、感光体上の潤滑剤の置換を行なう。図13にこの動作の概略フローチャートを示す。
【0178】
画像形成装置内の相対湿度が60%未満であれば、酸化性物質の吸着により劣化した潤滑剤の抵抗低下は非常に小さくなるため、本発明のように感光体の酸化性ガス及び酸化性物質に対する耐性が十分であれば、画像ボケや濃度低下といった画像不具合は発生しない。相対湿度が60%以上、特に70%以上になれば、水分の影響を受け感光体表層の劣化した潤滑剤の抵抗は低下し、画像不具合が発生しやすくなる。
【0179】
画像形成動作終了後、5時間未満であれば、帯電手段近傍に吸着、蓄積された酸化性ガス及び物質の感光体表面上の潤滑剤への影響は軽微であるため、画像不具合は発生しにくいが、5時間以上になると潤滑剤への吸着、蓄積が進行し潤滑剤の劣化が進行し、表面抵抗の低下につながる。
【0180】
更に潤滑剤付与手段が潤滑剤を電子写真感光体上に供給する潤滑剤供給手段と、潤滑剤供給手段の電子写真感光体の回転方向におけるクリーニング手段の下流に供給された潤滑剤を電子写真感光体上に塗布する潤滑剤塗布手段とから構成することにより、潤滑剤塗布量を低減すると共に、潤滑剤の置換効率を上げることが可能になるため、酸化性ガス及び物質が吸着し劣化した潤滑剤を置換するために必要な感光体回転数をより少なくする(回転動作時間を短くする)ことができる。
【0181】
以上のような本発明の構成とすることにより、高耐久性を有し、かつ感光体の高湿時の帯電手段近傍における濃度低下、画像ボケによる画像劣化を抑制でき、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することが可能となる。
【実施例】
【0182】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例により制限されるものではない。
【0183】
[製造例1]
(電子写真感光体1の作製)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を浸漬塗工によって順次塗布し、乾燥させて、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、厚み22μmの電荷輸送層をそれぞれ形成した。
【0184】
(下引き層塗工液の組成)
・二酸化チタン粉末・・・400質量部
・メラミン樹脂・・・65質量部
・アルキッド樹脂・・・120質量部
・2−ブタノン・・・400質量部
【0185】
(電荷発生層塗工液の組成)
・下記構造式で表わされるビスアゾ顔料・・・12質量部
【0186】
【化10】


・ポリビニルブチラール・・・5質量部
・2−ブタノン・・・200質量部
・シクロヘキサノン・・・400質量部
【0187】
(電荷輸送層塗工液の組成)
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・10質量部
・下記構造式で表わされる電荷輸送物質・・・10質量部
【0188】
【化11】


・テトラヒドロフラン・・・100質量部
【0189】
次に、電荷輸送層上に、下記組成の保護層塗工液をスプレー塗工によって、厚み5.0μmの保護層を形成した。以上により、電子写真感光体1を作製した。
(保護層塗工液の組成)
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・2質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.02質量部
・下記構造式で表わされる例示化合物9・・・0.6質量部
【0190】
【化12】


・下記構造式で表わされる電荷輸送物質・・・3質量部
【0191】
【化13】


・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・5質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロヘキサノン・・・70質量部
【0192】
[製造例2]
[電子写真感光体2の作製]
製造例1において、保護層塗工液を下記の組成の保護層塗工液に変更した以外は、製造例1と同様にして、電子写真感光体2を作製した。
(保護層塗工液の組成)
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・2質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.02質量部
・下記構造式で表わされる例示化合物2・・・1.8質量部
【0193】
【化14】


・下記構造式で表わされる電荷輸送物質・・・1.8質量部
【0194】
【化15】


・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・5質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロヘキサノン・・・70質量部
【0195】
[製造例3]
[電子写真感光体3の作製]
製造例1において、保護層塗工液を下記の組成の保護層塗工液に変更した以外は、製造例1と同様にして、電子写真感光体3を作製した。
(保護層塗工液の組成)
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.01質量部
・下記構造式で表わされる例示化合物9・・・0.6質量部
【0196】
【化16】


