説明

画像形成装置と認証集計用情報管理サーバおよび画像形成システム

【課題】アカウントID等の集計用識別子を用いて画像形成装置の利用実績を記録する場合でも、画像形成装置の記憶容量を大幅に消費しないようにする。
【解決手段】認証部31は、ユーザにより入力されたユーザIDとパスワード情報とを用いて認証/集計用管理サーバ40に対して認証処理を行う。アカウントIDリスト受信部32は、認証が行われたユーザIDに対して使用が許可されているアカウントIDのリストであるアカウントIDリストを認証/集計用情報管理サーバ40から受信する。アカウントIDリスト格納部33は、アカウントIDリスト受信部32により受信されたアカウントIDリストを格納する。判定部34は、ユーザにより入力されたアカウントIDがアカウントIDリスト受信部32により受信されたアカウントIDリストに含まれているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と認証集計用情報管理サーバおよび画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の使用者(ユーザ)により画像形成装置が共用されているような場合、使用者を特定するためにユーザID(認証用識別子)を各使用者毎に設け、使用者が割当てられたユーザIDとパスワードを画像形成装置に入力してログインして初めて画像形成装置を利用可能とすることが行われている。
【0003】
このように各使用者毎にユーザIDを設けることにより、どの使用者がどれだけ画像形成装置を使用したかを記録することが可能となる。
【0004】
しかし、各使用者毎の使用履歴だけでなく、どの業務に対してどれだけ画像形成装置が利用されたかを記録したい場合がある。例えば、各業務毎に使用された印刷用紙の枚数をカウントして、カウントされた枚数に応じて業務の発注元に費用を請求するようなことが必要となる場合がある。
【0005】
このような課題を解決するために、ユーザIDとは別にアカウントID(集計用識別子)と呼ばれる利用実績を集計するためのIDを用いるようにした方式が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この特許文献1に開示された機器使用実績管理装置では、認識用識別子であるユーザIDとは別に、使用実績の集計用識別子であるアカウントIDを使用することにより、コピー枚数などの機器使用実績を管理するようにしている。
【0007】
このアカウントIDとは、画像形成装置の使用履歴を予め設定された業務毎にカウントするためのIDであり、使用者が画像形成装置等の機器を使用する際にアカウントIDを選択することによりその使用履歴が選択されたアカウントIDに対して記録されるようになっている。
【0008】
しかし、このようなアカウントIDを用いる方式では、画像形成装置を使用する度にアカウントIDを選択する必要があるが、選択されたアカウントIDがそのユーザに対して使用許可されているかを確認することが必要となる。そのため、画像形成装置では、あるユーザIDに対して許可されているアカウントIDのリストであるアカウントIDリストを、各ユーザID毎に機器内部に保持しておき、ユーザから入力されたアカウントIDがそのユーザのアカウントIDリストに含まれているかを確認する処理が行われる。
【0009】
しかし、アカウントIDの数は場合によっては200以上となる場合がある。そのため、アカウントIDの数が増加するとアカウントIDリストのデータ量も増加することとなり、機器における記憶容量を大幅に消費して圧迫してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−266120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した従来技術では、アカウントID等の集計用識別子を用いて画像形成装置の利用実績を記録しようとした場合、現在設定されている全ての集計用識別子を含む集計用識別子リストを機器内に格納しておく必要があり、集計用識別子リストのデータ量が大きくなると機器の記憶容量を大幅に消費してしまうという問題点があった。
【0012】
本発明の目的は、アカウントID等の集計用識別子を用いて画像形成装置の利用実績を記録する場合でも、画像形成装置の記憶容量を大幅に消費することがない画像形成装置と認証集計用情報管理サーバおよび画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[画像形成装置]
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、認証情報および集計用情報の管理を行う認証集計用情報管理サーバに対して認証を行うことにより使用可能となる画像形成装置であって、
入力された認証用識別子とパスワード情報とを用いて前記認証集計用管理サーバに対して認証を行う認証手段と、
認証が行われた認証用識別子に対して使用が許可されている集計用識別子のリストである集計用識別子リストを前記認証集計用情報管理サーバから受信する受信手段とを有する。
【0014】
本発明では、認証用識別子とパスワード情報とを用いて認証集計用情報管理サーバに対して認証処理を行った場合、その認証用識別子に対応した集計用識別子リストが認証集計用情報管理サーバから画像形成装置に対して転送されてくる。そのため、本発明によれば、画像形成装置内に認証用識別子毎の集計用識別子リストを格納しておく必要がないため、集計用識別子を用いて画像形成装置の利用実績を記録する場合でも、画像形成装置の記憶容量を大幅に消費することがない。
【0015】
好ましくは、本発明の画像形成装置は、ユーザにより入力された集計用識別子が前記受信手段により受信された集計用識別子リストに含まれているか否かを判定する判定手段をさらに有する。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、認証情報および集計用情報の管理を行う認証集計用情報管理サーバに対して認証を行うことにより使用可能となる画像形成装置であって、
入力された認証用識別子とパスワード情報とを用いて前記認証集計用情報管理サーバに対して認証を行う認証手段と、
認証が行われた認証用識別子に対して使用が許可されている集計用識別子のリストである集計用識別子リストを前記認証集計用情報管理サーバから受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された集計用識別子リストのハッシュ値を演算する演算手段と、
前記受信手段により受信された集計用識別子リストと、前記演算手段により演算されたハッシュ値とを対応させて格納する集計用識別子格納手段と、
前記認証集計用情報管理サーバに対する認証が成功して、認証が行われた認証用識別子に対応する集計用識別子リストが前記集計用識別子格納手段に格納されている場合、当該認証用識別子に対応する集計用識別子リストのハッシュ値を前記集計用識別子格納手段から読み出して前記認証集計用情報管理サーバに送信する送信手段とを有する。
【0017】
本発明では、画像形成装置内のハッシュ値と認証集計用情報管理サーバ内のハッシュ値が一致することを確認することにより画像形成装置内の集計用識別子リストと認証集計用情報管理サーバ内の集計用識別子リストが同一であることを確認して、画像形成装置内の集計用識別子リストを使用するようにしている。その結果、画像形成装置が認証集計用情報管理サーバに対して認証処理を実行する度に、集計用識別子リストを認証集計用情報管理サーバから画像形成装置に転送する必要がなくなる。そのため、本発明によれば、煩雑に使用されている集計用識別子リストのみを画像形成装置に格納することにより、画像形成装置の記憶容量の大幅な消費を抑制するとともに、認証集計用情報管理サーバに対して認証処理を行う度に集計用識別子リストを転送する手間を省くことが可能となる。
【0018】
好ましくは、本発明の画像形成装置は、前記認証集計用情報管理サーバからハッシュ値が一致した旨の確認結果を受信した場合、ユーザにより入力された集計用識別子が前記集計用識別子格納手段に格納されている集計用識別子リストに含まれているか否かを判定する判定手段をさらに有する。
【0019】
[認証集計用情報管理サーバ]
本発明の認証集計用情報管理サーバは、画像形成装置に対する認証情報および集計用情報を管理するための認証集計用情報管理サーバであって、
認証用識別子に対して使用が許可されている複数の集計用識別子からなる集計用識別子リストを、各認証用識別子毎に格納する格納手段と、
認証用識別子とパスワード情報を用いた認証処理後に、認証を行った認証用識別子に対応して前記格納手段に格納されている集計用識別子リストを前記画像形成装置に送信する送信手段とを有する。
【0020】
また、本発明の認証集計用情報管理サーバは、画像形成装置に対する認証情報および集計用情報を管理するための認証集計用情報管理サーバであって、
認証用識別子に対して使用が許可されている複数の集計用識別子からなる集計用識別子リストを、そのハッシュ値とともに各認証用識別子毎に格納する格納手段と、
認証用識別子とパスワード情報を用いた認証処理後に、前記画像形成装置からハッシュ値を受信した場合、受信した該ハッシュ値と認証を行った認証用識別子に対応したハッシュ値とを比較する比較手段と、
前記比較手段においてハッシュ値が一致した場合、その比較結果を前記画像形成装置に送信し、ハッシュ値が一致しなかった場合、認証を行った認証用識別子に対応して前記格納手段に格納されている集計用識別子リストを前記画像形成装置に送信する送信手段とを有する。
