説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び画像形成装置の制御プログラム

【課題】トナー補給量が少なくなるような異常状態が発生したことをより早期に、かつ、より確実に判断することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像器4内のトナー量に関する情報は、トナーセンサ31により検出され、その検出結果に応じて、現像器4にトナーが補給される。画像形成装置では、装置制御部40により、トナー補給異常が発生しているか否かが判断される。このとき、装置制御部40は、トナーが補給された補給時間と、画像形成される画像のドット数とを算出し、これらに応じて判断を行う。装置制御部40は、例えば、画像のドット数に対する補給時間の増加量を算出して、算出した増加量が所定値以上であるとき、トナー補給異常が発生していると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び画像形成装置の制御プログラムに関し、特に、現像器へのトナーの補給動作に異常が発生したことを検知できる電子写真方式の画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置(スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)では、トナー像を現像するための現像器にトナーボトルなどのトナー収容体からトナーを補給しながら、画像形成(プリント)が行われる。トナー収容体のトナーのほとんどが消費されたり、トナーの補給動作の不良(トナー補給異常)が発生したりした場合などには、現像器へのトナーの補給が行われなくなり、プリントできなくなる。これを検知するため、例えば現像器に検出センサを設けて、現像器内のトナーの量を検出することが行われている。
【0003】
なお、下記特許文献1には、トナーエンプティが近くなった後に、例えばBW比が高い画像を連続して印刷することによってトナー濃度が急激に異常判定値以下に低下した場合などにおいて、トナー低濃度異常と誤判定することを防止できる画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、トナーニアエンプティとなった後に、トナー濃度がエンプティ判定値よりも低い異常判定値以下であることが所定回数連続で検出されたとき、トナー低濃度異常であると判断される。また、トナー濃度がエンプティ判定値以下であることが所定回数検出されたとき、トナーエンプティであると判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−15050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現像器へのトナー補給異常としては、従来、トナーがほとんど補給されなくなる現象が想定されていた。これには、例えば、トナー量の検出センサの不良や、トナー補給を行うためのモータの故障や、これらの部位への配線の取り付けミスなどの不良などが原因となって発生するものが挙げられる。しかしながら、このようなトナーがほとんど補給されない現象のほか、通常時よりも幾分かトナーの補給量が少なくなり、少しずつしかトナーが供給されないというような現象が、トナー補給異常として発生することがある。
【0006】
このようなトナーが少しずつしか補給されなくなるトナー補給異常が発生すると、ベタ画像(塗りつぶし領域のある画像)などにかすれが発生するなど、プリントが適正に行われなくなる場合がある。また、トナーの補給が消費に間に合わなくなるので、頻繁に強制的なトナーの補給動作が行われることになり、そのたびにプリントが中断するため、画像形成装置の寿命に悪影響が及んだり、生産性が悪化したりする。したがって、このようなトナー補給異常が発生した場合でも、それを速やかに検知することが必要である。
【0007】
このようなトナー補給異常は、例えば、トナーボトルからのトナーの供給経路が少し塞がれたり(例えば、トナーボトルと現像器との接合部に配置されているマイラーがめくれてトナー供給口が塞がれた場合や、トナーボトルに設けられているシャッターが完全には開かなかった場合などのことをいう。)、トナーボトル内に設けられている攪拌羽根が破損したりして発生することがある。
【0008】
トナー補給異常が発生したと判断する条件としては、例えば、次のような場合に、トナー補給異常であると判断することなどが考えられる。すなわち、トナーを検出するセンサの検出値がある一定時間変化しない場合や、ニアエンプティとなる前に強制的にトナー補給動作を行った後でもセンサの検出結果からはトナーの量が回復したと判断できない場合などである。しかしながら、従来では、このような少しずつしかトナーが供給されなくなるようなトナー補給異常が発生したと判断することが困難な場合があった。
【0009】
すなわち、この種のトナー補給異常が発生しても、少量のトナーは補給されるため、トナーを検出するセンサの検出値はトナー補給動作に伴い変化し、異常がある状態と判別することができない場合がある。また、強制的にトナー補給を行っても、トナーの量はある程度は回復するため、異常がある状態と判別することは難しい。
【0010】
また、現像器内のトナー量の検出方法として透過型のセンサなどを用いた方法を採用している場合には、その方法を採用していることが、上記のトナー補給異常についての判断が困難である理由として挙げられる。すなわち、1成分現像を行う画像形成装置においては、コストダウンのために、現像器内のトナーを検出するセンサとして、透過型のセンサなどが使用される場合が多い。しかしながら、このような透過型のセンサでは、センサにより検出される部位におけるトナーの有無は検出できるが、現像器内のトナー量を検出することは難しい。他方、現像器内のトナー量を検出するために、例えば現像器の重量を計測する方法を採ることも考えられるが、このような方法では、画像形成装置の製造コストが高くなってしまう。
【0011】
また、例えば、トナーを検出するセンサの取り付け位置が上記のトナー補給異常についての判断が困難である理由として挙げられる場合がある。すなわち、トナーの量の検出は、本来は、現像器内でトナーが攪拌され消費されるトナーバッファ部において行うことが望ましい。そのため、従来、例えば、現像器にライトガイドを取り付けて、トナーバッファ部のトナーを透過型の検出センサなどで検出するような構成が用いられていた。しかしながら、近年では、現像器の小型化やコストダウンのため、現像器のトナー補給口の側に検出センサを設けてトナーを検出するものが増えている。トナー補給口からトナーバッファ部までトナーが流動するにはある程度の時間がかかる。そのため、このようにトナーバッファ部から離れたトナー補給口の側などに検出センサを設けると、実際にトナー補給異常が発生しても、トナー補給異常の影響がトナーバッファ部に及ぶまでには時間がかかる。そのため、トナー補給異常が発生していることを判断するまでに時間がかかったり、トナー補給異常が発生していると誤判断されてしまうことがある。
【0012】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、トナー補給量が少なくなるような異常状態が発生したことをより早期に、かつ、より確実に判断することができる画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び画像形成装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、画像形成装置は、トナー収容体と、トナー収容体からトナーの供給を受ける現像器と、現像器内のトナー量に関する情報を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に応じて現像器にトナーを補給する補給手段と、補給手段によりトナーが補給された補給時間を取得する取得手段と、画像形成される画像のドット数を算出する第1の算出手段と、第1の算出手段で算出された画像のドット数と取得手段により取得された補給時間とに基づいて、トナー補給異常が発生しているか否かを判断する判断手段とを備える。
【0014】
好ましくは判断手段は、第1の算出手段で算出された画像のドット数と取得手段により取得された補給時間とに基づいて、画像のドット数に対する補給時間の増加量を算出する第2の算出手段を備え、第2の算出手段により算出された増加量が所定値以上であるとき、トナー補給異常が発生していると判断する。
【0015】
好ましくは第1の算出手段は、画像のドット数として、所定枚数分の画像のドット数の平均値を算出する。
【0016】
好ましくは取得手段は、補給時間として、所定枚数分のトナーの補給時間の平均値を算出する。
【0017】
好ましくは所定枚数は、現像器において検出手段によりトナーが検出される部位からそのトナーが消費される部位までトナーが流動する間に画像形成される用紙の枚数に対応する。
【0018】
