説明

画像形成装置及びプレビュー表示方法

【課題】複数のサブジョブを一つのジョブとして取り扱う原稿束別処理モード中に、各サブジョブでの設定をサブジョブ別に簡単にプレビュー表示により確認することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置(デジタル複合機1で例示)は、印刷対象の画像データのプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部16aと、その画像を表示部に表示させる表示制御部とを備える。この複合機1は原稿束別処理モードが操作部により選択可能になっている。複合機1は、原稿束別処理モードである場合、次のサブジョブについての印刷条件の設定及び原稿読み取りより前に、(1)プレビュー画像生成部16aが現在のサブジョブについてのプレビュー画像を生成し、(2)表示制御部が現在のサブジョブについて生成されたプレビュー画像を表示部に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを出力前にプレビュー表示することが可能な画像形成装置、及びそのプレビュー表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の原稿束をそれぞれ異なった複写(コピー)条件でプリントを行い、それらを一つのジョブとして取り扱うことが望まれている。特許文献1には、このような要望を可能にするビルドジョブモードをもった画像形成装置が開示されている。このビルドジョブモード(原稿束別処理モード)によって、例えば一つ目の原稿束は白黒モードでコピーを行い、二つ目の原稿束はカラーモードでコピーを行い、両方を合本して一つの印刷物として完成させることができる。このような処理により、全ての原稿束をカラーで行うよりもコピーにかかるコストを少なくすることが可能になる。また、それぞれを別々の画像形成条件でプリントを行い、できあがった印刷物を人手によって一つに合本するユーザの手間を省くことができる。
【0003】
一方、従来から、複合機などの画像形成装置において、コピーやプリントを実行する前に、その対象となった画像データを表示部にプレビュー表示する機能が備わっているものがある。プレビューによりユーザは、事前にプリント状態を確認できるので、設定が誤っていた場合には、プリントが行われるより前に再設定が可能となるので、資源の無駄ややり直しの手間を省くことが可能である。
【特許文献1】特開2005−134798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような原稿束別処理モードは、上記のような利便性はあるものの、複数の原稿束に関する設定が全て正しくなければ満足した印刷物は得られず、一つでも誤っていた場合には全体のやり直しが必要となり、資源の無駄ややり直しの時間を多く必要とする。従って、原稿別処理モードにおいて、簡単に設定を確認する方法が望まれている。
【0005】
しかし、上述したプレビュー機能は、スキャンした原稿のプリント状態を最初から順番に見ていくか、最初と最後を見るために設定されたボタンを押下することで最初と最後の画像データを確認できるに過ぎない。従って、原稿束別処理モードを搭載した画像形成装置に上述のプレビュー機能を搭載したとしても、各原稿束の先頭だけ確認すれば済むような場合であっても、プレビュー画像を一枚一枚見ていき各原稿束の先頭頁を探してから確認しなければならない。
【0006】
また、上述したプレビュー機能は、全ての原稿が読み終えてからプレビュー表示が実行される。従って、原稿束別処理モードを搭載した画像形成装置に上述のプレビュー機能を搭載したとしても、全ての原稿束の原稿の読み取りが終了した後でプレビュー表示に移行することになる。
【0007】
そして、全ての原稿が読み終わってからプレビュー表示が行われると、原稿束の数(サブジョブの数)が非常に多い場合には、現在プレビュー表示されているプレビュー画像がどのサブジョブに属する原稿のプレビュー画像であるのかが、非常に分かり難い。また、現在プレビュー表示中の原稿束についての印刷設定を変更する際には、再度の原稿読み取りが必要になることもあるが、ユーザは、原稿読み取りが終わると原稿をファイル(バインダー)などに片づけてしまうことが多く、一旦片づけてしまった原稿束を再度バインダーから取り出すという手間が生じる。
【0008】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、複数のサブジョブを一つのジョブとして取り扱う原稿束別処理モード中に、各サブジョブでの設定をサブジョブ別に簡単にプレビュー表示により確認することが可能な画像形成装置、及びそのプレビュー表示方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、操作部と、表示部と、印刷対象の画像データのプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、該プレビュー画像生成部で生成されたプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えた画像形成装置であって、原稿束別処理モードが前記操作部により選択可能になっており、該原稿束別処理モードは、1つの印刷ジョブとして、原稿読み取り対象の複数の原稿束のそれぞれに対応する複数のサブジョブであって、印刷条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードであり、当該画像形成装置は、前記原稿束別処理モードである場合、次のサブジョブについての印刷条件の設定及び原稿読み取りより前に、(1)前記プレビュー画像生成部が現在のサブジョブについてのプレビュー画像を生成し、(2)前記表示制御部が該現在のサブジョブについて生成された該プレビュー画像を前記表示部に表示させることを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示制御部は、前記現在のサブジョブについて生成された前記プレビュー画像の表示時に、前記現在のサブジョブの印刷条件を変更するための変更キーを、前記操作部により選択可能に前記表示部に表示させることを特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記表示制御部は、前記現在のサブジョブについて生成された前記プレビュー画像の表示時に、該プレビュー画像を非表示にするためのプレビューキャンセルキーを、前記操作部により選択可能に前記表示部に表示させることを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記表示制御部は、前記操作部により前記プレビューキャンセルキーが選択されたときに、前記次のサブジョブに移行するか否かをユーザに選択させるための問合せ画像を、前記表示部に表示させることを特徴としたものである。
【0013】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれかの技術手段において、前記原稿束別処理モード中にプレビュー表示を行うか否かを、前記操作部により、全てのサブジョブ共通に又は各サブジョブ毎に設定可能になっていることを特徴としたものである。
【0014】
第6の技術手段は、操作部と、表示部と、印刷対象の画像データのプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、該プレビュー画像生成部で生成されたプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えた画像形成装置におけるプレビュー表示方法であって、該画像形成装置は、原稿束別処理モードが前記操作部により選択可能になっており、該原稿束別処理モードは、1つの印刷ジョブとして、原稿読み取り対象の複数の原稿束のそれぞれに対応する複数のサブジョブであって、印刷条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードであり、当該プレビュー表示方法は、前記操作部が、前記原稿束別処理モードの選択を受け付けるステップと、前記原稿束別処理モードである場合、次のサブジョブについての印刷条件の設定及び原稿読み取りより前に、(1)前記プレビュー画像生成部が現在のサブジョブについてのプレビュー画像を生成し、(2)前記表示制御部が該現在のサブジョブについて生成された該プレビュー画像を前記表示部に表示させるステップと、を含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数のサブジョブを一つのジョブとして取り扱う原稿束別処理モード中に、各サブジョブでの設定をサブジョブ別に簡単にプレビュー表示により確認することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。以下、本発明に係る画像形成装置をプリント機能、コピー機能、ファクシミリ送受信機能等を有するデジタル複合機に適用した形態について、その実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0017】
<装置構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの構成例を示す模式図である。図1において、1はデジタル複合機、2、3は外部コンピュータ、4はインターネットファクシミリ装置(インターネットFAX装置)、5はファクシミリ装置である。
【0018】
デジタル複合機1は、プリント機能、コピー機能の他に、画像データをファックスで送受信する機能(ファクシミリ機能)及び/又は画像データをインターネットFAXで送受信する機能(インターネットFAX機能)を有する。このデジタル複合機1には、通信網を介して各種の外部機器が接続されている。例えば、ローカルな通信網として敷設されている通信ネットワークLNには、パーソナルコンピュータ(PC)等の外部コンピュータ2が接続されおり、図に示していないゲートウェイ等を介して接続されているインターネット網INには外部コンピュータ3及びインターネットFAX装置4が接続されている。また、公衆電話回線網PNを介して外部のファクシミリ装置5が接続されている。
【0019】
以下、このデジタル複合機1の構成及び動作について説明する。図2は、図1のデジタル複合機の構成例を示す概略ブロック図で、図3は、図2のデジタル複合機におけるタッチパネル及びキー操作部の一例を示す外観図である。
【0020】
図2で例示するデジタル複合機1は、タッチパネル10、パネル制御部11、記録部12、読取部13、フォーマット変換部14、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、メイン制御部18、制御用メモリ19、キー操作部20、LAN(Local Area Network)制御部21、制御用バッファ22、網制御部(NCU:Network Control Unit)23、モデム24、及びUSB(Universal Serial Bus)インターフェース(I/F)25を備えている。また、デジタル複合機1は、穴あけ(パンチ)やステープル処理などを行う後処理装置を備えてもよく、以下、この後処理装置を備えた形態を挙げて説明する。
【0021】
メイン制御部18はCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などで構成される。制御用メモリ19は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性メモリなどで構成される。制御用メモリ19内にはメイン制御部18から読み出し可能なように、プログラム(ファームウェア)と各種設定データとが格納されている。このうち少なくとも各種設定データは書き換え可能なメモリに格納されている。また、これらのプログラムや各種設定データは、後述する画像記憶部15の構成例としてのハードディスクに記憶してもよい。また、制御用バッファ22はRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。