【0021】
[画像形成システム]
本発明の画像形成システムは、画像形成装置に対する認証情報および集計用情報を管理するための認証集計用情報管理サーバと、前記認証集計用情報管理サーバに対して認証を行うことにより使用可能となる画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、
前記画像形成装置が、入力された認証用識別子とパスワード情報とを用いて前記認証集計用管理サーバに対して認証を行う認証手段と、認証が行われた認証用識別子に対して使用が許可されている集計用識別子のリストである集計用識別子リストを前記認証集計用情報管理サーバから受信する受信手段とを有し、
前記認証集計用情報管理サーバが、認証用識別子に対して使用が許可されている複数の集計用識別子からなる集計用識別子リストを各認証用識別子毎に格納する格納手段と、認証用識別子とパスワード情報を用いた認証処理後に認証を行った認証用識別子に対応して前記格納手段に格納されている集計用識別子リストを前記画像形成装置に送信する送信手段とを有する。
【0022】
また、本発明の画像形成システムは、画像形成装置に対する認証情報および集計用情報を管理するための認証集計用情報管理サーバと、前記認証集計用情報管理サーバに対して認証を行うことにより使用可能となる画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、
前記画像形成装置が、入力された認証用識別子とパスワード情報とを用いて前記認証集計用情報管理サーバに対して認証を行う認証手段と、認証が行われた認証用識別子に対して使用が許可されている集計用識別子のリストである集計用識別子リストを前記認証集計用情報管理サーバから受信する受信手段と、前記受信手段により受信された集計用識別子リストのハッシュ値を演算する演算手段と、前記受信手段により受信された集計用識別子リストと前記演算手段により演算されたハッシュ値とを対応させて格納する集計用識別子格納手段と、前記認証集計用情報管理サーバに対する認証が成功し認証が行われた認証用識別子に対応する集計用識別子リストが前記集計用識別子格納手段に格納されている場合に当該認証用識別子に対応する集計用識別子リストのハッシュ値を前記集計用識別子格納手段から読み出して前記認証集計用情報管理サーバに送信する送信手段とを有し、
前記認証集計用情報管理サーバが、認証用識別子に対して使用が許可されている複数の集計用識別子からなる集計用識別子リストをそのハッシュ値とともに各認証用識別子毎に格納する格納手段と、認証用識別子とパスワード情報を用いた認証処理後に前記画像形成装置からハッシュ値を受信した場合に受信した該ハッシュ値と認証を行った認証用識別子に対応したハッシュ値とを比較する比較手段と、前記比較手段においてハッシュ値が一致した場合、その比較結果を前記画像形成装置に送信し、ハッシュ値が一致しなかった場合、認証を行った認証用識別子に対応して前記格納手段に格納されている集計用識別子リストを前記画像形成装置に送信する送信手段とを有する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、アカウントID等の集計用識別子を用いて画像形成装置の利用実績を記録する場合でも、画像形成装置の記憶容量を大幅に消費することがないという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成システムの構成を示すシステム図である。
【図2】図1中の画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1中の画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図4】図1中の認証/集計用情報管理サーバ40の機能構成を示すブロック図である。
【図5】認証/集計用情報管理サーバ40のデータ格納部42に格納されている情報の一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。
【図7】利用実績集計用サーバ20により集計される利用実績情報の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の画像形成システムの構成を示すシステム図である。
【図9】図8中の画像形成装置10aの機能構成を示すブロック図である。
【図10】図8中の認証/集計用情報管理サーバ40aの機能構成を示すブロック図である。
【図11】認証/集計用情報管理サーバ40aのデータ格納部42aに格納されている情報の一例を示す図である。