好ましくはトナーが不足するトナーエンプティ状態の発生後にトナー収容体が交換された場合において、判断手段は、トナー収容体の交換後、第1の算出手段により算出されたドット数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0019】
好ましくはトナーが不足するトナーエンプティ状態の発生後にトナー収容体が交換された場合において、判断手段は、トナー収容体の交換後、取得手段により取得された補給時間の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0020】
好ましくはトナーが不足するトナーエンプティ状態の発生後にトナー収容体が交換された場合において、判断手段は、トナー収容体の交換後、画像形成された用紙の枚数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0021】
好ましくは判断手段は、第1の算出手段により算出されたドット数の累積値が所定値以上であれば、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0022】
好ましくは判断手段は、取得手段により取得された補給時間の累積値が所定値以上であれば、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0023】
好ましくは判断手段は、画像形成された用紙の枚数の累積値が所定値以上であれば、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0024】
好ましくは判断手段は、第1の算出手段により算出されたドット数と取得手段により取得された補給時間との増加率が所定値以上であるとき、トナーエンプティ状態であると判断する。
【0025】
好ましくは画像形成が前回行われてから所定の期間が経過した場合において、判断手段は、所定の期間の経過後に取得手段により取得された補給時間の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0026】
好ましくは画像形成が前回行われてから所定の期間が経過した場合において、判断手段は、所定の期間の経過後に第1の算出手段により算出されたドット数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0027】
好ましくは画像形成が前回行われてから所定の期間が経過した場合において、判断手段は、所定の期間の経過後の画像形成される用紙の枚数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。
【0028】
好ましくは判断手段は、補給手段によるトナーの補給が禁止されている期間において第1の算出手段により算出されたドット数は用いずに判断を行う。
【0029】
好ましくは画像形成装置は、第1の算出手段で算出された画像のドット数と取得手段により取得された補給時間とに基づいて、画像形成装置の制御モードを切り替える切替手段をさらに備える。
【0030】
好ましくは切替手段は、第1の算出手段で算出された画像のドット数と取得手段により取得された補給時間とに基づいて、画像形成動作の実行可否を切り替える。
【0031】
好ましくは画像形成装置は、判断手段によりトナー補給異常が発生していると判断されたとき、その旨をユーザに通知する通知手段をさらに備える。
【0032】
好ましくは通知手段は、第1の算出手段で算出された画像のドット数と取得手段により取得された補給時間とに基づいて、通知を行う対象となるユーザを変更する。
【0033】
好ましくは画像形成装置は、第1の算出手段で算出された画像のドット数と取得手段により取得された補給時間とに基づいて、画像形成装置の制御モードを切り替える切替手段と、判断手段によりトナー補給異常が発生していると判断されたとき、その旨をユーザに通知する通知手段とをさらに備え、画像のドット数に対する補給時間の増加量が第1の所定値以上であるとき、通知手段は第1のユーザに通知を行い、かつ、切替手段は画像形成動作を実行可能とし、画像のドット数に対する補給時間の増加量が第1の所定値より大きい第2の所定値以上であるとき、通知手段は第1のユーザと第2のユーザとに通知を行い、かつ、切替手段は画像形成動作を実行可能とし、画像のドット数に対する補給時間の増加量が第2の所定値より大きい第3の所定値以上であるとき、通知手段は第1のユーザと第2のユーザとに通知を行い、かつ、切替手段は画像形成動作を実行不可能とする。
【0034】
この発明の他の局面に従うと、トナー収容体と、トナー収容体からトナーの供給を受ける現像器と、現像器内のトナー量に関する情報を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に応じて現像器にトナーを補給する補給手段とを備えた画像形成装置の制御方法は、補給手段によりトナーが補給された補給時間を取得する取得ステップと、画像形成される画像のドット数を算出する第1の算出ステップと、第1の算出ステップで算出された画像のドット数と取得ステップにより取得された補給時間とに基づいて、トナー補給異常が発生しているか否かを判断する判断ステップとを備える。
【0035】
この発明のさらに他の局面に従うと、トナー収容体と、トナー収容体からトナーの供給を受ける現像器と、現像器内のトナー量に関する情報を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に応じて現像器にトナーを補給する補給手段とを備えた画像形成装置の制御プログラムは、補給手段によりトナーが補給された補給時間を取得する取得ステップと、画像形成される画像のドット数を算出する第1の算出ステップと、第1の算出ステップで算出された画像のドット数と取得ステップにより取得された補給時間とに基づいて、トナー補給異常が発生しているか否かを判断する判断ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0036】
これらの発明に従うと、第1の算出手段で算出された画像のドット数と取得手段により取得された補給時間とに基づいて、トナー補給異常が発生しているか否かが判断される。したがって、トナー補給量が少なくなるような異常状態が発生したことをより早期に、かつ、より確実に判断することができる画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び画像形成装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける画像形成装置のハードウェア構成の概要を示す側面図である。
【図2】画像形成装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】トナーボトルの内部構成を説明する側面図である。
【図4】予備攪拌部の縦断面図である。
【図5】カートリッジの現像器部分の構成を模式的に示す図である。
【図6】カートリッジのうち清掃部材が設けられている部分を模式的に示す図である。
【図7】所定量だけのトナーがある場合のトナーセンサの検知結果の一例を示すグラフである。
【図8】所定量だけのトナーがない場合のトナーセンサの検知結果の一例を示すグラフである。
【図9】トナー補給異常判断機能における画像形成装置の基本的な動作を示すフローチャートである。
【図10】移動平均法の一例について説明する図である。
【図11】累積ドット数とトナー消耗率との関係及びドット数に対する補給時間の傾きの推移を示すグラフである。
【図12】トナー補給異常が発生する前後のトナー供給量を示すグラフである。
【図13】種々の状態におけるトナー消耗率と累積ドット数との関係を示すグラフである。
【図14】長期放置期間を含む場合の累積ドット数とトナー消耗率との関係及びドット数に対する補給時間の傾きの推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について説明する。
【0039】
画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。スキャナ機能は、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD(Hard Disk Drive)等に蓄積する機能である。複写機能は、さらにそれを用紙等に印刷(プリント)する機能である。プリンタとしての機能は、PC等の外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う機能である。ファクシミリ機能は、外部のファクシミリ装置等からファクシミリデータを受信してそれをHDD等に蓄積する機能である。データ通信機能は、接続された外部機器との間でデータを送受信する機能である。サーバ機能は、複数のユーザでHDD等に記憶したデータなどを共有可能にする機能である。
【0040】
[実施の形態]
