説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】受信データの印刷出力後に保存手段から受信データを削除するときのユーザの負担が大きい。
【解決手段】受信画像を印刷手段で印刷出力するときに予め定めたマーカー201の画像を付加して出力し、印刷出力された受信画像を読取り手段で読取ったときのマーカー201の画像濃度から受信画像が正常に印刷出力されたか否かを判別し、判別手段の判別結果から受信画像が正常に印刷出力されたときには受信画像保存手段から受信画像を消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、FAXなどの公衆回線からモデム経由で受信した画像(印刷データ)をメモリに蓄積し、蓄積したデータを順次印刷手段によって印刷し、印刷の終了した印刷データをメモリ上から破棄して、新たな受信データをメモリ上に蓄積するようにしたものが知られている。
【0003】
つまり、メモリに保存可能な容量に上限があり、当然上限を超えた場合(メモリフル)にはその後の受信動作ができなくなる。そこで、FAX受信し画像形成装置内のメモリに保存された受信データを、印刷手段により印刷出力したときにメモリ内から削除する処理を行なう。
【0004】
また、受信した画像データをメモリに保存する処理として、印刷手段の故障等で受信データが正常に出力されないときに、印刷手段が復旧するまで、印刷出力を行わないで、受信データを画像形成装置内のメモリに保存する方法や、画像形成装置にHDD等の外部記憶手段を接続して大量の受信画像を保存しておき、ユーザの操作によって保存されている受信画像を選択削除する方法が既に知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3150300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成にあっては、用紙のジャムやインクエンド等、印刷手段が異常を検知して受信画像の印刷出力を中止した場合は、受信データをメモリ内に保存しておくことは可能であるが、印刷手段が異常を検知できない状態、例えば、印刷手段は正常にインク吐出処理を行っているが、印字ヘッドの一部分が乾燥等でインクが用紙に吐出されないような場合は、画像形成装置は正常に印刷処理が完了したと判断して、受信データをメモリから削除してしまうことになる。
【0007】
そのため、例えば、契約書や請求書等重要な文書の一部分の画像が抜けて正常に出力されていないにもかかわらず受信データが消失してしまい、画像形成装置を使用しているユーザに重大な不利益を与えてしまうという問題がある。
【0008】
この場合、HDDなどの外部記憶装置等を画像形成装置に設置して、受信データを大量に保存しておく場合は、上記のような状況は起こりにくいが、外部記憶装置を設置しても永久に受信データを保存しておくことはできないため、いずれは不要な受信データをメモリから削除する必要が有る。
【0009】
しかも、大量の受信データから、上述したような画像欠けが発生せずに正常に出力された印刷物と、画像形成装置内に保存されている画像データを検索特定して、画像形成装置のメモリから受信データを選択して削除する作業はかなり煩わしく、ユーザの負担が大きくなるという課題がある。
【0010】
また、外部記憶装置を備えることで、画像形成装置の価格が上がり、ユーザの装置導入コストが増加するという問題もある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、受信データの印刷出力後に保存手段から受信データを削除するときのユーザの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
受信画像を保存する受信画像保存手段と、
画像を読取る読取り手段と、
画像データを印刷する印刷手段と、
を備える画像形成装置において、
前記受信画像を前記印刷手段で印刷出力するときに予め定めたマーカーの画像を付加して出力させる手段と、
前記印刷出力された受信画像を前記読取り手段で読取ったときの前記マーカーの画像濃度から前記受信画像が正常に印刷出力されたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果から前記受信画像が正常に印刷出力されたときには前記受信画像保存手段から前記受信画像を消去する手段と、を備えている
構成とした。
【0013】
ここで、前記受信画像に付加するマーカーは出力媒体の先端部及び後端部の少なくともいずれかに付加する構成とできる。
【0014】
また、前記受信画像が正常に印刷出力されたときには前記受信画像保存手段に保存されている受信画像を、前記マーカーを付加しない状態で再出力する構成とできる。
【0015】
この場合、前記再出力の要否確認のメッセージを表示する手段を備えている構成とできる。
【0016】
本発明に係るプログラムは、
受信画像を印刷手段で印刷出力するときに予め定めたマーカーの画像を付加して出力させる処理と、
前記印刷出力された受信画像を読取り手段で読取ったときの前記マーカーの画像濃度から前記受信画像が正常に印刷出力されたか否かを判別する判別処理と、
