説明

画像形成装置の構成ユニットおよび現像ユニット

【課題】第1カートリッジと第2カートリッジとの不所望な分離を防止することができながら、第2カートリッジを第1カートリッジから離脱させる際の操作性に優れた、画像形成装置の構成ユニットおよび現像ユニットを提供する。
【解決手段】第1把持部46および第2把持部65の両方を片手Hで一括して把持して、ドラムカートリッジ8および現像カートリッジ10の両方を本体ケーシング2に対して一体的に着脱させることができる。第2把持部65およびロック部材66に設けられた操作部71を片手Hで把持して、ドラムカートリッジ8をドラムカートリッジ8から離脱させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の一部を構成する現像ユニットなどの構成ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置において、本体ケーシングに対してプロセスカートリッジを着脱可能に装着したものが知られている。
プロセスカートリッジは、たとえば、感光ドラムを保持するドラムカートリッジと、ドラムカートリッジに対して着脱可能に装着され、感光ドラムの表面にトナーを供給するための現像ローラを保持する現像カートリッジとを備えている。
【0003】
このプロセスカートリッジを採用した画像形成装置では、ドラムカートリッジおよび現像カートリッジを一体的に、つまりプロセスカートリッジの状態で本体ケーシングに対して着脱することができる。また、本体ケーシング内にドラムカートリッジを残したまま、ドラムカートリッジから現像カートリッジを離脱させることにより、現像カートリッジのみを本体ケーシングに対して着脱することができる。
【0004】
また、プロセスカートリッジの中には、ドラムカートリッジからの現像カートリッジの不所望な離脱を防止するために、ドラムカートリッジと現像カートリッジとの分離を禁止するロックレバーを備えるものがある。ロックレバーは、ドラムカートリッジの幅方向の一端部に設けられている。現像カートリッジがドラムカートリッジに装着された状態で、ロックレバーの下端部が現像カートリッジの所定部に対して上方から係止される。ロックレバーの上端部を押し下げると、現像カートリッジの所定部に対するロックレバーの下端部の係止が解除され、現像カートリッジをドラムカートリッジから離脱させることができる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−308802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロックレバーが設けられていることにより、たとえば、本体ケーシングに対するプロセスカートリッジの着脱途中で、ドラムカートリッジから現像カートリッジが脱落するのを防止することができる。
しかしながら、ドラムカートリッジから現像カートリッジを離脱させるために、作業者は、一方の手でロックレバーの上端部を押し下げた状態で、他方の手で現像カートリッジを把持して、現像カートリッジをドラムカートリッジから離脱させなければならない。すなわち、片手のみを使って、現像カートリッジをドラムカートリッジから離脱させることはできない。そのため、現像カートリッジをドラムカートリッジから離脱させる際の操作性が良くない。
【0007】
本発明の目的は、第1カートリッジと第2カートリッジとの不所望な分離を防止することができながら、第2カートリッジを第1カートリッジから離脱させる際の操作性に優れた、画像形成装置の構成ユニットおよび現像ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置の装置本体に着脱可能に設けられ、前記装置本体に装着されて、前記画像形成装置の一部を構成する構成ユニットであって、第1把持部が形成された第1カートリッジと、前記第1カートリッジに対して着脱可能に装着され、第2把持部が形成された第2カートリッジと、前記第1カートリッジおよび前記第2カートリッジの分離を禁止するロック位置と、前記第1カートリッジおよび前記第2カートリッジの分離を許可するロック解除位置とに変位可能に設けられるロック部材とを備え、前記第1カートリッジに前記第2カートリッジが装着された状態で、前記ロック部材は、常には前記ロック位置に配置され、前記第1カートリッジおよび前記第2カートリッジの両方が前記装置本体に対して一体的に着脱されるときには、前記第1把持部および前記第2把持部の両方が把持され、前記第1カートリッジが前記装置本体に残されたまま、前記第2カートリッジが前記装置本体から離脱されるとき、ならびに、前記第1カートリッジおよび前記第2カートリッジが前記装置本体から離脱された状態で、前記第2カートリッジが前記第1カートリッジから離脱されるときには、前記第2把持部および前記ロック部材に設けられた操作部が把持されて、前記ロック部材が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位されることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1カートリッジには、感光ドラムが保持され、前記第2カートリッジには、現像剤が収容される現像剤収容部が形成されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第1把持部および前記第2把持部は、前記第1カートリッジに前記第2カートリッジが装着された状態で、互いに間隔を空けて対向するように設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記ロック部材の前記操作部は、前記第1把持部と前記第2把持部との間に配置されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記ロック部材を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材をさらに備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記ロック部材は、前記第2カートリッジに支持されていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、前記第2カートリッジが前記第1カートリッジに装着されるときに、前記第2カートリッジにおいて、その装着方向における下流側が上下方向に位置決めされた後、前記装着方向における上流側が上下方向に位置決めされることを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の発明は、画像形成装置の装置本体に着脱可能に装着される現像ユニットであって、現像ローラを保持し、第1把持部が形成された現像カートリッジと、前記現像カートリッジに着脱可能に設けられ、前記現像ローラに供給される現像剤を収容する現像剤収容室および第2把持部が形成されたトナーカートリッジと、前記トナーカートリッジに支持され、前記現像カートリッジおよび前記トナーカートリッジの分離を禁止するロック位置と、前記現像カートリッジおよび前記トナーカートリッジの分離を許可するロック解除位置とに変位可能に設けられるロック部材と、前記ロック部材を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材とを備え、前記現像カートリッジに前記トナーカートリッジが装着された状態で、前記第1把持部と前記第2把持部とが互いに間隔を空けて対向し、その前記第1把持部と前記第2把持部との間に前記ロック部材に設けられた操作部が配置され、前記現像カートリッジおよび前記トナーカートリッジの両方が前記装置本体に対して一体的に着脱されるときには、前記第1把持部および前記第2把持部の両方が把持され、前記現像カートリッジが前記装置本体に残されたまま、前記トナーカートリッジが前記装置本体から離脱されるとき、ならびに、前記現像カートリッジおよび前記トナーカートリッジが前記装置本体から離脱された状態で、前記トナーカートリッジが前記現像カートリッジから離脱されるときには、前記第2把持部および前記ロック部材の前記操作部が把持されて、前記ロック部材が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、構成ユニットは、画像形成装置の装置本体に着脱可能に装着されて、画像形成装置の一部を構成する。構成ユニットには、第1カートリッジ、第2カートリッジおよびロック部材が備えられている。第1カートリッジには、第1把持部が形成されている。第2カートリッジには、第2把持部が形成されている。第2カートリッジは、第1カートリッジに対して着脱可能に装着される。そして、ロック部材は、第1カートリッジおよび第2カートリッジの分離を禁止するロック位置と、第1カートリッジおよび第2カートリッジの分離を許可するロック解除位置とに変位可能に設けられている。
【0014】
第2カートリッジが第1カートリッジに装着された状態で、ロック部材は、常には、ロック位置に配置されている。そのため、第1把持部および第2把持部の両方を一括して把持して、第1カートリッジおよび第2カートリッジの両方を装置本体に対して一体的に着脱させることができる。
また、第2把持部およびロック部材に設けられた操作部が把持されることにより、ロック部材がロック位置からロック解除位置に変位し、第2カートリッジの第1カートリッジからの離脱が許可される。そのため、第1カートリッジおよび第2カートリッジが装置本体に装着された状態で、第2把持部およびロック部材に設けられた操作部を把持して、第1カートリッジを装置本体に残したまま、第2カートリッジのみを装置本体から離脱させることができる。また、第1カートリッジおよび第2カートリッジが装置本体から離脱された状態で、第2把持部およびロック部材に設けられた操作部を把持して、第2カートリッジを第1カートリッジから離脱させることができる。