【0022】
上述のプログラムは、本発明に係る後述のプレビュー画像の生成や表示に係る命令をはじめ、ファクシミリ画像や電子メール等の生成・送信・受信等に係る命令、原稿の読み取りに係る命令、印刷に係る命令、原稿の読み取り及び印刷(つまりコピー)に係る命令などを、メイン制御部18が他の部位に対して行うためのものである。このプログラムは、メイン制御部18により、制御用バッファ22上に展開され、制御用バッファ22を一時保存(作業)用のデータ領域として、後述の各種設定データを適宜参照しながら実行される。
【0023】
読取部13は、CCD(Charge Coupled Device)を利用したスキャナで、原稿を所定の解像度のRGB(R:赤、G:緑、B:青)のビットマップ画像として読み取り、読み取ったRGBの画像データ(ドットイメージデータ)を画像処理部16に出力する。画像処理部16は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成され、対象となる画像データに対して様々な画像処理を施す。画像処理の例については後述する。上述のASICには符号化/復号部17等の他の部位も組み込んでよい。
【0024】
画像記憶部15は、ハードディスク等で構成され、読取部13で読み取り画像処理部16を経た画像データや、LAN制御部21やNCU23等を介して外部から受信した画像データなどを記憶する。画像記憶部15に画像データを記憶する際には、符号化/復号部17で符号化したデータを記憶することもできる。また、画像記憶部15は、画像処理部16での画像処理中に発生する中間データの一時的な保存も行ってもよい。
【0025】
符号化/復号部17は、画像データを符号化により圧縮すると共に、符号化画像データを元の画像データに復号(伸張)する。例えば、符号化/復号部17は原稿を読み取った画像データの符号化、その符号化データの復号、外部から受信した符号化画像データの復号などを行う。符号化/復号部17では、ファイリングで一般的に使用されているJPEG(Joint Photographic Experts Group)や、ファクシミリ通信で一般に使用されているMH(Modified Huffman)、MR(Modified READ)、及びMMR(Modified Modified READ)など、用途に応じた符号化方式を用いることができる。また、符号化方式として、IPファクシミリ通信ではMHを採用することができ、インターネットファクシミリ通信ではMH、MR、MMRの他にJPEGやJBIG(Joint Bi-level Image Experts Group)を採用することができる。
【0026】
フォーマット変換部14は、読み取られた画像データや外部から受信した画像データを、PDF(Portable Document Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、TIFF(Tag Image File Format)等の所定のファイルフォーマットに変換する。
【0027】
記録部12は、電子写真方式やインクジェット方式などの印刷方式を採用したプリンタ装置を備え、画像記憶部15に記憶された画像データなどを、記録用紙に記録(つまり印刷)する。また、USB I/F25は、USBメモリ等のUSB機器に接続するためのI/Fであり、画像記憶部15に記憶された原稿読み取り後の画像データ等をUSB機器に出力したり、USB機器からファイルを読み込んだりする。
【0028】
モデム24は、ファクシミリ通信が可能なファクシミリモデムから構成されており、電話回線と接続され、またNCU23と直接的に接続されている。NCU23は、電話回線と接続され、回線の制御を行う。すなわち、NCU23は、アナログの公衆電話回線網(PSTN)との回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム24を公衆電話回線網と接続する。このような構成により、画像記憶部15に記憶された画像データを外部へファクシミリ送信することや、電話回線からファクシミリ画像データを受信して、画像記憶部15に記憶したり記録部12で直接印刷したりすることが可能となる。
【0029】
LAN制御部21は、LANと接続され、インターネット経由による電子メールデータの通信及びインターネットFAXの通信を行う。インターネットFAXは、LANインターフェース等を用いてLAN等のコンピュータネットワークを介して、電子メールを送受信するものである。
【0030】
タッチパネル10又はキー操作部20は、原稿の読み取り処理、画像データ送信、印刷等の処理の中から所望の処理を選択するための操作、その処理を開始するための操作、各処理を実行する際に必要となる設定を行うための操作(選択操作又は入力操作)などを受け付ける。この設定としては、原稿束別処理モードにする設定のほか、例えば印刷時の印刷枚数の設定、カラー/モノクロの設定、縮小率や拡大率の設定、穴あけ(パンチ)やステープルの設定、ファクシミリ画像や電子メールの送信時の相手先情報の設定など、様々挙げられる。
【0031】
キー操作部20は、操作するために必要なキー群を備えている。タッチパネル10は、表示部とタッチセンサ等の操作受付部とを有する。タッチパネル10は、パネル制御部11によってその表示制御及び操作受け付けの制御がなされる。つまり、パネル制御部11は、タッチパネル10における表示部の表示制御や操作受付部の操作受付制御を行う。
【0032】
タッチパネル10の表示部には、現在の動作状態や設定情報(例えば送信先等)などが表示される。この表示は、GUI(Graphical User Interface)画像を表示させるように、パネル制御部11が制御することで実現される。GUIにより、ユーザ操作に応じてその表示及び操作受付位置を変更することができる。各GUI及びその画像は、パネル制御部11の内部メモリ又は制御用メモリ19に、読み出し可能に格納しておけばよい。また、表示部としては、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなど、様々な表示形式の表示装置を採用することができる。
【0033】
タッチパネル10上で受けたユーザ操作はパネル制御部11で解釈され、操作信号としてメイン制御部18に伝送される。キー操作部20で受けたユーザ操作は、キー操作部20自身で解釈され、操作信号としてメイン制御部18に伝送される。メイン制御部18は、このようにして得た操作信号に応じた命令を他の部位に発することで、ユーザ操作に応じた処理を他の部位に実行させる。なお、表示装置及び操作部が一体となったタッチパネル10を挙げて説明したが、タッチパネル10の代わりに単に表示装置のみを設けてもよく、その場合、キー操作部20のみでユーザ操作を受け付ける。
【0034】
タッチパネル10及びキー操作部20は、図3で例示するような操作パネル30として構成してもよく、操作パネル30は、各種ハードウェアキーを備えるキー操作部31(キー操作部20に相当する)と、液晶ディスプレイ及びタッチセンサにより構成されるタッチパネル32(タッチパネル10に相当)とにより構成される。以下、図1の構成においてタッチパネル10及びキー操作部20の代わりにタッチパネル32及びキー操作部31を当てはめて、本発明の詳細について説明する。
【0035】
キー操作部31は、ハードウェアキーとして、数値入力のためのテンキー31a、入力した設定値をクリアするためのクリアキー31b、入力した各種設定を全解除するための全解除キー31c、コピー開始、送信開始等の指示を受付けるスタートキー31dの他、プリント機能、送信機能、及びコピー機能を切替える機能切替キー31e,31f,31g、並びに、ユーザによる設定を受付けるシステム設定キー31hを備えている。
【0036】
上述した構成例のデジタル複合機1における動作例について説明する。
<原稿読み取り動作>
原稿読み取り動作は、読み取った原稿の画像データを画像記憶部15に記憶(ファイリング)する場合、読み取った原稿の画像データを外部に送信する場合、読み取った原稿の画像データを印刷する場合(つまりコピーする場合)などに行われる。
【0037】
原稿読み取りを必要とするような処理を行うユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたとき、メイン制御部18は、読取部13、画像記憶部15、画像処理部16、及び符号化/復号部17などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。
【0038】
読取部13は、原稿台又は自動原稿送り装置に載置された原稿の画像を光学的に読み取り、読み取った結果であるRGB画像データ(RGBのビットマップデータ)を画像処理部16に渡す。画像処理部16は、そのRGB画像データに対して、A/D変換、シェーディング補正、γ補正などの各種画像処理(以下、原稿画像処理という)を実行する。ここで、シェーディング処理は、読取部13の照明系・結像系・撮像系で生じる各種歪みを取り除く処理である。
【0039】
原稿画像処理としては、A/D変換、シェーディング補正、γ補正に続き、原稿判別処理、領域分離処理を実行するとよい。原稿判別処理は、入力された画像データ(ここではγ補正後の画像データ)から、原稿の種別を判別する処理と原稿がカラー原稿であるのか白黒原稿であるのかを判別する処理とを含む。原稿の種別としては、例えば文字原稿、印刷写真原稿、それらが混在した文字印刷写真原稿などが挙げられる。画像処理部16は、これらの原稿判別処理及び白黒/カラー原稿判別処理の結果として、判別信号(以下、原稿判定データという)を出力する。領域分離処理とは、入力された画像データ(ここではγ補正後の画像データ)の各画素がどのような種類の領域に属するのかを判定する処理であり、例えば、各画素が黒文字の領域、色文字の領域、網点の領域などのいずれの領域に属する画素であるのかを判定する処理である。画像処理部16は、この判定結果として領域分離データを出力する。なお、この領域分離処理は、上述の原稿判別処理及び白黒/カラー判別処理の結果に基づき実行してもよい。
【0040】
原稿判定データ及び領域分離データは、対応する画像データ(原稿画像処理後の画像データ)に関連付けられて、画像記憶部15に記憶される。このとき、符号化/復号部17で原稿判定データ及び領域分離データを符号化した後、各符号化データを対応する画像データと関連付けて画像記憶部15に記憶する。なお、画像記憶部15へ記憶する際の符号化は必須ではないが、以下の説明では符号化した状態で画像データが記憶されるものとして説明する。原稿読み取り動作以外の動作についても同様とする。
【0041】
<印刷動作>
上述した原稿読み取り動作により、読み取った原稿の画像データのファイリングまでは完了する。次に、読み取った原稿の画像データを印刷する場合(つまり原稿をコピーする場合)の印刷動作について説明する。印刷を必要とするような処理を行うユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたとき、メイン制御部18は、記録部12、画像記憶部15、画像処理部16、及び符号化/復号部17などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。なお、メイン制御部18は、例えばコピー操作がなされたときには読取部13への指示(原稿読み取り指示)も行うことになる。