・下記構造式で表わされる電荷輸送物質・・・3質量部
【0197】
【化17】


・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・5質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロヘキサノン・・・70質量部
【0198】
[製造例4]
[電子写真感光体4の作製]
製造例1において、保護層塗工液を下記の組成の保護層塗工液に変更した以外は、製造例1と同様にして、電子写真感光体4を作製した。
(保護層塗工液の組成)
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・3質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.03質量部
・下記構造式で表わされる例示化合物9の電荷輸送物質・・・0.9質量部
【0199】
【化18】


・下記構造式で表わされる電荷輸送物質・・・4質量部
【0200】
【化19】


・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・3質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロヘキサノン・・・70質量部
【0201】
[製造例5]
[電子写真感光体5の作製]
製造例1において、保護層塗工液を下記の組成の保護層塗工液に変更した以外は、製造例1と同様にして、電子写真感光体5を作製した。
(保護層塗工液の組成)
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.5μm、スミコランダムAA−05、住友化学工業株式会社製)・・・3質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.02質量部
・下記構造式で表わされる例示化合物9の電荷輸送物質・・・0.9質量部
【0202】
【化20】


・下記構造式で表わされる電荷輸送物質・・・4質量部
【0203】
【化21】


・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・3質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロヘキサノン・・・70質量部
【0204】
[製造例6]
[電子写真感光体6の作製]
製造例1において、電荷輸送層の厚みを27μmとし、保護層を設けないこと以外は、製造例1と同様にして、電子写真感光体6を作製した。
【0205】
[製造例7]
[電子写真感光体7の作製]
製造例1において、保護層塗工液を下記の組成の保護層塗工液に変更した以外は、製造例1と同様にして、電子写真感光体7を作製した。
(保護層塗工液の組成)
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・2質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.02質量部
・下記構造式で表わされる電荷輸送物質・・・3質量部
【0206】
【化22】

・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・5質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロヘキサノン・・・70質量部
【0207】
以下に示す、潤滑剤付与手段1〜2を用意した。
[潤滑剤付与手段1]
図7に示す潤滑剤付与装置(30)を用い、固形潤滑剤(33)をステアリン酸亜鉛として、感光体(1)へ潤滑剤を塗布した。その際、固形潤滑剤(33)をバネ圧5Nのバネを用いてブラシ状ローラ(34)へ押圧した。
[潤滑剤付与手段2]
図8に示す潤滑剤付与装置(43)を用い、固形潤滑剤(43b)をステアリン酸亜鉛として、感光体(1)へ潤滑剤を塗布した。その際、固形潤滑剤(43b)をバネ圧3Nのバネを用いてブラシ状ローラ(43a)へ押圧した。
【0208】
以下に示す、潤滑剤置換動作1〜6で画像形成装置を制御するシーケンスを用意した。
[潤滑剤置換動作1]
図13に示すような潤滑剤置換動作無し。
[潤滑剤置換動作2]
図13に示すフローチャートにおいて、予め画像形成装置に記憶させた所定相対湿度Aを60%、所定停止時間Bを12時間、所定感光体回転回数Cを60回として潤滑剤置換動作を行なう。
[潤滑剤置換動作3]
図13に示すフローチャートにおいて、予め画像形成装置に記憶させた所定相対湿度Aを80%、所定停止時間Bを5時間、所定感光体回転回数Cを80回として潤滑剤置換動作を行なう。
[潤滑剤置換動作4]
図13に示すフローチャートにおいて、予め画像形成装置に記憶させた所定相対湿度Aを60%、所定停止時間Bを12時間、所定感光体回転回数Cを40回として潤滑剤置換動作を行なう。
[潤滑剤置換動作5]
図13に示すフローチャートにおいて、予め画像形成装置に記憶させた所定相対湿度Aを65%、所定停止時間Bを6時間、所定感光体回転回数Cを60回として潤滑剤置換動作を行なう。
[潤滑剤置換動作6]
図13に示すフローチャートにおいて、予め画像形成装置に記憶させた所定相対湿度Aを65%、所定停止時間Bを6時間、所定感光体回転回数Cを90回として潤滑剤置換動作を行なう。
【0209】
[実施例1〜15及び比較例1〜11]
(画像形成)
次に、帯電をコロナ帯電方式(スコロトロン型)で行ない、画像露光光源として655nmの半導体レーザー(LD)を用いたデジタル方式の画像形成装置(imagio MF2200改造機、株式会社リコー製)で、表1に示すように感光体と潤滑剤付与手段と潤滑剤置換動作を組み合わせて、暗部電位を800(−V)に設定した後、トータルA4サイズ横10万枚の印刷を行ない、初期及び10万枚印刷の感光体摩耗量、印刷中の画像についての画像品質(画像ボケ、その他異常画像)の評価を行なった。この評価は23℃、50%の環境下で行なった。印刷中における画像品質は、実施例1〜10及び比較例1〜8において全て問題なかった。感光体の摩耗量については結果を表1に示す。
【0210】
次に、10万枚印刷後、温度27℃、80%RHの環境下、同様に1,000枚の印刷を行った後、画像形成装置を停止したまま24時間放置し、翌日に中間調グレー画像3枚を出力し、スコロトロン帯電器近傍の濃度低下量を画像濃度計で測定した。更に、継続して温度32℃、湿度65%RHの環境下、同様に1,000枚の印刷を行った後、画像形成装置を停止したまま24時間放置し、翌日に中間調グレー画像3枚を出力し、スコロトロン帯電器近傍の濃度低下量を画像濃度計で測定した。これらの結果を表1に示す。
【0211】
[感光体の摩耗量]
感光体の摩耗量は、初期の感光体の厚みから10万枚繰り返し試験後の感光体の厚みを引いて求めた。感光体の厚みは渦電流式膜厚計を用いて測定した。
【0212】
【表1】