【0041】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像形成装置1のハードウェア構成の概要を示す側面図である。
【0042】
図1において、画像形成装置1として、そのプリント機能を実行する部分のみが示されている。画像形成装置1は、いわゆるタンデム方式でカラー画像をプリントする。
【0043】
画像形成装置1は、大まかに、作像部と、印字媒体である用紙を搬送する搬送部とを有している。図1に示されるように、作像部は、中間転写ベルト2、カートリッジ28a,28b,28c,28d(以下、単にカートリッジ28ということがある。)、及びトナーボトル(トナー収容体の一例)25a,25b,25c,25d(以下、単にトナーボトル25ということがある。)などを備えている。搬送部は、収納部16、給紙ローラ8、手差し給紙ローラ9、タイミングローラ10、二次転写ローラ11、加圧ローラ12a、加熱ローラ12b、排紙ローラ13、及び両面搬送経路29などを備えている。また、画像形成装置1は、エンジン部100と、コントローラ部200とを備えている。
【0044】
画像形成装置1は、CMYK各色の画像を用紙に形成することで、カラー画像をプリントできる。カートリッジ28a及びトナーボトル25aは、イエロー(Y)に対応する。カートリッジ28b及びトナーボトル25bは、マゼンタ(M)に対応する。カートリッジ28c及びトナーボトル25cは、シアン(C)に対応する。カートリッジ28d及びトナーボトル25dは、ブラック(K)に対応する。
【0045】
中間転写ベルト2は、環状であり、内側から複数のローラで懸架されて、画像形成装置1の内部の略中央部に配置されている。中間転写ベルト2は、メインモータ18に連結されており、メインモータ18の回転駆動によって回転する。
【0046】
カートリッジ28a,28b,28c,28dは、中間転写ベルト2に沿って配置されている。カートリッジ28a,28b,28c,28dには、それぞれ、感光体3a,3b,3c,3d(以下、単に感光体3ということがある。)、現像器4a,4b,4c,4d(以下、単に現像器4ということがある。)、帯電装置5a,5b,5c,5d、及び露光装置6a,6b,6c,6dなどが設けられている。帯電装置5a,5b,5c,5dは、感光体3a,3b,3c,3dを帯電させる。露光装置6a,6b,6c,6dは、帯電した感光体3a,3b,3c,3dに画像パターンを露光する。現像器4a,4b,4c,4dは、感光体3a,3b,3c,3dに形成された画像パターンをトナーで現像する。このとき、現像器4a,4b,4c,4d内のトナーが消費される。感光体3a,3b,3c,3dに形成されたトナー像は、各色のトナー像が重なるように、中間転写ベルト2に転写される。
【0047】
現像器4a,4b,4c,4dには、トナー量を測定するためのトナーセンサ(検出手段の一例)31a,31b,31c,31d(以下、単にトナーセンサ31又はセンサ31ということがある。)が配置されている。センサ31についての詳細は、後述する。
【0048】
中間転写ベルト2の周囲には、クリーナ7と、廃トナーボックス15とが設けられている。クリーナ7は、中間転写ベルト2に接触するブレード部材であり、中間転写ベルト2上に残留した残トナーを中間転写ベルト2から分離し、中間転写ベルト2上に余分なトナーが残らないようにする。廃トナーボックス15には、中間転写ベルト2から分離したトナーを収容する。
【0049】
トナーボトル25a,25b,25c,25dは、各カートリッジ28a,28b,28c,28dの上方に配置されている。トナーボトル25a,25b,25c,25dには、攪拌羽根26a,26b,26c,26d(以下、単に攪拌羽根26ということがある。)を内蔵して動作させることで、各カートリッジ28a,28b,28c,28dにトナーを補給する。各色のトナーは、現像器4に補給される。
【0050】
トナーボトル25a,25b,25c,25dは、それぞれ、トナー補給クラッチ23a,23b,23c,23d(以下、単にトナー補給クラッチ23ということがある。)により駆動される。これらのトナー補給クラッチ23a〜23dにより他の駆動源(図示せず)の駆動力が伝達されることで、攪拌羽根26a〜26dが回転動作する。
【0051】
作像部には、さらに、カラー感光体モータ17、メインモータ18、定着モータ19、カラー現像モータ20、及び現像モータ21などのモータが設けられている。カートリッジ28のうち、カラー用のカートリッジ28a,28b,28cの現像機構は、現像モータ20の駆動力により駆動される。モノクロ用のカートリッジ28dの現像機構は、現像モータ21の駆動力により駆動される。カラー用の感光体3a,3b,3cは、カラー感光体モータ17により駆動される。
【0052】
搬送部において、収納部16には、記録媒体としての用紙が収納されている。用紙は、給紙ローラ8によって、収納部16から1枚ずつ給紙される。給紙された用紙は、タイミングローラ10で一旦停止され、所定のタイミングで二次転写ローラ11に送られる。なお、画像形成装置1では、手差し給紙を行うことも可能である。手差し給紙される用紙は、手差し給紙ローラ9によって、タイミングローラ10に送られる。
【0053】
二次転写ローラ11は、中間転写ベルト2を内側から懸架するローラと、中間転写ベルト2を挟んで対をなすように設けられている。二次転写ローラ11は、中間転写ベルト2上に転写されたトナー画像を、搬送された用紙上に転写する。二次転写ローラ11よりも用紙の搬送方向下流側(図1において上方)には、除電布30が設けられている。除電布30は、二次転写ローラ11を通過した用紙の除電を行うために配置されている。
【0054】
給紙ローラ8、タイミングローラ10、及び二次転写ローラ11などは、例えば、メインモータ18によって回転駆動される。
【0055】
トナー像が転写された用紙は、加圧ローラ12a及び加熱ローラ12bで構成される定着ローラ12に送られる。定着ローラ12は、用紙を加圧及び加熱し、トナー像を用紙に定着させる。用紙は、その後、排紙ローラ13により排紙される。なお、用紙の搬送路上において、二次転写ローラ11の下流側には、定着ループセンサ27が配置されている。定着ループセンサ27により、用紙のたるみなどが検出され、用紙の搬送速度などが調整される。
【0056】
画像形成装置1は、両面プリント可能に構成されている。両面プリントが行われるときには、片面に画像が形成された用紙が、排紙ローラ13によって、両面搬送経路29に送られる。用紙は、両面搬送経路29に沿って設けられた両面経路搬送ローラ14a,14bによって、両面搬送経路29を経由してタイミングローラ10まで搬送される。両面経路搬送ローラ14a,14bは、両面搬送モータ22により駆動される。
【0057】
図2は、画像形成装置1の制御回路の構成を示すブロック図である。
【0058】
図2を参照して、画像形成装置1の制御回路としては、おおまかに、コントローラ部200と、エンジン部100に設けられたものとに分かれている。コントローラ部200は、画像形成装置1の全体の動作を制御する。エンジン部100は、コントローラ部200に接続されており、コントローラ部200との間でドット数や印字枚数など、必要な情報の授受などを行う。
【0059】
また、図2に示されるように、画像形成装置1には、表示パネル(通知手段の一例)210が設けられている。表示パネル210は、例えばタッチパネルであり、コントローラ部200に接続されている。ユーザは、表示パネル210に操作入力を行うことで、画像形成装置1が種々の動作を実行するように、コントローラ部200に制御させることができる。また、ユーザは、表示パネル210の表示内容を見て、画像形成装置1の状態などを知ることができる。
【0060】
エンジン部100は、装置制御部(補給手段の一例、取得手段の一例、第1の算出手段、第2の算出手段、判断手段の一例、切替手段の一例)40、本体付属不揮発性メモリ60、及び各種負荷80などを有している。各種負荷80としては、例えば各種のモータ17〜21や、定着ローラ12のヒータ(図示せず)などが含まれる。なお、エンジン部100には、各カートリッジ28などの消耗品に設けられ、その使用履歴に関する情報などを記憶するユニット付属不揮発性メモリなどを有していてもよい。
【0061】
装置制御部40は、CPU50を有している。装置制御部40は、ROM(図示せず)及びRAM(図示せず)などを有している。CPU50は、本体付属不揮発性メモリ60、各種負荷80、及びカートリッジ28などの動作を制御する。
【0062】
本体付属不揮発性メモリ60は、例えばEEPROMであり、記憶媒体として用いられる。本体付属不揮発性メモリ60は、CPU50に接続されている。本体付属不揮発性メモリ60は、CPU50で計測、演算などされたデータや、画像形成装置1の設定情報など、種々の情報を記憶可能である。
【0063】
本実施の形態において、本体付属不揮発性メモリ60には、制御プログラム61が記憶されている。CPU50は、例えば制御プログラム61を本体付属不揮発性メモリ60から読み取って実行することにより、エンジン部100の制御動作などを実行する。