【0015】
よって、この構成ユニットは、第1カートリッジと第2カートリッジとの不所望な分離を防止することができながら、第2カートリッジを第1カートリッジから離脱させる際の操作性に優れている。
請求項2に記載の発明によれば、第1カートリッジには、感光ドラムが保持されている。すなわち、第1カートリッジは、感光ドラムを保持するドラムカートリッジである。第2カートリッジには、現像剤を収容する現像剤収容部が形成されている。すなわち、第2カートリッジは、現像剤収容部を有する現像カートリッジである。
【0016】
この場合、第2カートリッジが第1カートリッジに装着された状態で、現像剤収容部から感光ドラムに現像剤を供給することができる。そして、第1カートリッジとしてのドラムカートリッジと第2カートリッジとしての現像カートリッジとの不所望な分離を防止することができながら、現像カートリッジをドラムカートリッジから容易に離脱させることができる。
【0017】
なお、請求項1に記載の発明において、第1カートリッジには、現像ローラが保持され、第2カートリッジには、現像剤収容部が形成されていてもよい。すなわち、第1カートリッジは、現像ローラを保持する現像カートリッジであり、第2カートリッジは、現像剤収容部を有するトナーカートリッジであってもよい。
この場合、構成ユニットは、請求項8に記載の現像ユニットとなる。第2カートリッジが第1カートリッジに装着された状態で、現像剤収容部から現像ローラに現像剤を供給することができる。そして、第1カートリッジとしての現像カートリッジと第2カートリッジとしてのトナーカートリッジとの不所望な分離を防止することができながら、トナーカートリッジを現像カートリッジから容易に離脱させることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、第1カートリッジに第2カートリッジが装着された状態で、第1把持部および第2把持部は、互いに間隔を空けて対向するように設けられている。これにより、第1カートリッジに第2カートリッジが装着された状態で、片手で第1把持部と第2把持部とを一括して把持することができる。
請求項4に記載の発明によれば、ロック部材の操作部は、第1把持部と第2把持部との間に配置されている。そのため、第1把持部および第2把持部が一括して把持されるときに、ロック部材の操作部が操作されることがない。よって、第1カートリッジおよび第2カートリッジを装置本体に対して一体的に着脱させるときに、第2カートリッジの第1カートリッジからの不所望な離脱が生じることを確実に防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、付勢部材により、ロック部材がロック位置に向けて付勢される。
請求項6に記載の発明によれば、ロック部材は、第2カートリッジに支持されている。そのため、ロック部材の操作部と第2カートリッジに形成されている第2把持部とを容易に一括して把持することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、第2カートリッジが第1カートリッジに装着されるときには、第2カートリッジの装着方向における下流側が上下方向に位置決めされた後に、その装着方向における上流側が上下方向に位置決めされる。これにより、第2カートリッジの装着方向の下流側部分の上下位置を第1カートリッジに対して精度よく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るプリンタの側断面図である。
【図2】図2は、図1に示すプロセスカートリッジの側断面図である。
【図3】図3は、図2に示すドラムカートリッジの側断面図である。
【図4】図4は、図2に示す現像カートリッジの左前側から見た斜視図である。
【図5】図5は、図2に示す現像カートリッジの側断面図である。
【図6】図6は、図4に示すロック部材の斜視図である。
【図7】図7は、ドラムカートリッジに対する現像カートリッジの着脱途中の状態を示すプロセスカートリッジの側断面図である。
【図8】図8は、ドラムカートリッジに対する現像カートリッジの着脱途中の状態(図7の次の状態)を示すプロセスカートリッジの側断面図である。
【図9】図9は、ドラムカートリッジに対する現像カートリッジの着脱途中の状態(図8の次の状態)を示すプロセスカートリッジの側断面図である。
【図10】図10は、ドラムカートリッジに対する現像カートリッジの着脱途中の状態(図9の次の状態)を示すプロセスカートリッジの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