【0042】
また、デジタル複合機1は、印刷時に、スタンプ、日付(又は日時)、頁番号などの付加情報を画像データに付加することが可能に構成されていてもよく、以下、このような付加が可能な構成を挙げて説明する。このような付加の指示があった場合には、メイン制御部18が画像処理部16を制御する。画像データに付加された付加情報は付加画像であると言える。付加情報は制御用メモリ19に記憶され、必要に応じて読み出される。勿論、元々付加情報を付加画像のデータとして格納しておいてもよい。また、付加情報を複数、制御用メモリ19に格納しておくと共に、付加設定情報を制御用メモリ19に格納しておくとよい。この付加設定情報としては、画像データに対して付加する位置(以下、付加位置という)を示す情報を少なくとも含み、複数の付加情報が格納されている場合にはそのいずれを選ぶかの情報も含むものとする。また、後処理装置でのパンチやステープル処理を実行する指示があった場合には、メイン制御部18はこの後処理装置も制御する。
【0043】
符号化/復号部17は、画像記憶部15から印刷対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを読み出して復号し、画像処理部16に渡す。画像処理部16は、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理(以下、印刷用画像処理という)を実行する。印刷用画像処理としては、以下にその概略を説明するように、画質調整処理、二色化処理、色補正処理、黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、変倍処理、出力階調補正処理、及び中間調生成処理などが挙げられる。黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、及び中間調生成処理は、領域分離データが示す各種領域に応じた処理となる。
【0044】
画質調整処理としては、復号後の画像データから下地の検出を行って下地除去を行う。また、画質調整処理としては、操作パネル30によりユーザ設定された設定情報に基づいて、下地除去後の画像データについてRGBの調整(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさの調整、及び鮮やかさの調整も行う。このとき、原稿判定データが示す原稿種別に応じた調整を行ってもよい。
【0045】
色補正処理としては、画質調整処理後のRGBデータから、RGBの補色であるCMY(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)を構成要素とするCMYデータを生成し、色再現性を高める処理を行う。黒生成/下色除去処理としては、色補正後のCMYデータから黒(K)データを生成する黒生成処理と、元のCMYデータから黒生成で得たKデータを差し引いて新たなCMYデータを生成する下色除去処理とを行う。空間フィルタ処理としては、これら4色のデータであるCMYKデータに対して強調処理や平滑化処理を行う。画像データを二色(例えば赤と黒)で出力する二色カラーモードが選択された場合には、二色化処理が実行される。二色化処理としては、RGBデータから指定の二色(この場合、赤色と黒色)を表現するCMYデータに変換する処理を行う。二色カラーモードの場合、黒生成/下色除去処理は二色化処理後のCMYデータに対して実行され、空間フィルタ処理も実行されるが、色補正処理は実行されない。
【0046】
変倍処理としては、空間フィルタ処理後のCMYKデータに対し、操作パネル30でユーザ操作により設定された印刷倍率に基づいて画像拡大処理又は画像縮小処理を行う。印刷倍率とは、読み取られ記憶された画像データが示す画像に対する印刷後の画像の倍率である。勿論、印刷倍率はユーザ操作により得られた倍率に限らず、印刷倍率に対する操作がなかった場合にはデフォルト設定の倍率となる。出力階調補正処理としては、CMYKデータに対し、記録用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理を行う。中間調生成処理としては、出力階調補正処理後のCMYKデータに対して、誤差拡散処理やディザ処理により、画像を出力するための階調再現処理を行う。出力階調補正処理や中間調生成処理では、例えば文字領域とそれ以外で処理内容を異ならせるなど、原稿判定データが示す原稿種別に応じた処理を行ってもよい。
【0047】
中間調生成処理後のCMYKデータは記録部12に渡される。付加情報を付加する場合について説明する。付加情報についても印刷データの変倍率に応じて変倍処理を施す方法と、付加情報は印刷データの変倍率に関係なく変倍処理を施さない方法とがある。まず、付加情報も変倍処理する場合には、メイン制御部18が付加情報及び付加位置を示す情報を読み出して、メイン制御部18又は画像処理部16が必要に応じて画像データに変換し、変倍処理の前にこの付加情報の画像データを画像処理部16に渡す。なお、この変換は元々付加画像データが格納されている場合には必要ない。続いて、画像処理部16が、付加情報の画像データを、変倍処理前の画像データである付加先の画像データに対し上記付加位置に合成すればよい。
【0048】
付加情報を変倍処理しない場合には、メイン制御部18が付加情報及び付加位置を示す情報を読み出して、メイン制御部18又は画像処理部16が必要に応じて画像データに変換する。この例では変換によりCMYKデータとなる。なお、この変換は元々付加画像データが格納されている場合には必要ない。続いて、画像処理部16が、付加情報の画像データを、変倍処理後の画像データである付加先の画像データ(出力階調補正処理又は中間調生成処理の対象となる上述のCMYKデータ)に対し上記付加位置に合成すればよい。
【0049】
いずれの場合にも、画像処理部16が付加情報を付加した状態の中間調生成処理後のCMYKデータを出力することができる。なお、デジタル複合機1では、付加情報やその付加位置は、次に説明するプレビュー表示を行いながら操作パネル30によりユーザ設定可能にしておくとよい。
【0050】
記録部12は、このようにして画像処理部16で印刷用画像処理が施された画像データ(この例ではCMYKの画像データ)を受け取り、電子写真方式やインクジェット方式などによりハードコピー(プリントアウト)する。そして、ここで印刷された用紙に対して、後処理装置が必要に応じてパンチやステープル処理を実行する。なお、ここで説明した印刷動作の対象データは、読取部13で読み取られた画像データに限ったものではなく、例えば、外部記録媒体やネットワーク接続されたPCなどから事前に転送され画像記憶部15に記憶された画像データ(画像ファイル)についても、同様に適用できる。ファクシミリ受信し画像記憶部15に記憶された画像データの印刷動作については後述する。
【0051】
<印刷する画像データのプレビュー表示動作>
次に、原稿読み取りの結果として画像記憶部15に記憶された画像データを、印刷前にタッチパネル32でプレビュー表示する動作(プレビュー表示動作)について説明する。デジタル複合機1は、印刷対象となった画像データについてプレビュー表示を可能にする構成を有する。このプレビュー表示動作は、プレビュー表示を必要とするような処理を行うユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたときに行われる。例えば、原稿読み取り後の画像データに対して印刷実行前にまずプレビュー表示を行う設定になっているときなどにも、プレビュー表示動作がなされる。
【0052】
メイン制御部18は、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、及びパネル制御部11などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。なお、メイン制御部18は、例えば原稿をコピーする操作がなされたときには読取部13への指示(原稿読み取り指示)も行うことになる。
【0053】
符号化/復号部17は、画像記憶部15からプレビュー対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを読み出して復号し、画像処理部16に渡す。画像処理部16は、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理(以下、プレビュー用画像処理という)を実行する。プレビュー用画像処理としては、以下にその概略を説明するように、画質調整処理、二色化処理、色補正処理、空間フィルタ処理、変倍処理、及び出力階調補正処理などが挙げられる。空間フィルタ処理及び出力階調補正処理は、領域分離データが示す各種領域に応じた処理となる。
【0054】
ここでの画質調整処理は、印刷用画像処理での画質調整処理と同様である。色補正処理としては、タッチパネル32の表示特性に基づいて、画質調整処理後の画像データ(RGBデータ)をR′G′B′データに変換する処理を行う。空間フィルタ処理としては、このR′G′B′データに対して強調処理や平滑化処理を行う。
【0055】
変倍処理としては、空間フィルタ処理後のR′G′B′データに対し、印刷倍率に応じた画像拡大処理/画像縮小処理を施し、さらにそのR′G′B′データの画素数をタッチパネル32の画素数(表示解像度)に変換する処理を行うと共に、操作パネル30でユーザ操作により設定されたプレビュー表示倍率に基づいて画像拡大処理や画像縮小処理を行う。プレビュー表示倍率とは、例えば2倍、4倍等の固定倍率であって、プレビュー表示時の画像の倍率である。勿論、プレビュー表示倍率はユーザ操作により得られた倍率に限らず、プレビュー表示倍率に対する操作がなかった場合にはデフォルト設定の倍率となる。
【0056】
画像処理部16に設けたプレビュー画像生成部16aは、主にこのようなプレビュー表示用の変倍処理によりプレビュー表示用の画像(プレビュー画像)を生成する。
【0057】
ここで、付加情報を付加する場合のプレビュー画像について説明する。デジタル複合機1では、出力対象の画像データに付加情報を付加して出力する場合、パネル制御部11が、付加情報を示す付加情報画像を表示させる制御を行う。そのため、プレビュー画像生成部16aが、このような付加情報画像を生成し出力対象の画像データから生成したプレビュー画像に合成することで、付加情報画像付きのプレビュー画像を生成する。
【0058】
付加情報は、印刷倍率に応じて変倍処理を行って印刷対象の画像データと共に出力することができ、また印刷倍率に応じた変倍処理を行った後の印刷対象の画像データに付加して出力することもできる。まず、付加情報も変倍処理して出力する場合には、メイン制御部18が付加情報の付加位置及び付加情報(又は付加情報の大きさ)を示す情報を読み出して、変倍処理の前に画像処理部16に渡す。続いて、プレビュー画像生成部16aが、この付加情報(又は付加情報の大きさ)から付加情報を示す付加情報画像のR′G′B′データを生成し、変倍処理前の画像データである付加先の画像データに対し上記付加位置に合成する。そして、付加情報画像を付加後のR′G′B′データに対し印刷倍率に応じた画像拡大処理/画像縮小処理を施すとよい。
【0059】
付加情報を変倍処理しない場合には、メイン制御部18が付加情報の付加位置及び付加情報(又は付加情報の大きさ)を示す情報を読み出して画像処理部16に渡す。続いて、プレビュー画像生成部16aがこの付加情報(又は付加情報の大きさ)から付加情報を示す付加情報画像のR′G′B′データを生成し、印刷倍率に応じた画像拡大処理/画像縮小処理後のR′G′B′データに対し上記付加位置に合成し、付加後のR′G′B′データの画素数をタッチパネル32の画素数(表示解像度)に変換する処理を行うと共に、操作パネル30でユーザ操作により設定されたプレビュー表示倍率に基づいて画像拡大処理や画像縮小処理を行うとよい。
