説明

画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ

【課題】ドクターブレードへのトナー融着を防ぐとともに低温定着が可能で、長期にわたって高品質画像が得られる、二成分現像剤を用いる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
現像剤担持体上に担持する現像剤をドクターブレードで規制し、その規制後の現像剤を像担持体上の潜像に付着させて潜像を現像する現像装置を具備する画像形成装置であって、前記ドクターブレードは、前記現像剤担持体の回転方向に対して上流側の現像剤が規制される面の表面粗さが、Ra=0.2μm以下であり、前記現像剤はキャリア及びトナーからなる二成分現像剤であり、前記トナーは体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下である母体粒子に、無機微粉体(BET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aと、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bを含有)が外添された粉砕トナーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに関し、詳しくは、静電潜像の形成される像担持体と、その静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置を具備し、前記現像装置は、像担持体に対置され、静電潜像の可視像化が行われる現像領域に向けて現像剤を担持して搬送する現像剤搬送部材と、現像領域に向けて搬送される現像剤の量を規制する現像剤規制部材とを有している画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、静電印刷、プリンター、ファクシミリ、静電記録等の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体ドラムや感光体ベルトなどからなる像担持体上に画像情報に応じた静電潜像が形成され、現像装置によって現像動作が実行され、可視像が得られるようになっている。このように現像動作において、キャリア及びトナーからなる2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式を使った現像装置では、現像剤担持体上に2成分現像剤がブラシチェーン状に穂立ちを起こし、現像領域において、現像剤中のトナーを像担持体上の潜像部分に供給するものである。ここで現像領域とは、現像剤担持体上で磁気ブラシが立ち上がり像担持体と接触している範囲である。
【0003】
現像剤担持体は、通常円筒状に形成されたスリーブ(現像スリーブ)で成ると共に、当該スリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁石体(磁石ローラ)をスリーブ内部に備えている。穂立ちの際、キャリアが磁石ローラで生じる磁力線に沿うようにスリーブ上に穂立ちすると共に、この穂立ちに係るキャリアに対して帯電トナーが付着されている。上記磁石ローラは、複数の磁極を備え、それぞれの磁極を形成する磁石が棒状などに形成されていて、特にスリーブ表面の現像領域部分では現像剤を立ち上げる現像主磁極を備えている。上記スリーブと磁石ローラの少なくとも一方が動くことでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動するようになっている。
【0004】
そして、この現像剤による穂立ちが均一の高さ、つまり均一な量で像担持体に搬送され、接触させるために、現像剤担持体上に担持する現像剤をドクターブレードで規制し、その規制後の現像剤を像担持体の現像領域に搬送させるようにしている。現像領域に搬送された現像剤は前記現像主磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こし、この現像剤のチェーン穂は撓むように像担持体表面に接触し、接触した現像剤のチェーン穂が像担持体との相対線速差に基づいて静電潜像と擦れ合いながら、トナー供給(現像)を行う。
【0005】
ところで、前記ドクターブレードでの現像剤量の規制では、ドクターブレードへのトナー融着が問題となり画像問題を引き起こすことがある。これは、ドクターブレードにトナーが融着することで、融着したトナーに更にトナーが付着したり、現像器内の異物が付着したりして、現像剤を規制するための現像剤担持体とドクターブレードとのギャップが変わってしまい、現像剤の規制量が均一でなくなってしまい、地肌汚れ(かぶり)や濃度薄による縦白抜け等の画像問題が発生してしまうものである。
【0006】
このようなドクターブレードへのトナー融着は、トナーの粒径に大きく影響していることがわかっている。そのドクターブレードへのトナー融着が発生しやすいトナーは、微粉トナーが多く含まれているトナーであることが知られている。ここで言う、微粉トナーとは粒径が2μm以下のような小粒径トナーのことである。微粉トナーはドクターブレードの凹凸の凹部に入り込みやすく、また熱の影響を受けやすいため、凹部に入り込みドクターブレード表面に留まってしまったトナーがドクターブレードの熱を受けて溶けるというものである。ドクターブレード表面のトナーが溶けて融着すると、そこに新たにトナーや紙粉等が付着し、大きな付着物となってしまうものである。つまり、ドクターブレードへのトナー固着を防ぐためには、微粉と呼ばれる小粒径トナーの含有率を減らせば良いことがわかっている。
【0007】
しかしながら、画像品質については、小粒径トナーが有利であり、定着時に要する熱エネルギーも、小粒径トナーの方が少なくて良くて有利である。すなわち、省エネルギー、高画像品質という面からは、小粒径トナーの方が有利となるが、ドクターブレードへのトナー固着とのトレードオフの関係となっている。
【0008】
こうしたことから、ドクターブレードへのトナー融着でドクターブレードへの異物付着の対策として、現像剤担持体を逆転させる方法などが提案されている。現像剤担持体を逆転させる方法は、例えば現像剤担持体を正転させて現像した後、逆転させてドクターブレードに固着したトナーなど異物を剥し取るものである。
また一般的には、ドクターブレードのトナー融着は、1成分現像方式で現像ローラの表面に形成される現像剤にドクターブレードが圧接した状態で現像剤の層厚規制を行なうため、発生しやすいという問題があった。この場合、ドクターブレードと現像スリーブとの接触部の材質を規定することで融着を防ぐ提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この提案においても依然としてトナー融着が発生しやすいのが実情である。
また、2成分現像方式の現像剤の流動に対して、十分な整流効果により、現像剤の層厚を円滑に規制できるように、規制部材先端の像担持体との対向面の表面粗さを規定するという技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、これはあくまでも現像剤の整流性を目的とした発明であり、トナー融着には配慮がなされていない。
【0009】
なお、トナーについては数多くが提案されている。例えば、画像濃度が高く、細線再現性、階調性の優れ、かぶりのない画像を得ることを意図して、(i)個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が20〜40個数%、4〜8μmのトナーが60個数%以上のトナー(例えば、特許文献3参照)、(ii)個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が10〜70個数%、5μm以下のトナーが40個数%以上のトナー(例えば、特許文献4参照)、(iii)体積平均粒径が2.0〜5.0μm、個数粒径5μm以下のトナー含有率が90個数%以上、個数粒径1.0μm以下のトナー含有率が20個数%以下のトナー(例えば、特許文献5参照)等が提案されているが、これら特許文献1〜5には個数粒径2.0μm以下のトナー含有率についての記述はされていない。
【0010】
また、(iv)2種類の粒径の異なる無機微粉末を外添する非磁性一成分トナー(例えば、特許文献6参照)、(v)シリカ微粒子と、それより大きい一次粒子径をもつ粒子とを外添するトナー(例えば、特許文献7参照)、(vi)20〜80nmの無機微粒子と5〜20nmの無機微粒子とを外添するトナー(例えば、特許文献8参照)、(vii)特定の条件を満たす大粒径無機微粒子と小粒径無機微粒子とを外添するトナー(例えば、特許文献9参照)等が提案されているが、これらの発明のトナーはその転写性を改善することを目的としてなされたものであり、トナー融着には配慮がなされていない。
【0011】