1.プリンタの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンタの側断面図である。
画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、装置本体の一例としての本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内の中央部には、構成ユニットの一例としてのプロセスカートリッジ3が配置されている。本体ケーシング2内において、プロセスカートリッジ3の上方には、レーザなどを備える露光器4が配置されている。
【0023】
本体ケーシング2の側壁には、フロントカバー5がその下端部を支点として開閉可能に設けられている。フロントカバー5を開くと、プロセスカートリッジ3が露出し、プロセスカートリッジ3を本体ケーシング2に対して着脱させることができる。
プロセスカートリッジ3は、感光ドラム6およびスコロトロン型帯電器7を保持する第1カートリッジの一例としてのドラムカートリッジ8と、現像ローラ9を保持する第2カートリッジの一例としての現像カートリッジ10とを備えている。現像カートリッジ10は、現像ローラ9の周面の一部が感光ドラム6の周面と接触するように、ドラムカートリッジ8に対して着脱可能に装着される。
【0024】
感光ドラム6の回転に伴って、感光ドラム6の表面は、スコロトロン型帯電器7によって一様に帯電された後、露光器4からのレーザビームによって選択的に露光される。これにより、感光ドラム6の表面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が現像ローラ9に対向すると、静電潜像と現像ローラ9との間の電位差により、現像ローラ9から静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラム6の表面にトナー像が形成される。
【0025】
本体ケーシング2の底部には、記録媒体の一例としての用紙Pを収容する給紙カセット11が配置されている。用紙Pは、1枚ずつ、給紙カセット11から送り出され、感光ドラム6とこれに対向配置される転写ローラ12との間に供給される。そして、感光ドラム6の表面上のトナー像は、転写ローラ12と対向したときに、感光ドラム6と転写ローラ12との間に進入した用紙Pに転写される。転写ローラ12は、ドラムカートリッジ8に保持されている。
【0026】
プロセスカートリッジ3に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器13が配置されている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器13に搬送される。定着器13では、加熱および加圧により、トナー像が画像となって用紙Pに定着される。こうして画像が形成された用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ14に排出される。
【0027】
なお、プリンタ1では、フロントカバー5が設けられている側(図1における右側)が正面側である。以下の説明での上下左右は、プロセスカートリッジ3が本体ケーシング2に装着された状態でプリンタ1を正面側から見たときを基準とする。
2.プロセスカートリッジ
図2は、プロセスカートリッジの側断面図である。
【0028】
前述したように、プロセスカートリッジ3は、ドラムカートリッジ8および現像カートリッジ10を備えている。
2−1.ドラムカートリッジ
図3は、ドラムカートリッジの側断面図である。
ドラムカートリッジ8は、底壁31、後壁32、天壁33、前壁34および左右の側壁35を一体的に備えている。
【0029】
底壁31には、転写ローラ収容部36、現像カートリッジ載置部37、ローラ収容部38および延長部39が、この順に後側から前側に向かって連続して形成されている。
転写ローラ収容部36は、上側に向かって開放する断面U字状に形成されている。転写ローラ収容部36には、転写ローラ12が収容されている。転写ローラ12の回転軸の両端は、側壁35に回転可能に保持されている。
【0030】
現像カートリッジ載置部37は、転写ローラ収容部36の前端縁から前方に延びる略板状に形成されている。現像カートリッジ載置部37の前後方向の途中部には、左右方向(以下「幅方向」という。)に長い開口40が形成されている。開口40は、用紙P(図1参照)の幅よりも大きな幅を有し、前側に向かって開放している。用紙Pは、開口40からドラムカートリッジ8内に進入し、感光ドラム6と転写ローラ12との間を通過する。
【0031】
ローラ収容部38は、下側に向かって開放する断面U字状に形成されている。ローラ収容部38には、ローラ41が収容されている。ローラ41の回転軸の両端は、側壁35に回転可能に保持されている。図1に示すように、プロセスカートリッジ3が本体ケーシング2に装着された状態で、ローラ41は、本体ケーシング2内に配置されたローラ42に対向し、用紙Pの搬送タイミングを調整するレジストローラを構成する。