【0060】
また、後処理装置においてパンチやステープル処理を施す場合には、印刷対象となる画像データ(及び付加情報の付加情報画像データ)から生成したプレビュー画像に、パンチ穴やステープル等の後処理を示す画像(便宜上、「付加情報画像」と呼ぶ)のデータを、パンチ位置やステープル位置に合成して出力するとよい。このような処理により、画像データのプレビュー表示時に、画像形成する用紙の仕上がり状態を表示させることができる。
【0061】
出力階調補正処理としては、付加情報画像付きのプレビュー画像のR′G′B′データに対し、タッチパネル32で画像データを表示するための出力γ補正処理を行う。出力階調補正処理では、例えば文字領域とそれ以外で処理内容を異ならせるなど、原稿判定データが示す原稿種別に応じた処理を行ってもよい。
【0062】
二色化処理は、画像データを例えば赤と黒の二色で出力する二色カラーモードが選択された場合のみに実行される。二色化処理としては、画質調整処理後のRGBデータから指定の二色(この場合、赤色と黒色)を表現するCMYデータに変換する処理を行う。生成されたCMYKデータは、後段の色補正処理において、タッチパネル32の表示特性に基づいてR′G′B′データに変換される。
【0063】
プレビュー画像生成部16aで生成され出力階調補正処理されたR′G′B′データは、タッチパネル32に渡される。パネル制御部11は、このR′G′B′データに対応する画像をGUI画像に組み込んで表示させる制御を、タッチパネル32に対して行い、タッチパネル32でこのGUI画像を表示する。ユーザは、付加情報や後処理を示す付加情報画像を含むプレビュー表示された画像を確認して、このまま印刷を実行するか中止するか、或いは付加情報を削除するか、或いは後処理を止めるか、付加位置の変更(又は付加情報の変更)や後処理の位置の変更などを実行するかなどを判断して、それに応じた操作を行うことができる。
【0064】
なお、ここで説明したプレビュー表示動作の対象データは、読取部13で読み取られた画像データに限ったものではなく、例えば、外部記録媒体やネットワーク接続されたPCなどから事前に転送され画像記憶部15に記憶された画像データ(画像ファイル)についても、同様に適用できる。ファクシミリ受信し画像記憶部15に記憶された画像データのプレビュー表示動作については後述する。
【0065】
<原稿読み取り・プレビュー表示・印刷についての補足>
原稿読み取り動作として、符号化した画像データと原稿種別データと領域分離データとを対応付けて画像記憶部15に格納する例を挙げ、この例に基づき印刷動作時やプレビュー表示動作についても説明した。この代替方法として、読取部13で読み込んだ画像データのみを対象として符号化して、一旦、画像記憶部15に格納しておいてもよい。この場合、印刷動作時やプレビュー表示動作時に、画像記憶部15から読み出し符号化/復号部17で復号した画像データに対して、画像処理部16が原稿種別判別処理や領域分離処理を施すように構成すればよい。また、このような代替方法は、後述するファクシミリ送信やインターネットFAX送信等の画像データ送信時にも適用することができる。
【0066】
<ファクシミリ受信した画像データの印刷動作>
次に、ファクシミリ通信により受信した画像データの印刷動作について説明する。メイン制御部18は、モデム24でファクシミリ通信要求を検知したときに、記録部12、画像記憶部15、画像処理部16、NCU23、及びモデム24などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。
【0067】
まず、モデム24及びNCU23は、通信手続きを行いながら送信元から送信されてくる画像データ(圧縮画像データ)を順次受信し、受信した圧縮画像データの伸張を行うと共に、必要に応じて回転処理(送信方向を回転させる処理)や解像度変換処理などを実行して、画像処理部16に渡す。
【0068】
ファクシミリ通信により受信した画像データは白黒2値であるので、画像処理部16では、伸張等の処理を行った画像データ(Kデータ)に対して、特に処理を施さず、そのまま記録部12に渡される。記録部12は、この画像データを受け取り、電子写真方式やインクジェット方式などにより印刷を実行する。また、ファクシミリ通信によって受信した画像データに対しても、上述した付加情報を付加した後に印刷することもできる。
【0069】
モノクロ画像でのファクシミリ受信について説明したが、カラーのファクシミリ画像(RGBデータ)を受信した際には、画像処理部16がここで説明したファクシミリ受信用画像処理をこのRGBデータに対して実行するなどすればよい。
【0070】
<ファクシミリ受信した画像データのプレビュー表示動作>
ファクシミリ通信により受信した画像データのプレビュー表示動作について、同画像データの印刷動作に基づき簡単に説明する。このプレビュー表示動作は、受信した画像データを事前に確認してから印刷を実行するような事前設定やユーザ操作があったときなどに行われる。このプレビュー表示動作では、画像処理部16が、伸張等の処理を施した後の画像データに対して、付加情報の付加や後処理を施す場合にはその付加情報や後処理を示す付加情報画像の画像データを合成した後に、さらにタッチパネル32の画素数(表示解像度)に合わせた変換処理及びプレビュー表示時の縮小/拡大率に応じた変倍処理を行い、変倍処理後の画像データがタッチパネル32に表示されることになる。ユーザは、このプレビュー表示された画像を確認して、印刷を実行するか破棄するかや付加情報や後処理の内容や必要性を判断して、印刷又は破棄の操作や、付加情報や後処理の内容の変更の操作を行うことができる。
【0071】
<ファクシミリ送信動作>
次に、読み取った原稿の画像データをファクシミリ送信する場合の送信動作について説明する。ファクシミリ画像データは、タッチパネル32又はキー操作部31でのユーザ操作により設定された相手先(送信先)情報に対して送信される。相手先情報(この例では電話番号)は制御用メモリ19に記憶され、必要に応じて読み出される。通常、相手先情報は、アドレス帳データとして複数の相手先の情報が閲覧可能に且つ選択可能に格納されているか、或いは送信前に直接入力される。
【0072】
ファクシミリ送信を実行するためのユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたとき、メイン制御部18は、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、NCU23、及びモデム24などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。なお、メイン制御部18は、例えば原稿をファクシミリ送信する操作がなされたときには読取部13への指示(原稿読み取り指示)も行うことになる。なお、画像記憶部15に記憶された画像データについてプレビュー表示を実行しながら、送信対象の画像データを選択し、その画像データについてファクシミリ送信を開始することも可能である。
【0073】
符号化/復号部17は、印刷対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを画像記憶部15から読み出して復号し、画像処理部16に渡す。画像処理部16は、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理(以下、ファクシミリ送信用画像処理という)を実行する。ファクシミリ送信用画像処理としては、以下にその概略を説明するように、画質調整処理、空間フィルタ処理、変倍処理、出力階調補正処理、及び中間調生成処理などが挙げられる。空間フィルタ処理及び中間調生成処理は、領域分離データが示す各種領域に応じた処理とすればよいが、領域分離データを用いなくてもよい。さらに、ファクシミリ送信に伴う原稿読み取り動作では、読み取った画像データに対する領域分離処理やその領域分離データの符号化及び記憶を実行しなくてもよい。
【0074】
画質調整処理としては、復号後の画像データを、マトリクス係数を用いてKデータに変換する。このとき、原稿判定データが示す原稿種別に応じたマトリクス係数を用いてもよい。空間フィルタ処理としては、このKデータに対して強調処理や平滑化処理を行う。変倍処理としては、空間フィルタ処理後のKデータに対し、操作パネル30で設定された送信解像度又はデフォルト設定の送信解像度に応じて画像拡大処理や画像縮小処理を行う。出力階調補正処理としては、変倍処理後のKデータに対し、例えば送信先における記録用紙等の記録媒体に出力することを目的とした出力γ補正処理を行う。実際には、送信先の機器を考慮した出力γ補正でなく一般的な機器に対する出力γ補正を行えばよい。中間調生成処理としては、出力階調補正処理後のKデータに対して、例えば誤差拡散処理により二値化を行う。出力階調補正処理や中間調生成処理では、原稿判定データが示す原稿種別に応じた処理を行ってもよい。
【0075】
モノクロ画像でのファクシミリ送信について説明したが、カラー画像でのファクシミリ送信の際には、画像処理部16が上述のファクシミリ送信用画像処理において、画質調整処理として、復号後の画像データを、マトリクス係数を用いてカラー伝送用のLデータに変換する処理を行い、その後の処理をこのLデータについて行うなどすればよい。
【0076】
中間調生成処理後の画像データは、必要に応じて回転処理が施され、符号化/復号部17でファクシミリ送信時の圧縮形式で圧縮符号化されて、画像記憶部15に一時的に保存される。モデム24は、NCU23を介して設定された送信先との送信手続きを行い、送信先との通信を確立した段階(送信可能な状態にした段階)で、この一時的に保存されている符号化されたKデータを読み出し、圧縮形式の変更などの必要な処理の後に公衆回線網を介して送信先に順次送信する。
【0077】
そして、デジタル複合機1は、送信対象の画像データにも、付加情報を付加して送信することが可能に構成できる。この例のように画像データを外部へ送信する際には、付加情報として、スタンプ、日付(日時)、頁番号の他に、送信元情報(発信元情報)も付加情報を付加することが可能となっている。ここで、画像データ送信時に付加する送信元情報には、送信者の名称の情報、送信元の電話番号の情報、送信元の電子メールアドレスの情報のいずれか1又は複数を含むとよい。また、付加情報としては、画像データ送信時には送信先の情報(相手先の情報)なども付加してもよい。
【0078】
付加情報を付加してファクシミリ送信する場合には、次のような合成処理を行えばよい。メイン制御部18が付加情報及び付加位置を示す情報を読み出して、メイン制御部18又は画像処理部16が画像データに変換し、画像処理部16が、変換後の画像データ(付加情報の画像データ)を、変倍処理後の画像データである付加先の画像データに対し上記付加位置に合成すればよい。デジタル複合機1では、付加情報の画像データを付加する位置は、次に説明するプレビュー表示を行いながら操作パネル30によりユーザ設定可能とする。この合成後の画像データは、上述した出力階調補正処理や回転処理や圧縮処理などが施された後に、送信先に送信されることになる。
【0079】
<ファクシミリ送信する画像データのプレビュー表示動作>
デジタル複合機1は、ファクシミリ送信等で送信対象となった画像データについてプレビュー表示を可能にする構成を有する。このプレビュー表示動作は、送信前の画像データを事前に確認してから送信を実行するような事前設定やユーザ操作があったときなどに行われる。ファクシミリ送信対象となる画像データのプレビュー表示動作について、同画像データのファクシミリ送信動作に基づき説明する。プレビュー表示動作においてはメイン制御部18はパネル制御部11への指示も行う。
【0080】