前記判別結果から前記受信画像が正常に印刷出力されたときには受信画像保存手段から前記受信画像を消去する処理と、をコンピュータに行なわせる
構成とした。
【0017】
ここで、前記受信画像に付加するマーカーは出力媒体の先端部及び後端部の少なくともいずれかに付加する構成とできる。
【0018】
また、前記受信画像が正常に印刷出力されたときには、前記受信画像保存手段に保存されている受信画像を、前記マーカーを付加しない状態で再出力する構成とできる。
【0019】
この場合、前記再出力の要否確認のメッセージを表示する構成とできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る画像形成装置及び本発明に係るプログラムによれば、受信した画像を印刷手段で印刷出力するときに予め定めたマーカーの画像を付加して出力させ、印刷出力された受信画像を読取り手段で読取ったときのマーカーの画像濃度から受信画像が正常に印刷出力されたか否かを判別し、判別結果から受信画像が正常に印刷出力されたときには受信画像保存手段から受信画像を消去する構成としたので、受信データの印刷出力後に保存手段から受信データを削除するときのユーザの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置を含むネットワーク・システムの説明に供する説明図である。
【図2】同画像形成装置の機能ブロック図である。
【図3】同画像形成装置のコントローラのソフトウエア構成の説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態の説明に供するフロー図である。
【図5】同じくマーカーの付加の説明に供する説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態におけるマーカーの付加の説明に供する説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態の説明に供するフロー図である。
【図8】本発明の第4実施形態の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置を含むネットワーク・システムについて図1の説明図を参照して説明する。
この画像形成装置を含むオフィス・フロアでのネットワーク・システム10は、画像形成装置(以下「MFP」ともいう。)12と、情報処理装置14と、サーバ26などがイーサネット(登録商標)などローカルエリア・ネットワーク(LAN)28により相互接続されている。LAN28は、ハブ16により画像形成装置12、サーバ26、情報処理装置14などを物理接続していて、媒体アクセス制御(MAC)アドレスおよびIPアドレスを使用した相互通信を行っている。
【0023】
ハブ16は、さらにルータ18に接続され、ルータ18は、MFP12および情報処理装置14、サーバ26をインターネット、ワイドエリア・ネットワーク(WAN)などの広域ネットワーク20に接続している。
【0024】
広域ネットワーク20には、POPサーバ22が接続されていて、画像形成装置12、情報処理装置14、およびサーバ26との間でSMTPプロトコルを使用した電子メールの伝送を可能としている。なお、広域ネットワーク20には、図1に示す以外にも、ウェブ・サーバなどが接続されていても良い。また、POPサーバ22は、ISPなどが提供するメール・サーバであっても良く、また、社内に設置された専用メール・サーバとして実装することもできる。
【0025】
画像形成装置12は、ファクシミリ、コピー、プリンタ、ARDF(Auto Reverse Document Feeder)などの複合的な機能を提供しており、ユーザからの直接指令または情報処理装置14などのジョブ要求、公衆電話網24から受信したファクシミリ・データを処理し、画像形成を行う。
【0026】
次に、画像形成装置12について図2の機能ブロック図を参照して説明する。
画像形成装置12は、プリンタ、コピー、ファクシミリなどの機能を提供するための各種機能を含んでおり、ドキュメントを読み込んで、光学読み取りを行うためのARDF30と、ユーザに対して各種設定を可能とする、LCDパネルを含む操作パネル34とを含む。ARDF30は、原稿台上にセットされたドキュメントを、モータ32を起動してドキュメントの光学読み取りを行うスキャナ36に送り、照射光学系、駆動モータ、CCDなどを駆動してドキュメントをデジタル・データに変換する。
【0027】
画像形成装置12は、コントローラ38と、画像形成を担当するプリンタ・エンジン52とを備えている。コントローラ38は、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、Windows(登録商標)200Xサーバなどのオペレーティング・システム(以下、OSとして参照する。)を動作する、CPU(図示せず)を含んでいる。
【0028】
コントローラ38は、上述したOSの下で、C、C++、JAVA(登録商標)、Perlなどのプログラミング言語で記述されたアプリケーション・プログラムやApache、サーブレットなどのサーバ・プログラムを実行し、ウェブ・サーバの一部機能も提供する。
【0029】