【0032】
延長部39は、ローラ収容部38の前端縁から前側少し斜め上方に延びる略板状に形成されている。延長部39には、正面視で下側に向かって開放するコ字状(角ばったC字状)の被係止部材43が立設されている。
後壁32は、底壁31の転写ローラ収容部36の下端から後側斜め上方に延び、途中部で屈曲して上方に延びている。後壁32の前面には、感光ドラム6に付着している紙粉などを除去するためのクリーニングブラシ44が取り付けられている。また、後壁32には、クリーニングブラシ44の下方において、幅方向に長い開口45が形成されている。感光ドラム6と転写ローラ12との間を通過した用紙Pは、開口45を通過し、定着器13(図1参照)に向けて搬送される。
【0033】
天壁33は、後壁32の上端縁から前側に向かって延び、底壁31の転写ローラ収容部36と上下方向に対向している。天壁33の後端部は、前上がりとなるように傾斜している。天壁33の後端部の下面には、スコロトロン型帯電器7が取り付けられている。
前壁34は、底壁31の延長部39の前端縁から上方に延びる板状に形成されている。前壁34には、その上端縁の幅方向の中央部から前側に向かって延びる板状の第1把持部46が一体的に形成されている。
【0034】
左右の側壁35は、ほぼ同一形状に形成されている。各側壁35は、底壁31の転写ローラ収容部36、後壁32および天壁33により囲まれる空間を幅方向から閉塞するドラム保持部47と、底壁31の現像カートリッジ載置部37に載置された現像カートリッジ10に幅方向から対向する現像カートリッジ対向部48とを一体的に有している。
ドラム保持部47には、感光ドラム6の端部が回転自在に保持されている。
【0035】
現像カートリッジ対向部48は、ドラム保持部47の前端縁の約下半分の部分から前側に延びている。現像カートリッジ対向部48の下端縁は、底壁31の現像カートリッジ載置部37、ローラ収容部38および延長部39の幅方向の端縁に接続されている。現像カートリッジ対向部48の前端縁は、前壁34の幅方向の端縁に接続されている。
現像カートリッジ対向部48の後端部の上端縁49は、前側から後側に向かって、斜め下方に延びており、ドラムカートリッジ8に対する現像カートリッジ10の着脱を案内するためのガイドをなしている。そして、ドラム保持部47の前端部には、その前端縁から上端縁49に連続して側面視略矩形状に切り欠くことにより、軸受入部50が形成されている。現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8に装着された状態では、軸受入部50には、後述するカラー部材61が受け入れられている。
2−2.現像カートリッジ
図4は、現像カートリッジの左前側から見た斜視図である。図5は、現像カートリッジの側断面図である。
【0036】
現像カートリッジ10は、ボックス状の現像筐体51を備えている。
現像筐体51は、底壁52、天壁53、左右の側壁54および延長部55を一体的に有している。
底壁52には、断面円弧状の前側底壁56と、前側底壁56の後端縁から後側に向かって斜め下方に延びる後側底壁57とが含まれる。
【0037】
天壁53は、底壁52の後端縁(前側底壁56の上端縁)から後側に向かって延びる板状に形成されている。
左右の側壁54は、ほぼ同一形状に形成されている。各側壁54は、底壁52と天壁53により挟まれる空間を幅方向から閉塞するように設けられている。これにより、現像筐体51には、底壁52、天壁53および左右の側壁54に囲まれ、後側に向かって開放される空間が形成されている。そして、前側底壁56上の空間は、トナーを収容するトナー収容室58とされている。後側底壁57上の空間は、現像ローラ9が収容される現像室59とされている。現像ローラ9の回転軸60の両端部は、側壁54に回転可能に挿通され、側壁54から外側に突出した部分には、略円筒状のカラー部材61が取り付けられている。
【0038】
延長部55には、天壁53の前端縁から側壁54の上端縁に沿って前方に延びる横延長部62と、横延長部62の前端縁から側壁54の前端縁に沿って下方に延びる縦延長部63とが一体的に形成されている。
また、延長部55には、縦延長部63の前面から前側斜め上方に延びる1対のアーム部64が幅方向に間隔を空けて形成されている。そして、各アーム部64の上端縁間に、板状の第2把持部65が架設されている。図2に示すように、現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8に装着された状態で、第2把持部65の前端部は、第1把持部46に対して上方から間隔を空けて対向する。
【0039】
第2把持部65の前端部の下方には、ロック部材66が設けられている。
図6は、ロック部材の斜視図である。