このプレビュー表示動作では、画像処理部16が、画質調整処理、及び空間フィルタ処理(及び変倍処理)まではファクシミリ送信時と同じ処理を行い、プレビュー画像生成部16aによるプレビュー画像生成処理を実行し、出力階調補正処理として画像データを表示するための出力γ補正処理を行うとよい。このプレビュー画像生成処理として、プレビュー画像生成部16aは、送信解像度に応じた画像拡大処理/画像縮小処理を施した画像データに対して、タッチパネル32の画素数(表示解像度)に合わせた変換処理及びプレビュー表示時の縮小/拡大率に応じた変倍処理を行うことでプレビュー画像のデータを生成する。なお、このプレビュー表示動作では、空間フィルタ処理は実行されなくてもよく、また中間調生成処理は実行されない。
【0081】
プレビュー画像生成部16aで生成され出力階調補正処理されたR′G′B′データは、タッチパネル32に渡される。パネル制御部11は、このR′G′B′データに対応する画像をGUI画像に組み込んで表示させる制御を、タッチパネル32に対して行い、タッチパネル32でこのGUI画像を表示する。
【0082】
付加情報を付加して送信する場合のプレビュー画像について説明する。付加情報は、送信解像度に応じた変倍処理を行った後の画像データに付加して出力する。より具体的には、メイン制御部18が付加情報の付加位置及び付加情報を読み出して画像処理部16に渡す。続いて、プレビュー画像生成部16aがこの付加情報から付加情報を示す付加情報画像のR′G′B′データを生成し、送信解像度に応じた画像拡大処理/画像縮小処理後のR′G′B′データに対し上記付加位置に合成すればよい。なお、ファクシミリ送信等の画像データ送信時には後処理について特に考慮しなくてよい。
【0083】
このようにして付加情報画像が合成された画像データは、上述したプレビュー表示時の出力階調補正処理(画像データを表示するための出力γ補正処理)が施された後に、パネル制御部11によりGUI画像に組み込まれてタッチパネル32に表示されることになる。ユーザは、この付加情報画像を含むプレビュー表示された画像を確認して、このままファクシミリ送信を実行するか中止するか、或いは付加情報を削除するか、付加位置の変更(又は付加情報の変更)などを実行するかなどを判断して、それに応じた操作を行うことができる。
【0084】
<インターネット経由による画像データの送信動作>
次に、読み取った原稿の画像データを、インターネット経由による電子メール又はインターネットFAXで送信する場合の送信動作について説明する。このようなインターネット経由での送信で対象となる画像データについても、タッチパネル32又はキー操作部31でのユーザ操作により設定されて制御用メモリ19に格納された送信先情報(この例では電子メールアドレス)に対して送信される。
【0085】
インターネット経由による送信に係るユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたとき、メイン制御部18は、フォーマット変換部14、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、及びLAN制御部21などに指示を行い、次に説明するようなインターネット経由による送信処理を実行させる。なお、メイン制御部18は、例えば原稿をインターネット経由で送信する操作がなされたときには読取部13への指示(原稿読み取り指示)も行うことになる。
【0086】
符号化/復号部17は、印刷対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを画像記憶部15から読み出して復号し、画像処理部16に渡す。画像処理部16は、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理(以下、インターネット送信用画像処理という)を実行する。インターネット送信用画像処理としては、ファクシミリ送信用画像処理において説明した、画質調整処理、空間フィルタ処理、変倍処理、出力階調補正処理、及び中間調生成処理などが挙げられる。
【0087】
また、カラー画像での送信の際の画像処理もファクシミリ送信用画像処理と同様であり、画像処理部16がインターネット送信用画像処理において、画質調整処理として、復号後の画像データを、マトリクス係数を用いてカラー伝送用のLデータに変換する処理を行い、その後の処理をこのLデータについて行うなどすればよい。
【0088】
符号化/復号部17は、インターネット送信用画像処理後の画像データを符号化(圧縮)して、圧縮ファイルを得る。この圧縮は、原稿1頁単位で行われる。次いで、フォーマット変換部14が、これらの圧縮ファイルを1つのファイルに変換し、このファイルを、例えばMIME(Multipurpose Internet Mail Extension)に従ってマルチパートメールに添付する。ここまでの処理により、読み取られた画像データは電子メールのフォーマットに変換される。この電子メールは、LAN制御部21によりLANインターフェースを介してSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)等のメール転送プロトコルを用いて、インターネット経由で送信先に送信される。
【0089】
ここで、インターネットファクシミリ送信の場合、符号化/復号部17が例えばMHのようなファクシミリ専用の圧縮形式で圧縮し、フォーマット変換部14が得られた頁単位の圧縮ファイルを例えば1つのTIFFファイルに変換すればよい。また、電子メールに添付ファイルとして添付するだけの送信の場合(所謂scan to e-mailによる送信の場合)、符号化/復号部17が例えばJPEGのような圧縮形式で圧縮し、フォーマット変換部14が得られた頁単位の圧縮ファイルを例えば1つのPDFファイルに変換すればよい。
【0090】
また、デジタル複合機1は、送信対象の画像データがインターネット経由で送信する画像データであっても、ファクシミリ送信画像データの場合と同様に、付加情報を付加して送信することが可能となっている。付加情報の付加処理としては、ファクシミリ送信時について説明した合成処理を実行すればよく、上述した出力階調補正処理、圧縮処理、フォーマット変換処理などが施された後に、電子メールとして送信先のアドレスに送信されることになる。
【0091】
<インターネット経由で送信する画像データのプレビュー表示動作>
ファクシミリ送信時のプレビュー表示について説明したのと同様に、デジタル複合機1は、インターネット経由で送信する対象となった画像データも、タッチパネル32でプレビュー表示可能に構成することができる。
【0092】
このプレビュー表示動作では、ファクシミリ送信時のプレビュー表示について説明したのと同様に、画像処理部16が、画質調整処理、及び空間フィルタ処理(及び変倍処理)まではインターネット送信用画像処理と同じ処理を行い、プレビュー画像生成部16aによるプレビュー画像生成処理を実行し、出力階調補正処理として画像データを表示するための出力γ補正処理を行うとよい。プレビュー画像生成部16aで生成され出力階調補正処理されたR′G′B′データは、タッチパネル32に渡され、パネル制御部11によりGUI画像に組み込まれてタッチパネル32に表示されることになる。また、付加情報画像の付加についても、ファクシミリ送信時のプレビュー表示についての説明が援用できる。
【0093】
<本発明に係る、画像データ印刷前のプレビュー表示の説明>
以上、コピー時について印刷前のプレビュー表示動作を説明したように、本発明に係るデジタル複合機1では、読取部13で例示したスキャナ装置で読み取られ印刷対象となった画像データについて、画像記憶部15から読み出してそのプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部16aを有する。プレビュー画像生成部16aで生成されたプレビュー画像は、メイン制御部18の制御によりタッチパネル32に送られ、パネル制御部11によりGUI画像に組み込んで表示する制御がなされ、タッチパネル32に表示される。このように、タッチパネル32は、印刷対象の画像データをプレビュー表示する表示部の一例である。また、パネル制御部11は、プレビュー画像生成部16aで生成されたプレビュー画像を、予め設けられた画面に組み込むなどして表示部に表示させる表示制御部の一例である。
【0094】
そして、本発明に係るデジタル複合機1では、原稿束別処理モードが操作部により選択可能になっている。この操作部は、タッチパネル32或いは、タッチパネル32及びキー操作部31で例示できる。
【0095】
ここで、原稿束別処理モードは、1つの印刷ジョブとして、印刷条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードである。これら複数のサブジョブは、原稿読み取り対象の複数の原稿束のそれぞれに対応するサブジョブである。そして、印刷実行前には、これらサブジョブに対応する画像データをまとめて1つのファイルとして、一時的に画像記憶部15に記憶され、記録部12により印刷実行時に読み出される。つまり、1つの印刷ジョブにより1つのファイルが生成される。このように、原稿束別処理モードでは、原稿束毎に原稿読み取り処理を行って原稿束毎のサブジョブデータを得て、原稿束毎に設定された印刷条件に基づいて1つのファイルが生成され、印刷処理が実行される。
【0096】
そして、本発明の主たる特徴として、本発明に係るデジタル複合機1は、原稿束別処理モードである場合、次のサブジョブについての印刷条件の設定及び次のサブジョブの原稿読み取りより前に、(1)プレビュー画像生成部16aが現在のサブジョブについてのプレビュー画像を生成し、(2)表示制御部が、現在のサブジョブについて生成されたプレビュー画像を、表示部に表示させる。つまり、本発明では、サブジョブについて、印刷条件の設定、原稿読み取り、プレビュー表示を行い、問題なかった段階で次のサブジョブについての同様の処理を行う。
【0097】
本発明は、このような構成により、複数のサブジョブを一つのジョブとして取り扱う原稿束別処理モード中に、各サブジョブでの設定をサブジョブ別に簡単にプレビュー表示により確認することが可能になる。また、サブジョブ別にプレビュー確認を行うため、或るサブジョブにおける設定の変更が生じた場合でも、以前の原稿束に遡って原稿読み取りを実行する必要もない。
【0098】
また、上述したように、印刷対象の画像データに付加情報を付加して出力することや、印刷対象の画像データを記録用紙に印字してその記録用紙に後処理を施すことも可能としてもよい。その場合、デジタル複合機1では、メイン制御部18の制御に基づきパネル制御部11が、付加情報や後処理を示す付加情報画像をタッチパネル32に表示させる制御を行う。そのため、プレビュー画像生成部16aが、このような付加情報画像を生成し、印刷対象の画像データから生成したプレビュー画像に合成することで、付加情報画像付きのプレビュー画像を生成する。合成位置は、付加情報の付加位置又は後処理を施す位置に相当するプレビュー画像の位置となる。このように印刷対象となる画像データに付加情報(スタンプ、日付、頁番号等)なを付加して出力する場合やパンチやステープルといった後処理を記録媒体に施して出力する場合にも、画像形成の最終状態を確認することが可能になる。
【0099】
なお、印刷前のプレビュー表示について説明したが、ファクシミリ送信時やインターネット経由の画像データ送信時についてプレビュー表示動作を説明したように、印刷対象だけではなく送信対象となった画像データ(つまり印刷以外の出力対象となった画像データ)についても同様の処理を行うことも可能である。この場合、原稿束別処理モードは、1つの送信ジョブとして、原稿読み取り対象の複数の原稿束のそれぞれに対応する複数のサブジョブであって、送信条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードとなる。