【図12】画像形成装置10aと認証/集計用情報管理サーバ40aとの間のデータの送受信の初回における処理を示すシーケンスチャートである。
【図13】画像形成装置10aと認証/集計用情報管理サーバ40aとの間のデータの送受信の2回目以降における処理を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
【0027】
本発明の第1の実施形態の画像形成システムは、図1に示すように、ネットワーク30を介して接続された画像形成装置10、利用実績集計用サーバ20および、認証情報および集計用情報の管理を行う認証/集計用情報管理サーバ40を含む。
【0028】
認証/集計用情報管理サーバ40は、認証用識別子であるユーザIDと、そのユーザIDに対して設定されているパスワード情報とを対応させて格納している。また、認証/集計用情報管理サーバ40は、集計用識別子であるアカウントIDのリストであるアカウントIDリストを各ユーザID毎に格納している。
【0029】
利用実績集計用サーバ20は、画像形成装置10においてアカウントID毎に記憶された利用実績情報を周期的に集計する。
【0030】
次に、本実施形態の画像形成装置10のハードウェア構成を図2に示す。
【0031】
画像形成装置10は、図2に示されるように、CPU12、メモリ13、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置14、ネットワーク30を介して認証/集計用情報管理サーバ40等の外部の装置とデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)15、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置16、スキャナ17、印刷装置18を有する。これらの構成要素は、制御バス19を介して互いに接続されている。
【0032】
CPU12は、メモリ13または記憶装置14に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御する。
【0033】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態における画像形成装置10は、図3に示されるように、認証部31と、アカウントIDリスト受信部32と、アカウントIDリスト格納部33と、判定部34とを備えている。
【0035】
認証部31は、ユーザにより入力されたユーザIDとパスワード情報とを用いて認証/集計用管理サーバ40に対して認証処理を行う。
【0036】
アカウントIDリスト受信部32は、認証が行われたユーザIDに対して使用が許可されているアカウントIDのリストであるアカウントIDリストを認証/集計用情報管理サーバ40から受信する。
【0037】
アカウントIDリスト格納部33は、アカウントIDリスト受信部32により受信されたアカウントIDリストを格納する。
【0038】
判定部34は、ユーザにより入力されたアカウントIDがアカウントIDリスト受信部32により受信されたアカウントIDリストに含まれているか否かを判定する。
【0039】
次に、認証/集計用情報管理サーバ40の機能構成を図4に示す。認証/集計用情報管理サーバ40のハードウェア構成は、図2に示したような画像形成装置10のハードウェア構成と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0040】
認証/集計用情報管理サーバ40は、図4に示されているように、認証実行部41と、データ格納部42と、アカウントIDリスト送信部43とを備えている。
【0041】
認証実行部41は、画像形成装置10から送信されてきたユーザIDとパスワード情報とを用いて認証処理を実行し、認証処理が成功した場合に画像形成装置10のログインを許可する。
【0042】
データ格納部42は、ユーザIDに対して使用が許可されている複数のアカウントIDからなるアカウントIDリストを、各ユーザID毎に格納する。
【0043】
アカウントIDリスト送信部43は、ユーザIDとパスワード情報とを用いた認証処理後に、認証処理を行ったユーザIDに対応してデータ格納部42に格納されているアカウントIDリストを画像形成装置10に送信する。
【0044】
次に、認証/集計用情報管理サーバ40のデータ格納部42に格納されている情報の一例を図5に示す。
【0045】
データ格納部42では、図5に示されるように、パスワード情報およびアカウントIDリストが、それぞれユーザIDに対応付けられて格納されている。
【0046】
例えば、図5に示された例では、“A0001”というユーザIDに対しては、“Xwe456u”というパスワードが設定され、“Project01”、“Project04”・・・・“Project98”というアカウントIDリストが対応付けられて格納されている。