ロック部材66は、幅方向に延びる揺動軸67と、揺動軸67から下方に向けて延びる板状の第1平板部68と、第1平板部68の下端部の幅方向の中央部から下方に延び、後側に向かって屈曲する鉤状の爪部69と、揺動軸67から前側に向かって第1平板部68と直交するように延びる第2平板部70と、第2平板部70の前端縁から斜め上方に傾斜するように延びる操作部71とを一体的に備えている。
【0040】
揺動軸67の両端部は、第1平板部68および第2平板部70から幅方向に突出している。図4に示すように、第2把持部65の下面には、幅方向に貫通する孔を有する1対の軸受部72が幅方向に間隔を空けて設けられている。そして、揺動軸67の両端部は、それぞれ軸受部72に挿通されている。これにより、ロック部材66は、揺動軸67を支点として揺動自在に設けられている。
【0041】
また、揺動軸67の少なくとも一端部には、軸受部72に対する幅方向の内側において、付勢部材の一例としてのコイルばね73が巻回されている。コイルばね73の一端は、第2把持部65に固定され、その他端は、第1平板部68に固定されている。これにより、ロック部材66は、コイルばね73により、常には、爪部69が後方に移動する方向(操作部71が下がる方向)に付勢されている。
2−3.現像カートリッジのドラムカートリッジからの離脱
図7〜10は、ドラムカートリッジに対する現像カートリッジの着脱途中の状態を示すプロセスカートリッジの側断面図である。
【0042】
図2に示すように、現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8に装着された状態では、コイルばね73の付勢により、ロック部材66がロック位置に配置され、ロック部材66の爪部69が被係止部材43に前側から係止し、ドラムカートリッジ8と現像カートリッジ10との分離が禁止されている。また、ロック部材66の操作部71は、第1把持部46と第2把持部65との間に配置されている。
【0043】
現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8から離脱されるときには、まず、図7に示すように、作業者の片手Hにより、第2把持部65とロック部材66の操作部71とが一括して把持される。そして、操作部71が第2把持部65に近づくように操作される。これにより、ロック部材66がロック位置からロック解除位置に変位し、被係止部材43に対する爪部69の係止が解除され、ドラムカートリッジ8と現像カートリッジ10との分離が許可される。
【0044】
次に、図8に示すように、第2把持部65が上方に持ち上げられる。これにより、現像カートリッジ10は、カラー部材61を支点として後上がりに傾動し、前端部が持ち上がる。
その後、図9に示すように、第2把持部65が前方に引っ張られる。これにより、カラー部材61がドラムカートリッジ8の側壁35の上端縁49に沿って後方に移動し、現像カートリッジ10の全体がドラムカートリッジ8から浮き上がる。
【0045】
そして、図10に示すように、カラー部材61が上端縁49から離れると、現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8から完全に離脱する。
2−4.現像カートリッジのドラムカートリッジへの装着
現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8に装着される際には、作業者の片手Hにより、第2把持部65が把持される。このとき、図10に示すように、第2把持部65とともに、ロック部材66の操作部71が把持されてもよい。そして、現像ローラ9を感光ドラム6に向けた姿勢でドラムカートリッジ8の上方に配置される。
【0046】
次に、現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8に近づけられ、図9に示すように、カラー部材61がドラムカートリッジ8の側壁35の上端縁49上に配置される。
つづいて、現像カートリッジ10が後方に移動される。これにより、カラー部材61が上端縁49上を摺動し、図8に示すように、カラー部材61が軸受入部50に受け入れられる。カラー部材61が軸受入部50に受け入れられると、現像カートリッジ10の後端部が上下方向に位置決めされる。
【0047】
その後、第2把持部65が押し下げられると、現像カートリッジ10は、カラー部材61を支点に後下がりに傾動する。そして、現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8の現像カートリッジ載置部37上に載置されると、現像カートリッジ10のドラムカートリッジ8への装着が達成される。第2把持部65とともに操作部71が把持されている場合には、それらから片手Hが外されると、コイルばね73の付勢により、ロック部材66がロック解除位置からロック位置に変位し、ロック部材66の爪部69が被係止部材43に前側から係止する。