【0064】
本体付属不揮発性メモリ60は、EEPROMに限られない。本体付属不揮発性メモリ60として、EEPEOMに代えて又はEEPEOMに加えて、HDD(Hard Disk Drive)などが設けられていてもよい。また、制御プログラム61は、必ずしも本体付属不揮発性メモリ60に記憶されていなくてもよい。
【0065】
[トナー補給動作に関する説明]
【0066】
次に、現像器4へのトナー補給動作について説明する。トナー補給動作は、トナー濃度制御機能において行われる。すなわち、プリントにより現像器4内のトナー量が少なくなると、各色のトナーボトル25内に保管されたトナーが現像器4に補給される。トナー補給は、トナーセンサ31により検出された現像器4内のトナー濃度(トナーの量)に関する情報に基づいて適宜実行される。トナー補給は、装置制御部40の制御により行われる。トナー補給は、トナーセンサ31の検出結果の他、印字枚数に応じて定期的に行われるようにしてもよい。
【0067】
図3は、トナーボトル25(トナーボトル25a,25b,25c,25d)の内部構成を説明する側面図である。
【0068】
図3に示されるように、トナーボトル25は、トナー収容部251と、予備攪拌部252と、バッファ部253とを含む。予備攪拌部252には、予備攪拌部252内のトナーの量を検出するためのトナーレベルセンサ252zが備えられている。
【0069】
図4は、予備攪拌部252の縦断面図である。
【0070】
予備攪拌部252は、カートリッジ28に向けてトナーを落下させるためのトナーホッパ252hを備えている。図4に示されるように、予備攪拌部252のトナーホッパ252h内には、攪拌羽根26が設けられている。トナーホッパ252hは、トナー補給クラッチにより駆動力が伝達されることで攪拌羽根26を回転させる。攪拌羽根26が回転すると、トナー収容部251内のトナーが、トナーホッパ252hを介して、カートリッジ28に落下する。これにより、トナーボトル25からカートリッジ28にトナーが供給される。
【0071】
図5は、カートリッジ28の現像器4部分の構成を模式的に示す図である。
【0072】
図5を参照して、現像器4は、カートリッジ28の一部に設けられている。現像器4の内部の空間は、大まかに、格納部285と、攪拌部286と、トナーバッファ287とに分かれている。現像器4には、トナー補給口280と、補給ローラ282と、攪拌部材283と、清掃部材284などが設けられている。
【0073】
トナー補給口280は、カートリッジ28の上部に設けられており、トナーボトル25からのトナーの導入口となる。トナー補給口280を介して現像器4に供給されたトナーは、一旦格納部285に溜められる。補給ローラ282と攪拌部材283とは、カートリッジ28の長手方向に配置されている。補給ローラ282には、トナーを搬送するための羽根が設けられている。これにより、補給ローラ282の回転に伴い、格納部285内のトナーが攪拌部286に搬送される。攪拌部材283には、トナーを攪拌するための羽根が設けられている。これにより、攪拌部材283が回転することで、トナーが攪拌されるとともに、補給ローラ282によるトナーの搬送方向とは反対の方向にトナーが移動する。このように、攪拌部286内で、トナーは、均一になるようにして、図5の矢印で示す方向に搬送される。攪拌部286のトナーの一部は、トナーバッファ287においても保持される。攪拌されているトナーは、供給ローラ(図示せず)の回転によって、現像ローラ(図示せず)の表面に供給される。
【0074】
本実施の形態において、格納部285には、格納部285内のトナーの有無を検出するためのセンサ31が設けられている。センサ31は、発光素子と受光素子を備えている。センサ31は、受光素子が検出する光の強度に基づいて、トナーが所定量だけ格納部285内すなわち現像器4内にあるか否かを検出する。換言すると、センサ31は、現像器4内のトナー量に関する情報を検出する。
【0075】
センサ31は、例えば、格納部285部分に設けられた検出窓285zを通して、発光素子と受光素子とが対面するように構成されている。センサ31は、発光素子から出射された検出光が、検出窓285zを介して、格納部285内を通過して受光素子に入射するように構成されている。換言すると、センサ31は、透過型のものであり、装置制御部40は、透過型のセンサ31を用いて、現像器4内のトナーの有無についての情報を検出できる。
【0076】
図6は、カートリッジ28のうち清掃部材284が設けられている部分を模式的に示す図である。
【0077】
図6に示されるように、センサ31における検出窓285zの清掃は、清掃部材284によって行われる。清掃部材284は、例えば現像モータ20,21などを駆動源として、図6中の両矢印方向に往復動作する。清掃部材284は、例えば2秒周期で、検出窓285z部分を拭く。このように清掃部材284が検出窓285zを往復動作することで、検出窓285zが清掃され、センサ31によりトナー濃度が適切に検出される。
【0078】
図6に示されるように、トナーTが所定の量だけ現像器4内にあるとき、検出窓285zを介して格納部285を透過するセンサ31の検出光が、トナーTによって遮られる。これにより、センサ31は、トナーTが現像器4内にある程度の量だけ存在することを検出できる。
【0079】
ここで、検出窓285zは清掃部材284により拭かれるところ、清掃部材284がセンサ31の検出光を遮ることがある。このとき、センサ31の検出結果は、実際には格納部285内に所定量のトナーTがない場合(センサ31によってトナーTが所定量あることが検出されないような場合)であっても、一時的に、トナーTがある場合の検出結果と同様になる。
【0080】
図7は、所定量だけのトナーがある場合のトナーセンサ31の検知結果の一例を示すグラフである。図8は、所定量だけのトナーがない場合のトナーセンサ31の検知結果の一例を示すグラフである。
【0081】
図7及び図8では、横軸に現像器4内のトナーの攪拌時間すなわち時間の経過が示されており、縦軸にセンサ31の出力電圧(検出電圧)が示されている。図7に示されるように、現像器4内に所定量のトナーがある場合には、トナーによってセンサ31の検出光が遮られる。そのため、検出電圧は、常に比較的高い状態(例えば、約3Vである状態)になる。他方、図8に示されるように、現像器4内に所定量のトナーがない場合には、センサ31の検出光がトナーによっては遮られないため、検出電圧は、通常、比較的低い状態(例えば、約0Vである状態)になる。ここで、図8において、攪拌時間(横軸)がおよそ0.5秒から1.1秒までの期間において、検出電圧が、所定量のトナーがある状態の電圧と同程度の約3Vの値をとっている。これは、この期間において、清掃部材284によりセンサ31の検出光が遮られたことによる。したがって、この期間を過ぎると、検出電圧は再び比較的低い状態に戻る。
【0082】
装置制御部40は、上記のようにセンサ31により検出された現像器4内のトナー濃度に基づいて、トナー補給動作を実行する。センサ31により、現像器4内に所定量だけのトナーがないことが検出された場合、すなわち現像器4内でトナー不足となったこと(又はトナー不足になりそうなこと)が検出された場合などには、装置制御部40は、トナーボトル25を駆動して、トナー補給動作を行う。これにより、トナーがトナーボトル25から現像器4に供給され、現像器4内のトナーが補給される。
【0083】
なお、上記のように、現像器4内でトナー不足である場合などでも、センサ31の検出結果は、一時的に現像器4内に所定量のトナーがある場合と同様になることがある。しかしながら、通常動作時には、このような事象は恒常的に発生するものではないため、その後トナー不足であることが検出された場合にトナー補給動作が行われることにより、現像器4内のトナーは適正に補給される。
【0084】
画像形成装置1において、装置制御部40は、画像形成動作によるトナーの消費量を算出する。消費量の算出は、例えば、パーソナルコンピュータなどの外部機器から画像形成の指示がなされたときに行われる。このとき、装置制御部40は、画像形成動作中に画像形成の対象となる画像(画像形成される画像)の色ごとのドット数を算出する。そして、装置制御部40は、算出した色ごとのドット数に基づいて、色ごとのトナーの消費量を算出する。
【0085】
画像形成装置1は、このようにして算出したトナーの消費量に基づいて、トナー補給動作を行うようにしてもよい。例えば、外部機器から画像形成の指示がなされると、装置制御部40は、算出した消費量分のトナーが現像器4に補給されるように、トナーの補給動作を行うようにすればよい。
【0086】
[トナー補給異常判断機能の説明]
【0087】
画像形成装置1の装置制御部40は、トナー補給動作に関して異常(トナー補給異常)が発生しているか否かを判断する(トナー補給異常判断)。すなわち、装置制御部40は、トナー補給異常が発生しているとき、そのことを検知する。なお、トナー補給異常判断は、色ごとに行われる。
【0088】