【0047】
次に、本実施形態の画像形成装置10の動作を図6を参照して詳細に説明する。図6は、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。
【0048】
画像形成装置10では、ユーザからユーザIDおよびパスワードを入力されてログインの要求が行われると、認証部31は、入力されたユーザIDおよびパスワード情報を認証/集計用情報管理サーバ40に対して送信する(ステップS101)。
【0049】
そして、認証/集計用情報管理サーバ40において認証処理が実行され認証がOKになると、認証/集計用情報管理サーバ40からアカウントIDリストが送信されてくる。画像形成装置10のアカウントIDリスト受信部32では、認証/集計用情報管理サーバ40から送信されてきたアカウントIDリストを受信すると、受信されたアカウントIDリストはアカウントIDリスト格納部33に格納される(ステップS102)。
【0050】
そして、ユーザから印刷ジョブが指示されるとともにアカウントIDが入力されると、判定部34では、入力されたアカウントIDがアカウントIDリスト受信部32により受信され、アカウントIDリスト格納部33に格納されたアカウントIDリストに含まれているか否かの判定が行われる(ステップS104)。
【0051】
ステップS104において、ユーザにより入力されたアカウントIDが受信したアカウントIDリスト中に含まれていないと判定部34において判定された場合、エラー通知が行われる(ステップS105)。また、ステップS104において、ユーザにより入力されたアカウントIDが受信したアカウントIDリスト中に含まれていると判定部34において判定された場合、指示されたジョブが実行され、入力されたアカウントIDに対して利用履歴情報が登録される(ステップS106)。
【0052】
なお、ユーザが画像形成装置10からログアウトした場合、アカウントIDリスト格納部33に格納されているアカウントIDリストは消去される。
【0053】
上記のような処理が行われることにより、画像形成装置10においては、利用実績がアカウントID毎に集計されることになる。そして、このアカウントID毎に集計された利用実績は、利用実績集計用サーバ20により集計される。
【0054】
利用実績集計用サーバ20により集計される利用実績情報の一例を図7に示す。この図7に示されている例では、各アカウントID毎に、印刷枚数、スキャン枚数、コピー枚数が何枚であるかという利用実績情報が集計され、利用実績集計用サーバ20に管理されている。
【0055】
なお、利用実績集計用サーバ20は、一定間隔で画像形成装置10にアクセスして格納されている利用実績情報を取得するようにすれば、画像形成装置10が利用されていない間に利用実績情報を集計することができる。
【0056】
本実施形態によれば、あるユーザIDを用いて認証/集計用情報管理サーバ40に対して認証処理を行った場合、そのユーザIDに対応したアカウントIDリストが認証/集計用情報管理サーバ40から画像形成装置10に対して転送されてくる。そのため、本実施形態によれば、画像形成装置10内にユーザID毎のアカウントIDリストを格納しておく必要がないため、アカウントIDを用いて画像形成装置10の利用実績を記録する場合でも、画像形成装置10の記憶容量を大幅に消費しないですむ。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の画像形成システムについて説明する。
【0058】
上記第1の実施形態の画像形成システムでは、ユーザがユーザIDとパスワードを用いて認証を受けてログインした際には、認証を受けたユーザIDに対して使用が許可されたアカウントIDリストを認証/集計用情報管理サーバ40から画像形成装置10に転送するようにし、ログアウトする際にはアカウントIDリストは画像形成装置10内から消去するようにしていた。しかし、このような方法では、ユーザが画像形成装置10に対してユーザID、パスワード等の認証情報を入力してログインする度に、アカウントIDリストを認証/集計用情報管理サーバ40から画像形成装置10に転送する処理が必要となる。そのため、ユーザが画像形成装置10にログインしてから画像形成装置10を利用可能になるまでの時間が長くなってしまう可能性がある。
【0059】
本発明の第2の実施形態の画像形成システムでは、このような問題を解決するとともに、本発明の目的を達成するものである。
【0060】
本発明の第2の実施形態の画像形成システムは、図8に示すように、ネットワーク30を介して接続された画像形成装置10a、利用実績集計用サーバ20および認証/集計用情報管理サーバ40aを含む。なお、図8において、図1中の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