また、コントローラ38は、ストレージ管理部40と、通信処理部42と、イメージ変換部44とを備えている。ストレージ管理部40は、SDRAM、ハードディスク装置などの記憶装置56の入出力管理を実行する。また、通信処理部は、56Kbpsまたは126Kbps程度の通信レートのファックス・モデム58から受信したITU−T勧告T.6などのプロトコルでデータを、ランレングス符号化、MR、MMRなどの符号化方法を使用して復号化し、また画像形成装置12からのファクシミリ送信のためにデジタル・データをコードする。また、通信処理部42は、IPプロトコル・スイートおよびTCP/IPまたはUDP/IPを使用するデータ伝送も管理する。
【0030】
通信処理部42は、コントローラ38が含むアプリケーション・プログラムからのデータ伝送要求を受付け、IPパケットまたはフレームを作成し、ネットワーク・インタフェース・カード(NIC)60からイーサネット(登録商標)またはワイヤレスLANへとデータを伝送し、また入来データをアプリケーション・プログラムへと伝送する。なお、通信処理部42は、上述した処理を実行するため、PPP(Point to Point Protocol)およびPPPoE(PPP on Ethernet(登録商標))などのデータ接続プロトコルをサポートする。
【0031】
イメージ変換部44は、画像処理装置12が取得したデータを、GIF、BMP、JPEG、JPEG2000、TIFF、PNGなどのイメージ・データに変換し、変換されたイメージ・データを使用してPDL(Page Description Language)を作成し、作成したPDLをプリンタ・エンジン52に渡し、画像形成させる。
【0032】
その他、コントローラ38は、フラッシュROM50などを実装し、画像形成装置12の起動時のセットアップ・データや画像形成に使用する色変換データなどを管理している。USB制御部48を含んでいて、USBコネクタ62を介してUSBホスト(図示せず)やプリンタ・エンジン52との間のバス接続を管理する。なお、USB制御部48は、IEEE802.15などにより規定されるUWBプロトコルをサポートしていても良い。画像形成装置12は、PSU54を実装していて、PSU54は、画像形成装置12の電源管理を行っている。
【0033】
プリンタ・エンジン52は、電子写真法又はインクジェット法を使用した画像形成を行っており、各画像形成方法により画像を形成するため、感光体、半導体レーザ、現像器、転写装置、定着装置またはインク容器およびインクジェット・ノズルなどを含んで構成されている。また、プリンタ・エンジン52は、PJL(Printer Job Language)をサポートしていて、外部からのプリント要求に対応した印刷を実行することができる。
【0034】
SDRAMなどの記憶装置56は、複数のデータセットを管理する。記憶装置56が管理する本実施形態にかかわるデータセットは、送信元登録データ(SUC_ADDR:source_Address)64、通知先登録データ(ACK_ADDR:Acknowledge_Address)66、およびMIB(Management Information Base)68である。
【0035】
送信元登録データ64は、ユーザがあらかじめ設定し、受信したファクシミリ・データの通知を受けるか否かを指定するデータである。送信元登録データ64は、ファクシミリ番号のフォーマットで登録する。また、通知先登録データ66は、当該ユーザの通知先アドレスを登録する。通知先登録データ66は、種々のフォーマットで登録することができ、例えば、メーラ46を使用して電子メールとして通知メッセージを送信するための電子メール・アドレス、MACアドレス、IPアドレス(プライベート・アドレス/サブネット・マスクで規定されるローカル・ドメイン)、または端末名称を使用することができる。MACアドレス、IPアドレスを通知先登録データ66として使用する場合、端末名称またはユーザ識別値と、MACアドレスまたはIPアドレスとの対応テーブルを実装することが、ユーザ入力の手間を省くためには好ましい。また、ネットワーク基盤がTCP/IPではなく、NETBIOSを使用している場合には、端末名称を使用して、端末名称とIPアドレスとMACアドレスなどを対応させて登録したルックアップテーブルなどを通知先登録データ66とすることができる。
【0036】
MIBは、RFC1156として規定されているMIB1またはRFC1213で規定されているMIB2を使用して構成される、ネットワーク管理情報を登録するデータセットであり、管理するべき画像形成装置に状態を、オブジェクト識別値(OID)およびそのステータス・データとして対応づけて管理する。
【0037】
なお、情報処理装置14およびサーバ26は、パーソナル・コンピュータ、ワークステーション、ブレード・サーバやシンサーバなどサーバ専用の情報処理装置である。情報処理装置14は、アプリケーション・ソフトによる処理結果を、プリンタ・ドライバを介して画像形成装置12に伝送し、画像形成装置12に対して処理結果を出力させている。また、サーバ26がプリンタ・サーバとして提供されている場合には、サーバ26は、情報処理装置14からのプリント要求を受付け、適切な画像形成装置12にプリントジョブを指令している。
【0038】
次に、画像形成装置12のMFPコントローラ38のソフトウエア構成について図3のブロック説明図を参照して説明する。