【0100】
さらに、原稿読み取りを前提として説明したが、印刷対象や送信対象の画像データは、読取部13で例示したスキャナ装置から入力された画像データに限ったものではなく、USB I/F25に接続されるUSBメモリで例示した着脱可能な記憶装置から入力された画像データ、LAN又は回線で例示した通信回線から入力された画像データ、画像記憶部15で例示した記憶装置から読み出された画像データであってもよい。この場合、原稿束別処理モードは、1つの出力ジョブとして、出力対象の複数の束のそれぞれに対応する複数のサブジョブであって、出力条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードとなる。
【0101】
<プレビュー表示の具体例>
以下、図4〜図15を参照し、原稿束別処理モード中のプレビュー表示の流れについて、その具体例を挙げながら説明する。以下の例では主にコピー時の印刷を例に挙げるが、上述したように、ファクシミリ受信時の印刷(複数のファクシミリデータのそれぞれが原稿束に対応)、USBメモリ等から読み取った画像データの印刷、ファクシミリ送信、インターネットFAX送受信時等でも同様に適用することは可能である。また、これらの組み合わせ(例えばコピー原稿と画像データとを異なる原稿束として取り扱うなど)も適用できる。
【0102】
図4は、図2及び図3で説明したデジタル複合機の標準画面の例を示す図である。図4では、標準画面として、デジタル複合機1においてタッチパネル32に表示されるGUI画像の一例(GUI画像40とする)を示している。標準画面のGUI画像40は、デジタル複合機1の電源がONになったりリセットされたときにタッチパネル32に表示される。このGUI画像40では、デジタル複合機1の動作モードを選択するために、コピーモード選択キー41、イメージ送信モード選択キー42、ドキュメントファイリングモード選択キー43が表示されており、GUI画像40ではコピーモードが選択されている状態を示す。
【0103】
コピーモードでは、コピーを行うための各種の条件設定が可能となっている。例えば、片面・両面コピーの設定を行うための両面コピーキー、パンチやステープルの後処理の設定を行うための仕上げキー、その他コピー時の詳細設定を行うための特別機能キー44、スキャナによって読み取られた画像や外部機器から入力された画像やHDD等の記憶装置に記憶された画像の仕上がり状態をプレビュー表示で確認するための設定を行うプレビュー確認キー45、パンチ処理やステープル処理などの仕上げ処理(後処理)を設定するための仕上げキー等を備えている。ユーザは、タッチパネル32を使用してプレビュー確認キー45を操作することによって、プレビュー表示をON設定にすることが可能になっている。なお、キー42やキー43を選択することで、イメージ送信モードやドキュメントファイリングモードへ移行するが、このとき、各モードに応じた各種設定が可能なように各モードでの設定用のGUI画像が表示される。
【0104】
図5は、図4のGUI画像において、コピー時の詳細設定を行う特別機能キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図で、図6は、図5のGUI画像において、矢印キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。なお、個々に説明しないが、図5及び図6を含む後述の図では、OKキーを表示しており、OKキーの押下後はその設定を保存するなどして前の画面に戻るなどすればよい。
【0105】
図5で示すGUI画像46では、とじしろ、中とじなどの各種設定項目が選択可能に表示されていると共に、設定項目が多く存在するため、矢印キー47が表示されている。この矢印キー47の選択により、図6のGUI画像48のように他の設定項目が選択可能に表示される。GUI画像48には、他の設定項目として、ビルドジョブキー50等が選択可能に表示されていると共に、GUI画像46へ戻るための矢印キー49も表示されている。ビルドジョブキー50を押下することで、ビルドジョブモード(原稿束別処理モード)に移行することが可能になっている。勿論、原稿束別処理モードへの移行は、初期画面などの他の画面上での操作により実行可能にしておいてもよい。
【0106】
以下、図7〜図11を参照して、ビルドジョブキー50の押下の前に、ユーザがプレビュー確認キー45が押下されてプレビュー表示がON設定されている場合を例に挙げて、説明する。つまり、以下の例はプレビュー表示が前提となる処理例であり、プレビュー表示を行いたくない場合にはユーザが事前のプレビュー確認キー45の押下を実行しなければよい。なお、プレビュー確認キー45の表示などを行わなくても、ビルドジョブキー50が押下されたときに自動的にプレビュー表示がON設定になるように構成しておいてもよい。
【0107】
図7は、図6のGUI画像において、ビルドジョブキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。図7で示すGUI画像51は、図6のビルドジョブキー50が選択されることにより表示され、これにより原稿束別処理モードへ移行し、「サブジョブ1(第1の原稿束)の原稿をセットして印刷条件を設定した後、OKキー56を押して下さい」と、操作を促す表記を行う。このとき、GUI画像51において例示するように、ビルドジョブモードであることを表示しておくことが好ましい。
【0108】
図7で示すGUI画像51では、カラー/モノクロを設定するためのカラーモード設定キー52、用紙の両面に印刷するか片面に印刷するかを設定するための印刷面設定キー53、印刷倍率を設定するための倍率設定キー54、印刷用紙を設定するための用紙設定キー55が、選択可能に表示されている。図7において、各設定キー52〜55はラジオボタンで例示しているが、これに限ったものではない。また、キー54,55では、自動設定でない場合、倍率や用紙が手動で選択又は入力可能になっている。
【0109】
各設定キー52〜55は単なる一例であり、それら以外にも例えば、原稿を原稿台で読み取るか自動原稿送り装置(ADF)で読み取るかを設定するための読取方法設定キー、コピー濃度を設定するためのコピー濃度設定キー、原稿読み取りを行う原稿束の原稿が片面であるのか両面であるのかを設定する原稿面設定キー、スタンプの種類や位置の設定やステープル・パンチ等の後処理を設定するための仕上げ設定キーなどを、選択可能に表示しておくとよい。なお、読取方法設定キーは、ビルドジョブモードの場合、自動(つまりADF)が選択されることが多く、以下、ADFでの読み取りを前提として説明するが、一枚一枚原稿台で読み取る原稿束があってもよい。
【0110】
ユーザはまず第1の原稿束をADFにセットし、このような各キーによりその原稿束についての印刷設定(印刷条件の設定)を行い、設定後、OKキー56を押下する。これにより、その原稿束の読み取りが開始される。そして、読み取られた画像データは、設定された印刷条件に基づき縮小/拡大や割り付けや色変換(例えばカラーからモノクロへの変換)などが施され、そのサブジョブに対する画像データとして関連付けて画像記憶部15に記憶される。
【0111】
さらに、プレビュー画像生成部16aが、その画像データに対してプレビュー画像(元の画像データを縮小した所謂サムネイル画像であってもよい)を生成し、同じくそのサブジョブに関連付けて画像記憶部15に一時的に記憶される。このプレビュー画像には、スタンプや頁番号等の付加情報や後処理の内容を示す付加情報画像も含めておく。
【0112】
このようにして、第1の原稿束の読み取りが完了した段階(或いは少なくともその先頭頁の読み取りが完了した段階)で、プレビュー画像生成部16aが、第1の原稿束(つまりサブジョブ1)の先頭頁のプレビュー画像を画像記憶部15から読み出して、プレビュー画面を生成し、パネル制御部11がタッチパネル32にそれを表示させる。
【0113】
このような処理により、図8のGUI画像60で例示するような画面が表示される。図8は、図7のGUI画像において、OKキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図で、図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示した画面の一例を示す図である。
【0114】
図8で示すGUI画像60では、プレビュー画像生成部16aが上述のごとく生成した第1原稿束の先頭頁のプレビュー画像61がパネル制御部11によりタッチパネル32にプレビュー表示されている。
【0115】
このGUI画像60には、表示しているプレビュー画像61の近隣に何番目のサブジョブであるか(つまり何番目の原稿束であるか)を示す情報(この例では「サブジョブ1」)が含まれる。このように、表示制御部は、原稿束別処理モード中にプレビュー画像を表示させる場合に、表示中のプレビュー画像がジョブ中の何番目に処理されている原稿束(サブジョブ)に対応する画像であるかを示す情報を、表示部に表示させることが好ましい。また、この表示により原稿束別処理モード中であることを示すこともできる。
【0116】
また、このGUI画像60には、表示しているプレビュー画像61の頁を変更するために、現頁を示す情報68と共に、頁切換キー67が表示されている。ここで、情報68は、第1原稿束の枚数の情報(この例では全「3」枚)と、現在表示中のプレビュー画像61がその全枚数のうちの何枚目(この例では「1」枚目)かを示す情報とを含む。
【0117】
頁切換キー67には、そのサブジョブの最初の頁を表示するためのトップ頁(先頭頁)移動キー、そのサブジョブの現頁の前の頁を表示するための前頁移動キー、そのサブジョブの現頁の次の頁を表示するための次頁移動キー、及びそのサブジョブの最後の頁を表示するためのラスト頁(最終頁)移動キーが含まれる。プレビュー画像61は、このように頁毎に表示され、ユーザは頁切換キー67を適宜操作することによって、そのサブジョブの画像データの任意の頁のプレビュー画像を表示させることができる。
【0118】
また、GUI画像60には、表示中のプレビュー画像61を拡大/縮小するための拡大/縮小キー64や、プレビュー画像61を回転させて表示させるための回転キー65なども選択可能に表示させておくとよい。これにより、プレビューによる確認を、ユーザが望む倍率で行うことや、ユーザが正方向と思う方向から行うことが可能になる。
【0119】
ユーザは、プレビュー表示による確認だけでなく、実際の設定内容を確認したいことがある。従って、GUI画像60には、設定確認キー62を選択可能に表示することが好ましい。設定確認キー62が選択されると、表示中のプレビュー画像61から画像記憶部15での関連づけを参照してサブジョブ1を特定し、そのサブジョブ1に対する設定内容を含むGUI画像、例えば図7の各設定キー52〜55のような内容を含むGUI画像を表示する。これにより、サブジョブ1の実際の設定内容をユーザが確認できるようになる。
【0120】
また、ユーザは、実際の設定内容を変更したいことがある。従って、GUI画像60には、再設定キー63を選択可能に表示することが好ましい。再設定キー63が選択されると、設定確認キー62の選択時と同様に、表示中のプレビュー画像61から画像記憶部15での関連づけを参照してサブジョブ1を特定し、そのサブジョブ1に対する設定内容を含みその設定が変更可能となっているGUI画像、例えば図7の各設定キー52〜55を含むGUI画像を表示する。これにより、サブジョブ1の実際の印刷条件をユーザが変更できるようになる。
【0121】
ここで例示したように、本発明での表示制御部は、現在のサブジョブについて生成されたプレビュー画像の表示時に、その現在のサブジョブの印刷条件のみを変更するための変更キー(再設定キー63)を、操作部により選択可能に表示部に表示させることが好ましい。