【0061】
本実施形態における画像形成装置10aは、図9に示すように、図3に示した第1の実施形態における画像形成装置10に対して、ハッシュ値演算部35と、ハッシュ値送信部36とが追加された構成となっている。なお、図9において、図3中の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
【0062】
ハッシュ値演算部35は、アカウントIDリスト受信部32により受信されたアカウントIDリストのハッシュ値を演算する。
【0063】
本実施形態におけるアカウントIDリスト格納部33は、アカウントIDリスト受信部32により受信されたアカウントIDリストと、ハッシュ値演算部35により演算されたハッシュ値とを対応させて格納する。
【0064】
ハッシュ値送信部36は、認証/集計用情報管理サーバ40aに対する認証が成功して、認証が行われたユーザIDに対応するアカウントIDリストがアカウントIDリスト格納部33に格納されている場合、このユーザIDに対応するアカウントIDリストのハッシュ値をアカウントIDリスト格納部33から読み出して認証/集計用情報管理サーバ40aに送信する。
【0065】
また、本実施形態における判定部34は、認証/集計用情報管理サーバ40aからハッシュ値が一致した旨の確認結果を受信した場合、ユーザにより入力されたアカウントIDがアカウントIDリスト格納部33に格納されているアカウントIDリストに含まれているか否かを判定する。
【0066】
次に、認証/集計用情報管理サーバ40aの機能構成を図10に示す。本実施形態における認証/集計用情報管理サーバ40aは、図10に示すように、図4に示した第1の実施形態における認証/集計用情報管理サーバ40に対して、ハッシュ値比較部44を新たに追加し、データ格納部42とアカウントIDリスト送信部43を、それぞれデータ格納部42aとアカウントIDリスト送信部43aに置き換えた構成となっている。なお、図10において、図4中の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
【0067】
データ格納部42aは、ユーザIDに対して使用が許可されている複数のアカウントIDからなるアカウントIDリストを、そのハッシュ値とともに各ユーザID毎に格納する。
【0068】
ハッシュ値比較部44は、ユーザIDとパスワード情報を用いた認証処理後に、画像形成装置10aからハッシュ値を受信した場合、受信したそのハッシュ値と、データ格納部42aに格納されている認証を行ったユーザIDに対応したハッシュ値とを比較する。
【0069】
アカウントIDリスト送信部43aは、ハッシュ値比較部44において2つのハッシュ値が一致した場合、その比較結果を画像形成装置10に送信し、比較した2つのハッシュ値が一致しなかった場合、認証を行ったユーザIDに対応してデータ格納部42aに格納されているアカウントIDリストを画像形成装置10に送信する。
【0070】
次に、認証/集計用情報管理サーバ40aのデータ格納部42aに格納されている情報の一例を図11に示す。
【0071】
データ格納部42aでは、図11に示されるように、パスワード情報、アカウントIDリストおよびアカウントIDリストのハッシュ値が、それぞれユーザID毎に対応付けられて格納されている。
【0072】
例えば、図11に示された例では、“A0001”というユーザIDに対しては、“Xwe456u”というパスワードが設定され、“Project01”、“Project04”・・・・“Project98”というアカウントIDリストと、このアカウントIDリストをハッシュ関数を用いて演算することにより得られたハッシュ値“A8CF054・・・7”が対応付けられて格納されている。
【0073】
次に、本実施形態の画像形成装置10aと認証/集計用情報管理サーバ40aとの間動作を図12、図13を参照して詳細に説明する。
【0074】
図12は、画像形成装置10aと認証/集計用情報管理サーバ40aとの間のデータの送受信の初回における処理を示すシーケンスチャートであり、図13は、画像形成装置10aと認証/集計用情報管理サーバ40aとの間のデータの送受信の2回目以降における処理を示すシーケンスチャートである。
【0075】
先ず、あるユーザIDを用いて認証/集計用情報管理サーバ40aに対して初めてログインした場合の動作を図12を参照して説明する。
【0076】
画像形成装置10aでは、ユーザからユーザIDおよびパスワードを入力されてログインの要求が行われると、認証部31は、入力されたユーザIDおよびパスワード情報を認証/集計用情報管理サーバ40aに対して送信する(ステップS201)。