ポータルソフトウエア(Portal Software)101は、各機能のアプリケーションソフトの設定、削除を行う。ドキュメントマネージャ(Document manage)102、スキャン(Scan)103、ファックス(FAX)104、プリント(print)105は、マルチファンクション画像形成装置に必要な各種アプリケーションソフトである。
【0039】
TWINドライバ(TWAIN driver)112は、スキャナなどのイメージスキャナから入力した画像データをPC上で使用が可能な形式に変換する。
PC−FAXドライバ(PC-FAX driver)113は、FAXより入出力された画像データをPC上で使用が可能な形式に変換する。
RPCSドライバ(RPCS driver)114は、画像データをプリンタ出力(印刷出力)が可能な形式に変換する。
【0040】
PCLドライバ(PCL driver)115は、PCL(ページ記述言語)形式の印刷データをプリンタ出力可能な形式に変換する。
SMU(System Management Unit)116は、AIO機器情報を管理をし、各ドライバ(driver)のデータサイズや図1のRAM/ROM容量情報などの機器情報も記憶する。
MIB117は、機器情報データベースを意味する。
LSD(Local Status and Diagnostic)118:PC(パーソナルコンピュータ)上からUSB等を経由して機器設定の登録・変更を行うアプリケーションである。
【0041】
次に、本発明の第1実施形態について図4のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、印刷手段から出力された受信画像を、ADF等を装着した画像形成装置の画像読取り手段でスキャンし、受信画像の出力時に付加したマーカーの画像濃度を確認して、濃度が判断基準値を上回っている場合は正常出力されたと判断して、不揮発性メモリ(受信データ保存手段)内に保存されている画像データ(受信画像)を消去する。
【0042】
すなわち、画像形成装置には、受信画像保証モードという機能を設け、LCD等の機能設定パネル34等から、この機能が有効になる設定を行なう。設定が有効になっている場合は、次の動作(処理)を行なう。
【0043】
また、LCD等で構成されている機器の操作パネル34から受信画像確認機能を選択することができ、画像形成装置の機能として受信画像確認モードが設定されたときには受信画像の確認動作を行なう。
【0044】
まず、公衆回線からFAX受信を行なう(S1001)。なお、FAXの通信手段は、一般的に使われているITU−Tの勧告に則ったプロトコルで通信を行なう。この公衆回線から画像データを画像生成装置で受信するときに、受信画像データと共に相手先(発信元)から送られて来る発信元情報を、画像データと一意に関連付けを行い.受信情報として画像データと共に不揮発性メモリ(受信画像保存手段)に保存する(S1001)。
【0045】
そして、受信画像のデータを印刷手段から印刷を行なうために、受信画像のデータを印刷用のメモリに展開するときに、図5で示すような受信画像に影響を与えない位置に、出力確認用マーカー(例えばベタ画像)を画像データに付加する。マーカー201はカラー画像であれば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、Bk(ブラック)の4色、モノクロ画像であればBk一色を付加する。なお、出力確認用マーカーについては、読取り濃度が基準値以上か否かを判別できればよいので、ベタ画像に限らず、インクが吐出されない画像を一部に含んだ画像も含まれるのは明らかである。
【0046】
また、印字ノズル列長よりマーカーサイズが小さい装置の場合は、受信画像にマーカーを付加する毎に(本実施形態では、1枚の受信画像を印刷出力するたびに)、マーカーサイズに合わせて吐出するノズルを順次切り替えを行なうことで、全てのノズルを使ってマーカーの印字を実施する。
【0047】
その後、マーカーを付加した受信画像のデータを、印刷手段から印刷する(S1004)。なお、この時点で、JAMやインクエンド等のエラーが発生せずに印刷画像が出力された後も、不揮発性メモリに保存されている画像データの消去は行なわない。
【0048】
そして、印刷手段から出力された画像が、正常出力されたか確認を行なう場合、LCD等で構成されている機器の操作パネル34から受信画像確認機能を選択して、画像形成装置の機能として受信画像確認モードを設定する(S1005)。
【0049】
そこで、ユーザが画像確認を行ないたい受信画像をADF等画像形成装置の読取り手段30にセットしてスタートが指示されることで、画像の読取りを開始する(S1006)。なお、読取られた画像は、画像比較用データとしての印刷時に使用するページメモリにビットマップ形式で保存される。
【0050】
そして、読取った原稿(画像)に記載されている発信元情報をOCR等の文字認識処理を用いて文字認識して、発信元と発信日時を検出し、不揮発性メモリに保存されている受信データを特定する(S1007)。
【0051】
その後、発信元からの解像度情報により、印刷画像を読取る解像度を、受信データの解像度と合わせる(S1008)。