また、(viii)平均粒子径5〜10μmのトナー粒子と、平均粒子径20〜80nmの球状添加剤微粒子と5〜20nmの添加剤微粒子からなるトナーも提案されているが(例えば、特許文献10参照)、この発明のトナーは添加剤微粒子の埋め込まれ防止を目的とするものであり、トナー融着には配慮がなされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ドクターブレードを具備した二成分現像方法及びそれに用いる現像剤を特定することにより、ドクターブレードへのトナー融着を防ぐとともに低温定着が可能で、長期にわたって高品質画像が得られる画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジにおける現像装置ないし現像方法について鋭意検討を行った結果、下記の手法によって上記課題を解決できること見出した。即ち、上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジは、具体的には下記(1)〜(11)に記載の技術的特徴を有する。
【0014】
(1)現像剤担持体上に担持する現像剤をドクターブレードで規制し、その規制後の現像剤を像担持体上の潜像に付着させて潜像を現像する現像装置を具備する画像形成装置であって、
前記ドクターブレードは、前記現像剤担持体の回転方向に対して上流側の現像剤が規制される面の表面粗さが、Ra=0.2μm以下であり、
前記現像剤はキャリア及びトナーからなる二成分現像剤であり、
前記トナーは粉砕トナーであり、かつ体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下であり、さらに無機微粉体を含有するものであり、
前記無機微粉体は、少なくともBET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aと、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bを含有する、ことを特徴とする。
(2)上記(1)の画像形成装置において、前記ドクターブレードの材質が、非磁性体の金属材料であることを特徴とする。
(3)上記(2)の画像形成装置において、前記非磁性体の金属材料の材質が、アルミニウムである場合は表面をアルマイト処理したアルミニウムであることを特徴とする。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの画像形成装置において、前記無機微粉体A及び無機微粉体Bが、シリカ、チタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの画像形成装置において、前記無機微粉体Aと無機微粉体Bとの重量割合(A/B)が、0.3/0.7〜0.7/0.3であることを特徴とする。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの画像形成装置において、転写材への未転写トナーを回収して現像装置に戻すトナーリサイクル装置を備えていることを特徴とする。
(7)現像剤担持体上に担持する現像剤をドクターブレードで規制し、その規制後の現像剤を付着させて像担持体上の潜像を現像する画像形成方法であって、
前記ドクターブレードには、前記現像剤担持体の回転方向に対して上流側の現像剤が規制される面の表面粗さが、Ra=0.2μm以下であるものが用いられ、
前記現像剤にはキャリア及びトナーからなる二成分現像剤であり、
前記トナーは粉砕トナーであり、かつ体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下であり、さらに無機微粉体を含有してなり、
前記無機微粉体は、少なくともBET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aと、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bを含有するものが用いられる、ことを特徴とする。
(8)上記(7)の画像形成方法において、前記無機微粉体A及び無機微粉体Bが、シリカ、チタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
(9)上記(7)又は(8)の画像形成方法において、前記無機微粉体Aと無機微粉体Bとの重量割合(A/B)が、0.3/0.7〜0.7/0.3であることを特徴とする。
(10)上記(7)〜(9)のいずれかの画像形成方法において、転写材への未転写トナーを回収してリサイクル使用することを特徴とする。
(11)像担持体と、現像剤担持体と、該現像剤担持体上に担持する現像剤を規制するドクターブレードとを少なくとも具備し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記ドクターブレードは、前記現像剤担持体の回転方向に対して上流側の現像剤が規制される面の表面粗さが、Ra=0.2μm以下であり、
前記現像剤はキャリア及びトナーからなる二成分現像剤であり、
前記トナーは粉砕トナーであり、かつ体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下であり、さらに無機微粉体を含有してなり、
前記無機微粉体は、少なくともBET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aと、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bを含有するものである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)の画像形成装置、上記(7)の画像形成方法、及び上記(11)のプロセスカートリッジによれば、ドクターブレードへのトナー融着を防ぐとともに低温定着が可能で、長期にわたって高品質画像が得られる。
上記(2)の画像形成装置によれば、ドクターブレードの材質を非磁性体の金属材料にしたことで、トナー融着しやすい条件下例えば、高温高湿環境の条件下でもドクターブレードへのトナー融着は防止され、高画像品質、低温定着が可能でとなる。
上記(3)の画像形成装置によれば、ドクターブレードを表面がアルマイト処理されたアルミニウムにしたことで、ドクターブレード表面の硬度が上がり、磨耗しにくいものとなる。
上記(4)の画像形成装置、及び上記(8)の画像形成方法によれば、ドクターブレードへのトナー融着防止に対して特に顕著な効果が認められる。
上記(5)の画像形成装置、及び上記(9)の画像形成方法によれば、ドクターブレードへのトナー融着防止に対して特に顕著な効果が認められる。
上記(6)の画像形成装置、及び上記(10)の画像形成方法によれば、転写材への未転写トナーを回収して現像装置に戻すトナーリサイクル装置を設けたことにより、紙粉等の異物が多く、融着したトナーがあると異物が付着しトナー塊が大きくなりやすい画像形成装置においても、ドクターブレードの表面粗さを規定したことで、高画像品質、低温定着が可能で、かつドクターブレードへのトナー融着を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態であるレーザ複写機(画像形成装置)の要部の概略構成図である。
【図2】本発明のプロセスカートリッジを画像形成装置本体に出し入れする様子を示す斜視図である。
【図3】トナーリサイクル装置を示す斜視図である。
【図4】現像スリーブとドクターブレードの周辺を示す要部拡大図である。
【図5】(A)はドクターブレードによって現像剤の汲み上げ量を規制し、適正な現像剤量を搬送している状態、(B)はドクターブレードに異物が固着して現像剤量を適正に搬送していない状態、をそれぞれ示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照にして、この発明の実施の形態について説明する。図1には、この発明による画像形成装置(レーザ複写機)の要部の概略構成を示す。
図中、符号10は、像担持体であるドラム状の感光体である。図1からわかるとおり、感光体10のまわりには、その横に設けるローラ状の帯電装置11から感光体10の矢印Aで示す回転方向に順に、下に現像装置12、横に転写装置13と用紙分離装置14、上にクリーニング装置15を備えている。
【0018】
そして、コピーを取るときは、公知のとおり、不図示のコンタクトガラス上に原稿をセットしてから、コピースイッチを押し、図示しない光学読取装置で原稿の画像を読み取ると同時に、感光体10と転写装置13との間に用紙(転写材)Pを送り込む。
一方、感光体10は、所定の周速度で回転し、その回転にともない、クリーニングパッド16で清掃する帯電装置11で表面を一様に帯電し、その表面に不図示の光書込み装置からレーザ光Lを照射して書き込みを行い、感光体10上に、上記読み取った原稿画像の静電潜像を形成し、続いて現像装置12位置を通るときトナーを付着して同静電潜像を逐次可視像化する。そして、この可視像化して形成したトナー画像を、上述したとおり感光体10と転写装置13間に搬送した用紙P上に転写装置13で転写する。