【0077】
そして、認証/集計用情報管理サーバ40aの認証実行部41において認証処理が実行され認証がOKになると(ステップS202)、画像形成装置10aから認証/集計用情報管理サーバ40aに対してアカウントIDリストの転送が要求される(ステップS203)。
【0078】
すると、認証/集計用情報管理サーバ40aでは、アカウントIDリスト送信部43aが、アカウントIDリストを画像形成装置10aに対して送信する(ステップS204)。
【0079】
画像形成装置10aのアカウントIDリスト受信部32が、認証/集計用情報管理サーバ40aから送信されてきたアカウントIDリストを受信すると、ハッシュ値演算部35では、受信されたアカウントIDリストのハッシュ値が演算される(ステップS205)。
【0080】
そして、アカウントIDリスト受信部32により受信されたアカウントIDリストは、ハッシュ値演算部35により算出されたハッシュ値とともにアカウントIDリスト格納部33に格納される(ステップS206)。
【0081】
次に、図12に示したような処理によりあるユーザIDに対するアカウントIDリストが画像形成装置10a内に既に格納されている場合の動作を図13を参照して説明する。
【0082】
画像形成装置10aでは、ユーザからユーザIDおよびパスワードを入力されてログインの要求が行われると、認証部31は、入力されたユーザIDおよびパスワード情報を認証/集計用情報管理サーバ40aに対して送信する(ステップS301)。
【0083】
そして、認証/集計用情報管理サーバ40aの認証実行部41において認証処理が実行され認証がOKになると(ステップS302)、画像形成装置10aでは、ログインしたユーザIDに対応するアカウントIDリストがアカウントIDリスト格納部33内に格納されているか否かが判定される。ここでは、ログインしたユーザIDに対応するアカウントIDリストがアカウントIDリスト格納部33内に格納されているため、ハッシュ値送信部36は、このアカウントIDリストのハッシュ値を認証/集計用情報管理サーバ40aに送信する(ステップS303)。
【0084】
認証/集計用情報管理サーバ40aのハッシュ値比較部44では、画像形成装置10aから送信されてきたハッシュ値と、データ格納部42aに格納されているハッシュ値との比較が行われ(ステップS304)、その確認結果が画像形成装置10aに対して返信される(ステップS305)。
【0085】
画像形成装置10aでは、認証/集計用情報管理サーバ40aからハッシュ値の比較結果が一致した旨の返信を受信した場合、アカウントIDリスト格納部33内に格納されているアカウントIDリストと、データ格納部42aに格納されているアカウントIDリストとは同一であると判定し、アカウントIDリスト格納部33内に格納されているアカウントIDリストを用いた処理を行う。
【0086】
なお、ステップS304の処理において、2つのハッシュ値が一致しなかった場合、画像形成装置10aのアカウントIDリスト格納部33に格納されているアカウントIDリストは変更され最新のものではないと考えら得るため、認証/集計用情報管理サーバ40aのアカウントIDリスト送信部43aは、データ格納部42aに格納されているアカウントIDリストを画像形成装置10aに対して送信する。
【0087】
本実施形態では、画像形成装置10aのアカウントIDリスト格納部33内のハッシュ値と認証/集計用情報管理サーバ40aのデータ格納部42a内のハッシュ値が一致することを確認することにより画像形成装置10a内のアカウントIDリストと認証/集計用情報管理サーバ40a内のアカウントIDリストが同一であることを確認して、画像形成装置10a内のアカウントIDリストをそのまま使用するようにしている。その結果、画像形成装置10aが認証/集計用情報管理サーバ40aに対してログインする度に、アカウントIDリストを認証/集計用情報管理サーバ40aから画像形成装置10aに転送する必要がなくなる。そのため、本実施形態によれば、煩雑に使用されているアカウントIDリストのみを画像形成装置10aに格納することにより、画像形成装置10aの記憶容量の大幅な消費を抑制するとともに、認証/集計用情報管理サーバ40aに対してログインする度にアカウントIDリストを転送する手間を省くことが可能となる。
【0088】
なお、本実施形態では、アカウントIDリストが同一であることを確認するための要約値(ダイジェスト値)としてハッシュ関数によるハッシュ値を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アカウントIDリストが変更されたことにより変化するような他の要約値を使用した場合でも同様に本発明を適用することができるものである。
【符号の説明】