本実施の形態において、装置制御部40は、基本的には、次のようにしてトナー補給異常判断を行う。すなわち、装置制御部40は、トナー補給動作を行うとき、トナーが補給された時間(以下、補給時間という)を計時し、取得する。これにより、補給されたはずのトナーの量が把握できる。また、装置制御部40は、画像形成される画像のドット数を算出する。これは、例えば、上述の通りに行われる。装置制御部40は、算出した画像のドット数と、トナー補給動作の補給時間との関係に基づいて、トナー補給異常判断を行う。より具体的には、例えば、装置制御部40は、画像のドット数に対する補給時間の増加量(傾き)を算出し、その増加量が所定値以上であれば、トナー補給異常判断を行う。
【0089】
ここで、装置制御部40は、所定枚数分の画像のドット数の平均値を算出し、それを上述の説明における「画像のドット数」として、トナー補給異常判断を行う。また、装置制御部40は、所定枚数分のトナーの補給時間の平均値を算出し、それを上述の説明における「補給時間」として、トナー補給異常判断を行う。すなわち、装置制御部40は、1枚毎に、消費されたドット数を平均したものに対する、トナーの補給時間を平均したものの傾き(増加量)を算出する。そして、算出された傾きが所定値以上であれば、トナー補給異常が発生したと判断する。
【0090】
ドット数及び補給時間のそれぞれの平均値は、現像器4において、センサ31によりトナーが検出される部位から、そのトナーが消費される部位まで、トナーが流動する間にプリントされる用紙の枚数以上の所定枚数分のデータを用いて算出される。すなわち、図5を参照して、現像器のうち、センサ31によりトナーが検出される格納部285のトナーが、補給ローラ282によって攪拌部286に流動し搬送されるまで、6枚程度の用紙にプリントが行われるだけの時間がかかる場合を想定する。このとき、ドット数及び補給時間のそれぞれの平均値は、例えば7,8枚など、6枚以上の用紙分のデータを用いて算出される。
【0091】
図9は、トナー補給異常判断機能における画像形成装置1の基本的な動作を示すフローチャートである。
【0092】
図9に示されるように、ステップS11において、装置制御部40は、1枚の用紙のプリントを開始する(印字開始)。
【0093】
ステップS12において、装置制御部40は、1枚の用紙のプリントが終了したことを検知する(印字完了)。
【0094】
ステップS13において、装置制御部40は、ドット数の平均値を算出する。すなわち、そのとき画像形成を行った画像のドット数が算出されたうえで、過去に画像形成を行った画像のドット数と合わせて、画像のドット数の平均値が算出される。
【0095】
ステップS14において、装置制御部40は、補給時間の平均値を算出する。すなわち、そのとき行われたトナー補給動作の補給時間が取得され、過去の補給時間と合わせて、補給時間の平均値が算出される。
【0096】
ステップS15において、装置制御部40は、ドット数に対する補給時間の増加量(傾き)を算出する。傾きの算出の具体的な方法は、後述する。
【0097】
ステップS16において、装置制御部40は、算出した傾きが、所定値以上であるか否かを判断する。ここで、所定値は、例えば、トナー補給異常が発生したときに必要になることが考えられる補給時間などをかんがみて設定されていればよい。ステップS16で傾きが所定値以上ではない場合には、ステップS11の処理に戻り、別の用紙のプリントが行われる。
【0098】
ステップS16で傾きが所定値以上であるとき、ステップS17において、装置制御部40は、トナー補給異常が発生していると判断する。
【0099】
ステップS18において、装置制御部40は、トナー補給異常表示を行う。これにより、ユーザに対して、トナー補給異常が発生している旨が通知される。ユーザは、通知を受けると、それに応じて、種々の行動をとることができる。
【0100】
上記の処理中、ステップS13のドット数平均値を算出する処理及びステップS14の補給時間平均値を算出する処理は、例えば次のような移動平均法により行われる。移動平均法は、時系列のデータを平均化する手法である。
【0101】
図10は、移動平均法の一例について説明する図である。
【0102】
図10に示されるように、装置制御部40は、常に、取得された時期が新しい例えば8つのデータ(data1〜data8)について平均値を算出することで、ドット数や補給時間の平均値を算出する。ドット数や補給時間の新しいデータ(新data)が取得されると、前回の平均値の算出時に参入されていたデータのうち、最も古いもの(旧data)が廃棄される。これにより、このとき取得されたデータ(新data)を含めた8つのデータについて平均値を算出でき、近時における平均値を効率良く算出できる。
【0103】
上記の処理中、ステップS15の傾きの算出は、例えば、次のような算出方法により行われる。
【0104】
すなわち、装置制御部40では、補給時間の平均値(平均トナー補給時間;単位ms)と、プリント対象の画像のドット数の平均値(例えばA4エリアにおけるフルドットを1000として算出したもの)とが得られている。ここで、ドット数に対する補給時間の傾きすなわち増加量は、(平均トナー補給時間)/(平均ドット数)として得られる。換言すると、ドット数に対する補給時間の増加量は、補給時間(本実施の形態では、補給時間の平均値)を画像のドット数(本実施の形態では、ドット数の平均値)で割った商として得られる。
【0105】
また、本実施の形態では、装置制御部40は、例えば、傾きが120(ms/ドット)であるとき、トナー補給異常が発生していると判断する。
【0106】
例えば、平均トナー補給時間が3秒(3000ms)であって、平均ドット数が20である場合を想定する。このとき、装置制御部40は、傾きを次式の通りに算出する。
【0107】
3000ms(平均トナー補給時間)/20(平均ドット数)=150(傾き)
【0108】
この場合、得られた傾きは所定値120よりも大きいので、装置制御部40は、トナー補給異常が発生したと判断する。
【0109】
図11は、累積ドット数とトナー消耗率との関係及びドット数に対する補給時間の傾きの推移を示すグラフである。
【0110】
図11において、縦軸はトナーの消耗率、又は累積ドット数に対するトナーの消耗率の傾きである。トナーの消耗率は、例えば、トナーの補給時間を積算したものに対応する。すなわち、トナー消耗率は、累積した補給時間から算出され、トナーはセンサ31の検出レベルに応じて補給される。装置制御部40は、例えば、補給時間からトナー消耗率を算出するテーブルを持っており、これにより、補給時間に対応するトナー消耗率が算出される。図11の横軸は、累積ドット数である。累積ドット数が増加するにつれて、トナー消耗率は徐々に大きくなる。それぞれの時点(累積ドット数)において、ドット数に対する補給時間の傾きは、グラフの下方をゼロとして上方が傾き大となるようにして示されている。図11において、右側の縦軸の目盛りは、傾きの値を示している。
【0111】
図11に示されるように、トナー補給異常が発生していないとき、累積ドット数が増加するのに伴い、トナー消耗率も漸増する。このとき、ドット数に対する補給時間の傾きは、あまり変化しない。ここで、トナー補給異常が発生すると、トナー消耗率の増加量が増大し、急激にトナー消耗率が増加する(図11において、吹き出しによって注記されている部分)。すなわち、ドット数に対する補給時間の傾きが急激に大きくなり、所定値(120)を超える。これにより、装置制御部40により、トナー補給異常が発生したと判断される。
【0112】
図12は、トナー補給異常が発生する前後のトナー供給量を示すグラフである。図13は、種々の状態におけるトナー消耗率と累積ドット数との関係を示すグラフである。
【0113】
図12において、横軸は累積ドット数を示し、縦軸は単位時間(例えば、1秒間)あたりのトナー供給量を示している。図12に示されるように、横軸の略中央部分より左側の二点鎖線Aで囲まれた部分は、特に異常が発生していない通常状態におけるトナー供給量を示している。他方、横軸の略中央部分より右側の二点鎖線Bで囲まれた部位は、トナー補給異常が発生したときのトナーの供給量を示す。図12に示されている破線は、トナー供給量の値を均して示したものである。
【0114】
また、図13において、横軸は累積ドット数を示し、縦軸はトナー消耗率を示す。図13においては、4つの現像器4(例えば、CMYK各色の現像器4)それぞれについてのトナー消耗率と累積ドット数との関係を示すデータが示されている。図13において示されている4つ現像器4についてのデータのうち、吹き出しにより注記されているものが、プリントを重ねていく途中でトナー補給異常が発生した状態を示している。他の3つの現像器4についてのデータは、プリントを重ねていく途中でトナー補給異常が発生しなかった、通常状態を示している。
【0115】