転写後、用紙Pは、用紙分離装置14で放電して、静電的に付着する感光体10から分離し、不図示の定着装置へ搬送してそこで転写画像を定着し、不図示の排紙部へと排出する。用紙分離装置14に代えて分離爪を設け、感光体10から機械的に分離するようにしてもよい。
他方、画像転写後の感光体10は、表面に残った残留トナーを、クリーニング装置15に備えるクリーニングブレード17で掻き落として表面を清掃した後、不図示の除電ランプで除電して表面電位を初期化する。
【0019】
図示例では、上述した感光体10と帯電装置11と現像装置12とクリーニング装置15とを1つのカートリッジケース19内に備え、プロセスカートリッジ20を構成するのが好ましい。そして、このプロセスカートリッジ20を、図2に示すように画像装置本体18に対して正面側から矢示方向に出し入れして着脱自在とする。
【0020】
このようなプロセスカートリッジ20において、上述した現像装置12は、図1に示すように、下部側に現像剤収容部21を設け、上部側に現像剤担持部22を設けて構成する。現像剤収容部21には、キャリアとトナーとよりなる乾式二成分現像剤を収容し、その現像剤を撹拌しながら搬送する撹拌部材23を設ける。また、図示しないが、現像剤中のトナーとキャリアとの混合比を検知するトナー濃度センサを設けてなる。
【0021】
(感光体)
本発明に用いられる感光体10には、無機感光体、有機感光体等の従来公知のものを適用できる。さらにその形状は任意であり、ドラム状であっても良く、ベルト状であっても良いが、高速画像形成に対応するためにはドラム状であることが好ましい。
【0022】
(帯電装置)
本発明に用いられる帯電装置11には、接触帯電方式、非接触帯電方式等、従来公知のものを適用できる。
【0023】
(露光装置)
本発明に用いられる不図示の露光装置には、従来公知のものを適用可能であって、上述した感光体1に静電潜像を形成可能であれば良く、感光体10の特性に対応した光を照射可能なものが適宜採用される。
【0024】
(現像装置)
図4に示すように、図示レーザ複写機の現像装置12では、像担持体である感光体10はA方向(図中、反時計まわり)に回転し、現像剤担持体である現像スリーブ28はB方向(図中、時計まわり)に回転する。
現像スリーブ28には、現像剤規制部材であるドクターブレード29の先端が対向する。ドクターブレード29は、薄い金属板で基端を上向きに折り曲げて断面L形状につくり、現像スリーブ28の軸方向に沿って水平に配置して、両端を不図示の支持板で支持する。
現像剤担持部22には、現像窓27を通して感光体10と対向する位置に、内部に磁石を有する現像スリーブ(現像剤担持体)28を設ける。また、感光体10への現像剤の供給量を制御するドクターブレード(現像剤規制部材)29を設けてなる。
現像装置12では、コピー時、不図示の駆動モータを駆動し、その駆動を伝達して現像スリーブ28を回転するとともに、撹拌部材23を回転して現像剤を撹拌し、トナーとキャリアを摩擦帯電しながら現像スリーブ28へ搬送する。一方、現像スリーブ28に所定バイアスを印加して現像剤中のトナーを感光体10の表面に静電的に付着し、その表面上の潜像を可視像化する。
【0025】
(転写装置)
本発明に用いられる転写装置13は、転写材(用紙P)にトナー像を転写可能であればいかなるものであっても良く、用紙Pに直接転写する方式であっても良く、中間転写体(被転写体)を介して用紙Pに転写する方式であっても良い。
【0026】
(定着装置)
本発明に用いられる不図示の定着装置には、定着ローラ、定着ベルト等、従来公知の定着部材を適用できるが、高速画像形成に対応するためには定着ローラであることが好ましい。
また、本発明では定着部材にシリコンオイルが塗布される。シリコンオイルは不図示のオイル塗布機構により適宜塗布されるものであり、オイル塗布機構の形態は従来公知のものを適用できる。オイル塗布機構は定着部材にシリコンオイルを塗布可能な配置構成であれば良く、定着装置の内部に配置されていても良く、取り替え容易なように定着装置の外部に配置されていても良い。
さらに、本発明で用いられるシリコンオイルは、定着性向上に効果を奏するシリコンオイルであれば如何なるものであっても良く、従来公知のものを適用可能である。
【0027】
(クリーニング装置)
感光体10の上に備えるクリーニング装置15には、カートリッジケース19のクリーニングケース部19a内に、クリーニングブレード17で掻き落した残留トナーを掻き上げる回収羽根30と、その回収羽根30により掻き上げた残留トナーを図3から判るように感光体10の軸方向に搬送するコイル状のトナー搬送部材31とを備える。
そして、プロセスカートリッジ20に、クリーニング装置15で回収したトナーを、さらにパイプ等で形成した搬送通路を通して、スクリュ・コイル・ベルト等の搬送部材を用いたり重力を利用したりして現像装置12の現像剤収容部21へと戻すトナーリサイクル装置32を備える。
【0028】
(トナーリサイクル装置)
クリーニング装置15では、感光体10の回転をギヤを介して伝達してトナー搬送部材30を回転駆動し、感光体10から除去した残留トナーをトナー搬送部材30で搬送してクリーニングケース部19a内の手前側に集め、トナーリサイクル装置32で現像装置12に戻す。
図4には、プロセスカートリッジ20に備える現像装置12の一部を拡大して示す。
【0029】
(画像形成方法)
本発明に係る画像形成方法では、記録紙等の記録媒体4の搬送速度(システム速度)が500乃至2000mm/secである超高速画像形成が好ましい。このような高速の画像形成を行う際には、現像装置は1本の現像磁気ロールによる現像では必ずしも充分ではなく、画像印刷濃度を確保するために複数本の現像磁気ロールを使用し、現像領域を増して現像時間を伸ばし現像する方式、所謂センターフィード方式が好ましい。複数本の現像磁気ロールを使用したセンターフィード方式の場合、1本の現像ロールを使用した方式と比較して高い現像能力が得られることにより、高面積画像印刷の場合でも画像印刷濃度を確保することができる。
【0030】
図5に現像スリーブとドクターブレードの簡略した断面図を示す。
(A)の現像器は、ドクターブレード29によって現像剤1の汲み上げ量を規制し、適正な現像剤量を搬送している。(B)の現像器は、ドクターブレード29の現像スリーブ回転方向に対し、ドクターブレード上流側の現像剤が規制される面にトナーが融着したときの図である。符号2は融着したトナー、符号29Aはドクターブレード29の現像スリーブ回転方向に対し、ドクターブレード上流側の現像剤が規制される面を示している。
【0031】
ドクターブレード29へのトナー融着2は、現像スリーブの回転方向に対し、ドクターブレード上流側の現像剤が規制される面29Aで発生する。そして、ドクターブレードへのトナー融着の発生は、ドクターブレードの温度が高い状態であるときに多いことが判明した。現像ドクターの温度が高くなるのは、連続通紙がなされているとき(連続コピー時)が最も厳しい。ドクターブレードにトナーが融着すると、軟らかくなっているトナーに、別のトナーや紙粉等の異物が付着し、大きなトナー塊へと成長していくことがわかった。
【0032】
このように、ドクターブレードにトナーが大量に融着することで、トナー融着のある部分だけ現像剤の汲み上げ量が減少することがわかる。そして、このように汲み上げ量が減少することで、現像するためのトナー量が少なくなり画像濃度が低下してしまい白スジ等の現象が発生する。またスキャベンジ力の低下により、地肌汚れ(かぶり)が悪化してしまう現象も発生する。
【0033】
ここでドクターブレード29の材質として磁性体を用いると、その表面に現像スリーブ28によって磁化された現像剤がドクターブレード29の表面に付着し、ドクターブレード29上の現像剤の流動性が低下して現像剤が固着化しやすくなる。
【0034】
一般的に、現像装置のドクターブレード29の使い方として、磁性ドクターブレードは現像スリーブ28内に内包されているマグローラの磁力を利用するため、磁気ブラシの穂が比較的立っていて密度が小さいところで使用するため、ドクターブレードへの圧力は小さい。一方、非磁性ドクターブレードは、ドクターブレード通過後の現像剤量をなるべく均一にするため、磁気ブラシの穂が寝ていて、密度が大きい部分で使用する。そのため、ドクターブレードへの圧力が大きくドクターブレードへトナー固着しやすくなる。また、金属材料は、製造方法によっては抜き型による表面粗さや、アルミの押し出しによる、現像剤の流れとは垂直方向にスジが入り、トナーが留まりやすくなるため、対策が必要となる。
【0035】
よって、非磁性のドクターブレードを使用するときは、トナー融着を防ぐために対策が必要となる。対策としてはドクターブレードの上流側の現像剤が規制される面の表面粗さを小さくすることで、トナーのすべり性を上げることが有効となる。またドクターブレード29の先端の穂切部の表面は、長時間の使用によっても現像剤中の硬質成分との接触による磨耗を生じないようにする必要がある。これらのことを考慮して、ドクターブレードは非磁性体の材質であって、十分な表面硬度を備えた材質により形成する必要がある。