3.作用効果
以上のように、プロセスカートリッジ3には、ドラムカートリッジ8、現像カートリッジ10およびロック部材66が備えられている。ドラムカートリッジ8には、第1把持部46が形成されている。現像カートリッジ10には、第2把持部65が形成されている。現像カートリッジ10は、ドラムカートリッジ8に対して着脱可能に装着される。そして、ロック部材66は、ドラムカートリッジ8および現像カートリッジ10の分離を禁止するロック位置と、ドラムカートリッジ8および現像カートリッジ10の分離を許可するロック解除位置とに変位可能に設けられている。
【0048】
ドラムカートリッジ8に現像カートリッジ10が装着された状態で、第1把持部46および第2把持部65は、互いに間隔を空けて対向するように設けられている。これにより、ドラムカートリッジ8に現像カートリッジ10が装着された状態で、片手Hで第1把持部46と第2把持部65とを一括して把持することができる。
そして、現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8に装着された状態で、ロック部材66は、常には、ロック位置に配置されている。そのため、第1把持部46および第2把持部65の両方を一括して把持して、ドラムカートリッジ8および現像カートリッジ10の両方を本体ケーシング2に対して一体的に着脱させることができる。
【0049】
また、第2把持部65およびロック部材66に設けられた操作部71が把持されることにより、ロック部材66がロック位置からロック解除位置に変位し、現像カートリッジ10のドラムカートリッジ8からの離脱が許可される。そのため、ドラムカートリッジ8および現像カートリッジ10が本体ケーシング2に装着された状態で、第2把持部65およびロック部材66に設けられた操作部71を把持して、ドラムカートリッジ8を本体ケーシング2に残したまま、現像カートリッジ10のみを本体ケーシング2から離脱させることができる。また、ドラムカートリッジ8および現像カートリッジ10が本体ケーシング2から離脱された状態で、第2把持部65およびロック部材66に設けられた操作部71を把持して、現像カートリッジ10をドラムカートリッジ8から離脱させることができる。
【0050】
よって、このプロセスカートリッジ3は、ドラムカートリッジ8と現像カートリッジ10との不所望な分離を防止することができながら、現像カートリッジ10をドラムカートリッジ8から離脱させる際の操作性に優れている。
また、ロック部材66の操作部71は、第1把持部46と第2把持部65との間に配置されている。そのため、第1把持部46および第2把持部65が一括して把持されるときに、ロック部材66の操作部71が操作されることがない。よって、ドラムカートリッジ8および現像カートリッジ10を本体ケーシング2に対して一体的に着脱させるときに、現像カートリッジ10のドラムカートリッジ8からの不所望な離脱が生じることを確実に防止することができる。
【0051】
また、ロック部材66は、現像カートリッジ10に支持されている。そのため、ロック部材66の操作部71と現像カートリッジ10に形成されている第2把持部65とを容易に一括して把持することができる。
また、現像カートリッジ10がドラムカートリッジ8に装着されるときには、現像カートリッジ10の装着方向における下流側、つまり後側が上下方向に位置決めされた後に、その装着方向における上流側、つまり前側が上下方向に位置決めされる。これにより、現像カートリッジ10の装着方向の下流側部分(前側部分)の上下位置をドラムカートリッジ8に対して精度よく配置することができる。
4.変形例
前述の実施形態では、第1カートリッジの一例としてのドラムカートリッジ8と、第2カートリッジの一例としての現像カートリッジ10とを備える構成を取り上げた。本発明は、前述の実施形態には限定されず、たとえば、現像ローラを保持する現像カートリッジと、トナー収容室が形成されたトナーカートリッジとを備え、第1カートリッジの一例としての現像カートリッジに対して、第2カートリッジの一例としてのトナーカートリッジが着脱可能に装着された構成の現像ユニットに適用することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
3 プロセスカートリッジ
6 感光ドラム
9 現像ローラ
10 現像カートリッジ
46 第1把持部
58 トナー収容室
65 第2把持部
66 ロック部材
71 操作部
73 コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に着脱可能に設けられ、前記装置本体に装着されて、前記画像形成装置の一部を構成する構成ユニットであって、
第1把持部が形成された第1カートリッジと、
前記第1カートリッジに対して着脱可能に装着され、第2把持部が形成された第2カートリッジと、