【0089】
10、10a 画像形成装置
12 CPU
13 メモリ
14 記憶装置
15 通信インタフェース(IF)
16 ユーザインタフェース(UI)装置
17 スキャナ
18 印刷装置
19 制御バス
20 利用実績集計用サーバ
30 ネットワーク
31 認証部
32 アカウントIDリスト受信部
33 アカウントIDリスト格納部
34 判定部
35 ハッシュ値演算部
36 ハッシュ値送信部
40、40a 認証/集計用情報管理サーバ
41 認証実行部
42、42a データ格納部
43、43a アカウントIDリスト送信部
44 ハッシュ値比較部
S101〜S106 ステップ
S201〜S206 ステップ
S301〜S305 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証情報および集計用情報の管理を行う認証集計用情報管理サーバに対して認証を行うことにより使用可能となる画像形成装置であって、
入力された認証用識別子とパスワード情報とを用いて前記認証集計用管理サーバに対して認証を行う認証手段と、
認証が行われた認証用識別子に対して使用が許可されている複数の集計用識別子からなる集計用識別子リストを前記認証集計用情報管理サーバから受信する受信手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
ユーザにより入力された集計用識別子が前記受信手段により受信された集計用識別子リストに含まれているか否かを判定する判定手段をさらに有する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
入力された集計用識別子が受信された集計用識別子リストに含まれていると前記判定手段により判定された場合、指示された処理を実行する実行手段をさらに有する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記実行手段により処理が実行された場合に、該集計用識別子に関する利用実績を前記集計用識別子毎に集計する集計手段をさらに有する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記受信手段により受信された集計用識別子リストを格納する集計用識別子格納手段と、
認証を受けた使用者がログアウトした場合、前記集計用識別子格納手段に格納されている集計用識別子を消去する消去手段と、
をさらに有する請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置に対する認証情報および集計用情報を管理するための認証集計用情報管理サーバであって、
認証用識別子に対して使用が許可されている複数の集計用識別子からなる集計用識別子リストを、各認証用識別子毎に格納する格納手段と、
認証用識別子とパスワード情報を用いた認証処理後に、認証を行った認証用識別子に対応して前記格納手段に格納されている集計用識別子リストを前記画像形成装置に送信する送信手段と、
を有する認証集計用情報管理サーバ。
【請求項7】
画像形成装置に対する認証情報および集計用情報を管理するための認証集計用情報管理サーバと、前記認証集計用情報管理サーバに対して認証を行うことにより使用可能となる画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、
前記画像形成装置が、入力された認証用識別子とパスワード情報とを用いて前記認証集計用管理サーバに対して認証を行う認証手段と、認証が行われた認証用識別子に対して使用が許可されている複数の集計用識別子のリストからなる集計用識別子リストを前記認証集計用情報管理サーバから受信する受信手段とを有し、
前記認証集計用情報管理サーバが、認証用識別子に対して使用が許可されている複数の集計用識別子からなる集計用識別子リストを各認証用識別子毎に格納する格納手段と、認証用識別子とパスワード情報を用いた認証処理後に認証を行った認証用識別子に対応して前記格納手段に格納されている集計用識別子リストを前記画像形成装置に送信する送信手段とを有する画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−227928(P2011−227928A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160797(P2011−160797)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【分割の表示】特願2007−218262(P2007−218262)の分割
【原出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】