【0036】
そこで、本発明においては、ドクターブレード29は、Al、Cu、SUS304、SUS316L、SUSXM7等の非磁性の金属材料を使用した。ただし、Al製のドクターブレードは表面の硬度が低く、ビッカース硬さでHV60〜70である。もっとも、この硬度では磨耗しやすいことがわかっている。そのため、Al製に限っては表面をアルマイト処理することで、表面硬度がビッカース硬さでHV200以上になり、磨耗を防ぐことが可能となった。
【0037】
本発明者らの検討したところによれば、このようなトナー融着のレベルは、トナーの微粉量によって大きく異なることが判明した。特に個数粒径2.0μm以下のトナー含有率の影響が大きいことが判明した。そして、平均粒径には関連しないことも判明した。ただし、トナーの小粒径は高画質化のためには必要であり、また個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が高画質化に寄与していることが判明した。
【0038】
即ち、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以上の場合、ドクターブレードの上流側の現像剤が規制される面の表面粗さを、Ra=0.2μm以下に規定したとしても、ドクターブレードへのトナー融着が問題となり画像問題を引き起こすことがある。また、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以下の場合、高画像品質の画像を得ることが難しくなる。
このため、ドクターブレード29へのトナー融着がなく、高画質画像を得るためには、体積平均粒径が3.0〜6.0μmであり、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下であり、かつ個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上のトナーが必要となる。また、トナーの体積平均粒径は3.0〜6.0μmの範囲が好ましく、体積平均粒径が6.0μmを超えると、付着量が低い場合では高画質の画像を得るのが困難になり、3.0μm未満であると、転写性、クリーニング性が低下したり、フィルミング、キャリアへのスペント等が発生しやすくなる。
【0039】
なお、粉砕トナーで本発明の体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下のトナー得るには、粉砕には例えば気流式粉砕、機械式粉砕などの手法、また分級には例えば気流式分級、遠心分離式分級などの手法によるのが好ましい。
【0040】
(体積平均粒径の測定)
トナーの体積平均粒径の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
【0041】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0042】
(個数粒径の測定)
ここで個数粒径で表した、粉砕トナーの測定に関して明記しておく。粉砕トナーの計測にフロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−2100 Data Processing Program for FPIA version00−10)を用いて解析を行った。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A;第一工業製薬社製)を0.1〜0.5ml添加し、各トナー0.1〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理した。前記分散液を前記FPIA−2100を用いて濃度を5000〜15000個/μlが得られるまでトナーの形状及び分布を測定した。本測定法は平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5000〜15000個/μlにすることが重要である。前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、すなわち添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分にぬらすことが出来ないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径のより異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3〜6μmの場合、トナー量を0.1〜0.5g添加することにより分散液濃度を5000〜15000個/μlにあわせることが可能となる。
【0043】
(無機微粉体)
また、更にトナー融着のレベルは、トナーに添加するに流動性付与剤である無機微粉体(外添剤)よって異なることが判明した。特に無機微粉体のBET比表面積の影響が大きいことが判明した。ドクターブレードへのトナー融着防止に対して特に顕著な効果が認められるのは、BET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aである。そして、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bはドクターブレードへのトナー融着に対しては関連しないことも判明した。ただし、トナーの帯電性、流動性のためにBET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bは必要である。これら無機微粉体Aは平均粒径20〜50nm程度、無機微粉体Bは平均粒径5〜20nm程度のものが適当である。
なお、無機微粉体AのBET比表面積が30m/g以下の場合、転写性が悪化し、画像ムラが発生する。また90m/g以上の場合、ドクターブレードへのトナー融着防止効果が少なくなる。
【0044】
無機微粉体(外添剤)の粒子径は、動的光散乱を利用する粒径分布測定装置、例えば大塚電子社製のDLS−700やコールターエレクトロニクス社製のコールターN4により測定可能である。また、走査型電子顕微鏡もしくは透過型電子顕微鏡により得られる写真より直接粒径を求めることもできる。この場合少なくとも100個以上の無機微粒子を観察しその長径の平均値を求める。
BET比表面積は,柴田理化学社製の比表面積測定装置(SA−1000)を用い、窒素吸着BET1点法により測定できる。
【0045】
本発明のトナーに用いられる無機微粉体A及び無機微粉体Bとしては、シリカ、チタンをはじめ他の無機微粉体が使用できるが、特にシリカ、チタンの使用が好ましい。シリカ、チタン以外の無機微粉体としては、例えば、脂肪酸金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛粉末、酸化アルミ粉末、酸化アルミニウム粉末等を用いることができる。また、無機微粉体A及び無機微粉体Bで組成の異なる組合せでも使用可能である。
【0046】
前記のシリカ微粉体としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、HDK H2000、HDK H2000/4、HDK H2050EP、HVK21、HDK H1303(以上、ヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812、RX−50、NAX50(以上、日本アエロジル社製)、TG−811F、EP−BR041、EP−BR412、EP−BR405(以上、CAB−O−SIL社製)、X−24(信越化学工業社製)、MSN−005(テイカ社製)、などが挙げられる。
【0047】
前記のチタン微粉体としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、P−25(日本アエロジル社製)、STT−30、STT−65C−S(以上、チタン工業社製)、TAF−140(富士チタン工業社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(以上、テイカ社製)などが挙げられる。特に疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T−805(日本アエロジル社製)やSTT−30A、STT−65S−S(以上、チタン工業社製)、TAF−500T、TAF−1500T(以上、富士チタン工業社製)、MT−100S、MT−100T(以上、テイカ社製)、IT−S(石原産業社製)、などが挙げられる。
【0048】
無機微粉体の添加量は、トナーに対し0.1重量%〜3.0重量%が好ましく、0.5重量%〜2.0重量%がより好ましい。
無機微粉体A及びBの割合(A/B)は特に制約されないが、好ましくは0.3/0.7〜0.7/0.3(重量比)である。