【0052】
そして、不揮発性メモリに保存されている受信画像(受信データ)を特定する(S1009)。その後、ページメモリに展開された画像から出力確認用マーカー201を検出し(S1010)、検出されたマーカー201の画素データの画素数を測定してマーカー201の濃度を測定し、読み取り濃度とする(S1011)。
【0053】
その後、予め基準値としてメモリに格納してある値と比較を行なって、読み取り濃度が基準値以上か否かを判別する(S1012)。
【0054】
このとき、測定した濃度が基準値を以上であれば、当該受信画像は正常に印刷出力されたと判定する。判定基準は、画像形成装置に搭載するスキャナ(CIS、CCDなど)の性能に依存するため、実際の装置を評価し、その評価結果を元に算出する.本実施形態では、ベタ画像の画像素数が正常値の85%以上であれば印刷出力が正常に行なわれたと判定しているが、これに限るものではない。
【0055】
そして、正常に印刷出力されたと判定されたときには、1宛先からの受信データが複数ページか否か(次のページがあるか否か)を判別し、次のページがあれば、S1005ないしS1013の処理を、最終ページまで繰り返し実行する。
【0056】
このようにして、1宛先からの受信データの比較が終了した時点で、すべてのページが正常と判断された場合は、不揮発性メモリに保存されていた当該正常に印刷出力された受信画像の受信データの削除を行なう(S1014)。
【0057】
また、S1012で、受信画像と印刷画像に差分がある場合は、印字出力に異常ある可能性があると判断して、画像形成上のLCD等の表示装置(操作パネル34)に、正常に印刷出できなかった可能性があることを通知するメッセージを表示(警告表示)して、ユーザに注意を促し、この処理を抜ける。
【0058】
このように、受信した画像を印刷手段で印刷出力するときに予め定めたマーカーの画像を付加して出力させ、印刷出力された受信画像を読取り手段で読取ったときのマーカーの画像濃度から受信画像が正常に印刷出力されたか否かを判別し、判別結果から受信画像が正常に印刷出力されたときには受信画像保存手段から受信画像を消去する構成とすることで、受信データの印刷出力後に保存手段から受信データを削除するときのユーザの負担を軽減することができる。
【0059】
つまり、出力画像をスキャンすることで正常に受信画像を印刷出力できたことを判別でき、正常に出力された受信データについて画像形成装置内の保存手段から削除することができるので、重要な受信データを消失せず、ユーザへ与える不利益が解消される。また、不要な受信データを、受信画像のスキャン操作のみで、保存手段から削除するため、ユーザの手間が軽減され、画像形装置のメモリ等限られた資源を有効に活用でき,装置のコストの低減を図れる。さらに、マーカーが印字されている特定部分の情報で正常出力されたか否かを判別することで、受信データの削除を行なうか否かの判別を短い処理時間で処理することができる。
【0060】
次に、本発明の第2実施形態について図6の説明図を参照して説明する。
前記第1実施形態では、出力する受信画像の先端部(出力媒体の先端部)にマーカー201を付加しているが、この場合には出力する受信画像の後半の位置で異常画像になった場合、受信画像の正常出力を正確に確認できない場合がある。
【0061】
そこで、本実施形態では、出力画像の先端部に加え後端部(出力媒体の先端部)にもマーカー201を付加している。そして、画像先端部、後端部のマーカー201の濃度を測定して正常に画像出力されたか否かを判断する。
【0062】
つまり、前述した第1実施形態の処理において、S1003ではマーカー201、201を出力媒体の先端部及び後端部に付加し、S1010では先端部と後端部のそれぞれのマーカー201の検出を行ない、S1011では検出された先端部と後端部のマーカー201の濃度の測定を行ない、S1012では先端部と後端部のマーカー201の濃度についてそれぞれ基準値と判定を行い、測定濃度が基準値を上回っていれば正常出力と判断する。その他の処理は、前記第1実施形態と同様である。
【0063】
これにより、受信画像を正常に出力できたか否かをより正確に判別できる。
【0064】
次に、本発明の第3実施形態について図7のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1、第2実施形態の動作において受信画像が正常に出力されたと判断した場合は、スキャナから読取った受信情報を元に不揮発性メモリに保存してある画像データを、マーカー201を付加しない状態で再出力(印刷処理)を行なってから、不揮発性メモリに保存されている画像データを消去する。
【0065】
まず、スキャナ(画像読み取り手段:ARDF30)から読取った画像がマーカー201の濃度により正常画像と判定される(S1201)と、予め読取っている受信情報を元に、不揮発性メモリから正常と判定された受信画像の検索を行って、当該受信画像のデータを特定する(S1202)。そして、特定された受信画像を、マーカー201を付加しない形で再出力する(S1203)。再出力完了後、不揮発性のメモリ内の当該受信画像のデータを消去する(S1204)。
【0066】
このように、マーカーを付加しないでオリジナルに近い受信画像の印刷出力を行なうことで、ユーザがその受信画像を2次的に利用するときの利便性が向上する。