前記第1カートリッジおよび前記第2カートリッジの分離を禁止するロック位置と、前記第1カートリッジおよび前記第2カートリッジの分離を許可するロック解除位置とに変位可能に設けられるロック部材とを備え、
前記第1カートリッジに前記第2カートリッジが装着された状態で、前記ロック部材は、常には前記ロック位置に配置され、
前記第1カートリッジおよび前記第2カートリッジの両方が前記装置本体に対して一体的に着脱されるときには、前記第1把持部および前記第2把持部の両方が把持され、
前記第1カートリッジが前記装置本体に残されたまま、前記第2カートリッジが前記装置本体から離脱されるとき、ならびに、前記第1カートリッジおよび前記第2カートリッジが前記装置本体から離脱された状態で、前記第2カートリッジが前記第1カートリッジから離脱されるときには、前記第2把持部および前記ロック部材に設けられた操作部が把持されて、前記ロック部材が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位される、画像形成装置の構成ユニット。
【請求項2】
前記第1カートリッジには、感光ドラムが保持され、
前記第2カートリッジには、現像剤が収容される現像剤収容部が形成されている、請求項1に記載の画像形成装置の構成ユニット。
【請求項3】
前記第1把持部および前記第2把持部は、前記第1カートリッジに前記第2カートリッジが装着された状態で、互いに間隔を空けて対向するように設けられている、請求項1または2に記載の画像形成装置の構成ユニット。
【請求項4】
前記ロック部材の前記操作部は、前記第1把持部と前記第2把持部との間に配置されている、請求項3に記載の画像形成装置の構成ユニット。
【請求項5】
前記ロック部材を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材をさらに備えている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置の構成ユニット。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記第2カートリッジに支持されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置の構成ユニット。
【請求項7】
前記第2カートリッジが前記第1カートリッジに装着されるときに、前記第2カートリッジの装着方向における下流側が上下方向に位置決めされた後、前記第2カートリッジの前記装着方向における上流側が上下方向に位置決めされる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置の構成ユニット。
【請求項8】
画像形成装置の装置本体に着脱可能に装着される現像ユニットであって、
現像ローラを保持し、第1把持部が形成された現像カートリッジと、
前記現像カートリッジに着脱可能に設けられ、前記現像ローラに供給される現像剤を収容する現像剤収容室および第2把持部が形成されたトナーカートリッジと、
前記トナーカートリッジに支持され、前記現像カートリッジおよび前記トナーカートリッジの分離を禁止するロック位置と、前記現像カートリッジおよび前記トナーカートリッジの分離を許可するロック解除位置とに変位可能に設けられるロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材とを備え、
前記現像カートリッジに前記トナーカートリッジが装着された状態で、前記第1把持部と前記第2把持部とが互いに間隔を空けて対向し、その前記第1把持部と前記第2把持部との間に前記ロック部材に設けられた操作部が配置され、
前記現像カートリッジおよび前記トナーカートリッジの両方が前記装置本体に対して一体的に着脱されるときには、前記第1把持部および前記第2把持部の両方が把持され、
前記現像カートリッジが前記装置本体に残されたまま、前記トナーカートリッジが前記装置本体から離脱されるとき、ならびに、前記現像カートリッジおよび前記トナーカートリッジが前記装置本体から離脱された状態で、前記トナーカートリッジが前記現像カートリッジから離脱されるときには、前記第2把持部および前記ロック部材の前記操作部が把持されて、前記ロック部材が前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位される、現像ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−276961(P2010−276961A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130902(P2009−130902)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】