なお、上記無機微粉体A、Bを母体粒子と混合するには、従来公知の混合装置(例えばヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等)を用いることができる。
【0049】
本発明の二成分現像剤における粉砕トナーは、着色剤、結着樹脂及び離型剤を主成分とする母体粒子に無機微粉体A及びBを外添させたものである。
【0050】
(着色剤)
本発明に用いられる着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色について、公知のものを種々用いることができ、具体的には次ぎのようなものである。
【0051】
イエロートナーの着色剤としては、例えば、カラーインデックスにより分類ささるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15若しくはC.I.ピグメントイエロー17等のアゾ系顔料、又は、黄色酸化鉄若しくは黄土等の無機系顔料を用いることができる。また、染料としては、例えば、C.I.アジットイエロー1等のニトロ系染料、又は、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19若しくはC.I.ソルベントイエロー21等の油溶性染料を用いることができる。特に、C.I.ピグメントイエロー17等のベンジジン系顔料が色味の点から好ましい。
【0052】
マゼンタトナーの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10又はC.I.ディスパーズレッド15等を用いることができ、特に、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料が色味の点から好ましい。
【0053】
シアントナーの着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25又はC.I.ダイレクトブルー86等を用いることができ、特に、C.I.ピグメントブルー15等の銅フタロシアニン顔料が色味の点から好ましい。
【0054】
ブラックトナーの着色剤としては、カーボンブラックが好適である。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ロースブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、アセチレンブラックなどの、従来公知の様々なカーボンブラックの中から、適宜選択すればよい。
【0055】
(結着樹脂)
結着樹脂としては、従来より公知の樹脂が使用される。例えば、スチレン、ポリ−α−スチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられる。また、これら樹脂の製造方法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合いずれも使用できる。
【0056】
本発明では特にポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂は一般的に他の樹脂に比べ、耐熱保存性を維持したまま低温定着が可能であるため本発明には適した結着樹脂である。
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られる。使用されるアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1、4−ビス(ヒドロキシメタ)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1、2、4−ベンゼントリカルボン酸、1、2、5−ベンゼントリカルボン酸、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸、1、2、4−ナフタレントリカルボン酸、1、2、5−ヘキサントリカルボン酸、1、3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1、2、7、8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は58〜75℃が好ましい。
【0057】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用する。まず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行う。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出する。
【0058】
(離型剤)
本発明に用いられる離型剤としては、天然ワックスとして、動物由来の蜜蝋、鯨蝋、セラック蝋、植物由来のカルナバ蝋、木蝋、米糠蝋(ライスワックス)、キャンデリラワックス、石油由来のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、鉱物由来のモンタンワックス、オゾケライトなどがあり、また合成ワックスとしては、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、油脂系合成ワック(エステル、ケトン類、アミド)、水素化ワックスなどがあるが、低温領域における染み出し効果を発揮するために、示差走査熱量分析計(以下、DSCと略す)による吸熱ピークが80〜110℃であるものであればよい。特に種類を限定されるものではないが、好ましくは、合成することによって得られる炭化水素系合成ワックス、或いは、石油系のワックスがよい。炭化水素系合成ワックスは次の2種類に大別される。1種類目はフィッシャー・トロプシュ(Fischer−Tropsch)ワックスと呼ばれているもので、一酸化炭素と水素を反応させることにより、生成することができる。他の一種はポリエチレンワックスと呼ばれているもので、エチレンの重合やポリエチレンの熱分解により生成することができる。
DSCはJIS−K7122−1987に準じて測定し、吸熱ピークの温度を融点とする。
【0059】
また、本発明に用いられるワックスは、好ましくは極性を有するものであれば良く、さらに好ましくは酸価が3〜8mgKOH/gのものであれば良い。一旦出来上がったワックスを原料として化学的・物理的手段で加工もしくは変性し、極性を持たせることが可能となる。変性ワックスとしては酸化ワックスと合成樹脂等をブレンドした配合ワックスに大別することができる。酸化ワックスは、原料のワックスを薬品や空気中の酸素で酸化することにより生成される。また、配合ワックスは機械的強度が小さいという欠点を補う為、相溶性の良い合成樹脂(エチレン/酢ビ共重合体、ポリエチレン、合成ロジン等)を適当量ブレンドしたものである。
【0060】
さらに、本発明に用いられる離型剤は、針入度が4以下であることが好ましい。針入度は、JISの規格(K−2235−5.4)に定められた方法により、離型剤の硬さを求める測定法である。測定装置で規定温度下に定められた針に100gの荷重をかけ、5秒間で試料に何mm侵入するかを求め、この10倍の数値で表すことができる。
【0061】
(電荷制御剤)
その他、本発明のトナーには、トナーの摩擦帯電性を制御する目的で、電荷制御剤を配合することができる。この電荷制御剤は、トナーの帯電特性に応じて、正電荷制御用及び負電荷制御用がある。正電荷制御用の電荷制御剤としては、塩基性窒素原子を有する有機化合物、例えば、塩基性染料、第4級アンモニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン類又はニグロシンベース等を用いることができる。負帯電用の電荷制御剤としては、オイルブラック若しくはスピロンブラック等の油溶性染料、含金属アゾ染料、ナフテン酸金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、脂肪酸石鹸又は樹脂酸石鹸等を用いることができる。
【0062】
この荷電制御剤としては、具体的には、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えばニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY
VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。これらの中でも、トナーを負極性に制御する物質が特に好ましい。なお、カラー用トナーとしては、無色の第4級アンモニウム塩又はアルキルサリチル酸の金属塩が好ましい。
【0063】
前記荷電制御剤の含有量は、特に制限はなく、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜8重量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。
【0064】
以下に、本発明の粉砕トナーを作製する方法について説明する。
(粉砕して造粒する(溶融混練法))