ここで、トナー補給異常は、例えば、トナーボトル25と現像器4との間のトナー補給口280部分などに設けられているマイラーが予定外にめくれた状態となったときに発生する。図13などにおいて示されているトナー補給異常の例は、このようなマイラーめくれが発生した場合のものである。なお、トナー補給異常は、マイラーめくれの他にも、例えば、トナーホッパ252hなどの攪拌羽根26が一部破損したり、トナー供給路の一部がシャッタなどにより塞がれたりした場合などにも発生する。
【0116】
図12に示されるように、例えばマイラーめくれが発生すると、通常のトナー供給量(二点鎖線Aで囲まれた部分)に比べて、トナー供給量が落ちることがわかる(二点鎖線Bで囲まれた部分)。そのため、マイラーめくれが発生すると、図13に示されるように、トナー消耗率は急激に伸びる。すなわち、マイラーめくれが発生すると、ドット数に対する補給時間の傾きが急激に大きくなり、異常が発生していない場合と比較して、累積ドット数に対してトナー消費が大きくなる。これは、マイラーがめくれている場合において、通常時と同じ量だけのトナーを補給するためには、より長い時間のトナー補給を行う必要があるためである。
【0117】
このように、本実施の形態では、画像のドット数とトナーの補給時間とに基づいて、トナー補給異常判断が行われる。また、トナー補給異常判断は、画像のドット数に対する補給時間の傾き(増加量)が所定値より大きいかどうかにより判断される。したがって、通常時よりも若干だけトナーの補給量が少なくなるような、従来では検出できなかったトナー補給異常が発生しているとき、確実に、そのトナー補給異常が発生していると判断される。
【0118】
また、本実施の形態では、ドット数と補給時間とのそれぞれの平均値が算出され、各平均値に基づいてトナー補給異常判断が行われる。したがって、トナー補給異常判断の判断結果を安定させることができ、例えば一時的にトナー補給異常が発生していると判断できるようなデータが得られた場合であっても、誤ってトナー補給異常が発生していると判断されることがなくなる。
【0119】
本実施の形態では、図5に示されているように、現像器4内のトナーの有無を検出するセンサ31の位置と、現像器4において実際にトナーが消費される箇所とが離れているため、トナーの消費の影響がセンサ31が設けられている地点の状態に及ぶまでには時間がかかる。すなわち、トナーが消費されたことがセンサ31により検出されるまでには時間がかかり、トナーの補給が消費されたタイミングと外れる場合がある。しかしながら、本実施の形態では、上述のように、トナーの補給と消費とのタイミングがずれても、所定の期間分のデータの平均値を用いて、そのずれの影響を緩和したうえでトナー補給異常判断を行うことができる。したがって、トナー補給異常判断の判断結果が誤ったものになることをより確実に防止することができる。
【0120】
[トナー補給異常判断が行われない場合の説明]
【0121】
ここで、装置制御部40は、次の(1)から(3)のような場合には、トナー補給異常判断を行わない。これにより、トナー補給異常が発生していると誤判断されることが防止される。なお、トナー補給異常判断が行われない条件として次の(1)から(3)のうち一部だけが採用されていてもよい。
【0122】
(1)例えば、装置制御部40は、プリントが前回行われてから所定の期間が経過した場合において、次に示されるようなときには、トナー補給異常判断を行わない。そのため、上記のようなトナー補給異常と判断するための他の条件が満たされている場合であっても、例えば、前回プリントが行われてから長期間(所定の期間以上)、プリントなどを行わないまま放置されたような場合には、トナー補給異常が発生しているとの判断が行われない場合がある。なお、上記所定の期間としては、例えば、現像器4内でトナーが沈降するのにかかる期間などが適宜設定されていればよい。
【0123】
すなわち、プリントが前回行われてから所定期間が経過した所定期間経過時において、装置制御部40は、所定期間の経過後に取得された補給時間の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。また、所定期間経過時において、装置制御部40は、所定期間の経過後に算出したドット数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。また、所定期間経過時において、装置制御部40は、所定期間の経過後の印字枚数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しないを行わない。なお、装置制御部40は、所定時間経過時において、これらの3つの条件のうちいずれか1つか2つのみが満たされることを、トナー補給異常判断を行うための条件としてもよい。
【0124】
図14は、長期放置期間を含む場合の累積ドット数とトナー消耗率との関係及びドット数に対する補給時間の傾きの推移を示すグラフである。
【0125】
図14において、縦軸はトナーの消耗率、又は累積ドット数に対するトナーの消耗率の傾きである。横軸は累積ドット数である。累積ドット数が増加するにつれて、トナー消耗率は徐々に大きくなる。それぞれの時点(累積ドット数)において、累積ドット数に対するトナーの消耗率の傾きは、グラフの下方をゼロとして上方が傾き大となるようにして示されている。図14に示されている例において、「長期放置後」と示された吹き出しの前後で、所定の期間以上プリントが行われていない期間が設けられている(ただし、横軸は時間ではなく累積ドット数であるため、トナーの消耗率は常に漸増するように表示されている。)。
【0126】
図14に示されるように、長期放置後において、長期放置前よりも、累積ドット数に対するトナーの消耗率の傾きが大きくなっている。これは、例えば、長期放置により現像器4内のトナーが沈降し、センサ31で所定量のトナーがないことが検出されてしまうことがあることによる。このような状態において、トナー補給動作が行われる場合、トナーの消費がなくてもトナーが補給されてしまい、トナー補給異常が誤検出されてしまう可能性がある。
【0127】
しかしながら、本実施の形態では、装置制御部40が、プリントが前回行われてから所定期間が経過した場合において、上記のような条件が満たされなければトナー補給異常判断を行わない(トナー補給異常が発生しているとは判断しない。)。これにより、長期放置されていた後でも、累積ドット数、累積トナー補給時間、又は印字枚数に応じて、トナーが攪拌され、沈降が解消されたと考えられる状態で、トナー補給異常が発生しているか否かが判断される。したがって、トナー補給異常が誤検出されることを適切に防止できる。
【0128】
(2)例えば、装置制御部40は、トナーが不足するトナーエンプティ状態の発生後にトナーボトル25が交換された場合において、次の場合には、トナー補給異常であるとは判断しない。ここで、トナーエンプティ状態とは、例えば、現像器4内のトナーが少なくなってトナー補給動作が行われてもトナーの量が回復されない状態をいう。すなわち、トナーボトル25内のトナーが少なくなり、トナーボトル25からのトナーの供給が行われなくなると、トナーエンプティ状態となる。
【0129】
装置制御部40は、トナーエンプティ状態の発生後であってトナーボトル25の交換後、算出したドット数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。また、装置制御部40は、トナーエンプティ状態の発生後であってトナーボトル25の交換後、補給時間の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。また、装置制御部40は、トナーエンプティ状態の発生後であってトナーボトル25の交換後、印字枚数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。なお、装置制御部40は、所定時間経過時において、これらの3つの条件のうちいずれか1つか2つのみが満たされることを、トナー補給異常判断を行うための条件としてもよい。
【0130】
トナーエンプティ状態では現像器4内のトナーは少ないため、トナーボトル25が交換されると、現像器4内のトナー量が回復するまで、トナー消費がないままでもトナー補給動作が行われる。そうすると、ドット数に対する補給時間の傾きは非常に大きくなり、そのままではトナー補給異常が発生していると誤判断されてしまう。これに対し、本実施の形態では、累積ドット数、累積トナー補給時間、又は印字枚数に応じて、トナー補給異常判断を遅延させるので、トナー補給異常の誤判断を防止させることができる。
【0131】
(3)例えば、装置制御部40は、次の場合には、トナー補給異常であるとは判断しない。これは、トナーエンプティ状態に近い状態であると考えられるからである。
【0132】
すなわち、装置制御部40は、ドット数の累積値が所定値以上であるとき、補給時間の累積値が所定値以上であるとき、又は印字枚数の累積値が所定値以上であるとき、トナー補給異常が発生しているとは判断しない。なお、装置制御部40は、所定時間経過時において、これらの3つの条件のうちいずれか1つか2つのみが満たされることを、トナー補給異常判断を行うための条件としてもよい。