【0067】
次に、本発明の第4実施形態について図8のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、上記第3実施形態において、マーカーを付加しない受信画像の再出力を行うときに、表示装置(例えばLCD等の操作パネル)34に再出力の要否確認メッセージを表示させる。ユーザが、その表示の指示に従って、再出力が必要な場合は、装置上の選択ボタンを押下して受信画像の再出力を指示し、また、再出力が不要な場合も装置上の選択ボタンを押下して、再出力を行なわないで不揮発性メモリ内の受信データの削除を指示する。
【0068】
すなわち、スキャナから読取った画像がマーカー201により正常画像と判定される(S1301)と、予め読取っている受信情報を元に不揮発性メモリから当該正常出力された受信画像の検索を行って、受信画像のデータを特定する(S1302)。そして、受信画像の再出力の要否を確認するメッセージを表示装置(本実施形態では操作パネル34のLCD)に表示する(S1303)。
【0069】
ここで、機器の操作パネル34からのユーザの指示によって再出力が選択されたか否かを判別し(S1304)、再出力が指示されたときには、受信画像を再出力し(S1305)、削除が指示されたときには、再出力を行なわないで、不揮発性メモリから消去する(S1306)。
【0070】
このように、再出力の要否確認を行なうことで無駄な用紙の消費を低減できる。
【0071】
なお、上述した処理はプログラムによってコンピュータに行なわせることができ、このプログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができ、或はインターネットネットなどのネットワークを通じてダウンロードすることで提供される。また、上記実施形態で説明した画像形成装置とホスト側(情報処理装置)とを組みあせて画像形成システムを構成することもできる。
【符号の説明】
【0072】
12 画像形成装置
30 ARDF
52 プリンタ・エンジン
56 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信画像を保存する受信画像保存手段と、
画像を読取る読取り手段と、
画像データを印刷する印刷手段と、
を備える画像形成装置において、
前記受信画像を前記印刷手段で印刷出力するときに予め定めたマーカーの画像を付加して出力させる手段と、
前記印刷出力された受信画像を前記読取り手段で読取ったときの前記マーカーの画像濃度から前記受信画像が正常に印刷出力されたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果から前記受信画像が正常に印刷出力されたときには前記受信画像保存手段から前記受信画像を消去する手段と、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記受信画像に付加するマーカーは出力媒体の先端部及び後端部の少なくともいずれかに付加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受信画像が正常に印刷出力されたときには、前記受信画像保存手段に保存されている受信画像を、前記マーカーを付加しない状態で再出力する手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記再出力の要否確認のメッセージを表示する手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
受信した画像を印刷手段で印刷出力するときに予め定めたマーカーの画像を付加して出力させる処理と、
前記印刷出力された受信画像を読取り手段で読取ったときの前記マーカーの画像濃度から前記受信画像が正常に印刷出力されたか否かを判別する判別処理と、
前記判別結果から前記受信画像が正常に印刷出力されたときには受信画像保存手段から前記受信画像を消去する処理と、をコンピュータに行なわせる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記受信画像に付加するマーカーは出力媒体の先端部及び後端部の少なくともいずれかに付加することを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記受信画像が正常に印刷出力されたときには、前記受信画像保存手段に保存されている受信画像を、前記マーカーを付加しない状態で再出力することを特徴とする請求項5又は6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記再出力の要否確認のメッセージを表示することを特徴とする請求項7に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−54807(P2012−54807A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196569(P2010−196569)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】