本発明のトナーの製造方法は、原料を混合、混練、冷却、粗粉砕、微粉砕、分級して母体粒子を得た後、これに添加剤を混合(外添)する工程からなる。
即ち、本発明では、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、混練機を用いて混練する。混練機としては、密閉式の連続混練機、開放式のロール型混練機等を用いることができる。市販されている混練機には、連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ、KCK社混練機等の熱混練機などがある。
次に、混練物を冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、これを気流式分級機やロータ式分級機により所定の粒度に分級し、母体粒子(体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下)を得る。
次いで、無機微粉体と上記母体粒子をヘンシェルミキサーのような混合機により充分混合し、300メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し、粉砕トナーとして得る。
【0065】
(キャリア)
本発明のトナーは、キャリアを使用する二成分現像剤用のトナーとしても使用できる。
磁性キャリアとしては、体積平均粒径20〜200μm程度(好ましくは20〜60μm程度)の範囲の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。例えば、鉄やフェライト等の磁性体粒子からなるキャリア、このような磁性体粒子を樹脂で被覆してなる樹脂コートキャリア、あるいは磁性体微粉末を結着樹脂中に分散して成るバインダ型キャリア等を使用することができる。
【0066】
磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などを使用できる。
【0067】
これらのキャリアの中でも、被覆樹脂としてシリコーン系樹脂、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)又はポリエステル系樹脂を用いた樹脂コートキャリアを使用することがトナースペント等の観点から好ましく、特にオルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂にイソシアネートを反応させて得られた樹脂で被覆したキャリアが、耐久性、耐環境安定性および耐スペント性の観点から好ましい。上記ビニル系単量体としてはイソシアネートと反応性を有する水酸基等の置換基を有する単量体を使用する必要がある。
【0068】
また、上記以外にキャリアに使用される被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレン−アクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0069】
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中にフィラーとして含有させてもよい。導電粉等としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ等が使用できる。これらは、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、導電粉の場合は電気抵抗の制御が困難になる。
【0070】
(二成分現像剤)
本発明のトナーを二成分現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部の範囲が好ましい。
【0071】
上記の実施の形態は、好ましい一例を示したにすぎず、この発明は例示した実施の形態に限定されるものではない。帯電装置11、現像装置12、クリーニング装置15や、これら各装置と感光体10によって構成されるプロセスカートリッジ20の具体的な構成も一例であり、特許請求の範囲内の記載であれば任意に変更して実施することができることは言うまでもない。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されて解釈されるものではない。なお、ここでの部は重量部を示す。
【0073】
[キャリアの製造]
下記キャリア処方に記載のものをホモミキサーで10分間分散し、シリコン樹脂被覆膜形成溶液を得た。芯材として体積平均粒径;70μm焼成フェライト粉を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度40℃で塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて300℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き125μmの篩を用いて解砕し、[キャリア]を得た。
【0074】
(キャリア処方)
・シリコン樹脂溶液(固形分23重量%) 132.2部
・アミノシラン(固形分100重量%) 0.66部
・導電性粒子1 31部
(基体:アルミナ、表面処理;下層=二酸化スズ/上層=二酸化スズを含む酸化インジウム、粒径:0.35μm,粒子粉体比抵抗:3.5Ω・cm)
・トルエン 300部
【0075】
[ポリエステル樹脂A(結着樹脂)]
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、フマル酸、及びトリメリット酸を原料とし、これらを反応させて、重量平均分子量:32000、軟化点:146℃、酸価:28mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg):60℃のポリエステル樹脂Aを得た。
【0076】
[ポリエステル樹脂B(結着樹脂)]
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、及びテレフタル酸を原料とし、これらを反応させて、重量平均分子量:15000、軟化点:100℃、酸価:15mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg):59℃のポリエステル樹脂Bを得た。
【0077】
(軟化点の測定)
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0078】
(酸価の測定)
JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して、以下の条件で測定することができる。
試料調製:トナー0.5g(酢酸エチル可溶成分では0.3g)をトルエン120mLに添加して室温(23℃)で約10時間撹拌して溶解する。更に、エタノール30mLを添加して試料溶液とする。
測定は具体的には次のように計算する。
予め標定されたN/10苛性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求める。
酸価=KOH(mL数)×N×56.1/試料質量(ただし、NはN/10KOHのファクター)
【0079】
〔実施例1〕
(粉砕トナーの製造)
・ポリエステル樹脂A 40部
・ポリエステル樹脂B 40部
・カルナウバワックス 5部
(融点:83℃、酸価:4.015mgKOH/g、ケン化価:9015mgKOH/g)
・帯電制御剤(ボントロンE−304、オリエント化学社製) 1部
・カーボンブラック(#44:三菱化学社製) 13部
以上の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような実施例1の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:5.5μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:35個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:8個数%
【0080】
この分級トナー100部にシリカ(R−972:日本アエロジル社製、BET比表面積110m/g)1.0部、シリカ(H05TX:ワッカー社製、BET比表面積50m/g)0.5部をヘンシェルミキサーで混合し、実施例1の粉砕トナーを得た。
【0081】
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.19、材質をスチール(鉄)とし、前記のキャリアと粉砕トナーを用いて、ドクタ部の温度が最も高くなる連続プリントを10万枚行った。
なお、Imagio MP5000はトナーリサイクル装置を備えているが、実施例1、及び後記の比較例1、2,3、実施例2、3の評価ではリサイクル機構をOFFとしている。
【0082】
ドクタ部へのトナー融着については目視で観察した。また、画像品質についても、解像力、ベタ均一性、白抜け画像について目視評価を行った。評価結果については表1〜表4にまとめて記載した。