【0133】
ここで、上記のように種々の累積値が所定値以上になっている場合において、ドット数に対する補給時間の傾きが所定値以上であるとき、装置制御部40は、トナーエンプティ状態であると判断するようにしてもよい。トナーエンプティ状態が迫っているときには、トナーボトル25内のトナーが少ないため、単位時間あたりのトナー供給量が減ることになる。そうすると、ドット数に対する補給時間の傾きが大きくなり、その状態がトナー補給異常として誤判断されてしまうことになりかねない。本実施の形態では、このような場合には、トナー補給異常判断が行われないので、誤判断を防止できる。
【0134】
なお、これらの条件における種々の累積値は、同一のトナーボトルを使い続けている場合におけるものとすればよい。すなわち、新品のトナーボトルに交換した場合などは、トナーエンプティ状態に近い状態であるとは考えられないので、累積値をリセットし、新たに累積し直すようにすればよい。
【0135】
なお、本実施の形態において、装置制御部40は、所定の動作が行われる場合などにトナー補給動作を行わない、トナー補給の禁止期間を設けている。例えば、安定化動作が行われる期間が、トナー補給の禁止期間とされている。これは、安定化中にトナー補給を行うと、形成される画像の色味が変わってしまうなどの弊害が発生することがあるという理由などによる。このようなトナー補給の禁止期間においては、トナーが消費されたとしても、トナー補給動作が行われない。したがって、装置制御部40は、トナー補給異常判断を行う場合であっても、このようなトナー補給の禁止期間において算出されるドット数は考慮せずに、ドット数に対する補給時間の傾きを算出し、トナー補給異常判断を行う。
【0136】
上記のような、トナーは消費されるがトナー補給動作が行われない状態で消費したドット数をドット数に対する補給時間の傾き計算に使用すると、ドット数と補給時間とのバランスが崩れ、トナー補給異常について誤った判断がなされることがある。したがって、このように、トナー補給の禁止期間におけるトナー消費分のデータを傾き計算に使用しないことにより、トナー補給異常判断をより正確に行うことができる。
【0137】
[トナー補給異常判断に関連する動作の説明]
【0138】
装置制御部40は、トナー補給異常が発生していると判断したとき、トナー補給動作に異常が発生したことをユーザに通知する(通知動作)。ユーザへの通知は、例えば、通知する事項を表示パネル210などに表示すること(トナー補給異常表示)により行われるが、これに限られるものではない。
【0139】
また、装置制御部40は、トナーに補給異常が発生している場合など、画像のドット数と補給時間とに基づいて、画像形成動作の実行可否(画像形成装置1の動作モードの一例)を切り替える(切替動作)。
【0140】
本実施の形態において、これらの通知動作や切替動作は、ドット数に対する補給時間の傾き(増加量)に応じて、例えば次のようにして行われる。通知動作において、算出された傾きに応じて、通知対象となるユーザが変更される。
【0141】
すなわち、画像のドット数に対する補給時間の傾きが、第1の所定値A以上である第1の場合と、傾きが第1の所定値Aより大きい第2の所定値B以上である第2の場合と、傾きが第2の所定値Bより大きい第3の所定値C以上である第3の場合とで、通知動作における通知対象となるユーザと、画像形成動作の実行可否との組合せが切り替えられる。
【0142】
第1の場合において、装置制御部40は、第1のユーザに通知を行う。また、このとき、装置制御部40は、画像形成動作を実行可能な状態に維持する。第1の場合は、比較的異常の程度が軽微であるため、例えば第1のユーザとしての画像形成装置1の保守に従事するユーザ(いわゆるサービスマンなど)に対してのみ通知が行われる。また、画像形成動作は実行可能のまま維持される。
【0143】
第2の場合において、装置制御部40は、第1のユーザと第2のユーザとに通知を行う。また、このとき、装置制御部40は、画像形成動作を実行可能に維持する。第2の場合は、第1の場合よりも異常の程度が大きい。そのため、上記第1のユーザに加えて、例えば第2のユーザとして実際に画像形成装置1を使用するユーザを対象とし、通知が行われる。また、画像形成動作は実行可能のまま維持される。
【0144】
第3の場合において、装置制御部40は、第1のユーザと第2のユーザとに通知を行う。また、このとき、装置制御部40は、画像形成動作を実行不可能に切り替える。第3の場合は、第1の場合、第2の場合と比較して、相当異常の程度が大きい。したがって、多くのユーザに通知が行われ、また、画像形成動作が実行不可能とされる。
【0145】
装置制御部40がこのように3つの閾値(第1の所定値A、第2の所定値B、第3の所定値C)を用いた制御を行うことで、例えば以下のように、状態に応じた動作を実行させることが可能になる。
【0146】
すなわち、小さなトナー補給異常であっても、解消することが必要であるため、できるだけ早期に検出することが望ましい。例えば、マイラーめくれの程度が低くても、トナーが機内にこぼれてしまう可能性がある。しかしながら、閾値を低くしてトナー補給異常を早期に判断できるようにすると、トナー補給異常が発生していると誤判断される可能性も高くなる。湿度、温度などにより、トナー供給量が変わることもある。
【0147】
これに対して、本実施の形態においては、上記のような場合には、例えば一般のユーザではない、画像形成装置1の保守に従事するユーザにのみ異常情報を通知し、画像形成装置1自体は画像形成動作を実行可能なまま維持する。
【0148】
他方、傾きが第2の所定値Bまで達する場合には、画像形成を止めるほどではないが、比較的大きなトナー補給異常が発生していると考えられる。したがって、ユーザにトナー補給異常が発生していることを通知し、確認してもらう。
【0149】
さらに、傾きが第2の所定値Bより大きい第3の所定値Cまで達する場合には、相当大きなトナー補給異常が発生していることが考えられる。このような場合には、画像形成不可能としつつ、一般のユーザにも異常が発生していることを通知することで、ユーザに画像形成装置1の使用を控えてもらったり、状態を確認してもらったりする。このような状態では、トナーがほとんど補給されない場合が考えられるため、そのまま画像形成動作が行われると、画像にかすれが発生したり、トナーボトル25内でのパッキングなどの不具合が発生したりする可能性がある。
【0150】
[その他]
【0151】
ユーザへの通知は、表示パネルに情報を表示することにより行われるものに限られない。例えば、音声などを発することにより通知が行われてもよいし、ネットワークなどを介して電子メールやその他のメッセージがユーザに送信されることにより、通知が行われるようにしてもよい。
【0152】
装置制御部は、画像形成動作の実行可否に限られず、画像のドット数と補給時間とに基づいて、画像形成装置の種々の制御モードを切り替えるようにしてもよい。例えば、ドット数に対する補給時間の傾きに応じて、複数の制御モードのうちいずれかが選択され、画像形成装置の制御に適用されるようにしてもよい。
【0153】
装置制御部が行うトナー補給異常判断に際しては、上述の実施の形態における特徴部分(例えば、ドット数や補給時間の平均値に基づいて判断を行うことや、その平均値の算出方法、又はトナー補給禁止期間のデータは利用せずに判断を行うことなど)の必ずしもすべての要素が含まれなくてもよい。また、特徴部分となる個々の要素のうちいずれかを適宜組み合わせて、トナー補給異常判断が行われるようにしてもよい。
【0154】
画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。
【0155】
画像形成装置のハードウェア構成は上述に限られるものではない。例えば、トナーセンサとして、他の形式のセンサを用いてもよい。また、トナーボトルの重量などを検知するような方法で、現像器内のトナーの量に関する情報を検出するようにしてもよい。
【0156】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
【0157】
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
【0158】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0159】
1 画像形成装置
4(4a,4b,4c,4d) 現像器
25(25a,25b,25c,25d) トナーボトル(トナー収容体の一例)
28(28a,28b,28c,28d) カートリッジ
31(31a,31b,31c,31d) トナーセンサ(検出手段の一例)
40 装置制御部
50 制御部
61 制御プログラム
210 表示パネル(通知手段の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー収容体と、
前記トナー収容体からトナーの供給を受ける現像器と、