潤滑剤置換動作1;潤滑剤置換動作なし。
潤滑剤置換動作2;湿度A=60%RH、停止時間B=12時間、感光体回転回数C=60回。
潤滑剤置換動作3;湿度A=80%RH、停止時間B=5時間、感光体回転回数C=80回。
潤滑剤置換動作4;湿度A=60%RH、停止時間B=12時間、感光体回転回数C=40回。
潤滑剤置換動作5;湿度A=65%RH、停止時間B=6時間、感光体回転回数C=60回。
潤滑剤置換動作6;湿度A=65%RH、停止時間B=6時間、感光体回転回数C=90回。
表1の結果から、電子写真感光体表面を帯電する非接触のコロナ放電方式の帯電手段と前記電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段とを有し、湿度検知手段によって、画像形成装置内の相対湿度を検知し、画像形成装置の停止時間が所定時間以上であり、画像形成装置内の相対湿度が所定値以上である場合、画像形成を行なわない電子写真感光体の回転動作が所定回転分以上行なわれる実施例1〜15の画像形成装置では、異常画像の発生が抑制されており、高画質画像が安定に得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本発明の画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジは、高耐久性を有し、かつ高湿時の帯電手段近傍における濃度低下、画像ボケによる画像劣化を抑制でき、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できるので、電子写真方式のレーザープリンタ、デジタル複写機、フルカラー複写機、フルカラーレーザープリンターなどに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本発明の単層型の電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の積層型の電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の単層型の電子写真感光体の他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の積層型の電子写真感光体の他の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の積層型の電子写真感光体の更に他の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図7】従来の潤滑剤付与装置の一例を示す概略図である。
【図8】本発明の潤滑剤付与装置の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。
【図10】本発明の画像形成装置の更に他の一例を示す概略図である。
【図11】本発明のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図12】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【図13】本発明の画像形成動作の概要フローチャートである。
【符号の説明】
【0215】
1 電子写真感光体(感光体)
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 露光部
6 現像手段
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 記録媒体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 ブレード
16 クリーニング手段
21 感光体
22a、22b 駆動ローラ
23 帯電器
24 光源
25 転写チャージャ
27 クリーニングユニット
28 光源
30 潤滑剤付与装置
33 固形潤滑剤
34 ブラシ状ローラ
43 潤滑剤付与装置
43a ブラシ状ローラ
43b 固形潤滑剤
43c 支持部材
43d 潤滑剤保持部材
43e 潤滑剤塗布ブレード
43f 塗布装置のハウジング
48 クリーニング装置
48a クリーニングブレード
48c 支持部材
50 リボルバ現像ユニット
53 帯電チャージャ
54 除電ランプ
55 ドラムクリーニングユニット
56 感光体ドラム
57 中間転写バイアスローラ
58 中間転写ベルト
59a 張架ローラ
59b 2次転写ローラ
59c ベルト駆動ローラ
60 記録媒体
61 レジストローラ対
62 転写ベルト
63 紙転写バイアスローラ
64 搬送ベルト
65 定着装置
80 感光体ドラム
81 露光
82 現像装置
83 除電ランプ
84 帯電チャージャ
85 クリーニングユニット
86 1次転写バイアスローラ
87 中間転写ベルト
88 レジストローラ対
89 記録媒体
90 紙転写バイアスローラ
91 転写ベルト
92 搬送ベルト
93 定着装置
94 転写ベルトクリーニングブラシ
101 感光体
102 露光手段
103 帯電手段
105 クリーニング手段
106 現像手段
107 転写手段
201 支持体
202 感光層
203 電荷発生層
204 電荷輸送層
210 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記電子写真感光体表面の残存トナーを除去するクリーニング手段と、を少なくとも有する画像形成装置において、
該画像形成装置が該電子写真感光体表面を帯電する非接触のコロナ放電方式の帯電手段と前記電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段とを有し、湿度検知手段によって、画像形成装置内の相対湿度を検知し、画像形成終了後、画像形成装置内の相対湿度が該装置に予め記憶された60%以上で、該装置に予め記憶された5時間以上画像形成動作が入らない状態にあるとき、つぎの画像形成動作に入る前に、画像形成を行なわない電子写真感光体の回転動作が60回転分以上行なわれることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電子写真感光体の最表層が、少なくともフィラーと、下記一般式(1)及び(2)で表わされるジアミン化合物のうち少なくともいずれかとを含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【化1】