【0083】
[評価基準]
ドクタ部トナー融着:5(未発生)、3(若干発生)、1(酷く発生)
解像力:5(細線まで問題なし)、3(普通の文字は問題ない)、1(普通の文字でにじみ発生)
ベタ均一性:5(均一)、3(若干不均一)、1(不均一)
白抜け:5(未発生)、3(若干発生)、1(酷く発生)
なお、それぞれの評価基準において、4は5と3の中間、2は3と1の中間である。
【0084】
〔比較例1〕
実施例1の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような比較例1の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:2.8μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:28個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:15個数%
この分級トナー100部にシリカ(R−972:日本アエロジル社製、BET比表面積110m/g)1.5部をヘンシェルミキサーで混合し、比較例1の粉砕トナーを得た。
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.19とし、実施例1と同様に連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0085】
〔比較例2〕
実施例1の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような比較例2の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:6.5μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:35個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:15個数%
この分級トナー100部にシリカ(R−972:日本アエロジル社製、BET比表面積110m/g)1.5部をヘンシェルミキサーで混合し比較例2の粉砕トナーを得た。
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.19とし、実施例1と同様に連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0086】
〔比較例3〕
実施例1の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような比較例3の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:5.5μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:35個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:8個数%
この分級トナー100部にシリカ(H30TX:ワッカー社製、BET比表面積300m/g)1.0部、シリカ(H05TX:ワッカー社製、、BET比表面積50m/g)0.5部をヘンシェルミキサーで混合し、比較例3の粉砕トナーを得た。
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.19とし、実施例1と同様に連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0087】
〔比較例4〕
実施例1の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような比較例4の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:5.5μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:35個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:8個数%
この分級トナー100部にシリカ(R−972:日本アエロジル社製、BET比表面積110m/g)1.0部、シリカ(X−24−9163A:信越化学社製、BET比表面積24m/g)0.5部をヘンシェルミキサーで混合し比較例4の粉砕トナーを得た。
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.19とし、実施例1と同様に連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0088】
〔比較例5〕
実施例1の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような比較例5の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:5.5μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:35個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:8個数%
この分級トナー100部にシリカ(H30TX:ワッカー社製、BET比表面積300m/g)1.0部、シリカ(X−24−9163A:信越化学社製、BET比表面積24m/g)0.5重量部をヘンシェルミキサーで混合し比較例5の粉砕トナーを得た。
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.19とし、実施例1と同様に連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0089】
〔比較例6〕
実施例1のトナーを用いて、Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.25とし、実施例1と同様に連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0090】
〔実施例2〕
実施例1の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような実施例2の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:4.5μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:35個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:8個数%
この分級トナー100部にシリカ(R−812S:日本アエロジル社製、BET比表面積220m/g)1.5部、チタン(T−805:日本アエロジル製、BET比表面積45m/g)0.5部をヘンシェルミキサーで混合し実施例2の粉砕トナーを得た。
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.18、材質をステンレスとし、前記のキャリアと実施例2のトナーを用いて、ドクタ部の温度が最も高くなる連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0091】
〔実施例3〕
実施例1の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような実施例3の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:3.5μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:40個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:9.5個数%
この分級トナー100部にシリカ(TS−530:キャボット社製、BET比表面積225m/g)1.0部、シリカ(RY−50:日本アエロジル社製、BET比表面積30m/g)1.0部をヘンシェルミキサーで混合し、実施例3のトナーを得た。
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.18、材質をステンレスとし、前記のキャリアと実施例3のトナーを用いて、ドクタ部の温度が最も高くなる連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0092】
〔実施例4〕
実施例1の処方で、1軸エクストルーダーで溶融混練を行い、冷却後粉砕、分級を行って、下記のような実施例4の分級トナー(母体粒子)を得た。
体積平均粒径:5.8μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率:32個数%、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率:3.5個数%