前記現像器内のトナー量に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて前記現像器にトナーを補給する補給手段と、
前記補給手段によりトナーが補給された補給時間を取得する取得手段と、
画像形成される画像のドット数を算出する第1の算出手段と、
前記第1の算出手段で算出された画像のドット数と前記取得手段により取得された補給時間とに基づいて、トナー補給異常が発生しているか否かを判断する判断手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記第1の算出手段で算出された画像のドット数と前記取得手段により取得された補給時間とに基づいて、前記画像のドット数に対する前記補給時間の増加量を算出する第2の算出手段を備え、
前記第2の算出手段により算出された増加量が所定値以上であるとき、トナー補給異常が発生していると判断する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の算出手段は、前記画像のドット数として、所定枚数分の画像のドット数の平均値を算出する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記補給時間として、所定枚数分のトナーの補給時間の平均値を算出する、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定枚数は、前記現像器において前記検出手段によりトナーが検出される部位からそのトナーが消費される部位までトナーが流動する間に画像形成される用紙の枚数に対応する、請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナーが不足するトナーエンプティ状態の発生後に前記トナー収容体が交換された場合において、
前記判断手段は、前記トナー収容体の交換後、前記第1の算出手段により算出されたドット数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナーが不足するトナーエンプティ状態の発生後に前記トナー収容体が交換された場合において、
前記判断手段は、前記トナー収容体の交換後、前記取得手段により取得された補給時間の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
トナーが不足するトナーエンプティ状態の発生後に前記トナー収容体が交換された場合において、
前記判断手段は、前記トナー収容体の交換後、画像形成された用紙の枚数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記判断手段は、前記第1の算出手段により算出されたドット数の累積値が所定値以上であれば、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記判断手段は、前記取得手段により取得された補給時間の累積値が所定値以上であれば、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記判断手段は、画像形成された用紙の枚数の累積値が所定値以上であれば、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記判断手段は、前記第1の算出手段により算出されたドット数と前記取得手段により取得された補給時間との増加率が所定値以上であるとき、前記トナーエンプティ状態であると判断する、請求項9から11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
画像形成が前回行われてから所定の期間が経過した場合において、
前記判断手段は、前記所定の期間の経過後に前記取得手段により取得された補給時間の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
画像形成が前回行われてから所定の期間が経過した場合において、
前記判断手段は、前記所定の期間の経過後に前記第1の算出手段により算出されたドット数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
画像形成が前回行われてから所定の期間が経過した場合において、
前記判断手段は、前記所定の期間の経過後の画像形成される用紙の枚数の累積値が所定値以上になるまで、トナー補給異常が発生しているとは判断しない、請求項1から14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記判断手段は、前記補給手段によるトナーの補給が禁止されている期間において前記第1の算出手段により算出されたドット数は用いずに前記判断を行う、請求項1から15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記第1の算出手段で算出された画像のドット数と前記取得手段により取得された補給時間とに基づいて、前記画像形成装置の制御モードを切り替える切替手段をさらに備える、請求項1から16のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記切替手段は、前記第1の算出手段で算出された画像のドット数と前記取得手段により取得された補給時間とに基づいて、画像形成動作の実行可否を切り替える、請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記判断手段によりトナー補給異常が発生していると判断されたとき、その旨をユーザに通知する通知手段をさらに備える、請求項1から18のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記通知手段は、前記第1の算出手段で算出された画像のドット数と前記取得手段により取得された補給時間とに基づいて、前記通知を行う対象となるユーザを変更する、請求項19に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記第1の算出手段で算出された画像のドット数と前記取得手段により取得された補給時間とに基づいて、前記画像形成装置の制御モードを切り替える切替手段と、
前記判断手段によりトナー補給異常が発生していると判断されたとき、その旨をユーザに通知する通知手段とをさらに備え、
前記画像のドット数に対する前記補給時間の増加量が第1の所定値以上であるとき、前記通知手段は第1のユーザに前記通知を行い、かつ、前記切替手段は画像形成動作を実行可能とし、
前記画像のドット数に対する前記補給時間の増加量が前記第1の所定値より大きい第2の所定値以上であるとき、前記通知手段は前記第1のユーザと第2のユーザとに前記通知を行い、かつ、前記切替手段は画像形成動作を実行可能とし、
前記画像のドット数に対する前記補給時間の増加量が前記第2の所定値より大きい第3の所定値以上であるとき、前記通知手段は前記第1のユーザと前記第2のユーザとに前記通知を行い、かつ、前記切替手段は画像形成動作を実行不可能とする、請求項1から16のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項22】
トナー収容体と、
前記トナー収容体からトナーの供給を受ける現像器と、
前記現像器内のトナー量に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて前記現像器にトナーを補給する補給手段とを備えた画像形成装置の制御方法であって、
前記補給手段によりトナーが補給された補給時間を取得する取得ステップと、
画像形成される画像のドット数を算出する第1の算出ステップと、
前記第1の算出ステップで算出された画像のドット数と前記取得ステップにより取得された補給時間とに基づいて、トナー補給異常が発生しているか否かを判断する判断ステップとを備える、画像形成装置の制御方法。
【請求項23】
トナー収容体と、
前記トナー収容体からトナーの供給を受ける現像器と、
前記現像器内のトナー量に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて前記現像器にトナーを補給する補給手段とを備えた画像形成装置の制御プログラムであって、
前記補給手段によりトナーが補給された補給時間を取得する取得ステップと、
画像形成される画像のドット数を算出する第1の算出ステップと、
前記第1の算出ステップで算出された画像のドット数と前記取得ステップにより取得された補給時間とに基づいて、トナー補給異常が発生しているか否かを判断する判断ステップとをコンピュータに実行させる、画像形成装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−57841(P2013−57841A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196765(P2011−196765)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】