【0122】
また、再設定後は、再設定した印刷条件に基づくサブジョブの画像データ及びそのプレビュー画像を再生成し、再生成されたプレビュー画像を表示するとよい。より具体的には、プレビュー画像生成部16aは、再設定キー63の選択後、操作部により印刷条件が変更されたサブジョブについてのみ、変更後の印刷条件から画像データのプレビュー画像を再生成する。変更後の印刷条件から生成した画像データやそのプレビュー画像は、画像記憶部15での関連付けを参照して上書きすればよい。
【0123】
そして、表示制御部は、プレビュー画像が再生成されたときに、図8のGUI画像60のように先頭頁のプレビュー画像61を表示させてもよいし、もし変更した印刷条件により全てのプレビュー画像が変更される訳ではない場合には、印刷条件の変更に伴って変更されるプレビュー画像の中での最初の頁を表示させてもよい。
【0124】
また、印刷条件の再設定により原稿読み取りが再度必要とならないことを前提に説明したが、必要になる場合もある。従って、表示制御部は、再設定キー63の選択後、印刷条件が変更されたサブジョブについて、その変更により再度の原稿読み取りが必要となる場合には、印刷条件の変更対象となったサブジョブに対応する原稿束の再度の原稿読み取りを促す通知を、表示部に表示させるとよい。
【0125】
このような、再度の原稿読み取りが必要となる可能性のある印刷条件としては、カラー印刷を行うのかモノクロ印刷を行うのかを示す条件、拡大率や縮小率の条件などが挙げられる。モノクロ印刷からカラー印刷に印刷条件が変更された場合や、縮小率が下がるか、拡大率が上がった場合に、上記通知を行うとよい。なお、デジタル複合機1自体の原稿読み取りの設定が、読み取り速度を度外視して全ての印刷条件に対して最高の解像度で読み取る設定である場合には、このような再読み取りは常に必要ない。勿論、ADFによる搬送ミスにより頁が抜けていた場合には、再読み取りが必要となるがこれはデジタル複合機1側が判定するものではなく、ユーザが判定するものであり、デジタル複合機1は必要に応じて再読み取りが可能なように構成しておけばよい。
【0126】
また、GUI画像60には、プレビュー画像61の表示を終了し、GUI画像60を閉じるためののプレビュー終了キー66も選択可能に表示されている。ユーザはプレビュー画像61や頁切換キー67の操作後の他頁のプレビュー画像を確認して、或いは設定内容の確認や変更を行って、問題ないと判断したときに、このプレビュー終了キー66を選択することで、そのサブジョブの印刷準備を完了させることができる。
【0127】
このように、本発明に係るデジタル複合機1の表示制御部は、現在のサブジョブについて生成されたプレビュー画像の表示時に、そのプレビュー画像を非表示にするためのプレビュー終了キー66で例示したプレビューキャンセルキーを、操作部により選択可能に表示部に表示させることが好ましい。
【0128】
図9は、図8のGUI画像において、プレビュー終了キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。図9で示すGUI画像70では、GUI画像60においてプレビュー終了キー66が選択された場合に表示される。
【0129】
GUI画像70は、はいキー71といいえキー72とが選択可能に表示されている。はいキー71には、それを選択することで次の原稿束の原稿の読み込みへ進むことを示す表記も行っておくとよい。また、いいえキー72には次の原稿束がなく今までの原稿束(上述した例では第1原稿束のみ)で印刷を実行することを示す表記も行っておくとよい。
【0130】
このように、上記表示制御部は、プレビュー終了キー66が選択されたときに、次のサブジョブに移行するか(次のサブジョブの印刷条件を設定し、原稿読み取りを開始するか)否かを、ユーザに選択させるための問合せ画像を、表示部に表示させることが好ましい。なお、この問合せ画像ではこの選択が操作部により実行可能となっている。
【0131】
なお、図8のGUI画像60には、実際にコピー処理を開始(印刷処理を開始)するためのコピー開始キーを選択可能に表示することは行わず(つまりプレビュー中はコピーを実行不可としておく)、図9のGUI画像70の表示を行うことを前提として説明している。しかし、図8において、プレビュー終了キー66の代わりに、上記はいキー71に相当するコピー開始キー(但し次の原稿束が必要なしである場合に操作するキーであることを示しておく)と、上記いいえキー72に相当する次の原稿束(次のサブジョブ)の印刷条件を設定するためのキーとを、GUI画像60に表示しておいてもよい。
【0132】
GUI画像70において、はいキー71が選択された場合には記録部12が印刷を実行し、一方でいいえキー72が選択された場合には図7のGUI画像51のようなGUI画像(但し、次の原稿束、すなわちサブジョブ2であることを示す同様のGUI画像)を表示させる。
【0133】
このようにしてサブジョブ2に対するGUI画像51のようなGUI画像が表示され、印刷条件が設定された後、OKキー56が選択されたときには、図10で示すGUI画像73が表示される。図10は、サブジョブ2に対する、図7のGUI画像のようなGUI画像において、OKキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
【0134】
図10で示すGUI画像73は、図8のGUI画像60のサブジョブ2に対応する画像であり、サブジョブ1のプレビュー画像61の代わりに、サブジョブ2のプレビュー画像74が表示されている。なお、サブジョブ1は合計3枚、サブジョブ2も合計3枚で例示しているが、これらの枚数はそれぞれ第1原稿束、第2原稿束の枚数に対応する枚数となる。なお、図8及び図10では集約処理を行わない例を挙げているが、集約処理を施す印刷条件が設定されている場合には、情報68で示す枚数は、集約処理がなされた後の枚数を指し、プレビュー画像も集約後の1枚のプレビュー画像が表示されることになる。
【0135】
GUI画像73でプレビュー終了キー66が選択された場合には同様に図9のGUI画像70が表示され、以降、原稿束が終了するまでこのような処理が繰り返される。
【0136】
次に、このような、印刷(画像形成)対象となる原稿画像を読み取ってプレビュー表示するときの流れの一例について、図11を参照しながら説明する。図11は、図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示する際の処理の一例を説明するためのフロー図である。ここでは、原稿束別処理モード中であり且つプレビュー表示は行うようになっていることを前提に説明する。
【0137】
まず、メイン制御部18は、読取部13において原稿台又はADFに原稿がセットされているかを確認し(ステップS1)、セットされたときに(ステップS1でYESとなったときに)、図7のGUI画像51を表示させ印刷条件の設定のユーザ操作を受け付け、その設定を反映させる(ステップS2)。
【0138】
そして、メイン制御部18は読み取り動作開始の指示(OKキー56の選択操作)を待ち(ステップS3)、指示を受けたときに原稿読み取りを読取部13に対して指示する(ステップS4)。これにより、読取部13では原稿の読み取りを開始する。続いて、メイン制御部18は、プレビュー画像生成部16aに指示して、読み取った画像データによるプレビュー画像の生成処理を実行させる(ステップS5)。
【0139】
次に、メイン制御部18は、図8のGUI画像60をタッチパネル32に表示させる(ステップS6)。そして、ユーザ操作を待ち、メイン制御部18は頁切換キー67が選択されたか否かを判定する(ステップS7)。ここで頁切換キー67の選択があった場合には、メイン制御部18は、パネル制御部11及びプレビュー画像生成部16aに指示して、その頁のプレビュー画面を生成して表示させる(ステップS8)。
【0140】
また、メイン制御部18は、再設定キー63の選択があったか否かを判定し(ステップS9)、あった場合(YESの場合)には、ステップS12〜14の処理後、ステップS7へ戻る。ステップS12では、メイン制御部18が、パネル制御部11を制御して再設定画面を表示させ、ユーザからの再設定操作を待つ。ステップS13では、その操作に基づき再設定(プレビュー画像を表示していたサブジョブについての再設定)を実行する。ステップS14では、メイン制御部18が、プレビュー画像生成部16aに指示を出し、再設定されたサブジョブのプレビュー画像を再生成させ、パネル制御部11に指示を出し、その再生成されたプレビュー画像を表示させる。
【0141】
一方、ステップS9でNOの場合には、図9のGUI画像70を表示させ、次の原稿束の有無を示すユーザ操作(はいキー71の選択か、いいえキー72の選択か)を待ち、メイン制御部18がその操作の判定を行う(ステップS10)。ステップS10でNOの場合にはメイン制御部18が、記録部12に対して印刷を指示し、記録部12が印刷を実行する(ステップS11)。ステップS10でYESの場合には、ステップS1へ戻り、次の原稿束に対して同様の処理を遂行する。
【0142】
次に、図12〜図14を参照して、サブジョブ毎にプレビューを行うか否かが設定できる例を説明する。図12は、図6のGUI画像において、ビルドジョブキーを選択した際に表示されるGUI画像の他の例を示す図で、図13は、図12のGUI画像において、OKキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
【0143】
図12で示すGUI画像81には、図7のGUI画像51において、プレビュー確認要/不要の選択キー82が選択可能に表示されている。選択キー82もラジオボタンで例示しているがこれに限ったものではない。そして、GUI画像81では選択キー82において「プレビュー確認不要」が選択された例を挙げており、この状態でOKキー56が選択されると、第1原稿束の原稿読み取りが開始され、読み取り完了後又は読み取り中に、図13のGUI画像83が表示される。
【0144】
GUI画像83は、GUI画像81と、サブジョブ2であることが表記されている点が異なっている。そして、GUI画像83では選択キー82において「プレビュー確認要」が選択された例を挙げており、この状態でOKキー56が選択されると、第2原稿束の原稿読み取りが開始され、少なくともサブジョブ2の先頭頁の読み取り完了後又は全頁の読み取り完了後に、図10のGUI画像73が表示される。この後の処理は、上述した通りであり、プレビュー終了キー66が選択されると図9のGUI画像70が表示される。そして、はいキー71が選択されると、サブジョブ3に対する、図13のGUI画像83のようなGUI画像が表示される。一方、いいえキー72が選択されると、印刷が実行される。
【0145】
次に、このような、印刷(画像形成)対象となる原稿画像を読み取ってプレビュー表示するときの流れの例について、図14を参照しながら説明する。図14は、図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示する際の処理の他の例を説明するためのフロー図である。ここでは、原稿束別処理モード中であることを前提に説明する。
【0146】
まず、図11のステップS1〜S4と同様の処理を実行する(ステップS21〜S24)。次いで、メイン制御部18は、ステップS22の設定においてプレビュー確認要となっていたか否かを判定し(ステップS25)、YESの場合には、図11のステップS5,S6と同様にプレビュー画像の生成処理、表示処理を実行する(ステップS26,S27)。その後も、図11のステップS7〜S14と基本的に同様の処理を実行する(ステップS28〜S35)。
【0147】