[前記一般式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表わし、該R及びRの少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。]
【化2】

[前記一般式(2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、芳香族炭化水素基置換又は無置換のアルキル基を表わし、該RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表わし、lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表わす。]
【請求項3】
前記画像形成装置に予め記憶された相対湿度が65%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置に予め記憶された画像形成動作が入らない時間が6時間以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成を行なわない電子写真感光体の回転動作の回転数が90回転以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記潤滑剤付与手段が、電子写真感光体の回転方向におけるクリーニング手段の下流に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
潤滑剤塗布手段が、塗布ブレードであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記潤滑剤が金属石鹸であり、該金属石鹸が、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
潤滑剤供給手段が電子写真感光体に接触して回転するブラシ状ローラであり、該ブラシ状ローラが潤滑剤を摺擦し掻き取って該電子写真感光体上に供給する請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記電子写真感光体の最表層に含有されるフィラーが、金属酸化物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記電子写真感光体の最表層に含有されるフィラーの平均一次粒径が、0.01〜1.0μmであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記電子写真感光体の最表層におけるフィラーの含有量が、5〜50質量%であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記電子写真感光体の最表層が、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記電子写真感光体が、支持体と該支持体上に感光層と保護層とをこの順に有してなり、前記保護層が、最表層であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記露光手段が、半導体レーザ(LD)及び発光ダイオード(LED)のいずれかであり、該露光手段によりデジタル方式で電子写真感光体上に静電潜像の書き込みを行なうようにしたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記電子写真感光体上に複数色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成する構成としたことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記電子写真感光体を複数有し、それぞれの電子写真感光体に現像された単色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成するものであることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記電子写真感光体上に現像された可視像を中間転写体上に一次転写した後、該中間転写体上の可視像を記録媒体上に二次転写する中間転写手段を備え、複数色の可視像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録媒体上に一括で二次転写する構成としたことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項19】
電子写真感光体と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記電子写真感光体表面の残存トナーを除去するクリーニング工程と、を少なくとも有する画像形成方法において、
該画像形成方法が該電子写真感光体表面を帯電する非接触のコロナ放電方式の帯電工程と前記電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与工程とを有し、前記電子写真感光体の最表層が、少なくともフィラーと、下記一般式(1)及び(2)で表わされるジアミン化合物のうち少なくともいずれかとを含有し、湿度検知工程によって、画像形成装置内の相対湿度を検知し、画像形成終了後、画像形成装置内の相対湿度が少なくとも60%以上で少なくとも5時間以上画像形成動作が入らない場合、画像形成を行なわない電子写真感光体の回転動作が少なくとも60回転分以上行なわれることを特徴とする画像形成方法。
【化3】

[前記一般式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表わし、該R及びRの少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。]
【化4】

[前記一般式(2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、芳香族炭化水素基置換又は無置換のアルキル基を表わし、該RとRとが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表わし、lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表わす。]
【請求項20】
電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段を備え、請求項1乃至18のいずれかに記載の画像形成装置に用いられることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−53400(P2009−53400A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219461(P2007−219461)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】