この分級トナー100部にシリカ(R−805:日本アエロジル社製、BET比表面積150m/g)1.0部、シリカ(RY−200S:日本アエロジル社製、BET比表面積80m/g)0.5部をヘンシェルミキサーで混合し実施例4の粉砕トナーを得た。
Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.18、材質をステンレスとし、前記のキャリアと実施例4の粉砕トナーを用いて、ドクタ部の温度が最も高くなる連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0093】
〔実施例5〕
実施例2の粉砕トナーを用いて、Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.19、材質を表面をアルマイト処理したアルミニウムとし、ドクタ部の温度が最も高くなる連続プリントを10万枚行った。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0094】
〔実施例6〕
実施例2の粉砕トナーを用いて、Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.19、材質を表面をアルマイト処理したアルミニウムとし、ドクタ部の温度が最も高くなる連続プリントを10万枚行った。
なお、この時Imagio MP5000のリサイクル機構をONし、現像部にリサイクルトナーを戻している。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0095】
〔実施例7〕
実施例2の粉砕トナーを用いて、Imagio MP5000(リコー社製、MFP)のドクターブレードの表面粗さをRa=0.17、材質を表面をアルマイト処理したアルミニウムとし、ドクタ部の温度が最も高くなる連続プリントを10万枚行った。
なお、この時Imagio MP5000のリサイクル機構をONし、現像部にリサイクルトナーを戻している。評価結果を表1〜表4にまとめて示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
表1〜4の評価結果にみられるように、ドクターブレードの表面粗さをRa=0.2μm以下とし、体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下であり、かつ無機微粉体(BET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aと、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bとの併用)を外添する粉砕トナーを用いて画像形成を行うと、ドクターブレードへのトナー融着が阻止されるとともに、高品質画像が得られることがわかる。
【符号の説明】
【0101】
1 現像剤
2 融着した異物
10 像担持体(感光体)
11 帯電装置
12 現像装置
13 転写装置
14 用紙分離装置
15 クリーニング装置
18 装置本体
19 カートリッジケース
20 プロセスカートリッジ
28 現像スリーブ(現像剤担持体)
29 ドクターブレード(現像剤規制部材)
32 トナーリサイクル装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2005−274756号公報
【特許文献2】特許第3696404号公報
【特許文献3】特許第2981803号公報
【特許文献4】特許第3168366号公報
【特許文献5】特許第3351347号公報
【特許文献6】特許第2754618号公報
【特許文献7】特許第2893147号公報
【特許文献8】特許第2921174号公報
【特許文献9】特許第3328013号公報
【特許文献10】特許第3360462号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体上に担持する現像剤をドクターブレードで規制し、その規制後の現像剤を像担持体上の潜像に付着させて潜像を現像する現像装置を具備する画像形成装置であって、
前記ドクターブレードは、前記現像剤担持体の回転方向に対して上流側の現像剤が規制される面の表面粗さが、Ra=0.2μm以下であり、
前記現像剤はキャリア及びトナーからなる二成分現像剤であり、
前記トナーは粉砕トナーであり、かつ体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下であり、さらに無機微粉体を含有するものであり、
前記無機微粉体は、少なくともBET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aと、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bを含有する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドクターブレードの材質が、非磁性体の金属材料であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記非磁性体の金属材料の材質が、アルミニウムである場合は表面をアルマイト処理したアルミニウムであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記無機微粉体A及び無機微粉体Bが、シリカ、チタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記無機微粉体Aと無機微粉体Bとの重量割合(A/B)が、0.3/0.7〜0.7/0.3であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
転写材への未転写トナーを回収して現像装置に戻すトナーリサイクル装置を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
現像剤担持体上に担持する現像剤をドクターブレードで規制し、その規制後の現像剤を付着させて像担持体上の潜像を現像する画像形成方法であって、
前記ドクターブレードには、前記現像剤担持体の回転方向に対して上流側の現像剤が規制される面の表面粗さが、Ra=0.2μm以下であるものが用いられ、
前記現像剤にはキャリア及びトナーからなる二成分現像剤であり、
前記トナーは粉砕トナーであり、かつ体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下であり、さらに無機微粉体を含有してなり、
前記無機微粉体は、少なくともBET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aと、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bを含有するものが用いられる、ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記無機微粉体A及び無機微粉体Bが、シリカ、チタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記無機微粉体Aと無機微粉体Bとの重量割合(A/B)が、0.3/0.7〜0.7/0.3であることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
転写材への未転写トナーを回収してリサイクル使用することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】
像担持体と、現像剤担持体と、該現像剤担持体上に担持する現像剤を規制するドクターブレードとを少なくとも具備し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記ドクターブレードは、前記現像剤担持体の回転方向に対して上流側の現像剤が規制される面の表面粗さが、Ra=0.2μm以下であり、
前記現像剤はキャリア及びトナーからなる二成分現像剤であり、
前記トナーは粉砕トナーであり、かつ体積平均粒径が3.0〜6.0μm、個数粒径4.0μm以下のトナー含有率が30個数%以上、個数粒径2.0μm以下のトナー含有率が10個数%以下であり、さらに無機微粉体を含有してなり、
前記無機微粉体は、少なくともBET比表面積30〜90m/gである無機微粉体Aと、BET比表面積が100〜250m/gである無機微粉体Bを含有するものである、ことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−8397(P2012−8397A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145259(P2010−145259)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】