一方、ステップS25でNOの場合にはステップS31へ進み、次の原稿束の有無をユーザに確認する。つまり、この例では、そのサブジョブの設定がプレビュー確認不要である場合には直ぐに次の原稿束の印刷条件の設定等の処理に進む。このような処理により、サブジョブ毎にプレビュー確認の要否を設定し、必要なサブジョブだけプレビューを実行しながら、サブジョブ毎に原稿読み取りの処理が可能となり、全ての読み取りが正しく完了した時点で印刷処理(ステップS32)が実行できる。ユーザが不必要と思うものはプレビューしないので、余分なプレビュー作成時間及び表示時間が短縮できる。
【0148】
なお、図12〜図14の例においても、ビルドジョブキー50の押下の前に、ユーザがプレビュー確認キー45が押下されてプレビュー表示がON設定されている場合に対応できる。具体的には、ON設定されている場合には、図12及び図13においてプレビュー確認要/不要の選択のデフォルト値を「要」とし、ON設定されていない場合には、デフォルト値を「不要」としておけばよい。
【0149】
図7〜図11で説明した例と図12〜図14で説明した例のように、本発明では、原稿束別処理モード中にプレビュー表示を行うか否かを、操作部により、全てのサブジョブ共通に又は各サブジョブ毎に設定可能になっていることが好ましい。また、図7〜図11で説明した例と図12〜図14で説明した例とのいずれを実行するかについても、操作部によりユーザ選択可能に構成することが好ましい。
【0150】
次に、上述した各例に適用できる集約処理例を説明する。図15は、図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示する際の処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【0151】
図15で示すGUI画像90は、サブジョブ1及びサブジョブ2において2 in 1が設定されているときであって、サブジョブ2のプレビュー画像を表示した例である。この例でもサブジョブ1,2の双方が3枚の原稿をもつ場合を挙げている。この場合、サブジョブ2について、最初にプレビュー表示されるときに、図示するサブジョブ1の最終頁の画像91aとサブジョブ2の先頭頁の画像91bとでなるプレビュー画像91が表示される。
【0152】
この例は、図7〜図11で説明した例と図12〜図14で説明した例の双方に適用できる。前者の例では全てのプレビュー画像が生成されているため、集約処理で一方が前のサブジョブの原稿から読み取った画像で他方が現在のサブジョブの原稿から読み取った画像である場合には、プレビュー表示用に、前のサブジョブの原稿のプレビュー画像を残しておけば済む。また、後者の例では、次のサブジョブでプレビュー確認要と設定される可能性が残っているため、少なくとも集約処理で必要となる分のプレビュー画像は、喩え前のサブジョブでプレビュー表示しない設定になっていたときでも生成しておき、残しておくとよい。
【0153】
なお、本発明に係る原稿束別処理モード中のプレビュー表示について説明したが、上述した説明では、いずれの原稿束もADFの読み取り可能枚数を超えないことを前提としている。しかし、実際には超えることもある。例えば、ADFでの読み取り可能枚数が100枚であったとすると、一つの原稿束の上限が100枚になり、101枚以上の原稿束について同じ印刷条件を適用したいときがある。このような場合、例えば200枚に対して同じ印刷条件で印刷させたいときには、2つの原稿束について同じ印刷条件のまま原稿読み取り処理を実行すればよい。また、同じ印刷条件か否かを判定し、同じ印刷条件の場合にのみ最初の100枚と次の100枚とを1つのサブジョブとして取り扱うように構成しておいてもよい。
【0154】
以上、デジタル複合機1を挙げて、本発明の原稿束別処理モード中のプレビュー表示について説明したが、本発明は、このような画像形成装置におけるプレビュー表示方法としての形態も採り得る。つまり、このプレビュー表示方法は、操作部が、原稿束別処理モードの選択を受け付けるステップと、原稿束別処理モードである場合、次のサブジョブについての印刷条件の設定及び原稿読み取りより前に、(1)プレビュー画像生成部が現在のサブジョブについてのプレビュー画像を生成し、(2)表示制御部が現在のサブジョブについて生成されたプレビュー画像を表示部に表示させるステップと、を含む。その他の応用例については説明した通りである。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの構成例を示す模式図である。
【図2】図1のデジタル複合機の構成例を示す概略ブロック図である。
【図3】図2のデジタル複合機におけるタッチパネル及びキー操作部の一例を示す外観図である。
【図4】図2及び図3で説明したデジタル複合機の標準画面の例を示す図である。
【図5】図4のGUI画像において、コピー時の詳細設定を行う特別機能キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
【図6】図5のGUI画像において、矢印キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
【図7】図6のGUI画像において、ビルドジョブキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
【図8】図7のGUI画像において、OKキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図で、図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示した画面の一例を示す図である。
【図9】図8のGUI画像において、プレビュー終了キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
【図10】サブジョブ2に対する、図7のGUI画像のようなGUI画像において、OKキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
【図11】図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示する際の処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図12】図6のGUI画像において、ビルドジョブキーを選択した際に表示されるGUI画像の他の例を示す図である。
【図13】図12のGUI画像において、OKキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
【図14】図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示する際の処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図15】図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示する際の処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0156】
1…デジタル複合機、2,3…外部コンピュータ、4…インターネットFAX装置、10,32…タッチパネル、11…パネル制御部、12…記録部、13…読取部、14…フォーマット変換部、15…画像記憶部、16a…プレビュー画像生成部、17…符号化/復号部、18…メイン制御部、19…制御用メモリ、20,31…キー操作部、21…LAN制御部、22…制御用バッファ、23…NCU、24…モデム、25…USB I/F、30…操作パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、表示部と、印刷対象の画像データのプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、該プレビュー画像生成部で生成されたプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えた画像形成装置であって、
原稿束別処理モードが前記操作部により選択可能になっており、
該原稿束別処理モードは、1つの印刷ジョブとして、原稿読み取り対象の複数の原稿束のそれぞれに対応する複数のサブジョブであって、印刷条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードであり、
当該画像形成装置は、前記原稿束別処理モードである場合、次のサブジョブについての印刷条件の設定及び原稿読み取りより前に、(1)前記プレビュー画像生成部が現在のサブジョブについてのプレビュー画像を生成し、(2)前記表示制御部が該現在のサブジョブについて生成された該プレビュー画像を前記表示部に表示させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記現在のサブジョブについて生成された前記プレビュー画像の表示時に、前記現在のサブジョブの印刷条件を変更するための変更キーを、前記操作部により選択可能に前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記現在のサブジョブについて生成された前記プレビュー画像の表示時に、該プレビュー画像を非表示にするためのプレビューキャンセルキーを、前記操作部により選択可能に前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記操作部により前記プレビューキャンセルキーが選択されたときに、前記次のサブジョブに移行するか否かをユーザに選択させるための問合せ画像を、前記表示部に表示させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記原稿束別処理モード中にプレビュー表示を行うか否かを、前記操作部により、全てのサブジョブ共通に又は各サブジョブ毎に設定可能になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
操作部と、表示部と、印刷対象の画像データのプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、該プレビュー画像生成部で生成されたプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えた画像形成装置におけるプレビュー表示方法であって、
該画像形成装置は、原稿束別処理モードが前記操作部により選択可能になっており、該原稿束別処理モードは、1つの印刷ジョブとして、原稿読み取り対象の複数の原稿束のそれぞれに対応する複数のサブジョブであって、印刷条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードであり、
当該プレビュー表示方法は、
前記操作部が、前記原稿束別処理モードの選択を受け付けるステップと、
前記原稿束別処理モードである場合、次のサブジョブについての印刷条件の設定及び原稿読み取りより前に、(1)前記プレビュー画像生成部が現在のサブジョブについてのプレビュー画像を生成し、(2)前記表示制御部が該現在のサブジョブについて生成された該プレビュー画像を前記表示部に表示させるステップと、
を含むことを特徴とするプレビュー表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−147578(P2010−147578A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319871(P2008−319871)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】